「Grouponの経営陣は貪欲の塊」―より大きな問題は日替わり割引クーポンというビジネスモデル

最近Grouponの経営に関する批判的な記事が多い。しかし根本的な問題はむしろGrouponのビジネスモデルそのものにあるのではないだろうか?

Vergeは昨日(米国時間3/13)、Grouponの問題点を分析する長文の記事を掲載した。Grouponは引き続き低調だった四半期決算報告の後、ファウンダー、CEOのAndrew Masonを追放した。現在また過去の取締役、社員、投資家など多数の関係者にインタビューした後、VergeはGrouponの問題は経営陣にあると結論している。「Grouponは貪欲の塊」というのが記事の大見出しだ。

他のGrouponに近い情報源からの話でもこの見方は当たっているようだ。われわれ自身も、特に外国から数々のホラーストーリーを聞いている。しかし私はVergeの記事はさらに重要なポイントを見逃していると思う。なすべきだった質問はこうだ。そもそもGrouponというサービスは持続的成功を収める可能性のあるビジネスなのか?

Grouponの主たるビジネスは株式上場の前も後もいわゆるデイリー(日替わり)クーポンだ。これは飲食店などのサービス業のために期間を限定した割引によって新規顧客を獲得するためのキャンペーンを行うサービスとしてスタートした。後にこの日替わり割引クーポンは一般商品にも拡大された。このサービス業態はGrouponの上場までたしかに大流行していた。投資家は興奮し、銀行は日替わりクーポン市場がどれほど成長するか強気のシミュレーションを公表した。

しかし同時に、別の事態も起きていた。劣悪なサービス体験のために消費者、一部業種のユーザーはこの仕組に懐疑的になり始めた。日替わり割引クーポンというサービスは持続可能なeコマースのジャンルではなく、一時の流行りモノにすぎないのではないかという懸念が広がった。“日替わりクーポン疲れ”という言葉さえ生まれた。

一方でGrouponの突然の大成功に刺激されてLivingSocialを始めとする強力なライバルが現れたこともGrouponにとっては不利に働いた。しかし逆にGrouponが健全に成長できなかったし、これからもその点に疑念が残るという事実は、今後ライバルたちも同様の問題に直面する可能性を示唆するものだ。これはGrouponの経営陣が貪欲に支配されているのかどうかというよりずっと本質的な問題だ。

もちろんGrouponは以前として業界のシェアでトップだ。日替わりクーポン市場は前四半期で300%も成長している。Vergeの予測するところではGrouponの今年の売上(利益は別問題だが)は60億ドルに上るという。しかし経営陣の失敗などはこれほど大きな市場全体の成長性にさして大きな影響を与えるとは思われない。問題はAndrew Masonが去った後もビジネスモデルがそのままなら問題点もそのまま残るという点だ。

なるほどGrouponは日替わりクーポン以外の分野にも進出しようとしている。これは2012年5月にAndrew Masonが発表した「ローカル・ビジネスのOSになる」というコンセプトに基づいた計画だ。これにはオンラインやモバイルでの支払い、POS、Amazonなどに対向する通常のオンラインストアなどなどが含まれている。

おそらくこうした新サービスはアメリカ以外の地域での展開が主になるのだろう(現在でもGrouponの売上の可搬は外国市場から)。もしGrouponがこうした市場でモバイル・コマースで優位に立つことができるなら、そしてSquareやPayPalといった強力なライバルを抑えることができるなら、その報酬は巨大なものとなるかもしれない。

いずれせよ、経営陣が貪欲かどうかはさほど大きい問題ではないだろう。

〔日本版:Grouponのビジネスモデルへの批判はこちらの記事に詳しい。クーポンビジネスが崩壊する理由Part2

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Google、iPad向けYouTubeビデオ録画専用アプリをリリース―コンサートでiPadかざす連中が増える?

コンサートに行くと、周囲の目もはばからずスマートフォンを掲げてステージを撮影している観客がいる。これからはiPadでそうする連中が増えるかもしれない。(* というのはYouTubeが新しくiPad向け録画アプリを発表したからだ(iPhone版は3ヶ月前に発表されている)。

このYouTube Captureはビデオを撮影してYouTubeにアップロードするプロセスを大幅に簡易化するために必要なツールをすべて単一のアプリにまとめている。ユーザーは撮影を終えたらキャプション、タグその他のメタデータを追加し、即座に自分のYouTubeチャンネルにアップロードすることができる。世界に公開してもいいし、自分だけが見られるようにしてもよい。

このアプリでは色の調整、ブレの軽減、トリミング、BGM追加などの簡単な編集が可能だ。ビデオのアップロードはバックグラウンドで実行されるから、編集が終わったらアップロード完了を待たずにアプリをすぐに終了できる。

iPad版がローンチされたことはYouTube、ひいては親会社のGoogleが、たとえAndroidのライバルではあってもiOSプラッットフォームを重視していることの現れだ。これまでにもGoogleはYouTube専用ビデオプレイヤー、Googleマップ、Gmailその他をiPhoneとiPadにネーティブ・アプリとして提供してきた。

YouTubeへのアップロード機能はAndroidの場合はOSに用意されているので必ずしも専用アプリを作る必要はない。しかしYouTubeの広報担当者は「iOS版に続いてAndroid版のYouTube Captureも準備中だ」と述べた。

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* 言うまでもないが、著作権その他のややこしい問題を生じさせるこのような行為を私にせよYouTubeにせよ、決して勧めているわけではない。

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Google Readerのサービス停止に反対する利用者の声、署名サイトに集約中

昨日、GoogleがGoogle Readerの終了をアナウンスした。Google ReaderとはRSSフィードを読み込むためのGoogleのプロダクトで、7月1日にサービスを停止するとのことだ。しかしDaniel Lewisの発案により、Googleに対してGoogle Readerの除名を求める嘆願活動が始まった。本稿執筆時点で3万以上の署名を集めている(訳注:訳出中の現在、5万5千を超えています)。

Google Readerの終了に関する記事にも100以上のコメントが付いている。同じく終了に言及しているこちらの記事にも200以上のコメントが付いている。

つまるところ、RSSというものに対しては、まだまだ多くの人が必要性を感じているということなのではなかろうか。

確かに、Google Readerを使ってフィードを呼んでいる人というのは、さほど多いわけではないのかもしれない。しかし、Google ReaderがFacebookやTwitterで記事を共有する機能を残しておいてくれたら、事態は異なっていたと思うのだ。

ご記憶だろうか。2011年の10月に、GoogleはGoogle Readerの変更を行った。UIを大きく変更し、そして同時に(Google+以外の)すべてのソーシャル機能を削りとってしまったのだった。

Lewis氏が言うように、FacebookやTwitterで情報の共有が行えるようにしていたことで、Google Readerは単なるフィード処理ツールとは違う役割を担っていたのだ。ソーシャルネットワークを担う、プラットフォームのひとつとして機能していたのだった。

しかし「Do No Evil」という道を探りつつ、GoogleはGoogle+以外のソーシャルネットワークと関わらないようにするという方針を選択した。これにより利用者が減るというのは完全に予測できた事態のはずだ。Google+の利用者は、TwitterやFacebookに比べればまだまだ少ないものなのだ。それなのに「利用者が少なくなっている」などと言い募り、サービスを停止するのはおかしな話なのではなかろうか。

先にも記したように、RSSというものを必要としない人も多いのかもしれない。しかし署名サイトを見てみて欲しい。また、Google Reader停止について触れた記事に付いているコメント数を見てみて欲しい。インターネット人口全体から見れば、Google Readerの停止に対して声を挙げている人の数は少ないのかもしれない。しかし声をあげている人のほとんどが、「心から」の声を発しているのだ。

Google Readerの停止を見直して欲しいという声は、相当に大きく響き渡っているはずだ。

[via InfoWorld]

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(翻訳:Maeda, H)


AWSが多売で薄利をまたスケールアップ, DBのストレージとIOPSの上限を3倍に

Amazon Web Services(AWS)は、Relational Database Service(RDS)のデータベースインスタンスに対して配備できるストレージの最大量を、これまでの3倍にする

AWSのブログには、ストレージのI/OスピードIOPSも3倍にする、と書かれている:

今後作成するDBインスタンス(MySQLまたはOracle)は、ストレージの最大量が3TB(これまでは1TBまで)で、最大30000IOPS(これまでは10000)となる。SQL Serverを使うDBインスタンスは、最大ストレージが1TB 7000IOPSとなる。m2.4xlargeの上のリード/ライト各50%のワークロードに対しては、Oracleで最大25000IOPS、MySQLで12500IOPSとなる。しかしながら30000IOPSの配備では、レイテンシの低下とスループットの向上が可能となる。実際のIOPSは、データベースのワークロード、インスタンスタイプ、使用するデータベースエンジンの違いに応じ、何を配備したかによって異なる。詳細については、Amazon RDS User GuideのFactors That Affect Realized IOPSを見ていただきたい。

AWSのユーザはデータベースの既存のインスタンスに関し、ストレージとIOPSの変更が可能である。それはユーザが、高速で予測可能なパフォーマンスを得られるためだ。

また、ストレージとIOPSのどちらかを単独でスケールすることも可能だ。

RDSは、MySQLやOracle、そしてSQL Serverを使ってデータベースをセットアップ、管理、そしてスケールする際の、“面倒な低レベル作業”をすべて肩代わりする。

上記3つの機能は、今すでに利用できる。IOPSの配備(プロヴィジョニング)が可能なリージョンならどこでもOKだ。

ストレージとIOPSのリミット3倍化は、顧客が保存し処理するデータの質・量に応じた最適インフラを提供していくという、AWSの近年のポリシーの一環だ。この”コスト重視“のコンセプトは、AWSが掲げるアーキテクチャでもある。そのことは、今回の最新アップデートにおいても明らかだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


(パソコン+ゲーム専用機)÷2=Xi3社のPiston, 予約受付を開始

Xi3が最近、ゲーム用パーソナルコンピュータPistonの予約受付を開始した。先週のSXSWの会場で、同社のCMO David Politisをつかまえて話を聞く機会があった。彼は、PistonはPCの良いところ+ゲーム専用機の良いところだ、と語った:

ゲーム専用機は小型でしかもゲーム環境が充実している。でもそれらはクローズドでアップデートできない。一方コンピュータは、いろんなソフトウェアがあるし、ベーシックなコンピューティングのほかに、Webサーフィンなどもできる。でも図体が大きいし電気も食う。それに、醜い。

Politisに言わせるとPistonは両者の中間だ。サイズとエレガンスではゲーム専用機、モジュール的でアップデート可能な点はPCだ。Xi3社は今、デベロッパたちにPiston専用のゲームを作らせているらしい。

Politisは発売日を明言しなかったが、今年のクリスマス商戦には、ということだった。予定価格は999ドル99セント、予約価格は899ドル99セントだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


家計簿・資産管理ツールのスタートアップ、マネーフォワードが1億円の資金調達、シードラウンドで

家計の管理については以前に紹介したZaimのような家計簿アプリがあるし、最近ではReceRecoのようなレシートの内容をOCRで読み込んでくれるようなものもある。とはいえ家計簿以上に家庭の資産までを管理したいという人もいるだろう。個人で使う資産管理の代表格といえば、米国ではTechCrunch40でデビューしたmintがある。mintはIntuitが2009年に1億7000万ドルで買収したことでも話題になった。

日本でもこういった家計管理のツールがないかといえば、たとえばOCN家計簿MoneyLookがある。これらは銀行や証券会社のオンライン口座から自動的に情報を取得して資産状況を把握できるようにしている。今回紹介するマネーフォワードはこれら同様に資産管理のサービスを提供するスタートアップだが、彼らは今日およそ1億円(1億264万5,000円)の資金調達を実施したことを発表している。

マネーフォワードは現状は銀行や証券会社、クレジットカード会社、携帯キャリア、年金、ポイント提供会社などの口座から情報を取得して、現在の資産状況や日々のお金のやりとりを自動的に分類して、レポートしてくれる機能を持っている。日毎や月毎の資産の現状把握をビジュアル化して表現することに長けている。サービスはウェブサイトだけでなく、iPhone向けのアプリも提供していて、ファイナンスカテゴリーでのダウンロード数では上位に付けている。

彼らは今回の資金調達によって、ユーザーに対して資産運用のためのレコメンデーションの仕組みなどを開発するという。お金のことは一般の人に取っては正直言えば考えなくてはならない問題だが、考えるのが面倒だと感じる人もいるだろう。なので、その人の収入やお金の使い方、持っている資産状況などから合わせて資産運用のアドバイスを自動的に行うようなものを考えているようだ。

マネーフォワードはマネックス証券に務めていた辻庸介氏によって設立されている。ほかにも金融にかかわってきた専門知識を持つメンバーが集まっているスタートアップだ。辻氏によれば、レシピならクックパッド、レストランなら食べログのようにお金ならマネーフォワードというインターネットサービスの存在になりたいと語っている。

今回の1億円のシードラウンドに出資したのは、早稲田情報技術研究所に加えて個人投資家数名、そして創業メンバーだそうだ。このラウンド以前に同社はマネックスのインキュベーション企業のマネックス・ビジネス・インキュベーションと創業メンバーから4,080万円を集めている。


Dropbox、デスクトップクライアントを改訂。「共有」を前面に押し出す

Dropbox社のクラウドストレージおたくたちは、かなりの時間を費してモバイル機器向けに(もちろんモバイル開発者向けにも)サービスを最適化してきたが、デスクトップクライアントはここ数年間殆ど変わっていなかった。

そんな状況はもう終りだ。同社はデスクトップ版Dropboxバージョン2.0のベールを剥がし、待ち望まれていたグラフィックスタイルを加え、共有プロセスを整備した。

探るべきことは山ほどあるが、まずは改訂されたデザインのすばらしさを伝えるべきだろう。かつての質素なメニューが一掃された新鮮な変更だ。私はかなり気に入っているが、便利な機能(残り容量の表示等)が奥に隠れていてクリックしないと見えないことなど、まだ完璧とはいえない。

Dropboxは、この数ヵ月間ファイルやフォルダーの共有を大いに強調しており、新メニューでも共有機能が前面に押し出されている。メニューに表示される〈最近変更されたファイル〉にマウスをかざすと、共有ボタンが現れてワンクリックで他の人と共有できる。また、友達や大切な人がファイルやフォルダーを自分と共有すると、リアルタイムで通知される。この種の通知はデスクトップだけのものではない。Dropboxの説明によると、iOSおよびAndroidアプリのユーザーも通知を受けるようだが、これ以上モバイル通知が増えるのを喜ばないユーザーもいるだろう。

改訂されたクライアントはここからダウンロードできる。ただし、このフォーラム記事によると、Linuxユーザーはまだ新しいデザインを見ることがないようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)

Nielsenの伝統的な視聴率調査が今年から対象を一気に拡大; ゼロTV世帯も調査対象に

old fashioned tv

Nielsenが今日(米国時間3/11)発表したデータは、“ゼロTV世帯”の傾向をいくつかの数字で示している。ゼロTV世帯とは、もはやテレビを見ずに、ビデオコンテンツはコンピュータやスマートフォンやタブレットで見る、という世帯のことだ。今日発表されたデータによると、合衆国のコードカッター(cord cutter, テレビのコードを切った人/世帯==ゼロTV世帯)は500万あまりおり、2007年の300万に比べてかなり増加した。

しかしNielsenも認めているように、500万といえば全視聴者の5%にすぎない。残る95%は、リビングでふつうのテレビを見ているのだ。また、番組をテレビで見ない人も75%はテレビ受像機を持っていて、ゲーム用やDVD鑑賞用などに使っている。

また“ゼロTV世帯”の人たちも、その67%は何らかのビデオコンテンツを見ている。コンピュータで、が37%、インターネットからが16%、スマートフォンが8%、タブレットが6%だ。

zero tv

もちろん、ゼロTVでない、ふつうにテレビを見ている人たちも、コンピュータなどの上でストリーミングビデオもやはり見ている。

NetflixやHuluなどのオンデマンドサービスは、まだコンテンツの揃い具合で従来のテレビにかなわないから、完全なゼロTVの世帯は多くない。しかしNetflixなどは最近、自前オリジナル番組映画などを作り始めている。だから彼らのコンテンツの揃い具合が既存のテレビ局と肩を並べる日が来れば、テレビを見なくても平気、という人たちが増えるだろう。ただし当分、そんな日は来ないだろうけど。テレビは今でも王様だ

でも今のコードカッターたちが関心をそそるのは、それが市場の長期的な未来の姿を表しているように思われるからだ。テレビ離れがまだ大勢ではないとはいえ、テレビの見方は変わっている。テレビを見るためのデバイスが多様化しているだけでなく、コンテンツの消費の仕方も変わってきた。

変化は、アーリーアドプター(earlier adopter, 新しいものに真っ先に飛びつく人びと)だけに限定されない。CBS Newsの大衆番組”Sunday Morning”で今週末、視聴者ゲストのLuke Burbankが、NetflixやHuluやHBO Goのようなサービスがあるおかげで、最近は連続ドラマなどの“一気見(binge-watching)”中毒になってしまった、と告白した。一気飲みならぬ一気見は、本誌TechCrunchの読者なら珍しくないと思うが、このようにふつうの視聴者が中毒だと言う現状は、もはやふつうではない。番組の見方も、変わってきたのだ。〔*: binge-watching, 同一番組の複数の週にわたる録画コンテンツを、ひまな休日の昼間などにえんえん長時間かけて見ること。そういうDVDが商品化されている。〕

なおNielsenの調査報告書では、ゼロTVの家庭のほぼ半数が35歳以下の若い世帯だ(下図)。

zero tv homes

人種構成はテレビを見る世帯とそれほど変わらないが、アジア系(ASIAN)だけやや差がある。またゼロTV世帯は、子どものいない世帯が圧倒的に多い。また、一人暮らしの比率も、ふつうにテレビを見る世帯よりはかなり高い(テレビ世帯26.2%、ゼロTV世帯41.2%)。(下図)

nieslen zero tv 2

しかし、いまふつうにテレビのある家でも、そこの子どもたちの将来は違うだろう。

ゼロTV世帯の増加は、合衆国経済の不調と、テレビ受像機以外の視聴機会の増加という、二つの要素の同時発現と関係があるかもしれない。アメリカ国民の主なテレビ視聴方法は有料のケーブルテレビだからか、ゼロTV世帯の36%がテレビを見なくなった理由として経費を挙げている。しかしその次に多い31%は、“テレビに関心がなくなった”を理由として挙げている。インターネットやモバイルは、テレビと同じ番組が見られるわけではないけど、コンテンツに多様性があっておもしろい、ということではないか。YouTubeもソーシャルネットワークもビデオチャットもTumblrへの投稿もモバイルのゲームも世界中のニュースやエンタテイメントも、テレビにはない。しかも、これらとつきあっていると、リビングのテレビの前でぼーっとしている時間がほとんどなくなる。

この調査では、再びケーブルテレビに契約したいというゼロTV世帯は、わずか18%だ。

今月初めにNielsenは、2013-2014のシーズンからこれらのゼロTV世帯も調査対象に加える、と発表した。その前の2月にはハリウッドの記者からの特ダネとして、ふつうのテレビ以外のものの視聴もNielsenが調査対象にする、という計画がリークされた。つまり、DVRや(ネット上の)オンデマンドの番組も含める、という意味だ。

その記事は、AmazonやNetflixのようなストリーミングサービスも今後の視聴率調査に加え、さらにXboxやPlayStationなどのゲーム専用機も含めるのなら、そのためのハードウェアとソフトウェアの整備が必須だろう、と述べている。最初はiPadなどのタブレットの‘視聴’を見ていくらしいが、今後は機器やソースを限定せずビデオの視聴全般を調べていく計画だ。

しかし、Nielsenが、テレビと、テレビを取り巻く全メディア全デバイスを対象に日報や週報(たとえば“今週のNetflix”)を提供してくれるのは、まだまだ先だ。長期的には、ぜひそれをお願いしたいが。いずれにしても、ふつうの視聴者が一気見をするご時世には、従来のような視聴率調査はほとんど意味を成さない。それはもう、ふつうの意味の番組録画でもない。最近の報道によると、Netflixの自主製作番組“House of Cards”は同サービスの最高視聴率を稼いでいる。しかも6回ぶんまとめて見る、という見られ方が多い(Netflixはワンシーズンぶんを一気にリリースした)。

しかし、既存のテレビ産業にとっていちばん気になる数字は、この調査ではあまり目立たない次の数字ではないだろうか: Netflixの会員の約23%は、ケーブルテレビや衛星テレビの契約をキャンセルした。〔アメリカではふつうにアンテナを立ててタダで民放を見る、という見方は少ない。ケーブル王国である。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

地図・施設情報を集約するFoursquare、実現を目指すのは「忍びの地図」?!

Dennis Crowley | CrunchBase Profile未だにFoursquareを「チェックインしてバッジを獲得し、メイヤーを争うためのツールだと考えている人も多いかもしれない。あるいは友だちがどこにいるのかを探すツールだと思っている人もいるかもしれない。確かにそういう使い方もある。しかし地図情報に加えて人びとの訪問頻度等の膨大な情報を集積した今、Foursquareが提供しているのは、そうした範囲に留まらないものとなっている。

SXSWのステージで、Anil DashとFoursquareのCEOであるDennis Crowleyが対談を行なっていた。Foursquareがどのような進化を遂げてきたのかという内容だ。友だちのいる場所を発見するなどといった内容から、いまでは「世界を発見」するツールになってきているのだという話をしていた。

Crowley曰く、現在では公表されているよりもはるかに多くの企業がFoursquareの地図データを利用しており、APIを活用した開発を行なっているとのこと。Foursquareの場所データベースには5000万以上の情報が蓄積されており、しかも頻繁に更新されている。新しい施設がオープンすれば即座にFoursquare上にも反映され、逆に施設がクローズしてしまった場合にも速やかに当該情報が行き渡るようになっている。

Foursquareにおけるチェックインについて、CrowleyはGoogleのウェブクローラーに例えた話をしていた。「利用者のひとたちが興味を持つ場所、ないし興味をなくしてしまった場所についての情報が、絶え間なくFoursquareに集約されるのです」。

それでもデータの活性化という面で魅力的なのだが、最近では活性化の手段が、利用者からの情報以外にも広がっていることを強調している。つまりAPIを公開していることで、他のアプリケーションからも位置情報データが多数寄せられるようになっているのだ。たとえば位置情報付きでInstagramに投稿した場合、その情報はFoursquareにも寄せられることになるわけだ。

この面でいえば、FoursquareとAPI利用者の間には、ある種の共生関係が成立していると言えるかもしれない。Foursquareが最高の地図データを提供し、それを利用者に公開する。そして利用者からの見返りとしてAPIを利用するアプリケーションのユーザーが興味を持っている場所についてのデータがFoursquareに集まることになる。

こうした流れは、地図そのものを変えることに繋がる。Crowley曰く、地図はその登場のときからほとんど姿を変えずに利用され続けてきている。しかし膨大なデータを集約することで、利用者が興味を持ち、そして利用者にとってより重要な意味を持つ地図を示すことができるようになるとしている。

Foursquareが提供する「パーソナライズ」した地図とは、たとえばハリー・ポッターに出てくる「忍びの地図」のようなものだとCrowleyは言う。ハリー近くで、まさにハリーに関連する情報を提示してくれるわけだ。「データは十分に集まってきています。みなさんにとっての『忍びの地図』を実現することもできると考えています」とCrowleyは述べている。

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(翻訳:Maeda, H)

もはや自前で仮想化は古い?, AWSがEC2の仮想プライベートクラウドをレディメイドで提供

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Amazon Web Services(AWS)がこれから提供するオプションにより、AWSのユーザなら誰でも、自分の仮想プライベートクラウド(virtual private cloud, VPC)を持てる。VPCは、ユーザが利用するEC2のインスタンスの一つのタイプになる。これまでVPCは、別サービスとして提供されていた。

VPCを使って顧客ができることは、AWSの言葉によると、“論理的に隔離されたEC2のインスタンス群の仮想ネットワークで、それに顧客自身のデータセンターからVPNで接続することも可能”、というものだ。これは、物理的なセンター群を仮想化して自前のエラスティックなインフラを作る、データセンター中心型の方式の再検討を顧客に迫る。自前主義は、ソフトウェアのライセンス、ハードウェアの費用、システムを管理するITスタッフ、といったコストの問題に帰着する。VMwareなどはこういう、‘仮想化はユーザ各社がやれ’という主義を広めてきた。仮想化技術が売りだから、当然だが。

AWSのやり方は、違う。顧客に、AWSの低コストと柔軟性というアドバンテージを与えつつ、今顧客が使っているインフラをそのまま使えるようにするのだ(下図)。

VPC_Diagram

顧客が使うEC2インスタンスは、”EC2-VPC”プラットホームと呼ぶものの中へローンチする。この機能はリージョンごとに展開され、最初はアジア太平洋(シドニー)と南アメリカ(サンパウロ)だ。展開は数週間後に始まる。

その処理は自動化されるので、顧客自身がVPCを前もって作るという作業はない。むしろAWSによれば、顧客はこれまで(EC2-Classic)と同じく、単純にEC2のインスタンスを立ち上げ、Elastic Load BalancersやRDSデータベース、ElastiCacheのクラスターなどを配備(プロビジョン)するだけだ。するとVPCが、特別の課金を伴わずに作られる。

ここから顧客は、一つのインスタンスに複数のIPアドレスを割り当てる、セキュリティグループの帰属関係を平常稼働を妨げずに行う、セキュリティグループに外部フィルタを加えるなど、仮想化特有の機能を利用できるようになる。

AWSによると、VPCでは既存のシェルスクリプトをそのまま使え、CloudFormationのテンプレート、AWSのElastic Beanstalkアプリケーション、Auto Scalingによる構成なども、従来どおりに使える。

VPC機能が使えるのは、AWSの新規顧客と、既存の顧客だがそのリージョンでインスタンスをローンチするのは初めて、という顧客だ。

“エンタプライズ市場は過去12〜18か月で様変わりし、CIOたちはクラウドコンピューティングを受容するようになった”、SXSWのステージでそう語るのは、NEA VenturesのゼネラルパートナーScott Sandellだ。それは何を意味するのか? 彼によると、データセンターに関するこれまでのエンタプライズ技術がすべて陳腐化する、というのだ。AWSの今回の動きも、このような市場のシフトに対応するものであり、それは、インフラに自前で高価な投資をすることに比べて、クラウドを有効利用するサービスのほうが価値が高い、と暗に示唆している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、学生の囲い込みを狙って、Office 365とSkyDrive 20GBを最大6ヵ月間無料トライアル可能に

Office 365の出荷を開始したMicrosoftが、今度は学生たちにもっと試してもらおうとしている。同社は既に学生向けOffice 365 Universityを4年間で80ドルと大幅に割引しているが、新たに学生がOffice 365を3ヵ月間、特典についてFacebookでシェアすればさらに3ヵ月間無料で使ってみられるキャンペーンを発表した。学生さちはSkyDriveのストレージ20GBも追加で使用できる。

Microsoftの広報担当者によると、このキャンペーンを行う理由は、「顧客らがSkyDriveを使ってドキュメントにアクセスし、どこでもどのデバイスからでも協働作業ができることを大いに満足している。中でも、学生はこの種のツールが役立つグループの一つだというフィードバックを直接聞いている」からだという。

この特典は、米国内で.eduのメールアドレスを持つ人全員が対象で、マーケティング・キャンペーンには“Parks and Recreation”のスター、Aubrey Plazaを登用している。.

Microsoftのこの分野最大のライバルはもちろんGoogleで、同社はDriveアプリを無料で公開している。しかし、Microsoft Officeの方が機能豊富で未だに多くの大学で標準になっているのは間違いない。それでも学界におけるMicrosoftの存在感は、多くの大学がOffice 365 for Education(旧 Live@Edu)を採用しているにも関わらず、縮小気味だ。

学生向け特典の殆どがそうであるように、この特典の狙いが学生たちをMicrosoft Officeエコシステムに囲い込むことにあるのは明白だ。しかし、文書ファイルはすべて標準フォーマットなので、いつでもファイルを持って出ていけるのはもちろんだ。トライアル期間終了後、Officeアプリは読み込み専用モードになるので、閲覧と印刷しかできなくなるが、もちろんファイルは自分の物で自由にSkyDriveからダウンロードできる(SkyDriveの基本Office Webアプリも引き続き利用できる)。

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(翻訳:Nob Takahashi)

Gigabotは、縦横高さ60センチの物体を作れる大判3Dプリンター

テキサス州オースチン拠点のre:3Dが、KickstarterでGigabotのキャンペーンを開始した。これは大判の3Dプリンターで、24×24x24インチ(一辺61センチ)の枠内で制作するように設計されており、 Makerbotなどのプリンターよりずっと大きい作品を作ることができる。価格はキットが2500ドル、完成品が4000ドル。

同社は4万ドルのプレッジ(出資)が目標だったが、すでに6万ドルを超えているので、1万3824立方インチのクリスマスプレゼントを作りたい人にも間に合いそうだ。

開発チームはプロジェクトをSXSWで発表した。会社はSamantha Lynne SnabeesとMatthew Fiedler、および製造やデザインの経験者数名が立ち上げた。次のように言っている。

私たちre:3Dは、この世界で最大の問題は、視野を大きくすることによって解決できると信じている。だから私たちは、初の持ち帰れる大判3Dプリンターを設計することを目標にプロジェクトを立ち上げた。重要なのは3Dプリンティングの驚くべきテクノロジーを利用、発展させることだけではない。もし成功すれば、このテクノロジーを利用する市場全体を思い描くことができる。現状維持に苦闘してきた市場で、誰もが最先端技術を使って1日で物が作れるようになる。私たちの3Dプリンターを製品レベル品質にして、世界中のスモールビジネスの手に渡るようにすれば、そのコミュニティー、ビジネス、さらには世界全体が柔軟性を維持できるようになるだろう。

プリント材料は主にPLA(ポリ乳酸)で、これは加熱された制作プレートを持たないためだが、将来は提供する計画だ。PLAは工業的には好ましくない場面もあるが、この植物由来プラスチックは非常に有用で実用的だ。

プロジェクトはここで見られる。等身大の自分の頭をトウモロコシ由来の樹脂でプリントするところを想像してみてほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi)

どのISPが高速か?–ストリーミングビデオのNetflixが8か国のデータを各月公表

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過去数か月、Netflixは定期的に、ストリーミングビデオを最速で届けてくれるISPのリストを公開していた。そして今日同社は、このデータ専用のサイトNetflix ISP Speed Index立ち上げた。このサイトでISPのスピードデータを見られる国はNetflixが展開している国、すなわち合衆国、メキシコ、アイルランド、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、そしてフィンランドだ。驚くに当たらないが、Netflixのストリーミングに対する平均ビットレートのトップはGoogle Fiberの3.35Mbps、そして次位はスウェーデンのOwniteの2.99Mbpsだ。

Netflixによると、これらのデータの源泉は3300万あまりのNetflix会員で、彼らの月間視聴量は合計で10億時間を超える。下図のように、今回発表されている数字は昨年11月から今年2月までの4か月で、顕著なのはトップのGoogle Fiberの成長だ。データは今後も各月に更新される。

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Netflixの注記によると、平均速度はISPたちのピーク速度よりも低い傾向がある。Netflixが行うビデオのエンコードや、視聴者の使用機器/ネットワークの条件などにより、結果的に速度が低下する。しかしそれらの条件がISPによって異なることはないから、比較は依然として有意である。そして、データに示された速度は、だいたい各ISPの全ユーザが経験している平均速度と考えてよい、ということだ。

これらのデータを見ると、ISPによってサービスの質に大きな差があるようだが、しかしNetflix自身は、ISPたちと協力して帯域の拡大とユーザのストリーミング体験の改善に努力している。たとえばISPは、同社のCDN Open Connectを直接利用してトランジット費用を下げることができる。Netflixはまた、ISPにストレージハードウェアを提供し、ISPのデータセンターにおけるローカルキャッシュの増強を支援している(もちろんNetflixの人気コンテンツをキャッシュしていただくのだ)。これらのストレージを導入したISPでは実際に、1080p HDや3Dのコンテンツをより高速に提供できている。上の図の上位に位置するISPも、その一部は、そういう意味でのNetflixパートナーISPだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Yコンビネータ出身でファウンダーに日本人が参加するAnyPerkが140万ドルの資金を調達―社員の福利を手軽にアウトソーシング

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AnyPerkはウェブで配られるクーポンや割引などのperk(余録)を社員の福利のために企業に対して提供するスタートアップだが、先ほどDigital Garage、Ben Lewis(TapjoyとKarmaのファウンダー)、Michael Liou、CyberAgentVenture、川田尚吾(DeNAの共同ファウンダー)から140万ドルの資金を調達したことを発表した。

AnyPerkは企業が社員にちょっとした福利を提供するのに便利なサービスだ。社員1人あたり毎月5ドルを支払うだけでAMCとRegalの映画チケット、Dish Networkのケーブルテレビ、Dellのコンピュータ、1800 Flowersの花などの割引が受けられる。またCostcoの無料クーポンももらえる。

Pinterest、Klout、GetAround、BirchBox、Seamless、Pandoraなどといったインターネット企業がすでにAnyPerkを利用している。

AnyPerkは最近サイトをリニューアルしたが、もともとY Combinatorの昨年の夏学期の出身だ。共同ファウンダーの福山太郎、高橋篤博はすでにスタートアップを成功させた経験者だ。高橋はスマートフォンの広告ネットワーク、Nobotを創立し、同社はKDDIに1900万ドルで買収された。

〔日本版〕TechCrunch Japan西田編集長によるAnyPerkについての記事、前編後編

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

Microsoft、Windows 8/RTのIE10でFlash使用サイトのブロックを解除

今日(米国時間3/11)現在、Windows 8のMetro UIモードおよびWindows RT上のInternet Explorer 10は、標準でFlashをブロックし、MicrosoftがまとめたCompatibility View(CV)リストに載っているサイトにのみFlashコンテンツの再生を許している。明日それが変わる。あらゆるFlashコンテンツが標準で動作するようになり、CVリストはFlashコンテンツの動作を禁止するサイトのために使用される。

これまでWindows 8ユーザーは、Flash使用サイトを見るためにはデスクトップモードに切り替えなくてはならなかった。しかし、Microsoftは、「テストした数千ドメイン」のうち未だに非互換なのはわずか約4%だったため、方針を変更すべきと判断したと語った。

これはかなり予想外の変更だが、Microsoftは、「過去数ヵ月間徹底的にテストした結果、Flashコンテンツを含むサイトの大半が、今はタッチ、性能、およびバッテリー寿命に関してWindows体験と相応れる状況になった」と 言っている。MicrosoftのInternet Explorerグループのマネージャー、Rob Mauceriは、殆どのサイトがIE10で「問題なく動く。みんなが持ち歩くこれらのメインマシンは、重要なサイトのウェブコンテンツをアクセスできるはずだ。そうでなければ、単なるPCのお供になってしまう」と語った。

Windows 8 Flash

Windows 8およびRTの公開に先立ち、MicrosoftはAdobeと協力して、Windows 8の中心機能に違いないタッチ操作に最適化したバージョンのFlashを開発していた。しかし、Flashがバッテリー寿命やセキュリティー、信頼性を損ねることを恐れたMicrosoftは、当初のWindows 8のMetroモードおよびRTのIE 10ではCVリストを利用して、タッチに対応し利用体験に何らかの悪影響を与えないサイトのみ動作を許可した。

デベロッパーがInternet Explorer 10で自サイトが正しく動作するかどうかを確認するために先月Microsoftが立ち上げたサイト、modern.IEには、明日から、新たなFlashブロックリストに自分のサイトが載っているかどうかをデベロッパーが確認できる機能が加わる。

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(翻訳:Nob Takahashi)

「ビジネスでもっと割り込め」と女性を激励するシェリル・サンドバーグの新著 “Lean In” が発売初日でAmazonのベストセラー1位に

leanin

FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグの新著、Lean In: Women, Work, and the Will to Lead はアメリカ中で女性の社会的地位とフェミニズムの現状に関する議論を巻き起こしている。しかしそればかりではない。発売初日で早くもAmazonのベストセラー・リストのトップに躍り出た。

この本から上がる利益は全額がLeanIn.orgの運営資金に充てられる。これは女性の社会的、経済的地位の向上を目指す国際的なNPOで、賛否議論スタート前から戦わされている。サンドバーグの試みに反対する主張というのは、女性の地位の強化を試みる本の内容に反対というより、著者に対する反感だと思われる。裕福な家庭に生まれてハーバードで教育を受けてた女性は一般女性の現実の苦闘とは無縁だというのだろう。

しかしこれは見当はずれな議論だ。

ちなみにLean Inでサンドバーグは「女性が仕事上で控え目に振る舞おうとするのを止めるべきだ」と励ましている。そして「強引に割り込め。もっと大胆に挑戦せよ」と勧める。サンドバーグは「女性はもっと本音をぶちまけ、もっとアグレッシブにならなくてはいけない」と主張する。サンドバーグは先週末に60 Minutesに出演した際、「男の子ならリーダーシップがあると褒められるはずなのに、私は女の子だったのでbossy〔小生意気な、偉ぶった〕だと言われたものです」と述べた。

実際サンドバーグは組織の階段を登るたびに身をもって女性であるがゆえのの苦労を体験してきたのだと思う。

ただし、他のビジネス上のアドバイスと同様、サンドバーグのメッセージも全女性に向けられたものではない。このことが誤解を生む一因になっているようだ。サンドバーグのメッセージは、ブルーカラーの低所得女性労働者や誰も助けてくれる人がいないので子供の世話以外何もすることができないシングルマザーなどの置かれている状況を改善するものではない。なるほどそうした問題に注意を向けることは重要だが、だからといってLean Inの価値が減じるるわけではない。

この本が想定している読者は、少なくともある程度の所得や資産があり、自分のキャリヤ形成を真剣に考えているような女性たちだろう。その日その日の衣食住をまかなうことで精一杯の女性たちのための本ではない。だが、この本は参政権や中絶の権利のようなすべての女性に等しく関連する問題を扱っているわけではないのだ。そのメッセージがアメリカ中の全女性に当てはまらないとしてもまったく問題はない。この本が呼びかけようとしている種類の女性の幾分かでもアドバイスに従うなら、仕事上で成功する女性の割合が増えるという現実の効果があるだろう。組織のトップレベルでの男女平等の促進というのは追求するに足る重要な課題だ。

しかしこれはもっと広い範囲にわたる問題の一部に過ぎない。男性は家事にもっと「割り込む」べきだろうし、男女を問わず、家庭をもっと大切にできる環境を支える法律や公的政策が必要だ。

Lean Inはもっと早くから議論されるべきであったこのテーマに対する関心の火付け役となるに違いない。しかし議論だけでは終わってはならないだろう。

〔日本版〕 lean in あるいはlean into は字義どおりには「~の方向に傾ける」という意味。"As you walk into the wind, lean in a little bit".( 風に逆らって歩くときは少し前かがみになる。) また自転車やオートバイでカーブを曲がるときに体を傾けることもいう。 「体重をかける」から転じて 「誰(何)かに圧力をかける」という意味にも使われる。サンドバーグの著書では「もっと自己主張してトップを目指せ」という意味で使われているようだ。日本語にすれば「割り込め」というのがニュアンスとして近いかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

イーロン・ムスクのロケットが発射後、垂直着陸に成功―再利用ロケットの実現に一歩前進

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ネタバレ: このビデオにはSpaceXが開発した全長30mのGrasshopperロケットがエンジンを噴射して上昇し、いったんホバリングしてからゆっくりと発射地点に降下して着陸するところが撮影されているだけだ。トータル30秒ほどのフライトだ。BGMにはジョニー・キャッシュのRing of Fireが流れる。

と、それだけだ。何かが爆発したりといった派手なシーンは全くない。しかし今後の宇宙開発にとっては信じられないくらい重要な一歩だと思う。SF映画のような着陸シーンをぜひご覧いただきたい。

この発射は再利用可能ロケットの飛行としてこれまでで最大の成功といえる。上昇高度の262.8フィート(80.1m)も新記録だ。

Grasshopperは発射時にも着陸時にも金属製の脚で垂直に自身を支える。このロケットはSpaceXの長期のロードマップの重要な一環だ。SpaceXはこのロケット(ないしその後継モデル)を実用化する時期については明らかにしていない。2012年の9月からテスト飛行が開始されている。テストは順調に進捗しており、宇宙に実際に飛ぶ日はそのたびに近づいている。

「アメリカは探検家の国だ。やがて宇宙旅行が手の届く値段で提供できるようになることを皆に信じてもらう必要がある」と イーロン・ムスクはSXSWの基調講演で述べている

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

ダイエットまで何マイル?:マウスクリックによるアデノシン三リン酸消費量は195マイクロモル。消費カロリーは1.4カロリー

Image (1) mousey_header.jpg for post 170008ビデオゲームというのはこれでなかなか疲れるものだと思う。「ワークアウト」だと言っても良いと思うのだ。そんなことを思っていたら、日本の出版社がマウスのワンクリックで何カロリーを消費するのか計算してくれていた。

計算結果を掲載してくれたのはPHPサイエンス・ワールド新書の『なんでもカロリー換算』だ。同書によれば、ワンクリック辺りの消費カロリーは1.4カロリーなのだそうだ。計算にあたっては、使用する人差し指の筋肉を10.8立方センチメートル、重さを11.7グラムとして計算している。ATP(アデノシン三リン酸)消費量は195マイクロモルということになった。

この数字が何を意味するのかはよくわからない。まあしかし、成人男性と成人女性の1日あたりの平均消費カロリーは2,000kcalおよび1700kcalということなのだそうだ。メリハリボディを作るためには、どんどんマウスをクリックするべきなのかもしれない。

(via Rocketnews24 and Yahoo! Japan)

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(翻訳:Maeda, H)

Twitter、全発言ダウンロードを英語以外の12ヵ国語でも提供開始

twitter-bird-calloutTwitterがアーカイブ機能(過去に行った全ツイートのダウンロード機能)を、英語以外の12言語に拡張した旨を発表した。対応したのはドイツ語、ペルシア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語、ヒンディー語、ハンガリー語、マレー語、ノルウェイ語、ポーランド語、そしてスペイン語だ。過去の前発言をまとめてダウンロードする機能は昨年12月に実装されている。当初は英語で利用している人に対してのみの公開となっていた。

Twitterのアナウンスはつい先程行われた。

アーカイブ提供を最初にアナウンスしたのは2012年9月のことだった。続いて11月に詳細がアナウンスされた。アーカイブ機能を多言語で提供することにより、さらなるエンゲージメントの獲得と、英語圏以外での利用層拡大を狙うものと言って良いだろう。

尚、海外での収益化の努力も継続中だ。1月には中東および北アフリカでの広告販売を開始している。利用者数については昨年1年で3倍に伸びているのだそうだ。

また詳報が入ってくればお伝えすることとしよう。

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(翻訳:Maeda, H)

Aolの最新CEOお気に入りのTechCrunchライターはマイケル・アリントン



このGIF動画のように、先週Aolはまた新しい経営陣を加えた。Aolブランド事業の専任CEO、Susan Lyneを得て、Aol NetworksのCEO Ned BrodyおよびAol MembershipのCEO Jimmy Maymannとの三頭体制が整った。そして、同社はすばらしい早業で経営陣を1つ減らし、COO Artie Minsonを退任させた。恐らくPatchの予想外の不水振が理由だ。

Aolの組織改訂は常に不可解であり、Aolの決算報告書によるとHuffPostおよびHuffPost Liveのトラフィックと売上は、ブランド事業の売上として計上されているにも関わらず、Huffington PostのボスはArianna HuffligtonでありLyneの配下にない。著名ブランドの一つとして、TechCrunchも実に手ぬるい扱いを受けており、Lyneはわれわれが編集権の独立を維持することを約束している。

「あなたがたは、Aolによる介入を殆どあるいは全く受けることなく驚くほどトラフィックを増やした。助けは必要ないでしょう」と彼女は、就任早々上のビデオにある私のインタビューに答えた。そしてAriannaが部屋にいたからなのか、「Huffington PostにはHuff Post Liveや今後の海外展開など、よく考えられた成長計画がある。一緒にできることはたくさんあるが、私の時間はそこまで成長の早くない分野に費やす方が良い」と語った。

他に、TechCrunchに「水着特集号」の予定がないこと以外で言うこととしては、彼女お気に入りのTechCrunchライターはMichael Arringtonだそうだ。でも彼女は[Ryan] Lawlerを見るまで待った方がいいかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)