Web3企業のURL末尾でみかける「.xyz」とは?

最近、暗号資産会社のウェブサイトにアクセスしたことがあるならば、URLの末尾が、よりお馴染みの「.com」ではなく、「.xyz」になっていたことが多かったのではないだろうか。かつてSquare(スクエア)という名前で知られていたフィンテックのBlock(ブロック)をはじめとして、VCのParadigm(パラダイム)、そしてMirror(ミラー)のようなブロックチェーンのスタートアップに至るまで、.xyzは多くのWeb3企業のURL末尾として活躍している。しかし、それは何を意味しているのだろうか。また、なぜWeb3の世界で使われるようになったのだろうか?

2014年に公開された.xyzの人気が最初に急上昇したのは、その1年後にGoogle(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)が、リブランディングしたウェブサイトに使用することを決定したときだった。そのときAlphabetは厄介な問題に直面していた。素直な.comのURLであるalphabet.comはBMWのフリートマネジメント部門によって押さえられていたし、abc.comも、American Broadcasting Corporationによって使われていたからだ。

そこでアルファベットは、abc.xyzとして店を構えることにした。.xyzの創業者でCEOの30歳のDaniel Negar(ダニエル・ネガリ)は、そのことが彼の「未来的な企業」にとっての「無限のブランディングの機会」を提供してくれたのだとTechCrunchへの電子メールで語った。現在.xyzは、同社のDNSデータによると、トラフィックで世界トップ5のトップレベルドメイン(TLD) の1つになっている可能性がある。

ネガリ氏によれば、.xyzは「世界中のユーザに、自分のドメイン名に関する競争と選択の機会を提供する」ために作られたもので「固有の意味を持たない、真に汎用的な初めてのドメイン拡張子」ということだ。「.com」は商業用(commercial)、「.net」はネットワーク用(networks)、「.org」は組織用(organizations)とされているが、ネガリ氏は、これらのカテゴリーにきちんと当てはまらないと感じているユーザーや、目立ちたいと思っているユーザーのために、.xyzを提供することを目論んでいた。

ネガリ氏は「『for every website everywhere(あらゆる場所のあらゆるウェブサイトのために)』という私たちのモットーが市場に受け入れられたのだと確信しています」と語る。「すべての人とすべてのものに対するオープン性と包括性という私たちのモットーは、xyzをドメインとして採用している創造的な思想家のコミュニティに浸透しています」。

.xyzとWeb3の出会い

ネガリ氏は積極的な暗号資産投資家で、Gemini(ジェミニ)、MoonPay(ムーンペイ)、BlockFi(ブロックファイ)など、この分野に「多数」の投資を行っているという。暗号資産に興味があった彼は、イーサリアムネームサービス(ENS)の生みの親であるNick Johnson(ニック・ジョンソン)氏に連絡を取り、協業を持ちかけた。

「この歴史的なコラボレーションにより、アーリーアダプターは.xyzドメインをウォレットアドレスとして使用することができるようになりました」とネガリ氏は述べている。

.xyzの創業者でCEOのダニエル・ネガリ氏(画像クレジット:XYZ)

ENSは、ユーザーが自分のすべての暗号アドレスに共通のニックネームを与えることを可能にし、検索可能なデータベースが提供されることで、さまざまなプラットフォームに存在する暗号ウォレットや取引に、より簡単にアクセスできるようにする。ユーザーは、ソーシャルメディアハンドルやその他の個人情報をENS中で共有するために、ネイティブな.ethドメインまたは.xyzドメインを使ってプロファイルを作成することができる。

.xyzは、ENSと協力し、暗号コミュニティと連携する方法を模索し続けている。今週同社は「eth.xyz」サービスのローンチを発表した。このサービスはネガリ氏によると、.ethの名前の最後に「.xyz」を付けるだけでENSデータベースを検索する代わりに個々のENSプロファイルを検索できるようになるというものだ。

ENSは、暗号資産保有者がイーサリアムを使って自分の好きな名前のドメインを購入できるようにすることで、インターネットをアイデンティティ構築のツールとして活用したいというユーザーの欲求を創造的に収益化したのだ。たとえばShopify(ショッピファイ)のCEOであるTobi Lütke(トビー・ラトカ)氏は2021年12月初めに、ENSのドメイン名であるtobi.ethを30 etherで買収したが、これは買収時点で12万ドル(約1380万円)以上に相当する。

.xyzドメインは現在、インターネット規制当局であるICANNによって管理されているDNS(ドメインネームサービス)システムの管轄下にあるが、いくつかの団体がWeb3を支えるために、DNSに代わる分散型の代替システムを開発しようとしていることを、TechCrunchのAmanda Silberling(アマンダ・シルバーリング)記者が報じている。.xyzがWeb3企業と積極的に連携する戦略は多くの新たな収益化の機会を提供する可能性がある。それは現代のインターネットユーザーがドメインの所有権を新たに主張しようとする際に、分散化されたウェブにおけるアイデンティティとオーナーシップから生じる収益化の機会だ。

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.xyzはブログを運営して、.xyzで終わるドメイン名を選んだ企業を紹介している、その多くがWeb3ネイティブだが、なぜそうしたのかの理由も書かれている。

中には、単純な物流上の理由で使用を選んだものもある。たとえばDeFi(分散型金融)プラットフォームのMatchaは.xyzというウェブ拡張子を使うことでネーミングの選択肢が増えたと説明しているし、イーサリアムデータツールのDune(デューン)はより簡潔なウェブアドレスが可能になるからという理由で .xyzを選んだのだという。

そのドメインは、誰でも購入することができるが、他のドメインと比較しても比較的リーズナブルな価格で提供されている。そのために、.xyzは1.111Bと呼ばれるクラスのドメインを立ち上げた。ネガリ氏によれば、これは6桁から9桁の数字のドメインで、年間99セント(約114円)〜で利用できる。

利便性やアクセスのしやすさだけでなく、Web3を構築する人たちの中には、.xyzを新しいインターネットを構築するという野心の象徴として捉えている人もいる。

「私たちが.xyzを選んだのは、分散化とWeb3アプリケーションの新しい波を象徴しているからです」と書くのは分散型自治組織Agora DAO(アゴラDAO)の創立者であるRéka(レカ)氏だ。

ネガリ氏は、アフター.com時代の次世代のオンラインイノベーションを代表する.xyzの文化的な重要性が、おそらく同社の最も重要な属性の1つであることを認めている。

ネガリ氏は「このコミュニティは、現状を打破して未来に向けて積極的に行動する、数十万から数百万の個人や中小企業で構成されています」と語る。「非営利団体である必要も、営利法人である必要もありません。何であっても、誰であってもいいのです」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:sako)

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

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Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

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「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

米国憲法の原本をめぐるConstitutionDAOによる大胆でユニークな暗号資産入札は失敗に

米国憲法の原本は13部現存している。その1部がアートディーラーのSotheby’s(サザビーズ)のオークションに出品された。2021年11月半ば、ある自立型分散組織(DAO、Decentralized Autonomous Organization)が、インターネットの注目を集めた激しい入札合戦の末、その落札に敗れたことを発表した。それでも、インターネット上で出会った人々のグループであるDAOの大胆な台頭は、単一のミームとオークションで多くの人々を一度に暗号資産の世界に巻き込むという、ユニークなケーススタディだった。

Twitter(ツイッター)上では、同グループの一部のメンバーがライブのTwitter Spaces(スペース)チャットで誤って勝利宣言し、短時間の興奮が沸き起こった後、同グループは結局敗北したことが声明で発表された。その声明によると、同グループは「72時間以内にクラウドファンディングによる最高額の記録を破った」という。

あるオーガナイザーは、グループのDiscord(ディスコード)チャンネルで、文書の維持と管理に必要な予備費を継続的に確保するための十分な資金を調達できなかったために敗北したと述べている。同グループの説明では、ConstitutionDAOの参加者はガス代(取引手数料)を除いて返金を受けることができる。参加者にまだ与えられていないガバナンストークンがあるという事実を踏まえると、一部のメンバーがグループに残りたいと思った場合、金銭の返還はさらに複雑になる可能性もあるだろう。

アトランタ在住で金融関係の仕事をしているAustin Cain(オースティン・ケイン)氏とGraham Novak(グラハム・ノバック)氏は、Discordのチャットから始めてこの取り組みに着手した。現在では8000人以上のメンバーが参加している。ローンチから一週間もたたないうちに、このDAOは初期段階のDAOプラットフォームJuiceboxで4000万ドル(約46億2000万円)相当のETHを調達した。

この取り組みは、主にTwitter、そして膨れ上がるDiscordサーバーを介して展開されており、所有権の共有と透明性が原則となっているWeb3ユニバースの中で、コミュニティの取り組みがどのように見え、感じられるかを知るための窓のような存在になっている。DAOの構造がもたらすオポチュニティは広範な関心を呼び起こしている。DAOのトレジャリーが管理する価値は、一部の推計によると、現在60億ドル(約6930億円)を超えている。

先週、Daniel Monteagudo(ダニエル・モンテアグード)氏は、ある友人から、ETHを使って憲法を購入しようとしている人々との3分以内に始まるコールに参加したいかどうか尋ねるメッセージを午後7時57分に受け取った。同氏は見ていた映画を途中で切り上げ、コールに参加し、その運動を支援することにした。これまでに1000ドル(約11万5000円)を投じ、現在はConstitutionDAOのTwitterアカウントを運営している。

大部分のDAOとは異なり、ConstitutionDAOはトークンゲートではないため、コミュニティを求めてDiscordに参加する人は組織に投資する必要がない。例えばBored Apes Yacht Clubのように、会員制のコミュニティにアクセスするためには高価なNFTを買う余裕がなければならないのとは別物である。

「実に奇妙なことです」とモンテアグード氏は、これまでにGrimes(グライムス)氏を含む1万9000人を超えるメンバーが参加しているこのDAOプロジェクトの勢いについて触れ、次のように語った。「ただ、人々は特定の目標に向けて行動を起こすために巨額の資金を迅速に調達できることに興奮を覚えているのだと思います」。

サードパーティのダッシュボードを用いて、ConstitutionDAOのコントリビューターの13%がETHを初めて利用しているとモンテアグードは推計している。同プラットフォームによると、ConstitutionDAOに貢献した人の約44%は、自分の名義でのトランザクション数が40に満たないという。

人々を暗号資産へと駆り立てる魅了感は、劇場的に見えるかもしれないが、それはConstitutionDAOの刺激的な副作用である。人々に分散化されたコミュニティのインパクトと感触を理解する方法を与えると同時に、米国憲法が抽象的アート作品よりも優れているかもしれないというふうに、彼らの感情に訴えかけてくるものだ。

「DAOは、世界中から集まった大勢の人々が一緒に活動することを支援します。企業もこれを行うことができますが、設立には時間がかかる傾向があり、国境を越えて人々に報酬を支払うことは困難な場合があります」と同氏はいう。「DAOを使用すると、世界規模の組織を簡単に構築できます」。

新規ユーザーの多さはエキサイティングかもしれないが、それはまた、新しい暗号資産を教育する責任が誰かに生じることを意味している。例えば、初期の段階では、コントリビューターが自分の資金がどのように使われるかを正確に理解できるように、ConstitutionDAOチームはピッチを「憲法の一部を所有する」から「ガバナンストークンを取得する」に変更する必要があった。

「多くの人々、例えば3000人が暗号資産に参入した理由は憲法(の原本入手への参加)であると考えていますので、そうした人々がうまく暗号資産を利用していけるようにする責任を感じています」とモンテアグード氏は語っている。

Upstream(アップストリーム) の創業者Alexander Taub(アレクサンダー・タウブ)氏は「DAO」という言葉を完全に廃止したいと考えている。その代わりに同氏の会社は、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)のやり方に倣い、その構造に「collective(共同体)」という呼び名をつけた。

「私たちは車輪を再発明(不要あるいは冗長な準備を行うこと)しているのではありません。友達とお金をプールすることは長い間行われてきており、コミュニティに支払うことも以前から行われています」とタウブ氏はいう。その代わり、DAOは2つのうちの1つを望んでいる個人の賭けである、と創業者は続けた。お金を稼ぐか、コミュニティの中で所有権と透明性の感覚を得るかだ。後者の方が有望ではあるが「今はあまり研究されておらず、話題にもなっておらず、議論もされていない」ように感じられる。

これはUpstreamが先に、DAOs-in-a-boxを提供するプラットフォームを開発していることを発表した理由の一部である。同氏が構想している世界では、collectiveのメンバーが共通のETHウォレットに資金を寄付したり、資金の使用方法に関する提案書を作成したり、意思決定について投票したり、コミュニティ内でより多くの投票権を持つ代表者を選んだりすることができる。DAOを設定するためのフルスタックスポットを作ることで、ガバナンスとコンプライアンスがより明確になるとタウブ氏は考えている。

「Upstream collectiveは、多くの人々が初めてDAOに参加し、 MetaMask(メタマスク)ウォレットでEthereum(イーサリアム)を使い、それを快適に活用していける場となるでしょう」とタウブ氏。「一般的に言って、より多くの人がお金がどう動くかの未来を理解するのは良いことです。私たちはすでに隔たりを越えているのです」。

Upstreamは、DAO開発を加速させようと奮闘している複数のスタートアップのうちの1社にすぎない。Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ)は8月にDAOのツールビルダーであるSyndicate(シンジケート)を支援し、Utopia Labs(ユートピア・ラボ)は10月にDAOオペレーティングシステムのために150万ドル(約1億7300万円)を調達した。

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ConstitutionDAOのようなグループは、DAOの支持者たちに新しい構造を約束しているが、彼らは新規の暗号資産テクノロジーに対する一般的な批判を免れない。一部の人は、ConstitutionDAOを単なる見せかけの購入の1つにすぎないと見ており、文書の購入に費やされた数百万ドル(数億円)の代わりとなる用途が膨大にあると指摘している。

注目を集める仕組みは、NFTのような新テクノロジーの力を人々が理解するのに役立ってきたが、それだけが暗号資産の魅力ではないし、そうあるべきでもない。とはいえ、新しいテクノロジーの黎明期にはよくあることだが、暗号資産を使いこなせない人々にアピールするイベントは、不完全ではあるが教育に役立つ可能性がある。

DAOは、貴重な歴史的文書を入札するだけでなく、さまざまなユースケースを想定している。MirrorのようなクリエイターのDAOは、人々が自分の仕事を部分的に収益化することを可能にし、PieDAOのようなプロジェクトは、企業がするようにビジネス上の意思決定をするためにその構造を使用する。Uniswap(ユニスワップ)やAAVE(アーべ)など、ほとんどの有名なDeFi(分散型金融)融資プラットフォームはDAOによって管理されている。

1回限りの購入を目的に設立されたDAOの中には、その後、対象範囲を広げたものもある。例えば、PleasrDAOはもともとUniswap NFTのアートワークを購入するために設立されたが、その後DeFiに進出し、インキュベーターを立ち上げた。非常に多くの牽引力を得ており、豊富なリソースを集めていることから、ConstitutionDAOも容易に同じことができるだろう。

タウブ氏は、公共の利益になるようなDAOの長期的な利用の可能性を考えている。例えば、地方自治体では、市の住民が財務省の資金の使い方について直接投票することができる。しかしタウブ氏はまた、その新しさと、白人で男性であることで知られるWeb3コミュニティとのつながりを考えると、DAOにはまだまだ長い道のりがあることを認めている。

多くのDAOを支えているガバナンストークン構造が、個人の寄付額に基づいて投票権を割り当てていることは注目に値する。ConstitutionDAOは将来この構造を採用すると思われるが、現時点ではConstitutionDAOのDiscordチャットは誰でも利用できる。DAOは透明性と所有権を提供しているが、より大きな利害を持つことができない人々はグループの決定に対して同じレベルの発言権を持たないことから、DAOを民主的と呼ぶのは無理があるかもしれない。

また、他の新しいWeb3テクノロジーと同様に、DAOは正式な監督や規制がほとんどない状態で大規模な資本移転を促進する。自分たちが提供するコミュニティのビジョンに惹かれている人たちは、お金を失ったり、詐欺の被害に遭ったりすることに不安を抱くかもしれない。

DAOへの参加は、今日存在する規制のグレーゾーンを考えると、大きなリスクをともなう可能性がある。米国のほとんどの州では、DAOは具体的な法的構造によって規制されていないため、プロトコルの開発者と参加者は、規制を受ける企業の株主に比べて高い責任を負っている。

これらの障壁が克服されるまでは、DAOは、企業や社会の強固な構造に重大な脅威を与えるというよりも、むしろソーシャルグループやConstitutionDAOのようなニッチコミュニティを中心に据えている可能性が高い。しかし、インフラが整備されれば、ニッチなアイテムを購入したり、インターネットで楽しんだりする暗号資産に関心のあるユーザーのグループから、企業のように振る舞うものの、意思決定においてより機敏で包括的な役割を果たすことのできる本格的な共同体へと、DAOは変化するかもしれない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】Web3の根拠なき熱狂

2021年最もホットな新規テクノロジーの用語は間違いなく「Web3」と「メタバース」であろう。前者はブロックチェーンをベースにした分散型のウェブを指し、後者はインターネットと拡張現実および仮想現実を組み合わせたものである。ある時点で、これらの概念が融合する可能性がある。もちろん、その概念が何かに変わることがあればの話だが。

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突如として、2021年内のどこかからか、私たちはこれらの用語を所与のものであるかのように使い始め、そして私たちは誰もがその変化を内々に知っていた。ソーシャルテレフォンの巨大ゲームのように、ブロックチェーンは「Web3」になり、ARとVRは「メタバース」へと姿を変えたのである。

だが、ブロックチェーンのアイデアは何年も前から概念として存在していた。Bitcoin(ビットコイン)が2008年にデジタル通貨のアイデアのための台帳として利用することを決めたずっと前のことだ。

筆者がエンタープライズ分野でブロックチェーンの概念を取り上げ始めたのは2017年のことである。ある同僚が、ブロックチェーンは次の大きな要点になる、反論の余地のない記録を通じて信頼を確立する手段になる可能性があると指摘したのだ。最初は興味深かったが、問題を探す解決策として言及されることが多く、結局興味を失った。

筆者がエンタープライズにおけるブロックチェーンについて書いた2018年の記事には、以下のように記してある。

関連記事:エンタープライズ市場に臨むブロックチェーン――仮想通貨以外の可能性

現在、ブロックチェーンには過度な期待が寄せられている(ハイプサイクルの「過度な期待」のピーク)ため、同テクノロジーを真剣に取り合えないでいる人は多い。しかしそのコアとなるデジタル台帳テクノロジー自体には、ビジネスにおける信頼性の考え方を大きく変える力が秘められている。とは言え、まだブロックチェーンは黎明期にあり、エンタープライズ市場で受け入れられるにはまだ欠けているものがたくさんある。

当時、筆者はいくつかの有望なスタートアップについて書いた。IBMやSAPなどの大企業でブロックチェーンを担当している人たちと、ブロックチェーンベースのソリューションをエンタープライズに導入するアイデアについて話をした。実際、筆者自身もかなり興奮していたが、現実よりもハイプであることに気づき、先に進んだ。それが3年後に戻ってきたのである。そして再び、次の大きな要点となり、それに合わせて新しい名前が付けられた。

英国のエンジニアでブロガーのStephen Diehl(スティーヴン・ディール)氏は、Web3という名称は同じ問題を抱えた同じテクノロジーを再パッケージ化したものだと考えている。「Web3は本質的に、暗号資産に対する一般の人々の否定的な連想を、旧来のテック企業の覇権の崩壊に関する虚偽の物語に組み込もうとする、気の抜けたマーケティングキャンペーンである」と、ディール氏は2021年12月4日のブログ投稿に書いている

つまり同氏が言っているのは、Web3の提唱者たちは、分散化によってAmazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、Facebook(フェイスブック)などの大手インターネット企業の力が弱まり、ユーザーに還元される可能性があると主張している、ということである。しかしその可能性はあるのだろうか?

ペンシルバニア大学ウォートンスクールの教授で「The Blockchain and the New Architecture of Trust(ブロックチェーンの技術と革新~ブロックチェーンが変える信頼の世界)」の著者でもあるKevin Werbach(ケビン・ワーバック)氏は、このテクノロジーはハイプの域を出ていない可能性があり、現在のデジタル資産の人気は、まだビッグテックの脅威にはなっていないと述べている。

「Web3はある意味、さまざまなブロックチェーンや暗号資産関連のミームまたはマーケティングブランドであり、すでに存在していたものです。数年前のエンタープライズ向けブロックチェーンの波のように、Web3は普及という点では実際よりもはるかにハイプのレベルが高くなっています。多くの人々が暗号資産を取引してNFTを購入していますが、それは必ずしも、彼らが主要なテクノロジープラットフォームに代わる分散型の代替を採用していることを意味するものではありません」と同氏は語っている。

しかし、Linux Foundation(リナックス・ファウンデーション)の研究担当VPで、トロントにあるThe Blockchain Research Instituteに3年間在籍したHilary Carter(ヒラリー・カーター)氏は、Web3のハイプを受け入れるためのスケールの準備ができている、有望な一連のテクノロジーを見出している。

「Web3は、ブロックチェーンというイノベーションなしには存在することすらできなかったでしょう。初期の失敗によりこのテクノロジーが却下されることがあまりにも多かったため、その道のりは容易ではありませんでした。それでもこうした失敗が、イノベーションを推し進め、スケールのような問題に対処したのです」とカーター氏は筆者に語った。

数年前にブロックチェーンの報道で目にしたスケールと持続可能性に関する問題は、その後の数年間で解決されたと同氏は述べている。「これらの問題が解決されたことで、今日ではブロックチェーンのエコシステムが成熟し、国家は『中央銀行のデジタル通貨』の構築を進めています。これはおそらく、最大のスループットを必要とするユースケースでしょう」と同氏は話す。

確かに、金融機関はこのテクノロジーを受け入れている。Deloitte(デロイト)の年次ブロックチェーンサーベイによると、回答者の80%近くが、今後2年以内にデジタル資産が業界にとって重要になる、あるいはある程度重要になると考えている。また、パンデミックの中でデジタル変革が加速しており、それに対応してデジタル通貨の普及が進んでいるとの見方も根強い。

デジタル化が進む世界でのデジタル通貨というアイデアは、確かに理に適っているが、支持者らが示唆しているように、ブロックチェーンが現在のインターネットインフラを置き換えることを含め、幅広いユースケースをサポートできるというのは、飛躍が過ぎるかもしれない。

ディール氏はそうは思っていない。「計算ベースでは、ブロックチェーンネットワークは、置き換えるために設計されたと言われている極めて金権的で中央集権的なシステムと同じものになることでしか、拡張できない」と同氏は記している。

しかしカーター氏は、デジタル通貨とその他の用途の両方に余地があると考えている。「そうです。私はデジタル通貨とブロックチェーンの両方の実装が大幅に進歩すると見ています」と同氏は述べている。

ワーバック氏は、有望な例がいくつかあるが、全体的な概念としてはWeb3に懐疑的になる理由があると付け加えた。

DeFi(分散金融)のようなスクラッチから構築された新しいシステムは、レガシーファームの問題は抱えていないものの、スケーリングとマスアダプションの課題に直面しています。いわゆる『Web3』ソリューションの多くは、見かけほど分散化されていません。一方で他のソリューションも、マスマーケットに十分なスケーラビリティ、安全性、アクセス性をまだ示していません。それは変わるかもしれませんが、こうした制限がすべて克服されるとは言い切れません」と同氏は語っている。

そこが問題のところなのだ。Web3がマーケティングのスローガンであろうと、真のテクノロジートレンドであろうと、その背後には確かに多くの資金とテクノロジーが存在する。しかし、まだかなりの障害や課題が残っていることは明らかであり、Web3がそれらを克服し、最新のハイプサイクルに対応できるかどうかは、時が経つことで明らかになるだろう。

画像クレジット:Tolga_TEZCAN / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

NFT活用のブロックチェーンゲームMy Crypto HeroesがDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

NFT活用のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」がDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)の運営・開発を行うMCHは12月21日、国内でブロックチェーンゲームのDAO(自立分散型組織)型外部コミュニティの提供を行うForN(フォーン)とパートナーシップを締結したと発表した。2022年1月早期リリース予定としているマイクリの新たなエコシステム「My Crypto Heroes -Rays Mining-」の展開に際し、相互のマーケティング支援を含め連携する。

同パートナーシップにおいては、「ForNが組成するコミュニティにおけるMy Crypto Heroes -Rays Mining-の普及、スカラーシップモデルの拡大」「グローバル展開を見据えた相互サポート」を中心に、幅広く今後の連携を行うことに合意したという。

マイクリは2018年11月のローンチ以降、「ヒーロー」「エクステンション」「ランド」と呼ぶ3種のNFTを軸としてゲーム内のエコシステムを形成。また、2020年10月にはガバナンストークンとして「MCH Coin」(ERC-20)をリリースし、ユーザー主体のDAO型ブロックチェーンゲームの創出に向けて開発を進めてきた。

またローンチ当初より「ヒーローNFTは最大でも200種までしか販売しない」としており、公約通り2022年1月11日のセールをもってヒーローNFTはすべての販売を終了する。現在に至るまで価値を高め続けてきたヒーローは、今後ユーザー需要の拡大に対して供給量は一定を保ち続けるため、より一層貴重なNFTとなるとしている。

ただ一方で、マイクリのプレイに必須となるヒーローNFTの価値が高まることは、同時に新規ユーザーの初期投資額が上がり、ひいては参入障壁が上がることを意味するという。

このため、My Crypto Heroes -Rays Mining-では、供給量を無制限とするNFT「Soul」とFT「RAYS」を軸とし、高額な初期投資を必要としないマイクリのエントリーレベルのコンテンツとしてリリースする。

バトルシステム、UIなどは現在のマイクリのものを踏襲しており、エントリーレベルとしてMy Crypto Heroes -Rays Mining-をプレイしながら、本流のマイクリエコシステムへの接続もスムーズになる設計を採用しているという。

またMy Crypto Heroes -Rays Mining-では、「Free to Play」のスカラーシップモデルを前提としたエコシステム設計となっており、NFT保有者は全世界のユーザーに対してNFTを貸し出し、収益をシェアすることが可能となっている。スカラーシップモデルとは、NFT保有者がゲームプレイを請け負うユーザー「スカラー」に投資を行い、スカラー側はこれにより獲得した収益の一部をNFT保有者に還元するというものだ。

Z Fellowsが暗号資産関連の起業家を募集中、その熱量を重視し1週間のプログラムで約113万円提供

資本力は起業するための助けとなるかもしれないが、そもそも大きなことを考えるために必要な活性化エネルギーがなければどうだろう?Cory Levy(コーリー・レヴィ)氏は、後者の方が重要だと考えている。

創業者と投資家を円滑に結びつけるためのサービスを提供するFirst Text(ファースト・テキスト)を起業したレヴィ氏は2020年、そんな自分の考えを試すためにZ Fellows(Zフェローズ)を起ち上げた。このアクセラレーターでは、1週間のサバティカルプログラムを用意し、志の高い創業者には、上限10億ドル(約1130億円)の任意の株式として1万ドル(約113万円)の小切手が提供される。

「これまで最高のプログラムは、Y Combinator(Yコンビネータ)でもThiel Fellowship(ティール・フェローシップ)でもそうですが、学校を中退したり、離職してアイデアに取り組んだりと、高いコミットメントと人生の大きな決断を必要とするものでした」と、レヴィ氏は説明する。「そんなことをせずに、2、3日、あるいは1週間ほど費やすのならばどうでしょう。生活に大きな支障はあるでしょうか。気に入ればすばらしいし、気に入らなくても害や不都合はないでしょう」と、同氏はいう。

4つのコホートとともに、Z Fellowは、計算されたリスクと活性化エネルギーを、(予想通り)暗号資産の世界にもたらすというビジョンの拡大を発表した。

現在、応募を受け付けているこの新しい暗号資産に特化したアクセラレーターは、依然として従来のベンチャーキャピタルのチェックが付くものの、規制に対応する方法から、分散型の世界でテクノロジーを活用するための最善の方法まで、この分野における多くのノウハウについて、それぞれに合わせたプログラムが用意される。さらに10億ドル規模の暗号資産企業に関わっている創業者や投資家が、メンターシップや講演、毎日のスタンドアップに参加するという。

これは、さまざまな分野に焦点を当てた垂直型アクセラレーターの第1弾となる可能性がある。また、レヴィ氏はこれが、何十億ドル(数千億円)もの資金が投入され(そしてさらに何十億ドルもの資金が計画から調達される)暗号資産にとっては、その場しのぎ的なものであると考えている。同氏は、暗号資産インフラストラクチャ、NFT(非代替性トークン)、DAO(分散型自律組織)、DeFi(分散型金融)プロトコル、ゲームなどに取り組むスタートアップを探している。

Z Fellowsは、Y Combinatorほどの賛同者を必要としないため、品質保証が問題となる可能性はある。とはいえ結局のところ、起業の夢に手を出そうと思うなら、1週間のPTO、1万ドルの小切手、低リスクのチャンスに惹かれない人はいないだろう。現在、Z Fellowsの約3分の1は、女性、有色人種、移民など、過小評価されやすいグループ出身の起業家で占められている。

今のところ、創業者のレヴィ氏は、厳しい審査をするよりも、アイデアを試すように人々を促すことに重点を置いている。同氏は今でもすべての参加者を自分で面接する。資本が豊富な今日の環境において、Z Fellowsを際立たせているものは、期限を定めたフェローシップとメンターシップの特質であると、レヴィ氏は考えている。

「彼らは資金を必要としていないかもしれませんが、メンターシップや賢人たちのネットワークは、常に価値あるもの1つだと思います」と、レヴィ氏はいう。「それは、Web 2.0においてもWeb 3.0においても、当てはまることです」。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LINEが米韓で新組織「LINENext」設立、グローバルNFT市場サービス来春開始に向けて準備中

Zホールディングスの完全子会社で、メッセージングアプリを提供する日本の企業LINE株式会社(ライン、LINE Corporation)は、新組織「LINENext」を通じて、日本を除くグローバル市場で企業や個人がNFTを取引するためのマーケットプレイスを提供するため、2022年からNFTサービスを開始する。LINEは別途、日本市場に適合した「LINE BITMAX Wallet」を通じてNFT市場のベータ版を運用していると、LINEの広報担当者は述べている。

LINEは先週、グローバルなNFTエコシステムの拡大に注力するため、韓国と米国にLineNextを設立したことを発表した。

約100名の従業員を擁する韓国のLineNextでは、グローバルNFTプラットフォームの戦略・企画、米国のLineNextでは、NFTプラットフォーム事業の開発・運営を行っている。広報担当者によると、米国オフィスの従業員は55名だという。

LineNextはプラットフォームプロバイダーであるため「トランザクションの仲介手数料が主な収益源となり、将来的には他の追加収益源も予定しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。

LineNextは現在、約20社のグローバルパートナーと提携の可能性について協議していると同担当者は述べている。

LineNextの新しいグローバルNFTプラットフォームは、世界中の企業やクリエイターが市場を構築し、一般ユーザーがNFTを取引するためのコミュニティやエコシステムを構築することをサポートする。

LINENextのCEOに就任したLINEアプリ製品(およびLINEフィンテック企業)のチーフプロダクトオフィサーYoungsu Ko(コ・ヨンス)氏は、こう述べている。「NFTは、デジタル分野を変革し、コンテンツ、ゲーム、ソーシャル、コマースなどのあらゆる分野でユーザーエクスペリエンスを革新する、一種の技術インフラです。LINEはイノベーターとして10年以上の実績があり、アジアで最も人気のあるテック企業の1つとなっています。当社はグローバルパートナーとともに、エキサイティングな新分野であるNFTにおいても同じことを目指していきます。韓国オフィスはNFTプラットフォームのグローバル戦略、米国オフィスはNFTのビジネス面に注力します」。

LINENextは、メッセンジャーやブロックチェーンサービスを開発・成長させてきたLINEの豊富な経験を活かし、企業、クリエイター、ユーザーのNFT体験を変革することを目指している。

LINEは、2018年にLINE Blockchain Labを設立して以来、暗号資産「LINK」を発行し、暗号資産取引所であるLINE BITMAXを日本で、BITFRONTをグローバルで運営している。また、ブロックチェーンサービス開発プラットフォームである「LINE Blockchain Developers」を運営し、日本ではLINE BITMAX Wallet上にNFTマーケットのベータ版を開設している。

すでに130万件以上のNFTが、ZEPETO(ゼペット)や電通などさまざまなブロックチェーンパートナーによって発行され、知的財産やコンテンツ、ゲームなどが紹介されているという。

画像クレジット:screenshot / LineNext

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

北京の裁判所がビットコインのマイニング契約を「無効」と判決

暗号資産投資家ならよく知っているように、中国はすべての暗号資産取引を違法とし、暗号資産マイニング活動も違法行為だと宣言している。最近出された、裁判所の判決は、ビットコインマイニング活動を可能な限り抑制するという政府の姿勢を改めて示したものだ。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

裁判所からの通達によれば、中国時間12月15日、北京の朝陽区の裁判所は、ビットコインマイニングからの支払いの遅延をめぐる契約紛争を審理し、サービス契約は「無効」であるとの判決を下した。

原告は、被告である契約したマイニング会社が、中国時間12月15日時点で約1800万ドル(約20億5000万円)相当の278.1654976ビットコインを支払わなかったために、法廷へ持ち込んだのだ。

告示によると、北京の裁判所がビットコインのマイニング契約を無効と宣言したのはこれが初めてだという。判決に続いて、裁判所は、事件で言及されたマイニングが行われたエネルギーの豊富な四川省の関係当局に、似たような他の活動を「パージ」するよう要請した。

裁判所の判決は、驚くことではないが、海外企業に中国の暗号資産会社との取引を思いとどまらせる可能性がある。中国はすべての暗号資産の取引、交換、投資を違法と見なしているが、多くの暗号資産会社は、海外の顧客にサービスを売り込みながら、依然として国内でエンジニアリングと運用を継続している。

中国は2019年という早い時期に暗号資産のマイニング禁止を検討し始め、2021年にはその実施を本格的に強化し始めた。9月には、中国の国家計画立案者である国家発展改革委員会から、暗号資産のマイニングは「エネルギーを大量に消費し、大量の炭素排出を生み出し、経済にほとんど貢献しない」との通達があり、そのような活動は「排除されるべきである」と述べられている。

問題となった署名済の契約は「社会および公共の利益を損なうため、無効である」と北京裁判所は述べている。そのため、それに関連する権利と利益は「法律によって保護されるべきではなく」、関係する当事者は彼らの行動の「結果を負うべきである」ということなのだ。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

画像クレジット:Sapphire / Getty Images

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

ウータン・クランの幻のアルバムを手に入れたNFT投資家グループをアンドリーセン・ホロウィッツが支援

Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のアルバム「Once Upon a Time in Shaolin」や、Doge(ドージ)のオリジナル写真データのNFT(非代替性トークン)を購入した暗号資産集団に新しいメンバーが加わった。ベンチャーキャピタル会社のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)だ。

同社はTechCrunchに、PleasrDAOへの投資を行ったと述べている。PleasrDAOは、ブロックチェーンで連合したグループで、数十人の暗号資産投資家がチームを組み、ここ数カ月で高額なNFTを次々と購入している。このグループが購入したものには、4億円以上(正確には1696.9ETH)で落札した後、後に細分化して暗号コミュニティに販売した有名なDoge画像がある(現在の時価総額は100億円以上と見られている)。また、このDAOはEdward Snowden(エドワード・スノーデン)の作品に約5億5000万円(2224ETH)、ウータン・クランのアルバムに400万ドル(約4億5000万円)を払っている。

DAO(decentralized autonomous organization、自律分散型組織)とは、基本的にブロックチェーンの投票メカニズムを中心に形式的に組織されたグループで、意思決定や資本投資を行うというものだ。

A16z Crypto(アンドリーセン・ホロウィッツの暗号資産投資部門)によるPleasrDAOへの投資は、彼らが公に発表した組織タイプへの最初の投資というわけではない。

同社は10月、Friends With Benefits(FWB、フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)というDAOに投資を行い、これを1億ドル(約114億円)と評価している。Andreessen Horowitzは、PleasrDAOへの投資規模を明らかにしなかったが、評議員のSantiago Santos(サンティアゴ・サントス)氏は、このDAOの管理トークンに対する彼らの全体的な出資額が「5%未満」だと明言している。

他の多くの暗号資産グループと同様に、PleasrDAOはそれが形成されたとき、非常に特異な野心を持っていた。それは、デジタルアーティストによる作品に入札すること。この場合はpplpleasrの作品だ。この作品は、分散型取引所プラットフォーム「Uniswap(ユニスワップ)」のアニメーションビデオ広告だった。このグループは、暗号資産創設者のLeighton Cusack(レイトン・キューザック)氏がオークションへのリンクをツイートし「誰かこれに入札するクイックDAOを作りたい人はいませんか?」と尋ねたことをきっかけに、3月に結成された。同グループは最終的に310ETH(当時約5800万円)で落札し、購入代金はすべてチャリティーに充てられた。

「DeFiの最も賢い頭脳の多くがここにいる、これを本当におもしろい方向に持っていく機会がある、と私たちはすぐに考えました」。サントス氏はTechCrunchにそう語った。「時間が経つにつれて、もっと構造と階層が必要だと感じられるところまで、このDAOは成長したと私は思います」。

このグループはその後も投資を続け、ポートフォリオを充実させるとともに、支援できる新しいアーティストの発掘を目指している。サントス氏は、このグループがNFTの「メディチ家」になることを目指していると語る。それは「多くのデジタルネイティブアーティストが集まり、参加や発見ができる場所」だという。

「DAOはWeb3と暗号資産の最も純粋に近い現れ方です」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤーヤ)氏はTechCrunchに語った。

a16zは早くから暗号資産に取り組んできたが、この分野の創業者や開発者ネットワークの近くで活動するいわゆる「暗号ネイティブ」な投資ファンドの台頭により、a16zのような従来型の企業にはDAOのような新しいグループをより大胆に支援する必要性が生じてきた。Andreessen Horowitzは、方針や規制に関する懸念など、PleasrDAOを支援できる領域がたくさんあると見ている。DAOは現在、プールされた資本の規制されていない投資ファンドとしてグレーゾーンで運用されているように見えるからだ。

A16zのこのグループへの賭けは、多くの意味で、同グループがすでに大きく賭けているNFTへのレバレッジ賭けである。

A16zは2021年、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)や、大手NFTゲーム起業のSky Mavis(スカイメイビス)、NFT音楽プラットフォームのRoyal(ロイヤル)などに出資した。また、高価なNFTの買い取りに特化した1億ドルのベンチャーファンド「Meta4」にも参加している。これらの投資は、同社が2021年の夏に起ち上げた22億ドル(約2500億円)の巨大な暗号資産特化ファンドから行われている。

「NFTの可能性を過小評価することは簡単です」と、ヤーヤ氏はいう。「NFTが巨大化し、将来的にすべてのNFTの時価総額の合計が、代替可能トークンの時価総額よりも大きくなる可能性は十分にあります」。

関連記事:JPG画像に100億円?希少価値のある優良NFTプロジェクトを買い漁るMeta4 Capitalの狙い

画像クレジット:PleasrDAO

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

関連記事
Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収
CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbase、NFTコレクションをブラウザウォレットで閲覧可能に

暗号資産取引所で知られるCoinbase(コインベース)は、「Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)」というブランドのもと、2つのセルフカストディウォレットにも取り組んできた。このタイプのウォレットでは、秘密鍵がデバイスに保存されるため、ユーザー自身が暗号資産を管理できる。

同社は現在、NFT(非代替性トークン)をデスクトップブラウザに導入しようとしている。デスクトップブラウザでCoinbase Walletを使っている人は、まもなく「NFTs」という新しいタブが表示され、自分のウォレットアドレスに紐づくNFTにアクセスできるようになる。

RainbowArgent、またモバイルのCoinbase Walletなど、多くのモバイルウォレットでNFTコレクションを見ることができるが、ブラウザ拡張機能には通常、ネイティブなNFTギャラリー機能はない。この機能が数日中に導入される。

画像クレジット:Coinbase

NFTの新機能に加え、Coinbaseはテストネットと代替ネットワークのサポート強化にも取り組んでいる。Coinbase Walletではすでに、複数のネットワークを切り替える設定が可能だが、加えて、Arbitrum、Avalanche、Binance Smart Chain、Fantom、Optimism、Polygon、xdaiなどサポートしているすべてのネットワークでトークン残高が表示されるようになる。保有する暗号資産のための統合受信トレイのようなものだ。

Coinbase WalletはEIP-3085(EIPは「Ethereum Improvement Proposal」の略)にも対応する。Coinbase WalletがEIP-3085もサポートする分散型アプリケーションにも対応するようになれば、エンドユーザーのエクスペリエンス改善につながるだろう。

EIP-3085では、DApp(ブロックチェーンを使用した分散型アプリケーション)開発者が、あるトランザクションに対し特定のネットワークを提示できる。つまり、複数のネットワークとのやり取りが容易になる。

セルフカストディウォレットを使用する主な利点は、アプリで利用可能なものに制限されないということだ。WalletLinkやWalletConnectなどを使って、サードパーティのDAppに接続できる。

しかし、CoinbaseはCoinbase Walletのインターフェースに複数の分散型取引所を直接統合している。興味深いことに、Coinbaseはそれらの取引にUniswapと0xを使用している。Coinbaseは、ネイティブのDEX機能による取引で1%の手数料を取っている。

多くの点で、Coinbase WalletはCoinbaseのWeb3イニシアティブのように感じられる。同社は、暗号資産ユーザーの知識が増え、多くのDAppを利用するようになったときに、なお重要な存在でありたいと考えている。

MetaMaskは、初めてNFTを購入しようとする新しい暗号資産ユーザーにかなり人気がある。しかし、いったん使い始めると、これは良くないとユーザーはいう。Coinbaseは立ち止まることを望んでいない。暗号資産ウォレットスタートアップのBRDをアクハイヤー(人材獲得を目的とした買収)した今、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げる予定だ。

情報開示:筆者はさまざまな暗号資産を少額保有している。

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画像クレジット:Emil Kalibradov / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録を受付開始

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録受付開始エンジニア特化型人材サービスやシステム開発受託を行うBranding Engineerは、ブロックチェーン、暗号資産といったWeb 3.0(Web3)に関するプロダクトの開発に携わるエンジニア向けの採用プラットフォーム「Guilders(α版)」の事前登録受付を開始すると発表した。サービス自体にもブロックチェーンやNFTの技術を活用するという。同社は2013年10月に設立し、2020年7月にマザーズに上場している。

採用コストが高いブロックチェーン業界エンジニア

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録受付開始ブロックチェーン関連のニュースは今も非常に多く、プロジェクトも新設され続け、Web3エンジニアへの需要は高まっている。しかし、プロジェクトの多さやエンジニアのスキル判断者不足から、Web3のプロダクト開発企業とエンジニア同士のマッチングには、工数がかかりがちだ。Guildersでは、求職者が職を探す、採用企業側が優秀なエンジニアを選ぶ、エンジニア同士のコミュニケーションが継続するという3フェーズに分けて、Web3エンジニアの採用を支える。

まず、求職者向けには、数あるプロジェクトの中でも、成長性の高いものや、著名VCから出資を受けているものなど、一定の信頼のおけるプロジェクトを中心に掲載することで、リサーチコストを削減することを目指す。

次に、採用企業側へは、エンジニアのスキルを可視化し採用工数を減らせるように、TOEICなど各種語学検定のような、エンジニアの検定・資格制度を導入していく予定であるという。現在、エンジニアの採用においては、開発チームが自らTwitterなどのSNS上で人材を探してくることが少なくない。さらに、経験年数よりもスキルが物を言う職種であるためプロフィールだけでは判断ができず、開発チームが自ら面談やコーディングテストを行い、本来の業務である開発の時間が奪われるという課題があった。採用・人事部門でもスキルチェックできるようになれば、既存の開発チームの負荷を減らすことができるという狙い。

プラットフォーム内でNFTを流通させコミュニティ化も

Guildersでは、これらのほかに、NFTによる資格証明書の発行や、エンジニアが同プラットフォーム上でスカウトを受けることで、独自トークンがもらえる仕組みを検討しているという。代表取締役の河端保志氏によれば「従来は、優秀な人ほどスカウトが過剰にくることを嫌ってサービスを積極的に利用せず、転職に困っている人ほどプロフィールの充実化を図る傾向がありました。これに対し、Guildersでは、優秀なエンジニアでもスカウトサービスを利用するモチベーションになるよう、エンジニアがスカウトを受けると、インセンティブとして独自トークンをもらえるように設計しようと考えております」とのこと。このほかに、プラットフォーム上でのトークンの流通、運営のDAO(自律分散型組織)化など、Web3に根ざしたコミュニティ化を進め、メタバース領域へも事業展開を考えているという。

同社初のグローバル展開へ

Branding Engineerはこれまで日本国内で事業展開をしてきたが、Guildersは日本国内に限らず、グローバルな展開を視野に入れているという。Web3のトレンドにあわせ、優秀なエンジニアと秀逸なプロダクトをマッチングするボーダレスな世界を生み出すことを見据えている。リモートワークによる就業機会の拡大をとらえ、既存のサービス利用者に対しても、新たな働き方の提供を目指す。

【コラム】マイニング業界の転換で訪れる、暗号資産のグリーンな夜明け

気候変動は現代における主要な問題だ。政策立案者から個人まで、誰もが持続可能性とグリーンな行動が社会に浸透するために自らの役割を全うする責任を持っている。

事実、米国から中国まで世界中の政府が気候変動に積極的に取り組んでおり、最近行われた2021年国連気候変動会議、COP26は、 パリ協定の目標に向けた気候変動対策の推進力となっている。

企業もまた大きな責任を負うべく前進を続けており、今や多くの投資家が、財務実績だけでは成功の指標に足り得ないと考え始めている。ESG(環境・社会・ガバナンス)指標、即ち負の外部性(negative externalities)が、社会に役立つ事業活動の真の価値を決めるためにいっそう考慮されるようになった。

その中で、金融インフラを再活性化させるプロセスがますます注目を集めている。Bitcoin(ビットコイン)をはじめとするデジタル資産は、ESG基準をどの程度満たしているのだろうか?この疑問は暗号資産の利用がいっそう幅広い層に行き渡るにつれ、これまでになく重要になってきている。米国では複数のBitcoin先物ETF(上場投資信託)が取引されおり、機関投資家の関与も最高水準に達し、 Standard Chartered(スタンダードチャータード)、 State Street(ステート・ストリート)、Citibank(シティバンク)をはじめとする多くの世界最大級の金融機関が、静かにこの分野で準備を進めている。

規制の明確化も世界でさまざまな人々の参加を可能にし、それぞれのデジタル資産戦略を加速させている。EUの広範囲にわたるMarket in Crypto-assets(暗号資産市場、MiCA)規制フレームワークは、欧州議会で法制化手続きが進められている。一方米国でも、Gary Gensler(ゲイリー・ジェンスラー)氏率いる証券取引委員会が、ステーブルコインと分散型金融(DeFi)のためのフレームワークを明確化する意志を表明している。

デジタル資産が真に主流となり、全世界の投資家のポートフォリオで地位を固めるためには、各国政府と企業が従うべきものと同じ厳格なESG基準の対象にならなくてはいけない。業界が徐々にこの要件を受け入れ、高まる受け入れに呼応して環境自主規制のプロセスを強化していることは特筆すべきだろう。

Bitcoin Mining Council(ビットコイン・マイニング協議会)などの組織は、報告基準を高めることで業界の透明性向上に取り組んでいる。多くの暗号資産ネイティブ組織も、Crypto Climate Accord(暗号資産気候協定)に参加して、暗号資産関連活動にともなう電力消費の2030年までの排出量実質ゼロを誓約している。

しかし、こうしたあらゆる活動にとって、おそらくデジタル資産のエネルギー効率化における唯一最大の貢献は、業界の制御がまったく届かないところで決定されている。2021年5月、中国国務院は暗号資産のマイニングおよび取引を全面的に禁止した。かつて全世界Bitcoinマイニングハッシュレートの44%を占めていた暗号マイニング(採掘)の世界拠点でのこの決定は、採掘者の他の司法権の下への大量脱出を呼び起こした。

これはBitcoinマイニング業界のエネルギー効率化にとって極めて大きな意味をもつ動きだ。電力の石炭依存が高い中国経済を離れ、再生可能なエネルギー形態の多い他の地域へ移動することを意味しているからだ。

北米はこの動きの大きな受益者であり、マイニングハッシュレートの米国シェアは、 4月の17%から8月は35%へと上昇した。カナダのマイニングハッシュレート、9.5%を加えて、今や北米は世界供給の50%近くを占め、全世界マイニングハッシュレートを支配している。

米国のエネルギー生産は全州に分散しているが、この転換はBitcoinマイニングの持続可能性にとって朗報だ。米国は再生可能エネルギーが豊富であることに加えて、大規模なマイニング会社は薄利な業界で競争しており、主要な変動コストはエネルギーであることから、インセンティブは最安値のエネルギー源に移行することであり、その大部分が再生可能エネルギーだという事実がある。

たとえばニューヨーク州はBitcoinハッシュレートで最大級のシェアをもつ州の1つであり、Foundry USAのデータによると、州内エネルギー生成の3分の1が再生可能資源によるものだ。同じくBitcoinマイニングハッシュレートで高いシェアをもつテキサス州も再生可能エネルギー生産の割合を高めており、2019年には電力の20%が風力によるものだった。

さらに、Bitcoinマイニング業界には、電力網にまだつながっていない孤立した再生可能エネルギー源を使用することにインセンティブを与えるという独自の仕組みがある。再生可能エネルギー生成の収益化手段となることで、Bitcoinマイニングが再生可能エネルギー構築をいっそう加速する可能性を秘めている。

こうした再生可能エネルギー源への転換は、反対派に対して、Bitcoinを含むデジタル資産業界全体が持続可能性の精神と一致しながら成功できることを示し始めている。ただしそのような変遷はただちに起きるものではなく、大規模のマイニング事業が新たな地域で再構築するためには長い時間がかかるだろう。

つまるところ、暗号資産の提供する価値がそのエネルギー消費に見合っていることを世に知らしめられるかどうかは、デジタル資産サービスプロバイダーにかかっている。2021年だけでも、デジタル資産の炭素排出量削減は大きな進展を見せており、今後も暗号資産が持続可能性の旅を続けていけば、企業や機関投資家の参入も後に続くだろう。

編集部注:本稿の執筆者Seamus Donoghue(シーマス・ドノヒュー)氏は METACO(メタコ)の戦略的アライアンス担当副社長。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Seamus Donoghue、翻訳:Nob Takahashi / facebook

コードを一行も書かずにWeb3プロジェクトを構築・立ち上げ・管理できるツール「Thirdweb」

Web3プロジェクト用のソフトウェアスタートアップ「Thirdweb(サードウェブ)」は、Gary Vaynerchuk(ゲイリー・ヴェイナチャック)氏やMark Cuban(マーク・キューバン)氏など、著名なビジネスリーダーや起業家、クリエイターたちから500万ドル(約5億7000万円)の資金調達を完了した。

同社は、デベロッパーがコードを一行も書かずにWeb3プロジェクトを構築、立ち上げ、管理できる無料ツールを3カ月前に発表した。Thirdwebは、Social Chainの創業者であるSteven Bartlett(スティーブン・バートレット)氏と、BeboやAppLovinの創業CTOを務めたFurqan Rydhan(フルカン・ライダン)氏によって設立された。

ロンドンとサンフランシスコにオフィスを構えるThirdwebは、NFT、ソーシャルトークンや通貨、さらにトークン、NFTのルートボックスやドロップを売買するマーケットプレイスなどの機能を、数クリックで追加することを可能にする。

Thirdwebの共同設立者であるスティーブン・バートレット氏とフルカン・ライダン氏(画像クレジット:Thirdweb)

バートレット氏は、Web3と暗号資産に興味を持ち、4年以上にわたってこの分野を追いかけていたとTechCrunchに語った。同氏が初期の暗号投資家だというライダン氏と出会ったとき、2人はWeb3のことで意気投合した。

「私たちは、起業家たちがこのスペースでものを作りたいと思っていること、そして彼らがツールを必要としていることを知っていました」とライダン氏は語る。「私たちはベースとなるアイデアからスタートし、1年かけてThirdwebを構築し、今では数百社のお客様にSDKをご利用いただいています。Stripeが簡単にプラグインできるようにしたように、当社のコードも、誰にでも提供できるように書きました」。

彼らはアーリーアダプターたちと一緒に機能を開発しており、中には1年以上Thirdwebを使い続けているケースもある。また、Nike(ナイキ)、Disney(ディズニー)、Bumble(バンブル)、Meta(メタ)などの企業が、メタバース、Web3、NFTの空間に向けて、ブロックチェーンゲーム、NFTプラットフォーム、DAO、クリエイタープロジェクトなどのアプリや製品の構築を始めたくて、すでにうずうずしているという。

まだ初期段階だが、同社のツールを使って作られた独自なプロジェクトは500件を超えた。当初はアート分野での利用が多かったが、今ではより複雑なWeb3アプリの構築や、スペースを作りたいと考えているゲーテッドコミュニティなど、様々な用途で利用されている。

Thirdwebの目標は、1000以上のデベロッパー、チーム、企業にツールを使ってもらうことであり、ライダン氏は「それに向けて順調に進んでいる」と述べている。

新しい資本は、技術チームと成長チームの両方の雇用に使用され、ユーザーにツールを紹介するためのマーケティングとビデオ資産にフォーカスする予定だ。Thirdwebは、発売されたNFTの売上にロイヤリティや手数料がプログラムされるまでは、無料で使用することができる。その後、同社は二次販売のロイヤリティの5%を取ることになる。つまり、同社の報酬は顧客の成功に直接比例することになる、と共同設立者は述べている。

ヴェイナチャック氏は、メールで次のように述べた。「Web3は始まっており、NFTは私たちが生きている間ずっと存在するでしょう。1995年から2000年にかけて『インターネット』で何が起こったかを見て、その歴史的教訓をもとに、今後5年の間にWeb3でどれだけのことが『修正』されるかを展開してみましょう。Thirdwebがこの変化を加速させてくれることを期待しています。15年前、世界がソーシャルメディアのクリエイターやアーティストで溢れかえるとは誰も信じていませんでした。Web3は今、彼らに自分の創作物を所有し、利益を公平に分配する機会を与えています。私はこのスペースとこのチームを信じています。彼らのビジョンを信じ、機会を信じ、エグゼキューションを信じています」。

画像クレジット:Thirdweb

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

クロスチェーンインフラを手がけるRouter ProtocolにCoinbase Venturesなどが出資

暗号資産の分散型取引所や、レイヤー1とレイヤー2のブロックチェーンソリューション間における通信を容易にするクロスチェーンインフラストラクチャを構築しているスタートアップ企業が、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)から支援を受けることになった。

シンガポールに本社を置くRouter Protocol(ルーター・プロトコル)は米国時間12月10日、戦略的資金調達ラウンドを実施し、Coinbase Ventures、Alameda Research(アルマダ・リサーチ)、Polygon(ポリゴン)、Woodstock(ウッドストック)、Wami Capital(ワミ・キャピタル)、QCP、De-Fi Capital(ディーファイ・キャピタル)、Maple Block(メープル・ブロック)、TeraSurge Capital(テラサージ・キャピタル)、Wintermute(ウインターミュート)、Shima Capital(シマ・キャピタル)、および複数の起業家から、410万ドル(約4億7000万円)を調達したと発表した。同社は2020年のシードラウンドでも、48万5000ドル(約5500万円)を調達している。

近年、同様の問題を解決しようとするレイヤー1ブロックチェーンネットワークが急増している。これらのレイヤー1プロジェクトが支持を集めると、好みのブロックチェーンの上にレイヤー2ソリューションを構築している開発者コミュニティを引き寄せることができる。

Router Protocolの創業者兼CEOであるRamani Ramachandran(ラマニ・ラマチャンドラン)氏は、TechCrunchによるインタビューに「ブロックチェーンは都市のようなもので、無限に拡張することができますが、接続インフラを構築しない限り、誰もそこに行こうとはしません」と語った。「このようなブロックチェーンが続々と登場してきましたが、しかしそれらの間には接続性がありません。それがRouter Protocolの発端になりました」。

2020年設立されたRouter Protocolは、これらのレイヤー1ブロックチェーンネットワークの多くが今後も運営され、さらに多くのブロックチェーンネットワークが参入してくると確信している。同社が提供するサービスは、開発者が流動資産をチェーン間でシームレスに移動させることを可能にする。「おそらく約50ほどのブロックチェーンが存在し、50の異なるコミュニティと独自のエネルギーを持っています」と、ラマチャンドラン氏は語る。

「レイヤー1のスケーリングソリューション、つまりこの世界のPolygon(ポリゴン)や、Aave(アーベ)やSolana(ソラナ)のような 『Ethereum(イーサリアム)キラー』、そしてTerra(テラ)やAlgorand(アルゴランド)のようなEVM以外のプレイヤーが、さまざまな観点から登場してくるでしょう。それに加えて、この分野には豊富な資本が存在しています。これらのプレイヤーはみな、莫大な軍資金を持っています。誰も10億ドル(約1135億円)以下の話はしていません。この戦いはすぐには終わらないでしょう」。

Router Protocolが提供するも1つのサービスはDfynで、これはPolygonの上に構築されたUniswap(ユニスワップ)やPancake Swap(パンケーキ・スワップ)のような分散型取引所だ。「Dfynと呼ばれるたくさんの空港ターミナルがあって、これらのDyfnネットワークを結ぶ航空路線があるようなものです。しかし、それらは他の空港にもつながっています。それが、このモデル全体の美しさです」。

ラマチャンドラン氏は、2022年にはクロスチェーンソリューションが普及すると予想しているという。「例えば、あなたがSolanaブロックチェーン上にいて、Ethereumを売りたいと思っているけれど、Binance Smart Chain(バイナンス・スマート・チェーン)の方がはるかに良い価格が見られるとします。Routeを利用すれば、ワンクリックでBinance Smart Chainの最高値を取得し、それをあなたのネイティブブロックチェーンであるSolanaに戻すことができるのです」と同氏はいう。

現在、Router Protocolで最も利用されているユースケースはトレーディングだが、ラマチャンドラン氏は、将来的にはさらに多くのアプリケーションが登場すると予想している。「境界を越えて会話ができるようになれば、トレードだけでなく、借りたり貸したり、クロスチェーンガバナンスを行うことができます。例えば、Sushi(スシ)には15のチェーンがあり、15の異なるコミュニティが存在します。これらのチェーンでコミュニティ投票を行うには、15の異なるスナップショットを行う必要があり、まるで悪夢のようです。それを我々が解決できるのです。あるチェーンから借りて、別のチェーンで貸すことができるのです」と、同氏は語った。

Router Protocolは、今回調達した資金を製品提供の規模拡大のために投入し、また複数のセキュリティ監査に投資することも計画しているという。

「ブロックチェーン同士を効果的に通信させることは、今後のDeFiにとっての聖杯であり、Router &Dfynのチームと協力し、この問題を解決する彼らのユニークなアプローチをサポートできることをうれしく思います」と、QCP Capitalの共同創業者であるDarius Sit(ダリウス・シット)氏は、声明の中で述べている。

「我々は、多目的かつアプリケーションに特化したいくつかのブロックチェーンにまたがる将来のWeb 3.0の活動を予想しています。RouterのXCLPは、チェーンをまたいだ流動資産の流れを可能にする重要なクロスチェーン・インフラストラクチャ・ソリューションとなるでしょう。我々は、この方向性に対するRouterチームの取り組みを支援し、サポートできることに喜びを感じています」。

画像クレジット:Router Protocol

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ビッグニュースに関するささやかなメモ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

なんて1週間だったのだろう。いや、本当に。もう12月後半も目前だというのに、どういうわけかニュースは起き続けている。ホリデイシーズンなのにこの多さとは!今回はまず始めに、先週の重要なニュースに関するいくつかのメモ、次にベクトル検索と、2021年のお勧め本についてお話しする。さあ始めよう!

  • 私たちが知るSPACの終焉:Trump Media SPAC(トランプメディアSPAC)を取り巻く煙スモッグレベルの濃さに達している。またBuzzFeed SPAC(バズフィードSPAC)の取引は、あらゆる手を尽くしたが失敗し、結局は世間の評判を落とし、その価値を半分近くまで下げただけに終わった。
  • 暗号資産 vs 従来の金融商品:宗教戦争の真っ只中に割り込むつもりはない、しかしテクノロジー市場は、暗号資産企業に資金を提供して育成する方法を真剣に決めていく必要がある。そしてその答はおそらくベンチャーキャピタルではないのかもしれない。先週私たちは、OpenSea(オープンシー)のIPOへの期待が、ユーザーから歓迎されるのではなく、軽蔑されている様子を見た。公開だって?トークンを発行して暗号資産の世界に留まっていればいいのでは?なぜなら、大量の従来資金がOpenSeaに流れ込んだので、それらの投資家は、デジタル硬貨ではなく、彼らに対する投資家たちにドルで返済する必要がある。これを解決する方法は?はっきりしない、だが私は、長期的には、暗号資産企業は完全に従来の金融レールから外れたものになるのではないかと思っている。そうならない理由はない。
  • SaaSの状況:これを書かなかったことをお詫びしたい、だがソフトウェアの評価額に関する最近の記憶の中でも最も急激なマイナスの動きの1つが見られた。確かに価格はまだ高いものの、以前ほどではない。現在過剰高値のユニコーンは注意が必要だ。
  • そして最後に、Instacart(インスタカート)は社長が辞任した:入社してからわずか数カ月後で、Instacartは注目を集めた人材を手放した。The Exchangeは、11月にInstacartについて少し書いている。パンデミックでの急増が落ち着いたあと、Instacartの成長率が元に戻ったことを示す報告に注目したのだ。ゆっくりではあるが、会社は今でも成長している。しかし、成長が遅いままでは、理にかなった価格で会社を公開することはできない。この先なにが待ち受けるのだろう?わからない。

会社をメディアにとりあげてもらう方法、そしてベクトル検索

テクノロジー分野での記者になることの最も良い点の1つは、未来を説明してくれる賢い人たちと時間を過ごせることだ。私たちが、すぐにはメタバースの住民になるわけではないものの、将来的なの意味での情報処理方法を変えるテクノロジーがここにはある。

Semi Technologies(セミ・テクノロジーズ)の共同創業者Bob van Luijt(ボブ・ファン・ラウト)CEOをご紹介しよう。この企業はWeaviate(ウィビエイト)を開発している。現在すでに多く存在するスタートアップと同様に、Semiは営利目的のOSS企業だ。簡単にいえば、同社はオープンソースプロジェクトWeaviateの上にビジネスを構築しているのだ。

ボブは数時間の時間を割いて、彼の会社、非構造化データの検索市場、Weaviateの仕組みについて話してくれただけでなく、TechCrunchの2021年分の記事をスクレイピングして小さなGUIに入れて、私が遊べるようにしてくれた。

ちなみに、これは記者にあなたの会社のことを気にかけてもらうためのすばらしい方法だ。これはお気軽な作業ではない、実に手間のかかる厚意で、相手の記者が基礎の基礎から知りたがっているような場合でも、初歩的な質問に忍耐強く答え続けることなのだ。

とにかく、ベクトル検索だ。Weaviateで可能になるのは、非構造化データをすばやく検索することだ。Microsoftの説明によればベクトル検索とは「深層学習モデルを使用して、データセットを意味のあるベクトル表現にエンコードします。ベクトル間の距離はアイテム間の類似性を表します」ということになる。

ボブは例を挙げて、これをもう少し簡単に説明してくれた。従来のデータベースでは、自由の女神がニューヨーク市にあり、エッフェル塔がパリにあることを示すデータを持っているだろう。しかし、こうしたデータを取得するには、対象を正確に検索をする必要がある。Weaviateまたは関連するソフトウェアを介したベクトル検索を使用すると、データベースの中になるフランスのランドマークについて、データを表示するように依頼することができる。そして、エッフェル塔のデータが取得される。

クールだよね、とても。ボブと彼のチームが親切にもセットアップしてくれたTechCrunchのポータルをいじくり回したが、私は彼らが提案した質問に最もこころ惹かれた。このようなものだ「Alex Wilhelmが外出中にTecCrunchニュースレターを書いたのは誰か?」率直にいえば、これはその曖昧さゆえに楽しい質問だ。どのTechCrunchニュースレターのことだろう?そして「外出中」とはどういう意味だろうか?結局、検索結果は、私が休みを取ってAnnaがニュースレターを処理していることを書いたちょっとしたテキストをこのコラムからなんとか見つけることができた。

とてもすばらしい。Semi Technologiesはかなり若い会社だが、私がずっと注目している会社の1つだ。それにはいくつかの理由がある。第1の理由は、オープンソースのスタートアップはクローズドコードの同業者よりも多くの場合興味深いからだ。そして、OSSテクノロジーを使用した構築を進めている創業者は、ビジネスに対するアプローチにやや余裕があることが多いし、個人的にボブが好きなことも理由だ。

Semiとの対話から書き起こした未整理の約3000語のノートを、もう少し一貫性のあるものに整理できたら、さらにお伝えする。

画像クレジット:Semi

本のお勧め2021

先週2部構成になったベンチャーキャピタルからの推薦図書リストにかなりの時間を費やした後、私たちは自分たちのお気に入りの何冊かをリストに追加しようとしている。もちろん、本の好みは絵画の好みと同じように個人的なものだが、2021年読んだもののうち最高だったもののいくつかを共有せずにはいられない!

Annaの2021年のお気に入りは以下のようなものだ:

フィクション:

「Born to be Mild:Adventures for the Anxious」Rob Temple(ロブ・テンプル)著

記録によれば、これは私が2021年に読んだ最初の本だったが、12カ月経っても本当に私を魅了してやまない。著者のRob Temple(ロブ・テンプル)はご存知かもしれない。陽気なソーシャルメディアアカウントを運営し、書籍シリーズである「Very British Problems」(ベリー・ブリティッシュ・プロブレム)の作者でもある。だがこの本はこれまでとは違うテイストだ。それは彼の不安との闘いと、自身のコンフォートゾーンから抜け出そうとした努力についての物語だ。それは感動的で、非常に親しみやすく、とてもおもしろい──あなたが私のようなSue Townsend(スー・タウンゼント)のファンなら、あなたもこれを気に入る可能性が高い。

ノンフィクション:

「How to Read Numbers:A Guide to Statistics in the News (and Knowing When to Trust Them)」 David Chivers(デビッド・シバース)、Tom Chivers(トム・シバース)著

これは私が今読んでいる本で、まだ読み切っていないという注意はしておくものの、とてもおもしろい本だ。それはメディアからの反発を招くかもしれないが、重要なポイントを提示している。私たちがニュースで目にする多くの数字は注意深く吟味される必要があるということだ。これは、ジャーナリストとニュース読者の双方にとってすばらしい読み物になる。読者が数字の読み方に精通すればするほど、分析の精度も上がっていく。

Alexの2021年のお気に入りには以下のようなものがある:

「The Salvation Sequence」Peter F. Hamilton(ピーター・F・ハミルトン)著

最高の空想科学小説(SF)は、私たちが住んでいる世界の上に宇宙船を登場させて充実した1日にしてくれるだけではない。実際、最高のSFは、経済学から人類、科学、物理学に至るまで、あらゆるものを再定義するのだ。2021年私が読んだシリーズ「The Salvation Sequence」は、まさにそのような本だ。経済学やエイリアンへの対処から、真の人間である意味や将来の政治まで、すべてがここに含まれている。とんでもない読み物だ。次の巻が出るのが待ちきれない、そうしたらこのすごいシリーズ全体をもう一度読み返すことができる。

「A Memory Called Empire」「A Desolation Called Peace」Arkady Martine(アーカディ・マーティン)

未来を描く方法は1つではない。マーティンが描くのは、文明と野蛮の概念が、芸術と帝国に衝突する未来だ。そして記憶に。そして隠された技術と戦争に。短い説明文ではとても説明しきれないが、マーティンがSF世界に構築したものは、科学というよりもアートに近いものという他はない。これは激賞に値する。

「Black Sun」Rebecca Roanhorse(レベッカ・ローンホース)

ファンタジー小説は、ヨーロッパの封建時代の歴史を背景に描かれることが非常に多い。登場する公爵が◯◯野郎だって?農奴たちに反逆させたほうが良いぜ!そんな感じだ。そして登場したのが「Black Sun」だ。これはまったく異なる方向にファンタジーをとり込んだ作品だ。南米ならびに中米の伝統に触発されたように見えるものの、本作はジェットコースター並のすばらしさである。必読だ。

「The Last Graduate」、Naomi Novik(ナオミ・ノヴィク)著

ノヴィクは本当にすばらしい作家だ。「Uprooted」(邦訳:ドラゴンの塔)と「Spinning Silve」(邦訳:銀をつむぐもの)はどちらも傑作だった。しかし、私の個人的な意見では、彼女の最高傑作は「A Deadly Education」だ。これは2020年後半に発売された。そして、その続編「The Last Graduate」へのカウントダウンが始まった。本が出るまでの日数を数えることはめったにないが、そうせずにはいられなかったのだ。そして「The Last Graduate」はすばらしい作品だった。今まで読んだことのない主人公に出会い、すべてが歯を持つ世界に入りたいなら、これらの本を読もう。それらを読めば、幸せを味わえるだろう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

ビットコイン「先物」ETFと何が違うのか?SEC、ビットコイン「現物」ETFは拒否

ビットコイン「先物」ETFと何が違うのか?SEC、ビットコイン「現物」ETFは拒否

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

ビットコイン先物ETFがニューヨーク証券取引所に上場してから約2カ月。米資産運用会社プロシェーアズが手がける米国初のビットコイン先物ETFの人気は衰えることはなく、取引量がすべてのETF取引量の2%に到達したとも報じられました。株式投資家にとって親しみのあるETFを通じたビットコイン投資が米国で解禁になったことについて暗号資産業界は大いに盛り上がりました。しかし、もう1つの悲願であったビットコイン現物のETF承認に関しては当局から「待った」がかかりました。11月14日、米証券取引委員会(SEC)が、米資産運用会社ヴァンエックが申請していたビットコイン現物のETFを拒否しました。

「先物」が良くて「現物」がダメな理由には何があるのでしょうか?ETFの基本的な概念を押さえつつ、解説します。

ETFとは?

ETF(上場投資信託)は、現在の株式投資家にとって親しみのある投資商品です。初めて登場したのは1990年ごろで、カナダはトロント証券取引所に上場された、TIPS35という株価指数に連動するETFと言われています。

1990年以前から、金融の世界では、投資家が直接投資を行うことなく、プロ(運用会社など)が代わりに株式や債券などに投資を行ったうえで、その投資損益を投資家が得る「投資信託」が一般的に行われていました。また、個別株や債券への投資ではある程度まとまった金額が必要になりますが、投資信託は少額でも購入可能な場合が多いため、投資信託は一般投資家の投資対象の拡大と利便性の向上に大きく貢献しました。

一方で投資信託は、信託報酬などの手数料が割高であったり、自由に購入・解約ができないこともあったり、市場での流通が限定されているので時価がわかりにくかったりと、いくつかの難点もありました。

こうした難点を投資信託を証券取引所に上場させることで解決したのが、「上場投資信託=Exchange Traded Funds」です。上場商品であるが故の比較的割安な手数料、高い流動性、価格の透明性などが確保されました。

ビットコインETFが証券取引所に上場されれば、証券市場に参加する投資家にとって暗号資産がトヨターやソニー株と大差ないものになり、暗号資産の普及が加速するとみています。ビットコインETFの誕生とは、既存の金融である証券と未来の金融である暗号資産が融合する歴史的な瞬間であるといえます。

ビットコイン先物ETFが承認された理由

2021年10月19日に上場したプロシェアーズのビットコイン先物ETF(BITO)は、シカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場するビットコイン先物と連動しています。先物取引とは、将来の取引価格について現時点で約束をする取引です。実は、「CMEに上場するビットコイン先物」という点が非常に重要で、先物と現物の明暗を分けることになりました。

CMEのビットコイン先物は、SECと同様に資本市場の規制機関である米商品先物取引委員会(CFTC)によってすでに規制されており、2017年12月以降でしっかり取引が行われてきたという実績があります。しかも、現在のSECのゲーリー・ゲンスラー委員長は、CFTCの委員長を務めた経歴があります。

また、ゲンスラー委員長はマサチューセッツ工科大学(MIT)で暗号資産に関する講義を担当したこともあり、暗号資産に対する理解度が高いと業界から期待されています。2020年にSECの委員長に就任したばかりのゲンスラー氏は、実際、ビットコイン先物ETFに関して10月の承認前から好意的な発言をしていました。暗号資産という新たな投資商品であっても、自身が詳しい金融領域において秩序だって規制できるものに関しては規制を開始していくという、ゲンスラー委員長のスタンスの表れかもしれません。

ビットコイン先物の課題

しかし、ビットコイン先物ETFさえあれば事足りるという現状ではなさそうです。ビットコイン先物ETF投資に慎重な機関投資家も少なくないと聞きます。大きな理由の1つが、「コンタンゴ」(contango)です。

コンタンゴは、期日が遠い先物価格の方が期日が近い先物価格よりも価格が高くなる現象を指します。例えば原油や大豆などコモディティには在庫管理が必要であり、長く保管すればするほど倉庫代が高くなることから、期先の先物価格が期近の先物価格より高くなることは想像できます。問題は、在庫管理が必要でないはずのビットコインの先物市場においても、基本的にはコンタンゴが発生してしまっている点です。

先物市場では、取引できる期限の月(限月)が決まっています。ただ、先物型のETFに「期限切れ」というのはありえませんから、運用者は期近の先物を売って期先の先物を買うロールオーバーという行為を繰り返します。ここで、先程のコンタンゴが問題になります。期先の先物価格は割高ですから、先物型のETFの運用は「安く買って高く売る」という運用になってしまい、そのコストが投資家に跳ね返る仕組みになってしまっています。

ビットコイン支持派として知られるアーク・インベストメントのキャシー・ウッド氏も、コンタンゴを理由にビットコイン先物ETFには慎重な姿勢を示しています。

ビットコイン現物ETFが拒否された理由

現物のビットコインには、先物市場に特有のコンタンゴのような問題はありません。そういった意味でもビットコイン現物ETFを待ち望む声も多いのですが、そう簡単にはいかない事情があります。

ビットコイン先物市場とは対照的にビットコインの現物市場は、現在どのキャピタルマーケットの規制も受けていません。このため、規制当局から見れば、究極的にはビットコインという同じ資産が裏付けになっていますが、実質的にはビットコイン先物ETFとビットコイン現物ETFはかなり異なる商品となっているのです。

そして、SECがビットコイン現物のETFに難色を示している理由も、まさに規制されていないマーケットであるという点です。

これまでビットコイン現物のETFは、2017年以降、何度もSECに対して申請されましたが、その度、拒否されてきました。過去にSECがビットコインETFを拒否した際に挙げた主な理由は、1934年証券取引所法のとりわけ6条(b)項5が規定する「証券取引所は詐欺や価格操作を妨げるように作られなければならない」という部分と「投資家と公共の利益を保護する」という部分です。

そして、今回も同じ理由でSECはヴァンエックのビットコイン現物のETFを拒否しました

「委員会は、(ヴァンエックのビットコインETFが)取引所法および取引委員会規則が要求する国の証券取引所は『詐欺や価格操作』を防止し「投資家と公共の利益を保護」しなければならなりという義務を果たせないと結論づけた」

ビットコイン現物のETFを申請する米国資産運用会社はフィデリティを含めてまだ数多くあります。また、世界最大の暗号資産投資会社グレイスケールが、10月、同社のビットコイン投資信託(GBTC)をビットコイン現物のETFに変更するという届けをSECに出しました。

しかし、規制の観点から見たビットコイン現物取引に関する見解が短期間では変わるとは考えられないことから、年末年始にかけて、米国でビットコイン現物ETFが誕生するのは難しいかもしれません。

今後の展望

クラーケンの子会社であるCFベンチマークスは、ビットコイン先物取引を上場しているCMEが参照する指数(BRR)を提供しています。また、現在ウィズダム・ツリー・ビットコイン・トラストなどがSECに申請しているビットコイン現物のETFも、CFベンチマークスの指数を参照しています。

私は、CFベンチマークスのスイ・チャンCEOと密に連絡を取っていますが、ビットコイン先物ETF承認に関して「ビットコイン現物の承認に対して、あまり大きな影響を与えない」と慎重な見方を示していました。このため、先週ヴァンエックのビットコイン現物のETFが拒否されたことはサプライズではありませんでした。

2021年は、カナダやブラジルで初めてビットコイン現物の取引が開始した歴史的な年でした。そして、米国にとって初となるビットコイン先物ETF開始。暗号資産業界にとって大きな分水嶺になる出来事だったとみています。ただ、SECが現物のETF承認を真剣に検討するまでには多くの課題があるのが現状であり、チャンCEOも言うように「ビットコイン先物ETFは、ほんの最初の1歩」と考えています。

画像クレジット:Executium on Unsplash

WhatsApp、米国の一部ユーザーにNovi送金機能提供開始

10月にMetaとなったFacebookが、同社の暗号資産のウォレットNoviの小規模なパイロットテストを、米国とグアテマラで行った。それ以降テスターたちは、お互いの間の個人的な決済をそのサービスでできるようになっている。そして今回、同社は米国の少数の人たちがWhatsAppの中でNoviによる決済の送受をできるようになると発表した。

この展開は意外なものではない。Noviの共同創業者のDavid Marcus(デビット・マークス)氏は以前、MetaはNoviの決済を同社のすべての子会社、すなわちFacebookとInstagramとWhatsAppに展開すると語った。WhatsAppの場合は、送金はメッセージを送ることと同じぐらい簡単で、送金のためにアプリケーションを出る必要もない。手数料が発生しない単純な送金方法でもある。まずユーザーは、WhatsAppの中に送金相手の連絡先を見つけ、テキストバーの中の、Androidならクリップのアイコン、iOSなら+のアイコンをタップし、Paymentをセレクトして、Noviのアカウントへの入り方のインストラクションに従う。

NoviのトップであるStephane Kasriel(ステファン・カスリエル)氏がTwitterで次のように述べている。「家族などへの送金に関する話をWhatsAppでしているという話をよく聞きます。Noviならそれが安全かつ無料で瞬時に行えます。決済がチャットの中に、直接表示されるのです」。

Facebookは長年にわたり、同社のデジタルウォレットと、同社がサポートする予定だった暗号資産Diem(以前はLibra)をときどきちらつかせてきた。しかし世界中の規制当局から反発にあったため、Diem Associationは方針を変え、そしてNoviは最終的に米ドルに支えられたPax Dollar(USDP)と呼ばれるステーブルコインを使うことになった。「1USDP=1米ドル」である。Noviを使うとき暗号資産を買う必要はなく、それは単純に、ステーブルコインを手段とする送金行為にすぎない。WhatsAppの上でNoviを使ってUSDPを送ることはまだその可利用性が極端に限られているが、カスリエル氏によると、その体験に関するユーザーからのフィードバックがあり次第、利用域をもっと拡張するという。

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイト・エディター。

画像クレジット:Meta

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Ledgerが暗号資産デビットカードを発表

Ledger(レジャー)は、暗号資産ウォレットに直接接続するデビットカードの開発に取り組んでいる最新の暗号資産企業だ。同社は「Ledger Op3n(レジャー・オープン)」カンファレンスで「Crypto Life(クリプト・ライフ)」カードと呼ばれる独自のデビットカードを発行する計画を明らかにした。

ハードウェアウォレットで有名なLedgerだが、同社は「Ledger Live(レジャー・ライブ)」と呼ばれるソフトウェア分野にも力を入れている。デスクトップやモバイル向けに用意されているLedger Liveアプリを使うと、ユーザーは暗号資産の送受信に限らず、サードパーティ企業との統合により暗号資産の売買も可能だ。

Ledger LiveはChangelly(チェンジリー)、Wyre(ワイヤ)、ParaSwap(パラスワップ)、1inch(ワンインチ)など、さまざまなパートナーを通じたステーキングやスワップにも対応している。取引の確認は、すべてハードウェアウォレットに統合されて残る。

Ledgerのデビットカードは、Baanx(バーンクス)との提携によって作られたもので、英国、フランス、ドイツでは2022年の第1四半期中に発行が予定されている。米国在住の人は2022年第2四半期に入手できるようになる。

カードを受け取ると、Ledger LiveアプリからBTC、ETH、USDT、EURT、USDC、XRP、BXX、BCH、LTCでカードにチャージすることができる。このカードを使って買い物をすると、購入時に暗号資産が瞬時にフィアット金額に変換される仕組みだ。

また、カードの所有者は、給与をカード口座に直接振り込むことも可能になる予定だ。給与を受け取るたびに、給料の一定割合をBTCやETHに変換することもできるようになる。

さらに、財産のほとんどを暗号資産で維持したいと考えるLedgerユーザーは、カードで現金を受け取れる与信枠(クレジット)を設定することもできる。この機能を使うためには、一定の暗号資産量を担保として預ける必要がある。

一般的にDeFi(分散型金融)融資プロトコルは過剰担保であり、つまりユーザーは自分の暗号資産ウォレットにある金額よりも少ない金額しか借りることができない。そのため、Ledgerのクレジット機能が有効になった際にはどのように機能するのか、興味深いところだ。

Ledgerは、Coinbase(コインベース)、Bitpanda(ビットパンダ)、Binance(バイナンス)、Crypto.com(クリプト・ドットコム)などのデビットカードと競合することになる。しかし、すでにLedgerの製品を利用している人であれば、デビットカードを選ぶ際に、Ledgerのエコシステムとうまく統合されたカードを持つことは、特に重要になるだろう。

画像クレジット:Ledger

画像クレジット:Ledger

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Visaが暗号資産アドバイザリー業務開始、金融機関の商品開発をサポート

世界最大のカード会社であるVisa(ビザ)は、暗号資産市場の獲得に向けてさらに力を入れている。同社は米国時間12月8日、Visa Consulting and Analytics(VCA)部門で、顧客やパートナー向けに暗号資産アドバイザリー業務を開始したことを発表した。

このニュースは、同社の暗号資産責任者であるCuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏が、11月のフィンテックカンファレンスで資産クラスが「クール」になったと宣言してから数カ月しか経っていない中でのものだ。決済大手のVisaは2021年8月にCryptoPunk NFTを買収して話題になったが、専門の暗号資産コンサルタント部門を設立する動きは、混み合っている分野で暗号資産市場のシェアを獲得しようとする試みがマーケティング上の演出にとどまらないことを示している。

Visaの暗号資産プラットフォームとの提携は過去18カ月で倍増した、とシェフィールド氏はTechCrunchのインタビューで述べた。また、消費者はVisaの暗号資産連動型カードプログラムを利用して約350万ドル(約4億円)を費やしており、7月の100万ドル(約1億1000万円)から増加していると同氏は話した。

Visaはまた、暗号資産に関する消費者の態度について実施した新しいグローバル調査の結果を発表した。それによると、6000人超の回答者のうち40%が、メーンバンクを暗号資産商品を提供する銀行に変更する可能性があることがわかった。

シェフィールド氏によると、Visaは暗号資産を自社のサービスに統合しようとしている「何百もの顧客やパートナー、従来の金融機関から、信じられないほど多くの問い合わせ」を受けているという。Visaのコンサルティング部門には約700人の従業員がいるが、そのうち何人が暗号資産業務に携わることになるのかは明らかにしていない。

「Visaは、暗号資産に関する深い専門知識を備えたグローバルな中立ブランドとして、これらの新技術の複雑さを解消し、銀行が中核商品に導入するのを支援するのに適した立場にあると考えています」とシェフィールド氏は話す。

そのために、Visaは12月7日に発表された6000万ドル(約68億円)のシリーズBに参加してブロックチェーンコンプライアンス企業であるTRM Analyticsに投資した。この資金調達には、American ExpressとCitiも参加した。Visaは、決済の新たな基盤となり、手数料に依存したビジネスモデルを脅かしている暗号資産の分野に参入しようと躍起になっている数多くのカード会社の1つにすぎない。

この点に関して、Mastercardは2021年10月にBakktをデジタル資産の管理人として暗号資産報酬プログラムを開始した。Visaも直接、暗号資産を管理しているわけではなく、この機能を提供するためにAnchorage Digitalと提携している。この会社はVisaが2019年に初めて投資した会社だ。シェフィールド氏によると、VisaはAnchorageの上に暗号資産APIプラットフォームを構築し、他の銀行がその管理サービスにアクセスできるようにしている。

同氏は、Visaの暗号資産連動デビットカードプログラムの他、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のようなユースケースの成長を見込んでいる。The Atlantic Councilによると、これまでにCBDCを開始した国はわずか7カ国だが、さらに87カ国が検討中だ。

Visaは、銀行がCBDC関連商品を開発するのを支援することで、この関心を利用したいと考えている、とシェフィールド氏は話す。

「私たちは、CBDCが消費者の体験のためにどのようなインフラを使用し、消費者がどのように関わり合うかについて、多くの時間をかけて研究してきました。多くの国がこのルートを歩むことになると考えていて、専門知識と中央銀行との連携を活かして、銀行が役割を検討し始めて準備するのを支援しています」とシェフィールドは述べた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi