デンバーに拠点を置くAMP Roboticsによって開発されたリサイクルロボットに、投資家たちが1600万ドル(約17億円)という資金を注ぎ込んだことで、ゴミの山から宝を掘り出す問題は、ハイテクなソリューションを見つけつつあるようだ。
リサイクル業者たちにとって、業界の問題に取り組むロボットの商用化は、これ以上ないというほどのタイミングでやってきた。かつて安定していた彼らのビジネスは、貿易戦争と低い失業率によってその足元をすくわれてきたからだ。
かつてリサイクルビジネスは、(中身の質には関係なく)どんな廃棄物でも中国の買取に任せることができていた。しかし約2年前、中国はもはや世界のゴミ捨て場として振る舞うことはやめることを決定し、他の国から喜んで受け取る原材料の種類に対して、厳しい基準を設けた。その結果は、リサイクル施設のコストを押し上げ、今ではゴミをより効率的に分別する必要に迫られている。
また同時に、低い失業率によって、基本的に人間が廃棄物をリサイクル可能な材料とゴミに手で分別しなければならない施設での、労働力確保が厳しいものになっている。
経済的な現実を目の前にして、リサイクル業者たちはAMPの技術に注目している。これはコンピュータービジョン、機械学習、ロボットによる自動化を組み合わせて、施設の効率を改善する技術だ。
それが、同社の最新ラウンドを主導したSequoia Capitalを引きつけたのだ。国際市場のへの展開を睨み、同社は調達した1600万ドル(約17億円)のシリーズAの資金を、製造能力の向上と成長の加速に注ぐ予定だ。
「テクノロジーでリサイクル産業の経済性を変革するAMPと提携できることに大いに興奮しています」と声明で語るのは、SequoiaのパートナーであるShaun Maguire(ショーン・マグワイア)氏だ。「ここ数年の間、業界は労働力不足と商品価格の低下によって利益幅を圧迫されてきました。その結果、業界は積極的にコスト削減の代替手段を探し、より価値の高いリサイクル可能物を回収することで収益を増やす機会を追加てきました。その中でAMPが主要なソリューションとして浮上しているのです」。
この資金は「今後の守備範囲を広げる」ために使われる、と最高経営責任者のMatanya Horowitz(マタニャ・ホロウィッツ)氏は語る。リサイクル施設がバイヤーに出荷できる材料の、分別コストを削減し品質を改善するだけでなく、同社のコンピュータービジョンテクノロジーは、実際にブランドパッケージを識別し、各企業が自社の製品ライフサイクル管理を改善するために使用するのに役立つ。
「私たちは…それがコカ・コーラ缶なのかペプシ缶なのか、それともスターバックスのコップなのかを識別できます」とホロウィッツ氏は言う。「人々がリサイクルのために製品をデザインすることを手伝うことができるように…私たちはレポート機能を開発していますが、それがお客さまから、高い興味を持っていただいています」。
ホロウィッツ氏によれば、ロボット、コンピュータービジョン、機械学習の組み合わせは、リサイクル業界以外にも潜在的な用途があるという。自動車のスクラップと建設廃棄物は、同社がソフトウェアとハードウェアの組み合わせの適用に関心を寄せているその他の分野だ。
一方、中核事業のリサイクル向けは上向いている。10月には、同社はフロリダのSingle Stream Recyclersで14台のロボットの設置を完了した。リサイクル業界で一度に設置されたロボットとしては最大規模であり、人間に比べてより高度な正確性をもち2倍の速さで分別を行うことかできる。それらが、プラスティック、各種ケース、繊維、そして金属などの選別ラインに投入されたと同社は述べている。
AMPのビジネスには、ロボットサービスの提供と直接販売オプションという2つの独立した収益源があり、カリフォルニア、コロラド、インディアナ、ミネソタ、ニューヨーク、ペンシルベニア、テキサス、バージニア、そしてウィスコンシンの各サイトで導入を行っている。
同社がコア事業で追求しているものは、BV、Closed Loop Partners、Congruent Ventures、そしてSidewalk Infrastructure Partners(新しいインフラストラクチャプロジェクトをサポートするテクノロジーに投資する、Alphabet子会社からのスピンアウト)などの初期投資家たちに有効性を認められている。
Sidewalk Infrastructure Partnersで、自社のAMP Roboticsへの投資を主導したプリンシパルであるマイク・デルシア(Mike DeLucia)氏にとって、この取引は、彼の会社が今後資本を投入する予定の場所を指し示している。
「物理的な資産をより効率的に運用できるようにする技術です」と彼は言う。「私たちの目標は、本当にエキサイティングなインフラストラクチャプロジェクトを可能にするテクノロジーを見つけて、それらを支援し、それらと協力して現実の物理的な世界でプロジェクトを提供することです」。
デルシア氏や、投資会社Congruent VenturesのAbe Yokell(エイブ・ヨーケル)氏などの投資家たちは、リサイクルはまだ始まったばかりだと考えている。AMP Roboticの機械学習およびコンピュータービジョンテクノロジーの用途は、リサイクルセンターをはるかに超えた場所に多数考えることができる。
「テクノロジーが都市環境にどのように関わることができるかを考えたとき、1つの適用分野はマシンビジョンです」とヨーケル氏は言う。「(機械学習)ニューラルネットが実際の環境に適用できるようになって、より安価で簡単に展開できるようになりました」。
[原文へ]
(翻訳:sako)