ゲーミングプラットフォームのRobloxが約3.7兆円の評価額7倍で資金調達、直接上場に向けて準備

ソーシャルゲームプラットフォームのRoblox(ロブロックス)は、巨額のシリーズH調達が評価額を295億ドル(約3兆665億円)まで引き上げ、世界で最も価値のある非公開企業の1つとなった。とはいえ、この会社が非上場企業でなくなる日は間近だ。

Altimeter CapitalとDragoneer Investment Groupが主導した5億2000万ドル(約540億5000万円)の資金調達は、Crunchbaseによるとこれまで累計3億3500万ドル(約348億円)強を投資家から調達していたRobloxにとって重大な資金流入となる。今回のラウンドには、Investment Group of Santa Barbara(IGSB)、ワーナー・ミュージック・グループ、そして多数の現存投資家も参加している。

2020年2月に同社は、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)が主導して1億5000万ドル(約156億円)のシリーズGをクローズし、評価額は40億ドル(約4160億円)となっていた。

Robloxは当初2020年のIPOを計画していたが、DoorDashとAirbnbの初日の大規模な株価上昇を受けて、同社の経営陣はスケジュールを再考したとAxiosが報じている。こうした初日の大きな株価上昇は、株式を売却した企業にとって多額の潜在的利益を失うことになるため、Robloxは同様の結果を避けようとしている可能性が高い。米国時間1月7日、同社は、直接上場による公開市場への参入を計画していることを発表した

Robloxの評価額が7倍に跳ね上がったということは、公開・非公開市場がいかにテック株に関し熱を帯びているかを示している。また、この評価額は、パンデミックのためより多くのユーザーがオンラインでソーシャルゲームプラットフォームを利用するようになった流れに乗って、同社がどのように利益を得るかを、投資家が予測していることを浮き彫りにするものだ。2019年の目論見書では、同社は1760万人のユーザーを抱えていたが、現在、Robloxは3100万人のデイリーアクティブユーザーがいるとしている。

関連記事:オンラインゲームプラットフォームのRobloxがAndreessen Horowitzから165億円調達、評価額4400億円に

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Roblox資金調達

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(翻訳:Nakazato)

時間が経つほど開封されなくなるテキストマーケティングツールを改善するVoxieが約7億円を調達

多くのスタートアップは創業者自身が直面した問題を解決するために始まる。アトランタを拠点とするVoxieもそうだ。

Voxieの創業者でCEOのBogdan Constantin(ボグダン・コンスタンティン)氏の場合は、以前に同氏が創業したタキシードレンタルスタートアップのMenguinがそのきっかけだった(Menguinは最終的にGeneration Tuxに買収された)。Menguinでは6〜9カ月のサイクルで商品を売り込まなくてはならなかった。顧客は通常、結婚式のためにタキシードを検討するからだ。

コンスタンティン氏は、メールマーケティングは時間が経つほど開封されなくなっていくという。そこである日、登録した人全員に「Menguinであなたを担当するパーソナルスタイリスト」と自己紹介するテキストメッセージを送ってみた。すると当然のことながら、多くの反応があった。

多くの顧客とこのようなテキストメッセージのやり取りをするのはもちろん難しい。これが、このプロセスを自動化し管理するツールをVoxieが提供する理由だ。同社はシリーズAで670万ドル(約7億円)を調達した。

コンスタンティン氏は、他のテキストマーケティングツールと比べるとVoxieから送信したメッセージはリアルで相手に合わせた会話のように感じられるという。Voxieのメッセージは80〜90%が自動化されたもので、残りを人間が書いているにもかかわらずだ。また、Voxieを使う企業は通常の10桁の電話番号からメッセージを送信できる(マーケティングに多く使われているのは5桁の番号だ)。

画像クレジット:Voxie

Voxieはもともと大企業向けに作られたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により低価格版を構築したとコンスタンティン氏は説明する。低価格版は「まさに今、苦境と闘っている小売業、レストランのフランチャイズブランド、メインストリートブランド」に利用されている。

同氏はさらに「全国に数百の店舗があり顧客にもっとエンゲージしたいブランドと連携し、顧客の名前や子供の数を尋ねてその情報を個人プロフィールとして保存できるようにしています」とも述べる。

現在、LG、Danone、Massage Heights、Buff City SoapなどがVoxieを利用している。

資金調達はNoro-Moseley Partnersが主導し、Circadian VenturesとEngage Venturesのほか、アトランタのアントレプレナーのWain Kellum(ウェイン・ケラム)氏、Andy Powell(アンディ・パウエル)氏、David Cummings(デビッド・カミングス)氏、Fred Castellucci(フレッド・カステルッチ)氏が参加した。

Noro-MoseleyのJohn Ale(ジョン・エール)氏は発表の中で「Voxieはブランドが顧客とパーソナライズされた会話を大規模に交わせる唯一のプラットフォームとしてマーケットをリードしています。このことはポストコロナの世界で同社の顧客企業が成功するためのキーになると我々は見ています。企業はVoxieを気に入っています。重要な収益を短期間で向上でき、コンテンツをパーソナライズすることでメッセージの有用性や自社のニーズとの高い関連性を見いだせるからです」と述べた。

コンスタンティン氏は、今後テキストメッセージの会話から直接注文できる「返信して購入」機能を提供すると述べた。また、同社は現在はSMSに的を絞っているが、さらに大きなビジョンがあるという。「我々は適切なメッセージを、適切なタイミングで、適切な手段で届けられるようにしたいと考えています」とコンスタンティン氏はいう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Voxie資金調達マーケティング

画像クレジット:d3sign

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(翻訳:Kaori Koyama)

米テック企業で人気が高まる計画方法OKRに注力するGtmhubは2020年に3倍に成長、シリーズBで31億円調達

企業の事業計画管理支援ソフトウェアを開発する多国籍スタートアップのGtmhubは米国時間1月7日、シリーズBで3000万ドル(約31億円)を調達したと発表した。ラウンドはInsightが主導し、新規投資家としてSingularが、また既存投資家からLauncHubCRVが参加した。

Gtmhubは、約13カ月前にシリーズAで900万ドル(約9億円)を調達(未訳記事)した。当時調達した資金は、それまでに調達した合計よりも大きかった。同社の新しい資金調達ラウンドは、2019年のシリーズAと同様、これまでの資金調達合計を上回った。

Gtmhubはどのようにしてこれほど多くの資金を調達できたのか。ひと言でいえば成長だ。

シリーズAの時点でTechCrunchは、Gtmhubのラウンド直前の年間経常収益(ARR)が前年比で400%増となると報じた。同様の水準でトップラインの拡大が続いており、GtmhubのCOOであるSeth Elliott(セス・エリオット)氏はTechCrunchに、同社のARRは昨年(2019年12月~2020年12月で測定)の3倍に増加したと語った。

2019年にGtmhubが立ち上がった頃、他にも同じソフトウェア市場に特化する多くのスタートアップが立ち上がったため、TechCrunchは「なぜ誰もがOKRソフトウェアを作っているのか(未訳記事)」と問いかけた。

OKRは「objectives and key results」を意味する。これは、米国のテック企業の間で人気が高まっている計画方法であり、エリオット氏によれば、国際的にも、また非テック企業の間でも人気が高まっている。

またエリオット氏はTechCrunchに、Gtmhubは2つのビジネストレンドとともに成長していると語った。第1にOKR自体の台頭であり、同社が乗っている波だとTechCrunchに述べた。第2に同社が先頭を走っていると同氏が考えているもので、敏捷性を高め変革を進める大企業を対象とする。こういった企業がGtmhubを採用している。GtmhubはDX(デジタルトランスフォーメーション)や同様の取り組みを成功させるのに役立つ。

事業の活性化を目指す大企業が、スタッフを1つの方向へまとめる新しい計画の方法を望んでいることは大きな驚きではない。Gtmhubは長い間、法人向けのビジネスを得意としてきた。

同社の狙いは2020年、うまく当たったことがわかった。TechCrunchは新しいラウンドに関して同社と議論する中で、年間契約額(ACV)の実績と粗利益の水準に関する最新情​​報を同社に求めた。2019年のシリーズAの時点で、同社はACVを前年から650%増加させたと述べた。エリオット氏はTechCrunchに、ACVは2020年に10倍になったと語り、大企業への販売が成功したと示唆した。また同氏は、このサービスの有料ユーザーの総数も、同年中に10倍に増加したと付け加えた。

同社の粗利益率は、2019年の約90%の水準に維持されたと同社は語った。

こうした実績を踏まえると、Gtmhubがスタートアップの標準である18カ月より短い期間で新たなラウンドを迎えられたのは驚くに当たらない。

ラウンドはすぐに実現した。エリオット氏によると、Gtmhubは2020年11月初旬に正式なプロセスを通さずに投資家と協議を開始し、同月終わりまでに資金調達に向け本格的に取り組み始めた。2020年の終了とともにラウンドも完了した。

ソフトウェアカテゴリーに属し約1年前に資金を調達した他のスタートアップもまた、今後多くの資金を調達するのかは興味深いところだ。この問いに関するウォッチリストにはWorkBoardAllyが含まれる。2020年の成長に関しては、Perdooのように他にも聞いてみたいプレーヤーがいる。

Gtmhubは2021年の成長計画をTechCrunchと共有することを拒否している。

このラウンドでの大きな教訓は、ニッチすぎて見向きもされなかったソフトウェア、すなわちOKR向けソフトウェアのは、実際には少数の高成長スタートアップを支えるのには十分大きいということだ。これは広くいえることで、ベンチャーやスタートアップ業界の過去数四半期のペースについての説明になっているところがある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OKRGtmhub資金調達

画像クレジット:Mimi Thian / Unsplash (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

サッカーなどのチームスポーツを記録し編集、配信できるAIカメラのVeoが約25.5億円を調達

スポーツの放送や配信は世界中で人気があって収益性が高く、放送局や広告主、視聴者にとって魅力があるため、お気に入りのチームやアスリートを見る(そしてスポンサードする)機会を確保するために巨額の金銭が動いている。

そして当然のことながらスポーツのコンテンツには一般に多額の費用がかかるため、制作と配信はさらに難しい。しかし米国時間1月6日、自律的なAIベースのカメラでチームが試合を録画、編集、配信できるようにして従来のモデルを打破しようとするスタートアップが、スポーツチームや試合のロングテールをターゲットにしたビジネスを構築するための資金調達について発表した。

Veoはコペンハーゲンのスタートアップで、ビデオカメラとクラウドベースのサブスクリプションサービスを開発している。このカメラとサービスを使って、録画した後に自動で試合のハイライトを選び出し、プラットフォーム上でそのビデオコンテンツを公開できる。このVeoがシリーズBで2000万ユーロ(約25億5000万円)を調達した。

このラウンドはデンマークのChr. Augustinus Fabrikkerが主導し、米国のCourtside VC、フランスのVentech、デンマークのSEED Capitalが参加した。VeoのCEOで共同創業者のHenrik Teisbæk(ヘンリック・タイスベック)氏はインタビューで同社の評価額を公表していないと語ったが、資金調達に近い情報筋によれば評価額は1億ドル(約104億円)を超えているという。

タイスベック氏は、調達した資金で事業を2つのレベルで引き続き拡張する計画だと述べた。その1つ目として、Veoはマイアミにオフィスを構え米国の事業を拡大していく。

もう1つの計画は、テクノロジーのさらなる充実だ。Veoは世界中で最も人気のあるチームスポーツであるサッカーの試合の録画と解析に合わせたコンピュータビジョンソフトウェアの最適化を始めており、同社のカメラ(販売価格800ドル、約8万3000円)と付随する必須のサブスクリプション(年間1200ドル、約12万5000円)を購入する顧客が、視聴者向けとトレーニングや選手の選考といった実用目的の両方で映像を使えるようにする。ポイントは、カメラをチーム自身がセットアップして使える点だ。いったん設置すれば、広角でサッカーのフィールドの大部分(あるいはプレイしている場所ならどこでも)を録画し、これをもとに後からズームや編集をすることができる。

画像クレジット:Veo Technologies

現在、Veoはコンピュータビジョンのアルゴリズムを構築して、ラグビーやバスケットボール、ホッケーなど多くのチームスポーツに提案の幅を広げようとしている。生成されるビデオクリップや試合に関する分析の種類も増やしている。

2021年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でスポーツに関する多くの活動が停滞するだろう。たとえば英国はまたロックダウンされ、プロリーグのチームスポーツは障がい者チームを除いて停止している。このような状況にも関わらず、Veoは成長を見せている。

同社のサービスは現在、プロのスポーツチームからアマチュアの子供のクラブまで世界中のおよそ5000チームに利用されている。2018年の事業開始以来、20万試合を録画し解析した。この20万試合の多くは2020年に米国で実施されたものだ。

参考までに紹介すると、TechCrunchは2019年にVeoが600万ドル(約6億2000万円)を調達したと報じたが、この時点では1000チームに利用され2万5000試合を録画したと発表されていたので、顧客数は5倍に増えたことになる。

2020年、新型コロナウイルス感染拡大はまさにスポーツのフィールドを変えた。文字通りの意味でも、比喩的な意味でも。観客、アスリート、サポートするスタッフも例外なく感染拡大に注意を払わなくてはならない。

試合数だけでなく観戦にも変化があった。2020年にNBAはシーズンの試合を最後まで実施するために大変な苦労をしてフロリダ州オーランドにバブルと呼ばれる大規模な隔離施設を用意した。ファンは観客席にはいなかったが、試合とファンはバーチャルのイベントに移行した。

NBAのこうした取り組みにはいうまでもなく大変な費用がかかり、規模の小さいリーグでは到底できない。この困難な状況が、Veoにとっては興味深いユースケースにつながっている。

感染拡大前のVeoは、順調なときでさえカメラを買ったり試合を撮影するビデオグラファーを雇ったりする費用を捻出するのが難しいスポーツ組織のロングテールにサービスを提供しようと、ひっそりとビジネスを構築していた。同社のサービスはスポーツイベントを楽しむのに重要な部分であるだけでなく、チームの育成にも役立つ。

タイスベック氏は「サッカーは録画して放送されるものという認識がありますが、(たとえば)英国で録画して放送されるのはプレミアリーグだけです。そこから1つか2つ下のリーグでは何も録画されていません」と語る。Veoが登場する前のサッカーの試合について「足場に上って撮影する人や、ハイライトを切り出す時間とお金が必要でした。これはあまりにも困難です。しかしビデオは才能を伸ばすための絶好のツールです。子供たちは見て学びます。そしてスカウトされることを目指して大学にビデオを送ることもできます」とも述べる。

こうしたユースケースが感染拡大とともに増えたと同氏はいう。「コロナ禍のルールで保護者は外出して子供の試合を見ることができないため、ビデオが試合を見るツールになっています」。

「我々はShopifyでありAmazonではない」

Veoのこれまでのビジネスモデルはタイスベック氏のいう「ロングテールのセオリー」によるものだった。スポーツに関して同氏は「1試合の視聴者は多くなくても、何百万もの試合が実施されています」と語る。しかし多くの高校生スポーツが在校生の枠を超え、卒業生のサポーターやファン、そして企業や近隣の人々といった地元のファンを魅了していることを考えれば、ロングテールのオーディエンスは想像より多いかもしれない。

Veoはロングテールを狙っているので、ターゲットユーザーは必然的に幅広いアマチュアやセミプロのクラブ、そしてそれに関連する人々ということになるが、実はビッグネームにも浸透している。

Veoのカメラはプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、イタリアのセリエA、フランスのリーグ・アンのほか、米国MLSのインテル・マイアミ、オースティンFC、アトランタ・ユナイテッドFC、FCシンシナティといったサッカークラブでも使われている。タイスベック氏は、メインの配信に使われるのではなくてもトレーニングを支援したり各組織に付随するアカデミーでも利用されていると述べた。

同氏は、長期的な計画として蓄積されたコンテンツでメディア帝国を築きたいわけではなく、顧客が望み通りに使えるコンテンツを作れるようにしたいのだという。同氏はこれを「ShopifyでありAmazon(アマゾン)ではない」と表現した。

「次のESPNを作ろうとしているのではなく、我々のテクノロジーを通じてクラブがこれまでのしがらみから解放されるようにサポートしているのです。クラブが試合やプレイを今ここにいるオーディエンスのために録画して配信できるようにしたいと思っています」(タイスベック氏)。

同氏は勝機をこのように見ているのかもしれないが、すでにもっと大きな成功を思い描いている投資家もいる。

Courtside VCのパートナーであるVasu Kulkarni(バス・クルカルニ)氏は、コスト効率の良い方法でスポーツを記録し解析するスマートなテクノロジーを開発するVeoのような企業を支援したいと述べている。Courtside VCは(その名が示すように)さまざまなスポーツ関連企業の支援に力を入れており、スポーツ情報サイトのThe Athletic、Microsoft(マイクロソフト)に買収されたゲームストリーミングサービスのBeamなど多くの企業に投資している。

クルカルニ氏は、そのような会社を見つけるのに4年近くを費やしたという。

「ロングテールで記録されるスポーツコンテンツの価値をずっと信じてきました」と同氏は語る。たまたま同氏自身が学生時代にスポーツのトレーニングを追跡して記録するKrossoverという企業を立ち上げていた。Krossoverは最終的に、Veoの競合であるHudlに買収された(Hudlリリース)。

「NBAファイナルがVeoで録画されることはないでしょう。それはリスクが大きすぎます。しかしマスメディアが人を雇って制作しライブ配信するほどではない分野では、コンピュータビジョンとAIが低コストで録画や配信をすることになるでしょう」(クルカルニ氏)。

経済性が重要であるとクルカルニ氏はいう。カメラは1000ドル(約10万4000円)未満で、「保護者がBest Buyで100ドル(約1万400円)で買ったビデオカメラ」よりも明らかに良いものが制作できなくてはならない。

クルカルニ氏は、長期的にはクラブがコンテンツをもっと幅広いオーディエンスに届けるにはどうすればいいかを検討するタイミングが間違いなくあるだろうと考えている。特にハイライトの活用やアマチュアのベストゲームのコンテンツで、そこに映っているプレイヤーの誰かが世界中に知られる一流アスリートになる前のものだ。学生時代のMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)のプレイを見られたらどれほど興奮するか考えてみよう。同氏は「AIによってベストプレイを10〜15個を選んでつなぎ合わせ、ハイライト動画を作ることをができるだろう」という。そのようなハイライト動画は、選手の保護者にとどまらずもっと幅広いスポーツファンの市場を発見することにつながるかもしれない。

スポーツをもっと見たいと感じる人々の市場が大きくなって、このようなコンテンツが市場に提供されるようになるだろう。家で過ごしながらビデオを見る時間が増えて、オーディエンスは増える傾向にある。タイスベック氏は「スポーツを記録したビデオが増えれば、スポーツはプレイヤーにとってもファンにとってもより良いものになる」と述べた。

関連記事:サッカーの試合をAIカメラで全場面録画するVeoが米進出を狙う

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Veo資金調達スポーツコンピュータビジョン

画像クレジット:Veo Technologies

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(翻訳:Kaori Koyama)

飲食店メニューの「仕込み」を発注できる「シコメル」のシコメルフードテックが4375万円を調達

飲食店メニューの「仕込み」を発注できる「シコメル」などのシコメルフードテックが4375万円を調達

飲食店で提供するメニューの「仕込み」を発注できる、レストラン向けのサービス・アプリ「シコメル」などを提供するシコメルフードテックは1月7日、総額4375万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はJFI(JAPAN FISHERIES INNOVATION)、ミダスキャピタル旗艦ファンド有限責任事業組合。累計資金調達額は約1.1憶円となった。

調達した資金は、シコメルフードテックのさらなる発展のため、JFIによる水産物・水産加工物商品開発体制の強化、ミダスキャピタルによるファイナンス・営業強化に利用。製造部門の品揃え・生産体制強化と、事業の成長スピードを加速するためのファイナンス・アライアンスを加速させる。

シコメルフードテックは、飲食店の資産ともいえるレシピをデータ化し、合理的かつ衛生的にDXを推進することで、日本中の飲食・食品業界を後押しし、豊かな社会づくりに貢献することを目指すとしている。

飲食店メニューの「仕込み」を発注できる「シコメル」などのシコメルフードテックが4375万円を調達

同社は、「世界中の飲食店オーナー・食品会社をITテクノロジーで救う」を事業ビジョンとし3つのサービスを展開。飲食店と食品工場間の仕込みレシピ共有やAI解析を推進することで工数削減・受発注最適化を行うアプリ「シコメル」、EC販売やクラウドファンディングの返礼品をフルフィルメントでサポートする「タノメルbyシコメル」「タノメルクラファン」を提供している。これらにより、より早くより多くの飲食店・食品会社の経営改善を行うことで成長を目指すという。

飲食店メニューの「仕込み」を発注できる「シコメル」などのシコメルフードテックが4375万円を調達

またこれら3ツール垂直統合していくことで、通常のイートイン営業や食品会社の生産効率向上に加えて、新型コロナウイルス拡大のような非常事態においても飲食店・食品会社があらゆる販路を自由自在に素早く構築できるメリットがあるため、差別化された競争力で着実な成長を生み出しているとしている。

タグ:資金調達(用語)シコメルフードテックセントラルキッチン日本(国・地域)

特許のためのナレッジグラフ方式の検索エンジンを提供するIPRally

特許の検索という問題の解決を目指すフィンランドの新進スタートアップIPRallyが、シード資金200万ユーロ(約2億5000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはJOIN CapitalとSpintop Ventures、これにプレシードの支援をしたIcebreaker VCが参加した。2018年に創業した同社の調達総額は235万ユーロ(約3億円)となる。

共同創業者でCEOのSakari Arvela(サカリ・アルヴェラ)氏は、パテント弁護士として15年の経験がある。IPRallyは、知識グラフを作ってマシンが特許の技術的詳細を理解できるようにし、また人間が既存の特許を効率的に調べられるようにしている。同社の基本命題は、特許の検索にはシンプルなキーワード検索や自然言語のテキストによる検索よりも、グラフベースのアプローチがより適してい、というものだ。

アルヴェラ氏によると、公布される特許をすべてシンプルな知識グラフに純化すればIPのプロフェッショナルにとって理解しやすい情報になり、また機械可読性も限りなく向上する。

「IPRallyは2018年4月に創業したが、その前の1年間は共同創業者でCTOのJuho Kallio(ジュホ・カリオ)と一緒に資金集めや概念実証に奔走した。その前の約2年間はグラフ方式についてしっかり勉強して、ベンチャー企業を始められるための自信をつけた」とアルヴェラ氏は語る。

アルヴェラ氏によると、特許の検索はテクノロジーに対する深い理解と、異なるテクノロジーを詳細に比較できる能力が必要であり難しい問題だという。

「だから特許システムができてから今日までずっと、検索は完全に手作業で行われていた。また、最新の機械学習のモデルですら、この問題の正確な解の提供には程遠い。そこで私たちは特許というドメインに特化したMLのモデルを開発し、人間のプロが検索をするときのやり方を反映できるようにし、同時に問題をコンピュータにとって扱いやすいかたちにした」とアルヴェラ氏はいう。

そのやり方はうまく行ったようで、IPRallyはすでにSpotifyやABBなどの顧客が利用し、また知財関連の役所や法律事務所も使っている。同社が狙っている顧客は、自分たちのR&Dを特許で積極的に保護していたり、製品開発などで競合他社の知財権をいつも詳しく調べなければならないような企業だ。

とはいえ、IPRally自身にも競合はある。従来的なキーワード検索の検索エンジンで現在の市場を支配している大手のClarivateやQuestelをアルヴェラ氏は挙げている。

また、AmplifiedやIPScreenerなど、AIベースのスタートアップもすでにかなりある。しかしアルヴェラ氏の主張によると「IPRallyのグラフ方式の方がずっと正確な検索が可能で、コンピュータによる詳細な分析もできる。しかもユーザーに十分な説明ができ、ユーザー自身がコントロールできる、ブラックボックスではないソリューションを提供できる」という。

関連記事:米国特許登録は2019年に過去最高の33万3530件を記録、FAANGではなくIBM、Samsungが他をリード

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IPRally特許資金調達

画像クレジット:IPRally

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

遺伝子回路テクノロジーでガン制圧を目指すSenti Bioがバイエルから109億円を調達

Senti Biosciencesは、ライフサイエンス分野の世界的企業であるBayer(バイエル)がリードした資金調達ラウンドで1億500万ドル(約109億円)を調達したことを発表した。同社はプログラム可能なバイオプラットフォームによって新しいガン治療法の開発を行っている。

同社は新しい計算生物学的手法を用いて人体の特定細胞を正確に標的とする細胞・遺伝子治療法を開発している。

ハーバード医学部の出身でMITで准教授を務めたSenti BiosciencesのCEOであるTim Lu(ティム・ルー)氏は、同社のテクノロジーを伝統的な手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングの違いにたとえてこう述べている。「『Helloworld』を表示するだけのプログラムでは意味がありません。オブジェクト指向ならifステートメントを駆使したプログラミングができます」という。

Senti Biosciencesでは複数の受容体を標的とする遺伝物質を合成することで体内の遺伝物質を識別し、病変部に正確に薬剤を到達させること目標としている。「細胞の単一受容体ではなく【略】我々は2つの受容体を対象にできます」とルー氏は述べた。

同社は当初、遺伝子回路テクノロジーのプラットフォーム上に体内のガン細胞を標的にしてそれらを駆逐する「キメラ抗原受容体ナチュラルキラー(CAR-NK)」細胞を合成する治療法を開発している。現在の細胞・遺伝子治療は、ナチュラルキラーT細胞を利用している。これは、体内の白血球内に存在し、人体に有害なウイルスや細菌などの異物を排除する免疫プロセスで重要な役割を果たす。

ところがT細胞を利用したの治療法は、患者に毒性をもたらす可能性がある。極めて危険な免疫暴走を誘発するをリスクだ。CAR-NK細胞を利用すれば同様の効果を得ながら免疫暴走という副作用を大きく低減できる。

ルー氏によれば「我々の治療法は遺伝子回路とは独立のものですす。遺伝子回路は個人に特異的です。【略】CAR-T細胞またはCAR-NK細胞を使った治療では【略】(ガン細胞という)標的を発見して薬剤を送り届け他の正常な細胞に影響を与えないようにします。我々は遺伝子回路にロジックを組み込み、CAR-NK細胞が1つではなく2つの標的を識別できるようにします」という。

Senti Bioがターゲティング能力を強化するのは、抗ガン剤が体内の病変細胞だけに作用し、変異していない健康な細胞が破壊されることを防ぐためだという。

共同ファウンダーのルー氏、MITの同僚であるJim Collins(ジム・コリンズ)教授、ボストン大学のWilson Wong(ウィルソン・ウォン)教授、また合成生物学の専門家であるPhillip Lee(フィリップ・リー)氏らの数十年にわたる研究の集大成がSenti Biosciencesに結実したという。

ルー氏は遺伝子回路テクノロジー開発の現状をこう解説する。

遺伝子治療の現状は、半導体素子開発の初期と比較できます。研究段階ではさまざまな要素技術が開発されていました。しかし世界に影響を与えるためには産業として成立する規模が実現される必要がありました。

そこでルー氏ら共同ファウンダーはMIT、ボストン大学、スタンフォード大学からのライセンスを受け、開発作業を研究室レベルから産業レベルにアップすべくスタートアップを設立した。

「(Seinti Bioを)創立したとき、我々が持っていたのはいくつかのツールとノウハウでした」とルー氏はいう。それはまだ完成したプラットフォームには遠かった。

バイエル他の投資家による資金投入により、同社は新しい制ガン療法の商業化に進む準備ができた。

同社は声明で「最初の製品は急性骨髄性白血病、肝細胞ガン、その他の詳細はまだ明かせないが、各種の固形腫瘍を対象とした治療法になる」と述べている。バイエルのベンチャーキャピタル、Leaps by Bayerの責任者Juergen Eckhardt(ユルゲン・エックハルト)医学博士はこう述べている。

Leaps by Bayerの使命は、何百万人もの人々の生活をより良い方向に変える可能性のある画期的なテクノロジーに投資することです。合成生物学は次世代の細胞・遺伝子治療の重要な柱になると信じています。遺伝子回路設計と最適化におけるSenti Bioのリーダーシップは、ガンの予防と治療、また失われた組織機能再生という我々の目標に理想的に適合します。

ルー氏ら共同ファウンダーは、同社のプラットフォームをガンだけでなく他の疾病治療その他の用途のための細胞療法を開発するために有効と考えている。これについては(バイエル以外の)製薬会社とも提携して製品化を進めるつもりだという。ルー氏は声明でこう述べている。

過去2年間、Senti Biosciencesのチームは信頼性の高い薬剤製造ラインを開発するために何千もの高度な遺伝子回路を設計、構築、テストしてきました。現在まで治療が困難な液状および固体腫瘍に適応するる同種異系CAR-NK細胞療法に焦点を当ててきました。今後、2021年にはIND(新薬臨床試験)申請の準備を開始するなど、プラットフォームテクノロジーと製造パイプラインのさらなる進歩が達成できるものと期待しています。

今回のラウンドによりSenti Biosciencesの資本は1億6000万ドル(約166億円)弱となった。ルー氏は「この資金は製造プロセスを強化し、大手製薬会社との提携作業を加速するために用いられます」と述べた。

現在のスケジュールでは2022年後半から2023年初頭に新薬臨床試験開始申請を行い、2023年中に実際の臨床試験を開始する計画だ。

遺伝子回路開発は急成長中の分野だ。Cell Design Labsは2017年にGilead Sciencesが5億6700万ドル(約588億円)で買収した。この分野に取り組んでいる他の企業にはCRISPRテクノロジーを利用したCRISPR Therapeutics、Intellius、Editasなどがある。

関連記事:UCバークレー校のダウドナ教授がノーベル化学賞を受賞、CRISPR遺伝子編集が新型コロナなど感染拡大抑止に貢献

カテゴリー:バイオテック
タグ:Senti BiosciencesDNACRISPR資金調達

画像クレジット:KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

顧客と会計士の体験を両方改善させるフランスの会計サービスPennylaneが19億円を調達

自動化されたプロセスと人間の会計士を組み合わせた会計サービスを提供するフランスのスタートアップPennylane(ペニーレイン)が、1500万ユーロ(約19億円)を調達した。既存も投資家のGlobal Founders CapitalとPartechが再び投資を行っている。

Pennylaneは、顧客の財務データを扱うSaaS企業であると同時に会計事務所でもある。会計士と直接仕事をすることで、同社のプラットフォームを介して担当会計士と話ができるということだ。すなわち財務データを一元管理できることになる。

同スタートアップは、顧客と会計士双方の体験を改善させたいと考えている。通常、会計事務所には毎月、あるいは四半期ごとにデータが送られてくる。会計士はファイルを開いたり、会計ソフトに情報を入力したりするために、膨大な時間を浪費している。

同様に、会計報告書もCEOやCFOにとってはブラックボックスで、そのデータを財務予測と可視化に活用することができていない。Pennylaneが狙っているのは、エクセルを使って会社の損益計算書を予測する必要性をなくすことだ。

Pennylaneで作業を開始する際には、まず自分のアカウントをすでに貴重な情報を持っているStripe、Payfit、Qonto、Zoho、Sellsyなどのサードパーティサービスと接続する。こうすることで、各サービスからデータを手動でエクスポートするだけではなく、情報を常に自動的に最新の状態に保つことができる。

ローンチから1年が経過したPennylaneは、550社のクライアントを獲得し200万ユーロ(約2億5000万円)の売上を達成した。現在、30人の会計士が同社のために働いている。

次は、より多くの企業、特に社内に会計チームを持っている企業や、すでに会計事務所と連携している企業を勧誘したいと考えている。Pennylaneのソフトを、顧客が自社の会計士から利用することもできるようにする予定だ。

Pennylaneは以前、Global Founders Capital、Partech、Kima Venturesから、シードラウンドとして400万ユーロ(約5億1000万円)を調達していた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Pennylane資金調達SaaS

画像クレジット:StellrWeb / Unsplash

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(翻訳:sako)

バーチャル美容アプリYouCam MakeupのPerfect Corpが52億円調達

化粧品への出費は、普段なら経済危機も乗り越えるものだが、新型コロナウイルスのパンデミックで事情は変わった(The Guardian記事)。ステイホーム命令とマスクのお陰で、化粧をしたいという人々の欲求が低下してしまったからだ。これが小売業者のオンライン戦略を加速させ、店頭サンプルを使わずに客の関心を惹く新しい方法が求められるようになった。そこで、Perfect Corp(パーフェクト)などが開発する化粧品の仮想お試し技術が、デジタル化における重要は役割を担うことになる。同社は米国時間1月6日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)主導によるシリーズC投資5000万ドル(約52億円)を調達したことを発表した。

台湾の新平市を拠点とし、CEOのAlice Chang(アリス・チャン)氏が率いるPerfect Corpは、消費者の間では、その美容アプリYouCam Makeup(ユーキャム・メイクアップ)で最もよく知られている企業だろう。アプリでは、300を超える世界の化粧品ブランドの仮想サンプルの「お試し」が可能だ。そこには、Estée Lauder(エスティローダー)やL’Oréal Paris(ロレアルパリ)といった美容コングロマリットが所有するブランドも含まれる。2014年にローンチされたYouCam Makeupは、現在、月間アクティブユーザー数が4000万人から5000万人を数え、自撮り画像の拡張現実(AR)化から、美容インフルエンサーによるライブ配信やチュートリアル、ソーシャル機能、さらに肌の状態を評価する「スキンスコア」機能などを搭載するまでに成長した。

Perfect Corpの技術は店頭販売、eコマース、ソーシャルメディアツールにも活かされている。たとえば2020年12月にローンチされた、Google(グーグル)検索のための拡張現実を利用した新しいお試しツールの開発にも、この技術が役立てられている(以前はユーチューバーの化粧品お試し機能にも使われていた)。また同社は、Snapchat(スナップチャット)に化粧品お試し機能を統合する目的でSnap(スナップ)との共同開発も行っていた。

今回の資金調達により、Perfect Corpの調達総額は1億3000万ドル(約134億円)となった。それ以前に発表された資金調達に、2017年10月のシリーズA投資2500万ドル(約2億5800万円)がある。新たなシリーズC投資による資金は、多様な販売チャンネルのための技術開発の推進と、海外拠点の拡大に使われる(現在は11の都市で事業展開中)。

記者発表で、Goldman Sachsマーチャントバンキング担当責任者のXinyi Feng(フェン・ジンイ)氏は「人口知能、機械学習、拡張現実を通してテクノロジーを美容業界に統合することで、デジタル販売チャンネルの増大、パーソナライズの拡大、消費者のエンゲージメントの深化など、多大な可能性が開放されます」と述べている。

またPerfect Corpは、多様性のある国際的起業家を支援しようとGoldman Sachsが行っている5億ドル(約515億円)規模の投資活動であるLaunch with GS(ローンチ・ウィズ・GS)に参加する予定だ。

同社は、顔のランドマーク検出技術を利用している。化粧品のお試しがリアルに見えるよう、ユーザーの顔の上に「3Dメッシュ」を生成するというものだ。プライバシーの面では、最高戦略責任者Louis Chen(ルイス・チェン)氏がTechCrunchに話したところによると、写真や生体情報を含む個人情報は一切保存されず、すべての演算処理はユーザーのスマートフォン内で行われるという。

Perfect Corpの顧客の大多数、およそ90パーセントが、化粧品とスキンケアのブランドだ。残りは、ヘアケア、毛染め、アクセサリーのブランドとなる。Perfect Corpの技術が目指すのは、店頭で化粧品を試したときの体験をリアルに再現することだとチェン氏はいう。たとえばユーザーが口紅をバーチャルで塗ると、自分の唇に色がついて見えるだけでなく、マット、グロス、シマー、メタリックといったテクスチャーもわかる(同社が現在提供している口紅のテクスチャーは11種類あり、業界最多だとチェン氏は話す)。

パンデミックで化粧品の売上げは下がったが、反対にスキンケアは伸びた。NPDグループの2020年9月の報告には、米国人女性は2019年と比べて、より多くの種類の製品を購入し、より頻繁に使用ていることが示されている。各ブランドがその傾向を活かせるよう、Perfect Corpは先日、AI Skin Diagnostic solution(AI肌診断ソリューション)というツールをローンチした。同社によれば、これは皮膚科医の検証を受けて水分、シワ、目の下のクマなど、8つの指標で顔の皮膚の状態を評価するというものだ。このツールは、スキンケア製品ブランドのウェブサイトで使用でき、ユーザーに合った製品を教えてもらえる。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以前、YouCam Makeupと同社の拡張現実お試しツールは、主に自撮り写真やフィルターを使い慣れているZ世代の若者を惹きつけていた。だがパンデミックによって、化粧品とスキンケアのブランドは、この技術の導入をすべての顧客に向けて加速せざるを得なくなった。美容業界における新型コロナウイルスの影響に関するMcKinsey(マッキンゼー)の報告書には、こう記されている。「安全と衛生への不安により、製品のテストと相談員の直接対応が基本的に不可能となった現在、テスト、発見、カスタマイズのための人工知能の利用を加速させる必要がある」。

「ブランドの地理的条件にもよりますが、過去において、事業のおそらくわずか10%、20%に満たない程度が消費者への直販でした。残りの80%は小売流通業者や提携流通業者を通じてのものです。そのネットワークはすでに2020年のうちに構築されています」とチェン氏。しかし、美容品メーカーは、現在、特にeコマースへの投資を強めており、Perfect Corpはその技術をSaaSとして提供することで、そこを活用している。

パンデミックの間、Perfect Corpが同社の製品を応用したもうひとつのかたちに、リモート相談ツールがある。通常はサロンやUltra(ウルトラ)などの店舗で働いている化粧とスキンケアの相談員が、ビデオ通話を利用してユーザーに化粧のやり方を実演して見せるというものだ。

「私たちが現在開発しているものは、どれをとっても単一の技術で構築されるものではありません」とチェン氏。「いまでは必ず動画配信機能が組み合わされています」。これには1対1のチャットに限らない。中国で大人気となり海外にも広がりつつあるライブショッピングや、YouTube(ユーチューブ)やSnapchatに組み込まれているAR技術なども含まれる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Perfect Corp資金調達美容メイクアップ仮想現実台湾

画像クレジット:Perfect Corp.

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(翻訳:金井哲夫)

高精度空中投下サービスのDash Systemsが8億円を調達、へき地や被災地への物資輸送のスピードアップが狙い

昨今、グローバルな配送インフラストラクチャに関して、その重要性と各種制約がかつてないほど顕在化している。Amazon(アマゾン)などの企業がドローンを使ってラストマイル配送のスピードアップを図る一方で、Dash Systems(ダッシュシステムズ)はミドルマイル(中間物流)の高速化を狙っている。元は軍の技術である空中投下により、パレット梱包された状態の小荷物を目的地の一歩手前の特定の地点まで運んでしまおうというのだ。この方法なら、アクセスが大変難しい地域への配送も可能となる。

一般に、航空機を使った輸送は4つのステップから成る。まず、配送品が倉庫から空港に運ばれる。次に、大型貨物機に搭載されて、主要ハブ都市に輸送される。ニューヨークからロサンジェルスにといった具合だ。3つ目に、トラックや小型飛行機で配送エリアの仕分け所/配送センターまで運ぶ。最後に、お馴染みの配送トラックで配達先に届けられる。

ダッシュシステムズの創業者兼CEOであるJoel Ifill(ジョエル・イフィル)氏が改善の余地があると感じたのは、この3つ目のステップだ。自身もエンジニアで、軍の誘導爆弾を開発した経験を持つ同氏は、軍の2地点間輸送アプローチから民間業務に生かせる点があるのではないかと考えた。そもそも着陸する必要などあるのか、というのが同氏の発想だ。

「世界中どこでも、翌日配送できるはずです」とイフィル氏は語った。続けて、「”どこでも”には、例えばアラスカ半島の先端も含まれます。航空機をすでに利用しているのに、へき地へのアクセスのために10億ドル(約1034億8700万円)の空港を建設する必要があるのでしょうか?」と問う。

同氏は、軍方式の輸送は必ずしも精度が高くない(スマート爆弾ではなく、空中投下の場合)ことが問題であると指摘し、「ノルマンディー上陸ならそれで十分ですが、郵便局の駐車場に落下させる場合には、話は別です。それで、精度が高くかつ商業ベースで有用なソリューションを考案しようということになりました」。

彼らが思いついた方法は、複数の荷物をスカイダイビングさせると考えれば分かりやすい。これなら1回のフライトで複数の目的地に投下できる。「この荷物をポッドと呼んでいます。ポッドには操縦翼面と尾翼キットが取り付けられていて、速度を落として着陸することができます。どの航空機でも機体後部に積載すれば利用できる、ターンキーソリューションなんです」とイフィル氏は説明する。

現時点でポッド1個あたりの規定積載重量は約22キログラムと、航空貨物としては少なめの容量だが、ポッドの個数については、もちろん何個でも航空機に積み込むことができる。

とはいえ、ポッドは同社が編み出した輸送方式を構成する要素の一部にすぎない。ダッシュシステムズでは、飛行経路の指示を含む、飛行全体の管理を手がけている。つまり、パイロットに正確な目的地を指示するということだ。特別なトレーニングを不要にするため、できるだけ簡単な仕組みになるよう注力したので、パイロットに求められているのは、システムに入力された座標に到達することだけである。また、着陸する必要がないため、1回のフライトで広範囲の飛行が可能だ。同社のシステムが最適な経路を計算し、あとは指定された地点で投下されたポッドが自力で目的地に到達することになる。

この方式により、今までは時間がかかる陸路輸送車両か、高価で燃料喰いの航空機を使うしかなかった中間物流が簡素化されるものと期待される。筆者は、この方式は少しコストがかさむのではと思ったのだが、イフィル氏とBryan Miller(ブライアン・ミラー)氏もその点は十分に理解していた。ミラー氏はダッシュシステムズのCOO兼チーフパイロットで、空軍での軍事オペレーションとエンジニアリングの経験もある。

「航空貨物は、直感的に理解しにくい分野です」とイフィル氏は認める。「貨物重量は全体のわずか0.5パーセントにも満たないんですが、輸送収益では全体の3分の1を占めます。航空貨物が提案する最大の価値は、効率性ではなくスピードなんです。貨物用航空機の平均稼働率は50%にも満たない状況です」。

画像クレジット:Dash Systems

ミラー氏は、アラスカのへき地コミュニティへの配送の難しさと遅さについて指摘した上で、「へき地への輸送市場には簡単に参入できると思います」と述べた。確かに、配送品をアンカレッジ空港から未開墾地にある小さな郵便局に運搬するのは難題である。しかし、アンカレジから航空機を飛ばして、5つの小さな空港やヘリポートにパレット梱包された荷物を投下できたら、通常であれば、たとえ道路が閉鎖されていなくても何十時間もの陸路輸送が必要になるところが、1回のフライトで済んでしまうことになる。それに、これは通常の航空輸送に比べても安全で安い。というのは、アラスカでは霧、凍結、ヘラジカ、風など、さまざまな要因で航空機の離着陸が阻害される可能性があるが、この方式なら空港での離着陸が不要になるからだ。

ミラー氏によれば、米国本土48州にもアマゾンの翌々日配送が不可能な地域はたくさんあるという。それには、上記の4つのステップを実施するためのインフラが整備されてない地域などが含まれる。しかし、もしアマゾンプライムの荷物が貨物便に積まれて、サンフランシスコ国際空港を飛び立ち(こうした貨物便は通常、最大積載量の半分ほどで運航している)、ペタルマ空港までの空路の途中でFedEx(フェデックス)の配送センターの屋上に投下されるとすれば、配送品に関係する全員がお金と時間を節約できるのだ。

商業ベースの契約はすべて順調に進んでいるものの、イフィル氏によれば、この構想が実際に始動したのはハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った後だという。ハリケーンで通信インフラが損壊したため、人々に物資が何も届かない状態が約2週間続いた。「何が必要なのか、衛星電話で市長に聞かないといけなかったんです」と同氏は振り返る。しかし、輸送自体はサン・ファン空港から45分程度のフライトで済むものだった。商業ベースの物資の空中投下が既存のシステムに組み込まれていたなら、もっと簡単に救援物資を届けることができただろう。

こうした経緯もあって、ダッシュシステムズは、災害によって一時的に孤立した地域への物資輸送に参入する可能性を引き続き探っていく考えだ。しかし、同社のビジネスを成功させるための中核となるのは、あくまで既存の仕組みを拡張して、遠隔地への配送の簡素化を図る事業である。この点、イフィル氏はフェデックスやUPS(ユーピーエス)などの大手との競合が問題だとは考えていないようだった。

「新しい輸送ルートが開拓されたために、既存のルートが廃止されたことなどありません」と同氏は述べた。この考え方で、おそらくダッシュシステムズは業績を大きく伸ばしていくだろう。イフィル氏は、「当社が対抗しているのは、業界の現状なんです。重力や空中投下に関する特許は取得していませんが、私の知る限り、当社は最先端を走っています」と添えた。

「自社で航空機を所有するつもりはありません。既存の航空会社との協力体制を築きたいと思っています」とミラー氏は述べる。

意外だが、同社の輸送方式で規制関連の障害は少ない。重たい荷物を居住地の近くに空中投下するのだから、認可を取得するのはさぞ大変だろうと思いがちだが、実際にはすべて既存の規制の範囲内に収まっている。重要な点として、ポッドはドローンとはみなされない。そのため、ドローンに必要な登録手続きは不要となる。なお、ダッシュシステムズは、今までのところ、アラスカの試験フライトで約2200キログラムの貨物を投下している。

ダッシュシステムズの800万ドル(約8億2860万円)のシードラウンドは8VCがリードし、Tusk Venture Partners(タスクベンチャーパートナーズ)、Loup Ventures(ループベンチャーズ)、Trust Ventures(トラストベンチャーズ)、Perot Jain(ペロットジェイン)、MiLA Capital(MiLAキャピタル)の各社が参加した。イフィル氏は、調達した資金でチームを拡張し、事業展開とポッドの技術開発をさらに進めることができると述べた。ポッドは現状でも機能を果たしているが、まだ技術の完成には程遠い。ダッシュシステムズはすでに、最初の顧客となる民間および政府機関との契約を幾つか検討中だ。軍では何年も活用されてきた技術とはいえ、同社の編み出した輸送方式が遠隔の拠点や施設で有用性の高いツールとなることは想像に難くない。

ダッシュシステムズについて詳しくは、以下の動画をご覧いただきたい。

Dash Mission Video from Dash Systems on Vimeo.

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カテゴリー:モビリティ
タグ:物流 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

情報筋:腰痛デジタル治療のHinge HealthがシリーズDで約309億円調達、評価は約3093億円に

腰痛や関節痛などの慢性的な筋骨格(MSK)疾患を治療するためのデジタルソリューションを提供するサンフランシスコを拠点とするHinge Healthは、情報筋によると、シリーズDで3億ドル(約309億円)の資金調達を終えたという。(米国時間1月6日更新:Hinge Health社は、資金調達を発表した)

本ラウンドはCoatueとTiger Globalが主導しており、2015年に設立されたHinge社のバリュエーションをポストマネーで30億ドル(約3093億円)としていると、投資事情に詳しい人物が語ってくれた。これは、2020年の収益が300%増加したことを背景にしており、投資家は、同社の記帳済みパイプラインに基づき、2021年には再び収益がほぼ3倍になると予想できると説明されている。

また、Hingeの創業者であるDaniel Perez(ダニエル・ペレス)氏とGabriel Mecklenburg(ガブリエル・メクレンバーグ)氏が取締役会の議決権を保持しているとも理解している。CEOのペレス氏にTechCrunchはコメントを求めているが、返答があればこの記事を更新する。

Hingeの既存の投資家には、2月に同社の9000万ドル(約93億円)のシリーズCラウンドを支援したBessemer Venture Partnersのほか、Lead Edge Capital、Insight Partners(シリーズBをリード)、Atomico(シリーズAをリード)、11.2 Capital、Quadrille Capital、Heuristic Capitalが含まれている。

元々ロンドンを拠点とするHinge Health社は、主に米国の雇用者やヘルスプランに向けてサービスを販売しており、慢性的なMSK疾患に対するデジタルヘルスケアソリューションを提供している。このプラットフォームは、ウェアラブルセンサー、アプリ、ヘルスコーチングを組み合わせて、理学療法や行動療法を遠隔で提供するものだ。

基本的な根拠は、慢性的MSK疾患を治療するための最善の方法を示す研究はたくさん存在するものの、既存の医療システムでは、資金調達の圧力と他の体系的な理由から対応できていないという点だ。その結果、オピオイド系の鎮痛剤や手術が多用される傾向にあり、結果は芳しくなく、コストも高くつくことが多い。Hingeは、治療へのアドヒアランスを向上させることに焦点を当て、テクノロジーとより良いデータを活用することで、この状況を逆転させたいと考えている。

そんな中、Hingeの評価額の急上昇は意義深い。情報筋によると、同社の2月のラウンドでは約4億2000万ドル(約433億円)のバリュエーションだったので、今回の評価額は6倍以上の上昇となる。

Hinge Healthがラウンドを公表し、シリーズDの調達額が3億ドルであることを明らかにしたのを受け、米国時間2021年1月6日に記事を更新しました。

関連記事:アミノ酸トランスポーターLAT1を創薬標的に画期的医薬品開発を目指すジェイファーマが5億円を調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:資金調達

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(翻訳:Nakazato)

顧客エンゲージメントのSalesLoftが103億円調達、評価額は1100億円超

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの中、ウイルス蔓延を防ぐためのソーシャルディスタンス要請によって多くの人々がオフィスを離れることを余儀なくされている。現在、ますます多くの企業と人々がリモート、分散、バーチャルの業務形態への永続的転換が進むと信じている。米国時間1月6日、そんな変化の中、デジタル販売で営業担当者を支援するツールを開発したスタートアップが需要に応えるべく巨額の資金を調達した。

SalesLoft(セールスロフト)はジョージア州アトランタ拠点のセールスプラットフォームで、AIベースのツールを提供して販売員が販売プロセスをバーチャル化する手助けをする。顧客の開拓からフォローアップ、販売までをバーチャルコーチングツールを使って支援し、販売後のサポートにも協力する。このほど同社は1億ドル(約103億1000万円)の調達ラウンドを完了した。

会社の共同ファウンダーでCEOのKyle Porter(カイル・ポーター)氏は、同社の資金獲得後の会社価値が11億ドル(約1134億4000万円)に達したことをTechCrunchに明かした。前回の評価を大きく上回る金額だ。2019年4月、世界的健康パンデミックのはるか前に、同社はシリーズDラウンドで7000万ドル(約72億2000万円)を調達し、評価額は6億ドル(約618億8000万円)だった(未訳記事、数字は当時本誌が同社に近い筋から確認した)。

最新のラウンドをリードしたのはOwl Rock Capitalで、既存出資者のInsight Partners、HarbourVestおよびEmergence Capitalも参加した。Emergence Capitalはエンタープライズ指向のスタートアップに特化したベンチャーキャピタルで、Zoomをはじめとする多くのスタートアップの早期出資者として知られている。

これでSalesLoftの総調達額は2億4500万ドル(約252億7000万円)となり、これはどんなスタートアップにとっても印象的な金額であるだけでなく、シリコンバレーではなくジョージア州アトランタ発であることが注目に値する(同州は現在上院議員選挙決選投票が争われていることでも注目を集めている)。

会社はここ数年爆発的な成長を続けており、いわゆる「セールスエンゲージメント」と呼ばれる分野の代表的存在となっている。セールスエンゲージメントとは、販売担当者の顧客(あるいは潜在顧客)への販売力を高めるためのツールで、たとえば対話をリアルタイムでモニタリングすることで、プロセス改善のためのコーチングや売り口上を支援する補足コンテンツの助言を行うほか、記録や対話を管理するための基本的なソフトウェアなどを提供する。

パンデミックが起きる以前から、これはエンタープライズソフトウェアの重要な成長分野であり、対面およびオンライン / デジタル両方の販売担当者がこの種のツールを使って競争力を高めていた。しかし、中心はどちらかというとインサイドセールス(大型購入に特化したB2Bセールス)だった。Porter氏は新型コロナウイルスの影響を、すでに強かったトレンドを加速する「追い風」と評した。

「新型コロナの効果はデジタル販売効果による追い風です」と彼は言った。「すべての販売業者が一夜にしてリモートになりました。しかしランプを飛び出した魔神は元には戻りません。つまり、いまやすべてのセールスがインサイドセールスだということです。ターゲットがミドルオブファネル(課題を特定した見込み客)であれアップグレードであり買い替えであれ、我々は記録に基づくエンゲージメント・プラットフォームとしての地位を確立しようとしています。すべてがデジタルになり、すべての売り手がさらに成功を求めているからです。

同氏は、SalesLoft自身の販売サイクルがパンデミック以来40%改善されたと付け加え、同社の開発しているツールの「緊急性と必要性」を反映していると語った。

もう1つ変わったのが、SalesLoftが対象とする顧客の種類だ。当初はミッドマーケット(中堅企業向け)に特化していたが、もっと大規模なエンタープライズが加わってきたことでそれが変わった。Google(グーグル)、LikedIn(リンクトイン、SalesLoftの出資者で戦略パートナー契約も結んでいる)、Cisco(シスコ)、Dell(デル)、IBM(アイビーエム)はいずれも顧客であり、Cargill(カーギル)、3M(3M)、Stadard & Poor’s(スタンダード・アンド・プアーズ)などの「主流」企業も数多く顧客になっている、とPorter氏は語った。

それを受けてSalesLoftは、これまでの主力であった「セールスエンゲージメント」という基本路線を超えるさらに大きなソリューションの開発を進めている。同社の競争相手は多岐にわたり、Clari(未訳記事)、Chorus.ai(未訳記事)、Gong(未訳記事)、 Conversica(未訳記事)、Afiniti(未訳記事)、Outreach(アウトリーチ)のほか、Salesforce(セールスフォース)のような大物もいる。中でもOutreachはコロナ禍中に大型ラウンドを実施し、2020年6月に評価額13億ドルで5000万ドル(約51億6000万)を調達(未訳記事)し、市場需要の大きさを示した。Porterは、SaleLoftの大きなセールスポイントは、ますますエンド・ツー・エンドになるソリューションを顧客に提供することであり、あちこち見て回る買い物を減らすことだと語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SalesLoft資金調達

画像クレジット:Chainarong Prasertthai / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アミノ酸トランスポーターLAT1を創薬標的に画期的医薬品開発を目指すジェイファーマが5億円を調達

アミノ酸トランスポーターLAT1を創薬標的に画期的医薬品開発を目指すジェイファーマが5億円を調達

ジェイファーマは1月7日、ラウンドDにおいて、第三者割当増資による総額5億円の資金調達を発表した。引受先はEight Roads Ventures、F-Prime Capital Partners。ラウンドDの累計調達額は総額22億4600万円となった。

今後は、現在治験実施中の低分子化合物「JPH203」の胆道がんでの国内の臨床開発を進める。同時に、Eight Roads VenturesおよびF-Prime Capital Partnersの有する海外、特に米国でのコネクションと専門知識を活用してJPH203のグローバル展開の基盤づくりを進めていく予定。

また、OKY-034の膵臓がんでの臨床開発、さらには、アミノ酸トランスポーターLAT1」(SLC7A5)阻害剤の自己免疫疾患への応用を進めるとともに、日本発の新規薬剤標的を厳格な臨床試験の中から立証し、医療への応用を積極的に推進していく。

JPH203は、ジェイファーマが独自に見出した新規の低分子化合物。細胞が増殖または活性化されエネルギーを緊急に必要とする際に、アミノ酸を取り込むために細胞表面に発現するLAT1を選択的に阻害する。LAT1を創薬標的とし臨床開発を進めている世界初の化合物であり、医薬品の承認を取得すれば、日本発のファースト イン クラス(FIC / First In Class。画期的医薬品)の新薬となるという。

また、固形がん患者対象の第1相試験において良好な忍容性を確認していることから、がんに対する治療効果が示唆するものとしている。現在、標準的化学療法に不応・不耐となった進行性の胆道がん患者を対象に第2相試験を実施中。この第2相試験では、患者の背景因子に基づき層別し試験を実施しており、コンパニオン診断薬の開発も同時に進めている。

OKY-034は、JPH203と同じ創薬標的LAT1に対してアロステリックに結合することでLAT1の働きを阻害する新規の低分子化合物。ジェイファーマは、OKY-034の物質特許を保有する大阪大学および神戸天然物化学より全世界での独占的な専用実施権を得ている。

現在OKY-034は、標準的化学療法に不応・不耐かつ外科的切除不能すい臓がん患者を対象に大阪大学で医師主導の第1/2a相試験が進行しているという。

ジェイファーマは、細胞膜表面のSLCトランスポーターを創薬標的とした創薬ベンチャー企業。2005年に杏林大学を退官した遠藤仁元教授により設立され、これまでに様々なSLCトランスポーターを標的とした新規薬剤の研究開発に取り組んできた。近年は、Lタイプ・アミノ酸トランスポーター(LAT1/SLC7A5)阻害剤の研究開発に特化し、標準的化学療法が不応・不耐となった進行性がんの治療を目的に複数の新規薬剤(JPH203とOKY-034)の臨床開発を進めている。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)ジェイファーマ資金調達(用語)創薬(用語)ファースト イン クラス / 画期的医薬品日本(国・地域)

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

最新AR&AI技術活用ソリューションによる美容業界DXを奨励するパーフェクトは1月7日、親会社のPerfectが5000万米ドル(約51億5000万円)のシリーズC資金調達を完了したと発表した。引受先はゴールドマン・サックス、CyberLink。調達した資金により、AIを活用した技術の開発・改良を加速しグローバル事業拡大を目指す。

同社は、AIとAR技術を応用してブランドや小売店の消費者コミュニケーションをサポートするサービス展開と、累計9億以上のダウンロード数を誇る「YouCam」アプリシリーズを展開。全世界で300以上のブランドパートナーを持ち、10万超のコスメ商品を60ヵ国以上で展開。メイクをはじめ、スキンケアやヘアのバーチャルシミュレーション体験を創出しているという。

消費者はバーチャル体験を通して、簡単にブランドの製品を自分の顔で試し、お気に入りのアイテムを見つけられるほか、画面上で肌の状態をチェックし、パーソナライズさ化された製品提案を受けることも可能としている。

EC・ウェブ・店舗・ソーシャルネットワーク・モバイルアプリなど、オムニチャネルで導入きるこのバーチャルメイク機能を使ったビューティーテック ソリューションにおいて、さらなる事業拡大を計画する上での資金調達としている。

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

パーフェクトは現在、台湾(本社)、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インドに拠点を構え、ARビューティアプリ「YouCam メイク」を筆頭にビューティーアプリシリーズの開発と、コスメブランドや小売店向けに高度な顔認証技術とAI技術を利用して開発したバーチャル メイクアップ サービスを提供している。

なおパーフェクトは2020年12月、Snapと提携し美容ブランド向けにSNSアプリ「Snapchat」上でバーチャルメイク体験を提供すると発表。同月、資生堂ジャパンの複数ブランドと一括契約を締結しバーチャルメイクサービスを提供開始することも明らかにした。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:AI / 人工知能(用語)拡張現実 / AR(用語)資生堂資金調達(用語)Snap(企業)Snapchat(製品・サービス)パーフェクト美容(用語)メイクアップ / 化粧(用語)YouCam

テックを駆使して世界規模でのサンゴ礁回復を目指すCoral Vitaが2億円調達

世界中のサンゴ礁の生存が危ぶまれている。そしてサンゴ礁に頼っている何百万という人々、そして何十億ドル(何千億円)という事業も、そうした重要なエコシステムを失うという根本的な悲劇を抱え、危機にさらされている。Coral Vita(コーラルビタ)はサンゴ礁回復のテクニックと、サンゴ礁回復にかかる経済の両方を現代化することを目指していて、同社は本格的に事業を展開すべくシードラウンドで200万ドル(約2億1000万円)を調達した。

筆者は2019年後半にCoral Vitaの創業者Gator Halpern(ゲイター・ハルパーン)氏にSustainable Ocean Alliance’s Accelerator at Sea(未訳記事)で出会い、記事を書いた。当時、オペレーションはずっと小さく、バハマにあるチームのサンゴ養殖場を壊滅させたハリケーン・ドリアンの影響を受けていた。そしてその後起きたパンデミックは当然のことながら、多くの人の計画同様にチームの2020年の計画を台無しにした。

しかし昨年の全体的な混乱にかかわらず、Coral Vitaは大きくなって、そしてさらにより良いスタートアップになって戻ってきた。この分野における新しいグローバルモデルを示そうという意気込みでなんとか事業を開始し、最終的に200万ドルのラウンドをクローズした。

「我々の試験養殖場をただ試験レベルに再建するのではなく、次のレベルへと進めることにしました。サンゴ礁復興経済をジャンプスタートさせる機会だと信じています」と共同創業者でサンゴ礁責任者のSam Teicher(サム・タイシャー)氏は述べた。

現代のサンゴ礁復興がどのようなものなのか把握するために、海岸近くにある水中庭園を想像してほしい。ロープや構造物が浮いていて、そこではサンゴの断片が育っている。そうした断片は採取され、若いサンゴを必要としているエリアに移植される。

画像クレジット:Coral Vita

「しかし問題の規模を考えたとき、水中施設だけに頼ることはできません。世界のサンゴ礁の半分は死んでいて、残り半分の90%も30年以内に死滅すると予想されています」と同氏は話した。

Coral Vitaの計画は、海での養殖から陸上施設へ移行させるというものだ。陸上施設では、よりサンゴの増殖を拡大させ生き残らせることができる。サンゴの成長をスピードアップして生存率を高めるために高度なテクニックを使っている。そうしたテクニックの1つがサンゴ復元に取り組んでいるコミュニティが開発したサンゴのマイクロフラジメンティングだ。この手法ではサンゴをバラバラにする。小さなピースは全体として50倍速く成長できる。陸上で行うことで、サンゴの性質をより生かすことができる。

「我々はきれいな海水をポンプで注ぐタンクを陸上に設置しました。最大の特徴はコンディションを管理できることです」とタイシャー氏は説明した。「40〜50年後のグランド・バハマ島の海岸がどうなっているか考えるとき、そうしたコンディションに対してサンゴが丈夫になっているとシミュレーションできます。正直なところ、海洋ベースの施設の方がコストはずいぶん安いのですが、何百万、何十億という世界中のサンゴを育てる必要があることを考えると、陸上施設はより現実的なものに感じられます。展開規模が大きくなるとコストは下がります。海洋ベースの施設のコストはサンゴ1つあたり30〜40ドル(約3100〜4100円)です。100あるいは1000のタンクを展開するとコストは10ドル(約1030円)に下げられます」

左の写真はバハマの観光当局者(左側)がサム・タイシャー氏の説明を聞いているところ。右の写真はパンデミック前に創業者ゲイター・ハルパーン氏(中央)が話しているところ(画像クレジット:Coral Vita)

現在は、実際に展開している規模だけでなく、収入源も限られている。無尽蔵のプライベートキャッシュの代わりに政府の資金に頼っている。Coral Vitaはサプライと収入を増やして多様化することでそうした状態を変えることを望んでいる。

世界が元に戻り始めたら、再び人々がサンゴ養殖場に来て、孵化や自然の生態を観察するエコツーリズムに頼れるようになることをCoral Vitaは願っている。エコツーリズムは、地元の人を含めた広範におよぶ収入とプロジェクトのバランスをとるのに役立つ(そして同社が拠点を置く小さなコミュニティと同社をつなげる)。

まだ自由ままならない状況ではあるが、同社は機会を利用して「サンゴ受け入れ」キャンペーンを拡大することで遠距離からローカルオペレーションをサポートしている。絶滅寸前の動物や荒廃した森のために活動したことのある人ならそれがどういう仕組みになっているか知っているだろうが、2021年初めまでCoral Vitaは積極的にそのコンセプトを追求してこなかった。

「我々は補助金や支援金なしにこの分野を変革しようとしています。サンゴ礁のエコシステムに頼っている顧客に販売しています」とタイシャー氏は話した。「もしあなたがスキューバダイビングやシュノーケルを楽しむ観光客に頼るホテルの経営者、あるいは海岸近くにある不動産のオーナー、保険会社や政府、開発銀行、クルーズ会社の人間だったら、あなたが頼っているサンゴ礁を回復させるためにCoral Vitaを雇うことができます」。

もちろん、もし政府や産業界がこうした取り組むべきサンゴ礁の問題を体制的に無視してこなければ、商業的に重要なサンゴ礁が優先されるという表面的に報酬目当てのビジネスモデルは必要なものではない。民間資金によるプロジェクトは基本的にはさほど腐敗していないが、この手の回復取り組みは非営利機関と政府機関の領域とみなされる傾向にある。Coral Vitaのアプローチを直接的で政府の仲介を切り離すものと考える人もいるだろう。

これは、適切な保全基金が関係者によって集められれば5年、10年以内ではなく今すぐ始める必要がある世界的に重要な取り組みだ。サンゴ礁の状態が悪化しているいま、一刻を争う事態であり、なすべきことをすばやく大規模展開するのに民間資金が唯一の現実的なオプションだ。加えて、コストが下がれば、プロジェクトの資金集めもしやすくなる。

画像クレジット:Coral Vita

「その上、イノベーションを起こす能力があります」とタイシャー氏は付け加えた。「今回の資金調達で何をしようとしているかというと、取り組みで活用している3Dプリントやロボティクスを含む科学やエンジニアリングの向上です。サンゴ礁回復のためだけでなく保護のためのR&Dプロジェクトも立ち上げます」。

同氏は業界を農業と比較しながら、ロボティクスが現在変革的な効果をもたらしている自動車業界で自動化を押し進めた人物でありGoogle Xの共同創業者でCoral Vitaの初期アドバイザーかつ投資家のTom Chi(トム・チー)氏に言及した。

必要とされるところにサンゴを運ぶのにかかるコストとリードタイムを削減し、大規模展開できる陸上養殖の効果を証明することで世界的に存在感を示すことにつながる。

「適応について、そしてどのように資金をまかなうかを再考する時期にきています」とタイシャー氏は話した。「2カ年計画では他の国々でより多くの養殖場を立ち上げます。究極的には我々はすべての国にサンゴ礁があるようにしたいと考えていて、これまでで最大のサンゴ会社になるでしょう」。

もちろん多くの人と同じように、同氏は回復作業がまずもって不要であることが好ましいと考えている。サンゴ礁を殺すような行動を止めれば、そちらの方が断然役立つ。だが、グローバル規模の多くの問題と同様、そうした行動を止めることは問題解消を意味しない。サンゴ養殖はサンゴ礁回復のために不可欠であり、自然がバランスを取り戻すのをサポートするために、少なくともバランス状態に近づくために、保全行為と資金が必要とされる。

今回の200万ドルのラウンドは環境を専門とするBuilders Collectiveがリードし、Apollo ProjectsのMax Altman(マックス・アルトマン)氏、野球のMax and Erica Scherzer(マックス・シャーザーとエリカ・シャーザー)夫妻が参加した。初期投資家にはSustainable Ocean Alliance、前述のトム・チー氏、Adam Draper(アダム・ドレイパー)氏、イェール大学、Sven and Kristin Lindblad(スヴェン・リンドブラドとクリスティン・リンドブラド)夫妻が名を連ねる。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Coral Vitaサンゴ礁資金調達

画像クレジット:Coral Vita

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(翻訳:Mizoguchi

クラウドネイティブモニタリングツールのChronosphereがシリーズBで45億円獲得

元Uber(ウーバー)のエンジニア2人が2019年に立ち上げたスケーラブルなクラウドネイティブモニタリングツールのChronosphere(クロノスフィア)は米国1月5日、4340万ドル(約45億円)のシリーズBを発表した。同日からサービスが一般に公開されることも発表した。

2019年の1100万ドル(約11億円)のシリーズAに参加したGreylock、Lux Capital、ベンチャーキャピタリストのLee Fixel(リー・フィクセル)氏がラウンドをリードした。新しい投資家としてGeneral Atlanticも参加した。Chronosphereはこれまで5440万ドル(約56億円)を調達した。

創業者であるCEOのMartin Mao(マーチン・マオ)氏とCTOのRob Skillington(ロブ・スキリントン)氏の2人はUberでオープンソースのM3モニタリングプロジェクトを始め、同プロジェクトを基盤として2019年にChronosphereというスタートアップを立ち上げた。Aラウンドでマオ氏が筆者に語ったように、同社はオープンソースプロジェクトの実行管理の簡素化を目指した。

M3自体は実行するにはかなり複雑なテクノロジーです。非常に複雑で大規模な問題を解決しますが、実際に実行するにはかなりの投資が必要です。そのため、私たちが最初にしていることは、その管理を行うことです。

マオ氏は、同社が2020年のほとんどをプロダクトの反復とベータ版の顧客との協業に費やしたと述べ、オープンソースプロジェクト上に商用サービスを開発したことには確かにメリットがあったとつけ加えた。

「私たちは、すでにオープンソースプロジェクトの基盤を持っていることを幸運だと思っています。しかし私たちはそのテクノロジーの上にプロダクトを開発することに本当に集中したいと思っていました。また、このプロダクトを本当に差別化したいと考えました。私たちが2020年に集中していたのはほとんどそういったことです」とマオ氏は語った。

マオ氏は、まだAラウンドからの資金が残っていたため、同氏とスキリントン氏が今回の新しいラウンドでの資金調達を模索していたわけではなかったと指摘した。だが、同社の既存投資家が彼らに近づき、彼らはバランスシートに資金を追加すると決めた。その資金で会社を成長させ、従業員を引きつけ、またプロダクトと会社を発展させ続けるための十分な資金を持っていると顧客を安心させることもできる。

同社は2020年の成長にともない従業員を大幅に増やし、2019年のAラウンド時点の13人から現在は50人になった。2022年末までに倍増する計画だ。マオ氏によると、創業者らは当初から多様性のある会社を作る方法を考えていた。

「そのため、昨年から適切なリーダーと、多様性にも関心のある適切なリクルーティングチームとを確実に採用するようにしています。その後、性別と人種の多様性の両方について全社的なゴールとターゲットを設定しました。私たちはこうした具体的な目標に責任を持ち、達成度合いを管理しています」とマオ氏は語った。

同社は当初から、それも新型コロナウイルス(COVID0-19)の前からシアトル、ニューヨーク、リトアニアにオフィスを広げており、それが採用基盤の拡大に役立ってきた。マオ氏は、オフィスに戻れる時がいつ来たとしても、ほぼリモートで働き続けたいと考えているが、従業員がお互いに直接会うことができるよう各所にハブを維持している。

一般に公開されたプロダクトで同社は、顧客基盤の拡大を目指す。関心を集めるオープンソースプロジェクトとともに、同社には新しい顧客を商用のプロダクトに引き付ける実証済みの方法がある。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Chronosphere資金調達

画像クレジット:baranozdemir / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インドネシアのロボット投資支援アプリBibitが約31億円を調達、セコイア・キャピタル主導

インドネシアでの投資を促進したいと考えているロボアドバイザーアプリのBibitは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)から3000万ドル(約31億円)を調達した。投資にはEast Ventures、EV Growth、AC Ventures、500 Startupsも参加した。

Stockbit Groupの一部であるBibitのユーザーの約90%は、ミレニアル世代かつ初めて投資する投資家だ。Bibitの目的は他のロボアドバイザーと同様に、各個人のリスクプロファイルや投資目標に合わせたポートフォリオを簡単に作成することだ。インドネシアの他の投資アプリには、BareksaやSoftBank Venturesの支援を受けたAjaibなどがある。

Bibitによると、この1年間で100万人以上の新規投資家が登録したという。市場のポテンシャルの例として同社はインドネシア証券取引所とインドネシア中央証券保管のデータを挙げている。同国の個人投資家の数は2020年に前年比56%増となり、新規投資家の約92%が21歳から40歳だったが、株式市場に参加したことのあるインドネシア人は約2%に過ぎない。

Bibitの最高経営責任者であるSigit Kouwagam(シギット・コウワガム)氏はTechCrunchに対して、ほとんどのインドネシア人は定期預金口座に投資するか、利回りの低い当座預金口座に預けていると語った。

「伝統的に、彼らは不動産やゴールドバーにも投資します」とコウワガム氏は付け加えたが、ミレニアル世代とZ世代の投資家は「管理が便利で、より気軽に開始できる高利回りの流動資産」にシフトしている。

またパンデミックにより、より多くのユーザーが緊急時資金を用意するようになり、多くのインドネシア人が低金利の銀行口座の代わりとして高利回の資本市場に注目している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Bibitインドネシア資金調達セコイア・キャピタル

画像クレジット:Bibit

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

モビリティ市場のニッチ、車両を自宅まで届けてくれるレンタカー事業のKyteが約9.2億円調達

2年以上前、Ludwig Schoenack(ルートヴィヒ・シェーナック)氏、Nikolaus Volk(ニコラウス・ヴォルク)氏、Francesco Wiedemann(フランチェスコ・ヴィーデマン)氏の3人は、米国のほとんどの都市部で利用可能なスクーターサービス、ライドハイリングアプリ、公共交通機関、カーシェアリングといった選択肢の数々に注目し、モビリティ市場にニッチがあることを発見した。

自家用車を所有したくはないが、数日から数週間ほどクルマが必要な消費者には「空港や市街地の郊外によくあるレンタカーセンターに向かう」「カーシェアリングプラットフォームを利用する」という2つの選択肢がある。3人の友人同士(全員がドイツからの移民でサンフランシスコで出会った)は、BMW、McKinsey(マッキンゼー)、Uber(ウーバー)に関する専門知識を結集し、多数の車両を所有して維持するというコストのかかるビジネスをすることなく、新しい種類のレンタカー体験を創造するためにKyte(カイト)を立ち上げることを決めた。

Kyteは、ユーザーがアプリやウェブサイトを通じて車両をレンタルできる車両物流プラットフォームを構築した。都心のハブに配置された車両は、ギグエコノミーの労働者が借り手の自宅まで届けてくれる。Kyteは車両のピックアップと給油も無料で行う。

「私たちは、人々がクルマを所有するのは、ドアを開けたらすぐの場所にクルマがほしいからだと考えています。だから、そこまでクルマを持って行ってあげればいいと思いました」。

シェーナック氏は最近のインタビューでそう語っている。

Kyteは多くの車両を管理するレンタカー会社などの企業と提携しており、このスタートアップ企業は消費者とテクノロジーに焦点を絞ることができる。

2018年後半に創業しボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコで事業を展開している同社は、投資家の注目を集めている。

Kyteは米国時間1月5日、DN Capital(DNキャピタル)とAmplo VC(アンプロVC)から900万ドル(約9億2000万円)の資金調達を行ったと発表した。モビリティ業界の個人投資家も多数参加しており、その中には元Uber幹部のEd Baker(エド・ベーカー)氏、Jörg Heilig(ヨルグ・ハイリグ)氏、Josh Mohrer(ジョシュ・モーラー)氏、William Barnes(ウイリアム・バーンズ)氏をはじめ、Lime(ライム)の共同創業者Toby Sun(トビー・サン)氏、Kayak(カヤック)とTravelocity(トラベロシティ)の共同創業者Terry Jones(テリー・ジョーンズ)氏などが含まれる。

今回調達された資金は、ワシントンD.C.から始まったKyteの市場拡大のためにすでに活用されている。

画像クレジット:Kyte

Kyteの創設者達はその収益について、月々「6桁は確実」ということ以外、開示しようとしなかった。シェーナック氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広まる中、より多くの人々がクルマに乗るようになった2020年3月から、Kyteの月次収益が400%成長したことを加えた。

「新型コロナウイルスが流行する前から、我々はクルマとの関わり方を変える必要があることは明らかでした」と、シェーナック氏は述べている。新型コロナウイルスが多くの人々を空の旅から遠ざけてしまったため、代わりにKyteのような代替品を試してみようと思う人が増えている。

このような急成長にもかかわらず、シェーナック氏によると、Kyteの予約は半分以上が定期的に利用するユーザーからのものだという。

Kyteはまた、クライアント(シェーナック氏は国内最大手のレンタカー会社としか表現しようとしなかったが)が意欲的で熱心であることも発見した。そのレンタカー会社が抱える車両を、Kyteは消費者の手に渡す手助けとなるからだ。レンタカー会社は、営業所の多くが空港にあるため、新型コロナウイルスによって大打撃を受けた。これらの企業には、収益を生み出すことがなかった数百万ドル(数億円)分の減価償却資産が残されていた。

DNキャピタルの共同創業者で取締役社長のSteve Schlenker(スティーブ・シュレンカー)氏は、Kyteがモビリティの未来を担う中核的なビルディングブロックになると考えている。

「新型コロナウイルス感染流行の影響で、都市や消費者行動の交通機関に関する変革が加速しています」と、シュレンカー氏はいう。「Kyteの独自のオペレーションレイヤーは、他のソリューションでは対応できないレベルのサービスと利便性を提供しながら、この変革を促進させます」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Kyte資金調達自動車

画像クレジット:Kyte

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転車用ソフトウェアを産業アプリケーションへ展開するためにOxboticaが48.3億円を調達

安全で信頼性が高く、費用対効果の高い自動運転車の登場を世界が待ち続ける中、自動運転車ソフトウェアの世界的先駆者の1社が、より直近のチャンスに対して注力するために、多額の資金を調達した。通常の道路外であるオフロード環境でのアプリケーションを構築するための技術を、産業界に提供することを狙う。

英国オックスフォードのスタートアップであるOxbotica(オクスボティカ)は、「universal autonomy(ユニバーサルオートノミー)」と呼ぶ技術を開発している。同社によればその技術は、使用されているハードウェアに関係なく、さまざまな環境で自動運転車のナビゲーション、知覚、ユーザーインターフェイス、車両管理、その他の機能を支える柔軟な技術だという。このたびOxboticaは有力な戦略的投資家や金融投資家たちからシリーズBラウンドとして4700万ドル(約48億3000万円)の資金調達を行った。

ラウンドを主導するのは石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesだ。他にラウンドに参加するのはBGF、安全装置メーカーのHalma(ハルマ)、年金基金のHostPlus(ホストプラス)、IP Group、Tencent(テンセント)、Venture Science(ベンチャー・サイエンス)、Doxa Partners(ドクサ・パートナーズ)がアドバイザーを務めるファンド群などである。

Oxboticaによれば、調達した資金はこの先顧客に向けて行われる展開のために使う予定だという。同社CEOによるとそのうちのいくつかは2021年中に稼働する予定とのことだ。対象となる顧客は鉱業、港湾物流などで、主要投資家がBPであることから、その顧客の規模や視野にあるプロジェクトが示唆されている。

CEOのOzgur Tohumcu(オスガー・トフムチュー)氏は、インタビューで「現在自動運転が必要とされている分野はどこでしょう?」という問いかけを口にした。「鉱山や港湾に行けば、車両がすでに使われているところを見ることができます」と彼はいう。「私たちは産業分野で大きな変革が起きていることを知っています」。

今回の資金調達と産業分野への注力は、Oxboticaにとって興味深い展開となる。スタートアップは2014年頃から存在していたが、元は学者であるPaul Newman(ポール・ニューマン)氏とIngmar Posner(イングマー・ポスナー)氏が一緒に創業したオックスフォード大学からのスピンアウトだった。その後ニューマン氏はCTOとしてスタートアップに残り、ポスナー氏はオックスフォード大学のAI教授のままだ。

これまでOxboticaは、たとえばNASAのマーズ・ローバーにセンサー技術を提供する(Financial Times記事)など、多くの注目を集めるプロジェクトに携わってきた。

時間をかけてSeleniumとCaesiumという名の2つの主要なプラットフォーム上に、それぞれナビゲーション、マッピング、知覚、機械学習、データエクスポートと関連技術そして車両管理を扱えるように技術を整えてきた。

ニューマン氏によると、Oxboticaが他の自律制御ソフトウェアプロバイダーと比べて際立っている点は、そのシステムが軽量で使いやすいところだという。

「私たちが得意とするのは、エッジコンピューティングの部分です」と彼はいう。「私たちのレーダーベースの地図は、1kmの範囲をカバーするためには、数百MBではなく10MBの容量を必要とするだけです【略】私たちのビジネスプランは、Microsoft(マイクロソフト)のような水平型のソフトウェアプラットフォームを構築することです」。だが、このような表現は、同社が開発しているものの価値に対して謙遜しすぎているかもしれない。Oxboticaはまた、自律制御システムに関連した膨大なデータを効率的に転送する方法も研究しており、シスコのような企業と協力して(PR Newswire記事)これらをオンライン化している。

近年では、Oxboticaは英国で路上における自動運転車の代名詞となっていたが、自動運転車のプロジェクトによくあるように、現状、すべてが期待通りには進んでいない。

Oxboticaが2018年にロンドンで始めた、自動運転パイロットプロジェクトのカーサービスAddison Lee(アディソン・リー)は、最初の車両を2021年には路上に投入するだろう予想されていた(未訳記事)。しかしそのプロジェクトは、Addison Leeが昨年Carlyle(カーライル)によって売却され(Addison Leeリリース)、同社がコストのかかる困難な目標だとして解体されたことで静かに幕が下ろされた。公的資金でバックアップされ、英国内の各都市に自動運転車を展開する予定のProject Endeavour(プロジェクト・エンデバー、プロジェクトサイト)はまだ道半ばのようだ。

ニューマン氏によれば、産業顧客への注目が、より野心的で大規模なアプリケーションと並行して進んでいるという。「道路外での応用である、精錬所、港湾、空港向けの産業用自動運転は、実際の路上自動運転に至る道の途中にあるものです」と彼はいう。異なるハードウェアで利用できるソフトウェアを提供する方針は堅持される。「私たちは常に『物理的対象ではなく、ただソフトウェアを(no atoms, just software)』というビジョンを掲げてきました」と彼はいう。「道は特別なものではありません。私たちのポイントは、どのようなハードウェアプラットフォームでも動作できるように、ソフトウェアの依存性をなくすことです」。

同社は、ハードウェアや応用に依存しない自律性に常に興味を持ってきたのだと主張しているだろう。だが最近では他の手段を試した結果、これまでのやり方ではなくOxboticaの戦略にならう他企業の例も増えつつある。そうした企業の中には、英国から出てきたもう1つの自動運転スタートアップであるFiveAI(ファイブAI)も含まれている。FiveAIは、元は自社で自動運転車の車両群を構築したいと考えていたが、2020年に他のハードウェアメーカーにソフトウェア技術をB2Bベースで提供する方針に切り替えた(未訳記事)。

これまでにOxboticaは約8000万ドル(約82億2000万円)を調達しているが、その評価額は公表していない。しかし、これからの展開や新しいパートナーシップによって、現状の市場の中でうまくいっていることが裏付けられるだろうと楽観視されている。

「BP Venturesは、Oxboticaに投資できることを喜んでいます。私たちは彼らのソフトウェアは自動運転車両の市場を加速できると信じているのです」と声明で語るのは、BP VenturesのマネージングパートナーであるErin Hallock(エリン・ハーロック)氏だ。「世界のモビリティ革命の加速への貢献は、顧客にソリューションを提供することに焦点を当てた総合エネルギー企業となるための、BPの戦略の中核をなすものです」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Oxbotica資金調達自動運転

画像クレジット:Oxbotica

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(翻訳:sako)

急成長の波に乗るインドの電子機器&ライフスタイル製品ブランドのboAtが約103億円の資金調達

インドの電子機器とライフスタイル製品のスタートアップ企業であるboAt(ボート)は、世界第2位のインターネット市場でこれまで最も成功したハードウェアのスタートアップ企業であると、多くの独立系投資家から評され、最近の資金調達ラウンドで1億ドル(約103億円)を調達した。

ニューヨークに本社を置くプライベートエクイティ会社のWarburg Pincusの子会社が、インドのboAtにシリーズBラウンド全体で資金提供を行った。同社は低価格で耐久性の高いヘッドフォン、イヤフォン、その他のモバイルアクセサリーを販売する創立4年のスタートアップ企業だ。

このラウンドの前に、エクイティ(株式資本)とデット(負債)で約300万ドル(約3億800万円)の
の資金調達を行っていたboAtは、新たな資金調達後の評価額が約3億ドル(約308億円)になったと、この件に詳しい関係者はTechCrunchに語った。boAtの幹部はWarburg Pincusが同社の「少数だが無視できない数の株」を購入したこと以外、評価額についてコメントを避けた。

ある匿名の投資家は、インドのハードウェアスタートアップ企業の中でもboAtは特異なケースに成長していると語った。そもそもインドには、ハードウェアのスタートアップ企業は多くない。それらの中でも、多くの資金を調達できたものはほとんどない。厳密には、スマートフォン販売のMicromax(マイクロマックス)やLava International(ラバ・インターナショナル)をハードウェアのスタートアップとして見ることもできると思うが、両社とも1億ドルの資金を調達していない。boAtはさらに希有なマイルストーンを達成したことで、さらに興味深い存在になった。それは収益性であると、同社の共同創業者であるSameer Mehta(サミーア・メータ)氏はTechCrunchのインタビューで語った。

boAtの秘密は、少なくとも部分的には、アクセサリーの価格を低く抑えつつ、美的にも魅力的な製品に仕上げていることだ。低価格で見栄えの良いアクセサリーを求め、しかも数カ月ごとにアップグレードする傾向のある若い世代を、このスタートアップ企業はターゲットにしている。

今回の資金調達ラウンド前にはFireside Venturesしか機関投資家がいなかったboAtが成功しているもう1つの理由としては、登場した時期が適切だったということが考えられる。このスタートアップ企業の歴史は、充電ケーブルと電源アダプターの販売からスタートした。その始まりは、毎月何百万人もの人々が端末を購入するようになったインドのスマートフォン市場が転機を迎える時期と重なったのだ。

同社の創業から数カ月後、インドで最も裕福な人物Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバーニ)氏は、通信ネットワーク「Reliance Jio(リライアンス・ジオ)」を起ち上げ、インドのスマートフォン市場をさらに加速させた。4Gデータ通信を数カ月間無料で提供することで、いきなり同国内の数千万人の人々に、スマートフォンにアップグレードする理由を与えたのだ。

左からboAt Lifestyle創業者のSameer Mehta(サミーア・メータ)氏とAman Gupta(アマン・グプタ)氏(画像クレジット:boAt Lifestyle)

boAtはこの数年間でいくつかのカテゴリーに進出し、最初に注目を浴びた時と同じ戦略を踏襲している。同社のフィットネスウェアラブルの価格は1799インドルピー(約2530円)から。スマートウォッチは2499インドルピー(約3510円)、充電ケーブルは249インドルピー(約350円)、ホームシアター用サウンドバーは3999インドルピー(約5620円)、ワイヤレススピーカーは999インドルピー(約1400円)、ヘッドフォンは399インドルピー(約560円)、AirPodのようなワイヤレスイヤフォンは1999インドルピー(約2810円)からとなっている。

マーケティングリサーチ会社IDCによると、boAtはインドのウェアラブル市場で30%以上を占めており、このカテゴリーでは世界第5位のブランドになっているという。

2020年3月までの会計年度に9500万ドル(約97億5000万円)以上の収益を計上し、2021年の会計年度ではその倍増が見込まれているこのスタートアップ企業は、オンラインとオフラインの両方の小売チャネルを介してその製品を販売している。同社のデバイスは、Flipkart(フリップカート)、Amazon India(アマゾン・インディア)、Reliance Retail(リライアンスリテール)だけでなく、Tata Cliq(タタ・クリク)、Croma(コロマ)、Vijay Sales(ヴィジャイセールス)でも販売されている。HDFC銀行のアナリストは2020年12月の報告書で、boAt Lifestyleの製品はインド全土の5000以上の小売店で購入でき、グローバル市場への参入を計画していると推測している。これは新型コロナウイルス(COVID-19)の流行がなければ、もっと早く実現していただろう。

Warburg Pincus Indiaのトップで取締役社長を務めるVishal Mahadevia(ヴィシャール・マハデビア)氏は、声明で次のように述べている。「boAtの成長ストーリーには説得力があると我々は見ており、同社は業界で切り開いてきた強力なリーダーとしての地位を基盤に、インドにおける電子商取引の成長という現世的な追い風から恩恵を受ける準備が整っていると考えています。Warburg Pincusは、アマンとサミーアの2人が率いるboAtの経営陣とパートナーを組むことに興奮しており、会社が成長する次の段階に向けて彼らをサポートできることを楽しみにしています」。

創業者のサミーア・メータ氏によると、boAtは製品のマーケティング方法でも幸運に恵まれたという。同社は伝統的な広告の手法に従うのではなく、何人かの若いトップセレブリティやクリケット選手と、boAt製品を宣伝してもらうための契約を結んだ。同社がごく初期の頃から関わってきた人物、たとえばクリケット選手のHardik Pandya(ハーディク・パンディヤ)氏(トップ画像)などが、この数年間でより成功を収めていることもその助けとなった。

現在のところ、boAtのライバルとなる企業は明確になっていない。確かに、アクセサリー事業を拡大しているXiaomi(シャオミ)やRealme(リアルミー)などのスマートフォンベンダーは脅威となっている。CromaやFlipkart、アマゾンなどの小売業者も、近年は自社のプライベートブランドを拡大してイヤホンなどのモバイルアクセサリーを発売している。メータ氏は、boAtが事業を展開する市場はまだゼロサムゲームではないことを示唆し、「誰もが同時に成長しています」と語った。

boAtではないD2Cブランドをインドでいくつか支援している投資家は、boAtの顧客の多くがAmazon Basics製品の購入を検討する可能性があるのは事実だと語りながらも、Amazon Basics製品は必ずしも満足感の高いものではないことに注意を促した。「人々がboAtを購入するのは、その製品がプレミアム感を持っているからです」と彼はいう。

また、別の投資家は、インドでは他の市場と異なり、アマゾンはまだAmazon Basicsを広く展開していないため、Amazon Basicsの商品が同国ではそれほど積極的な価格設定にはなっていないことも付け加えた。

boAtは新たに得た資本を投入して製造を中国からインドに移し、ゲーミングキーボードやマウスなど、より多くのカテゴリーに拡大する予定だと、メータ氏は語っている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:boAtインド資金調達

画像クレジット:boAt Lifestyle

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(翻訳:TechCrunch Japan)