完全栄養食を目指すSoylentがバージョン2.0をリリース、今度は最初からドリンク製品で

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食事をそれだけで済ませられる完全栄養ドリンクSoylentが、その製品のニューバージョンを出した。社名と製品名が、人間を原料とする食糧を人間が食べるというSF映画に由来しているが、同社はすでに相当額をVCから投資されている。同社が今朝(米国時間8/3)発表した”Soylent 2.0″は、原料が今回も人間ではなく大豆ベースの菜食食品で、今度は最初からドリンクとして発売された。以前の製品形態は、一食ぶん3ドルの粉末状で、専用のスプーンとかき混ぜ器がついていた。

価格はやや下げられて、400キロカロリー相当が2ドルとなり、月額契約では70ドルだ。炭水化物と各種アミノ酸と蛋白質と各種ビタミンを含む栄養ドリンクと考えればよい。

同社は、スタート時から話題になった。とくに一部の技術者や学生などは、コーディングで忙しいときなどに、食事をこれで済ませることを期待した。

でも同社の製品は、一部の熱心なニッチを超えて一般消費者に広まることはなかった。それは、新奇であるとか、粉末を溶かすのが面倒だからではなく、その、“食べ物をディスラプとする”というマーケティングの姿勢がラジカルすぎたからだ。実際、ファウンダのRob Rhinehart自身も、一ヶ月間Soylentだけを食べて生活したが、その後、ふつうの食品を“食べるレクリエーション(recreational eating)”と称して食事に加えた。今同社の顧客は5万名あまり、と言われており、その中には一回しか買わなかった人たちもいる。

しかし今回、最初からドリンクとして発売されたニューバージョンは、“まったく新しい配合”と称し、体が必要とするビタミンやミネラル、脂肪、炭水化物、蛋白質などを組み合わせている。またターゲットも新たに見なおして、同社のブログによると、食事をファストフードで間に合わせる人たちや、朝食の内容がお粗末な人たちが健康を増進できるための新しい食品、を謳っている。

人間の食事全体をディスラプトする、という最初の姿勢から、お粗末な食事になりがちな人びとのための健康食、という方向転換だ。たしかにこちらは市場も大きいが、ただしEnsure、Boost、Slimfast、Atkins、Special K、Nutrisystemなど、既存のコンペティタも多い。このほか、アスリートのためのプロテインドリンクなど、特殊栄養食とも競合する。

Soylent 2.0は、天然海藻由来の油脂を主なエネルギー源とし、エネルギーの47%が健康的な油脂なのでGI値(血糖値上昇係数)も低い、と主張している。残る33%は消化の遅い炭水化物、20%は蛋白質だそうだ。この配合は、瞬発力よりもむしろ、ゆっくりと持続するエネルギー源をねらっているようだ。

一瓶に人間が一日に必要とする必須ビタミンとミネラルの20%が含まれ、室温で1年もつ。

ただし消費者の手に渡るのはこれからだから、今度の海藻に大きく依存しているニューバージョンのお味はわからない。同社はこれまでにも何度も味や配合を変えており、いちばん最初の粉っぽいような泥っぽいような感じは、なくなっている。初期のテスターたちの反応はまちまちで、いろんな意見がある。Stephen Colbertは、一度試飲したとき、ただちにチョコレートシロップを加えたそうだ。一方The New Yorker誌は、Soylentを”end of food”と呼んだ。

新製品は12パック29ドル(一瓶2ドル42セント)で10月15日に発売される。Ensureはウォルマートで16パック20ドルだから、コンペティタよりも高いが、同社は、砂糖ばっかり多いコンペティタよりも栄養価が高くて健康的だ、と主張している。たしかに、必須栄養素を完備しているコンペティタは、ないようだ。

ただし問題は、今、市販のエナジードリンクなどを飲んでる人たちが、内容に惹かれてSoylentに移行するかどうか、だ。試しに飲んでみる人たちが、どれぐらいいるだろうか。

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あなたの体の内部の3Dモデルを見せてくれるKlarismoが$2.1Mを調達、病気になってからMRIしたって遅い!

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MRIなどのボディースキャン情報から人間の3Dモデルを作るKlarismoが、210万ドルの資金を獲得し、Y Combinatorからローンチした。

Klarismoにネットでアクセスして3Dモデルを作ってもらうと、体の内部構造がよく分かるようになる。ただしサービスを利用するためには、MRIスキャンなどのスキャンデータをKlarismoに提供する必要がある。3Dモデルもネット上で画像として提供され、経時的にこのサービスを利用すると、筋肉が増えたなとか、体脂肪が減ったななど、体の時系列的な変化を見ることができる。脾臓など、内蔵の形や色の変化も分かる。

CEOのMarcus Fosterは語る: “このサービスを利用すると、体の内部が分かる。減量や増量、筋肉の増強などに努力しているアスリートにとっては、とても役に立つサービスだと思う。体の、自分が見たい部分の変化を知ることができるサービスは、これが今のところ唯一だ。筋肉の組織の一つ一つが手に取るように分かるし、体内の脂肪の減り具合も分かる。ほかの方法では、それを見ることはできない。今までに見たことのないやり方で、自分の体を見ることができるんだ”。

しかもそんな3D画像データは、個人ばかりでなく、保険会社や医薬関連の企業にとっても利用価値が大きい。それまでは、そんな大企業ですら、人の体の内部を簡便に見る方法を持っていなかった。3Dモデルを作るための元データはKlarismoのものではないから、ほかの企業がもっと高値で入手することも、できるだろう。

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Klarismoは今、いくつかの検査機関とパートナーしてボディースキャンのデータを得ている。データの借り賃は、一体につき250ドルだ。今後はもっともっと多くの、そしてメジャーな、検査機関とパートナーして、世界中の何千何万ものスキャンデータを入手したい、また、できるだけ多くの人びとに、日常的なボディースキャンを習慣づけたい、とFosterは言っている。

3Dモデルが完成したら、ユーザがたとえば、“脾臓を見たい”と入力すると、その部分の立体像を見せてくれる。

Foster自身がこれまで、何度も自転車で事故に遭ったし、脳には腫瘍がある。そこで彼は、誰もが簡単に体の内部を見られる方法がほしい、と思うようになった。

“これまでは、スキャンが終わると、X線技士がわずか2行ぐらいの所見を書き、それに基づいて治療が処方された。患者自身がそのデータを見ることはないから、体の内部の詳細はわからないままだ”、とFosterは語る。

“しかも、実際に病気になってからスキャンすることが圧倒的に多いから、遅すぎるのだ。病気になれば、何らかの症状がある。たとえば癌ではステージ3でスキャンすることが多いが、それでは手遅れなのだ。もっと健康な時点から、定期的にスキャンしてくれるところがあれば、それがいちばん良いのだけど、身近にそんな便利な検査機関がないところが多い”。

Y Combinatorの夏季クラスの生徒としてもらう資金のほかに、同社はKhosla Venturesやlowercase capital、そしてAtomicoからも資金を得ている。

彼によると、体の3Dデータがもたらすもうひとつの利点が、医学研究の進歩だ。研究目的で利用されるとき、データは匿名化されるが、それは研究の支障にはならない。実際に死体解剖などをしなくても、簡単かつ頻繁に体の内部を見られることは、医学教育も大きく進歩させるだろう。新しい治療法の発見も、より早くなるはずだ。

“スキャンデータが今後何十万〜何百万体ぶんも集まれば、その研究資料としての重要性や利用価値は計り知れない。それだけのデータをどうやって集めるか、という方法論も重要だが、ぼくの関心は、そこから作れる新しい消費者製品にある。Klarismoのサービスも、元々は消費者製品がねらいだけどね”。

アップデート: 競合の状況などを追記。

関連記事(1)(2)(3)。〕

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RNA診断のCofactor GenomicsがY Combinatorに‘入学’、DNAよりも正確でリアルタイムな遺伝子検査を目指す

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このところY Combinatorは、計算生物学や生物情報科学の分野にも手を広げているが、今回はその孵化器の中に、かつてHuman Genome Projectの作業を手がけたこともある人たちによる、RNA試験の実験的開発企業Cofactor Genomicsを迎えた。

DNAと人体を構成する蛋白質との中間に位置するRNAは、DNAよりも正確でリアルタイムな診断を可能にする、と同社は主張する。DNAはあくまでも情報的であり、したがって予測的予報的な存在だ…将来の疾病の可能性は分かるが、今どうなっているかは教えてくれない。

RNAはしかも、食べ物や生活環境などの変化とともに、動的に変化する。

同社のCEO Jarret Glasscockはこう述べる: “RNAの方が、健康のバロメーターとして優れていると思う。動的に変化するから、疾病の早期診断が可能だ。DNAは予報的だが、RNAでは細胞の分子署名が早めに分かる”。

6年前にミズーリ州セントルイスで創業された同社は、すでに大手製薬企業9社と契約している。また国立衛生研究所から、約150万ドルの補助金を得ている。

彼らのRNA診断技術はとくに、癌や心臓疾患、アルツハイマー病などの早期発見を簡単な血液検査だけでできる点で、期待されている。料金などはまだ気の早い話だが、来年には診断サービスを供用開始したい、と考えている。

協同ファウンダのGlasscock、Dave Messina、Jon Armstrongらは、中西部出身の彼らが、今回シリコンバレーとのご縁ができたことによる、新たなビジネス機会に恵まれることを、期待している。

“田舎者とバカにされることはないけど、でもバレーとのコネでイメージがアップすることは確実だね”、とGlasscockは語る。

CofactorはRNAだが、ここ数年シリコンバレーでは、DNA診断企業への投資が一種のブームになっている。たとえばColor Genomicsは、乳がん遺伝子BRCA1とBRCA2を同定し、Counsylは、その人物の子どもに遺伝するかもしれない劣性遺伝子を検査する。

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あなたが住んでる都市は怠け者が多いかな?…Humanがそれを知っている

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アクティビティアプリが大流行なのは、スマホなどと違ってスマートウォッチや腕輪、脚環などは一人がなんぼでも身につけられるからかもしれない。またAppleのHealthKitなんかもブームをひっぱっているだろう。今やいろんなアクティビティが行われており、またそれらから発生するデータも、いろんなアプリの餌(えさ)になっている。

でも、そういうデータを見ていると、おもしろいことが分かることもある。Humanは、人間という意味ではなくてこの際会社の名前だけど、そのHuman社にはiOS用のフィットネス測定アプリがある。30分間のアクティビティやエクササイズの経過や結果を測定するのだけど、このほど、そのデータの一部が(匿名化されて)共有された

同社のサーバに世界の900の都市のユーザからほぼリアルタイムで送られてくるアクティビティデータを分析した結果、各都市の活発度が分かるようになったのだ。たとえば下図は、左がサンフランシスコ(一日のアクティビティ時間65分)、右が全都市平均(50分)だ:
・ライトグレー…車や交通機関に乗ってる
・ブルー  …自転車に乗ってる
・赤    …歩いてる
・オレンジ  …ランニングしてる
・ダークグレー…その他

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それらユーザデータによると、ここ数日間でいちばんアクティブだった都市はベルリンだ(アクティビティ時間85分、下図)。ぼくはベルリンにしばらくいたことがあるけど、だいたい彼らのアクティビティは、歩くことが多いね。歩くよー、連中はどこへでも。

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この図を見て、もっとアクティブになろう、と決意した人はいないと思うけど、でもアクティビティに関するデータを視覚化した試みとしては、ユニークだしおもしろいよね。

Foursquareもこういうのが上手だったけど、今は、やっていない。それらはユーザの移動データではなく、位置データだったけどね。

[昨日と今日のアクティビティ時系列の比較]
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ユーザ数がもっと多ければデータのクォリティも上がるけど、今のユーザ数300万人でも十分おもしろいよ。とくに、歩き、ランニング、自転車など、タイプ別に分類しているのが良いね。

ご自分の都市を見てみたい人は、こちらへどうぞ。

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妊娠を助けるアプリGlowから性教育アプリRubyがリリース、アメリカでも正しい性知識がまず重要

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女性の懐妊(または避妊)を助けるGlowから今日(米国時間7/30)、女性の健康的な性を支援するiOSアプリ、Rubyが登場した。

RubyもGlowのそのほかのプロダクトと同系列だが、生殖ではなく、もっと一般的な性を扱う。うむ、女性の性って、赤ちゃんを作ることだけじゃないもんね。

嘆かわしいことに、モバイルの世界には、若い女性のための性教育が皆無だ。アプリはあることはあるけど、Googleで情報を調べた方がまだまし、というレベルのものばかり。

たとえばiOSアプリのSex Positiveは、学生のための性教育を意図している。たしかに学生には、性に関する、これはOK、これはノーという知識が必要だ…女性の4人に1人が大学時代にレイプされたり、されかかったりしている。でも学生がそこらの適当なアプリをダウンロードしても、そんな目に遭わないための正しい行動や態度を教えてはくれない。

Rubyが一味違うのは、まず、女性をサポートするコミュニティがある/作られること。そこで自分の性の状態やそのほかの健康状態を、ほかの人たちと対照して理解することができるし、また生理の記録をつけて今後の周期を知ることもできる。そしてRuby自身も、年上の賢いお姉さんのように、性について主体的に考えるための情報やリソースやアドバイスを教えてくれる。

若い女性に自分の体を肯定的に受け入れ健康に関する理解を深めるための方法を提供することが、私たちの使命だ。
— Jennifer Tye, Glow

これらは、従来のアプリになかったポジティブな特徴だ。ティーンと若い女性は、性や人間関係や身体像に関する、大量の間違った情報に毎日触れている。ティーンの妊娠率は保守的な南部の州でいちばん高いが、それらの州では性教育が実質的にゼロで、またある調査によると、合衆国の18歳から29歳までの女性の60%以上が、正しい避妊知識を持っていない。

今女性の心理を支配しようとしている社会的な動向を知りたければ、コンビニの雑誌(女性誌)売り場へ行ってみるとよい。女性の性的魅力を高めるため、と称する、化粧、ファッション、振る舞いなどに関する、ばからしい記事が満載だ。ほとんど笑えてしまうような記事も多いが、知識と情報に基づく主体性をまだ獲得していない女性は、これらの記事を鵜呑みにしてしまうかもしれない。

Rubyのねらいは、女性、とくに、往々にして間違った自己像を持ちがちな若い女性に、健康と受胎調節と安全な性に関する、正しい意思決定能力を持ってもらうことだ。

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Rubyは、未成年妊娠を防止しようとするNPO National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancyが運営する受胎調節教育サイトBedsiderとパートナーして、当アプリの重要な情報を得ている。

“若い女性に自分の体を肯定的に受け入れ健康に関する理解を深めるための方法を提供することが、私たちの使命だ”、とGlowのマーケティング担当VP Jenifer Tyeは語る。

Rubyはまた、ローンチ時に、開発途上国の若い女性に生理用品と性教育を提供するNPO Huru Internationalとパートナーした。ウガンダのような途上国では、生理時の女の子が学校を休むことが多い。生理用品がなくて、教室を汚すからだ。Rubyはソーシャルメディア上のキャンペーンで、そういう少女たちが学校に行けるよう、助けようとしている。だれかがハッシュタグ#TalkRubyToMeにツイートやポストをするたびに、Glowは1人の若い女性の一日分の生理用品をこのNPOに寄付する。

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AncestryDNAとGoogleのCalicoが共同で遺伝子操作による長寿の可能性を研究

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シリコンバレーには、不死に関するサイトで当てようとする人びとが少なくない。死を少しでも遅くするための取り組みなら、Googleの中にもある。今回は、最大の家系調査サイトAncestry.comの一部門であるAncestryDNAが、Googleの中の修道院のような企業Calicoとパートナーして、人間の遺伝子と長寿との関係を研究することになった。

AncestryDNAは100万人以上の人びとの遺伝子データと家系図をホストし、それらは数百年の過去にさかのぼることができる。

計画ではその、Ancestryのデータベースにある100万の公開家系データを匿名化したうえで調べて、長寿が遺伝形質か否かを判定する。Calicoはその結果に基づいて、商用の長寿療法を開発する。

CalicoのCSO(Chief Scientific Officer) David Botsteinは声明文の中で次のように述べている: “昔から誰もが、長寿には遺伝的な要因もあるのではないか、と思わせる現象に遭遇している。しかし遺伝子工学の標準的な手法では、長寿を司る遺伝子を見つけることは難しい。今回われわれは特異な機会に恵まれ、人間の高品質な家系図を用いる研究により、長寿に関するまだ答えられていない基本的な疑問を解明したいと願っている”。

科学者たちはすでに、人間を長寿にする遺伝子を同定している。またマウスを使った遺伝子治療では、DNA操作により不死の生命、もしくは地上における長寿の、実現の可能性が示された。

でも、Googleの“未来学者”Ray Kurzweilも以前言っていたけど、“寿命は統計的な現象であり、誰にでも、明日バスにはねられる確率はあるのである”。

 

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ジョンズ・ホプキンス大学、生体組織検査用にナノメーターサイズのロボットを開発

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ナノメーターサイズのロボットを使って、非侵襲的に体内の組織片を採集する方法が動物実験段階にあるらしい。開発したのはジョンズ・ホプキンス大学のDavid Gracias教授だ。上の写真にあるヒトデ型のロボットを体内に送り込み、そして小さなサンプルを収集する。その組織を使ってさまざまな検査を行うわけだ。

このロボットは体温、pHレベル、あるいは特定の酵素などに反応するようになっている。すなわち、予め設定しておいた条件が満たされる場所に到着すると、このロボットは形を変えて組織の採取を行うのだ。

たとえば特定の温度に反応するようにしたロボット群を結腸に送り込む。ロボットは温度を検知して結腸の位置を認識し、そして形を変えてサンプルを獲得する。

送り込んだロボットのすべてがサンプルを獲得できるわけではない。ただしロボットは数千の単位で送り込み、そのうちの3分の1程度が組織片を取得することで、十分な検査対象が入手できるのだそうだ。

現在、動物実験には成功して、人間の治療に用いるための準備を進めているところなのだとのこと。動作精度を高め、さらに小型化することで、脳や血管など、身体の各所で利用できるようにしたいと考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

幼児の夜驚症を防ぐLullyがシードで$2.1Mを調達、そのほかの睡眠障害にも取り組む

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夜驚症を防ぐデバイスを作っているLullyが、210万ドルのシードラウンドを終了した。同社はまた、明日(米国時間6/2)行われるアクセラレータHighway 1のデモデーにも登場し、今月中にはデバイスのベータを終えたバージョンをローンチする予定だ。

Lullyはスマートフォンのアプリとペアになった製品で、子どものベッドのマットレスの下に入れておく。夜になり、夜驚症が一般的に多い時間帯になると、親のスマートフォンに通知が来るので、親はデバイスのスイッチを入れに行く。

デバイスは子どもの下でしばらく振動して、夜驚症に導きやすい睡眠パターンの発生を防ぎ、子どもと親の両方に安心の夜をもたらす。

 

Lullyは数か月前に150家族を対象にベータテストを行い、累計5000夜のテストの結果、平均70%の睡眠改善率を達成、80%は怖い夢を見なくなった。

今のニューバージョンでは、親がいちいちスイッチをon/offしなくてよい。デバイスが自動的に子どもが良くない睡眠パターンに入ったことを検知し、自動的に自分のスイッチを入れる。

今Lullyのチームは、そのほかの睡眠障害の解決にも取り組んでいる。たとえば生後4〜6か月の子どもの75%は、夜間の不眠現象があり、それは一種の症状と見なされている。

Lullyの次の製品は、この月齢期の子どもたちを対象にする。また夜驚症対策も、自動化機能をさらに充実する。

Lullyについて詳しく知りたい人は、こちらへ

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自分の家/部屋の空気の質を詳細に監視できる空気モニタAwairが予約販売を開始

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2月にアクセラレータのR/GAから巣立ったBitfinderが、同社のメインの製品、空気監視システムAwairの予約販売を開始した。

Awairは室内用の空気モニタで、複数のセンサが、気温、湿度、二酸化炭素(CO2)、微粒子粉塵(PM2.5)、揮発性有機化合物(VOC)(主に毒性有機溶剤)などを検出する。情報は同社のアプリケーションにセキュアに送られ、分析結果が報告される。

またAwairはチップ化されてもいるので、そのほかのデバイス(加湿器、空気清浄機など)に組み込むことも可能だ。Philips Hue(スマート電球)やMisfit Shine(アクティビティモニタ)とも統合でき、今後はNestやIFTTTなどにも対応する予定だ。究極的には、家中のあらゆるものにAwairが内蔵されていて、空気の質を監視してくれるようになるかもしれない。

Awairからのセンサデータを受け取ったBitfinderは、ユーザの空気に関する好みと一般的なアルゴリズムに基づいてAwair Scoreと名づけた評価点を計算する。一律的機械的でなく、ある程度の状況知(例:ここは寝室だから〜〜)が加わるのが、本製品の特長だ。

Awairは、ご覧のようにスピーカーのような形をしていて、協同ファウンダのRonald Roによると、Bluetoothスピーカーを置けるようなところならどこにでも置ける。本物の木でできており、意図的に昔ふうのデザインだ。状況や目的によっては、複数のAwairをひとつの部屋のあちこちに置いて、空気の質を監視することもできる(例: 窓際はどうか)。

予約価格は149ドルで、発売は今秋を予定している。実売価格は、149ドルよりも高くなるそうだ。

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手首にタトゥーのある人はApple Watchの心拍センサを狂わせる

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Appleが同社のApple Watchのサポートページを更新して、手首にタトゥーのある人が着けると問題があることもありえる、と述べている。この変更が加えられたのは、タトゥーがこのスマートウォッチの心拍計測機能の邪魔をしたり、またそのほかの問題の原因にもなっている、という報告がユーザから相次いで寄せられたためだ。Appleは、タトゥーに使われているインクなどで皮膚の様相が変えられていると、心拍センサの性能にその影響が及ぶことがある、と言っている。

具体的には、タトゥーのインクや絵柄や色彩によってセンサからの光が妨害されると、センサの正しい読みが困難になる、というのだ。つまり、暗い色のタトゥーが皮膚表面の広い面積を覆っている人は、小さくて明るいタトゥーの人より影響を受けやすいのだ。

タトゥーに関するパラグラフが加えられたのは、Apple Watchの心拍センサの動作を詳しく説明しているページで、センサの性能やその値の正しさに影響を及ぼす要素を述べている部分だ。古いWebサイトのコピーを保存しているInternet Archiveで、そのページの前のバージョンを見ると、タトゥーに関する記述はない。それは、Apple Watchの4月のローンチの前に公開されたページだ。

つまりAppleは、ユーザからのフィードバックによって問題を認識したのだ。YouTubeに、その現象のビデオをポストした者もおり、マスコミはそれに飛びついた。

 

手首のタトゥーがApple Watchの光センサに影響を与えることは、それほど意外ではない。ユーザは、Apple Watchを手首にややゆるく着けることを推奨されている。Appleは、“しっかりと、しかし締め付けないように(snug but comfortable)”、という言い方をしている。Appleの説明は:

Apple WatchはグリーンのLED光源と感光性の半導体を使って、手首を流れる血液の量を測定します。心臓が脈打つと、手首の血流が増えて、半導体が吸収するグリーンの光の量も増えます。脈と脈のあいだでは、血流は少なくなります。Apple WatchはLEDの光を1秒間に数百回点滅させることによって、心臓の毎分の脈動数、つまり心拍を、計算します。

この種の技術に問題があることは、前から知られている。たとえば、数か月前にはRedditのユーザが、Fitbitの心拍モニタ HRの精度に問題がある、と述べている。2014年のCNetの記事も、当時の心拍モニタ製品が皮膚の色素沈着で狂うことがある、と指摘している。

iFixが4月にポストした分解記事によると、Apple WatchはAppleが主張している以上の高度なセンサを搭載している。その記事は、Appleの心拍モニタは実際にはプレチスモグラフであり、その外観と動作からはパルスオキシメーターのようだ、しかしそれでもAppleは、血液の酸素濃度を計測するとは主張していない、と述べている。広告でそれを強調しないのは、FDAの規制があるからだ、とも。

その、高級なセンサをもってしても、手首のインクがセンサの読みの邪魔をするという問題を、避けられないのだ。

Appleが推奨している対策は、Bluetoothで通信する胸バンドのような外付けの心拍モニタとApple Watchをワイヤレスで接続することだ。それは、ちょっとかっこわるいソリューションだが、スポーツ選手や自己計測マニアの人にとっては、十分に使える方法だろう。

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日本郵政、高齢者サービスでApple、IBMと提携―iPadとAI利用で見守りやヘルスケアなど提供へ

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今朝(米国時間4/30)、日本郵政グループの西室泰三社長はAppleのCEO、Tim Cook、IBMのCEO、Ginni Romettyと共にニューヨークで記者会見を行い、共同で新事業に取り組むことを発表した。これはIBMとAppleのエンタープライズ事業での提携の成果の一つだ。

この夏発表されたApple/IBM提携では、IBMは大企業向けのソフトウェアを開発すると同時に大企業クライアントへのAppleのハードウェアの販売を助けることになっている。日本郵政は急速に増える日本の高齢者に対するユニークなサービスを提供するために、Apple/IBM提携のメリットを生かす考えだ。

西室社長は、記者会見の冒頭で、現在国有事業である日本郵政グループが今年中に株式上場を行う予定であり、同グループは「総合的なライフスタイルサポートサービス」の提供者に変身する計画だと述べた。日本郵政グループ(西室社長はその歴史は1871年に遡ると述べた)は巨大な保険事業を展開しており、IBMとAppleの協力を得てヘルスケア・サービスの拡充を図っていくことになる。

日本では65歳以上の人口が2006年の20%から2055年には38%に増加すると予測されるなど急速に高齢化が進んでおり、こうしたサービスを必要としている。日本郵政は高齢者サービスの拡充あたって2つの大きな柱を考えており、その第一の柱のカギとなるのがiPadだ。

西室社長は「高齢者にも使いやすいことで知られるiPadをベースにユーザー体験をデザインしていく」と述べた。その際にアプリの開発とクラウド・サービスでIBMの助けを借りることになる。日本郵政はヘルスケアサービスのコミュニティーを構築し、iPadとその上で動くアプリによって日本の高齢者にネットワーク化したサービスを提供する。2020年まで400万から500万世帯に普及させたい考えだという。日本郵政の高齢者サービス構想の第二の柱は、このサービスと既存のサービスとの統合だ。

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西室社長は「わが国の高齢化は急速であり、効果的な対策が求められている」と述べた。この点についてはIBMのRomettyも「高齢化は近くアメリカでも重要な問題となるだろう。アメリカだけでなく世界的に対策が必要とされる課題だ」と補足した。Romettyによれば、2050年には世界の人口の21%が「高齢者」に分類されるようになり、うち64ヵ国では高齢者の割合が30%にまで高まるという。

RomettyはIBMの日本郵政への協力は次の3点になると説明した。

その第一は、生活の質を高めるアプリの開発だ。独自開発とサードパーティーのアプリの統合の双方を行うが、いずれもアクセシビリィテーを最優先する。開発のターゲットはモバイル中心でアクセシビリィテーを高度に備えた点でiOSとなる。第二に、IBMは人工知能などの活用により現在提供されていないさらに高度なアクセシビリィテー機能を開発する。第三に、高齢者サービスを提供するバックエンドのレイヤーを提供する。

AppleのTim Cookはこのイニシアチブを「画期的」と評し、「日本だけでなく、グローバルに大きな影響を与えるものだ。われわれ3者とさらにそれぞれの協力者のチームは何百万という人々の生活を劇的に改善することを目指していく。(西室)泰三さんと日本郵政が示したこの分野におけるパイオニアになろうとする勇気、大胆さ、野心は賞賛すべきものだ」と述べただ。

Cookは日本郵政との共同事業に参加できたことはApple/IBMの「圧倒的な可能性」を実証するものだとしている。CookはまたAppleのヘルス事業への取り組みがさらに幅広い目標を持つことを説明し、HealthKit、ResearchKitなどを例に挙げた。CookはAppleのこれまでのヘルス分野での取り組みが日本郵政との事業に理想的な基盤を与えることも指摘した。

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現在、日本郵政の社員が行っている高齢者顧客の安否確認訪問をiPadで拡張、効率化するデモが披露された。 このデモでは日本郵政の社員が高齢者顧客と話をしながらiPadの設定を助けた。提供されるサービスには病院の診察の予約、処方薬を飲むよう促すメッセージ、荷物の受け取りなどがあった。

デモ・アプリにはAmazonのKindleタブレットのMaydayサービスのようにヘルプを提供する大きなクエスチョンマークのアイコンが表示されていた。また地域の配管事業者などは事前に審査を受け、承認されればこのシステムを通じてサービスを提供することができるという。

Appleがパートナーとして選定された理由について質問された西室社長は、「Appleがこれまでに実績を挙げてきた視覚、聴覚にハンディキャップのあるユーザーへのアクセシビリティーの提供は同社を選定した大きな要素だ」と述べた。最近Apple Watchに採用された振動を利用したタプティック・フィードバックなど、Appleデバイスのアクセシビリティーは今後もいっそう改善されるだろう。

RomettyはIBMのWatson人工知能を利用したWatson Healthがサービスのカギとなると述べた。また「世界中でこうした取り組みの必要性が高まっている。日本では日本郵政がすばらしいパートナーとなったが、他の地域ではそれぞれの実情に合わせて政府や民間企業とも協力していく」と述べた。

アメリカでは保険会社に詳細なヘルスケアデータを引き渡すことに懸念が生じるのではないかという質問に対して、Romettyは「データの種類によってきめ細かくオプトン、オプトアウトができるようにしていく。またビッグデータとして有益な分析を行う際には、個人が特定されないよう情報には匿名化処理を行う」と説明した。

高齢者ケア、高齢者サービスは今後多年にわたって急成長を続けることが確実なマーケットだ。今日の発表はIBMとAppleがこの分野にきわめて有望な一歩を踏み出したことを告げるものだ。日本における高齢化の進展の急速さを考えると、巨大な日本郵政グループは理想的なローンチ・カスタマーといえる。一方で、しばらく前からAppleのiPadセールスは頭打ちの傾向を見せていたが、これに対しても好影響が期待できるだろう。

Cookは「アメリカでも同様のプログラムは考えられるが、実現はまだ先のことになるだろう」と述べた。またIBM/Apple提携について「現在すでに22のアプリが公開されており、今年中にその数は100種類まで増えるだろう」と語った。

Appleジャパンのサイトにアメリカでのプレス発表資料の抄訳が掲載されている。日本郵政グループ、IBM、Apple、日本の高齢者がサービスを通じて家族・地域コミュニティーとつながるために、iPadと専用アプリケーションを提供 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

家庭や職場でも正確な視力測定を行えるようにするBlink

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視力の悪い人はきっと同意してくれるだろうと思う。自分の視力にぴったりのコンタクトレンズや眼鏡を手に入れると、「はっきり見える」世界の素晴らしさに感動してしまう。ただし、「はっきり見える」視力を手に入れるための視力検査は、時間もかかるし面倒なものだ。さらに、検眼医は眼に異常がないかを確認するために、1時間ほどもかけて決まりきった検査をひと通り行うことになってもいる。こうした検査は、実際のところかなり面倒なものだ。

そうした状況をなんとかしようと、MIT Media Labから登場してきたのがBlinkだ。

最初の頃は、適した眼鏡を選ぶための、3Dプリントで製作したスマートフォン用アドオンを扱っていた。しかしそこから発展を続け、本格的な視力検査のフルセットをオンデマンドで提供できるようになった。

スマートフォン用アプリケーションとさまざまな器具(小さなスーツケースにおさまってしまうコンパクトさだ)を使って、Blinkは家庭でも本格的視力検査を行えるようにしている。ファウンダーによれば、Blinkは検眼医の部屋にある2万ドルほどもする器具を持ち運び可能にしたものであるとのこと。

Blinkでの検査を申し込むと、検査担当者(Blinkでは「visioneer」と呼んでいる)が希望者の元を訪問する。そして視力検査表などを準備し、通院状況やメガネやコンタクトレンズの利用状況、さらには眼病の経験があるかどうかなどの問診を行う。そしていよいよ実際の視力検査を始め、データは検査担当者のもつタブレットに入力される。

視力測定用のデバイスはNetraと名付けられており、動作はすべて機械式となっている。ここにスマートフォンをはめ込んで、スマートフォンのレンズとコンピューティング能力を利用して検査を行うわけだ。測定装置の外観はあるでSamsung Gear VRのようだ。しかしバーチャルな世界でのゲーム環境を提供するのではなく、視力検査マシンとして機能する。Netraを使ったテストと、視力検査表の可読状況などを総合してカルテが作成される。

視力の確認ができると、その視力に応じたレンズを体感できるNetropterという装置を試すことになる。これはフォロプター(ターレット式検眼器)を小型化したものだ。眼科医でフォロプターやさまざまな検眼器を使うよりも簡単に矯正成果を確認することができる。

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尚、Blinkは検眼医を代替するものではない。眼鏡購入のための処方箋に必要な情報を得るという目的のために考案されたものだ。

「行うのは視力検査であり、眼科検診を行うものではありません」と、Blink側も強調している。

テストで得た情報は、提携している検眼医に送られる。ここで10分程度の時間でデータをチェックして、そして処方箋が用意されるという仕組みだ。処方箋はメールで送られ、この情報に基づいて眼鏡を購入することができる。コンタクトレンズへの対応も準備中であるとのこと。

テストには75ドルかかるが、家族や職場仲間と一緒に受ける場合には割引料金も用意されている。

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(翻訳:Maeda, H

Yコンビネーター出身のSIRUMは、未使用医薬品を低所得患者に再配布する


推定50億ドル相当の処方薬が毎年焼却され、下水に流され、あるいはゴミに捨てられている。約20億ドル分の薬が長期療養施設の棚で有効期限が切れるのを待っている。シカゴ大学の研究者の調べによる。

これはとんでもない無駄だ。処方薬はこの国の医療システムにおける最大の費用負担の一つであり、米国の4世帯に一つがその処方薬を買えないでいることを考えればなおさらだ。

SIRUM(Supporting Initiatives to Redistribute Unused Medicine:未使用医薬品再配布支援イニシャティブ)は、Y Combinator出身の非営利組織で、スタンフォード大学ハースセンターで運営されている。特許出願中のソフトウェアプラットフォームは、薬局および医療施設のための一種のオンデマンド在庫システムとして働き、使われることのない医薬品を、処方薬を買うお金のない患者に再配布する。

法は州ごとに異なるが、現在42州およびグアムに「善きサマリア人」プログラムとして、未使用の有効期限内医薬品を、有効な処方箋を持つ低所得患者に寄贈する何らかのしくみがある。州運営による医薬品寄贈機関や、Dispose My Medsのように地域ごとに未使用医薬品を寄付できる場所を探す第三者プログラムもある。

SIRUMは、医薬品寄贈機関、薬局、養護施設および医療機関と協力することによって、ピアツーピア再配布プラットフォームとして運営される。それぞれの組織は、余剰品や必要な薬品をプラットフォームにアップロードして、その時必要としている患者のマッチングを探すことができる。

SIRUMの共同設立者、Kiah Williams、George Wang、Adam Kircherの3人は、彼らのサービスが2011年に再配布した未開封有効期限内の薬品は、およそ300万ドルに相当し、2万人の低所得患者に配られたと推定している。

Y CombinatorRobert Wood Johnson FoundationDraper Richards Kaplan FoundationおよびGoogle.orgから資金協力を得ているSIRUMは、現在カリフォルニア、オレゴン、コロラドの3州で運営している。将来は全50州に展開する計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Scanaduの尿検査スティックは、スマホで12種類の測定を同時に行う

医療ITのスタートアップ、Scanaduは、いつの日か病院を手のひらに入れてしまうような新しいタイプの最先端医療IT技術を開発している。

同社は最近Scoutの出荷を開始した。体温、血圧、その他の生理現象を測定し、アプリに送信するデバイスだ。

そしてScanaduは、現在Scanafloのテスト段階に入っている。これは、iPhone対応の尿検査装置で、1回の測定で妊娠、糖尿病から、薬物吸引の有無まで判定する。

われわれは、カリフォルニア州マウンテンビューのNASAエイムズ研究センターにあるSanadu本社を訪れ、Scanafloが動作するところを見てきた。

Scanfloは、ステック上の最大12種類の試薬で測定を行う。グルコース、タンパク質、白血球、亜硝酸、尿中の血液、ビリルビン、ウロビリノーゲン、微量アルビミン、クレアチニン、ケトン、比重、およびpH値。それぞれの試薬が尿と反応してステック上で発色する。iPhoneアプリが色を検出して何が起きているかを判定する。

これは将来の医療技術に大きな可能性を開くものだ。例えば、尿にスティックを浸して白血球の過剰を発見するところを想像してほしい。Scanafloは、まだFDA(米食品医薬品局)の認可を受けておらず、診断を目的としていないが、体に何かが起きていることの警告はできる。

FDAの承認を得ることができれば、Scanafloは病院の行列や検査結果の長い待ち時間を減らし、パーソナル健康管理システムを消費者に手にもたらすことができるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Google、健康医療関連情報もナレッジグラフで提供開始

Googleはセマンティック検索を進化させ、検索用語により深く関連する内容を通常の検索結果よりも前に表示するといったサービスを強化しつつある。そしてこの度、健康関連の検索についてもセマンティック検索の機能を取り入れることを決断したようだ。

Googleによると、Googleプロダクトからの検索のうち、20件に1件は健康関連のものであるらしい。

具体的には健康関連の検索について「ナレッジグラフ」を表示していくという話で、こちらのブログでアナウンスされている。GoogleのプロダクトマネジャーであるPrem Ramaswami曰く、病気の症状を入力する際には医療的な情報を求めている人が多く、そのニーズに対応しようとしているのだとのこと。

一般的な症状や治療法などに加え、緊急を要する症状なのか、伝染の可能性はあるのか、とくに気をつけなければならない年齢はどのくらいなのかなどといった情報も提供していきます。いくつかの症例については協力機関から入手した詳細なイラストで症状を解説します。まずナレッジグラフ経由で基本的な情報を入手すれば、その後に検索すべき内容や、医者に問い合わせるべき内容をわかりやすく把握できると思うのです。

Ramaswamiによれば、Googleは「複数の医師」と協力し「役立ちそうな情報を丁寧に集めている」とのこと。「協力してくれる医師たちや、ウェブ上にあるさまざまな医療系サイトからの情報を集めたもので、集約して情報を提示するナレッジベースの内容についてもGoogle社内の医師やメイヨークリニックによって精査しています」ということらしい。

健康関連の情報については、Googleで検索してみても、間違った情報ばかりが表示されるという悪評もあった。Googleとしては、そうした評判に対抗して、正確な情報を提供できるような仕組みを整えようとしているのだろう。

そしてもちろん、健康関連というのは今後のデジタルサービス(とくにモバイル分野)において主要な戦場になるという見込みもあるのだろう。この分野に早い段階から注力することにより、スタンダードとしての地位を獲得したい狙いもある。医者にいって「ネットでも調べてみたのですが」などと言っても、現在はほとんど相手にされないという状況だ。そういう状況が近く変わるのかもしれない。

(もちろんGoogleのこのサービスは医療行為の代替を目指すものではないと強調している。利用者の知識を「深める」ためのものであるとのこと。ただしそうは言ってもGoogleは最近、ライフサイエンス分野に深い関心を示してはいる。そうした中、提供される情報も「医療行為」に近いものとなっていくことは考えられる)

当初は一般的な症例を案内する程度のものとなるが、それはほんのはじまりに過ぎないと言えるだろう。医療界の百科事典的な存在として機能していきたいという狙いがあるはずだ。今後もさらに医療健康系に力を入れてWebMDなどが存在感を示している領域にも進出していくことになるだろう。

現在のところは英語のみの対応だ。しかしRamaswamiは次のようにも言っている。

取り扱う病状の範囲を広げるだけでなく、多言語対応も進めていきたいと考えています。凍傷やテニス肘、あるいは麻疹の症状について、世界中の人々にGoogleアプリケーションを通じた情報提供を行なっていく予定です。

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(翻訳:Maeda, H


DeNA、ヘルスケア領域での”次の一手”は健保向けサービス-住友商事と合弁で

2014年には遺伝子解析サービス「MYCODE」を開始してヘルスケア領域に踏み込んだディー・エヌ・エー(DeNA)だが、今度は健康保険組合向けの事業を開始する。DeNAは2月3日、住友商事と合弁会社を設立し、新サービス「KenCoM(ケンコム)」を4月から提供することをあきらかにした。

合弁会社の社名はDeSC ヘルスケア(ディーエスシーヘルスケア)、3月設立予定で、資本金は3億円。出資比率はDeNAは51%で住友商事が49%。代表者代表取締役社長にはディー・エヌ・エー ヘルスケア事業部事業部長の大井潤氏が就任する。大井氏はMYCODEを運営するDeNAライフサイエンスの代表も兼任する。

KenCoMでは、利用者の健康データを一元管理し、利用者の健康度に応じた情報提供を行うという。具体的には、健康診断情報を取り込んで時系列で管理・閲覧したり、その健康データや興味・関心もとにユーザーごとに最適なコラムやニュースを提供する。DeNAいわく「これまでに培ってきたゲームや各種サービスのノウハウを活用し、より健康に関心を持って飽きることなく続けていただく仕掛けが随所に盛り込まれます」とのことだ。

厚生労働省では現在、健康保険組合に対してレセプト(医療報酬明細)等のデータの分析、そしてその分析に基づく組合加入者の健康保持増進にむけた「データヘルス計画」の策定と実行を求めているという。DeNAで現在、複数の健保組合に対して導入を提案している。


Bill Gatesが人間のおしっこから作った水を飲んで公衆衛生技術の重要性を訴える

下のビデオを見たら誰もが、Bill Gatesが途上国の公衆衛生の問題に真剣に取り組んでいること、それがこれらの国々の経済的および社会的発展に不可欠と信じていることを、理解できるだろう。

このビデオでGatesは、人間の排泄物から得た水を飲んで、シアトル郊外の小さな技術企業Janicki Bioenergyが開発した技術の効果を証明しようとしている。

途上国における公衆衛生は、とても大きな問題だ。下水処理や廃棄物処理の体制が不備なため、年間数十万人の子どもが疫病で死亡しており、またそれは、子どもたちの体と精神の発達を妨げている。Gatesはそのことを、彼自身の技術系のブログに書いている

“人の排泄物を安全かつ低コストで処理できる方法を開発できれば、これらの死の多くを防ぎ、子どもたちを健康に育てることができる”、と彼は書いている。

Bill and Melinda Gates Foundationは、今年の後半にセネガルで行われるJanickiのプロジェクトのパイロット事業を支援している。

その、蒸留法と呼ばれる技術は、それほど画期的なものではない。加熱して水分を蒸発させると固形物だけが残ることは、高校の化学でも教わる。しかし、排泄物を蒸発させて発生する水蒸気を冷却して水にし、さらにそれを浄化して、Bill Gatesのような億万長者でも平気で飲める飲用水にする部分は、簡単ではなさそうだ。残ったスラッジは蒸気エンジン発電機用の燃料の一部として燃やされる。

汚水から得られた水を飲用にすることには、多くの国で抵抗がある。また、そんな問題以前に、途上国では排泄物の(ほぼ)全人口的集収、という課題をクリアしなければならない。MITからスピンアウトしたSanergyなどのスタートアップが、この問題ん取り組んでいる。

Gatesがブログ記事に書いているやり方では、排泄物をトラックで集めて、Janicki Bioenergyが設計開発したOmniprocessorという装置に投入する。

“先進国で普及している公衆衛生のシステムを、そのまま途上国で実装することは不可能である。途上国では、もっとシンプルなシステムが必要だ”、とBill and Melinda Gates Foundationの事業担当上級職員Doulaye Koneは述べている。

Gatesによると、Janicki Bioenergyの装置の次のバージョンは10万人の排泄物を処理して一日に最大86000リットルの水と、250キロワットの電力を作り出す。それによって家族が、衛生的な水を飲めるようになるのならそれは、明らかに、やるべき価値のある事業だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Athos ― 運動時の筋肉の使い方を数値化してチェックできる安価なウェアラブルが登場

しばらくワークアウトを続けていると、服の締め付け具合で、左足の筋肉ばかりを使っているらしいと気づくことがある。この気づきを、ブルートゥース対応ウェアラブルによって行おうとするのがAthosだ。

Athosはシリコンバレーのスタートアップで、ワークアウトを「スマート」にすることを狙っている。ウェアラブルから収集される情報を分析してワークアウトの効率を高め、あるいは怪我を未然に防ぐといったことを可能にしようとするものだ。

Athosのトレーナー兼マーケティングディレクターのJake Waxenbergがプロトタイプを提供してくれたので、実際の機能を試してみることができた。試してみた様子とプロダクトの紹介を下のビデオにまとめてあるのでぜひご覧頂きたい。

ブルートゥース経由で情報をやり取りするコアデバイスの価格が199ドルで、パンツおよびシャツがそれぞれ99ドルであるとのこと。男性用と女性用があり、通常のワークアウトウェアの下に着ることもできる。洗濯機で洗えて、鍵や現金を入れておくためのポケットも備えている。一般販売は2015年の初期を予定しているとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


母体と胎児にとって安全で正確な出生前DNA検査技術のPreneticsが$2.65Mを調達

創業から5年になる企業がシード資金として数百万ドルを調達する、という例はあまりないと思うが、今日香港でまさにそれが起きた。バイオテックのPreneticsが、同社の次世代型出生前DNA検査技術で265万ドルを獲得したのだ。

と同時にPreneticsは、新しいCEOとしてDanny Yeungを迎えた。彼はGrouponの東アジアにおけるビジネスを今年の4月まで率いた。PreneticsではYeungは無給のCEOで、シードラウンドへの参加も個人として行った。しかし彼は、500 Startupsや彼自身が今年協同ファウンダとして創業したSXE Ventures、Grouponのアジア太平洋部門のトップJoel Neoh、SingaporeのCoent Venture Partnersなど、そのほかの投資家たちをかき集めることに尽力した。

同社は最初、香港城市大学(City University Hong Kong)の一研究部門だったが、2009年にスピンオフした。多様なDNA関連サービスを提供しているが、しかし今日は’Prenetics V’と名づけたサービスを公式にローンチした。それは、無侵襲的出生前検査(Non-Invasive Prenatal Test, NIPT)と呼ばれる遺伝学的検査で、DNA検査により胎児の16種類の健康条件を調べる。

安心感を提供

この検査は、母親の血液標本を妊娠10週目という早期に採取して行い、検定の精度は99%以上と高い。主な目的は両親に子どもの健康状態に関する安心感を与えることであり、そのために妊娠初期に今後の問題の可能性の有無を調べる。

NIPTは合衆国や一部の西欧諸国ではすでに標準だが、アジアは違う。

アジアでは、生まれる前の子どもを検査する方法が限られている。しかも、母親の子宮にプローブや針を挿入するなどの侵襲的な手法が多く採られるので、妊娠合併症のリスクがあり、誤診率も10〜20%と高い。また出生前検査をまったく行わない妊婦も多い。

対照的にNIPTは胎児に危害が及ばず、Preneticsによれば診断の精度も侵襲的な方法の200倍正確である。

Preneticsは同社の新製品により、アジアにおける出生前検査の状況を全面的に変えたいと願っている。同社の直接の顧客は医療の専門家であり、最終消費者ではない。とはいえ、同社は香港で消費者向けのマーケティングキャンペーンを行って、ブランドの浸透と、一般人および医療産業における知識と関心の高まりを促進したいと考えている。

生命観の大きな変化

Yeungは彼のグループ購入サイトuBuyiBuyを2010年にGrouponに売り、そのときの契約で今年までGrouponに在籍した。退社後彼は、最初にSXE Venturesを創業したが、やがて彼の“起業家本能”が再び首をもたげ、投資家業から実業へと復帰した。…本誌のインタビューで、彼はそう言っている。

“この会社が大きなインパクトを作り出すのを、ぼくなら支援できると信じている。16名のチームにPhDが4名もいる優秀なスタッフたちだから、ぼくのやることはプロダクトの商用化、サービスのパッケージング、そして製薬業界や一般消費者をこの会社が提供する利益について教育することだ”、と彼は言っている。

さらに彼はこう語る: “妊娠産業の市場は10億ドル規模だが、それにとどまらず、この技術には生命観そのものを根底から変える力がある。アジアではDNAの出生前検査というものの存在を知らない人が圧倒的に多いが、それは必須の検診になるべきだ”。

今はPrenetics Vが同社の主製品だが、Yeungは今後もっと提供製品の幅を広げたいと言う。そのために今回からすでにもっと大きな金額を調達してもよかったが、あえてそうしなかった。

ぼくの二人の子どももアジアで生まれたから、この検査によって得られる安心感が、親の一人として十分納得できる。しかしそのオプションを選べる機会に、これまで遭遇したことはない。でもPreneticsのような企業が香港に現れたのだから、今後は西欧だけでなくアジアでも、母体や胎児にとって侵襲的でないDNA検査がオプションとして存在するようになるだろう。そんな変化を、YeungとPrenetics社はこれから起こそうとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


猫の健康状態をウォッチする電脳猫トイレTailio…複数飼養でも個体を識別

猫を飼ってる人はみんな知ってるが、猫の生活の中には一定の習慣がある。たとえば排泄は、砂などのある一定の場所、“猫トイレ”でする。そして、一定の習慣があるため、コンピュータのアルゴリズムでモニタするのにも適している。ここでご紹介するTailioは、ありふれた猫トイレボックスを、猫の健康をモニタする電脳器具に変える。それは、センサがキャッチした信号とその変化を、スマホなどの通知機能へ伝えるのだ。

Tailioは既存の猫トイレをその上に置くスタンドで(下図)、猫がトイレに来たときに、体重や排泄物の重量、トイレにいた時間、その時刻、トイレ使用の間隔などを記録する。そしてアルゴリズムがこれらのデータをすべて使って、まず猫の個体を識別し、それから健康状態をチェックする。複数の猫を飼っているお家(うち)でも、十分に使える。

メイドインUSAの最新電脳機器Tailioを使うと、一体何が分かるのだろう? 同社によると、健康状態の変化が早めに分かる、という。たとえば体重の減少。また、おしっこの間隔が変われば、腎臓疾患の疑いがある。

猫は好奇心旺盛な動物だけど、自分の健康に関しては比較的無口だ。気分がすぐれないときは、隅っこでじっとしてるだけだろう。だから、深刻な病気なのか、昼寝をしているだけなのか、区別できないことが多い。それだけ慎み深い動物だから、コンピュータのアルゴリズムによる健康チェックは妥当なアイデアだ。ただしそれは信号を時系列で伝えるだけだから、その意味を判断するのはあくまでも人間の仕事だ。

スマホ(iOS、Android)に搭載するTailioアプリは、データの変化を警報として伝えるので、重大な疾患で早めに獣医さんに診ていただくことも可能だ。アプリには、症状をチェックする機能もある。

今はまだTailioはプロトタイプで、Kickstarterで資金募集中だ。目標額は30000ドルで、早めに99ドル以上出資した人には来年4月に完成品が届く。99ドルが一定数に達したら、それ以降は149ドル以上となる。

Tailioによると、プロトタイプといってもほぼ完成品で、今はアプリの磨き上げが主な作業だ。アルゴリズムの分析機能の改良が中心だが、それは、個々の猫個体の習慣パターンを学習するのに最初、3日かかるそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))