【コラム】アダルト系SNS「OnlyFans」の性的コンテンツ禁止でクリエイターは「権利章典」について語り出す

性的に露骨なコンテンツを禁止するというOnlyFansの決定に端を発して、テック企業、コンテンツガイドライン、セックスワークをめぐる重要で見過ごされがちな会話が再燃している。しかし、こうした議論の意味するところは、1つのプラットフォームと1つの周縁化されたグループだけにとどまらない。

これは、クリエイターがコンテンツを共有してフォロワーやファンと関わることを可能にする方法に対して、プラットフォームが巨大なコントロール権を有しているという、コンテンツクリエイターにとっての壊れたエコシステムを示唆している。これに対応して、クリエイターたちは分散化し、複数のプラットフォームへのリーチを広げ、オーディエンスを引き連れている。

そうすることで、クリエイターは、これらのプラットフォームにどのような権利を組み込みたいかを定義する機会も得ている。

歴史は繰り返す

クリエイターが個々のプラットフォームから締め出されるのは目新しい話ではない。OnlyFansのポリシー変更について、2018年にTumblrがアダルトコンテンツを禁止した動きと比較する向きがあるが、これはYouTubeにとっても継続的な問題であり、LGBTQユーチューバーのグループを含むいくつかのコミュニティは、プラットフォームが彼らを非収益化アルゴリズムで標的にしていると非難している。

OnlyFansを含むこれらのプラットフォームの多くは、特定の種類のコンテンツを許可する際の障壁として支払いパートナーのポリシーを挙げている。この領域における主要な論争として最も初期のものは、PayPalが2010年にWikiLeaksを禁止した時に見られた。

こうした事象はいずれもクリエイターとフォロワーの怒りを買ったが、それはエコシステム全体の問題を示唆するものであり、必ずしもプラットフォーム自体を非難するものではない。

結局のところ、これらのプラットフォームは、クリエイターがオーディエンスを構築し、ファンと関わる機会を提供してきたのである。しかし一方で、これらのプラットフォームは、規制上のリスクや評判上のリスクから自らを守るためのポリシーを整備する必要もあった。

これは、すべてのガイドラインやポリシーが悪いということではない。それらは思慮深いガイドラインの下で、ポジティブで安全なコミュニティを醸成し、管理する役割を果たしている。しかし、これらのプラットフォームをコンテンツとエンゲージメントで活性化するクリエイターに損害を与え、彼らをプラットフォームから切り離すという犠牲を払うべきではない。問題の核心は、クリエイターが個々のプラットフォームに依存しており、ポリシーの変更に対して常に脆弱で、プラットフォーム間のオーディエンスと収益化の移行という痛みをともなう作業を余儀なくされることにある。

そして最終的には、有意義なコンテンツを作成し、コミュニティと関わり、信頼できる生計を得る能力が失われてしまう。

クリエイターのプラットフォームに対するコントロール力がますます失われていく中、一部のクリエイターたちは、オーディエンスからの独立した直接的な収益化を分散した方法によって可能にする、代替的な選択肢を模索し始めている。

分散化、収益化

ファンから直接収益化するモデルは、クリエイターたちが長年頼りにしてきた従来の広告ベースのプラットフォーム主導モデルをすでに置き換えつつある。筆者はPatreonに在籍していた時、コントロールとオーナーシップをクリエイターの手に委ねることで、より持続可能で、公正で、活気のあるクリエイターエコノミーが構築される様子を目にした。Substackはライターにも同様に強力な金融ツールを提供しており、クリエイターに奉仕する企業がここ数年にわたって増え続けている。

課題は、これらの企業の多くが、過去のプラットフォームを無力にした既存のシステムに依存しながら、テイクレート(手数料などの割合)と収益配分が必要なビジネスモデルを持っていることである。多くの点で、クリエイターエコノミーは、クリエイターとファンのインタラクションの次の段階を構築するために、新しいインフラストラクチャとビジネスモデルを必要としている。

適切なアプリケーションであれば、暗号資産により、クリエイターがどのように収益化し、ファンと関わり、プラットフォームとパートナーを組むかについてのプレイブックを書き換えることができる。そのピア・ツー・ピアの構造は、ファンとの直接の関係を反映するものであり、クリエイターは、テック大手や支払いパートナーを仲介者として頼ることなく、オーディエンスとの金銭的関係を持つことができる。さらに暗号資産は、クリエイターが所有権を維持し、ブランドや知的財産を管理することを可能にする。

加えて多くの暗号資産プロジェクトでは、DAOやガバナンストークンを通じて、参加者がプロジェクトにおける価値提案、戦略的方向性、運用機能、経済構造について発言権を持つことができる。このようにして、クリエイターはプロジェクトに参加し、コミュニティとの関わり方に合わせて方向性を決めることができる。

クリエイターは、自らのコミュニティを動機づけ、関与させる能力を備えており、コミュニティ主導のプロジェクトから利益を得る立場にある。私たちは暗号資産のアダプションの初期フェーズにあり、クリエイターにはこのパラダイムシフトの未来を形作る巨大な機会がもたらされている。ソーシャルトークンを使えば、クリエイターは自分の暗号資産をマイニングすることができ、クリエイターとファンが共に成長し、異なるプラットフォーム間で直接取引するために利用できる共有エコノミーが実現する。

別のカテゴリーとしてNFTが存在するが、2021年に入って爆発的な人気を集めているものの、今のところ業界はNFTが持つであろう有用性の表面をなでているにすぎない。クリエイターたちと暗号資産プロジェクトは、NFTをコレクティブル以上のものにする方法を模索している。つまり、NFTが提供するエンゲージメントの高い機能的なデジタルツールにより、クリエイターはファンに(ビデオ通話やAMAを通じて)自分の時間を提供したり、その他の独占的なメリットをもたらすことができる。

クリエイターたちは、暗号資産がもたらす力を見出そうとしている。暗号ベースのプラットフォームのユーザーエクスペリエンスがより直感的になるにつれて、暗号資産はどこにでも存在するようになる。その前段階として、クリエイターたちは、自らが利用している分散型サービスにどのような権利が必要か(そして要求できるか)について考えるべきであろう。

クリエイターの権利章典

暗号資産の中であるかどうかにかかわらず、クリエイターたちはついに自分たちの権利を決定する力を手にした。筆者は、クリエイターこそがこの会話をリードすべきだと考えているが、ここでいくつかのポイントを挙げておこうと思う。

  • プラットフォーム間を自由に移動する能力:個々のプラットフォームへの依存は、クリエイターが直面する多くの問題の中心的なものである。クリエイターがどこへでもファンを連れて行けるようにすることで、ファンからの直接収益化においても見られてきたような、多くの問題を解決することができる。
  • クリエイターとファンの直接的な金銭的関係:OnlyFansの問題の中心にあるのは、クリエイターがファンとの金銭的関係を持つことができなくなることである。たとえ直接的な金銭的関係がすべてのプラットフォームで実現可能ではないとしても、クリエイターはそうした関係を所有し、自らの条件を決定するための選択肢を持つべきである。
  • クリエイター主導の意思決定:これまでプラットフォームは、クリエイターに対し、プラットフォーム全体の意思決定とポリシーに関する最小限のコントロールしか与えてこなかった。クリエイターは直接的なインプットを持つべきであり、プラットフォーム全体のさまざまな施策について投票することさえできるべきである。
  • 量よりも質:プラットフォームとそのアルゴリズムは、量に報いるために構造化されており、クリエイターを燃え尽きさせ、コンテンツ作成を超高速化する。クリエイターとファンの両方が、より深く、エンゲージメントの高いインタラクションを求めており、この行動を奨励することで、より活気のある、持続可能なクリエイターエコシステムが実現するだろう。
  • 低い(あるいはゼロの)テイクレート:大手テック企業は収益のほぼ100%をクリエイターから得ている。クリエイター(とそのファン)は、プラットフォーム収益の大部分を得るべきである。
  • 公正性へのアクセスや収益の分配:大手テック企業はクリエイターの労働力を利用して帝国を築いてきた。分散型プラットフォームは、クリエイターに広告収入の支払いを命じるのではなく、クリエイターがパイの一部を完全に所有したり、エコシステム全体の成長から利益を得たりすることによって、真の「skin in the game(個人的な関与 / 自らの能力や資産を投資すること)」をクリエイターが備えることを可能にするべきである。この利害関係の整合は、今日見られる資本と労働の分離からの大きな転換となるだろう。
  • 透明性とコンサルテーション:クリエイターは、自分たちに何ができるのか、何ができないのかを完全に把握し、ポリシーが策定され適応されていく中で、議論の席に座るべきである。プラットフォームのコンテンツモデレーションの決定や、非収益化の背後にあるアルゴリズムは、しばしば不透明で、広く適用され、インパクトを与えるクリエイターに相談することなく決定される。また、全体的な収益のパイの大きさとシェアを把握する必要もある。
  • 改良と再生の能力:私たちはみんな人間であり、クリエイターはプラットフォームによって設定されたガイドラインを知らず知らずのうちに逸脱することがあるかもしれない。クリエイターが自らのコンテンツを回復させるためのスペースを作ることで、クリエイターとプラットフォームの間に、より信頼性の高い協力関係が生まれる。

私たちは、クリエイターたちに自らの条件を決定することを委ねたいと思う。彼らはあまりにも長い間この会話から締め出されている。それでも、RallyをはじめとするWeb 3.0エコシステムの主要な参加者の多くは、クリエイターとそのファンのために機能する環境を作るためのこの取り組みを、オープンにサポートしてくれると筆者は確信している。

編集部注:本稿の執筆者Bremner Morris(ブレムナー・モリス)は、クリエイターやアーティストが独自のデジタル通貨を立ち上げ、ファンコミュニティとともに持続可能な独立した経済を構築することを可能にする暗号プラットフォームRallyのCMO/CRO。以前は、Patreonのグローバル・ゴー・トゥ・マーケットおよび収益部門の責任者を務めていた。

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(文:Bremner Morris、翻訳:Dragonfly)

プラットフォーム化を目指すZoomが約110億円の同社ファンドから資金を受けるスタートアップを発表

1年以上前からZoom(ズーム)は、アプリケーションからプラットフォームへの転換をミッションとしてきた。そのために同社は、この1年間で3つの発表を行った。Zoom Apps(ズーム・アプス)開発ツールZoom App Marketplace(ズーム・アップ・マーケットプレイス)、そして、Zoomのプラットフォーム上でツールを開発する有望なスタートアップ企業に投資する1億ドル(約110億円)の開発ファンドだ。米国時間8月30日、同社は第1回目の投資を締め切ったことを発表した。

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Zoom Appsとその統合における製品責任者を務めるRoss Mayfield(ロス・メイフィールド)氏は、今回の投資ラウンドについて、TechCrunchに次のように述べている。「私たちはこのエコシステムを構築している過程にあります。このプラットフォーム上で優れたものを作り出すためには、起業家と協力してシードステージやAステージの企業に特に注力することが重要だと考えています。今回の第1回目となる十数件の投資は、今後も継続して行われる重要な事業を代表するものだと、私は考えています」と、同氏は説明した。

メイフィールド氏によれば、同社は正確な投資額は公表していないものの、各企業には25万ドル(約2750万円)から250万ドル(約2億7500万円)程度の小切手を振り出しているとのこと。Zoomは投資ラウンドを主導するわけではなく、他の投資パートナーとチームを組んでいる。しかし、これらのスタートアップ企業に協力していないわけではなく、資金以外にも社内のリソースを活用したアドバイスや、経営陣のバックアップを提供している。

「これらの投資先には必ず、その企業の役員やシニアスポンサーがついています。つまり、その土地のことをよく知っていて、彼らの成長を助け、個人的な時間を過ごせる人が社内にいるのです」と、メイフィールド氏はいう。

同社はまた、投資を受けたスタートアップが、お互いの企業やZoom Appsチームから学ぶために、いくつかのZoomチャットチャンネルを運営している。「スタートアップと私のチームの間で、共有のチャットチャンネルを設けています。アナウンスメントというチャンネル、ヘルプというチャンネル、そしてスタートアップ企業が作ったコミュニティというチャンネルもあります」と、メイフィールド氏は述べている。

彼らは毎週、これらのチャンネルを使って、開発者オフィスアワー、ビジネスオフィスアワー(メイフィールドが運営)、コミュニティアワーを開催し、スタートアップ企業が集まって好きなことを話し合えるようにしている。

投資を行う具体的なカテゴリーとしては「コラボレーションと生産性」「コミュニティとチャリティ」「DE&IとPeopleOps」「ゲームとエンターテインメント」がある。「コラボレーションと生産性」カテゴリーのWarmly(ウォームリー)は、会議に参加する各人の背景や情報を事前に提供したり、会議の主催者がイベントごとにカスタマイズしたZoom背景を作成できる営業ツールだ。

そしてFathom(ファゾム)は、ZOOM会議中にメモを取る必要性を減らすものだが、単なる録音や文字起こしをするツールではない。「Fathomは、シンプルなインターフェースで、会議中のある瞬間にタグ付けすることができます。その結果、録画された動画の議事録ができあがります。タグ付けされた瞬間をクリックすると、それがハイライトとして表示され、会議のハイライトのクリップを、Salesforce(セールスフォース)やSlack(スラック)などで共有することが可能です」と、メイフィールドは説明する。

Pledge(プレッジ)は、個人や組織がZoomミーティング内で即座に寄付を依頼し、集めることを可能にする。Canvas(キャンバス)は、企業がDEI目標を設定・達成するためのデータに則り、多様なチーム作りを支援する採用・面接ツールだ。

このファンドの第一次投資の対象となったのは、これらのような企業だ。メイフィールド氏は、今後もZoomプラットフォームを利用するスタートアップを探して、自社のスタートアップを構築したり、Zoomとの統合を進めていくと述べている。

どんな会社も、まずは機能から始まり、そして製品になり、やがて製品のラインアップを目指すと、メイフィールド氏はいう。成功の秘訣は、それを着実に進めていくことだ。この投資プログラムやZoom Appsのツール群の目的は、こうした企業が最初の一歩を踏み出す手助けをすることにある。

「起業家としての技術とは、リソースがない中でそのリスクに対処し、自分の知っていることの最前線を突き進むことです」。Zoomはその旅におけるロールモデルであり、メンターであり、投資家でありたいと考えている。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」でデータの一元管理・分析を可能にするメダップが6億円調達

中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」でデータの一元管理・分析を可能にするメダップが6億円調達メダップ(MedUp)は8月31日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額6億円の資金調達が完了したと発表した。引受先は、DNX Ventures、ALL STAR SAAS FUND、モバイル・インターネットキャピタル。シードラウンド以来の調達総額は約8億円となった。

調達した資金は、病院経営の非効率をDX化におけるデータドリブンで解決するため、人材採用の強化、プロダクト開発、マーケティング投資に活用する予定。中・大病院向け地域医療連携SaaS「foro CRM」のさらなる市場拡大と開発体制の強化に投資し、将来的には地域連携以外の病院経営に関わる課題の効率化に向けたプロダクト開発も検討する。

2017年8月設立のメダップは、「DXで、病院を最先端の業界にする」をビジョンに、医療従事者の労働量や医療費などが持続可能な形で、医療サービスの質が改善される世界を実現することを目指すスタートアップ。

同社のforo CRMは、前方連携のマーケティング・営業・カスタマーサクセスをワンストップで実現する地域医療連携強化支援サービスという。済生会熊本病院との共同開発により、病院のオペレーションに特化した形でで連携活動に重要な分析・管理・共有機能を搭載している。

メダップによると、病床機能分化や地域包括ケアシステムの実現に伴い、患者への医療提供や病院経営における医療機関同士や介護施設などとの連携の重要性が高まっているものの、地域連携活動では多様な活動やデータが存在することから、活動記録の一元管理および効果検証が困難という課題があるという。

これら課題に対して、foro CRMは地域連携活動記録にプラットフォームを提供し、データの一元管理を可能にするとしている。さらに、それらをDPCデータ、紹介・逆紹介データなどと結び付け、連携活動の戦略立案と効果検証を可能にする。また同社専門家のサポートにより、確実にDPC対象病院とクリニックの効果的な意思疎通を実現するという。

メッセージアプリTelegramのダウンロード数が10億回超え、全世界で15番目

Sensor Tower(センサータワー)によると、人気のインスタントメッセージングアプリTelegram(テレグラム)が、グローバルでのダウンロード数10億回を超えるエリートアプリの仲間入りを果たした。

ドバイに本社を置き、2013年にアプリの提供を開始したTelegramは8月27日にマイルストーンを達成した、とSensor TowerはTechCrunchに明らかにした。Telegramの主要ライバルであるWhatsAppにとってもそうだが、インドはTelegramの最大のマーケットだ。世界で2番目に大きいインターネット市場であるインドでのTelegramダウンロード回数は全体の約22%を占めている、とSensor Towerは説明した。

「インドに次ぐのはロシアとインドネシアで、全体に占める割合はそれぞれ10%と8%です。Telegramのインストールは2021年に加速し、2021年上半期は2億1470万回に達しました。これは2020年上半期の1億3300万回より61%増えています」と付け加えた。

インストール回数がそのままアプリのアクティブユーザーベースとはならないことは記すに値するだろう。例えば2021年初めの時点でのTelegramの月間アクティブユーザー数は5億人だった。しかし、WhatsAppのプライバシー規則を巨大なユーザーベースに反映させる際の不手際と同時に起こったTelegramのダウンロード数の増加は、Telegramが直近の数四半期でさらに注目を集めたことをうかがわせる。

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2021年初めに10億ドル(約1098億円)超を調達したTelegramは、ダウンロード数が10億回を超えた世界で15番目のアプリだとSensor Towerは述べた。同社によると、他のアプリにはWhatsApp、Messenger、Facebook、Instagram、Snapchat、Spotify、Netflixなどがある(Sensor TowerはAndroidデバイスにプレインストールされている大半のGoogleアプリのインストールは追跡していない)。

Telegramはコメントの求めに応じなかった。

画像クレジット:Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

トラベルクリエイターが旅行者におすすめ情報を直接販売できるThatchが約3.3億円調達

2021年の夏、旅行業界は再び活気づいてきたThatchは、旅行クリエーターが自らのレコメンデーションを収益化できるようにすることで、この分野で独自の地位を築いてきている。

米国時間8月30日、同社はWave Capitalがリードする300万ドル(約3億2900万円)のシード2ラウンドを発表した。このラウンドには、Freestyle VCのJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏とNetflixの共同創業者であるMarc Randolph(マーク・ランドルフ)氏が参加した。これにより、2018年にWest Askew(ウェスト・アスキュー)氏、Abby West(アビー・ウェスト)氏、Shane Farmer(シェーン・ファーマー)氏が創業して以来、Thatchの投資総額は520万ドル(約5億7100万円)となった。

世界的なパンデミックが起きる前、同社は、旅行者と、彼らの旅行を彼らに代わって計画してくれる人たちをマッチングする、サブスクリプションベースのコンシューマー向け旅行サービスだった。その後、2020年に業界が大混乱に陥り、共同創業者たちは、トラベルクリエイター(自分の体験をソーシャルメディアで共有する人たち)がフォロワーとよりよくつながり、自分たちの旅行のおすすめ、ヒント、考え方への対価を得ることができるようにすることに大きなニーズがあると考えたのだ。

「私たちは、消費者が個人の時間や専門知識に対して喜んで対価を支払っていることに気がついた。旅行代理店に行くのではなく、InstagramやYouTubeを見て、DM(ダイレクトメッセージ)で情報を得ようとする人が増えている。私たちはその関係を公式のものにして、トラベルクリエイターが報酬を得られ、エンドユーザーにより良い体験を提供できるようにしている」とアビー・ウェスト氏はTechCrunchに語っている。

アスキュー氏とウェスト氏によると、トラベルクリエイターによって、何十億ドル(数千億円)にもおよぶ消費者の旅行支出が動いているとのこと。Thatchの無料モバイルアプリは、彼らトラベルクリエイターが旅行をベースとしたビジネスを構築するためのツールを提供し、キュレーションやシェア、そして近い将来、インタラクティブな旅行ガイドやプランニングサービスを販売できるようになるだろう。クリエーターに報酬が支払われると、Thatchが取引のわずかな割合を受け取ることで収益を出す仕組みだ。

パンデミックは旅行業界に悪影響をおよぼしたが、そのおかげでThatchチームはアプリを開発する時間を稼ぐことができ、現在はクリエイター側の構築と、アプリにクリエイターを呼び込むためのマーケティングに注力しているところだ。そして、ここに新たな資金が投入されることになる。今回の資金調達では、エンジニアの増員、新コンテンツの構築、クリエイターがアプリ内で制作するインタラクティブなガイドの、販売・収益を出すためのヒントに関する新機能の提供などを予定している。

画像クレジット:Thatch

アスキュー氏によると、すでにアプリを利用している旅行クリエーターのうち、1200万人以上のオーディエンスリーチがあり、7月には利用者が急増したそうだ。これは旅行業界が好転していることを示している。

シードに続いて、同社はクリエイターに報酬が支払われるよう、マネタイズ機能と予約機能を公開予定で、潜在的な予約数の観点から、第1四半期は好調に推移すると見ている。同社は、より大きなクリエイターを誘致し、彼らのためのネットワークを構築したいと考えている。彼らクリエイターを中小企業のようにとらえる必要があり、彼らの成長を支援したいとアスキュー氏は語っている。

「残念ながら潰れてしまった旅行会社はたくさんあるが、私たちは違うやり方で進めている。人と人とのつながりを大切にしていて、すでにお客様を持っていて、そのお客様から信頼されている人たちを登用している。これは、今日のこの分野では見られないことだ」とWest氏は語る。

Wave CapitalのゼネラルパートナーであるRiley Newman(ライリー・ニューマン)氏によると、もう1人のゼネラルパートナーであるSara Adler(サラ・アドラー)氏は、ともにAirbnbの元幹部であり、Thatchの既存の投資家の1人を通じてこの会社を紹介されたとのことだ。

同社は通常、シード段階のマーケットプレイスに投資するが、今回のThatchへの投資は、旅行分野への初の投資となり「Airbnbでよく知っている分野であり、この業界に再び足を踏み入れるには良いタイミングだ」と述べている。

旅行市場は、特にパンデミック後の旅行に対する需要の高まりにより、今後数年間で成長が期待できるとニューマン氏は述べている。同時に、このクリエイターエコノミーは、旅行計画という行為を大衆化するという、Airbnbが行ったのと同様の軌道に乗っており、それはWave Capitalにとっても説得力のあるビジョンだったという。

「旅行企画は昔からあるものだが、これは新しい切り口でおもしろい。創業チームを見てみると、アビー氏とウェスト氏はお互いを補完しあうバックグラウンドとエネルギーを持っている。彼らのアプローチを考えると、今は旅行にとって良い時期であり、旅行業界を攻めるという彼らのコンセプトは正しく、必要とされている」とニューマン氏は付け加えた。

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画像クレジット:Thatch

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

美容・健康分野でクリエイターと顧客をつなぎソーシャルコマースを一変させるFlipが約30億円調達

ソーシャルコマースのスタートアップであるFlipは、モバイルのライブコマースアプリと実際の顧客レビューを組み合わせることで、購買体験の向上とクリエイターエコノミーの機会を提供している。米国時間8月30日、ロサンゼルスを拠点とするFlipは、Streamlined Venturesが主導する2800万ドル(約30億770万円)のシリーズA獲得を発表した。

eコマース分野の連続起業家であるNooruldeen “Noor” Agha(ノールルディーン・ノール・アグハ)氏は、イラクから米国に移住した後、2019年にFlipを設立した。それまではドバイに住んでおり、eコマースの分野でいくつかの企業を立ち上げていたという。

企業を率いているときに、彼はコマースのビジョンが壊れていること、そして人々が購入に至るまでの経路が断片的であることに気がついた。彼らはまずソーシャルメディアからアクセスし、動画プラットフォームに飛び、最後はまた別のサイトで購入する。

アグハ氏は、eコマースの未来は、買い物客と彼らのソーシャルメディアでのユーザー体験によって左右されると考えている。そこでFlipは、ユーザーによるレビューや、美容・健康ブランドのライブショッピングショーなどを盛り込み、これらの体験を1つのアプリにまとめた。そしてさらに、即日発送やバックエンドのロジスティクスも加えるとアグハ氏はTechCrunchに語っている。ユーザーは購入した商品のレビューを動画で投稿し、その結果をリアルタイムのデータで確認することができる他、自分の投稿に起因する売上からコミッションを受け取ることもできる。

「これは単なるソーシャルプラットフォームではなく、理想的な購入後体験であり、発送、特典、返品など、人々が好むすべてのものが2クリックでできる。当社のアプリは、TikTokとAmazonの子どものようなものだ」と彼は付け加えた。

今回のラウンドでは、Streamlined Venturesに加え、Mubadala Capital Ventures、BDMIそして中国の大手ソーシャルコマースプラットフォームであるKuaishouの初期投資家であるRuby Lu(ルビー・ルー)氏を含む初期支援者やエンジェル投資家が参加している。Flipは合計で3150万ドル(約34億6100万円)を調達したが、これには2年前の小規模なシードも含まれているとアグハ氏はいう。

今回の資金調達により、会社とクリエイターのエコシステムを拡大するとともに、プラットフォームのエンド・ツー・エンドのロジスティックス部分も拡大していきたいと考えている。

ライブコマースは中国が発祥の地で、McKinseyの推計によると、2020年には市場規模が1710億ドル(約18兆7900億円)に達し、2022年には4230億ドル(約46兆4800億円)の評価額に跳ね上がるとされている。一方、米国のライブコマース市場は後塵を拝しており、2021年末には110億ドル(約1兆2080億円)に達すると予想されている。

Flipは現在、週に平均20の新規ブランドと契約しており、すでにUnileverやCotyとのパートナーシップを獲得している。アグハ氏は、2021年のホリデーシーズンまでに500ブランドを達成することを見込んでいる。さらに、アプリは100万のダウンロード数を誇り、前四半期には3万件の注文を受けたが、アグハ氏は今後数カ月でそれが2倍になると予測している。

「私たちは、すべてを構築し終わって発売時には完成した状態にしておくため、わざと表に出てこなかった。しかし今は、9月末のグランドローンチに向けて、積極的に成長をアピールしていきたいと考えている」と彼は付け加えた。

Streamlined Venturesの創業者兼ゼネラルパートナーであるUllas Naik(ウラス・ナイク)氏は、同社がeコマースやマーケットプレイスに多くの投資を行っており、DoorDashの最初の投資家の1人であり、Rappiも支援していると述べた。

同氏によると、この20年間で、コマースは大きな進化を遂げたという。その間、消費は小売からオンラインへと移行し、消費者の体験の質も進化してきた。彼は、他の地域でも同じようなモデルの傾向を目にしており「大成功」を収めている中国では特に顕著だ。

「私たちが最も興味を持っているのは、ライブコマースとソーシャルネットワーキングがどのように交わり、より充実したショッピング体験を生み出すのかということだ。ノール氏に会い、彼が美容と化粧品から始めると言ったとき、私は彼がユニークな体験を構築していると思い、ぜひ美容だけでなく幅広いカテゴリーに進出して欲しいと思った。彼がバックエンドで構築しているロジスティックスの部分で、彼はすばらしい体験を生んでおり、私は何ができるのか大変興味を持っている」とナイク氏は語っている。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルがクラシック音楽配信サービスのPrimephonicを買収

米国時間8月30日、Apple(アップル)はクラシック音楽の提供を拡大するために、Primephonic(プライムフォニック)を買収したことを発表した。2014年にスタートしたアムステルダムを拠点とするPrimephonicは、これまでApple Musicの一般的なストリーミングのアプローチでは不足していた音楽ジャンルに、特に大きな貢献をすることになる。

サービスはApple Musicのプラットフォームに吸収されるため、単独での提供は事実上終了する。米国時間9月7日にPrimephonicは終了し、Appleは自社のストリーミングサービスをベースにしたクラシック音楽アプリを2022年に立ち上げる準備を進める。

Primephonicの共同創業者でCEOのThomas Steffans(トーマス・ステファンス)氏は、Appleが発表したプレスリリースの中で「アーティストのみなさんには、Primephonicのサービスと私たちがクラシック音楽の世界で行ってきたことを気に入っていただいていると思っていますが、今回Appleと一緒になることで、より多くのリスナーのみなさんに最高の体験を届けることができるようになります」と語っている。「クラシック音楽をメインストリームにお届けし、新世代の音楽家と次世代の観客を結びつけることができるのです」。

2020年発表されたPrimephonicのCTO Henrique Boregio(エンリケ・ボレジオ)氏へのインタビューによれば、150カ国でサービスが開始されているとのことだった。また、一般的なストリーミングサービスに比べて、より高い年齢層の人々が利用しているようだ。

エンリケ・ボレジオ氏は、2020年にMixpanel(ミックスパネル)に対して「当社のユーザーの多くは55歳以上で、高学歴で比較的裕福な生活を送っていらっしゃいます」と語っている。「クラシック音楽が好きになってお金持ちになるのか、それともその逆なのかわからないね、とオフィスでは冗談を言っています」。

Appleはこの先行う提供に関して「Apple Musicのクラッシックファンのみなさまは、作曲家やレパートリーごとのより優れたブラウジングや検索機能、クラシック音楽のメタデータの詳細な表示、さらに新しい機能や特典などの、Primephonicの最高の機能を備えた体験をお楽しみいただけるようになります」とコメントしている。

新しいクラシック音楽サービスが開発されている間、Primephonicの既存のユーザーには、Apple Musicの6カ月間 無料利用という形の特別提供を行う。

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画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文: Brian Heater、翻訳:sako)

スペインのInternxtは「分散型ストレージのCoinbase」を目指して約1.1億円を調達する

バレンシアを拠点とするスタートアップInternxt(インターネクスト)は、インターネットに接続している人なら誰でも大容量のアクセスが可能な分散型クラウドストレージを実現するという意欲的な計画を静かに続けている。

Internxtは、Juan Roig(フアン・ロイグ氏、スペインで最も賑わうスーパーマーケットチェーンの経営者であり2番目の億万長者)が所有するヨーロッパのVCファンドAngels Capital(エンジェルズキャピタル)と、マイアミに拠点を置くVenture City(ベンチャーシティ)を中心に、100万ドル(約1億1000万円)のシード資金を調達した。同社はこれまで、初期の開発資金として、トークンセールで約50万ドル(約5500万円)を調達していた。

このシード資金は、次の成長段階に向けて投入される。同社の前月比成長率は30%で、少なくともそれを維持できる自信があるとし、また、製品開発を加速させるために、大幅な人員の増強も計画している。

このスペインのスタートアップは、その短い歴史のほとんどを分散型インフラの開発に費やしてきたが、同社はそのインフラを、Google(グーグル)をはじめとする大手テック企業が提供する、主流のクラウドベースのアプリケーションよりも本質的に安全でプライベートなものだと主張している。

これは、データへの不正なアクセスを防ぐためにファイルが暗号化されているだけでなく、情報が高度に分散化されて保存されているためだ。小さなシャードに分割された情報は、複数のロケーションのストレージに分散されるが、そのストレージスペースはネットワーク上の他のユーザーから提供されるものだ(そして、そのスペースに対する報酬は、予想に違わず暗号資産で支払われる)。

創業者でもあるCEOのFran Villalba Segarra(フラン・ヴィラルバ・セガラ)氏は「これは分散型アーキテクチャであり、世界中にサーバーがある」という。そして「このアーキテクチャは、企業や個人が提供するストレージスペースを活用している。当社のインフラに接続したストレージ提供者は、データシャードをホストし、当社は提供者がホストするデータに対する報酬を支払う。これは、従来のアーキテクチャのようにデータセンターを借りて固定のストレージ料金を支払うという方法ではないため、より手頃な価格でサービスを提供できる」と語る。

そして「これは、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)と同じようなモデルであり、ストレージを大衆化したものだ」と付け加える。

Internxtは、2017年から3年間の研究開発を経て、1年前に最初のクラウドベースのファイルストレージアプリ「Drive(ドライブ)」を公開し、そして今回、Googleフォトのライバルとなる「Photos(フォト)」を発表した。

ヴィラルバ・セガラ氏によると、これまでのところ、マーケティングには重点を置いていないものの、約100万人のアクティブユーザーを集めているという。

Internxt Mailは、次にリリースを控える製品で、GoogleのフリーミアムウェブメールクライアントであるGメールや、そのGmailにプライバシー保護で勝ることを謳うProtonMail(プロトンメール)に対抗するためのものだ(同社に勝算がある理由については後述する)。

また、Internxt Send(ファイル転送アプリ)も近々発表される予定だ。

「Google Workspaceに置き換わる製品を開発しており、Googleとの競争ではGoogleと同じレベルになるように取り組んでいる」と同氏はいう。

1つの場所にしか保存されていないファイルは、他の人からアクセスされるという脆弱性がある。Internxtのアーキテクチャは、その問題を解決しようとしている。それがストレージプロバイダー自身であろうと(Googleのように、ユーザーのデータをデータマイニングすることでプライバシーを侵害するビジネスモデルかもしれない)、またはプロバイダーのセキュリティを突破しようとするハッカーや第三者であろうと、結果として、ユーザーのファイルを盗み見たり改ざんしたりするなど、不正なアクセスを許すことになる。

ネットワークが不正アクセスされた場合のセキュリティリスクには、ここ数年増加傾向にあるランサムウェア攻撃などがある。これは、ネットワークに侵入した攻撃者が、保存されているファイルの正当な所有者のアクセスを遮断し、情報を身代金として要求するものだ(通常、攻撃者独自の暗号化レイヤーを適用し、データを解除する代わりに支払いを要求する)。

Internxtは、サーバーやハードドライブにまとまって保存されているファイルは、格好の標的になるという考えに基づき、分散化を推進している。

この問題に対するInternxtの答えは、ゼロ知識暗号化と分散化を組み合わせた新しいファイルストレージインフラだ。つまり、ファイルを複数のセグメントに分割して複数のストレージに分散し、さらにミラーリングすることにより、ストレージの故障やハッキング攻撃、スヌープに対して高い耐性を実現する。

このアプローチは、クラウドサービスプロバイダーによるプライバシー侵害に対する懸念を低減する。というのも、Internxt自身さえもユーザーデータにアクセスできないからだ。

Internxtのビジネスモデルはシンプルで、段階的なサブスクリプションだ。既存および計画中のすべてのサービスをカバーする(現在は)1つのプランを提供し、必要なデータ量に応じていくつかのサブスクリプション料金を設定している(つまりこれも、無料の10GBから始まるフリーミアムだ)。

インターネットにおけるコアアーキテクチャを見直すことがユーザーにとって重要であると考えたのは、もちろんInternxtが初めてではない。

スコットランドのMaidSafe(メイドセーフ)は、10年以上も前から分散型インターネットの構築に取り組んでおり、10年間のテストを経て、2016年に初めてSafe Network(セーフネットワーク)と呼ばれる代替ネットワークのアルファテストを開始した。同社のインターネットを再発明するという長期的なミッションは今も続いている。

分散型クラウドストレージの分野におけるもう1つの(まだベテランとはいえない)競合企業は、企業ユーザーをターゲットにしているStorj(ストージ)だ。また、Filecoin(ファイルコイン)Sia(シア)も挙げられる。両社は、Bitcoin(ビットコイン)が暗号資産やブロックチェーン・分散化に対する起業家の関心に火をつけた後に生まれた、ブロックチェーン関連スタートアップの新しい波の一旦を担っている。

関連記事:クラウド上の余剰容量を活用する、分散ストレージサービス運営のStorjがエンタープライズに進出

では、Internxtのアプローチは、この複雑な最先端技術に長く取り組む、これらの分散型ストレージのライバル企業とはどのように違うのだろうか。

ヴィラルバ・セガラ氏は「欧州を拠点とするスタートアップで分散型ストレージに取り組んでいるのは当社だけだ(欧州連合ではない英国のメイドセーフを除いて)」とし「Storj、Sia、Filecoinなど……知る限りでは、他の企業はすべて米国を拠点としている」と、データ保護やプライバシーに関する欧州連合の法体系が米国の競合他社に対して優位に働いていると主張する。

同氏が挙げるもう1つの大きな差別化の要因は、ユーザビリティだ。前述の競合他社のサービスは「開発者が開発者のために作った」ものだと指摘する。一方、Internxtの目標は「分散型ストレージのCoinbase(コインベース)」に相当するものだという。つまり、非常に複雑なテクノロジーを、専門知識のないインターネットユーザーでも容易に使えるようにすることだ。

「ブロックチェーンの分野は、計り知れない可能性を秘めているにもかかわらず、非常に大規模なテクノロジーであるため、使用するのが非常に難しいという状況がよく見られる」と同氏はTechCrunchに語る。「本質的にコインベースがやろうとしていることは、より簡単に暗号資産に投資できるように、より使いやすいブロックチェーンをユーザーに提供することだ。だから、Internxtでも同じように、クラウドストレージのブロックチェーンを人々に届けようとしている。とてもわかりやすいインターフェイスで使いやすくすることなどだ」。

「分散型クラウドの分野では、事実上唯一の利用可能なサービスであり、それがStorjなど他社との大きな差別化要因となっている」。

「インフラの面では、SiaやStorjとよく似ている」と同氏は続ける。さらに、Proton Drive(プロトンドライブ。エンド・ツー・エンドの暗号化メールサービスであるプロトンメールのメーカーが提供するファイルストレージサービス)の「ゼロアクセス」暗号化アーキテクチャになぞらえ、Internxtの「ゼロ知識」暗号化も、クライアント側で暗号化されており、サービスプロバイダーがユーザーの情報を盗み見ることができないことを技術的に保証しているという(だから、プライバシーを侵害しないと会社を信じる以上の安心が得られるということだ)。

Internxtのゼロ知識暗号化は、既成のAES-256暗号を使用しているようだが、同社はスペインの大手サイバーセキュリティ企業S2 Grupo(エスツー・グルーポ)の監査を受けた「ミリタリーグレード」であり、クライアントサイドで暗号化を行い、オープンソース暗号を使用しているという。また、それに加え、暗号化されたデータを分散化するというステップも踏んでいる。そのため、セキュリティ面で付加的なメリットがあると、ヴィラルバ・セガラ氏はいう。

「暗号化に加え、データを断片化し、世界中に分散させている。つまり、基本的にサーバーがホストしているのは、暗号化されたデータシャードであり、たとえハッカーがそのようなサーバーにアクセスしても、そこにあるのは根本的に意味を成さない暗号化されたデータシャードであるため、さらに安全だ。当社でさえ、そのデータにはアクセスできない」。

「これにより、ハッカーや第三者によるデータアクセスに対するセキュリティが格段に向上した。そしてその上で、非常に優れたユーザーインターフェイスを構築している。これはユーザーが使い慣れたGoogleとほとんど同じインターフェイスであり、その点でもStorjやSiaとは大きな違いを生んでいる」と同氏は述べる。

Internxtのユーザーファイルを保存するストレージスペースは、ストレージスペースが余っているユーザーから提供されるものだ。ストレージスペースを提供しデータシャードをホストするユーザーには、暗号資産のマイクロペイメントでインセンティブが与えられる。つまり、単にノートパソコンでInternxtに接続している個人ユーザーからも、大量の未使用ストレージ容量を持つデータセンター企業からもストレージスペースが提供される可能性があるということだ(ヴィラルバ・セガラ氏によると、OVH[オー・ヴィ・エイチ]など、いくつかのデータセンター企業が同社のネットワークに接続しているという)。

「当社は(ストレージを確保するための)直接的な契約はしていない。誰でもInternxtのネットワークに接続することができる。つまり、提供可能なストレージ容量を持つデータセンターは、Internxtのネットワークに接続すれば、報酬を得られる。当社は、従来の方法でデータセンターにストレージ料金を支払うことに比べれば、それほど多くの料金を支払うことはない」と同氏はいい、このアプローチを、ホストとゲストの両方を持つAirbnbや、ドライバーとライダーを必要とするUberに例えている。

「当社はユーザーとデータセンターをつなぐプラットフォームだが、当社自体がデータをホストすることはない」。

Internxtでは、ネットワークのアップタイムとサービスの質を確保するために、レピュテーションシステムを使ってストレージプロバイダーを管理している。また、ブロックチェーンの「プルーフ・オブ・ワーク」チャレンジを適用して、ノードオペレーターがクレームするデータを実際に保存していることを確認している。

同氏は「分散型アーキテクチャの特性上、一定の信頼性を確保する必要がある」とし「そのため、ブロックチェーンテクノロジーを利用する。自社のデータセンターにデータを保管する場合は、信頼性を確保するという点では簡単だ。しかし、分散型アーキテクチャにデータを保存する場合は、プライバシーの保護や価格の安さなど多くのメリットがあるものの、データを実際に保存しているかどうかの確認が必要であるなど、デメリットもある」と述べる。

ストレージスペースの提供者への支払いもブロックチェーンテクノロジーによって行われる。ヴィラルバ・セガラ氏によると、世界中の約1万人に及ぶノードオペレーターに対して、大規模なマイクロペイメントを自動化するには、ブロックチェーン技術が唯一の方法だという。

ブロックチェーンの基盤となるテクノロジー「プルーフ・オブ・ワーク」は、計算にともなうエネルギー消費の問題を指摘されている。同氏は、エネルギーコストの問題について、Internxtの分散型アーキテクチャが、データセンターによる従来のアーキテクチャよりもエネルギー効率が高いことを示唆している。これは、データシャードがアクセスをリクエストしたユーザーの近くに配置される可能性が高いためであり、パケットを取得するために必要なエネルギーは、常に世界の数カ所に集中しているデータセンターから取得するのに比べて低減される。

「エネルギー消費の観点から見ると、Internxtは、従来のクラウドストレージサービスよりもはるかにエネルギー効率が高いことがわかった。なぜか?考えてみて欲しい。Internxtでは、ファイルをミラーリングし世界中に保存している。Dropboxなど特定の場所から送信されたファイルにアクセスすることは、実際には不可能だ。基本的に、DropboxやGoogleドライブにアクセスしてファイルをダウンロードする場合、テキサス州などにあるデータセンターから送信される。そのため、データ転送には膨大なエネルギーが消費されるが、人々はそれについて考えていない」と同氏は主張する。

「データセンターのエネルギー消費量は、記憶が正しければすでに全世界のエネルギー消費量の2%*に達している。そのため、レイテンシーが利用可能で、ユーザーの近くからファイルを送ることができれば、ファイル転送はより速くなり、その結果はすべて当社のレピュテーションシステムに反映される。したがって、Internxtのアルゴリズムは、ユーザーに近いファイルを送ることで、多くのエネルギーを節約することができる。これを数百万人のユーザーと数百万テラバイトの単位で計算すると、実際にはかなりのエネルギー消費と当社のコストを削減できることになる」。

では、ユーザーから見たレイテンシーはどうだろうか。Internxtへのファイルのアップロードや、保存されているファイルのダウンロードのため、ユーザーがアクセスする際、Googleドライブなどと比べて顕著な遅延はあるのだろうか。

ヴィラルバ・セガラ氏によると、断片化されたファイルをユーザーの近くに保存することで、遅延を補うことができるという。しかし、主流のクラウドストレージサービスと比較して、若干の速度差があることも認めている。

「アップロードとダウンロードのスピードについては、GoogleドライブやDropboxにほぼ匹敵する」と同氏はいい「また、そういった企業は10年以上の歴史があり、サービスは非常に最適化されている。加えて従来型のクラウドアーキテクチャを採用しており、比較的シンプルで構築しやすく、何千人もの従業員を抱えているため、スピードなどの面では明らかに当社のサービスよりもはるかに優れている。しかし、当社は主流のストレージサービスに追いつきつつあり、Internxtのスピードをそのレベルに引き上げるとともに、当社のアーキテクチャとサービスにできるだけ多くの機能を組み入れることを目指して、全力で取り組んでいる」と述べる。

「基本的には、使いやすさという点ではプロトンドライブやTresorit(トレソリット)のレベルにあると考えている」とし、遅延について「Googleドライブに非常に近づいている。しかし、平均的なユーザーにとってはそれほど大きな違いはないはずだ。そしてすでに述べたように、当社のサービスを文字通りGoogleと同じように利用できるようにするため、できる限りの努力をしている。しかし、InternxtがStorj、Sia、メイドセーフの何年も先を行っていることは確かだ」と述べる。

Internxtは現在、わずか20人のチームでこのような複雑なネットワークを構築している。しかし、新たなシード資金を手にしたことから、今後数カ月の間に雇用を拡大することで、製品開発を加速させ、成長を維持し、競争力を高めていくことを計画している。

「シリーズAを実施する頃には、Internxtの従業員は約100人になっているはずだ」とヴィラルバ・セガラ氏はいう。そして、次のように続ける。「シリーズAの準備はすでに進めている。シードラウンドを終了したばかりだが、成長の速さから、米国やロンドンの有力なVCファンドから声がかかっている」。

「かなり大きなシリーズAになるだろう。スペインで最大のシリーズAになるかもしれない。シリーズAまで、これまでの成長率である前月比30%以上の成長を計画している」。

同氏はまた、シリーズAでは5000万ドル(約55億円)の評価額での資金調達を目指すとTechCrunchに語る。

「まさにシードラウンドを終えたばかりのため1年後に行う予定だったが、多くのVCから声をかけてもらっているので、年内に実施することになるかもしれない」といい「しかし、時間は問題ではない。最も重要なことは、目標とする最低評価額を達成できるかどうかだ」と語った。

注記:IEA(イー・アイ・エー)によると、2019年の世界の電力消費量のうち、データセンターとデータ伝送ネットワークは、それぞれ約1%を占める。

画像クレジット:Internxt

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

情報通(informed.)になりたい?欧州メディアのベテラントリオがニュースメディア業界の問題に挑む

ニュースは社会にとって欠かせないものだが、その制作には驚くほど費用がかかる。広告料金が業界全体で低下しているため(今夏は明るい兆しがない)、パブリッシャーは収支を合わせるためにペイウォールに頼るところが増えている。唯一の問題は、読者が人類全体の思考を渡り歩くことを可能にしたオープンなインターネットが、怒れる番人によって閉ざされた塀で囲まれている庭の連なりに変化したことだ。筆者が3年前に語ったサブスクリプションの地獄は、実際に加速する一方だ。

地獄の修復にはそれなりの努力が必要だが、欧州のニュースやメディアに精通した3人のベテランが、これに挑戦しようとしている。

Benjamin Mateev(ベンジャミン・マテフ)氏、Martin Kaelble(マーティン・ケイルブル)氏、Axel Bard Bringéus(アクセル・バルド・ブリングェウス)氏が共同でinformed.(公式ブランディングは大文字なし、ピリオド必須)をローンチした。ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、著名な有料ニュースサービスの上位レイヤーになりたいと考えている。Read Listと呼ばれる、ニュースやオピニオン記事のキュレートされた「プレイリスト」と読者を結びつけ、オリジナルのサマリーで補強する。同社は1月に設立され、現在はベータ版だ。ローカルショップの468 Capitalから「現代の標準ではかなりのプレシード」を調達している。

興味深いのはそのチームである。ブリングェウス氏は以前Spotifyに6年間在籍し、同社の急速な海外展開の中で最終的にはグローバルマーケットの責任者を務めた。直近では、欧州の有名企業EQT Venturesのディールパートナーを務めている。一方、マテフ氏は、Microsoftの買収によってToDoリストプラットフォームWunderlistのリードエンジニアとなり、オピニオンニュースサイト The Europeanの製品責任者を務めた。ケイルブル氏はCapitalなどで長年にわたりビジネスジャーナリストを務めてきた。

informed.の創業者マーティン・ケイルブル氏、ベンジャミン・マテフ氏、アクセル・バルド・ブリングェウス氏(画像クレジット:informed.)

さまざまなキャリアで成功を収めてきたこのトリオは、一歩離れた視点で、2021年付近のニュース業界の多様な課題を解決する方法を模索した。彼らは「ダイアリースタディ」を実施し、人々にニュースの中で何を読んだかを追跡するよう求め、何千人もの人々を対象に調査を実施した他、メディア幹部や投資家とも話し合いを持った。

その結果、メディア企業のペイウォールはここ数年ほぼ成功しているが、コア読者がサブスクリプションを購入しているため、その成長は鈍化していることがわかった。「新型コロナウイルス以降、そしてトランプ政権以降、ほぼすべてのパブリッシャーがペイウォール戦略で壁に直面しています」とブリングェウス氏はいう。「彼らの多くは自社のコンテンツを自分たちのコア地域で直接収益化することができているので、私たちのような非競合的なサードパーティと協力することに非常に前向きです」。

同時に、Z世代の若者たちは質の高いニュースを熟読したいと思うようになっているが、有名サイトのいくつかで法外な購読料を支払うための手段を欠いている。「彼らは読みたいと思っていますが、経済的に余裕がありません」とマテフ氏。筆者は幾分懐疑的に、私たちの華々しい子孫たちがバイラルなTikTokで質の高いニュースを読みたいと思っているかどうか尋ねたが、マテフ氏は、同社のエビデンスはイエスを強く示していると語った。「そこに興味深いものがあります【略】古いパブリッシャーは、若い人たちの間で高い評価を得ています」。

Informed.はThe Washington Post、The Economist、Financial Times、Bloombergと協力しており、これらの情報源からの記事をRead Listにまとめ、独自のニュースサマリーをイベントに追加する。例えばある日のプラットフォームには、カブール空港からの最新ニュースだけでなく、この中央アジアの国の危機の歴史と展望を語る厳選された深堀り記事やオピニオン記事が含まれた、アフガニスタンに関するRead Listがあると想像できるだろう。「スナック程度でもいいし、望むなら食事としても味わうことができます」とブリングェウス氏はその設計について表現した。

同氏の馴染み深いSpotifyのプレイリストとの類似点はあるが、ニュースは音楽のような性質を持つものではないと指摘する。「ニュースでは、すべてのニュースが必要というわけではありません。また、ニュースは傷みやすいので、クラスタ化する必要があります」。

informed.のロゴとブランディングデザイン(画像クレジット:informed.)

同社はモバイルファーストのプロダクトを年内にローンチする予定だが、ベータテストには今すぐ登録可能だ。最終的に同社は、自社のニュースサマリーを無料で提供する一方で、すべてのライセンスコンテンツを有料で提供するフリーミアムモデルを追求しようとしている。チームは価格設定をテスト中で、現時点ではローンチ価格を決定していない。

これは、過去のスタートアップたちや、あらゆるiOSデバイスに足がかりを持ちながらほとんどユーザーの支持を得られていないApple News+のような大規模企業のイニシアティブの墓石が乱立する領域に挑む、大胆なイニシアティブだ。その痛ましい歴史はさておき、ここでの希望はタイミングが味方をしていることだ。新世代のニュース読者は品質を強く求めており、パブリッシャーはトランプ後のニュース界での成長と引き換えに、オーディエンスに対するコントロールを手放す準備ができている。成功すれば、同社は間違いなく第一面のニュースになるだろう。

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画像クレジット:fpm / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

Clubhouseが空間オーディオを導入、他の人たちの声が同じ部屋のさまざまな場所から聞こえてくる

Clubhouse(クラブハウス)にとって、この夏は忙しい日々だった。この大ヒットした音声ソーシャルアプリは、ここ数カ月の間に新しいメッセージング機能Android版アプリをリリースしている。そして今度は、中核となるオーディオ体験の向上に目を向けてきた。同社は米国時間8月29日に、アプリのリスナーがグループの他の人たちと一緒にライブで会話を楽しんでいるような、より豊かな感覚が得られるように、そのRoom(ルーム)に空間オーディオを導入すると発表した。

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TechCrunchは、ClubhouseのJustin Uberti(ジャスティン・ウベルティ)氏に、空間オーディオを導入する決定について話を聞いた。空間オーディオを使うと、音声が1カ所からすべて聞こえるのではなく、異なる発言者が物理的に別々の場所で話しているように聞こえる効果が得られる。

ウベルティ氏は、Google(グーグル)で10年以上にわたり、Google Duo(グーグル・デュオ)の開発やHangouts(ハングアウト)チームでリーダーを務めてきた。最近ではGoogleのクラウドゲーミングプラットフォーム「Stadia(ステイディア)」を担当した後、2021年5月にストリーミング技術の責任者としてClubhouseに入社した。同氏はClubhouseのベースとなった技術であるWebRTC規格を策定した人物でもある。

「グループオーディオの設定で認識させられることの1つは、物理的な空間にいるのと同じような経験が得られないということです」と、ウベルティ氏は語る。

Clubhouseをはじめとする音声チャットアプリでは、人々がバーチャルなソーシャル空間に集まるが、その音声は比較的フラットで、すべてが同じく中央の1カ所から発せられているように聞こえる。しかし、Clubhouseが想定しているライブな集会は、ステージの左右や、発言者が質問をする客席のさまざまな場所など、会場のあらゆる場所から音声が聞こえてくるというものだ。

このような新しいオーディオの仕組みを実現するために、Clubhouseは、Second Life(セカンドライフ)の製作者であるPhilip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏が起ち上げた空間オーディオ会社、High Fidelity(ハイ・フィデリティ)のAPIを統合し、同社自身のカスタムオーディオ処理と融合させ、Clubhouseのアプリ用にチューニングした。

High FidelityのHRTF技術は、Head Related Transfer Function(頭部関連伝達関数)の略で、ステレオチャンネル間に微妙なタイムディレイ(遅延)を加え、音の発生源によって異なる高音域と低音域の聞こえ方を再現することで、音声を異なる仮想空間にマッピングすることができる。

その結果、ソーシャルVRでは以前から使用されてきたように、バーチャルなソーシャル体験に物理的な存在感を与えることが可能になる。これは昔から優れたレコードでも感じられた。例えばPink Floyd(ピンク・フロイド)の「Dark Side of the Moon(狂気)」を良いヘッドフォンでステレオ再生すると、頭の周囲で楽器や効果音が鳴っているように聞こえる。Clubhouseの場合は、仮想空間の中で一緒にいる人達の声が、あちこちから聞こえてくるように感じられるというわけだ。

ウベルティ氏によると、Clubhouseへの実装は控えめだがすぐに気づくものになるという。その音声処理では、ほとんどの発言者が、聞いている人の前に来るように「そっと会話を操舵する」というが、Clubhouseのユーザーは、人々が異なる物理的な場所から話しているという新しい感覚を得ることができるはずだ。

この新しいオーディオ機能は、すでに大多数のiOSユーザーに提供されおり、数週間以内に残りのiOSユーザーおよびAndroidユーザーにも提供される予定だ。この機能はすべてのClubhouseユーザーが利用できるようになるが、ユーザーは空間オーディオをオフにすることもできる。

Clubhouseは、同じバーチャルサウンドステージの技術を使って、大きな部屋では大きな音を感じさせ、親しい少人数が集まる部屋では実際に小さな物理的空間で発せられているような音に聞こえるように調整する。Clubhouseの参加者はほとんどの人がヘッドフォンを使っているため、このアプリユーザーのほとんどが、2チャンネルのステレオサウンドによる効果を享受できる。

「人はある空間とか、ある部屋の中にいるという概念を持っています。私たちは、円の中で人々が立ち話をしているような感覚を再現しようとしています」と、ウベルティ氏は述べている。

ウベルティ氏によれば、空間オーディオは通常のClubhouseユーザーに、あまり目立たないメリットを与える可能性もあるという。ソーシャルアプリの標準的な、つまり空間化されていない音声が、新型コロナウイルス時代の現象である「Zoom(ズーム)疲れ」を助長している可能性がある。人間の脳は、電話やグループオーディオルームのようなバーチャルな音声を処理する際に、人と自然に対面している場合とは異なる方法で発話者を区別する。

「脳は誰が話しているかを判断しようとします。空間的な手がかりがなければ、声の音色で区別しなければなりません。それには、より多くの認知的努力が必要なのです」と、ウベルティ氏はいう。「空間オーディオの導入は、これによって没入感が増すだけでなく、より楽しめる体験となります」。

Clubhouseの多くのサブコミュニティが、この空間オーディオ効果をどのように受け止めるかはまだわからないが、このアプリで発信されるコメディー、音楽、さらにはASMRのような体験が、大きく向上する可能性はある。

「誰かがジョークを言っても、それがとても退屈に感じられることがよくあります」と、ウベルティ氏はいう。「しかし、Clubhouseでは、自分の周囲から笑い声が聞こえてくるのが感じられるため、コメディクラブにいるような体験ができるのです」。

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画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

友人・知人のつながりから転職先や副業先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」が4.5億円のシリーズB調達

友人・知人のつながりから転職先や副業先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」が4.5億円のシリーズB調達友人・知人のつながりから転職先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」を展開するYOUTRUSTは8月30日、シリーズBラウンドによる総額4億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、デライト・ベンチャーズをリードインベスターに、STRIVE、W ventures、ANRIとなっている。

2018年4月にサービスを開始したYOUTRUSTは、友人・知人を通じて転職先や副業先につなげられる、「信頼でつながる」キャリアSNS。プロフィールには友人からの紹介コメントが掲載され、「履歴書では伝わらない信頼が可視化」され、普段の仕事ぶりもアピールできるという。「転職サービス」ではなく、あえて「キャリアSNS」と自称しているのは、今すぐ転職を考えていなくても、投稿タイムラインやメッセージのやりとりで日常的に楽しめるプラットフォームだからだ。

転職や副業の意識が高い人と企業とのマッチングのほか、「転職に前向きな潜在層」がSNSとして利用するケースが浸透するなどして、アクティブユーザー数が増加し、「独自のユーザープールを活かした採用プラットフォーム」として月次経常収益は1年で10倍を超えたとのこと。

日本の1人あたりのGDPが世界30位となり、時間あたりの労働生産性はアメリカの6割にまで落ち込んだ原因のひとつには、「人材流動性の低さ」があるとYOUTRUSTは話している(IMF「World Economic Outlook Database」2021年4月版 1人あたりの購買力平価GDP(USドル)ランキング、公益財団法人 日本生産性本部2020年版「労働生産性の国際比較」)。勤続10年以上の従業員の割合が10%減ると潜在成長率が1.4ポイント高くなるとの日米欧35カ国を対象とした日本経済新聞の報告(2018年4月10日「『転職で賃金増』広がる」)があり、今後は人材の流動性が高まることが期待されている。そこでYOUTRUSTは、「日本型キャリアをゲームチェンジ」する存在を目指し、キャリアSNSの充実をはかるために今回の資金調達を実施したという。

具体的には、「キャリアSNS」のサービス改善、認知度拡大、新規ユーザーとクライアントの獲得、既存ユーザーのエンゲージメント向上のためのマーケティング強化に資金を投入する。

YOUTRUST代表取締役の岩崎由夏氏は、こう話している。「流動性が高く、個々人が自分のキャリアを自分でつくる時代がすぐそこまで来ています。 でもそれは怖い世界ではありません。YOUTRUSTが、履歴書では表現できなかったみなさんの信頼を可視化し、素敵なキャリアをサポートしてまいります」。

TikTokが「牛乳ケースチャレンジ」の動画を禁止、危険性からユーザーを守るため

TikTok(ティックトック)は、ユーザーの間で流行している「milk crate challenge(ミルククレート・チャレンジ)」を、このトレンドに参加した人が重症を負う恐れがあるとして、そのプラットフォーム上で禁止することにした。ミルククレート・チャレンジは、牛乳ボトル用のプラスティック製ケースをピラミッド状に積み上げ、その不安定な構造の上を歩いて乗り越えようとするものだ。

同社の広報担当者は、TechCrunchに宛てたメールで次のように述べている。「TikTokでは、危険な行為を助長したり賛美したりするコンテンツを禁止しており、そのようなコンテンツを抑止するために、動画を削除し、検索するとコミュニティガイドラインにリダイレクトするようにしています。私たちは、オンラインでもオフラインでも、みなさまが慎重な行動を取るように促していきます」。

この流行に沿ったほとんどの動画では、TikTokユーザーが、その場しのぎで積み上げられた牛乳ケースの片側から上り、もう片側から降りることを目指しながらも、途中で地面に転がり落ちる様子が見られる。複数の医療従事者が、この流行と参加者の危険性について、ソーシャルメディアで懸念を表明したことから、今回の禁止措置に至った。

現在はTikTokのアプリで「milkcratechallenge」と検索すると「検索結果はありません」という表示が出て「このフレーズはコミュニティガイドラインに違反する言動またはコンテンツと関連している可能性があります。TikTokは楽しく、オープンで健全な環境づくりに努めています」と表示される。しかし、ユーザーが「milk craate」や「milk cratee」のように、ミルククレート・チャレンジに関連するキーワードを誤った綴りで検索すると、このトレンドに沿った一部の動画がまだアプリで表示されてしまうこともある。これらの動画の再生回数はそれほど多くはないものの、禁止措置の隙間をすり抜けてアプリ上に残っていることには注意が必要だ。

TikTokの人気上昇にともない、ここ数年の間に数多くの危険なチャレンジが同プラットフォーム上で流行してきた。2019年に流行した「throw it in the air(空中に投げる)」は、TikTokユーザーが何人かで円陣を組み、誰も動いてはいけないとして、自分たちの上に空中にアイテムを放り投げ、落ちてくるその物が誰に当たるかを、床に置いたスマートフォンで撮影するというものだった。2020年、このアプリで流行した「skull-breaker(頭蓋骨破壊)」は、3人が並んで立ち、一緒にジャンプするように持ちかけながら、(騙された)中央の1人がジャンプすると両側の2人が足払いして中央の人を後ろ向きに転倒させるというものだ。このチャレンジでは10代の若者が入院したため、刑事責任を問われることになった。

最近のミルククレート・チャレンジを含むこれらの危険なトレンドから、TikTokはユーザーに危害が及ぶ状況を防ぐため、行動を起こさざるを得なくなっている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflixが会員向けにモバイルゲームのテストを開始、まずはポーランドで

Netflix(ネットフリックス)は米国時間8月26日、ポーランドの会員向けにAndroid版アプリでモバイルゲームのテストを開始すると発表した。Netflixに定額料金を支払っているメンバーであれば、サービス開始時には「Stranger Things.1984(ストレンジャー・シングス:1984)」と「Stranger Things 3(ストレンジャー・シングス3)」という2つのゲームを、追加料金なしで試すことができる。これらのゲームは、過去にApple(アップル)のApp Store(アップ・ストア)やGoogle Play(グーグル・プレイ)ストア、そして新作はPC家庭用ゲーム機を含むその他のプラットフォームで提供されているタイトルだ。今回の2つのゲームはNetflixモバイルアプリのセンタータブ内で加入者に提供されているが、ユーザーは自分のデバイスにゲームをインストールするために、Google Playストアに誘導されることになる。

ゲームをプレイするには、Netflixの認証情報を確認する必要がある。

その後は、Netflixアプリ内のゲームページで「プレイ」をクリックするか、モバイル機器から直接起動することで、会員はいつでもゲームを楽しむことができる。

Netflixの広報担当者は、今回のサービス開始について「まだ、まったく初期の段階でありますが、今後数カ月の間に、広告なし、アプリ内課金なしで、可能な限り最高の体験をお届けできるよう努力していきます」と述べている。

Netflixとゲームの話をしましょう。

本日より、ポーランドの会員は、AndroidでNetflixのモバイルゲームを試すことができます。「Stranger Things:1984」と「Stranger Things 3」という2つのゲームです。まだごくごく初期の段階であり、これから数カ月の間にやるべきことがたくさんありますが、これはその第一歩です。

Netflixは何年も前からゲームへの投資を拡大しており、同社の最も人気が高い番組と結びついた、より広範なエンターテインメントの世界に可能性を見出している。2019年にはゲーム見本市「E3」で、Netflixは「Roblox(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」などの人気プラットフォームとのゲーム統合や「Stranger Things」の新しいゲームを市場に投入する計画について詳しく説明していた。

モバイルゲームに関しては、Netflixはテキサス州アレンを拠点とするゲームスタジオのBonusXP(ボーナスXP)と協力している。Netflixとの提携で制作された最初のゲーム「Stranger Things:The Game」は、他のタイトルと区別するため、現在では「Stranger Things:1984」と改名されている。

このゲームは「Stranger Things」のタイムライン上では、シーズン1の後、シーズン2の前が舞台となっているが、続くタイトル「Stranger Things 3」は、Netflixで配信されているシーズン3をプレイできるようになっている(だからネタバレに注意!)。

Netflixは、これらのゲームがアプリストアで公開されている間、ユーザー数やインストール数がどの程度だったかを公表しなかった。

ポーランドで開始されるテストでは、Netflixによれば、これらのゲームは会員専用となっているため、ユーザーがタイトルをダウンロードするには、Netflixの会員になる必要があるという。しかし、過去にGoogle Playストアからゲームをダウンロードしたことがある既存のユーザーには影響がない。これまで通りゲームをプレイすることができるし、ゲームをインストールしていたユーザーであれば、アカウントのライブラリから再ダウンロードすることもできる。しかし今後は、新規ユーザーはNetflixのアプリからのみ、ゲームを入手することができるようになる。

同社によれば、今回のテストは、Netflix会員がモバイルゲームにどのような反応を示すかを理解し、Netflixが全体的な機能をどのように改善する必要があるかを判断することが目的だという。最初のテスト市場としてポーランドが選ばれた理由は、同国には活発なモバイルゲームの利用者がいるため、初期フィードバックを得るのに適していると考えられたからだ。

Netflixは、このテストを他の国に拡大する時期については「数カ月後」という以上のことは言えないとしている。

Netflixは2021年の第2四半期の決算発表時に、モバイルゲームの提供を開始することを明らかにした。同社はその発表の中で、ゲームはオリジナル映画、アニメーション、リアリティ番組への進出と同じく、Netflixのビジネスにとって「新たなコンテンツカテゴリー」だと考えていると強調していた。

今回のニュースの背景には、新型コロナウイルスの影響でストリーミング配信が活発化した後、Netflixの新規顧客数が急激に減少しているということがある。北米におけるNetflixの第2四半期の加入者数は43万人と、過去10年間で3番目に少なかった。同社では、次の四半期に向けたガイダンスでも弱気な数字を掲げており、アナリストが予想する590万人という加入者数に対し、同社では350万人と予測している。だが、Netflixでは、成長の鈍化の原因として、競合他社の脅威を軽視しており、それよりも新型コロナウイルスの影響などによる制作遅延から、コンテンツが不足したせいであるとしていた。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アプリ開発者は今後、アップルに手数料を支払わなくてすむ直接購入をユーザーへ提案可能に

米国時間8月26日、Apple(アップル)は、米国の開発者から同社に提起されていた訴訟について、和解案に合意したことを明らかにした。この和解案にはいくつかの変更点が含まれており、その中でも最大の変更点は、開発者がiOSアプリやApp Store以外で購入した支払い方法に関する情報を共有できるようになることだ。これにより、開発者は、Appleの手数料の対象にならない支払い方法についてユーザーに伝えることができる。また、この和解案には、価格帯の拡大や、アプリの審査プロセスに関する新たな透明性レポートが含まれている。

この集団訴訟は2019年4月に、アプリの開発者であるDonald Cameron(ドナルド・キャメロン)氏とイリノイ州のPure Sweat Basketballにより起こされたもので、AppleがiPhoneアプリのダウンロードをApp Storeに限定する反競争的な行為を行っているとしている。

本日の発表でAppleは「開発者が電子メールなどのコミュニケーション手段を利用して、iOSアプリ以外の支払い方法に関する情報を共有できることを明確にしています。開発者のみなさんは、常に自分たちのアプリやApp Store以外で行われたいかなる購入に対しても、Appleに対して手数料を支払うことはありません」と述べている。

これにより、開発者は電子メールや「その他の通信サービス」を利用して顧客とコミュニケーションをとることができるようになる。これまでAppleは、App Storeの規則で開発者に対してアプリ内で取得した連絡先情報を使い、アプリ外でユーザーに連絡することを禁じていた。今回の和解案では、この規則がすべてのアプリカテゴリーで解除されるため、開発者は同意したユーザーに対して、Appleの手数料を回避する支払い方法を伝えることが可能になる。

価格帯については、Appleは開発者が利用できる価格帯の数を100以下から500以上に拡大するとしている。また、アプリの審査プロセスに関する情報を共有するために、新たな年次透明性レポートを発行することに合意している。このレポートには、何本のアプリが却下されたか、無効化されたユーザーおよび開発者アカウントの数、「検索クエリと結果に関する客観的なデータ」、App Storeから削除されたアプリの数などが含まれる。

また、米国のApp Storeを通じて100万ドル(約1億1000万円)以下の収入を得た米国内の資格ある開発者を対象に、新たなファンドを創設するとしており、これには米国内の開発者の99%が含まれる。訴訟で原告を代理する法律事務所の1つであるHagens Bermanは、このファンドの規模は1億ドル(約110億円)で、250ドル(約2万7600円)から3万ドル(約330万円)の範囲で支払いが行われるという。

Cameron et al v. Apple Inc. proposed settlement by TechCrunch on Scribd

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Instagramがキーワードでのコンテンツ検索に対応、英語から開始し将来的には他言語もサポート予定

Instagramがキーワードでのコンテンツ検索に対応、英語から開始し将来的には他言語もサポート予定

Instagram

Instagramは8月25日、アプリ内での検索機能を改善し、キーワードによるコンテンツ検索に対応すると発表しました。

意外にも思えますが、実はこれまでInstagramの検索機能では、いわゆる画像検索的なことはできませんでした。たとえば「猫」で検索した場合、「#猫」などのハッシュタグや「猫」と入ったアカウントなどが表示されるだけで、猫の画像を見つけるには、そこから各リンク先に飛んで画像を見つける必要があったのです。

これはInstagramが、どんなコンテンツが投稿されているのかよりも、誰が投稿しているのかに焦点を当てていたとも言えるかもしれません。

これに対し新機能では、キーワードを入力すると、それに関連した画像や動画も表示されるようになります。おそらくはこちらのほうが、多くの人が検索に求める機能ではないでしょうか。

なお、InstagramのAdam Mosseri氏によると、この機能は社内では「インタレストサーチ」と呼ばれているとのこと。

ただ現状では、すべてのキーワードで画像検索ができるわけではなく、対応キーワードは今後も拡大予定としています。また、いまのところ英語での対応に重点を置いているものの、将来的には他の言語もサポートする予定です。

Instagramでは、6月には投稿内の画像から商品検索ができる機能なども発表しており、徐々に検索機能の拡充を図っている様子が伺えます。「私たちは、あなたが好きなものを見つけられるように、すべての機能をデザインしています」ともしており、今後もいくつかの機能改善が期待できそうです。

(Source:InstagramEngadget日本版より転載)

サブスク型イベント予約サービスのSonoligoが7000万円調達、 関西展開および法人向けサービス開発

サブスク型イベント予約サービスのSonoligoが7000万円調達、 関西展開および法人向けサービス開発

名古屋⼤学発スタートアップ「Sonoligo」(ソノリゴ)は8月26日、第三者割当増資および融資により、合計約7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存株主のBeyond Next Ventures、トビラシステムズ、個人投資家。借入先は日本政策金融公庫で、新型コロナ対策資本性劣後ローンを活用したものとなっている。

同社は、イベント予約プラットフォーム「Sonoligo」を提供。音楽・スポーツ・アートなどの各種オンライン・オフラインイベントを楽しめる個人向けサブスクリプション型サービスとなっており、月額料金は980円〜2980円(税込)としている。

2021年内に同サービスの関西地方への展開を計画しており、調達した資金はマーケティング費用・人件費に投資する。

またWell-Being(ウェルビーイング)分野において、文化の持つ力を活かし貢献することを目的に、社員や会社の文化活動推進に取り組みたい企業を対象とした法人向けサービスの開発、またその販路拡大に投資する。

法人向けサービスでは、2020年より取り組んできた500以上のオンラインイベントや良質な動画コンテンツといった実績を活用し、従業員の文化体験や社内の交流・つながりを創出する仕組みを提案するという。働く人のウェルビーイングを高めることが、コロナ禍などで顕著になりつつある職場の様々な課題の解決につながると考え、注力するとしている。

請求書AIクラウドの「LayerX インボイス」が「勘定奉行クラウド」とAPI連携を開始

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

LayerXは8月26日、クラウドでの請求書処理業務を可能にする請求書AIクラウド「LayerX インボイス」において、オービックビジネスコンサルタントの財務会計システム「勘定奉行クラウド」とのAPI連携を開始したと発表した。

同連携により、LayerX インボイスと勘定奉行クラウドを連携し利用する事業者は、「LayerX インボイスで作成した仕訳データの勘定奉行クラウドへのAPI連携」「勘定奉行クラウドの各種マスタデータのLayerX インボイスへのAPI連携」が可能になる。これら機能を利用することで、さらに効率的な請求書処理業務が可能になるという。

「LayerX インボイス」で作成した仕訳データの勘定奉行クラウドへのAPI連携

同機能により、LayerX インボイスで作成した仕訳データや証憑をワンクリックで勘定奉行クラウドへ連携することが可能になる。CSVのエクスポート・インポートといった作業が不要になり、ミスの防止を含めた業務効率化が行える。

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

勘定奉行クラウドの各種マスタデータの「LayerX インボイス」へのAPI連携

勘定奉行クラウドに設定済みの各種マスタ情報を、ワンクリックでLayerX インボイスに連携できる。セットアップ時・運用時にCSVのエクスポートや加工・インポートが不要になるため、プロセス全体での業務効率化につながるという。

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

LayerX インボイスは、請求書受取業務の効率化を通じて経理DXを推進するサービス。請求書の受取り後、AI-OCRで請求書を自動でデータ化の上、仕訳データ・振込データの自動作成および会計システム連携をシームレスに実行するという。

またワークフロー機能も2021年3月より提供を開始した。経理部門だけではなく、事業部門における支払申請などにかかる作業負荷、入力ミスを解消することで、全社のデジタル化や生産性向上に寄与するとしている。

刷新したZoom用スキンで自己表現とインクルージョンにフォーカスする「Macro」

生産性は多くの大企業にとって、パンデミック以前からの重要課題であり、それ以降、ますます重要になっている。しかし、Macro(マクロ)のファウンダーAnkith Harathi(アンキス・ハラチ)氏とJohn Keck(ジョン・ケック)氏は違う方法をとろうとしている。

同スタートアップのZoom SDKを利用したプロダクトは、開発チームによって再構築されたのち、米国時間8月25日に再スタートを切った。

430万ドル(約4億7000万円)のシード資金をFirstMarkのリードで調達したMacroがベータ版を公開したとき、基礎となるアイデアは、Zoom会議には本当に役立つ(かつ誰にでも使える)インフラストラクチャーがないということだった。同社はソリューションとして、ユーザーが会議の最中にToDoリストや結論などを書き込めるZoom用オーバレイを開発した。Macroはその情報をGoogleドキュメントに転送し、参加者に送る。

同プロダクトはユーザーがレイアウトを選択するオプションも提供しており、参加者のサムネイルを全画面を占有させずにブラウザーや好きなアプリケーション上に表示するスキンもある。Airtime(エアタイム)という、参加者がミーティング中にどれだけ話していたかを表示して、全員の声が届くようにする機能もあった。

その最後の機能、そしてMacroユーザーからのフィードバックが、今回の改定バージョンを生み出した。当初の生産性中心から、自己表現へと焦点をシフトしたのだ。

「未来のビデオコミュニケーションは、最も親密なコミュニケーションの1つとなり、高度にパーソナライズされると私たちは信じています。あなたと私は基本的にまったく異なる人間です」とハラチ氏はZoomを通じて私に話した。「しかし私たちは現在、Zoom時代にいて、全員が同じジェネリックなインターフェイスを使っています。どんなに違う人であっても」。

新しいMacroでは、ユーザーが図形、カラー、フィルターなどを使ってインターフェースをパーソナライズして自分を表現できる。さらに同社は、あるビッグネームアーティスト(後日発表)とのコラボレーションでZoom会議中にユーザーが使えるスペシャルアクションを提供しようとしている。他のメンバーがMacroを使っていてもいなくても、あなたがMacroを使って表現したものを相手は見ることができる。

初期バージョンからあるMacroの機能も残っている、たとえばAirtimeだ。ハラチ氏とケック氏はTechCrunchに伝えたところによると、2020年7月の公開当初に受け取ったフィードバックで多かったのは、自己表現とインクルーシブの機能が最もユーザーに共鳴し、生産性機能を使っている人はほとんどいない、というものだった。

Macroは、ユーザーが別のアプリケーションで共同作業をしながらZoomで互いを見ることのできるスキンも再登場させる予定で「Rooms」と呼んでいる。Macroは現在MacOSで動作している。

会社はボトムアップアプローチを続けて成長している。プロダクトは使いたい人に無料で提供され、組織の全員が参加しなくてもよい。

Macroは、ビデオ会議の巨人が焦点をアプリエコシステムにシフトするのに合わせてZoomの波に乗っている。ハラチ氏とケック氏は、ビデオ会議にとってのMacroは、メールにとってのSuperhumanと同じだと信じているが、Macroは生産性よりも自己表現に焦点を合わせている点は異なる。

2人はビデオ会議の発展が続くにつれ、UIの勝者が多くを得ると信じていて、会社はその勝者になることを目指している。

 

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画像クレジット:Macro

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeは2020年2月以降、新型コロナに関する100万の危険な誤情報動画を削除

YouTube(ユーチューブ)の最高製品責任者Neal Mahon(ニール・マホン)氏によると、YouTubeは2020年2月以降に新型コロナウイルス感染症に関する危険な誤情報のために100万点の動画を削除した。

マホン氏は、誤情報に対して同社がどのような措置を取っているのかを示すブログ投稿の中で統計を共有した。「誤情報は端の方からメインストリームへと動きました」と同氏は書いた。「ホロコースト否定者や9-11の真実を求める人たちの封印された世界にとどまらず、社会のあらゆる側面に入り込み、時として猛スピードでコミュニティを駆け抜けます」。

と同時にマホン氏はYouTubeのコンテンツ全体における「悪いコンテンツ」の割合はわずかだと主張しれいる。「悪いコンテンツはYouTube上の何十億という動画のうち、パーセンテージとしてはわずかです(全動画の約0.16〜0.18%がYouTubeの規則に違反)」と同氏は書いた。そしてYouTubeが各四半期に約1000万点の動画を削除していて「削除される動画の大半は視聴回数が10回にも満たない」と付け加えた。

Facebook(フェイスブック)も最近、自社プラットフォーム上のコンテンツについて同様の主張をした。同社は先週、人気の投稿のほとんどはミーム、あるいは非政治的なコンテンツだと主張するレポートを発表した。そして新型コロナウイルス感染症とワクチンの誤情報の扱いに対する批判について、同社はワクチン誤情報は大半のユーザーが目にしているものを代表してはいない、と主張した。

パンデミックの間、Facebook、YouTubeいずれも健康に関する誤情報をめぐる規則について特に厳しい目が向けられた。両プラットフォームとも10億人超のユーザーを抱えていて、これはたとえほんのわずかな数のコンテンツでも広範に影響を及ぼす力を持っていることを意味する。そしてどちらのプラットフォームもこれまでのところ、ワクチンと健康に関する誤情報がどの程度広まったのか、あるいはどれだけのユーザーが誤情報に遭遇したのか、開示を却下してきた。マホン氏は、誤情報の削除は同社のアプローチの1つの側面にすぎない、とも語った。YouTubeは「信頼できるソースからの情報の増加と害のある誤情報をともなう動画の拡散の抑制」にも取り組んでいる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。著者Karissa Bell(カリッサ・ベル)氏はEngadgetのシニアエディター。

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画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(文:Karissa Bell、翻訳:Nariko Mizoguchi

アダルト系SNS「OnlyFans」が性的なコンテンツを禁止する決定を「一時的に中止」

アダルト系コンテンツで知られるOnlyFans(オンリーファンズ)は、露骨な性描写を含むコンテンツを禁止すると発表してポリシーの変更を予定していたが、広く反発を受けた後、その決定を中止した。Onlyfansは特にポルノのために作られたわけではないが、性的コンテンツは、同プラットフォームで最も目につくユースケースとなっていた。

「皆様の声をお聞かせいただきありがとうございます。当社は、多様なクリエイターのコミュニティをサポートするために必要な保証を確保し、10月1日に予定されていたポリシーの変更を中止しました」と同社は米国時間8月25日にツイートした。「OnlyFansはインクルージョンを支持しており、今後もすべてのクリエイターに活動の場を提供していきます」とも。

OnlyFansの広報担当者は、TechCrunchに対しメールで「提案されていた2021年10月1日の変更は、OnlyFansがすべてのジャンルのクリエイターをサポートできるという銀行パートナーの保証により、もはや必要ありません」と述べた。

OnlyFansは以前「銀行パートナーとペイアウトプロバイダー」の要求に応じるため、ポリシーの変更を行わざるを得ないと述べていた。同社はこれらの関係者からの圧力により、プラットフォーム上での露骨な性的表現を許可しないことを決定したと示唆していたが、OnlyFansがこの原因について公表した後、現時点では問題を解決することができたようだ。

なお、OnlyFansの公式声明では、この決定が「一時的に保留」されたとあり、このポリシー変更が完全に取り消されたわけではないことがうかがえる。

OnlyFansは、最初の発表に対するフォローアップのツイートの中で「クリエイターの皆様への公式なご連絡は、まもなくEメールでお送りします」と述べていた。

性的表現を禁止するという決定は、経済的に同プラットフォームに依存していたセックスワーカーたちを苛立たせた。この方針変更を受けて、一部のクリエイターはすでにOnlyFansのアカウントを削除し、他のサービスに移行していた。今回の決定取り消しにより、クリエイターたちはこれから、OnlyFansに戻るか、それともOnlyFansを離れて他のライバルサービスを利用するか選択しなければならない。

OnlyFansは2016年に設立され、1億3000万人以上の登録ユーザーと200万人以上のクリエイターがいるとされる。このプラットフォームは、Bella Thorne(ベラ・ソーン)、Cardi B(カーディ・B)、Bhad Bhabie(バッド・ベイビー)など、複数の有名人を引きつけることに成功している(18歳のラッパーBhad Bhabieは、OnlyFansアカウントを開設してから、わずか6時間で100万ドル[約1億1000万円]以上を稼ぎ出した)。

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)