モノに触れずにつかめるロボ用超音波グリッパー

ロボットが、病院やスマホ修理店などで仕事を手伝う場合、少なくともそっとモノに触れる必要がある。まったく何にも触れずに手伝うということは可能なのだろうか? 超音波を利用して物体を空中に浮遊させて支えるグリッパーを開発した研究者がいる。非常にデリケートな作業にも適用できるものだ。

画像クレジット:Stefan Weiss/ETH Zurich

これは、極めて精緻に制御された周波数と音量で音波を発生する小さなスピーカーの配列で実現されている。それらが、ある種の定在圧力波を発生し、物体を持ち上げる。また、さまざまな方向から圧力をかけることで、その場に静止させたり、動き回らせることも可能だ。

このような「音響浮遊」自体は、そういう言葉もあるように、まったく新しいものではない。あちこちで奇術の類として使われてきた。しかしこれまでは、これといった実用的な用途はなかった。しかし、ETHZürichのマーセル・シャック(Marcel Schuck)氏と彼のチームは、このようなポータブルなデバイスが、小さな物体を非常に優しく保持する必要があるような作業に使えそうなことを示した。

たとえば、小さな電気部品、腕時計やマイクロロボット用の油を塗布した微小なギアやベアリングは、物理的な接触なしに保持するのが理想的。接触すれば静電気を伝えたり、汚れを付着させてしまうことがあるからだ。そのため、そうした作業に使うロボグリッパーは、清浄な状態に保ち、隔離しておく必要がある。しかし、音響による操作なら、汚濁の可能性は大幅に低くできる。

ちょっと不気味な見た目の別のプロトタイプ

問題は、対象の物体を空中に浮遊させるのに、どのような周波数と振幅の組み合わせが適切なのかが、必ずしも自明ではないこと。そのため、この仕事の大部分は、新たな物体に対して、それを扱えるよう簡単に調整できるソフトウェアを開発することだった。それには、回転させたり、ひっくり返したり、ユーザーが意図したように自由に物体を動かせるようプログラムする機能も含まれる。

実際に動作するプロトタイプも完成した。シャック氏は、さまざまな業界にアンケートを実施して、そのようなデバイスが実際に役立ちそうか、役立つとすればどのような用途に使えるのか、調査することにしている。スイスでは、もちろん腕時計の製造は重要な産業であり、部品は小さく、接触に弱い。「たとえば歯車は、まず潤滑油でコーティングされ、その潤滑油の皮膜の厚さが測定されます。ほんのちょっと触れただけでも、その被膜にダメージを与えてしまうことになるのです」と、ETHZのニュースリリースで、同氏は指摘している。

腕時計職人は、そのようなロボアームをうまく活用できるのだろうか? マイクロロボットの設計者はどうだろう? または生化学者の役にも立つのだろうか? 潜在能力があるのは間違いないが、必ずしも用途は明確になっていない。同氏は幸い、そのような疑問を調査するための特別研究予算をいくらか持っている。もしその結果、実を結びそうな用途が見つかれば、来年あたりスタートアップとしてスピンオフしたいと考えている。

(関連記事:傷つきやすい海洋生物を捕獲できる「超優しい」ロボットハンド

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソフトバンクが支援する料理配膳ロボ開発のBear Roboticsとは?

今年8月、TechchCrunchは米国カリフォルニア州レッドウッドの興味あるロボットスタートアップをレポートしたBear Roboticsは創立2年半、社員40人でレストランで料理を客に届けるロボットを開発している。

SEC(証券取引委員会)への届け出によれば、同社のシリーズAの株式売出総額は3580万ドル(約40億円)あまりだった。米国時間1月21日に資金調達ラウンドが完了したことが発表されたのを機に、創業者のCEOのJohn Ha(ジョン・ハー)氏 にインタビューした。なお調達された資金3200万ドル(約35億円)だった。

このラウンドはソフトバンクグループがリードした。同グループはロボティクスのスタートアップへの投資にも力を入れている(ピザ配送車両のZumeにも投資しているが、同社の不振が報じられている)。マサチューセッツ州レキシントンを本拠にする創立7年目のBerkshire Greyは、フルフィルメントセンターにおけるパッケージの取り扱い全般をこなすロボットを開発しており、ソフトバンクがリードしたシリーズBのラウンドで2億6300万ドルという巨額の資金を得ている

もっとも、読者の多くはBear Roboticsが受けた出資の内容より開発中のプロダクトの方が興味があるだろう。創業者でCEOのハー氏にプロダクトの詳細と会社のビジョンを尋ねてみた。ハー氏はIntel(インテル)の研究者からGoogle(グーグル)の技術幹部に転じたが、その後起業家としてレストランを開き、閉鎖した経験がある。

TC:グーグルの幹部エンジニアだったのに、自分でレストランを始めた理由は?

JH:レストラン経営が夢だったというわけではない。有利なビジネスだと思ったのが主な理由だ。それに面白そうだった。しかし実際にやってみると面白いどころではなかった。特にショックを受けたのは(スタッフが)ひどい重労働なのに給与水準が非常に低いことだった。これを一生の仕事にはできないと(思って店を閉めた)。そして私の持つノウハウを活かしてレストラン業界を改革しようと思ったわけだ。繰り返しの多い単調な重労働を取り除き(フロアスタッフが)ホスピタリティの提供のような人間でなければできないことに集中できるようにしたいと考えた。料理を提供することがレストラン業の主目的のはずだが、離職率がおそろしく高いので経営者はほとんどの時間をスタッフの採用に費やしている。われわれが開発しているロボットはフードサービスが置かれているこうした状況を打破するはずだ。

TC:Pennyというロボットを開発しているわけだが、このアイディアはどこでどのように思いついたのか?

JH:Fiレストランのスタッフと始終「この仕事をロボット化できるならどんな感じになるだろう?」と言いあっていた。どんな外観でどんな機能が必要か、とかだ。まず混雜した店内を動きまわる必要があるのだからサイズはあまり大きくできない。それに風変わりなロボット・レストランにはしたくなかった。あくまで普通のレストランの中に溶け込み、誰も(存在を)気にかけないようなものでなくてはならない。スター・ウォーズのR2D2と同じで主役はあくまでルーク・スカイウォーカーだ。ロボットの役割はあくまで控えめな補助だ。仕事はきちんとこなすが個性は目立たず誰も注目しないというのが理想だ。

TC:ロボットそのものにについて少し詳しく知りたい。

JH:背景となるテクノロジーは自動運転車だ。それを屋内版にしたものと考えてよい。A点からB点までスムーズかつ安全に移動するテクノロジーだ。Pennyの場合は路上を走行して乗客を運ぶのではなく、レストランの通路を移動して目的のテーブルに料理を運ぶ。デフェレンシャル・ギアを装備した2輪駆動でキャスターがついている。非常に安全だ。外観が似たようなロボットがたくさんあるが、ほとんどはどこかしら見えない部分がある。Pennyは全周を確認しており、床を這っている赤ん坊がいても手をひいてしまうなどということはない。誰かがテーブルから財布のような薄いものを落としても気づく。

Pennyでは客が料理を取り出す。混み合ったスペースではロボットハンドは安全性を100%確保するのが非常に難しいのでわれわれは装備しなかった。素材は基本的にプラスティックだ。軽く、安全で、清潔を保ちやすい。レストランで常用される洗剤、殺菌剤などにも耐久性が高い。.また安全規則上の問題を起こさないよう車輪に料理の残滓が残るなどがないよう注意を払っている。

TC:まだ実用化はされていない?

JH:今のところ量産段階にまでは進んでいない。

TC:どこで製造されるのか?またビジネスモデルは?

JH:製造はアジアのどこかになるだろう。中国かその周辺だと思う。まだ市販価格は決めていないが、売り切りではなくリースという形にするつもりだ。月極めのサブスクリプションになると思う。これはメンテナンス一切をわれわれが受け持ち、レストラン側で心配する必要はまったくない。

TC:Pennyロボットは異なる目的、環境のためにカスタマイズ可能だろうか?レストラン以外の用途を考えているのか?

JH:Pennyは異なるモードにカスタマイズ可能だ。デフォールトでは3段の料理トレイを備えており、料理を運び、洗い場に下げるために動き回る。

TC:客とのコミュニケーションはできるのか?

JH:Pennyには発声、会話機能がある。音楽を鳴らしながら通路を進んだり、テーブルについたら「料理を取り出してくさい」と言ったりできるが、ソフトウェアはまだ複雑な会話ができるところまで行っていない。それぞれのレストランで特色を生かしたカスタマイズができるようにしたいと考えている。

TC:利用者と考えているのはレストランだけか?

JH:料理を提供する場所ならどこでもターゲットになる。現在はレストランでテストを行っているが、カジノでも社食でもいいし個人の家でもいい。高齢者施設も当然考えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

激化する小売業向けロボティクス競争の中、Berkshire Greyが289億円を調達

ここ数年、ロボティクス業界で最も大きく、かつ最も資金を調達している分野が小売業、その中でも倉庫の管理、輸送などのインターネット接続を利用した特定市場だ。Berkshire Greyは、これまでほとんど表に出ていなかったが、2020年に入り相当な金額の資金調達をしたというニュースで一躍その名を轟かせた。

マサチューセッツ拠点の同社は、2億6300万ドル(約289億円)という巨額のシリーズBラウンドを1月21日に発表した。ラウンドをリードしたソフトバンクは最近、特にロボティクスへの関心が大きい。ほかにKhosla Ventures、New Enterprise AssociatesおよびCanaanも参加した。

Berkshire Greyは、金融持株会社のような社名ながら、高度なピックアンドプレースロボットを開発している。倉庫分野は特に得意としていて、Amazon RoboticsやFetchなどと競合している。他社と同様にBerkshireはこのロボットにより、高度な集中力を求められる作業の労働力不足を解消しつつ、eコマースの規模を70~80%増加させると主張している。

「当社の顧客は小売業、eコマース、流通業などの大手企業で、差別化要素の1つとしてBerkshire Greyを選んでいる」とファウンダー・CEOのTom Wagner(トム・ワグナー)氏がリリースで語っている。「当社のロボティックオートメーションによって、顧客はより早くより効率的なサプライチェーン運用が可能になり、現在の消費者要求にこたえることができる」

今回のラウンドは、Bossa Nova、Osaro Realtimeなどのロボティック企業が相次いで調達ラウンドを実施したほか、今週はじめにはSoft Roboticsが2300万ドル(約25億円)を調達したというニュースに続くものだ。Berkshireは、調達した資金を雇用の増加、買収、および海外販売の強化にあてると言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヤマハが早大発スタートアップの東京ロボティクスに出資、協働ロボット分野へ参入

ヤマハ発動機は1月21日、早稲田大学発のスタートアップである東京ロボティクスへの出資と技術提携を発表した。具体的には同社が東京ロボティクスの転換社債型新株予約権付社債を引き受ける。

東京ロボティクスが擁する協働ロボットの高度化に欠かせない関節柔軟性(力制御)の技術とヤマハの量産化能力を組み合わせることで、協働ロボット市場へのビジネス参入を目指すとのこと。ヤマハは長期ビジョンの1つとして「ART for Human Possibilities, Advancing Robotics」を掲げており、今回の資本・技術提携もその一環だ。

繊細な処理が可能なロボットの「手」を開発するSoft Roboticsが大手FANUCと提携、約25億円調達

 

ロボティクスのスタートアップ、Soft RoboticsがシリーズBラウンドを完了、2300万ドル(約25億円)の資金を獲得した。このラウンドはCalibrate VenturesとMaterial Impactがリードし、Honeywell、ヤマハ、Hyperplaneなどの既存投資家が加わった。注目すべき点は世界最大の産業用ロボットのメーカー、FANUCがラウンドに参加したことだ。同社や最近SostRoboticsと戦略的な提携を行っている。

Soft Roboticsのプレスリリースによれば、今回のラウンドは「募集枠を超えた」額だったという。つまり同社は差し迫った資金需要があったわけではないらしい。実際、今回の2300万ドル(約25億円)を調達したラウンドの前、2018年の2000万ドル(約22億円)のラウンドも「募集枠を超えた」ものと発表されている。それ以前のラウンドは500万ドル(約5億5000万円)のシリーズAで2015年にクローズされている。Soft Roboticsのクライアントには世界の大企業多数が含まれるため、おそらく資金は潤沢なのだろう。

Soft Roboticsはロボットが対象をつかむ手の部分を開発している。社名からも推察できるが、このグリッパーにはソフトな素材が用いられ、各種のデリケートな処理を可能としている。従来の変形しない強固なグリッパーの場合、壊れやすい素材をつかむためには非常に精密な位置決めが必要となりわずかの誤差も許されなかった。

2018年の資金調達ではSoft Roboticsは従来のリテールやロジスティクス一般に加えて、食品、飲料などの処理にもターゲットを拡張することを明らかにした。新しいパートナーであるFANUCが今回のラウンドに参加している。FANUCはSoft RoboticsのMini-Pコントローラーを内蔵する柔軟なグリッパー、mGripをFANUCの既存の各種産業用ロボットに組み込むことにより、処理のバリエーションを大幅に拡大している。一方、Soft Roboticsはロボティクス事業において世界でもっとも影響力がFANUCと戦略的、テクノロジー的な関係を築くことに成功した。

今回の資金調達でSoft Roboticsはさらなる成長に向けて投資が可能となった。アイテムのバリエーションを拡大し、食品パッケージングを含めて消費者向けグッズの処理やeコマースのインフラとなるロジスティクス分野にもいっそう力を入れることになるだろう。特にeコマース業界において最大の課題となっている大量に発生する返品処理のロボット化、効率化はSoft Roboticsのソフトグリッパーが威力を発揮する分野になりそうだ。

【Japan編集部追記】 記事中で今回のラウンドがシリーズBとされているが、CrunchBaseによると2015年2018年とも「シリーズA」とされている。なお原文のSoft RoboticsのCrunchBaseはエラーを返してくる。

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滑川海彦@Facebook

鳥のように空を飛ぶロボットPigeonBot

地球上の最も進んだロボット科学者ですら、どんなに頑張っても鳥が空を飛ぶときのあの軽快で優雅で効率的な運動を再現することは大変難しい。だが、スタンフォード大学の研究者が、鳥の羽根による独特な飛行特性を研究し実証するPigeonBot(ピジョンボット)で、その状況を一歩進めることができた。

見た目PigeonBotは、なんというか言わせてもらえば子どもの工作みたいな感じだ。しかし、適当に作ったみたいなこの装置には、膨大な見識が詰め込まれている。鳥の飛び方は、実はあまりよくわかっていない。動的な翼の形状と、それぞれの羽根の位置の関係が超絶に複雑なためだ。

機械工学科のDavid Lentink(デイビッド・レンティンク)教授は、数名の受け持ちの大学院生とともに、「鳥類の翼の変形メカニズムの生体力学の分析と、そこから得た見識を、実際の風切り羽を使用したバイオハイブリッド・ロボットに応用する」ことに挑戦した。一般的なハトをモデルにしているが、その復元力にはレンティンク教授も驚いていた。

サイエンス誌のインタビューの中で、彼は以下のように説明している。

まずは博士課程の学生Amanda Stowers(アマンダ・ストウワーズ)君が骨格の動きを分析し、私たちのロボットが20本の所列風切り羽根と20本の次列風切り羽を動かすためには、手首と指の動きだけを模倣すればよいことを突き止めました。2番目の学生Laura Matloff(ローラ・マットロフ)君は、骨格の動きに反応した単純に直線的な運動で羽根が動くことを解明しました。ここで得られたロボット工学的見識は、鳥の翼は巨大な劣駆動システムであり、鳥は、それぞれの羽根を常に個別に制御しているわけではないということです。むしろ、手首と指の運動が、羽根を骨をつないでいる弾力性のある靱帯を通じて自動的にすべての羽根に伝わるのです。羽根の位置の制御を大きく単純化する、よくできた仕組みです。

個々の羽根の制御が、手動ではなく自動だったという発見に加え、研究チームは、羽根の中の微小な構造が、一方向性のマジックテープのような特性を生み、あちらこちらに隙間ができることなく、一体化した表面を形作っていることも突き止めた。その他のものも含め、今回の発見はサイエンス誌に掲載された。「3番目の学生」Eric Chang(エリック・チャン)君がまとめ上げたロボット本体については、サイエンス・ロボティクス誌で解説されている。

実際のハトの40枚の羽根と超軽量なフレームを使い、チャン君とそのチームは、簡単な飛行機を製作した。先端にプロペラを備えており、羽根で揚力を生み出すわけではないが、鳥が滑空中に行うように、羽根を湾曲させたり変形させたりして、方向変換やその他の姿勢を制御する。

翼そのものの生物学的特性を研究し、PigeonBotシステムの観察と調整を行うことで、研究チームは鳥は(PigeonBotも)、翼を少し折り畳むときに「手首」を使い、開くときには「指」を使って飛行を制御していることを発見した。しかしそれは、必要とする意識やメカニズムを最小限に抑えた非常にエレガントな方法で行われる。

PigeonBotの翼。羽根は弾力性のあるジョイントで接続され、ひとつが動くと別の羽根も動く仕組みになっている

これには、1世紀以上も前に確立された原理に多くの点で依存する現代の飛行機の、翼のデザインを改良できる可能性がある。当然のことながら、いきなり急降下したり宙返りしたりといった動きは旅客機には無縁だが、ドローンや小型飛行機には、この能力が大変に役立つかも知れない。

「ここで紹介した劣駆動可変翼の原理は、航空機やロボットの、これまで考えられていたよりも高い自由度の、より経済的でシンプルな可変翼の設計に影響を与える可能性がある」と研究チームはサイエンス・ロボティクスに掲載された論文に書いている。

今後彼らは、別の種類の鳥も観察して、この技術が共通のものなのかを確かめる予定だ。レンティンク教授は、この翼に調和する尾の研究に取りかかっている。またこれとは別に、鷹からヒントを得た生体模倣ロボットの研究も行っている。それには脚や鉤爪が付く可能性がある。「アイデアはたくさんあります」と彼は打ち明けている。

関連記事:我々にぴったりの空飛ぶ生体模倣ソフトロボットBat Bot(未訳)

画像クレジット:Stanford University

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(翻訳:金井哲夫)

空棚や価格間違い、展示問題などを素早く見つけるZebraの在庫管理ロボット「SmartSight」

店舗に入り、補充が必要な棚を見つけたことは何度あるだろうか?これは頻繁に発生する問題であり、一方で特に大規模な小売施設では在庫を常に満たすことは困難だ。そんな問題に対し、Zebra Technologies(ゼブラ・テクノロジー)は解決策を提供する。これは棚をスキャンし、在庫の不足を従業員に報告するロボットだ。

「SmartSight」ロボットは、コンピュータビジョン、機械学習、ワークフローの自動化、およびロボット機能を組み合わせて、店舗の通路を移動し棚をチェックするハードウェア、ソフトウェア、およびサービスのソリューション。そして在庫不足、価格設定の問題、および展示の問題を見つける。問題を発見すると、Zebraのモバイルコンピューターを介して、従業員に問題の発生場所と内容を伝えるメッセージを送る。

このロボットはZebraのEMA50モバイルオートメーション技術を利用しており、在庫管理やオンライン注文システムを含む、ほかの店舗システムと連携している。Zebraによれば、利用可能な在庫を95%まで増加させ、手作業で在庫を確認する従業員の稼働時間を週平均65時間削減できると主張している。

この種の作業に必要な従業員の数は減るだろうが、Zebraのエンタープライズモバイルコンピューティング担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるJoe White(ジョー・ホワイト)氏によると、そのような作業を担当する人材を見つけるのは必ずしも容易ではないという。

ホワイト氏は声明で、「SmartSightとEMA50は、競争の激化や労働力不足への懸念の中で、小売業者がオンデマンド経済のもたらす機会を十分に活用できるように開発された」と述べている。

これはロボット工学を活用して、従業員が店舗の棚に商品を補充しつつ、ほかの問題を発見するのを支援するソリューションだ。SmartSightロボットは今四半期後半から予約制で提供される。つまり、小売業者はロボットの所有やメンテナンスについて心配する必要がない。問題が起きれば、Zebraが責任を持って修理する。

Zebraはニューヨーク市で今週開催されているNRF 2020のカンファレンスにて、この発表を行った。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Bossa Novaの在庫管理ロボットがウォルマートの全米1000店舗に導入

ベイエリアに拠点を置くBossa Nova Robotics(ボサ・ノバ・ロボティックス)は米国時間113日の朝、在庫をスキャンするロボットを米国のWalmart(ウォルマート)の1000店舗に導入する計画を発表した。この計画は、現在の350店舗に追加して650店舗にロボットを導入するものだ。

2005年にロボット玩具のスタートアップとしてピッツバーグで創業したBossa Nova Roboticsにとって、これは大きな発表だ。同社は2017年にウォルマートとの最初の契約を発表し、50台程度のロボットを導入していた。

高さ6フィート(約1.8m)のこのロボットには腕がなく、他社が提案しているような在庫整理の機能は使えない。つまり、手動での在庫整理を直接置き換えるようには設計されていないのだ。代わりに退屈な在庫作業を保管し、置き換えるように設計されている。

具体的には、紛失した商品を探して棚をスキャンし、その情報を中央のコンピューターに送り返す。それにもとづき、従業員は適切な交換品を見つけることができる。今回のロボットの注文は確かに大量ではあったが、これは米国に存在する5000店舗のウォルマートのうちの数分の1である。なお、最新ロボットの導入は今夏に完了する。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Shapemeasureは驚きのパワーツール、内装素材をレーザーで精密に計測、自動カット

建築作業では素材をすべて正確に同じ寸法にカットできれば理想的だが、そうはいかないのが普通だ。Shapemeasureは、この理想を実現するシステムだ。レーザーを利用するLidar(ライダー)ユニットによって素材の寸法、形状を極めて精密に計測する。データは自動カッティングユニットに送信され、素材をそのサイズにカットする。開発チームによればこのシステムは従来の作業を3倍から4倍スピードアップするという。

Lidarは自動運転車ほ周囲認識のために利用されているが、同社の創業者であるCEOBen Blumerよれば、Shapemeasure組み込みのユニットは近距離の精密な計測のためにカスタマイズされているという。

主たるターゲットは床、階段に加えて家具の化粧板の貼り込みなど。フローリング作業は米国だけでも年間220億ドルの市場だ。作業現場ごとに素材のカッティングの寸法、形状が異なり、わずかの誤差でも作業が不可能となるため、従来も内装や家具製作プロセスで大きなネックとなっていた。

ShapemeasureはLidarで必要な形状を取得し、ワイヤレスでカッティングマシンにデータを送る。素材の板は精密に同一寸法にカットされるためそのまま貼り込み、あるいは打ち付けることができ、仕上がりも美しいという。計測ユニットのヘッドは自由に動くようになっており、厚みを含めた3D情報を取得できる。

Blumerはカナダのブリティッシュコロンビア大学でエンジニアリングの修士を取得しており、ロボティクスに経験が深い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フランス拠点のPollen Roboticsが研究者やスタートアップに約186万円の胴体ロボットを販売

これまでCESは、本格的なロボティクスが登場する展示会では断じてなかった。その状況が近い将来に大きく変わるとは思えないが、毎年少しずつ変わってはきているようだ。コンパニオンロボットやスマートホームロボットなどが主に話題となる中で、Pollen Roboticsの登場は興味深い。

創業してから3年のフランスのスタートアップ、Pollen Roboticsが提供しているReachyという名前のロボットの胴体は、ほかのロボットとは確かに一線を画している。2本のアーム、胸部、頭のあるこの胴体ロボットは、プロトタイピングや研究の目的で作られたオープンソースプラットフォームだ。スタンドアローンのアームが9000ドル(約99万円)、上半身全体が1万7000ドル(約186万円)で今週発売されたばかりだが、同社によればすでにクライアントを獲得しているという。

CESで同社のスタッフは筆者に対し「我々はフランスの研究所と人工装具に関して協業している。またメカニクス、ロボティクス、AIを教えるエンジニアリングスクールにも協力している。サービスのためのロボティクスを研究し、サービスロボティクスのプロトタイピングを始めたいと考えている大規模なイノベーションラボが複数ある」と語った。

Reachyには、CESで見せていた単純な三目並べゲームをはじめとする幅広いアプリの可能性がある。これはプレゼンテーションを必要とする企業のために作られたものだ。この場合、Reachyはテクノロジーを使って展示会のブースのようなところに人々を引き込むというPepperと似たようなニーズを満たすことになる。実際、今回はそのように機能していた。

一方、研究用のロボットは求められてはいるが収益化の難しい分野だ。Willow GarageやRethink Roboticsといった有名企業は教育の場を持っていたが、結局は消えていった。Reachyはこれらのシステムほど先進的ではないようだが、(比較的)低価格であるという点では魅力がある。

このプロジェクトがオープンソースの性質を持っていることも、研究者やスタートアップにとっては最終的には利点となるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

プログラマブルな猫ロボ「Meet MarsCat」は飼い主と一緒に成長・進化する

CES 2020で、製品の見せ方の完成度が高かったジャンルといえば断然、家庭向けロボットだ。そして中でも最もかわいらしいのが、工業用ロボットメーカーのElephant Robotics(エレファント・ロボティクス)が出展したロボペット「MarsCat」だろう。このロボットペットは完全に自律的なコンパニオンで、接触や音声に反応するだけでなく、おもちゃで遊ぶこともできる。ほんの数分間遊んだだけで、誰もが好きになってしまいそうだ。

MarsCatの出自は一風変わっている。なぜならElephant Roboticsは、Cobots(コボット)と呼ばれる、工場や組み立てプラントで人間と一緒に仕事をする工業用ロボットのメーカーだからだ。Elephantは2016年の創業で、今では協働ロボットの製造ラインが3つもあり、韓国、米国、ドイツなど世界中の企業に販売網を広げている。

MarsCatは、そんな同社の初めての家庭用製品で、もちろん工場や研究所ではなく家庭で使用する。初めてのとは言っても、これまでに蓄積されたロボット製造技術が至るところで生かされているはずだ。たとえば脚や尻尾や頭部の関節の動きがとても滑らかで、座る、立つ、歩く、遊ぶ、人の動きを注視するなどの動作を完全に自律で実現する。

しかもMarsCatは、そんな機能性が最初からあるだけでなく、ユーザーがプログラミングしてカスタマイズできる。全体をRaspberry Piが動かしていて、プログラミングする人のためのオープンなライブラリとしてMarsCat SDKが同梱される。そのAPIを使えば、ロボットの動きや機能を完全にコントロールしプログラミングできる。だから、STEM教育の教材にもなるし、ロボティクス(ロボット工学)の勉強もできる。

MarsCatは今、Kickstarterでクラウドファンディングを実施しているが、目標額の2万ドル(約220万円)はとっくに超えて、10万ドル(約1100万円)以上には達しそうだ。Elephant RoboticsのCEOで共同創業者のJoey Song(ジョーイ・ソング)氏によると発売は3月の予定なので、そんなに長く待たされることはない。

  1. MarsCat-5

  2. MarsCat-8

  3. MarsCat-7

  4. MarsCat-4

  5. MarsCat-1

  6. MarsCat-3

ロボットペットは現在さまざまな製品が市場に出ているが、ソング氏によるとMarsCatのように高度な機能がたくさんあってしかもそのわりには安いという製品はほかにない。例えば、現状でいろんな音声コマンドに応答できるし、ユーザーとのコミュニケーションを通じて進化できる。ユーザーがたくさん話せばお喋りになるし、たくさん遊んでやれば遊びが大好きな子猫みたいになる。しかもプログラミングができるオープンなプラットホームだ。支援者価格699ドル(約7万6600円)はお買い得だろう。

ソニーのAibo(アイボ)はMarsCatの犬バージョンだが、米国の小売価格が2899ドル(約31万7600円)なので、MarsCatはお買い得だ。しかも、本物の猫と違ってMarsCatには排泄も抜け毛もない。それも魅力の1つだろう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

もしかするとClicbotは家庭用ロボCozmoの後継者になるかもしれない

ロボティクスにおけるAnkiの本当の遺産は、十分に解明されるまであと数年はかかるだろう。同社が開発した家庭用けロボットのCozmoに込めたビジョンは結局崩壊したが、家庭用ロボットに対する同社の取り組み方は、これからも永遠に残る遺産ではないだろうか。

CESで取材した家庭用ロボットメーカーであるKeyi Techの代表者は、Ankiとの比較をあわててはぐらかし、同社のモジュール構造のロボットであるClicbotはあくまでもSTEMの教材であり、Cozmoのようなフレンドリーな家庭用コンパニオンのタイプではないと主張した。

しかし、そのClicbotのキャラクターがアニメからヒントを得ていることは歴然だ。それどころかKeyiによると、同社はAnkiの真似をするためにKickstarterのアニメーターを起用して、筒状の頭部の中央に1つ目巨人のような目を作った。しかもさらに、製品全体に生き物のような暖かみのある外見がある。

CESの会場でのデモは限られていたが、Clicbotsが一列に並んでネイティブアメリカンのロックバンドであるRedboneのヒット曲「Come and Get Your Love」に合わせて踊った。確かにこれは素晴らしい。また、もう1つのデモでは、顔の横をなでられたClicbotが愛らしく応えてくれた。

しかしデバイスそのものも、そこに込められた主張も、そして目的とする市場も、やはりAnkiとは大違いだ。モジュール構造なので、アプリを使って自由に構成できる。てコーヒーを淹れることもできるようだが、Ankiが狙っていた自律的なロボットのペットという位置付けではない。このロボットキットは300ドルからだ。近くAmazonで発売される。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

1kg弱のポータブル腹部切開ロボ開発のVirtual Incisionが約22億円調達

これまでの数年間、外科手術はロボティクスのもっとも活発で投入される資金も多い分野だった。そのブームには、Intuitive(イントゥーイティブ)のような企業の大成功も少なからず貢献している。ここで取り上げるVirtual Incision(バーチャル・インスィジョン)も2006年の創業以来、着実に資金調達を重ねてきた。

米国時間1月8日、ネブラスカ州リンカーンの同社はその最新の資金調達ラウンドを発表した。その2000万ドル(約21億8400万円)のシリーズBで、同社のこれまでの調達総額5100万ドル(約55億6800万円)になる。今回のラウンドはBluestem Capitalがリードし、PrairieGold Venture PartnersとGenesis Innovation Groupが参加した。

Virtual Incisionの主力製品であるMIRA(Miniaturized in Vivo Robotic Assistant、生体内用の小型ロボットアシスタント)は重さが1kg弱で、手術による傷を最小限に抑えた腹部外科手術を可能にする。その最大の価値命題は、これまでの巨大な外科用ロボットと違って、比較的ポータブルであることだ。

社長でCEOのJohn Murphy(ジョン・マーフィー)氏はプレスリリースで「外科手術用ロボットMIRAは、最小限の侵襲性しかない手術過程が患者に大きな福利をもたらすことを深く理解したうえで設計しました。Virtual Incisionのポータブルで安価な腹部用ロボットは、その福利をさらに多くの患者にもたらすものと信じています。すでに計画されているMIRAのIDEに基づく臨床試験が、弊社の次の重要なステップでにいなります」と語る。今回のラウンドは、その機器治験に向けての準備を支えるだろう。資金はまた、本製品の商用化努力にも使われる予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サムスンのフレンドリーなロボットボール 「Ballie」

Samsung(サムスン)は、ボール型ロボットのBallieを発表した。これは、人やペット、そしてスマート家電と共生するロボットだ。

デモを見る限り、このBB-8にも似たロボットは非常に魅力的だ。しかしこのような家庭用ロボットが登場しては消えていくのを見ると、この製品が実際に市場に登場し、宣伝どおりに機能するのかどうかは非常に懐疑的だ。

家庭用ロボットとしては非常に洗練された新型Aiboでさえ、まだポテンシャルが残されている気がするし、なにより極めて高額だ。膨大なリソースや世代交代、何年もの繰り返しにもかかわらず、登場が早すぎた愛らしいロボットの遺体の山が築かれている。

Ballieに興味がないわけではない。しかし、この動画を見て誰がBallieを面白いと思うだろうか?もちろん、実際にどのような製品になるのか、そして家庭でどのように機能するのかは不明瞭だ。この動き回るロボットボールにセキュリティやリマインダー、配達アラームが組み込まれていたら面白い。そして、願わくば適正な価格で市場に登場することを期待したいものだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

サムスンのロボット・シェフは2020年も一発芸

2019年、私たちはSamsung(サムスン)がロボティクスに本気かどうかを問う記事を書いた。1年が過ぎ、今もその質問の答えに近づいていない。2020年の記者会見もロボティクスに関しては昨年とほぼ同じで、見せびらかすだけで商品化されそうなものはなかった。

関連記事:Meet Ballie, Samsung’s rolling personal assistant that does…stuff

これまでのサムスンによるロボティクスへのアプローチは、他の大手電機メーカーのモデルになっているように感じる。ステージやブースでちょっとした見せ物になるようなテクノロジーを垣間見せるだけ。その代表例がBot Chefだ。今週、私はサムスンのブースでこのロボットシェフのプレビューを見た。「キッチンに新しい両手を」がキャッチフレーズだ。

もちろん、現時点で商品レベルでないことを責めることはできない。まだそこがポイントではない。問題はサムスンがどれほど本気で、世界のキッチンに豆腐ソテーを作り白チャーソースを自由にふりかけるロボットハンドを持ち込もうとしているかだ。私は「すごく本気」と言いたいし、一連のデモは同社がこの種の製品を出すことに積極的に取り組んでいることを表してはいる。

しかし、1月7日夜のキーノートスピーチの未来的テーマは、未来がどうなるか、ではなく、「どうなりうるか」の仮説を言っているだけのように感じた。同社のスマートホーム戦略の中では比較的現実的だと思われるスマートロボットのBallieでさえ、まだコンセプト段階だ。

2019年のロボットデモと同じく、ロボットの機能のどこまでが本物でどこまでが演出なのか、その答えを聞くことはできなかった。魅力的なデモではあった。しかし、本気なのかどうか。

いつの日か、サムスンがこの分野で本気になってくれることを私は期待している。この会社には膨大なリソースがあり、優秀な人材も豊富だ。本気で飛び立とうと思えば、ロボティクスを消費者の間で主流にする上で主役を演じられるはずだ。しかし、現時点において私はまだ確信が持てない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Agilityが業務用二足歩行ロボットDigitを市場投入、最初の顧客はフォード

Agility Robotics(アジリティー・ロボティクス)は、40ポンド(約18kg)の荷物を持ち運べる二足歩行ロボットDigit(ディジット)を市場に投入した。最初の顧客はフォード・モーターだ。

生産ラインで製造された最初の2台を手に入れることになっているフォードがCES 2020に先立って1月5日の日曜夜にラスベガスでの語った内容によれば、同社は2019年からこのロボティクスのスタートアップとの共同研究開発に参加していたとのこと。フォードは、Digitと自動運転車をどのように使えば、同社CTOのKen Washington(ケン・ワシントン)氏がいう「ラスト50フィート問題」、つまり縁石から玄関までの運搬に対処できるかを研究してきた。

Digitの販売価格は、まだどちらの企業も決めていない。

フォードはスタートアップ、Agility Roboticsと提携して二足歩行ロボットDigitの研究とテストを行っている。

Digitの販売開始は、Agilityにとってひとつの節目となる。2015年末にオレゴン州立大学ダイナミック・ロボティクス研究所からスピンアウトして設立された同社は、二足歩行ロボットの商品化を目指してきた。Agilityは、2017年、ダチョウからヒントを得た二足歩行研究プラットフォームCassie(キャシー)を発表した。DigitはCassyに上半身と腕、センサーを取り付け、コンピューター能力を強化したモデルとして2019年の春に発表された。そこからAgilityは、片足でもバランスを取ることが可能になり、障害物を安全に回避できるように改良を加え、ナビゲーションのために周囲を知覚しマッピングを行う新しいセンサーも追加した。

「インターネットでの小売り業が成長を続ける中、ロボットが、あらゆる人のための配達の効率化と低コスト化を実現し、私たちの法人顧客のビジネスを強化するものと信じています」とワシントン氏は声明の中で述べている。「私たちはこの1年、Agilityと多くのことを学びました。これで私たちは、商用Digitロボットとともに探索的研究をさらに加速させることができます」

フォードは、Digitが自動運転車をサポートして商品を人々に配達する方法を模索しているが、このロボットには、倉庫や会社内での用途もあると、同社は話している。

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(翻訳:金井哲夫)

小型ロボットLovotの「永遠の愛」は約33万円で手に入る

ロボットの友人からの永遠の愛はいくらだろうか? 正直なところ、それは3000ドル(約33万円)が妥当なようだ。日本のロボットスタートアップ、Groove X(グルーブX)はCESでLobotを展示するために帰ってきたが、この驚くほど高度なロボットは、数年経っても数多くのテクノロジーファンを魅了している。

数年の間、CESに登場してきたこのフレンドリーな小型ロボットは、約1カ月前にようやく日本で発売された。これはAibo(アイボ)にも連なる、「孤独を慰めるために設計されたロボット」の最新モデルだ。設立から4年経つ同社は、このモデルはAiboよりも進んでおり、約50個のオンボードセンサーと複数のCPU(そして1基の充電ドック)を備えているという。

 

 

CESのプレイベントでは、Lobotがいかにそれを初めて見る人の興味を引く様に感心させられた。Lobotは大胆かつ小さなロボットで、知らない人に近づくことを恐れず、Aiboの時の経験とは根本的に異なっていた。

Aiboのように、Lovotは時間をかけて持ち主の顔を覚え、家に帰ってきたら挨拶するようにデザインされている。苔のような布で覆われた外装は確かにAiboよりも暖かく、抱きしめたくなるもので、またLovotも抱かれるのを嫌がることはない。

 

 

アメリカでの販売予定については、確定した情報はない。Groove Xの創業者兼CEOの林要氏によると、「もし投資家を見つけられれば、おそらくアメリカに進出するだろう」と述べている。ただし、アメリカの消費者が、高価な家庭用ロボットに関心があるかどうかは不透明だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

猫枕ロボに小型・低価格バージョンが登場

Qoobo(クーボ)の開発者であるユカイ工学の青木俊介氏はいつもクーボをトートバッグに入れて持ち歩いている。彼が写っている写真や動画には必ず、クーボも一緒に写っている。そしてこの猫枕ロボットは、どんなときでも会話のきっかけになるからすごい。それはちょっと見ただけでは、つまらないものにしか見えない。毛でおおわれた丸い枕で、なでると尻尾を振る。それだけだ。でも高齢化が進んでいる日本のような国では、本物のペットを飼う時間やお金のない人たちにとって、暖かみのある癒やしになるだろう。

しかしそのクーボも高すぎて買えない人がいるから、ユカイ工学は来週のCESでPetit Qoobo(プチ・クーボ)を披露する。このクーボの弟は機能的にはお兄さんと同じだが、サイズはほぼ半分、そして価格は未定だがやはり半額ぐらいなるだろう。

この小型バージョンのクーボはまだプロトタイプで、日本で3月にクラウドファンディングを開始する。そして秋には、Amazon(アマゾン)とユカイ工学のサイトで発売される。

今度のバージョンでは、なでて尻尾を振るだけでなく、マイクロフォンで音を検知したり、触るとときどきゴロゴロ声を発したりする。前よりも元気な猫という感じだ。

人生にはクーボが必要とまでは言わないが、でも写真などでこれを見るたびに、そばにいる誰か一人が必ず「ほしい!」と言う。小さくて安くなったバージョンも、猫アレルギーの人やアレルギーでない人に、爆発的に売れるだろう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

エラストマー素材で作られた自立動作する虫形ロボットはハエ叩きにも負けない

自然はロボティクスのインスピレーションの源となることが多い。しかし実際のプロダクトに結実する例は非常に稀だ。それでも我々は少しずつ自然に近づいている。ここで紹介する小さな虫形ロボットはソフト素材で作られており、1gくらいしかない。それでも素早く動くことができ、ある程度の知能を備えており、なんとハエ叩きで叩かれても生き延びる。

マイクロロボットは妥協の産物だ。素早く動けるが外部動力が必要、知能を備えているが遠隔操縦が必要、消費エネルギーが極小だが素早く動けず、知能も低いなどだ。

誘電エラストマー・アクチュエータ(Dielectric Elastomer Actuators)の頭文字をとってDEAnsectと呼ばれるこの虫形ロボットは運動能力、知能、省エネを同時に達成しようという野心的な試みだ。もちろんそれぞれの能力は極小サイズによって限定されている。

ロボットは小さな3本の脚を動かして運動する。脚に流れる電流がエラストマー素材を変形させることでロボットを前に引きずるかたちになる。1回の動きはごく小さいが毎秒何回も繰り返されるため、我々の目にはロボットはかなりのスピードで前進するように見える。速度は毎秒体長の30%ほどで、これはキッチンに出没するアブラムシやクモほどの素早さではないが、ほかのミニロボットに比べれば十分に速い。

しかし最も重要なのは誘電エラストマーの採用によりエネルギー効率と堅牢さが飛躍的に上昇した点だろう。DEAnsectは19mgの本体の5倍の重さになるバッテリーと電子回路を内蔵できる。電子回路はごく簡単なものだが、それでも初歩的な自立動作が可能だ。 例えば、極小の光学センサーからの情報で白地の上に引かれた黒い線をたどって移動するなどが可能だ。

堅牢さでいえば、トップのGIF画像でご覧のとおり家庭用のハエ叩きで叩かれても作動を続ける。もちろんぺちゃんこになった後はその場所から剥がさねばならないが、その後はまた問題なく作動を続ける。

極小のサイズと能力からして、このロボットが実行できる実用性あるタスクはいまのところ見つかっていない。しかしソフト素材によるロボティクスの分野に大きな可能性を感じさせる成果といっていいだろう。

DEAnsectはXiaobin Ji(シャオビン・ジ)氏とMatthias Imboden(マティアス・インボーデン)氏のチームがEPFL(スイス連邦工科大学)Soft Transducers Lab(ソフト・トランスデューサ・ラボ)で開発した。本日12月18日、詳細がScience Roboticsに発表された。

【Japan編集部追記】上記Scince Roboticsのリンク先にはビデオが3本公開されており、ロボットが8の字の線をたどる、誘電エラストマーの伸縮、ハエ叩きで叩かれた前後がそれぞれ撮影されている。ロボットはハエ叩きで叩かれると変形して動けなくなるが、その場から持ち上げられるとまた動き出している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

海洋は、まだその多くが探検されていない。だからそこには、大量の貴重な情報が眠っていることだろう。海洋、中でも深海は、その地図の作成やデータの収集に、機器の操縦をはじめとして多くの人手を要し、費用が膨大なので、短期的な調査しか行われていない。

しかしテキサス州オースチンで元米海軍特殊部隊のNavy SEALs(ネイビーシールズ)にいた二人が立ち上げたTerradepth(テラデプス)は、自動運転の潜水艇を使ってこの状況を変えようとしている。それを適切な規模の船隊として展開すれば、深海に関する情報をサービスとして提供できるだろう。

同社は、ストレージのハードウェアを作っているSeagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)がリードするラウンドで、800万ドル(約8億8000万円)を調達した。同社はこの資金で、来年の夏には同社が持つ技術のデモンストレーションを実際の海域で行えるだろう。その後同社は、さらに規模を広げて潜水艇をネットワークでつなぎ、「Autonomous Hybrid Vehicles」、またはAxVと呼ぶ自動運転水中ロボットの船隊を運用するつもりだ。

同社の技術により潜水艇は自動運転で航行するため低コストで大規模運用可能で、そのデータは、元データや同社の機械学習システムが分析したデータ、あるいはクラウド上のサードパーティが分析したデータとして獲得あるいは提供できるとTerradepthは説明する。また彼らは沖合にある機器装置やリソース向けにマルチスペクトル画像や、監視データ、予報予測サービスなどを提供していきたいとしている。

Terradepthのチームには、共同創業者のJoe Wolfel(ジョー・ウェルフェル)氏とJudson Kauffman(ジャドソン・カウフマン)氏のほかに、ソフトウェアやハードウェア、それにロボティクスの専門技術者もいる。彼らの潜水艇は深海潜航と海面航行の両方が可能になっており、深海機と海面機が適宜コミュニケーションを行う。両方を同時に充電でき、集めたデータを人工衛星に送り、さらにデータセンターや顧客に中継できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa