グラミン日本・SAPジャパン・MAIAがシングルマザーなど女性対象の就労支援・デジタル人材育成プログラムを提供開始

グラミン日本・SAPジャパン・MAIAがシングルマザーなど女性の就労支援・デジタル人材育成プログラム「でじたる女子」を提供開始

グラミン日本SAPジャパンMAIAは8月25日、生活困窮者への経済的自立支援を目的として、デジタルプラットフォームを活用し雇用機会をマッチングさせる就労支援およびデジタル人材育成のためのプログラム「でじたる女子」を開始した。

コロナ禍において、職を失った非正規雇用労働者は2021年7月時点で5万人を超え2020年12月時点より約35%増加(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」)。その中でもシングルマザーの7割が雇用や収入へのマイナス影響を経験しているという(新型コロナウイルス 深刻化する母子世帯の暮らし―1800人の実態調査・速報)。また、就労機会の減少に伴い、実務を通じたスキルアップやキャリアアップのチャンスが失われつつある。

このような社会的な背景のもと、2021年4月より運用を始めた「ソーシャル・リクルーティング・プラットフォーム「SAP Fieldglass」(エスエーピー・フィールドグラス)を活用し、女性のITスキル向上に特化したMAIAのデジタル人材育成プログラム「でじたる女子」を新たに提供することとなった。

同プログラムは、シングルマザーを含む女性を対象に、MAIAが提供するeラーニングを通じて「RPA」「AI-OCR」「CAD」「デジタルマーケティング」などIT関連スキルの習得機会を提供する。その後、グラミン日本とSAPジャパンが提供するSAP Fieldglassを活用し、対象となる女性と提携企業との雇用機会のマッチングを実施する。グラミン日本は、同プログラムを利用する女性向けに、無担保での少額融資、金融教育を提供する。

グラミン日本・SAPジャパン・MAIAがシングルマザーなど女性の就労支援・デジタル人材育成プログラム「でじたる女子」を提供開始

グラミン日本は、バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス博士が設立した、貧困層に無担保で小口融資を行うグラミン銀行の日本版として2018年設立。「貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会へ」をビジョンに掲げ、貧困や生活困窮の状態にある方に低利・無担保で少額の融資を行い、こうした方が起業・就労によって貧困や生活困窮から脱却し自立するのを支援するマイクロファイナンス機関となっている。

これまでの金融ではカバーされなかった人、例えば働く意欲はあっても今は生活が苦しい母子家庭や若者に、生活資金ではなく、「起業や就労の準備のためのお金」を融資するとしている。

MAIAは、「人生100年時代に、『自分らしく生きる』未来を、共に創造する」をビジョンに掲げ、RPAなどIT人材教育や女性の働き方改革に尽力。ITツールの専門スキルを持つ女性が、様々なIT導入から開発・運用、最終的には企業内での自走化までをトータルでサポートするという。

地方創生事業では、地産地消モデルとしてDX化の推進を図り、地域における女性の雇用創出、地域企業の生産性向上の実現を目指している。

独SAPがDXのためのコンシェルジュサービス「RISE with SAP」を提供

米国時間1月27日、SAPはRISE with SAPという新しいソリューションを発表した。これはSAPの顧客がデジタルトランスフォーメーションを推進し、SAPのいう「インテリジェントエンタープライズ」になるための支援を目的にしている。RISEはサービスのセットとプロダクトを組み合わせたサブスクリプションで提供される。

SAPのプロダクトサクセス責任者で同社のS/4HANAのCOOでもあるSven Denecken(スヴェン・デネッケン)氏と筆者が発表の数日前に話をした際、デネッケン氏はRISEについて「デジタルトランスフォーメーションの実現に最適なコンシェルジュサービス」と表現した。同氏はこう語る。「我々は、お客様が現在、目の当たりにしている変化に対応できるよう支援しなくてはなりません。トランスフォーメーションはジャーニーです。どのお客様も、もっとスマートで迅速で変化に対応できるビジネスにしたいと考えています。しかし当然のことながら、現在も将来的にも課題はあります。この継続的なトランスフォーメーションこそが企業に起きていることです。我々は企業と連携する中で、企業が基本を理解していることを知りました。企業はインテリジェントエンタープライズになりたいと考えています。適応し、変化したいのです。重要な問いかけは『どうやって実現するのか?』です。そして我々に対するお客様からの重要な問いかけは『実現するために助けてもらえないか?』です」。

RISE for SAPを利用する企業はSAPの問い合わせ先窓口が1つになり、トランスフォーメーションのジャーニーの支援を依頼できるほか、SAPのパートナーのエコシステムにもアクセスできる。

デネッケン氏が強調したのは、新しいテクノロジーの導入は最初の段階の一部ではあっても必須ではない。むしろ企業が業務プロセスを再設計して最適化し、それぞれの分野のベストプラクティスを実装し、その後の結果を測定できるよう支援するということだ。同氏は「業務プロセスの再設計とは、業務プロセスがどう実行されているかを分析することです。どうすれば自社に適したアドバイスを受けられるでしょうか。どうすれば業界標準に対するベンチマークを計測できるでしょうか。業務プロセスの再設計は方向性の決定に役立ち、IT部門と事業部門の従業員が適応するためのモチベーションにもつながります」と説明する。さらに同氏は、デジタルトランスフォーメーションのプロジェクトを成功させるためにはIT部門と事業部門のリーダーと従業員の協力が欠かせないとも補足した。

これにはテクノロジーの導入やRPAの採用などもある程度は含まれる。デネッケン氏が強調したように、SAPが長年にわたって顧客とともに業務プロセスやKPIを定義してきた成果の上にこうしたものが構築される。

技術面に関しては、SAPのビジネステクノロジープラットフォームやクラウドインフラストラクチャはもちろん提供するが、大手クラウドプロバイダーの利用もサポートする。RISEにはオンプレミス、クラウド、SAP以外のシステムを統合する2200以上のAPIサポートや、SAPのローコード、ノーコード機能の利用、そしてもちろんSAPのデータベースと分析の機能も含まれる。

SAPのCEOであるChristian Klein(クリスチャン・クライン)氏は今回の発表の中で「地政学的な緊張、環境問題、そして継続している新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によって、企業にはこれまで以上に迅速に変化に対応することが求められています。業務プロセスを迅速に適応させることができる企業は成功します。SAPはその実現を支援します。RISE with SAPは、お客様が業界をリードしていくためにクラウドで事業経営をする新しい道を常に切り開くお手伝いをします」と述べている。

RISE with SAPの開始により、以前はSAPのパートナーのエコシステムを通じて利用されていた多くのソリューションをSAPが顧客に提供することになる。ただしデネッケン氏は、パートナーとの競合になるとは考えていない。同氏は、これはまさに連携プレイであり、この新しいソリューションによってパートナーの顧客も増えるという影響のみが発生するだろうと述べている。

同氏は「いうまでもなく、パートナーとは話し合ってきました。確かに、(これまで)パートナーがやっていたことを我々が引き継ぐ場合もあるからです。しかし我々は規模の拡大を目指しています。デジタルフォーメーションに関する市場のニーズは始まったばかりです。パートナーも含めて、ここには明らかに大きなチャンスがあると見ています」と説明した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SAP

画像クレジット:Krisztian Bocsi/Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

独ソフトウェア大手のSAPがベルリンのビジネスプロセスオートメーションのスタートアップ「Signavio」を買収

SAPがベルリンのビジネスプロセスオートメーションのスタートアップSignavioを買収するらしいという噂は飛び交っていた。そして米国時間1月27日、SAPはこれを正式に認めた。両社は買収金額を明らかにしていないが、Bloombergは米国時間1月25日に12億ドル(約1250億円)の見込みだと報じていた。

Signavioの買収により、SAPはクラウドネイティブのビジネスプロセスマネジメントツールを手に入れる。SAPのCFOであるLuka Mucic(ルカ・ムシック)氏は、ビジネスプロセスを理解し自動化することが企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みにおける重要な部分と見ている。

同氏は発表の中で「企業が新たな可能性やビジネスモデルに対応するために、全社にわたってビジネスプロセスを設計、測定、向上、変革できるようにすることの重要性は、どんなに強調しても強調しすぎることはありません」と述べている。

何年も前からエンタープライズ向けBPAツールはあったが、クラウドネイティブのツールを持つことでSAPはこれまでよりもずっとモダンなアプローチでこの問題に対応できる。クラウドを利用したビジネスプロセスの自動化は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により多くの従業員が在宅勤務をする中で重要性を増している。

SAPは、Signavioを同社のビジネスプロセスインテリジェンスユニットに欠けていた重要なピースであるとも考えている。ムシック氏は「SAPとSignavioのビジネスプロセスインテリジェンスを組み合わせて先進的なエンド・ツー・エンドのビジネスプロセストランスフォーメーションスイートを作り、我々のお客様が競争力を獲得するための要件を満たせるように支援します」と述べた。

SAPは最近になってプロセスオートメーションに取り組んでいる。同社は2020年12月のSAP TechEdでSAP Intelligent Robotic Process Automationを発表して、RPAの分野に進出した。この発表と今回の動きは良い組み合わせになるはずだ。

Savignoの共同創業者でCEOのGero Decker(ゲロ・デッカー)博士は、SAPのリソースによってSavignoだけではできないことができるようになると考えている。博士は発表の中で「SAPの立場、カバーしている地域、資金力を考えると、SAPはプロセスインテリジェンスをあらゆる組織に導入するための最大で最高のプラットフォームです」と述べている。

リソースの増加とリーチに関する議論は買収された企業のCEOなら誰でも経験することだが、SAPほどの規模の企業に買収されるのは諸刃の剣にもなり得る。確かにリソースは莫大だが、買収された企業にとっては巨大な海の中で自分の居場所を見つけるのは簡単ではない。Savignoがうまくフィットしてスタートアップから大企業の歯車になれるかどうかが、長い目で見ればこの買収の成否を決める。

Savignoはベルリンで2009年に設立され、Crunchbaseのデータによると2億3000万ドル(約240億円)近くを調達した。Apax DigitalやSummit Partnersなどが投資している。直近では2019年7月のシリーズCで1億7700万ドル(約184億8000万円)を調達し、評価額は4億ドル(約417億6000万円)となっていた。

同社の顧客にはComcast、Bosch、Liberty Mutual、そしてSAPなどがある。SAPはおそらくこれから料金が割引になるのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SAPSavigno買収

画像クレジット:Alex Grimm / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

ソフトウェア最大手のSAPが新型コロナ後の売上・利益予測下方修正で株価急落

米国時間10月25日にSAP2020年第3四半期決算を同社のさまざまな集計結果とともに発表した。当期の売上予測を達成できなかった同社は、2021年の見通しも下方修正した。重なる悪い知らせは投資家の動揺を呼び、株価は時間外取引で20%以上暴落し、市場開始後も改善の様相を見せていない。

その結果、ドイツのソフトウェア巨人は時価総額数百億ドル(数兆円)を失った。

報告全体が悲観的で、売上は4%減の65億4000万ユーロ(約8100億円)、クラウド・ソフトウェア売上が2%減、営業利益は12%減だった。唯一の明るい材料は、同社の純クラウド部門で、11%増の19億8000万ユーロ(約2450億円)を売り上げた。

SAPの売上は、予測を約3億1000万ユーロ(約380億円)下回ったが、1株あたり利益は調整前、調整後いずれも予測を上回った。

SAPの大幅な売上減だけでも投資家を売りに走らせるのに十分だったろうが、 予測の修正(SAPリリース)が懸念に輪をかけた。パンデミック中での顧客のクラウドへの移行は加速していると同社はいうが、パンデミックが売上と大型プロジェクトを減速させていることも明かした。

Constellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、これが予想外の売上減少につながったという。

「SAPで何が起きたのかといえば、クラウド売上の遅れであり、顧客がSAPはクラウド製品のみに投資しているので、将来クラウドへ移行しなくてはならないと知っているからだ。問題は、SAPユーザーがパンデミック中にクラウドへ移行していないこと」とミューラー氏はTechCrunchに語った。

時代の波に合わせ、SAPは決算報告の中で2025年の見通しについて話したが、パンデミックがSAPの現在と未来のビジネスに劇的な打撃を与えていることに対する投資家の懸念を拭うことはできなかった。

SAPは2020年の予測を以下のように修正した。

  • 非IFRS(国際財務報告基準)クラウド売上(恒常為替レート)80~82億ユーロ(約9910億〜1兆160億円)、従来は83~87億ユーロ(約1兆280億〜1兆780億円)
  • 非IFRSクラウドおよびソフトウェア売上(恒常為替レート)231~236億ユーロ(約2兆8620億〜2兆9240億円)、従来は234~240億ユーロ(約2兆8990億〜2兆9730億円)
  • 非IFRS総売上(恒常為替レート)272~278億ユーロ(約3兆3690億〜3兆4440億円)、従来は278~285億ユーロ(約3兆4440億〜3兆5230億円)
  • 非IFRS営業利益(恒常為替レート)81~85億ユーロ(約1兆30億〜1兆530億円)、従来は81~87億ユーロ(約1兆30億〜1兆770億円)

つまり、3億〜5億ユーロ(約370億〜620億円)のクラウド売上が消滅し、クラウドおよびソフトウェア売上3~4億ユーロ(約370億〜500億円)、総売上60~70億ユーロ(約7430億〜8670億円)もなくなった。その結果利益予測は最大2億ユーロ(約250億円)削られた。

それでも会社は将来予測について強気の姿勢を見せ、新型コロナの影響は解消しつつあり、既存顧客はいずれクラウドに移行し、それが長期的に大きな新規売上になると信じている。その代償は今後1~2年の短期的な痛みだ。

「今後2年間、当社の成長は停滞し営業利益は横ばいかやや減少すると予想しています。しかし、2022年以降には大きく取り戻します。加速するクラウド移行による当初の向かい風が、売上と利益の追い風に変わり始めるからです。【略】それは売上成長の加速と営業利益の2桁成長が2023年から始まることを意味しています」とSAP CFOのLuka Mucic(ルカ・ムシック)氏が10月26日のアナリストとの会見で語った。

次の問題は、果たして会社はこうした目標を達成できるかのどうか、そしてパンデミック中の長期的アプローチが投資家を鎮められるかだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SAP決算発表

画像クレジット:picture alliance / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook