ノイズを排除し営業担当者が最も有望な見込み客に注力できるようにする支援ツールをScratchpadが発表

Scratchpad(スクラッチパッド)は、人気の高いCRM(顧客関係管理)アプリケーションであるSalesforce(セールスフォース)の上位レイヤーとして機能することによって、Salesforceに情報を簡単に入力できる方法を提供する製品として誕生した。しかし、同社の創業者たちは、Scratchpadが単なる営業支援ツールに留まるべきではないことを認識していた。同社は米国時間3月23日、Scratchpadを営業担当者の中心的なワークスペースにするために、インテリジェンスを活用して取引を成立させる可能性の高い見込み客を探し出すことができる新機能を発表した。

Scratchpadの共同設立者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏によれば、同社は営業担当者とその働き方を観察することに、多くの時間を費やしてきたという。それによって、Salesforceに案件データを入力する方法を簡略化するというアイデアが生まれたわけだが、彼らの中には、営業担当者が日々経験している通知に関するノイズを軽減する方法を見出したいという思いが高まってきた。

画像クレジット:Scratchpad

「営業担当者の人々は、通知やアラートに追いかけられて、仕事の流れが乱れたり、途切れたりします。それが、なかなか仕事が進まない原因となっているのです」と、サレイ氏は説明する。そこで同社は、このようなノイズを排除し、営業担当者にとって最も重要な情報を表示する方法を検討し始めたという。通常、それは最も早く成約できる案件であり、そのためには、どこに最も力を入れるのが合理的なのか、次に何をすべきなのかを、はっきりさせるということだ。

「私たちは、営業のための最優先受信箱というコンセプトを思いつきました。つまり、重要な通知やアラートをすべて収納するコンテナです。そして、大きな差別化要因は、ユーザーにそれらの通知を与えるだけでなく、それに対して非常に迅速かつ簡単にアクションを起こす方法を提供することです」と、サレイ氏は語る。

営業担当者が見る通知は、カスタマイズが可能であり「Scratchpad通知ビルダー」と呼ばれるシンプルなワークフローエンジンで、通知を作成できる。サレイ氏はこれを、営業チームが自分たちの働き方に適ったワークフローを構築するための最初のステップと位置づけている。

同社は1月に3300万ドル(約40億7000万円)のシリーズB資金調達を発表している。今回の発表は、少なくともその資金の一部を投入し、同社が製品の機能を拡張して、よりプラットフォーム的な感覚を持たせようとしていることの表れだ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Slackがロシア国内のアカウント停止措置を開始、親会社Salesforceの対応に追従

Slackがロシア国内のアカウント停止措置を開始、親会社Salesforceの対応に追従

Oscar Wong via Getty Images

業務用コミュニケーションツールのSlackが、ロシア国内のアカウントを停止する措置を開始しました。Slackの親会社であるSalesforceはすでにロシアからの撤退を表明しており、これに準じた対応と考えられます。

ニュースサイトAxiosによると、Slackのアカウント停止は主に米国からの制裁対象になった会社や組織を対象に予告なく行われており、一切のデータのダウンロードやバックアップの機会も与えられなかったとのこと。

Slackは数多くの企業に浸透しており、社内におけるコミュニケーションやファイルのやりとりなど、利用する企業にとって重要なデータを多く取り込んでいます。そのためバックアップ手段を講じていない状態で突然利用できなくなった場合、業務への影響は非常に大きなものとなりそうです。

SlackはAxiosに対し「われわれは、事業を展開する他の国々における米国の制裁規制を遵守することを法律で義務付けられており、状況によっては事前通知なしにアカウントを即時停止するなどの行動を起こすことが求められている」と述べました。そして「法律で許可されている場合には、これらのアクションの影響を受ける顧客と連絡を取っている」とコメントしています。

なお、Slackとしては遮断した企業のアカウントのデータを削除はしていないものの、制裁によって遮断された組織はそれが解除復旧されるまではデータにアクセスすることもできません。

ちなみにSalesforceは、撤退は先週から開始しているものの、ロシア国内の顧客はごく少数であり「ロシアには重要な事業はない」と述べています

(Source:AxiosEngadget日本版より転載)

SalesforceのAI開発に携わった3人がエンジニアリング業務に秩序をもたらすFaros AIを設立

Faros AI(ファロスAI)の創業者3人は、Salesforce(セールスフォース)で働いていた頃、同社の人工知能「Einstein(アインシュタイン)」の開発に携わった。Einsteinの目的は、企業がよりデータを活用できるように支援することだが、それを構築するエンジニアリングチームは、他の企業と同じように、エンジニアリングの運用データをトラッキングすることの苦しみを経験した。

Faros AIのCEO兼共同創業者であるVitaly Gordon(ヴァイタリー・ゴードン)氏は、Salesforceの膨大なリソースにもかかわらず、データの不足とそれを収集するための適切なツールがないことに悩まされていたと語る。「私たちはSalesforce内でその業務を拡大し、1万近い顧客と取引していたと思いますが、実は(データの活用に関して)私たちが技術組織として主張していることを、実践できていないと気づいたのです」と、ゴードン氏はいう。

営業やマーケティングチームがデータを活用するために、エンジニアリングチームが作っているようなツールが、エンジニアリングチームにはない、ということはまさに目からウロコだった。彼らは、サイドプロジェクトとしてこの問題に取り組み始めたが、これは誰にとっても大きな問題であると認識するようになった。

創業者の3人、つまりゴードン氏に加え、Salesforce Einsteinに携わっていたMatthew Tovbin(マシュー・トヴビン)氏とShubha Nabar(シュバ・ナバール)氏は、2019年に同社を辞め、この問題を解決するためにFaros AIを設立した。彼らは、開発者がコーディングを終えた時点から、その更新されたコードが顧客の前に製品として着地するまで、どれくらい時間がかかるかといったことなどを、エンジニアリングマネジメントがデータを見て簡単に把握できるようにしたいと考えた。

彼らは、Jira(ジラ)、Jenkins(ジェンキンス)、GitHub(ギットハブ)などのエンジニアリングシステムに接続するための製品を作り始めた。これには、データ間の論理的な接続を行い、ダッシュボードで顧客に提供できるようなインテリジェンスレイヤーが含まれる。このシステムは、例えば、GitHubにサインインしているエンジニアとJiraにサインインしているエンジニアが同じであることを確認したり、複数のシステムにわたってエンジニアリングプロジェクトの履歴や動きをトレースしたりすることができる。

Faros AIエンジニアリングオペレーションのダッシュボード(画像クレジット:Faros AI)

彼らは一般的なツールにすぐに接続できる50以上のコネクタを構築したが、Faros社がネイティブにサポートしているかどうかにかかわらず、エンジニアリングチームがあらゆるシステムに接続できるように、このコネクタ技術をオープンソース化することを決めた。最終的に、Faros CE(Community Editionの略)と呼ばれる製品全体のオープンソース版を開発することも決定し、米国時間3月2日より、一般にダウンロードとインストールができるようにした。

そのエンタープライズ版は、完全にホストされたSaaS製品であり、セキュリティコントロール、ロールベースアクセス、Oktaなどのエンタープライズ認証システムとの接続など、企業顧客に求められる種類の追加機能が備わっている。この製品は現在、Box(ボックス)、Coursera(コーセラ)、GoFundMe(ゴーファンドミー)など、多くの顧客に利用されている。

Faros AIの従業員数は現在20名だが、2022年中に倍増する見込みだという。すでに男女比50%ずつの多様な経営陣がいて、より幅広く多様なチーム作りを目指している。ゴードン氏によると、多様性のあるチームだったSalesforce Einsteinチームのネットワークや、それ以前に働いていたLinkedIn(リンクトイン)での経験が、そのために役立っているという。

同社は今回、1600万ドル(約18億5000万円)のシードラウンドについても発表した。起ち上げ直後の2019年10月に、同社は最初の375万ドル(約4億3000万円)を受け取っている。投資家との間で取り決めたいくつかのマイルストーンを達成した後、さらに300万ドル(約3億5000万円)ほど受け取り、最近になって残りを獲得したという。この資金調達は、SignalFire(シグナルファイア)、Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)が主導し、複数の業界エンジェル投資家が参加した。

なお、Pinpoint(ピンポイント)やAcumen(アキュメン)など、他のスタートアップも同じ問題に取り組んでいることは注目に値するだろう。

画像クレジット:PeopleImages / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セールスフォース、D2CストリーミングメディアソリューションでAWSと提携

ストリーミングメディアサービスを運営するには、複雑な技術の組み合わせが必要で、大企業でも単独で管理するのは難しい場合がある。Salesforce(セールスフォース)とAWS(アマゾンウェブサービス)のメディア業界グループは、AWSのインフラソリューションとSalesforceのマーケティングおよび顧客管理ツールを組み合わせたソリューションを提供し、そのプロセスを簡素化する試みでタッグを組んだ。

Salesforceでメディアエンターテインメントとメディアクラウドを担当するVP兼GMのChristopher Dean(クリストファー・ディーン)氏によると、同氏のグループはSalesforceが2020年にVlocityを13億ドル(約1495億円)で買収した後に形成したインダストリークラウド部門に属する。VlocityはSalesforceの上に、メディアやエンターテインメントなど、いくつかの業界特化型バーティカルを構築した。

同社はメディア業界を成長させるにつれ、D2Cメディアストリーミングソリューションに対する市場ニーズが高まっていることに気づいた。ストリーミングの顧客向けにサブスクリプション、アップセル(より高額な商品の販売)、マーケティングを推進するためのツールを備えていたが、それを実行するためのインフラが不足していた。そこで、長年のパートナーであるAWSと連携することにした。

「Salesforceには、視聴者を魅了して獲得し、エンゲージを引き出し維持するためのエンド・ツー・エンドの購読者ライフサイクル機能があります。しかし、これを実現するために必要なメディアインジェスト、メディア配信のいずれも持っていなかったのです。そこで、この2つをくっつけると(私はこれをチョコレートとピーナッツバターの瞬間と呼んでいます)、実際とてもうまく機能し、エンド・ツー・エンドのソリューションができあがるのです」とディーン氏は語った。

画像クレジット:  Salesforce / Getty Images

Amazon Studiosの製品担当ディレクター、Eric Iverson(エリック・アイバーソン)氏は、AWSとSalesforceが話し合う中で、組み合わせたソリューションは大いに意味を成したと話す。「この2つのスタックは、かなり関連性の高い多くのことを行っているように思えました。何度も何度もカスタムメイドするのではなく一緒になり、必要なピースのすべてを積極的に組み合わせて、すぐに使えるソリューションにしてはどうか。それが我々自身に課したミッションのようなものでした」とアイバーソン氏は述べた。

提供を始めるにあたり、両社はメディアをビジネスとする商用ストリーミングサービスを、このようなソリューションのスイートスポットととらえているが、従来のメディア企業ではない企業がビジネスを拡大するためにストリーミングメディアに移行する傾向が強くなっている。SalesforceとAWSは、どちらの分野にも多くのチャンスがあると見ている。

「ほとんど瞬時に多くの市場機会があると思います。それは、メディアストリーミングを自社のビジネスとしてではなく、自社のビジネスを実現し強化するための手段の一部として提供したいと考えるあらゆるブランドに対して、とてもシンプルな方法でインフラサービス一式を提供するにはどうしたらいいか、ということです。これは、私たちにとって非常に大きなチャンスだと思います」とディーン氏は述べた。

Salesforceは2021年、Salesforce+というメディアサービスを開始した。これは、従来対面式のイベントで提供されていたコンテンツを、ビデオコンテンツとしてストリーミングするものだ。しかし、Salesforce+は現時点ではSalesforceとAWSのソリューション上で動作していないことに注意が必要だ。

ディーン氏によると、2社によるこのソリューションがあれば、単独でこのようなプロジェクトを管理するのに必要なエンジニアリングのリソースがない企業でも、D2Cビデオストリーミング機能を手にすることができ、そのニーズは大きいと2社は考えている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年の米企業ニューストップ5:ベゾス氏の退任、Salesforceの共同CEO就任など

消費者側と比べると、企業側の取材はなんだか退屈だという間違った印象を持たれがちだが、これまで数十年にわたってこの分野を追いかけてきた筆者からすると、これほど真実から遠く離れたものはないと断言できる。

理由の1つは、金額が大きいということだ。例えば、Oracle(オラクル)はCerner(サーナー)を280億ドル(約3兆2200億円)で買収すると米国時間12月20日に発表してヘルスケア業界を揺るがした。UiPath(ユーアイパス)は無名のスタートアップから、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の絶対的な存在にまで成長した。上場後に少し下落したが、2021年初めには350億ドル(約4兆円)のバリュエーションがついた。

策謀もある。例えば、アクティビスト投資家が、企業が通常なら好まないような動きを強いる試みや、2021年にBox(ボックス)で見られたような取締役会の主導権争いなどだ。

ドラマもある。100億ドル(約1兆1500億円)規模の国防総省のJEDIクラウド契約をめぐる、世界最大の企業向けクラウドインフラ企業同士の3年にわたる戦いがその例だ。この調達プロセスでは、訴訟、度重なる審査、大統領の干渉などあらゆることが起こった。

つまり、企業の話題は多い。が、つまらないだろうか。決してそんなことはないと思う。2021年も例外ではなかった。そこで、2021年の締めくくりに、企業を揺るがした5つのストーリーを紹介する。12カ月にわたるニュースを5大ストーリーに絞り込むのは難しいが、筆者が選んだのは以下の5つだ。

アマゾンのベゾス、ジャシー、セリプスキーのイス取りゲーム

2021年最大のニュースは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がCEOから退き、会長職に就くと決意したことだろう。Amazon(アマゾン)はeコマース企業で、必ずしも筆者の担当範囲ではなく、このこと自体は企業に大きな影響を与えるものではなかったが、その後に起こったことがある。

ベゾス氏が発表した2月のその日に、後任にAmazon Web Services(アマゾンウェブサービス)のCEO、Andy Jassy(アンディ・ジャシー)氏を選んだことも明らかになった。ジャシー氏は、Amazonのクラウドインフラ事業を巨大なビジネスに育て上げ、直近の四半期で年換算売上高640億ドル(約7兆3600億円)を突破させた人物だ。

ジャシー氏の後任探しは簡単ではなかったが、旧知の人間に目をつけ、Tableau(タブロー)のCEO、Adam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏を後任として雇った。同氏はAWSの創業時から2016年まで在籍していたが、Tableau移籍時に退職した。今は列車を走らせ続けることが仕事だ。同氏には勢いがあるが、競争はますます激しくなっている。セリプスキー氏のリーダーシップの下、2022年どうなるかは注目されるところだ。

Salesforceブレット・テイラー氏、絶好調の1週間

もう1つの話題は、Salesforce(セールスフォース)幹部のBret Taylor(ブレット・テイラー)氏が、11月末の同じ週に2つの大きなポジションを手に入れ同氏にとってかなり甘い1週間となったことだ。まず、Twitter(ツイッター)の取締役会長に就任した。それだけでは物足りなかったようで、Salesforceの共同CEOにも就任した。2016年に自身の会社であるQuip(クイップ)が7億5000万ドル(約860億円)でSalesforceに買収されて以来、同社で急速に出世した。

Twitterでは長年CEOを務めたJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が退任し、Parag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏が就任するという騒ぎがあった。その一方で、テイラー氏がCRM大手の共同CEOに就任したことは、企業という視点からは明らかにより大きなニュースだった。The Informationは、テイラー氏が引き続きSalesforceの共同創業者で会長兼共同CEOのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏に報告すると報じた。テイラー氏はこの昇進により、もし2021年初めのベゾス氏と同様にベニオフ氏が会長職に退くと決めれば、ベニオフ氏の後継者になる可能性が出てきた。2022年に考慮すべきもう1つのストーリーは、Salesforceが2016年に検討し、その後立ち消えになったTwitter買収を再検討するかどうかだ。

BoxとStarboard Valueの委任状争奪戦

Boxは、アクティビストファンドであるStarboard Value(スターボードバリュー)による取締役会乗っ取りの試みを退けた。この動きは、共同創業者でCEOのAaron Levie(アーロン・レビー)氏の解任、会社の売却、またはその両方をもたらす可能性が高いものだった。数カ月にわたるドラマは最高潮に達し、2021年の主要な企業ニュースとなった。

アクティビストファンドであるStarboard Valueは、2019年にクラウドコンテンツ管理会社であるBoxの株式を7.5%取得し、その後8.8%にまで増やし、同社に対しかなりの影響力をもつことになった。しばらくは静観していたが、2020年、意を決し、取締役会を引き継ぎたいとBoxに通告し、委任状争奪戦が繰り広げられた。

この間、BoxはKKRから5億ドル(約575億円)の出資を受け、Starboardをさらに怒らせた。また、Starboardの役員候補に対抗する文書をSECに提出し、議決権保有者が最新の業績を見ることができるよう決算報告を早めに発表した。幸運にも、同社はStarboardが動いた後、2四半期連続で好成績を収め、委任状争奪戦にあっさり勝利し、今のところ現状を維持している。2022年に何が起こるか。筆者が書いたように、おそらくBoxが大胆な行動を起こす時が来た。KKRの資金の一部を使って隣接する機能を買収するのではないか。

国防総省がJEDIを廃止し、新たなクラウド構想を発表

100億ドル(約1兆1500億円)の10年にわたるJEDIクラウド契約は、2018年に発表されたその日から、ドラマに満ちていた。その間、筆者は関連する記事を30本以上書いていたので、2021年ついに国防総省がそれを潰すと決めたときは、大きなニュースだった。

当初から、これまでの常識では、Amazonが勝つための契約だと言われてきた。RFP(事業者公募書類)がAmazonを意識して書かれているという不満もあったが、最終的に契約を獲得したのはMicrosoft(マイクロソフト)だった。だがAmazonは、前大統領がWashington Post(ワシントンポスト)紙のオーナーでもあるAmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏を個人的に嫌っていたため、調達プロセスに直接介入してきたとして、裁判に訴えた。また、Amazonは、実力では自社が勝つとも主張した。

Amazonは2020年2月、このプロジェクトを保留にするよう判事を説得することに成功した。プロジェクトが再開されることはなく、国防総省は7月に新しいプロジェクトに移行することを決めた。また、2018年から技術が変わったとし(これは事実)、新しい構想ではJEDIで追求した勝者総取り方式ではなく、マルチベンダー方式で進めることを賢明にも決定した。

DellがVMwareをスピンアウト

2015年にDell(デル)がEMCを670億ドル(約7兆7000億円、後に580億ドル[約6兆6700億円]に修正)で買収したとき、それはテック史上最大の取引であり、長年にわたって追いかけて書くべき、もう1つの凄い話だった。VMware(ヴィエムウェア)はこの取引で最も価値ある資産であったため、筆者のような企業記者たちは、Dellがそれをどうするつもりなのか、目を光らせていた。しかし、2021年の初め、Dellが90億ドル(約1兆350億円)規模のスピンアウトを発表し、大きな話題となった。

EMC買収による多額の影響がまだ帳簿に残っていることを考えると、少し小さい金額のような気もした。来年はどうなるのだろうか。Dellから解放されたVMwareをどこかが買収する可能性はあるのだろうか。Dellは依然として大株主であり、EMC買収にともなう負債残高もまだ多額にのぼるため、2022年には間違いなく注目される存在になるはずだ。

5つだけ選ぶのは難しい。どうしても価値あるストーリーを外してしまう。あなたなら何を選ぶだろうか。コメントで教えて欲しい。

画像クレジット:EschCollection / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

レブコムの音声解析AI電話MiiTel、Salesforceとの連携を強化する「MiiTel for Salesforce」提供開始

RevComm(レブコム)は12月23日、Salesforce AppExchange上において「MiiTel for Salesforce」を提供開始したと発表した。音声解析AI電話「MiiTel」とSalesforceの連携をより強固にするアプリケーションで、工数削減や架電振り返りに活用できるという。

MiiTelは、電話業務における会話の内容を自動録音・文字起こしにより可視化、AIにより解析し、高精度のフィードバックを行うことで業務効率化を実現できる音声解析AI電話サービス。電話営業やコンタクトセンター業務などにおいて商談の内容を振り返ったり、また別部門への伝達をスムーズに行えるようになるという。これを顧客関係管理システムであるSalesforceとの連携を強化するのが、MiiTel for Salesforceとなる。

MiiTel for Salesforceでは、MiiTelでの会話録音の再生や、応対評価や音声評価、音声認識結果をSalesforce上から確認できるようになる。MiiTel管理画面に遷移することなく内容を把握できるため、工数削減や架電振り返りに活用できるという。

「MiiTel for Salesforce」概要

  • MiiTelでの会話録音の再生:気になった録音をSalesforce上ですぐに確認することで、振り返りを迅速に行える
  • 応対評価・音声評価:Talk比率、沈黙回数、被り回数、ラリー回数、抑揚、話速といった指標をSalesforce上で確認可能。セルフコーチングを行いやすくした
  • 音声認識結果:音声認識結果をSalesforce上で確認することで、電話応対の可視性を高められる。会話の文字起こし結果をSalesforceの活動履歴上で確認でき、応対内容の社内共有を迅速に行える

 

人と人とのつながりを視覚化するConnect the DotsがシリーズAで17.1億円を調達

営業が常に求めているのは、見込み客との接触を上手く進める何かだ。ターゲット顧客に勤める人を知っている誰かに紹介してもらえれば、その顧客が関心をもってくれる可能性は高まる。

Salesforce(セールスフォース)の元幹部は、そうしたコネクションを簡単に見つけられるようにしたいと考え、Connect the Dots(コネクト・ザ・ドッツ)というスタートアップを立ち上げた。

仕組みはこうだ。登録すると、Connect the Dotsは手元にあるメールアドレスをすべてスキャンし、さまざまな企業とのつながりを探す。データを収集したら、相互に関連付ける。企業を指定すると、知り合いがいるかどうかがわかり、そのつながりの強さが3つの色がついた点で示される。すべて緑色であれば、それは確かなつながりであり、メールでの紹介をリクエストできる。

Salesforceの36番目の社員として1999年に入社したDrew Sechrist(ドリュー・シークリスト)氏は、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏の初期の営業チームにいた。Salesforceが何者で、ホステッドソフトウェアとは何なのかを、誰も知らなかった時代に、それらを売り込んでいた。同氏は、人脈が販売促進につながることを早くから認識していた。同氏はベニオフ氏を「ナンバーワンのアルファネットワーカー」と呼んだ。初めの頃は、ベニオフ氏のところに行けばいつも誰かを紹介してくれた。そうすればプレゼンが首尾よく運んだし、飛び込みに比べ、売れるチャンスもかなり高くなった。

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シークリスト氏は、電子メールが重要なコネクターになると考えている。「私たちには、人間関係を表す、延々と増える電子メールがあります。それをまとめて、価値あるものにする方法がなかっただけなのです。しかし、機械学習やその他の高度な技術により、データから価値を抽出し、誰が誰を知っているかを示す関係性をグラフに表せるようになりました」と説明する。

同氏は、LinkedIn(リンクトイン)も同じことができるように設計されていると認めるが、あまりにもノイズが多く、それゆえに信頼性に欠けるという。

「営業や採用担当者などがLinkedInで誰かに人の紹介を頼んでも、頼まれた側が実際にはその人をよく知らないということが続くため、疲れてしまうのです」。

そこでシークリスト氏は、もっと良い方法を開発したいと考えた。現在、Connect the Dotsでは、リクエストに応じてソーシャルグラフのベータ版を提供している。また、ソーシャルグラフを利用している人を知っていれば、Clubhouse(クラブハウス)方式でユーザーベース構築を始めることもできる。

同社は、500万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを使って製品を開発した。先にNorwest Venture Partnersがリードする1500万ドル(約17億1000万円)のラウンドを完了した。既存投資家であるCloud Apps Capital PartnersとVelvet Sea Venturesも参加した。これで累計調達額は2000万ドル(約22億8000万円)となった。

現在、同社の従業員は55名。本拠地はサンフランシスコだが、従業員は分散しており、セルビアには大きなエンジニアリングチームがある。シークリスト氏は現在、マイアミに住んでいる。同氏は、新たな資金で来年中にチームを倍増させる計画だ。

Salesforce出身の同氏は、最近チームにV2MOMを作らせた。この文書のアイデアはSalesforceから持ちこんだものだ。SalesforceによるとV2MOMとは「ビジョン、バリュー、ミッション、目標、手段を表すマネジメントプロセスとそれらの頭文字をとったもの」だという。

「ちょうどV2MOMを完成させたところです。先週、ヨーロッパと米国からメキシコに人を送りました。1週間かけて当社のコアバリューを定義しましたが、その1つが『インクルーシブ』です。私たちは、すべての人を受け入れることのできる会社と製品を作りたいと思っています」。

特に、従業員の大部分がセルビア人であることから、人種的な多様性を確保するのは難しいと認めている。それでも、来年には従業員数を2倍にする計画の下、多様性の確保に取り組んでいる。シークリスト氏の計画では、職場はこれからもほぼリモート環境のままだ。そのため、どこからでも人を集めることができるはずだ。

シークリスト氏は、パートナーシップのためのネットワーク企業であるCrossbeamと同様、ネットワークが「ネットワークのネットワーク」へと成長していけば、フライホイール効果が生まれ、多くの人々が製品を使い、製品の価値が高まっていくと期待している。2022年前半には、この製品を一般に販売したいと考えている。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

ブレット・テイラー氏がSalesforceの共同CEOに昇格

Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏はJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏と同じように取締役会会長に就任し第一線から退く準備ができているのではないかという憶測が以前からあった。そして噂では、Bret Taylor(ブレット・テイラー)氏が昇進するのではないかと言われていたが、ベニオフ氏はまだその準備ができていなかったようだ。テイラー氏は米国時間11月30日、Salesforce(セールスフォース)の共同CEOに昇格した。

社長兼最高執行責任者(COO)だったテイラー氏は、ベニオフ氏の直属ではなく、副会長兼共同CEOとしてベニオフ氏と一緒に働くことになった。2019年に157億ドル(約1兆7810億円)で買収したTableau(タブロー)や、2020年末にテイラー氏が陣頭指揮を執って277億ドル(約3兆1420億円)で買収したSlack(スラック)のような大型買収により近年大きく事業を拡大してきたSalesforceにとって、今回のテイラー氏の昇格は今後の運営に適した方法だとベニオフ氏は考えている。

カバーすべき領域はたくさんあり、1人ですべてを担うのはおそらく困難な仕事なのだろう。「私たちは新しい世界にいて、Salesforceは顧客にとってかつてないほど重要で戦略的な存在になっています。ブレットと私は、信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、すべての人への平等という共通の価値観を大切にしながら、ともにSalesforceを次の章へと導いていきます」とベニオフ氏は(当たり障りのない)声明を発表した。

さすがのテイラー氏も、ベニオフ氏と並んで食物連鎖の頂点に立つ機会を得たことに感謝しているようだ。「22年前に彼が共同設立した会社を率いるために、彼とパートナーを組むことは非常に名誉なことです。Salesforceの社員、開拓者、顧客、そして会社と世界をより良い場所にするためにサポートしてくださるすべての関係者に感謝しています」とテイラー氏は声明で述べた。

Salesforceが共同CEOの手法を取るのは、今回が初めてではない。以前、Keith Block(キース・ブロック)氏が2018年からその役割を担い、2020年に退任した。

初期のソーシャルネットワークであるFriendFeed(フレンドフィード)でCEOを務めていたこともあるテイラー氏は、2009年から2012年までFacebook(フェイスブック)でCTOを務めていた。同氏は、Salesforceが2016年にQuip(クイップ)を7億5000万ドル(約850億円)で買収した際にSalesforceに加わった。そして他の長年の幹部を飛び越して、すぐに昇進した。2019年には社長兼COOに昇進し、今日までベニオフ氏のすぐ下に付けていた。

11月30日にTwitter(ツイッター)の独立取締役会長にも就任したテイラー氏にとっては、なかなかの1週間のようだ。

画像クレジット:Salesforce

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

営業の「Salesforce疲れ」を解消、アップデート高速化ツールのWeflowがプレシード資金獲得

Salesforce(セールスフォース)のユーザーは、記録の更新にかかる時間に同じような不満を抱きがちだが、Weflow(ウィーフロウ)はこのような「Salesforce疲れ」を克服することを目指している。

ベルリンに本社を置くWeflowは、Salesforceの更新時間を短縮し、営業担当者の時間を奪うような忙しい仕事を減らすツールを開発している(まだプライベートベータ版だ)。

フォーチュン500社のうち83%の企業が営業の生産性向上のためにSalesforceを利用しているが、多くの営業担当者は営業以外の業務に時間の大半を費やしている

シリアルアントレプレナーのHenrik Basten(ヘンリック・バステン)氏とJanis Zech(ジャニス・ゼック)氏はFyber(ファイバー)でともに働き、収益チームを管理しながらこのことを身をもって体験した。彼らは、営業担当者がSalesforceの記録内の情報をすばやく追加してパイプラインを管理できるよう、Saleforceのデータベース上に構築された収益ワークスペースになるべく、2020年末にWeflowを立ち上げた。

「パイプライン管理のためのAsanaのようなソリューションを作りたいと人々は考えています」とCEOのゼック氏はTechCrunchに語った。「しかし、Salesforceはオープンなエコシステムで、その上に構築することができます。私たちは、営業担当者がパイプラインに入り、30ものタブを開いてメモを散らかしているのを観察しました。もし営業担当者が楽しんで使っていないのであれば、アップデートしやすい、よりモダンな体験を作ろうと考えていました」。

Weflowのパイプラインテーブル(画像クレジット:Weflow)

その仕組みはこうだ。ユーザーはSalesforceアカウントにサインアップしてパイプラインにアクセスし、数回クリックするだけで案件、タスク、メモ、アクティビティを更新することができる。すべてのデータはSalesforceに残る。営業担当者は通常、週に1回、2〜3時間かけてこの作業を行うが、Weflowを使えば20分に短縮できるとゼック氏は見込んでいる。

さらに同社は、Salesforce用に作られたモダンなメモ帳を作成し、ユーザーがテンプレートを構築することで、営業担当者が同じ質問をし、同じフィールドに書き込むことができるようにした。また、タスクマネージャーも用意されている。

そして米国時間11月12日、Weflowはそのツールを一般公開するために、Cherry Venturesがリードしたプレシードで270万ドル(約3億円)を調達したことを発表した。Christian Reber(クリスチャン・レバー)氏、Sascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Chris Schagen(クリス・シャゲン)氏、Alexander Ljung(アレクサンダー・ユング)氏、Eric Quidenus-Wahlforss(エリック・キデナス・ウォルフォルス)氏、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Cherry VenturesのパートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、創業者たちとはFyberの頃からの知り合いで、Weflowの話を持ちかけられたとき「この旅のサポートができてうれしかった」と話した。

デイムス氏は、Weflowのポートフォリオを見渡したとき、ほとんどのスタートアップが営業から始まっていて、営業ツールが「高価で不便」な場合は特に、そのプロセスを強化することは困難であることを指摘した。

そして「Salesforceの上に何かを構築することができれば、会社がどのような方向に進むことができるか、広いキャンバスが広がります」と付け加えた。「ジャニスとヘンリックは、ベンチャー企業のリターンを生み出すのに十分な大きさの分野で、ミッションを遂行しています。Salesforceは200億ドル(約2兆2780億円)の売上を上げており、それによって多くの新しいビジネスが生み出されています。インターフェイスを、これまで以上に使うのが楽しいものにすることで、顧客との時間をより長くとることができます」。

バステン氏とゼック氏はここ数カ月で10人のチームを結成した。現在、15社の共同開発パートナーが製品を試用中で、毎週数社ずつ追加されている。ゼック氏によると、この製品は来年初めに展開される見込みだ。

今回調達した資金は、マーケティングと製品開発への投資に充てる。Weflowは製品主導型で、ゆくゆくは無料版を提供する予定だとゼック氏は付け加えた。

「Salesforceについて誰と話しても、この問題は非常によく理解されています。ですので、私たちはこの問題を解決することに関心があり、良い出発点を持っているため、みんなを助けたいと思っています」とゼック氏は話した。

画像クレジット:Weflow / Henrik Basten and Janis Zech

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slackでセールスと他部署のコラボを自動化するMomentumが約5.7億円調達

営業(セールス)という仕事は、いろいろなところからデータが入ってくるし関係者の数も多いため、混沌とした状態になりがちだ。2020年、Salesforceが270億ドル(約3兆845億円)でSalesforceがSlackを買収したのも、それが人やデータを整理してまとめる接着剤になると考えたからだ。アーリーステージのスタートアップMomentumは、そうした関係を利用して、営業と会社の他の部分とのコラボレーションを自動化するレイヤーを作りたいと考えている。。

同社は米国時間11月10日、Basis Set Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。これにはInovia CapitalやLeadout Capital、South Park Commons、そして業界のエンジェルたちが参加した。

MomentumのCEOで共同創業者のSantiago Suarez Ordoñez(サンティアゴ・スアレス・オルドニェス)氏によると、同社は当初、Slackを利用した商談室を作りたいと考えていたが、SalesforceがSlackを統合する最初の段階で作ってしまったため、また違う課題に取り組もうと決めた。

「おもしろく、しかもSalesforceにできることとは違うことをやるには、最初に考えた商談室とコラボレーションというアイデアにもっと固執してみるべきだ、と私は考えました。そしてだんだんわかってきたのは、コラボレーションと営業は奥が深いということです」とスアレス・オルドニェス氏は語る。

彼によると、企業のトップが認識しているのは、営業の人たちはSlackとSalesforce以外のものにも接続する必要があることです。たとえば彼らはGoogleカレンダーやAsanaやJiraなどのツールに接続して1つの場所からフォローアップを自動化したいと考えている。

「Momentumは当初の構想から変更して、上記のような一連の仕事を効率化するプラットフォームになりました。Jiraへ行ってセキュリティチームのためのチケットを提出するやり方を知るのではなく、Momentumへ行って手を挙げ、単純に『セキュリティレビューが必要なんだ』といえばいい。そしてMomentumは、行き先を見つけたり、チケットを作ったり、その営業のためのチケットの中にある商談に関するすべての状況を共有したり、営業は現時点では何もすることがない、といったこともコードにしている」とスアレス・オルドニェス氏はいう。

彼によると、商談室の機能はまだ存在しながらも、タスク駆動型の機能もある。計画では、このことをベースとしてSlackの中に同じく自動化されたワークフローの完全なプラットフォームを作る。例えば割引率の承認を得たり、営業のための支援を技術の部門に求めるといったワークフローだ。

同社は8月にシードラウンドを終えた後、14人目の従業員を迎えた。同社の創業メンバーはダイバーシティに富んでおり、COOのAshley Wilson(アシュリー・ウィルソン)氏はCEOであるスアレス・オルドニェス氏の妻、それにCTOのMoiz Virani(モイズ・ビラーニ)氏なども含め、同社はチームのダイバーシティに極力気を遣っている。

「ダイバーシティとインクルージョンについては、上からも指示されている。投資家のうち1社は、投資条件にそれを含めている。同社を投資家に迎えるためには、それに従わざるをえなかった」とスアレス・オルドニェス氏。まだ初期である現時点でも取締役会の半分は女性であり、またラウンドに参加した投資家のパートナー3名のうち2人は女性だ。

同社はパンデミック中の2020年にローンチした。「最高にクレージーなのは、そのときすでに社員は6名いたし、顧客もいました。数百万ドル(数億円)を調達していました。それで、本社はどこだったかというと、自分の家のキッチンテーブルだったんだ。ひどいもんだね」とスアレス・オルドニェス氏は回想している。

現在、同社は共有スペースも利用しているが、キッチンのテーブルのようにみんなが一緒にいる方が実感があると彼はいう。「半年前にはリモートもやったけど、みんなが一緒にいないと、どうも仕事の実感がないね」。

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画像クレジット:Visual Generation/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

検索エンジンをよりユーザー中心なものに再構築するYou.comが約22億円のシードを獲得

元SalesforceチーフサイエンティストであるRichard Socher(リチャード・ソッハー)氏と、同氏のYou.com共同設立者たちは2020年来、これまでとは異なるタイプの検索エンジンを構築するというミッションに取り組んできた。そして米国時間11月9日、You.comはパブリックベータ版を公開するとともに、2000万ドル(約22億円)という多額のシード投資を発表した。

この新しい検索エンジンは、そこらにある検索エンジンに見られるような、縦にスクロールする検索結果のセットは使用しない。ソッハー氏とチームは、思い込みを捨て、まったく新しいものを考え出したかった。

「デザインは実際に何度も繰り返し行われました。私たちは初心者のような考え方で、検索に革新をもたらそうとしました。ある意味ではクレイジーなことですが、縦型リストでは(広告のような)他のものがどんどん散らばってしまい、20年間変わっていませんでした」とソッハー氏は筆者に語った。

You.comのチームはこの状況を打破するために、まったく違うものを作った。まず、検索結果のページは、Medium、Yelp、Redditといったさまざまなアプリにリンクされている。それらのアプリの重要度をカスタマイズすることも、特定のアプリをまったく使わないようにすることも、思いのままだ。

検索結果は、ウェブ検索結果のカテゴリーとともに、アプリ別のカテゴリーで表示され、左から右にスクロールすると、特定のアプリやカテゴリーの検索結果を見ることができるようになっている。さらに、実際に新しいタブを開かなくても、ビデオやコードスニペットなどの結果を見ることができ、タブのオーバーロードを減らしつつ時間とキー入力を節約すことができる。

気に入った検索結果があれば、それを上位に移動させられる。そうしたことをYou.comは記憶し、次回はユーザーがもっと気に入るような検索結果を提示する。

You.comで検索したサンクスギビングの添え物料理(画像クレジット:You.com)

創業者らがYou.comという名称を選んだのは、ユーザーとしてのあなたが検索エンジンに何を求めているかを表しているからだ、とソッハー氏は話す。「我々はこの名称に忠実です。それはあなたのことです。だから、あなたはここで、『もっとRedditを見たい』とか『Redditをさほど見たくない』とか選ぶことができるのです」と説明した。

近くのタイ料理店を探しているときのように、Redditからの検索結果を表示することに意味がない場合は、代わりにYelpの検索結果がトップに表示される。Yelpの検索結果が気に入らなければ、単にウェブの検索結果を表示することもできるが、このようにカスタマイズできることで、表示される検索結果にかなりの柔軟性とコントロールが生まれる。

特にニュースソースを選ぶとき、このレベルのカスタマイズによって結果が一面的になりすぎるのではないかと懸念するかもしれないが、目立たせたくない項目は消えてしまうのではなく、結果のリストの下に移動するだけだ。カスタマイズ機能を気にしないのであれば、検索エンジンに結果を表示させることもできる。

You.comはまず、開発者やプライバシーを意識したユーザーに焦点を当てている。ソッハー氏らはショッピングを主要ユースケースとして考えていたが、テストの結果、小売業者の製品カタログにリンクした場合、検索結果が実際にはカタログのページであるにもかかわらず、初期ユーザーは広告だと思ってしまうことがわかった。そこで、他のユースケースを検討することにした。

開発者は、コードスニペットのようなものを検索することができる。スニペットのセットを水平方向にすばやくスクロールし、何かを見つけてコピー&ペーストすると、Googleや、DuckDuckGoのようなプライバシーを重視した検索エンジンよりもはるかに早く作業を終えることができる。

プライバシーを気にする人のために、ソッハー氏が「真のシークレットモード」と呼ぶ機能では、IPアドレスを含むあなたに関するすべての情報が隠された状態にすることができる。この検索エンジンは、シークレットモードへの出入りが簡単にできるように設計されており、レストランを探すのに位置情報をオンにする必要がある場合は、プライバシーモードをオフにして、すぐにオンに戻すことができる。

収益化については、ユーザーのデータを第三者に売らないことを誓っているが、今は単にデザインを落ち着かせてユーザー数を増やすことを目指している。ソッハー氏は、収益化は後回しにすると話す。おそらく、いずれ広告が表示されることになるだろうが、その際には検索結果とユーザーを結びつけることなく、また検索結果があちこち散らばることがないようにするという。

例えば、空気清浄機を検索すると、その広告が表示されるかもしれないが、その広告を出している企業は、現在展開されているほとんどのオンライン広告と同様、ユーザーのデータに直接アクセスすることはない。もちろん詳細は不明だが、ソッハー氏はそのように説明する。

同社はまた、2000万ドルのシード投資を発表した。これは、ソッハー氏の元上司であるMarc Beniof(マーク・ベニオフ)氏のプライベート・ベンチャー・ファンドであるTime Venturesが主導したもので、Breyer Capital、Sound Ventures、Day One Ventures、そして業界のエンジェル投資家たちが参加した。

これまで、この検索エンジンは数千人のユーザーを対象としたプライベートベータ版だったが、11月9日からは誰でも試すことができる。Chromeを使っている人は拡張機能をダウンロードできる。

画像クレジット:you.com

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tableauが自然言語で質問してSlack内でデータのクエリができる統合機能を発表

組織全体にわたって多くの人がデータをもっと利用しやすくすることを目指すTableauが、米国時間11月9日の#Data21カスタマーカンファレンスで、自然言語で質問するとSlack内でデータのクエリができる機能を発表する。これは、Slackとのこれまでの統合をさらに発展させるものだ。

最高製品責任者のFrancois Ajenstat(フランソワ・アジェンスタッド)氏は米国時間11月8日、カンファレンスに先立って開催されたプレス対象のイベントで、この新たな統合によりTableauのデータのフルパワーをSlackで利用し、さまざまな方法で共同作業ができると述べた。注目しているデータが変化したときにアラートを受信し、しかもアプリを切り替えることなくSlack内でデータを扱える。

同氏は「Slackがデータについて問い合わせをする場にもなるので、1つのインターフェイス上ですべてのコンテンツが見つかります。Slackを離れる必要はありません。Tableauのリポジトリ全体を検索できます。すべてのダッシュボード、すべてのデータソースをSlackで利用できるのです」と説明した。

重要なのはデータのクエリができることだ。同氏は「見たいものを見つけたらすぐに質問(の入力)を開始できます。この場合、Tableauの自然言語クエリインターフェイスである『Ask Data』を用いて、自然言語で質問します。本当に簡単で誰にとっても使いやすいものです」と述べた。

Amalgam InsightsのCEOでチーフアナリストのHyoun Park(パク・ヒョウン)氏は、実はこの統合は以前にTableauが発表したAsk DataやExplain Dataなどの機能をベースにしていると述べている。同氏は、こうした機能、特にクエリの機能によって、これまではデータを深く扱うことがなかった人々にもデータ分析の扉が開かれると考えている。

パク氏は筆者に対し「自然言語を使う分析ソリューションとSlackの統合にはThoughtSpotなどがありました。しかしSlackとTableauを簡単に連動し、自然言語で幅広い分析ツールを利用できる機能はこれまでで最大級のニュースで、データのスキルを身につけているわけではない多くの人々がTableauの分析結果を深く検討できるようになります」と語った。

同氏は、Tableauのこのようなアプローチはデータを広く活用できるようにするだけでなく、本質的にはSlackをTableauのコアプロダクトのユーザーインターフェイスにするものだと述べ、この機能はTableauでSalaeforceのAIエンジンを活用するためのEinstein Discovery for Tableauもベースになっていると指摘した。

TableauはEinsteinの機能について「仕事の流れの中で予測をするものです。ビジネスパーソンは重要度の高いデータに対してAI予測を実行し、主な要因を特定して次のアクションを提案するインテリジェントな予測を得ることができます」としている。

Salesforceは2019年に157億ドル(約1兆7700億円)でTableauを買収し、2020年末には270億ドル(約3兆480億円)でSlackを買収した。このような巨額な買収をしたとあってSalesforceが高価な買い物をうまく組み合わせようとするのは当然で、今回の発表はSalesforceプラットフォーム全体のさまざまなところでSlackをインターフェイスにしようとする取り組みの1つだ。

Salesforceは2021年8月にSalesforce製品ファミリーとSlackの初の統合を発表し、Slackは同年9月にさらに別の統合を発表していた。

画像クレジット:Tableau

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

マーク&リン・ベニオフ夫妻とSalesforceが気候変動対策で約340億円を寄付

Marc and Lynne Benioff(マーク&リン・ベニオフ)夫妻は米国10月28日、気候変動対策と他の人々に行動を促すために2億ドル(約227億円)を寄付すると発表した。マーク・ベニオフ氏の会社であるSalesforce(セールスフォース)がさらに1億ドル(約113億円)を追加し、寄付は計3億ドル(約340億円)だ。

ベニオフ夫妻の寄付金は2つに分けられる。1億ドルは「Benioff Time Tree Fund(ベニオフ・タイム・ツリー基金」に、残りの1億ドルは夫妻のベンチャー企業である「タイム・ベンチャーズ」に寄付され、気候変動に対処する製品やサービスを開発している有望な新興企業に投資される。

「Benioff Time Tree Fundは、新興国や発展途上国において、最もリスクの高いコミュニティや自然生態系への気候変動の影響を軽減するために、先住民族やコミュニティに根ざした森林管理に焦点を当てます」と同基金は声明で述べた。

マーク・ベニオフ氏は、気候変動に立ち向かうためには、さまざまな構成員が一致団結して努力することが必要であり、植林活動はそのための大きな要素だと話す。

「すべての政府、企業、個人が地球の保護と保全を優先すれば、気候変動の阻止に成功することができます。私たちは100ギガトンの二酸化炭素を分離しなければなりませんが、それを実現するためには森林再生が不可欠です」と述べた。

さらにTime Venturesの方では、エコに特化したスタートアップ企業に1億ドルを投資する計画だ。これは、夫妻の会社が2014年以降、DroneSeed、Loam Bio、Mango Materialsなどの企業に投資してきた1億ドルに上乗せされる。

Salesforceは、すでにネットゼロ(温室効果ガス実質ゼロ)を達成したことを表明しており、9月に開催された同社の顧客向けカンファレンス「Dreamforce」では、2021年3000万本の木を育てるというコミットメントを発表している。この追加の1億ドルは、生態系の修復や気候変動対策などの分野で活動する非営利団体を支援するための今後10年間の助成金など、いくつかの取り組みに分配される。さらに、気候変動対策に取り組んでいる団体に技術を提供し、250万時間のボランティア活動を行うことを計画している。

関連記事:Salesforceがバリューチェーン全体での温室効果ガス実質ゼロを達成

Salesforceのチーフ・インパクト・オフィサーであるSuzanne DiBianca(スザンヌ・ディビアンカ)氏は、ネットゼロの達成に向けた同社の活動は第一歩だが、今回の追加資金は他の団体を支援することを目的としていると話す。

「私たちは、気候変動対策を加速させるために活動している人々に力を与え、気候変動による影響を最も受けている人々を支援したいと考えています。二酸化炭素排出量を削減し、より健康的で回復力のあるネットゼロの世界を実現するためには、大胆かつ緊急の行動が必要です」と述べた。

同社は、再生可能エネルギーの使用と、それが不可能な場合はカーボンオフセットの購入を組み合わせてネットゼロを達成している。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルのビジネスインテリジェンスサービスLookerがライバルTableauと連携

2019年にGoogle(グーグル)はビジネスインテリジェンスサービスのLooker(ルッカー)を26億ドル(約2950億ドル)で買収した。Salesforce(セールスフォース)はTableau(タブロー)を157億ドル(約1兆7800億円)で買収した。米国時間10月12日、新たな統合によってライバルである2つのプロダクトの距離が縮まった。具体的には、TableauユーザーはまもなくLookerのセマンティックレイヤーにアクセスできるようになり、GoogleのLookerユーザーはまもなくLookerプラットフォーム上でTableauの視覚化レイヤーを利用できるようになる。

関連記事:Googleがデータ分析スタートアップのLookerを約2860億円で買収完了

一見するとありそうもない連携のようだが、ある意味、この連携により両方のサービスがそれぞれの強みを活かせるようになる。Tableauの高度な視覚化機能はこれまでずっとユーザーをひきつけてきたが、Lookerとは違ってデスクトップで生まれたプロダクトであり、同社のあらゆる努力にもかかわらずデスクトップとクラウドの分断がいまだに見られる。一方のLookerはクラウド生まれだがSQLを書けるようなテクニカルなユーザー向けのプロダクトで、ビジネスユーザーがデータを分析できるようにすることを目指すTableauとは異なる。こうしたことが、買収の時点では多くの意味でTableauやLookerがそれぞれの買収元と良い組み合わせだった理由でもある。

Googleのデータベース、アナリティクス、Looker担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのGerrit Kazmaier(ゲリット・カッツマイヤー)氏は「シンプルさを求めてデータに取り組む人はすべてGoogleのパートナーであると考えています。我々はDatabricks(データブリックス)とも連携しています。我々が最終的に妥当な問題全般を解決すれば、誰にとっても利益があります。そしてGoogleのすばらしいパートナーであるTableauのような企業もデータをもっとシンプルに扱うことに取り組んでいるなら、それはコラボレーションの本当に優れた基盤です」と述べた。

同氏はLookerのセマンティックモデルによってテーブルの柔軟性が大幅に増し、Tableauによってユーザーは視覚化とストーリーテリングに関してデータを民主化するツールをたくさん手にすることができると説明した。そう考えると2社がすでに多くの顧客を共有していることは、おそらく驚きではないだろう。「お客様がLookerMLに対してTableauを使えたらどれほど便利だろうと我々は考えました。つまり何度もコピーしたりするような複雑なことは必要なくなります。一方Looker側については、TableauをLookerに接続できればLookerのお客様にとってどれほど便利でしょうか。ほんとうに、大いに役に立つと我々は考えたのです」(同氏)。

カッツマイヤー氏は、最終的に重要なのはカスタマーエクスペリエンスであり、サービスが顧客にとってどのように価値を生み出すかであると語る。「自社だけが成功しようとし始めた企業は例外なく困難に直面すると私は思います」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Salesforceがバリューチェーン全体での温室効果ガス実質ゼロを達成

Salesforce(セールスフォース)はこれまで頻繁に、責任ある資本主義を説き、勧めてきた。そして同社は米国時間9月21日、年次開催の顧客向けイベントDreamforceでグローバル気候変動に対する取り組みでの顕著な成果を発表した。100%再生可能エネルギーで全バリューチェーンでのネットゼロ(温室効果ガス実質ゼロ)エネルギー使用を成し遂げ、それが可能でないときはカーボン相殺を購入している、と同社は述べた。

と同時に、同社は組織の気候変動の取り組みを管理するために組織に販売しているプロダクトSustainability Cloudのアップデートも発表した。このプロダクトでは組織は責任を果たしながらも資本主義者でいられる。米国時間9月20日のDreamforce Pressイベントに登壇した同社の最高影響責任者で企業関係担当EVPであるSuzanne DiBianca(スザンヌ・ディビアンカ)氏は、ポジティブなクライメートアクションを取る大企業の例となっていることを誇りに思っていると話す。

「今日ネットゼロ企業であるという当社のクライメートアクションの約束についてとても興奮しています。これは2030年でも2040年でもなく、未来のことでもありません。取り組みを加速させなければならないことは承知していて、スコープ1、2、3の全バリューチェーンを含め、当社は現在ネットゼロです。これを達成した企業は極めて少数です」とディビアンカ氏は述べた。

持続可能性に関する多くの専門用語があり、TechCrunchはより深く理解するためにSustainability CloudのGMであるAri Alexander(アリ・アレクサンダー)氏に話を聞いた。持続可能性のコミュニティは、スコープ1、スコープ2、スコープ3として知られる3つの主要エリアでの企業のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を測定する、とアレクサンダー氏は説明した。「スコープ1とスコープ2はあなたが所有するもの、動かすもの、コントロールするもの、そして事業を展開するためにどのエネルギーを調達するかです」と同氏は述べた。

スコープ3は業界用語で「バリューチェーンの上流と下流」と言及され、あなたの会社が関わるものすべてだ。「企業が責任を負っているエミッションの圧倒的大部分は実際には企業の直接的な業務のものではなく、商品やサービスを調達する上流のものです。あるいは他の産業ではそのプロダクトや寿命を迎えた製品を使用する下流のものです」と説明した。あなたが新しいスマホを入手するときに下取りに出すスマホに起こることが、下流の例として挙げられる。

なので、Salesforceがバリューチェーンの上流と下流もネットゼロだというとき、そこには同社がコントロールするものすべて、そして同社が事業を展開する上で関わる全企業が含まれる。Salesforceのコントロール外のところで多くの変数があるため、パートナーやベンダーが同社が定める基準を遵守していることを確認できなければ「高品質なカーボンオフセット」と呼ぶものを購入する、とアレクサンダー氏は話す。

「また、すぐに対応できないところでも、完全にネットゼロでいられるよう、その不足分を埋め合わせるために当社は高品質なカーボンオフセットを購入します。その一方で、当社はサプライチェーンにわたって絶対的なゼロへと削減するという真に重要な取り組みを今後も続けます」と述べた。

加えて同社は他企業に販売するために開発した商業ツールSustainability Cloudのアップデートを発表した。これはSalesforceが自社で使っているのと同じツールとテクノロジーだ。

「持続可能性は、あるといいものから、実際に事業変革そのものの核心へと変わりつつあります。我々が生きているこの時代の趨勢の1つであり、毎年指数関数的に成長しています。そしてそれが意味するものは、企業は気候危機に対応するためにかなりのリソースを動かしており、持続可能性を事業運営の中心に据えつつあるということです」とアレクサンダー氏は述べた。

同時に、同社はより持続可能な組織になるためのSalesforce Climate Action Planという独自の計画に基づく取り組みの詳細も公開した。この計画はオンラインで無料で閲覧できる。

同社はまた、植林の目標を2021年3000万本に増やす。植林の取り組みには他の企業も参加しており、10年で1億本を植林して育成・保全することを目標に掲げ、早く達成できるよう強力に推進している。

Dreamforceプレスイベントに登場したSalesforceの社長兼COOのBret Taylor(ブレット・テイラー)氏は、気候危機はあらゆる人に影響を及ぼしていて、Salesforceが他の組織のお手本になるよう取り組みつつ、自社の行いで意義ある影響を及ぼすことができると確信している、と述べた。

「我々は事業が変化のための最善のプラットフォームであると考えていることを認識するために、またあらゆる組織が信頼される企業になり、気候変動のような危機を解決するよう、刺激を与えるビジョンを描くためにDreamforceにいます」とテイラー氏は話した。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slackがビデオツール「Clips」をリリースし、Salesforceとの16もの統合を発表

Slack(スラック)」は以前から、テキストベースのメッセージングのさらに先へ拡張することについて話してきていた。今週開催されているSalesforce(セールスフォース)のカスタマーカンファレンス「Dreamforce(ドリームフォース)」において、Slackは本日(米国時間9月21日)、人々が気軽に見ることができる短いビデオメッセージを送れる新機能「Clips(クリップス)」を発表した。

SlackのCEOであるStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は、「Clips」を、会議時間30分も必要としない同僚とのコミュニケーションの手段と考えている。その代わりに、短いビデオで近況を知らせることができる。「Clipsは、自分自身をスクリーン上に記録する方法です。多くの会議が、リアルタイムで一緒にいる必要はないはずです」と、昨日のDreamforceプレスイベントでバターフィールド氏は述べている。

バターフィールド氏は、「ビデオクリップは、情報を得るために実際に会議に参加しなくても、普段会議でシェアされていたような情報を得ることができるので、一層価値があります」と付け加えた。さらに、このビデオは、アーカイブのために活動の監査証跡を作成するという。

「出席していない人でも、最新情報を簡単に共有することができます。アーカイブに保存されているので、過去にさかのぼって質問の答えを探したり、意思決定に至った背景を辿ったりすることもできます」と述べている。注目すべきは、Slackがこのアイデアを最初に紹介したのは昨年10月で、昨年3月にアーリーカスタマーベータ版を発表したが、その時点ではまだ名前すらつけていなかったということだ。

有効に使うためには働き方を見直す必要があり、組織によってはそれが難しい場合もあると認めた上で、従業員がより少ないミーティングでより多くの仕事ができるようになるという価値提案が、最終的には人々や組織を動かし、いずれ働き方に取り入れられるようになると信じている。

Clipsは、今年初めにリリースされたHuddles(ハドル)というツールをベースにしている。Huddlesは、オーディオを介して、偶発的で気軽な会話を促すためのツールで、数分間だけ集まってその場で問題を解決し、仕事に戻ることができれば、一般的な会議の必要性を減らすことができる。バターフィールド氏は、Slackを立ち上げて以来、新しい機能の中でHuddlesが最も早く採用されたと語っている。

3月には、SignalFire(シグナルファイヤー)の投資家であるJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)氏(元TechCrunchの記者でもある)とのClubhouse(クラブハウス)インタビューの中で、バターフィールド氏は、同社がビジネス向けのClubhouseツールにも取り組んでいると述べた。しかし今週、そのようなツールを発表することはなかった。

同社はまた、Salesforceプラットフォーム全体にまたがる16の統合を発表した。この中には、今月初めに発表された営業に特化したディールルームや、スウォームと呼ばれるカスタマーサポートのインシデント対応のほか、Mulesoft(ミュールソフト)やTableau(テーブル)を含むSalesforce製品群の他のツールとの新たな接続や、銀行、ライフサイエンス、フィランソロピー(慈善活動)などの業界に特化した統合などが含まれているという。

忘れてしまった方のために触れておくと、Salesforceは昨年末、約280億ドル(約3兆600億円)の巨額取引でSlackを買収した。現在はCRM大企業の一員として、買収前のプラットフォームとプロダクトロードマップを継続しながら、Salesforceプラットフォーム全体の統合を構築している。

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Slackがビデオツール「Clips」をリリースし、Salesforceとの16もの統合を発表

Slack(スラック)」は以前から、テキストベースのメッセージングのさらに先へ拡張することについて話してきていた。今週開催されているSalesforce(セールスフォース)のカスタマーカンファレンス「Dreamforce(ドリームフォース)」において、Slackは本日(米国時間9月21日)、人々が気軽に見ることができる短いビデオメッセージを送れる新機能「Clips(クリップス)」を発表した。

SlackのCEOであるStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は、「Clips」を、会議時間30分も必要としない同僚とのコミュニケーションの手段と考えている。その代わりに、短いビデオで近況を知らせることができる。「Clipsは、自分自身をスクリーン上に記録する方法です。多くの会議が、リアルタイムで一緒にいる必要はないはずです」と、昨日のDreamforceプレスイベントでバターフィールド氏は述べている。

バターフィールド氏は、「ビデオクリップは、情報を得るために実際に会議に参加しなくても、普段会議でシェアされていたような情報を得ることができるので、一層価値があります」と付け加えた。さらに、このビデオは、アーカイブのために活動の監査証跡を作成するという。

「出席していない人でも、最新情報を簡単に共有することができます。アーカイブに保存されているので、過去にさかのぼって質問の答えを探したり、意思決定に至った背景を辿ったりすることもできます」と述べている。注目すべきは、Slackがこのアイデアを最初に紹介したのは昨年10月で、昨年3月にアーリーカスタマーベータ版を発表したが、その時点ではまだ名前すらつけていなかったということだ。

有効に使うためには働き方を見直す必要があり、組織によってはそれが難しい場合もあると認めた上で、従業員がより少ないミーティングでより多くの仕事ができるようになるという価値提案が、最終的には人々や組織を動かし、いずれ働き方に取り入れられるようになると信じている。

Clipsは、今年初めにリリースされたHuddles(ハドル)というツールをベースにしている。Huddlesは、オーディオを介して、偶発的で気軽な会話を促すためのツールで、数分間だけ集まってその場で問題を解決し、仕事に戻ることができれば、一般的な会議の必要性を減らすことができる。バターフィールド氏は、Slackを立ち上げて以来、新しい機能の中でHuddlesが最も早く採用されたと語っている。

3月には、SignalFire(シグナルファイヤー)の投資家であるJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)氏(元TechCrunchの記者でもある)とのClubhouse(クラブハウス)インタビューの中で、バターフィールド氏は、同社がビジネス向けのClubhouseツールにも取り組んでいると述べた。しかし今週、そのようなツールを発表することはなかった。

同社はまた、Salesforceプラットフォーム全体にまたがる16の統合を発表した。この中には、今月初めに発表された営業に特化したディールルームや、スウォームと呼ばれるカスタマーサポートのインシデント対応のほか、Mulesoft(ミュールソフト)やTableau(テーブル)を含むSalesforce製品群の他のツールとの新たな接続や、銀行、ライフサイエンス、フィランソロピー(慈善活動)などの業界に特化した統合などが含まれているという。

忘れてしまった方のために触れておくと、Salesforceは昨年末、約280億ドル(約3兆600億円)の巨額取引でSlackを買収した。現在はCRM大企業の一員として、買収前のプラットフォームとプロダクトロードマップを継続しながら、Salesforceプラットフォーム全体の統合を構築している。

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Salesforceがインドの決済ユニコーンRazorpayに投資、世界2位のネット市場インドへの戦略的投資続く

2021年4月の資金調達ラウンドでの評価額が30億ドル(約3285億円)だったベンガルールを拠点とする創業6年のフィンテックRazorpay(レーザーペイ)は、またも著名投資家を獲得した。Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)だ。

Razorpayは米国時間9月20日、米大企業Salesforceのベンチャー部門から「戦略的出資」を受けたと明らかにした。資金は「ビジネス取引向けの銀行業務分野でプレゼンスをさらに高める」のに役立つ、とRazorpayは述べた。

Razorpay、Salesforce Venturesいずれも出資の規模は明らかにしなかったが、Sequoia Capital Indiaの支援を受けているRazorpayは、今回の取引が「業界に効果的に貢献し、今後12カ月で十分なサービスが提供されていない零細事業者にサービスの浸透と経済成長をもたらす」と話した。

Razorpayは零細事業者や企業やのためにオンラインでお金を受け取ったり処理したり、支払ったりしている。つまり、Stripe(ストライプ)が米国やその他いくつかの先進国マーケットで行っているすべてのことを引き受けている。しかしRazorpayはそれ以上のものを提供している。同社は近年、法人クレジットカードを発行するためにネオバンキングプラットフォームを立ち上げた。また、事業運転資金も提供している。

世界の大企業Stripeがまだインドに進出していない中で、Razorpayは業界リーダーになるまでに成長し、東南アジアマーケットへ事業を拡大し始めた。

「Razorpayは、インドのデジタルの未来に投資し、新世界のために賢い決済・バンキングインフラを構築するというアイデアをさらに前進させたいと考えています。Salesforce Ventures、Salesforceとインドでさらに広範に提携することをうれしく思います」とRazorpaymp共同創業者でCEOのHarshil Mathur(ハーシル・メイサー)氏は述べた。

「この資金は、既存投資家からのサポートとともに、手間要らずで統合が簡単な決済・バンキングエクスペリエンスのためのエコシステムを構築するのに役立ちます。当社はまた、事業を拡大して新プロダクトを構築し、このエクスペリエンスを東南アジアの事業者にも届けることを願っています」。

今回の取引はSalesforce Venturesにとってインドのスタートアップへの2回目の投資となる。同社は2021年初め、ハイデラバードを拠点とするDarwinboxの1500万ドル(約16億円)の資金調達ラウンドをリードした

関連記事:Salesforce主導でインドのHRプラットフォームDarwinboxが15.6億円調達、アフリカ進出も検討

「『現金決済の機会がより少ない』経済に向けた動きはパンデミックで加速しました。デジタル決済における2020年の急速な成長はテクノロジーイノベーションの扉を開け、Razorpayは多くのeコマース事業者に選ばれる企業として頭角を現しました」とSalesforce Indiaの会長兼CEOのArundhati Bhattacharya(アルンダティ・バッタチャリヤ)氏は述べた。

「インドだけでなくグローバルでデジタル金融を変革させようとしているRazorpayをサポートすることを楽しみにしています」と2020年Salesforce Indiaに加わったばかりのバッタチャリヤ氏は付け加えた。

1年前にユニコーンになったRazorpayはこのところ毎月40〜45%成長しているという。情報筋によると、同社は現在、新たな資金調達ラウンドを計画しており、現在を大幅に上回る評価額を交渉している。

Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)などを含む多くの大企業が、世界第2位のインターネット市場であるインドへの戦略的投資を追求し始めた。Microsoftはインドの格安ホテルチェーンOyo(オヨ)と戦略的取引を結んだと2021年9月、明らかにしている。

関連記事:マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Tiger Global、Falcon Edge Capital、Temasek、SoftBank Vision Fund 2、Coatue Managementといった数多くの著名なグローバル投資家がインドでの投資のペースを加速させているのにともない、インドは2021年これまでに過去最多となるユニコーン27社を生み出し、2020年の11社を上回っている。そしてユニコーンのリストは増え続けている。また、先にTechCrunchが報じているように、a16zのインド暗号資産スタートアップCoinSwitch Kuberへの投資の交渉はかなり進んでいるという

画像クレジット:Razorpay

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

GrammarlyのSDKで自動化テキストエディティングを自分のウェブアプリケーションに埋め込み可能に

人気の高い自動編集ツールGrammarlyが米国時間9月14日、Grammarly for Developersのリリースを発表した。同社はこの取り組みをText Editor SDKのベータで開始し、プログラマーはGrammarlyのテキスト編集機能をどんなウェブアプリケーションにも埋め込むことができるようになる。

GrammarlyのプロダクトとプラットフォームのトップであるRob Brazier(ロブ・ブレイジャー)氏によると、このSDKのベータリリースでデベロッパーにGrammarlyの自動化エディティングの全能力にわずか数行のコードでアクセスできる。ブレイジャー氏によると「文字どおりわずか2行のHTMLで、デベロッパーはGrammarlyのアシスタンスを自分のアプリケーションに加えることができ、ユーザー全員に、ユーザー自身がGrammarlyをインストールしたり登録することなく、ネイティブのGrammarly体験を利用できるようにする。

そのような外見の下では、デベロッパーは、人工知能の知識や経験がなくても、高度な自然言語処理(NLP)の技術にアクセスできる。要するにデベロッパーは、Grammarlyがすでに作ったものを利用するだけだ。

デベロッパーが作ったアプリケーションのユーザーはGrammarlyのユーザーにならなくてもよいし、うれしいところだが必要があればGrammarlyのアカウントにログインして、そのすべての機能にアクセスできる。ブレイジャー氏は、次のようにいう。「ユーザーにGrammarlyのサブスクリプションがあれば、そういうユーザーは自分のGrammarlyアカウントをデベロッパーのアプリケーションにリンクできる。彼らはGrammarlyにサインインでき、そのアプリケーション中で直接、サブスクリプションで可能な機能をアンロックできる」。

ブレイジャー氏によると、これ(Text Editor SDK)はあくまでもスタート地点であり、基本的な機能だけにとどめ、フィードバックに基づいて今後加える機能を決めていく。「もっとも単純な機能からスタートして、できるだけ多くのユーザーに使ってもらいたい。だからこれは、相当シンプルなプロダクトだ。今後は徐々に進化して高度なソフトウェアに育つだろうが、コードを2行だけ書けば使えることは変わらない」という。

同社がデベロッパーツールを提供するのはこれが初めてだが、これによってプログラマーは自分のアプリケーションの中でGrammarlyの機能にアクセス可能になり、そんな機能をアプリケーションに埋め込める。Zoomも2020年SDKをリリースしたとき同じことを行い、アプリケーションからビデオサービスを利用できるようにしたが、デベロッパーツールの提供に関してはZoomの方がずっと先輩だ。GrammarlyもZoomも人気が拡大したら次のステップは、そのプラットフォームの強いところを公開することだ。Grammarlyの場合は、テキストエディティングの機能をデベロッパーが自分のアプリから利用できるようにする。実はこの考え方を2007年のForce.comで最初に実装したの、はSalesforceだった。

今後どうなるかいうのは早すぎるとブレイジャー氏はいうが、このやり方は、これまでのサブスクリプションに加えて、Grammarlyの新しい収益源になる可能性がある。いずれにしても今回の発表は、プラットフォームの各部をデベロッパーに公開して、Grammarlyの技術者たちがGrammarlyに込めた成果を利用できるようにする大きな戦略の第一歩だ。関心のあるデベロッパーは、ベータプログラムへの参加を申し込むことができる

関連記事:Zoomがビデオサービスへの参入を支援する新SDKと開発者向けリソースポータルを発表

画像クレジット:Grammarly

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

amptalkは9月6日、オンライン商談自動化ツール「アンプトーク」の発売を9月1日より開始したと発表した。また2021年5月、ジェネシア・ベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルより、シードラウンドにおいて約1億円の資金調達を実施したと明らかにした。調達した資金は、今後のプロダクト開発・販売の為の人材の採用に活用する予定。

2020年5月設立のamptalkは、「データによって価値あるアドバイスを」作り出すことをミッションとし、「昨日まで世界になかったチャンスを」作り出すことをビジョンに、「人」だけではできなかったことを成しとげ「人」がより効率的に働ける世の中を作ることを目指すスタートアップ企業。

Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始

アンプトークは、Zoom商談の録画を自動で取得して書き起こし、Salesforceに自動入力するというツール。営業担当者は商談の記録などの付加業務の負担が減り、商談に集中できるようになるという。

また、アンプトーク独自のシステムで商談内容を自動解析することで、誰が・何を・どれくらい話したのかを可視化可能。これにより営業のトッププレーヤーと他プレーヤーの差を明らかにすることで、育成指導やナレッジシェアの工数を減らしながらスキルを改善、受注率の向上につなげられるとしている。Zoom商談を書き起こしSalesforceに自動入力するオンライン商談自動化ツール「アンプトーク」が発売開始