初期費用0円で自分の映画館を ― マイクロシアターサービスの「popcorn」がリリース

NetflixHuluなどのストリーミング動画サービスが普及したことで、以前より映画を観る機会が増えたというTechCrunch Japan読者も多いかもしれない。僕もその1人で、毎日のようにNetflixで映画やドラマを観ている(最近、僕はNetflixオリジナル作品にハマって夜ふかししがちだ)。

でも、「映画をみんなで観る」という体験はどうだろうか? パソコンやスマホで簡単に映画鑑賞できる時代になったからこそ、大人数で映画を楽しむことが少なくなったという人もいるだろう。例えばコメディを観ならば、1人で笑うより大人数で笑うほうがいいと思う人もいるはずだ。

そんななか、大人数で楽しむ“映画文化”を手軽に楽しめそうなサービスが誕生した。日本のポップコーンシアターが4月22日に正式リリースするマイクロシアター・サービスの「popcorn(ポップコーン)」だ。

popcornは、インターネット環境やプロジェクターなど最低限の環境さえ揃っていれば、カフェやバー、会社のオフィスなどで簡単に上映会を開催できるサービスだ。映画はストリーミング配信されるので、DVDやブルーレイディスクを返却する必要もない。機材などを別にすれば初期費用は無料だ。

これまで、カフェや個人のレベルで上映会を開催することは難しかった。個人で映画を鑑賞する場合とは異なり、公の場で映画を上映するには権利許諾が必要となるからだ。でも、いったい誰が権利を持っているのか、そして窓口はどこなのかを調べるのだけで一苦労だ。

それに、権利関係をクリアしても上映費用の問題がある。ポップコーンシアター共同創業者の大高健志氏によれば、「上映費用は『1度につき一律でいくら』という価格体系が多い。しかし、それでは人が集まらないときのリスクが大きいので、これまでは上映会が開催するのが難しかった」と語る。

そこで、popcornは入場者数に応じて上映料が発生する仕組みをつくった。このおかげで、入場者がうまく集まらなくても主催者が抱えるリスクはない。例えば、上映料が1人あたり1000円だった場合、チケット代を1500円にしておけば、たとえ集まった入場者が数名だとしても主催者が赤字を抱えることはない。また、popcornで上映できる作品はすでに権利関係をクリアしているので、主催者が個別に権利許諾を得る必要もない。

popcornを利用するためには、まず上映したい作品を選んで上映会の日時と入場料を設定する。すると、同社のプラットフォーム上に予約サイトが出来あがる。上映会の参加料はWeb上で決済され、後日主催者に送金される。同社が受け取る収益は入場者1人につき300円の手数料だ。

気になるのはpopcornで上映可能な作品数だが、取材時点では「約30作品で、今年末までには100作品くらいまでに増やしたい」(大高氏)とのこと。

ところで、ポップコーンシアターを共同創業した大高氏は、クリエイティブ系のプロジェクトに特化したクラウドファンディング・プラットフォーム「MotionGallery(モーションギャラリー)」を立ち上げた人物だ。MotionGalleryにはこれまでに1500〜2000件のプロジェクトが掲載され、カンヌ国際映画祭にもノミネートされた「Like some one in Love」など、映画作品も多く誕生した。

そして、今回リリースしたpopcornはこのMotionGalleryから生まれた映画作品の「出口」という役割ももつ。大高氏は、「クラウドファンディングで製作した映画を上映する場所はあるが、投資回収できるかどうかは別。例えば3000万円で製作しても、結局500万円しか回収できないというケースもある。popcornを上手く利用すれば、作品と出会う機会を増やせるだけでなく、息の長い投資回収もできるようになる」と語る。また、資金調達フェーズから作品公開までカバーしたサポート体制を整えることで、MotionGalleryに掲載される映画プロジェクトの数も増えるというシナジーもあるだろう。

大高氏は2011年にMotionGalleryを立ち上げた後、2016年5月に共同創業者のナカムラケンタ氏とともにポップコーンシアターを創業。同社はサービスリリースの4月22日に合わせ、全国約50〜100会場で同時オープニング上映会を実施する予定だ。

ポップコーンシアター共同創業者、大高健志氏(写真右)とナカムラケンタ氏(左)

ストリーミングだけでプラチナ・アルバムになる新時代、カニエ・ウェストのThe Life of Pabloがその先頭を切った

カニエ・ウェスト(Kanye West)の最新アルバムが、ストリーミングの歴史を作った

1年あまり前にリリースされたThe Life of Pabloが、のべ15億曲以上ストリーミングされ、プラチナアルバムになった。

人気アルバムがプラチナになるのは珍しくないが、カニエのアルバムがすごいのは、有料ダウンロードなし、ストリーミングだけでこの数に達したことだ。

では、説明しよう:

アルバムはふつう、100万枚売れるとプラチナになる。しかし昨年のRIAAのガイドラインでは、その数にストリーミングの数も含む、となった。その数え方は、1曲が150回ダウンロードされたら1曲ダウンロードと等しく、そして10曲ダウンロードが1アルバムのダウンロードに等しい、となる。つまり、アルバムが1枚売れた、と数えられるためには、それの曲が1500回ストリーミングされなければならない。

そこで、ストリーミング1500回がアルバム1枚の売上に等しいわけだから、アルバム100万の売れ行きは、15億回のストリーミングと等しいことになる。それが、プラチナ評価の条件だ。

ふつう、アルバムがプラチナになるのは、ストリーミングと有料ダウンロードの組み合わせによってそうなる。有料ダウンロードが混じれば、15億回ストリーミングされなくても、プラチナになる。でもカニエは、The Life of PabloをiTunesなどで売らずに、最初はTidalに限定、その後SpotifyやApple Musicなどストリーミング-オンリーのプラットホームへ広げた

このアルバムは彼のサイトで買ってダウンロードできるが、それは最初の週の総数の1%にも達しなかった。そしてアルバムは、この売上を含めなくてもプラチナに達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Netflixからミニシリーズ、Defendersの予告編―4人のMarvel ヒーローがこの夏ニューヨークを救う

NetflixオリジナルにMarvel Defendersが登場する。これは4人のスーパーヒーロー、デアデビル、ジェシカ・ジョーンズ、アイアン・フィスト、ルーク・ケイジがチームを組んでニューヨークを救うというミニシリーズだ。ヒーローたちはMarvelですでにそれぞれ独自のシリーズを持っているがタッグを組むのはこれが初めてだ。

公開された予告編はモノクロの監視カメラの映像仕立てなのであまり情報が豊富ではない。しかし番組の雰囲気は感じとれる。

Defendersの4人のスーパーヒーロー(残念ながらダニー・ランドのアイアン・フィストが加わっている)は力を合せて謎の悪の力からニューヨークを救うために立ち上がる。Netflixによれば8月18日からストリーミングで公開されるという。

アイアン・フィストが不評なのはこのシリーズの弱点かもしれない。特にこのミニシリーズが始まる直前にバッシングを浴びたのは不運だった。それでも他のシリーズの好調さから考えればDefendersは注目だ。予告編は短いが内容に期待させるものがあった。

〔日本版〕Netflix日本版でもDefendersは公開が予定されている。スケジュールについては情報がない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Windows10版のNetflixでもオフライン視聴が可能に

NetflixがiOSとAndroid向けにオフライン視聴機能のサポートを開始したのは昨年後半のことだった。そして、今日からWindows10のNetflixにも同じ機能が追加されることになった。ただし、Windows 10のモバイルデバイスには対応していない。本日アップデートされたばかりのWindows 10版Netflixアプリを利用することで、映画をダウンロードしてオフライン環境でも視聴できるようになる ― 旅行などの際には重宝する機能だ。

これを最初に発見したのは、MicrosoftやWindowsの最新情報を伝える非公式ニュースサイトのMSPoweruserだった。

Netflixのスポークスパーソンもこれを認め、「本日より、Windows 10ラップトップおよびタブレット版のNetflixアプリはオフライン視聴機能のサポートを開始します。今後も、本機能をさらに多くのユーザーに提供する方法を探し、Netflixをより簡単に楽しめるようにしていきます」とコメントしている。

iOSとAndroidの場合と同様、著作権の関係上、この機能ですべてのタイトルをダウンロードできるわけではない。オフラインで視聴可能なのは、Netflixのオリジナル作品とライセンス取得済みのタイトルだけだ。

しかし、Netflixのオリジナル作品は数多くある。だから、この機能によってダウンロードできる作品数は少なくない。Stranger Things、House of Cards、Orange Is the New Black、Narcos、The Crown、Bloodline、Sense8、そしてスタンドアップコメディやドキュメンタリー作品など、ダウンロード可能なタイトルには人気作も多い。

ダウンロード可能な作品のリストはすべてのOS(iOS、Android、Windows10)で共通しているが、利用する国や地域によって多少の違いはあるだろう。

ダウンロードは簡単だ ― 作品紹介の画面にある「矢印ボタン」をタップするだけでいい。「Available for Download」というセクションでダウンロード可能な作品だけをチェックすることもできる。 また、「My Downloads」ではダウンロード済みの作品を管理することが可能だ。

Netflixによれば、この機能は今日から全世界のWindows 10ユーザーに提供されるそうだ。

ただ、この機能をいち早く試したユーザーからは「ダウンロードができない」という声もあるようだ。サポートされたデバイスでダウンロードを試みても、「問題が発生しています」とのメッセージとともに「ダウンロードエラー」と表示されてしまうようだ(Netflixは現在このバグの修正を試みている)。

Windows10のNetflixアプリはこのリンクから入手可能だ。

Image credits: Windows Central

SpotifyとWazeのAndroidアプリが連携―カーナビと音楽ストリーミングがシームレスに作動する

車を運転しているときに音楽を聞く人は非常に多い。音楽ストリーミング・アプリのSpotifyとカーナビ・アプリのWazeがインターネット時代にふさわしく連携、シームレスに動作するようになった。Wazeアプリ内からSpotifyのプレイリストが再生できる。またSpotifyのアプリ内でWazeのカーナビ案内が聞ける。この提携でWazeアプリ内からSpotifyのプレイリストを切り替えることもできる(ただし車が完全に停止しているときのみ)。

新機能は全世界で利用可能だ。ただしAndroid版のみで、iOS版についてはコメントが得られなかった。

この提携はいろいろな意味で興味深いが、まず使い勝手から検討してみよう。

これまでカーナビ・アプリを利用中にSpotifyで音楽を聞こうとしたユーザーならよく知っているとおり、両者の関係には問題があった。

カーナビが音声案内をすると曲が飛んだりした。私のiPhoneではAppleのMusicプレイヤーがデフォールトになることもあった。“Waze and Spotify”というキーワードでGoogle検索するとユーザーが各種の問題で悩んでいることが分かる。両アプリの連携はこうした使い勝手の悪さを大きく軽減するという。

また画面表示も改善された。Spotifyアプリを立ち上げているときはナビの案内は短いバージョンが表示されるし、Wazeアプリにいるときは再生中の曲の紹介が短いバージョンになる。いちいちSpotifyアプリに移動しなくても曲をスキップしたり別のプレイリストに切り替えたりできる。.

Waze側からすると、ナビとの統合の相手方としてSpotifyを選んだところが重要だ。

Wazeの親会社はGoogleで2013年にWazeを11億ドルで買収している。Googleには独自の音楽サービスがある。しかし有料音楽サービスとしてSpotifyは世界的なリーダーだ。ユーザーは1億人以上、うち5000万人が有料契約者だという。つまりWazeから見るとこの連携が実際に利用される可能性がいちばん大きい相手ということになる。

Wazeに取材したところでは、Spotifyはこうしたアプリレベルでの提携では最初の相手だという。今後Wazeが提携の相手をさらに広げていくのかどうか注目される。

音楽ストリーミング・アプリにはPandora、Apple Music、Tidal…いやGoogle Playもある。カーナビと同時に利用されるアプリとして音楽ストリーミングはまず最初に思いつくが、車両の位置情報を利用するアプリは多数ある。たとえばどこかでランチを取ろうとすればFoursquareとかYelpを検索するだろう。こうしたアプリとの提携は便利に違いない。

しかし当面Wazeは他の面で存在の拡大に専念するようだ。

昨年、WazeはTransport APIプログラムをスタートさせた。これはクラウドソーシングと高度なアルゴリズムによって決定されるWazeのナビゲーションをサードパーティーの運輸系アプリにフィードするものだ。オンデマンド配車サービスのLyftとの提携の場合、ドライバーがLyftアプリを利用しているときにWazeによるルート案内が利用できるようになった。またWazeは新しいカープールの方式を別のレイヤーのサービスとして徐々に構築しつつある。

Spotifyにとっても、アプリ自身の改良とは別に、Wazeとの提携は注目すべきものだ。このプロジェクトは使い勝手を改善し、Spotifyアプリの利用を増やす効果が期待できるだろう。Spotifyでプレイリストが再生されるのは車内が一番多いはずだ。ドライバーは運転に集中しなければならないので、いちいち選曲できない。そこでプレイリスト再生とナビゲーションとのギャップを埋めるこうした連携は大いに歓迎されるはずだ。遅すぎたくらいかもしれない。

この機能を利用するためにはAndroidスマートフォン上に双方のアプリがインストールされている必要がある。どちらかのアプリの設定を開けば連携を実行できる。

Wazeから得た情報によって記事をアップデートした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleのネットテレビ、「YouTube TV」の全貌が明らかに

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噂されてから一年あまり。YouTubeはエンターテイメント業界にさらなる攻勢をかける新サービスの全貌をついに明らかにした ― ライブのTV視聴サービスだ。

プラヤビスタにあるYouTubeのオフィス。100人あまりのジャーナリストたちはハンガーのような形をしたYouTubeのオフィスに集まった。私たちはそこに並べられたイスに座り、会場に流れる「Video Killed the Radio Star」と「Coffee and TV」を聴きながらこの発表を待っていた(ほんとに、YouTubeの音楽センスは素晴らしいよ)。

今回発表された新サービスのYouTube TVは、Googleのインターネットビデオ部門が数年の期間をかけて開発したものだ。YouTube Redとは違い、今回は開発を進める裏側でメディアと契約を結び、彼らのTVコンテンツを配信する権利を取得している。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やBloomberg Newsによる報道からも分かるように、度重なる情報のリークによって新サービスの概要はすでに広く知られていた。

Bloombergが報じたところによれば、YouTubeはすべての主要なTVメディアと提携の話を進めてきたようだ。主要メディアのなかで、YouTube TVと最初に提携したのはCBSだった。その後、21世紀FOX、ComcastのNBC  Universal、そしてABCやESPNなどのメディアを傘下にもつDisneyも加わることとなった。

そして今日(現地時間28日)、YouTubeは詳しいチャンネルの内容と料金プランを発表した。

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このサービスは比較的低価格だ。家族で6アカウントまで持てるプランは月額35ドル。契約期間による縛りはない。ちなみに、ウォール・ストリート・ジャーナルによる初期の報道では、サービスの料金は25〜40ドル程度になるだろうとされていた。

しかし、放映権の関係上、現段階でYouTube TVが利用可能な地域はロサンゼルス、ニューヨーク、フィラデルフィアに限られている。

YouTubeのチーフビジネスオフィサーであるRobert Kyncl氏は、「ユーザーに『見逃せない生の瞬間』を提供できるサービスを創ることにしたのです」とYouTube TVについて話す。

彼によれば、これまでにYouTubeはすべての主要メディアとのパートナーシップを締結し、「ABC、NBC、CBS、Foxなどを含む、全国的なカバレッジ」を実現したという。

上記のメディアだけではなく、CW、USA、FX、FXX、Syfy、FreeFrom、MSNBC、CNBC、Fox News、Fox Business、Disney、Disney Jr.、NatGeo、Sprout、E!などのチャンネルも視聴可能だ。追加料金を支払うことで、ShowTimeも観れる。

しかし、Scripp、Viacom、そしてHBOなどのTime Warner傘下のチャンネルはYouTube TVでは視聴不可能だ。

これについてKyncl氏は、YouTubeは「継続的にメディアとの話し合いを続けており」、今後それらのチャンネルも加わる可能性もあるとしている。

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スポーツファンの読者へ。YouTube TVでは、ESPN/ESPN2/ESPN3/ESPNU、FoxSports、FS1、FS2、そしてNBC Sports Netも視聴可能だ。Fox、Comcast、SEC network、Big Ten、ESPNUなどから配信されるローカルのスポーツニュースも観れる。追加料金でFox Soccer Plusも追加することができる。

加えて、YouTube TVではYouTube Redのオリジナルシリーズ(28作品)を観ることができる。これによって、YouTube Redの定額プランで視聴可能なコンテンツよりも多くを求める若い世代にアピールできそうだ ― 最近、YouTube Redは人気作品の1つだったPewDiePieを失っている。

「YouTubeが大小さまざまなパートナーたちと手を組めば、現在提供しているようなラインナップを揃えることができます。この新サービスはそれを証明しているのです」とYouTubeのチーフプロダクトオフィサーであるNeal Mohan氏は語る。「YouTubeは、TVのあり方を再発明するためには素晴らしいポジションにいると思っています。私たちはこれまでに、ハイクオリティなビデオのインターネット配信、高画質のストリーミング、クラッシュすることなくモバイルとWebをシームレスに統合するアプリを提供してきました。その私たちと同等の経験を持ち合わせる企業は他に存在しません」。

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YouTube TVの機能:検索、クラウドDVR、そしてリコメンデーションとソーシャル機能

YouTube TVでは、容量無制限で、かつ同時録画も可能なDVR(デジタルビデオレコーダー)を利用できる。これは従来のケーブルTV業界にとって脅威となる機能だ。ライブTV市場では、クラウドベースのDVRは最低限そなえるべき機能として定着しつつある。YouTube TVの競合となるSling、Vue、DirecTVなどの企業も同様の機能を提供している。もしくは、その実装を計画している。

しかし、YouTube TVではアカウントごとに個別のDVRが提供される点で異なる。また、アプリがポートレート・モードになっているときにはレコメンデーション機能もアカウントごとに違う結果を表示する。過去に視聴した、または録画した番組からユーザーごとの好みを理解する仕組みだ。

LOS ANGELES, CA - FEBRUARY 28: YouTube Chief Product Officer Neal Mohan speaks onstage during the YouTube TV announcement at YouTube Space LA on February 28, 2017 in Los Angeles, California. (Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic for YouTube)

アプリを起動すると、チャンネルの内容を確認するテレビガイド画面が表示される。そして親指をフリックしていくことで観たい番組を探すことができる。

YouTube TVには3つのセクションが用意されている ― ライブ、ライブラリ、ホームだ。ライブ・セクションは生放送中の番組を視聴するセクション;番組をタップして視聴開始、または「+」ボタンをタップして録画を開始することが可能だ。Chromecastと同じように、アプリで視聴中の番組をテレビに映し出すこともできる。

番組の検索も可能だ。「タイムトラベル」というようにテーマで検索することも可能で、番組の内容にタイムトラベル要素がある番組が一覧で表示される。

Googleのスマートスピーカー「Google Home」と連携すれば、YouTube TVを声で操作することも可能だ(同社はこの機能のデモンストレーションを試みたが、失敗した)。

アプリにバグが見つかれば、 ― この手のアプリが新しくローンチされる時にはよくある話だ ― アプリに用意されたテキスト/ボイスチャットでカスタマーサービスと直接話すことができる。

YouTube TVにはソーシャル要素もある。以前からトップクリエイターたち向けのコミュニティとして存在していた「community」タブがYouTube TVにも追加されているのだ。

Googleによれば、同社とメディアの双方がYouTube TV上で広告を販売するという。YouTube Redの会員制コンテンツ、およびYouTubeにアップロードされているものを除くすべてのコンテンツには広告が挿入される。

LOS ANGELES, CA - FEBRUARY 28: YouTube Director of Product Management Christian Oestlien speaks onstage during the YouTube TV announcement at YouTube Space LA on February 28, 2017 in Los Angeles, California. (Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic for YouTube)

強豪ひしめくこの市場は、どこまで拡大するのか?

YouTube TVはこれから、多くのインターネットTVサービスがひしめき合う市場に参入する。

Netflix、Amazon、Hulu、HBO Nowなどのトッププレイヤーたちの他にも、DishのSling TV、ソニーのPlayStation Vue、AT&TのDirecTV Nowなどのサービスもある。Huluも独自のライブTVサービスを近日中にローンチする予定だ。

もちろん、競合とは違ってYouTubeにはすでに一定の顧客ベースがある:同社が今週発表したところによれば、YouTube上の動画再生時間は1日あたりの合計で10億時間にもなるという。

LOS ANGELES, CA - FEBRUARY 28: YouTube Chief Product Officer Neal Mohan speaks onstage during the YouTube TV announcement at YouTube Space LA on February 28, 2017 in Los Angeles, California. (Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic for YouTube)

しかし、インターネットTVサービスという枠組みで考えると、この業界はこれまでとは違ったタイプの競争にもさらされていることが分かる。昨年秋にリリースされたアナリストによる調査によれば、初期のパイオニアであるSling TVはすでに100万人の会員を獲得している。しかも、初期のころの「つまづき」にもかかわらず、その数字は伸び続けている。YouTube TVと同じく、Slingにはベースとなるパッケージが用意されていて、個人の趣向に合わせたアドオンを追加できるようになっている。また、最近Slingはこのアドオンの料金を引き下げたばかりだ。おそらく、顧客がYouTubeに流出するのを防ぐことが目的だろう。

その一方、ローンチ当時のDirecTV Nowはバグが多すぎて、顧客がFCC(連邦通信委員会)に対して料金の返却を訴えるなんてこともあった。しかし、それでも彼らは初月で20万人の会員を獲得することができた。ただ、Sling TV CEOのRoger Lynch氏によれば、それがSlingの成長を阻害するようなことにはならなかったようだ。また彼は、この市場への新規参入によって市場全体が拡大しているとも語っている。

今日のYouTube TVの発表により、ストリーミングTV業界にさらなる注目が集まっている。そして、これから注目すべきなのは、この新規参入によって、市場に存在する数多くのサービスの成長速度が、市場全体の成長速度を上回ることになるのかという点だ。

本日以降、YouTube TVはアメリカ国内の一部の地域で利用可能になる。数カ月後にはWeb、Android、iOSのそれぞれのバージョンが出揃う予定だ。会員登録はこのWebページからできる。

(追加の情報が入り次第、記事をアップデートする)。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

お店のBGMが変わる―、”B2BのSpotify”Soundtrack Your Brandが2200万ドルを調達

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Spotify世界最大のコンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの座に君臨し続ける中、彼らの地元ストックホルム発の(かつSpotifyも投資している)スタートアップが、エンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスを牽引すべく、大規模ラウンドで資金を調達した。

そのスタートアップの名はSoundtrack Your Brand(SYB)。元Spotify幹部とBeats(現在はAppleの一部)の共同ファウンダーが手を組んで設立した同社は、この度のラウンドで2200万ドルを調達した。調達資金は海外展開や、お店でBGMをかけるのに使われている同社のシステムの改良に充てられる予定だ。彼らのサービスは、スーパーなどにありがちな安っぽくて退屈な音楽を変えようとしている。もちろん、たまたま小売店が求めているのが安っぽさや退屈さであれば話は変わってくるが。

既にSYBはかなりの成長を遂げており、マクドナルドやTAG Heuer、Toni & Guyといったグローバル企業が彼らのサービスを利用しているほか、100ヶ国で「何千」という数の企業(スウェーデンのスターバックスのように、大規模チェーンの各国の統括企業を含む)を顧客に抱えている。

同社はさらにSpotify Business(Spotifyのインフラを利用したエンタープライズ向けサービス)を、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで運営している。SYBによれば、同社の売上と顧客ベースはどちらも400%以上伸びているが、具体的な売上額や顧客数は明かされていない。

Balderton CapitalとスウェーデンのIndustrifondenが中心となった今回のラウンドを受け、SYBの累計調達額は約4000万ドルに到達した。今回のシリーズCには、そのほかにもTelia、Northzone、Creandum、H&MのファミリーオフィスであるHMP、この業界をよく知るJörg Mohauptらが参加していた。

既存株主であるSporify、PlayNetwork、Wellingtonは今回のラウンドには参加しなかった(お気づきかもしれないが、Spotifyの株主の多くがSYBにも投資している)。

SYBは、2014年にAndreas Liffgarden(元々Spotifyでビジネスディベロップメント部門のトップを務めていた)とOle Sars(Beatsの共同ファウンダー)によって設立された。彼らは以前在籍していた企業でも起業仲間を募っていたが、ふたりともエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスに大きな可能性を感じているということがわかり、ふたりでSYBを立ち上げることに決めた。多くのお店は、数が限られていながら面白みに欠け、ときには法に触れる可能性のある選択肢の中からBGMをかける手段を選ばなければならず、彼らはその問題を解決しようとしているのだ。

一般的には、お店の人が自分でまとめたCDやミックステープが店内でかかっていることが多い。中にはそのようなメディアを送ってくれるサービスもあるが、どちらも曲をアップデートする手間やコストを考えると理想的な方法とは言えない。ほかにも衛星・無線ラジオをかけているお店もあるが、この方法だと自分で曲を選ぶことができない。さらにSpotifyのような音楽ストリーミングサービスは、非商業目的の個人利用しか許可していないので、この方法をとると法律を破ってしまうことになる。

確かにエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスのニーズはあるようだが、だからといってSYBだけがそれに気付いたわけではない。Mood Media(Muzakの親会社で、アメリカではPandoraとパートナーシップを結んでいる)やPlay Network(Soundtrack Your Brandの投資家でもある)のほか、イギリスのImageSoundなどヨーロッパにも競合企業は存在する。

しかしLiffgardenとSarsは、SYBのサービスには他社とは違う点がいくつかあると言う。

まず第一に、同社のサービスを利用したい場合はサインアップするだけでよく、既にお店にある音響システムとインターネット環境を除けば、追加でハードウェアを準備する必要はない。料金は月々34.99ユーロ(37ドル)に設定されている。

次は提供されている楽曲数と、楽曲に関する同社の将来的なプランだ。世界中に5000〜6000万曲が存在すると言われている中、コンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの中には3000万曲もの楽曲を揃えているものもある。しかし話の本題はここからだ。

ほとんどのストリーミングサービスに関し、繰り返し再生されている人気曲の数はせいぜい「数百万」曲だとLiffgardenは話す。「去年私たちのサービス経由で20万曲が再生されており、競合サービスの再生曲数も同じくらいでした」と彼は付け加える。SYBの競合サービスが現在配信している楽曲の数は約100万曲ほどで、SYBもSpotifyやPlayNetworkのようなプラットフォームと手を組んで、大体同じくらいの数の楽曲を配信できるよう現在リライセンスの努力を重ねている。

しかしSYBは、長期的には直接レコード会社とライセンス契約を結んでいきたいと考えている。Spotifyのような企業にとってライセンス契約は悩みの種となっており、ある情報筋によれば、Spotifyは利益を増やすために現在レコード会社と契約内容の変更について交渉しているという。

一方、今まさにレコード会社との契約交渉を進めているLiffgardenとSarsは、SYBがエンタープライズ向けサービスであることから、Spotifyと彼らの事情は違うと説明する。コンシューマー向けサービスに比べて、エンタープライズ向けは利用場面が限られていることから、同社は最終的に1500万曲程度のライセンス契約を結べればいいと考えているのだ。

これだけの楽曲数があれば、サービス内容においてSYBは競合との差を大きく広げられるだろう。さらに他のプラットフォームへの依存度も抑えることができる(これこそ以前同業界で活躍していたSoundropがサービスを続けられなかった理由のひとつで、Spotifyがプラットフォーム上でのアプリのサポートを終了した途端に、彼らのサービスは使えなくなってしまった)。

さらに競合他社に比べて高く設定されたユーザー当たりの料金も、最終的にSYBの利益率向上に貢献するだろう。

SYBが競合を打ち負かそうとしているポイントの3つめが、顧客に提供しているサービスだ。もちろん顧客は、同社が予め準備したプレイリストを流したり、好きな曲をオンデマンドでかけることができる。

しかしSYBはビッグデータやデータ解析の技術を利用し、顧客の売上や来客数、さらには店舗での滞在時間を増加させるため(さらには、もしかしたらお客さんをはやく店から出ていかせるため)にどの曲をかければいいのかという、選曲サポートサービスまで提供しようとしているのだ。

これはもはや音楽サービスの域を超えているとSarsは言う。「このサービスが完成すれば、小売テクノロジーやビジネスのデジタル化というもっと大きな領域に進出していくことになります」

以前TechCrunchではSYBに対して、なぜSpotifyは自社の幹部にSYBのようなサービスをB2B事業として社内で開発するよう促さなかったのかと尋ねた。その答えは今も変わっておらず、なかなか興味深いものだ。簡単に言えば、Spotifyはコアとなるコンシューマー向け事業を確立し、拡大していくことに現在注力しており、エンタープライズ向け事業をはじめるのに必要な交渉や戦略、リソースについて考えている暇がないのだ。

その一方で、皮肉なことにSYBは成長を続け、他サービスから独立しようとしているが、SpotifyはSYBが成長すれば投資家としてその恩恵にあずかれるため、最終的に両社はWin-Winの関係にあると言える。さらに万が一Spotifyがエンタープライズ向けサービスをはじめたいと思ったときのために、おそらくSYBの買収に関し、Spotifyは何らかの拒否権を持っていると私は考えている。

SYBがレコード会社と独自のライセンス契約を結ぼうとしているというのも、私の考えと辻褄が合う。彼らは独立した契約をレコード会社と結ぼうとしており(現在のところSYBは北欧外ではPlayNetworkの楽曲を利用している)、これが形になれば、SYBがSpotifyやその他の企業に買収されたとしても、契約内容について再度交渉しなくてすむ。

なお、今回のラウンドを受けて、以前はUberとDropboxでモバイル部門のトップを務めていたBaldertonのLars Fjeldsoe-Nielsenが、SYBの取締役に就任することとなった。

「私はこれまでディスラプションが起きるのを間近で見てきました。Dropboxはストレージサービスを変え、コンシューマー向けからエンタープライズ向けへの転換を果たしました。一方、Uberは私たちの交通手段に対する考え方を大きく変えました。今度は、Soundtrack Your BrandがBGMを変えていくでしょう」と彼は声明の中で語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

全ての動画サービスをリモコンひとつで操作―、Caavoがテレビをさらにスマートに

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Caavoというスタートアップは、さまざまなスマートボックスや動画ストリーミングサービスをひとまとめにするデバイスを開発している。1500万ドルの資金を調達した同社は、音声操作もできるユニバーサルリモコンとインターフェースを販売しており、ユーザーは複数のサービスをまたいで自分の見たい番組を検索することができる。

Caavoの詳細に入る前に、一旦現状の問題を確認してみよう。まず、テレビ番組やテレビ局、ストリーミングサービス、ストリーミングボックスの数は、今までの比にならないほど増加した。その一方で、コンテンツ数の多さから、見る価値のあるものを見つけるのも、これまでの比にならないほど難しくなっている。

以前にも同じようなことが言われていたが、時間の経過とともに状況は悪化している。

NetflixやAmazonといった、ストリーミングサービスを提供する企業のオリジナルコンテンツの人気が高まる中、ストリーミングボックスやスマートテレビは必須アイテムとなった。しかし、全てのストリーミングボックスから全てのサービスが利用できるわけではないため、自分が見たい番組を見るために、複数のストリーミングをボックスを購入する人もいる。ここにセットトップボックスやデジタルビデオレコーダー、ゲーム機が加わると、あっという間にHDMIポートが埋まってしまう。

しかしこれも、現代のテレビ中毒者にとっては大した問題ではない。入力信号を切り替えて、別のアプリを別のストリーミングボックス上で起動するのにも慣れっこだ。ただ、リモコンまでいちいち交換しないといけないとなると話は変わってくる。

Caavoの登場

Caavoには8つのHDMIポートが準備されており、これならほとんどのテレビ狂のニーズに応えることができるだろう。デバイスをCaavoに接続すると、システムが自動的にそのデバイスがどのストリーミングボックスやゲーム機なのかを認識し、操作画面に追加するようになっている。

さらにユーザーは、利用しているストリーミングサービスや、どのデバイスを通してどのサービスにアクセスしたいかといったことまで(例えばNetflixはXboxで、AmazonはFire TVといった感じで)Caavoに登録することができる。

セットアップが終わったら、ユーザーは音声操作にも対応しているユニバーサルリモコンを使って、視聴したいコンテンツを検索して選べるようになる。再生時にはリモコンに、そのコンテンツを「見る」と伝えるだけでいい。さらに、途中まで見たことのあるコンテンツを選んだ場合は、前回見るのをやめたところから再生されるか、そのコンテンツが視聴できるサービスやアプリが表示されるようになっている。

中立的なアプローチ

Caavoの設立に関わったメンバーは、JawboneやSling、Microsoft Xbox、Harman、Shufflr.tvなどでの数十年にわたる経験を持っており、ハードウェアとメディアサービスの両方に精通している。

もともとCaavoのアイディアは、故Blake Krikorianが考え出したものだった。彼はSling Mediaを通して、プレースシフティング(あるデバイス上のメディアを別の場所にある別のデバイスからアクセスするという手法)のコンセプトをテレビ業界に導入したことで知られている。Krikorianは昨夏に亡くなる前、共同ファウンダーとなるAndrew EinaudiAshish AggarwalVinod Gopinathとチームを組み、Caavoを立ち上げた。

段々と細分化していくコンテンツをまとめあげ、ユーザーが素早く簡単に視聴したいものを見つけられるような手段を提供するというのが、彼らのゴールだ。

Caavoはプロダクトの開発にあたり、DCMのJason KrikorianやGreylockのDavid Sze、さらにSkyやHearst Venturesから1500万ドルを調達した。

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Blakeと兄弟で、Sling Mediaの設立にも関わっていたJason Krikorianは、全てをまとめあげる「神のボックス」のアイディア自体は以前からあり、彼らもCaavoのようなプロダクトを開発しようとしていたと話す。しかし、それ以後も問題は解決されないばかりか、むしろ悪化していった。

全てのデバイスやコンテンツをまとめ上げるようなものがこれまで誕生しなかった原因のひとつは、全てのメーカーが「入力1」を目指して競いあっているということだ。そこでCaavoの共同ファウンダーたちは、製品を実際に開発する前に、MSO(複数のケーブルテレビを統括する運営会社)や、デバイスメーカー、サービスプロバイダーなどを訪れ、自分たちがどのような方法で、ユーザーが簡単にコンテンツを見つけられるような仕組みを作ろうとしているかについて説明した。

「Caavoは全てのサービスに対して意図的に中立的な立場をとっており、このアプローチがあるからこそ、ユーザーはアクセスしたいコンテンツ全てに、すぐにアクセスできるようになっているんです」とKrikorianは話す。

一方GreylockのSzeにとっては、投資自体2006年のVudu以来、久しぶりのものだった。先述の問題の大きさや複雑さ、さらには以前からどのくらい状況が悪化しているかという背景を知ってから、彼はCaavoが取り組んでいることに興味を持ったと話す。業界の細分化が進んで行く中、SzeはCaavoのようなプロダクトが売れるときが来たと考えている。

「私はタイミングと、利用可能なアプリやコンテンツを配信しているソースの細分化がカギだと考えています。2年前の時点では、AmazonもNetflixもオリジナル番組を作っていませんでしたしね」と彼は語る。

Caavoの値段はリモコン込みで399ドルで、6月からプレオーダーが開始される。まずは5000台限定で販売され、今年の秋頃には最初のユーザーの手元にCaavoが届けられる予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

HuluのVRアプリがアップデート、友人と映画を楽しめるソーシャル機能を追加

コンシューマーが利用できるVRはまだそれほど発展していない。HuluはVR熱を絶やさないためにも今回 VRアプリのアップデートを行った。ユーザーは簡単に仮想空間上で友人とコンテンツを楽しむことができるようになる。

本日HuluはGear VRとRift向けのアプリをアップデートし、最新のOculusのソーシャル機能に対応した。Gear VRのユーザーは、Oculus AvatarとRooms機能を利用できるようになる。誰でも無料でHuluの360度動画コンテンツを友人と楽しむことができ、有料サブスクライバーは仮想空間の大きな画面で2Dコンテンツを視聴できる。

一方Riftのアプリでは、Oculus Touchのコントローラーにも対応した。ユーザーはコマーシャルが流れている間、仮装空間内でコントローラーを動かして時間を潰せるだろう。

SonyとGoogleはまだ仮装空間上で集まれるソーシャル機能などを発表していないので、HuluのPSVRとDaydream向けアプリにはこのような新機機能はない。こちらでは、もうしばらく1人ぼっちでコンテンツを楽しむしかなさそうだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

天気に応じたオススメ曲を表示ーSpotifyがAccuWeatherと新サービスをローンチ

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天気や空模様はミュージシャンのインスピレーションを刺激し、ロンドンの霧太陽が顔を出したときの様子、さらには季節に合った服などをテーマにした曲がこれまでに誕生した。そこでSpotifyはAccuWeatherとタッグを組み、ユーザーの位置情報からリアルタイムで天気やムードを読み取り、それぞれのユーザーの状況にあったプレイリストを表示する、Climatuneというサービスをローンチした。

これは以前、Songza(後にGoogleに買収された音楽のレコメンデーションサービス)がWeather Company(後にIBMが買収)とのコラボを通してつくった機能に似ている。Songzaは、もともと時間や日付、ユーザーの位置情報をもとに楽曲をレコメンドするサービスを提供していたが、Weather Companyと組むことで、さらに気象情報を加味したものへとサービス内容を進化させていた

しかしClimatuneの機能はSongzaとはちょっと違う。Spotifyが新規に用意したClimatune用のウェブサイトは、ユーザーの現在地(もしくはそこから1番近いClimatuneがトラックしている地域)を検出し、その場所と天気に合うであろう30曲がおさまったプレイリストを表示してくれる。

Spotifyによれば、Climatuneのプレイリストは、1年分の気象データと850億件に及ぶSpotifyのストリーミングデータを紐付けて作られた。つまり同社は、雨が降っているとき、晴れているとき、曇っているとき、風が強いとき、雪が降っているときに、それぞれSpotifyユーザーはどんな曲を聞いていたかという情報をまとめてこのサービスを完成させたのだ。そして、その結果浮かび上がってきた曲や、それに似た曲からプレイリストは作られている。

インタラクティブな壁紙も準備されているClimatuneだが、Spotifyの狙いはユーザーをずっとこのサイトに留めておくことではない。Climatune上では各曲のプレビューしか表示されず、ユーザーは楽曲全体を聞くためにはSpotifyへ移動しなければならず、最終的にはSpotifyへユーザーとエンゲージメントが集まるような仕組みになっている。

現在音楽レーベルとのライセンス費用に関する再交渉を狙っているSpotifyは、ユーザー数やエンゲージメントといった指標に敏感になっている。私たちが入手した情報によれば、Spotifyはこれまで再生数に応じて楽曲使用料を支払ってきたが、定額制へ移行したいと考えているようなのだ。そのため、楽曲の権利者に対して、Spotifyユーザーはある特定の曲だけでなく、音楽全体を楽しんでいるという証拠を見せることができれば、Spotifyの希望は通りやすくなる。

さらにClimatuneのサービスは、自分が何を聞きたいかイマイチわからないような、そこまで音楽に熱心ではない人にリーチするためにも有効な手段だといえる。3000万曲ものストックがある中、カジュアルに音楽を楽しみたい人は、いちいち自分で聞きたい曲を探すよりも、良い曲をオススメしてほしいと考えているのだ。

Climatuneのサイトを開くと、ユーザーの現在地に応じたプレイリストが表示されるが、もしも周りは雨が降っているのに雪っぽい曲を聞きたいと思ったら、ユーザーは好みの天気を選ぶことができ、そうすれば違う街と天気に合ったプレイリストが表示される。

天気と音楽の関係については、ある程度であれば予想がつく。Spotifyによれば、晴れた日は「元気いっぱいで楽しい雰囲気が好まれる傾向にあり、テンポが速くラウドかつノイジーな”動き”のある曲や、長音階やその他の音楽的な要素とも関連して、ハッピーかつ陽気で幸せになるような曲が再生されることが多い」一方、雨の日は「アコースティックで落ち着いた、悲しい雰囲気の曲」を聞く人が多い。

しかし、シカゴの人は雨の日にアップビートな曲を聞きがちなど、意外な傾向も見られた。

その他にもさまざまなトレンドを見て取ることができるが、中には複数のプレイリストに繰り返し登場する楽曲もある。これについては、Climatuneを新しいプロモーションの手段に使おうとしていると考えることもできるし、単にその曲が天気や地域を超越して、高い人気を誇っていると考えることもできる。例えば、晴れた日のロンドンのリストと風が強い日のリスボンのリスト両方に、Twenty One PilotsのRideと、Selena GomezのKill Em With Kindnessが含まれている。

「天気とユーザーが聞く曲の間には、ハッキリと相関関係が見てとれます。私たちが調査した主要都市のほぼ全てで、晴れた日は明るい曲の再生数が増加していました。特にヨーロッパのユーザーは晴れた日に敏感に反応していましたね」とSpotifyでヘッド・データ・リサーチャーを務めるIan Andersonはからかって言った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

KickstarterがライブビデオストリーミングのHuzzaを買収して募金者と支援者のリアルタイム対話を推進

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今朝(米国時間2/1)はKickstarterから二つのニュースが飛び込んできた。最初のは、このクラウドファンディングサービスがカナダのビデオストリーミングサービスHuzza買収したという発表。昨年11月には両社共同で、ライブのストリーミングKickstarter Liveをローンチした。それは、クリエイターたちが彼らのコミュニティとダイレクトにコミュニケーションするチャネルを築き、リアルタイムでフィードバックを得る、という仕組みだ。

Kickstarterによると、このように、ライブのストリーミングビデオ(+リアルタイムの会話)を併用すると、資金募集キャンペーンの平均成功率が従来の倍の74%にアップした。まあ、ライブの対話的ビデオストリーミングに多くの人が参加するのは、それだけそのクリエイターへの関心が高い、ということだけどね。それはともかく、HuzzaはKickstarterにとって二度目の買収だ。最初のは昨年3月に、音楽コミュニティサービスDripを買収した。

この買収によってHuzzaのファウンダーJustin WomersleyとNick Smitがスタッフに加わり、Kickstarter Liveを運営していく。そしてもうひとつのニュースは、Kickstarterは初めての国際的なオフィスを地元のバンクーバーに開き、今後多くの技術者とデザイナーを雇用してそこにもチームを作っていく。同社はすでにバンクーバーでの求人広告を、そのサイトに載せている。

Huzzaの既存のサービスは今月末で終了し、チームは全員がLiveに注力していく。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Netflixの技術者たちがストリーミングの画面を脳波でコントロール(?)

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定義するまでもないが、でも、こんなのがときどきあるから、ハッカーたちのカンファレンスは楽しい。Netflixの4人のデザイナーが、下の短いビデオで“MindFlix”と呼んでるものは、Museヘッドバンドをハックして、同社の映画ストリーミングサイトの、おなじみのインタフェイスを操作する。

ビデオはこう言っている: “今日のHack Dayのために、自分たちの脳にチップをインプラントしようかと思ったけど、でも、この脳波を読むヘッドバンドをまず試してみることにした”。

とても短いビデオで、しかも相当編集されている。ぼくなんか、脳波や目の動きでテレビを操作する、という話を聞くたびに、眉に唾をつけてしまう方だ。実際に自分が試してみたものの中にも、近い将来本当に実用化されそうなのは一つもなかった。今実際に売られているものの中の、ややましな製品ですら、その完成度は低い。でもこのビデオと、そこに紹介されているハックは、ストリーミングに対するインタフェイスの未来のバージョンを実際に開発するという真剣なお話よりも、むしろ、一種のお笑いネタだ。

でも、世の中のテクノロジー製品の多くがそうであるように、ここで紹介されている技術も、‘楽をしたい’という怠け者根性から生まれている。このジョークっぽいビデオも、Netflixのユーザーが、紛失したリモコンを探すのが面倒、という話から始まる。ヘッドセットにも、室内での紛失、という問題はあると思うけどね。

Netflix Hack Dayでは、ほかにもいくつかのビデオが紹介された。たとえば、Netflixのアカウントを複数持っている人が一画面で複数のストリーミングを見る方法、社会問題を扱ったビデオに‘寄付機能’がある、NetflixオリジナルのStranger Thingsのゲームバージョン、などだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Sprintが音楽配信サービスTIDALの株式の33%を取得へ、限定コンテンツの配信を予定

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音楽ストリーミングサービスの分野で面白いことが起きようとしている。ソフトバンク傘下のSprintが、TIDALの株式の33%を取得すると本日発表したのだ。TIDALは音楽ストリーミングサービスを提供しているノルウェイ発のスタートアップで、2015年にJay Zが同社の株式の大半を取得して以降は、人気アーティストの限定コンテンツに力を入れた高音質音楽配信プラットフォームとして、SpotifyやApple Musicと競合してきた。

さらにSprintは、TIDALのサービスを同社のモバイルユーザー(モバイル契約・プリペイドユーザーを合わせると4500万人に及ぶ)に提供する予定だと話す。「TIDALと同社に楽曲を提供しているアーティストは、新旧問わずSprintユーザー全員に向けて、限定コンテンツを配信していく予定です」と両社は言う。

2015年にTIDALが再ローンチしたときにも、両社はコラボレーションに関する発表を行ったが、実際に2社で何を行っていたかは明かされず、SprintはTIDALへは投資しないと明言していた。しかし今回の発表では、Sprint CEOのMarcelo ClaureがTIDALの取締役に就任するということまで明らかになった。

「アーティストがファンと直接繋がりを持って、自分たちの可能性を最大限発揮するためにクリエイティブ業界に革新をもたらすというTIDALのビジョンにSprintは共感してくれています」とJay Zは声明の中で語った。「Marceloは私たちのゴールをすぐに理解してくれました。今後Sprintが持つ4500万人の顧客ベースに私たちのサービスを提供していくのが楽しみです」

株式の取得額は開示されなかったが、Music Business Worldwideはその額が2億ドル(TIDALの評価額が6億ドル)に及ぶと報じている。TechCrunchはSprintに直接コンタクトして本件について尋ねたが、担当者からは「私たちは財務情報を公開していません」という回答しか得られなかった。

Jay Zと有名アーティストを含む株主会がTIDALを再ローンチした際に報じられていた、2億5000万ドルという評価額を考慮すると、今回の金額は8250万ドル前後になるはずだ。一方で、昨年SamsungがTIDALを買収しようとしているという噂が流れたときの金額は1億ドルだったので、そこからは3300万ドルという金額が導き出せる。しかしどちらも2億ドルという、本日報じられた金額には遠く及ばない。なおTIDALは、SamsungのほかにAppleやRhapsodyとも買収に関する話を進めていたと言われている

TIDALによれば、現在同社は52ヶ国以上でサービスを提供しており、プラットフォーム上には4250万曲の音楽と、14万本の高画質動画が登録されている。Spotifyのような他の音楽ストリーミングサービスとTIDALの違いは、無料会員がいないということだ。基本プランの料金は月々9.99ドルで、高音質な音楽が楽しめる上位プランの料金は月々19.99ドルに設定されている。さらにどちらのプランでもTIDAL限定の楽曲を聞くことができる。

しかしプラットフォーム上に楽曲を登録しているアーティストがサービス自体にも影響力を持つ新たな体制のもと、TIDALのビジネスがどのくらい上手くいっているかはよく分からない。

同社は2015年に2800万ドルの赤字を計上しており、これは2014年の赤字幅の3倍近い数字だ(2016年の数字はまだ発表されていない)。そして実際にTIDALを使っている人が何人いるのかについても、さまざまな憶測が飛び交っている。

TIDALは2016年3月に300万人の登録者がいると発表していた。しかし同社は以前TIDALを保有していた企業を登録者数の粉飾で訴えており、その一方で登録者数は現在も実際の数より多く計算されているのではないかと非難されている。例えばノルウェイの新聞社Dagens Naerinslivは、登録者数が300万人に達したとTIDALが発表した当時、実際の登録者数は85万人(+120万件の”アクティベート済みのアカウント”)しかいなかったと先週報じた。

さらにApptopiaの統計によれば、サービスがどのくらい利用されているかという観点でいうと、TIDALはPandoraやSpotifyに大きく遅れをとっている。

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つまり第三者の視点からだと、TIDALの財務諸表やデータは曖昧で乱雑に映る。ソフトバンクが私たちの知らないことを知っていればいいのだが。

いずれにせよ、Sprintからの出資によってTIDALは現金を手に入れることができ、今後登録者数をさらに伸ばせるかもしれない。さらにSprintが(他のキャリア同様)、どうやって他社と差別化を図ろうとしているのかということもわかってきた。

「Jay Zはもともと、ビジネスだけでなく文化的なニーズを感じてTIDALへの投資を決定しました。そしてその後彼は、TIDALを高品質なコンテンツを配信する世界レベルの音楽ストリーミングプラットフォームにするべく、情熱と勇気を注いできました」とClaureは声明の中で語った。「ファンと真摯に向き合うTIDALのアーティストの力を借りることで、Sprintはモバイルユーザーに限定コンテンツや他社では体験できないようなサービスを提供できるようになるでしょう」

モバイルキャリアと音楽ストリーミングサービスのコラボレーションは、両者のユーザー数を増やす上で有効な手段だと考えられており、特にSpotifyはこの分野に力を入れてきた。

実はSprintも2014年にSpotifyとのパートナーシップ契約に関する発表を行い、Sprintの上位プランに契約するとSpotify Premiumが6ヶ月間無料(しばらくして割引料金へと変わった)で使えるというキャンペーンを開始した。今でもこのキャンペーンは行われているが、Napsterとの似たような仕組み同様、Sprintは以前ほど積極的にはこのキャンペーンを売り出していない。

「今後もユーザーは希望すれば、SpotifyやNapsterのサービスを特別料金で利用できます」と担当者は話す。「しかし本日発表したTIDALとのパートナーシップはもっと大きな意味を持っており、Sprintは同社の株式の33%を保有することになるほか、Sprintユーザーはこれまでに見たことがないようなサービスを体験することになるでしょう」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Amazon、アカデミー賞で大健闘―マンチェスター・バイ・ザ・シーが作品賞候補

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今年のアカデミー賞でAmazonはNetflixに大きく差をつけた。 Amazonは質の高いオリジナル映画やテレビ番組を製作する努力を続けてきたが、今回マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)がアカデミー賞作品賞候補になるという栄誉を受けた。ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ主演、ケネス・ローガン監督のこの映画は昨年のサンダンス・フェスティバルで公開されている。Amazonはこの作品の配給権獲得に1000万ドルを支払ったものとみられる。

マンチェスター・バイ・ザ・シーはアカデミー賞で合計6部門にノミネートされた。作品賞に加えて主演男優、助演男優、助演女優、監督賞などが含まれる。この映画は劇場公開されたが、これはAmazonが配給する作品では通例だ。Netflixはストリーミング・サービスで最初に公開する権利を得る場合が多い。この点がアカデミー賞など映画賞の受賞に影響してくる。

マンチェスター・バイ・ザ・シーは批評家からもきわめて高い評価を得た。ケイシー・アフレックにはセクハラで訴えられるというごたごたががあったが2010年に和解している。一方、Netflixはドキュメンタリー部門で黒人差別問題を扱った13th -憲法修正第13条(The 13th)がノミネートされた。アカデミーはこの部門でNetflixを気に入っているらしくたびたびノミネートされている。

〔日本版〕マンチェスター・バイ・ザ・シーの日本公開は今年5月の予定。ケイシー・アフレックはベン・アフレックの弟。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Laugh.lyが225万ドルを調達ースタンドアップコメディをスマートフォンにお届け

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昨年8月に正式ローンチしたスタンドアップコメディのストリーミングサービスを提供するLaugh.lyは、New York Angelsが中心となったシードラウンドで225万ドルを調達したと本日発表した。iOSとAndroidの両OSに対応しているLaugh.lyは、業界初となるコメディアンのスタンドアップセットだけを配信するアプリで、Kevin HartやAmy Schumer、Louis C.K.、Hannibal Buress、George Carlin、Chris Rockといったコメディ界のスターのコンテンツが登録されている。

New York Angelsがリードインベスターとなった今回のラウンドには、Shark TankのBarbara Corcoranやthe Wharton Alumni Angel Network、Social+Capital、Backstage Capital、Treehouse Capital、Accelerator Ventures、Atlas Holdingsが参加した。

以前Laugh.lyはSAFEノート(コンバーチブルノートよりもシンプルな資金調達手段)を使って、共同ファウンダーから75万ドル、投資家から150万ドルを調達していた。

その後TechCrunch Disrupt New York 2016に参加していた同社は、Startup Battlefield Wild Cardの対象企業として展示企業の中から引き抜かれ、審査員やVCの前でプレゼンを行うチャンスを勝ち取った。

Startup Battlefield Wild Card: Laugh.lyがお気に入りのコメディをあなたのデバイスへお届け

Laugh.ly設立までには面白い歴史がある。このアプリをつくったDave Scottは、ECやマーケティングオートメーションを専門とする連続起業家だ。しかしコメディに惹きつけられた彼は、その後スタンドアップコメディアンになり、San Francisco Comedy Collegeに通いながら、夜はオープンマイクに参加していたとScottは説明する。この経験から、彼はコメディビジネスやその課題についての理解を深めていった。

Laugh.lyローンチ当時からの同社の目標は、NetflixやHBOといったオンラインストリーミングサービスを通してコメディを見ることが主流になり、コメディアンのCDやDVDの売上が落ちる中、彼らの新しい収入源をつくり出すということだ。動画に関していえば、オンライン化が進んだことでファンも簡単にお気に入りのコメディアンの作品をみつけられるようになったが、CD経由で販売されていた音声に関してはあまり状況が変わっていない。その穴を埋めるのがLaugh.lyのサービスだ。

コメディのPandoraとも言われるLaugh.lyでは、ユーザーがオンデマンドでスタンドアップコメディを聞くことができるほか、自分専用のコメディ”ラジオ”局をつくることもできる。

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Laugh.ly上でコンテンツを提供しているコメディアンの数は、ローンチ当初の400人から今では650人まで増え、登録コンテンツ数も数万個増加した。

2016年8月から同アプリは20万人以上のユーザーに利用されており、Scottによればそのほとんどが口コミでアプリの存在を知ったユーザーだという。さらに平均聴取時間は一回あたり60分以上だとLaugh.lyは話す。

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「私たちはお笑いのワンストップショップをつくろうとしています」とScottは資金調達に関する声明の中で語った。「私たちのビジョンや、高品質なスタンドアップコメディを多くの人に届けたいという私たちの情熱が形になっていくのを見ることができ、大変うれしいです」

アプリ自体は無料だが、オフライン機能や広告を非表示にしたり、汚い言葉をフィルタリングしたりする機能などが使える、有料のプレミアムオプションも準備されている。(一方Scottは収益面についてはコメントしなかった)

さらにユーザーが自分の好きなコメディアンをみつけやすいよう、アプリの裏側ではLaugh.lyが自社で開発したシステムがコンテンツの内容を分析している。例えばユーザーは、検索窓にキーワードを入力することで、あるトピックに関するジョークを検索することができるのだ。またLaugh.lyは書き起こしテクノロジーを利用して汚い言葉のフィルタリングも行っている。

また今回調達した資金は、エンジニアチームの増強や、コメディ・エンターテイメント界のキープレイヤーの採用、新しい機能の開発などに充てられるとLaugh.lyは話す。

Laugh.lyのアプリは現在iTunesGoogle Playで公開中。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

リコー、360度ビデオストリーミング・カメラ、Rを発表―CES 2017でデモへ

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日本の有力カメラメーカー、リコーのTheta SとSCはすでにヒット製品となっているが、同社は今日(米国時間1/4)、新製品のベールを少しだけ上げてみせた。プレスリリースによれば、新しいカメラは誰でも簡単に360°全周ビデオのストリーミングができるようにする。現在リコーはデベロッパーが独自のアプリを開発するためのキットを準備中だ。開発キットは2017年の第2四半期に出荷の予定。

The new Ricoh R (an artist's rendition)

Ricoh R(3D CGによるイラスト)

このカメラはこれまでコンサートのライブストリーミングのような当然考えつくようなシーンから、もっとクリエイティブクリエイティブなリモート・テレプレゼンスまでさまざまなな条件でテストが重ねられてきた。リコーが紹介する例の一つは学校の入学式だ。生徒は仮想現実ヘッドセットでこのカメラのストリーミングを見ることによってセレモニーに参加できる。

来るべき360°ビデオ時代への入り口

しかしこうした例を聞いても必ずしも興奮しないかもしれない。それには理由がある。リコーはこのカメラをまず開発者向けキットとして発売するが、その理由は、今のことろ360°ライブストリーミング・ビデオがどんな場面で有効なのか知っている人間が少ないからだ。トレンドに先がけて、まずデベロッパー向けキットから始めるというのは慎重かつ賢明な戦略だろう。Theta
Sカメラの大成功の再現を狙っているなら特にそうだ。

リコーではRicoh Rはインターネット接続と外部電源がある限り連続してライブストリーミングが可能だとしている〔リコー・サイトによると24時間の連続作動が可能〕。

リコーの広報担当者は私の取材に対して「全周ビデオ映像のライブストリーミングは、テクノロジーだけでなく、コンテンツ製作や配信、視聴方法などシステムのすべてが始まったばかりだ。
これまだ多様な背景のユーザー・グループを対象にベータテストを繰り返してきた結果、リコーではこのテクノロジーにきわめて大きいビジネスチャンスがあると結論した」と語った。

ストリーミングの解像度は2K、、毎秒30コマだ。VRヘッドセットに圧倒的な臨場感をもたらすというレベルではないが、それでも誰でもコンテンツを作れる360ビデオ体験としては十分だろう。このカメラは全周ビデオで標準的な正距円筒図法(Equirectangular Projection Format)を用いて2基の魚眼レンズが撮影する画像を貼り合わせている。出力はHDMIとUSBが可能だ。オフラインの場合はMicro SDカードへの録画が可能。

〔日本版〕CES 2017のリコー・ブースに実機が出展される。YouTubeによるデモ配信も予定されている。 Rカメラの公式日本語ページはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新しい成長の道を探り続けるTwitterが今度は360度ビデオのライブストリーミングを導入

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Twitterが、このところ力を入れているライブビデオの次の一歩として、Periscopeからの360度ライブストリームを導入する。

TwitterやPeriscopeから誰もが360度ライブビデオを見られるが、それを提供できるのは今のところ一部のパートナーだけだ、と同社のブログ記事が言っている。Facebookなどの上では今やライブのストリーミングが大人気だから、出だしは提供者が限られていても、なにしろTwitterがこれを始めること自体は、たいへん有意義だ。

[フロリダの夕日を360度で。]

2017年に自分の新しい未来を見つけなければならないTwitterは、新しいプロダクトのリリースに今努めているところだ。今年はTwitterにとって、厳しい登山のような年だった。どっかの大企業が買収するという話があり、そしてそれはポシャった。そしてその後のTwitterは、新しい成長路線を探り当てることに苦労し、少しずつ少しずつ、新しいプロダクトや機能を加えてきた。

ライブのストリーミングをやるためには、カメラをスマートフォンの底につけてビデオの録画やブロードキャストを開始するようだ(下図)。下の画像はビデオから取ったスクリーンショットだけど、画質が悪くてごめんなさい。

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ライブの360度ビデオなら、自分の周りで起きていることをすべて撮らえてブロードキャストできる。今の限られたパートナーたちも、今回の経験をもとに、その新しいユースケースを見つけようと躍起になるだろう。360度ビデオそのものがあまり多くないのも、今の内だけだ。そしてまたこれは、ほかのプラットホームに群がっているかもしれないインフルエンサーたちをTwitterが取り戻す契機にもなる。彼らはTwitterの上でこの新しいツール、というか遊具を使って、新しいオーディエンスの構築に努めるだろう。

360度ライブビデオストリーミングの開始を告げるブログ記事を書いたのは、TwitterでARとVRを担当しているディレクターAlessandro Sabatelliだが、このことから一体、何が占えるだろうか。Twitterは、“この分野におけるいろんな機会の探究を始めたい”、という漠然とした言い方をしているが、具体的にその機会とは何か、いろいろ想像を膨らませてみるのもおもしろい。

幅広いオーディエンスを抱えるプラットホームが、大きな変化を導入しようとしている。成長率はFacebookほどではなくても、ユーザー数は3億を超えている。難しい挑戦であることは確かだが、同社は次々と大きな賭けをやっていく必要がある。Periscopeを買収したのも、そのためだ。それをしなくては、次の新たな成長路線も見つからない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

映画見放題のHuluに『ラマになった王様』などディズニー作品50本がやってくる

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Huluは動画配信サービスでNetflixと激しくシェアを奪い合っているが、このほどディズニーと新たなライセンス契約を結んだことを発表した

新しい契約によりHuluはユーザーに対して相当数のディズニー映画の新作を独占配信する権利を得た。 今後数ヶ月の間に公開されるディズニー映画は合計50本に上る。これには『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、『ムーラン』、『ポカホンタス』、『ヘラクレス』、『リロ・アンド・スティッチ』、『ターザン』などの人気作品が含まれる。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、『ムーラン』、『ポカホンタス』、『ヘラクレス』に加えて『天使にラブ・ソングを…』、『Air Bud』はすでに公開されている。

2017年に公開が予定されているのは『コン・エアー』、『ステップアップ』、 『60セカンズ』、『パール・ハーバー』、『ロミーとミシェルの場合』、『飛べないアヒル』、『リロ・アンド・スティッチ』、『ターザン』、『ラマになった王様』、『マペットの宝島』、『プリンセスと魔法のキス』などだ。

ディズニーはHuluの30%の株主であり、ディズニー・ABCテレビが権利を持つコンテンツの一部はすでにHuluで配信されている。これにはDisneyのテレビ向けチャンネルのコンテンツも含まれる。

今回のHulu-ディズニーの独占ライセンス契約により、Disneyのコンテンツは複数のサービスに分割されることになる。今回の契約に先立って、2012年にNetflixはディズニー、ウォルト・ディズニー・アニメーション、マーベル、ピクサー、ルーカスフィルムなどのディズニー・グループの製作になる映画を配信する権利を得たことを発表している。 配信の期間、内容はケーブルテレビのHBOと同様。

Netflixは今年5月にこの契約をユーザーに告知した。コンテンツのストリーミングはこの秋から開始されている。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DropboxがXboxにやって来た、ため込んだ動画や写真をテレビで観よう

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DropboxはXboxのためのユニバーサルWindowsアプリをローンチした。クラウドストレージプロバイダとしては初の動きである。このアプリを使えば、ユーザーは写真やビデオなどのファイルをテレビから見たり共有したりすることができる。つまり、ローカルコピーをダウンロードすることなく、Xbox経由でDropboxからビデオをストリーミングできるようになる。

また、VLCなどのさまざまなアプリケーションを利用して、XboxのDropboxファイルにアクセスしたり、USBスティックやその他のユニバーサルWindowsアプリからDropboxにファイルをアップロードしたりすることもできる。

このアプリを使えば、自分の個人所有のビデオをテレビの大きな画面に簡単にストリーミングできるので、DVDからリッピングしたり、(咳払い)、他の手段で多数の映画ライブラリを集めてきたりした人にアピールすることだろう。

新しいアプリは、ファイルのアップロード、コメント、共有など、他のプラットフォームのDropboxで見られるほとんどの機能を提供する。他のユニバーサルWindowsアプリで開いたファイルをDropboxに保存して、デバイスのストレージスペースを節約することもできる。またDropboxの発表によれば、KinectからDropboxへのスクリーンショットや写真を自動的にアップロードするように設定することもできる。

大画面での使用を想定しているため、Dropboxのアプリは、ゲームパッドやメディアリモコンを使ってナビゲートできる、テレビ用に最適化された新しいインターフェイスを導入している。

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これまでDropboxは、映画の海賊行為への関連の懸念からTVアプリを開発することに集中していなかったことを考えると、このローンチは注目に値する。実際、昨年の夏にRoku用のアプリをローンチしたとき、Dropboxの公開APIを使用してRokuのチームがアプリを実際に作っていたことが判明している。同社はまだApple TVやAndroid TVのアプリは持っていない。

さらに、Rokuのアプリには制限が課されていて、例えば動画は14〜15分の長さで切られてた。この制限は、Dropboxのアプリが商業映画向けではなく、家庭用映画のような個人向けのものであることを体現するためのものだった。

しかし、私たちが聞かされたところでは、新しいXboxアプリには、あなたがストリーミングできるビデオの長さの制限はない。

TVの世界を無視するという以前のDropboxの決定は、他の競合他社、例えばAllCastなどのサードパーティアプリが、Dropboxや他のクラウドストレージからストリーミングを行うサービスで参入する事態を招いた。そうしたアプリは、Chromecast、Apple TV、Xbox、Roku、Amazon Fire TVで動作している。

DropboxのXbox用Windowsアプリは、Xboxストアで今日から無料でダウンロードできる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Spotify、SoundCloud買収から手を引く

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結局、多くの人が期待していたデジタル音楽企業2社の合併は実現しないようだ。何ヶ月にも及ぶ話し合いの結果、SpotifyはSoundCloudの買収を諦めたと、本件に詳しいSpotifyの内部関係者は語った。

今年の9月には、両社の間で買収に関する「話が進行している」とThe Financial Timesが報じていたが、その後続報を目にすることはなく、先週この話自体が無くなってしまったことがわかっている。前述の関係者は、SoundClound買収によるIPO準備への悪影響を危惧して、Spotifyが最終的には買収から手を引いたと話す。

Spotifyは、公式には2017年中の株式公開を明言していないが、上場に紐づいたインセンティブが含まれる資金の調達など、それを裏付けるような情報が飛び交っている。関係者によれば、「IPOを行うかもしれない年に、ライセンシングの問題を増やしたくなかった」ため、SpotifyはSoundCloudの買収に踏み切れなかったようだ。これは、音楽レーベルとの交渉に伴う複雑なプロセスや金銭的なコストのことを指しており、SoundCloudにとってはとても重要な問題だ。というのも、クリエイティブやインディーアーティスト、リミキサーから愛されているSoundCloud上には、他のサービスよりもかなり多くの楽曲が登録されているのだ。

SpotifyとSoundCloudの両社は、本記事の公開段階ではコメントを求めるリクエストに応じていないが、返事を受け取り次第、情報をアップデートしていきたい。

実はSpotifyは過去2年間で、今回の件を除いて2回ほどSoundCloudの買収を諦めていたとThe Financial Timesは報じている。その際には、買収提示額が障害になっていたようだ。SoundCloudの買収には、Spotifyの広告ネットワークやユーザーベースの拡大以外にも、資金豊富な競合が音楽サービスに力を入れる中、Spotifyのポジションを強化することが期待されていた。Spotifyのユーザー数は今年の夏に、1億人を突破(うち4000万人が有料ユーザー)したが、競合もその背後に迫ってきている。Apple Musicは、ローンチから18ヶ月しか経っていないにも関わらず、購読ユーザー数が今週2000万を突破した。また最近Amazonも、Musc Unlimitedをアメリカ以外では初めてイギリス、ドイツ、オーストラリアで公開していた

SpotifyのIPOは、来年のテック業界でアツいとされる上場案件のひとつだ。スウェーデンに本社を置くSpotifyは、今年の3月に10億ドルをコンバーティブル・デット(転換社債)で調達しており、当時の記事内で以下のように説明されていた通り、契約書には2017年中にSpotifyが上場することで転換価格が同社にとって有利になるような条件が設定されていた。

もしも成績が悪ければ、攻撃的な内容の条文にもとづいて、Spotifyは多額のお金を失うことになる。

TPGとDragonnerは、最終的なIPO時にSpotifyが設定した株価から、20%割り引いた価格で債権を株式へと転換することができる。そして、もしもIPOが来年(2017年)中に起きなければ、割引率は6ヶ月ごとに2.5%ずつ上昇していく。

さらにSpotifyは、年間5%の金利を支払わなければならないばかりか、この年利も上限の10%に達するまで、半年ごとに1%ずつ上昇する。そしてTPGとDragonnerによる最終的な株式の売却は、IPOから90日目以降となっており、これはSpotifyの従業員や投資家に対して設けられている、180日のロックアップ期間よりも短い。

SoundCloudの買収話がなくなったということは、SpotifyのIPOへの野心を表すと共に、音楽ファンにとっては、残念ながら音楽ストリーミング業界の2大巨頭の同盟が、少なくともこの段階では発足しないということを表している。Spotifyが、上場企業としてSoundCloudの買収に向けて再度動きだすかどうかについては、今後の様子を見ていくしかない。

もちろん、これはSpotifyだけの話ではなく、2016年に大きく進化したSoundCloudのビジネスにもかかっている。

SoundCloudの年間売上は前年同期比で一気に43%増加し、ほぼ2800万ドルに到達したと推定されている。今年から導入された月額9.99ドルの有料サービスが成長の大部分を支えているが、同社の最終利益は設立からずっと赤字のままだ。ベルリンを拠点とするSoundCloudの最新の財務報告書によれば、2014年は4400万ドルの赤字で、監査人のKPMGが2016年はじめに、事業を継続するには追加資金が必要だと警告するほどであった。有料サービス導入によって、SoundCloudの財政状態がどのように代わったのかは、今後明らかになっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter