各アプリの機密情報の取り扱い方を教えてくれるアップルのApp Privacy Reportがベータ版に

Apple(アップル)は「App Privacy Report(アプリ・プライバシー・レポート)」のベータ版の提供を開始した。この新機能は、日常的に使用しているアプリがどれくらいの頻度で機密情報へのアクセスを要求しているか、またその情報がどこで共有されているかといった詳細を、iOSユーザーに提供することを目的としている。この機能は、EメールのトラッキングピクセルをブロックするツールやプライベートVPNなど、プライバシーに焦点を当てた改善が行われているなかで、6月に開催されたAppleの世界開発者会議で初めて紹介された。Appleは当時、この新しいレポートには、アプリがユーザーの位置情報、写真、連絡先などのユーザーデータやセンサーにアクセスした際の詳細や、アプリがコンタクトするドメインのリストが含まれると説明していた。


iOS 15のアップデートの一部として発表されたものの、2021年の秋口に新バージョンのiOSが公表された時点では、App Privacy Reportは利用できなかった。このレポートはまだ一般には公開されていないが、iOS 15.2およびiPadOS 15.2のベータ版のリリースにともない、より広範なベータテストが開始された。

新しいレポートは、アプリがどのような機密データを収集し、それがどのように使用されているかを詳細に示す潜在的に誤る可能性があるApp Privacy(アプリプライバシー)ラベルにとどまらないものだ。開発者は、誤って、あるいはエンドユーザーに誤解を与えようとして、ラベルを正確に記入しないことがあり、AppleのApp Reviewチームがそのような記入漏れを常に見つけられるとは限らない。

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その代わりに、新しいApp Privacy Reportは、アプリがどのように振る舞っているかについての情報をより直接的に収集する。

ユーザーがデバイスのプライバシー設定で有効にすると、App Privacy Reportは、アプリの過去7日間のアクティビティのリストを作成する。アプリをタップすると、そのアプリが最後にセンシティブなデータやデバイスのセンサー(例えば、マイクや位置情報など)にアクセスした日時などの詳細が表示される。これらの情報は、各アクセスがタイムスタンプとともに記録されたリストで見ることができる。

別のセクション「App Network Activity(アプリ・ネットワーク・アクティビティ)」では、アプリが過去7日間に通信したドメインのリストを見ることができる。このリストには、アプリ自身が機能を提供するために使用したドメインを含んでいるだけではなく、アプリが分析や広告の目的で提携している第三者のトラッカーや分析プロバイダーのドメインも明らかにする。

「Website Network Activity(ウェブサイト・ネットワーク・アクティビティ)」は、同様のリストを提供しているが、ドメインにコンタクトしたウェブサイトに焦点を当てており、その中にはアプリが提供したものも含まれている。また、最もコンタクトのあったドメインを見たり、いつ、どのトラッカーやアナリティクスが使用しているのか、さらにはどのアプリがいつコンタクトしてきたかを確認するために個別のドメインを掘り下げたりもできる。

ベータ版の公開に先立ち、Appleは「Record App Activity(アプリ・アクティビティの記録)」という機能を提供した。これは、App Privacy Reportが利用可能になったときに、ユーザーに表示される内容を開発者がプレビューできるようにするものだ。このオプションは、アプリが予想どおりに動作していることを確認できるJSONファイルが生成する。この機能は、すでにいくつかの興味深い発見をもたらしている。例えば、中国のスーパーアプリWeChatは、新しい写真を見つけるため数時間ごとにユーザーの携帯電話をスキャンしていることがわかった

App Privacy Reportは、ユーザーにとってデータの宝庫となる一方で、開発者にとっては複雑な問題となる可能性がある。開発者は、これらのデータ要求が、アプリの機能を提供するためのもので、プライバシー侵害ではないということを、ユーザーに説明しなければならなくなるかもしれない。例えば、天気予報アプリでは、旅行の準備のために、嵐の情報など、変化する天気パターンに関するプッシュ通知をユーザーが要求した場合、位置情報を定期的に取得する必要がある。

開発者に提示する際、Appleは、このレポートが、アプリが行っていることについて透明性を提供することで、ユーザーと「信頼関係を築く」機会になると述べた。また、開発者自身がインストールを選択したSDKについて、その動作が開発者の要望や期待に沿ったものであることを確認するための、より良い洞察を与えることができるとしている。

Appleは、この新機能がいつベータ版を終了するかについては言及していないが、iOS 15.2が一般公開されたときに出荷される可能性がある。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

AIでモデルのポーズを変えるアドビのProject Strike a Poseは

毎年開催されるAdobe MAXカンファレンスの目玉の1つは「スニーク」セッションだ。このセッションで同社は最先端研究をしているプロジェクトをいくつかお披露目する。研究成果は主力製品であるCreative Cloudのアプリに組み込まれることもあれば、クールなデモだけのこともある。2021年のAdobe MAXのスニークで興味深かったものといえば、Project Strike a Poseだ。

こんな課題を解決したいとしよう。使いたいモデルの写真はあるのだが、そのモデルがあなたの希望するポーズをとっている写真がない。こんなときにProject Strike a Poseは、別のモデルがあなたの希望するポーズをとっている写真をサンプルにして、AIプラットフォームのAdobe Senseiの活用により、使いたいモデルがそのポーズをとっている写真を自動で生成する。基本的にはモデルのポーズに関するStyle Transferのようなものだ。

画像クレジット:Adobe

サンプルのポーズと大まかに似せただけでもなく、顔を入れ替えただけでもない結果になるのが印象的だ。少なくとも、このプロジェクトに関わるAdobeのリサーチサイエンティストであるKrishna Kumar Singh(クリシュナ・クマール・シン)氏が見せたデモでは、Project Strike a Poseのニューラルネットワークは、例えばモデルが着ている服、モデルの頭の角度、靴までも適切に再現できているようだった。

しかも、モデルが背を向けた写真が欲しいときにもこのツールを使える。ただし下の写真の通り、髪は若干ずれている。

画像クレジット:Adobe

Adobeはこのプロジェクトで使われているアルゴリズムのトレーニングについては説明していない。しかしこのようなニューラルネットワークをトレーニングするには、モデルがさまざまなポーズをとっているサンプルをたくさん使う必要があるのは明らかだ。シン氏はこれまで敵対的生成ネットワークに関する多くの研究をしてきたので、この新しいプロジェクトはすでにその技術をベースにしている可能性がある。

現時点では実験的な研究プロジェクトで、Maxのスニークで披露されるものはたいていそうだが、これがPhotoshopなどのツールに組み込まれれるかどうかはわからない。もしこれがデモと同じように動作するなら(Adobeは人種の異なるモデルを使ってもソフトウェアに問題はないと言っている)、Photoshopなどのアプリ、さらには画像を操作するスキルがさほど高くない人々がすでに広く使い始めているAdobe Sparkなどでも、この機能は間違いなく多くのユーザーに歓迎されるだろう。

残念なことだが、このようなシステムを悪用する方法も容易に想像できる。ディープフェイクや写真の操作が問題となる現在、技術に明るくない人が有名人、あるいは他の誰かの名誉を傷つけるような画像を簡単に作れてしまう。もちろん今でもそうしたことは可能だが、うまくやろうとすればある程度のスキルは要る。Project Strike a Poseなら数回のクリックでできてしまうのだ。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルが大画面デバイス用にUIなどを最適化したAndroid 12Lを発表

米国時間10月27日、GoogleはAndroid 12Lのプレビューを発表した。Androidのニューバージョンのように聞こえるかもしれないが、Googleはこれを「Android 12を大画面向けに機能を限定して最適化したもの」だという。


その目的は、タブレットや折りたたみスマートフォン、Chrome OSを搭載したノートパソコンなど、ディスプレイが600dpi以上のデバイスに、改良されたユーザーインターフェースを提供することだ。

実際に試してみたい開発者には、すでにAndroid 12Lのデベロッパープレビューが提供されており、Android 12LエミュレータとAndroid Studioのサポートもある。

Googleによるとスマートフォンでも12Lを使えるが、誰も混乱する必要はない。というのも、スマートフォンは対象外であるため、その新機能の多くを見ることができない。Pixelデバイスのベータ登録は、プレビューの後半にローンチする。

Googleが今回の発表で「feature drop」と「feature update」という表現を使っていることから呼んでいることから、AppleがiOSとiPadOSを分割したように、これらのデバイス向けにAndroidを完全に分割することはないと考えられる。今回のアップデートでは、マルチタスクツールの追加やユーザーインターフェースの最適化など、大画面端末向けの機能が追加されている。また、Android 12Lでは、デフォルトでアプリの表示が改善されている。

画像クレジット:Google

具体的には、通知やクイック設定、ロック画面、概要、ホーム画面などが、大画面上では洗練されたものになる。システムアプリも、Android 12Lでは最適化される。

おそらく最も興味深いのは、新しいマルチタスキング機能と、そのための、iPadOSにやや似たタスクバーだろう。Androidはすでに、タブレットで分割画面モードをサポートしているが、Googleによると、今度のはもっと発見がしやすい。アイコンをタスクバーから画面上にドラッグ&ドロップするだけで、それが起動する。このことはまた、Android上のすべてのアプリが分割画面モードをサポートできる、という意味だ(前はデベロッパーがオプトインする必要があった)。

画像クレジット:Google

Googleの予定では12Lは2022年の早くにリリースされ「Android 12タブレットと折りたたみスマートフォンの次のブームに間に合うようにする」という。つまり次のMWCは、Androidタブレットとフォルダブルで盛り上がる、ということだ。

Android 12Lだけでなく、Googleは本日、OSとPlayの、やはり大画面向けの新しい機能を発表した。それにはMaterial Designガイダンスの大画面向けアップデートも含まれるが、Jetpack Composeもアップデートされて、これらのマシン用のビルドが容易になり、アプリは画面の異なる方向(縦横)に簡単に適応できるようになった。Android Studioのエミュレータもサイズを変えられるようになり、デベロッパーはアプリをいろいろな画面サイズでテストできる。またレイアウトがおかしいときは、ビジュアルリントツールがUIの警告や提案を出す。

Google Playに関しては、アプリを大画面アプリのクオリティガイドラインに照らしてチェックし、検索結果のランク付けでも、このチェックの結果が反映される。「大画面向けに最適化されていないアプリに関しては、そのようなデバイスをユーザーが使っている場合、アプリのPlay Storeのリスティングページに警告と注記を表示します」とGoogleはいう。

画像クレジット:Google

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、iOS 15.1でより多くの純正アプリをApp Storeで評価できるように

Apple(アップル)は、独占禁止法の調査を前に規制当局からの圧力が強まる中、今秋、初めて自社のファーストパーティアプリをユーザーが評価・レビューできるようにすることで、ようやくライバル企業と対等な立場に立った。これまでAppleのアプリの中には個別にダウンロードできるものもあったが、それらを評価することはできなかった。そして蓋を開けてみると、結果的にはあまり評価の良くないものもあった。例えば、メール、News、Podcastのように、星3つ以下でスタートしたものもあった。今回、Appleは、電話アプリ、メッセージ、写真、Safariなど、さらにいくつかの純正アプリをApp Storeで評価・レビューできるようにした。

この変更を最初に見つけて報告したのは、特に詐欺アプリの問題に関してApp Storeの改革を推進してきた著名なデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリウ)氏だった。

Appfiguresのデータを引用して、エレフテリウ氏は、iOS 15.1で多くのAppleアプリが評価・レビューできるようになったことを指摘している。この中には時計、電話、メッセージ、カメラ、写真、ヘルスケア、Safariなどの標準搭載アプリが含まれている。また、ワークアウト、世界時計、探す、心拍数などのApple Watch対応アプリも含まれている(iOS 14.xのユーザーは、これらのアプリを見ることはできても、評価やレビューはできないとのこと)。


この変更により、Appleは現在のようにiOSのアップデートの際だけでなく、標準アプリを個別にアップデートできるようになるかもしれない。これは、Google(グーグル)がAndroidのコア機能の多くで採用している戦術で、後者はPlay Storeに独自のリストを用意している。

Appfiguresが確認したところ、これらのアプリは、iOSのアップデートとは別に、10月25日に独立したリストとして追加されたようだ。現時点で多くのユーザーはこれらのアプリが加えられたことを知らないため、レビュー件数は少ない。例えば電話アプリには、これまでのところ6件の評価しかない。メッセージアプリにも同様にまだ7件の評価しかないが、星4.7という高い評価を得ている(下図参照)。

グラフはこれまでのグローバルな評価を示す(画像クレジット:Appfigures

奇妙なことに、現在4件の評価を受けているSafariは、ウェブブラウザの年齢レーティングが4才以上となっている。ライバルのブラウザであるChromeやFirefoxの年齢レーティングは17才以上だ。

Appleの標準アプリを評価できることを多くのユーザーが知るようになったとき、これらのアプリがどのような評価を受けるのかは興味深いところだ。願わくば、コンシューマーからのフィードバックを受け入れることで、Appleがユーザーの望む内蔵アプリの変更に意欲的に取り組み、バグが発生した場合には早期にアラートを受けることを期待したい。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

元アップル社員が起ち上げたBild、クラウド上でのハードウェア設計の共有・共同作業を行うツールを提供

Apple(アップル)でハードウェアエンジニアリング・プログラムマネージャーを務めていたPradyut Paul(プラデュット・ポール)氏は、eメールやスプレッドシートといった旧式のツールを使ってハードウェア製品を構築・共有することの難しさを身をもって体験した。

設計が遅れたせいで何十万ドル(数千万円)もの費用をかけて迅速な出荷を行った後、ポール氏はハードウェアをより早く開発し、より多くの設計を検証するために、他のチームと連携するもっと良い方法があるはずだと考えた。

このようなコラボレーションをクラウドで行えるようになれば、組織全体のチームが設計プロセスをより簡単にレビューできるようになり、製品リリースのスピードアップにつながる。そのためにポール氏はアップルを退社し、2020年にCTOのAvinash Kunaparaju(アビナッシュ・クナパラジュ)氏、COOのDerrick Choi(デリック・チョイ)氏とともに、Bild(ビルド)を起ち上げた。

Bild共同創業者のプラデュット・ポール氏とアビナッシュ・クナパラジュ氏(画像クレジット:Bild)

「私たちは、エンゲージメントをクラウドに移行するというアイデアを思いつきました」と、ポール氏はTechCrunchに語った。「それは単なるやりとりではなく、非常に多くの関係者が関わり、受信箱が基本的にコミュニケーションの保管場所になります」。

同社は米国時間10月25日、シードラウンドで300万ドル(約3億4000万円)を調達したと発表した。この資金は、顧客獲得、セールス、マーケティングの分野でチームを強化し、新規ユーザーに向けたセルフサービス体験を構築するなど、製品開発を継続するために使われる。今回の資金調達は、Tola Capital(トラ・キャピタル)が主導し、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、Shasta Ventures(シャスタ・ベンチャーズ)、Counterview Capital(カウンタービュー・キャピタル)、Frontier Ventures(フロンティア・ベンチャーズ)、Techstars(テックスターズ)が参加した。

ユーザーは、Bildのウェブベースのビューアを使って、3D CAD、ボードファイル、部品表、回路図、図面、シミュレーションデータなどを操作することができる。従来はこれを、スクリーンショットを共有したり、対面ミーティングでやっていた。

機械系エンジニアに特化したデザインレビュー管理や、ファイルの共同編集など、個々のペインポイントに取り組んでいる企業は他にもあるが、それらをすべて考慮に入れて、しかも会社全体で管理しているのはBildだけであると、ポール氏は確信している。

「別のチームに属している人々に、可視性を提供することは困難です」と、ポール氏は続ける。「私たちが注目していることの1つは、ハードウェアの将来性とソフトウェアとの連携をどのように強化し、両者がコラボレーションできる環境をどうやって作るかということです」。

これまでBildは、25社の企業を対象としたプライベートベータテストを行っていたが、今回の資金調達の発表に併せて、そのソフトウェアを一般にも公開した。初期の顧客の一部は有料顧客に変更されたが、価格戦略についてはまだ検討中であると、ポール氏は述べている。

Bildのコラボレーションツール(画像クレジット:Bild)

次に同社が取り組んでいることは、実際に見たときとコンピューター上で見たときのギャップを小さくするために、CADモデルをさまざまな視覚や方法で見せられるようにすることだ。

ハードウェア市場は500億ドル(約5兆7000億円)から700億ドル(約8兆円)規模の産業であり、まだデジタル化が進んでいないと、Tola CapitalのプリンシパルであるAkshay Bhushan(アクシャイ・ブーシャン)氏は述べている。

例えば、Autodesk(オートデスク)のような大企業は、これまでこの分野を壁で囲っていたが、リモートで働く人が増えたことにより、ハードウェアとソフトウェアが融合し始めていると、同氏は付け加えた。

「Bildは、すべてのエンジニアが抱えているであろう問題を解決し、ペインポイントを喜びに変えています」とブーシャン氏は語る。「プラデュットとアビナッシュは顧客志向で、顧客も認識しているこれらの問題を見据えていました。誰もが同じようなメールやプロセスのトラッキングに異なる名称を与えていましたが、Bildが行っていることに価値と機会を見出したのです」。

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アドビ、次世代Creative CloudでもAIの推進を続ける

ここ数年、Adobe(アドビ)はAIに全力で取り組んできた。2021年のMAXカンファレンスでも、同社のAIプラットフォーム「Sensei」を搭載したほぼすべての製品のアップデートが行われ、その成果が披露された。Lightroomのマスキングツールやプリセットの推奨、Photoshopでの画像間の色のトランスファー、Character Animatorのボディトラッカーなど、さまざまな機能がアップデートされている。


Photoshopを使ったことのある方なら、対象オブジェクトを正確に選択して操作することの難しさをご存知だろう。「自動選択ツール(英語だとMagic Wand Tool=魔法の杖ツール)」を使っても、魔法のようにはいかないことが多かった。2020年、AdobeはAIを使った「オブジェクト選択ツール」を追加した。今回のアップデートではさらに一歩進んで、画像内のさまざまなオブジェクトを自動的に認識する「オートマスキング」が導入された。Adobeは、まだすべてを検出するわけではないということをかなりオープンに認めているが、この機能は時間とともに改善されるだろうとも述べている。

画像クレジット:Adobe

同様に、2020年、Adobeは「ニューラルフィルター」と同社が呼ぶ機能を導入した。これにより、古い白黒画像のカラー化、ポートレートの改善、深度ブラーまたは画像のズームアップなどの機能が追加され、ニューラルネットワークが自動的にすべてのディテールを再作成しようとする。

画像クレジット:Adobe

2021年は「ランドスケープミキサー」という機能が導入されている。いくつかのスライダーを動かすだけで、プリセットを使ったり、または自分でカスタマイズして、例えば秋や冬に撮影されたような写真にすることができる。または、前景が少し暗いけれど、緑のイメージにしたいとしたら、青々とした緑の風景が写っている画像を探してきて、そのスタイルをトランスファーすることができる。

画像クレジット:Adobe

また、以前から搭載されていた深度ブラーは、焦点距離を事後に変更できるようになり、画像内のオブジェクトの周囲をすべてぼかすことに主眼を置いていた従来のフィルターに比べて、かなりプロフェッショナルな印象を与える。

一方、Lightroomでは、写真編集者が新機能を使って空を自動的に選択できるようになった(反転させて空以外のものも選択できる)。また、AIとは関係ないが、Lightroomの「見つける」フィードに「リミックス」タブが追加され、写真家が自分の作品を共有し、他のユーザーに自分が行った編集を見てもらうことができるようになった(変更を許可することも可能)。

ビデオグラファー向けには、Premiere Proに、音楽クリップの長さをビデオシーケンスの長さに合わせて自動的に調整することができる新しいAI機能を追加する。Creative CloudスイートのオーディオエディターであるAdobe Auditionで初めて採用された(やや紛らわしいが「Remix」と呼ばれる)この新機能は、シーケンスが終わったときに曲の途中でフェードアウトしないようにする。音楽クリップを短くする際に、曲の最後がシーケンスの最後に残っているようにオーディオを自動的にカットするという。

画像クレジット:Adobe

Creative Cloudのその他のアップデートとしては「Creative Cloud スペース(Creative Cloud Web)」がある。これは、ウェブ上のファイルやライブラリにアクセス、整理、共有するための新しいハブだ。これはまだプライベートベータ版で、Fresco、Illustrator、XD、Photoshopでのみ利用できる。これは、チームがアセットにテキスト、ステッカー、画像を追加できるリアルタイムのコラボレーションスペースを備えている。なお、これはウェブ上のPhotoshopやXDではない。プロジェクトやアセットを話し合うための場に過ぎない。

画像クレジット:Adobe

しかし、絶望することはない。PhotoshopとIllustratorのウェブ版(パブリックベータ版)も発表され、ブラウザ上での基本的な編集ツールをサポートしている。

その他にも、Creative Cloudのすべてのツールにさまざまなアップデートが行われている。明らかなのは、Adobeがクリエイティブプロフェッショナルやホビイストの作業をより楽にするために、AIに大きく賭けているということだ。ある意味では、SkylumのLuminar AIのような、AIをアプリケーションの中心に据えている競合他社に追いつきつつあるとも言える。しかし、Adobeの優位性は、その機能セットの幅広さであり、新規参入者がこれを再現するのは難しいだろう。

画像クレジット:Pavlo Gonchar/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アドビ、PhotoShopに作品の来歴や帰属を簡単に確認できるようになるコンテンツ認証機能を導入

Adobe(アドビ)は、クリエイターが自分の作品を盗用されないようにしたり、画像がどのように作成されたか(加工された可能性もある)を一般に公開するための新しいツールを米国時間10月26日からベータ版として提供する。同社は2年前にいくつかのパートナーと共同で「Content Authenticity Initiative(CAI、コンテンツ認証イニシアチブ)」を立ち上げた。今回の取り組みは、デジタルコンテンツの来歴や帰属のデータを保存して誤った情報に対抗するというミッションを拡大し、PhotoShopに直接反映させるものだ。


具体的には、Adobeは「コンテンツクレデンシャル機能」と呼ぶものを立ち上げる。これには、コンテンツクレデンシャルに対応した画像のメタデータと編集履歴を暗号化して署名するPhotoshopのオプトイン機能や、同社のストックイメージサービスAdobe Stockからコンテンツクレデンシャルなものを自動的にダウンロードする機能が含まれる。Photoshopで写真を編集すると、AIツールの使用を含む編集履歴や、画像の作成に使用したアセットのリストがアプリケーションによって自動的にバックグラウンドで更新される。

また、クリエイターは、Photoshop内からソーシャルメディアのプロフィールを暗号化されたウォレットのアドレスにリンクしたり、ウォレットをBehanceにつなげたりすることができる。

新しいVerifyサイトのおかげで、消費者はコンテンツの認証情報を簡単に見ることができるようになっている。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのデスクトップOS「macOS Monterey」公開、リモートワーク向け機能満載

この1年半で、さまざまな業界で大きな変革がもたらされた。ホワイトカラー社員の多くがオフィスからリモートワークへ移行したことで、自宅という環境が何時間ものZoom会議に対応できないことが浮き彫りになった。

2020年にパソコンやタブレットの販売台数が大きく伸びたときも、家電メーカーの対応は鈍かった。開発に着手してからプロダクトが市場に投入されるまでの期間は長いものであり、多くの未発表製品がまだ開発中だ。

米国時間10月25日、互換性のあるシステムに無料アップデートとして提供されたmacOS 12 Montereyは、リモートワークの時代にふさわしい重要な機能を(ある程度)有している。また、MacBook ProやM1搭載iMacなどのApple製ハードウェアがカメラとマイクのセットアップで長く待ち望まれていたアップグレードをようやく実現した中で、この新しいオペレーティングシステムが登場したことは、偶然ではないだろう。

Appleにとってそれは「FaceTime」のことだ。同社は、MicrosoftやGoogleなどと違い、ビデオ会議プラットフォームを持っていないという点で、独自の立ち位置にある。2020年、Appleは最大32名の会議を可能にしてその機能を拡大したが、それでも「FaceTime for Business」ではなくて、あくまでも友だちや家族のための機能だ。

しかし今回、Appleのビデオ通話アプリケーションには、重要なアップグレードが行われた。その筆頭にくるのが「SharePlay」で、残念ながらデスクトップでは今秋の終わりごろにリリースされる予定であり、iOS 15.1でも搭載されている。この機能は、2020年のパンデミック中にストリーミングサービス向けに展開された「共同視聴機能」の事実上のビルトイン版となる。

画像クレジット:画像クレジット:Apple

この機能は、Appleの自社サービスであるAppleTV+とApple Musicをサポートするためにカスタムされており、Disney+、Hulu、HBO Max、NBAアプリ、Twitch、TikTok、MasterClass、Zillow、Paramount+、ESPN+など、いくつかのローンチパートナーと連携する。しかしNetflix、Amazon、Spotifyなど、いくつかの大規模サービスが含まれていないのが気になるところだ。

この機能は、映像と音声を効果的に同期させ、グループ内のユーザーが視聴しているものをリアルタイムで反応できるようにするものだ。スピーカーの音量も調整され、ユーザーが再生 / 一時停止 / 早送りなどをすると再生が同期される。また、この機能をApple TVとセットにも拡張できる。

また、Zoomのような画面共有機能も新たに搭載され、通話中の他の視聴者にウィンドウを提示できる。FaceTimeには「空間オーディオ」も搭載されている。私は最近、最新のAirPodsを試した際にこの機能を試してみた。話者のウィンドウ位置を利用して、音声をその位置に配置するという機能なのだが、気に入った。現状はちょっとしたギミックだが良くできている。

今回追加された機能の中で最も興味深いのは、Appleのエコシステム外でもFaceTime通話に参加できる点だ。機能はまだ限定されているが、ユーザーがリンクを作成すれば、AndroidやWindowsデバイスで、ChromeまたはEdgeブラウザを使いさんかできるようになる。参加にはアカウントは必要ないが、リンクをクリックした後、誰かがそれを承認する必要がある。

画像クレジット:Brian Heater

また、ポートレートモードも新たに搭載された。これは、主要なテレビ会議サービスの「背景をぼかす」機能と同様の機能だ。Appleによると、この機能にはM1に搭載されているニューラルエンジンが使われているという。本機能と空間オーディオは、いずれもM1チップを搭載したシステムでのみ利用できるが、開発者にとっては、新しいチップが可能にする「境界線を曖昧にする力」は、macOSへのiOSの機能が採用が加速していることを感じさせるものだ。モバイルの機能がデスクトップに採用されるまでに、数回のアップデートを待たなければならなかった時代とは大きく違うものだ。

今回もSafariには、モバイル版の再考とともに大きなアップデートがいくつか行われている。デザイン面における最大の変化は、普遍的な検索バーからの決別だ。

新しい「コンパクトタブ」は、スペースを節約するために、タブを小さな独立したウィンドウに移動させる。ユーザーがこのような変更に苦しめられる場合もあるため、賢明にもAppleは設定で有効、無効を切り替えることができる。

「タブグループ」は、例えば「仕事用」や「自宅用」などユーザーがタブを束ねて共有できるようにする。使い方によっては創造性と高めることにもなるし、大量のブックマークを詰め込んでしまうということにもなるだろう。

 

ページ上のテキストをハイライトしたり、右クリックすると「クイックノート」を追加できるようになり、情報を1カ所にまとめることができる。ネットで調べものをすることが多い人にはうれしい機能だ。

iOS 15に搭載されることが発表された「集中モード」は、アクティビティや時間帯に応じて気が散るものを調整することができるというものだ。例えば、瞑想中、読書中、仕事中などに通知を制限することができる。これらの設定は、Appleデバイス間で自動的に同期される。ミュートされた通知はメッセンジャーアプリにも表示されるため、邪魔されたくないタイミングを周囲に知らせることもできる。

AirPlay to Macは、待望の新機能だ。その名のとおり、AirPlay 2を使って音楽や映画などをMacに送ることが可能だ。たとえばiMacを使っているが、スクリーンやスピーカーはもっと良いのがある、という場合に使えるだろう。

また、今回の追加機能の中でも最も期待されている機能1つである「ユニバーサルコントロール」も搭載される。この機能により、iPadOSとMacの間の境界線がさらに曖昧になり、ユーザーは2つのデバイス間でアイテムをドラッグ&ドロップして、よりシームレスなAirDrop体験ができるようになる。また、キーボード、トラックパッド、マウスなど同じ周辺機器で、2つのデバイスを同時に操作することもできる。

もう1つの大きな追加機能は、iOSから移植された最新機能「ショートカット」だ。このアプリは、長年愛用されてきたAutomatorに代わるものだ。将来的にはAutomatorも廃止される予定となっている。現状では「ショートカット」の方がシンプルだが、Automatorのような洗練された機能がないため、AppleはユーザーがAutomatorのシーケンスをショートカットに変換できるようにすることで、その影響をゆるやかにしようとしている。ただし、ユーザーからのフィードバックを募るため、しばらくはAutomatorも存続する。

macOS Montereyは、2015年以降のiMac、2017年以降のiMac Pro、2015年以降のMacBook Air / Pro Early-2015、2013年以降のMac Pro、2014年以降のMac mini、2016年以降のMacBookに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バーチャルアシスタントが慢性疾患に関する質問に答える仏Wefight、約13.2億円調達

Wefightはフランスのスタートアップ企業で、慢性疾患に苦しむ人々を支援するために10種類以上のアプリを開発している。基本的なチャットボットのインターフェースを使って、人々は自分の病気について質問し、答えを得ることができる。

同スタートアップはこのたび、Digital Health VenturesとImpact Partners、そして既存の投資家であるInvestir&+とBADGEのビジネスエンジェルから1160万ドル(1000万ユーロ、約13億2000万円)の資金調達を実施した。

Wefightは、慢性疾患ごとに異なるアプリを開発した。それらはすべて、Vikという同じバーチャルアシスタントをベースにしている。現在、うつ病、喘息、複数のタイプのがんなどに関するアプリが10数種類ある。

Vikは基本的に、患者とWefightのコンテンツとの間のインターフェースとして機能する。自然言語処理技術から、Wefightが新しいアプリを作るために活用するフレームワークまで、すべて自社で開発している。

患者が質問をするたびに、このサービスは質問の意味を理解しようとし、知識データベースから関連する情報を見つけ出す。

そして、コンテンツを中継して患者に提供する。コンテンツはプロの薬剤師によって書かれており、できるだけ情報を提供し、中立的な立場であることを心がけている。これにより、必ずしも次の診察日を待たずに、自分が持っている質問のリストを見ていくことができる。

共同設立者兼CEOのBenoit Brouard(ブノワ・ブルワール)氏はこう語った。「Vikは、ケア経路の誰かを置き換えるものではありません。ギャップを埋めるためにあるのです」。

ギャップがあるのは確かなようだ。これまでに、40万人以上の人がこのサービスを利用している。Vikは500万件の回答を配信しているという。Wefightでは今、70人のスタッフが働いている。Wefightは、患者団体とつながることで、新しいユーザーを見つけようとしている。

ビジネスモデルとしては、製薬会社と協力して新しいアプリに資金を提供している。治療法を商業的に成功させるためには、患者が自分の患っている慢性疾患を特定できるようにする必要がある。そして、Vikはトップオブファネルのコンテンツプロバイダーとしての役割を担っている。

「当社は、臨床的惰性(Clinical Inertia)を減らします。臨床ラボが『Vik Asthma』への融資を決定した場合、そのラボは私たちが作成するコンテンツに影響を与えることはありません」とブルワール氏はいう。「そうしたラボ(製薬会社)は、喘息に苦しむ患者さんに呼吸器科医の診察を受けてもらいたいと思っているのです」。

そうすれば、特定の薬を購入する可能性のある患者の数が増える。製薬会社にとっては複雑な販売戦略だが、Vikのような方法は、患者の生活の質を向上させる可能性がある。

10月25日の資金調達により、同社はベルリンに新しいオフィスを構え、他の国への進出を計画している。Wefightは、新しい市場でアプリを発売するたびに、現地の医療従事者を雇用し、現地の患者団体と関係を作る。長いプロセスだが、そうやってWefightは世界中の患者に正しい情報を提供することができるのだ。

画像クレジット:Wefight

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

ミームの元画像を検索し、自分で新たなミームが作れるAntimatterのアプリ「Reverse Meme Search」

好むと好まざるとにかかわらず、今やインターネット・ミームは私たちのコミュニケーション手段の一部となっている(我々も見出しに使うほどだ)。しかし、既存のミームを繰り返し使用するためには、必要以上に面倒なユーザーエクスペリエンスが求められる。まずはミームの元になった画像を見つけ、次にテキストを追加する方法を考えなければならない。そのためには、Instagram(インスタグラム)の図案を写真編集ソフトウェアで逆変換する必要さえある。

しかし、最新流行のミームの元画像を探してGoogle(グーグル)画像検索を漁るのも大変だ。代わりに使えるのが、米国時間10月22日にウェブとiOS向けにリリースされたAntimatter(アニマター)の「Reverse Meme Search(リバース・ミーム・サーチ)」アプリだ。ミームをアップロードするだけで、このアプリはテキストの入っていない元画像を探してくれる。あるいはReddit(レディット)やTwitter(ツイッター)などのアプリで写真を長押しし、iOSが画像の共有先を選択する画面を表示したら、このアプリのアイコンをクリックしてもよい。ミームの元となった画像を確認したら、アプリに内蔵されているフォトエディターを使って文字を追加して、文字のフォント、色、サイズ、位置を選ぶことができる。このアプリでは「Comic Sans(コミック・サンズ)」を使うことができないが、これは意図的に排除されたものだろう。

TechCrunchでは、このアプリの機能をテストしてみた。スパイダーマンが指さすミームは簡単に逆変換した元画像を見つけることができたが、Owen Wilson(オーウェン・ウィルソン)のいわゆるディープフライドエフェクトを施したミームでアプリはすぐに躓いてしまった(「deep-fried memes」とGoogleで画像検索すると最初の検索結果で見つかるが、元画像はなかなか見つからないのだ)。しかし、心配いらない。このアプリには無料で利用できる「Meme Concierge(ミーム・コンシェルジュ)」が備わっている。リクエストを送信してから1時間もしないうちに「We found your template(あなたの元画像を見つけました:Owen Wilson Deep Fried Meme)」という件名のメールが届いた。

正直なところ、大学で美術を専攻しその頃からAdobeを利用しているが、Photoshopでディープフライドエフェクトをかけたミームのテキストや絵文字をきれいに編集することはできないだろう(というか、我々には他にやるべきことがある)。たとえ「ミーム・コンシェルジュ」が、メールにあるように「16GBのRAMと2つのUSB-Cポートを持つ人間」であったとしても、これは実際に有用なサービスだ。

TechCrunchによるスクリーンショット(画像クレジット:Antimatter)

Antimatterの創設者であるJonathan Libov(ジョナサン・リボフ)氏は、このアプリが機能する仕組みを教えてはくれなかった。基本的には画像の逆引き検索で、探しているミームを認識して元画像を送り返してくるのでだろうか?それとも、画像からテキストを自動的に消去する技術が使われているのだろうか? ディープフライド・オーウェン・ウィルソンでアプリを悩ませたことを考えると、おそらく逆画像検索だと思われる。だが、ディープフライド・オーウェン・ウィルソンの画像を使ってミームを自分で作ろうとする人は、もうコンシェルジュを使う必要はない。なぜなら、これでディープフライド・オーウェン・ウィルソンの元画像が、Antimatterのシステムに保存されたからだ。筆者は彼らの仕事をチェックして、テキストを追加した画像のコピーをアップロードした。

画像クレジット:TechCrunch

「私たちはこのアプリを、Instapaper(インスタペーパー)とPinterest(ピンタレスト)にFigma(フィグマ)を加えたようなものだと考えています。その2つの重要な機能は、(A)画像を収集し(最終的にはミームの元画像に留まらず、有用で意味のあるあらゆる画像)、(B)ライブラリに保存することです」と、リボフ氏はTechCrunchにメールで語ってくれた。「Antimatterは、実際にはP2Pの学習・教育企業であり、Reverse Meme Searchは、私たちがいち早く世界に利用してもらいたいと思った創造体験の一部なのです」。Antimatterは自社のウェブサイトで「インターネット上の多くのすばらしいミーム学習コミュニティに触発された」と述べている。

Antimatterの新しいリバース・ミームのアプリを試すことができました。

確かに、これはテクノロジーが解決すべき世界で最も重要な問題というわけではない(例えば、たった1滴の血液で何十もの予防的血液検査ができるとしたらどうだろう? )。しかし、ミームは明らかに現実世界の力を持っている。というわけで、あなたも逆検索してみてはいかがだろうか?

画像クレジット:Antimatter

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

タスク管理とメモ帳を組み合わせた新感覚の生産性向上アプリ「Routine」

1日の仕事をより効率的に管理するための生産性向上ツールを開発している新しいスタートアップRoutine(ルーティン)を紹介しよう。「Routine」は、タスクと、実行を必要としないメモ、そしてデイリープランナーを組み合わせた、まったく新しいToDoリストだ。

Routineの共同設立者は、Julien Quintard(ジュリアン・カンタード)氏とQuentin Hocquet(クエンティン・オッケ)氏の2人のフランス人起業家で、私が何度か取り上げたスタートアップであるInfinit(インフィニット)を以前に作った人たちだ。Docker(ドッカー)が、2016年にInfinitを買収した。

彼らが再びチームを組んでRoutineを作っている。今現在、RoutineはmacOSとiOS用のアプリで、Googleアカウントと連携することができる。アカウントを設定後、Routineがどんな時でも「今、自分が何をすべきか」を把握するのを手助けしてくれる。

Routineで最もしっかりしている機能の1つが「ダッシュボード」だ。コンピューターで何をしていようと、キーボードの簡単なショートカットでRoutineのダッシュボードを呼び出すことができる。デフォルトでは「Ctrl」+「Space」がそのショートカットだ。

Routineアプリは、画面上にいくつかのウィジェットをオーバーレイの形で追加する。これは、今は亡きmacOSの機能「Dashboard」に少し似ていると言える。このダッシュボードには、さまざまなものが表示される。左側には、今日中に完了しなければならないタスク。

右側には、次の会議までの残り時間と、その会議に関する情報。日付は、Googleカレンダーのアカウントから直接取得される。

そして画面の中央には「コンソール」と呼ばれる大きな入力エリア。テキストを入力してエンターキーを押すと、そこから新しいタスクを作成することができる。これは、Todoistの「クイック追加」機能に似ている。

画像クレジット:Routine

コンセプトとしては、ToDoアプリを開き、適切なプロジェクトに移動し、タスク追加ボタンをクリックし、フィールドにテキストを入力するという無駄な作業をせずに、タスクを追加することができるというものだ。Routineを使えば「Ctrl」+「Space」を押しながらテキストを入力し、Enterキーを押すだけで完了してしまう。

もちろん、コンソールを使って、自然言語で直接タスクを入力して作成することもできる。例えば「毎週水曜日の午後7時にゴミを出す」と入力すれば、Routineが毎週水曜日に新しいアイテムを作成してくれる。

タスクをRoutineに登録すると、Routineアプリで管理できるようになる。タスクのスケジュール変更や完了のマークなど、通常のToDoアプリのアクションに加えて、大きなタスクに時間を割り当てることができる。「トゥデイ」のインターフェイスからは、タスクをタスクリストからカレンダーに移動させることができる。すると、そのタスクを使ったカレンダーイベントが自動的に作成される。

画像クレジット:Routine

このアプリは、ToDoアプリであると同時にメモアプリでもある。各タスクは1ページを表示する。そのページには、Notionのようなエディタがある。テキストを書いたり、見出しや仕切り、写真を追加したり、箇条書きのリストを作成したりすることができる。

また、タスクの中にさらにタスクを作成すると、自動的に本格的なルーチンタスクに変わる。スケジュールを立てたり、カレンダーに挿入したりすることができる。これは、Evernoteの最近のアップデートで新しくなったタスクと似ている。基本的に、タスクはコンテクストの中に存在する。

Routineはカレンダーと直接統合されているので、各イベントをカレンダーで開き、そこからメモを取ることもできる。つまり、それぞれのイベントは、それ自体がノートでもあるのだ。

画像クレジット:Routine

最後に、Routineではページを作成することもできる。各ページは、タスクやメモを保存できるドキュメントだ。食料品リスト、荷造りリスト、監視リストなど、さまざまなリストを作成することができる。また、レシピやお気に入りのレストランなど、いつでも使える情報の保存にも利用できる。

Routineは現在、限定でベータ版を配信している。本スタートアップは、Y Combinator(Yコンビネーター)のW21バッチに参加し、BoxGroup(ボックスグループ)とTargetGlobal(ターゲットグローバル)から270万ドル(約3億円)のプレシードラウンドを調達した。また、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Clément Delangue (クレメント・デランジュ)氏、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏など、複数のビジネス・エンジェルも参加している。

私もこのアプリを使ってみたが、ToDoリストとメモの取り方の両方に興味深いものを感じた。To-Doアプリに大きく依存している人もいるだろうが、それほど簡単にメモを保存することができない。一方、メモアプリにすべてを保存する人もいるだろう。しかし、すべてのタスクを一度に見ることは難しい。Routineはそのギャップを埋めることを目的として作られており、今後、同社がロイヤリティの高いコミュニティを作り上げることができるかどうかに注目している。

画像クレジット:Routine

画像クレジット:Mostafa Mahmoudi / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

つまり個人向けCRM、ビジネスもプライベートな人間関係もより良く管理するClayの新ツール

シードファンドングで800万ドル(約8億8000万円)を調達した新興スタートアップClay(クレイ)が、人生で出会う人達により深く配慮できるよう設計されたシステムを構築した。いわば、個人向けCRMのようなものだと考えるとわかりやすい。Clayでは、メールとカレンダーを、TwitterやLinkedInなどのソーシャルアプリと接続して、出会う人達のコレクションを構築する。そして、その人たちのエントリーに、今後会うときに思い出す必要のある適切な情報(職歴、最近のツイート、出会ったきっかけ、最後に話した内容など)を登録する。

また、各エントリーにあなた自身のメモを追加したり、クリックするだけでリマインダーをアクティブ化して特定の人たちをフォローし続けたり、エントリーをグループ化することもできる。さらには、コマンドバー、キーボードショートカット、ホーム画面ウィジェットも用意されている。

Clayの目指すところは、住所録でもなければ、CRMシステムのような売上やパイプライン管理を重視したものでもない。

Clayの創業者たちは、このアプリのことを「人々のホーム」と呼んでいる。つまり、人が誰とどのように知り合ったのかを追跡するより個人的なシステムを実現する新しい空間を市場に形成しようとしているのだ。

画像クレジット:Clay

Clayの共同創業者兼共同CEOである2人の企業家Matthew Achariam(マシュー・アチャリアム)氏とZachary Hamed(ザッカリー・ハミド)氏は、それぞれ異なるスタートアップで働いていた頃に出会った。Clayを立ち上げる前、アチャリアム氏は、Y Combinatorの支援を付けた分析会社Custoraで製品を担当し、ハミド氏はGoldman SachsのウェブプラットフォームMarqueeの製品管理チームを率いていた。

「人と人同士の関係は私たちのキャリアの中で本当に重要な役割を演じてきたと考えています。だからこそ、そこに飛び込んでみたかったのです」と、何がClayを立ち上げてみたいという関心を掻き立てたのかという質問に答えて、ハミド氏はこのように語った。

Clayを使い始めるにはまず、アカウントに接続する(Clayアプリにはウェブ版、デスクトップ版、モバイル版がある)。現時点では、Microsoft Outlook / Office 365、Googleカレンダー、Gmail、Twitterがサポートされている。Zapier統合を介してこれ以外のサービスを追加することもできる。セットアップが完了すると、会議や人とのつながりが自動的に追跡されるようになる。また、登録済みの人のエントリーには、ウェブから探索した詳細な情報(LinkedInやツイートに記載されているバックグラウンドや職歴など)が追加される。

人のエントリーにはその人との出会いの経緯も登録される。人と出会ったきっかけは時間が経つと忘れてしまいがちだからだ。例えばLinkedInを介してできたつながりや、直接またはオンライン会議で出会ったといった情報が記載される。

Clayのデスクトップアプリを介して、ClayをiMessageと接続することで、登録されている人たちのエントリーに電話番号や最後に話した内容などを追加することもできる。ClayはiMessageメッセージの内容をインポートすることはないが、iMessageとの統合を実現するには、正式なAPIやSDKが提供されていないという問題に対応する必要がある。つまり、この機能を実現するにはディスクへのフルアクセスが必要となる。そうなると、高いセキュリティ許可を与えることになるため、心良く思わない人もいるだろう。

画像クレジット:Clay

2人の創業者によると、Clayはプライバシーとセキュリティを重視して構築されているという。同社のプライバシーポリシーはわかりやすく書かれており、各外部システムとの統合について、取り込まれるデータとその使用方法が説明されている。現時点では、Clayのサーバー上および転送中のデータは暗号化されているが、最終的には、(調達した資金の一部を使用して)Clayの処理をすべてユーザーの端末上で実行することを目指している。

「完全にユーザーの端末上で動作するようにしたいと考えています。データを一切保存しないようにしたいのです」とハミド氏はいう。「これは技術的に極めて複雑な仕事になります。ですから、Clayの創業当初はとても手が出せませんでしたが、今は十分な資金も得られたので、そこを最終的な目標としています」。

とはいえ、Clayはその安全性をユーザーに分かってもらうのにかなり苦労する可能性がある。というのは、ユーザーは過去に「スマートな」住所録と称しながら実はユーザーのプライベートデータを乱用していた製品に何度も痛い目に遭わせられているからだ。2020年だけでも、この分野の新興スタートアップSunshine Contacts(サンシャインコントラクツ)がユーザーの自宅住所を広く配信していたことが判明している(しかも、これらのユーザーはアプリに登録もしていなかった)。他にもたくさんの似たようなアプリが開発されたが、ユーザーのプライバシーより収益を上げることを優先したために、ことごとく失敗に終わっている。

アチャリアム氏は、これまでに登場したこれらの製品の問題は、多くの場合、そのビジネスモデルにあったと確信している。

「ビジネスモデルは、この分野に参入する際に真剣に検討していたことの1つです。というのも、これまでにこの分野に登場したすべての製品は、我々とは生理的に合わないか、ビジネスモデルに問題があったために破綻していたからです」とアチェリアム氏は、スマート住所録市場の歴史について語る。「多くの製品が最初からユーザーの登録情報を利用して利益を上げることを考えていました。ユーザーはアプリを無料で使っていました。持続可能なビジネスモデルは存在せず、どこかの時点で、このトレードオフ状態を解消する必要がありました」と同氏はいう。

画像クレジット:Clay

Clayは従来とは違ったやり方を選択している。最初から料金プランを設定して、製品だけで持続可能にしたのだ。現在は月20ドルとかなり高めの価格設定だが、最終的には徐々に価格を下げ、無料プランも導入する予定だ(学生や非営利団体などは、事前にメールで要求することで、安価なプランを利用できる)。

テスト期間中、Clayは、さまざまなタイプの多くのユーザーたちに採用された。主なユーザーとして、生徒とその親を覚えたい教師、有権者を追跡したい議会選挙の候補者、顧客とそのペットを覚えたい獣医師などがいた。

「私たちは意図的に業界や分野を超えて利用されるようにしました。技術的な問題や投資家からの反発があるとは思いませんでした。とにかく広範囲のユーザーの確保を目指しました」とハミド氏はいう。

Clayは2019年から2020年にかけてのシードファンディングで合計800万ドル(約8億8000万円)を調達した。このファンディングを率いたのは、Forerunner Ventures(フォアランナーベンチャーズ)およびGeneral Catalyst(ゼネラルカタリスト)からの参加者たちだった。

エンジェル投資家として、LinkedInの前CEO Shannon Brayton(シャノン・ブレイトン)氏、Eventbriteの前CEO Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏、NFLプレイヤーで慈善家で投資家のKelvin Beachum(ケルビン・ビーチャム)氏、Casperの共同創業者兼Communications and Brand担当副社長Lindsay Kaplan(リンゼイ・キャプラン)氏、Airtableの前マーケティング担当部長Zoelle Egner(ゾエレ・エグナー)氏、RelateIQの前CTO Adam Evans(アダム・エバンス)氏、マイクロソフトの前戦略担当部長Charlie Songhurst(チャーリー・ソンガースト)氏、フェイスブックの前製品管理副社長Sam Lessin(サム・レッシン)氏、Moatの前CEOでオラクルのSVP Jonah Goodhart(ヨナ・グッドハート)氏、Chapter One VenturesのJeff Morris Jr.(ジェフ・モリスJr.)氏などがいる。

「新型コロナウイルス感染症の拡大で、人々はすでに当然だったことを改めて認識するようになっています。人々の関係は、オンラインでのやり取りによって生まれ、メッセージアプリによって強化されるなど、デジタル化が進んでいます。このように人々が継続的につながることができるにもかかわらず、同時にますます孤立しているのはどういうわけでしょうか」とForerunner GPのBrian O’Malley(ブライアン・オマリー)氏はClayに投資した理由について語った。「問題は既存のソーシャル関連製品が利用者にエンドユーザーとしてサービスを提供していない点にあります。個々のユーザーは、人材採用担当者や無名の広告主に利用されているだけなのです。Clayは個々のユーザーのつながりを推進するあらゆるシグナルを把握するために構築された最初のリレーションシップソフトウェア企業であり、広範な人々と良質な関係を構築できます。Clayはユーザーのネットワークはユーザーのものであり、ユーザーにその所有権限が与えられるべきであることを理解しています」。

Clayは現在、ウェブサイト経由でサインアップできる。

画像クレジット:Clay

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

グーグルがAndroid Enterpriseの「バグ報奨金」プログラムを実施

Android 12はGoogle(グーグル)のPixel端末向けに正式公開され、他機種にも徐々に展開される予定だ。Androidは消費者プロダクトだと思っている人が多いかもしれないが、ここ数年Googleは、これをエンタープライズツールにもするべく力を注いでいる。Android 12にはすでに多くの企業向け機能が標準搭載されているが、GoogleがAndroid Enterpriseに関連して、セキュリティに焦点を当てた新たな取り組みを複数発表したことに驚きはない。

その中には、新たなバグ発見懸賞プログラム、その名も「Android Enterprise Vulnerability Program」(Android Enterprise脆弱性プログラム)があり、Android Enterpriseが動作しているPixel端末の重大なバグを発見した場合に最大25万ドルの報奨金が支払われる。

またGoogleは、広くパートナー・エコシステムと協力してAndroidのZero Trust(ゼロトラスト)セキュリティ・モデルのサポートを拡張する取り組みも行っている。これは、たとえばOkta、Ping、ForgeRockなどのパートナーと組むことで、Android上の認証ワークフローを、WebViewからChromeのCustom Tabsに移行することを意味している。以前からGoogleは、デベロッパーは自社ドメイン以外のコンテンツをレンダリングする際には必ずCustom Tabsを使うべきであると主張してきた。これは性能面だけでなく、Chromeのセーフブラウジング機能がセキュリティを強化するためだ。

「WebViewはウェブコンテンツのレンダリングにおける柔軟で強力なツールですが、Custom Tabsは最新のフル機能を備えているので、アイデンティティープロバイダーは端末のトラストシグナルを集め、従業員の安全を改善し、複数のアプリとウェブを通じてシングルサインオンを行うことが可能になります」、とGoogleのシニアプロダクトマネージャーであるRajeev Pathak(ラジーブ・パサック)氏が米国時間10月21日の発表で説明した。

さらにGoogleは、Android Management APIを拡張して、Microsoft、Citrix、あるいはGoogle自身の提供するEnterprise Mobility Solutionsを使っている企業が「すべてのエンタープライズ機能を、ベストプラクティスとAndroid Enterprise Recommendedの必要要件とともに、いちはやく利用できる」ようにする。

画像クレジット:Steven Puetzer / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクも支援するFlock Freightが運送・貨物業界で新たなユニコーンに

新型コロナウイルスの影響による混乱などが、サプライチェーンのボトルネック問題を浮き彫りにしたこともあり、国際的な運送・貨物業界はかつてないほどの注目を集めている。トラック輸送の物流企業であるFlock Freight(フロック・フレイト)は、世界的なサプライチェーンの危機を解決することはできないが、商品をより早く、より無駄を減らして目的地に届けることには貢献できるはずだ。

同社はシリーズC資金調達を終えてから1年も経たないうちに、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD投資ラウンドで2億1500万ドル(約245億円)を調達し、10億ドル(約1140億円)を超える評価額を得て、業界で最も新しいユニコーンとなった。

Flock Freightは「FlockDirect(フロックダイレクト)」と呼ばれるソフトウェアを活用した「シェアード・トラックロード(共有トラック積荷)」サービスを開発している会社だ。これはつまり、同じ方向に向かう荷物を集めて運ぶ、荷主のための相乗りサービスと考えればいいだろう。これによって荷主は、配送の途中で荷物をターミナルやハブで移動させるロスが減らせる。同社は確率的な価格決定アルゴリズムを用いて、同じ方向に向かう複数の荷主から中型貨物をプールする。

Flock Freighによると、このサービスは顧客と運送業者の双方にメリットがあるという。顧客は、積み降ろしの繰り返しや実際には必要のないトレーラーのスペースのために支払うコストを回避でき、運送業者は、自社のトラックの積載を満杯にすることができる。Flock Freightは、40フィート(約12.2メートル)、3万6000ポンド(約1万6330キログラム)以下の貨物を対象とした「プリベート」プログラムという段階的な割引プログラムを用意しており、荷主はさらにコストを削減することができる。

削減できるのはお金だけではない。Flock Freightによると、従来のハブ&スポーク方式輸送に比べて、二酸化炭素の排出量を40%も削減することができるという。同社の試算では、これまでに1万5000トン以上の排出ガスを削減したとのこと。

カリフォルニア州サンディエゴで設立されてから6年が経過したこのスタートアップ企業は、今回調達した資金を事業の拡大と雇用に使うことを目指しており、特にシカゴでは2021年中に新オフィスを開設する予定だ。

ソフトバンクは、Flock Freightの初期から投資しており、2020年の1億1350万ドル(約129億3000万円)を調達したシリーズCラウンドを主導した。今回のシリーズDラウンドでは、この日本の企業に加えて、新たな少数株主としてSusquehanna Private Equity Investments(サスケハナ・プライベート・エクイティ・インベストメンツ)とEden Global Partners(エデン・グローバル・パートナーズ)が参加。また、既存投資家であるSignalFire(シグナルファイア)、GLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)、Alphabet(アルファベット)傘下のベンチャーファンドであるGVも参加した。

関連記事:運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

画像クレジット:Shutterstock under a Shutterstock license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが「電話」をより快適に、待ち時間表示や音声ガイダンスの番号体系表示などの機能を追加

Google(グーグル)は、米国時間10月19日に発表した新しいスマートフォン「Pixel 6」と合わせて、デバイスの最も基本的な機能の1つだが見過ごされがちな、電話をかける機能を再びアップグレードした。これまでのGoogleアシスタントは、Duplex(デュプレックス)と呼ばれる技術により、通話スクリーニング電話による予約代行を学習した。さらに2020年は、電話の保留待ち機能も備えた。こうした既存の機能を拡張し、新しい機能も追加する。企業や店舗などの電話番号にかけるべき最適な時間帯を示すツールや、音声ガイダンスの番号体系を案内するDuplexの新機能などだ。

Pixel 6とPixel 6 Proの電話アプリでは「Wait Times(待ち時間)」という新機能により、フリーダイヤルに電話をかけたときに相手につながるまでの予測時間が表示される。これからの時間だけでなく、1週間先までの情報を、電話をかける前に確認できる。この情報により、電話をかけるタイミングをより適切に判断することができるようになる。

画像クレジット:Google

もちろん、この情報を表示するために、Googleはユーザーからデータを収集する能力を活用している。Googleマップで、マップユーザーに関する匿名化されたデータに基づき企業や店舗などが最も忙しい時間帯を表示するのと同様「Wait Times」は、電話アプリで得られる通話時間データから推測する。このデータは、個々のユーザーとはリンクしていないとGoogleは述べている。

もう1つの新しい機能は「Direct My Call」だ。これは、企業や店舗などに電話をかける際、音声ガイダンスが案内する複雑な番号体系を理解するのに役立つ機能だ。提示される多くの選択肢(例えば「営業時間、所在地を知りたい場合は1を押してください」)を聞いて覚えようとする代わりに、Googleアシスタントが自動メッセージを文字で見せてくれる。これにより、必要な情報を得たり、人間のオペレーターと話したりするためにどの番号を押せばいいのか、選択肢を読み返すことができるようになる。

画像クレジット:Google

以前は、難しいカスタマーサービスに不満を感じたユーザーは、GetHumanのようなサードパーティ製のアプリやウェブサイトを利用して、より早く人間のオペレーターと話す方法にたどり着いていたかもしれない。しかし、そうしたウェブサイトは常に最新の内容に更新されているとは限らない。「Direct My Call」はその代替手段を提供する。さまざまな選択肢が読み上げられている間は、マルチタスクをしたり、電話を置いたりできる。電話に戻ったときに、選択肢を読み、必要なものを選べばいい。この機能は、TTY(テキスト電話)を必要としないものの、耳が不自由な人も使える。

「Direct My Call」には、電話予約代行機能と同様、Google Duplexの技術が使われている。

Duplexは、電話予約代行機能と混同されることがある。デビュー当時は予約代行が大きな用途の1つだった。しかし、Duplex自体は、予約の際に自然な会話を可能にするだけではない。理解を深めるためにも利用できるのだ。例えば「Direct My Call」の場合、Duplexは高度な音声認識と言語理解モデルを用いて、相手が今、何をして欲しいと思っているのかを判断する。電話番号を押す「担当者」などの単語を発する、口座番号を入力するといったことだ。

Pixel端末で開始される「Direct My Call」と「Wait Times」に加え、Googleは当面「Hold for Me」へもアクセスを拡大する。

2020年の米国での開始以来、ユーザーはこの機能により月に150万分以上の時間を節約できた。今後数カ月のうちに、オーストラリア、カナダ、日本のPixelユーザーにも提供する予定だとGoogleは述べた。

画像クレジット:Google

一方、Googleの既存の通話スクリーニング機能もアップグレードされる。

これまでは、Google独自の発信者番号の機能により、ユーザーはスパムなどの知らない番号からの電話を識別できた。今回のバージョンアップでは、かかってきた電話に関するデータをユーザーが提供できるようになる。つまり、かかってきた電話の相手先の情報(請求、銀行、公共料金など)を提供し、今後同じ電話を受ける別の人が、どんな相手先からかかってきたかを知ることができるようになる。Googleによると、このデータを提供する際、個人を特定する情報は含まれない。これにより、今後、発信者番号情報がわかっている企業の数を2倍に増やすことができると同社は考えている。

通話スクリーニングはより多くの市場で導入される。米国、カナダ、日本では、現在月に3700万件の通話をスクリーニングしている。10月19日から英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、アイルランド、イタリア、スペインのPixelユーザーにも展開される。

通常、Googleは新機能をまず最新のPixel端末でリリースしてから、時間をかけてより多くのPixel端末やAndroidに広く展開する。つまり「Wait Times」と「Direct My Call」はしばらくの間、Pixel 6端末専用となる可能性が高い。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがWindows 11ベータ版でAndroidアプリのテストを開始

Microsoft(マイクロソフト)はWindows 11を発表した際、機能性の低いタスクバーでユーザーを困らせたいということについては何も言わなかったが、新しいOSがAndroidアプリをサポートすることについては話す気満々だった。しかし、わずか数週間前にリリースされた最初のバージョンでは、実際にはAndroidアプリをサポートしていないことがすぐに明らかになった。だが今回、MicrosoftはAmazon(アマゾン)とそのアプリストアとの提携により、約50種類のAndroidアプリの一部をWindows 11 Insider Programに提供することになった。

ベータ版(開発サイクルが異なるため、開発者向けビルドは含まれない)のユーザーは、現在、AmazonのKindleアプリ、Washington Post、Clash of Kings(クラッシュオブキングス)、Coin Master、Lego Duplo Worldなどのアプリをプレビュー体験で試すことができる。

これらはすべて、AMDとIntel(インテル)のデバイスで動作するはずだ。アプリは、Microsoftが「Windows Subsystem for Android」と呼ぶ、IntelのIntel Bridge Technologyを採用したサブシステムで動作する。注目すべきは、MicrosoftがLinuxカーネルとオープンソース版のAndroid 11をベースとしたAndroid OSを使用している点だ。そのため、Androidのほぼすべての機能を利用できるが、Google(グーグル)が開発したAndroidに搭載されているアプリや追加機能の一部は利用できない。Amazonも同様のことを行っているため、AmazonアプリストアのアプリがWindowsサブシステムでも機能するのは当然のことかもしれない。

もちろん、PCが仮想化を有効にしていることと、Windows 11を実行するためのMicrosoftの総合的な要件を満たしている必要がある。また、ストアへのアクセスにはAmazonアカウントが必要だ。

画像クレジット:Microsoft

これはゲームチェンジャーといえるのだろうか?それは不明だ。筆者はウェブでWashington Postを読むことに何の問題もないし、多くの親御さんは、自分の子供が安価なタブレットでLego Duplo Worldをプレイすることを望んでいるのではないだろうか。あなたがClash of KingsやCoin Masterをプレイするのであれば、それ以前に自問すべき別の問題がある。

さてここで、Microsoftがタスクバーを本来あるべき画面の上部に移動させてくれるのなら、もっと嬉しいことなのだが。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

ローランドがスマホでマルチトラック録音できるAndorid・iOSアプリ「Zentracker」発表

ローランドがスマホでマルチトラック録音できるAndorid・iOSアプリ「Zentracker」発表
電子楽器のローランドが、いつでもどこでも即興でマルチトラックレコーディングが可能な無料モバイルアプリ「Zentracker」を発表しました。iOSおよびAndoridに対応し、10月20日リリース予定です。

作曲を行う人は一般的に作曲作業をPCやDigital Audio Workstation(DAW)といった機材で行います。しかし、印象的なフレーズ、ループのアイデアが閃くのは自宅やスタジオの中とは限らず、むしろそれ以外の場所の方が多いはず。そんなときにZentrackerが役立ちます。

トラック数はデフォルトでは4トラックですが、自由に追加が可能。さらにプリセットで200種類のループ、16種類のエフェクトを利用可能。ビートマッチングやルーピングといった機能もあります。作成した楽曲はマイクロソフトのOneDriveに保存できるほか、Google Driveにも対応する予定。

Zentrackerは基本無料で利用できますが、エフェクトやループの追加、ステムのエクスポートなどの機能追加はRoland Cloudのサブスクに加入することでアンロックされます。なお、このアプリを最大限に利用するならGO:MIXER PRO-Xのようなミキサーを組み合わせる必要がありそうです。ローランドがスマホでマルチトラック録音できるAndorid・iOSアプリ「Zentracker」発表

(Source:RolandEngadget日本版より転載)

InstagramがCollabs機能、リールの新音楽機能、デスクトップからの投稿などを続々追加

Instagram(インスタグラム)は米国時間10月19日、InstagramのフィードとTikTok(ティックトック)のライバルであるReels(リール)の両方で、今週中いくつかの新機能を展開することを発表した。このクリエイター向けの機能追加により、ユーザー同士のコラボレーション、募金活動、リールでの音楽の有効活用などが可能になる。また、Instagramのデスクトップサイトの使い勝手を向上させ、ついにデスクトップのウェブブラウザから写真と1分以内の動画の両方を投稿できるようにする。

デスクトップからの投稿は以前から要望の多かった新機能で、米国時間10月21日(日本時間10月22日)から全世界のユーザーに提供される。

同社は2021年の夏にこの機能をテストしていたが、多くの人の目には触れていなかった。

画像クレジット:Instagram

その他の新機能は、米国時間10月19日の「Collabs(コラボ)」を皮切りに、1週間を通じて提供が始まっていく予定だ。

InstagramはこのCollabs機能を「テスト」と位置付けているが、フィード投稿とリールの両方を共同制作できるようになると説明している。それを行うために、ユーザーはInstagramのタグ付け画面から、別のアカウントをコラボレーターとして招待することができる。それを相手が承諾すれば、両方のアカウントが投稿やリールのヘッダーに表示され、両者のフォロワーにコンテンツが共有される。Instagramはこのテストを本日発表したばかりだが、同社は7月にこの機能の小規模なグローバルテストを開始しており、多くのInstagramユーザーがすでにアプリ内でこの機能を発見していた。

発表時、Instagramはこの機能にアクセスできるのはごく一部の人に限られると述べ、より広範囲に展開する時期については明らかにしなかった。

Instagramによれば、2人のクリエイターがコラボレーションを選択すると、両方のプロフィールグリッドに投稿やリールが表示され、ビュー数「いいね!」数、コメントスレッドが共有されるという。

また、米国時間10月20日には、Instagramは、非営利団体のための募金活動を行う新しい方法のテストを開始し、作成ボタン(画面右上の「+」ボタン)から直接募金活動を開始できる機能を導入する。このオプションをタップすると「投稿」「ストーリーズ」「リール」「ライブ」を選択する代わりに、非営利団体を選択するオプションが表示され、募金活動リンクをフィード上の投稿に追加することができる。

Instagramは以前から募金活動をサポートしており、2020年にはライブストリーム中に非営利団体の募金活動を行う機能を追加している。しかし、自身のInstagramのプロフィールからすぐに独立したスポットとして募金活動を行う方法は提供していなかった。

この機能は、開発者でありリバースエンジニアでもあるAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルッツィ)氏が、今週の発表に先立ち、9月にはすでに開発中の新しい募金ボタンを発見していた。

他にも、音楽に合わせてリールを楽しむための機能が2つ追加されている。

米国時間10月21日に、Instagramは、リール上で音楽を使って編集したりパフォーマンスを行ったりするクリエイターを支援するための、Superbeat(スーパービート)とDynamic Lyrics(ダイナミックリリックス)という2つの新しいエフェクトを投入する。Superbeatは、ユーザーの曲のビートに合わせて音楽に特殊効果をインテリジェントに適用し、Dynamic Lyricsは、曲の「グルーヴ」に合わせて3Dの歌詞を流れるように表示する、とInstagramは述べている。

これらの新機能は、4月にTikTokが発表した6種類のインタラクティブな音楽効果を追いかけるものだ(そのときTikTokに追加された機能には曲のビートに合わせて視覚効果を加えるものなどもあった)。一方、リールはこれまで、標準のクリエイティブなエフェクトの選択肢が非常に限られており、例えばタイマーや速度調整ツールなどの、基本的なものを超えるライブラリの拡張はコミュニティに頼っていた。

このリール機能は、デスクトップからの投稿機能と同時に提供され、Instagramによると、写真と1分以内のビデオに限定される。同社は今月、長尺動画用のIGTVブランドを廃止したが、いまでも60分までの動画は許可されている。現在では、ストーリーズやリールの動画ではないものは、まとめてInstagram Video(Instagram・ビデオ)と呼ばれている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

操作やクリックを記録してガイドに、社員間で共有もできる知識収集ソフトScribeが約34億円調達

社員は入社・退職の際、往々にして知識も一緒に持ち運ぶ。また、ひと握りの従業員が何かについて方法論を知っていても、大勢を相手に個別に教える時間がないこともある。そこで、Scribe(スクライブ)の出番だ。このソフトウェアは、操作やクリックを記録し、編集・共有が可能なスクリーンショットやテキストとともに、1分とかからずにステップバイステップのガイドに変換する。情報は、Chromeの拡張機能やデスクトップアプリケーションから記録することができ、また、必要になるまでリポジトリに保存しておくこともできる。

同社は現地時間10月18日、3000万ドル(約34億円)のベンチャーキャピタルを得てスタートした。金額には、Tiger Global ManagementがリードしたシリーズAの2200万ドル(約25億円)が含まれる。既存の投資家から、Amplify Partners、Haystack Ventures、XYZ Venture Capital、AME Cloud Ventures、Morado Ventures、SEVなどが参加した。Amplify Partnersは2021年初めに、800万ドル(約9億円)のシードラウンドをリードした。

McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)やGreylock Partners(グレイロック・パートナーズ)を経験した共同創業者でCEOのJennifer Smith(ジェニファー・スミス)氏は、数年前、オペレーション業務の進め方に関して社員間で知識の差があると見て、起業家で元Google(グーグル)のエンジニアであるAaron Podolny(アーロン・ポドルニー)氏とともに、サンフランシスコを拠点とするScribeを創業した。

スミス氏が経験してきた領域は、組織やオペレーション業務だ。1200人以上の創業者に、ソフトウェアの売買方法や、あれば良いと思うものについて話を聞いたところ、この10年間、この領域に変化が見られないことがわかったという。

「この領域の業務はまだ手作業で行われています」と同氏はTechCrunchに話した。「方法論を伝える標準的な方法がありません。Scribeがあれば、これが標準となります。記録ボタンをクリックしてタスクを実行すると、ステップバイステップの指示が自動で生成されます」。

Scribeは創業以来、こつこつと積み重ね、今では世界中で1万社がこのソフトウェアを利用し、何かの方法論について他の人と共有している。その中には、政府や学校など、スミス氏とポドルニー氏が当初ターゲットとしなかった組織による利用例も含まれている。

前述の投資家に加え、ラウンドに参加したエンジェル投資家には、元Microsoft(マイクロソフト)会長のJohn Thompson(ジョン・トンプソン)氏、Adobe(アドビ)のプロダクト最高責任者であるScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Gainsight(ゲインサイト)のCEOであるNick Mehta(ニック・メータ)氏、Opendoor(オープンドア)のCEOであるEric Wu(エリック・ウー)氏がいる。今回の投資の一環として、Amplify PartnersのゼネラルパートナーであるMike Dauber(マイク・ドーバー)氏が取締役会に加わる。

Scribeは、デジタルプロセスの記録と共有を目指し、ベンチャー企業をひきつけた最新の企業となった。例えば、8月にはTangoが570万ドル(約6億5000万円)を調達した。同社は、ワークフローのベストプラクティスを自動的に記録し、チームがトップパフォーマーから学ぶことができるChrome拡張機能を開発した。

XYZのマネージングディレクターであるRoss Fubini(ロス・フビーニ)氏によると、Scribeは複雑なものを簡単に見せてくれる会社だという。同氏は、スミス氏が、Greylockで多くの有名スタートアップの法人向け販売を支援したことを評価しており、スミス氏とそのチームが、当時と同じように「仕事を上手く進める方法を示す」製品を作っていると信じている。

「そして、企業はそのためにお金を払ってくれるでしょう」と同氏は付け加えた。「これは旅の最初の一歩に過ぎません。文書化について問題を抱える企業と話をすると、そのような根底にある部分が見えてきます。私たちは、ジェニファーと彼女のチームが仕事を続け、市場を開拓し、その価値に見合った対価を得られるよう、資金面で支援します」。

Scribeには、無料版とプロ・法人プランがある。プロセスのやり方を学ぶために費やす非生産的な時間を、平均で50%近く削減することができる。

スミス氏は、調達した資金によりチームの規模を拡大し、スタートアップからフォーチュン500社に至る顧客の要望に応えたいと考えている。また、20人の従業員の大半は女性とマイノリティで構成されており、これはスミス氏が、包摂的で、文化と人材を優先する組織の構築に注力している中で、誇りに思っていることだという。また、同氏は研究開発や製品開発にも投資し、将来の収益につなげたい考えだ。

「Scribeを方法論を共有する際の新しい共通の基準にしたいと考えています」とスミス氏は付け加えた。「我々はZoomやSlackからインスピレーションを得ていますが、これらはどちらも標準的で辞書的な存在になっています。そのためには、同僚や顧客とのつながりを深め、流通を促進することが重要です」。

画像クレジット:Scribe / Scribe founders Jennifer Smith and Aaron Podolny

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Cockroach Labsがサーバーレス版SQLデータベースを発表

米国時間10月19日、CockroachDB(コックローチDB)を開発しているCockroach Labs(コックローチ・ラボ)が、開発中のSQLデータベースの新しいサーバーレスバージョンのパブリックベータ版を発表した。これにより、開発者は明示的に定義することなく、スケールアップ / ダウンするデータベースリソースを簡単に使えるようになる。

共同創業者でCEOのSpencer Kimball(スペンサー・キンボール)氏は、その目標は開発者の複雑さを軽減すると同時に、きめ細かな価格体系を提供することだとしつつ、次のように述べている。「(サーバーレス製品は)開発者たちの事前の決定事項を減らします。これはとても重要なことです。しかし、もう1つの大きなメリットは、きめ細かな使用量に応じた課金が可能になり、使用した分だけ請求されるようになることです」。

データベースに対するサーバーレスのアプローチが重要な点は、開発者が行うキャパシティプランニングやそれに関連するすべての作業が不要になるところだ。つまり、アプリケーションを実行するために必要なノード数やマシンタイプを予測する必要がなくなるということだ。その代わりに、Cockroachのサーバーレスデータベースを指定するだけで、ワークロードを実行するために必要なだけの量のリソースを提供してもらえる。ワークロードが必要としないときには、1つのノードを完全に使うことさえしないかもしれない。

この動作にはリソースの共有も含まれているが、個別のデータはバックエンドで常に隔離されているとキンボール氏は指摘する。「実データが暗号化されていない重要な部分は、個別の開発者やユースケースから完全に隔離されています。このように隔離は行われつつも、バックエンドではデータの保存と検索のためのタスクが多数のマシンで共有されており、リソースを効率的に利用することができるようになっています」と彼はいう。

そして、このようにリソースを効率的に共有することで、開発者がアプリケーションを構築する際に、実際に軌道に乗るまではお金を払わなくてもよいような、寛大な無料プランを提供できるようになったという。さらに、ワークロードが急増した場合には、必要に応じてリソースを自動的に増減させることが可能だ。また、容量管理を自動化する際の重要なポイントだが、リソースの使用量が支払い能力を上回らないように制限をかけることができる。

キンボール氏によれば、無料プラン版から有料プラン版に移行するまではクレジットカードの提示は求めないので、アプリケーションが急激に成長を始めても請求書に驚くことはないという。彼は無料プランを「寛大」と表現しているが、価格プランの正確な詳細はまだ検討中だ。

このサーバーレス製品は、米国時間10月19日よりパブリックベータ版の提供が始まる。

Cockroach Labsは2015年に創業された。Crunchbaseのデータによると、これまでに3億5500万ドル(約405億5000万円)以上を調達している。直近の資金調達は、1月に20億ドルの評価額で行われた1億6000万ドル(約182億8000万円)のシリーズEだ。

画像クレジット:onurdongel/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)