ソフトバンクも支援するFlock Freightが運送・貨物業界で新たなユニコーンに

新型コロナウイルスの影響による混乱などが、サプライチェーンのボトルネック問題を浮き彫りにしたこともあり、国際的な運送・貨物業界はかつてないほどの注目を集めている。トラック輸送の物流企業であるFlock Freight(フロック・フレイト)は、世界的なサプライチェーンの危機を解決することはできないが、商品をより早く、より無駄を減らして目的地に届けることには貢献できるはずだ。

同社はシリーズC資金調達を終えてから1年も経たないうちに、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD投資ラウンドで2億1500万ドル(約245億円)を調達し、10億ドル(約1140億円)を超える評価額を得て、業界で最も新しいユニコーンとなった。

Flock Freightは「FlockDirect(フロックダイレクト)」と呼ばれるソフトウェアを活用した「シェアード・トラックロード(共有トラック積荷)」サービスを開発している会社だ。これはつまり、同じ方向に向かう荷物を集めて運ぶ、荷主のための相乗りサービスと考えればいいだろう。これによって荷主は、配送の途中で荷物をターミナルやハブで移動させるロスが減らせる。同社は確率的な価格決定アルゴリズムを用いて、同じ方向に向かう複数の荷主から中型貨物をプールする。

Flock Freighによると、このサービスは顧客と運送業者の双方にメリットがあるという。顧客は、積み降ろしの繰り返しや実際には必要のないトレーラーのスペースのために支払うコストを回避でき、運送業者は、自社のトラックの積載を満杯にすることができる。Flock Freightは、40フィート(約12.2メートル)、3万6000ポンド(約1万6330キログラム)以下の貨物を対象とした「プリベート」プログラムという段階的な割引プログラムを用意しており、荷主はさらにコストを削減することができる。

削減できるのはお金だけではない。Flock Freightによると、従来のハブ&スポーク方式輸送に比べて、二酸化炭素の排出量を40%も削減することができるという。同社の試算では、これまでに1万5000トン以上の排出ガスを削減したとのこと。

カリフォルニア州サンディエゴで設立されてから6年が経過したこのスタートアップ企業は、今回調達した資金を事業の拡大と雇用に使うことを目指しており、特にシカゴでは2021年中に新オフィスを開設する予定だ。

ソフトバンクは、Flock Freightの初期から投資しており、2020年の1億1350万ドル(約129億3000万円)を調達したシリーズCラウンドを主導した。今回のシリーズDラウンドでは、この日本の企業に加えて、新たな少数株主としてSusquehanna Private Equity Investments(サスケハナ・プライベート・エクイティ・インベストメンツ)とEden Global Partners(エデン・グローバル・パートナーズ)が参加。また、既存投資家であるSignalFire(シグナルファイア)、GLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)、Alphabet(アルファベット)傘下のベンチャーファンドであるGVも参加した。

関連記事:運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

何千、何万台というトラックが毎日貨物を載せて米国の幹線道路を走り、消費財、電子機器、自動車、農作物を配送センターへ、最終的には家庭へと送り届けて経済を支えている。そのトラックの内側はほとんどが半分空っぽだ。カリフォルニア州サンディエゴの設立5年のスタートアップFlock Freight(フロック・フレイト)は、その場所が業界を変えると信じている。

そしていま、それを試して実行するための資金を手に入れた。

米国時間12月2日にFlock Freightは、シリーズCラウンドでSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョンファンド2)から1億1350万ドル(約118億6000万円)調達したと発表した。既存出資者のSignalFire、GLP Capital PartnersおよびGoogle Venturesも参加し、戦略パートナーであるVolvo Group Venture Capitalが新たに少額を出資した。SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーであるErvin Tu(アービン・トゥ)氏がFlock Freightの取締役に就任する。これまでに同社は総額1億8400万ドル(約192億2000万円)の資金を調達し、資金調達後の会社価値は5億ドル(約522億3000万円)になる、と本件に詳しい情報筋がBloomberg(ブルームバーグ)の速報を裏付けた。

ここ数年、テクノロジーでトラック輸送を変えようとするスタートアップが数多く出現している。トラック輸送は米国内の輸送の70%以上を受け持つ米国経済の柱であり、彼らはそれをもっと効率の良いマシンに変えようとしている。ほとんどのスタートアップは、トラック運転手と運送業者を結ぶデジタル運送ネットワークを作ることに焦点を合わせている。

しかしFlock Freightは、貨物そのものに注目した。この会社はさまざまな貨物を1つの共有積載として集約することで貨物輸送の効率を高める。Flock Freightによると、同社のソフトウェアは、多くのトラックが積載量の半分以下しか貨物を載せていない(業界でLTLと呼ばれている)伝統的な「ハブとスポーク」システムを回避する。同じ方向に行く貨物を1台のトラックにまとめることによって、運送関連の二酸化炭素排出量を40%減らせると同社はいう。

新たな資金は従業員を増やすために使われる。現在同社には129名の従業員がいる。

「テクノロジーによるワークフローの自動化によって効率を改善するデジタル貨物マッチング方式と異なり、Flock Freightはテクノロジーを使って、貨物輸送の効率を高める新しい運送モデル(共有積載)を作りました。Flock Freightのアルゴリズムによって、運送業者は長さ44フィート(13.4m)までの荷台のLTL(空きスペース)問題を心配しなくてよくなります。代わりに 「shared truckload」(共有積載)として利用できるのです」とFlock FreightのファウンダーでCEOのOren Zaslansky(オーレン・ザスランスキー)氏が声明で語った。「運送業者はFlock Freightの効率のよい共有積載ソリューションを利用して需要の増加と高まる緊急性に対応できます」。

このうたい文句には、VolvoやSoftBankをはじめとするさまざまなベンチャーキャピタルや企業投資家を引きつけるだけの説得力があった。

「Flock Freightは何十万という運送業者のサプライチェーン効率を改善します。私たちの投資は同社が事業規模を拡大し、より大きな市場シェアを獲得する能力を加速することが目的です」とSoftBank Investment Advisersのマネージング・パートナーであるトゥ氏は語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Flock Freight物流SoftBank Vision Fund資金調達

画像クレジット:Flock Freight

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook