「Apple Musicのユーザーは1100万人以上」とエディー・キュー上級副社長が語る

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Apple Musicののユーザー数についてAppleが最初の発表を行った。Appleのエディー・キュー上級副社長はUSA Todayのインタビューに答えて、サービスのスタート後、最初の5週間でユーザー数は1100万人を超えたと語った。これまでAppleは何百万人ものユーザーがApple Musicを使っているとだけ発表していた。

Apple Musicは6月末にスタートしたが、最初の3ヶ月はトライアル期間で無料となっている。だから1100万人のうちどれだけが有料契約に移行するかはまだ不明だ。最大のライバル、Spotifyの場合、有料ユーザーは2000万人で、広告が掲載される無料版のユーザーは5500万人となっている。フランスのストリーミング・サービス、Deezerは世界で600万人の有料ユーザー、1000万人の無料ユーザーを集めている。Jay ZのTidalの有料ユーザーは100万人以下だ。

またエディー・キューは200万人がファミリープランに加入したと述べたが、これも現在はまだ無料期間中だ。

最初の数字としては納得できるものだが、真価が問われるのはこれからだ。地域によって料金を大幅に変えている(インドではわずか月間2ドル )Appleの戦略は規模の拡大を優先したものだろう。またAndroidが圧倒的な地域ではAndroidアプリの出来栄え(Apple Music willはAndroid版を準備中だ)がユーザー獲得に大いに影響してくるだろう。いずれにせよ、主要なライバルにすべて無料版があるのに対して、それを欠くことはApple Musicの規模拡大にとって障害だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleはApple Musicを敵視しているのだろうか…アクション広告で差別?

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音楽をもっぱらストリーミングで聴きたい人にとって、今やオプションが数えきれないほどある。Spotifyがあり、Rdioがあり、MicrosoftのXBox Musicがあり、Amazon、Apple MusicGoogle Playがある。もちろん、まだまだほかにもある。この戦線に参加しているGoogleは、たまたま世界最大の検索エンジンだが、音楽ストリーミングサイトのごく一部しか認識しないようだ。

今Googleがテスト中の広告企画”PlayListen Now”では、ユーザが曲名を入力すると、Google Play、Spotify、Amazonなど、いくつかのストリーミングサイトを教えてくれる。

しかしApple Musicは登場しない。AppleがオーナーであるストリーミングアプリBeats はあるのに。下図でもお分かりのように、GoogleのテストはAppleを完全に黙殺している:

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こういういわゆる“アクション広告”に、Googleは力を入れようとしている。これまでのように単純にリンクだけがある広告よりも、おもしろいからだ。”PlayListen Now”と似たやり方で、ビデオの”Watch Now“があるし、検索結果からの食品の配達もある。

ここで、SpotifyやAmazonなど特定のストリーミングサイトだけが登場する理由は、よくわからない。彼らとパートナーしたのか、それとも彼らはお金を払っているのか?

Taylor Swiftはストリーミングの連中と仲良しではないが、Appleでさえ、Googleほど険悪ではない:

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というか、彼女の最新アルバム「1989」は、Google Play Musicからストリーミングできない。個々の曲は買えるけど。ストリーミングできるのは、Appleだけだ。こりゃー、へんだぜ。

Screen Shot 2015-07-27 at 11.19.54 AM

でも、これが現実だ。

やれやれ。

Googleは、検索のシェアがつねに60%以上あるから、一般的に言えば、企業はGoogleを無視できない。Appleだけは、GoogleなしでMusicは成功すると思っているのかもしれないが、GoogleもApple Musicのローンチを助けたって一文の得にもならい。曲をクリックしたユーザをiTunesに送るのは、簡単なはずなのに、それをしなかった。YouTubeには、iTunesで買え、というリンクがあるのに。

あるいはGoogleは、SpotifyやAmazonを敵と思っていないのかもしれない。Appleほど怖くないから、平気でリンクを載せるのかも。

Googleはこの件でコメントをくれないが、PlayListen Nowはあくまでも、まだテスト中のプロダクトだ。公式ローンチしたときApple Musicの扱いがどうなるか、それが興味津々だね。

Googleも、Taylor Swiftともっと仲良しになった方が、いいと思うけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

YouTube CEOのスーザン・ウォシッキー曰く「成長の鍵はモバイル、モバイル、そしてモバイル」

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YouTubeのCEOであるスーザン・ウォシッキー(Susan Wojcicki)が、Fortuneの主催するBrainstorm Techカンファレンスにて、YouTubeの将来について話をした。FacebookやTwitterなど、ライバルの動向に関する質疑も行われた。

まず現状については、大方の予想通り「YouTubeへのアクセスのうち50%はモバイルデバイスからのものです」とのこと。こうした状況をうけ、YouTubeが考慮すべき優先事項は「1にモバイルであり、2番目にモバイル。そして3番目にもやはりモバイルということになります」とのこと。

「もし適切な企業がYouTubeを買収したいと名乗りを上げれば、それもひとつの可能性としてはアリなことでしょう」ともウォシッキーは述べた。「わたしたちの目標を早期に達成する方法があるのなら、その方法を採用すべきだと考えているのです」とAdam Lashinskyのインタビューに応えた。

ウォシッキーはさらにMusic Keyについても話をしていた。Music Keyとは、YouTubeが昨年ベータ版として立ち上げた、広告なしのサービスだ。オフラインでも、そしてバックグラウンド(他のアプリケーションを操作中)であっても音楽を聴くことができる。

サービスを当初の予定通り月額10ドルで開始するつもりなのかどうかについては質問も、あるいはウォシッキー自らの言及もなかった。広告なしに音楽を楽しみたいという利用者に向けた各種サービスと同じ程度の価格となっており、価格はこの線となるのだろう。ちなみに他のサービスと比べ、楽曲に関連するビデオをシェアしたり、あるいはアマチュアによるカバー楽曲などを閲覧することもできるわけで「他サービスに比してかなり幅の広いサービスを提供できると考えています」という発言も理由のないものではなさそうだ。

ところでウォシッキーは、今回もYouTubeの成長具合について具体的な数字では説明してくれなかった。たとえば2014年、YouTubeは40億ドルを売り上げたが利益は0だったと伝えられているが、この情報の詳細に関する質問にも回答はなかった。YouTubeの収支については、話してしまった方が本当はらくなのだけれども、と述べている。しかし「パートナーの売上には大いに貢献している」と述べるに留まった。

ちなみに「YouTubeとして専任タレントを抱えるつもりはあるのか。そしてそれは望ましいことと思うか」という質問も出た(過去において、クリエイターに対して複数年の独占提供契約を持ちかけたことはある)。直接的な返答は避けたが、トップタレントとの独占契約は意味のあることだと思うと述べていた。「必要かどうかは難しい話ですが、YouTubeから生まれてくるタレントというのはいます。そしてYouTubeをホームとして活躍してくれる人がいれば嬉しい話です」。

ファンたちも、トップタレントの姿を、その「ホーム」で見てみたいと思うのではないでしょうか、とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

“毛穴が見えない”美肌フィルター搭載で「リア充」の取り込みをねらう—サイバー子会社がライブ配信アプリ「宅スタ」

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ライブ配信サービスのツイキャスこと「Twitcasting」。サービス開始から5年で登録ユーザー数1000万人(4月時点)、累計配信回数で1億5000万回(3月時点)と大きく成長した。ディー・エヌ・エーの「Showroom」など競合サービスもあるが、アタマ1つ抜けた状態にあると言っていい。そんなライブ配信の分野にサイバーエージェントが参入した。

サイバーエージェント子会社のタクスタは7月9日、ライブ配信アプリ「宅スタ」を公開した。iOS、Androidに対応しており、App StoreおよびGoogle Playから無料でダウンロードできる。

宅スタは個人向けのライブ配信アプリ。Twitterのアカウントさえ登録すれば誰でもスマートフォン1つでライブ配信が可能になる。視聴のみのであればTwitterアカウントも必要ない。現時点ではAmeba IDとの連携は行っていない。

「宅スタ」の視聴画面

「宅スタ」の視聴画面

“初めての自撮り”に配慮した「フィルター」機能

最後発のライブ配信サービスとなる宅スタの最大の特徴は、動画の「フィルター加工」が可能なことだという。フィルターを使うことでユーザーは自分好みの映像でのライブ配信が可能になるとしている。

「初めての『自撮り』に配慮している」——タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏はこう語る。ライブ配信の経験をしたことのないユーザーが宅スタのアプリを立ち上げ、配信ボタンをタップする。するとインカメラで自分の顔がどアップになるのだから、抵抗があるユーザーだっているだろう。

これを少しでも緩和するためにフィルターを導入した。配信ボタンをタップすると、デフォルトで「美肌」なフィルターがかかった状態になる。「どの距離で毛穴が見える、見えないというような細かいところまでバランスを調整した」(田久保氏)

また、あらかじめ撮影した静止画像と音声のみで配信する「静画モード」を用意。動画で配信したくない場所、もしくはタイミングでこのモードに切り替えることも可能だ。Twitterアカウントは複数登録して切り替えることも対応。「実際に原宿で女子高生にヒアリングしたが、多くの回答者が『本アカ(メインのアカウント)』『裏アカ(匿名など、メインアカウントでは言えないようなことを発信するアカウント)』『共通アカ(友人らと運用するアカウント)』の3アカウントを持っていた。このTwitterの利用スタイルに合わせた」(田久保氏)

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

住所や実名が投稿されないようにする「禁止ワード」の設定も可能。「Ameba同様の監視はするが、リアルタイムで何が起こるか分からない」(田久保氏)とのことで、可能な限り配信者の安全性には配慮したという。また低回線でも利用できるよう、画質とフレームレートを落とした低画質再生モードも備える。同社によると利用可能なデータ量を超過し、通信速度制限がかかった状態でも視聴可能とのこと(一応お伝えしておくと、音声のみの配信やNGワード設定などは競合にも用意されている)。

インターフェースはスマートフォンのスクリーン全部に画像が映る「縦画面」となっている。この画面下部、動画に重なるかたちでコメントや各種の通知が表示される。

また、視聴者は配信者に対して「エール」を送ることができる。画面右下のエールボタンをタップすると、配信画面に星が飛び出すエフェクトがかかる。エールは1日300回までに制限されている。将来的には星以外のエフェクトも用意する予定だそうで、ここでのマネタイズを検討しているようだ。

さらに配信者には「○○さんが入室した」「○○さんが最初のコメントをした」、視聴者には「今なら(他のコメントが少ないので)質問すれば回答がもらえるかも」といったニュアンスでコミュニケーションのきっかけを与える通知をすることもできる。配信後は配信回数やコメント数、エール数、配信時間などを知らせる簡単なアナリティクス画面が表示される。配信した動画は60日間保存されるが、設定によって無期限保存も可能だ。

ライバルはツイキャスとPeriscope、強みは「リア充」の取り込み

田久保氏は競合についてツイキャスと、Twitterが買収したPeriscopeだと明言する。

タクスタは2014年11月の設立。その以前はアメーバピグ事業を統括していたという田久保氏。競合サービスとの比較について聞くと、「アメーバピグを通じて、ローリテラシーで若い人たちの文化というのが分かってきた。(リテラシーは低いが)リア充なユーザーを無視してはいけない。言葉は悪いが、『暇なリア充』に使ってもらえば、大きくサービスが広がると考えている。そこをどう取り込むかがサイバーエージェントグループのプロデュース力ではないか。もちろんユーザー自ら移行することもあるだろうが、自分たちで配信者を育てていきたい」と答える。ただし、あくまで配信者の中心は一般ユーザー。現時点ではAmebaブログのように芸能人を積極的に取り込むことはしないという。

マネタイズについては未定だが、タイアップの動画配信などは検討しているという。また前述の通り、エールに関する課金の可能性もありそうだ。当面の目標については「半期が終わる2016年3月時点で日本一の動画メディアになりたいとは思っている。だがまずは質のいい配信者と配信内容が集まることが大事だと考えている。7月はユーザーに『アツい』と思ってもらえる空間作りをしていく」(田久保氏)

サイバーエージェントではAmeba、広告、ゲームに続く新たな事業の柱として「動画」を掲げている。タクスタ以外の動きとしては、3月にはテレビ朝日と新会社を設立。定額制動画配信プラットフォーム「Abema」を提供するとしているほか、直近の7月6日には、東京・原宿の竹下口に公開スタジオ「AmebaFRESH!Studio」をオープン。今秋リリース予定の生放送アプリ「AmebaFRESH!」向けの番組を配信する。なお今後は宅スタでもこのスタジオを使った配信・イベントなども検討している。

SoundCloudがApple Musicに対抗して音楽発見機能を充実…関連曲再生やソーシャルな共有で

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今週のたぶん最大の話題がApple Musicのローンチだろう。しかしその同じ週に、人気の高い音楽ストリーミングサービスSoundCloudも、そのモバイルアプリを大幅にアップデートした。アップデートの内容には、関連曲の紹介、シャッフル、プレイリストの直接編集などがあり、主に音楽をより見つけやすくすることと、ユーザ体験の向上に力を入れている。

Apple MusicはSoundCloudのテリトリを侵そうとしている。インディーのレーベルをたくさん集めたし、インディーのアーチストたちはソーシャルな共有サービスConnectを利用して、音だけでなく画像やビデオもアップロードできる。Appleの人気アプリケーションGarageBandから直接、Apple Music Connectに作品を発表できるようになった。インターネットラジオサービスBeats1は、その新曲紹介‘番組’が好評だ。

というわけでSoundCloudは、大急ぎでサービス内容やインタフェイスの微修正を迫られたのだ。

プレイリストの編集や、好きな曲やプレイリストのシャッフルは、音楽ストリーミングサービスの定番のような機能だから、まあ、あるのが当たり前だ。でも最大の変化は、SoundCloud独自の新曲発見機能、‘関連曲紹介’だ。

聞きたい曲を指定したあとで”Play Related Tracks”(関連曲を再生する)をタップすると、音楽発見の旅が始まり、SoundCloudのアルゴリズムが、そのユーザが好むかもしれない曲を次々とピックアップしてストリーミングする。今、世界最大の音楽ストリーミングサービスと言われるSoundCloudには1億あまりの曲があり、どんな曲でも見つかるだろう。その中には、無名の宝石のようなアーチストもいるから、この新しい機能は彼らのファン獲得にもきっと貢献する。

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SoundCloudのソーシャル共有機能も改良され、ユーザは検索画面や好きな曲リストから直接、ソーシャルネットワーク上での共有をSoundCloudに指示できる。それはSoundCloud上のユーザのエンゲージメントを活発にするための工夫だが、曲の発見機能にも寄与する。共有がしやすくなればなるほど、SoundCloudのユーザでなかった人もこのアプリを知るようになり、またすでにユーザである人も、再訪のきっかけを得る。

アップデートはすでに可利用だが、当面はSoundCloudのiOSアプリのみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple Musicはメインストリームを狙う―ターゲットは「何を聞いたらいいかわからない」カジュアルな音楽ファン

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音楽ファンのすべてがDJレベルの知識があるわけではない。その点が音楽ストリーミングで最大の問題だった。なるほど検索窓は設けられているが、その向こうにあるのがレコード音楽の歴史のすべてでは一般の音楽ファンは戸惑ってしまう。次に何を聞いたらいいかどうやって知ったらいいのだろう? 

この点に着目したのが先ほど公開されたApple Musicのたいへんに巧妙なところだと思う。

Apple Musicはユーザーに次に何を聞いたらいいか教えてくれるのだ。

Appleは複雑なテクノロジーを誰でも簡単に使えるようにする能力で並ぶものがない。 使いにくいMP3プレイヤーを洗練されたiPodにした。スマートフォンをiPhoneで実現した。今回もAppleは使いにくい検索窓に代るスマートな推薦手段を用意することで音楽ストリーミングを万人が楽しめるものにしようとしている。

Apple Music For You

Apple Musicには次のような機能がある。

  • それぞれのユーザー向けにカスタマイズされたお勧めの“For You”
  • 新着やトップチャートを集めた“New”
  • さまざまな好み、場面、気分に合わせて専門家が編集する多彩なプレイリスト
  • ユーザーの既存のiTunesコレクションと同期する“My Music”
  • 著名アーティストがホストするBeats 1ラジオ
  • TアーティストやジャンルでカスタマイズできるPandoraスタイルのラジオ
  • 独自のコンテンツがアーティストから直接配信される“Connect”

こうした機能を活用すればユーザーは次に何を聞いたらよいかと空白の検索窓をにらんで悩む必要がなくなる。

つまりApple Musicは音楽の好みを尋ねられて「ああ、音楽は好きだよ。カントリー以外ならなんでも聞くね」などと答える一般的な音楽ファンを想定している。壁一面にCDのカセットが並んでいたり、何箱ものレコードを収集していたりするような熱狂的なファンではなく、通勤の車の中で音楽ファンの友達が作ったミックスCDを何千回もかけるような平均的な人々のためのサービスだ。

Appleがストリーミング・サービスを始めるにあたってもっとも重要な課題は、ユーザーを無料トライアル期間終了後も月額料金を払い続けたいと思う気にさせる点にある。それに失敗すればユーザーはSpotifyやYouTubeのような広告ベースの無料サービスに行ってしまうだろう。

ファン vs 友達ネットワーク

Apple MusicはSpotifyから熱狂的な音楽ファンを奪う試みではない。だからこそAppleはBeats 1もConnectもApple Musicの会員でなくても無料で利用できるようにしている。Spotifyのユーザーは長年かかって作り上げたカスタマイズやソーシャルグラフを捨てることはしないだろう。

Streaming Social

左側のApple MusicのConnectはファンがアーティストをフォローする。右側のSpotifyではユーザーが友達をフォローする。

6000万の登録ユーザー、2000万の有料ユーザーを擁する音楽ストリーミングの王者、SpotifyとAppleの新サービスの本当の違いはソーシャルな側面にある。Apple MusicはConnectを通じてユーザーをアーティストに結びつけようとする。ファンはアーティストの投稿する記事を読んだり、Connect独占で提供されるビデオや楽曲を楽しんだりする。これに対してSpotifyでは友達同士のネットワークが重要だ。好みの合う友達が何を聞いているかを知り、そのプレイリストを利用させてもらったりする。

Apple Music New

こうした差別化は双方にとってきわめて理にかなっている。Apple Musicが「次に何を聞いたらいいかわからない」カジュアルな音楽ファンを主としてターゲットにするのであれば、その友達も大した知識を持っていないに違いない。それなら友達同士でフォローしあってもあまり役に立たないだろう。これに対してSpotifyはもっと深い音楽経験を持ち、十分に知識があるファンが対象だ。こういうファンは別にプレイリストのキュレーターやアーティストから次に何を聞くべきかいちいち教えてもらう必要はない。それよりも好みの似た他のユーザーの動向をモニタできる方が有益だ。

これはAppleにとって賢明な戦略だろう。一般ユーザーの大部分はストリーミング・サービスに馴染みがなく、いきなり膨大な選択肢を与えられても戸惑うばかりだ。Appleはストリーミング・サービスのアーリー・アダプターである熱狂的な音楽ファンに訴えることには重きを置いていない。FM局やPandoraラジオのリスナーで、iTunesで時折曲を買ったりするユーザー、つまり膨大な人数のカジュアルな音楽ファンが対象なのだ。Spotifyの6000万のユーザーも数十億台に上るiOSデバイス、何億人というiTunesのユーザー数とは比べものにならない。

Appleはニッチを狙わない。Apple Musicは単なる音楽ストリーミングではない。メインストリームの音楽ストリーミングたらんとしているのだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple MusicとiOS 8.4公開―日本でも無料トライアル受付中

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Appleがついに音楽ストリーミングに参入する日が来た。今日(米国時間6/30)、Apple Musicがスタートした。このサービスはiPhone、iPadの場合、同時に公開されたiOS 8.4にアップデートすると、ビルトインされたMusicアプリから利用できる。個人なら月額9.99ドル、6人までの家族プランなら月額14.99ドルの料金で膨大な楽曲がオンデマンドで楽しめる〔日本ではそれぞれ980円、1480円〕。最初の3ヶ月は無料トライアル期間なので、このサービスが自分の求めているものであるかどうか、ゆっくり試すことができる。

Apple Musicは6月初めに、AppleのWWDCデベロッパー・カンファレンスで発表された。このサービスにはオンデマンドの音楽ストリーミングに加えて、人間の専門家が作成するプレイリスト、Beats 1を含む24時間ライブ放送のインタネットラジオが含まれる。ラジオは世界的に有名なアーティストや人気DJがホストする。さらにユーザーの既存のライブラリとiTunes Matchを通じて同期する。

Apple MusicはSpotify、Rdio、Google Play Musicなどの既存のストリーミングサービスに対して直接のライバルとなる。既存サービスは先着の利の他に、SpotifyやGoogleなどは広告表示による無料サービスの提供という優位性がある。

しかしAppleはテイラー・スウィフトの1989をストリーミングで提供できる。小さなことのように思えるかもしれないが、これはAppleが人気あるインディーのアーティストを惹きつける力があることを証明するものとして象徴的だ。またApple MusicのConnect機能により、アーティストはファンに対してソーシャル・ネットワークのニュースフィードのスタイルでビデオや楽曲を含む独自のコンテンツを提供することができる。ConnectはApple Musicアプリの一部として提供される。

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Beats 1ラジオもユニークなサービスだ。著名アーティストが自らホストを務める24時間放送のインターネット・ラジオは他のどのサービスも提供できないものだ。また専門家によって作成、編集され、常に最新の状態にアップデートされるプレイリストもAppleのサービスにユーザーを惹きつける上で効果があるだろう。

Apple Musicに参加するには、iOSデバイスで「設定」を開き、「一般、ソフトウェア更新」と進む。Apple Musicをサポートするデスクトップ版のiTunesも今日中に公開される。Android版アプリのリリースは今年の後半になるもようだ。読者のデバイスでアップデートが成功しない場合は、くりかえし試みることだ。Appleのメジャー・アップデートは膨大なトラフィックの殺到のため当初、遅延を生じることがある。

〔日本版〕日本のAppleサイトでもApple Musicの無料トライアルを受け付けている。料金は個人980円、家族1480円。RadioとConnectも提供される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LivecodingはプログラマのためのTwitchだ…コーディングを実況中継してアドバイスを求める

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Y Combinatorの今のクラスで修行しているLivecoding.tvは、プログラマがほかのプログラマたちからリアルタイムで学べる、というサービスだ。

使い方は簡単で、プログラマが自分のプログラミング過程の実況をストリーミングし、‘視聴者’はそれを見物しながら質問をしたりフィードバックを与えたりする。

ベータでローンチしたのが2月だが、これまで162か国4万名あまりがサインアップした。当然、言葉はポルトガル語、ロシア語、ドイツ語等々とさまざまで、プログラミング言語もC#、Python、PHPなどなど、さまざまだ。

自分のプログラミングをストリーミングで流したい人も、エキスパートのプログラマから初めてのゲームをJavaで作っている11歳の子どもまで、いろんな人たちがいる。

PeriscopeやMeerkatなど、ユーザのリアルタイム実写ビデオ(自撮りビデオ)と同じく、視聴者はそのユーザをフォローでき、するとその人がまた新しいライブストリーミングを始めたら通知をもらえる。

プロのプログラマは、このサービスで、ベータユーザになってくれそうな人を見つけたり、新しいアプリケーションに関してフィードバックをもらったりできる。たとえば、著名なプログラマで物理学者でもあるStephen Wolframは、彼の新しいプログラミング言語をLivecoding上で宣伝し、先週行われたそのデモを見た人は4000名を超えた。

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経験の浅いプログラマたちにプログラミングを教えるリソースはネット上にたくさんあるが、このようなプログラミングのリアルタイムの実況で助言を得たり、エキスパートによるコードの書き方を見たりする、リアルな学習体験は、これまで、あまりなかった。

Livecodingの協同ファウンダJamie Greenは曰く、“YouTubeなどでチュートリアルを見るのと違って、Livecodingには対話性がある。そこが、重要な差別化要素だ”。

“既存の静的なチュートリアルは、きちんと編集されていて、問題解決へのいちばんの近道を行こうとする。でも、現実の技術者たちによる現実の問題解決過程は、そんなストレートなものからはほど遠い”。

初心者も自分のストリーミングをポストして、今やってることに関するコツや意見を求めることができる。

“これまでは、誰かに聞こうとすると、いちいちFacebookにアクセスしなければならない。問題がややこしいので、5分おきぐらいにそれをやることもある。そのたびに、プログラミングの集中力が途切れ、邪魔される”。

Livecodingでは、プログラミング以外に、たとえば初めて使う3Dプリンタのセットアップの仕方を尋ねる人もいる。ライブで音楽を演奏するコードを書いて、実際にLivecodingの聴衆に音楽を聴かせてしまったユーザもいる。Greenは、プログラミング以外の別部門をいろいろ作らなければならないだろう、と言っている。

“ライブの教育は未来の鍵であり、未来の教育の鍵である”、とGreenと主張する。“デザインなどの分野も、このやり方で教育/学習すれば、すごくおもしろくなるだろう”。

今のところLivecoding.tvは完全に無料で、Greenは広告は絶対やらない、と言っている。しかし今後、テーマを絞った専門性の濃いコンテンツは、有料になるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa