NetflixがQ1に960万メンバーを追加、売上は5000億円超

Netflixは2019年第1四半期の決算を先程公開した。同社の有料定期購読者は960万人増え、前年同期比16%だった。

これはアナリストらが予測した890万人を大きく上回っている。収支面では、売上45億ドル(約5045億円)で1株あたり利益76セントとほぼ予測どおりだった。

Neftflixによると、これで有料ストリーミングメンバーは1億4890万人になった。成長の大部分(Q1の純増は790万人)は海外で起きている。

Q2の見込みはそこまで順調ではなく、メンバー数の純増を500万人と予測しており、これは2018年の同時期よりも8%低い数字だ。

東海岸時刻4月16日16時36分現在、Netflix株は時間外取引で約1.8%下げているが、これはQ2予測に反応したものと考えられる。

これに先立ちNetflixは、米国、ブラジル、メキシコ、および欧州の一部で 大幅な値上げを敢行した

「これまでのところ米国内の反応は予想どおりで、2018年Q4に値上げしたカナダと動きは似ている。メンバー増加に影響はでていないが、価格改定による短期的な離脱現象はある程度起きている」と同社は語った。

レターには、Netflixオリジナル番組の視聴データも含まれていた(一般のテレビ視聴数とは直接比較できないことに注意)。

同社によると、「The Umbrella Academy」は公開後の最初の4週間に4500万世帯が視聴し、「Triple Frontier」は5200万世帯が視聴、そして「The Highwayman」は4000万世帯が見る見込みだ。ノンフィクション部門では、ドキュメンタリーの「Fyre Festival」が2000万世帯以上で見られた。

まさ決算報告レターにはNetflixがQ2に新しいサービスを試行することも書かれており、英国ユーザー向けに人気コンテンツの週間トップ10を発表し、「人が見ているものを見たい人たちが、もっと簡単にタイトルを選択できるようにする」

そしてもちろん、NetflixはAppleDisneyとの激しい競争に直面する。最近両社は近日公開するストリーミングサービスの詳細を発表した。

それについてのNetflixのコメントは以下のとおり。

どちらの会社も世界有数の消費者ブランドであり、競争することを楽しみにしている。多くの企業がすばらしいビデオ体験を視聴者に提供すると約束したことが、コンテンツ制作者と消費者いずれにも有益であることは間違いない。

こうした新規参入によってわれわれの成長が影響を受けるとは考えていない。なぜなら、放送からオンデマンドエンターテイメントへと移行する壁は非常に高く、われわれとは提供するコンテンツの性格も違うからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが監視するチャット端末「Portal」を半額に値下げ

あなたは今、読んでいるヤングアダルト向けディストピア小説の内容を誤って思い出しているわけではない。Facebookは実際に、あなたと愛する人をカメラで追跡するビデオチャット装置を販売している。このたび、そのFacebookが投入時期を間違ったSNS端末がわずか99ドルで入手できるようになった。つい半年前に199ドルで売り出されたことを考えると、かなり大幅な値下げだ。

Facebookのハードウェア実験に骨を折ってきた人たちにとっては残念なことに、そこには著しくFacebook嫌いで、特別プライバシーに敏感な市場が待っていた。それはかなり深刻な向かい風だった。もちろん、多くの一般ユーザーはプライバシーに無関心だが、彼らも気にするべきだ。

本誌のレビューによると、FacebookのPortalはよく考えられデザインの競争力あるデバイスだ。それでも、家庭というもっとも親密な場所に、ユーザーのプライバシーを尊重しないことで知られる会社を呼び込む理由にはならない。

上位機種のPortal+は回転式の1080 pスクリーンを備え、価格は単体で買うと349ドルだが、Portal 1台以上と同時に購入すると249ドルになるらしい。FacebookこのPortalバーゲンを母の日向けに宣伝しておりセール期間は5月12日まで。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

タグを設置するだけでAIがサイトの改善点を可視化する「CACICA」のβ版が公開

デジタルマーケティング領域でプロダクト開発やコンサルティング事業を手がけるシンカーは4月17日、タグを設置するだけでAIがサイトのアクセスログを分析し、改善点を発見してくれるツール「CACICA(カシカ)」のβ版を公開した。

CACICAはその名の通り、AIがユーザーに変わってWebサイトの現状や課題点を“可視化”してくれるサービスだ。導入時に必要なのはタグを設置するだけ。そうすれば、後はCACICAがコンサルタントのような役割を果たし、膨大なアクセスログからサイトの状況を解析してくれる。

大まかな流れとしてはサイトのアクセス状況を分析した上で、ユーザーを5つのクラスターに自動で分類。それぞれのクラスターごとに代表的なカスタマージャーニーを作成し、コンバージョン(CV)したユーザーとしなかったユーザーを比較することで改善点を抽出する。

要は「自社サイトのユーザーを大きく5種類にグルーピングする」「各グループごとの代表的な行動フローをマップに落とし込む」「CVしたユーザーとしなかったユーザーの違いから改善点を見極める」というアクセス解析の工程を、CACICAが勝手にやってくれるということだ。

自動で生成されるクラスターごとのカスタマージャーニーマップでは、1本の道のような形でユーザーがCVするまでに通った経路を可視化(厳密には同一クラスターであってもユーザーごとに経路が異なる可能性はあるが、平均的なものを可視化)。各ページごとの滞在時間やCVヘの貢献度も合わせて表示する。

カスタマージャーニーのイメージ。左側の曲がりくねった線が代表的なユーザーの経路。右側の横棒が各ページの滞在時間、黒い丸がCVへの貢献度を示している

これによってCVに大きく貢献しているキラーコンテンツや、その反対にユーザーの離脱に繋がってしまっている欠陥ページに「ユーザーがどのタイミングで、どのような経路で流入しているのかを分析できる」(シンカー取締役COOの藤縄義行氏)のが1つの特徴。

従来は付箋をペタペタ貼りながら議論して作成していたカスタマージャーニーを、データドリブンで1本の線として作成できる点が今までにないものだという。

なお各ページのCV貢献度についてはCV地点を教師データとして機械学習を行うことで「それぞれがどのくらいCVに繋がっているのか」をスコアリングしているそう。ユーザーのクラスタリングについてもユーザー行動を機械学習にかけることで自動化している。

シンカーは2017年7月設立のスタートアップだ。代表取締役CEOの藤原瑛二氏はパートナーエージェントで取締役CMOを担っていた人物。COOの藤縄氏もサイバーエージェントのインターネット広告事業本部で11年間Webマーケティング業務を経験しているなど、デジタルマーケティング領域の知見が豊富なメンバーが集まる。

これまではマーケティング領域でコンサルティング事業などを展開していたが、その際に直面した顧客の課題がCACICAを開発するきっかけにも繋がっているようだ。

「AIを使った最新のマーケティングツールを導入している企業も多いが、社内に対応できる人材がいなかったり、ノウハウがないことが原因で『ほとんど使われずに費用だけが毎月発生している』『実際の施策まで繋げられていない』といった課題を抱えているケースが多かった」(藤原氏)

ビービットの「USERGRAM」や以前紹介したWACULの「AIアナリスト」を始め、AIを活用したデジタルマーケティングサービスは複数存在するが、やり方次第ではまだまだ新しい価値が提供できるというのがシンカーの見解。特に専任の担当者がいない、もしくはデジタルツールに使い慣れていないような企業でも使えるような機能設計を意識してきたという。

そのような企業をメインのターゲットにしていることもあり、CACICAのβ版ではツールを無料で提供し、レポート作成や具体的なWEBサイトの改善提案を含むコンサルティングを有料化(1回30万円〜)する。

β版段階ではコンサルティングをセットで提供する想定だが、将来的にプロダクトの機能が充実してきたタイミングでは、ツールのみをSaaSのような形で展開することも検討していくとのこと。今後はヒートマップやクロスデバイス機能、位置情報を利用した分析機能などを順次追加する方針だという。

月額500円から利用できる家具のサブスク「subsclife」が1億円調達

家具のサブスクリプションサービスを提供するsubsclife(旧:カマルクジャパン)は4月16日、XTech Venturesから1億円を調達したと発表した。

同社が提供する家具ブランドの「subsclife」は、通常のように家具を「買う」のではなく、家具ごとに設定された月額料金を支払うことで借りることができるサービスだ。月額料金は500円から。ベッドやイスなど様々な家具がラインナップされており、2019年2月時点で40ブランド、2万5000種の商品を取り扱っている。

最低利用期間を超えた商品については、いつでも新品や色違いの商品に交換可能。気分転換に家具の色を変えてみたり、設置場所に合わせて違う商品を借りたりすることもできる。家具は「高い、買い替えや処分が大変」という課題を解決してくれるサービスだと言えるだろう。

subsclifeの親会社であるKAMARQ HOLDINGSは2014年の設立。2016年には環境エネルギー投資などから約3億5000万円を調達。そして、2017年11月には不動産事業を展開するLIFULLから約4億円を調達している。同社は今回の資金調達により、「サブスクリプションサービス『subsclife』のシェア拡大に向けた施策を加速させる」とコメントしている。

iPhoneでもダークモードをサポートするiOS 13

Guilherme Rambo氏が書いた9to5macの記事によると、iPhoneやiPad用iOSの次期メジャーバージョンには、システムレベルのダークモード、新しいジェスチャー、音量のポップアップ表示の変更など、多くの新機能の搭載が予定されている。

ダークモードは、macOS Mojaveのダークモードとほとんど同じように動くはずだ。つまり「設定」で、システムレベルのオプションとして選択できる。ダークモードをサポートするアプリは、それ以降に起動すれば、自動的にモードが切り替わる。あとは、サードパーティのデベロッパーが、ダークモードをサポートすることを願うだけだ。もし、Facebook、Instagram、Gmail、あるいはAmazonといったアプリが、目に痛い白い背景に固執するなら、この新機能も無駄になってしまう。

他にも大きな変化がある。iPadでは、1つのアプリで複数のウィンドウを開けるようになるのだ。すでにSafariでは、2つのタブを横に並べて開くことができる。しかしAppleは、このような機能をSafari以外でも使えるようにしようということらしい。カードのメタファーを使うのだ。つまり、個々のウィンドウが1枚のカードによって表現される。ユーザーは、それを動かしたり、重ねたり、あるいは閉じたりすることができる。

その他のiOS 13の新機能は、どちらかというとマイナーなもので、ユーザーのフラストレーションの軽減を狙ったもののように見える。たとえば新しいジェスチャーが追加され、デバイスを振らなくても操作を元に戻すことができるようになりそうだ。その代わり、仮想キーボードを3本指でスワイプすることで、文字入力を取り消したり、やり直したりできる。

さらにAppleは、テーブルビューやグリッドビューで、複数の項目を同時に選択する新たな方法にも取り組んでいるようだ。つまり、長方形を描くようにドラッグして囲むことで、複数のアイテムをまとめて選択できるようになる。ここでもAppleは、macOSの伝統的な操作を、iOS上で再現しようとしているようだ。

また、メールやリマインダーといった純正アプリもアップデートされることになる。メールでは、受信した電子メールを、マーケティングや旅行など、カテゴリーごとに自動的に分類してくれるようになる。Gmailと似たような感じだろう。

そして、あの目障りな音量のポップアップ表示は廃止されることになりそうだ。Appleは、飛び出して画面を隠してしまう表示を、もっと控えめな音量インジケータに置き換えることになるだろう。

全体を見渡してみると、最もワクワクさせる新機能は、1つのアプリが複数のウィンドウを開けるようになる、というものではないだろうか。Appleが、その機能をどのように実装しようとしているのか、そしてユーザーは、それによってどんなことが可能になるのか、とても楽しみだ。iOSにとって伝統的な「1つのアプリに1つのドキュメント」というメタファーから抜け出すなら、いろいろ多彩なワークフローの可能性を拡げることになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookがメインのアプリにメッセージ機能を戻すテストをしていることを認める

Facebookは5年前に、膨大な数のユーザーを混乱に陥れた。メインのアプリからチャット機能を削除し、友達と個人的にやり取りにはMessengerアプリをダウンロードしなくてはならないということにしたためだ。どうやら今になって、Facebookアプリにメッセージの機能を戻せるようになるかもしれない。

これは研究者のJane Manchun Wong氏が発見した。同氏はメインのアプリでチャットが再びできるようになる、未発表の限定的な機能を見つけた。発見時点ではFacebookアプリのチャット機能では通話、写真共有、リアクションはサポートされない模様だが、これは単に現在開発中であるということかもしれない。

現在はテスト中であるため、この機能がユーザーに提供されるかどうかは不明だ。月間13億人以上のユーザーがいるMessengerがなくなることはないだろうが、この変更が実現すれば友達とおしゃべりをするオプションが増えることになる。

Facebookはテストをしていることは認めたが、Messengerに関するコメントは以前と変わっていない。

我々はFacebookアプリ内でのメッセージング体験を向上させる方法をテストしている。月間10億人を超える人々が関心を寄せる個人や企業とつながるために利用しているMessengerは、豊富な機能を持つスタンドアローンのメッセージングアプリとして継続する。現時点ではこれ以上の情報はない。

今回の発見は、Facebookアプリからチャット機能がなくなったことに不満を持った多くのユーザーから歓迎されている。しかしFacebookのサービス全体を利用しているわけではないがMessengerでチャットをしている人が増えているとも考えられる。ここ1、2年のFacebookの失策から、ソーシャルネットワークに対する消費者の評価はかつてないほど低下し、広告やニュースフィードに関わりを持たずに友達とつながることができるという魅力は高まっている。

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、それまでのパブリックなフォーラムを重視したアプローチから、グループや個人の会話を重視する方針に転換する計画を明らかにした。その発表から1カ月経って、今回の発見があった。この意味するところは、メッセージのやりとりはソーシャルグラフに欠かせないものになりつつあり、ならばそれをFacebookのメインアプリに戻そうということだ。今後の動向に注目する必要があるが、Facebookがこうした動きを検討していることは明らかだ。

Image Credits:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (画像は編集しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)

ネイティブアプリ開発者は絶滅危惧種なのか?

最近ちょっとおもしろいことに気づいた。5年ほど前なら、新たな仕事で頼りになるiOSの経験豊かな熟練開発者は、少なくとも金の卵を生むユニコーン企業と同じくらいには簡単に見つけることができた。それが2年前になると、そんな人を見つけ出すのはかなり難しくなった。そして今年は?もしかすると、ランダムなノイズのようなものかもしれないが、今年はそのあたりにいることはいるようだ。あれこれ考えてみると、それも単なる偶然ではないように思えてくる。

App Annieの「State of Mobile 2019」は、「モバイルの成熟」について遠回しに触れている。それは、特定の市場で年間のダウンロード数が横ばいになるような状態のことだ。その報告によれば、米国はその状態に達しているという。米国市場でのアプリのダウンロード数は、2016年から2018年にかけて、5%の微増に留まっている。ただし、アプリから得られる収益は、同じ期間にアプリストア上で70%も増加している。これは注目すべき点だ。

その一方で、iOSのApp Storeのアプリ数は、過去2年間でほぼ横ばいとなっている。これには、Apple(アップル)の承認基準が厳しくなったことの影響もある。それを含めても、収益の増加は注目に値する。

さらにその一方で、非ネイティブでクロスプラットフォームのアプリ開発フレームワークに対する人気が高まっているという事実もある。「マイクロソフトのiOSおよびAndroidアプリの中身をスキャンしてみた。その中で、Word、Excel、Xbox、その他もろもろ38本ものアプリが、最近のアップデートでReact Nativeを利用するようになったことを発見した」と、AppFiguresは報告している。そして「昨年の1年で、React Nativeの利用はほぼ倍増した」という。

聞くところによると、多くのクライアントが、単純なものも、そうでないものも、React Nativeを使ったクロスプラットフォームのアプリ開発にますます興味を持つようになっているという。私は、この動きが必ずしも望ましいものではないと考えている。それについては、数カ月前のExtraCrunchに、こうした判断とそのメリット、デメリットについて書いた通りだ。それでも、Cordova/Ionicに比べれば、まだ少しはまともな選択だろう。そちらについては、ここ数年、何度もひどい経験をさせられてきた。そして、ゆっくりながら確実にPWAが勃興しつつある。

アプリのブームは終わったのだろうか?今日の熟練したネイティブアプリ開発者は、明日にはCOBOLプログラマーのような時代遅れになってしまうのだろうか?もちろん、それほど速い変化ではないだろう。ネイティブの開発ツールや技術も、最近大幅に進化してきた。例えば「SwiftのほうがObjective-Cよりだんぜんいい」と感じていないような人には会ったことがない。

Kotlinはさらに新しいが、Androidアプリ開発にとってはiOSにとってのSwiftと似たような立場にある。そして、いわゆる「ロングテール」の新規アプリ開発が成長し続けているのも確かだ。大規模な消費者や企業向けを対象にするのではなく、かなり的を絞ったビジネス分野向けに開発され、アップデートされるアプリのことだ。

とはいえ、特定分野のアプリ開発だけで生計を立てようとすることには、まだ少し不安もある。特にデベロッパーとしてのキャリアが浅いうちはなおさらだろう。それは、その市場が消えてしまうかもしれなからではない。スマホでしか利用できない、ずば抜けた新技術(例えばARなど)を除外してしまうことになるかもしれないからだ。これまでのような、絶え間のない成長と増え続ける需要は、米国のように成熟した市場では、近い将来には失われているだろう。まだいくらかの成長はあるだろうが、その分は、非ネイティブ開発の増加によって吸収されてしまう。

つまり、App Storeが登場して以来初めて、ネイティブアプリ開発者に対する需要が減少し始めるような未来を、少なくとも想像することが可能となっている。もちろん、それだけが確実な未来というわけではない。それが社会通念になっているというのでもない。5月のGoogle I/Oに群がるAndroidデベロッパーや、6月にWWDCに押し寄せるiOSデベロッパーにも聞いてみるべきだろう。それでも念のため、バックアップ戦略を立てておく価値はあるのではないだろうか。

画像クレジット:Pixabay LicenseによるPixabay

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

基礎研究を企業と支援するクラウドファンディング、アカデミストが第1弾を公開

学術系クラウドファンディングサービス「academist(アカデミスト)」を運営するアカデミストは4月15日、アクセラレーターのBeyond Next Venturesと共同で募集していた「<Beyond Next Ventures × academist> マッチングファンド」第1弾の審査を通過した研究プロジェクト2件のクラウドファンディングをスタートした。

2件のプロジェクトが研究費支援を募るクラウドファンディングの実施期間は6月17日19時まで。目標金額50万円を達成し、ファンディングが成立したプロジェクトには、Beyond Next Venturesから50万円の追加支援が行われる。

研究の発信の場として始まったacademist

アカデミストは、研究費獲得のためのクラウドファンディングサービスacademist、そして学術系メディア「academist Journal(アカデミストジャーナル)」を運営し、研究者を支援する事業を行っている。

両事業に共通するのは「研究者が発信する環境を提供すること」と、アカデミスト代表取締役CEOの柴藤亮介は語る。

柴藤氏は首都大学東京大学院に在学中、理論物理学を専攻していたのだが、隣にいる研究者とやり取りすることもなく、1人で論文を読んだり研究を進めたりする日々を過ごしていたという。

「同じ部屋にいる院生同士でも、研究分野が少し変わるだけで接点もなくなる。まわりの研究者が何を研究しているのか、知る機会が欲しい」と考えた柴藤氏は、分野を超えて、研究者が自身の研究について発表する場をセッティングしてみることにした。

初めは専門が異なれば、説明も分からないのではないかと思ったそうだが、実際に聞いてみると、「研究者が自分のリサーチクエスチョン(課題)を一生懸命説明するので、意外と分かる」ものだったという。そこで他人が進めている研究の大枠が分かることの面白さに触れた柴藤氏は、アカデミア以外の社会や企業に向けて研究を発信することも面白いコンテンツになるはずと考えた。この経験が、アカデミスト設立につながっている。

研究者が情報発信する場として、メディアだけでなくクラウドファンディングのプラットフォームを立てた理由は何か。柴藤氏は「メディアを運営するのは、発信の場としては直球だが、情報をまとめる研究者にとっては、研究を進めながら寄稿をするにはエネルギーも要るし、直接のメリットがない。それならば、研究費が得られるというメリットが見えた方が参加してもらいやすいと考えた」と話している。

2014年、学術系に特化したクラウドファンディングサービスとして公開されたacademist。これまでに、約100名の研究者がプロジェクトに挑戦し、研究費の獲得に成功した総額は約1億円に上るそうだ。

最初は理学系の研究プロジェクトが多かったが、最近では工学系や医学・薬学、それに人文・社会科学系の研究でもプロジェクトを公開するようになっているという。

これまでに公開され、成立したプロジェクトは「無人探査ロボットで東京ドーム1万個分の海底地図を描きたい!」「宇宙における星形成史を辿ってみたい!」といった研究としては王道らしいものから、「カラスと対話するドローンを作りたい!」といった“確かに科研費は取りにくいだろうけれども、何となく面白そう”なものまで、ジャンルも規模もさまざまだ。

筆者は個人的には「南米先史社会『シカン』の発展と衰退の謎を解明したい」という考古学調査のプロジェクトで、リターンに「発掘調査参加」権があるプロジェクトに興味がそそられた(この案件は既に募集を終了している)。

企業とのタッグでさらに研究者の課題解決へ

アカデミストでは研究者の課題解決をさらに進めるため、「企業マッチング型クラウドファンディング」を1月からスタートした。その第1弾として立ち上がったのが、大学発・技術系スタートアップの育成投資を手がけるアクセラレーターのBeyond Next Venturesと研究者を募ったマッチングファンドだ。

このマッチングファンドではBeyond Next Venturesが基礎研究に対し、短期的な成果を目的としない支援を行う。academistのプラットフォームで研究をプロジェクト化し、プロジェクトが目標金額を達成して成立した暁には、クラウドファンディングによる支援金額に加えて、研究原資の一部をBeyond Next Venturesからも追加支援する。

第1弾では基礎研究に「情熱」を持つ研究者を募集した。応募分野は幅広く、医学、生物情報学、社会学、化学、神経科学など多様なジャンルから熱意ある研究テーマが寄せられたそうだ。

今回はその中から、2件の研究プロジェクトが審査を通過し、4月15日から70日間のクラウドファンディングを開始することになった。

今回公開されたプロジェクトの1つは有機合成化学の分野で、従来の方法によらない有機合成の手法を研究したいというもの。「有機化学の発展には、新しい分子の合成ルート開発が求められる。そのためには、今までに知られている手法だけでなく、新たな分子変換の方法を開発することも重要」と考える学習院大学理学部助教の諸藤達也氏が、ケイ素と電子移動を利用する新しい有機分子変換法の開発を目指す

もう1つは神経科学の分野で、他の個体の「意識内容」を細胞移植で再現できるか、という研究だ。リンゴを見て「赤い」と感じたり、食べて「おいしい」と感じたりするとき、その「赤さ」「おいしさ」は意識内容と呼ばれる。非物質である意識内容は、物質である脳からどのように生み出されるのか。東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科助教の田中大介氏が、「細胞移植により、特定の意識内容を生み出している神経基盤を複数の個体間で再現する」というコンセプトを実証するための基礎研究に対して支援を募る。

企業マッチング型クラウドファンディング開始のきっかけについて、柴藤氏は「ひとつはクラウドファンディング達成総額を上げるため、法人の力を借りたかったから」と述べる。またアカデミアの外でヒアリングを進めると、企業の側にも解決したい課題が見つかったという。

「大企業で新規事業を立ち上げる際には、研究者を探しているというケースが多い。それならば、クラウドファンディングを通じて研究者を支援していく中で、そうした人を見つける場をacademistで用意できるのではないかと考えた」(柴藤氏)

アカデミストでは、Beyond Next Venturesに続き、今後他社にも企業マッチング型クラウドファンディングに参加してもらい、研究資金の支援を得たい考えだ。

「ノーベル賞を受賞するような研究は、成果が出るまでに20年、30年かかる。だが大隅良典氏のようなノーベル賞を受賞した研究者が若い頃やっていたような基礎研究が、今はできなくなっている。今、手がけようとしても『それが何の役に立つのか』という扱いを受けているような研究を、もっとacademistでピックアップしたい」(柴藤氏)

アカデミストとBeyond Next Venturesでは、今日の第1弾のプロジェクト開始と同時に、第2弾のマッチングファンドで新たな研究者募集をスタートさせた。第2弾の研究プロジェクト募集は2019年7月26日まで行われる。

「第1弾では『情熱』が審査のポイントだったが、第2弾では『異端』がテーマ」と柴藤氏。「最近話題の量子コンピュータも、最初は異端と思われていた研究から始まっている。なかなか認めてもらえないけれど、必ず世の中のためになるはず、という研究をジャンルを問わず、広く募集する」と研究者支援への思いを語った。

FacebookがPayPal幹部のペギー・アルフォード氏を取締役に指名

Facebookの取締役会が過去最大の変革を迎えようとしている。米国時間4月12日、同社はPeggy Alford(ペギー・アルフォード)氏を同社の取締役会に指名することを発表した

「ペギーは、ビジネスマネジメントから財務業務、プロダクト開発まで多くの異なる分野に専門知識を有する稀有な人物だ」とFacebookのCEOであるMark Zuckerber(マーク・ザッカーバーグ)氏が指名について語った。「彼女は我が社が直面しているチャンスと課題の両方への取り組みに役立つ素晴らしいアイデアを持っていることを私は知っている」。

現在アルフォード氏はPayPalのコアマーケット担当SVPを務めており、Facebook初の黒人女性取締役になる。以前同氏は、ザッカーバーグ氏と彼の妻であるPricilla Chan(プリシラ・チャン)氏の大型慈善基金「Chan Zuckerberg Initiative」の最高財務責任者だった。

Facebookはアルフォード氏の指名に伴い、いくつか重大な退任を発表した。長年Facebook取締役を務めたReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏とErskine Bowles(アースキン・ボウルズ)氏が会社を去ることは、この改革の大きさを象徴している。 NetflixのCEOであるヘイスティングス氏と民主党の元大統領首席補佐官であるボウルズ氏は、いずれも2011年から取締役を務めてきた。両者ともFacebookの最近の方向性に関して重要な役割を担った。ヘイスティングスはトランプ政権支持について同じく取締役のPeter Thiel(ピーター・ティール)氏と激しく衝突したと報じられており、一方ボウルズ氏は、ロシアの同社プラットホームへの政治的介入に関して上層部を叱責したことがよく知られている。

アルフォード氏の任命は、5月30日の株主総会で決議される。「Facebookに入る機会を得られたことで何よりも楽しみなのは、困難な問題に正面から向き合うと同時に、長年培ってきたつながる体験の素晴らしさを改善し続けるこの会社の意欲と活力だ」とアルフォード氏が任命を受けて語った。そして「マークをはじめとする役員たちとともに、人々が繋がりコミュニティーを作るための創造的な方法を新たに創り出すことを待ち望んでいる」とコメントした。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イベント特化型ビジネスSNS運営のEventHubがSalesfoce Venturesから資金調達

イベントマーケティングサービス「EventHub」を運営するEventHubは4月15日、セールスフォース・ドットコムの投資部門であるSalesforce Venturesを引受先とする第三者割当増資を実施した。EventHubとしてはシードラウンドの調達で、金額は非公開。

今回の調達にあわせ、Salesforce上の取引データを基にイベントのビジネス機会を創出するためのデータ連携を開始する予定とのこと。具体的には、イベントに参加する企業がイベント内で獲得したリードや実施した商談の情報を自動的にSFAに記録する仕組みや、自社の取引データベースを参照して既存の取引先や親和性が高い企業がイベント会場にいる際に両社を結びつけるといった仕組みを提供するとのこと。

EventHubは、イベント参加者同士をマッチングするSNSサービス。EventHub上で、参加者の社名や役職などのプロフィールを見られるほか、商談やミーティングの要望を出せる。商談やミーティングについては、相手が要望を承諾して日時と場所を設定することで成立する。マッチングした参加者同士は、直接会うだけでなくチャットでの情報もやり取りできるなど、イベント限りのコミュニケーションツールとして活用できる。

1人ではできない体験を“コミュニティ”で実現、共に夢を叶える仲間が見つかる「Extroom」

近年、クリエイターとファンを繋ぐコミュニティサービスが活況だ。

会員制ファンコミュニティアプリ「fanicon」やファンクラブ作成アプリ「CHIP」などこの領域でサービスを展開するスタートアップが次々と登場。クラウドファンディングのCAMPFIREも、単発ではなく継続的な資金調達や関係性の構築を支える「CAMPFIREファンクラブ」を手がける。

「DMMオンラインサロン」を筆頭にオンラインサロンの認知度も広がり、ビジネスやライフスタイルなど幅広いジャンルのサロンが生まれた。

本日4月15日にローンチされた「Extroom(エクストルーム)」も、クリエイターを軸としたコミュニティサービスだ。ただ、単に応援したいクリエイターを金銭的に支援する、もしくはビジネスのノウハウを得るために金銭を支払うタイプのコミュニティとは少し異なる。

Extroomが目指しているのは、夢を叶える仲間を見つける“共創型”の新しいコミュニティだ。

クリエイターとファンを繋ぐ“サークルのような”コミュニティ

「イメージとしては熱狂的なサークルに近い」—— Extroomを運営するblowoutでCEOを務める一ノ宮佑貴氏は、同サービスから生まれるコミュニティについてそう話す。

Extroomは実現したいことのあるクリエイターと、そのビジョンに共感したファンやユーザーを“コミュニティ”という形式で繋ぐ。

基本的な仕組みは冒頭で紹介したファンクラブやオンラインサロンの仕組みと近い。クリエイターがオーナーとなって自身のオンラインコミュニティをサービス上で開設。ユーザーはそこに月額の参加料金を支払う。

特徴はコミュニティに参加したユーザーが主体的に行動する体験型のサービスであること。サロンを主催するクリエイターはエクストルーマーと呼ばれ、彼ら彼女らが活動のビジョンや目的といった“旗”を立てる。そしてそこに共感したファンは「サークルに参加するような感覚で」共通の体験を行なっていく。

つまり、ユーザーは好きなエクストルーマーやその思いに共感した仲間と一緒に、作り手の1人として服づくりやフェス作りなどへ参加する。

たとえばすでに100人以上が参加するブランドディレクター・赤澤える氏のコミュニティでは、彼女が体験していく物事を一緒に体験できる。仕事現場に完全密着した限定映像を見たり、進行中のプロジェクトの未公開情報をゲットしたり、限定のイベントに参加したり。時には新商品やイベントのディスカッションや企画に参加することもあるという。

本日時点では赤澤氏のほか、映像クリエイターやカメラマン、VJエンジニア、テレビの放送作家などが主宰する20以上のコミュニティが立ち上がっていて、今後も拡大していく予定だ。

Google、ABEJAを経てコミュニティサービスで起業

一ノ宮氏は新卒でGoogleに入社後、AIスタートアップのABEJAを経て起業した。事業領域にコミュニティサービスを選んだのは大きく2つの背景があるという。

1つが会社のビジョンにもなっている「世の中の“かくあるべき”をなくしたい」という考えだ。

「周りからどう見られるか」を気にして新卒の就職先としてベンチャーではなくGoogleを選んだこと。学生時代に熱中していたバンド活動から離れてしまったこと。

自身の過去の原体験もきっかけとなり「こうあるべきという常識にとらわれず、自分の信念に沿って挑戦を続ける人を応援したいし、そういう人と触れられる接点を増やしたい」(一ノ宮氏)と思うようになった。

「”かくあるべき”にとらわれず、自分の信念に沿って挑戦を続ける、クリエイター(エクストルーマー)の方々は、 いろんな常識の壁にあたり、もがきながらも、自分なりの納得を求めて、日々活動しています。そのような方々に必要なのは、自分の活動を支えてくれる人たちの存在です。多くの人の力をエネルギーに変える、それがコミュニティで実現できることです」

「同時に、すべての人が、自分のいまの生活を捨てて、無理になにかに挑戦する必要もないと思っています。ただその中で、自分の人生に偽りを持つことを少なくできるよう、ワクワクすることができる機会を、この世の中に増やしていきたい、それが、このコミュニティで皆さんに届けたいことです」(同社のプレスリリースより引用)

もう1つ、一ノ宮氏に大きな影響を与えたことがある。前職のABEJAで約2年半に渡ってAIのコンサルティングに携わった経験だ。

「業務を通じてテクノロジーが世の中を良くすることは間違いないと今でも思っている一方で、AIがより進化していった先で『人間はどうなるのか』『人が人らしくあるとは何なのか』ということをずっと考え続けてきた」(一ノ宮氏)

人らしいクリエイティブな活動や、そのベースにあるコミュニケーションの起点には場としてのコミュニティが不可欠ではないか。そのような考えもあったという(このあたりの思想は彼のnoteに詳しい記載がある)。

今後の構想としてはExtroomというオンラインコミュニティを軸として、コミュニティの熱量を高めるためのオフラインの場所作りや、イベント作りを進める計画。イベントのチケットを始め、エクストルーマーがデジタルコンテンツを売れるような仕組みも整えていくという。

「コミュニティを束ねる存在として、自分たち自身が大きなコミュニティになることを目指したい。少し違う表現をするとExtroomが1つのレーベルで、個々のエクストルーマーがアーティスト。全体としてトーンを合わせながらも、各アーティストの考えや活動を大切にしながらプロデュースする。そうすることで魅力的なレーベルを作り、様々なクリエイターとユーザーが集う場所にしていきたい」(一ノ宮氏)

条件に合うシェアオフィスやコワーキングを簡単に探せる「JUST FIT OFFICE」のβ版がローンチ

フリーランスや副業社員の増加、働き方改革によるテレワークの推進など、ここ数年でワークスタイルが一気に多様化している。

それに伴って変わりつつあるのが「オフィス」の概念だ。ビルやマンションの1室を借りる一般的な賃貸オフィスに限らず、シェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルオフィス、バーチャルオフィスなどオフィスの形もアップデートされてきた。

特に都内ではさまざまなシェアオフィスが登場。TechCrunch読者にはおなじみのWeWorkのように先進的な外資系企業が手がけるスペースから、三井不動産の「ワークスタイリング」を始めとする大手企業が展開するスペース、ブロックチェーン領域に特化した「HashHub」のように特徴的な打ち出し方をしているスペースまで幅広い。

ユーザーにとってオフィススペースの選択肢が増えることはいいことだけれど、数が増えるほど「自分に1番適している場所」を探す難易度も上がる。

本日4月15日にβ版がローンチされた「JUST FIT OFFICE」はまさにその課題を解決するためのサービス。人数やエリアを軸に複数のシェアオフィスやコワーキングスペースを検索し、同じ条件で比較できるのが特徴だ。

同じ条件で複数のスペースを簡単に検索・比較

JUST FIT OFFICEの使い方はシンプル。オフィスを探しているエリアと使用する人数、そして個室や専用デスクなどのスペースタイプを選択するだけ。そうすれば条件に該当するシェアオフィスやコワーキングスペースの一覧と地図が表示される。

特徴は初回支払額や1人あたりの賃料をするにチェックできること。社員数に応じて費用が自動で算出されることに加えて、「検討リスト」機能を使えば費用や広さなど、同じ軸で複数のスペースを比較できるため候補を絞り込みやすい。気になるスペースにはまとめて内覧の予約をすることができる。

現在掲載されているのは東京23区の中の14エリア内にある約40のスペース。運営会社や管理会社は無料で空いている部屋(もしくは今後空く部屋)・スペースを掲載でき、実際に内覧の申し込みが合った際に手数料を支払う仕組みだ。

検討リスト機能を使えば、同じ条件で複数のスペースを比較できる

正式版では一般の賃貸オフィスも含めて比較できるように

JUST FIT OFFICEのアイデアは、運営元のユースラッシュで代表取締役を務める内山裕規氏が自ら経験した“オフィス探しの手間”から生まれた。

取締役として携わっていたウェブクルーを離れた後、アーリーステージのベンチャーを経て2018年にユースラッシュを立ち上げた内山氏。自社オフィスとしてシェアオフィスやコワーキングスペースの活用も検討したが、サイトには部屋ごとの賃料や補償金の内容など肝心なことが記載されていないことも多かった。

結果的に欲しい情報を得るには現地で内覧をしなければならず「情報収集や整理に多くの時間と手間がかかった」という。

ユースラッシュ代表取締役の内山裕規氏

僕自身も数年前に都内でコワーキングスペースを半年ほど借りていた際、同じような経験をした。都内のコワーキングスペースの情報をまとめた個人ブログやオウンドメディアなどの情報を参考に目ぼしいスペースを探してみるのだけれど、情報がアップデートされていなくて現状の空席情報がわからなかったり、詳しい情報が公式サイトにすら記載がなかったりする。

結局1件1件問い合わせをして結構な時間がかかった覚えがあるから、必要な情報をオンラインで検索・比較でき、実際に内見したいと思える数件の最終候補まで簡単に絞り込めるサービスはニーズがありそうだ。

7月の公開を予定している正式版では、シェアオフィスなどに加えて一般の賃貸オフィスの情報も扱っていく計画。ユーザーにとってはより幅広い選択肢から最適なオフィスを選べるようになり、一方の運営会社はさらに多くの層にリーチできるチャンスが生まれる、そんなサービスを目指していくという。

なお正式版では掲載物件や施設を拡大するだけでなく、創業時や移転時に必要となるSaaSやオフィス関連ツール、資金調達や採用などの関連商材についてもサービス化を検討していくとのことだ。

中国の長時間労働にスタートアップが反撃

中国の労基法は1週間の労働時間は44時間とし、それ以上の労働には残業代を支払うことが定められている。しかし多くが法律を守っていない。そして活発なオンラインの利用が中国でにわかに急増しているテック部門における労働時間を長くしている。スタートアップの労働状況を改善するために社会のあちこちから人々が集まって声をあげているが、その一方で働くほどに成功につながる、という考えが染み込んでいる文化における障壁を指摘する人もいる。

3月下旬、匿名の活動家が996.ICUを立ち上げた。このドメインネームは中国人プログラマーの疲労困憊生活を意味している。最終的に集中治療室(ICU)送りになるリスクを伴いながら午前9時から午後9時まで、週6日働くというものだ。このサイトでははっきりとタダ働きの残業を禁じている労働法の詳細が案内されている。そしてややもったいぶって間をあけ、その下にスローガンがある。「Developers’ lives matter(デベロッパーの命も大切だ)」。

996.ICUというプロジェクトは、Microsoftが所有するコードツール共有サイトGitHubでもすぐにフォローされた。プログラマーが大勢集まって不満をさらけ出し、996労働を強いているとされる中国企業のリストを作った。そのリストには、eコマース大手のAlibaba、JD.com、Pinduoduoのほか、通信機器メーカーHuaweiや、ショートビデオアプリTikTokの親会社Bytedanceといった有名どころも名を連ねている。

TechCrunchへの電子メールによる回答で、JDは従業員に残業を強制していない、と主張した「JD.comはイニシアチブやハードワークに報いるという競争原理が働いている職場であり、これは我々の起業家というルーツに調和したものだ。我々は同じハングリー精神や価値観を共有するスタッフを求め、育成し、報いることで、そのルーツに戻りつつある」と広報は話した。

AlibabaはGitHubでの動きについてのコメントは拒否したが、創業者のJack Ma(ジャック・マー)氏は4月12日、996について自分の考えをWeiboで共有した。「どの企業も従業員に996で働くことを強制すべきではないし、強制もできない」とMaは書いている。「しかし若い人々は、幸福は勤勉からくるものだということを理解する必要がある。私は996を弁護はしないが、勤勉な労働者には敬意を表する!」。

Bytedance(バイトダンス)は、従業員が996で働いているかどうかについて、コメントはしなかった。また我々はHuawei(ファーウェイ)にもコメントを求めたが、この記事執筆時点で、返事は得られていない。

996.ICUは、世界で最大のソースコードのホストとうたっているGitHubで瞬く間に最も人気のプロジェクトになった。この抗議は明らかにテック大企業に向けられていて、中国のユーザーはその後すぐに、996を強いている企業が運営する多くのブラウザで996.ICUウェブページへのアクセスが制限された。

996ジレンマ

996のリストは、GitHubユーザーからの任意の情報提供で構成され、完全なものにはほど遠い。また、会社での平均労働時間をはっきりさせるのは難しく、部門によって規則が異なる数万もの従業員を抱える大企業では特にそうだ。例えば、他の部門の社員よりデベロッパーの労働時間が長いことは広く知られている。TechCrunchが聞いたところでは、とある組織のボスはしばしば、従業員との雇用契約に996を明記することなく、非現実的な業績評価指標を設定するなど、抜け道を開拓する方法を探している。

「我々の会社は996を強いることはないが、時に直属の上司の管理の不手際により、管理上の締め切りに間にあわせるために長時間労働を強いられることがある」と、ネットワーキングサイトで働く北京在住のエンジニアはTechCrunchに対し語った。このエンジニアは匿名で語った多くのソースの1人だ。なぜ匿名かというと、メディアに語ることを認可されていないからだ。

他の企業は、激務カルチャーを誇りにしていて、996についてより積極的に語る。Tencentがサポートし、Shopify(ショピファイ)に似ているeコマースソリューションのYouzan(ヨウザン)は明らかに996ワークスタイルをスタッフに求めている。このため従業員は1月に地元の労働当局に苦情を申し立て、当局はYouzanの調査を開始した、と言われている。

多くの企業がYouzanと同じく、長時間労働イコール成功とみている。そうした考え方はプログラマーや他の労働者に時間外労働を受け入れるよう駆り立てる。しかし燃え尽きてしまうのは従業員だけでなく、起業家たちはゼロから立ち上げた事業を成長させるためにさらに大きなプレッシャー下に置かれている。

「996をめぐる最近の論争は、中国のテック産業における熾烈な競争に光をあてることになった。生き残るためにスタートアップや大企業はかなりハードに働くより他はない。何人かの有名な起業家は1週間に100時間超も働いている」とアーリーステージファンドChina Growth Capitalの投資副部門社長Jake Xie氏はTechCrunchに話した。

「残業は多くのインターネット企業で常態化している。たくさん働かなければ、負けてしまう」と深セン拠点のモバイルゲーム開発スタートアップの創業者は語る。中国のモバイルゲーミング部門における競争は特に激しく、独創力が不足する中で成功への近道は、すでに知れ渡っている商品を打ち負かすことだ。それゆえに、スピードが命だ。

一方、中国で業績を重視する文化が起こっていて、これは社会の996への抵抗をないものにしてしまうかもしれない。こうした文化は、汗をかいてストレスを解消するためのスポーツジムやヨガスタジオに集うよう個人を駆り立てる。また、毎晩仕事に戻る前にグループで食事をとるのがそれぞれの社会生活にとって、特に子供を持たない人にとって不可欠なものになる。

「働くほどに学ぶことが多い、という考え方がある。一部の人はもっと働きたい、と考えていると思う。そうした人たちの割合は22〜30才で最も高い」とワークライフバランスに価値を置く、上海在住のテック企業幹部はTechCrunchに話した。「私のチームの何人かは、996の企業で働く彼らの友人ほどに速く成長することはできないと感じている、との考えを表した」。

「若い時に996のように働かなければ、いつ働くのか?」と54才のマー氏はWeiboへの投稿に書いている。「今日に至るまで私は996どころか、少なくとも12〜12で働いている。996を実行している人みんなが、偉業に近い価値あることをできるチャンスを手にしているわけではない。だから中国のBATが996で働けるというのはありがたいことだ」(BATは、中国のデジタル産業を牛耳っているBaidu、Alibaba、Tencentの頭文字をとった言葉で、米国のFANNGと同種のものだ)。

残業はもちろんテック産業だけに限ったものではない。中国の製造業分野においてはメディアや印刷業界もハードワークで知られている。隣国の日本ではサラリーマンの間で過労死という「残業による死」が多くあり、韓国企業もまた労働者に長時間労働を強いることで有名で、これは政府の介入につながった。

妨害にあっているにもかかわらず、996に反対する動きは中国国内で注目を集めた。流行りの話題「996ICUは大企業によって妨害されている」について2000近くの投稿があり、Weiboで630万もの閲覧があった。中国国営の放送局CCTVはインシデントを記録にまとめ、従業員に「実際に精神的、肉体的な重大な結果」を起こしている残業を非難した。中国外では、PythonのクリエイターであるGuido van Rossum氏が中国の996という働き方にちついてツイッターとフォーラム上で意識啓発した。

「中国の996プログラマーのために我々に何かできることはないだろうか」と彼はスレッドに書き込み、これは1万6700回閲覧された。

言葉だけの抗議で始まった996の抗議キャンペーンはすぐに実際の動きを伴うものになった。996.ICUプロジェクトに関与していないとする、上海拠点の弁護士Katt Gu氏とスタートアップの創業者Suji Yan氏は、反996ライセンスを進める。これは、オープンソースのソフトウェアを使うことで企業が中国国内やグローバルの労働法規に違反することがないようにするものだ。

しかし、一部の人はそうした制約がオープンソースの精神を傷つけるかもしれない、と注意喚起した。このオープンソースの精神とは、ソフトウェアは無料で提供され、学習、共有、クリエイターの作品を修正するできるよう、そのソースコードには誰でもアクセスできることを意味している。

「私は断固996に反対し、非難する。しかし同時にオープンソースプロジェクトに任意の箇条を加えたり、オープンソースプロジェクトを政治ゲームに使うことには賛成できない」とMITライセンスのもとにリリースされたオープンソースプロジェクトVueのクリエイターであるYou Yuxi氏は中国版TwitterのWeiboで語った(Guは彼女のプロジェクトには一切“政治的要素”は含まれていないとしている)。

その他には、さほど攻めのアプローチをとっていない企業もある。そうした称賛される企業は995.WLB GitHubプロジェクトを介して「午前9から午後5時まで、週5日勤務」という、より人間的なスケジュールを取り入れている。(WLBは「work life balance」の略)。この称讃企業のリストには、低成長で知られるが中国の自称ヒッピーに常に人気のある、本と映画のレビューサイトDoubanがある。従業員の職場外での生活を尊重するとうたっているコワーキングスペース提供のWeWorkもリスト入りしている。

996リストに挙がった多くの企業の多くは商業的には成功している一方で、長時間労働が成果を生む、という偏見を指摘する声もある。

「もし大企業で、996を強いていることが明らかになれば、問題はより注目される。YouzanとJDの例を考えるといい」と上海在住で企業向けソフトウェアスタートアップで働くデベロッパーはTechCrunchに話した。

「逆に言えば、996を強いていながら商業的に成功していない多くの企業は見過ごされている。企業の成長が996とリンクしているという十分な証拠はない。上司は労働時間ではなく、生産性に基づいてが部下の評価をすべきだ」。

また、他の人が提案するように、管理職の人はもっと働くことを部下に要求する代わりに、インセンティブを与えることに力点を置くべきだろう。

「(中国の)経済が失速しない限り、996を止めるのは難しい。これは個人の問題ではない。経済の問題だ。我々ができることといえば、人間的な配慮を提供し、労働者に労働時間を気にする代わりに「自由意志と情熱を持って働いているだろうか」と考えさせることだ」とChina Growth CapitalのXie氏は提唱した。

より洗練された労働時間になるまでにはまだ時間がかかるだろうが、専門家は労働者がよりいい待遇を求めることができる他のエリアを提案する。

「中国のほぼすべてのスタートアップは、特に創業まもないとき、すなわちシリーズAや、あるいはシリーズBのときすら社会保障や住宅の資金が不足しているようだ」と弁護士事務所Loeb & LoebのパートナーのBenjamin Qiu氏は説明する。

「996に比べると、従業員は規則に反していたり、経済的にダメージを与えているような件で強く法的手段に訴える。これは中国における公的な社会的信用や住宅資金要件が、シリコンバレーに比べて従業員にとってかなりの負荷になっていることを表している。しかしそれをもってしても、996文化の努力として理解されるかもしれない」。

私がインタビューした多くの人が匿名という条件で語った。それは彼らが属する企業が996を促進しているからというだけでなく、彼らの雇用主が996議論に巻き込まれたくないからでもある。ある企業の広報は「我々がワークライフバランスをサポートしていると人々に知らせる必要はない。行動で示す」と語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

Google Cloudがサービスメッシュのためのネットワーキング管理ツール「Traffic Director」を発表

いつも新しいテクノロジーが、新しい用語の一群を引き連れてやってくる。コンテナ化された世界では、アプリケーションは離散的な小片すなわちマイクロサービスに分割される。そんなサービスが増殖すると、サービスメッシュと呼ばれるサービスのネットワークが作られ、その上で彼らは対話する。このような新しいテクノロジーはつねに管理層(マネジメントレイヤ)が必要になり、とくにここではネットワークのアドミニストレーターが新しいコンセプトであるサービスメッシュを理解しコントロールしなければならない。

米国時間4月9日のGoogle Cloud Nextカンファレンスで同社は、オープンなサービスメッシュのためのTraffic Directorのベータを発表した。それはサービスメッシュの中で起きていることの、ネットワークの管理者による理解を助ける。

Google Cloudで技術的インフラストラクチャのエンジニアリングを担当しているヴァイスプレジデントのBrad Calder氏が、このツールを紹介するブログ記事でこう言っている。「サービスメッシュの採用を加速しその管理の苦労を減らすために、Traffic Directorをご紹介できることはきわめて喜ばしい。それはサービスメッシュのためのエンタープライズ対応の構成とトラフィックコントロールのプレーンであり、その上ではグローバルな回復力とインテリジェントなロードバランシング、および、カナリアデプロイメントのような高度なトラフィックコントロールが可能である」。

Traffic Directorは、オペレーションがサービスメッシュを自分たちのネットワーク上にデプロイする方法を提供し、その仕事ぶりやシステムのほかの部分との対話をより強力にコントロールできるようにする。このツールはGCP上のVirtual MachinesやCompute Engineで利用でき、コンテナ化されたアプローチではGCP上のGKE(Google Kubernetes Engine)で使える。

このプロダクトは4月10日の時点でやっとベータだが、そのロードマップには新たなセキュリティ機能とハイブリッド環境のサポート、そして最終的には、昨日同社が紹介したハイブリッド管理ツールAnthosとの統合も行われる。

関連記事: Google’s hybrid cloud platform is coming to AWS and Azure(ハイブリッド環境&マルチクラウド環境管理ツールAnthosの紹介、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国防省は1兆円超のJEDIクラウドの最終候補にMicrosoftとAmazonを選定、Oracleは選外

米国防省は10年で100億ドル(約1.12兆円)を支出するJEDIクラウドプラットフォームの契約者決定にあたって最終候補、2社を選定したことを発表した。抗議声明訴訟裏口からの大統領への嘆願を含む数々の努力にもかかわらず、Oracle(オラクル)は選に漏れた。選ばれた2社はMicrosoft(マイクロソフト)とAmazon(アマゾン)だった。

TechCrunchの取材に対し、国防省の広報担当官であるElissa Smith氏は2社がMicrosoftとAmazon(AWS)であることを確認し、以下のように答えた。

各社案を検討した結果、国防省はJEDI(統合エンタープライズ国防インフラストラクチャー)クラウドの調達にあたり、合衆国の法規ならびに当省の規定に合致した最終提案の提出をMicrosoftとAmazonの両社に求めた。この両社の提案が今後の調達決定過程において考慮されることとなる。

国防省のクラウド計画が業界の強い関心を集めたのにはいくつかの理由がある。まず第一に総額の巨大さだが、それ以上に重要なのはこれが勝者総取りのプロジェクトだということだろう。

MicrosoftにせよAmazonにせよ、調達に選定されたとしてもいきなり100億ドルのキャッシュが手に入るわけではない。また10年間という期間も保証されたものではない。国防省はどの時点であれ計画を中断ないしキャンセルできる。とはいえ、単一企業が契約者となるという点は当初から参加者に緊張を強いるものとなっていた。

昨年、Googleがレースから離脱する一方、IBMとOracleは「選定過程が不公平だ」と大声で不平を並べた。またこれほど大規模なプロジェクトをジョイントベンチャーではなく単一ベンダーに任せるという決定に対する疑問の声も上がっていた。一方、100億ドルというのはたしかにバカにできない金額だがクラウドビジネスでは天文学的というほどの数字ではないが、関心の焦点は金額だけではなかった。

この契約の勝者は今後、各種の政府調達契約で優位に立てるのではないかというのが重要なポイントだった。つまりJEDIプロジェクトはディナーの前菜で、この後にメインのコースが続くはずという予想だ。合衆国政府にとってももっとも高い信頼性、機密保持能力を求められる国防クラウド計画を首尾よく運営することができるなら、連邦政府、州政府の他の大型クラウド計画の選定過程においても絶大な説得力を発揮するはずだ。

結局、関係他社の抗議にもかかわらず、国防省はことを予想どおりに進めた。ファイナリストはクラウド事業でもっともある実績がある2社で、国防省の仕様書の内容を実行できる可能性がいちばん高かった。MicrosoftはAmazonからだいぶ引き離されているとはいえ、この2社がクラウドの1位、2位の事業者である点は疑いない。この分野をモニターしている調査会社のデータによれば、Amazonは圧倒的な33%、Microsoftは13〜14%程度で、この2社で市場シェアのほぼ半分を握っている。

Microsoftの強みは非常に強力な生産性アプリケーションを擁するAzure Stack。これはプライベートなミニAzureで、軍にとってはきわめて使い勝手がいいはずだ。しかしMicrosoftだけでなくAmazonももちろん政府業務の経験は十分に積んでいる。両社はそれぞれにメリット、デメリットがあるので、どちらかを選ぶのは非常に困難な作業となる。

去る2月にはさらに別のドラマが展開した。国防省は元Amazonの社員が国防省が作成した新サービスの仕様策定に関与したのちAmazonに戻ったかもしれないという利益相反の疑いについて調査を実施したという報告書を公開した。報告書は「利益相反の事実はなかったが、倫理的行動義務の違反となるような部分があったかもしれない。この点の情報については省内の倫理行動基準を調査する部門に引き渡した」と述べた。

国防省は今月末に勝者を発表するが、その後もドラマはさらに続きそうだ。

画像:SOPA Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アプリの定期購読申し込みをしつこく確認するアップルのiOS

Apple(アップル)は、操作に1ステップを追加して、ユーザーが誤ってiOSアプリのサブスクリプションにサインアップすることを防ぐようにした。これは、ルールに反して定期購読に誘い込む詐欺まがいのアプリへの対策になる。そのために導入したのは、サブスクリプションを確認するダイアログボックスだ。定期購読を申し込む意思があることを確かめるため、操作の最終ステップに表示される。

このiOSの変更は、最初にアプリ開発者David Barnard氏によって発見され、ツイートされた。そしてAppleのニュースサイト、9to5Macによってもレポートされた。

このような新しい確認ダイアログは歓迎すべきもの。自分の意思に反して定期購読を申し込んでしまうユーザーが増えているからだ。特にTouch ID付きのiPhoneが危ない。ホーム画面に戻ろうとしてホームボタンを押すと、Touch IDによる定期購読の確認とみなされてしまうことがある。Touch IDによって定期購読の承認とみなすよう、アプリが作られているのだ。

今回のアップデートの前にも、詐欺まがいの定期購読の問題に対処するため、ここ数ヶ月にわたってAppleはさまざまな対策を施してきた。

特にユーティリティ系のアプリを中心として、かなりの数のデベロッパーが、卑劣なトリックを使って定期購読のユーザーを増やし、年間数千ドル(約数十万円)、場合によっては数百万ドル(約億円)ものお金を荒稼ぎしていた。中には、意図的にユーザーを混乱させるようなデザインを採用したり、わずか数日しかない「無料のお試し」期間で釣ったり、その他誤解を与えるような策略によって、ユーザーを定期購読に引き込むアプリもあった。

こうして多くの消費者がカモにされ、購読料金を払わされることになった。それは怒りに満ちたApp Storeのレビューを大量に生みだした。このような詐欺行為の横行は、定期購読という仕組みそのものに広範囲の悪影響を与えることにもなりかねなかった。Appleが手をこまねいて野放しにしておけば、消費者はどんなアプリの定期購読を申し込むのも警戒するようになっていただろう。

もうしそうなってしまったら大問題だ。今や、定期購読はApp Storeにとって大きなビジネスに成長しているからだ。実際、ある予測によれば、2022年までに757億ドル(8兆3000億円)の市場規模まで成長するものと見込まれている。

そこでAppleは、行儀の悪いアプリの取り締まりに乗り出しつつ、iOSのユーザーが自ら定期購読を管理しやすくなるように対策してきた。

この1月には、デベロッパー向けの新たなガイドラインを提示し、許可されることと許可されないことを明確に定義した。さらに2月には、iOSをアップデートして、ユーザーが定期購読の設定に到達するまでのステップを少なくした。もちろん、素早く簡単にキャンセルできるようにするためだ。

新しいダイアログボックスは、以下のようなメッセージを表示して、有料の定期購読を申し込もうとしていることをユーザーが理解しているかどうか確認する。

「定期購読の確認:少なくとも購読期間が終了する1日前までに、設定によってキャンセルしない限り、定期購読は継続します。」

Appleは、この変更を公式には発表していないが、報告によれば、先週あたりから有効になっているようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「ソーシャルイントラネット」のLumAppsがシリーズBで27億円を調達

企業のための「ソーシャルイントラネット」をうたうLumAppsが、シリーズBラウンドで2400万ドル(約27億円)を調達した。今回のラウンドを主導したのは前回の支援者であるIdInventである。調達した資金はLumAppsのグローバルセールスとマーケティングを拡大するために用いられ、プロダクト開発を加速する。

LumAppsは2012年にパリで設立され、現在はロンドン、東京、サンフランシスコ、ニューヨークにもオフィスを抱える。同社が開発してきたのは、企業の従業員たちに、よりよい連携と協働をもらたす企業向けのウェブスタイルのソーシャルイントラネットである。

このソリューションは、G Suiteや、Microsoft Office 365やMicrosoft Sharepointと統合されており、モバイルからもアクセスが可能だ。全体として、パーソナライズされたコンテンツ、ソーシャルコミュニケーション、作業ツール、およびエンタープライズアプリケーションの中心的なハブとして機能するようにデザインされている。

「私たちがLumApps Social Intranetソリューションを立ち上げたのは2015年のことですが、それは私たちの古くからの顧客であるVeoliaが彼らの必要に応えてくれるプラットフォームの開発を依頼してきたことが始まりでした」とLumAppsの創業者で最高経営責任者(CEO)のセバスチャン・リカール氏は語る。「私たちは程なく、すべての企業の中に、社内コミュニケーションと従業員のエクスペリエンスを変革するための、最新のイントラネットへの大きな需要があることに気付いたのです」。

彼によれば、その理由は、企業内でのコミュニケーションが困難で、電子メール、ライブチャット、ソーシャルネットワークなどのさまざまなツールに分散しているためだと言う。そうしたソリューションは一般的に互いに切り離されており、サイロ化しているのだ。このことは、大企業では特に当てはまるケースだ。大企業の中では、情報を見つけて適切な人に連絡することが非常に困難になる可能性があるのだ。

「私たちの夢は、全ての人が、1か所から、ワンクリックで役立つ情報にアクセスできるようにすることでした。とても単純な話です。そこで私たちは、イントラネットとソーシャルネットワークを、最新の新しいテクノロジで橋渡しするソリューションを構築したいと考えたのです。ユーザーたちが好きになってくれる場所を作るということです」。

その根幹を成す部分で、LumAppsは単にありふれたビジネス課題を解決する(例えば従業員たちかより引き付けられ高い生産性を発揮できるような協働ワークプレイスを提供することなど)だけではいけない、とリカール氏は語る。「全ての大企業が、それぞれのデジタルワークプレースを構築しています。そして会社のチームからのものだけではなく、取引先からのものも含む、コミュニケーション、ニュース、メモ、アプリケーションなどを収容するための、全ての従業員のための中央イントラネットを持つことが重要なのです」。

本日のシリーズBによる資金調達と、大小の企業に広がる顧客ベースを見る限り、そのミッションはうまくいっているように思える。LumAppsを使用している企業としては、例えばVeolia、Valeo、Air Liquide、Colgate-Palmolive、The Economist、Schibsted、EA、そしてLogitechなどの名を挙げることができる。そのイントラネットソフトウェアを、世界中で400万人以上のユーザーが利用している。

「フランスの起業家として、このような世界的な成功を収めることがずっと夢でした」とリカール氏は付け加えた。「特に2016年に米国に進出したときには、大きな変化を経験しました。初めて縮小を体験したのです。何故かって?私たちはただプロダクトを持っていただけで、文化と市場の特性をまだ理解できていなかったからです。そこから米国人の人材を雇用し、全てを構築し直して強固な基盤を作るためには時間がかかりました…現在私たちは、特に米国市場に集中している、世界に分散した150人強のチームを抱えています」。

[原文へ]

(翻訳:sako)

ハッキング容疑でウィキリークス創設者を逮捕、米が引き渡しを要請

WikiLeaks(ウィキリークス)創設者のJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)が英国の保釈条件に違反した容疑で今朝早くにエクアドル大使館内で逮捕されてから事態が急展開する中で、アサンジ容疑者は米国の要請に基づき再逮捕された。これにより、同容疑者は米国からの身柄引き渡しに直面することになりそうだ。

アップデートされた声明で、ロンドン警視庁は以下のように述べている。

ジュリアン・アサンジ(47才、1971年7月3日生まれ)は本日4月11日木曜日、中央ロンドン警察署に身柄を送致された後の10時間53分に、米国当局の要請に基づき再逮捕された。これは、犯人引き渡し法第73節下での引き渡し令状によるものだ。容疑者はウェストミンスター司法裁判所に可能な限り早く出廷する。

同容疑者は、ロンドン警視庁に拘留中に再逮捕された。WikiLeaksによると、彼はウェストミンスター司法裁判所に今日午後に出廷することになっている。

WikiLeaksはまた、アサンジ容疑者が米国の前陸軍情報分析官Chelsea Manning(チェルシ−・マンニング)がWikiLeaksに漏らした機密情報を公にしたという共謀罪で、米国の引き渡し令状に基づいて逮捕されたとツイートした。

米国で同容疑者が訴追されたことは昨年、まったく関係のない裁判文書でWikiLeaks創設者への訴追が載っていることが公になった後に、思いがけず明らかになった。

米司法省は木曜日、アサンジ容疑者が米国の機密コンピューターに侵入しようと企てた疑いがあることを声明で明らかにした。検察は、SIPRNETとして知られる米国政府機密ネットワークにマンニングがログオンするのに必要なパスワードを入手するのをAssange容疑者がほう助した、としている。

ジャーナリストは機密情報の出版に関して、米国憲法修正第一項の言論の自由保護のもとにほぼカバーされていて、犯罪ではない。しかし同容疑者はまた、機密のネットワークから情報を漏洩するようマンニングを「積極的にそそのかした」としても告発されている。司法省は、アサンジ容疑者に最大5年の服役刑が科される可能性があるとしている。

マンニングはオバマ大統領が2017年に任期を終える前に恩赦が与えられて減刑され、その年の5月に釈放された。そして今年3月、WikiLeaksを調べる大陪審への証言を拒んだとしてManningは再逮捕された。マンニングは米国の刑務所に入ったままだ。アサンジ容疑者の英国から米国への引き渡しプロセスは数年かかるかもしれない。そしてどのような結果になるかは不明だ。

例えば、英国のコンピューターハッカーであるGary McKinnonの別件では、当時のTheresa May内相が健康の観点から2012年に引き渡しを阻止した。

アサンジ容疑者の弁護士の1人、Geoffrey Robertson氏がBBC Newsに語ったところでは、「アサンジのケースでは、米国が公共にとって重要な情報を出版した出版者を引き渡すよう求めているという、法外な振る舞いをしている」と述べた(The Guardianより)。

Robertsonはまた、アサンジ容疑者の「健康問題」の観点からもエクアドル大使館にいるより英国警察の拘置所にいる方がいい、と示唆した。

今朝早くに逮捕される前、同容疑者は2012年以来、エクアドル大使館に籠もっていた。そこへは、スウェーデン当局による性的暴行容疑捜査に関連して、英国で保釈されている最中に駆け込んでいた。

そうした容疑の捜査は後に打ち切られたが、アサンジ容疑者容疑者は米国へ引き渡される恐れがあるとして大使館内にとどまっていた。エクアドルが今朝早く同容疑者の政治亡命を却下するやいなや、英国の警察がただちに逮捕に動いた。

【アップデート】米国時間4月11日にロンドンの裁判所に少しだけ出廷したアサンジ容疑者は、保釈条件に違反した罪で有罪とされ、量刑言い渡しまで拘留される。The Guardianは、引き渡し要請に関連して同容疑者は5月に出廷することになっている、と報じている。

米国のアサンジ容疑者に対する起訴状は下記の通りだ。

Image Credits: Dinendra Haria/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Imagesunder a license.

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ビジネスに関する相談を他ユーザーとディスカッションできる「GIRON」が本日リリース

ビジネスに関する相談をディスカッション形式で行えるアプリを紹介しよう。本日よりリリースされた「GIRON」は、相談案件をスマホアプリで投げ込むことで、専門家や異業種のユーザーからアドバイスをもらえるアプリだ。

助言をするユーザーがGIRONに参加するモチベーションを作り出すために、GIRONでは投げ銭システムを用意。相談投稿者は事前に「G-Coin」と呼ばれるサービス内通貨を購入。すぐれた助言に対してG-Coinを投げ銭する仕組みだ。

「日本において企業の99.7%を占めると言われる中小企業が持つ深刻な課題や、ビジネス・パーソンが個人として抱える悩みなどをオープン化することで、知的リソースを外部活用できる場を目指します」と同アプリを運営するGIRONはコメントしている。

ディズニーのストリーミングサービス「Disney+」が投資家集会でお披露目

ディズニー(Disney)は米国時間4月11日、株主たちの集会で消費者に直接コンテンツを届けるストリーミング製品を披露した。同社のストリーミング製品にはすでに、最近20世紀フォックス社を買収したことによって権利を得たHuluとESPN+、そしてインドのストリーミングサービスHotstarが含まれるが、同社役員たちはもっぱら来たるべきDisney+の立ち上げを派手に持ち上げた。

まず彼らが確認したのは、HuluやESPN+と違ってDisney+は完全に広告がなく、ユーザーの会費が唯一の売上になることだ。ディズニーの子会社であるWalt Disney Direct-to-Consumer and InternationalのKevin Mayer会長によると、同社はまたHuluとESPN+とDisney+のフルセットを割引料金で提供する“かもしれない”、という。

Mayer氏らディズニーの役員たちは、彼らがDisney+サービスの“実働プロトタイプ”と呼ぶものを披露した。それはほどんど、そのほかのストリーミングサービスと変わりないが、彼らが強調したのは、すべてのコンテンツがダウンロードでき、オフラインで見られることだ。

このサービスはさらに、ディズニーの各種エンターテインメントブランドのポートフォリオを強調している。つまりそれは、ディズニー・アニメ、Pixar、スターウォーズ、マーベル(Marvel)、National Geographicなどいくつもの部門に分かれている。そしてそこには、既存の作品のライブラリが収められる。最初は完全ではないが、2年ぐらいかけて完備する。そのためには、Netflixなどのサードパーティとの契約更改も必要だ。

Disney+ rollout

Disney+初公開

例えば、このサービスには最初から同社のアニメーションスタジオのSignatureシリーズ13編全編が含まれるし、スターウォーズ3部作の最初の2つと「フォースの覚醒」、そして「キャプテン・マーベル」やそのほかのマーベル作品もある。

さらにディズニーは、このサービス限定のオリジナル番組も作る。この集会で紹介されたそれらのハイライト集は、ウェブキャストにはない。それにはマーベル作品の全編も含まれ、マーベルのKevin Feige社長によるとそれらはディズニー作品と密接に関連したものになる。そのほか、スターウォーズのテレビドラマ版The Mandalorianや、ローグ・ワン(Rogue One)のキャラクターであるCassian AndorとK-2SOに関する番組もある。

では一般消費者はいつから、これらのコンテンツを見られるようになるのか。同社によると、米国では11月12日から月額6ドル99セントの会費でスタートする。そしてDisney Streamingの社長Michael Paull氏によると、計画ではそのほかの北米地区とヨーロッパとアジア太平洋およびラテンアメリカは2021年内にということだ。そしてまたDisney+は、「ザ・シンプソンズ」の独占ストリーミングも行う。

画像クレジット: Disney

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa