1か月25ドルの会費でライブコンサート行き放題の音楽サービスJukely

ニューヨーク出身のJukelyは、StubHubなどのチケット販売サイトと競合する。同社の最大の特徴は、毎月25ドルで市内で行われるコンサートにいくつでも行けるサービスにある。

サンフランシスコで行われたSF Music TechカンファレンスでJukelyの協同ファウンダBora Celikが、次のように説明してくれた: “こんなチケットサービス、みんな、いくらなら買うかな、と考えた。100ドルか?、いや50ドルか? それは高すぎるね。そして、みんなが関心を持ってくれるのは25ドルぐらいだろう、という線に落ち着いたんだ”。

Celikは、エンジニア兼プロモーターだ。コンサートをプロデュースした経験は何度もあり、中にはKaskadeやDJ Tiestoのようなトップアーチストもいる。アプリをデザインしたのはもう一人の協同ファウンダAndrew Cornettで、彼はかつてKickstarterの制作にも参加した。

Jukelyはアクセラレータ事業Techstars NYC 2013に、音楽で友だちを作るサービスとして参加した。アルゴリズムがユーザの趣味を判定し、音楽の好みが合う人を見つける。そして二人に、彼らが一緒に行きたくなりそうなコンサートをおすすめする。今このアプリには2700万のユーザがいる。

同社は250万ドルという大きな額のシード資金を、AngelListのファンドMaiden LaneやAmol Sarvaなどのエンジェルたちと、Spotifyの投資家たち、元Warner Musicの役員Alex Zubillagaなどから10月初めに調達した。この資金をもとにJukelyは月額25ドルの有料会員サービスを開始し、ニューヨーク以外の都市にも進出を開始した。

25ドルでコンサート行き放題の有料会員サービスは、あまりお金が儲かるとは思えない。でもCelikは、これがウィン-ウィンのサービスだと考えている。ほとんどのマイナーなコンサートはチケットが売れ残る==空席ができるから、プロモーターにとっては売れ残り処分でお金になり、Jukelyの利ざやも残る。ClassPassの無制限バージョンみたいだが、ただしトレーニングではなくて音楽だ。

有料会員に提供されるコンサートには、Taylor SwiftやGagaのような大物はない。基本的な考え方は、新人ないしまだ無名に近いミュージシャンを会員たちに紹介し、その後、口コミなどでファンが増えることを期待するのだ。 Celikによると、Jukelyの連中がこれはいい!と判断したミュージシャンのコンサートを会員のためのリストに載せ、それらのできるだけ多くに行ってもらうことを、期待するのだ。

会員希望者は、審査される。サービスはまだベータなので、一般ユーザ志望者は登録してから一般公開まで待たなければならない。審査に通った者が、会員になれる。

Jukelyが今カバーしている音楽会場はニューヨークの17施設のみだが、近くロサンゼルスとサンフランシスコも対象になるという。ニューヨークに住んでいる本誌TechCrunchの読者は、一般公開まで待たなくてもここからベータに参加できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YouTube、来週より有料音楽配信サービス「Music Key」のベータ公開を開始

長く噂の囁かれていたYouTubeの音楽配信サービスがいよいよ始まる。価格は最初のプロモーション期間についてが月額7.99ドルで、標準価格は月額9.99ドルとなるようだ。サービスの名前はYouTube Music Keyだ。登録すると、広告のないミュージックビデオが閲覧できたり、他アプリケーション利用中でもバックグラウンドで再生できるようになり、さらにオフライン状態であっても再生できるようにもなる。またGoogle Play Musicの楽曲も聞き放題となる(訳注:Google Play Musicも米国などでは配信サービスとして提供されています)。

当初はまず限定的なベータで提供を開始する。これにはYouTube上に開設されているサイトから申し込むことができる(訳注:訳者環境からは白紙ページになります)。YouTubeではこのMusic Keyに加え、サイトのアップデートも行った。興味やトレンドに基づいて、公式ビデオをまとめて提示するプレイリストレコメンデーションなどを行なっている。簡単にいえば、Googleはビデオコンテンツを中心に据えた、本格的音楽ストリーミングサイトの構築を行なっているわけだ。

さらに、お気に入りのアルバムに収録されている曲の公式ビデオないしパートナーからのビデオをまとめて提示するということも行なっている。こうしたMusic Key以外のサービスは従来通り無料で提供され、標準では広告も表示される。ただMusic Keyを使えば、こうしたサービスについても広告なしモードを「アンロック」することができるわけだ。

Music Keyのベータ版は来週月曜日から順次公開される予定だ。なかなか考えられたサービス展開であるように思われる(訳者注:日本での展開予定などについては情報を見つけられませんでした)。

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(翻訳:Maeda, H


買収したSongzaのプレイリスト機能がやっとGoogle Play Musicに統合

この夏Songza買収したGoogleが今回やっと、Google Play Musicにその技術を取り入れた。これからは、人間エキスパートが作ったプレイリストが提供される。そのリストは、日付、時刻、天候、Googleが選んだそのほかの個人化要因、などに基づいて作成される。

すなわち今日(米国時間10/21)からPlay Musicのユーザは、そのときの気分や、やってること、日付、時間などに合ったプレイリストを選べる。エキスパートが作ったそういうプレイリストは、すでに数千ある。プレイリストをダウンロードしてオフラインで聴くこともできるが、それは元のSongzaになかった機能だ。

そのほか、プレイリスト上の次の曲を見る、プレイリストの内容の加除や並べ替えをする、などの機能もある。Songzaのプレイリストは、作成に人間が介入するから強力だ。

iTunes Radioにやや似ているが、Play Music + Songzaでは曲を自分で選んでステーション(放送局)を作ることもできる。

もちろん、既存のさまざまな局から検索して選ぶこともできる。

また、新たに導入された”Listen Now”のセクションでは、最近自分がプレイした曲や、おすすめの新曲、個人化情報に基づいたおすすめのステーション、などを聴くことができる。

ただしSongzaを統合したPlay Musicアプリが使えるのは、当面、合衆国とカナダだけだ。”Listen Now”は、Play Musicを使える45の国で利用できる。

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オーディオファンと難聴の人が喜ぶiPhoneケースAmpAudio

Ampは、人によっていろんな役に立つ。このiPhone用のデバイスは、パチンとはめて緩衝壁になり、左右計二基のスピーカーになり、オーディオファンにとってはノイズを減らすプリアンプになって、薄っぺらなMP3がライブのオーケストラのように鳴る(と感じない人もいるだろう)。

Alex SeligとVarun Srinivasanは、iPhoneのオーディオを大幅に改良したくてこのデバイスを作った。ユーザ一人一人の聴覚特性に合わせる能力のあるこのアプリとデバイスは、これまで聞こえなかったような音の成分を際立たせる。同社が単独のアプリとしてリリースしているSoundFocusを使うと、自分のコレクションやSpotifyなどの音質がやや良くなる。

さて、あなたにとってこれは必要だろうか? ぼくがテスト用に使ったヘッドフォンGrado SR60は、携帯用のデバイスで良い音で聴くためには良質なプリアンプが必要だ。Ampは音に十分な生気を与えてくれるから、旅行時に持参するプリアンプとしては最適だ。音の迫力を増すだけでなくノイズも抑えるから、すてきな空の旅になるだろう。

音を増幅しつつ、まわりの騒音は減らすから、会議用にも適しているし、難聴の人にも役に立つ。このオーディオデバイスの万能ナイフは初期投資者向けに69ドルだが、投資の価値は十分にある。バックアップ電池を内蔵しているから、使用時間は25%延びる。

SeligとSrinivasanは音のために生まれた人間だ。SrinivasanはDJだし、Seligは重度の難聴をかかえている。二人が作ったソフトウェアとハードウェアは、EDM beatzの音をよりホットにしてくれるだけでなく、Seligのような人を助ける。この二つが一つの製品の開発目標になることは珍しいが、とにかくクールなプロダクトだし、ふつうの人だけでなくオーディオファンも十分に満足させる。

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LINE MUSICがいよいよ始動–SME、エイベックスをパートナーにサブスクリプション型で展開

千葉・舞浜にて開催されたLINEの年次イベント「LINE CONFERENECE TOKYO 2014」。決済サービス「LINE Pay」なども発表されている同イベントの中で、LINEがかねてから提供を予定していた音楽配信サービス「LINE MUSIC」についての情報がアップデートされている。

LINEでは、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)およびエイベックス・デジタルと合弁で「LINE MUSIC」を設立し、同社にてサービスを展開するという。新会社は10月下旬設立予定。資本金は4億8000万円、代表にはLINE上級執行役員CSMOの舛田淳氏が就任する。

詳細は明らかにされなかったものの、サブスクリプション(定額課金)型の音楽配信サービスを展開する予定だという。リリース時期については「遠くないタイミング」(舛田氏)としか明言されていない。LINE MUSICは2013年8月に開催されたイベント「Hello, Friends in Tokyo 2013」で発表されていたもの。舛田氏によると、サービス自体は昨年時点でほぼ完成していたが、作り替えて今回の発表に至ったそうだ。

サブスクリプション型の音楽配信サービスと言えば世界的には「Spotify」などがあるが、こちらは日本法人を設立してサービス提供に向けて動いているとは聞いているものの、実情は「COMING SOON」(関係者)という以上の詳細はほとんど聞こえてこない状況だ。またすでに、ソニーの「Music Unlimited」、レコチョクの「レコチョクBest」などサブスクリプション型の音楽配信サービスが国内でも展開されている。


ステッピングモーターが音楽をかなでるRasPi/Arduino製の珍作

この、ArduinoとRaspberry-Piで作ったミュージックボックスは、シンプルなステッピングモーターを使って楽しいメロディーを奏(かな)で、二つのサーボがパーカッションを担当する。

Jeremy Weatherfordが作ったこのボックスは、とてもシンプルだ。Raspberry Piが音楽を収めていて、正しいタイミングでステッピングモーターを動かす。モーターの振動の周波数と持続時間が変わることによって、音楽になる。かなりくだらなくて、やりすぎなところが、楽しい。Weatherfordは、こう書いている:

“全体を木の箱に入れて、部品をパネルにマウントするときが、楽しかった。電源スイッチは電源に接続するとLEDが点灯する。LiPoバッテリーは使ってない。play/stopボタンがあり、後ろには壁からの電源用のジャックがある。だからLiPoバッテリーの爆発事故はありえない。”。

このボックスは絶対的にキュートなハックだが、さらにいかしてるのは、演奏する曲が“Sweet Child Of Mine”であることだ。ぼくはこのボックスを、愛してしまった。

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完全なサウンドラボ/スタジオの完全なWeb化をねらうWavepot、よちよち歩きだが将来性は大きい

ノブ回し屋さんたちはご注目を。Wavepotは、あなたの寝室やテクノ小屋などで一人っきりで、すごいホットなEDM(Electronic Dance Music)のビートをプログラムできるクールな新しい方法だ。ライブのプログラマブルなデジタルオーディオワークステーションとして設計された(現状はデジタルシグナルプロセッサに近いが)このWebサイトでは、Webページやシンプルなアプリをプログラムするような感覚で音楽とサウンドをプログラムできる。パラメータを設定し、いろんなファンクションを加える、するとそれがすぐに実行できる。JavaScriptを使っているから。

いまのところサウンドと波形をシーケンスできるだけだが、究極の目標は、すべての機能が揃ったマルチトラックのレコーディングシステムをブラウザ上に提供することだ。プログラムをサイドメニューからロードして、そのプログラムをリアルタイムで書き換えることもできる。たとえば”got some 303″の192行の”saw”(ノコギリ波)を”sin”(正弦波)に入れ替えるだけで、まったく新しいリフになる(下図)。


〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

今このサイトでは、会社などで遊ぶとほかの人の迷惑になるようなことしかできないが、チームは機能強化のために寄付を募っている。また、なかなかしっかりしたフォーラムもあり、そこではお互いのサウンドやプログラムの共有が行われている。今のあなたはBurning ManのためのEDMで忙しいかもしれないが、このWavepotも一見の価値はある。

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YouTube上の音楽ビデオに合わせてその曲の弾き方を覚えるRiffstation Play

孤独なティーンエイジャーの人や、前はそうだったけど今は音楽が上手になった大人の人はご注目。YouTube上のどんな曲でも、Riffstation Playのとても簡単なインタフェイスを使って、弾き方を覚えられるのだ。このWebアプリケーションのベースとなっているRiffstationは、インターネット上のほとんどどんな曲でも、コード進行と音符を教えてくれるサービスだ。

昨年取り上げたCapo 3と同じく、とてもシンプルなシステムだ。複雑な曲は無理かもしれないが、ロックのヒット曲ぐらいなら大丈夫。すでにコードパターンを記録した大量の曲のライブラリと、それ用の検索エンジンもある。これをステージでiPadなどで利用すると、Fake Bookよりも効果的かもしれない。

ウクレレのコードもサポートしているから、友だちと気軽にウクレレバンドを作れる。同社が作った厚顔無恥なデモビデオも、おもしろい。

Riffstationの協同ファウンダDan Barryは曰く、“世界中のどんな曲のどのバージョンでもコード進行を提供できるだけでなく、うちはギターを弾いてる人たちのあいだで人気がある曲の、ヒットチャートも作っている。コードの認識は自動的に行われるので、うちのカタログのサイズは事実上無限大だ。うちのインデクスにはすでに、1000万曲以上の曲が載っている”。

このアプリケーションにはプロ用バージョンもあり、曲を詳しく分析し、スローな再生もできるから、派手々々なリフやリードなどでも弾けるようになる。でも、コードを知るためだけなら、いろんな無料の演奏サービスでも、十分に役に立つけどね。


〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

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テキストのかわりに「音楽」を送るメッセージングアプリケーションのLa-La

Yoの登場で誰もが納得したように、WhatsApp登場後でも、新たなメッセージングアプリケーションの登場を待ち望んでいる人はまだまだ多いようだ。TechCrunchのSarah Perezも、やはり新しいメッセージングアプリケーションの記事を投稿していた。本稿でも、自分の気持ちをストレートに表現する「音楽」を素材としたメッセージングアプリケーションを紹介したい。

今回紹介する音楽メッセージングアプリケーションのLa-Laは、Yoではなく、あるいは言葉によるメッセージではなく、さらにあるいは写真などでもなく、楽曲のオーディオスニペットをメッセージに利用する。

たとえば、ガールフレンドないしボーイフレンドにいつもの挨拶を送りたいのだとしよう。するとたとえばライオネル・リッチーの「Hello」のメロディーを送ったりすることができるのだ(いや、その曲がベストだと言っているわけではない)。曲を選んで、送信相手を選択し、そして送信ボタンを押せば操作は完了だ。相手方も自分の選んだ曲で返信を送ってくることになる。送りたいと思う曲がなくなるまで延々と送りあうことができる。

アプリケーションをインストールしていない人には、SMSでLa-Laメッセージを送ることもできる。双方でLa-Laを使っているのなら、アプリケーション内で友達登録をしておくことも可能だ。送られた音楽メッセージは、再生するまでいったいどの曲なのかわからないようになっている。いったいどの曲が送られてきたのかと、わくわくしながら再生することができるようにとの配慮からだ。

もしかするとThisIsMyJamを思い出す人もいるかもしれない。しかしLa-Laはメッセージ形式でやりとりをしているのが新しいところだ。

La-Laで利用可能な曲は、基本的には有名アーティストとライセンス契約を結んだものだ。それに加えて、YouTubeから自分でメッセージに利用する部分を選んで送ることもできるようになっている。

このLa-Laの他にもメッセージに曲へのリンクを添付して送ることのできるものはある。しかしこのLa-Laでは送ることのできるのは楽曲のみだ。メッセージを送ることはできないようになっている。

おそらくはこれも「ティーンズのためのアプリケーション」という位置づけなのだろう。「大人」たちは、メッセージが送れないことに不便さを感じることの方が多いのではなかろうかと思う。

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(翻訳:Maeda, H


アナログ時代のコンサートビデオ1万本あまりをYouTube上のMusic Vaultサービスとして提供

YouTubeが新たに音楽サービスを立ち上げた、というわけではないけど、でもこれは音楽ファンにとっては、やはり良いニュースだ。Music Vaultという新しいサービスが、同社(Wolfgang’s Vault)がこれまでため込んだ13000本のライブビデオを、YouTubeから提供することにした。 それには、The Who、The Rolling Stones、Bob Dylan、The Grateful Dead、James Brown、Bruce Springsteen、それにインディーのDeer Tick、St. Vincent、Fleet Foxesなどのコンサートも含まれている〔元の音源はすべてアナログのビデオテープアーカイブ、デジタル化に際して音は完全にリマスタリングしている(意外と良い音)〕。

Music Vaultが数か月前にスタートしたときには1000足らずのビデオがあるだけだったが、今ではそれに12000が加わり、今後も増えると言っている。一部はコンサートの完全録画だが、ほとんどはコンサートから切り取った一曲だけのビデオだ。

このサービスは、週替りのプレイリストを提供する、と言っている。またYouTube向けの新しいビデオや、“本日のフィーチャービデオ”も提供する。DaytrotterPaste Magazineとの提携で、そのほかのビデオも提供していく。

“何千本ものビデオテープのデジタル化とミキシングとリマスタリングに2年間を要した。この膨大な宝物をYouTubeのみなさんと共有できることになって、とても誇らしく感じる”、とMusic VaultのコンテンツエディタBill Antonucciが言っている。

Music Vaultのオーナー企業はオンラインの音楽“思い出の品々”ストアWolfgang’s Vaultだ。同社のConcert Vaultでこれまですでに、有料会員制でさまざまな録画を提供していた。それがYouTube上のMusic Vaultサービスに変身したのは、広告収入の方が確実な収益源になる、と判断したからだ。

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General Harmonicsの圧縮テクノロジーは驚異的―テレビドラマの「シリコンバレー」そのまま

General Harmonicsはカナダの小さなスタートアップだが、ストリーミング・メディアに革命を起こすかもしれない。こういえばおかしく聞こえるが、 HBOの人気テレビドラマ、Silicon Valleyに登場する新しいデータ圧縮プラットフォーム、Pied Piperに奇妙なほどそっくりなのだ。ただGeneral Harmonicsの方ははるかに経験を積んでいるし、もっと進歩している。

ドラマでは主人公たちが創立した会社はファイルサイズを信じられないほど小さくできる独自技術、Pied Piperを開発する。General Harmonicのテクノロジーも結果は似ているが、実現のために用いられたアプローチはもちろん完全に異なる。特許出願中の新たなエンコード・テクノロジーによってコンテンツを分析し、個々の要素に分解して記述することで従来の手法では不可能だったレベルまでデータを圧縮する。

たとえばある楽曲がボーカルとインストラメンタルからなるのであれば、それぞれのパートごとに分解して「記述」する。この記述は音声データよりはるかに少さなサイズになる。General Harmonicsによれば、CD音質のファイルを元サイズの20分の1にできるという。先週私も参観したAT&Tの3Gを使ったデモ(屋内で無線の品質はきわめて悪かった)でGeneral Harmonicsはこの新たなエンコーディング手法の大きな可能性を示した。

たとえば周囲で再生されて音楽をスマートフォンに聞かせると、どの曲のどの部分であるかを判断して、その曲を現在の位置からストリーミング再生し、対応する歌詞も表示するといったShazamのような機能もデモされた。ただしShazamよりずっと早く、即座に曲の判別が行われた。

このテクノロジーでは「どのアーティストがどのパートをどの部分で演奏しているのか」といった情報も解析できる。General Harmonicsは最終的にはこうした情報もアプリケーションからアクセスできる形でエンコードしようと計画している。これによって演奏される音楽によって流れが変化するゲームなどの開発が可能になる。また将来は既存の楽曲データをユーザーがリミックスして即座に高音質の新しい曲をユーザーが作れるようになるかもしれない。SoundCloudの未来版というところだ。

アメリカのオンデマンド音楽ストリーミング、対前年比42%アップ―ダウンロード販売は衰退へという記事にあるとおり、ストリーミングの重要性は増す一方だ。ユーザーはもはや音楽を聞くためにスマートフォンをいちいちコンピュータに接続して音楽ライブラリーを同期するなどという手間をかけない。ユーザーはいつ、どんな場所でも即座に望みの音楽が聞けることを当然だと考えるようになっている。

そこで音質を落とさずにデータサイズを小さくし、高速でストリーミングできるようにすることは音楽サービスにとって死活的に重要になっている。同時にSpotifyPandora、 Appleのような巨大ストリーミング企業はサーバー費用を大幅に節約できるだろう。

またGeneral Harmonicのテクノロジーはここ5年のうちに新たに何十億もの人々がスマートフォンを持つようになると予測されている アフリカやアジアの途上国の市場で最も大きな影響を与えるかもしれない。こうした市場では4GやLTEネットワークが未整備であり、データのサイズはサービスの品質を直接に左右する。

7年間のステルスモードでの開発期間の後、General Harmonicsは戦略的パートナーを探す段階に入った。同社は自身で音楽サービス事業に参入してPandora、Beats、Spotifyなどのサービスと競争する計画はない。

General Harmonicsはここ数ヶ月のうちにこのテクノロジーのライセンス供与を進めていく予定であり、すでに先週からシリコンバレーの有力メディア企業と話し合いを始めていることを確認した。ただし広報担当者はそれ以上の詳細を明かすことを避けた。

〔日本版〕 Advanced Televisionによれば、Sony Picturesの最高デジタル戦略役員だったMitch SingerがGeneral Harmonicsのデジタル事業開発担当副社長に就任したという。

またこの記事はGeneral HarmonicsのDynamicMedia Technologyについて「現在インターネットで用いられているメディア・システムとは根本的に異なる。このテクノロジーは調和解析(harmonic analysis)、意味論的マルチノード転送、ニューラルパターン認識、高度なカオス情報処理の原理を組み合わせたもの」だと説明している。現在のところこれ以外にGeneral Harmonicsのテクノロジーについて解説した記事は見当たらない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


アメリカのオンデマンド音楽ストリーミング、対前年比42%アップ―ダウンロード販売は衰退へ

2014年上半期のNielsen音楽市場レポートが発表された。これによると、デジタル音楽の消費チャンネルはダウンロードからオンデマンド・ストリーミングに急速にシフトしつつある。オンデマンド・ストリーミングは対前年同期(上半期)比で42%のアップとなっている。2014年上半期には700億曲がストリーミング再生された。逆に、デジタル楽曲のダウンロードは13%ダウンして5億9360万曲に、アルバムのダウンロードは11.6%ダウンして5380万枚となった。

Nielsenのレポートを読むと、AppleがBeatsを買収したのは賢明だったと思えてくる。つまりiTunesのダウンロード販売モデルは急速に衰退しつつあるからだ。楽曲のオンライン、オフライン販売が低調だったため、ストリーミングを含む音楽産業全体の売上も3.3%ダウンした。

一方、独自の趣味を持った若い層の影響だろうが、アナログ・レコードの販売が対前年比で40%もアップし、400万枚となった。販売を伸ばした物理的媒体はこれだけだった。

アルバムには平均10曲が含まれるとする標準的な換算法を用いると、2014年上半期には11億3100万曲が販売されたことになる。これは2013年同期比で12%のダウン。

これまで長い間YouTubeの音楽ビデオが音楽ストリーミングの主要なチャンネルだったが、Spotifyなどのオンデマンド・オーディオ・ストリーミングの登場で、音楽ストリーミングの成長は50%以上となり、ビデオの35%を大きく上回った。音楽ストリーミングに関してオーディオとビデオはほぼ同規模となり、2014年上半期にはオーディオが336億5000万曲、ビデオが366億4000万曲がストリーミングされた。この成長率が続けば、2014年末にはオーディオ・ストリーミングが音楽ビデオのストリーミングを追い越すことは確実だ。

こちらにNielsenのレポート全文をエンベッドした。

【中略】

この15年で音楽ビジネスはCD販売、Napsterによる海賊天国、iTunesのダウンロード販売、Pandoraのインターネット・ラジオ、YouTubeの音楽ビデオ・ストリーミングを経て、Spotifyのオーディオ・ストリーミング時代を迎えた。合法的なストリーミングが普及したことによって、近くレコードレーベルもこれまでの頑な態度を改め、各種の音楽ディスカバリー・アプリを許可するだろう。誰でも好みの音楽を自由に聞くことができる時代がついに実現しそうだ。

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対話的な3Dの(6面体の)音楽ビデオプラットホーム、Google Labsの実験作The Cube

それはThe Cubeと呼ばれる。そしてそれは、まさにトリップだ。GoogleのCreative Labsが作った“対話的なお話プラットホーム”The Cubeは、ブラウザの画面に現れる3Dのボックスで、ユーザがそれを操作できる。キューブの各面に、いろいろなビデオやオーディオなどがある。今日オンラインでデビューしたキューブは、インディーのダンスバンドPresetsのニューシングル、”No Fun”をフィーチャーしている。見たい面をクリックしてドラッグすると、一つの面、または複数の面の組み合わせを見られる。

Labsの連中がLSD漬けになったわけではない。目的は、多面的なプロモーションだ。The Cubeを動かせるのは、ChromeブラウザとAndroidのみで、そのPresetsのシングルをGoogle Playで買えるリンクがある(有効期間48時間)。このThe Cubeは、デベロッパというよりも明らかに、デザイナーたちのやる気をそそるオブジェクトだ。

それに、The CubeはYouTubeビデオみたいに埋め込みできるから、たとえば下のようにページに埋め込んでプレイできる。それは、浴槽の中の少女と、けばけばしい色のヘアでダンスする男のお話だ。

Googleが一風変わった対話的音楽ビデオを作るのは、これが初めてではない。Chrome ExperimentsがArcade Fireで二つやった。“The Wilderness Downtown“は、ユーザのアドレスとGoogle Mapsを使ってビデオをユーザの家の航空写真でカスタマイズした。“Just A Reflektor”はユーザの携帯とWebカメラを使って、ユーザの動きでアクションをコントロールした。

しかしThe Cubeは一回かぎりの実験ではなくて“プラットホーム”だそうだから、今後いろんなアートが登場するのだろう。これを考えたのはGoogle SydneyのCreative Labで、先月、地元のカンファレンスでデモをした。そして今回はThe Presetsが起用されたが、もちろん音楽以外にもさまざまな表現の可能性がある。

たとえば、六つ(6面)の画面が同時並行的に表示されるストーリーはどうだろう。あるいはデータの視覚化にThe Cubeを利用したら、すごくかっこいいかもしれない。

The Cubeの開発過程については、下の楽屋裏的ビデオを見てみよう。その前にまず、The Cubeを停止した方がよいかもしれないね。

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Google、ミュージシャンの検索結果から直ちに音楽アプリケーションを起動可能に

検索結果とモバイルアプリケーションの連携の仕組みについて、Googleがまたひとつ新しい機能を導入したようだ。バンドやミュージシャンの検索をしたとき、Spotify、iHeartRadio、TuneIn、RdioあるいはGoogle Play、もしくはYouTubeなど、好みの音楽アプリケーションで即座に音楽の再生が行えるようになるというものだ。

この機能はモバイルをターゲットとしたものだ。いつも新しいアーティストの登場を心待ちにしていたり、あるいは贔屓のバンドからの新譜を楽しみにしているような人を主な対象としている。

Google検索は、もちろん多くの人が利用するサービスだ。しかしたとえば音楽検索などの分野では、アプリケーションの中から検索して、見つかった曲をすぐにアプリケーションで再生するというようなスタイルが確立しつつあるのだ。

そうした状況を受けて、Googleは検索エンジンを音楽再生のための入り口として利用してもらおうと考えたわけだ。それにより、Google検索の利用頻度も上がっていくという考えなわけだ。

こうした方向に進んでいくことについては、以前からGoogleはいろいろな話をしてきている。モバイル環境でのディープリンクを積極的にすすめ、検索結果を簡単にアプリケーション内で処理できるようにするという方針を明らかにしてきていた。既にレストランや旅行、ニュース、ソーシャル、写真関連の人気アプリケーションメーカーに情報を提供し、いろいろなアプリケーションでディープリンクを活用できるようになりつつある。

また、検索結果についてのみでなく、広告についても同様の動きをみせつつある。

ディープリンクで、Googleをアプリケーションランチャーのように使うというのは確かに有効な使い方だ。しかし具体的で便利な例を提供しなければ利用者も広がらない。

そのためのサンプルとして、音楽関連というのは確かにありだろう。Google検索とアプリケーションを有機的に統合していくことで、アプリケーション内検索に流れてつつある利用者を、再度Googleに呼び戻すことにつながるかもしれない。

音楽の検索結果からアプリケーションを起動するという仕組みは、現在のところアメリカ国内のAndroid利用者に対して提供されるものだ。Googleとしては対応地域や利用可能なアプリケーションの双方ともに、増やしていきたい考えだ。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon、Prime会員向け音楽ストリーミングを開始―地味なスタートは意図されたもの

今日(米国時間6/12)、AmazonはPrime会員向けのAmazpn Primeという音楽ストリーミング・サービスを開始したが、当面、Spotifyなどのライバルが恐れるに及ばないようだ。Amazonの新サービスにユーザーをさらわれる心配はまずないだろう。提供される楽曲は100万曲と少なく、半年以内の新曲はない。またUniversalのアーティストは含まれない。それに加えてユーザー・インターフェイスは恐ろしく古臭い。しかしAmazonは「Prime会員に馴染みがあるデザインにした」のだという。

Amazonの音楽ストリーミングはSpotify、Rdio、Beats Musicなど人気のストリーミング・サービスとはまったく異なるUIだ。 これは既存のダウンロード販売のページに単にストリーミングのオプションを付け加えただけに見える。ライバルのサービスがクリックひとつで無数の曲を聞き始めることができるのに対して、Amazon Primeでは無料の楽曲を探し、ライブラリーに加えてからでなければストリーミングが始まらない。

ところがこのデザインは意図したものなのだという。

Amazonのデジタル音楽担当副社長、Steve Boomは今日、私の取材に答えて「われわれはPrime Musicを現在のAmazonの顧客をを念頭に置いてデザインした」と語った。つまりAmazonを利用する消費者はスーパーマーケットの通路を往復して好みの商品を探し、カートに入れて家に持ち帰るようなユーザー体験に慣れているのだという。

このUIはクリックすると即座に曲の再生が始まり、アルゴリズムによって選択された曲がその後に続くRdioなどのUIとは対照的だ。

Boomは音楽ストリーミングの主流のサービスについて「われわれはクローンを作るつもりはない」 と述べた。SpotifyとRdioが提供する楽曲は共に2000万曲を数えるのに対してPrime Musicは100万曲にすぎない。またUniversalの曲はまったく含まれない。

「もしわれわれの目標が(Spotifyなどの)クローンであるなら楽曲数が少ないことは大問題だろう。しかしわれわれの目標はそこにはない」とBoomは言う。

Prime Musicの一見地味なスタートはPrimeインスタントビデオのスタートを思い起こさせる。Amazonがインスタントビデオをスタートさせたとき、Netflixのライバルになれそうにはとうてい思えなかった。しかし6年後の現在、ことにHBOのコンテンツを追加してからは、Primeインスタントビデオは最良のビデオストリーミング・サービスと言ってよいと私は思う。

Amazonは現在主流となっているストリーミング・サービスと競争するつもりは全くない。Boomは「調査してみたところAmazonの顧客は複数の音楽サービスを利用していることがわかった。Prime MusicはPrime会員が使い慣れたインターフェイスで無料の音楽コンテンツを提供するのが目的だ」と語った。しかしPrimeインスタントビデオの成長を考えれば、Spotify、Rdio、BeatsもAmazonのPrime Musicに油断しない方がいいだろう。しかし大きな成長を望むならPrime Musicのユーザーインターフェイスはやはりなんとかしなければなるまい。

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Amazon、今週中にも音楽ストリーミングを開始のもよう―内容は小規模

New York Timesによれば、AmazonはPrime会員向けの音楽ストリーミングを今週中にもスタートさせるという。 このサービスはPrime会員の年会費以外は無料で、広告も入らないが、新曲は提供されない。またユニバーサル・ミュージックのアーティストは除外されるという。

AmazonのサービスはRdio、Spotify、そしてAppleが買収したBeats Musicなどのライバルに比べて大きく異る。他のサービスはすべてユニバーサルも含めて新曲を提供する(一部除外されるサービスもある)。またAmazonのサービスが当初提供するのが数千曲だというのに対して何百万という曲を聞くことができる。しかしAmazonのストリーミングが既存のPrime会員向けの追加サービスだというのであれば、他の独立のストリーミング・サービスとは直接のライバル関係にならないわけだ。

Amazonは最近Prime会員の料金を年額79ドルから99ドルに値上げしたが、同時にPrime会員向けインスタント・ビデオにHBOのタイトルを加えるなどコンテンツを拡充している。

Amazonのストリーミング・サービスが当面きわめて小規模であるのはレコード会社とのライセンス交渉の不調によるものらしい。レコード会社はAmazonの提示したライセンス料が低すぎると考えたようだ。Amazonのライセンス条件は、インディーズレーベルの場合は、年間500万ドルのライセンス料をプールして配分、ソニーとワーナーに対しては年間アクセス料金を一括して支払うというものだという。 Amazonが最終的にどれほどのコストを負担することになるのかは明らかになっていない。

昨年末にAmazonが発表したところによると、Prime会員の数は2000万人程度のようだ。Primeは非常に利益を上げている事業なので会員数をさらに増加させるために努力することは理にかなっている。他の独立の音楽ストリーミングと比べると見劣りがするとはいえ、こうした小さな付加価値でもPrimeサービスの魅力をアップするのには役立つだろう。

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Apple、Beatsを30億ドルで買収―音楽ストリーミング・サービスはiTunesと別個に運営へ

Appleは先ほどBeats Eletronicsを買収したことを発表した。 買収価格は30億ドルだった。共同ファウンダーはラップ・ミュージシャンのDr. Dreと音楽業界のベテラン、Jimmy Iovineで、主要な事業はヘッドフォンと音楽ストリーミングだ。

Appleが買収したBeatsをどのように運営するのかが注目されていたが、音楽ダウンロード・サービスであるiTunesにストリーミング・サービス化するというリスクは冒さず、Beatsの音楽ストリーミング・サービスはiTunes別個に、並行して運営していくという。ストリーミング・サービスのビジネスモデルは定額制の聴き放題だ。

私は先週、Apple は両サービスを並行して運営するというスクープ記事を書いたが、幸い、これが確認されたことになる。

Appleの上級副社長でiTunesの責任者、Eddy Cueは今回の30億ドルの買収を発表したプレスリリースで「Beatsの参加によってAppleの音楽サービスのラインナップは大きく強化される。無料ストリーミングのiTunes Radioに加えて世界でもトップクラスの有料音楽ストリーミングのBeats Musicを提供することができるようになった。もちろん長年愛されてきたiTunes Storeで従来通りダウンロード購入サービスを続けていく」と述べた。

この最後の部分に注目していただきたい。 CueとAppleはストリーミング・サービスを始めるに当って、いきなりダウンロード・サービスを廃止して従来のユーザーにショックを与える代わりに、ストリーミングを新たなオプションとして提供することにした。すでに大きなデジタル音楽のライブラリを作っているユーザーは今後もiTunes Storeからダウンロードを続けることができる。Financial TimesのTim Bradshawによれば、Appleの買収後もBeats MusicはAndroidとWindows Phoneから引き続き利用できるという。

Kleiner Perkinsの伝説的インターネット・アナリスト、Mary Meekerが2014版インターネット・トレンド・レポートで示しているところによると、デジタル音楽のダウンロードの売上高はストリーミングの成長と共に下降線をたどっている。デジタル楽曲の売上は2013年中に6%減少し、2014年の第1四半期には対前年同期比で13.3%も下落した。一方、アメリカにおける音楽ストリーミングの利用は2013年に32%アップしている。一言でいえば、セル・モデルは衰退しつつあり、ストリーミング・モデルこそが未来だ。

とはいえ、ダウンロード販売もまだまだ大きなビジネスだ。Appleとしてはこれを今すぐに投げ出したくはない。シリコンバレーかいわいでこそ誰もダウンロード販売を利用していないものの、2013年には12.6億曲、1億1760万枚のアルバムがオンラインで売れている。

AppleはBeats Musicへの移行ができるだけスムーズに運ぶよう配慮している。当面、ストリーミングを好むユーザーにはBeatsを受け皿として用意し、将来iTunesの売上が一定以下に減少したらその時点でiTunesもストリーミング化するのだろう。

パーソナル化されたキュレーションを導入するBeatsは、伝統的な「なんでもあり」のiTunesを非常に効果的に補完できる。iTunesにやってくるユーザーは聴きたい曲やアーティストを初めから決めていることが多い。しかしBeatsは聴き放題モデルなので、ユーザーは気軽に新しいアーティストや楽曲を試すことができる。探究心、好奇心の強いユーザーに対して本人の好みをベースにしたキュレーションの重要性は非常に大きい。

比較的保守的な音楽ファンはiTunesをより多く利用し、新しい音楽を探しているファンはBeatsを好むという補完関係が考えられる。

次に注目されるのは、料金だ。現在Beats Musicは月額9.99ドルだが、Appleはメジャー・レーベルを説得してこの料金をもっと手頃な金額に引き下げることができるだろうか? Appleの洗練とBeatsのブランドが相乗した結果、世界のあらゆる音楽が月数ドルで聴き放題になればうれしいのだが。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ROLIのラジカルに新しいキーボード楽器SeaboardにシリーズAで$12.8Mが集まる

Seaboard GRANDは、まったく新しいタイプのキーボード楽器だ。柔らかいゴムでできたキーを、ギターの弦をベンドするときのようにベンドして音を作る。これまでのキーボード楽器とは、まるっきり違う。とりあえず、下のビデオを見ていただこう。

しかしこれほど変わった楽器は、通常なら投資の対象になりにくい。ところが今日(米国時間5/21)は、SeaboardのメーカーのROLIが、シリーズAで1280万ドル(760万ユーロ)を調達したのだ。このラウンドの幹事会社はBalderton Capital(LoveFilmとKobalt Music Groupにも投資)、これにFirstMark Capital(PinterestとShopifyに投資)、Index Ventures(SonosとSoundCloudに投資)、それに戦略的投資者としてUniversal Musicも投資している。音楽的に大きな将来性あり、ということか?

これは楽器会社への投資としては相当大きい方で、ROLIのファウンダでCEOのRoland Lambによると、その資金は、このキーボード楽器の需要に応えるための生産能力の拡大と、拡大のスピードアップに充てられる。

ROLIの今後の生産計画の中にある、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせから成る製品系列の中で、Seaboardはその初めての製品なのだ。だから、生産能力の整備拡充もこれからの課題となる。

同社はとりわけ、同社のサウンドエンジンEquatorの活用を考えている。このサウンドエンジンは、楽器はもとより、ありとあらゆる種類の3Dデバイスや機器類に組み込める。投資家が目をつけたのも、実はこっちの方だ。

ハーバードで中国古典文学とサンスクリット哲学を専攻したLambは、その後日本の禅寺で修行を積み、ジャズピアニストとして生活を支えた。彼がSeaboardを発明したのは、イギリスのRoyal College of Artで、Ron Aradの下でデザインを学んでいた2009年のことだ。下宿で作ったプロトタイプがエンジェル資金を獲得し、2012年にROLIを創業した。ROLIのチームは出だしの3名から今では33名になっている。

彼によるとSeaboardは、“マルチタッチで三次元の製品だが、まだ始まりにすぎない”。つまり、ROLIからは今後、いろんな製品が続々出てくる、ということだ。

BaldertonのDaniel WaterhouseはROLIについてこう言う: “ロンドンでは多様なスキルが、これまで類例のなかった形で融合することによって、次世代のテクノロジ企業が創りだされている。ROLIもその典型の一つだ”。こういう非常に独特な技術は、ほかのところでは生まれない、と彼は考えている。彼はたぶん、正しいのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Ethernet AVB規格によるホームオーディオシステムBrick & Bulletは遅延のないリアルタイムを実現

AirPlayなどのワイヤレスホームネットワークでオーディオを聴くと、遅延があることに気づく。[play]をクリックしてから数秒後に、音楽がスタートするのだ。通常の録音された音楽はリアルタイムではないから、それでもかまわない。でも住宅やビルなどの中でライブの音楽をブロードキャストしようとしたり、映画を見てるけどオーディオシステムのせいで音が同期してない、なんてときには、困ってしまう。

今日Kickstarterに登場したBrick & Bulletは、Ethernet AVBという規格を使うことによって、消費者に遅延のないオーディオストリームを届けようとする。そのハードウェアを使うと、遅延のないプレイバックが可能なのだ。このプロジェクトを作ったJohn Gildredと彼の会社AVB.ioは、今週末サンフランシスコで行われるMaker Faireでデビューする。

上のビデオでは、Brick & BulletとAirPlayの従来的なセットアップを比較している。使用しているルータはAirport Express製だ。たしかに、ずっと良いシステムだし、Airfoilなどのソフトを使ってAirPlayの特殊な使い方をしたいときに起きがちなトラブルを解決してくれる。OS XはAVBをデフォルトでサポートしているから、Maverickが動いているMacなら、すぐにBrick & Bulletを使える。

基本的にこれは、オーディオが最高のクォリティでなければならないという、特殊な、というかニッチなニーズのための製品だが、でもAVBはいずれ、音楽やオーディオのプロたちや、マニアたちの、デジタルメディアとのつきあい方を、一変させてしまうだろう。

支援者にはBrickが最初は300ドルで提供される。Brick一つとBullet二つのセットが850ドルだ。ちょっと興味がある、という程度の人には手が出せないだろう。発売予定は9月で、Brickはすでに本番生産が可能だが、Bulletの最終デザインはこれからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


イギリスのAmazon Musicがサイトを1994年ふうに模様替え, Oasisの20周年記念アルバムを宣伝

Amazon U.K.(イギリス)にはOasisの大ファンが一人いるようだ。それともAmazonは、ネイティブ広告の新しいスタイルを発明したのか。知らなかった人も多いと思うが、Amazon.co.uk MusicのWebサイトは今日(米国時間5/16)、レトロなデザインになってしまい、タイトルも”Amazon Music 1994″になった。同社の説明によると、もしも今日が1994年5月16日だったらAmazon Music Storeはどんなページだっただろうか、試してみたのだ。しかもそれには、近く発売されるOasisの20周年記念アルバム、すなわち、あの歴史的名作といえるデビューアルバム ‘Definitely Maybe’の再発売を祝う意味もあるという。え、何ですって?

まさか…

Oasis? うそでしょ? 本気なの?

Amazon Music U.K.Webサイトの1994年版は、デザイン的には色とフォントがやや違うだけだ。赤に白抜き文字なんて、いかにも昔的! しかしそこに並ぶアルバムのアーチストたちは、Beastie Boys、Prodigy、Weezer、Portishead、Beckなどなど、まさに当時全盛の人たちだ。

(今の子たちが聴いてる音楽よりは、断然いい音よね。おっと、私の歳がばれちゃいそう。)

グランジのアルバムの広告やリンクもある。Gangsta Rap、人気テレビ番組”Friends”、それにMichael Jacksonのアルバムなんかも。

でもこのレトロWebサイトのスターは、誰あろう、AmazonがアルバムのセールスをプッシュしているOasisだ。しかもポップアップボックスのメッセージには、“1994年の契約当時のインタビューとライブ演奏を見られます”、とある。

アルバム中の数曲は、しばらくのあいだ、無料で聴ける。

Oasisや1994年ふうのWebサイトが好きくない人のために、2014年に戻るためのリンクもある。

助かるわ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))