Uberのファウンダー、トラビス・カラニック、ベンチャーファンドを立ち上げを発表

大きな物議を巻き起こしたことで一般メディアでも知られるようになったUberの共同ファウンダー、元CEOのトラビス・カラニックが10100 Fundと呼ばれる投資ファンドをスタートさせることを発表した。

カラニックのTwitterアカウントによれば、新ファンドは大規模な職の創造」に注力するという。

投資分野には不動産、コマース、中国やインドなどの新興市場におけるイノベーションなどが含まれる。

新ファンドはカラニックが取締役会やNPO、スタートアップへの投資など舞台裏で進めてきた努力を総合し、システム化する試みのようだ。

カラニックの投資先は、ファンドの名称から察するに、社員が10人から100人の会社らしい(このサイズのスタートアップは成功したときの成長率がもっとも高い)。

TechCrunchはカラニックにコメントを求めているので、回答があればアップデートする。

Twitterのユーザーの1人はカラニックはファンドの名称を再検討したほうがいいと勧めている。トラック・ドライバーがよく使うCB無線の世界では10-100は「トイレに行く」ことを意味しているのだそうだ。

名前はともあれ、カラニックには潤沢な投資資金があるはずだ。

報道が事実なら、カラニックはUberの持ち分の3分の1近くを売却する。SoftBank GroupのUberの評価額が480億ドル(それでも最後の資金調達ラウンドの際の会社評価額と比較すれば大幅に値下げされている)なので、もしカラニックが所有するUber株の29%を売却しようとしているなら、14億ドルの価値がある。

カラニックは昨年6月にUberのCEOを辞任したが、取締役会には留まっており、Uber株の10%を所有している。

この売却が計画どおり完了すればカラニックは大富豪となるが、2016年10のVanity Fair New Establishment Summitでは、「自分は家のローンを毎月返済しているが、Uber株は1株も売るつもりはない」と断言していた。

しかし2017年を通じてカラニックには数々の苦難が降りかかった。 Uberにはセクハラ知的所有権を盗んだされる訴訟司法省による捜査等々だ。またカラニックは個人的な悲劇にも見舞われた。

しかしカラニックは数々の失敗の後で低評価だったUberに奇跡的成長を遂げさせた。今回の投資ファンドではカラニックは誰もが異論なくプロだと認める分野に戻るのだろう―つまりスタートアップを成長させることだ。

画像; Wang K'aichicn/VCG/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベンチャーキャピタルが、おべんちゃらキャピタルに化ける時――過剰な資金調達は毒

【編集部注】Eric PaleyはFounder Collectiveのマネージングパートナーである。

これまで私は、効率的な起業家精神(efficient entrepreneurship)の利点についてたくさん書いてきた。その視点に関して私は概念的に説明し、有り余る資金が有望な企業を殺してしまう仕組みを説明してきた。そして71のIPOのデータから、たとえ成功していたとしても、資金調達額と良い結果の間には相関関係がないことも示した。こうした説明が、それでもまだ概念的過ぎるという人びとに向けて、今回私は、このブログポストをまた別の感情 ―― 富への欲求 ―― に対して訴えかけるように構成してみた。

調達額を抑えたり、調達時期を遅らせることは、単に良い会社につながるだけでなく、創業者もより豊かになることにつながるのだ。

ZapposあるいはWayfairの創業者。あなたがなりたいのはどちら?

私はハーバードビジネススクールに通うMBAの学生たちに対して、しばしば質問をして挙手をしてもらう。君たちがなりたいのはZapposか、それともWayfairか?学生は皆、Zapposが成功事例だと知っている。一方、その多くはWayfairについて聞いたことさえない。スマートな学生たちの10人中9人がZapposを選ぶのだ。

Zapposは教科書に載るような成功事例だ。彼らは、シリコンバレーの最高のVCたちから段階的に資金を調達した。創業者であるTony Hsiehは、その型破りなアプローチなリーダーシップによって、雑誌の表紙を飾り、書籍が書かれることにもなった。同社がAmazonによって、8億5000万ドルから12億ドルの間の価格で買収されたとき、Hsiehが手にしたのは2億1400万ドルから3億6700万ドルである。もちろんこれは大した額だ。この成功によって、Zapposは創業者たちが学ぶべきお手本になったのだ。

しかし、研究すべき対象だということが創業者たちにあまり知られていない、より優れたeコマースのスタートアップストーリーたちが、他にも存在しているのだ。

Zapposと違い、Wayfairは家具の工場直送販売を行うeコマース企業だ。創設者、Niraj ShahとSteve Conineはビジネスをゼロから立ち上げ、Googleのアルゴリズムに対して最適化することで素早い成長を果たした。例えば何百ものSEOフレンドリーなURL(www.racksandstands.comのようなもの)を購入し、トラフィックを集約したのだ。同社は最初の月から利益を出していたが、多くのVCからの申し出を尻目に、彼らはビジネスが5億ドルの売上を超えるようになるまで、外部の資本を導入せずに成長したのだ。同社のことを、強固で、安定し、そして少々退屈な企業だとみる人もいるだろう。しかし創業者たちは、2014年のニューヨーク証券取引所へのIPOで最高の笑顔を見せることになる。同社にまつわる数々の注目すべき属性の中には、創業者たちの金銭的成功も含まれている。

創業者のそれぞれが、IPOの時点で同社の株式の約29%を所有していた。以後彼らは定期的に株式を売却しているが、同社の現在の市場価値が69億ドルであることを考えれば、Wayfairの2人の創業者は、それぞれがZapposの全株主を合わせたものよりも多額の金を手にしたことになる。別の言い方をするなら、並外れて資本効率の良いビジネスを構築し、会社に既に大きな価値が生まれてから初めて資金を調達したことで、Wayfairの共同創業者たちは、Hsiehのおよそ10倍の金を手にすることができたのだ。私ならShahとConineの方になりたい。

早期の資本を最小化する

おそらく、この違いは家具市場と靴市場の相対的な違いによるものだ、と言いたい人もいるかもしれない。公正を期すために言っておくならば、家具ビジネスは、靴市場の約2倍の大きさである、とはいえ靴産業は、顧客の反復注文が多く、輸送コストは安く、試用と返品のやりとりが少ないため、おそらくeコマースにより向いていると思われる。

業界の動向が重要な役割を果たすことはあるものの、違いを生み出すのは企業の資本戦略であると私は考えている。Wayfairは、会社を設立するためや、早期の成長を加速するための資金調達は行わなかった。もし途中で資金調達をしようと思ったならばそれは容易だったことだろう。しかし彼らが初めて資金調達をしたのは、ビジネスを劇的に拡大し、既に大きくて健全な会社に投資を行うべきタイミングに来た時だった。彼らは多額の資本を取り込むことを躊躇うことはなかった。Waifairが調達した資金はZapposの調達した資金の3倍に達している。しかしそれは会社の市場での優位性が確立し、膨大なスケールメリットを出せるようになった後であり、希釈性は最小に抑えられた。

金が全てではない

あまりにも早期に資本を導入して、あまりにも希釈してしまうと、最終的な払い戻し金額以上の波及効果がある。Hsiehは、Amazonに売却を行った後、株主からの圧力によって会社を売却することを強制されたのだとほのめかした。関係者は皆一財産を築いたものの、個人的な意向が軽んじられて、5年も早く金銭的な決定が下されたことは残念なことだ。もしZappos自身のコントロールがそのまま続いていれば、Hsiehは彼の会社を成長させ続けることができただろう。そしてWayfairの成功に肩を並べることも可能だったかもしれない。IPOの時点でも半分以上の株式を所有しており、限定的な希釈の範囲で資金を調達したWayfairの創業者たちは、彼らの運命をコントロールできる大きな自由を持ち、現在でもなお驚異的なビジネスを展開することができた。

TrueCar対CarGurus

さて、また同じ質問をしてみよう。どちらの自動車eコマース会社がお好みだろうか?TrueCarまたはCarGurusのどちらの創業者になりたいか挙手をお願いする。以下の表を見る前に答を決めて欲しい。

その通り、遥かに少ない資金調達しか行っていないCarGurusは、TrueCarと同程度の利益率を持ち、そして遥かに速く成長している。よってその価値が3倍以上に及ぶ。

CarGurusはあまり資金調達を行っていなかったために、Langley SteinartはIPOの時点で会社の29%を所有していた。これはTrueCarの価値全体に匹敵する金額だ。IPOの時点で、TrueCarの創業者であるScott Painterは自社の株式の約14%を所有していた、もちろん相当な額であることは間違いない。しかしそれはSteinertがCarGuruで所有する額の10分の1に過ぎないのだ。

たとえ成功していても、より多くの資本がより良いビジネスにつながるとは限らない。反対に調達額を抑えることで、個人的な資産を増やし会社に対するより多くの自由を確保することが可能になるのだ。

これらは大きな成果である

これらのそれぞれの例で、どちらの会社も成功し、創業者たちは目覚ましい経済的成功を収めている。私が起業家たちに思考実験を課してみると、彼らはしばしば抵抗しながら、有名なブランドを作り上げるチャンスをものにするためなら、個人的な金銭的利益は喜んで抑えることができるなどと言う。彼らは、たったの1億ドルならびに名声と引き換えに、10億ドルの銀行口座をドブに捨てようと言うのだ。しかし実際にはこんなトレードオフが創業者に与えられることは滅多にない。

より一般的なイグジットは、数十億ドルのIPOではなく、5000万ドルから1億ドルの買収によるものだ。適度な金額を調達すれば、それは素晴らしい結果をもたらす可能性がある。しかし、もし数千万ドル(場合によっては数百万ドル)を調達したならば、すべてではないにせよ、多くの場合買収によるイグジットオプションは閉ざされてしまう。過剰資本企業が直面する可能性の高い選択肢は、5000万ドルを調達してベンチャー投資家に優先権を手渡すか、破産の危機に直面し従業員全員を解雇する羽目になるかのどちらかである。どちらの場合でも、創業者にはほとんどまたは全く返ってくるものがない可能性が高い。

設立から10年が過ぎて、WayfairとCarGurusはそれぞれそのライバルに比べて、より価値のあるビジネスとなった。そして創業者たちはその軽量金融戦略の恩恵を大いに受けている。しかしそれ以上に価値のあることは、選択の自由があるということだ。

彼らはベンチャーキャピタリストたちや並外れて大きな評価額の影響を受けていないために、その過程で5000万ドルでも5億ドルでも、売却を行うことのできる自由度を有していた。こうした創業者たちは、売却すべきか否かを、その資本構成ではなく、ビジネスの業績とリスクに対する意欲に応じて、決定することができる。1億ドルのスタートアップを恥じる必要はないのだ。しかし創業者たちは早々とそのオプションに飛びつくべきでもない。

たとえ成功したとしても、多すぎる資本はコストが高く、安心していてはならない。その一方で、効率的な起業家精神には、軽んじてはいけない多くの利点がある。Niraj Shah、Steve Conine、Langley Steinertらに尋ねてみると良い。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: RUSSELL WERGES

Ryloのクールな小型360度カメラがAndroidからも使える、気楽に撮って自由に編集がモットー

Ryloは強力な小型360度カメラだが、360度機能をなるべくバックグラウンドに置こうとする。つまり同社の本当の目標は360度カメラそのものではなく、カメラというものの考え方を変えて、写真やビデオの完璧な構図云々といったことを後回しにし、とにかく撮ることに専念させる。

このカメラは昨年ローンチして以降、iOSのみだったが、今日(米国時間3/2)同社のアプリがPlay Storeに登場し、Androidユーザーも、この革新的な球体カメラで遊べるようになった。

同社はAndroid互換のRyloカメラを自分のサイトで予約販売してきたが、シンクケーブルの違い(Lightningでなくmicro-USBとUSB-C)を除いては、iOSバージョンとほとんど同じだ。今日まで時間がかかったのは、ハードの問題ではなく、iOS版と変わらぬ機能性能のAndroidアプリを作るためだった。そのAndroidバージョンの予約販売を開始したのは先週で、発送は24時間以内に行われる。

そのカメラはすっきりしたデザインのハードウェアだが、Rylo Inc.自身は自分をソフトウェア企業と呼んでいる。

同社のモバイルソフトウェアスイートは、ビデオや写真を見るだけでなく、編集や、360度で撮った画像や映像からふつうのフレームを“型抜きする”仕事もする。しかしそれは、静的な世界ではない。Ryloにはとても強力でしかもシンプルなオブジェクト追跡機能があり、そのため、競合するGoProのFusionカメラ用のOverCaptureなどよりもずっと大きな自由度と使い易さが得られる。苦労せずに編集できる、ということ。

360度ビデオの処理はかなり計算集約的な工程だったが、最近の2年以内に出たスマートフォンがあれば、ほとんど問題ない。Rylo互換のデバイスのリストが、ここにある。

カメラの小売価格は499ドルで、ここで入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoftBank Vision Fund、すでに350億ドルを世界のテクノロジー・スタートアップに投資

昨年5月にSoftBankは1000億ドルを目標とするVision Fundになんと930億ドルもの出資を確保して組成を完了した。このニュースはテクノロジー界に大きな衝撃を与えた。しかも日本のテレコムの巨人は第2次の組成の準備を進めている。またSoftBankの発表(PDF)によれば、Vision Fundの総額の3分の1がすでに投資されている。

先月、この投資の大きな部分、77億ドルがライドシェアリングのUberに投じられた(SoftBankも12億ドルを直接投資している)。これに先立って2017年には、45.8億ドルを投資することで中国のDidi(滴滴)と合意している。ただし、この後者の投資はVision Fundの兄弟分でVision Fundの投資先と競合する可能性がある企業への投資を扱う総額60億ドルのDelta fundからとなる。

今朝発表された資料にはVision Fundが275億ドルを投資済みだとあるが、これは2017年12月31を終期とする9ヶ月におけるデータなので最近のUberへの投資は含まれていない。アメリカのライドシェアリングへの投資を加算すると、投資総額は350億ドルとなる。

Uber以外の企業への投資には、ARM、Nvidia、Flipkart、Paytmの親会社One97 Communication、OYO Rooms、Improbableなどが含まれる。最近の投資には犬の散歩アプリ、Wagへの3億ドルドイツの中古車マーケットプレイス、Auto1への5.6億ドルがある。どちらも今年に入ってからの投資であるためSoftBankが発表した資料には含まれていない。

Vision Fundは「 300年間成長し続ける会社」にするというSoftBankの戦略の一部だ。このため各カテゴリーごとに世界市場での勝者を発見し、支援するというコンセプトだ。SoftBankは投資先企業と協調しテレコムとAIに関連するサービスとテクノロジーの発展を目指す。Vision Fundの投資家はApple、Qualcomm、UAE〔アラブ首長国連邦〕のMubadala Investment Company、サウジアラビアのPID上場ファンド、Foxconn、Foxconn傘下のSharpなどだ。

Vision Fundという巨人が登場したことはアメリカにおける後期ステージのベンチャー投資の構図を大きく変えた。Sequoiaなどの有力ベンチャーキャピタルは急ぎ大型ファンドの組成を始め、Vision Fundに対抗しようとしている。

Vision Fundの影響はすでに各方面に感じられている。Wagへの投資の場合、Vision Fundは投資額を3億ドル以上にすべきだと強く主張したため、NEA(New Enterprise Associates)とKleiner Perkinsはラウンドへの参加を断念したという。両社とも当初Wagに強い関心を示していた。結局、Vision Fundは単独で投資を行ったが、他の投資案件でも同様の例が見られるという。

テクノロジー投資の分野では前代未聞の額のファンドだが、もちろん「先んずれば人を制する」ともいう。

Battery Venturesのジェネラル・パートナー、Roger LeeはTechCrunchのインタビューに対して、同社の最新の大型ファンドについて説明する中で、Vision Fundは「投資における優れたパートナーであり、あるカテゴリーのリーダーとなる可能性のある企業にとって(出資者として)重要な候補となる」と述べている。Battery VenturesはWagに当初から投資していた。

Leeはまた「SoftBankが投資しているジャンルには数多くのライバルが活動しており、それぞれ大きな価値を生んでいる。また〔出資者を探す場合も〕SoftBankが唯一のオプションというわけではない。上場を控えた後期ステージのスタートアップへの投資を専門としてきた投資家は多数いる」とも語っている。

SoftBankによれば、Vision Fundはすでに23億ドルの利益を上げているとしている。これは主としてNvidiaの株価上昇によるものだ。1000億ドルのファンド全体が目指すリターンはもちろんはるかに大きいものだろう。

画像:Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

CPGこそベンチャー投資の未来だ――消費者向けパッケージ商品スタートアップへの投資のポイント

この記事の執筆者はRyan Caldbeck(消費者向けパッケージ商品のスタートアップへの投資マーケットプレイス、CircleUpのCEO) 。TechCrunch投稿記事:消費財業界で起きようとしているM&Aの雪崩Unileverが10億ドルでDollar Shave Clubを買収した理由

6年前、われわれが創立したCircleUpのための資金集めをしていたとき、大勢の投資家が「消費者」という言葉を聞くと目をそらした。

われわれのプラットフォームは小規模なCPG(消費者向けパッケージ商品)の会社にのみ投資すると説明すると、投資家たちは居心地悪そうに身じろぎし、視線をあちこちにさまよわせたものだ。「エナジーバーなんか作っている会社はスケールするわけがない」、「ベビーフードではタカがしれている」といった懐疑的なコメントを何度も聞いた。傑作だったのは、「消費者向け商品を作っている会社の名前なんか一個も思い出せない」だった(あるベンチャーキャピタリストが本当にそう言った)。

今ではさすがに空気が変わっている。テクノロジー関連のニュースをブラウズすればGreylock PartnersがCPGスタートアップを賞賛している。Sequoiaのマイケル・モリッツは化粧品のCharlotte Tilburyの取締役に就任しているし、Lightspeed VenturesはVMG Paratnersと共同で中規模の消費者向け企業に投資している。

シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト間では、AI、ブロックチェーンと並んでテクノロジーを活用するCPGへの投資が確固としたトレンドになってきた。 CPG市場に流れ込むテクノロジー VCの投資額が急増している理由の一つは、VC間の競争が猛烈に激しいせいでもある。投資先が飽和ぎみのところにCPGには長年高い配当実績があり、中でも中小のメーカーが市場で好調なことに気づき、VCが殺到し始めたのだろう。

消費者向けプロダクトは市場が巨大だ。下のグラフを見てもわかるとおり、テクノロジー市場の3倍の規模がある。

市場の規模が大きいにもかかわらず、従来この分野へのアーリーステージの投資は低調だった。その原因はいくつもあるが、投資市場が非効率だったせいが大きい。 消費者向けブランドには地理的な偏りがあり、ブランドに関する組織的な情報提供システムの欠如している。消費者向け製品のシリコンバレーはないし、Crunchbaseのようなデータベースも今のところ整備されていない。

理論的には最近のVC投資はCPGにもVCにもwin-winの関係をもたらすはずだが、実際のVC投資は方向を間違えており、それどころか悪影響をもたらしている場合もある。投資家は金をを失うだけですむが、起業家は生涯をかけて築いてきた会社を失うことになる。

CPGスタートアップに投資する場合、投資家も起業家も共に益するような結果を求めるなら、留意すべき点がいくつかある。

この市場は「一人勝ち」にはならない

ベンチャーキャピタリストのCPG企業への投資における根本的な誤りは ある分野を1社が独占できると思いこんでいるところにある。これはテクノロジー市場の場合から類推しているわけだ。たしかにテクノロジーの場合、UberやAirbnbのように「一人勝ち」になることが多い。1社か2社がその市場のシェアの70%を占めることはよくある。しかしこれがCPG市場にもそのまま当てはまると思うなら、その推論には根本的な欠陥がある。

この5年から10年、ユニークで明確なターゲットを持ったプロダクトに消費者の好みは着実にシフトしてきた。現在はビールであれハンドローションであれ、消費者は嗜好を明確化するようになった。そのためブランドは特定のニッチ向けに細分化される傾向にある。したがってプロダクトの規模は以前より小さくなる。一方、巨大上場企業はニッチで成功を収めたスタートアップを急いで買収しようとする。PWCのレポートによれば、2017年におけるテクノロジー市場におけるM&Aは1700億ドルだったのに対し、消費者向けプロダクト市場とリテール市場におけるM&Aは$3000億ドルに上った。

マーケットのセグメント化が進み、小規模ないし中規模のブランドが多数生まれている中で、あるブランドのエナジーバーやベビーフードが市場の70%を獲得できるなどという幻想は捨てる必要がある。

企業価値の評価が高すぎたり、投資金額が大きすぎるのは有害

繰り返すが、CPGスタートアップに投資する際、「将来この市場を独占できる」と前提するのは非現実的なだけでなく、非生産的でもある。起業家はこの高すぎる評価額に追いつこうとして不自然かつ有害な行動に走りがちだ。おそらく次回の資金調達では評価額の引き下げを余儀なくされるだろうし、もっと悪いことに、素性怪しげな投資家でも構わず投資を募ろうとするかもしれない。起業家は会社の売却に必死になるが、はかばかしい結果は得られない…。現実のプロダクトが用意できていないスタートアップがインフレ評価額に押されて非現実的な成長を求めると、さらに苦境に陥るという悪循環に陥る。

UnileverがトレンディーなHonest Companyではなく、似たようなプロダクトを提供するSeventh Generationを買収した理由は関係者なら誰でも知っている。Honest Companyの会社評価額が高すぎたのが主な理由だ。ハリウッド・スターのジェシカ・アルバが創立したHonest Companyに投資したVCは会社の基本的な実績を無視して評価額をつけた。消費者向けパッケージ・プロダクトの会社はたとえ3000万ドルでも調達すべきではない。3億ドルなどもってのほかだ。その結果、Honest Companyは大企業による買収のチャンスを逃し、コスト削減を始めとするリストラを迫られるこになった。同社の将来に関して社員の間で不安が高まっているという。

一言でいって、CPG企業は成長のために巨額の資金を必要としない。そもそも、小資本で運営できるという点がCPGの美点だった。 消費者向けグッズのスタートアップが年間売上1000万ドルを目指すには400万ドルから800万ドル程度の資金で十分だ。これで十分利益を上げて会社を維持できる。テクノロジー企業が年間売上1000万ドルを達成するためには通常4000万ドルから5000万ドルの資金を必要とする。しかもそれだけの売上があっても利益を出せないことが始終だ。SkinnyPopRXBarSir Kensington’sNative Deodorantなどは着実に利益を出しているCGP企業の例だ。

優れたブランドを築くのは容易でない――しゃれたサイトを作ってD2Cを始めるよりはるかに複雑

昨年20人くらいののベンチャーキャピタリストが連絡してきて、「コンシューマー市場に投資したい。しかしテクノロジーを利用している企業でないとまずい。出資者にこのファンドはテクノロジー企業に投資する言ってあるのでね」という意味のことを言った。その結果が、VCはD2C〔Direct to Consumer = インターネット経由で消費者に直接販売する〕企業ばかりに高すぎる評価額で多すぎる金額を投資するようになった。

D2Cというのは一つの販売チャンネルではある。これはコンビニ( セブン・イレブンなどだ)や会員制販売(Costco)、スーパーマーケット((Walmart)、生鮮食品(Safeway)などがそれぞれ販売チャンネルであるのと同じことだ。当然D2Cにもメリット、デメリットがある。万能薬ではない。この分野に経験の浅いVCはよく「D2Cは流通コストが低い」というようなことを言う。しかし現実にはD2Cスタートアップは法外な会社評価額をベースにオフラインで同規模の営業をする会社と比較して10倍から30倍もの資金を集めている。D2C起業家にこのチャンネルはオフラインと比べて安上がりかどうか尋ねてみるとよい。この3年から5年、CAC(顧客獲得コスト)が急速に値上がりしたため、もはや安上がりではないという答えが返ってくるだろう。D2Cがそれほど安上がりなチャンネルなら、Bonobosが1.27億ドルDollar Shave Clubが1.64億ドルCaspeが2.4億ドルもの資金を集めねばならなかったのはなぜだろうか?

D2Cは一つのチャンネルだ。しかし消費者向けパッケージ製品(CPG)の販売で成功するために必要な基本が変わるわけではない。そのジャンルの利益率、チームの優秀さといった問題を別にすれば、ブランド価値、流通組織、プロダクトの差別化といった基本に戻ることになる。この中で差別化というのは必要な要素ではあるが、成功を保証するものではない。プロダクトはユニークであるだけでなく、それが消費者に利益をもたらすものでなければいけない。健康食品でいえば、Kind BarはClif Barより食べ物らしく見える。 エナジードリンクで長時間効果があるのは5 Hour Energy だ。低カロリー・アイスクリームなら「1箱食べても太らない」と主張するHalo Topがある。おかしなキャッチフレーズだと思うかもしれないが、どれも10億ドル企業であり、どれも同規模のテクノロジー・スタートアップにくらべて調達した資金額は非常に少ない。つまりシード投資家はその後のラウンドでの株式持ち分の希釈化を受けにくい。

これが将来の進路だと期待

消費者向けパッケージ製品は非常に大きな可能性を持った市場だ。巨大であり、無数のジャンルがある。投資家にとって有望なスタートアップを発見し、助ける可能性の宝庫だ。ベンチャー投資家がこの市場で成功したいなら、まず時間をかけて消費者市場の基本を理解しようと努める必要がある。そうした投資家が増えれば、優秀な起業家が適切な額とタイミングで資金を得ることができるようになるだろう。私は消費者市場でスタートアップの成功が相次ぐことを強く期待している。

画像:RAL Development Services/Davis Brody Bond

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Benchmark、Uberファウンダー、トラビス・カラニックへの訴訟を取り下げる

やっと終わった。BenchmarkはUberの元CEO、トラビス・カラニックに対する訴訟を取り下げた。これでベンチャーキャピタルとスタートアップのファウンダー間で起きた史上最大級の紛争は終結した。

SoftBankのUberへの投資が実現すれば訴訟は取り下げられることになっていた。その投資が完了し、Benchmark、カラニック共に相当数のUber株を売却することが可能になった。

BenchmarkとUberへの初期投資家の一部は、昨年カラニックが不祥事の発覚により辞任を余儀なくされた直後に訴訟を起こし、「取締役会がカラニックに2名の取締役の任命権を与えたのはカラニックが重要な事実について取締役会をミスリードしたためだ」として取り消しを求めた。

Benchmarkも取締役を出しており、当初はBill Gurleyが就いていたが、その後元FacebookのMatt Cohlerと交代している。この紛争中にカラニックは権限を行使してUrsula BurnsとJohn Thainの2名を取締役に任命した。

カラニックの広報担当はコメントを避けた。

ベンチャーキャピタルとファウンダーの関係はスタートアップのエコシステムでくわめて重要なため、この訴訟についてはシリコンバレー内で強い関心を読んだ。一部はBenchmarkの行動は行き過ぎだとしたが、企業文化に問題があったことについてカラニックには責任があるので当然だとするこ声もあった。

来年には上場が控えるとされるUberには新しいCEO、ダラ・コスロウシャヒの下でなすべき作業が多数あるだろう。

画像: Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

研究結果:Bitcoinを150ドルから1000ドルにつり上げたのはひとりの仕業だったらしい

Neil Gandal、JT Hamrick、Tyler Moore、Tali Obermanという4人の研究者が、Bitcoinの価格操作について興味深い論文を書いた。“Price Manipulation in the Bitcoin Ecosystem”[Bitcoinエコシステムにおける価格操作]という題名でJournal of Monetary Economics誌の最新号に掲載された同論文は、いかにBitcoinエコシステムが悪役たちによって操作されているかを説明している。

多くの人々にとって、Bitcoin市場が1人か2人のビッグプレーヤーによって動かされていることは明らかだ。「この論文ではBitcoin通貨交換所のMt. Goxで行われた疑わしい取引行為の影響を特定し分析する。同交換所では約60万bitcoins(BTC)、1.88億ドル相当が詐取されてきた」と研究者らは書いた。「対象の期間中、米ドル-BTC交換レートは疑わしい取引のあった日に平均4%上昇しているのに対しそれ以外の日にはわずかに下落している。厳密な分析と堅牢な検証の結果、疑わしい取引行為が米ドル-BTC交換レートに前例のない急騰を生じさせた可能性は高い。2013年終わりの2カ月間に、レートは150ドルから1000ドルへと急上昇した。

研究の結果、価格操作が起きた多くのケースで、原因は初期のBitcoinを含め様々な仮想通貨市場が極めて薄かったためだとわかった。「時価総額の著しい増大にもかかわらず、2013年(調査の対象期間)のbitcoin市場と同じく他の仮想通貨市場も非常に薄い。仮想通貨の種類は調査対象期間の80から現在は843にまで増えた。市場の多くが薄く、価格操作の対象になりやすい。

問題の価格操作はMarkusとWillyと呼ばれる2つのボットによって行われ、一見正規の取引に見えるが実際には所有していないbitcoinを使っていた。Mt. Goxがハックされた際、複数のこうしたボットが偽の取引を生成しBTC価格を操作することで数百万ドルを手にした。

公開されているMt. Goxの取引高には偽取引も含まれており、非常に大きい取引が行われていることを市場に発信した。事実、偽取引行為を別にしても、どの主要交換所でもbitcoinと米ドルの取引量はボットが活動していた日の方がずっと多かったと論文は書いている。もちろん、これに伴って増加した「ボット以外」の取引は、手数料取っているMt. Goxの利益を生んだ。

しかしWillyボットは別の目的にも使われた可能性が高い。Mt. Gox崩壊直後にReddit記事が採用したある理論によると、ハッカーらは2011年6月に膨大な量(約65万)のbitcoinをMt. Goxから盗み出し、同交換所のオーナーであるMark Karpalesは非常措置をとってこの損失を数年間隠し続けた。

結論は単純だ。もしBitcoinがまともに扱ってほしければ、これほど簡単に、また合法的に市場が操作されるべきではおそらくない。分散化は規制にとって変わるべきものだが、まともに扱われるまでの道のりが長いことは明らかだ。「主要な金融機関が仮想通貨資産に投資し、各国がbitcoinによる支払いシステムの合法化を進める中(日本は2017年4月)、仮想通貨市場がどれほど操作の影響を受けやすいかを理解することは重要だ。われわれの研究はその第一歩である」と研究者らは書いている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、英スタートアップ、Reduxを買収と判明――オーデイオとハプティクス分野で大きな武器に

Bloombergによれば、Googleその他の事業の親会社、Alphabetは、イギリスのスタートアップ、Reduxを密かに買収していたという。

Reduxは2013年にケンブリッジに設立されたスタートアップで、スマートフォンやタブレットの表面を振動させるテクノロジーを開発している。これらの表面をスピーカーやハプティック・フィードバックのために利用できるようにするのが目的だ。

この買収はCrunchbaseにも入力されており、またイギリスの法規によって必要とされる株式取引報告書によっても確認された。しかしGoogleはこれまでこの買収について一切発表を行っていない。

Googleは今年に入ってPixel 2やPixel 2 XLに代表されるようにプタッチスクリーン関係でアグレッシブな動きを示している。アナリティクス企業のLocalyticsのレポートによれば、 Pixel 2、Pixel 2 XLはクリスマス商戦におけるアクティベーションの数でiPhone Xを上回ったという。

GoogleがApple始め他のスマートフォン・メーカーと競争していく上でReduxのテクノロジーは強力な武器となるはずだ。さらに長期的なメリットも期待できる。最近のWiredの記事によれば、オーデイオによってデータを伝達する技術が競って開発されているという。これもGoogleがReduxを買収した理由のひとつかもしれない。

Reduxのウェブサイトはすでに閉鎖されているが、 ウェブ・アーカイブでチェックすると、同社はこの分野のテクノロジーで177件の特許申請(うち115件は特許として成立)を行っていることを説明している。

ReduxのメンバーはBullGuardの元CEO、Nedko IvanovがCEOで、これに元IBM、CapGeminのJohn Kavanagh、元Plastic LogicのDavid Gammie、元Deloitte、HiWave TechnologyのNimrata Boorらが加わっている。

TechCrunchではGoogleとReduxにコメントを求めている。何か分かればアップデートする。

画像: Marcio Jose Sanchez/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AIチップスタートアップの競争は既に始まっている

今年は、すべての目がNvidiaに注がれたかのようだった。ゲーム、データセンターへの関心の高まり、AIアプリケーションへの適用の可能性などの、すべての面で膨大な需要を抱えて、株価が爆発的に上昇したためだ。

しかし、Nvidiaの株価とそのチャートは、AIが技術の世界に広がり続けた2017年の特に目を引くトピックだったかもしれないが、AIの世界では、より深い影響があるかもしれない更に微妙なことが起きている。

今年は、AIの上に構築される将来のデバイスに、パワーを与える独自のハードウェアに取り組む多くのスタートアップたちが、膨大な資金を調達した。これらのスタートアップの中には大規模な展開には程遠い(それどころか製品を出荷さえしていない)ものもあるが、資金調達には困っていないようだ。

画像や音声認識といった処理を構成する2つの主要な要素 ―― 推論と機械学習の最適化を求めて、スタートアップたちは、基本的な方法を見つけようと競い合っている。それらの機能をより速く、より電力効率が高く、次世代の人工知能組込デバイスのためにより適切に実行できるようにするためだ。私たちがCPUで習熟してきた、従来の計算アーキテクチャーの代わりに、いまやGPUが、AI処理が必要とする矢継ぎ早の計算処理を任せるための、頼れるシリコン部品の1つになったのだ。そして、そうしたスタートアップたちは、それをさらに改善できると考えている。

スタートアップたちについて話す前に、何が現在起きているかの感覚をつかむために、まず前述のNvidiaチャートを簡単に見てみよう。今年末の変動にも関わらず、全体としてNvidiaの株価は、2018年に向けて80%近くの上昇を見せている。

 

このことから当然、全てのスタートアップたちは、AI市場におけるNvidiaの死角を見出そうと必死だ。投資家たちもまた、それに注目している。

まず私たちが耳にしたのは、Cerebras SystemsがBenchmark Capitalから資金を調達したという、昨年12月のニュースだった。その当時は、AIチップ業界はまだ今ほど明確にはなっていなかったように見える、しかしそれから1年が経ち、NvidiaがGPUマーケットを支配していることが、この分野の発展を示す明確な指標となった。Forbesは今年8月に、同社の評価額が9億ドル近くに達したと報じた 。明らかに、ここで何かが起きたのだ。

Graphcoreも今年は動きを見せた。Atomicoが主導した、7月の3000万ドルの資金調達が終わったばかりであるにも関わらず、この11月にはSequoia Capitalが主導する、新たな5000万ドルの資金調達を発表したのだ。Graphcoreはまだ、Cerebras Systemsと同様に、Nvidiaのようなすばらしい製品をまだ市場に投入していない。一般的に、ハードウェアのスタートアップは、ソフトウェア上に構築を行うスタートアップよりも、多くの課題に直面するにもかかわらず、このスタートアップは年間で8000万ドルを調達することができたのだ。

中国のAIスタートアップにも投資の突風が吹いた。Alibabaは、Cambricon Technology という名のスタートアップに、10億ドルと伝えられる資金を投入した。Intel CapitalはHorizon Roboticsのために1億ドルのラウンドを主導した。そしてThinkForceと呼ばれるスタートアップが、今月始めに6800万ドルを調達した

Groqについては言うまでもないだろう。これは元Googleのエンジニアたちによるスタートアップで、Social+Capitalから約1000万ドルを調達した。上に挙げたスタートアップたちに比べれば狭い範囲を対象にしているようである。さらに別のチップメーカーであるMythicも、930万ドルの資金調達を行った

ということで、いまや1つ2つではなく、7つスタートアップが似たようなエリアを狙っているのだが、その多くは数千万ドルの資金を調達し、少なくとも1つの評価額は9億ドルに迫ろうとしている。重ねて言うが、これらはみなハードウェアスタートアップ、しかもさらに多額の資金調達を必要とするであろう次世代のハードウェアスタートアップたちなのだ。しかし、これは無視することのできない領域だ。

スタートアップだけでなく、世界の大手企業たちも独自のシステムを構築しようとしている。Googleは今年の5月に、推論と機械学習に特化した次世代TPUを発表した。Appleは次世代iPhone向けに、独自のGPUを設計した。 両社は、ハードウェアをそれぞれの特定の用途、例えばGoogle CloudアプリケーションやSiriなどに合わせてチューニングする方向へ向かっている。またIntelは10月に、Nervana Nueral Network Processorを2017年末迄に出荷すると発表した。Intelは昨年の8月に、Nervanaを3億5000万ドルで買収していた のだ。

これらのすべては、スタートアップ企業や大企業たちによる大規模な動きを表している。それぞれの会社が独自の解釈によるGPUを追い求めているのだ。しかしCudaと呼ばれる独自のプラットフォームへ、開発者たちをロックインしようとする動きを始めたNvidiaを、その地位から追い落とすのはさらに難しい仕事になりそうだ。そして新規のハードウェアをリリースし、開発者たちを誘い込もうと考えるスタートアップたちにとっては、それにも増してさらに難しい仕事になるだろう。

シリコンバレーの投資家たちと話をしてみると、それでもいくつかの懐疑的な見方に出会う。例えば、Amazonのサーバーの中にある古いカードに搭載されたチップで、自分たちの機械学習の目的には十分なのに、どうして企業がより速いチップを買わなければならないのだろうか?しかし、まだこのエリアには膨大な資金が流れている。それらは、Uberに大きな賭けをしたのと同じ企業たち(そこにはかなりの乱れがあるが)とWhatsAppから流れて来ているのだ。

Nvidiaは、依然としてこの分野では明確なリーダーであり、自動運転車のようなデバイスがますます重要になるにつれて、その支配力は続いて行くように見える。しかし、2018年に入れば、これらのスタートアップたちが、実際にNvidiaを追い落とすことができるかどうかについての、よりはっきりとした見通しを得ることができるようになっていくだろう。そこにはIoTナンチャラに組み込むことのできる、より速く、より低消費電力のチップを作ることで、より効率的な推論を行い、デバイスたちの約束を真に果たせる魅力的なチャンスがある。そしてまた、モデルを訓練する際に(例えば、車に対してリスはどのように見えるかといったことを教えるなど)、非常に大きな負荷がかかりそうな場合にも、サーバーたちをより高速に、より高エネルギー効率のよいものにするチャンスがあるのだ。

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(翻訳:sako)

Webサイトビルダーの老舗Squarespaceが巨額$200Mを調達、評価額は$1.7B

誰もが容易に自分のWebサイトを作れる、いわゆるWebサイトビルダーSquarespaceは、創業から14年の老舗だが、今General Atlanticからの約2億ドルの資金調達を進めている。Bloombergによると、同社の評価額は17億ドルである。この資金調達プランと並行して、初期の社員や投資家から株を買い上げる計画もある。それにより、IPOを待たずして流動化(現金化)の機会が彼らに与えられる。

Squarespaceはずっと黒字企業で、今年の売上は前年比50%増の約3億ドルになる見込みだ。同社の大型ライバルで上場企業のWixは、今年の売上予測が4億2400万ドルだ。

Squarespaceは、同社が作ったWebサイトの上で顧客が製品を売れるようになったら、上場してもよい、と考えているらしい。つまり、しかりとしたコマース機能のあるWebサイトを、顧客が作れるようにする、ということだ。

CEOのAnthony CasalenaはBloombergにこう言っている: “それが目下、いちばん要望の多い機能だ。自分のブランドを作って何かを売りたい人が、多くなってるね”。

Squarespaceはこの前、General Atlantic, Index Ventures, Accelなどから7850万ドルを調達している。それに関してSquarespaceは、コメントを断(ことわ)った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

サンフランシスコのエド・リー市長が急逝――テクノロジー企業の誘致に大きな功績

テクノロジー企業のトップと緊密な関係を保ってきたサンフランシスコの市長、エド・リーが急逝した。原因は心臓発作で65歳だった。リー市長はサンフランシスコをテクノロジー都市にする原動力だった。CBSを始めとするマスコミの報道の後、市は公式発表で市長が亡くなったことを確認した。

市の規則にもとづき、市議会(Board of Supervisors)議長のロンドン・ブリードが直ちに臨時市長代行に就任した。

リーは2011年から市長職にあった。 当時のギャビン・ニューサム市長がカリフォルニア州副知事に就任するため辞職した後、任期の残りを引き継いだ。

リーは最初の任期の終了後に市長に当選し、2015年以降市長の職にあった。サンフランシスコはアジア系移民の強い影響下にある都市だが、実際にアジア系アメリカ人が市長になったのはリーが最初だった。

サンフランシスコ市長としてリーはテクノロジー産業の誘致に努力した。リー市長にはロン・コンウェイなどのテクノロジー業界のリーダーがパートナーして重要な役割を果たした。コンウェイは個人的にも市長と近く、TechCrunch Disruptにも何度も登場してサンフランシスコのテクノロジー産業について語っている〔下の写真は2013年のDisruptにおけるリー市長とコンウェイ〕

当初からリー市長はサンフランシスコにシリコンバレーからテクノロジー・スタートアップを誘致することに積極的で、サンフランシスコの南部地区をスタートアップが飛躍を果たすために最適な地区にすべく努力した。

これは驚くべき先見の明だったが、同時に諸刃の剣でもあった。サンフランシスコはリー市長のビジョンをほぼ実現し、テクノロジー都市に生まれ変わった。シリコンバレーのスタートアップ世界をサンフランシスコに引き寄せることに大きな功績があったことは間違いない。何百人ものスタートアップのファウンダーがサンフランシスコを創業の地に選んだ

しかしこのことには副作用もあった。サンフランシスコは過密化し、生活費は法外に値上がりした。社会階層は両極化し、形式張ったものになった。こうした問題には解決が非常に困難なものもの多い。

リーの努力は税制改革から住宅供給に加えて、サンフランシスコにとって重要な問題であるホームレスの支援のためのギフトカードを販売するスタートアップ、HandUpの支援まで幅広いものだった。

困難な問題を数多く抱える地方政治にあって、リー市長の政策は常に万人から歓迎されるというわけにはいかず、 激しい議論を巻き起こすこともあった。しかしどんな場合でもエド・リーは全力を挙げて問題に取り組み、解決を目指す姿勢を崩さなかった。

エド・リー市長の家族、友人に深い哀悼の意を表明する。

画像: TechCrunch/MRD

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ブロックチェーン活用のブラウザ「Brave」、ユーザーがサイトにチップする機能を提供

ブロックチェーンを基盤とするブラウザを制作するBraveは、今年の初めイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で3500万ドルを調達した。そのBraveが今回、新しい方法でパブリッシャーに報酬を提供するエコシステムの確立に向け、一歩を踏み出した。

Braveの特徴の1つは、独自の通貨であるBAT(Basic Attention Token)を使い、従来のオンラインパブリッシングにおける資金の流れを大きく変えようとしている点だ。Braveはブラウザを使用するユーザーに対して報酬を与え、同時に目障りな広告を抑制し、より関連性の高い広告を促進する。もう1つのBraveの特徴は、読者がBATを使って、アクセスするウェブサイトのコンテンツ製作者に対し、報酬を提供できるようにすることだ。

今回のBraveの取り組みは、そのような施策だ。Braveは、合計30万BATトークン(約6万ドル相当)を今後30日間でユーザーに提供する。ユーザーは通常Braveを使用することでトークンを獲得する。しかし、今回のプロモーションでは追加のクレジットがユーザーのウォレットに配布され、ユーザーはそのクレジットをパブリッシャーやYouTubeチャンネルの運営者らに直接提供することができる。

Braveは月間100万人のユーザーを持ち、パブリッシャーには1100以上のウェブサイトと600以上のYouTubeチャンネルがあるという。この数字を考慮すると、これはかなり大きな動きと言えよう。YouTubeは先月Braveに加わった

トークンを提供する通知

今後30日間(もしくは割り当てられたトークンの配布が終了するまで)で、ユーザーは最大5ドル相当のBATを獲得し、Braveウォレットに追加される。ウォレット残高は、ウェブサイトで費やした時間に基づき、訪問したウェブサイトに対する「チップ」として使用できる。

デフォルトでは、Braveのユーザーが同社公認のウェブサイトやYouTubeチャンネルを閲覧した時間に基づき、チップを付与する。この設定を変えることも可能で、ユーザーは好きなウェブサイトにチップを多く割り当てることができる。

Brave Paymentsのデフォルト設定では、同社公認のウェブサイトで費やされた時間に基づき、ウォレットが配分される。

Braveはこの施策で、ユーザーのウォレット残高を底上げする。これによりユーザーはコンテンツ制作者により多くチップを提供することができるようになる。コンテンツ製作者は得たBATを法定通貨に換金できる。

「これは、公平な取引に向けてユーザーを支え、有害な中間業者を排除するために必要な多くの段階の1つだ」。Mozilla前CEOで現在BraveのCEOを務めるBrendan Eichは、声明の中でTechCrunchにそう述べた。

「我々は、善意の貢献からユーザー助成金、そして広告収入の大半をユーザーと共有するプライベート広告へと移行しており、外部関係者(Braveを含む)によるターゲット設定や追跡は行わない」とBrendanは付け加えた。

その他多くのICOプロジェクトとは異なり、Braveはブラウザというプロダクトを提供することができている。しかし、プロジェクトの全面的な展開には時間がかかるだろう。支払いのオプションやYouTubeは2ヶ月前に追加されたばかりだ。だがBraveは、トークンの販売を通して資金調達を行った多くのプロジェクトよりは進んだ段階にある。

ICOに先立ち、Braveは通常のベンチャーキャピタルからの投資により600万ドルを調達している。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / LinkedIn / Facebook

価格が下がったときの差額返金を代行するEarnyが、900万ドルを調達

これまで何かを買ったら、翌日からセールだったという経験はあるだろうか?

運が悪かったように思えるものの、しばしばそれでもディスカウントを得ることができたりする。一部の小売業者やクレジットカード会社は、価格が下がった場合に最大90日以内なら差額の払い戻しを保証している。

しかし、価格の変化を追跡し、規定に従って返金を受けることは、結構な手間であることが多い。こうしたことを、あなたに代わって処理してくれる沢山のサイトが、立ち上がって来ている(例1)(例2)(例3)。それらの1つがEarnyだ。

Earnyのアプリはメール受信箱と同期し、領収書を識別する。そしてAmazon、Wal-Mart、Target、Best Buyなどとの価格と比較する。差額が検知されると、Earnyは小売業者に連絡して、お金があなたのクレジットカードに戻されたり、小切手で送られてくるようにする。Earnyはこの過程で25%の手数料を徴収する。

カリフォルニア州サンタモニカに本拠を置くこのスタートアップが、その成長を加速するために900万ドルを調達した。最新のラウンドは、Mayfieldが主導し、Comcast Venturesと、Science Inc.が参加している。Earnyはこれまでに約250万ドルを調達していた

スタートアップは、全てのVisaカードの売上に対する、自動最低価格保護を行うことを発表している。Earnyによれば、上位35の小売業者の約5000万件の商品が追跡されているという。

またユーザーは平均して約5%の差額返金を受けているという話だ。最も一般的な返金対象は、エレクトロニクスと衣類である。

小売業者はEarnyのビジネスモデルに不満を抱いているのではないかと尋ねられたとき、CEOのOded Vakratは全く逆だと強調した。

Vakratによれば、Earnyは「顧客が購入により満足するようになるため、商品の返品率が下がるのです」と主張している。また彼は「同じ小売業者から、再び購入する確率が3倍になります」とも語っている。

MayfieldのパートナーであるRishi Gargは、Earnyに投資した理由を「彼らのユニークな顧客保護に感心したこと、そして消費者たちに価格が保護されているという安心感を与えたことです」と語った。

Earnyは、調達した資金を利用してプロダクトを開発し、さらに旅行分野にも進出する予定だ。たとえば、利用者たちは、来年から割引料金でホテルに泊まることが可能になる。

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(翻訳:sako)

Disruptベルリン2017の勝者はバイオのスタートアップ、Lia Diagnostics

ベルリンで開催されたTechCrunch Disruptのスタートアップ・バトルフィールドの参加チームはすべて慎重な事前の審査を経て招待された選り抜きの精鋭ばかりだ。プレゼンはベンチャーキャピタリストやテクノロジー界のリーダーからなる何組かの審査員を前にして行われた。激しい競争を勝ち抜いたチームにはDisrupt杯と4万2000ユーロの賞金が贈られることになっていた。

最初のプレゼンの後、何時間にも及ぶ検討の末、TechCrunch編集部は BlikCaspar HealtheTrack TechLia DiagnosticsWandelbotsの5組をファイナリストとして選出した。

これらのスタートアップはSuranga Chandratillake(Balderton Capital)、 Tugce Ergul(Angel Labs)、Luciana Lixandru(Accel Partners)、Matthew Panzarino(TechCrunch編集長)、Mark Schmitz(Lakestar)からなるパネルの前で最後のデモを行った。

ではDisrupベルリン2017のスタートアップ・バトルフィールドの勝者をご紹介しよう。

最優秀賞:Lia

Lia Diagnosticsはこの種のプロダクトとして初のトイレに流せる妊娠検査テープを開発した。ディスポーザブルであるだけでなく再生可能素材を用いている。また妊娠ししていることを知ろうとする女性のプライバシーの保護の面でも大きな飛躍を達成した。従来の製品と異なり、Liaのプロダクトはバイオ分解し、水にも溶ける特殊な素材の紙を使っている。

Liaに関してわれわれはこの記事で詳しく紹介している。.

次点:Blik

Blikは倉庫業務の革新を目指すプロダクトだ。倉庫に何が保管されているか、どのアイテムがどこにあるか、仕掛品であればどの段階のものか、などの情報を容易に管理し、表示できる。ワイヤレス・センサーと屋内位置情報システムを組み合わせてこれを実現している。

Blikについてはこちらの記事を参照

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WICASTRはエッジコンピューティングのためのプラットフォーム

コンテンツの配信は困難だ。顧客が待たなくても良いように、そして新しいデータの遅延が起きないように、なるべく顧客の近くにコンテンツを置いておきたいはずだ。それこそが、WICASTRがSMART Edge Platformを開発した理由だ。これは互換性のあるローカルルーターやアクセスポイントといった、ネットワークの終端近くまで、コンテンツを送り込むシステムだ。

「WICASTRは、エッジコンピューティングのための『オールインワンソリューション』です」と創業者のArmine Saidiは語る。「私たちは、Androidのエコシステムとも似ていますが、アクセスポイント、ルーター、その他のエッジデバイス向けのエコシステムを提供します。私たちはエッジ向けのアプリケーションを簡単に開発展開するための、ハードウェア、オペレーティングシステム、そしてアプリケーションストアソリューションを持っています」。

同社は100万ドルを調達し、TechStarsプログラムを完了した。彼らのエッジプラットフォームは、「アラブの春」に触発されたものだ。創業者たちは、ネットワークを封鎖しようとする政府によってもたらされる妨害に、耐えることのできるシステムを構築したかったのだ。

「私たちのチームが着手した使命は、政府による故意のモバイルネットワークシャットダウンの際にも、すべてのスマートデバイスを介することで、シームレスで中断されないコミュニケーションとコンテンツ配信を達成する技術を開発することでした」とSaidiは語る。こうすることで、ネットワーク上のデバイスがコンテンツプロバイダとして機能できるため、攻撃中にもデータが失われないことが保証される。

チームは7年間に渡って作業を続けており、IoT、ワイヤレス、ソフトウェア、ハードウェア開発、製造、そして流通に深い専門知識を持っている。彼らは現在20以上の有料顧客を抱え、Intel、Cisco、Deutsche Telekomと協力して強力なエッジ配信を構築中だ。

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(翻訳:sako)

新興市場でのパートナーシップのチャンスを掴み取れ

【編集部注】著者のChen AmitはTipalti共同創業者兼CEOである。

シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは1887年にインドのクンバコナムで生まれた。父親は店員で、母親は主婦だった。彼の初期の数学は明らかに非凡さを見せているが、彼は正式な数学教育を受けたことはなかった。ある時点で、彼は学校を退学になっている。彼がケンブリッジ大学に、定理を書き付けたノートを送ったことで、G.H.ハーディ教授が返信を行い、5年間の共同研究が始まった。

ラマヌジャンは学士号を取得し、最終的に王立協会のフェローとなった。彼は32歳で死亡したが、現代に至っても今だに数学者たちは彼の仕事の解読を続けている。その内容にはひも理論や宇宙の誕生の側面に関わるものもある。

ここでのポイントはこうだ:人間の可能性と天才は確かに存在しているが、その大部分は現在でも発見されないままだ。その原因は、政治的、地理的、そして経済的境界によるものである。地球上には70億人以上の人びとがいる。世界中の才能を結びつけるためのより良い方法があるはずだ。

国境を越えたパートナーシップ(世界の主要な多面的なビジネスとオンラインマーケットプレイスの多くが、既に関わっている)は、発展途上国の人びとが、世界経済に対して自分たちの価値を提供する際の障壁を下げる役割を果たしている。

国境を越えて拡大するかどうかを決定する際には、経済性とビジネスの成熟度は確かに考慮する必要があるものの、新しいチャンスも同様に考慮されるべきなのだ。マーケットにとっては、特定の国がユニークで多様な商品やサービスを提供できる可能性がある。メディア企業にとっては、地元の視点や特定の視聴者へのアクセスが得られる可能性がある。B2Bの分野では、24時間体制の、費用対効果の高い従業員たちの可能性が、魅力的に見えるかもしれない。

究極的には、グローバルなサプライヤーベースを活用することで、ビジネスの革新、サービスの差別化、競争力の強化、成長の拡大を支えることができる。これらの理由から、ビジネスリーダーたちにとっては、単純に無視するには重要過ぎるチャンスなのだ。

ということで、何が新興市場と良いパートナーシップを結ぶことを邪魔しているのだろうか?そしてそれらの問題を克服するにはどうすればよいのだろうか?

失敗に対処する武器としての効率性

新興市場に対するパートナーシップの試みには、リーンで効率的なオペレーションが必要とされる。それは何故か?理由は2つある。

リーンでない企業は効果的に拡大することができない。リーンな運営を伴わない成長は、身動きを鈍くして、ギャップと失敗の発生につながる。それはメリットの見出せない拡大であり、下手をすればコストや複雑さが増すだけのことだ。

もう一つの理由は、より感情的で、ビジネスの士気に根ざしているものだ。関係するすべての人たちの平静さを維持しながら、複数の国にまたがって仕事を進めるためには、それぞれに対応した現実的なプロセスを必要とする。コミュニケーション、関係、取引、税金、契約、詐欺、および期待に関してのルールがそれぞれ異なるからだ。国際的なパートナーとの作業に伴う夥しい違いに、スタッフたちがその場その場で正しく適応していくことを期待するのは現実的ではなく、グローバルな活動が失敗へと向かってしまう。

地球上には70億人以上の人びとがいる。世界中の才能を結びつけるためのより良い方法があるはずだ。

会社の成熟の早い段階で、こうしたルールたちを可能な限り成文化し(理想的には自動化し)て、フレームワークやプロセスという形で取り込むことで、ニューヨークのチームがフランクフルト、スリランカ、そして香港のパートナーとシームレスに連携できるようになる。そうすれば、それぞれが価値の低いタスクを場当たり的に処理することが無くなり、ストレスが軽減され、チームが重要な事柄――関係と成果――に集中することが可能となる。

効率的なプロセスはまた、遠隔パートナーと連携する際に生じる、内部リスクと規制リスクを軽減するためにも重要だ。エラー、詐欺、税リスクに晒される傾向は、国境を越えることで大きくなる。例えば、パートナーがテロリスト監視リスト(OFACなど)に載っているかどうかを意識しているだろうか?FATCAを満たすために、IRSは何を報告することを求めているだろうか?これらは偶然に任せておけば良い事柄ではなく、同様にプロセスを遅くさせるものであってはならない。これらのチェックに関わる摩擦を取り除くことで、ビジネスの全体的な実行効率が改善される。

リモートオペレーションと可視性の構造化

特定の国に対して何らかの進出をする必要があると仮定してみよう。臨時の開発チームを雇うか、ビジネスモデルにとって役に立つサプライチェーンを作るところまでは簡単だ。次に企業は決定する必要に迫られる:現地オフィスを設立するのか、それともリモートに運営するのか?

開発途上国ではさらに、現地のビジネスリソースや人材の不足、しばしば不安定な政治環境やインフラストラクチャー、そしてもちろん適切な銀行やデジタルコマースなどの不足が困難に輪をかけている。多くの場合、物理的な設置を行わずに運営できるなら、その方がより良いビジネスとなる、特に複数の地域にまたがって、規模を拡大することが望まれている場合には。

遠隔地を上手く管理するためには、海外業務の可視性を確保することが重要だ。地域毎にエンティティ構造が異なる場合に重要なことは、その情報を吸い上げて中央で管理する方法を確保することだ。例えば、子会社がある場合は、プロセスを標準化するために、それぞれに同じプラットフォームを導入しよう。確かにローカライゼーションの要素も組み込まれる筈だが、共通のアプローチを取ることで、レポートやコントロールの統一が容易になる。

最高のパートナーたちが離れていくことを防ぐ

パートナーたちがある程度離れていくことは仕方がない。運によるものもある。新興市場では、そうしたパートナーたちはしばしば複雑な状況に対処しなければならず、その状況が突然変化する可能性があるからだ。その場合は、彼らの離脱はあなたの運営のせいではない。だがそれ以外の場合は、あなたは一緒に働くことが困難なパートナーであるという評判を育んでいるということだ。

グローバルなサプライヤーベースを活用することで、ビジネスの革新、サービスの差別化、競争力の強化、成長の拡大を支援することができる。

一部のパートナーは、卓越したパフォーマーに成長し、優れたサービスや望ましい製品を確実に提供するようになる。彼らにとって、自分たちの努力に価値を感じ、あなたのビジネスで働くことに不満を感じることがない、という両方の意味で満足することが不可欠なのだ。疑う余地なく、違いを生み出すことに飢えたスーパースターたちを見出すことは可能だ。彼らは期待以上に働いてくれるだろう。それがまだ磨かれていない「あなたの数学者」の原石なのだ。

パートナーの離脱はまた、間断なく募集を続けなければならないことを意味する。パートナーネットワークの強みは数の多さにもあるので、迅速かつ積極的にそれらを増やして行く必要がある。そのことによってスーパースターたちを発見する可能性が増えるのだ。これが、Uber、Lyft、そしてAirbnbが消費者たちにとって信頼できる対象であり続ける理由だ。サプライヤーたちは常にそこにいて準備が整っている、たとえそれが国際的なものであっても。そして一部の者は離れて行くかもしれないが、より多数の新しいパートナーが参加し続けている限りは大丈夫だ。

より良いものに向けてのイノベーション

グローバルな人材を自分のサプライヤーのエコシステムに招き入れることは、最終的にはあなたのビジネスを、競合相手から差別化し、長期的にあなたの会社を成功に導くことに繋がる。そして、それがまさに世界の最も革新的なビジネスの多くが、グローバルな労働力と提携するために 大規模な取り組みを進めている理由なのだ。

そうすることで、世界はより楽観的な方向と導かれる。発展途上国の人びとに世界経済へのアクセス手段を与えることは、病気から政治的不安定に至るまでのすべてを緩和することに役立つ。私たち自身をより大きな人類への貢献へと向かわせ、繁栄の分かち合いを促進する技術と意志によって、ビジネス界は世界に大きな違いを生み出す絶好の機会を得ているのだ。

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(翻訳:Sako)

留守番中の犬におやつを投げてやるドッグカメラFurboがバージョンアップして警報機能がついた

Furboは、外出先からあなたの犬とコミュニケートできて、おやつを投げてやることもできるドッグカメラだ。そして今度出たそのニューバージョンには、ワンちゃんの行動がおかしいとき、警報する機能がついた。

Furboはこれを、“初めてのAI化されたドッグカメラ”と称している。機械学習とコンピュータービジョンの技術を使って、あなたの犬が何かを噛んでいる、行ったり来たりして歩(ある)っている、ほかの犬と遊んでいる、などなどを見分ける。また、犬がカメラを覗きこんだら写真を撮るし、人間が視界に入ったらあなたに知らせる。もしかしてそれは、犬泥棒かもしれない!

ニューバージョンのFurboは、カメラが1080pのHDで4倍ズーム、視野角160度で暗視機能もある。そして容器には、おやつを100個以上入れられる。

昨年ローンチしたFurboはIndiegogoで51万1302ドルを集め、今では249ドルで売っている。競合するPetcubeは、これまでに380万ドルも調達している…その製品Petcube Playは189ドル99セントで、犬を見る、犬に話しかける、という機能がある。もうひとつのPetcube Biteには、おやつを投げる機能もある。こちらはFurboと同じ249ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

地理空間画像分析サービスのEnviewが$6Mを調達、老朽化したパイプラインネットワークを救う

過去20年間でアメリカでは、国内を縦横に走る石油やガスのパイプラインで11459件の事故が起きている。

その被害額はおよそ60億ドルと言われ、死傷者数は1660名にのぼる。

しかし新進スタートアップのEnview.に言わせると、オペレーターたちがパイプの亀裂や歪みなど事故の兆候に早期に気づくことができれば、その被害は防げたはずだ、という。

今、石油やガス、電力会社などは、同社が開発した地理空間的分析ツールを使って、そのパイプラインネットワークをモニタし管理し始めている。

Enviewはこのほど、Crosslink CapitalがリードしLemnos, Promus Ventures, Skypeの協同ファウンダーToivo Annusらが参加した投資家グループより、600万ドルの資金を調達した。

この投資に伴い、Crosslink CapitalのパートナーMatt BiggeとLemonsのパートナーHelen Boniskeが、同社の取締役会に加わった。

Enviewの協同ファウンダーでCEOのSan Gunawardanaが、声明文で述べている: “私たちの社会は、送電線やパイプ、ケーブルなどの大きなネットワークに依存している。このインフラストラクチャが損傷すれば、爆発や火災、停電、生態系の汚損などの被害が生ずる。今回の新たな資金により、弊社の技術をより大規模に展開して、北米地区で最大のパイプラインや送電線を運用する企業の需要に応じ、社会の安全性と信頼性を強化できる”。

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エネルギー省の2017年の白書によると、今アメリカには720万マイル(1160万キロメートル)の送電線と260万マイル(418万キロメートル)の石油や天然ガスのパイプラインがある。

American Society of Civil Engineers(アメリカ土木工学会)の報告書は、アメリカの石油とガスのネットワークの大半が、50年という想定寿命のもとに1950年代に構築されている、と述べている。つまりこれらは、緊急のアップグレードが必要であり、電力企業らはそのパイプや送電線の劣化を自覚する必要がある。

Enviewのソフトウェアを使えば、そのような実態を目視できると言われる。同社のソフトウェアは国のデータセットを処理して、大手石油、ガス、電力企業のインフラストラクチャに関するレポートを作成できる。

これらの企業はこれまで、2Dの地図は見ていたが、それらは今日の、LIDARと呼ばれる、高周波レーザースキャン技術によって作られる三次元画像に比べると、あまり有用ではない。これらのスキャンが作り出す大量のデータはしかし、これまでの方法では処理が困難だった。

“地理空間分析の市場は、2016年の310億ドル規模から2021年には740億ドルに成長する、と予測されている”、とCrosslink CapitalのBiggeは声明で述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

FacebookやWeWorkその他約1000社の企業が使う、新興ノベルティ企業Swag

ノベルティ、特に良いノベルティは大切かもしれない。ここがSwag.comが目を付けた場所だ。15ヶ月前に創業した同社は、自社ブランドのために高品質なノベルティを求める企業たちに、役に立つビジネスを目指している。

Swagの共同創業者Jeremy Parkerは「多くの人はノベルティをゴミ扱いしていますが、そうである必要はありません」とTechCrunchに語った。「もし適切に作られていたとしたら、素晴らしいマーケティングツールになるかもしれないのです」。

Swag.comは、例えばウォーターボトル、傘、シャツ、ジャケット、USBドライブ、バッグ、その他のアイテムを、パタゴニアやケースロジックといったブランドから提供している。製品を選んだら、デザインをアップロードし、印刷する枚数を指定して、Swagが承認のための最終モックアップを送付してくるのを待つことになる。

標準生産期間は約15日間だが、少しだけコストが上乗せされるプライオリティ生産は10日間で終了する。顧客がモックアップを承認するまで生産は開始されない。Swagは製造業者やベンダと直接連携するため、在庫を保持する必要はない。

「在庫を持たないバーニーズのようなものですね」とParkerは語った。

Swagには現在、Facebook、Evernote、WeWork、Wazeを始めとする約1000社の顧客がいる。WeWorkでは、Swagは共同作業スペース用のアプリに統合されていて、現在オフィス向けサービスの第1位にランクされている。

WeWorkのアカウントコーディネーターであるCasey Caddenは「注文の度に、完璧な商品を届けてくれるので、私たちはSwag.comが大好きです!」と感想を述べている。「Swag.comのすべての製品は、詳しく検査され、テストされていて、最高品質の製品だけが提供されています。そして、信じられないほど使い易いのです」。

設立以来、Swagは100万ドル以上の売り上げを達成した。SwagをCustomInkなどの他の競合他社と差別化しているものは、細部への注意だ。例えば、Swagは各ブランドの色が、パントーンマッチした正確なものであることを保証している。

最近Techstars Chicagoを卒業したSwagは、シードの資金調達で約80万ドルを調達した。Parkerによれば、同社は更に100万ドルのラウンドを終わらせつつあるということだ。

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(翻訳:Sako)

会費後払いレンタル・パーティーができるアプリTuurnt、資金集めにも利用

パーティーが大好きで、お金がなくてもパーティーをしたい人、そんな人のためのアプリがある。

そのTuurntというアプリは、いわゆる‘レンタル・パーティー’をサポートする。参加者はそのパーティーをいわばレンタルして、レンタル料を月末にホストに払う。やり方は簡単だ: パーティーを企画する、費用を発表して、それをお友だちに払ってもらう。するとあなたは、tuurntしちゃうのだ〔参考1参考2〕。

Fabrice Mishikiが作ったこのアプリは、すでに学生たちに人気だ。Mishikiは、15万ドルを調達して、このアプリのベータにこぎつけた。

Mishikiが開始した草の根的なマーケティング戦略では、学生たちにTuurntをどんどん口コミしてもらう。その学生たちは、だいたい1000ドルぐらいのパーティーをホストできるから、 部活や男子会などにちょうど合ってる。

今では、ワインの試飲会とかディナーパーティーなどにも、Tuurntは利用されている。そして学生たちはTuurntを利用してお金を調達したり、レンタル料を払ったりしている。

“数年前にトロントでカリブ海フェスティバルをやったとき、Tuurntを発想した。友だちと、クラブへ行ったときだ”、とMishikiは話す。“アフターパーティをやりたかったんだけど、当時のFoursquareやEventbriteのようなアプリでは、それはできない、と分かったんだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa