カリフォルニアの大学はオンラインコースを積極的に拡大, 学生の成績も向上

世界最大の大学組織カリフォルニア州立大学(California State University)は、その傑出して有望なパイロットコースにより、MOOC(Massive Online Open Learning, 大規模オンラインオープン学習)への実験的進出を精力的に拡大しつつある。近く同大学機構は、電気工学コースの反転(flipped)バージョンを提供する大学を、これまでより11増やす。これらの大学の学生たちは自宅でハーバードやMITの講義を視聴でき、また問題を自分で解く体験もする。その対象校の一つであるサンノゼ州立大学(San Jose State University)のパイロットでは、反転クラスにおける履修試験合格率が46%という異例の高率になった。これを見て学長のMohammad Qayoumiは、パイロットを終えて正式コースにしてもよい、と考えるまでになった。

その初等電気回路のコースは、ハーバードとMITのオンラインコースedXから提供された。edXは、大学内部の(正規の学生のための)授業方法論ではなく、無料の一般社会教育としてのMOOCの試みだ。

本誌がこれまで書いてきたように、オンライン教育への取り組みは大学の形を急速に変えつつある。その変容のペースは、教育学者たちによる研究を困難にするほどに速い。edXの理事長Anant Agarwal自身が、その状況を見て“とても信じられない”と言った。

サンノゼのedXコースの例は、大学が退屈で古い講義型の授業から対話的な授業に切り替えたときに経験する結果と同じものだ。たとえばカリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物化学のクラスの実験では、講義を捨てた結果、履修証明合格率が約18%上がった

しかし、一度かぎりの実験における好結果は、それを本番化大規模化した場合の現実を反映しないことが多い。進取の気性に富んだパイロット事業が、あまり熱心でない教師と学生たちによる多人数の一般授業に移されると、良い結果をもたらさないこともありえる。

そこでサンノゼ州立大学は、MOOCのトレーニングセンター、Center for Excellence in Adaptive and Blended Learning(適応型混成学習高度化センター)を設置した。好むと好まざるとに関わらず、MOOCは普及していく。しかも、正しい形のオンライン教育は、今急騰している学生と大学の債務を抑制するための、唯一の方法だ。edXの発表の席でカリフォルニア州副知事のGavin Newsomは、こう言った: “率直に言って、これまでのような形の教育予算をこれからも維持していくことは、とうてい不可能だ”。教育をめぐる巨額な債務は、大学と学生だけでなく、行政にとっても、限界を超えた重荷になっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


全世界のWordPressサイトに大規模攻撃; デフォルトのアドミンユーザ名’admin’がねらわれている

本誌TechCrunchのように、WordPressを使ってサイトを構成しているところは、管理/編集ページにアクセスする人たちのパスワードが“強いパスワード”であることを、あらためて確認しよう。そしてユーザ名が、”admin”であってはいけないHostGatorCloudFlareからの報告によると、今、WordPressを使っているブログに対する大規模無差別攻撃が行われている。その大半は辞書を使用する力ずくの攻撃で、とくにWordPressがデフォルトで設定する”admin”アカウントのパスワードを見つけようとする。

HostGatorの分析によると、これは高度に組織化された、そして広範囲に分散した攻撃だ。同社の見積もりでは、今のところ約9万のIPアドレスが使われている。CloudFlareのファウンダでCEOのMatthew Princeが今朝語ったところによると、ハッカーたちは約10万のボットをコントロールしている。CloudFlareが実際に見たところによると、攻撃は相手を選ばずで、特定の種類のサイトに偏ってはいない。

知らない人に自分のパスワードを当てられるのも迷惑だが、犯人たちの最終目的はサーバを乗っ取ることだ。CloudFlareの説によると、犯人は現在、比較的ローパワーなホームPCのネットワークを使っているが、そのねらいは“強力なサーバによる大きなボットネットを作って次の攻撃に備える”ことだ、という。ホームPCは、大規模なDoS攻撃の舞台にもなる。しかしサーバを乗っ取って利用すれば、さらに強力な攻撃が可能だ。

今行われている攻撃は、同じくWordPressのサイトをねらった2012年の攻撃に似ている。でもそのときの攻撃は、古いバージョンのTimThumbを探した。これはWordPressのテンプレートの多くがデフォルトで使っている、PHPによる画像のサイズ変更ソフトだ。

CloudFlareとHostGator、およびそのほかのホスティングプロバイダの多くが、顧客を保護するための適切な措置をすでに講じている。強力なパスワードを選ぶことはつねに重要だが、いろいろWordPressプラグインをインストールして、同じIPアドレスや同じネットワークからのログイン回数を制限し、こういう力づくの攻撃を防ぐこともできる。ただしWordPressのファウンダMatt Mullenwegは彼の今日の午後のブログ記事で、ユーザ名を’admin’から別の…ありふれてない…ものに変えることが最良の防御だ、と言っている。犯人は9万ものIPを使っているのだから、特定は困難である、と。あなたのサイトがもしもWordPressを使っていたら、二段階認証をonにして、セキュリティの層を厚くすることもできる。

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Web上のビデオの好きな箇所をクリップできるReelSurferがデザインを一新

Y Combinator出身のインスタントビデオエディタReelSurferは、YouTubeなどのビデオサイトにあるビデオから重要シーンを短いビデオクリップとして切り取りたい、というファウンダたちの欲求から生まれた。欲しいクリップが見つからない、でも長いビデオの中にはそのシーンがある、それをダウンロードする、そのシーンの部分だけをクリップとして取り出す、…。

ReelSurferは任意のWebサイト上にある任意のビデオをクリップして、それをFacebook、Twitterなどのお友だちと共有するツールだ。というか、それがこのプロダクトの将来の完成形だ。これまでは、“任意のビデオ”ではなくて、残念ながらYouTubeのビデオのみだった。

今日(米国時間4/12)はReelSurferが新しいデザインのインタフェイスを披露した。サイトのナビゲーションがしやすいし、また検索ボックスが目立つところに置かれた。

この新しいインタフェイスでユーザは、複数のビデオからのマッシュアップを作れるだけでなく、ソース(元のビデオ)にリンクバックすることもできる。検索も良くなって、求めるクリップをすでに誰かが作っていたら、それを見つけることもできる。そうやって、時間を節約できる。

しかし最大の新機能は、YouTube、Vimeo、Brightcove、OoyalaなどなどからReelSurferのbookmarkletを使ってビデオをクリップできる機能だ。たとえばESPNの10億本あまりと言われるビデオはOoyalaにあるし、The New York TimesのビデオはBrightCoveにある。サイトとメディアの完全なリストは、ここにある。

ReelSurferは久しぶりの情報の一環として、ユーザの例を挙げている。たとえばTedXTeenとPopSugarは、ReelSurferを使ってソーシャルメディアフレンドリーなクリップの制作と共有をしている。Counting CrowsやReutersもだ。詳しくはここで。

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改良版Bitcoinを名乗るOpenCoinがAndreessen Horowitzらから資金を獲得

このところ、毎日のようにBitcoin関連の投資話がある。どうやらVCたちは、分散型デジタル通貨を取り巻くエコシステムへの投資に躍起になっているようだ。今日はOpenCoinが、Andreessen Horowitz、FF Angel、Lightspeed Venture Parnters、Vast Ventures、そしてBitcoin Opporunity Fundからエンジェル資金を調達したと発表した(額非公開)。最後のBitcoin Opporunity Fundは、SecondMarketのファウンダBarry Silbertが作ったBitcoin関連専門のVCだ。そしてOpenCoinは、オープンソースの支払決済プロトコルRippleのデベロッパでもある。

OpenCoinは、新たに得られた資金をRippleのオープンソースコードの拡張に充てる。Rippleは、一種の仮想通貨/支払システムで、誰もがどんな通貨でも、またどれだけの額でも、低コストで取引できる市場を作ろうとしている。CEOのChris Larsenは金融業界のベテランで、P2P方式の巨大貸し金サイトProsperのファウンダでもある。OpenCoin自体は、新しいグローバル通貨を作ることをミッション(企業の使命)としている。

OpenCoinは“Bitcoinのコピー”だ、と言う人もいる。分散型でオープンソースの支払ネットワークであり、そして”Ripple”と呼ばれる独自の仮想通貨(Bitcoin的)を使う。でもOpenCoin自身は、Bitcoinの同類と見られるのは迷惑、と言っている。

Bitcoinは今人気急伸中で、仮想通貨としては初めての10億ドル市場になりつつあるが、にもかかわらず、あるいは、それゆえに、不安要素が増し、セキュリティの問題も抱えるようになった。Bitcoinのトランザクションはまた、確認に時間がかかりすぎると言われている。

OpenCoinはこれらの問題を、統一台帳を作ることによって解決しようとする。その台帳には、すべての口座とトランザクションと残高が記録され、それをシステムが自動的にpingすることによってトランザクションの正当性を確認し、1分以内で正しい決済が完了する、と同社は言う。手数料は無料、複数の国にまたがる取引も費用やチャージバックを最小にする。また、Bitcoinのようなセキュリティ問題も、生じない。

同社の主張では、Rippleはどんな通貨にも対応できる。ドルでも円でもユーロでも、それにBitcoinでも。そこでRippleは、初めての分散通貨交換システムとなる。今流通しているRippleはそれほど多くないが、同社は5月に大量の通貨(500億Ripple)を市場に投入し、長期的には総流通量を1千億まで持っていきたい、と同社は言っている。

この話の前にOpenCoinはSimpleHoneyを買収し、その人材を確保した。SimpleHoneyは、ウィッシュリスト(欲しい物・今後買いたい物リスト)をベースとするショッピングアプリケーションで、Bitcoinのような仮想通貨の利用を本格的に大衆化することをねらっている。この買収のタイミングは、OpenCoin自身が仮想通貨交換システムの拡張に乗り出した時期と一致する。この機能拡張によってユーザは、Rippleを媒介として複数の通貨による支払いの送受、口座残高の監視、両替、などができるようになる。

今は多くの人が、Bitcoinの将来を危ぶみ、一時的な流行ないしバブルと見ているが、似たもの視されがちなOpenCoinとRippleには、上で述べたようなプラスの側面もある。またRippleを開発したJed McCalebらのハッカーはBitcoinの初期の開発における中心的人物であり、仮想通貨の世界では高い評価を得ている。最大のBitcoin交換サイトの一つであるMt.Goxを作ったのが、McCalebだ。

OpenCoinは、Bitcoinがもっと進化した形だ、と自負している。セキュリティを重視した複数通貨による交換システムにより、グローバルな分散仮想通貨を世の中のメジャーに押し上げ大衆化していく動きの、先頭に立ちうるかもしれない。

詳しくは、Rippleのサイトで。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


視線追跡で広告効果を高めるStickyが300万ドルを調達

視線(視標)追跡技術で広告効果を測定するスタートアップ、Stickyが新たに300万ドルの資金を調達した。

同社の前身は、Tobii Technologiesからスピンオフしたウェブカムによる視線追跡サービス、EyeTrackShop。最大のセールスポイントは、広告が消費者の画面に配信され表示されたかどうかだけでなく、実際に消費者が広瑁を見たかどうかを判定できることだ。

Stickyによると、顧客はダッシュボードで広告の効果や1000組も目にリーチするのに必要な実コストを見ることができる。その結果広告主は消費者がもっとも注目する形態に予算を注ぎ込むことが可能になる。また同社は、広告主が初期に大きな波を起こし(そのために高いビュー単価を払う)、後に単価の低いサイトでメッセージを補強するといった使い方も提案している。

「われわれの使命は広告によるデジタル荒地をなくすこと」とファウンダー・CEOのMathias Plankが資金調達発表のプレスリリースで言っている。

EyeTrackShopは昨年300万ドルの資金をヨーロッパの会社Northzoneから調達した。新たな資金の提供元はNorthzoneおよびConor Venture Partnersだ。

Stickyを利用している広告主には、P&G、L’Oreal、McDonald’s、GroupM等がある。

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(翻訳:Nob Takahashi)


テク業界全体の利益を代表する政策ロビー団体が創設, Zuckerbergらがメンバーに–まず移民法の改正へ

【抄訳】

FacebookやGoogleをはじめ、今日のテク系大企業が、FWD.usという名前の政治団体を作る、と今日(米国時間4/10)発表された。目的は、アメリカの労働力の質の高め維持だ。特定の政党とは無縁の団体で、まず最初の活動目的は移民法を大改正して海外の人材の導入を容易にすることだ。それからさらに、教育改革や科学研究の振興にも手を伸ばしていく。

San Francisco Chronicle紙の2週間前の特ダネ記事では、FacebookのCEO Mark Zuckerbergが”Forward U.S.”という名前の団体の発足に関わる、となっていた。しかし今日はFWD.usのキャンペーンマネージャのRob Jesmerが本誌TechCrunchに、公式の立ち上げを告げてきた。活動内容は、オンラインでの情宣活動、政策提案、資金調達などだ。

Zuckerbergは今朝のWashington Post紙に署名入り小論を寄稿し、団体の使命として、“知識経済を構築するために合衆国は、雇用とイノベーションと投資の一層の増大が必要である”、と述べている。

FWD.usの最優先の目的は、移民に対する規制を緩和して海外の人材の導入を容易にすること、国内起業家の海外流出を防ぐこと、教育改革、そしてアメリカ経済の繁栄だ。彼らの富と影響力を“たばねる”ことによって、優れた候補者を支援し、また思い切った政策転換のためのロビー活動を行っていく。古くて、障害物と化しているような政策の廃棄も、重要な目的の一つだ。教育改革も海外人材の導入の容易化も、メンバー企業の利益に貢献するが、同団体が強調しているのはあくまでも、それがアメリカの労働力全般と学生たちにもたらす利益だ。〔上図中: Fortune 500企業のファウンダの40%は移民または移民の子孫。

理事長はCausesとNationBuilderの協同ファウンダで、現在はAndreessen Horowitzの社内起業家Joe Green。団体は501(c)(4)に基づく非営利社会福祉団体として登録され、無制限の寄付を受け取ることができる。自動車業界、音楽業界、放送業界等々には“業界全体としての”政策ロビー団体が昔からあるが、テク業界は、これまでなかったのがむしろおかしい、とGreenは言っている。創設メンバーは、Zuckerberg、Green、Aditya Agarwal(Dropbox)、Jim Breyer(Accel Partners)、Matt Cohler(Benchmark)、Ron Conway(SV Angel)、John Doerr(Kleiner Perkins Caufield & Byers)、Reid Hoffman(Greylock/LinkedIn)、Drew Houston(Dropbox)、Chamath Palihapitiya(The Social+Capital Partnership)、Ruchi Sanghvi(Dropbox)。主な協賛メンバーはBrian Chesky(Airbnb)、Chris Cox(Facebook)、Paul Graham(Y Combinator)、Reed Hastings(Netflix)、Chad Hurley(AVOS/YouTube) Josh James(Domo/Omniture)、Max Levchin(PayPal/Yelp)、Joe Lonsdale(Palantir)、Andrew Mason(Groupon)、Marissa Mayer(Yahoo)、Mary Meeker(Kleiner Perkins Caufield & Byers)、Dave Morin (Path)、Elon Musk(Tesla/SpaceX)、Hadi Partovi(Code.org)、Alison Pincus(One Kings Lane)、Mark Pincus(Zynga)、Keith Rabois(Khosla Ventures)、Hosain Rahman(Jawbone)、David Sacks(Yammer)、Eric Schmidt(Google)、Kevin Systrom(Instagram)、Padmasree Warrior(Cisco)、Fred Wilson(Union Square Ventures)。以上はすべて個人資格であり、所属企業を代表していない。詳しい情報は、ここで。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


紙に描いた絵をインタフェイスのデモに変換するPOPがYouTubeのファウンダの会社AVOSの傘下に

【抄訳】

POPは、デベロッパが紙に描いたスケッチをアプリケーションのプロトタイプにする。ここがこのたび、YouTubeの協同ファウンダChad HurleyとSteve Chenが率いるインターネット企業AVOSの傘下に入る。11月にPOP(Prototyping On Paper,紙の上でプロトタイピング)がローンチしたときは、その簡単で使いやすい仕組みが人気を呼び、テク系デザイン系の両方のブログで騒がれた。POPでデベロッパがやることといえば、ユーザインタフェイスを紙に描き、そのスケッチを写真に撮り、それを画面上でタップできるデモに換える、それだけだ。

AVOSと出会う前のPOPは、台北のファウンダチームWOOMOO Inc.が自己資金だけでやっていた。その一人Ben Leeによると、Chenから初めてメールをもらったときはには“ぶったまげた”そうだ。

【中略】

POPのチームは、ChenとHurleyのYouTubeとDeliciousにおける経験が、正しいプラットホームの作り方や、ビジネスのスケール(大きくすること)、管理チームの改善、シリコンバレーでデベロッパを見つける、などなどに役立つと期待している。もちろん、一流のVCを紹介してくれることも。

Leeは曰く、“プロトタイピングツールとして出発したけど、シリコンバレーを訪ねてからは考え方が変わった。プロトタイプが簡単に作れるようになれば、誰もがそれを自分のアプリにしたいと考えるはずだ。だから、単なるツールではなく、アプリを作って展開できるプラットホームに進化して行きたい”。

LeeがPOPを思いついたのは、彼自身がアプリケーションをデザインするときに、必ずまず紙とペンを使って絵を描くからだ。“これまでのツールは複雑で柔軟性に乏しいのが多いね。だから今でも紙とペンを使う人が多いのさ。ただし紙に描いた絵の問題は、そのままではプレゼンやデモができないことだ。そのジレンマを、解消しようと思った”、とLeeは語る。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


バックエンドまわりをすべて引き受けるBacklift, デベロッパはフロントエンドだけ書けばよい

今日ローンチしたY Combinator出身のスタートアップBackliftは、フロントエンドデベロッパのためのバックエンドデベロッパ、を自称している。サーバ環境のセットアップなどをすべて引き受けるので、フロントエンドデベロッパはまさにフロントエンドのロジックだけに集中できる。そのために必要なのは、Dropboxのアカウントとテキストエディタのみ。BackliftはDropboxをファイルシンクサービスとして利用する。あなたの縁の下にBackliftがいると、RailsDjangonode.jsなどのセットアップについて、あなた自身は何も知らなくてもよい。

BackliftのファウンダCole Krumbholzによると、彼のねらいはデベロッパがいきなり自分のフロントエンドのコードを書き始められること。デベロッパの中にはバックエンドについてびびる人が多いが、Backliftはそういう人たちのための教材としても優れている、と彼は言う。またBackliftは、プロトタイピングの場としても利用して欲しいし、将来的にはアプリケーションのホスティングもやりたい、と。

Backliftには、Dropboxのアカウントでサインインする。そしていろんなテンプレートが用意されているから、その中から自分のアプリ用を選ぶ。backbone.jsのサンプルアプリケーションも各種用意されている。Google MapsのAPIを使うサイトの例、Bootstrapを使うシンプルなサイトの例、などもある。そのほかのよく使われる技術、AngularJS、CoffeeScript、Handlebarsなども使える。BackliftはユーザのDropboxアカウントに新しいフォルダを作り(それはユーザのデスクトップにも反映し)、ユーザはお好きなテキストエディタでコードを書き始める。コードをDropboxにセーブすると、それはBackliftにシンクされ、結果をブラウザ上で見られる(シンクはユーザがコードをDropboxにアップロードしてから1秒未満で始まる)。

アプリケーションは何らかのデータを扱うものが多いから、Backliftはベーシックなデータ処理のためのAPIを提供している。管理用のダッシュボードが提供されるので、そこでデータベースへのデータのインポート/エキスポートなどを行う。

ベータの段階でBackliftを本格的に利用したスタートアップの一つがAutomatic.comだ。これもYC出身だが、最近ローンチした独特なハードウェアによって、どんな車でもインターネットに接続できる車にする。Automatic.comのビジュアルと対話デザイナーGabriel Valdiviaは、次のように言う: “うちはAmazonのS3も使ってるけど、開発段階、それに投資家たちにに見せる段階では、Backliftの方がずっと便利だし、仕事がはやいし、それにセキュアだ”。

Krumbholzによると、このサービスは絶えず進化していて、今計画している今後の機能も多い。ただし、その詳細を話すのは尚早だそうだ。

Backliftは今、完全に無料だ。今後は有料の機能も加えるが、それについても詳細は未定だ。

Krumbholzは、Y Combinatorのスタートアップとしては珍しく、単独ファウンダだ。海軍を除隊した彼は次に航空管制用ソフトウェアのインタフェイスを作り、さらにその次にはiOS用のモバイルゲームを作り始めた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Glassの試用モデルは来月中に出荷、とGoogleが発表

今日(米国時間4/10)Google Ventureの“Glass Collective” 発表イベントでGoogleは、「Glassのハードウェア」を「来月中」にデベロッパーに渡したいと語った。Googleが最初の一般公開版を出荷する予定の正確な日付は未だにわからないが、Googleは1500ドルのデバイスをデベロッパー向けに提供するかなり近い段階にあることを認めた。

もちろんGlassを来月中に出荷することには重要な意味がある。Googleは年次I/Oデベロッパーカンファレンスを5月15~17日にサンフランシスコで開催する。Glassがこのイベントで主役を演じることは間違いなく、もしGoogleがデベロッパーをこのプロジェクトに引きつけ、I/Oカンファレンス中にGlassのMirror APIを話題にしてもらうためには、早くデベロッパーの手に端末が渡る必要がある。

昨年Googleは、I/O参加者を対象にGlassの事前登録を受け付けたが、同社はそれ以来これらのデベロッパーに対して、待ち人数が刻印されたガラスのブロックを送る以外、何の連絡もしなかった。

Googleは他の人々に対しても、Glassをいち早く買う権利を競わせようと、TwitterとGoogle+に、なぜGlassが欲しくなるかの理由を書き込んだ。このプロジェクトは、追加で約8000人の早期テスターをGlassコミュニティーに呼ぼうとしたが、Google(およびプロジェクトで提携している会社)がランダムに人を選んだことで強い批判を浴びた。後日Googleはこれらの招待の一部を取り消した

Glassを購入する権利を得た人は、ロサンゼルス、サンフランシスコ、またはニューヨークに直接出向いて受け取らなくてはならない。デベロッパーも同じことをするのかどうかは不明だが、I/Oで受け取れるようにするのが理にかなっているだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


サンフランシスコの科学博物館「エクスプロラトリアム」は、精神障害と同性愛も探求する

新装なったサンフランシスコのおしゃれな3億ドルのサイエンス・ミュージアムは、子供たちに「何が正常か?」を問う大胆な行動に出た。エクスプロラトリアムの海岸沿いの一室に、光の屈析とレーザー光線の展示の間に隠れるように、精神医療に関する20世紀の地味な展示がある。精神相談の診断書には、今日では極めて正常であると考えられる行動(同性愛を含む)のために、収容されたり薬漬けにされた不幸な人々の治療について詳しく記されている。「正常とは変化し続ける景観」であると、共同キュレーターのPamela Winfreyが説明する。彼女は子供にも大人にも、人々の慣習を定めるために医療科学がどう役立ってきたかを理解してほしいと言う。

中でも最も興味をそそりかつ議論を呼ぶ人物が「Frank C」で、彼は医者たちが当時「同性愛パニック」と呼んでいたとされる理由で収容された。1942年に兵役を終えた後、彼はあるレストランの外で暴れだした。医者には「私は自分がキングスカウンティー病院にいることを知っている。私は病気ではない。フルトン通りで興奮してゴミをまき散らした。カッとなった。爆発した。怒っていた。バージニアのレストランで皿を割った・・・誰かが私を殺そうとしていると思った」などと話した。

彼の行動に対する治療は、こう説明されている「医師は彼が自身の潜在的同性愛要求を恐れていることを疑った。当時、このいわゆる「同性愛パニック」は妄想症を引き起こすと信じられていた・・・彼は静寂な環境下で薬物による治療を受けた」。

科学的に何が正常かの基準は、長い間精神科診断のバイブル、『精神障害の診断と統計の手引き』(DSM)によって規定されていた。賛否を呼んだ同書の第5版では、アスペルガー障害が新たな包括カテゴリー「自閉症スペクトラム障害」に編入された。「性同一障害」は現在「性別異和感」とされ「個人が体験あるいは表現する性と与えられた性との間に著しい不一致による精神的苦痛」を指す。

“Changing The Face Of What Is Normal”[何が正常であるかの形勢を変える]の展示でもう一つ重要なポイントは、精神障害はありふれていると共に、その多くが一過性であることだとWinfreyは主張する。例えば統合失調症のような疾患は、必ずしも患者を社会的に活動不能にするものではない。そして恐らく最も重要なのは、殆どの人々はいずれ精神障害を体験するか、精神障害患者と近しくなるということだ。「この展示は、こうした敏感な主題に安全な形で触れることのできる一つの方法」だと彼女は説明する。インターネット活動家、Aaron Swartzの自殺から間もない今、精神障害はタイムリーであり考えさせられる話題だ。

このミュージアム自体の影響力は軽視できない。国を代表する科学博物館として、全米の展示物の表舞台となっている。当局によると、同館はサンフランシシコ湾地区最大の教員開発組織であり、移動展示は1.8億人以上が閲覧している。

望まれるのは、エクスプロラトリアムのDennis Bartels館長も言うように、「実際に自分で考える人々」を生み出すことだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google、.Search を〈ドット無し〉ドメインとして運用希望。.Cloud、.Blog、.App はオープン化の予定

手に入れた暁には、 .search を「ドット無しドメイン」に変えたいとGoogleは考えている。同社が数日前ICANNに伝えた。昨年、Googleは .app、.blog、.cloud、および .search のジェネリック・トップレベルドメイン(gTLD)の運用を、ドメイン名システム大規模拡張の一環として申請した。

この拡張を管理するICANNは、未だにこれらのいかなるgTLDも許諾しておらず、プログラム全体の賛否も議論されている。しかし今年3月、GoogleはICANNに書簡を送り、これらのトップドメイン名に関する同社の詳細な計画を近くICANNに提出する意向を示した。そして今Googleは、子会社のCharleston Road Registryを通じてそれを実行した(申請書類の全編は文末に貼ってある)。

当初Googleは、これらのgTLDを一般に開放し、同社サービスでのみ使う予定はないように見えた。ICANNへの書簡でGoogleは、「.blog および .cloud に関連する主要コミュニティーと協力して、これらのトップレベルドメインの運用に関する技術標準を制定している最中であることを公表した。

Googleのドット無し .Search 計画

中でもいたばん興味深い計画は、.search を利用して、〈ドット無し〉.search ドメイン(http://search/)の転送サービスを運用するというもので、簡単な技術標準によって、検索機能を提供するサービスを横断する一貫したクエリ・インターフェースを可能にし、利用者は簡単に個人設定で指名した検索サービスを使って検索できるようになる。

ドット無しドメイン( http://example やメールアドレスの mail@example を想像されたい)については、ICANNがこれまでにも検討を重ねてきており、セキュリティー専門家らは、Googleが http://search/ を運営することに対して否定的だ。

「提案している gTLDの使命は、インターネットユーザーが、好みの検索機能を見つけやすく使いやすくすること」とGoogleは補正申請書に書いている。

しかし、実際これがどういう見え方になるのか正確なところはまだわからない。ドメインシステムの全く新しい使い方であることは疑いがなく、補正申請書から判断すると、Googleはこの機能をサードパーティー開発者や直接の競合他社にも開放するとしている。

もちろん、実際誰が .search を管理するのかは現時点では未定だ。Google以外に、Amazon、dot Now Limited、および Donuts.co もこのgTLDを申請している

.Blog、 .App、.Cloud

.blog TLDでは、「.blog 登録者が、自分のブログ用2次ドメインを好みのブログプラットフォームと簡単に紐付けできるようになる」とGoogleは言う。新しい .cloud ドメインも、「クラウドプラットフォームでホストされているプロジェクト」に直接関連付けられる。Googleがどうやってこれを実現する計画なのかは明らかになっていないが、書簡によると同社は「ユーザーが登録時に、自分のドメイン名が自動的に自分のブログにリンクできる」ための技術標準を作ろうとしている。

.app に関してGoogleは、このTLDの利用を「主要なデベロッパー・コミュニティー」に限定し、特定のプラットフォームには限定しない計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


YC出身で企業ウェブサイトのA/Bテスト・サービスのスタートアップ、Optimizelyが2800万ドルをBenchmark他から調達

Y Combinator出身で企業のウェブサイトに対してさまざまなバージョンのデザインでA/Bテストを提供するスタートアップ、OptimizelyがシリーズAのラウンドで2800万ドルの資金を調達した。

どんなスタートアップにとってもシリーズAで2800万ドルといえば大した金額だが、Optimizelyはこれまでにわずか320万ドルの資金しか集めていないのだから、特に大きな一歩だ。.前回のラウンドは1年前にされたが、これまでその結果について何も発表されていなかった。

共同ファウンダー、CEOのDan Sirokerは私の取材に対して「比較的少額の投資を受けただけにしては、われわれはすでに売上高は通年換算で数千万ドルに達し、対前年比では400%の成長を遂げている。また2012年の大統領戦のキャンペーンなどで有力なクライアントを獲得している(Sirokerは2008年にはオバマ選対の分析責任者だった)」と述べた。SirokerはまたAlexaのトップ1万のウェブサイト中のOptimizelyの採用をライバルと比較した下のグラフを送ってきた(データはBuiltWithを利用)。

今回のラウンドはBenchmarkがリードし、Bain Capital VenturesとOptimizelyの既存投資家、Battery Ventures、InterWest Partners、Google Venturesが参加した。BenchmarkのPeter
Fenton(YelpとTwitterに投資した実績がある)がOptimizelyの取締役に就任した。SirokerによればFentonは初の社外取締役だという。これまで取締役はSirokerと共同ファウンダーのPete Koomenのみだった。

調達した資金の一部は国際的な事業拡張に向けられるだろう。Optimizelyは去年、初の海外オフィスをアムステルダムに設けている。また来る四半期には9言語、36カ国のサポートを新たに行う予定だという。Sirokerは「これらの言語(具体的な言語名は明かさなかったが)を選んだのはすでにクライアントがいるからだ」と述べた。

Sirokerのビジョンは依然私に語ったように、Optimizelyを単なるテストサービスを超えて、あらゆるウェブサイトを訪問するユーザーに合わせてカスタマイズできるようにするプラットフォームに育てることだ。同社はすでに異なる属性の訪問者に対して別のデザインのサイトを提供するサービスを開始している。lこれをさらに先へ推し進めたいというのがSirokerの野望だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


EUの反トラスト調査でGoogleは, ライバルを検索結果でもっと目立たせろと強いられる

EC(欧州委員会)が2年もかけて行った、Googleの検索慣行に対する調査の結果がもうすぐ出るが、それによるとGoogleは、ヨーロッパにおける検索結果において、ライバルサービスの可視性の改善を迫られることになりそうだ。今朝(英国時間4/10)のフィナンシャルタイムズ紙が、そう報じている〔要会員登録〕。

同紙によると、地図、天気予報、金融など分野限定の検索結果(垂直検索–vertical search–の結果)が、ECの調査官たちの重要な懸念の一つだった。それらの検索結果においてGoogleは今後、ライバルの専門サイトをもっと目立つようにして、消費者に複数の選択肢があることをより明確に示すことになりそうだ。Google自身のサービスは、それとはっきり分かるようにするのが、“広く期待される譲歩”だったが、それにプラスしてライバルの明示化が加わる。

たとえば”weather”(天気予報)で検索すると、現状では下図のような結果になる。ご覧のようにGoogle自身のお天気ウィジェットが、最上部ででかでかと大きい。その下にそのほかの天気予報サービスが並ぶ:

委員会は、Googleが自社の垂直サービスへのリンクを、ライバルへのリンクとは違えることによって、差別的扱いをしていないか、を調べていた。また競合サービスのリビューなどのコンテンツを、Googleがコピーして自社の提供物に使っていないか、も懸念していた。また広告に関しては、競合サービスを検索広告から閉め出していないかを、委員会は調べていた。それをやられると、広告主たちはそれらの競合サービスをキャンペーンに含めることが困難になる。

Googleは2月に、このような偏りに関する懸念をやわらげるための提案をECに提出した。その内容は、まだ公表されていない。

フィナンシャルタイムズ紙によると、Googleは今週、“譲歩の最終提案”を委員会に提出する。反トラストで有罪となり巨額の罰金刑を科せられることを、避けるためだ。EUの競争監督官Joaquin Almuniaの以前の提案では、Googleの検索慣行に対するECの調査は今夏に終わることになっていた。

今週初めにAlmuniaはThe New York Timesに、“Googleとの折衝は続いており、毎日、いつ電話やメールやSMSが来てもいいように備えている”、と語っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


フリーソフトウェア運動はどこで方向性を間違えたのか(そしてその修正方法)

ぼくの視野では、テク産業の過去10年における最大の変化は、ソーシャルメディアでもなければクラウドコンピューティングでもビッグデータでもITの消費者化でもなく、モバイルですらない。それは、業界の主流部分によるオープンソースの受容だ。それまでは、わずか10年前ですら、オープンソースは疑問視されていた。当時は、“オープンvs.プロプライエタリ”という議論が、あちこちの会議やパーティーで噴出していた。ベンダたちは、オープンソースに関するFUDをばらまいていた。しかし今では、あらゆるベンダが自分を“オープン”と呼びたがる。

なぜそうなったのか? ライターのEvgeny Morozovは、最近The Bafflerに寄稿した長文の中で、それをTim O’Reillyのメディア/カンファレンス帝国のせいだ、と言っている。

Morozovによると、O’ReillyはRichard Stallmanのフリーソフトウェア運動をハイジャックして、それを、より企業フレンドリーなオープンソース運動に変えた。そこからさらにO’Reillyは歩を進めて、Webの自由を、Googleのような企業がオンラインで好き勝手ができることへと定義変えし、オープンガバメントを政府に透明性と説明責任を持たせる運動ではなく、営利企業に無料で自由にデータ集合を与えることの必要性へと定義変えした。

フリーソフトウェアのフリーは“自由”の意味、“タダ/無料”ではない。

Morozovの記事は、ドットコムバブル期に話題になったカリフォルニア的イデオロギーと、その政治への影響をあらためて問い直している。つまりそれは、原理原則を犠牲にして実用主義を優先した結果、に対する問いだ。でもMorozovは、オープンソースがフリーソフトウェアを乗っ取ってしまった決定的な理由を、見落としているように思える。

Morozovは、オープンソースとフリーソフトウェアの違いを看過している。フリーソフトウェアのフリーは、その名の通り、言論の自由などと同じく“自由”という意味であり、free beer(無料のビール)のような“無料”という意味ではない。その自由をMorozovは、“ユーザがプログラムをどんな目的にでも使えること、その動作構造を調べられること、そのコピーを再配布できること、その改良バージョンを公開リリースできること”、と解釈している。

しかし(Open Source Initiativeの定義による)オープンソースソフトウェアもその多くは……(Free Software Foundationが定義する)フリーソフトウェアだ。では、何が問題なのか? 二つの運動の違いは、フリーソフトウェアが社会的な運動であるのに対して、オープンソースが方法論であることだ。Stallmanは”Why Open Source misses the point of Free Software“(なぜオープンソースはフリーソフトウェアを誤解しているのか)と題するエッセイで、フリーソフトウェア運動が増進に努めてきた自由をオープンソースの擁護者たちが無視している、と非難している。そして、だからこそ、オープンソースの正しい意味すら世の中に伝わっていないのだ、と。

Morozovは両者の違いについて、フリーソフトウェアはユーザの側面を強調し、オープンソースはデベロッパを強調する、と書いている。でも、フリーソフトウェアも、その主な関心はデベロッパではないだろうか。つまりその自由は、主にデベロッパの自由であり、ほとんど一般大衆とは無縁だ。しかしこの点にこそ、運動がコースを間違えた理由がある。

もちろん、デベロッパ以外の人たちにもソフトウェアの自由を気にする理由はある。活動家やセキュリティに関心のある人たちは、自分たちが使うソフトウェアを調べたい、あるいは信頼できる専門家たちに調べてもらいたい、と思う。でも、グラフィックデザイナーたちに、PhotoshopよりもGIMPを使え、後者ならコードを調べたり、書きかえたり、自分だけのバージョンをリリースできるから、と言ってみよう。あるいはデータアナリストに、ExcelではなくLibreOfficeを使うべき理由を、ミュージシャンにLogicではなくArdourを使うべき理由を述べてみよう。どんな結果になるだろうか。

そこで、こんな疑問が湧いてくる: オープンソースがフリーソフトウェアを日陰者にしてしまったのは、O’Reillyが天才的マーケターだったからか。あるいは、Stallmanが気にするような自由を人びとが全然気にしないからか? フリーソフトウェアの主なユーザがデベロッパであることは、むしろ当然ではないか?

企業とデベロッパがオープンソースソフトウェアを使ってプロダクトを作れると知ったとき、水門が一挙に開いた。

昔を知る人に言わせると、業界の主流部分をオープンソースに改宗させた第一の功績者はApacheだ。その理由は、1)オープンソースの(そしてフリーな)サーバがとても優れていた、2)企業が商用に利用してもおとがめなしのライセンス(カスタムソフトウェアとくっつけてもよい)。

企業とデベロッパがオープンソースソフトウェアを使ってプロダクトを作れると知ったとき、水門が一挙に開いた。その良い面は、オープンソースの技術を勉強する人たちが増えて、企業はオープンソースによる開発に多くの予算を割くようになったこと。オープンソースが今のように優勢にならなかったら、ブログはすべて、プロプライエタリなコンテンツ管理システム(CMS)の上で動いていることだろう。ColdFusionで書かれたコードが、Windows ServerやIISの上で動いているだろう。

O’Reillyがフリーソフトウェア運動に代えて描いた絵の中では、実用主義者たちが実用目的のために妥協を図ろうとしている。オープンガバメントも、企業にとってデータがオープンになりそれによって経済が刺激されなければ、離陸することはなかっただろう、という議論もある。だが、その今後の姿はまだ見えてこない。業界の主流部分(“mainstream, メインストリーム”)がオープンソースを受容したことによって、フリーソフトウェア派のデベロッパに雇用機会が生まれ、本もカンファレンスのチケットもたくさん売れるようになった。でもそれはイデオロギーの軽視であり、デベロッパたちが80年代の初めに夢見たようなソフトウェアの自由だけが受容されたのだ。

ぼくはデベロッパではないけど、ソフトウェアの自由は重視したい。でも、ほかにも重要な自由があると思う:

  1. ハードウェアドングルや執拗なオンラインの本人確認なしに、自分が買ったソフトウェアはどんなデバイスの上でも自由に動かしたい。
  2. 政府や企業から詮索/のぞき見されない自由。
  3. 自分のデータを複数のアプリケーション間で移動(==利用)できる自由。
  4. アプリケーションを異なるホスティングプロバイダ間で移動できる自由。
  5. 高額な年会費月会費に縛られない自由。
  6. 多くのWebサイトの利用規約の「私のやり方に従えないなら出ていって」からの自由。.

〔2番は、パーソナライゼーションへの個人データの利用など。〕

上の1番は、フリーソフトウェア運動にも含まれる。そのほかは、オープンWebや連邦型WebインディーWeb、それにベンダ関係管理(VRM)、などの主唱者たちが、今主張している項目だ。まだほかにも、重要な自由はいくつもあると思うが、それらも含めて、新しいフリーソフトウェア運動、ユーザの今日的なニーズにも対応するフリーソフトウェア運動の基盤が、そこにはあるべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebook、 近況アップデートに「今何してる?」をワンクリックで投稿できるエモーティコンを導入中

これで自分の感情を表現するのがもっと簡単になるかもしれない。現実の複雑な状況や感情を単純化しすぎるものだという批判も出るだろう。

今日(米国時間4/9)、Facebookは自分が現在やっていることやムードをアイコン(エモーティコン)で表現するオプションを近況アップデート窓に追加した。ドロップダウン・メニューからさまざまなエモーティコンが選択できる。

Facebookがこのオプションをテストし始めたのは今年の1月だが、これまではスクリーンショットしか公開情報がなかった。現在アメリカで一般ユーザーへの公開が始まっているが、おそらく他の地域にも拡大されるのだろう。[アップデート:Facebookは私の問い合わせに対して「われわれはこの機能をアメリカで一般ユーザーに公開中だ」と確認した。] この件に関するネットへの投稿はほとんどはアメリカ居住者からで、昔のMyspaceのムード共有機能に似ているという声が多い。

この機能が公開されたユーザーの場合、デスクトップでもモバイルでも、「写真を追加」と「プライバシー設定」のアイコンの間にニコチャン・マークのアイコンが表示される。

このエモーティコンは「今のどんな気分? 何を見ている? 聴いている? 飲んでいる? 食べている?」から選べる。それぞれクレリックするとサブメニューが開く。自分で補足入力もできる。共有するとそのエモーティコンが投稿に表示される。あるいはゲームをしているならそのページへのリンクが表示される。

エモーティコンを利用すると小さいポップアップが開き、「この機能を利用した情報はプロフィールその他のFacebookのページにも表示されます」という注意書が表示される。つまりFacebookページの推薦やグラフ検索、そしてFacebook広告として公開される可能性があるということだ。この機能のビジネスの側面についてはこの機能が一般ユーザーに広く公開されてから研究することにしたい。


Facebookがわれれわれの感情まで正確に把握できるようになれば、悲しいときやコーヒーを飲んでいるときに、それに応じてアルゴリズが調整されてティッシュペーパーの広告が表示されるようになるかもしれない。しかし同時に、この機能はソーシャルメディアにおけるコミュケーションに2つの側面で重要な影響を与えそうだ。われわれは今自分が何をしているか語るのが好きだ。どんな音楽を聴いているか、どんなテレビ番組を視ているか、どんな場所で酔っ払っているか、等々だ。そういった情報を分類しタグづけして簡単に共有できるようになれば、ソーシャルな会話はいっそう緊密になるだろう。

最近の私のお気に入りのミュージシャンはRobert Delongだが、いちいちその名前で検索しないでも、「今何を聴いている」のドロップダウンから自動補完で簡単に共有できる。私の友達はこの投稿をクリックしてDelongのFacebookプロフィールページを訪問し、再生ボタンをクリックすれば好みのストリーミング・サービスで楽曲の再生が始まる。いちいち検索してYouTubeのリンクを投稿にコピペする必要がない。すべて近況アップデート窓の中だけですむ。


感情のエモーティコンはやや微妙な問題をはらんでいるかもしれない。感嘆符や罵り言葉を多用するタイプのユーザーにとって感情ははっきりしている。 ワンクリックで感情が表現できるのはこういうユーザーにとっては便利だろう。しかし表現するのが難しい感情を持つ場合も多々ある。退屈しているのでなければびっくり仰天しているといった2分法が不適当な場面も多いだろう。

しかし事前に用意されたエモーティコンがあれば、以前より感情の表現が容易になる場合もある。Facebookにとってはそれで十分ということだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


米Vudu社、物理的侵入を受けハードディスクドライブを盗まれる

侵入事件が相次いでいる。しかし今回は物理的な、現実世界の侵入であり、最近聞き馴れてきたデジタルの類ではない。

ビデオストリーミングサービスで2010年にWalmartに買収されたVuduは、先ほど同社顧客に対してメールを送り、3月24日、カリフォルニア州サンタクララの同社事務所が窃盗にあったことを伝えた。

クレジットカード番号はほぼ無事だと思われるものの(Vuduによると下4桁以外は保存していない)、窃盗団は顧客名、暗号化されたパスワード、メールアドレス、電話番号等を含むハードディスクドライブを複数台持ち去った。

ハードディスク内のパスワードは暗号化されていたと言われているが、Vuduは直ちに全アカウントのパスワードを無効とし、ユーザーにはセキュリティーに関して「予見的行動」をとるよう促した(即ち、Vuduアカウントを持っている人で、同じパスワードを他のサイトで使っている人は変更すべきである)。

Vuduは同社事務所への侵入があったことを正式に認め、その後の対策について以下の声明を発表した。

2013年3月24日、VUDU社事務所に何者かが侵入し、ハードディスクを含む複数の物品が盗難にあった。ディスクには、名前、メールアドレス、住所、アカウント履歴、生年月日、及び暗号化されたパスワード等の顧客情報が保存されてたが、クレジットカード番号の全桁は含まれていない。当社は予防手段として全アカウントのパスワードをリセットし、全顧客に通知した。さらに顧客の安全を期すために、当社では個人情報保護サービスのAllClear IDも提供している。当社は侵入の事実を直ちに当局へ連絡し、全面的に捜査に協力している。

ちょっと待て。3月24日って? Vuduが窃盗事件を報告したの良いが、なぜそれに3週間もかかる?

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(翻訳:Nob Takahashi)


eコマースの未来は日本から―Marketplace 3.0を出版した楽天の三木谷浩史インタビュー[ビデオ]


eコマースの未来や如何に? 日本を代表する富豪であり、日本の巨大eコマース企業、楽天のファウンダー、CEOのミッキーこと三木谷浩史によればオンライン・ストアの成否を決めるのはホスピタリティにあるという。新著〔英文による出版〕、Marketplace 3.0; Rewriting the Rules of Borderless Business(Marketplace 3.0―ボーダーレス・ビジネスのルールを書き換える)で三木谷は小売業の将来ビジョンを描いている。今回のインタビューで三木谷は「小売業はオンライン化によって従来のマスプロ、大量流通の定型的体験からもっとカスタマイズされた体験にシフトする」と語った。

三木谷はeコマースが社会のデジタル化のトレンドの中で革新的存在であり続けるためにはホスピタリティ・モデルを採用しなければならないと説く。 「オンラインストアはもっと礼儀正しく、親切にならなければいけない」という主張は、私には「もっと日本化しなければいけない」ということのようにも思えた。

いずれにせよ、三木谷と楽天は侮りがたい存在である。時価総額150億ドルの楽天はBuy.comやeブックのKoboを買収し、1億ドルをPinterestに投資している。デジタル・ビジネスにおいて今やRakutenは本物のグローバル・プレイヤーだ。ミッキー・ミキタニと1万人のRakuten社員はボーダーレス・ビジネスのさまざまなルールの書き換えに励んでいる。eコマースの未来は事実、ここにあるのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


WikiLeaksがデータベースと検索エンジンを開発–70年代中期の200万点近い外交公電を研究できる

[今やWikiLeaksは検索エンジンだ。]

何でも流行語で言いたい人は、これを“ピヴォット(pivot, 方向転換)”と呼びたいかもしれない。悪名高き機密文書公開サイトWikiLeaksが、特定の文書を対象とする検索エンジンを開発した。これがもっぱら検索するのは、“キッシンジャーケーブル(Kissinger Cables)”と呼ばれる170万点の歴史的外交公電だ。時期は1973〜76年、その一部は当時の国務長官Henry Kissinger(ヘンリー・キッシンジャー)が関与しているとされる問題多き電信だ。つまりそれらは、“合衆国がファシストの独裁者たちと関係を持っていたことを暴露している…とりわけ、ラテンアメリカ各国、フランコ時代のスペイン(+スペイン王族)、そして軍事政権時代のギリシャだ”、日曜日の夜のプレスリリースでWikiLeaksはそう主張している

“政府の公文書館は信用できない”、とWikiLeaksの広報Kristinn Hrafnssonが説明する。それが、今の同時代の公電のリークではなく、機密扱いが解除された(しかし知る人の少ない)歴史的ドキュメントを、特製の検索エンジンを介して公開する理由だ、と。“複雑さを装った秘密もある。だからうちでは、これらのファイルをうちにある既存の公電と合体させて、多大な努力により、ユーザフレンドリで分かりやすいデータベースを構築することにした”。

WikiLeaksの主張によると、政府は一部の文書をこれまでに何度も再機密化しようとした。それらは国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration< NARA)から得られたものである。WikiLeaksはそのデータベースをPublic Library of United States Diplomacy, 略称"Plus D"(合衆国の外交の公開ライブラリ)と名付けている。Twitterのハッシュタグは後者だ。

WikiLeaksには2010年以降、匿名のおいしい提出物がない。財政難と、リーダーJulian Assangeの法的トラブルの中で、なんとか生き残りを図る必要がある。Assangeは現在、ロンドンのエクアドル大使館に身を隠している。

おそらくこの検索エンジンは、良い結果をもたらすだろう。それがだめなら、ファッショナブルなWikiLeaksグッズを買って、彼らの財政を支えてあげるのはどうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アプリのSEO、iOS App StoreよりもGoogle Playにチャンスあり

この記事はApp StoreやGooglePlayのSEOためのツールを提供するSearchManの柴田尚樹氏(@shibataism)による寄稿記事。

63%のユーザーがアプリを探す際に検索しているというデータが示す通り、App Store SEOは、アプリ開発者にとって欠かすことが出来ないマーケティングの手段になりつつある。iOS App Storeでは、AppleがChompを買収して以降、度々、検索エンジンのアルゴリズムが変更されているとのことだ。SearchManでは「少なくても2カ月に1度」程度大規模なアルゴリズム変更を検知している。また、iOS 6以降、iOS App Storeの検索結果では、1画面あたり1アプリしか表示されず、アプリ開発者たちからの批判が相次いだ。

これまで、App Store SEOというと、iOS App Storeばかりが話題になっていたが、SearchManはこの度、Google Play / Androidにも対応を開始した。現時点では、日本、アメリカのGoogle Playストアにある70万以上のアプリの検索順位を毎日分析している。SearchManでは、昨年末頃からAndroid対応を希望するアプリ開発社が急激に増えた。特に、日本のアプリ開発社からの要望が多く、これは、Google Playでの売上が日本で急成長しているという点にも合致する。

以下に、SearchManによる、iOS App StoreとGoogle Play(Android)のApp Store SEOの比較を掲載する。これを見る限り、Google Playの方がApp Store SEO経由でのダウンロード獲得に大きなチャンスがあると言えるだろう。

1)Google Playストアの方が、より多くのアプリを検索結果に表示する

  1. 1ページあたりのアプリ数が多い:Google Playストアは、検索結果画面の1ページあたり7、8個のアプリが表示される。他方、iPhoneは1アプリ、iPadでは6アプリだ。
  2. 検索結果を深堀りするのが簡単:Google Playストアは、画面をタップすることなく、フリックするだけで、下方向に無限にスクロールできる。他方、iOSでは、検索結果を追加で読み込むのにタップが必要となる。

2)Google Playストアの方が、同じクエリに対して、より多くのアプリがヒットする

  1. Google Playの方がヒット数が多い:ビックキーワードで検索すると、検索ヒット数がGoogle Playの方が圧倒的に多い。
  2. 類似語を用いたクエリ拡張:ある検索クエリに対して、Google Playの方が、類似語等への拡張をより積極的に行なっているようだ(たとえば、photoというクエリが入力された場合に、photo、photos、写真……と解釈する)。これは、Googleが検索エンジンの会社であることを考えれば想像に難くない。
  3. 自動スペル補正:Google Playの方が、ミススペルをより賢く自動的に補正する。これもGoogleが検索エンジンの会社であるからなせる業だろう。

3)Google PlayにおけるApp Store SEOへの先行投資は今がチャンス

  1. 競争が少ない:アプリ数はApp Storeとほぼ同数だが、アプリ開発社は(Androidアプリは、レビュー審査が無いにも関わらず)iOSアプリをより頻繁にアップデートしている。
  2. 課金チャンスの増大: Google Playは、ユーザーのクレジットカードが登録されていないことが課題だったが、日本ではキャリア課金によってこの問題が克服されつつある。結果として、Google Playでの売上が日本で急成長している。

4)Google Playの方が、App Store SEOを簡単に実行できる

  1. レビュー審査が不要: iOS App Storeでは、アプリ名、iTunesキーワード変更する際に審査が必要だが、Google Playでは不要。
  2. Google PlayにはiTunesキーワードに相当するものが存在しない: Google Playは、iTunesキーワードに相当する「隠しキーワード」が存在しない。iOSアプリでは、アプリ名、アプリ説明文以外に、カンマ区切り100文字でiTunesキーワードを注意深く選ぶ必要がある。このiTunesキーワードは、SEO上、非常に大きなウェイトを占めており、アプリ開発社はこれを選ぶのに神経を研ぎ澄ませる必要がある。
  3. アプリ説明文のウェイトが大きい: 上記のようにiTunesキーワードに相当するものが存在しないため、Google Playでは、アプリ説明文のSEOに占める割合が、App Storeよりも大きいということはよく知られている。

結論としては、現時点でGoogle Play SEOに少しばかりの時間を投資するのは、理にかなっている。SearchManでは、iOSアプリでもGoogle Playアプリでも同じように、時間をかけずにSEO対策が行えるようなツールを提供している。SearchManが提供している「検索知名度ランキング」はこちらから、例えば「パズル&ドラゴンズ」のキーワード分析はこちらから見られる。アプリ開発社は、会員登録を行うことでより詳細でカスタマイズされたSEO分析、SEO改善が行える。