ヘイトスピーチ、無言の脅迫、違反常習者に厳格に対応するYouTubeの反ハラスメントポリシー

YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏は、先月発表した四半期書簡の中で、新たな反ハラスメントポリシーを検討中だと述べていた。米国時間12月11日、その努力の結果として、脅しや個人攻撃に対する毅然とした立場、有害コメント対策、違反常習者への厳しい対応を含む新しいポリシーが示された。

「ハラスメントは、意見を言いたい気持ち、他者とつながりたい気持ちを萎縮させ、私たちのコミュニティーに損害を与えます。私たちは、今回もまた、この改訂版ポリシーの策定の間に会ってくれたみなさんを含め、クリエイターたちから意見を聞いています」と、YouTubeの信頼グローバルヘッド副社長Matt Halprin(マット・ハルプリン)氏は発表の際に述べている。

YouTubeは、以前、ウォシッキー氏が表明していたように、今後もオープンプラットフォームであり続けると主張している。とは言え、ハラスメントは容認できない。そこで、YouTubeのクリエイターやコミュニティーをハラスメントから守るために、最善と思われるいくつかの対策を打ち出した。

今回のポリシー策定にあたり、YouTubeは、ネット上のいじめを研究する団体、ジャーナリストを代表する擁護団体、表現の自由を支持する団体、あらゆる政治的立場の組織など、幅広く専門家から意見を聞いた。

ポリシー改訂の第一段階は、無言の脅しに関するものだ。

今までYouTubeは、あからさまに人を脅す動画、知られたくない個人情報を晒す(ドキシング)動画、誰かをいじめるよう奨励する動画を禁じてきた。今回から、このポリシーに「無言の、または暗示的な脅し」も含まれるようになった。これには、個人に暴力を加えるふりをすること、物理的な暴力が発生すると示唆する言葉を使うことなどが含まれる。

YouTube Creators YouTubeのハラスメントを予防するようもっと努力せよと、大勢のみなさんから意見をいただいてきました。そこで、クリエイター、専門家、団体などから幅広く話を聞き、ハラスメントに関するポリシーの変更を検討し、本日、改訂となりました。詳しくは下のリンクを
YouTube Creators 人種、身体的特徴、性的指向、宗教、性別など、人の固有の特性を長期にわたり中傷する言葉の暴力には厳格に対応。ただしこれは、幅広い芸術表現や重要な課題に関する議論などに対する我々のオープンな姿勢には影響しません

新しいポリシーでは、保護された特性、つまり、人種、性別表現、性的指向、宗教、身体的特徴に関して人に「悪意をもって侮辱する」言葉も禁じている。

そこは、YouTubeが特に強く批判されてきた領域だ。最近では、Steven Crowder(スティーブン・クロウダー)論争がある。保守系コメンテーターであるクロウダー氏は、ジャーナリストのCarlos Maza(カルロス・マザ)氏のことを話すたびに、繰り返し、人種差別的、同姓愛者嫌悪的な言葉を使っていた。

YouTubeはそのチャンネルの広告による収益化を停止(デマネタイズ)したが、動画はポリシーに違反していないと主張していた。しかし後に、この件に関するポリシーの見直しを行うと宣言した。

YouTubeのオープンな性格は、今月も、ウォシッキー氏が米国の伝統的なニュース番組60 Minutes(シックスティー・ミニッツ)でこのYouTuberのためのプラットフォームのポリシーを擁護したことから問題視された。

記者のLesley Stahl(レスリー・ストール)氏が的確に指摘してように、YouTubeは民間事業であるため、表現の自由を保障した米国憲法修正第1条の法的な影響を受けない。すなわちYouTubeは、そのプラットフォームでは何が許され何が許されないかを独自のルールで規定できるということだ。しかし、YouTubeは長年にわたり、白人至上主義者が人々の教化に利用したり、陰謀論者が怪しい陰謀説を言い触らした結果、ピザゲートのように実際の暴力事件に発展することがあっても、憎悪に満ちたコンテンツや偽情報の拡散を許すプラットフォームのデザインを堅持してきた。

特にYouTubeは、このポリシーは、一般個人、YouTubeクリエイター、さらには“公務員”など、すべての人に適用されると話している。この件に関しては、Twitterのポリシーとは対照的だ。Twitterでは、ルールに反する公務員のツイートは削除されないが、わざわざクリックしなければ読めない場所に隠される。

もうひとつの大きな変化は、必ずしも一線を越えていなくても、規約に違反していなくても、反ハラスメントポリシーに何度も「かすってくる」ような動画には強い態度で臨むという点だ。

つまり、動画でもコメントでも、日常的に他人を侮辱するようなクリエイターは、YouTube パートナープログラム(YPP)の資格が停止される。これにより、態度が不適切であったり、広告主に対してブランドセーフティーではない動画のクリエイターにYouTubeが対処できるようになる。さらに、YouTubeはこの規則の解釈に応じて、個別に、折に触れて、聴取できるようになる可能性もある。

クリエイターのYPP資格の停止はひとつの段階だ。それでも他人へのハラスメントが止まらないときは、そのクリエイターには警告が発せられるようになり、やがてはチャンネルを削除することになるとYouTubeは話している。

もちろん、YouTubeはこれまでもチャンネルのデマネタイズという罰則を加えていたが、今回、正式なポリシーとしてこの対応がしっかりと明文化されたわけだ。

はっきりしないのは、どのようにしてYouTubeはボーダーライン上にあるチャンネルに対するルールを規定し実施するかだ。ゴシップのチャンネルは規制されるのか?反目し合うクリエイターたちには影響するのか?こうしたルールは自由に解釈できるため、今はまだ不明だ。

YouTubeでは、コメント欄で展開されるハラスメントへの対応も変更すると話している。

クリエイターも、動画を見る人も、コメント欄でハラスメントに遭遇すると、標的にされた人が嫌な思いをするだけでなく、会話が冷めてしまうとYouTubeは言う。

YouTube Creators ハラスメントが招く結果:ハラスメントはひとつの動画に留まりません。同じ人に対して複数の動画やコメントで悪意ある攻撃を続ければ、罰則、YYP資格停止、警告、削除につながります
YouTube Creators コメントのモデレーション:年末までに、ほとんどのチャンネルで、不適切と思われるコメントを自動的に審査に送るツールが適用されます。このオプションはいつでも無効にできますが、事前に利用した人たちは、チャンネル上のコメントのフラグが75%減少したと話していることに注目してください

先週、YouTubeの最大級のチャンネルで、有害と思しきコメントをデフォルトで自動的に審査に送る機能が新たに適用された。年末までに、この機能をすべてのチャンネルにデフォルトで適用する予定だ。クリエイターはこのオプションをいつでも解除できるが、有効にすれば、有害かどうかを自分で判断できない人でも、保留されたコメントをまとめて除外できる。

YouTubeによれば、この機能の開始早々の結果は良好だという。各チャンネルでは、ユーザーがフラグを付けたコメントが75パーセント減少した。

YouTubeは、この機能の判断が論争を招くことにもなりかねないと認識し、クリエイターたちに、誤った判断が下されたと感じた場合に再検討を申請できる制度の周知に努めている。

「これらの改訂を行っても、YouTubeが人々がさまざまな考えを表現し合う場所であり続けることは極めて重要です。公益に関する議論や芸術表現を今後も守っていきます」とハルプリン氏。「そしてそうした議論が、誰もが参加しやすく、誰であっても身の危険を感じることがない形で展開されることを信じています」。

このポリシーは紙の上では立派に見えるが、実施に関してはこれからのYouTubeの最大の課題となる。YouTubeには、問題のコンテンツを審査する人間が1万人いる。しかし、これまでは何が“有害”かの基準が非常に狭かった。今回のポリシーの強化により、YouTubeの口約束ではなく、現実の行動がどう変わるかはまだ不透明だ。

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(翻訳:金井哲夫)

YouTubeが「閉鎖アカウント削除で登録者数減少する」とクリエーターに注意喚起

YouTubeはコンテンツのクリエーターに「チャンネル登録者の数が減少しているかもしれない」と注意喚起した。これは現在YouTubeから閉鎖アカウントを削除しているためだという。

閉鎖アカウント(Closed Account)とは、ユーザーが自発的に返上したアカウントやスパム、虐待など利用約款違反によってYouTubeが停止したアカウントなどだ。

YouTubeはこうした閉鎖アカウントの削除により登録者数が減少するかもしれないとYouTubeヘルプのコミュニティページで通告した。Twitterのニュースフィードやクリエーターツールのダッシュボードにも同様のメッセージがアップされている。

このようなアカウント削除はシステムのメンテナンスの一環として行われるもので、今後もスパムや違法、不当な動画のアップロードを防ぐために実施していくという。ただしこうしたアカウント削除は登録者を減少させ、結果としてクリエーターの収入に影響する可能性がある。

注意:本日、閉鎖アカウントを削除しているので一部のチャンネルでは登録者数が減少するかもしれない。YouTubeのスパムアカウント、閉鎖アカウントの削除の詳細についてはリンク先を参照。

チャンネルのダッシュボードのアナリティクスに「12月3日、4日」の減少として表示された場合、アカウント削除の影響を受けた可能性が高い。削除された閉鎖アカウント数を正確に知りたい場合、クリエーターはアナリティクスの「詳細」メニューから「閉鎖アカウント」(Closed Accounts) に進む。

アカウント削除はクリエーターにとってありがたくない。チャンネルメンバーシップグッズの販売といった重要なマネタイズの仕組にアクセスする資格が登録者数にかかっているからだ。またYPP(YouTube Partner Program)と呼ばれるパートナープログラムに参加するにも登録者数は要因となってくる。登録者数1000人以上というYPPの参加資格ぎりぎりのクリエーターはほんのわずかの登録者減少でも経済的に大打撃を受ける可能性がある。

こうした理由があるため、クリエーターはチャンネル登録者に対してサブスクリプションが有効であるかもう一度確認するよう呼びかけている。つまりこの種のアルゴリズムによる大規模なアカウント削除ではアカウントが削除されることがあると考えているからだ。

クリエーターのソーシャルメディアへの投稿を見ると、削除の影響はチャンネルごとに大きく違うようだ。数人が減少しただけと報告しているクリエーターもいるが、数千の登録者を失ったチャンネルもある。

YouTubeが登録者を削除するのはこれが初めてではない。昨年の12月にもYouTubeは相当数のスパムアカウントを削除中だとクリエーターに警告している。これにより登録者数の大幅ダウンに見舞われたチャンネルも多数出た。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeがUIをリニューアル、ユーザビリティー重視、クイックリスト復活

YouTubeがトップページのリニューアルを発表した。同社は米国時間10月7日、メジャーアップデートを行い、使いやすさを優先したシンプルなデザインを採用した。

これまでYouTubeのトップページは情報過多でゴチャゴチャした印象だったが、これが整理され視認性が向上した。またAdd to Queue(キューに追加)というクイックリスト作成機能が復活した。ビデオをこのキューに追加していけば、YouTube側のお勧めが次々に再生されてしまうことはない。

新デザインはデスクトップPCとタブレット端末をターゲットとしており、本日から公開が始まっている。YouTubeによれば、ウェブ、アプリともモバイル版には変化はないという。

YouTubeの親会社であるGoogleはすでに検索ページをコンパクトにし、テキスト、画像とも一見してコンテンツが理解しやすいレイアウトに変えてきた。例えば、7月にはGoogle検索でニュースのタブのデザインがアップデートされ、密集した大量の見出しから見やすいカードになった。 こうしたアップデートは可読性を大いに改善したが、一方ではスクロールせずに一見して読める情報量の減少も招いている。今回のYouTubeのデザイン変更にも同じきことが言えそうだ。

新デザインでは各行に表示されるビデオの数が減少している。そのかわりタイトルも詳しくなり、サムネールも大型化されてどんなビデオなのかわかりやすくなっている。

プレビューの精細度もアップされ、ビデオ下部のチャンネルアイコンも目立つデザインになった。ユーザーはお気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに見てとれる。

こうしたアップデートにともなってページのレイアウトにも変更が加えられている。YouTubeによれば、 チャンネルやトピック別の表示部分をいくつか削除したという。新デザインでもビデオが所属するチャンネル、トピックは表示されるが、それぞれにグループ化はされない。新デザインでは「新着ビデオ」「トップビデオ」という分類となる。

一方、YouTubeのデスクトップ版の新しいオプション、Add to queueはビデオのサムネールに付加されたアイコンで、クリックすると従来どおり「後で見る」に追加できると同時に、新オプションであるクイックリストにも追加できる。

Add to Queueアイコンはビデオ視聴中はページの隅に最小化されているが、随時クリック可能だ。

「キューに追加」するというのは簡単にいえばクイックリスト作成機能だ。その場で簡単にプレイリストを作れるのはとても便利だ。ただしここで作られるリストは一時的ななもので、本来のプレイリストを代替するわけではない。つまりクイックリストをすべて再生してしまえばリストは消滅する。YouTubeではデスクトップのクイックリストはブラウザを閉じたときクリアされるという。つまりテレビやタブレットなど別のデバイスでビデオを見たい場合は、従来どおり「後で見る」リストに追加する必要がある。

さらに今回、モバイルのみの機能のいくつかがデスクトップに追加された。今年に入って、YouTubeはいくつかのアップデートを行ったが、これはこれはアルゴリズムによりトップページのサムネールや「次のおすすめ」としてビデオが選択される際に、ユーザーのコントロールを大きくしようとするものだった。モバイルでは「次に再生」をキャンセルすることが可能なった。

この「チャンネルのおすすめ」のキャンセルがデスクトップにも移植されたわけだ。.これはトップページのビデオのタイトル右横の「…」メニューに含まれる。5番目のオプションをクリックすると、そのチャンネルに属するビデオはトップページに表示されなくなる。ただし、これは完全なブロックボタンではない。検索結果や人気急上昇には表示されるし、そのチャンネルを訪問しても表示される。

これも今年のアップデートだが、YouTubeのAndroidアプリではユーザーが好みのトピック選ぶことでビデオのフィードをカスタマイズできる機能が導入された。この機能はデスクトップ、タブレットの各アプリにも近く導入されるというが、今回のアップデートには含まれていない。

新デザインによって見通しがよくなったことは確かだが、クリエーター側から見ると副作用もなくはない。サムネール、キャプションが大きくなり視認性がアップしているが、トップページの情報密度は減った。つまりスクロールせずに表示されるビデオの数、つまりはクリエーターの数も減少したわけだ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの拡散をアルゴリズムが手助けしているという批判が強まっているが、一方ではどんな内容であれ、多くの人々見ていればアルゴリズムはそれを取り上げる。

ヘイトスピーチや人々の過激化にYouTubeがどの程度責任があるかというのが激しい議論の的となっている。ニューヨークタイムズの主張とは逆にWiredは人々の過激化にアルゴリズムはほとんど関係がない、責任があるのはむしろオンライン上で積極に活動するグループだと報じている。これは判断が難しい問題だ。孤独な若者がたまたま目にしたYouTubeビデオをきっかけにさらに暗い迷路に迷い込み過激化して最後にはそうしたコミュニティーに加わるというコースもなくはないだろう。

YouTubeではこうした批判に対し、(少なくともある程度)言論の自由を擁護しつつ、人々に「見たくないものを見ない」ですむような裁量権を増やそうとしているようだ。今回のアップデートもこの流れに沿ったものだろう。

「見たくないものは表示しない」(「おすすめ」キャンセル)機能の導入はYouTubeに限ったことではなく、最近はビデオサービスの標準となりつつある。Facebookでも他人のスレッドに反対意見を書き込む人間は「いやなら読むな」と言われがちだ。YouTubeも「良識あるコメント」を心がけるようユーザーに注意している。インターネットではますますユーザー個々の責任が重要となっている。

YouTubeによればこのアップデートはデスクトップ(Android、iOSのタブレット・アプリを含む)ですでに公開を始めたところだというという。すぐにユーザー全員が利用できるようになるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeがクリエーターを支援するスタンプ[Super Stickersを公開

YouTubeは7月に予告していたクエリーター向けの新たな収入源としてSuper Stickersを世界で公開した。このステッカーないしスタンプはファンがクリエーターを支援するために少額の「投げ銭」を支払える仕組みでSuper Chatと似ている。

有料のSuper Chatを購入すると投稿メッセージがライブチャットのストリームのトップに一定期間ハイライトされる。クリエーターがSuper StickersないしSuper Chatを利用するには収益化可能なチャンネルを設置し、1000人以上の登録者を集めている必要がある。

熱心なファンから随時収入を得る方法としてSuper Chatがスタートしてからすでに3年近くたっている。この機能は大量のメッセージが飛び交う人気あるクリーエターのライブチャットのストリーム中で非常に有効であることが示されている。 ライブ配信のチャットで投稿者のメッセージがハイライトされるという点ではTwitchのCheering機能に似ている。

購入者のプロフィール写真と色付きメッセージが購入金額に応じた一定期間ストリームのトップに表示されるのでたいへん目立つ。YouTubeによれば、公開以後すでに10万以上のチャンネルがSuper Chatを利用しており、なんと毎分400ドル(4.4万円)もの収入を生んでいるという。

これに対してSuper StickersはTwitchでいえばCheermotesに似ており、チャット内に有料でスタンプないしステッカー(GIFアニメの場合もある)を投稿する仕組みだ。

YouTubeのSuper Stickersのルック&フィールはもちろんTwitchとはまったく異なる。TwitchのGemやカスタマイズされたCheermotesよりも一般のソーシャルメディアのメッセージで用いられるスタンプに近い。YouTubeでは「Super Stickersはゲームだけでなく、ファッション、美容、スポーツ、音楽、料理など広いカテゴリーで有効だ」と述べている。

ローンチ時点で8種類のSuper Stickersが利用可能だ。5種類はアニメ化されている。「Hi, Popo」はカバ(ヒポポタマス)をキャラクターにしている。「Baby Lemon」はレモン、「Energetic Lemon」は元気のいいレモン、「Bushiba」は日の丸の鉢巻でサムライの格好をした柴犬、それに「Biggest Fans」(大ファン)などがある。

これらのSuper Stickersは、英語、日本語のほかにフランス語、韓国語、ポルトガル語のキャプションがつく。Super Chatを利用している60カ国のクエリーターは即日利用可能だ。YouTubeによれば、Super Stickersの価格は99セントから50ドルまでだという。

YouTubeがSuper Stickerの登場を予告したのはこの7月のVidConイベントで、「新しいステッカーが2019年中に利用できるようになる」としていた。その後Super Stickerは一部でベータテストが開始されたものの、世界で広く利用できるようになったのは今日が初めてだ。

Super StickersはこのところYouTubeが力を入れている収入のチャンスを増やしてクリエーターを支援する仕組みの一環だ。同社は2018年以降、チャンネル登録、商品販売、プレミアプランなどを導入していいる。

YouTubeのこうした努力にはTwitchの影響が強く感じられる。Super Chat、Super StickersがTwitchの機能によく似ていることのほかにも、ゲーム・カテゴリー、YouTube Gamingに導入されたスポンサーシップはTwitchのライブビデオ視聴の有料メンバーシップモデルにそっくりだった。

YouTubeではTeespring、Crowdmade、DFTBA、Fanjoy、Represent、Rooster Teethなどのパートナーと提携し、チャンネルの動画の下部に商品購入棚を用意した。最近ではMerchbarと提携し、アーティストが物販からも収入を得られるようにしている。またこれ以外にも広い層ののクリエーターを支援するプログラムが実行されている。

YouTubeではこれらのプロジェクトがどれほどの効果を上げているのか具体的な数字は示していないが、今年始めに「Super Chatなどのプログラムを導入した数千のチャンネルが収入を2倍以上に増加させた」としている。

Super Stickersは本日、全種類が公開されたが実際にライブチャット中で利用できるようになるには数日かかる場合もあるという。プロセスは今週中に完了するとYouTubeは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アーティストがビデオ配信と同時にグッズ販売可能に、YouTubeとMerchbarと協業

YouTubeがMerchbar(マーチバー)をパートナーして新しい機能を組み込み、世界中のファンにアーティストが配信する映像と一緒にグッズを販売できるようになる。これで映像の作者は、広告収入やサブスクリプション(会費)以外にも収益源を持てることになる。

昨年YouTubeは、作者が売上を得るための一連の機能強化を発表した。それらは、チャンネルメンバーシップ(有料会員制チャンネル)やプレミア公開、マーチャンダイズ(物販、YouTube Merchandise Store、略称Merch)などだ。

特に目立つのがマーチャンダイズ機能で、それにより作者は映像配信画面に下に商品棚を置いてファンに直接売ることができる。例えば、自分のブランドのシャツや帽子などがある人は、それらを売れるのだ。

YouTubeもまずシャツに目をつけて、オリジナルTシャツのメーカーであるTeespringをパートナーした。パートナーは今年になってさらに増えCrowdmadeDFTBAFanjoyRepresentRooster Teethなどが加わった。

そのときYouTubeは、Merch(物販)やスーパーチャット(プレミア公開、投げ銭機能のあるチャット)、チャンネルメンバーシップなどの機能を組み込んで何千ものチャンネルが売上を倍増した、と発表した。

youtube merchbar

今回のMerchbarとのパートナーシップは、主にアーティストのコミュニティが対象だ。Merchbarには今、3万5000名のアーティストからの100万件あまりのアイテムがあり、音楽と物販を組み合わせるサービスとしては世界最大だ。Official Artist Channel(公式アーティストチャンネル)のあるYouTubeアーティストは、自分の音楽ビデオの画面の下で商品を宣伝できる。マーケティングの機会に目ざといミュージシャンのMarshmello(マシュメロ)は、早くもMerchbarとYouTube専用のサッカーユニフォームを作った。

この前の物販機能と同じく、Merchbarの商品棚も映像の下に表示される。ユーザーはそこからクリックしてアーティスト自身のMerchbarサイトへ行くこともできる。売れたら、例によってYouTubeが小額の手数料を取る。MerchbarとYouTubeとの契約内容は公表されていない。

今回のローンチのタイミングは、GoogleがYouTube Musicに力を入れ始めた時期と一致する。同時期にライバルのSpotifyやApple Musicは音楽とビデオの両方を提供し、ライブやリミックスの中にはよそで聴けないものもある。最近GoogleがYouTube MusicをAndroidのデフォルトの音楽アプリにしたのも、その注力の一環だ。

米国内に品物を配送できるMerchbarのストアのあるアーチストは、YouTube Studioからその商品棚を登録しセットアップできる。米国以外の国にも、徐々に展開していく予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookでニュースを読む人は多いが内容を信用する人は少ない

画像クレジット:Jon SCC BY 2.0ライセンスによるFlickr

Facebookは、今月にも「ニュースタブ」を導入する準備を整えている。人手によってキュレーションしたニュースストーリーを表示するもの。友達だちがシェアした記事、有料のプロモーション、アルゴリズムによって選ばれた記事が表示されるニュースフィードを補うものとなる。しかし、ソーシャルメディアが、今日のニュースのプラットフォームとして、どのように見られているかを示す分の悪いレポートが登場した。

ソーシャルメディアごとのニュース消費量(Pew調べ)

Pew Research Center(ピューリサーチセンター)の調査によれば、この7月の調査の対象となった米国の成人の半数以上(約52%)は、すでにFacebookでニュースを読んでいるという。その結果、Facebookが、ソーシャルメディアの中でもっとも人気のあるニュースソースとなっている。ちなみに、2位はYouTubeで28%、3位はTwitterの17%となっている。Instagram、LinkedIn、Reddit、Snapchat、といった他のさまざまなプラットフォームも、数字は小さいながら、それなりの存在感を示している。

全体として、調査対象となった人の88%は、ソーシャルメディアがユーザーに見せるニュースは「少なくとも多少は統制」されていると考えていた。

しかし、そうした統制についての感情はさほど極端なものではない。

回答者の過半数(62%)は、ソーシャルメディア各社が、それぞれのプラットフォームに表示するニュースの選択について「統制し過ぎ」だと考えている。そして、55%の人は、その結果ニュースの取り合わせが偏っていると思う、と答えている。全体の53%は、一方的な視点で書かれたニュースの存在に気付き、51%は、不正確なニュースはソーシャルメディアの「非常に大きな問題」だと捉えている。

このような調査結果は不安をかきたてる。Facebookなどのメディアは、すでにニュースの配信に関しても、大きな力を握っていることを明確に示している。それと同時に、そうしたことが好ましくない影響を及ぼすと、すでに多くの人が判断していることも示している。

そうした不穏な話に続いて、ソーシャルメディアのプラットフォームが、悪意によってどの程度操作されているのか、ということも、今回の調査結果には含まれている。政治団体や政府が、身分を隠し、ソーシャルメディア上で人心を惑わすような話をばらまいているという話は、数年前から今日に至るまで囁かれてきた。しかし、いくらプラットフォーム側が、そうしたアカウントを特定して削除しようとしたところで、むしろおおっぴらな悪用は増え続けているのだ。

つい先月には、有料チャンネル(つまり広告)でストーリーを掲示する人は、自分の政治的な意図に合わせてニュースの見出しを書き換えられることが明らかになった。大多数の人に、ニュースの論調を偏向させて見せるためだ。多くの人は、友だちの子供の最新の写真をチェックしたりするためにスクロールする際、ストーリーをクリックして中身を読むことなく、表示されている要約を読んでいるだけなのだ。

そして、それは消費者にとってのみ悪いことなのではない。ニュースの発行元は、自分たちのストーリーをソーシャルメディアがシェアし、収益化可能なトラフィックに変換することで得ている収入の分け前を受け取っていないことを、長い間嘆いてきた。そして規制が強化されることで、こうした状況もじきに変わるだろうと考える人もいた。ところが、今週のWSJのレポートは、それもすぐには変わりそうもないことを示唆していた。Facebookは、人手でキュレーションされる新たなニュースタブでシェアされる記事についても、ごく一部の発行元にしか使用料を支払うつもりがないというのだ。

さらに興味をそそる詳細まで掘り下げてみると、共和党支持者は民主党支持者に比べて、ソーシャルメディアがニュースに及ぼす影響を問題視していることを、Pewは突き止めた。右寄りの人の75%が、ソーシャルメディアはニュースを統制しすぎだと考えているのに対し、左寄りの人は53%だけが、そう感じている。皮肉なことに、ソーシャルメディアが自分の考えを反映したものになっているか、という質問になると、これらの数字は逆転する。

またPewは、ソーシャルメディアでニュースを読む人の48%が、ニュースは「リベラル、または、かなりリベラル」と信じていることも示している。これは、共和党支持者は民主党支持者よりも、ソーシャルメディアがニュースを統制し過ぎていると考えていることと符合する。逆に、ニュースが保守的、または、かなり保守的だと信じている人は14%だった。これは、右寄りの人が、メディアはあまりにもリベラルだと感じていることを裏付けているのかもしれない。そして彼らは、彼ら自身の政治的信条にそぐわないニュースを見せられていると感じているのだろう。

また今回の調査は、Facebookから支払いを受けているのはごく一部のニュース発行元だけ、という最近の報告に沿った結果も示している。回答者の82%は、すべてのニュースソースが、現状ではFacebookから対等に扱われていないのではないかと感じている。つまり、一部のニュースソースが他よりも目立つような扱いを受けているということ。ほぼ88%の人は、「注目度の高い」、言い換えれば「クリックベイト」と呼ばれるような記事を発行している会社の記事が、フィードに表示されやすいと信じているのだ。そして84%が、ソーシャルメディア内でのフォローという行為が重要な役割を演じていると考えている。79%は、ストーリーの政治的傾向が、自分のフィードに表示される頻度に影響していると信じている。

男性と女性の読者の差異については、このレポートの調査結果も驚くに値しない。最近の他のソーシャルメディアに関する調査と似たりよったりとなっている。たとえば、Redditのようなメディアは、かなり男性の読者に偏っているが、Facebookでは逆に女性が多い。

最後に、このレポートは主にニュースの偏りと、それに対する感じ方についてのものだが、ここに登場しているプラットフォームの種類と、それぞれの傾向に注目して見てみるのも興味深い。たとえばTikTokは、ソーシャルメディアの世界では、やがて支配的な力を持つようになると多くの人が考えているものの、ニュースを読むためのプラットフォームだと考えている人は、1%にも満たない。一方Snapchatも、ニュース配信となると、たった6%でしかない。

これらのプラットフォームには、若いユーザーが多いことを考えると、これは、若い人たちが、ソーシャルメディアをニュースを読むためには使っていないことを示していると考えられる。さらに言えば、そもそもニュースには興味がないということなのだろう。ソーシャルメディアのプラットフォームは、今のところニュースの世界ではのけ者と位置付けられているのかもしれない。しかし、そうと決めつける必要はない。会話の種類を変えることもできるはずだ。そうして、これまでは会話に加わってこなかったような人を、引き込むこともできるだろう。

この調査は、Pewが、7月8日から7月21日にかけて、American Trendsのリサーチパネルに属する回答者5107人に対して実施したもの。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

インスタビデオの活用を推進する「@creators」アカウントが登場

米国時間9月30日、Instagram(インスタグラム)は、YouTubeに代わる有望なプラットフォームを見つけたい個人のクリエイター向けに新しいツールを公開した。「@creators」という専用のアカウントがそのツールで、インスタグラムでもっと活躍したい人々のためのヒントとコツが提示される。

インスタグラムはこのアカウントにFAQのストーリーを投稿し、ピン固定している。またインスタグラムを活用している実在のクリエイターからの証言もある。そして、どのように認証を受けるかという疑問に回答している。これは一部の人々からほんとうによく尋ねられる質問なのだろう。

@creatorsの投稿には有用なヒントが含まれている。例えばインスタグラム利用者の60%は音を出してストーリーを見ているという。このアカウントがビデオ制作のヒントやツールを積極的に提供しようとしていることは明らかだ。ビデオはインスタグラム上で成長している分野であり、不満を持っているYouTuberや若年層のクリエイターの新たな活動の場にする方策と考えれば、当然と言える。

ビデオの活用はインスタグラムにとって大きな可能性を秘めている。@creatorsのアカウントは、プラットフォームを求めるクリエイターたちへのアプローチのほんの一部ではあるが、いい取り組みだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

YouTube TVがアマゾンのFire TVデバイスに対応

2019年4月、Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)は、競争を抑止し消費者を無視した長年にわたる争いの末に、それぞれのストリーミングビデオアプリをお互いのプラットフォームに対応させることで合意に達した。まずFire TVデバイス向けのYouTube公式アプリが登場し、プライム・ビデオがChromecastとAndroid TVで見られるようになった。そして米国時間9月30日、AmazonはYouTube TVがFire TV対応テレビを含むFire TVデバイスに対応したと発表した。

Amazonはブログで、Fire TV Stick(第2世代)、Fire TV Stick 4K、新しいFire TV Cube、さらにFire TVに対応した東芝、Insignia、Element、Westinghouseのスマートテレビ向けのYouTube TV公式アプリを公開すると発表した。Fire TV Cube(第1世代)、Fire TV(第2世代)、Fire TV(第3世代、ペンダントデザイン)など、一部の旧世代のFire TVデバイスにも対応する。

YouTube TV公式アプリは、第1世代のFire TVやFire TV Stickでは動作しない。

YouTube TVはGoogleのライブTVストリーミングサービスで、Sling TV、Hulu Live TV、PlayStation Vue、DirecTV Now(8月に「AT&T TV NOW」と名称変更)などと競合している。ディスカバリーチャンネル、TNT、CNN、ESPN、FXやオンデマンドの番組など70以上のチャンネルがあり、無制限でクラウドDVR(デジタルビデオレコーダー)に録画もできる。今年はMLBの試合の一部も独占放送された。

AmazonとGoogleは長年にわたって争いを続け、エンドユーザーに不便を強いてきた。AmazonのショッピングサイトではGoogleのハードウェアがほとんど排除されていた。2017年にはAmazonがGoogleに許可を得ずにEcho ShowにYouTubeプレーヤーを実装したことでも争いになった。YouTubeはAmazonからのアクセスを拒否し、AmazonはEchoのユーザーにYouTubeのホームページを送信することでこの問題を回避した。

両社が争えば、消費者は不利益を被る。そしてAmazonとGoogleのような企業の場合、顧客層が重なっている。Chromecastのユーザーはプライム・ビデオを見たいし、AmazonからGoogle製品を購入したい。Fire TVのユーザーはYouTubeを見たい。

こうした成り行きから、米国では中立的なRokuが最も人気のストリーミングプラットフォームになった。

AmazonとGoogleは合意に達した時点で、将来的にはYouTube KidsなどのYouTubeのサービスがFire TVで利用できるようになると述べていた。今回の対応で、Fire TVで利用できないYouTubeのビデオアプリは、YouTube Kidsだけになった。YouTubeはすでにAmazonのハードウェアで利用でき、YouTube TVも米国時間9月30日から公開が開始されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

YouTubeクリエーターの視聴者を増やすJellysmackのツール

Jellysmack(ジェリースマック)は当初、FacebookやBeauty Studio、Oh My Goal、Gamology、Riddle Me Thisなどのソーシャルプラットフォームで人気ブランドを持つソーシャルメディア企業としてスタートした。同社は現在、 「クリエーターズプログラム」という別の製品で事業を拡大している。

このスタートアップは人気YouTubeクリエーターと提携し、FacebookやSnapchatをはじめとする他のソーシャルメディアプラットフォーム上で、視聴者を増やすことになる。これにより、YouTubeクリエーターは別のプラットフォームで新たな視聴者を獲得し、YouTubeのアルゴリズムへの依存を減らすことができる。

Jellysmackは自社のメディアブランド向けに、人気コンテンツを検出し、コンテンツ自体を最適化し、ソーシャルプラットフォームでの配信を改善する、いくつかのツールを開発してきた。同社は現在、米国にて月間8800万人のユニークビューアーを集めている。

「私たちは自分たちのコンテンツだけでなく、このツールを他の多くのクリエーターと再利用できることに気付いた」と、Jellysmackの共同創業者でCEOのMichael Philippe(マイケル・フィリップ)氏は語っている。

Jellysmackはすでに、これらのツールから利益得られうる多くのYouTubeクリエーターを特定している。また、Reaction Time、Infinite、Karina Garcia、How Ridiculousなどとも提携を進めている。

JellysmackはYouTubeの全動画から、FacebookとSnapchat向けに動画を共有する。例えばYouTubeの10分の動画は、Facebookならの3分の動画になる。

JellysmackはA/Bテストと有料プロモーションを利用して複数のサムネイルと動画タイトルをテストする。そして多くのエンゲージメントを生み出す名前とサムネイルを特定し、動画を公開する。

同社はその資金の一部を投資して、FacebookページやSnapchatアカウントの視聴者を増やすために、有償での買収を利用する。「我々は適切な視聴者を見つける独自の買収ツールを開発した」と伝えている。

これらはすべて、Jellysmackのツールにより追跡できる。それぞれの動画にはタグが付けられ、リテンション(顧客維持)や収益化などに基づいたスコアが与えられる。

Jellysmackと提携前のReaction Timesには8万人のFacebookでのファンがいたが、現在Facebookには300万人のファンがおり、月間1億ビューを生み出している。

今日の新しいプログラムを発表した後も、Jellysmackは自社ブランドを維持するとしている。これは同社にとって新しい賭けであり、また将来的な新事業展開も計画している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

「YouTubeの作者確認プロセスの改良は失敗」とCEOが認める

ビデオの作者確認のやり方を変えると発表したYouTubeは、それから24時間も経たないうちに、CEOのSusan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏が失敗を認めた。

ウォシッキー氏は「作者とユーザーのみなさま、新しい確認方法でご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。改善するつもりでしたが、うまくいきませんでした。今、みなさまのご心配にお応えして対応を図っておりますから、もうしばらくお待ちください」とツイートした:。

変更の目的は、作者の確認作業がYouTubeからの承認ではないことを明らかにし、単純に作者の本人性(本名など)を告げることだった。YouTubeがヘイトスピーチや間違った情報の拡散を手助けしていると批判されるようになってからは、この区別がますます重要になっていた。それは当時からYouTubeが、このサービスはオープンなプラットホームだと自分を弁護していたからだ。

そこでYouTubeは今後、単純にチャンネル登録者が10万件以上のアカウントに確認のリクエストを認めるのでなく、有名人や有名企業、知名度の高い作者などにフォーカスすることになった。

この新しいポリシーにより、チャンネル登録者が数百万人もいる利用者も含め、多くのYouTube作者が確認ステータスを失うと通知された。当然彼らは、その不幸を広く喧伝した。それは、人気のユーチューバーであるPewDiePieが確認マークを失ったという誤報まで生み出した。

YouTubeが作者確認のやり方を今後どう修正するのか、それはまだわからないし、作者が満足するかも分からない。今のところはYouTubeトップの謝罪があっただけだ。

関連記事: YouTube’s Neal Mohan is coming to Disrupt SF(YouTubeのプロダクト最高責任者ニール・モーハンがDisrupt SFに来る、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeがユーザーのコメント履歴を見せるプロフィールカードをテスト中

YouTubeでコメントをよく書く人たちが、これからは自分のチャンネルの人気やトロル(ネット荒らし)の傾向を公開できるようになる。YouTubeは今、そのための機能「プロフィールカード」をテストしている。YouTubeはアップデートや変更をCreator Insiderチャンネルでクリエイターのコミュニティと共有しているが、この機能もそこで発表された。プロフィールカードはコメンター(コメントを書いた人)の名前をクリックすると出現し、その人の最近のコメントのリストを見られる。

これまでは、コメンターの名前をクリックするとYouTube上のその人のチャンネルのページへ連れて行かれた。

でもそれでは、そのコメントを書いた人の人物についてあまり知ることができない。また、そんな情報はあまり公開されない。コメンターのチャンネルのページは、内容が何もなかったり、古かったり、今現在の話題と無関係だったりすることが多い。

でもプロフィールカードの上では、そのコメンターの過去12カ月の、そのチャンネル(読者がコメンターの名前をクリックしたチャンネル)上に残したコメントをすべて見ることができる。ただし今のところは、他のチャンネルに残したコメントは表示されない。つまりRedditのようなメッセージボードにある、各ユーザーのコメントの完全な履歴が見られる完全なユーザープロフィールではない。

先週出た発表声明で、YouTubeのプロダクト管理担当Tom Leung(トム・レオン)氏がこう言っている。「このコメントを、どんな人が書いたのかはわかるね。YouTube上で人と人の結びつきを強めることができるし、またクリエイターは優れたコメントを見て、どんな人が書いたのかわかるようになる」。

youtube profile cards

この発表声明には書いてないけど、優れたコメントだけでなくトロルや駄文や炎上ネタの多い悪質なコメンターについても知ることができる。

各人のコメントの履歴が見られるようになると、クリエイターやモデレーターは、そのユーザーからのコメントを自動的に隠したり、逆に自動的に承認したりできるようになる。個々のコメントに毎回いちいち対応しなくてもいい。

これまでコメンターの名前をクリックするとその人のYouTubeチャンネルに飛んだが、今度のプロフィールカードではチャンネルのリンクはあるけど、そこへ飛ぶことはない。テストが今、どれくらいの規模で行われているのかわからないが、発表への反応を見るかぎり、コミュニティの評判はいいようだ。

YouTubeは今、これ以外にもいろんな実験を行っている。例えば、ビデオのクリエイターが個人化されたメッセージを表示して、サブスクライバーを勧誘するなんてのがある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTube Musicが有料広告によるチャートの操作に対抗措置

米国時間9月13日、YouTubeは有料の再生と広告がYouTube Musicのチャートに影響を与えないようにすると発表した。チャートのランキングはオーガニック再生の回数のみをカウントする方法に変更される。また、公開後24時間の再生回数ランキングも、ビデオへの直リンク、検索結果、「次の動画」、「急上昇」といったオーガニックソースからの視聴のみをカウントし、ビデオ広告はカウントしない。

音楽レーベルが所属アーティストの新曲を宣伝するためにビデオ広告に費用を積極的につぎ込んでいるケースが複数報告されて、今回の変更に至った。

ローリング・ストーンは、YouTubeのTrueView広告について仕組みを詳しくレポートしている。アーティストやレーベルなどの広告主は、ほかのビデオの前に広告としてミュージックビデオのショートバージョンを再生させる。YouTubeユーザーがビデオを操作した、またはある秒数以上再生したといった条件を満たすと、ビデオの視聴回数としてカウントされる。

ブルームバーグもインドのラッパー、Badshah(バードシャー)の気になる事例を報じた。バードシャーのビデオ「Paagal」は1日に7500万回再生され、韓国のボーイズグループであるBTS(防弾少年団)のそれまでの記録を破った。当初は、バードシャーの所属レーベルであるソニーミュージックがサーバファームとbotを使ってこの記録を達成したとの噂が立ち、後にバードシャーがInstagramでこれは有料広告だったと告白した。

しかしこれは特殊な例ではなく、テイラー・スウィフトやブラックピンクなど多くのアーティストが同じことをしてきたと記事には書かれている。バードシャーはそれを一歩進めただけだという。

この記事には、これを受けてYouTubeはシステムの変更を検討しているとも書かれていた。そして今回、同社は正式に変更を発表した。

YouTubeはブログで次のように説明している。「YouTube Musicのチャートは音楽業界に不可欠な情報源であり、世界最大の音楽プラットフォームで聴かれている音楽の人気を最も正確に測定する場所になっている。業界の透明性を高め、ビルボードやニールセンといったオフィシャルなチャート調査企業のポリシーと合わせるために、YouTube Musicのチャートを集計する際にYouTubeの有料広告の再生回数をカウントしないことにした。今後のランキングはオーガニック再生の回数に基づくものになる」。

公開後24時間の再生回数ランキングも、各国とグローバルの「急上昇」や人気ランキングなどのYouTube Musicのチャートも、すべてこの方針になる。

広告や非オーガニック再生はYouTube Musicのチャートにはカウントされなくなるものの、YouTubeはこれまでの公開後24時間記録は変更しないとしている。つまりアーティストやレーベルは、広告をからめて達成したこれまでの「記録」を主張し続けてもいい。

今回の変更で音楽ビデオ広告がなくなるわけではないだろう。広告は依然として、ユーザーに新しい音楽を知ってもらうための有効な手段だ。例えば、リンクをクリックさせたり、共有したり、ウェブのどこかに埋め込んだりして、オーガニック再生を増やすことができる。しかし有料で再生させるビジネスや広告費の規模にはマイナスの影響があるかもしれない。

YouTubeは「我々には、すべての人に発言の場を提供し世界に発信するという大きな使命がある。これを踏まえて我々は、アーティストが世界中のファンによってYouTubeで達成したすべての成果を称える。YouTubeが世界中で聴かれている音楽の傾向を最も正確に測定できる最高の場になったのは、アーティストとファンのおかげだ。我々はこれからもそうあり続ける」と述べている。

画像:GettyImages

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(翻訳:Kaori Koyama)

グーグルとFTCの和解で示された子供のプライバシーの価値はわずか181億円

FTC(Federal Trade Commission、連邦取引委員会)は、ネット上での子供のプライバシーの問題に金で片を付けた。金額はたった1億7000万ドル(約181億7000万円)だ。

この金額は、FTCとニューヨーク州検事総長による、YouTubeへの捜査を終了させるための和解金として、Google(グーグル)が支払うことになる。YouTubeは、保護者の同意なしに、子供の個人情報を収集していた疑いが持たれていた。

YouTubeは子供とその個人情報をオンラインで扱う方法に関して、長い間問題をかかえていた。この少額による和解は、FTCとニューヨーク州検事総長が、YouTubeはCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act、児童オンラインプライバシー保護法)に違反していると告発したことの結果としてもたらされたもの。

今回の和解では、GoogleとYouTubeはFTCに1億3600万ドル(約145億3840万円)、ニューヨーク州に3400万ドル(約36億3460万円)を支払うことになった。FTCによれば、この金額は、COPPAが適用された事件としては、FTCがこれまでに受け取った最大の金額だという。Googleは、この程度の金額は、1日もかからずに回収することができる。実のところ、FTCは、YouTubeが子供向けの広告から、どれだけの金額を稼いでいるかを明らかにした民主党のコミッショナーによる反対意見の一部を修正したのだ。

言うまでもないことだが、規制当局による告発を支えていた支持者は、これで満足するはずはない。

「私たちの働きかけによって、YouTubeの長年にわたるCOPPA違反に、FTCがようやく対処せざるを得なくなり、この世界一の子供向けサイトにおいて、子供をターゲットにした行動広告が大幅に少なくなるであろうことを嬉しく思っています」と、CCFC(Campain for a Comercial-Free Childhood=子供に広告を見せないキャンペーン)の事務局長、ジョシュ・ゴーリン(Josh Golin)氏は述べている。「しかしFTCが、もっと実質的な変更を要求していないことや、長年にわたる違法なデータ収集によって子供たちを傷つけた責任を、もっとGoogleに負わせようとしないことには、非常にがっかりしました。不適切なコンテンツから、おすすめ機能、過大なスクリーンタイムに至るまで、保護者のありとあらゆる懸念は、すべて元を正せば、データを活用して視聴時間と広告収入を最大化しようとする、Googleのビジネスモデルによるものなのです」。

この和解により、CCFCをはじめ、その他の支持団体がきっかけとなって開始された1年間の調査が終了する。

FTCとニューヨーク州検事総長からの申し立ては、GoogleがYouTubeの子供向けチャンネルの視聴者のCookieを利用して、インターネット上で視聴者を追跡していたことを問題にするもの。あらかじめ保護者の許可も得ていなかった。

COPPAのルールでは、子供を対象とするウェブサイトやオンラインサービスは、データ収集に関する慣行を公表し、13歳未満の子供に関する情報を吸い上げる前には、保護者、または後見人の同意を得る必要がある。これにはCookieの利用も含まれる。サードパーティのネットワークも、13歳未満の子供の個人情報を扱っていることが分かっている場合には、COPPAのルールを順守しなければならない。

「YouTubeは、子供たちからの人気の高さを、見込まれる顧客に高値で売り渡したのです」と、FTCのジョー・シモンズ(Joe Simons)会長は声明で述べている。「しかし、COPPAのルールへの準拠という点に関して言うと、YouTubeが提供するサービスの一部について、明らかに子供向けなのに、同社はそれを認めることを拒否しました。それでも、YouTubeが法律に違反していることの言い訳にはなりません」。

YouTubeは、広告主とのやり取りの中で、ユーザーが13歳未満ではないと主張することによって、法の適用を回避していたのだ。そのくせ、Mattel(マテル)やHasbro(ハスブロ)といった玩具メーカーには、「6〜11歳の子供にリーチする手段としては、トップのテレビ番組よりも、今ではYouTubeの方が上だ」と宣伝していた。

YouTubeとGoogleとの和解では、子供を対象とするコンテンツであることを、チャンネル所有者が指定できるようなシステムを開発し、運用することを両社に課している。それによって、YouTubeがCOPPAルールに確実に準拠できるようにするわけだ。また両社は、子供向けのコンテンツはCOPPAのルールに従う必要があることを、チャンネル所有者に伝えなければならない。

子供をターゲットにした広告を表示し、同意なしに情報を収集したとして罰金を科された企業は、GoogleとYouTubeだけというわけではない。Oath(現在はVerizon Media Groupと呼ばれ、実質的にTechCrunchのオーナー)には、同様の違反に対して、500万ドル(約5億3450万円)の和解金の支払いを余儀なくされた過去がある。最近では、Musical.ly(現在のTikTok)が、COPPA違反に対して、当時として記録的な570万ドル(約6億933万円)の罰金を科されている

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTubeのヘイトコンテンツ削除件数がQ2に大幅増

YouTubeは、白人至上主義やヘイトに満ちたコンテンツを禁止する6月のコンテンツポリシーのアップデート以降に進めてきた、プラットフォームからの有害コンテンツの排除において目覚ましい進展があったと発表した。第2四半期にビデオ10万本超を削除し、ヘイトスピーチのための1万7000件ものチャンネルを追放したとのことだ。この数は第1四半期の5倍だという。また、ヘイトスピートの削除に伴い、Q1の倍近くとなる5億ものコメントも削除した。

しかしながらYouTubeは、ヘイトを含んだコンテンツと言論の自由の間に手当たり次第に線を引こうとしている。その結果、米国の名誉毀損防止同盟(ADL)は最新のレポートで、今年6月のコンテンツポリシー変更後、反ユダヤ主義で白人至上主義のコンテンツを広めている「かなりの数」のチャンネルがオンライン上に放置されていると指摘した。

YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏はその後すぐに、YouTubeクリエイターブログでオープンプラットフォームを維持することの意義を訴え、この問題に関する同社の姿勢を弁護した。

「プラットフォームが開かれていることに関する責任は簡単なものではない。時にはこれは、本流ではなく、物議を醸し、または攻撃的なコンテンツを残すことを意味する」とウォシッキー氏は書いている。「しかし、幅広い考え方に耳を傾けることが、より強固で情報化された社会につながると確信している。たとえそうした考え方の一部に同感しなくてもだ」。

ADLがリストアップしたビデオの中には、反ユダヤ主義のもの、反LGBTQを訴えるもの、ホロコーストを否定するもの、白人至上主義コンテンツを特集したものなどがあった。ADLが取り上げたチャンネルの5つ合計で8100万回の視聴があった。

YouTubeはそれでも、この手のコンテンツをどのように扱うべきか決めかねているようだ。こうしたビデオはおそらくヘイトスピーチだと考えられれながらも、オンライン上に残ったままだ。YouTubeはまた、先週に白人至上主義を信奉するヨーロッパ拠点の極右YouTubeクリエイター2人のチャンネルを削除し、そしてすぐに復活させた。

ヘイトスピーチの削除についてだけでなく、YouTubeは今日、コンテンツのレビューで活用しているメソロジーについても語った。

YouTubeは、公開される前に禁止されたコンテンツのコピーを自動的に把握するために、頻繁にハッシュ(デジタルフィンガープリント)を活用する。これはプラットフォームが児童性的虐待の写真やテロリストをリクルートするビデオを削除する一般的なやり方だ。新しいプラクティスではなく、今日のレポートでの言及は、ヘイトに満ちたコンテンツやそれに関する問題から注意をそらすためかもしれない。

2017年、YouTubeは削除されたコンテンツと似通ったものを見つけるのに機械学習の活用を増やす、と語った。これはスパムやアダルトコンテンツとの戦いでは有効だ。いくつかの例ではヘイトスピーチを見つけるのにも役立つ。しかし機械はコンテンツを理解しないため、ニュアンスを判断するためには人間によるレビューがまだ必要だ。

スパム対策は最近では当然のことで、今回、削除対象の大半をスパムが占めた。第2四半期では、削除されたビデオの67%がスパムやスキャムだった。

また、第2四半期に削除された計900万ものビデオの87%超は自動システムにより削除された、とYouTubeは話した。スパムをとらえるシステムが同期にアップグレードされ、スパム規則違反で閉鎖されたチャンネル数は50%超増えた、ともしている。

YouTubeはまた、第2四半期に自動システムにひっかかったビデオの80%超は1度も閲覧されることなく削除された、と語った。そして、ガイドラインに反していないか、コンテンツをレビューしたり削除したりする業務を行う人がGoogle全体で1万人超にのぼることも明らかにした。

繰り返しになるが、80%超という数字は主にYouTubeがスパムやポルノを削除するための自動システムを活用したことによる。

今後、YouTubeは4月に発表したクリエイター同士のハラスメントを防ぐことを目的としたハラスメントポリシーのアップデートを間もなく発表する、としている。

加えてYouTubeはコンテンツポリシーの指標と関連するプロダクトの展開を記したタイムラインを公開した。

子供プライバシー法に違反したとしてFTC(連邦取引委員会)との和解金が2億ドルになると報道されているこの困難な時期に今回のアップデートは報告された。罰金は、こうしたヘイトスピーチに満ちたビデオを視聴するのは極端論のコンテンツをに関心があったり、議論に加わっている大人だけでなく、YouTubeから情報を得る何百万もの子供も含まれていることを思い出させるものとなっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ウェブ版YouTube Kidsが公開された

子供向けのYouTubeコンテンツ専用のウェブサイト、youtubekids.comが誕生した。このウェブサイトは、既存のYouTube Kidsモバイルアプリと同様の体験を提供する。このアプリを使うと、親が年齢にふさわしい動画に子供を誘導したり、子供の視聴履歴を追跡したり、YouTubeのフィルターが見逃したコンテンツを報告したりすることができる。ローンチ時には、サイトでのサインインオプションは提供されないが、後日公開されることが発表されている。

ウェブサイトがもうすぐ公開されることは、今週YouTubeによって控え目に発表された。またこれは、米国の子供のプライバシー法(COPPA)に対する違反に対して、Googleが所有するビデオプラットフォームに課された数億円に達する罰金を含むと言われているFTCとの和解の公式発表に先立って行われたものだ。

こうしたFTCの裁定には、先例がないわけではない。

規制当局は今年初め、Musical.ly(現在のTikTok)に過去最高の570万ドル(約6億円)の罰金を科し、アプリに年齢制限を設けさせた。

FTCのYouTube裁定も、同様の年齢制限が要求されるだろう。それは13歳未満の子供を、親の同意なしに子供の個人情報が収集されることはない、子供にとって安全なCOPPA準拠のYouTubeウェブサイトにリダイレクトするようにデザインされたものになるのだ。

今回の新しいウェブサイトは、FTCの発表に先立ち、YouTubeが最近行ったいくつかの変更の1つに過ぎない。

同社また、YouTube Kidsに、これまでの5歳から7歳向けの「小学校1〜2年生向け」、そして8歳から12歳向けの「小学校3〜6年生向け」に加えて、4歳以下の「未就学児向け」の新しい年齢グループを追加する変更を今週行った

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YouTube Kids(8〜12歳向けグループ)

そして先週、同社は子供の安全に関するポリシーを拡張し、以前のようにただ制限するだけでなく、「子供たちとその家族を対象とした動画の中で、誤解を招くおそれのあるファミリーコンテンツ、例えば性的なテーマ、暴力、猥褻、または若い視聴者にふさわしくない成熟したテーマなどを含んだもの」はすべて削除する、とした。

YouTubeはキーワードとYouTubeアルゴリズムを使用して子供をターゲットにした多くの奇妙で不穏なビデオをホストした件で、2017年に激しく非難された

例えば、子供たちが人気漫画キャラクターのペッパピッグ(Peppa Pig)の動画を探すと、ペッパピッグが漂白剤を飲んだり、歯を乱暴に引き抜かれたりする動画が見つかったりしていた。実際、この種の問題は何年もの間続いていたが、YouTubeがやっと腰を上げて、ビデオに年齢制限をかけ状況に対処したのは、報道によって大きな注目が集まってからだった。また同社は一部の動画の収益化も遮断した

しかし、消費者保護団体が主張しているように、YouTubeのより大きな問題は、YouTubeが子供にとって不適切な可能性があるだけではなく、実際に法律に違反しているということなのだ。

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YouTube Kids(4歳以下向けグループ)

Campaign for a Commercial-Free Childhood(CCFC、商業主義に無縁な子供時代を実現する運動)や、Center for Digital Democracy (CDD、デジタル民主主義センター)といった組織は、FTCにYouTubeの調査を依頼している。同社が長年にわたって2500万人近くの米国の子供たちから個人情報を収集しており、また「非常に洗練されたマーケティング手法」の中で同社がそのデータを使っていると主張しているのだ。

グループは、YouTubeはその利用規約を盾に逃げていると主張している。利用規約はサイトが13歳以上向けのものであると述べているのにもかかわらず、若いユーザーがアクセスしないようにするための策をなにも講じていないからだ(そして、より若いユーザーがYouTubeにいることは明らかだ。結局それこそがYouTubeがコンテンツのサブセットを、まず自身のYouTube Kidsアプリへと分離できた理由なのだ)。

YouTube Kidsのウェブサイトの準備は整った。あとはFTCの公式裁定を待つだけだ。

ワシントン・ポストは、その裁定の詳細が確定し、数百万ドルの罰金が含まれていると指摘している。本日のPoliticoのレポートによれば、罰金は最大2億ドル(約210億円)になる可能性があると言われている。また、ブルームバーグによれば、YouTubeは子供向け動画のターゲット広告を終了するという。

しかし、新しいウェブサイトからリンクされているYouTubeの既存のYouTube Kidsプライバシーポリシーをみる限り、それはまだ実現されていない。

また、子供向けの安全なコンテンツが実際にYouTube.comから引き出されてYouTube Kidsだけに掲載されるかどうかも、まだわからない。

なぜYouTubeが、公式YouTubeブログではなく、YouTubeのヘルプフォーラム上で、メディアに警告することなく、子供向けコンテンツポリシーの変更、Kidsウェブサイトの事前発表、年齢フィルタへの変更、そしてウェブサイトのローンチのニュースなどを発表したのかは不明だ。

とはいえ、確かにYouTubeはそのユーザーにKidsプロダクトの存在を周知しようとしている。大きなポップアップバナーがYouTube.comを開くたびに表示され、それは子供を持たないユーザーをイライラさせている(なお訳者の使っている日本語版の環境ではこのポップアップバナーは現在表示されないようだ)。

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新しいKids Webサイト自体に関しては、報告することはそれほど多くない。コンテンツはアプリ同様に、「アニメ・ドラマ」「おんがく」「はっけん」「ゲーム」などのカテゴリに整理されている。親は、自分のパスコードを設定して、子供が設定に入ることができないようにできる。ただし、プロファイル、ホワイトリスト、タイマーといった、アプリにあるより高度な機能の一部がまだ欠落している。それらはおそらく時間をかけて展開されるだろう。

「私たちは子供たちが興味と好奇心を探求できるより安全な環境を作るために、YouTube Kidsを構築しました。同時に保護者の方には子供たちの体験をカスタマイズするためのツールをご用意しています。保護者の方々や専門家の皆さまからのフィードバックに基づいて、アプリの改善を続けています」とYouTubeは述べている

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(翻訳:sako)

YouTubeのメッセージ機能終了に多くの子供が激怒

みんなYouTubeのビデオをシェアするのが大好きだ。2017年にYouTubeがアプリ内メッセージング機能を提供したのはそのためだ。YouTubeユーザーは、YouTubeモバイルアプリの専用タブの中で友達にビデオを送ったりチャットしたりできる。その機能を閉鎖すると同社Googleは発表した。9月18日以降、YouTube内で友だちにダイレクトメッセージを送る機能自体が消滅する。

この変更を最初に見つけたのは9to5Googleで、同サイトによるとYouTubeのメッセージ機能は昨年5月にウェブで最初に公開された。

YouTubeは、中止に関する発表の中で、この決定に関する詳しい事情を公表していない。

最近同社は公開対話機能に注力していると言っており、コメント、投稿、ストーリーなどを更新しており、なぜメッセージを重視しなくなったのかについては説明していない。

ありそうな理由は、もちろん機能が活用されていないからだ。多くの人々はMessengerであれ、WhatsApp、WeChat、iMessageなどであれ、それぞれお気に入りのメッセージングアプリに強く依存している。

一方Googleは、メッセージングのアプリや機能を作るのをやめる様子がない。YouTubeのメッセージ機能が公開された時点で、GoogleはAllo(終了)、Duo、Hangouts、Meet、Google Voice、Android Messages/RCSなどにも手を出していて、Gmail中のGChat(Google Talk)のユーザーをHangouts Chatに移行させるのに必死だった。

しかし、Googleの機能廃止の投稿に対する500件近い怒りのコメントを見る限り、YouTube Messagesは多くの若いユーザーに好まれていたようだ。

若い、というのは子供、という意味だ。

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コメントの多くは、YouTubeが友達とメッセージできる「唯一の場所」だと言って不満を訴えている。子供たちは携帯電話を持っていなかったり、他人に電話番号を教えてはいけないと言われたりしているからだ。

「ママと話す」ために使っていたり、ソーシャルメディアを使うことが許されていなかったから、と言っているユーザーもいた。

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どうやら、多くの子供たちはYouTubeのメッセージ機能を、親にブロックされた携帯電話の代わりに使ったり、タブレットやウェブ経由で(おそらく親に内緒で)連絡を取るために使っていたようだ。

それは今のYouTubeにとって都合が良い話ではない。現在同サービスを巡っては、子供向けの不適切なビデオ児童労働搾取、幼児虐待、規制などさまざまな問題が持ち上がっているからだ。

今年2月にYouTubeは、子供たちを幼児虐待の危機にさらしたことで非難の的になった。YouTubeのコメント機能を利用して児童虐待集団が連絡をとっていることが発覚した後、Googleは未成年が登場するビデオのコメント欄を閉鎖するはめになった。

現在FTCも、YouTubeが米国児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反しているという指摘を受けて捜査している。児童擁護団体や消費者団体はYouTubeに対して、13歳未満の子供たちをプラットフォームに誘惑し、親の許可を得ることなくデータを収集したり広告のターゲットにしていると批判している。

YouTubeメッセージを使ってチャンネルを宣伝したり、家族や友達とビデオをシェアする人もいるだろうが、主流ではなかったのは明らかだ。そうでなければ、YouTubeがやめるはずがない。

同機能にはスパム問題もあり(Google+と同様)、見知らぬ他人からの不快なリクエストが来ることがあった。

YouTubeによると、ユーザーは今でも「シェア」機能を使ってビデオを共有することは可能で、そこから他のソーシャルネットワークと繋がることができる。

Googleはフォーラム投稿に書いたこと以上のコメントはしていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTube Originalsは広告付きで9月24日以降無料化

YouTube Premiumの会員に配信された電子メールによると、YouTube Originalsのプログラムは、2019年9月24日以降、Premium会員以外にも公開される。YouTubeのオリジナルシリーズ、映画、ライブイベントなど、多くのコンテンツがすべてのYouTubeユーザーに無料で提供されるのだ。ただし広告付きで。もちろんPremiumの会員は、これまで通り広告なしで視聴できる。

Premiumに会員なると、その瞬間からシリーズのすべてのエピソードにアクセスできるようになると、YouTubeでは説明している。そしてオフラインで視聴できるようダウンロードすることも可能となる。

また、YouTube Originals番組のディレクターズカットや追加シーンなど、Premiumの有料会員のみが視聴できるコンテンツも、引き続き用意される。

YouTubeは以前に、ビデオプラットフォームの大きな戦略の転換にともない、オリジナル番組を無料で観られるようにするという計画を発表していた。Deadlineの昨年11月のレポートによると、YouTubeは、台本のあるような番組の制作計画を見直し、台本のないショーやスペシャルに注力することを目標として掲げた。すでに、台本による新たな番組の制作も停止しているという。

またそのレポートによると、YouTubeは、台本によるコンテンツで、ある程度の成功を収めることができた。例えば、Cobra Kaiなどは、当時1億回のビューとRotten Tomatoesによる100%の評価を獲得していた。しかしそれと同時に、セレブ番組でも成功していた。例えば、Katy Perry(ケイティ・ペリー)氏の「Will You Be My Witness」や、Will Smith(ウィル・スミス)のグランドキャニオンのバンジースタントなどだ。

Deadlineによれば、このあたりがYouTubeが今後追求しようとしている方向性だという。

これは偶然ではないかもしれないが、最近Varietyは、ユーチューバー向けの新しいクラウドファンディングサービスであるFundoについてレポートしている。クリエーターが、ファンを仮想のミーティングなど、有料のオンラインイベントに招待することを可能にするもの。ただし、このプロジェクトはYouTubeやGoogle自身が立ち上げたものではなく、独立して運営されている社内インキュベーターのArea 120が主導している。それでもこれは、広告や有料会員だけでなく、クリエーターにとっての新しい収入源を生み出すという、YouTubeの大きな関心を反映したものだろう。

今回のPremium会員宛のメールには、YouTube Originalsに関する変更の通知に加えて、「おすすめのダウンロード」機能がライブラリタブに追加されたことも書かれている。これは、YouTubeが固有のアルゴリズムに沿って提案するビデオをブラウズしたり、ダウンロードできるものだ。さらに、YouTube Musicの変更点も挙げている。動画とオーディオを切り替える機能や、「高く評価した曲」など、お気に入りのプレイリストやアルバムから、最大500曲を自動的にダウンロードする「スマートダウンロード」機能の導入などだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる

6月中旬にYouTubeは、YouTubeアプリ内で直接、仮想メイクを試せる新しいAR機能を計画していることを発表した。米国時間8月15日、この「Beauty Try-On」機能の初めての公式キャンペーンが始まり、視聴者はYouTubeクリエイターのRoxette Arisa(ロクセット・アリサ)のメイクチュートリアルビデオからメイクブランド、MAC Cosmetics(M·A·C)のリップを試用し、購入できるようになった。

メイクのチュートリアルはYouTubeではとても人気がある。そのため、お勧め製品を試せるように統合されたことには大いに納得がいく。リップを試せる機能は画期的なものではない。同じようなフィルタを備えた今どきのソーシャルメディアアプリはたくさんある。しかし、YouTubeのこの機能は複雑なARメイクを統合して進化している。

新しいAR機能は、モバイルデバイスで最新バージョンのYouTubeアプリを使っている場合のみ動作する。

ビデオを見ている時に「試す」ボタンが表示され、このボタンをタップするとカメラが起動して画面が分割表示される。ビデオの再生は続いているが、下部にいくつかあるリップの色をタップすると自分の顔に適用されて、どれがいちばん似合うかを探せる。InstagramやSnapchatなどのソーシャルアプリのフィルタとは異なり、リップカラーは自分の唇の形通りに適用され、はみ出さない。きわめて自然に見える。

M·A·Cは今後、YouTubeのブランドコンテンツ部門であるFameBitを通じてクリエイターとコラボしていく計画だ。このプログラムによりブランドとYouTubeのインフルエンサーがつながり、ブランドは広告費を出して製品をマーケティングしていく。

M·A·CがこのAR機能の最初のパートナーだが、他社もこれに続きそうだ。

サービス開始前にYouTubeはこのAR Beauty Try-Onをいくつかのメイクブランドとともにテストした。その結果、iOSのYouTubeアプリでは視聴者の30%がこの機能を有効にすることがわかった。

この機能を有効にした人はかなり引きつけられ、仮想リップカラーを80秒以上試していたという。

仮想メイク体験を提供する会社はGoogleが初めてではない。ソーシャルメディアアプリに加え、YouCamメイクSephoraのVirtual Artist(日本では非公開)、Ulta Beauty(日本では非公開)などのAR美容アプリがある。ロレアルも自社ウェブサイト上でライブ試用機能を提供しているし、2018年にはFacebookと連携して仮想メイクをFacebookで試せるようにした。さらにTargetのオンラインBeauty Studioでは多くのブランドのメイク製品をバーチャルで体験できる。

しかしYouTubeの実装は、単に楽しむためのコンシューマ製品ではなく、ARを利用した広告キャンペーンであるという点でほかとは異なる。

仮想メイクなんてくだらないという見方もあるかもしれないが、この市場は巨大だ。毎日、100万人以上がYouTubeでメイクのチュートリアルを見ているし、メイクブランドにとってYouTubeはReferralトラフィックの主要なアクセス元となっている。2018年にはYouTubeで美容関連のコンテンツは1690億ビューを獲得している。

YouTubeビデオはここから視聴できる。モバイルのYouTubeアプリならAR機能を利用できる。「試す」ボタンをタップしても自分の顔が表示されない場合は、おそらくYouTubeアプリをアップデートする必要がある。

画像:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

米国海軍がYouTubeクリエイターを起用の新兵募集キャンペーンを展開

合衆国海軍はYouTubeのクリエイターの力を借りて、技術系の新兵を見つけたいようだ。

海軍新兵募集司令部のCMO(Chief Marketing Officer、マーケティング最高責任者)であるMatt Boren(マット・ボレン)大佐によると、これまではテレビなどの伝統的なメディアを利用してきたが、それらではもはや、ポストミレニアルの世代(1997年以降生まれ)に到達できない。

ボーレン大佐は「今のオーディエンスは、何かを見つけたいと思ったらYouTube上の検索エンジンを使う。オーディエンスが実際にいるところへ行かなくては、何を話しても無駄だ」と語る。

そこで海軍は、専属広告代理店のVMLY&RとWavemaker、およびGoogleを起用して、科学やテクノロジー、数学などに強いYouTubeクリエイターを見つけ、彼らに海軍の技術系の仕事や仕事の環境を魅力的に紹介してもらうことにした。具体的には、Kevin Leiber(ケヴィン・レイバー)氏がハンドル名Vsauce2として原子力潜水艦に乗船して撮影、Jake Koehler(ジェイク・コーラー)氏がハンドル名Dallmydとして爆発物処理班と共同作業、そしてWilliam Osman(ウィリアム・オスマン)がサイバーセキュリティのチームと談話した。

ボレン大佐によると「クリエイターたちには彼らの好きなようにさせた。版権は海軍にあるとか、そんな上から目線の口出し手出しをまったくしていない。彼らに海軍の仕事の環境の中で時間を過ごしてもらい、そこで理解し感じたものをオーディエンスに伝えてもらいたかった」とのこと。

本日ローンチする「Sailor VS」シリーズには、わずか3名のYouTubeクリエイターが参加している。今後はインフルエンサーマーケティングキャンペーンの実験をもっとやってみたい、とボレン大佐は言う。そして、一般的なメディア消費のトレンドが完全になくなってしまうわけではないだろうと見ている。

しかしなぜYouTubeクリエイターの起用という話になってしまうのかといえば、海軍の新兵募集の規模が最近はとても大きいからだ。大佐によると、今年だけでも5万名の空きを満たさなければならない。ただし高度な技術職は、そのわずか数%にすぎないが。

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画像クレジット: YouTube

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeへの不満を受け米連邦取引委員会は子どものプライバシー法改訂を検討

米連邦取引委員会(FTC)は、COPPA法(Children’s Online Privacy Protection Act)として知られる、インターネットでの子どものプライバシーを守る法律の強化を検討している。この法律は2000年に施行されたが、子どもたちのモバイルデバイスやソーシャルネットワーキング・サイトの使い方の変化に対応して2013年に修正されている。そして今、FTCは、さらなる修正が必要なときが来たと感じている。FTCでは、数々の修正案に対する意見を求めているが、なかでも重視されているのが、子ども向けと明確に指定されていないながら、多くの子どもたちが利用しているサイトの問題だ。

言ってしまえば、YouTubeのようなサイトだ。

このFTCの発表は、アメリカの消費者擁護団体とエド・マーキー(Ed Markey)上院議員(民主党マサチューセッツ州選出)が、COPPA法違反の疑いでYouTubeを捜査するよう規制当局に求めた抗議書簡をFTCに送付して、わずか数週間後に行われた。

擁護団体は、YouTubeが「本サービスは13歳未満の子供による利用を意図していません」との利用規約の陰に隠れていると主張している。この一文は、明らかに破られている。現在、YouTubeは子ども向けに作られた動画で満ちている。Googleでさえ、就学前児童から小学校高学年の子どもをターゲットにしたYouTube Kidsアプリを提供している。これはあくまで自由選択だ。子どもたちはYouTubeを無制限に閲覧でき、YouTube TVアプリから見ることも可能だ。このプラットフォームでは、YouTube Kidsの制約は限定される。

Campaign for a Commercial-Free Childhood(コマーシャルのない子ども時代のための運動:CCFC)とCenter for Digital Democracy(デジタル民主主義センター:CDD)が記した書簡によれば、Googleは2500万人近くのアメリカの子どもたちの個人情報を収集し、そのデータを「非常に高度なデジタルマーケティング技術」のために利用しているという。

これらの団体はYouTubeに対して、子どものデータを削除し、サイトに年齢制限を定め、すべての子ども向けコンテンツを専用アプリに集めて分離し、COPPA法のガイドラインに従うよう求めている。

こうした要求が、今回のFTCの行動を促した。

FTCは、ウェブサイトや、もともと子ども向けではないが子どもが利用しているオンラインサービスに対処するためにCOPPA法を更新すべきか、また「一般向けのプラットフォーム」は第三者が公開する子ども向けコンテンツを特定し監視するべきかについて意見を求めている。

言い換えれば、FTCは、YouTubeを使う子どもたちのプライバシーの保護のためにCOPPA法を修正すべきかどうかだ。

「インターネット上の子ども市場に影響を与える技術の急速な変化に照らして、COPPA法がそのままで有効であるかを確認する必要があります」と、FTC委員長のジョー・シモンズ(Joe Simons)氏は、声明文の中で述べている。さらに、「私たちには、COPPA法の強力な執行、さらにより高いレベルでのCOPPAの準拠を促すための、業界への周知、COPPAビジネスホットライン作りに真剣に取り組んでいます。しかし、私たちは常にルールに立ち返り、必要があれば、見直すことが重要です」と彼は付け加えている。

YouTubeは主要な対象だが、FTCは、学校でデジタル技術を利用する際には保護者の同意がなくてもよいかどうかについても意見を求めている。また、インタラクティブTV(たとえばNetflixの「マインクラフト:ストーリーモード」のような)インタラクティブ・メディアやインタラクティブ・ゲームとCOPPAの関連についても詳しく知りたいと考えている。

さらに広い観点から、FTCは子ども向けのサイトやサービスの有用性に対するCOPPAの影響についても知りたいとのことだ。

COPPAの見直し開始は、FTCの5名の委員による無記名の決定により判断された。このうち3名は共和党員、2名が民主党員だ。

シモンズ氏が率いるFTCは、2月にMusical.ly(現TikTok)に対して行動に出た。COPPA法違反による570万ドル(約6億1500万円)という記録的な罰金を科したのだ。YouTubeと同様、このアプリは、13歳未満の子どもたちが保護者の同意なくして利用していた。同社はその事実を把握していたが、そのまま子どもたちの個人情報の収集を続けていた。

「この記録的な制裁は、子どもをターゲットとするすべてのオンラインサービスとウェブサイトへの警告となるでしょう。私たちは全力でCOPPA法の執行に取り組んでいます。この法律を無視するような悪質な企業は容赦しません」とシモンズ氏は同時に述べていた。

TikTokとは、子どもの動画とデータを削除し、未成年のユーザーの動画撮影を制限することで和解が成立した。

FTCが、同じことをYouTubeに要求できないのはなぜか。この2つのサービスの問題は同じであるにも関わらず、なぜ法律の修正が必要なのか。

「それは現行の法律下でも間違いなく可能であり、YouTubeには罰金を科して、大幅な改善を強制する必要があります」とCCFCの事務局長ジョシュ・ゴーリン(Josh Golin)氏は言う。「YouTubeに関しては、これは今のところFTC史上、最重要のCOPPA法違反ケースなのですが、現行法ではYouTubeに責任を負わせられる権限がFTCにはないような信号を発しているところが非常に心配です」と彼は話していた。

「COPPA法は修正によって強化できるでしょうが、最大の問題は、法律の執行力がFTCに欠けていることです。しかしこれは今すぐ対処できる問題です。長々と能書を垂れている場合ではありません」とゴーリン氏は加えた。

FTCは、2019年10月7日にCOPPA法を考える市民勉強会を開催するとのことだ。

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(翻訳:金井哲夫)