GUNはオープンソースのP2Pデータベース――ノードがオフラインでも機能する

GUNはオープンソースの分散データベース・システムでデベロッパーは簡単にP2Pネットワークで作動するアプリを開発できる。しかもこのネットワークでは一部のノードがオフラインであっても作動する。今日(米国時間5/23)、このデータベースを開発した会社(ピストルのロゴと社名は一考の要があるかも)はDraper Associatesがリードしたラウンドで150万ドルのシード資金の調達に成功してことを発表した。今回のラウンドにはSalesforceのマーク・べニオフのAloha Angels、Boost VC、CRCM Venturesなどのエンジェル投資家が加わっている。

GUN のファウンダー、Mark Nadalは私の取材に答えて、「データベースに取り組み始めてから4年になる。きっかけは、私の初期のプロジェクトでの失敗のほぼすべてがデータベースが原因だったからかだ」と語った。データベースがダウンすればサービスはすべてダウンする。そこでリアルタイムでアップデートしても整合性が保たれる分散データベース・システムの開発を始めたたのだという。

GUNはマルチマスタ・レプリケーションによるP2Pデータベースであり、クラウド・サーバーはネットワークの一つのピア・ノードに過ぎない(もちろんユーザー側ブラウザに比べてはるかに大量のリソースをを持ち、信頼性もはるかに高い)。GUNユーザーにはアップデートにおけるコンフリクト解消などのデータベース運用上必須のツールが標準で提供される。データは自動的にピアに拡散、同期される。ユーザーがオフラインになるとデータはローカルにキャッシュされ、再度オンラインになったときにネットワークに書き戻される。

Nadalは2014年にFirebase、MySQL、MongoDB、CassandraをベースにGUNの最初のプロトタイプを開発した。これはかなりつぎはぎの仕事だったが、引き続きこのアイディアを追求するに足るだけのデベロッパーの関心を集めることができた。

現在GUNを利用してRedditのクローン から分散版のYouTubeのコピーまでさまざまなデータベースが実験されている。

Nadalはまた一部の現行データベースに比べてこのシステムはスピードの点でも大きな優位性があるとしている。「予備的なテストの結果ではわれわれのキャッシュはRedis、MongoDBなどに比べて28倍速いと判明した。GUNは現在、ゲーム、IoT、VR、分散的機械学習などの分野におけるパイオニア企業と提携を進めている」という。

オランダ海軍はすでに艦上のIoTサービスの一部にGUNを採用している。AI/機械学習分野で利用しているグループも多い。Nadalはこのデータベースはブロックチェーン・テクノロジーとの適合性が高いとして、この分野のデベロッパーもGUNに注意を払うべきだと考えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

ビデオの配信をWebRTCのピアツーピア通信で行うStreamrootが$3.2Mを調達

フランスのスタートアップStreamrootがこのほど、Partech Ventures, Techstars Venture Capital Fund, Verizon Ventures, R/GAなどのVCから320万ドルを調達した。同社はWebRTCを利用する、とても安上がりなビデオストリーミング技術を提供している。

YouTubeやNetflixなどのビデオは、ビデオファイルの内容が彼らのサーバーから送られてくる。それはデータセンターとユーザーのデバイスとのあいだの、単純明快な一方向通信だ。でもビデオファイルは重いから、それらを送れるだけの帯域を確保するために大金を投じなければならない。

Streamrootは、ピアツーピアの層をそこに加えて、この形を変えようとする。今ではDailymotionやCanal+, Eurosport, Russia TodayなどがStreamrootの技術を使って、必ずしもすべてのビデオが彼らのサーバーからは来ないようにしている。

DailymotionでTaylor Swiftの最新のミュージックビデオを見ている、としよう。大人気スターだから、同じ時間にそのビデオを多くの人が見ているだろう。Streamrootは、そのビデオの一部またはすべてをほかのユーザーから直接ダウンロードしようとする。

そこで、二人のユーザーに自分のサーバーから同じファイルを計二度送る代わりにDailymotionは、サーバーからの一回の送信で二人の視聴者をまかなう。同じビデオのトラフィックの大きなスパイクがあるときには、この方法はとくに有利だ。

この技術の良い点は、それがユーザーにとって完全に透明であることだ。WebRTCはデスクトップでもモバイルでも、現代のWebブラウザーのほとんどがサポートしているから、ユーザーが特別なソフトウェアなどをインストールする必要はない。ピアツーピアの方が通信の質が悪いときには、Streamrootはブラウザーへの通信を従来のサーバーからに切り替える。つまり、両者の良いとこどりをする。

Streamrootは現在、1か月に4億のビデオセッションを送っている。同社によると、そのトラフィックの50〜80%は、この分散インフラストラクチャを利用している。

  • 情報開示: VerizonはOathのオーナーであり, OathはTechCrunchのオーナーです。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

東南アジア拠点のフリマアプリCarousellが3500万ドルを調達

Southeast Asia based Carousell raises1  35M for its social commerce app   TechCrunch

Carousellはユーザーが品物を掲載して個人間売買できるアプリだ。Carousellを運営しているのは創業4年目のシンガポール発のスタートアップで、現在、東南アジアにおいてアプリを展開している。CarousellはシリーズBラウンドで新たな国への進出とプロダクト開発のために3500万ドルを資金調達した。

Carousellは、整い始めたシンガポールのスタートアップエコシステムから芽を出したスタートアップの内の1社だ。Carousellを創業したNUS(シンガポール国立大学)卒業生のLucas Ngoo氏、Marcus Tan氏、Siu Rui Quek氏ら3人は20代前半は「一般的な」仕事に就いていた。加えて、このシリーズBラウンドはシンガポール発のスタートアップにとって確実に注目に値する(そして最大の)ラウンドである。

当ラウンドは以前からの出資者Rakuten Venturesに率いられ、Sequoia(東南アジアの取引を担うインドのファンド経由)、Golden Gate Venturesと500Startupsが参加している。Carousellは以前の2014年のシリーズAラウンドで600万ドル2013年のシードラウンドで80万ドルの資金調達をしている。新たな調達ラウンドを早い段階から検討していたことが垣間見える。

実際、昨年12月TechCrunchは、CarousellがシリーズBラウンドで5000万ドルに近い額を出資者から調達しようとしていると記事で伝えた。当時、その記事に関してCarousellのコメントを得られなかった。そして、今回に関してもCEOのQuel氏はその記事に関しては「既存投資家の支援が得られることを非常に嬉しく思っています」と述べるに留まった。

Carousellのアプリは「私たち自身が抱えている問題を情熱を持って解決するプロジェクト」としてシンガポールで開始したとQuek氏はTechCrunchのインタビューで語った。簡単にCarousellを言い表すとiOS、Androidアプリ経由のモバイル版クレイグリストだ。写真をアップロードできる機能を持ったチャットスタイルのインターフェースを採用しており、品物の売買に興味のあるユーザー同士を結びつける。個々のユーザーが自ら販売、支払いの管理を行い、今のところCarousellはサービスから収益を得ていない。

Southeast Asia based Carousell raises 35M for its social commerce app TechCrunch

Carousell上には既に3500万の品物が掲載されており、1分間に70個の品物が新たに掲載されている。アクティブユーザーは平均で17分間アプリ内を回遊しているとCarousellは説明する。(これは悪くない数値だ。Facebookグループの3つのアプリFacebook、Instagram、Messengerでは、ユーザーは平均で1日50分間利用していると先日Facebookは公表した)。

Carousellは現在、シンガポール、香港、台湾、マレーシア、インドネシアの5カ国でサービスを提供している。さらにシェアを拡大する計画もあり、現在、重点を置く東南アジア以外の国への進出も含まれるとQuek氏は語った。

「Carousellが解決している問題はグローバルなものです」とQuek氏は説明した。「Carousellの事業は本質的に地域に縛られないものです。(Carousellが進出を予定している)次の市場は東南アジアの外であり、進出に向けて準備を進めています」。

Carousellは国際的な市場拡大に向けて、今年初めには東南アジアでAirbnbの事業を牽引してきたJJ Chai氏をヘッドハンティングした。

東南アジアにおけるEコマースの市場獲得を巡る競争は厳しい。オンライン市場は市場全体の3%未満を占めていると推定される。今年、Alibabaから10億ドルの資金調達を行ったLazadaの他にも東南アジアには各国固有のEコマース企業が存在する。ソフトバンクの支援を受けているTokopedia、インドネシアの小売コングロマリットLippoが運営するMatahari Mallなどだ。一方、ソーシャルネットワーク上で従来の枠に捉われないコマースも成長しており、Facebookも注力し始めている。アメリカの大手SNSは、Facebook Shopの機能と並行するソーシャル決済システムを検証している。これは、東南アジアのユーザーがFacebookの囲いから離れなくても、商品の売買をすることを促すものだ。また、いくぶん奇妙ではあるが、Rakuten Venturesの親会社である楽天はCarousellに似たRakumaという名前のソーシャルコマースアプリを東南アジアで展開している。

「Rakumaを開始したことを知りませんでした」とQuek氏は語る。「子会社のベンチャーキャピタルのRakuten Venturesを通じて楽天から出資を受けています。Rakuten VenturesのCarousellへの出資は本質的に戦略的な意味合いはありません。私たちは独立して事業を運営しており、楽天の戦略的な計画は把握していません」。

厳しい競争の渦中だが、今の段階でCarousellが収益についてあまり考えていないことは驚くことではないかもしれない。Quek氏は、Carousell(と出資者)は将来的にマネタイズを行うだろうが、今すぐそれを行う計画ではないという。現在はアプリをスケールさせることに重点を置いているとのことだ。

Quek氏は、その時が来たのならCarousellが利益を得ることに何ら問題もないと楽観的に考えていることを強調した。

「Carousellのビジネスモデルは、基本的にはマージン率およそ50%の旧来のクラシファイド広告と同じです」とQuek氏は言う。「ビジネスモデルを新たに発明しようとしているのではなく、新たな顧客体験を創造しようとしています。結果的にそれがマネタイズにつながるのです」。

「現在、重点を置いているのは、市場の国際展開、そして競争力のあるプロダクトとエンジニアチームの整備に力を入れて取り組むことです」とQuek氏は補足した。

Carousellには現在90人の社員がいて、そのうち24人はエンジニアだ。Quek氏は今年の末までに、エンジニアの人数を倍にしたいと語った。そのようなチーム体制によって検索の改善、売り手と買い手のマッチング、スパム的な商品掲載を減らすことを狙うと語った。

Carousellの最終的なエグジット戦略に関して、東南アジアで初の注目を集めるIPOになるかと気になるかもしれないが、それに関してコメントは得られなかった。

「私たちはCarousellのエグジットについてあまり議論してきませんでした。私たちが常に大事にしていることは大きなインパクトを生むことなのです」とQuek氏はTechCrunchにそう語った。「Carousellはちょうど動き始めたところです。国際展開が’最も重点を置くことの1つになるでしょう」。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

ユニークな分散型オープンソースデータベースCockroachDBがシリーズA1で$20Mを調達、著名投資家たちが将来性に注目

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CockroachDBはニューヨークのオープンなデータベース企業で、企業顧客のアプリケーションが、データセンターやクラウドインフラストラクチャとの接続が切れても無事に動くことをねらっている。その同社がこのほど、シリーズA1のラウンドで2000万ドルを調達した。投資家はIndex Venturesと初期の投資家Benchmark, FirstMark Capital, およびGV(元Google Ventures)だ。

CockroachDBは1年近く前にも、BenchmarkのPeter Fentonが率いるシリーズAのラウンドで625万ドルを調達している。Fentonには、人びとの注目を集める、そして成功率の高い投資案件が多く、中でもZendesk, Hortonworks, New Relicなどのケースがよく知られている。

初期の投資家たちの中には、上記のGVなどとともに、Sequoia Capitalとテクノロジー企業の役員たちがいる。たとえばHortonworksのCEO Rob BeardenやClouderaの協同ファウンダーJeff Hammerbacherなどだ。

CockroachDBは元GoogleのソフトウェアエンジニアSpencer Kimball, Peter Mattis, およびBen Darnellの三名が創業した。CEOのKimballとエンジニアリング担当VPのMattisは、CockroachDBの前に写真共有アプリViewfinderを作り、それを2013年の後半にSquareに(価額非公開で)売った。今同社の社員数は10名あまりだが、すでにシード資金も初期に獲得している(金額非公開)。

写真はSpencer Kimball本人

〔参考記事: WikipediaCockroachDBの来歴(日本語記事)。〕
〔ゴキブリ(cockroach)には、グローバルな熱核戦争に生き残る唯一の生物、という都市伝説がある。CockroachDBのP2Pアーキテクチャの強靭性を、シンボライズしている。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

誰もがP2P職業紹介所になれる

p2p

Instagramは大きい。しかし、UpworkとYouTubeはもっと大きい。Twitterは大きい。しかし、UberとAirbnbはもっと大きい。あなたのスタートアップのアイデアは大きい。しかし、人々に支払うあなたのスタートアップのアイデアはもっと大きい。YouTubeとAirbnb、Uber、Upworkの共通点は何か?使ってお金を稼げることだ。そして何千人もの人々がたった今彼らから収入を得ている。

どんなスタートアップであれ、あなたが今手がけているものを考えてほしい。あなたのユーザーが、あなたの別のユーザーに価値を与るよう仕向けて対価を支払うことは可能だろうか・

それが、数多くのユーザーに有用なサービスを提供して成長するスタートアップと、急速に成長して巨大になり、世界を動かす重要な部分のしくみをたちまち変えるスタートアップとの違いだ。

違いは、人間が人間を直接手助けすること。企業がサービスを提供するという古くから受け入れられてきた規範に取って代わるのが、今この新しいタイプのスタートアップの間で起きてていることだ。

今企業は、信頼されたブランド、分散ネットワーク、〈ここをクリックしてあなた写真をアップロード〉式の簡単なマーケティング・プラットフォーム、あるいは基本的な作法の教育等を提供し、あとはじっと動かず、プラットフォームの提供者たる自分の存在も殆ど忘れて、わずかな分け前を得るだけだ。あなたは自分のために働いている。ヒップホップなLyft野郎になるのもいい。ならなくてもいい。それはあなたの問題だ。

今歴史上初めて、そうした多くの効果的マーケティングプラットフォームに、あなたとあなたの選んだスキルを生かすための準備が整った。もしあなたが、ハウスクリーニングや、犬の散歩や、ウェブ構築をするなら、世界中あるいは地元でそのスキルを必要としている多くの人々と自由に連絡を取ることができる。毎日。

自分でポスターや広告を作ったり、起業家になるために精力的なマーケティングをする必要はない。個人が個人に直接サービスするための道すじやブランドはそこにある。それは共有やオンデマンドの経済ではない。むしろ、〈P2P〉経済と呼ぶべきだろう。

ユーザーがあなたのために何をするかではなく、あなたがユーザーのために何ができるかを考えよ。

では、あなたのスタートアップのユーザーは、あなたの他のユーザーに役立つどんな物を提供する必要があるのか。運転、家探し、エンターテイメント、それともコーディング?それらは既に殆どがブランド化されている。今そういうスキルを提供している人たちは、選択肢を持っている。例えばビジュアル・デザイン、コンピューター・アシスタンス、ビジネスコンサルタント、人の管理、イベントの主催、人を元気づける、リード生成、企業プロモーション、旅行の計画、あるいはスキルの教育。

有名な引用を強引に借りるなら:ユーザーがあなたのために何をするかではなく、あなたがユーザーのために何ができるかを考えよ。そうすれば、あなたが居なくなっても彼らがやってくれる。そして、彼らが起業家でいるために必要な時間のかかる部分を心配することなく、スキルで生計を立てられるようにするために、あなたはどうすればいいのか?精力的に彼らのスキルを宣伝し続けることだ。

人々が自身の状況を改善したいと思うことほど強い力はなく、日々の自然な力と人々の欲求を結び付けること以上に、スタートアップの成長を刺激するものはない。そして、仕事をして対価を得ることは、多くの人々にとって、自分の生活を改善する何よりの方法だ。なぜなら、誰もが給料日の嬉しさを知っているのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GPSデータも三角法も使わずに近くにいる友だちを見つけるNowy Friends…出先で家族が迷子になるのを防げそう

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【抄訳】
Swissのスタートアップが作ったアプリNowy Friendsは、GPSや三角法に頼らずに、人と人の互いの近接性(近いところにいること)に基づいて人の存在を探知する。スマートフォンユーザの位置データをサーバに保存することもしないから、プライバシー侵犯のおそれもない。

このアプリはBluetooth Low Energyを使って近接性をアラートし、その通信範囲は50メートル程度だがオフラインでも使える。このアプリの特性を示す分かりやすいユースケースとしては、地下鉄やパーティーの会場、バー、あるいは通りなどで、互いに予期せぬ友だちを見つけることが挙げられる。

このアプリには近接性アラートのほかに、人にまつわるリマインダー機能もある。あらかじめ設定しておくと、たとえばAさんが近くにいるとわかったときには、そのAさん関連のリマインダーを起動する。Aさんから借りていて返さなければならない品物とか、Aさんにはあのことを訊(き)かないといけないな、とか。

このiOSアプリは3月にベータでローンチしたが、一般に宣伝し始めたのは先月だ。彼らはまず、母校の国立ローザンヌ工科大学(EPFL)でテストを開始した。実はこのプロジェクトは、同大学の研究開発助成金Innograntをもらっている。今現在このアプリは375回ダウンロードされ、毎日のアクティブユーザは50から100人ぐらいだ。成長策の一環として、今Androidアプリを作っている。

GPSを使わずにこういうP2P方式で探査すると、位置の精度が良くなり、しかも電池消費が少ない、とNowy Friendsの協同ファウンダSilviu Andricaは述べる。

いわゆる‘ソーシャルレーダーアプリ’は、すでにFacebookのNearby Friendsや、500、Find my Friends、SocialRadar、LetsMeetAppなどいろいろあるが、BLEを利用するNowy Friendsにはプライバシー、精度、電池寿命、そしてオフラインで使える、といったアドバンテージがある、とAndricaは主張する。

彼曰く、“今あるアプリはどれも、ユーザの位置情報をサーバに保存する。どんなサーバも、ハッカーにやられる可能性がある。Nowy Friendsはユーザの位置をどこにもアップロードしない。その必要性がないから”。

Nowy Friendsは今現在、Facebookのアカウントでサインインするという方式だが、ユーザのデバイスからFacebookに何らかのデータをアップロードしたりはしない。Facebookに行くのは、ユーザのFacebookアカウント情報だけだ。またユーザの認証にFacebookのデータを利用するので、Facebook上のフレンドでない全然無関係な他人にこのアプリで自分が見つけられることはない。Facebookのフレンドが全員このアプリを使ってくれるようになるには、相当時間がかかりそうだけど。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

BitTorrentの分散P2PブラウザMaelstromがベータを開始

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P2Pによるファイル配布やコミュニケーションのためのツールを作っているBitTorrentが今日(米国時間4/10)、同社ならではの、分散P2PアーキテクチャによるWebブラウザMaelstromのベータテストを開始する。

アルファテストを開始したのが昨年の12月だったが、BitTorrentによると、そのときからすでに大きな反響があった。1万名あまりのデベロッパと3500名のパブリッシャーがテストに参加し、このChromiumのフォークを試した。そのころのコードをMaelstromのGitHubページで見られる。

ベータになったことによって、Maelstromの初期の姿をより多くの人びとが試用できるようになり、torrentをベースとするブラウザではコンテンツの配布がどうなるのかを、実際に体験できる。

しかしあくまでも“初期の…”だから、Windowsのみで、ベータ用のページの最終的な形もまだよく分からない。同社によると、“アルファは数千人ぐらいの小規模なテストだっが、われわれにとっては大いに有益だった”そうだ。上図が、そのときの開始ページだ。“ベータのページも、これと同じようなものになるだろう。ChromiumのフォークだからMaelstrom以外のふつうのページは、通常のブラウザと同じように表示される”、という。上のページでは、これからMaelstromでダウンロードするtorrentを8人のピアが支えている。8人ではなく800人だったら、ページにはそう表示される。

BitTorrentの初期のサービスでは有料のコンテンツを不法に共有するユーザがいたりして、悪いイメージが広まってしまった。しかし最近の同社は心機一転、コンテンツの配布を合法的に行うためのクリエイティブな方法を提供している。P2P方式にはクライアント/サーバ方式にない柔軟性とスピードがある、と同社は主張する。

また、BitTorrentには、時流に乗ったという側面もある。 NSAのような政府機関がインターネットのさまざまな人気サービスのサーバから、国防の名のもとに個人情報を盗みまくったことがバレて以来、覗き見されたくなかったらP2Pがいいよ、と世の中に訴求できる環境が醸成された。全員が平等にピアであるP2P(peer to peer)システムでは、サーバがどこにもないから、アクセスして情報を読み取るためのストレージもない。

BitTorrentの理念が、時代というバットの芯に当たった。“BitTorrentを作ったときから、それがわれわれの、インターネットのビジョンだった”、とCEOのEric Klinkerが、今回のベータに関するブログ記事に書いている。“インターネットを真に中立的でコンテンツフレンドリで‘持続可能な’ネットワークとして維持するために必要なイノベーションがそれだ”、と。

BitTorrentは同社のP2Pベースのプロジェクト(Bundleなど、後述)で、著名なコンテンツクリエイターたちとも協働している。先週はそこに、BBCのDr Whoが加わった。Maelstromに関しても、その普及のために著名人の協力を求めていくだろう。

そして同社は、収益化の方法も考え始めている。同社によると、“収益化については探究すべきオプションがいくつかある。OperaやFirefoxのようなやり方もありえるだろう。Bundle*と連携すれば、もっといろいろな収益化の機会を作れる”、ということだ。〔*: BitTorrent Bundle, 日本語参考記事。 〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「Bitcoin破たん報道は誤解も甚だしい」経済学者・野口悠紀雄氏

日本でBitcoinといえばMt. Gox(マウントゴックス)の倒産がメディアを賑わせたが、以前ほどは話題に上らなくなった。日本の現状はどうなのか? 2月23日に都内で開かれた「楽天金融カンファレンス」で経済学者の野口悠紀雄氏らが、Bitcoinが日本で普及する可能性や、規制面での課題を語った。

Bitcoinの特徴は管理主体がないPtoP型。そのメリットは手数料や為替のスプレッドなどの送金コストが低く抑えられるということだ。こうしたメリットから米国ではすでにDELLやPayPal、Expediaなどの大手企業が徐々に導入している。

一方、日本でのBitcoinに関する話題といえば、昨年2月の「Mt.Goxショック」の余波が後を引いている。事件以降、Bitcoinそのものの仕組みが破綻したという報道もあったが、パネリストの野口氏は「誤解も甚だしい」と一蹴した。

「Bitcoinは生き延びているのに誤解されている。例えばみなさんが米国から帰国して、成田でドルを円に変えようとしたら、たまたま空港の両替所が閉まっていた。そのときにドルが破綻したと言いますか? 両替所が破綻したからといって通貨そのものが破綻したと誰が考えるだろうか。Mt.Goxの事件は、いわばそういうもの。」

規制とこれからの課題は

日本では政府がBitcoin普及を後押しする動きもある。

自民党のIT戦略特命委員会の提言を受け、Bitcoinを扱うスタートアップ3社が9月に業界団体「日本価値記録事業者協会」を発足。政府主導の規制を導入するかわりに、Bitcoin交換所の監査や利用者保護を盛り込んだ自主規制ガイドラインを作成し、“風評被害”からの信頼回復を図っている。

こうした動きを、Bitcoinに詳しい弁護士の斎藤創氏は、「幸いなことに、政府の対応は今のところ暖かく見守る方向」と評価。その一方で、Bitcoinの取引を課税対象にすべきという議論があると指摘する。非課税な国が多いのにもかかわらず、日本で課税対象となれば、国内のBitcoin普及の速度は今以上に遅くなる、という意見だ。

今はとにかくBitcoinは怪しいものではないと利用者に納得していただきたいと野口氏が繰り返してセッションは締めくくられた。

 


BitTorrentの分散WebブラウザMaelstromはピアツーピアでWebの諸問題を解決へ

ピアツーピアでファイルを共有するBitTorrentが、同社の‘BitTorrent的な’WebブラウザMaelstromアルファテストを開始した“私たちが次に作るインターネット”(The Internet We Build Next)をスローガンとして訴えるこのプロジェクトは、本体のBitTorrentと同様、中央集権的なサーバのない、分散ネットワーク上のP2P型コンテンツ共有を目指している。

BitTorrentは数年前に、不法なファイル共有を行うP2Pネットワークとして有名になった。サーバが介在せずユーザ同士が直接ファイルを共有しあうこのサービスは、それが著作権のある有料コンテンツの場合もあるので、問題になった。同社の分散アーキテクチャを利用した最近のプロダクトとしては、同期機能つきで大きなファイルを共有するSync、コンテンツの作者がコンテンツを配布し販売するためのBundle、メッセージングサービスBleepなどがある。

これらが人気プロダクトになったのには、理由がいくつかある。まず、サーバが介在しないユーザ間直接の通信だから効率が良い。とくに大きなファイルの場合は、クラウドからダウンロードするよりもP2Pで直接送受した方が相当速いし簡単、と言われる。ただし各通信者が専用のソフトウェアを持っている必要があるから、ブラウザさえあれば誰でも…、というクラウドの簡便性はない。

また、同じくサーバが介在しないからセキュリティが高い。ファイルはクラウドに蓄えられることなく、直接、ユーザのマシンツーマシンで送受される。

とくに、国の諜報機関NSAが、大手Webサイトのサーバ上にあるユーザの個人情報や個人的コンテンツを盗視していることをSnowdenが暴露して以来、このP2P方式(大型サーバ〜データセンタがどこにもない)が注目されるようになり、BitTorrentもこれを千載一遇の好機として自己の経営に生かそうとしている。クラウド上の情報は、政府が盗視するだけでなく、ハッキングにも遭いやすい。

CEOのEric Klinkerによると、MaelstromもP2Pの利点を生かした同社のプロダクトの一環であり、オンラインコンテンツの享受(Web用語では‘閲覧’)を、よりスムーズにすることがねらいだ。

Maelstromのプロジェクトを紹介するページでKlinkerは、“Web上の通信の多くがBitTorrent的になったらどうなるでしょう?”、と書いている。“Maelstromプロジェクトはこの問に答える初めての試みです。Webブラウザがこのようであれば、コンテンツの公開の方法も、そしてアクセスと消費の方法も、がらっと変わります。そうなるとインターネットは、完全に人びとが動かすインターネットになり、参入障壁はきわめて低く、今のように地獄の番人たち(政府諜報など)が私たちの未来を握っている状態はなくなります”、というのだ。インターネットの民主化、である。

しかし、これは言うは易しで、問題も多い。

今のところ、Maelstromに関してBitTorrentが提供している情報は上の図(このページ)だけだ。アルファテストは、単にユーザがそこに登録するだけでなく、ユーザ同士で共有し互いにアクセスしあうコンテンツも提供しなければならない。同社の広報は、“分散Webを構築することに前向きの関心を持つ未来のパートナーがすでにかなりおられる”、と言っている。

しかし、収益化の方法は構想しているのか?

広告収入について聞くと、“今は開発の最中(さなか)なので、ビジネスモデルについてはもっとあとに考える。Syncがそうであったように。でも、分散Webページはほかのブラウザと同じく単純にWebページとして扱われるから、そこには、広告でも何でも載りうる”、ということだ。

でもそれは、今のWebと何も変わらないようだが?

“分散Webでも、従来のWebと同じHTMLを使う。だからWebサイトの制作過程はこれまでと同じだが、その発表〜公開の仕方が、中央集権的でなく分散型になる”、と広報氏は答えた。

どうやらMaelstromは、今のWebブラウザに代わるものというより、それを補完するもののようだ。“Web上でHTTPとtorrentの二つのプロトコルが混じり合う形になるだろう”、と。

Web全体がサーバレスのアーキテクチャになる、と考えるのはラジカルすぎるが、でも今の形のWebが行き詰まる日は遠からず訪れるだろう。たぶんそれは、今のユーザがP2Pをあえて選ぶ理由(セキュリティ、プライバシー)だけが、原因ではない。

BitTorrentは、今のネットワーク中立性(net neutrality)をめぐる議論も、ビデオストリーミングのようなデータ集約的なサービスが、今とは違うファイル配布方法を採用したら無用になるだろう、と言う。そう、まさにそこにMaelstromのメリットもあるのなら、やはりそれは、補完的な役割と言えるのだろう。

“分散WebブラウザであるMaelstromは、今のネットワークに科せられている重荷を取り去ることができる”、とBitTorrentは言っている。“またトラフィックの起源を地獄の番人たちが突き止められなくなるので*、より中立的なインターネットを維持できる”。〔*: P2P方式ではルートのリレーやキャッシングの形状が…最効率を求めて…随時変わるから、エンドポイントから起源(オリジン)を辿ることは困難。〕

このビデオで、やや詳しいことが分かる:

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


P2Pのファイル共有サービスBitTorrentのSyncが1000万インストールを達成、ニューバージョンのベータを開始

P2PのBitTorrentが提供しているファイル共有/同期化サービスSyncは、いわば、サーバもクラウドもないDropboxだ。昨年スタートしたSyncは、このほど総インストール数1000万に達し、これまでに80ペタバイトのデータを転送した。好調の理由の一部は、このところ徐々に広まっているクラウドサービスに対する疑念、つまりどこかのサーバにあずけてしまったファイルはプライベート性(非公開性)が守られないのではないか、という不安だ。BitTorrent自身も、この不安を広めるのに一役買った

今日BitTorrentは、Syncアプリケーションの新バージョンをベータとして公開した。リンクの共有やファイルの有効期限の設定などの機能があり、これらにより、BitTorrentとしてはさらに一般的大衆的な利用が広まることを期待している。

BitTorrentはSyncのAPIを昨年11月に公開し、これまでに4300のAPIキーが配布された。これもまたSyncの使いやすさを増大し、デベロッパが気軽に自分のアプリの中でSyncのサービスを実装し利用できるためだ。

ただし問題は、リンクを読んだり送ったりするためにはSyncのクライアントが必要なことだ。そのクライアントアプリケーションはWindows、OS X、Linux、Android、それにiOS用がそれぞれあるが、これはP2Pサービスがどうしてもサーバを必要とする部分の一つだ。

プロマネ担当のVP Erik Poundsは曰く、“オンラインで提供するとしたらWebサーバをどこかでホストしなければならないが、それはBitTorrentがやることではない。それはうちのミッションであり、うちではプライバシーが議論の材料になることはない”。

しかも、ストリーミング機能がないので、ファイル(たとえばビデオ)を見るためには、それをダウンロードしなければならない。Syncのモバイルアプリでは、“選択的Sync”ができる。それは携帯やスマートフォンでは容量が小さいため、ファイルの利用やダウンロードを制限できる機能だ。

でもこの二つの問題以外では、新バージョンのSync 1.4は動作がよりスムーズになり、ユーザ数の増加にたしかに寄与しそうだ。

Poundsはこんな言い方をする: “Syncはいつもマジックのようなやり方で二つのデバイス間で容易にファイルを移動する。今度の新バージョンでは、そのやり方がなお一層シンプルになった”。

新しい機能を紹介しよう:

以前はファイルを共有するために複雑なキーを必要としたが、新バージョンではファイルをリンクで共有でき、それらをメールやメッセージやQRコードで送れる。

リンクをもらったユーザのところにSyncがまだなければ、Syncをダウンロードしてそのリンクを読むよう指示される。つまりこのやり方なら、これまでSyncで共有をしたことのない人とでも、容易にファイルを共有できる。Syncのクライアントがフォルダをセットアップすることになるが、マーケティング目的でのファイル配布には便利な機能だ。(キーも従来どおり使える。)

さらに、ファイルの送り方でオプションが増えた。まず、リード(read)オンリーとリード/ライト(write)の指定ができる。リンクには、有効期限と、最大ビュー回数を指定できる。相手の名前を指定していた場合でも、その人も期限や回数を超えて見ることはできない。

Poundsによると、これらの新機能はユーザの要望がとても多かったものがほとんどだが、それ以外に、収益化のための機能もある。

彼曰く、“今のSyncの上に収益化のための仕組みを載せたい。今それらを開発中だ”。それはほぼ確実に、企業顧客のための一連の機能で、カスタム化できるファイル共有ボックスとか、ファイル転送時のサービスの質の保証などが含まれるのだろう。

“これまでは無料バージョンのSyncに専念してきたが、今後は特定の環境で価値のある有料の機能を開発していきたい”、と彼は言う。ベータを脱して商用バージョンとして完成するのは、“来年の前半”だそうだ。

画像: Flickr

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


BitTorrentがSync APIを公開: インターネットのサーバ集中主義から完全分散化への脱皮を促す

【抄訳】

Syncは、P2PプラットホームBitTorrentのファイル同期化サービスで、サーバのないDropboxみたいなシステムだが、今年初めにローンチして以来ユーザ数が着実に増えて、いまではアクティブユーザ数100万、サービス上にアーカイブされているデータ量30ペタバイトに達している(7月には8ペタバイトだった)。そしてユーザ数をさらに増やしたいBitTorrentは今日、SyncのAPIをリリースした。デベロッパはこのAPIを使って自分のアプリケーションからSyncのサービスを利用でき、ユーザにデータのアクセスと共有を提供できる。

同時にまた、ニューバージョンSync 1.2がリリースされる。これには、ネイティブのiPadサポートが加わり、LAN上の転送速度が最大毎秒90MBまでアップした(ワイヤレスではこれより遅い)。

BitTorrentがAPIを提供するのは、これが初めてではない。過去には、BitTorrentそのもののためにuTorrentTorqueを提供している。

しかし今回公開されたAPIは、BitTorrent上でメディアファイルを共有するにとどまらない、もっと広範なデベロッパを対象にしている。そしてそのレベルでは、二つのユニークなセールスポイントがある: Syncはそのほかの類似サービスに比べて速い、良い、のほかに、サーバがどこにもないからプライバシー保護が強固だ。P2Pは基本的に分散システムなので、悪い人はデータの所在を簡単に突き止めることができない。

それにまた、BitTorrentはNSAの一般市民に対するスパイ行為を強烈に批判してきたが、BitTorrentの場合その批判は同時に、自分の宣伝でもある。中央集中型のサービスではなく、分散型の構造であることの。NSAが悪人扱いされている現状は、BitTorrentにとって絶好のマーケティングチャンスかもしれない。

いずれにしても、データのプライバシーを重視する人にとってSyncは、そのほかのバックアップサービスにはない重要な特徴を持っている。BitTorrentの広報は、“分散型のインターネットがより良いインターネットだと思う”、というきわめてシンプルな言い方をした。

【中略】

APIの一般公開は今日からだが、初期の作例(用例)を見ることもできる: Webサイトの展開ソーシャルネットワーキングメッセージングなど。BitTorrentはさらに、Sync APIの今後の用途として、“検閲と戦って言論の自由を確保し、思想と情報の自由な流通を確保するためのアプリケーション”や、“セキュアなストレージを確保し、ユーザとデータのプライバシーが政府などの底引き網にかからないようにするためのアプリケーション”、を挙げている。

“すでにいくつかのグループが、セキュアでプライベートなサービスの開発に(このAPIを使って)取り組んでいる”、とBitTorrentの広報は言った。“これはインターネットの次の大きなイノベーションの波の始まりだと思う”。

このAPIの詳細はここで見られる。

画像: Flickr

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))