WeWorkがSPACとの合併を通じて上場を検討中、WSJが報道

WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)の新しい報道によると、2019年秋に株式公開の目論見が華々しく吹き飛んだ巨大コワーキング企業のWeWork(ウィーワーク)は、あるブランクチェックカンパニー(SPAC)と合併して株式公開企業になる可能性があるという。

WSJによると、具体的にはニューヨークに拠点を置くWeWorkは「Bow Capital Management LLC(ボウ・キャピタル・マネジメント)と関連があるSPAC(特別買収目的会社)と、少なくとも1つの正体不明のがわからない他の買収団体からのオファーを数週間前から検討している」ところだという。この取引では、WeWorkの評価額は約100億ドル(約1兆420億円)になる可能性があると、WSJの情報提供者は語っている。

同社の広報担当者に尋ねたところ、WSJに送ったものと同じ声明が送られてきた。「過去1年間、WeWorkは、収益性を達成するための計画を実行することに力を注ぎ続けてきました。私たちの著しい進歩は、柔軟に使えるスペースの需要増と相まって、私たちのビジネスに肯定的な兆候を示しています。私たちは目標に向かって近づくための補助となる機会を探求し続けます」。

WeWorkに近い関係者によると、同社はより多くの民間資金のインバウンド関心も検討しているという。

WeWorkの広報担当者によると、同社は8億7500万ドル(約912億円)以上の利用可能な現金を含む、36億ドル(約3750億円)以上の現金と未払いの現金支払債務を持っており、これは「長期化する新型コロナウイルス禍を乗り切るのに十分以上の流動性」であると考えているという。

WeWorkのSandeep Mathrani(サンディープ・マスラニ)CEOは2020年秋、WeWorkは同年のある時期に黒字化する軌道に乗っていると述べ、その後は「最初の利益成長」となり、「新規公開株の計画を再検討することになるだろう」と語っていた。また、同氏はニューヨークからZoomコールを介してインドの記者団に対して、WeWorkは2020年10月、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたように、従業員の約3分の1にあたる8000人を解雇した後、100%適正規模化を完了したと付け加えた。

マスラニ氏は2020年2月、WeWorkの共同創業者であるAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏が退任した後を受けてCEOに就任した。同社が上場を取り止める数カ月前のことだ。

それ以前、マスラニ氏は1年半の間、Brookfield Properties(ブルックフィールド・プロパティーズ)の小売グループのCEOと、Brookfield Propertiesの副会長を務めていた。シカゴを拠点とする同社に入社する前は、General Growth Properties(ジェネラル・グロース・プロパティーズ)のCEOを8年間務めた。同社は2018年にBrookfieldが92億5000万ドル(約9640億円)の現金で買収するまで、全米最大級のモール運営会社だった。また、マスラニ氏は上場不動産会社であるVornado Realty Trust(ボルナド・リアルティ・トラスト)で8年間、取締役副社長を務めていたこともある。

Bow Capital ManagementはTibco Software(ティブコソフトウェア)の創設者であるVivek Ranadive(ヴィヴェク・ラナディブ)氏によって運営されている。同社は2020年7月、テクノロジー、メディア、通信業界における事業買収に焦点を当てた3億5000万ドル(約365億円)のブランクチェックカンパニーの計画を登録した。

WeWorkがテック企業なのか、それとも純粋な不動産業の範疇かについては、何年も前から多くの議論が交わされてきたが、同社はずっと前者であると主張している。

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(文:Connie Loizos、翻訳:TechCrunch Japan)

独ソフトウェア大手のSAPがベルリンのビジネスプロセスオートメーションのスタートアップ「Signavio」を買収

SAPがベルリンのビジネスプロセスオートメーションのスタートアップSignavioを買収するらしいという噂は飛び交っていた。そして米国時間1月27日、SAPはこれを正式に認めた。両社は買収金額を明らかにしていないが、Bloombergは米国時間1月25日に12億ドル(約1250億円)の見込みだと報じていた。

Signavioの買収により、SAPはクラウドネイティブのビジネスプロセスマネジメントツールを手に入れる。SAPのCFOであるLuka Mucic(ルカ・ムシック)氏は、ビジネスプロセスを理解し自動化することが企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みにおける重要な部分と見ている。

同氏は発表の中で「企業が新たな可能性やビジネスモデルに対応するために、全社にわたってビジネスプロセスを設計、測定、向上、変革できるようにすることの重要性は、どんなに強調しても強調しすぎることはありません」と述べている。

何年も前からエンタープライズ向けBPAツールはあったが、クラウドネイティブのツールを持つことでSAPはこれまでよりもずっとモダンなアプローチでこの問題に対応できる。クラウドを利用したビジネスプロセスの自動化は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により多くの従業員が在宅勤務をする中で重要性を増している。

SAPは、Signavioを同社のビジネスプロセスインテリジェンスユニットに欠けていた重要なピースであるとも考えている。ムシック氏は「SAPとSignavioのビジネスプロセスインテリジェンスを組み合わせて先進的なエンド・ツー・エンドのビジネスプロセストランスフォーメーションスイートを作り、我々のお客様が競争力を獲得するための要件を満たせるように支援します」と述べた。

SAPは最近になってプロセスオートメーションに取り組んでいる。同社は2020年12月のSAP TechEdでSAP Intelligent Robotic Process Automationを発表して、RPAの分野に進出した。この発表と今回の動きは良い組み合わせになるはずだ。

Savignoの共同創業者でCEOのGero Decker(ゲロ・デッカー)博士は、SAPのリソースによってSavignoだけではできないことができるようになると考えている。博士は発表の中で「SAPの立場、カバーしている地域、資金力を考えると、SAPはプロセスインテリジェンスをあらゆる組織に導入するための最大で最高のプラットフォームです」と述べている。

リソースの増加とリーチに関する議論は買収された企業のCEOなら誰でも経験することだが、SAPほどの規模の企業に買収されるのは諸刃の剣にもなり得る。確かにリソースは莫大だが、買収された企業にとっては巨大な海の中で自分の居場所を見つけるのは簡単ではない。Savignoがうまくフィットしてスタートアップから大企業の歯車になれるかどうかが、長い目で見ればこの買収の成否を決める。

Savignoはベルリンで2009年に設立され、Crunchbaseのデータによると2億3000万ドル(約240億円)近くを調達した。Apax DigitalやSummit Partnersなどが投資している。直近では2019年7月のシリーズCで1億7700万ドル(約184億8000万円)を調達し、評価額は4億ドル(約417億6000万円)となっていた。

同社の顧客にはComcast、Bosch、Liberty Mutual、そしてSAPなどがある。SAPはおそらくこれから料金が割引になるのだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

EUで人気の「スローデート」出会いアプリOnceをDating Groupが約18.7億円で買収

5年前にリリースされた「スローデート」アプリのOnceは、業界最大手のDating Groupに現金と株式1800万ドル(約18億7000万)で買収された。Dating Groupのポートフォリオには、Dating.comなどの様々なアプリが含まれ、合わせて7300万人の登録ユーザーを抱えている。

Onceの共同創業者兼CEOであるClémentine Lalande(クレマンティーヌ・ラランド)氏は、2年間の契約の下で引き続き同社を指揮する。共同創業者であるJean Meyer(ジーン・メイヤー)氏は、2年前に退社した後も同社の株式を保持している。

Onceのプラットフォームには900万人のユーザーがおり、後にPickableと呼ばれるスピンアウトアプリを立ち上げたことでさらに100万人のユーザーを獲得している。

Onceは、マッチングアルゴリズムを使用して、各ユーザーに1日1人だけマッチを提供する出会い系アプリだ。同社は、TinderやBumbleのようなペースの速い出会い系アプリに代わるものとして宣伝している。実際、Bumbleは先週、アンケート対象者の5人に2人がパンデミックロックダウンの結果、誰かと知り合うまでに時間がかかっているという調査結果を明らかにした。そして38%のBumbleユーザーは、ロックダウンにより、より真剣な関係を求めるようになったと認めている。Onceの市場はでき上がっていたわけだ。

Onceアプリ上の各ペアは24時間、お互いに注目して、お互いに「いいね!」すればチャットを続けることができる。AIは可能な限り最高のマッチを見つけるためにアカウントの情報、デートの好みや過去の履歴を検討する。また、ユーザーは、AIに自分の好みをよりよく理解させるために、一人ひとりのプロフィールを評価することもできる。

声明でラランド氏は次のように述べている。「スワイプ時代後、それに代わる出会い系アプリ分野で実績のあるDating Groupに加わり、OnceとDating Groupの大きな相乗効果を活用できることにワクワクしています。このような集中度が高い、競争の激しい市場において、大規模なパートナーを持つことで、リーチを拡大し、地理的拡大を加速させることができます」。

Dating Groupの最高投資責任者であるBill Alena(ビル・アレナ)氏は、次のように述べている。「私たちは、AIと質の高いマッチングを実現するというコンセプトを強く信じています。Onceを当社のポートフォリオに統合することには大きな可能性があると考えています。クレマンティーヌがDating Groupに加わることを喜ばしく思います。彼女と彼女のチームは魅力的な製品を開発しており、今回の買収により、Dating Groupは西ヨーロッパ市場に深く進出することになります」。

Dating Groupは7カ国にオフィスを構え、500人以上の専門家チームを擁し、ポートフォリオ全体で7300万人以上の登録ユーザーを擁している。そのブランドには、Dating.com、DateMyAge、Dil Mil、Cherish、Tubit、AnastasiaDate、ChinaLoveなどがある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Dating GroupOnceデートアプリ買収

画像クレジット:Once

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(翻訳:Nakazato)

高校・大学eスポーツのPlayVSがGameSetaを買収してカナダ進出を加速、一般リーグも計画

高校や大学にeスポーツの組織的なリーグを提供するPlayVSは米国時間1月21日、初の買収を発表した。これまでに1億ドル(約104億円)以上を調達している同社は、バンクーバーに拠点を置くスタートアップで、同じように高校のeスポーツチームにインフラを提供することを目指しているGameSetaを買収した。買収の条件は明らかにされていない。

今回の買収により、PlayVSは成長期を加速させ、カナダ市場への進出を後押しすることになる。GameSetaは、ブリティッシュコロンビア州の学校スポーツの運営組織であるBC School Sportsと提携しており、これはPlayVSに移管されることになる。

PlayVSは、米国で全米州立高校協会(NFHS、全米大学体育協会の高校版)と同様の(そして独占的な)パートナーシップを結んでいる。また、同社は大学市場にも進出しており、PlayVSとEpic Gamesのパートナーシップの一環として大学向け商品を立ち上げている。大学向けリーグを開始して以来、プレイヤーの総数は460%増加しているという。また、高校や大学向けに90万ドル(約9300万円)の奨学金制度も新たに立ち上げた。

2018年の初めにDelane Parnell(ディレ―ン・パーネル)氏によって設立されたPlayVSは、学校のスポーツ団体やパブリッシャーとのパートナーシップを介し、急速に成長してきた。PlayVSが提供するタイトルには「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」「Rocket League(ロケットリーグ)」「SMITE」「Overwatch(オーバーウォッチ)」「Fortnite(フォートナイト)」「FIFA 21」「Madden NFL 21」などが含まれている。PlayVSは、全米50州で1万9000校以上の高校にサービスを提供してきた。また、23万人以上の登録ユーザー数を誇っている。

PlayVSは、学校がeスポーツチームを作り、他の学校と競うためのポータルとして機能している。バスケットボールや野球のような伝統的なスポーツはリーグスケジュール、プレーオフ、審判などを組織するシステム(および統治組織)が確立されている。PlayVSは、eスポーツのための組織システムであり、その統治機関として位置づけられている。

PlayVS はこれらのリーグを実施するだけでなく、大学やeスポーツ組織がゲームを見たり、個々のプレイヤーのメトリクスを追跡することを実現して、切望されていたスカウティングツールを提供している。

今回の買収の一環として、GameSetaのTawanda Masawi(タワンダ・マサウィ)氏とRana Taj(ラナ・タージ)がPlayVSチームに加わり、カナダの事業をリードする。

地理的な拡大と並行して、PlayVS は高校や大学以外にも、消費者向けのDTC商品の発売を計画しているという。

「当社はこれから、直接パブリッシャーと提携して消費者向けの商品をいくつか発売し、PlayVSのエコシステムをオープンにして、高校など学校との関係を問わず、人々が大会を開催したり参加したりできるようにしたいと考えています」とパーネル氏は述べている。「私たちはこれにとても興奮しています。市場では一般的に、エンターテインメントやコンテンツとしてのゲームへの欲求が非常に高くなっています。明らかに、プレイヤーのみなさんはeスポーツをコンテンツの一形態として、またスポーツに参加するための方法としてとらえ本当にワクワクしていますので、PlayVSが人々にとってより広く競い合える場になるようにしたいと思っています」。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:PlayVS買収

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(翻訳:Nakazato)

Amazonに大打撃を与えるインドRelianceによるFutureの資産買収を同国証券取引所が承認

インドの証券取引所は、インド時間1月20日午後、同国の小売大手であるReliance Retail(リライアンス・リテイル)による、Future Group(フューチャー・グループ)の34億ドル(約3521億円)の資産買収を承認した。これはAmazon(アマゾン)にとって大いなる打撃となる。Amazonはこれまで世界第2位のインターネットマーケットであるインドに対して65億ドル(約6731億円)を投資しており、前述の大手2社間の買収を阻止しようとしていた。

ボンベイ証券取引所(BSE)は通知の中で、インドの市場規制当局であるインド証券取引委員会(SEBI)と協議をしたが、この買収についての反対や異論は特に出されなかったと述べている。

この1月20日の通達は、インドの2大小売チェーンであるFuture GroupとReliance Retail間の数十億ドル(数千億円)規模の買収を阻止しようと、SEBIとインド公正取引委員会に嘆願を行っていたAmazonにとっては、最も新しい打撃となった。2020年、インドの公正取引委員会(Competition Commission of India、CCI)は両社の買収合意にゴーサインを出していた

今回の通知には「当証券取引所はここに、上場規定内での上場 / 上場廃止/ 上場継続要件に関係する事項に照らして、特に反対意見はなかったことをここに通知し、同社がNCLT(会社法裁判所)へ申請を行うことを認める」と書かれている。SEBIはFutureに対して、現在進行中のAmazonとの訴訟のさまざまな情報を、取引の承認を保留しているNCLTに提出するように助言した。

Amazonは2019年に、当時1億ドル(約103億4000万円)以上と評価された取引で、Future傘下の未上場企業1社の株式の49%を購入していた。その取引の一環として、Futureはライバル企業に資産を売却することはできないことになったはずだと、Amazonは法廷で主張してきた。

Future Groupの最高経営責任者であり創業者のKishore Biyani (キショア・ビヤニ)氏が、最近のオンライン仮想会議で、事態が変わったのは、2020年の新型コロナウイルスパンデミックが、Futureを現金不足に追い込んでからだと語っている。2020年8月にFuture Groupは、インド最大の小売チェーンを運営するAmbani(アンバニ)氏のReliance Industriesとの間で小売、卸売、物流、倉庫事業を34億ドル(約3521億円)で売却することで合意したことを発表した。

Amazonはこの取引に対して、シンガポールの仲裁人を介して抗議を行い、裁判所に対してこのインドの小売大手の間の取引を阻止するように求めた。Amazonは2020年10月下旬に、シンガポールの仲裁裁判所から、Future Grpupの売却を一時的に阻止する緊急命令を得た

仲違いした両社は、2020年にデリー高等裁判所で争ったが、そこではFutureとRelianceの間の取引に対して、Amazonが規制当局や他の公的期間に懸念や撤回を求める要請を出すことを一時的に差し止めてほしいとする、Futureからの嘆願が拒絶された。これは米国の大企業Amazonにとってのかすかな希望となった。

Amazonの広報担当者は、同社は法的救済措置を追求し続けるとTechCrunchに語っている。「BSEとNSEが発行した書簡には『調停の草案』(提案された取引)に対するSEBIのコメントが、現在進行中の仲裁やその他の法的手続きの結果に従うべきであると明記されています。私たちは、私たちの権利を行使するための法的救済措置を引き続き追求していきます」と広報担当者は述べている。

ここで争われているのはインドの小売市場だ。コンサルタント会社BCGと地元の取引グループであるインド小売業協会によれば、インドの小売市場は2019年の7000億ドル(約72兆3000億円)から2025年には1兆3000億ドル(約134兆4000億円)に膨れ上がると推定されている。オンラインショッピングは、インドの小売業全体の約3%を占めているに過ぎない。

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(翻訳:sako)

大麻マーケティングのFylloが同業DataOwlを買収、2021年の大麻ビジネスの爆発的成長に期待

Fyllo(フィロ)は、大麻小売業者のためのマーケティングとロイヤルティのツールを提供しているDataOwl(データアウル)を買収した。

25州(そしてプエルトリコとジャマイカ)にまたがる320の大麻小売業者とすでに協業している、とFylloは述べた。マーケティング最高責任者のConrad Lisco(コンラッド・リスコ)氏によると、DataOwlの買収によって消費者データ、デジタル広告、企業コンプライアンスを組み合わせた業界「初のエンド・ツー・エンドマーケティングソリューション」を、CRMとロイヤルティを事業者のPoSシステムに組み込んだDataOwlを通じて提供できる。

Fyllo創業者でCEOであり、以前はデジタルマーケティング会社Amobeeで最高売上責任者を務めていたChad Bronstein(チャド・ブロンステイン)氏は、例として小売業者が販促テキストを通常の顧客に送るのにFylloプラットフォームを使うことができるようになり、さらに重要なことにそうした販促が州や地元自治体の規制に完全に則ったものにできる、と述べた。同氏はまた、ゆくゆくは規制がかかっている他の産業で、大麻以外のものにもプラットフォームを使うことができる、と付け加えた。

「美容、ギャンブルなど、規制がかかっているあらゆる産業で同じことが起こる必要があります。そうした産業はすべてロイヤルティとコンプライアンスの自動化の恩恵を受けます」とブロンステイン氏は述べた。

加えて、Fylloが委託したForrester調査に裏づけられているように、主要ブランドは大麻とCBD(カンナビジオール)コンシューマーに関するデータを使うことにますます興味を持っていると主張した。

リスコ氏は、今回の買収は大麻産業にとって大事な時期に行われると話した。多くの州で大麻販売は必要不可欠な事業と分類され、マリファナの合法化を背景に引き続き勢いがある。

「2020年に大麻は成熟しました」と同氏は指摘した。「10カ月で、違法なものから必要不可欠なものに変わりました。2021年は地域的な(マリファナ)ブランドが大規模展開しようとするのを目の当たりにすることになるでしょう。なので、そうしたブランドは爆発的な成長に投資することができます。彼らは歴史的に、大手ブランドが市場開拓をするときに使うことができた統合マーケティング能力のようなものから除外されてきました」。

FylloはDataOwlのプロダクトにコンプライアンス能力を組み込むことで、そうした能力をマリファナブランドに提供することを目指している、とブロンステイン氏は述べた。同社はまた、全国大麻ロイヤルティープラットフォームを作ることも目指している。このプラットフォームが実現すれば、ある州のマリファナ小売事業者が法に準拠した方法で他の州へとマーケティングを簡単に拡大できるようになる。

買収の金銭的条件は明らかにされなかった。DataOwlの共同創業者Dan Hirsch(ダン・ハーシュ)氏とVartan Arabyan(ヴァータン・アラビアン)氏は残りのチームメンバー同様Fylloに加わり、Fylloの従業員数は110人になる。

「Fylloに合流することでDataOwlのソリューションは、業界で最もイノベーティブなマーケティングプラットフォームを通じて可能な限り幅広い人にアクセスします」とハーシュ氏は声明文で述べた。

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カテゴリー:ヘルステック
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(翻訳:Mizoguchi

韓国NAVERがユーザーがオリジナル作品を10億本以上公開するストーリープラットフォームWhattpadを買収

トロントを拠点として14年の歴史を持つWattpad(ワットパッド)は、VCの支援を受けたソーシャルストーリープラットフォームで、さまざまな分野に進出している。そのWattpadがこのたび韓国のコングロマリットであるNAVER(ネイバー)に6億ドル(約622億6000万円)の現金と株式による取引で、買収されようとしている。

NAVERは、少なくともWattpadの事業の一部を、2004年に立ち上げて2014年に米国に進出した出版プラットフォームWebtoon(ウェブトゥーン)に組み込むことを計画している。Webtoonはユーザーが作成した何千本ものマンガを掲載するプラットフォームで読者の数も多い。NAVERによれば、Webtoonは2020年8月の時点で、月平均6700万人以上のユーザーを数えている。

普通に眺めれば、この取引には意味があるように見える。韓国のPulse News(パルス・ニュース)によれば、そのウェブ漫画のなかには、より広い地域の読者を獲得し、映画にも進出しているものもあるという(記事の最後に挙げたのは「The Secret of Angel』という人気シリーズの予告編だ)。

同様に、もともと電子書籍アプリとしてスタートしたWattpadは、ユーザーがオリジナルの作品を公開し、毎月9000万人以上が作品を読むために訪れる人気の高いプラットフォームへと進化してきた(実際、先週Vergeに掲載された記事によれば、Wattpadは何年もかけて10億本以上のストーリーを掲載し、ユーザーは延べで月に220億分かけて、それらの物語を読んでいるということだ)。

NetflixやAppleをはじめとして、インドネシアのライドシェア大手のGoJekが2019年に立ち上げたGoPlayのようなプラットフォームまでもが、フレッシュなコンテンツを必要としていることを受けて、Webtoonと同様にWattpadもストリーミングメディアに力を入れてきた。(Wattpad Studiosに加えて、Wattpadは2019年に書籍出版部門を立ち上げた)。

WebtoonのCEOであるJun Koo Kim(キム・ジュンク)氏は、プレスリリースの中で、今回の提携は「世界をリードするマルチメディアエンターテインメント企業になるための大きな一歩」であると述べている。

一方、NAVERのSeong-Sook Han(ハン・ソンソク)CEOは、Wattpadの共同創業者であるAllen Lau(アレン・ラウ)氏とIvan Yuen(イワン・ユエン)氏が、買収後も引き続き彼らが築いてきた会社を率いると別のリリースで述べている(NAVERの子会社は東京で開発された人気メッセージングアプリのLINEを運営している)。

今回の買収がWattpadの投資家にとって良い話だったのかどうかについてだが、まあまあであったように思える(それぞれの投資条件を知らなければ、しっかり見定めることは難しいが)。

Wattpaidは長年にわたってアジア、米国、カナダの投資家たちから1億1780万ドル(約122億2000万円)を調達してきたが、直近のラウンドではTencent Holdings、BDC、Globe TelecomのKickstart Ventures、Peterson Group、Canso、Raine Venturesから5100万ドル(約52億9000万円)を調達した。

Pitchbookによれば、2018年に発表されたその最後の取引によって、同社の事後評価額は3億9800万ドル(約412億9000万円)となった。

 

カテゴリー:ネットサービス
タグ:NAVERWhattpad買収韓国メディア

画像クレジット:Wattpad

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(翻訳:sako)

検索広告のAdthenaがKantarの有料検索事業を買収

検索広告のコンサルタントAdthenaが、マーケットリサーチ企業Kantarとのパートナーシップを拡張して、Kantarの有料検索事業を買収することになった。

両社は2021年1月初めに合意を発表。それによりAdthenaのデータがKantarのインテリジェンスプロダクトに統合される。この買収により、Kantarの検索クライアントはAdthenaの一連のプロダクトにアクセスできるようになる。

Kantarは、2012年にAdGoorooを買収して有料検索ビジネスに参入した。当然ながら買収により、AdGoorooというブランド名は生き残らなかった。

AdthenaのCEOであるIan O’Rourke(イアン・オルーク)氏は声明で次のように述べている。「検索は広告効果を測定するバロメーターになりつつあるため、できるかぎり最良のインテリジェンスにアクセスできることが何よりも重要だ。Kantarの有料検索能力を獲得できたことは、同社とのパートナーシップと相まって、弊社が企業や代理店との新たな商機を開拓できることを意味している。それにより、弊社の成長も継続できるだろう」。

オルーク氏は以前、Adthenaが傑出しているのは、人工知能を活用し企業とその競合他社を見つけるために有料検索とオーガニック検索の両方で使われているすべてのキーワードを視覚化する同社の「市場の全体を展望する視点」のためだと語っている。

買収の財務的条件は公表されていないが、Adthenaによると、Kantarのチームのメンバーは同社に加わるという。

カテゴリー:その他
タグ:Adthena広告買収

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

金属3DプリントのDesktop Metalが同業で3Dプリントで入れ歯などを作るEnvisionTECを312億円で買収

金属3Dプリンターで知られるDesktop Metal(デスクトップ・メタル)が米国時間1月15日、同業の3Dプリント企業であるEnvisionTEC買収の意向を発表した。2002年にドイツで設立されたEnvisionTEC社は、フォトポリマー付加製造に特化しており、その技術はDesktop Metal社の既存のポートフォリオよりも、3Dプリント界の寵児であるCarbon社などと直接競合するものとなる。

今回の取引は、2020年8月にDesktop Metal社がSPACの合併トレンドの一部として株式公開に踏み切ったことに続く動きだ。これに先立ち、Desktop Metalは4億3000万ドル(約446億5000万円)の投資をきっかけにユニコーンの地位に急浮上しており、自己資金には事欠かなかった。同社は、現金と株式の組み合わせで3億ドル(約311億5000万円)を投じてEnvisionTECを買収する予定だという。

Desktop Metalがこれにより成長する可能性は大きい。EnvisionTECには190種類以上の材料に印刷できる基礎技術があるが、かたやDesktop Metalには、EnvisionTECがこれまでに構築してきたものを超えて、その技術をスケールアップさせるためのリソースがある。

このパズルの中で、デンタル分野がかなり巨大なピースであることは明らかだ。歯科用アプリケーションはこの種の大量3Dプリントの最も明確で即効性のある使用例の1つであり、実際、同社はすでに歯科分野で、Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)のような企業を含む約1000社の顧客を抱えている。新型コロナウィルスが大流行した中、同社はEnvision Oneデンタル3Dプリンターの出荷台数を前年の3倍に増やした。

Desktop Metal社のCEOであるRic Fulop(リック・フロップ)氏はTechCrunchに「これは、レストレーションから即日のフルアーチインプラントまで、あらゆるものに使用されます」と語っている。「通常、入れ歯を手に入れようとすると、インプラントデンチャー(インプラント義歯)には3週間待たなければなりません。この製品はそれを即日で行うことができる初めてのソリューションです。しかも手頃な価格で」。

このニュースに続いて発表されたプレスリリースによると、他の既存の顧客にはFord(フォード)やHasbroなどが含まれている。フロップ氏によると、買収は今四半期中に完了される予定だが、買収後もEnvisionTECは独自の部門として運営を続けるという。

「我々は、彼らの販売チャネルにてこ入れしていくことができるます」とフロップ氏は語る。「その既存の能力を拡大し、当社のチャネルを利用して金属からコンポジット、バイオマテリアル、さらにはフォトポリマー印刷に至るまでのフルソリューションを提供するためのツールとなり、(EnvisionTECを)後押しできることを楽しみにしています」。

関連記事:金属3Dプリント技術を擁するDesktop MetalがSPACを利用したIPOで2600億円超企業に

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Desktop MetalEnvisionTEC買収

画像クレジット:EnvisionTEC

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(翻訳:Nakazato)

Mediumがソーシャル読書アプリの「Glose」を買収、電子書籍販売や教育分野に事業拡大か

Mediumは、パリに拠点を置くスタートアップのGloseを非公開の金額で買収すると発表した。Gloseは、デバイス上で本を購入したり、ダウンロードしたり、読んだりできるiOS、Android、ウェブアプリを構築してきた。

Gloseは本棚を作ったり、フォロワーとメモを共有したり、余白で会話を始めたりすることができる読書アプリで、同社は読書をマルチプレイヤー体験に変えた。確かに、Goodreadsのような本について会話できるソーシャルプラットフォームは存在する。しかし、Gloseの差別化ポイントは、ソーシャル機能が読書機能と本質的にリンクしていることであり、それらは2つの別々のプラットフォームではないところだ。また、例えば連続リワードというような、難しい本を読むときにモチベーションを維持するのに役立つゲーミフィケーション機能もある。

多くの点で、Gloseのワンタップハイライト機能やコメント機能は、Mediumの機能を彷彿とさせる。スマホやタブレットの他の読書アプリでもテキストをハイライトすることはできるが、それをさらにどうにかすることはできない。

最近になって、Gloseは「Glose Education」という別のサービスを開始した。その名が示すように、こちらは大学や高校向けのサービスだ。教師は課題を配ることができ、生徒たちはグループとして本を読むことができる。

100万人以上のユーザーがGloseを使用したことがあり、スタンフォード大学やコロンビア大学を含む25校の大学がGlose Educationと契約している。

しかし、Gloseは単なるソフトウェアだけの事業ではない。同社は、総合的な書店も運営している。2万社の出版社と提携しているので、アプリから直接電子書籍を購入することができる。

また、今学期にVirginia Wolf(ヴァージニア・ウルフ)を勉強している場合、Gloseは何十万冊ものパブリックドメインの本を無料で提供。さらにGloseはオーディオブックにも対応している。

Mediumが記事やブログを超えて拡大することを計画している中、これは最も興味深い部分だろう。Gloseは今のところ存在し続けるが、Mediumの方も、電子書籍とオーディオブックを同サービスに統合することを計画している。

多作なブロガーの多くは本の著者でもあるので、これは賢い動きだ。現在、彼らはMediumでブログ記事を書き、読者がライターの本を購入したい場合は、サードパーティのサイトにリンクしている。著者が書いたものをすべてホストする機能を持つことは、コンテンツ制作者と読者の両方にとってより良い経験になる。

「我々はGloseの読書プロダクツや技術だけでなく、本の著者や出版社と提携した経験にも感銘を受けています」とMediumのCEOであるEv Williams(エブ・ウィリアムズ)氏は声明の中で述べている。「本はアイデアを探求するための手段、深化への道です。世界のアイデアの大部分は本や雑誌に保存されていますが、検索も共有もほとんどできません。Gloseとともに、Mediumの大規模なネットワークを利用する読者やライターの体験を向上させたいと考えています。Gloseチームと協力して、出版社と提携し、著者がより多くの読者にリーチできるよう支援していきたいと考えています」。

Gloseチームはパリに残る予定で、Mediumは米国外に初のオフィスを開設することになる。Gloseは今後も著者、出版社、学校、機関とのパートナーシップを続けていくという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MediumGlose買収

画像クレジット:Glose

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(翻訳:Nakazato)

グーグルが約2180億円でFitbit買収を完了と発表、ただし米司法省は審査継続中とコメント

大西洋を挟んだ両側での規制の精査後、Google(グーグル)は米国時間1月14日朝、同社がウェアラブルのパイオニアFitbitの買収を完了したことを発表した。Googleによる膨大な量のユーザー健康データの使用は、長い間、取引の規制上の懸念の重要な問題点となっていた。結局のところ、ターゲット広告は、同社のビジネスの大部分の中核であり続けるからだ。

そんな事情から、GoogleとFitbitの両社が、買収に関してのそれぞれの声明で懸念に対処しようとしているのは当然のことだ。特にGoogleは、この取引はハードウェアがすべてであることをすぐさま指摘している。確かに、同社はこの垂直市場で苦戦してきた。フィットネスやウェアラブルカテゴリーでApple(アップル)と競合するためにGoogleがこれまでしてきた努力は、ひいき目に見ても、ムラがあるものだった。

Googleのデバイス・ハードウェア部門SVPであるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏は次のように述べている。

この取引は常にデータではなくデバイスに関するものであり、我々は当初からFitbitユーザーのプライバシーを保護することを明確にしてきました。我々は世界の規制当局と協力して、Fitbitユーザーの健康とウェルネスデータがGoogle広告に使用されないことを確認する一連の拘束力のある誓約を含め、消費者のプライバシーに対する期待を保全するアプローチに取り組んできました。

また、フィットネストラッカーやスマートウォッチなどのデバイスとAndroidスマートフォンとの相互運用を可能にするAndroid APIへのアクセスを維持し、Fitbitユーザーがサードパーティのサービスへの接続を選択できるようにすることで、お気に入りのヘルス・フィットネスアプリをFitbitアカウントに同期することができるようにします。これらの取り組みは、すべての消費者が恩恵を受けることができるよう、世界各地で実施されます。また、世界中の規制当局と協力して、これらの約束を守っていることを保証できるようにしていきます。

Fitbitの共同創業者兼CEOであるJames Park(ジェームズ・パーク氏)は、同調してこう書いている

今後もユーザーの信頼を最優先し、データのプライバシーとセキュリティの保護を強力に維持し、ユーザーにデータのコントロールを提供するとともに、何をどのように収集し、なぜ収集するのかについて透明性を保っていきます。Googleは今後もFitbitユーザーのプライバシーを保護し、Fitbitユーザーの健康・ウェルネスデータがGoogle広告に使用されることはなく、このデータは他のGoogle広告データとは別個に保管されることを確認し、世界の規制当局との間で一連の拘束力のある誓約を結びました。また、Googleは今後もFitbitユーザーがサードパーティのサービスに接続することを選択できるようにすることを断言しています。

こうした種類の消費者デバイスによって収集されるデータのレベルと親密さは、過去10年間で大幅に増加しています。その事態をさらに激化させているのは、Fitbitやアップルのような企業が、自社製品が医療機器として、または少なくとも医療関連機器として、より真剣に受け止められるようにプッシュしていることです。両方の企業が、健康調査を委託し、FDA(米食品医薬品局)の認可を求め、保険会社と協力しています。こうした動きが高まり続けるのは間違いないでしょう。

21億ドル(約2180億6000万円)の取引を完了するのに、多くの譲歩が要求された。特にEUは2021年12月、最終的に買収を許可した際に多くの注意事項を提示した。EUはその際「Googleが収集したデータを広告目的でどのように使用できるか、競合するウェアラブルとAndroidの間の相互運用性をどのように保護するか、そしてユーザーが選択した場合、健康・フィットネスのデータをどのように共有し続けることができるかを誓約が決定する」と指摘している。

取引の一環として、Googleは10年間、Fitbitのデータを広告目的に使用しないことに合意した。欧州委員会は、さらに10年その誓約を延長する権利を保持した。Googleはまた、競争を維持するために、サードパーティ開発者のAndroid APIへのアクセスを維持することに合意した。

2007年に設立されたFitbitは、ウェアラブル・フィットネストラッカー分野の代名詞となった。しかし最終的には、スマートウォッチの登場で優位性を維持するのに苦労し、最終的にはApple Watchに大きなシェアを譲ることになった。同社は最終的にVersaのようなデバイスでこの分野で躍進を遂げたが、その頃には、独自に存続するには遅すぎると思われていた。

Android Wear / Wear OSで突破口を開こうとして同社が苦戦し続けていたことを考えると、この取引は確かにGoogleにとって理に適っている。Fitbitにより、同社は確立されたハードウェアメーカーを取得する。これは同社が、携帯電話のPixelラインを成長させるために行なったHTC資産の購入とまったく異なるわけではない。しかし、Fitbitブランドには残しておくだけの十分なキャッシュがまだある。特筆すべきは、Fitbit自身のスマートウォッチ分野での成長は、スマートウォッチのパイオニアであり、クラウドファンディングの寵児であるPebbleを含む、いくつかの独自の買収によって拍車がかかったことだ。

2019年後半には、GoogleもTimexのスマートウォッチ技術を4000万ドル(約41億5000万円)で買収しており、同社がApple Watchに直接挑戦する可能性は極めて高い。この製品はAppleにとって大ヒットしただけでなく、最近ローンチされた「Fitness+」をはじめとするあらゆる種類のヘルスサービスへの扉を開いたことを考えれば、無理はない。2021年のCESが何かを証明したとすれば、それは、ホームフィットネスは多くのアップサイドを持つ、サムスンも参入してきた巨大なビジネスであるということだ。

【更新】米司法省は調査が進行中であることに言及し、明確化するコメントを発表した。

GoogleによるFitbitの買収に関する(米司法省)反トラスト局の調査は、現在も継続中です。当局が執行措置を求めるかどうかについて最終決定には至っていませんが、当局は、GoogleによるFitbitの買収が米国内の競争と消費者に害をおよぼす可能性があるかどうかの調査を継続しています。引き続き、可能な限り徹底的に、効率的に、迅速にこの調査を行い続けることに尽力する所存です。

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カテゴリー:その他
タグ:GoogleFitbit買収

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(翻訳:Nakazato)

創業2年のNUVIAがQualcommに約1460億円で売却される

素晴らしいことはと言えば? 2年でユニコーンになることだ。もっと良いことは? 2年以内にユニコーンステータスのままイグジットすることだ。

Qualcomm(クアルコム)は米国1月13日、高性能コンピューティングのスタートアップNUVIA(ヌビア)を、運転資金と負債の一部を除いて14億ドル(約1460億円)で買収すると発表した。

TechCrunchは、NUVIAが2019年後半の創業時にシリーズAで5300万ドル(約55億円)を調達し、また数カ月前にMithril(ミスリル)からシリーズBで2億4000万ドル(約250億円)を調達した際に詳細に紹介した。同社はApple(アップル)の多くのスターチップエンジニアのアイデアで生まれた。エンジニアらはコンピューティングの巨人のAシリーズのチップに取り組んだ。そのチップがAppleのiPhoneとiPadを強力にした。

(これまでは)ラップトップコンピューター用だったAppleの新しいMシリーズチップはその目がくらむようなエネルギー効率とパフォーマンスの点でほぼ革新的と言えるような組み合わせだ。NUVIAの創業者は、高性能を実現し、それをデータセンターにも反映しつつ、パワーエンベロープを管理した経験を活用したいと考えていた。データセンターが機能するために必要な電力の規模が非常に大きく、クラウドでのAIアプリケーションの需要に応じて必要な電力も増加していることから、NUVIAがそのケーキを手に入れて食べることができる、つまり、クラウドコンピューティングの電力とコストを削減しながら高い性能を実現できるとと期待されていた。

Qualcommのプレスリリースによると、NUVIAのテクノロジーはQualcommのチップのラインナップに組み込まれる予定だ。5Gに焦点を合わせたSnapdragonチップを中心にQualcommが統合を主導する。NUVIAの創業者と従業員はQualcommに合流する模様だ。取引は米国の規制当局の承認を得る必要がある。

NUVIAは次世代シリコンスタートアップの新星の中で最も魅力的な企業の1つだったが、創業者の1人と有名な元AppleエンジニアのGerald Williams III(ジェラルド・ウィリアムズ3世)氏、そして同氏の元雇用主との間の法廷闘争に巻き込まれた。Appleは2019年、ウィリアムズ氏に対し民事訴訟を起こし(カリフォルニア州サンタクララ上級裁判所、19-cv-352866)、Appleとの契約上の義務に違反して以前の同僚をNUVIAへ勧誘しようとしたと主張した。ウィリアムズ氏は自身の動議で反撃し、それ以来両者は証拠開示の手続き中だ。先月最新の動きがあり、訴訟が進む中、Appleとウィリアムズ氏は特定の文書を互いに引き渡すよう要求した。

その訴訟のタイミングがNUVIAの迅速なイグジットにどう影響したか、またQualcommとサプライヤーとしてのAppleとの非常に深い関係がより迅速な和解に寄与するのかどうかは不明だ。TechCrunchはNUVIAの広報担当者にコメントを求めた。

訴訟はNUVIAにかかる暗雲だったが、最終的な結果としては、約2年間でベンチャーキャピタルから3億ドル(約310億円)をわずかに下回る金額を調達した、14億ドル(約1460億円)の価値を持つユニコーンのイグジットとなった。Mithrilにとっては短期間での方向転換になるため、おそらくそれほど興奮しているわけではないと思われるが、Capricorn Investment Group、Dell Technologies Capital(DTC)、Mayfield、WRVI Capitalなどの初期からの投資家の投下資本からのリターンはもっと良いはずだ。そしてもちろん、創業者のリターンはさらに良いに違いない。

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(翻訳:Mizoguchi

反トラスト法に阻まれてVisaがPlaid買収中止、フィンテック関係者に落胆の声が広がる

報じられているようにVisaはフィンテックスタートアップPlaidとの買収交渉を打ち切った。すでに両者の間では合意があったが、これも無効とされた。消費者向けクレジットカードの大手がフィンテックのAPIを構築しているスタートアップをグループに組み込む可能性はなくなった。

合併に関して当初両者の合意が発表されたとき、買収額は53億ドル(約5510億円)とされた。買収交渉が行われていることを我々が報じたのはちょうど1年前、2020年1月13日だった。しかし2020年11月、米司法省はこの合併に反対した。司法省は「この買収は、在来の貯蓄口座およびさらに進歩的なオンラインデビットカードサービスの分野で、現在生じつつあるライバルを排除することになる危険性がある。したがってこの合併はライバル企業ならびに消費者の利益に反する」と主張した。

当初、VISAは「政府の見解は誤っている」と主張し、争う姿勢を見せていた。

しかし2021年1月12日になって両社は買収合意が正式に解消されたことを確認した。プレスリリースの中でVisaは「最終的には買収を実行できたかもしれないが問題の複雑性を考慮し、(訴訟になれば)解決まで長時間を要することになるのは不適切だと考えた」と述べている。

要するにVisaは手間がかかりすぎる、と嫌ったわけだ。

これに対してPlaidはもっと強気で社内向けのメモに「昨年には、Plaidを利用したサービスに対する需要が前例のないレベルに高まった」と書いている。2020年に始まったフィンテックブームによって一般消費者が無料の株取引アプリや「ネオバンク」に殺到したことを考えれば、昨年のPlaidの成長は驚くべきことではない。結局、PlaidのプロダクトであるAPIは消費者とフィンテック企業を仲介する位置にあるため、両者がいっそう緊密なトランザクションを望むならAPIスタートアップには強い追い風となる。

【更新】Plaidに取材し、今後、独立企業としての計画と、2020年に具体的にどれほどのスピードで成長したかを尋ねた。PlaidはTechCrunchに対して「2020年にはクライアントが60%増加し、4000を超えた」と回答している。顧客ベースの純ドル保有率が中程度だと仮定した場合、Plaidは昨年数百パーセントの成長を遂げた可能性がある。

VisaのPlaid買収は単に1つの取引の中止であることには違いないが、資金力豊富な既存大企業への買収という有利なエグジット(現金化)を狙っていたフィンテック分野のスタートアップやユニコーン企業は失望を隠せない。つまり米司法省による反トラスト法を根拠とした主張で買収が不可能になったわけでないが、大企業はスタートアップの買収により慎重にならざるをない。金持ちの大企業への売却というエグジットを考えていたフィンテックスタートアップ関係者にとって都合のいい話ではない。

これにより、今後、フィンテックスタートアップの買収金額は下がることになると予想される。フィンテックに重点をおくベンチャーキャピタルの意欲を削ぎ、スタートアップの資金調達にも逆風となる可能性がある。フィンテック関係者は、VisaのPlaid買収における高額の企業評価額が、ベンチャーキャピタルによるスタートアップへの投資ラウンドでの評価額にも反映すると期待していた。つまり買収がなくなればその逆、ということになるわけだ。

【Japan編集部】日常用語ではタータンチェックのような格子をPlaidと呼ぶためトップ写真はその模様の布地になっている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:VisaPlaid買収反トラスト法

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アウトドアクッキングの人気メーカーWeberがスマートクッキングのJuneを買収、Weber会長はJuneの大ファン

アウトドアクッキング業界のリーダーであり、バーベキューコンロの人気メーカーとして名高いWeber(ウェーバー)は、2013年にMatt Van Horn(マット・バン・ホーン)氏とNikhil Bhogal(ニクヒル・ボガル)氏が設立したスマートクッキングのスタートアップJune(ジューン)を買収した。この取引の金銭的な条件は公表されていないが、JuneはWeberーStephen Products(ウェバースティーブンプロダクツ)の完全子会社として、今後もJuneブランドで事業を続け、June Ovenと関連製品の販売と開発を継続するとWeberは認めている。一方、Juneの共同創設者ニクヒル・ボガル氏は、Weber製品のテクノロジーおよびネット接続デバイス担当上級副社長の役職に就く。

Weberは以前からJuneとは協力関係にあり、Weber Connected(ウェーバー・コネクテッド)スマートグリルプラットフォームにはJuneのテクノロジーと専門知識が活かされている。ネット接続によるスマートグリルの機能をすべてのグリルに適用できるWeber Connetedスマートグリルハブ、木質ペレット式グリルSmokeFire(スモークファイヤー)シリーズに内蔵されているスマートクッキング機能などがそうだ。両社の提携関係は、2018年、Weberの創業者の息子であり、当時のWeberのCEO、現会長のJim Stephen(ジム・スティーブン)氏から突然届いた謎のメールから始まった。

「彼はファンであり、顧客であり、Juneの技術がWeberのすべての製品に力を与える未来を想像して止まないと話してきました」とバン・ホーン氏はインタビューで私に話した。「私はこう聞きました。『ちょっと待って、なんの話ですか?というか、あなたは誰?』と。すると彼は『これからそっちに向かう。月曜日には着く』というのです。いつもはデモ用の準備を整えて、チョコレートラバケーキやステーキをJune Ovenで焼いて見せているので、15分は早く現場に行かなければなりません。しかしジムはすでにオフィス前の階段に立っていて、私のためにドアを開けようと待ち構えていました。そしてこういったのです。『デモは結構。持ってるから』と」。

「彼のエネルギーと、誰よりも早く物事を見抜く才能には、度肝を抜かれました」とバン・ホーン氏は言葉をつなぐ。「そのすぐ後に、私はCEOになる予定のクリス(Weberの現CEOのChris Scherzinger[クリス・シャージンガー]氏)と会い、一緒に歴史あるWeberブランドの、正直大変な驚きの素晴らしい文化に初めて触れることができました」。

前述のとおり、JuneはWeberのパートナーとなり、2020年のCESで初披露されたネット接続クッキングプラットフォームの技術を支えている。Weberはまた、JuneのシリーズC投資ラウンドを主導した。それは今回のエグジット前の2018年にWeber主導で実施された、これまで非公開だった最後の資金調達ラウンドだ。

バン・ホーン氏は、新しい取り決めのもとでJuneの社長を務め、現行と将来の製品開発の指揮を継続することになる。

国際的な規模の、また現在展開されているグローバルな足がかりを通じた流通網によるWeberの支援力は、この創立63年の老舗企業との合併を決める大きな誘因になったと彼は話す。だがもう1つ、常に顧客を中心に考え、食べ物を愛するJuneの企業文化にWeberがどれほど相応しい場所であるかが証明された点も重要な鍵だった。

「ニクヒルと私がJuneを立ち上げたのは、いうまでもなく食べ物が大好きだからです。料理が大好きだからです」とバン・ホーン氏。「そして、私たちの製品の作り方を考える際の原則は、Apple(アップル)の原則と大きく重なっています。Juneの従業員の大半がApple(アップル)出身者です。私たちはそれを、見てのとおりの従業員60人という小さなスタートアップに凝縮しました。しかし、Weberの非常に熱心なチームと仕事ができるようになり、最初から本当にエキサイティングで、ずっと驚きの連続です」。

Weberは、技術優先の視点から調理にアプローチするというアイデアから生まれたJuneのソフトウェアと技術を手に入れた。その専門知識を、高品質の伝統と顧客の熱烈な支持を見すえつつ、Weberの製品全般に吹き込む考えだ。

「今あるソフトウェアのエンジニアリング、ネット接続を前提としたデザイン、機械知能の専門知識を吹き込むだけで、そのコアコンピタスや能力を得ることができますが、それは実に控えめな見方です」とシャージンガー氏はインタビューで私に語った。「マットはスーパースターのチームを作り上げ、私たちはそれをドラフトの第1巡で獲得したのです。それがWeberのゲームを別次元に高めます。これにより、私たちの無数の取り組みが加速され、消費者に新しい体験、新しいサービス、新しい製品を確実に届けるという意味において、Weber Connectの未来は拡大されます。それは早ければ2021年から2022年に始まります」。

前にも述べたとおり、今回の取引の詳細はWeberもJuneも公表していないが、シャージンガー氏は「マット(・バン・ホーン)と彼のチーム、彼の投資家は、みんなよくやってくれました」と話している。Juneの以前からの投資企業にはAmazon Alexa Fund、Lerer Hippeau、First Round Capital、Promus Ventures、Industry Ventures、Eclipse Venturesなど数多い。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:WeberJune買収料理

画像クレジット:Weber

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(翻訳:金井哲夫)

Snapがマッピング・位置情報スタートアップのStreetCredを買収、Snap Map関連機能強化か

Snapchatの親会社であるSnapが、位置情報プラットフォームを構築するニューヨークのスタートアップであるStreetCredを買収した。

TechCrunchの取材に対してSnapはこのニュースを確認するとともに、今回の買収により、共同創業者のRandy Meech(ランディ・ミーチ)氏とDiana Shkolnikov(ダイアナ・シュコリニコフ)氏を含む4人のStreetCredチームメンバーがSnapに入社し、マッピング・位置情報関連の製品に携わることになると述べている。

その戦略の大きな要素となるのがSnap Mapで、ユーザーは指定したエリアの公開スナップを閲覧したり、自分の位置情報を友達と共有したりすることができる。2020年夏、SnapchatのメインナビゲーションバーにSnap Mapが追加され、同社はこの機能が毎月2億人のユーザーにリーチしていると発表した。

同時にSnapchatはユーザーの位置情報と連動する他の機能も追加しており、その中にはたとえばデベロッパーが実際の場所と連動する、地域に特化したAR(拡張現実)レンズを作成することができるLocal Lensesなどがある。

ミーチ氏とシュコリニコフ氏は、豊富なマッピングの経験をSnapにもたらしてくれるはずだ。ミーチ氏は以前、サムスンのオープンマッピング子会社MapzenでCEOを務め、それ以前はTechCrunchの親会社であるAOL(後にVerizon Mediaにリブランド)でローカルおよびマッピング製品のシニアバイスプレジデントを務めていた人物だ。一方、シュコリニコフ氏はMapzenの元エンジニアリングディレクターである。

StreetCredは、Bowery CapitalとNotation Capitalから100万ドル(約1億400万円)のシード資金を調達していた。2018年にミーチ氏に取材をした際、彼の目標はユーザーがそのデータ収集に協力したことで報酬を得るブロックチェーンベースのマーケットプレイスを構築することで、位置情報データを「開放し、分散化」することだと語っていた。

買収の金銭的条件は明らかにされていないが、既存のStreetCredプラットフォームは今回の買収の一環として閉鎖されることになるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapSnapchat買収

画像クレジット:Snap

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(翻訳:Nakazato)

Red Hatがコンテナのセキュリティを提供するStackRoxを買収

Red Hatが米国時間1月7日、コンテナのセキュリティを管理するStackRoxを買収したことを発表した。買収価額は公表されていない。

エンタープライズLinuxで従来からよく知られているRed Hatは、最近ではクラウドへの移行に取り組んでいた。IBMはそんな同社を2018年に340億ドル(約3兆5340億円)という巨額で買収し、CEOのArvind Krishna(アルビンド・クリシュナ)氏の下でハイブリッドクラウドへの移行(未訳記事)に専念することになった。

今回のStackRoxの買収はRed HatのコンテナプラットフォームであるOpenShift向けだが、同社によると、AWSやAzure、Google Cloud Platformなど、他のプラットフォーム上のStackRoxの使用もサポートを続ける。この方針は、マルチクラウドでハイブリッドな環境をサポートするIBMの戦略と合っている。

Red Hatの社長兼最高経営責任者(CEO)のPaul Cormier(ポール・コーミエ)氏によると、両社は協調的に仕事ができるという。「Red HatはStackRoxのKubernetesネイティブな能力をOpenShiftの多層的なセキュリティに加え、プロダクト化されたオープンイノベーションをすべての企業に導入する弊社のミッションをさらに前進させる。それはさまざまな規模のITに共通するオープンなハイブリッドクラウドで行われる」とコーミエ氏は声明で述べている。

StackRoxのCEOであるKamal Shah(カマル・シャー)氏は同社のブログで買収を発表するとともに、同社が2年前にKubernetesに賭けたことは正解だった、と述べている。つまり「2年半あまり前に私たちは、Kubernetesだけにフォーカスする戦略を選び、すべてのプロダクトをKubernetesネイティブにしていった。今日ではそれが当たり前だが、当時は違った。視野を2020年に早送りすると、Kubernetesはクラウドネイティブなアプリケーションとハイブリッドクラウド環境のデファクトのオペレーティングシステムとして他を圧している」とシャー氏は書いている。

買収はシャー氏にとって、Red HatやIBMの力を借りて会社を早く成長させ、ロードマップを早める方法だ。買収される小さな企業のCEOの決まり文句だが、重要なのはそんな大きな企業の中で明確な存在感を常に維持することだ。

StackRoxの買収は、Kubernetes界隈でよく見てきた整理統合の一環であり、特にそれが目立つのがセキュリティの分野だ。たとえばPalo Alto Networksは競合他社のTwistLock(未訳記事)を2019年に4億1000万ドル(約426億1000万円)で買収した。同じく競合他社のAqua Securityは、1億3000万ドル(約135億1000万円)を調達して独立を維持している。

Crunchbaseのデータによると、StackRoxは2014年に創業してこれまで6500万ドル(約67億6000万円)あまりを調達している。投資家はMenlo Ventures、RedpointそしてSequoia Capitalだ。今回の買収は、規制当局の認可が下りて完了するのが今四半期内と思われる。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Red Hat買収

画像クレジット:Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Epic Gamesが老舗ゲーム開発ツール会社RAD Game Toolsを買収

Epic Games(エピック・ゲームズ)は米国時間1月7日、長年ゲーム開発のツールを作り続けてきたRAD Game Tools(RADゲームツールズ)の買収を発表した。RAD Game Toolsという会社は、あまり表には出てこないものの、長年にわたり多くのゲームタイトルでオープニングに登場するカラフルなBink Video(ビンク・ビデオ)のロゴは、多くのゲーマーが知っているだろう。

RAD Game Toolsの創設者兼CEOであるJeff Roberts(ジェフ・ロバーツ)氏は、発表の中で「Epicとは数十年前から一緒に仕事をしていますが、製品、ミッション、文化の面が一致していることから、次の段階として両社が手を組むのは自然なことです」と述べている。最近はその協力関係もますます強まっていたようだ。

エンジンとプラットフォームの緊密な統合は優れた標準となり、優れた標準は開発者たちに受け入れられるようになる。そのため、Epic GamesはSony(ソニー)と提携し、いち早くそのUnreal Engine(アンリアル・エンジン)に様々なコンポーネントを搭載し、次世代ゲームのための包括的な開発プラットフォームとして位置づけている。

画像クレジット:RAD Game Tools

RADは、その明らかに古風なウェブサイトが証明しているように、長年多くのゲームに関わってきた。「Bink(ビンク)」は、ゲームの世界で重要な高圧縮と高速レンダリングに焦点を当てたゲーム用のビデオコーデックだ。Oodle(ウードル)、Telemetry(テレメトリー)、Granny 3D(グラニー3D)、Miles Sound System(マイルズ) などは、素人には理解できない開発ツールだが、多くのファンがいることは間違いない。

エピックは今でこそ金儲けマシン「Fortnite(フォートナイト)」の生みの親として知られているかもしれないが、ゲーム開発会社として数十年におよぶ歴史があり、おそらくRADで働く人々のこともよく知っているだろう。そのことは今回の買収が行われる際の友好的な条件を説明するのに役立つかもしれない。

「RADは今後もゲーム業界、映画、テレビのパートナーをサポートしていきます。同社の販売・事業開発チームは、Unreal Engineを利用していない企業も含め、あらゆる業界の企業に自社製品のライセンスを維持・販売していきます」とEpic Gamesは発表の中で述べている。

そのため、BinkなどのツールはEpicの管轄外でも誰もが利用できるが、ほぼ確実にUnreal Engineのエコシステムとの統合が進むだろう。ゲーム開発のコストと複雑さが増すほど、簡略化するための方法が活用される。Epic Gamesは、Unreal Engineを最もグラフィック機能が強力な開発用エンジンにするだけでなく、最も統合されたエンジンにするために尽力している。

この買収に関するさらなる詳細とコメントをRAD Game Toolsに求めたが、Epicにそれが伝わり返答を断られた。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Epic GamesRAD Game Tools買収

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アプリケーションネットワーク企業F5がマルチクラウド管理スタートアップVolterraを519億円で買収

アプリケーションネットワーク企業のF5は米国時間1月7日、マルチクラウド管理スタートアップのVolterra(ボルテラ)を5億ドル(約519億3000万円)で買収すると発表した。その内訳は、現金で4億4000万ドル(約457億円)、未確定のインセンティブ支払で6000万ドル(約62億3000万円)となっている。

Volterraは、2019年にKhosla VenturesやMayfield、そしてM12(マイクロソフトのベンチャー部門)やSamsung Venturesなどの戦略的投資家らから5000万ドル(約52億円)の投資(未訳記事)を受けて登場した。その資金調達時に同社は私に対して以下のような説明を行っていた。

Volterraは、複数のパブリッククラウドやエッジサイトにまたがって展開できる一貫したクラウドネイティブ環境、つまり分散型クラウドプラットフォームの革新を行ってきました。このSaaSベースの提供方式を使い、Volterraは多くの拠点に置かれた製品や、ネットワークやクラウドプロバイダーにまたがって通常はサイロ化されていた幅広いサービスを統合しています。

このソリューションは、セキュリティ、運用、管理の各コンポーネントに対して、単一のビューを与えることができるようにデザインされている。

F5の社長でCEOのFrançois Locoh-Donou(フランソワ・ロコ-ダニュー)氏は、Volterraのエッジソリューションが同社の製品ライン全体を統合できると考えている。彼は声明の中で「私たちは、企業のお客様が直面する複雑なマルチクラウドの現実を解決するEdge 2.0プラットフォームでVolterraを使い、私たちのAdaptive Applications(アダプティブ・アプリケーション)構想を推進致します。当社のプラットフォームは、お客様が最も苦労なさっている部分を解決するSaaSソリューションを提供致します」と述べている。

Volterraの創業者でありCEOのAnkur Singla(アンクルシングラ)氏は、今回の取引を発表した同社のブログ記事に、パンデミックの影響で企業が急速にクラウドにシフトしていた2020年には、このソリューションへのニーズが増える一方だったと書いている。「私たちがVolterraを立ち上げたとき、マルチクラウドやエッジはまだバズワードであり、ベンチャーファンドはまだ具体的なユースケースを探している最中でした。それから3年が経ち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が劇的に風景を変えました。それは、物理的体験のデジタル化を加速させ、私たちの日々の活動をさらにオンラインへと移行させました。これは、グローバルなインターネットトラフィックの大規模な増加を引き起こしている一方で、増加し続ける常用アプリのセキュリティと可用性に影響を与える、新たな攻撃手段を生み出しています」と同氏は書く。

彼はVolterraの能力は、F5シリーズの製品とうまく調和して、これらの問題を解決することに役立つと考えている。2020年のF5は、M&Aという点では目立った動きが無かったが、今回の買収は2019年に行われた、1Shape Security(シェイプ・セキュリティ)の10億ドル(約1039億円)NGINXの6億7000万ドル(約696億円)(未訳記事)といった大型買収に続くものである。

今回の取引は両社の取締役会で承認されており、規制当局の承認を待ち3月末までに完了する見込みだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:F5Volterra買収クラウドコンピューティング

画像クレジット:F5

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(翻訳:sako)

消費者金融サービスのSoFiがSPACとの合併を通じて上場へ

消費者金融サービスのスタートアップSoFi(ソフィ)は特別買収目的会社(SPAC)であるSocial Capital Hedosophia Holdings Corp Vとの合併を通じて上場する。Social Capitalはベンチャーキャピタル投資家Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏が設立した一連のSPACの1社だ。

SoFiは合併を認め、声明によると同社のバリュエーションは86億5000万ドル(約8981億円)になる見込みだ。ここにはキャッシュ24億ドル(約2491億円)、確認された私募からの12億ドル(約1245億円)、SPACからの出資5億500万ドル(約524億円)、T. Rowe Priceがリードして2020年12月にクローズしたSoFiへの投資が含まれる。

SPACを通じてSoFiを上場企業にするという契約はここ数週間噂されていた。可能性のあるSPACとしてパリハピティヤ氏の名前を明らかにした最新のニュースは最初にロイターが報じている

元TwitterのCOOであるAnthony Noto(アンソニー・ノト)氏が現在率いるSoFiは、学生ローンでより良い融資条件を確保する手段を提供すべく、10年以上前に設立された。同社は商品をローンや投資、保険、そして現金や資産管理のツール(未訳記事)といった消費者向けのもに拡大してきた。2020年4月のGalileoの買収でB2Bの領域にも進出した。

SoFiは創業以来、何百万ドル(数億円)もの資金を調達し、直近のものはカタール投資庁やカタール拠点のプライベートエクイティとソブリンウェルスファンドがリードした2019年の5億ドル(約519億円)のラウンドだ。SoFiは直近では43億ドル(約4464億円)と評価された。

パリハピティヤ氏はSPACブームの祖としての功績がある。空白の小切手の会社としても知られるSPACは他の企業の合併や買収を目的として組成されている。ペーパーカンパニーが後に公開企業となる非公開企業との合併を意図してIPOで資金を調達する。過去18カ月で数多くのSPAC合併があった。

2017年にパリハピティヤ氏はSocial Capital Hedosophia Holdingsという自身の最初のSPACのために6億ドル(約623億円)を調達した。この資金は最終的に英国の宇宙旅行会社Virgin Galacticの49%の株式を取得するのに使われた。Social Capital Hedosophia Holdings Corp Vはパリハピティヤ氏の3つめのSPACだ。2つめのSPACは2020年にOpendoorと合併した。

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カテゴリー:フィンテック
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(翻訳:Mizoguchi

英国の市場規制当局がNVIDIAのArm買収に関し意見募集、ソフトバンクから買収成立なるか

英国の競争・市場規制当局は、NVIDIA(エヌビディア)によるArm Holdingsの買収について意見を求めており、この「Nvidia-Arm」買収が競争に与える潜在的な影響について正式な監督を開始する準備を進めている。

昨年9月に発表された、米国を拠点とするチップメーカーによる400億ドル(約4兆1530億円)での英国チップデザイナーの買収は、英国の雇用、産業戦略・経済主権、さらには国家安全保障への影響など、国内で様々な懸念を引き起こしたが、競争・市場庁(Competition & Markets Authority, CMA)の調査は、競争に関連した影響の可能性にのみ焦点を当てることになる。

英国時間1月6日のプレスリリースによると、Arm社が買収後、「NVIDIAのライバル企業に対しIPライセンシングサービスの撤退、値上げ、品質低下」を行うインセンティブがあるかどうかを調査する可能性が高いとされる。

CMAは、正式な調査の開始に先立ち、1月27日までに買収に関するコメントを募集している。第一段階の調査では、外部からのコメントの機会を追加して設ける予定であるとのことだが、CMAによると、買収に関する決定を下す時期は未定とのこと。

詳細はこちらのケースページで閲覧できる。

CMAの最高責任者であるAndrea Coscelli(アンドレア・コスチェリ)氏は声明で次のように述べている。「チップ技術産業は数十億ドルの価値があり、私たちが日常生活で最も多く使用している製品の多くにとって重要なものです。我々は、世界中の他の競争当局と緊密に協力して、この取引の影響を慎重に検討し、最終的に消費者がより高価な製品や低品質の製品に直面することのないように努めます。」

NVIDIAによるArm買収が英国に与える影響について警鐘を鳴らしている人物の一人は、Armの元々の創業者であるHermann Hauser(ヘルマン・ハウザー)氏に他ならない。

ハウザー氏は2020年9月に首相に手紙を出し、英国の雇用やArm社のビジネスモデル、経済主権の将来への影響について「非常に懸念している」と述べた。

ハウザー氏が反対の署名を集めるために立ち上げたウェブサイト(savearm.co.uk)によると、10月12日時点で2000人以上の署名が集まっているという。

CMAだけでなく、他の多くの国際的な規制当局がこの取引を精査することになり、NVIDIAは9月に、クリアランスプロセスには一年半かかると予想していると述べている。

英国の懸念を先取りしようと、同社はエンジニアリング事業の中核的な部分として、ケンブリッジにあるArmのオフィスを2倍に拡張するとともに、そこに「AI研究の拠点となる新たなグローバルセンター」を設立すると述べた。

CMAは、NVIDIAのArm買収に関して諸方面から出されているより広範な国家安全保障上の懸念について、英国政府は「適切な場合」公益介入通知を発行することを選択できると指摘している。

Armは、2016年にはソフトバンクに約310億ドル(約3兆2181億円)で買収された

その後の同社をNVIDIAに売却する取引は現金と株式交換による買収契約で、ソフトバンクへの即時20億ドル(約2076億円)の現金支払いが含まれていた。しかし、この取引の価値の大部分は、規制当局の認可が下りた後、取引終了時にNVIDIAの株式で支払われることになっている。

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カテゴリー:ハードウェア
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(翻訳:Nakazato)