MicrosoftとDropboxが提携―Office 365とDropboxストレージが高度な相互連動へ

今日(米国時間11/4)、MicrosoftとDropboxは提携関係を結んだことを発表した。その内容はDropboxがOfficeをサポートし、MicrosoftがDropboxのストレージ・サービスをOfficeに連動させるというものだ。これに先だって、Dropboxのライバルでエンタープライズ向けクラウドストレージに力を入れているBoxもMicrosoftのOffice-as-a-serviceソリューションであるOffice 365を取り込んだサービスをスタートさせている。Microsoft自身も最近、OneDriveの無料ストレージ容量を無制限とした。

今回の提携で、両社は近くウェブとモバイル・アプリの双方で、DropboxのアプリからOfficeドキュメントを編集、OfficeアプリからDropbox内のファイルにアクセス、OfficeアプリでDropboxのファイルをリンクで共有という次の3つの機能を提供するという。またDropboxはWindows Phone版のOffice連携アプリを開発する。〔時期については日本版注参照〕

OneDriveを運営するMicrosoftがライバルとこれほど密接に提携するとは驚きだろうか? 必ずしもそうではない。MicrosoftはOneDriveなしでもOffice 365を売ることができる。逆に、Office 365というサービスを膨大なDropboxユーザーの企業や個人に売りやすくなる。電話で取材したところでは、両社ともにDrobpoxに数億のユーザーがおり、有料で利用している企業だけでも8万社に上ることを重視しているようだった。MicrosoftもOneDriveがそれくらい広く普及しているのだったらあえてDropboxと提携する必要はなかったかもしれないが、残念ながら現状はそうなっていない。

Microsoftはすでにエンタープライズ・クラウド・ストレージの事実上の標準となっているDropboxを無視することは不可能だった。MicrosoftがOffice 365をエンタープライズに本気で売り込もうとするならDropboxコミュニティーを抜きに考えるわけにいかないのは当然だ。OneDrive for BusinessはDropboxのために席を詰めねばならない。

BoxのOffice 365取り込みはBox側の一方的なイニシアチブだった。しかし今回の提携ははるかに高度な戦略的提携だ。両社とも今回の提携にともなって「どちらがどちらいくら払うのか?」についてはコメントを避けた。しかしMicrosoftがDropboxに支払うと考えてもよさそうだ。 Windows Phoneは世界でもっとも人気のあるモバイル・プラットフォームというわけではない。MicrosoftはDropboxを保護育成する必要がある。大企業ユーザーがOfficeをクラウドで使いたい場合、これまでは馴染みのあるクラウドストレージのオプションがなかった。今回の提携でそれが存在するようになったことは大きい。

Microsoftが本気でパッケージ版Officeの売上をOffice 365の売上で代替しようと考えているなら選択肢は限られている。MicrosoftはDropboxを買収することもできるが、aQuantiveの買収が結局62億ドルの損失に終わった苦い記憶がまだ新しい。それなら戦略的提携のほうが安上がりで危険も少ない。

上機嫌のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストはDropboxは収益化に成功しつつあると主張する。そうなるかもしれない。ともあれDropboxは、短期的関係かもしれないが、強力な友人を持つことに成功した。

〔日本版〕Microsoftのプレスリリースによると、OfficeとDropboxの連携機能は、まず数週間後に予定されているOfficeのモバイル・アプリのiOSとAndroid版のアップデートで実装される。ウェブ版のDropboxとOffice 365の連携は2015年の前半にリリースされる。Dropbxoが開発するWindows Phone版のスマートフォン、タブレット向けOffice連携アプリの公開は数ヶ月後を予定している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Dropbox、「われわれはハックされていない。漏洩パスワードは他サービスからの使い回し」と発表

先週、Snapchatの写真がハックされたのに続いて、今度はクラウドストレージのDropboxがセキュリティー問題でありがたくない注目を浴びる番となった。コード共有サイトのPastebinに匿名のユーザーが「Dropboxのアカウント情報(メールアドレスとパスワード)700万件近くを入手した」と書き込み、その証拠として最初の400件のデータを貼り付けた。このユーザーはさらなるリークのためにBitcoinによる寄付を求めている。

その後、100件程度のアカウント情報が何回か書き込まれたが、これらの情報は本物ではなかったようだ。今回の攻撃について、Dropboxは公式ブログで「これらのユーザー名とパスワードはをチェックしたが、Dropboxアカウントとは無関係だった」と述べた。

Dropboxは本物とわかった最初の400件のアカウント情報についても、「Dropboxとは無関係なサードパーティーのサービスから漏洩したもので、Dropbox自体から盗まれたものではない」としている。つまりSnapchatの場合のようにDropboxのAPIを利用しているサービスから漏洩したわけではなく、ユーザーがサービス間でパスワードを使い回したことが原因とみられる。

公式ブログ記事は明確に「ドロップボックスはハックされていない」と題されている。DropboxのAnton Mityaginによれば、

最近の「Dropboxがハックされた」というニュースは正しくない。ユーザーのデータは盗まれていない。漏洩したと指摘されたユーザー名とパスワードは、われわれとは無関係なサービスから漏洩したもので、Dropboxからではない。犯人は盗んだユーザー名とパスワードを使ってDropbox他、さまざまなウェブ・サービスへのログインを試みた。しかしDropboxでは不審なログインの試みを検出する手段を用意しており、そのような疑いがある場合は自動的にパスワードをリセットする。

このような攻撃を受ける可能性があるため、われわれはパスワードをサービス間で使いまわさないようユーザーに強く勧めてきた。また、さらにセキュリティーを高めるため、われわれは2段階認証を提供している。

これに先立って、The Next Webの取材に対してDropbox は次のように述べている。

Dropboxはハックされていない。ユーザー名とパスワードは不運にも他のサービスから盗まれたものだ。犯人はこれを利用してDropboxアカウントへのログインを試みた。われわれはこのような攻撃を探知しており、しばらく前から盗まれたパスワードのほとんどは無効にされている。残りのパスワードもその後無効にされた。

Dropboxは漏洩元のサービスが何であるかは明らかにしなかった。しかしDropboxのブログ記事とコメントによって、最初に公開された情報が(すでに無効化されているものの)実際にDropboxのユーザー名とパスワードであったことが確認されたわけだ。盗まれたパスワードを使ってユーザーのアカウントへの侵入が成功した事例があったかどうかは明らかにされていない。

今回の事件がユーザーのパスワード使い回しによるものなら、「Dropboxはハックされていない」という主張は正しい。しかしユーザーにとってみればセキュリティーが破られたという結果は同じだ。しかしユーザーに2段階認証を要求すればセキュリティーは向上するものの、ユーザーの負担は増える。セキュリティーと利便性のバランスは難しい。さらにハッカーがビットコインで手っ取り早く報酬を求めようとする最近の流行も新たな問題だ。

Dropboxについては、今週エドワード・スノーデンが「プライバシーの敵」だと非難した。これはDropbox自体がユーザーデータにアクセスできることを指している。スノーデンは「Dropboxがファイルの暗号化キーを保持しているので政府機関が要求すればユーザーデータが引き渡されてしまう。ユーザーはプロバイダ自身が暗号化キーを保持していないサービス、SpiderOakなどを使うべきだ」と主張している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Googleに新ブランド‘Google For Work’が生まれる…一連の生産性ツールのブランドイメージ強化/明確化のため

今朝(米国時間9/2)Googleは同社のサンフランシスコのオフィスで、同社のエンタプライズプロダクトのブランド名を変えて、一連のツールと生産性サービスを’Google for Work’にリネームする、と発表した。

この新しい呼び方は同社のさまざまなビジネスツールをすべてカバーし、そのそれぞれに’for Work’という接尾詞が付く。Drive for Work、Search for Work、などのように。

改名の理由としてGoogleは、すでに好評な各ツールのブランドイメージが向上することと、それぞれのツールの目的が直感的にわかることを挙げている。それはDriveだけど、お仕事(work)用、という具合に。すでにGoogleの教育用ツールやサービスは、このように束(たば)ねられて、独自のブログを持った。

Googleのエンタプライズ方面と生産性ツール(OAソフト)方面の取り組みは、とりわけ、Microsoftとの競合を意識している。Microsoftの新CEO Satya Nadellaが最近掲げたスローガンが、‘生産性とプラットホーム’だが、Googleもまさにそうだろう。BoxやDropbox、Appleなども、この炎の中で自分の剣を鍛えている。

Googleのエンタプライズ担当部長Amit Singhは記者たちに、同社の企業顧客向けクラウドストレージサービスDrive for Workは、新規の登録ユーザが毎週2000名近くある、と語った。そして今ではFortune 500企業の60%がGoogle for Workを有料サービスとして利用しているそうだ。

Googleは、クラウドコンピューティングとクラウドストレージの料金に関して思い切った値下げを行ってきた。同社のデータセンターは巨大だから、コモディティ(日用品)のようなツールは最低の料金で提供できる。Amazonなども同じく料金を下げているので、市場全体としても安値傾向だ。

コモディティ的なクラウドサービスから大きな売上が得られなくなると、エンドユーザ向けのツールやサービスに意識が向かう。でもGoogleは、どっちの市場でも一定のシェアを握りたいようだ。

Singhによると、ITの費用など一部の費用はムーアの法則に従って下降しないが、それは、企業が抱えているレガシーの遺産から発生する費用のせいだ。それらのリソースは昔は会社の経営に貢献したが、今のビジネス環境では重荷になっている。それらを全部捨てて、クラウドサービスに移行した方がコスト的にも良い、とSinghらは主張する。

しかしGoogleの一連の生産性サービスは、今後、Googleの主要な収益源になるのだろうか。この前の四半期の決算報告では、‘その他の売上’が全売上のわずか10%だった。ただし売上成長率は全科目の中で最高、前年同期比で53%増だった。Googleの総売上は前年同期比で22%増だから、‘その他’という科目はちょっとした優等生なのだ。

Google自身が、この分野を重視していることは、確実だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropboxが企業ユーザを安心させるためにフォルダのパーミッション設定を社員一人々々の粒度に

Dropboxの今回の新しいやり方は、あえて平凡だ。今の同社の再優先事項は、セキュリティやファイルアクセスのパーミッションに関して企業ユーザを安心させ、消費者向けのおもちゃじゃないぞ、と思ってもらうことだ。そこで今日同社は、リードオンリーの共有フォルダ(見るだけ)というものを導入し、WordやPowerPointなどなどのファイルに対し、それらを見てもよい人たちと、編集もできる人たちの区別ができるようにした。企業ユーザを安心させるためには、こんな細かいことをきちんとやる必要があるのだ。

フォルダのリードオンリー設定は、Dropbox For BusinessアカウントのアドミンがWebとモバイルの両方で、個人別にできる(下図)。この機能の、Businessの全ユーザへの展開は近日中に行われる。

確実に儲かる企業ユーザ市場でBoxなどと互角に戦うためには、こういう小さな改良を積み重ねることが欠かせない。

Dropboxの、“友だちを招待して容量を増やそう”の人気とヴァイラルな広がりは、大企業の社員にも浸透してしまったが、それが今では同社の(企業ユーザ獲得を目指すときの)足を引っ張っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropboxが日本市場へ本格参入、東京支社設立に向けカントリーマネージャーを募集中

Dropboxが東京支社設立に向けて、カントリーマネージャーを探している。来日中のDropbox COO、デニス・ウッドサイド(Deniss Woodside)氏によれば、今回来日の目的はズバリ、日本法人立ち上げの第1号社員を見つけることだそうだ。

法人設立時期や規模については明言しなかったが、カントリーマネージャーとなった人物に組織作りを任せるということで、その後に他社とのパートナーシップやディストリビューターとの契約も進めるという。東京に支社設立となると、シドニー、ダブリンに続いて3番目。ヨーロッパやアジア、南米でも拠点設置を検討しているそうだ。

「日本、とくに東京への投資をします。日本は世界第3位の経済大国ですし、Dropboxのユーザー数で言っても日本はトップ5に入っています。これまで日本では特にPR活動も何も行なってこなかったのに、すでにユーザー数は800万以上います」

Dropboxは過去18カ月でユーザー数が1億人から3億人へ増えていて、このうち70%が北米以外の海外ユーザー。日本市場もかなり大きいようだ。なかでも企業向けの「Dropbox for Business」の日本市場での伸びは大きく、「この領域だけで過去1年で2倍に伸びています」という。「どんな業態であっても、10%から20%の従業員がすでにDropboxを業務用途で使っているのです。CIOは誰がどのファイルに対して何をしているのかといった可視化を求めるので、Dropbox for Businessがソリューションとして浮かび上がってくるという形です」

コンシューマー市場で広く受け入れられた使い勝手の良い製品が、企業内個人というべき個人レベルから企業内へ広がる動きは、BYOD(Bring Your Own Device:自分のデバイスを持っておいで)なんて言われてる。この動きが顕在化したのはiPhoneで、その流れは今、サービスでも起こっている。

2007年創業のDropboxは登場当時としてはクラウドストレージとして後発だったものの、瞬く間に市場を席巻。その後、Google(2012年)やApple(2011年)など大手もクラウドストレージをリリースしていて、競争は激化している。企業向けではBoxも北米市場で伸びていて、先日日本市場に参入している。ストレージ単価については、Google Driveが月額9.99ドルで1TBの容量を提供したりMicrosoftが企業向けは1TBとするなどパワーによる殴り合いの様相。さらに、Googleはマイクロソフトのオフィス製品をシームレスにクラウドに統合してしまうなど、クラウドストレージ専業のDropboxは、かつてほど安泰ではないように見える。

容量無制限をうたうDropbox for Businessは別として、個人向けのストレージ単価でみれば、Dropboxは現在100GBで9.99ドルと、かなり割高となってしまっている印象もある。この点についてウッドサイド氏に聞いてみたところ、「スマフォを買うときと同じで、価格だけが決定的要因ではありません。最も重要なデータを預けるのですからね。サービスの違いを消費者もビジネスユーザーも理解してくれます」とのこと。競合と比べた時のDropboxの良さは、「信じられないほど直感的で使い勝手の良さ、いつでもちゃんと問題なく動くということ、エレガントなデザインなど、そうしたこと。それから、消費者向けとしてもビジネス向けとしても、どちらもちゃんと動くということです」との回答だった。

個人向け市場でみれば、クラウドストレージの入り口といえるのは、もはやスマートフォン。写真、そして次に来るのは動画だ。そうだとすると、Androidを持つGoogle、iPhoneを持つAppleにどう対抗していくのか? Google Photoだと単語による検索(「自転車」で検索すると、自転車の写った写真がでてくる)ができたり、自動修正や自動アルバム化機能、連写したスチル写真を認識してアニメーション化して見せてくれる機能まであるなど、アップロード後の機能が極めて充実してきている。

「ユーザーにDropboxを選ぶ理由を聞いたところ、特定のプラットフォームに紐付いていないことという答えが多くありました。これは非常に大きな価値です。特定企業のクラウドだと、どうしても自社サービスにロックインするように最適化することになりますからね」

これはその通りで、たとえばGoogle Photo上の写真で「共有」ボタンを押すと、出てくるのはGoogle+への投稿画面のみ。Facebookで共有するという選択肢がなくて驚く。ユーザーのデータはユーザーのものと言っていられないGoogleの焦りすら、ぼくは感じる。

「デジタル写真については、まだまだ解くべき多くの課題があります。まだこれから多くのイノベーションが起こるでしょう。(Dropboxが先日リリースした写真管理・共有アプリの)Carouselは、まさにそうしたプロダクトです」

Carouselは、Dropboxが2013年に買収したメールアプリ「Mailbox」のチームメンバーの一部から出てきたプロダクトだそうだ。買収を通して優秀な人材を確保する「アクハイヤー」(acqhire)だったのか聞くと、「そうとも言えますね。技術系企業の買収が成功だったかどうかが分かるのには数年かかることもあります。ただ、どんなテック企業でもアクハイヤーは戦略的に組み込まれているものですよ」だそうだ。


Dropbox For BusinessがBYODのセキュリティを提供するMobileSpanを買収

Dropboxが今日(米国時間6/10)、企業の社員が、ファイアウォールで保護されてる会社のデータに安全にアクセスできるためのサービスMobileSpanを買収した。MobileSpanは2014年の終わりに閉鎖されるが、開発活動はただちに停止される。Dropboxはこれまでの約1年半、同社のDropbox For Businessプロダクトのセキュリティ強化に邁進してきた。MobileSpanのBYOD関連の技術と知識が、その努力の一環として加わることになる。

MobileSpanの4人のチームは全員Dropboxに入るので、これは技術と人材合わせての本格的な買収だ。Dropboxは先週、 DropTalkを買収したばかりだが、それはこのところ同社が、プロダクトの機能充実を内製ではなく企業買収でまかなおうとしているためだ。

2011年にスタートしたMobileSpanはこれまで、True VenturesとK9 Venturesから230万ドルの資金を調達している。ユーザ企業は自分のオンプレミスのWindowsサーバにMobileSpanのゲートウェイをインストールし、社員たちにはアプリ/アプリケーションMobileSpan for iOSやMobileSpan for Windows desktopを配布する。そしてIT部門が承認を与えた社員は、サーバ上の、仕事に必要な一定の文書やフォルダ、アプリケーションなどにアクセスできるようになる。

これはユーザのデバイスを遮断するのではなくむしろ安全な接続を与えよう、という考え方なので、よりシンプルなBYODを実施できる。とはいえ、社員たちが個人的に使っているデバイスはいまどきものすごく多様化しているので、MobileSpanのようなやり方も対応の拡大が難しい。しかしここにDropboxというクラウド上の統一的なインタフェイスとリソースが現れると、デバイス多様化へのMobileSpanの対応という難題の解決が一挙に楽になる。多様なオペレーティングシステムに対するアプリ/アプリケーションの開発も、比較的短い期間でできるようになる。社員は、自分がどんなデバイスを使っていても、会社のファイルを見られるようになる。

買収を発表する声明文の中でMobileSpanはこう書いている:

“…ビジネスコンテンツがデスクトップ中心型のルーツから解放され、現代的なモバイルデバイスの上でセキュアな可用性をもつためには、まだまだやるべきことがいろいろある。このたびのDropboxとの合体もその一つであり、それにより、その夢の実現に向けての歩みが一挙に加速されるだろう。

しかしクラウド上の統一的なインタフェイスと統一的なリソースを企業に提供しうるのは、Dropboxだけではない。企業のためのクラウドストレージと、それらへのアクセスによるコラボレーションは、BoxもMicrosoftもGoogleもその他大勢も、虎視眈々とねらっている大きな市場だ。その激しいせめぎあいの中でむしろDropboxは、消費者指向のプロダクトというマイナスイメージを持たれてしまうかもしれない。そのことが、今一挙に大きくなろうとしているDropboxの成長痛だ。たとえばDropboxにはまだ、大企業が一人一人の社員に、アクセスレベルやアクセス許容ファイルを適切に設定しながら交付する、セキュリティやパーミッションの仕組みがない(というか、なかった)。

しかし本誌のエンタプライズ担当ライターRon Millerが先週書いていたように、今同社は、企業間の流行語で“Dropbox問題”と呼ばれている否定的なイメージの払拭と、企業から信頼され尊敬されるソフトウェアプロバイダになるべく努力している。今の企業では、社員たちのほとんどがDropboxの個人アカウントを持ち、彼らの一部が会社の仕事関連のファイルをそこに保存したりして、CIOたちのセキュリティ不安をかきたて、やきもきさせているのだ。

Dropboxのプロダクト/モバイル/企業担当部門の長Ilya Fushmanは、Millerにこう語っている: “結局のところ、CIOたちはぼくに‘Dropboxを怖がってはいない’と言う。ぼくは連中に、‘みんなDropboxが好きなんだ’と言ってやりたい。でも、企業とそんな仲になるためには、まだまだやるべきことがたくさんある”。

MobileSpanを買収したことは、Dropboxを企業が絶対的に求める「鍵付き箱」にすることに、大きく貢献するだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropboxは企業のIT/CIOたちが持つネガティブイメージ”Dropbox問題”の払拭に躍起

ユーザ数が3億を超えたDropboxは、文句なく人気サイトだが、しかしBYODやITの消費者化(とくに調達の安易化)の浸透に伴い同社は、社員が個人的に使っているサービスを会社に持ち込んだときに生じかねない問題を象徴する存在になってしまった。今では、“Dropbox問題”という言葉が、企業世界で流行しているほどだ。Dropboxのプロダクト担当兼企業担当兼モバイル担当の部長Ilya Fushmanによると、今同社は、このネガティブな企業イメージの払拭に努力している。

昨日(米国時間6/5)同社は、ステルス状態だったメッセージングのスタートアップDroptalkを買収した。この小さな会社は、まだChromeのプラグインぐらいしかプロダクトはないが、Dropboxがこれから企業向けプロダクトを作っていくためには、メッセージングの機能が欠かせないのだ。

昨年同社はMailboxを買収しているから、両者を合わせると、急に同社の、企業指向という構図が見えてくる。現にFushmanは、今Mailboxを、とても広く使われているメールサーバMicrosoft Exchange対応にする作業を進めている、と言った。同時にまた、このプログラムのデスクトップおよびAndroidバージョンの開発と、Dropboxとの統合の深化にも取り組んでいる。

4月に同社は、Dropbox for Businessの強化バージョンをリリースし、ITやCIOの人たちに、彼らが必要とするバックエンドに対する細かいコントロールを与えた。この企業向けプロダクトでは、バケツが個人用と会社用の二本立てになる。そしてユーザにとっての‘見かけ’を、どちらか一つ、または両方、に設定できる。

4月の拡張リリースにより、オーディットトレイル(監査のためのログ)が導入され、問題が生じたときには、ドキュメントのそれまでの共有状況が仔細に分かるようになった。社員が別の会社に移籍したときには、必要な(主に個人用)コンテンツを新たな会社のDropboxに転送し、その社員の自社アカウントを消去できる。

さらに今後の計画としては、Fushmanによれば、データの共有と保持をもっと細かい粒度で指定できるようにしたい。また4月のDropbox for Businessで紹介されたProject Harmonyにより、企業の社員たちが使うアプリにデベロッパがDropboxを埋め込めるようになる。そうなるとたとえば、Officeの文書でコラボレーションした結果を、リアルタイムでDropboxに保存できる。ぼくの勘では、Droptalkの買収は、Dropboxの共有を前提とするこのようなコラボレーション機能のためではないだろうか。

こういった一連の取り組みの目的はもちろん、Dropboxが本格的なビジネスツールである、と企業顧客に思ってもらうことだが、まだ疑念は払拭されない。451 ResearchのアナリストAlan Pelz-Sharpeが4月に行われたAIIMのカンファレンスで、顧客から“Dropbox問題”の解決策を頻繁に聞かれる、と語っていた。社員個人が勝手にDropboxのようなソフトウェアを調達できるような状況は、企業にとってまったく新しい世界であり、どの企業も対応に苦慮している、と彼は述べた。

Pelz-Sharpeによれば、新しい世界への移行が困難なのは、Dropboxなどのサービスが伝統的なITとは無縁なところにあり、ITのあの字も知らないような人びとに愛されているからだ。“Dropboxがここまで急速に伸びたのも、ITフレンドリの道を最初から捨て、ユーザフレンドリの道を選んだからだ。彼らは伝統的なIT世界を無視している”、と彼は言う。個人とITの両ニーズ間のバランスを見つけるのは、大企業よりも中小企業の方が容易だろう、ともいう。Boxのような新しい企業も、またIBM、Oracle、Citrixなども、今ではそれができる立場にいる、とPelz-Sharpeは語る。

“中小企業市場は市場規模が大きい(数が多い)し、また大企業のように複雑なシステム統合要件やコンプライアンス要件などを抱えていないことが多いから、管理もセキュリティの確立もFortune 1000の連中より楽である”、だから、ユーザとITの両方をハッピーにしたいというDropboxの願いも、中小企業の方が実現しやすい、とPelz-Sharpeは語る。

Constellation Researchの協同ファウンダR Ray Wangも、4月の本誌記事で、Dropboxが企業に顔を向けるのは良い方向性だけど、現状ではまだ、大企業の顧客に十分アピールするものがない、と言っている。

BYODの時代におけるITサービスという、新しい機会を商機に育てようと虎視眈々とねらっているのは、Box、Google、Microsoft、Egnyte、Citrix, Oracle, IBMなどなど、Dropboxにとって強敵ばかりだ。でもFushmanに言わせると、Dropboxにも強みがある。CIOがツールを探そうとしたとき、Dropboxはすでに社員たち一人々々が使っているツールなのだ。だから、それを会社として公式に採用するのが、断然簡単である。しかもよく見れば、企業が必要とする機能も、揃っているではないか。

企業のDropboxに対する悪いイメージを払拭するためには、企業向け機能の充実とともに、積極的な営業マーケティング活動が重要、とFushmanは言う。“CIOたちに実際に会って話を聞くと、みんな、‘Dropboxに対する不安感はない’と言ってくれる。‘社員たちが好きなものを、社員たちに与えるのは当然だ’とも言う。要はしかし、企業がBYOD的サービスとしてDropboxを採用しようとしたとき、企業ニーズから見て欠けている機能が、そこに一つでもあってはならない。

その点が、今のDropboxでは十分ではないかもしれない。しかし同社は今、個人の仕事データと企業データの完全分離や、企業ユーザからのバックエンドコントロールの高度化、など企業ニーズへの対応に注力しており、それによってCIOたちが安心し、“Dropbox問題”が過去の死語となることを、期待しているのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


クラウドストレージ戦争激化―Microsoft、企業向けOneDriveの容量を25GBからなんと1TBに

クラウドストレージ市場で競争の武器となるのは容量だが、単位容量あたりの料金は今や急速にゼロに近づいている。

Microsoftは企業向けクラウドストレージのOneDrive for Businessについて、これまで1ユーザー当たり25GBだったストレージを1TBと40倍にアップすることを発表した

Microsoftは公式ブログで「十分な競争力がない」とDropboxとBoxをそれと分かる形で批判した。

〔クラウ共有サービスに〕一般ユーザー市場からスタートして最近企業向け市場に参入してきた一部のプロバイダーは、エンタープライズで必要とされるサービスのレベルにまだ十分な理解がない。エンタープライズに特化したプロバイダーも存在するが、提供するサービスの範囲が極めて狭い。急速に変化する企業ニーズに的確、広汎に対応できるサービスのプロバイダはほとんど存在しない。

Dropboxは企業向け市場に力を入れ始めているが、Microsoftは当然ながらこれを放っておけない。実際Dropboxの最近の企業向けプロダクトは非常に良くデザインされている(しかしまだ十分でないという意見もある)。

クラウドストレージのビジネス面は非常に複雑だ。私はBoxのS-1上場申請書についての記事でこう書いた。

財務的圧力は多数のライバルとの競争によってギガバイト当たり単価が急速に低下することによって増大している。Google やMicrosoftのような資金力のある巨大企業が競って料金を引き下げる中、Boxの利益率も低下せざるを得ない。GoogleやMicrosoftが提供するサービスの内容はBoxとは異なる。しかし共同作業機能と編集ツールを含まないクラウドストレージも、クラウドストレージを含まない共同作業機能と編集ツールも、もはや競争力がないというのが新しい現実だ。

Microsoftはとうとうギガバイト当たり単価を事実上ゼロにしてしまった。つまりストレージの提供そのものではビジネスにならない。これはDropboxやBoxのように長年ストレージ容量に課金してきたビジネスモデルにとっては厳しい状況だ。

GoogleとYahooも大幅にストレージ単価を引き下げている。YahooはFlickrで1TBの容量を無料提供している。Googleも最近クラウドストレージの料金を引き下げた

DropboxとBoxはこれに対処しなければならない。また事実、懸命に対処の努力をしている。Microsoftはこの市場を他所ものに明け渡すわけにはいかない。それは急速にクラウド化しつつあるOfficeビジネスの将来を危うくすることになるからだ。Microsoftはエンタープライズ・クラウドストレージ市場を守りぬく決意を固めているはずだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropbox、Microsoft Officeで共同作業ができるツール、Project Harmonyを開発中

昨日(米国時間4/9)、サンフランシスコで開催されたプレスイベントでDropboxはProject Harmonyという新し共同作業ツールの開発を行っていることを発表した。DropboxのユーザーはMicrosoft OfficeのPowerpoint、Word、Excelを使って他のユーザーと共同作業ができるようになる。

今年中にローンチされる予定のProject Harmonyは、ユーザーがDropboxの他のユーザーとMicrosoft Officeの各文書を共有し、共同で編集し、チャットができるようにする。

Dropbox CEO、Drew Houstonはプレスイベントの壇上で、「これまで共同して一つの文書を作るとき、ユーザー間でメールにファイルを添付してやりとりするなどし、その結果『プレゼン』、『プレゼンv2』、『プレゼンv3』などと際限なくバージョンが増えていた。Project Harmonyはそういう問題を無くす」と説明した。詳細は今週金曜〔日本時間土曜日〕に発表されるDropboxの公式ブログに掲載されるという。

一見したところ、このような共同作業ツールはGoogleドキュメントや中止されたGoogle Waveなどに近い機能のように思える。しかし運営者がDropboxでMicrosoft Officeが対象というのは画期的だ。技術的に見ると、異なるユーザーが異なるOSで異なるバージョンのOfficeを使っていても同期させることができるようにするのは大事業だ。

世界中で膨大な数の企業がMicrosoft Officeを使っていることを考えればProject Harmonyが予定どおり開発にり成功すればその影響は図り知れない。

DropboxはHarmonyの対象を将来さらに拡大していくという。Dropboxの社員はプレスイベントの壇上でプロトタイプのデモする際に「われわれはHarmonyを〔Microsoft Officeだけでなく〕他の多くのアプリケーションでも動作するようにしていく」と語った。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropbox、ユーザーの写真すべてを保存・共有するアプリ、Carouselを発表

Dropboxは今朝(米国時間4/9)、サンフランシスコで開催したプレスイベントでユーザーが2億7500万人に達したこを明らかにする同時に、Carouselという野心的なアプリを公開した。これは写真とビデオのアーカイブと共有のためのプラットフォームで、この分野の新たなデフォールト・サービスとなることを狙っている。

アプリはiOS版とAndroid版が用意され、どちらもCarousel.comからアクセスできる。Dropboxによると、このアプリはユーザーが契約しているDropboxの容量の限界まで、いくらでも写真やビデオを保管でき、デスクトップからもiOS、Androidデバイスからも自由にアクセスできる。

Mailboxのファウンダーで、Dropboxの幹部であるGentry UnderwoodがCarouselの発表プレゼンを行った。Underwoodによれば、このアプリを使えば非公開で写真やビデオを共有する場合にメールの添付ファイルのサイズ制限を気にする必要がないという。Carouselアプリの共有ツールはメールアドレスだけでなく電話番号も認識する。また受け取り相手はDropboxのアカウントを持っている必要がない。

DropboxはCarouselを「すべての思い出を一箇所に保存できる」サービスだとしている。アプリから写真を読み出すスピードはデバイスのオリジナルの写真ギャラリーより高速なぐらいだという。

Carouselは非常に巨大なビジネスになりそうだが、一方、高い技術力を持つ巨大企業が写真の保管と共有アプリの分野にはいくつも存在する。CarouselのリリースでDropboxはFacebook、Yahoo、Googleなどのライバルとの直接対決に踏み出したことになる。

アップデート:この記事ではCarouselのストレージ容量について「それぞれのユーザーのDropboxのストレージ容量を上限とする」という意味の記述を加えた。

写真:Flickr Lloyd Morgan CC by-SA 2.0 license

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropbox、1億ドルで買収した人気のメール整理アプリ、MailboxのAndroid版を発表

iOS向けメール管理アプリMailbox1億ドル前後で買収してから1年後、今日(米国時間4/9)、DropboxはMailbox for Androidをリリースした。同時にデスクトップ(Mac)向けのプレビュー版も公開された。また、読む必要のないメールをアーカイブするだけでなく、同様のメールをその後自動的にアーカイブするオートスワイプ(Auto-swipe)機能も発表された。

Dropboxは今日、サンフランシスコで大がかりなプレスイベントを開催し、ユーザーが2億7500万人に達したことを明らかにした。またDropboxを使ってMicrosoftのWord、Excel、Powerpointで共同作業ができるサービス 、Project Harmonyなどいくつかの重要な新しいプロダクトが発表された。

Android版MailboxはオリジナルのiOS版とほとんど同様の機能で、Google Playからすでにダウンロードできる。

〔日本版:日本のPlay Store。Android版Mailboxを利用するには事前に最新版Dropboxのインストールが必要。Playストアの説明は日本語化されているが最初の起動時に表示されるガイドツアーを含めてアプリ自体のUIは英語〕

Mac版のデザインはシンプル極まりない。モバイル版ではアーカイブや削除などの動作はすべてスワイプで行うが、デスクトプではトラックパッドをジェスチャーに利用できる。Macのプレビュー版を試したいユーザーはこのページの一番下からダウンロードできる。

こちらがデスクトップ版のスクリーショット。

オートスワイプ機能についてMailboxチームは「一度タップするだけで明日から確実にメールの数を減らせる」と説明した。われわれは毎日毎日同じようなスパムを受け取り、そのつどアーカイブしている。しかしスパム・メールの「配信停止」ボタンはわかりにくいところに隠されていたり、実際には機能しないことも多い。

Mailboxのオート・スワイプは広告や勧誘などの迷惑メールを簡単に退治できる。Mailboxはユーザーがメールをアーカイブしたり「後で読む」に分類したりするパターンを学習して不要メールを識別する。やがてユーザーに代わって自動的に不要メールをアーカイブしてくれるようになる。ユーザーの選択パターンはDropboxに保存され、どのデバイスでも共通に適用される。オートスワイプは現在Android版のみだが、iOS版にもすぐに追加される。またデスクトップ版も正式公開時にはオートスワイプをサポートしているはずだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropbox、資金5億ドルを融資調達

オンラインストレージサービスのDropboxは、5億ドルを上回る資金を負債(融資)調達した。Recodeの記事による。

本誌はDropboxに確認メールを送ったので情報が入り次第続報する予定。最初にこのニュース(有料ページ)を報じたのは、Financial Timesのようだが、Recodeによると、同誌は「現場に近い情報筋」に確認を取った、と言っている。

今年2月、Dropboxは株式発行によって3.5億ドルを調達し、評価額は100億ドルだった(同社はこのラウンドを正式に認めたことはないが、当事の報道は規制当局への提出書類によって確認されている)。つまり、同社にとって今は積極的成長の時のようだ。4月9日に予定されているプレスイベントで詳細が明らかになるだろう。

若いIT企業で、融資による資金調達を行っているのはDropboxだけではない。Squareは最近、「数百万ドル」の資金を融資枠で調達したと、CNBCは報じている

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Dropboxの共有フォルダがコラボレーションワークスペース(としてのWebサイト)になるSitedrop

みんなに同じプロジェクト管理ソフトを使ってもらうのは、なかなか難しいが、Dropboxのアカウントは誰もが持っているようだ。この大人気の消費者向けサービスを仕事にも利用しよう、と考えたSitedropは、Dropboxの任意のフォルダを、ビジュアルな要素の多い、コラボレーションのためのWebサイトに変えてしまう。

Sitedropのユーザは、そうやって作られたオンラインのワークスペースを、見たり、コメントや好きな画像などを送ったり、ファイルをアップロードしたりできる。ファイルは、ファイル本体やリンクをDropboxのフォルダにドラッグ&ドロップするだけだ。

同社は今、ニューヨークでインキュベータBetaworksの傘下にあり、昨秋非公開ベータでデビューしてから今日まで、徐々にユーザベースを拡大してきた。今日現在でベータユーザはほぼ3000名おり、まだまだ増えそうだ。

 

このサービスを考えたのはBetaworksの社員ハッカーJessey White-Cinisで、デザインは彼の以前からのビジネスパートナーThomas Brodahlが担当した。二人はこれまでの10年間、デザインエイジェンシーを共同経営してきたが、その間に、このサービスの発想の元となる、さまざまなフラストレーションを経験した。

“デザイン会社ではプロジェクト管理が難しい。だから、これを考えたんだ”、とWhite-Cinisは言う。“Basecampを確実にみんなに使ってもらって、すべてのコミュニケーションがそこで行われるようにするのは、ほとんど不可能だ。でも、そんなにばらばらな彼らでも、なぜかDropboxのフォルダは共有してるんだ”。

では、その共有フォルダをもっと便利なものにしよう、というのがSitedropの発想だ。そこで、Dropboxの欠陥をそこここで補いながら、共有フォルダをコラボレーションツールに変えてしまったのだ。

Sitedropにサインアップし、認証はDropboxで行われる。共有フォルダにあるファイルは、この‘Webサイト’のサブドメインとして表現される。ファイルはそのリストを見たり、あるいは(画像などは)スライドショウで見ることもできる。ファイルのプレビュー機能は今のDropboxにはないので、Photoshopにやらせている。そのため、写真家やデザイナーなどクリエイティブ方面に人気がある。

 

Sitedropにおける管理の対象はあくまでもフォルダとその中のファイルなので、使い心地はデスクトップ上のフォルダ/ファイル操作と同じだ。ユーザ個々に対し、アップロード可、とか、見るだけ、などの権限を指定できる。パスワードで保護することもできる。コンテンツのコラボレーションは、コメント、親指アップ/ダウン、などなどの関連ツールを使って行う。Webページのリンクをドラッグ&ドロップすると、そのコンテンツも表示される。

このサービスの今後の課題は、GitHubなみの堅牢な(混乱や破壊が起きない)コラボレーション的リビジョン管理だ。とくにコンテンツの改変履歴を、過去のどの段階でもあとから見られる/遡れるような、タイムマシン機能が重要だ。

White-Cinisによると、このサービスにはいろんな機能があるので、クリエイティブ以外の人たちも使い始めている。“スクラップブックの代わり、あるいはドキュメンテーションのためのwikiのような使われ方もある。共同作品集のようなものも、いくつか見たことがある”、と彼は言う。

Sitedropは無料で、ユーザは最大5つのオンラインワークスペースを共有できる。今後は、ビデオファイルの共有、ワークスペース数の拡大なども含めて、有料プランも導入したい。しかし今現在でも、ワークスペースのサイズに制限はないし、要件はただ一つ、ユーザにDropboxのアカウントがあることだけだ。

実際の利用例を、Xtrapop(iOSアプリ)やThe Life Aesthetic(クリエイティブ)、Ian Brewer(写真)などで見ることができる。あるいはここにサインアップして、ご自分で体験してもよい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleのストレージ大幅値下げ攻勢の影響は甚大

先週、Googleはクラウド・ストレージの料金を劇的に引き下げた。今やGoogle Driveの料金はライバルのどれよりも大幅に低い。1TB、月額9.99ドルではすべてのライバルが恥じ入らされることになる。

しかし今起きているのは単なる値引きではない。さらに長期的なGoogleの競争戦略を見てとることができる。

Dropboxの現在の料金は100GBあたり9.99ドル/月、SugarSyncは1TBあたり55ドル/月で3ユーザーが共有できる。MicrosoftのOneDriveは年額プランのみで、50GBが25ドルからだ。これはGoogleの新料金100GB、1.99ドル/月(年23.88ドル)にくらべて約2倍高い。Appleは50GBに年額100ドルを要求する。

さらに重要な点はGoogleの新料金が、Google自身のデベロッパー向けクラウド・ストレージの料金より安いことだ。さらにAmazon S3Microsoftの Azureストレージよりも安い。Amazon S3はDropbox始め多くのクラウド・ストレージ・サービスが利用しているプラットフォームだ。Droboxなどのスタートアップは膨大なストレージを利用しているからおそらく多少は料金の割引を得ているだろう。しかしそれでもGoogleの新料金はデベロッパーが利用するクラウド・ストレージ・プラットフォームの料金より安い。

Googleの新料金プランでは100GBの次がいきなり1TBになる。これは一般ユーザーは今後相当長期にわたって契約したストレージのごく一部しか使わないと見込んでいるのだろう。それでもGoogleが原価割れ覚悟の低料金でライバルにプレッシャーをかけていることは見てとれる。

Googleの狙いは何か? 低料金は有料ユーザー獲得のために大いに役立つのはもちろんだが、それ以上にGoogleはクラウド・ストレージというGoogleがまだ支配していない混戦模様の市場での優位性の確立を狙っているのだろう。

そもそもGoogle Driveは単なるストレージではない。GoogleはDriveでワープロ、表計算などの生産性アプリを提供している。GmailやGoogle+、Picasaによる写真共有のストレージも兼ねている。

現在、多くのユーザーにとってマルチデバイスで同期できるクラウド・ストレージといえばDropboxであり、Google Driveではない。MicrosoftのOne DriveはWindows 8に組み込まれている。Google Driveのデスクトップ・アプリはそれなりに高機能だが、ユーザー体験はDropbox.ほど洗練されていない。

Google Driveをユーザーが好むのはやはりその生産性アプリの共同作業のしやすさだろう。しかしここでもGoogleは激しい競争を予期しなければならない。Microsoftもついにクラウド化に舵を切り、無料のオンライン版Word、Excel、PowerPoint、OneNoteの普及に真剣に取り組むようになった。Microsoft Officeにどんな欠点があるにせよ、Google Driveの文書、スプレッドシート、スライドなどのアプリよりもユーザーに対する知名度が高いことは確かだ。特に企業社会ではいまだにOfficeの各フォーマットはデファクト標準となっている。Googleはストレージの値下げによってMicrosoftのビジネス界における牙城を崩そうという戦略だろう。

GoogleはDriveのワープロと表計算でサードパーティーのアドオンをサポートすると発表し、Googleの生産性ツールの周囲に活発に活動するエコシステムを建設しようとする考えを明らかにした。

上でも触れたようにDriveはGoogle+とPicasaの写真の保存にも用いられる。Google+にどんな欠点があろうと、写真の保存と共有(とハングアウト)に関してはライバルをしのぐものがある。しかも2048×2048(約4.2メガピクセル)以下の写真は無料で保存できる(有料ストレージの保存量にカウントされない)。もっとも最近では写真の高精細度化が進んでいるから、ユーザーはじきに有料プランを必要とするようになるだろう。

今回の大幅値下げでGoogleはライバルを料金戦争に引きずり込むことに成功した。スタートアップが利用している業務用ストレージ・プラットフォームの料金より低い新料金はライバルにとっては痛手だろう。またGoogleはライバルのスタートアップが提供していない生産性アプリをさらに強化し、この面での優位性を確実なものにしようとしている。

これに対してライバルたちがどう巻き返しに出るか、この数ヶ月は興味深い展開となりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropbox、新たに3.5億ドルを調達。評価額は100億ドル

Dropboxが追加ラウンドで多額の資金調達を済ませていたという先月来の報道は、規制当局への提出資料によって確認されたようだ。

去る1月Wall Street Journalは、クラウドストレージ&共有サービス会社が2.5億ドルの追加資金を評価額100億ドルで調達したと報じた。そして2月には、この数字を3.5億ドルに修正し(評価額は変わらず)、出資者はBlackRock、T.Rowe Price、およびMorgan Stanleyであるとした。しかし、Dropboxは報道内容を認めなかった。

提出資料によると、ラウンドの金額は最大4.5億ドルで、これまでに3.25億ドルが調達済みだ。おそらく3.5億ドルというのが正しい数字のようで、Fortuneもそう聞いている

Dropboxはそれ以前、2.5億ドルをわずかに越える額を調達している。本誌は同社に問い合わせ中なので、情報が入り次第続報する。

ところで、Dropbox共同ファウンダーのDrew HoustonとArash Ferdowsiは、今年のCrunchiesで年間最優秀ファウンダーを受賞し、プレゼンターは私とInstagram共同ファウンダーのKevin Systromだった(上の写真からは私を切り取ってある。何だか妙な気分なので)。

アップデート:3.5億ドルで間違いなかった。この資金調達に詳しい筋が確認した。Dropboxは事実この金額でシリーズCラウンドを完了し、出資元は既存投資家および主要投資信託で評価額は100億ドルだった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Dropbox、2.5億から4億ドルの巨額資金調達―エンタープライズ市場でライバルを先制攻撃へ

Dropboxは100億ドルの会社評価額で2.5億ドルから4億ドルの資金調達を行ったもようだ。Wall Street JournalRe / codeの記事によれば、 その理由として考えられるのは、Dropboxは昨年ビジネス向けにプロダクトを全面的に作り直しており、今年はこれを売っていく必要があるかという点だ。情報源によれば、Dropboxは現在の過熱気味のベンチャーキャピタル市場とDropboxへの高い関心から最大限有利な資金調達を試みたのだという。

調達した資金は他のテクノロジー企業からトップクラスの人材をスカウトしたり有力スタートアップを買収するのにも役立つ。しかし現在のDropboxにとってもっとも重要なのはBox、Google Drive、Microsoft SkyDrive、Amazon WorkSpacesといった強力なライバルに大企業ユーザーをさらわれる前に先制攻撃してシェアを確保することだ。

Dropboxの急成長

Dropboxは当初個人ユーザー向けの手軽なクラウド・バックアップ・ツールとしてスタートした。「あなたのファイルをどこにでも」がそのキャッチフレーズだった。AK-47を構えた恐竜がサメにまたがり、その背中にハゲワシが止まっているイラストがマスコットだった。Dropboxはサンフランシスコの本社ロビーにわざわざそのTレックスの像を作って飾っていた。この時期のDropboxには企業向けにセキュリティやスケーラビリティーを真剣に売り込むつもりがあったようには見えない。

しかしユーザーにギガバイト単位で無料のストレージを提供する戦略が功を奏し、Dropboxは口コミでテクノロジーに強い個人ユーザーの圧倒的な支持を得るようになった。2012年12月にはユーザーが1億人を突破、その1年後には2億人となった。また明るい社風が幸いしてGoogleのPythonの父であるGoogleのGuido Van RossumFacebookのベテラン・デザイナー、Soleio Cuervo、Rasmus Anderssonなどのビッグネームのスカウトにも成功した。

しかしわれわれは1年前に企業ユーザーから 「Dropboxはにはビジネス利用に必要なアクセス管理やセキュリティ機能がない」という声を聞いていた。つまり社員の誰がどのファイルにアクセスし、ダウンロードしたのかなどを確実にモニタする機能などがまだ欠けていた。.

そこで1年前からDropboxはサービスのアーキテクチャをビジネス利用に耐えるように全面的にアップグレードするという野心的な試みに乗り出した。これはユーザーが同一アカウント内から新しいエンタープライズ向けサービスと従来の個人向けサービスの双方にアクセスできるようにすることを目的としていた。.

2013年11月に共同ファウンダー、CEOのDrew Houstonが新しいDropbox For Businessを発表した。Houstonはここで業務用ファイルとプライベートなファイルの双方に同一アカウントでアクセスできる点や強力なアクセス管理と共有管理機能をアピールした。また社員が辞めたり異動した場合にその社員がアクセスできるすべてのデバイスからファイルを一括削除できる機能も追加された。

このDropbox For Businessは今年前半には一般公開されるという。個人ユーザーには圧倒的な人気を誇るDropboxだが、何千人ものアカウントを必要とする大企業に1人年額175ドルで新サービスを売り込むのは大事業だ。大量のセールス部隊が必要になるだろうし、当然大量の資金が必要になる。

ベンチャーキャピタル市場は過熱状態

Dropboxにとって幸運なことに、PinterestUberの億単位の巨額資金調達をみてもわかるように現在の資金調達の環境はきわめて良いFacebookの株価が復調し、Twitterの大型上場が成功したことも資金市場を過熱させている。一方、Dropboxの内情に詳しい情報源によると、同社はエンタープライズ向けクラウドサービスのライバル、Boxの急成長に極めて警戒を強めており、「鉄は熱いうちに打て」とばかりにこのチャンスを生かして最大限の資金調達を試みたのだという。

Wall Street JournalのDouglas MacMillanRe / code’sの Liz GannesによればDropboxはBlackRockがリードし、既存投資家が参加したラウンドで2億5000万ドルの調達を完了したという。さらにDropboxは大手ミューチュアル・ファンドのFidelityとT.Rowe Pricemayから追加の1億ドルから1.5億ドルを引き出す可能性がある。

この一連の資金調達の結果、Dropbox の調達総額は5億700万ドルから6億57 00万ドルとなる。

金を稼ぐには金を使わねばならぬ

潤沢な資金の確保に成功した後、緊急に必要なのはセールス能力の拡充だ。

これには実績あるセールス担当幹部のスカウトが近道だ。すでに2012年にSalesforceの営業部隊を10年にわたって率いてきたKevin Eganをスカウトしている。また最近ではビジネスソフトの有力ベンダーなどサードパーティーとの提携を強めるためにビジネス開発チームを強化し、Facebookのモバイル提携の責任者、Henri Moissinac、Spotifyの提携業務担当幹部、Tom Hsiehを採用している。

また今回の資金は将軍を雇うだけでなく大量の歩兵を雇うためにも必要だった。Dropboxは2013年に200人から500人へと拡大した。今後はさらに拡大の速度を速めるだろう。

しかしエンタープライズ市場で成功するためには、前述のように、まずBoxとそのカリスマ的リーダー、Aaron Levieと戦わねばならない。Boxのビジネスユーザーはまだ20万社にとどまっているものの、Boxはセキュリティとアクセス管理の面でエンタープライズ・ユーザーから高く評価されている。それがBoxがProcter & Gamble、Nationwide Insurance, LinkedIn, MTVなどのビッグネームとの契約に成功した理由だ。Dropbox(上)とBox(下)のホームページを眺めただけでも両者がどのようなユーザーを主たるターゲットにしているか想像がつくだろう。

DropboxはまたGoogle Driveとも競争しなければならない。Googleは他のエンタープライズ向けサービスとの緊密な統合を約束できるという強みがある。またMicrosoft’s Officeを中心に業務が組み立てられている場合、SkyDriveはには優位性がある。Amazon WorkSpacesはAmazon Web Services(AWS)をバックにしている。Dropboxのような独立のサービスにとってはいずれも手強いライバルだ。

また先週起きたようなシステムダウンを防がなければはビジネスユーザーを遠ざけることになる。

DropboxのCEO、Drew Houston

DropboxはMailboxの買収を買収したが、同時にもっと小さいチームEndorseSnapjoySoldなども傘下に収めてきた。数億ドルの資金を得た以上、M&Aでも積極的な動きが予想される。Dropboxが現在のサービスの穴(たとえば複数ユーザーのリアルタイム共同作業)を企業買収で素早く埋めることができればユーザーにとっての魅力が増すだろう。

昨年われわれはDropboxが2014年に上場すると予測した。しかし上場は時間のかかるわずらわしい手続きであり、共同ファウンダーのHoustonとFerdowsiがニューヨーク証券取引所で取引開始の鐘を鳴らすときに株式市場の情勢がどうなっているかも分からない。Dropboxが現在できるだけ多額の資金を集めているのは賢明な戦略といえる。

[I画像:Ariel Zambelich/WiredJDLasica]

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Dropboxのおかげ? MailboxがYahoo MailとiCloudをサポート

Dropboxに買収されたMailboxは、単一メールサービスから拡張して、Yahoo Mail、iCloud、Me.com、Mac.comアカウントを追加サポートした。これまでこのメールクライアントがサポートしていたのはGmailのみで、利用者は多数ではあるが制限されていた。

Mailboxによると、iCloudとYahoo Mailのサポートは、他のどの機能よりも要望が多かった。

このアップデートにはDropboxの影響が表れている。Dropboxはその性質上プラットフォーム無依存で来ている。MailboxをGmailに限定していたのは、緊急性と成長のためだったに違いない。しかし今MailboxはDropboxという後盾を得て、初めて新たなメールサービスを追加することができた。

Mailboxの買収は、Dropboxが同期サービスから様々なツールのプラットフォームへと拡張しようという動きを示す良い兆候だった。反対(エンタープライズ)方向から攻めてきているBoxと正面衝突する運命にあることを踏まえると、Dropboxが独自の生産性機能を揃えることは、将来エンタープライズユーザーに売り込む際に役立つだろう。Boxも同じことをしている。

MailboxのアップデートはiOS向けに今日公開された。残念ながら、メールサービスの選択肢は増えても、未だにAndroid版は存在しない。そしてこのアプリが真にサービス無依存になるためには、IMAPやPOPのサポートが必要だが、それはまた別の機会に。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Dropboxの2013年売上が2億ドルなら、評価額80億ドルは相当の割高

Dropboxは新たな資金調達を高額の評価額で行おうとしている。テク業界で起きた最近の投資事例と比較するとそうなる。しかし、同社の成長曲線が過去の結果を再現するならば、案外割安かもしれない。

Dropboxが売上10億ドルに向けて進んでいるとする以前の指摘は、今日のWall Street Journalと矛盾している。同紙はDropboxの2013年売上は、2億ドルをわずかに上回る程度だと報じている。

2億ドルは10億ドルとは大きく異なるため、同社が評価額80億ドルに基づいて約2.5億ドルを調達しようとしている、というニュースの意味あいも変わってくる。昨日、売上10億ドルを前提に、私はDropboxが評価額80億ドルならお買い得であると評した。

しかし、売上2億ドル、いや2.5億ドルだとしても、Dropboxは投資先として断然高すぎる会社だ。

昨日本誌が報じたように、Twitterが上場した時、(完全希釈化株数を使用して)自ら算出した評価額は、過去12ヵ月の売上合計の34.2倍だった。Twitter株が売りに出されると、市場は同社を急上昇させ評価額は前年売上の59.5倍となった。

Dropboxは、2013年売上を2億ドル、評価額80億ドルと仮定すると、過去12ヵ月売上の約40倍の値が付けられることになる。これは、Twitterが自身で適切と考えた数字よりも大きい。Twitterの株価は最近の高値からは下がり、投資家が同社株に払う意志のある売上倍数は小さくなった。

つまり売上2億ドルのDropboxは、投資家がTwitterに払おうとする価値と同じか、やや高いことになる。両社はもちろん著しく異る会社だが、いずれも9桁の売上と10億ドル単位の評価額を持つ大企業なので、何らかの比較は可能だ。

ちなみに、Dropboxの2013年売上が2.5億ドルで、評価額が80億ドルならば、売上倍数は32となり、Twitterが上場時に自ら付けた価値とほぼ同じになる。

Dropboxの80億ドルという数字は、2013年の売上ではなく、成長曲線を根拠にすれば筋が通る。WSJはこう書いている。

同スタートアップは昨年1.16億ドルを売上げ、2011年の売上0.46億ドルから2倍以上に増やした。その前年には0.12億ドルから4倍近く伸ばした。Dropboxは今年2億ドルを超える売上を達成するだろうとある人物は言っているが、どれほど超えるかは不明だ。

もしDropboxが、2012年から2013年にかけて達成するに違いない売上倍増の成長率を、2014年にも実現できれば、売上倍数は半分になり、上記のTwitterの数字と比べてずっとお買い得になる。だから、投資担当者にこう尋ねてみよう。Dropboxは今の成長率を維持できるのか? もしそうなら、80億ドルという数字は今は高くても、来年の今頃はそうではない。

トップ画像提供:Flickr

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Dropboxのユーザーが2億人―新しいビジネス・クライアントを発表してエンタープライズ市場に本格参入へ

今日(米国時間11/13)、DropboxのCEO、Drew Houstonはユーザー数が7月の1億7500万から2億にまで増加したことを明らかにした。またユーザー個人のプライベートなファイルと業務で使用するファイルを単一のインタフェースか利用できるDropbox For Businessという新サービスを発表した。

新プロダクトはDropboxが個人ユーザー向けの便利なツールであるだけでなく、共有範囲の制限やモニタ機能など強固なセキュリティーを提供することによって本格的なエンタープライズ・サービスであることをアピールするものだ。Dropboxにはすでに400万のビジネス・ユーザーがおり、Fortune500の大企業の97%がユーザーであるという。

今回のプレス発表はビジネス・ユーザー志向だったが、前回のイベントはデベロッパー向けのプロダクトのリリースが中心だった。この際、2012年の11月に1億人だったユーザーが1億7500万に増加したことを発表した。このイベントでローンチされたDatastore APIはアプリのデベロッパーがメタデータ(ゲームのユーザーがクリアしたステージの数など)をクラウドに保存することを可能にした。またサードパーティーのアプリがユーザーのDropboxファイルにアクセスできるようにするDrop-Ins APIも発表された。

業務とプライベートの使い分けが面倒だった

Houstonは今日のイベントでDropboxをスタートさせるきっかけとなった出来事を語った。ある日、Houstonバスの中で仕事をしようとしてUSBドライブを忘れてきたことに気づいた。そこでUSBドライブを持ち歩くのを忘れないようにしたり、バックアップのためにファイルのコピーを取ったりする作業がいかに多いかに気づいたという

続いてHoustonはファッション企業のBCBGのCIO、Nader Karimiを壇上に呼び出し、Dropboxなしにデータを管理するのがいかに難しいかを説明させた。Karimiは法的文書を確実に共有するためにDropboxを利用する方法について詳しく語った。

Houstonは続いて、個人的な文書と業務上の文書を同一のユーザーが管理する場合のわずわらしさについて述べた。当初Dropboxではそういう場合には簡単にアカウントを切り替える機能を提供すればよいと考えていた。しかしアカウントの切り替えに15秒かかるとすれば、2億人のユーザーが1回アカウントを切り替えるだけで1000年分の時間がサーバー上で消費されてしまう。

「これまではユーザーは個人ユースのDropboxと業務ユースのDropboxを使い分けていた。これは馬鹿げている。一つのクライアントでどちらも処理できるようにするべきだ。しかしそうするにはDropboxを事実上、一から作り直す必要があった。しかし考えてみれば、われわれのところには世界的にトップクラスの人材がいる。それならやらせてみようじゃないか。そして今日、まったく新しいDropboxfor Businessを発表することできて大いに興奮している。われわれはすべてを作り直した」とHoustonは述べた。

Dropbox For Business

この新しいDropbox For Businessのユーザー・クライアントは来年早々に公開予定だ。現在すでに企業の早期予約を受け付けている。料金については5ユーザーあたり年間795ドル、追加1ユーザーごとに年間125ドルという現行体系を変更するという発表はなかった。

Dropbox For Businessを利用すると、ユーザーはプライベートなファイルのタブと業務用のファイルのタブを同じウィンドウで見ることができる。ユーザーがビジネス・アカウントとプライベートで使う個人アカウントを持っている場合、この新しいクライアントを使ってそれらを統合することができる。HoustonとCTOのArashFerdowsiはブログ記事で「いってみれば職場の鍵と家の鍵を同じキーリングにつけて持ち歩けるようになったわけだ」と説明している。

新しい通知バーはプライベートと業務の両方のアラート受け取るようにも、一方だけを選んで受け取るようにも設定できる。モバイル版のビジネス版Dropboxもウェブ版と一貫性を保つようアップデートされた。デベロッパー向けにはChooserとSaver APIが新設され、サードパーティー・アプリ内から両方のカテゴリーのファイルにアクセスができるようになっている。

また今回のアップデートではCIOとIT部門がDropboxの利用を厳密に管理できる能力が追加された。新しい共有監査ログを利用すると管理者はどのファイルを誰がいつ誰と共有したかを詳細にモニタできる。セキュリティ上の必要に応じて、特定のファイルの共有範囲を制限したり禁止したりできる。また従業員が個人のプライベートなファイルに会社のコンピュータからアクセスするのを禁止することもできる。

さらにもうひとつ管理機能にアカウント移動ツールが加わった。このAccount Transferを利用すると、社員が退職したり別組織に異動した場合に簡単にアクセスを取り消すことができる。また管理者は後任の社員を選んで、前任者のすべてのファイルを託すこともできる。 Remote Wipeはデバイスが盗難にあったり社員が退職したりした場合にデバイス上のデータを確実に消去する。

現在のDropboxに欠けているのは他のサービスで提供されているような共同作業のためのツールだが、モバイルおよびビジネス・プロダクトの責任者のIlyaFushmanは「われわれはまさにその点をロードマップに載せている」として現在対応中であると述べた。

Dropboxのエンタープライズ版のライバルはMicrosoft、Google、Boxなどだが、今日はAmazonが新しいWorkSpacesというバーチャル・デスクトップで新たに参入してきた。これまでDropboxには消費者向けプロダクトというイメージが強かった。しかし今日のDropbox For Businessの発表で、セキュリティーや共有範囲の厳密なコントロールなどエンタープライズ利用に必須の機能が整備された。

エンタープライズ・クラウド市場における主導権争いはますます興味深くなったといえるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


BitTorrentがSync APIを公開: インターネットのサーバ集中主義から完全分散化への脱皮を促す

【抄訳】

Syncは、P2PプラットホームBitTorrentのファイル同期化サービスで、サーバのないDropboxみたいなシステムだが、今年初めにローンチして以来ユーザ数が着実に増えて、いまではアクティブユーザ数100万、サービス上にアーカイブされているデータ量30ペタバイトに達している(7月には8ペタバイトだった)。そしてユーザ数をさらに増やしたいBitTorrentは今日、SyncのAPIをリリースした。デベロッパはこのAPIを使って自分のアプリケーションからSyncのサービスを利用でき、ユーザにデータのアクセスと共有を提供できる。

同時にまた、ニューバージョンSync 1.2がリリースされる。これには、ネイティブのiPadサポートが加わり、LAN上の転送速度が最大毎秒90MBまでアップした(ワイヤレスではこれより遅い)。

BitTorrentがAPIを提供するのは、これが初めてではない。過去には、BitTorrentそのもののためにuTorrentTorqueを提供している。

しかし今回公開されたAPIは、BitTorrent上でメディアファイルを共有するにとどまらない、もっと広範なデベロッパを対象にしている。そしてそのレベルでは、二つのユニークなセールスポイントがある: Syncはそのほかの類似サービスに比べて速い、良い、のほかに、サーバがどこにもないからプライバシー保護が強固だ。P2Pは基本的に分散システムなので、悪い人はデータの所在を簡単に突き止めることができない。

それにまた、BitTorrentはNSAの一般市民に対するスパイ行為を強烈に批判してきたが、BitTorrentの場合その批判は同時に、自分の宣伝でもある。中央集中型のサービスではなく、分散型の構造であることの。NSAが悪人扱いされている現状は、BitTorrentにとって絶好のマーケティングチャンスかもしれない。

いずれにしても、データのプライバシーを重視する人にとってSyncは、そのほかのバックアップサービスにはない重要な特徴を持っている。BitTorrentの広報は、“分散型のインターネットがより良いインターネットだと思う”、というきわめてシンプルな言い方をした。

【中略】

APIの一般公開は今日からだが、初期の作例(用例)を見ることもできる: Webサイトの展開ソーシャルネットワーキングメッセージングなど。BitTorrentはさらに、Sync APIの今後の用途として、“検閲と戦って言論の自由を確保し、思想と情報の自由な流通を確保するためのアプリケーション”や、“セキュアなストレージを確保し、ユーザとデータのプライバシーが政府などの底引き網にかからないようにするためのアプリケーション”、を挙げている。

“すでにいくつかのグループが、セキュアでプライベートなサービスの開発に(このAPIを使って)取り組んでいる”、とBitTorrentの広報は言った。“これはインターネットの次の大きなイノベーションの波の始まりだと思う”。

このAPIの詳細はここで見られる。

画像: Flickr

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))