グーグル広告が透明性の向上を目指し変更、 ユーザーが過去30日の広告主の履歴へアクセス可能に

Google(グーグル)は米国時間9月22日、オンライン広告に関する変更を発表した。この変更により、ウェブ検索者は、広告主が誰であるか、なぜその広告が配信されたかだけでなく、その広告主がGoogleで実施した他の広告についても、最新のものから順に確認することができるようになる。今回の変更は、規制当局の監視が強化され、テック業界全体が透明性と消費者のプライバシーを促進する技術にシフトしている中で、Googleが広告ビジネスを広範囲に渡って刷新している改革の一環だ。

2020年開始された広告主身元確認プログラムでGoogleは、広告主が販売している商品の詳細だけでなく、広告主の個人情報(身分証明や、事業を行っている国を確認する書類など)を開示することを求めている。これらの情報開示は、2020年、Googleのネットワークから広告を購入する広告主に対して開始された。これまでに、Googleは世界90カ国以上で広告主の確認を開始したという。

同社は今回の変更により「この広告について(About this Ad)」製品にも、拡張された情報開示を盛り込んでいく。

これらの新しい広告主ページでは、誰でもクリックして広告主の詳細を確認したり、特定の広告主が過去30日間に掲載したすべての広告を見られるメニューにアクセスできるようになる。

Googleは、例えばコートなどの販売商品を見た消費者は、このツールを使ってそのブランドや他の商品について詳しく知ることができると指摘し、消費者の視点からこのツールは有用だと提案している。しかし、広告主の広告履歴が公開されることで、広告エコシステムにおいて悪質な行為を行う可能性のあるトラブルメーカーを特定する手段としても有用であることは明らかだ。

画像クレジット:Google

また、偽造品、危険な製品、不適切なコンテンツ、不正使用、インタレストベース広告ポリシーの違反、ユーザーを騙すような広告、地域の選挙法や規制への違反など、禁止または制限されているコンテンツに関するGoogleポリシーに違反している広告を、ユーザーが報告することも容易になる。

今回の変更は、オンライン広告に対するGoogleのアプローチがシフトしてきた中で行われた。Googleは新たな広告の情報開示について「Google製品上の広告を利用するユーザーに、明確で直感的な体験を提供するための努力の上に構築していくもの」と述べ、より広範な戦略を示唆した。また、3000万人以上のユーザーが毎日のように同社の広告の透明性・コントロールメニューを利用していることにも言及した。これらのメニューにアクセスするためには小さな「i」アイコンをクリックしなければならないという、製品の中では比較的埋もれた機能であるにもかかわらずそれだけ利用されているという事実は、Googleの世界的な規模の大きさを物語っている。

Googleはこれまでに、Chromeに統合された広告ブロック機能を追加したり、政治的な広告のターゲティングに新たな制限を設けたり、サードパーティのCookieを廃止する計画を発表したりと、広告分野でいくつかの重要な動きを発表してきたが、それらはその後延期されている

なお、Googleは、政治的透明性レポートにおいて、選挙広告を引き続き提供するとしている。これらの広告では、誰が広告費を支払ったかをユーザーが確実に理解できるように「資金提供元(paid for by)」という情報開示も表示される。ただし、政治色のないコンテンツはすべて広告主ページに表示されるとのこと。

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画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Google Meetブラウザ版にウェブカメラの明るさを自動調節する機能追加

Google Meet(グーグル ミート)は間もなく、ビデオ通話の際に同僚や友人の全員の姿を、もっとよく見ることができるようになる。このアプリのウェブ版では、照明が暗くて露出が不足している人を検出し、自動的に明るさを上げてその人の顔がよく見えるようにする機能が導入される。また、あなたが使っているウェブカメラの性能が低い場合にも、あなたの姿を鮮やかに調整してくれるはずだ。

低照度モードはすでに2020年、Google MeetのiOSおよびAndroid用モバイルアプリに搭載されている。このモードではAIを使って光量を検知し、映像の明るさを調整する。管理者がコントロールできるわけではないが、ユーザーはこの機能をオフにすることもできる。Google(グーグル)はこの機能を有効にすると、デバイスの動作が遅くなることがあると述べている。

この機能は、すべてのGoogle Workspace(グーグル ワークスペース)とG Suite(Gスイート)のBasic(ベーシック)およびBusiness(ビジネス)ユーザーが利用できるようになる。

Googleはこの機能を、即時リリース方式では米国時間9月20日より、計画的リリース方式では10月4日より、順次展開していくという。ただし、どちらの場合も実際に使えるようになるまで、最大15日かかる場合があるとのこと。10月中旬になれば、オンライン会議でウェブカメラの映像が暗くて相手の表情が見えづらいなんてことは、過去の話になるかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Kris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Google

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがインドでAndroidの独占的地位を乱用と反トラスト調査で判明

Googleは、インドにおけるAndroidの支配的地位を悪用して、この世界第2位のインターネット市場における競合他社に対して違法に損害を与えていることが、インドの監視当局による2年間の独占禁止法調査で明らかになった。

今回の調査では、Androidメーカーが、Androidの代替バージョン(「フォーク」と呼ばれることが多い)を搭載した端末を開発・販売する能力や意欲を低下させていたことが判明したと、調査結果について説明を受けた2人の関係者は語っている。

さらに、デバイスメーカーに自社アプリのプリインストールを義務付けるというGoogleの要求は、インドの競争法に違反しているとしている。

この調査においては、AmazonやAppleなど5ダース以上の企業がインドの規制当局、Competition Commission of India(インド競争委員会、CCI)の聞き取りに応じた。

インドの規制当局はGoogleがPlay Storeで強制しているポリシーも問題視し、それらは「一方的で一意的でなく不明瞭で偏りがあり恣意的である」と述べている。

Googleによると、同社はCCIと協力して「Androidは競争とイノベーションを促進しこそすれ、阻害することはないことを示したい」という。

調査結果はまだ公式発表の前の段階だが、インドのGoogleにとって最新の挫折となる。同社はその他にも複数反トラスト調査に直面しており、現在成長途上にある国産スタートアップや創業者、投資家などからも攻撃されている。

Alliance of Digital India Foundationは350のスタートアップ、創業者、投資家の集団だが、CCIの調査結果を褒めそやし、報告書の内容はインドのデジタルエコシステムのニーズに沿っている、と述べている。

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画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルとグーグルがロシアでの圧力に屈しクレムリン批判者の戦術的投票アプリを削除

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、それぞれのロシアのアプリストアから、現在収監されているクレムリン批判者の団体が作った戦術的な投票アプリを削除した。

先にロイターは、ロシアの州が連邦選挙に先駆けて外国のテクノロジー大手への圧力を強めていると報じた。それらは「選挙妨害」という言葉を使って、米国企業がプーチン大統領の高名な政敵を検閲するよう主張していた。

米国時間9月16日のTwitterでは、Navalny(ナワリヌイ)氏の中心的な側近であるIvan Zhdanov(イヴァン・ジダーノフ)氏が、彼の団体はアプリを削除したことでAppleとGoogleを訴訟することを検討している、とツイートした。その検閲行為を「重大な間違い」という。

ジダーノフ氏はまた、チーム・ナワリヌイへのAppleの返答だという文書を公開した。その中ではテクノロジー大手(Apple)がクレムリンによる分類を引用して、ナワリヌイ派の団体を「過激派」グループと呼び、ソフトウェアの削除を正当化している。

Appleの開発者への通知の詳細のスクリーンショット。ジダーノフ氏のツイートより

AppleやGoogleは、事業を展開する国の「すべての現地法」を遵守すると日常的に述べている。

しかしロシアにおいて、その姿勢は、政治的な検閲行為に加担していることを意味する。

Appleは、戦術的投票アプリの開発者に送った取り下げに関する通知の中で、「ロシア連邦検察庁およびモスクワ市検察庁も、このアプリが選挙への干渉を可能にすることでロシア連邦の法律に違反していると判断したことに留意します」と述べている。

「アプリはロシアのApp Storeから削除されましたが、あなたがApp Store Connectで選択した他の地域のApp Storeではまだ利用可能です」とAppleは付け加えている。

TechCrunchは、ナワリヌイ氏のアプリの削除について、AppleとGoogleにコメントを求めている。

アプリ削除の公式の理由はFBKが過激派組織と認められたこと。FBKが過激派組織と認められたやり方は裁判に依らず常識に対する虐待に依っている。@googleと@Appleは大きな間違いを犯している。 下図下部はAppleからの通知本文。

またジダーノフ氏はTwitterで支持者たちに、戦術的投票のミッションにフォーカスするよう促している。Googleが保有するYouTube上でホストされている動画のリンクをツイートして、本日から日曜日まで行われる議会選挙で反プーチンの投票を行なう方法を、ロシア人たちに勧めることがミッションだ。

ナワリヌイ氏の支持者たちはロシア中の有権者を動員して戦術的投票をしてもらい、与党の統一ロシア党に勝つ可能性のある候補者への投票によってプーチンを失脚させることを望んでいる。

その戦術的投票という戦略に対して批判もある。挙げられている対抗候補者の多くが、反プーチン勢力としては弱すぎる、というのだ。

しかしそれでもナワリヌイ氏の支持者たちは、システムそのものに欠陥があることは受け入れざるをえない、と言っている。

AppleとGoogleは当初、ナワリヌイ氏の「Smart Voting」アプリの削除を拒否したが、その後、2021年8月になってロシアの州は、彼の組織によるウェブサイトへのアクセスをブロックしようとしていた。

また、Googleドキュメントも狙われたという説もある。それは、ナワリヌイ氏の支持者たちが戦術的投票の取り組みを組織化するために使っていたツールだ。

英国のiOSアプリストアでのSmart Votingアプリ(画像クレジット:Natasha Lomas/TechCrunch)

2021年9月初めのロイターの報道によると、ロシアの通信規制当局Roskomnadzorは、Smart Votingアプリを削除しないと罰金を科すとAppleとGoogleを脅迫した。それは、従わなければ選挙妨害と見なす、という警告だ。

またロシアのニュース報道によると、選挙の前夜にAppleとGoogleは連邦議会の会議に召喚された。プーチン政権はそうやって、彼の反民主的な命令を強制しようとした。

Kommersantの報道によると、テクノロジー大手2社は、ロシア連邦が彼らの事業に対する規制強化を準備している、と警告された。そして、彼らが「レッドライン」上にいるという警告がまたしても為され「正気に戻れ」と言われた。

それにより、ナワリヌイ氏のアプリの削除をプラットフォームに対して強制する彼らの土壇場の努力が、成功した。

最近ではRoskomnadzorは、この国のVPNアプリも削除しようとしていた。それにより、ロシア人が外国のストアからソフトウェアにアクセスしてナワリヌイ氏のアプリの禁制をかいくぐることを、困難にしたいのだ。

ロシアの検索大手Yandexも、検索結果にSmart Votingアプリが出ないよう強制された、といわれている。

2021年初めには、プーチン政権はTwitterも狙った。禁止したいコンテンツの削除に失敗して、サーバーの能力を落とそうとした。ただしRoskomnadzorの主張では、それは政治的コンテンツとは無関係で、青少年の自殺や児童の性的虐待、ドラッグの使用などが対象だった。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルがスマートテレビのプラットフォームに無料チャンネルを追加か

ChromecastやGoogle TVを搭載したデバイスは、将来的に無料のテレビチャンネルにアクセスできるようになるかもしれない。Protocolによると、Googleは、広告収入で運営されている無料のストリーミングテレビプロバイダーと、無料チャンネルを同社のスマートテレビプラットフォームに追加する可能性について協議しているという。それらの無料チャンネルは、従来のテレビと同じように、番組がコマーシャルで中断される。

Protocolによると、Chromecastのユーザーは、YouTube TVと同様の専用メニューから、視聴可能なライブチャンネルを閲覧できるようになるかもしれないそうだ。一方、Google TVを搭載したスマートテレビでは、アンテナを使って視聴できる他の放送番組と一緒に、無料チャンネルが表示されるかもしれない。これは、Samsung(サムスン)などの企業が自社のプラットフォームで無料テレビサービスを提供するのに似ていると、この記事は伝えている。サムスンの無料テレビサービスが好評なので、RokuやAmazonなどの他社も数百もの無料チャンネルへのアクセスを顧客に提供しはじめたところだ。

Google TVにリニア配信の番組が追加されれば、ケーブルテレビを見ない人にとって、ChromecastやGoogle TVを搭載したスマートテレビがより魅力的な選択肢となるだろう。Googleは、早ければ2021年秋にも無料のストリーミングチャンネルを正式に開始する可能性があるが、スマートテレビのパートナー企業がこの機能を提供できるようになる2022年まで発表を待つかもしれない。Protocolによると、現時点ではどのようなチャンネルがプラットフォームに登場するかは不明だが、Googleは「何十もの無料チャンネル」に一度にアクセスできるような契約を結ぶ可能性が高いとのことだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイト・エディター。

画像クレジット:Google

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】テック系ワーカーの大多数が反トラスト法の施行を支持

米連邦取引委員会のLina Khan(リナ・カーン)委員長の登場で、ビッグテックの解体が再びワシントンの主要政策論議に浮上した。この問題は超党派的な様相を呈しており、共和党も民主党も同様に、テック業界における独占的な行動を止めることに賛成している。もちろん、立脚点の状況はもっと微妙だ。

Amazon、Apple、Microsoft、Facebook、Googleに事業分割や中核事業からの撤退を迫る5つの超党派法案を米下院司法委員会が可決してから1カ月後、共和党の委員会メンバーらは、ビッグテック企業によるオンライン検閲を阻止する法的手段を米国民に与える新たな法案を提出した。より保守的な政策措置は、ビッグテックによるコンテンツモデレーションの慣行の透明性を高めることも提案している。

ビッグテックの規制方法をめぐる議員同士の争いは、すぐには終わらないだろう。しかし、パンデミックによって加速されたデジタルトランスフォーメーションの新時代を米国が先導する中、連邦議会は、自由市場を維持するにはビッグテックの力が抑制されなければならないという信念で強固な結束を築いている。

現状では、小規模な競合企業も消費者も、今日の近代的な経済エンジンに参加するにあたってはビッグテックに縛られる以外に選択肢はほとんどない。そしてパンデミックを経て、テック最大手5社は、資本主義の歴史ではこれまで見られなかったような驚異的なスピードで成長を続けている

大手テック企業は、事業を分割することになりかねない規制に対して強い反対の意思を示しており、規制改革は研究開発の損失、非現実的な市場の細分化、消費者へのサービスコストの上昇をもたらすことを示唆している。

AppleやFacebook、Amazonなどのビッグテック企業が出資するテック業界団体が委託した調査によると、米国人はテック関連の規制を議会にとって優先度が低いものだと考えている。米国人の最優先事項として挙げられたのは、経済、公衆衛生、気候変動、インフラであった。この調査ではまた、Amazon Primeプロダクトの無料配信のようなオファリングに影響を与える規制には、米国人が反対する可能性が高いことも明らかになった。

おそらく今回の世論調査と、選挙で選ばれた指導者たちの超党派的なセンチメントは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生後、社会が良くも悪くもテック大手への依存を認識し始めたことを示しているのだろう。過去18カ月間、米国の労働者はリモートワークに適応してきた。彼らは、他の従業員とのコミュニケーション、企業の経営、食料品や必需品の購入などに対してビッグテック企業が展開するプログラムを利用している。多くの企業が完全なリモートまたはハイブリッドのワークモデルへの移行を公表しており、この動的な状況が変わる可能性は低い。

この話題に対して、プロフェッショナル、特にテック業界やスタートアップ、スモールビジネスで仕事をする人々の間で関心が高まっている。私たちFishbowlは、その多くがテック業界で働くプロフェッショナルたちに、テック大企業の分割について聞いてみようと考えた。Fishbowlはプロフェッショナルのためのソーシャルネットワークであるため、このような職場の話題について調査を行うのは自然な流れだ。

この調査は2021年7月26日から30日にかけて実施され、この分野の従業員が反トラスト法についてどのように感じているかが調査された。調査ではプロフェッショナルたちに次のように問いかけた。「AmazonやGoogleのような大手テック企業を解体させるために、反トラスト法が使われるべきだとだと思いますか?」。

Fishbowlアプリ上で11579人の認証プロフェッショナルが調査に参加し、イエスかノーのどちらかを回答するオプションを与えられた。調査は、法律、コンサルティング、ファイナンス、テクノロジー、マーケティング、アカウンティング、ヒューマンリソース、教師などを対象に、州および専門業界に分類して行われた。

調査結果は以下の通りである。

画像クレジット:Fishbowl

1万1579人のプロフェッショナルのうち、6920人(59.76%)が回答に応じた。

回答に基づくと、調査に肯定的な回答が最も多かったのは法律のプロフェッショナルで、66.67%であった。コンサルティングのプロフェッショナルは61.97%で、次いでファイナンス(60.64%)がテクノロジー(60.03%)をわずかに上回った。一方、教師の割合は53.49%と最も低かった。ヒューマンリソース(55.65%)、アカウンティング(58.51%)、その他の専門職(58.83%)と続いている。

この調査のデータは、米国25州のプロフェッショナルから集めたものである。イエスと答えた割合が最も高かったのはコロラド州で、76.83%だった。2位は73.17%のワシントン州、3位は69.70%のミシガン州となった。大手テック企業の分割に「イエス」と答えた従業員の割合が最も低かったのはミズーリ州(51.35%)であった。インディアナ州(52.59%)、マサチューセッツ州(52.83%)と続いている。全体的に見て、調査に参加した州の大半は、反トラスト法がビッグテック企業を事実上解体すべきだと考えている。

テクノロジーのプロフェッショナルは、大手テック企業が解体されるべきだと回答した割合が4番目に高かった。ビッグテック企業を解体することで得られるメリットの一部として、スモールビジネスにより多くの機会がもたらされることが挙げられる。テクノロジーのプロフェッショナルや起業家にとっては、新たなプロダクトやプログラム、サービスを立ち上げる好機となるかもしれない。また、高度なスキルを持つプロフェッショナルの雇用を増やす可能性もある。第2のメリットは、データのプライバシーと国家的なセキュリティに関する懸念を軽減できることだ。しかし、大企業を解体することのデメリットとして、研究開発の損失が考えられる。大企業は人工知能、自動運転車、ウェアラブル、ロボットなどに多額の資金を提供している。最終的には、ビッグテック企業の解体は、プロフェッショナルそして一般の人々にとってもサービスコストを増加させる可能性がある。

政策立案者たちがビッグテックの解体方法について交渉を続ける中、ホワイトハウスも動き始めている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は最近、コロンビア大学ロースクール教授のカーン氏をFTC委員長に任命した。カーン氏はビッグテックを強く批判しており、企業の濫用から一般市民を保護し、合併のガイドラインに経済の現実と実証的な学習・執行を反映させることを最優先課題としている。端的に言えば、同氏は合併について懐疑的な見方をしている。

そして7月、バイデン大統領はJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏を司法省反トラスト局長に指名する意向を表明した。カンター氏は、反トラスト法を専門とする20年以上の経験を持つ弁護士で、強力かつ有意義な反トラスト法の執行と競争政策を推進する取り組みの第1人者であり、専門家でもある。

こうしたメンバーの追加により、業界全体で反トラスト法を施行するための積極的なアプローチが行われることが期待される。今後の動きに確実に違いをもたらすことが議会に委ねられよう。

編集部注:Matt Sunbulli(マット・サンブリ)氏は、リモートワークの新時代にプロフェッショナルを結びつけるワークプレイスソーシャルネットワークFishbowlの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Matt Sunbulli、翻訳:Dragonfly)

グーグルの気球Loonの遺産、ワイヤレス光通信でコンゴ川を挟み高速インターネットを届けるアルファベットのProject Taar

Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)は2021年初めにProject Loonを終了したが、インターネットアクセスを提供する気球から学んだことは無駄にはならなかった。Loonで開発された高速無線光リンク技術は、現在、Taaraプロジェクトという別のムーンショットに使用されている。TaaraのエンジニアリングディレクターであるBaris Erkmen(バリス・エルクメン)氏は、新しいブログ記事の中で、このプロジェクトのワイヤレス光通信(WOC、wireless optical communications)リンクがコンゴ川を越えて高速接続を実現していると明らかにした。

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Taaraの構想は、LoonチームがWOCを使って100km以上離れたLoonの気球間でのデータ転送に成功したことから始まった。チームは、この技術を地上でどのように利用できるかを検討した。WOCの応用可能性を探る一環として、彼らはコンゴ共和国の首都ブラザビルとコンゴ民主共和国の首都キンシャサの間に存在する接続性のギャップを埋めることに取り組んだ。

これら2つの場所はコンゴ川を挟んで、わずか4.8kmしか離れていない。しかし、キンシャサでは、川を囲む400kmの範囲に光ファイバーを敷設しなければならないため、インターネット接続のコストがはるかに高くなってしまう。Project Taaraは、ブラザビルからキンシャサまで、川を挟んで高速通信が可能なリンクを設置した。同プロジェクトは20日以内に、99.9%の稼働率を実現し、約700TBのデータを提供した。

Project Taaraでの光ビーミング接続の仕組み

TaaraのWOCリンクは、お互いを探し出して光のビームを結ぶことにより高速インターネット接続を実現している。霧の多い場所での使用には適していないが、Taaraプロジェクトでは、天候などのさまざまな要因に基づいてWOCの利用可能性を推定できるネットワーク計画ツールを開発した。将来的にはそれらのツールを使って、Taaraの技術が最も効果的に機能する場所を計画することができるようになる。

Taaraのエンジニアリングディレクターであるエルクメン氏はブログ記事でこう述べた。

追跡精度の向上、環境対応の自動化、計画ツールの改善により、Taaraのリンクは、ファイバーが届かない場所に信頼性の高い高速帯域幅を提供し、従来の接続方法から切り離されたコミュニティを接続するのに役立っています。我々はこれらの進歩に非常に興奮しており、Taaraの機能の開発と改良を続ける中で、これらの進歩を積み重ねていくことを楽しみにしています。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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画像クレジット:Alphabet

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

Googleが手話認識技術開発で協力、ゲーム感覚で手話を学びろう者への理解を深める「手話タウン」をプレイしてみた

9月23日は「手話言語の国際デー」だ。これは、手話言語(以下、手話)が音声の言語と対等であることを認め、ろう者の人権が保証されることを目的に、国際連合が2017年12月19日に決議したもの。手話について意識を新たにする日となる。

とはいえ、「手話はよくわからない」「やったことがない」「学んだものの試す機会がない」という人も少なくないだろう。

そのような人たちにぜひとも試してもらいたいのが手話学習オンラインゲーム「手話タウン」だ。

手話タウンとは?―日本財団が香港中文大学・関西学院大学・Googleの協力によって開発

手話タウンとは、公益事業をサポートする社会貢献財団「日本財団」が、香港中文大学、関西学院大学、Googleの協力によって開発したウェブブラウザー上でプレイできるゲーム。現在はベータ版だが、手話言語の国際デーに正式公開することを目指してテストや開発が進められている

香港中文大学はプロジェクト全体の日本財団との共同統括、手話言語学における学術的見地からの監修、手話データの収集、ろう者に関する知見の提供を、関西学院大学は日本手話の学習データ収集とろう者に関する知見の提供、Googleはプロジェクトのコンセプト立案、AIによる手話認識技術の研究開発をするといった役割を担う。日本財団は、手話・ろう者についての知見の提供ならびに開発に必要な資金の提供を行っている。

また手話タウンプロジェクトでは、2Dしか認識できない一般的なカメラでも立体的な手話の動きを、上半身、頭、顔、口も含めて認識できる機械学習モデルを開発。日本と香港で手話を日常的に使用しているろう者の手話映像データを収集し、学習させることで、手話学習者が正しく手話を表現できているかの判断を可能にしているという。基盤となっている手話認識技術はTensorFlowを活用し3つの機械学習モデル(PoseNet、Facemesh、ハンドトラッキング)を組み合わせており、ソースコードについてはオープンソースとして公開している。

ウェブカメラ、PCとウェブブラウザー、そして手話を学びたい心があればすぐに始められる

ゲームに必要なのは、ウェブカメラを搭載してネットに接続されているPCとウェブブラウザー、そして手話を学びたいという心だ。アカウントの登録も、課金も必要ない。また、あらかじめ手話を覚えておく必要もない。

手話タウンにAndroidおよびiOSのウェブブラウザーでアクセスしたところ、PC用ブラウザーを利用するようメッセージが表示された

手話タウンにAndroidおよびiOSのウェブブラウザーでアクセスしたところ、PC用ブラウザーを利用するようメッセージが表示された

プレイヤーは手話タウンと呼ばれる架空の町を旅行しながら、少しずつ手話のアイテムを集めていく。例えば、色や服飾小物、食べ物などだ。

学べる手話は、日本手話と香港手話のいずれか。小学生の頃に手話に親しんだ筆者が、ベータ版手話タウンに挑戦してみた。選んだ手話言語は日本語手話だ。

荷づくりからチェックインまで体験

手話タウンにアクセスしたら、まずは表示する言語を選ぼう。日本語、英語、中国語(繁体字)から選べる。

ついで、手話言語を日本語手話と香港手話のいずれかを選ぶ。

ゲームは、出発前の荷づくりからスタートする。アイテムをどんどん選んでいき、荷造りを完成させる。なお、始めると、2つのアイテムを示す「お手本動画」が流れる。どちらかを手話で表現することで、アイテムを「選んで」いける。

2つのお手本動画が同時に流れるので、最初は自分にとってわかりやすいものを選ぼう。「できた」という達成感が重要なのだ

正しく手話を表現できると「手話で表そうとしたのは……?○○?」と表示され、その手話が表すアイテムの“バッジ”を集められる。表現が不明瞭だと「ごめんなさい!どの手話単語か分かりませんでした。」と表示される。スキップすることも、やり直すことも可能だ。

正しく表現できると「手話で表そうとしたのは……?○○?」と表示される。意図したものであれば「はい」を選んで次へ進もう

「腕時計」「ハイヒール」をなかなか表現できず、心が折れそうになる場面も

ゲームは、アイテムのバッジを集めていくことで進んでいくが、途中で次の場面に移動することも可能。もっとも、挑戦中のステップを完成させたほうが達成感を味わえるのは言うまでもない。

荷づくりのステップで集められるアイテムは6つだが、何回もチャレンジすれば、覚えられる手話単語はその倍の12に増やせる

ゲーム内では、手話タウンにあるレストランで食事をし、ホテルにチェックインするところまで体験する。レストランではメイン料理名、食材、飲み物などの手話単語を、ホテルでは喫煙・禁煙室、現地払い、カード払いといった、実際に宿泊する際に必要になる手話単語を覚えられる。

ゲームが進むにつれ、表現が複雑になってくるのだが、何度もお手本動画を確認したり、カメラに向かって表現することでクリアできるようになる。

また、何度もプレイしているうちに、「なぜワインは『3』を表す指で表現するのだろう」「なぜレモンは……」などと疑問が浮かんでくることだろう。能動的に調べることで、「そういうことか」と謎が解け、もっと手話を学びたいと思うようになるかもしれない。

ろう者についてもっと知ることができる工夫も

手話タウンでは、手話単語だけでなく、ろう者の文化を学べる工夫もなされている。場面が進んだときに現れる白いキャラクターをクリックすると、目覚ましのアラームはどうしているのか、ろう者がいたらどのように声がけすればいいかといったプチ情報が表示され、ろう者への理解を深めるのに一役買っている。

白いキャラクターのうち、線が赤く点滅しているものをクリックしてプチ情報を表示できる

ノックの代わりに電気を点けたり消したりする、という目からうろこの情報

各場面でのプチ達成感が、手話を学びたいという意欲をかきたてる

まだベータ版ということもあり、「荷づくり」「食事」「宿泊」の3場面だけだが、各場面をコンプリートしたときに得られるプチ達成感が、手話を学びたいという意欲をかきたてる。

なお、手話は手だけでなく、顔の表情や上半身も使う。そのため上半身全体が収まるよう、カメラとの距離が必要になる。また、AIが表現した手話を認識しやすいよう、プレイするときには柄物より無地に近い服を選んだほうがよいだろう。さらに、手話を表現するときに、それが表す単語を口にすると、口の形も読み取れるため認識率がアップする。

手話タウンにチャレンジする人が増えることで、ろう者への理解が深まり、手話への抵抗感が少ない社会の醸成されることが期待したい。

グーグルの研究開発部門がGoogleドライブを利用したニュースレターサービスの実験開始

Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのテック大手がニュースレター市場に参入したのに続き、Google(グーグル)もニュースレターサービスの実験を開始した。Googleの社内スタートアップインキュベーターであるArea 120は「Museletter(ミューズレター)」という新しいプロジェクトを立ち上げた。Museletterでは、誰もがGoogleドライブのファイルをブログやニュースレターとして、Museletterの公開プロフィールやEメールリストに公開することができる。

この試みは、Googleの既存の文書作成ツールを再利用して、Substack(サブスタック)、Ghost(ゴースト)、Revue(レヴュー)など、今日、利用者が増加している他のニュースレタープラットフォームに対抗する手段となる。

Googleのこの試みは、今週、9to5GoogleAndroid Policeなどのサイトで報じられた。

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TechCrunchがコメントを求めたところ、Area 120の広報担当者は「Museletter」の詳細については言及せず、同プロジェクトは研究開発グループにおける「多くの実験の1つ」であり「まだ非常に初期の段階」であるとだけ述べた。

しかし、Museletterのウェブサイトから、このプロジェクトについてすでに多くのことを知ることができる。サイトでは、Googleのニュースレタープロジェクトが競合他社との差別化を図るために、クリエイターがGoogleドライブをどのように収益化できるかを説明している。ニュースレターをGoogleドキュメントで作成するだけでなく、他の生産性向上アプリを使用して読者と情報を共有することもできる。例えば、ニュースレタークリエイターは、読者が自分のGoogleスライドにアクセスできる有料のサブスクリプションプランを提供することができる。金融関係の記事を書いているクリエイターは、Googleスプレッドシートに役立つスプレッドシートを公開し、それをサブスクライバーが利用できるようにすることが可能だ。

画像クレジット:Google

これを実現するために、Museletterのクリエイターは、自分のGoogleドライブに公開プロファイルを作成し、そこに任意のGoogleドライブファイルを直接公開する。これによりランディングページが作成され、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどのさまざまなGoogleドライブファイルを公開していることをアピールできる。

また、クリエイターはオプションで、他のプラットフォームから取り込んだリストを含むEメールリストに公開することもできる。ニュースレターの購読はクリエイターの好みに応じて無料または有料にできるが、Museletter自体の利用は無料だ。その代わりに、カスタムドメインやウェルカムメールなどのプレミアム機能での収益化を目指しているという。

また、このプラットフォームでは、オーディエンスを惹きつけ、ニュースレターのパフォーマンスを追跡するためのツールや分析機能を約束している。

このサイトでは広告の計画については一切触れられていないが、この分野での成功は、Googleに新たな広告収入をもたらす可能性がある。時を同じくして、同テック巨人が制してきた数百億ドル(数兆円)規模の広告市場にはAmazon(アマゾン)という新たな挑戦者が現れており、その広告事業はいずれFacebook(フェイスブック)と、Google(グーグル)の二強構図に挑戦していくかもしれない。

GoogleはMuseletterの開始時期を明らかにしていないが、ウェブサイトではユーザーが早期アクセスをリクエストできるフォームへのリンクを提供している。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

韓国がグーグルに罰金194億円、OSで支配的地位を乱用

韓国公正取引委員会(KFTC)は現地時間9月14日、Android(アンドロイド)オペレーティングシステム(OS)マーケットで支配的な地位を乱用したとしてGoogle(グーグル)に1億7700万ドル(約194億円)の罰金を科したと発表した

韓国公取の声明によると、Googleはanti-fragmentation agreements(AFA、反フラグメンテーション協定)を通じてSamsung Electronics(サムスン電子)やLG Electronics(LGエレクトロニクス)など韓国のスマホメーカーがAndroid OSをカスタマイズするのを禁じることで市場の競争を制限した。

AFAでは、スマホデベロッパーはAndroidの修正版である「Androidフォーク」をインストールしたり開発したりすることは許されない。

韓国公取はGoogle LLC、Google Asia Pacific、Google Koreaが韓国のスマホデベロッパーにAFA締結を課すことを禁じ、既存バージョンの詳細を変更するよう命じた。この新たな措置はモバイル端末だけでなく、スマートウォッチやテレビなどAndroidで駆動する他のスマートデバイスにも適用される。

Androidの互換性プログラムは韓国のモバイルオペレーターオーナーとソフトウェア開発者でのイノベーションを促進し、韓国の消費者のより良いユーザーエクスペリエンスにつながった、とGoogleは声明文で述べた。「今日発表されたKFTCの判断はこうした恩恵を無視していて、消費者が享受しているメリットを過小評価しています。当社はKFTCの命令に対し控訴します」と同社の広報担当は述べている。

反競争の慣行をめぐって2016年7月からGoogleを調査していた、と韓国公取の広報担当は話した。

KFTCの発表によると、中国を除く世界のモバイルOSマーケットにおけるGoogleのシェアは2010年の38%から2019年には97.7%に拡大した。

GoogleのAFAはまた、同社のOSを使っているスマートウォッチやテレビといったテック企業の新デバイスの発売も制限してきた。ここには2013年のSamsungのスマートウォッチ、2018年のLG ElectronicsのLTEスマートスピーカー、2018年のAmazon(アマゾン)のスマートテレビなどが含まれる。

韓国の監視当局はPlay Storeアプリマーケットや請求システム、広告マーケットなどでも調査している。

一方、同国の放送通信委員会のプレスリリースによると「反グーグル法」は9月14日に施行された

韓国では8月下旬に、GoogleやAppleなどグローバルなテック企業がアプリ開発者に対して占有のアプリ内決済サービスの使用と手数料を強要することを禁じる法案が成立している

関連記事:世界初、韓国がグーグルとアップルのアプリ内課金手数料を抑制する「反グーグル法」可決

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトが米国内オフィス再開の無期限延期を発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

マイクロソフトが米国内オフィス再開を無期限延期と発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

Stephen Brashear via Getty Images

米Microsoftは9月9日(現地時間)、従業員の米国内オフィスへの出社再開を無期限に延期すると発表しました。もともとは10月4日からの再開を予定していましたが、感染力の強いデルタ株の出現など、新型コロナウイルスの不確実性が増しているため、新しい日付は設定せず、公衆衛生上の指針に基づき安全に再開できるようになった時点で再開するとのこと。

再開を決定した際は、30日間の移行期間を設け、従業員が準備できるようにするとともに、データを確認しつつ、引き続き機敏で柔軟な対応ができるようするとしています。The New York Timesによると、米Microsoftはすべての従業員、ベンダー、ゲストがオフィスに入る際には、ワクチン接種証明書の提示が必要になります。

Microsoftによると、今年は世界中でMicrosoft社員16万人が自宅で仕事をし、2万5000人の新入社員がリモートで入社しましたが、Microsoftに仲間がいると感じるとアンケートに答えた人は過去最高の90%を記録。一緒にいると感じるために、物理的に一緒にいる必要はないことを示していると、リモートワークやハイブリッドワークの可能性を感じている様子。ただし、この前向きな傾向が継続するという保証はないともしています。従業員アンケートによると、ワークライフバランスやチームのつながりに対する満足度は、引き続き課題となっているとのことです。

なお、オフィス再開を延期したのはMicrosoftだけではなく、GoogleAmazonは2022年1月まで延期、Twitterは再開時期を未定としています。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

Google Workspaceにいつでも会話の履歴、内容などすべてを確認できるSpaces、withコロナのハイブリッドワーク環境に対応

オフィスに戻る人もいれば、リモートで働く人もいて、スタッフの勤務地は昨今、少し複雑なことになっている。このようなハイブリッド環境に対応するため、Google(グーグル)はGoogle Workspaceにさらなる変更を加え、すべてのユーザーにGoogle Chatの中でSpacesを提供開始した。

Spacesはカレンダー、ドライブ、ドキュメントなどのWorkspaceツールと統合され、ユーザーがどこにいても、会話の履歴、内容、文脈をすべて確認できる、よりハイブリッドなワークエクスペリエンスを提供する。

関連記事:G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

Googleの製品管理担当シニアディレクターであるSanaz Ahari(サナズ・アハリ)氏は、米国時間9月8日のブログ記事で、同社の顧客はSpacesを「リアルタイムおよび非同期コラボレーションのためのセントラルハブのようなものにすることを望んでいました」と書いている。「Eメールチェーンを始めたり、ビデオ会議をスケジュールする代わりに、チームはSpacesを使い直接集まってプロジェクトやトピックを進めることができます」とも。

以下は、Spacesで使えるようになった新機能の一部だ。

  • 受信トレイ、チャット、Spaces、ミーティングなど、すべてを1つのインターフェイスで管理できる
  • Spacesとそこに含まれるコンテンツは、人々が見つけて会話に参加できるように発見可能にすることができる
  • チームのナレッジベース内での検索性が向上
  • Spaces内のすべてのメッセージに返信することができる
  • コミュニケーションをモニタリングするためのセキュリティおよび管理ツールの強化

従業員は、カレンダー上の特定の日に、バーチャルと対面のどちらでコラボレーションを行うかを指定できるようになった。また補完的にGoogle Meetでは、モバイルとデスクトップデバイスの両方で同僚と通話できる。

画像クレジット:Google

また11月には、すべてのWorkspaceユーザーがGoogle Meetのコンパニオンモードを利用して、個人デバイスからミーティングに参加し、会議室内のオーディオやビデオを利用できるようになる。また、2021年後半には、英語からフランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語へのライブ翻訳キャプションが利用できるようになり、今後さらに多くの言語が追加される予定だ。

さらにGoogleは、Google Meetのハードウェアポートフォリオを拡充し、2つの新しいオールインワン型ビデオ会議デバイス、サードパーティ製デバイス(Logitechのビデオバー、Appcessoriのモバイルデバイス用スピーカードック)を加え、CiscoのWebexとの相互運用性を提供する。

また、Googleはこれらのニュースにあわせ、5つの一般的なハイブリッド会議に関するベストプラクティスが掲載されているワークスペースハンドブックを発表した。

画像クレジット:Nicolas Economou / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

設立10周年を前に黒字化を達成した元Nokiaスタッフが企業したJolla、モバイル以外の展開も視野に

約10年前、Nokia(ノキア)のスタッフ数人が、Google(グーグル)のAndroidに代わるLinuxベースのモバイルOSを開発するために設立したフィンランドのスタートアップ企業Jolla(ヨーラ)。現在Sailfish OSを手がける同社は、現地時間8月25日、黒字化を達成したことを発表した。

モバイルOSのライセンス事業を行っているJollaは、2020年を事業の「ターニングポイント」と位置づけていた。売上高は前年同期比53%増、EBITDAマージン(利払い前・税引き前・減価償却前利益を売上高で割った比率。経営効率を示す)は34%となった。

Jollaは、新しいライセンス製品(AppSupport for Linux Platforms)の提供を開始したばかりだ。この製品は、その名の通り、Linuxプラットフォームに一般的なAndroidアプリケーションとの互換性をスタンドアロンで提供するもので、顧客はSailfish OSのフルライセンスを取得する必要はない(もちろん、Sailfish OSは2013年からAndroidアプリケーションに対応している)。

Jollaによると、AppSupportは初期の段階から、自社のインフォテインメントシステム(情報と娯楽を提供するシステムの総称)を開発するためのソリューションを探している自動車会社の「強い」関心を集めているという。AppSupportがあれば、Googleの自動車向けサービスを使わずに、車載のLinux互換プラットフォームでAndroidアプリケーションを実行できる、というのがその理由だ。多くの自動車メーカーがAndroidを採用しているが、Jollaが提供する「Googleフリー」の選択肢には、さらに多くのメーカーが興味を持ちそうだ。

車載のLinuxシステムにもさまざまなユースケースが考えられる。例えばIoTデバイスで人気の高いアプリケーションを実行できるようにして顧客に付加価値を提供する、といった幅広い需要が期待できる。

CEOで共同創業者のSami Pienimäki(サミ・ピエニマキ)氏は次のように話す。「Jollaは順調に成長しています。2020年、正式に黒字化できたことをうれしく思っています」。

ピエニマキ氏は「資産や会社が全体的に成熟してきたことで、顧客が増え始めています。私たちは少し前から成長に注力し始めました」と述べ、同氏のトレードマークでもある控えめな表現で好調な数字の理由を説明する。「Jollaは10月に設立10周年を迎えますが、ここまで長い道のりでした。この過程で、私たちは着実に効率性を高め、収益を向上させることができました」。

「2019年から2020年にかけて、私たちの収益は50%以上伸び、540万ユーロ(約7億円)となりました。同時に運用コストベースもかなり安定してきたので、それらが相まって収益性を高めることができました」。

消費者向けのモバイルOS市場は、ここ数年、GoogleのAndroidとApple(アップル)のiOSにほぼ独占されているが、JollaはオープンソースのSailfish OSを政府や企業にライセンス供与し、Googleの関与を必要としない、ニーズに合った代替プラットフォームとして提供している。

意外かもしれないが、ロシアは同社が早くから参入した市場の1つである。

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ファーウェイがAndroidに代わるスマホ向けHarmonyOSを正式発表

近年では、地政学的な緊張が技術プラットフォームにもおよび、場合によっては外国企業による米国の技術へのアクセスが(破廉恥にも)禁止されるなど、デジタル主権の主張が強まり、特に(米国以外の)独立したモバイルOSプラットフォームプロバイダーの必要性が高まっている。

これに関連して、6月には中国のHuawei(ファーウェイ)が、Androidに代わる独自のスマートフォン「HarmonyOS」を発表している。

ピエニマキ氏はこの動きを歓迎し、Sailfish OSが活躍する市場の妥当性を示しているとしている。

HarmonyOSがSailfishのパイを奪ってしまうのではないかという質問に対し、同氏は次のように答える。「私は、HuaweiがHarmonyOSの価値提案や技術を出してきたことを、必ずしも競合するものとは考えていません。むしろ、市場にはAndroid以外の何かへの要求があることを証明しているのだと思います」。

「Huaweiは彼らの市場を開拓し、私たちも私たちの市場を開拓しています。両者の戦略とメッセージは、お互いにしっかりとサポートし合えていると思います」。

Jollaは、数年前からSailfishの中国進出に取り組んできたが、この事業は現段階ではまだ進行中である。しかし、ピエニマキ氏によれば、Huaweiの動きは、極東地域におけるAndroid代替製品のライセンス事業拡大という目標を妨げるものではないという。

「中国市場では一般的に健全な競争が行われ、常に競合するソリューション、激しく競合するソリューションが存在しています。Huaweiはその中の1つであり、私たちもこの非常に大きく難しい市場にSailfish OSを提供できることをうれしく思います」。

「私たちは中国で良い関係を築いており、中国市場に参入するために現地のパートナーと一緒に仕事をしています」とピエニマキ氏は続ける。「Huaweiのような大企業がこの機会を認識することは非常に良いことだと思っています。これにより、業界全体が形成され、Androidを選択せざるを得ない状況は解消されました。他に選択肢があるのですから」。

Jollaによると、AppSupportについては、自動車業界が「このようなソリューションを積極的に探している」という。同社は「デジタルコックピットは自動車メーカーにとって他社と差別化するための重要な要素」と指摘し、自動車メーカー自体がコントロールできる戦略的に重要な要素であると主張する。

「ここ数年、この分野はポジティブな状況にあります。Tesla(テスラ)のような新規参入企業が自動車業界を揺るがしたことで、従来のメーカーはコックピットでどうやってユーザーに楽しんでもらうか、という点について、これまでとは異なる考え方をする必要に迫られています」とピエニマキ氏。

「この数年間の多額の投資により、この業界は急速な発展を遂げてきました。しかし同時に、私たちは、私たちの限られたリソースの中で、この技術のチャンスがどこにあるのかを学んでいるところだということを強調しておきたいと思います。(Sailfish OSは)自動車分野での利用が多いのですが、他の分野、たとえばIoTや重工業などでも可能性があると考えています。私たちはオープンに機会を探っています。でも、ご存じの通り、自動車は今とてもホットな分野ですからね」。

「世界には一般的なLinuxベースのOSが数多く存在していますが、私たちはそれらのOSに優れた付加技術を提供することで、厳選されたアプリケーションを利用できるようにしています。例えばSpotifyやNetflix、あるいは特定の分野に特化した通信ソリューションなどが考えられます」。

「そのようなアプリケーションの多くは、当然ながらiOSとAndroidの両方のプラットフォームで利用できます。そして、それらのアプリケーションを単に存在させるだけでなく、Linuxプラットフォーム上で独立して実行することができれば、多くの関心を集めることができます」。

Jollaはもう1つの展開として、AppSupportの販売促進とSailfishライセンスビジネスのさらなる成長のために、2000万ユーロ(約26億円)を目標とした新たな成長ステージの資金調達の準備を進めている。

ヨーロッパは現在もモバイルOSライセンスビジネスの最大の市場であり、Sailfishの成長の可能性が見込まれている。また、ピエニマキ氏は、アフリカの一部の地域でも「良い展開」が見られると述べている。中国への進出をあきらめたわけでもない。

この資金調達ラウンドは2021年の夏に投資家に公開され、まだクローズされていないが、Jollaは資金調達を成功させる自信があるという。

「私たちはJollaストーリーの次の章を迎えようとしています。そのためには新しい機会を探る必要があり、そのための資本が必要で、私たちはそれを探しています。投資家サイドには現在資金が豊富にあります。一緒に仕事をしている投資銀行と私たちは、そこに勝機を見出しています」とピエニマキ氏。

「この状況であれば、投資家には必ず興味を持ってもらえると思います。Sailfish OSとAppSupportの技術への投資、さらには市場開拓のための投資を獲得して、市場の多くのユーザーに私たちの技術を利用してもらえるはずです」。

画像クレジット:Jolla

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

ドイツ政府がEUに対しスマホメーカーによる7年間のセキュリティ更新・パーツ供給の義務づけを提案

ドイツ政府がEUに対しスマホメーカーによる7年間のセキュリティ更新・パーツ供給の義務づけを提案

sigoisette via Getty Images

ドイツ政府が欧州委員会に、スマートフォンメーカーにセキュリティアップデートやスペアパーツを7年間提供するよう義務づけることを提案したと報じられています。

ドイツのニュースメディアHeise.de(ハイス・オンライン)によると、ドイツ連邦政府はスマートフォンやタブレットの修理・サービスに関する規制を変更するために、欧州委と交渉を開始したとのことです。欧州委はスペアパーツの供給につきスマートフォンでは5年間、タブレットでは6年間を義務づけることを計画していますが、ドイツはこれらを7年間に延長したいかまえです。

そうした期間の延長に加えて、ドイツ政府はスペアパーツを「妥当な価格」で提供されるのを望んでいるとのことです。これにはメーカーがスペアパーツの価格を公表し、時間の経過とともに値上げしないことも含まれています。

さらにスペアパーツが目的地に到着するまでの期間についても、欧州委の案では最大で5営業日に対して、ドイツはより短い期間の配送を義務づける意向とのこと。それに加えて修理期間が長くかかる場合は、顧客は修理ではなく本体の交換を選べる可能性にも言及されています。

しかしスマートフォンメーカーが望んでいるのは、それとは真逆のことです。Googleやサムスンのほかアップルも加入している業界団体DigitalEuropeはセキュリティアップデートを3年、機能アップデートを2年に限ることを提案。それに加えて、スペアパーツの提供義務もディスプレイやバッテリーに限り、カメラやマイクなどは「故障することはほとんどない」として除外を求めています。

今回の提案はiPhoneも対象としていますが、アップルはたいてい5年間もの機能およびセキュリティアップデートを提供しています。

かたやAndroidデバイスメーカーの多くが提供するセキュリティアップデートは、多くが3年以下に留まっており、もしもドイツ案が通れば影響はより大きいと思われます。サムスンは今年初めにセキュリティアップデートを最低4年間提供する(2019年以降の端末に限り)と発表しましたが、それ以前は2年ないし3年でした。

数年前のデバイスを末永く使い続けられることはユーザーにも有り難く、また電子廃棄物を減らすことにつながり環境保護にも貢献できると思われます。が、スマートフォンメーカーにしてみれば旧製品が修理され続ければ新製品を売る妨げにもなりかねず、また過去モデルの部品を確保する負担ものし掛かってくるはず。今後もスマートフォン業界からロビー活動など、政治的な働きかけが続けられるのかもしれません。

(Source:Heise.de。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

【レビュー】Galaxy Watch 4 Classicは均整のとれたスマートウォッチ、サムスンとグーグルがそれぞれの強みを活かし協力

スマートウォッチ界は、Apple対世界という構造になっている。CounterPointが発表した最新の数字によると、Apple Watchが第1四半期の世界出荷台数の3分の1以上を占めている。Samsung / Tizenの市場シェアは8%で、遠く離れてはいるが、しかし立派な2位だ。GoogleのWear OSは4%弱で5位となっており、他のカテゴリーでは圧倒的な優勢を誇る両社が、競争上の優位性を求めて躍起になっていることがよくわかる。

Googleにとって、解決策は2つだった。まず、Fitbitの買収により、既存の市場が事実上2倍になったこと。そして長い間、Tizenの困難の中にいたSamsungにWear OSへの復帰を説得すること。Samsungにとって、GoogleのOSに戻ることは、開発者のアクセスとその結果としてのアプリを考えると理に適っている。また、Googleがサポートの問題を解決してくれるのであれば、それに越したことはない。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

純粋な市場シェアという点では、Samsungが明らかに優位に立っている。また、独自のTizenの開発は、世界的に注目されたわけではないが、当大手企業は2位の座を確保することができた。SamsungがGoogleに復帰するとしたら、独自の条件下で行う必要があるのは明らかだ。

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Google I/Oで発表された、スマートウォッチ分野における両社の協力体制に続き、Samsungは先週、その成果の第一弾としてようやく「Galaxy Watch 4」を発表した。標準モデルとクラシックモデルの両方が用意されたこの新しいウェアラブル端末は「Wear OS Powered by Samsung」を搭載している。これは現実的には、SamsungがGoogleと緊密に協力して、Wear OSのカスタマイズ版-Tizenのように見え、Tizenのように泳ぎ、Tizenのように鳴くものーを構築したということだ。

これは、Samsungが何年もかけて構築してきた体験の親しみやすさを失うことなく、苦労しながらも強固なウェアラブルOSのエコシステムに向けて前進するための努力だ。正直なところ、私はこれに賛成だ。SamsungとGoogleのチームは、それぞれのエコシステムの特徴を見極め、両者の長所を活かした体験を構築するというすばらしい仕事をしている。Googleにとっては理想的な状況であり、他の大手ハードウェアメーカーを採用することで、Googleにとってもメリットがあることは間違いない。とはいえSamsungほど勢いのあるメーカーは業界にはいないのだが。

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それに加え、Galaxy Watch 4は、数世代にわたるハードウェアの改良と健康機能の改善により、Appleと互角に渡り合える数少ないスマートウォッチの1つとなっている。Appleと同様に、この新しいウェアラブル端末は、Samsungのエコシステムと明確に結びついている。結局先日の発表も、どう見てもエコシステムの活動の一環だった。

画像クレジット:Brian Heater

新しいGalaxy Budsは、Samsungユーザーにとって最高のイヤフォンであることは間違いないが、同じことがSamsungの堅実な新しいスマートウォッチにも言える。Samsungは、Wear OSによって第三者にオープンになってきているが(Appleよりもその程度は低いが、正しい方向への一歩だ)、それでもこれは明らかにSamsungのスマートウォッチであり、SamsungのモバイルハードウェアやSamsung自身のアプリとの相性が最も良いのだ。これは、世界No.1のスマートフォンメーカーだからこそできるギャンブルだろう。iOS以外の残りの市場では、Huawei、Garmin、Fitbitが戦えばよい。

スマートフォンやイヤフォンと同様に、Galaxy Watchシリーズも、その仕組みは必ずしも一筋縄ではいかなかった。長年にわたり、さまざまなモデルやSKUを模索してきたが、ようやく合理的な仕組みにたどり着いたと思う。実質的には、触覚技術を用いベゼルを組み込んだ下位モデルのGalaxy Watch Activeは標準的なGalaxy Watchに、標準的なGalaxy WatchはGalaxy Watch Classicになった。

ここまで書いてきて、頭で考えていたほど簡単なことではないことがわかった。基本的には「Galaxy Watch 4 = より薄く、軽く、スポーティに」ということになる。Galaxy Watch 4 Classicは、デジタルベゼルからSamsungのトレードマークである回転式ハードウェアベゼルに変更され、少し上品な外観になっている。

画像クレジット:Brian Heater

先ほども言ったが、もう一度これを言いたい。回転ベゼルは、Samsungのエースだ。スマートウォッチ業界では、Appleに勝るとも劣らないエリアだ。Appleのクラウンもいいが、スマートウォッチのインターフェースを操作するには、現在のところベゼルが最適だ。AppleがGalaxy Watch 2でベゼルを廃止し、デジタル版を採用したときは、正直言って私は戸惑った。SamsungはGalaxy Watch 3ではそれを考え直し、復活させたのだ。

以前の私のレビューを読んだ人は、私がこれまでのSamsungの時計で一番こだわっていたのがサイズであることをご存知のことだえろう。以前のウォッチは巨大だった。私は小柄な人間ではないし、手首が異常に小さいわけでもないけれど、そんな私でも装着して歩き回るのに苦労した。大きくて不格好な時計が好きな人もいるだろうが、これらのデバイスのサイズが1つしかないというのは、最初から潜在的な利用者が大きく制限されていると言える。

関連記事:グーグルの「Wear OS」とサムスンの「Tizen」が統合、アップルのwatchOSに対抗

ありがたいことに、今回はいくつかの選択肢がある。Galaxy Watchには40mmと44mmのバージョンがあり(それぞれ250ドルと300ドル[約3万2840円])、Classicには42mmと46mmのバージョンがある(それぞれ350ドル[約3万8310円]と380ドル[約4万1590円])。デザインの違いだけなのに、かなりの金額が加算されていると思われることだろう。ClassicにLTEを追加すると、379ドル(約4万1480円)と429ドル(約4万6960円)になる。もちろん、これはApple Watch Series 6の399ドル(約4万3670円)という初値と比べると好意的に受け取ることができる。

私は中間に位置する42mmのGalaxy Watch Classicを選んだ。数日前からこのデバイスを装着しているが、とても良い選択をしたと思っている。デザインを考えると、46mmは私が日常的に使うには目立ちすぎる時計であることは間違いない。また、寝るときには大きすぎるだろう。

44mmバージョンの標準的なウォッチがどのようにフィットしたのかはまだ気になるところだが、回転ベゼルを選択できるのであれば、回転ベゼルを選ぶべきだ。Classicの40mmバージョンは、その機能性を求める手首の小さいユーザーにとっては良い選択肢となるだろう。Samsungが4つの異なるサイズを用意していることは正しい方向性だと言える。

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多くの競争と同様に、Samsungはここでも健康面の機能でリードしている。パンデミックから1年半、私は運動量を増やそうと努力しているが、この時計は運動量をしっかりと検知してくれる。ウォーキングやランニングを自動検出するという点では、Apple Watchとほぼ同じだ。最近、ジムでボートを漕ぐようになったのだが、そこでもしっかりと仕事をしてくれる。ただし、朝のHIITになるとかなり難しく、ヨガはさっぱりだったので、Samsungの接続型のルーチンを使用している場合を除き、手動で開始するのがベストだ。

心臓の異常を検出するためのECGが搭載されている。心臓の不調の早期発見のために多くの医療関係者が推奨し始めている、いち早く標準化されたツールだ。体組成計は、2本の指をデバイスに当てると、骨格筋、体水分、代謝率、体脂肪率などの主要な健康指標を表示してくれる、目玉となる新機能だ。

睡眠トラッキングでは、血中酸素濃度、ライト / ディープ / レム、トータル睡眠スコア(ヒント:私の場合は低い)など、確かな情報が得られる。また、スマートフォンをそばに置いて寝ると、このアプリは夜中のいびきの時間も教えてくれる。これらの数値を総合すると、自分の睡眠パターンについて優れた実用的な知識を得られる。

画像クレジット:Brian Heater

もちろん、寝るときに時計を装着するのは、快適さの問題だけでなく、バッテリーの問題もある。Watch Classicのバッテリー寿命はまずまずで、標準的な使い方から軽めの使い方で、1日半を過ごすことができた。朝や昼に充電する時間を確保できれば、フィットネスや睡眠のトラッキングには十分だろう。ほとんどの用途には問題なく、特筆すべき点はない。

これらすべての要素が、確かなスマートウォッチ体験につながっている。Galaxy Watch 4は、Samsungユーザーにとって最高のスマートウォッチであると同時に、Android対応スマートウォッチとしても最高であると強く主張できる。

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画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

検索エンジンのインデックスを最適化するSEOサービスBotifyが約61億円調達、アジア市場を狙う

Botifyの検索エンジン最適化(search engine optimization、SEO)プラットフォームを利用すると、あなたのウェブサイトやコンテンツは検索エンジンが行なうインデクシングによくかかりやすくなり、検索結果に頻繁に現れるようになる。同社はこのほど、InfraVia GrowthがリードしBpifranceのLarge Ventureが参加したシリーズCのラウンドで5500万ドル(約60億5000万円)を調達した。

以前からの投資家であるEurazeoとVentechも再び同社に投資し、またInfraViaのNicolas Herschtel(ニコラス・ヘルシュテル)氏とBpifranceのAntoine Izsak(アントワーヌ・イザック)氏がBotifyの取締役会に加わる。評価額は、以前のラウンドの3倍になった。

関連記事:ナイキやエクスペディアも顧客、好調のSEOサービスBotifyが2000万ドル調達

SEO業界はまさに玉石混淆だが、Botifyは自らを「正義の味方」と定義している。同社は検索エンジンのサービス規約を尊重し、検索結果をいじくってインサイトを取り出したりしないし、他のウェブサイトへの怪しげなバックリンクを作ったりしない。

共同創業者でCEOのAdrien Menard(アドリアン・メナード)氏は「まずウェブサイトの質に注目し、検索過程のすべてのステップに対して最適化を行います。それにはサイトのデザインやコンテンツの充実なども含まれています」と述べている。

Botifyの製品群には、現在3つの異なるコンポーネントがある。最初にリリースされたのは、あなたのウェブサイトに関する情報を提供する分析ツール。基本的には、クローラーがあなたのサイトをどのように分析するかを確認することができる。

次にBotifyが開発したのが、インテリジェンスのコンポーネントだ。それにより、自分のSEO戦略を改良するためにやるべきことの優先順リストが得ることができる。そして現在、同社は「Botify Activation」で自動化にも取り組んでいる。Googleの検索エンジンボットがあなたのサイトをクエリする際、それに対するすべての答えをBotifyが代わって提供する。

「Googleのアルゴリズムを騙そうとしているのではありません。Botifyを、検索エンジンとクライアントのウェブサイトの間に入るインタフェイス、と定義しています。検索エンジンはいつも、高品質なコンテンツにアクセスしようとしている。それに対してBotifyはおそらく、一般的な方法よりも安上がりな方法なのです」とメナード氏はいう。

Botifyの顧客企業は、これら3つのツールをすべて使わなくてもよい。アナリティクスから始めたければ、そうすればよい。メナード氏は「企業の大小によって、いろいろな使い方がある」という。

これまでの数年間でGoogleは、検索結果の上にある広告スロットの数を増やした。また、ユーザーがオーガニックな検索結果を見る前に、YouTubeやGoogleマップといった自社サービスを勧めることもある。これらのことは、Botifyの未来にとって心配だろうか?

メナード氏は「おっしゃるとおりです。検索結果のますます多くの部分が、ファーストパーティー(Google自身)や有料の結果からきています。でもそれと同時に、オーガニックな結果から生成されるトラフィックも増えています。それは私たちの顧客のウェブサイトのトラフィックの30%に相当し、その割合は減っていません」という。

メナード氏によると、検索の利用は毎年増える一方だ。だからオンラインのセールスやその他のトラフィックでは、検索への投資が必ず良い結果を生む。

現在、Botifyの顧客はおよそ500社で、その中にはExpediaやL’Oréal、The New York Times、Groupon、Marriott、Condé Nast、Crate & Barrel、Fnac Darty、Vestiaire CollectiveそしてFarfetchなどがいる。

今回得られた資金の主な用途は、自動化の能力アップと、テクノロジー企業とのパートナーシップを増やすこと、そしてアジア太平洋地域に新しいオフィスを構えることだという。

画像クレジット:Botify

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Googleはニュース発行者の著作権をめぐる仏当局の罰金を不当として控訴

Googleは、フランスの競争当局(日本の公正取引委員会に相当)から7月に課せられた5億ドルあまりの罰金に控訴をしている。

その罰金は、コンテンツの再利用に関してニュースの発行者に使用料を支払う件における、アドテック巨人(Google)のやり方に関連している。

Google Franceの副社長でカントリーマネージャーであるSebastien Missoffe氏は今日の声明で、その罰金は「不釣り合いな」性格のものであり、ニュースの発行者と契約し、改定された著作権規則に準拠しようとしているGoogleの「努力」に照らして正当化できない、と主張している。しかしそれは、弁護の声明としては相当ひどいものだ。

Missoffe氏は次のように付言している: 「2020年の4月から8月までの交渉に基づいてフランスの公正取引委員会が行った決定に、われわれは控訴する。われわれは、いくつかの法的要素に同意しないし、その罰金は、合意を求め新たな法に準拠しようとするわれわれの努力に対して不釣り合いである」。「にもかかわらずわれわれは、関連する権利を認め、この事案の解決のために献身し、取引の正常化に努めていく所存である。これには、オファーを1200社の発行者に拡大することと、われわれの契約の諸側面を明確にし、またフランス公正取引委員会の7月の決定で求められているよりも多くのデータを共有することが含まれている」。

関連記事: フランスがグーグルに650億円の罰金、記事使用料交渉で命令に従わず

さかのぼって2019年に、欧州連合は、ニュース記事のリード文を著作権の対象に含めるする改定デジタル著作権法に合意した。その部分はGoogle Newsのようなニューズアグリゲーターが何年も前から毎日のように削り取って表示していた断片記事である。

EUの加盟国はアップデートされた全EUの改革を自国の法律に転置しなければならない。それを最初にやったのが、フランスだった。

また、改定法をGoogleに強制する件でも、フランスの競争当局が先陣を切り、昨年、このテクノロジーの巨人に対して発行者と交渉するよう命じた。そして発行者がGoogleの交渉態度に不平を言ったとき、超弩級の罰金を課した。

今夏に罰金を発表するときフランスの競争委員会は、このテクノロジー巨人が別の罰金や課金義務などの発生を避けるために、ローカルな発行者に対してグローバルに運用しているニュースライセンスプロダクトを一律に課そうとしていると非難した。EUとフランスの法律では、そういう発行者とも、個別に交渉すべきことが定められている。

Googleの手口に対する当局の不平不満のリストは膨大である。これに関し、本誌の初期の記事はここにある。だから、今度の控訴も、どこまでが単なる時間稼ぎなのか、よく分からないのだ。

ロイターによると、仏競争委員会は、控訴で罰金が一時棚上げになることはないし、すでに(7月に)発せられている期限が変更されることもない、と言っている。それによると、Googleがオファーの改定や発行者への必要な情報の提供に費やせる時間枠は、7月の時点で2か月しか残されていない。そのときまでにすべての要件を満たさなければ、日額90万ユーロの罰金が新たに発生する。その締切は、あと2週間後だ。

Googleは、控訴を発表したことによって発行者の心をそっちに集中させ、どんな代案でも受け入れる気持ちにさせる、と踏んでいるのかもしれない(そのための対象発行者の1200社への拡大か)。控訴の訴状にある「契約の諸側面を明らかにし」と「もっと多くのデータを共有し」などはすべて、Googleが仏当局から厳しくお尻ペンペンされた領域だ。

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
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Chromeベータ版はよりパワフルな新しいタブページ、ウェブのハイライト、検索の変更を実験的に実施

Googleは米国時間9月1日、Chromeベータ版ブラウザの新バージョンを発表し、ユーザーインターフェースとデザインにいくつかの重要な変更を行った。新しいタブページでは、従来のお気に入りのウェブサイトへのショートカットだけではなく、過去のウェブ検索履歴を表示するカードが追加される。その他の変更点としては、検索結果のナビゲーションがより簡単になり、ウェブ上の引用文をハイライトして共有することができるようになる。

新しいタブページのアップデートは、Chromeベータ版ユーザーが最初に気づく変更点の1つとなるだろう。

このデザイン変更の背景にあるアイデアは、レシピやショッピングなどで利用していたサイトを思い出すために閲覧履歴を調べる必要なく、過去のウェブでのアクティビティにすばやく戻るということだ。また、Googleドライブの最近使ったドキュメントのリストにもすばやく戻ることも可能で、Googleのサービスとのクロスプロモーションにもなる。

画像クレジット:Google

ページには、単なるリンクではなく、Googleが「カード」と呼ぶものが表示され、例えば、最近訪れたレシピサイトでアイデアを探していたり、編集を終えなければならないGoogleドキュメントがあったり、ショッピングカートに入れたままになっている小売業者のウェブサイトにアクセスしたりすることができる。後者は、Googleがオンラインショッピングへの投資を拡大していることに関連している。Googleはすでに、商品リストを無料にしたり、Shopifyといったeコマースプラットフォームと提携したりすることで、この分野でのマーケットシェアを拡大しようとしている。

関連記事:Googleがオンラインショッピング拡大でShopifyと提携

Googleは、Amazonの広告ビジネスが急成長していることに懸念を抱いている。同社の「その他」カテゴリーの大部分を占めている広告事業は、第2四半期に前年同期比87%増の79億ドル(約8687億6000万円)を売り上げた。今回の変更は、Chromeの新しいタブを利用して、ショッピングを活性化させ、ユーザーの取引が完了することを期待してのものだ。

もう1つの変更は、ウェブでのリサーチをより簡単にすることを目的としている。Googleによると、ユーザーがプラットフォーム上で何かを検索する際、答えを見つけるために複数のウェブページに移動することがよくあるという。Android版Chromeで、アドレスバーの下に検索結果の残りの部分を表示する行を追加することで「戻る」ボタンをタップすることなく他のウェブページに移動できるようにしている。

画像クレジット:Google

Android版Chromeベータ版にも搭載された「quote cards(引用カード)」のテストも予定されており、ウェブサイトに上のテキストを使って、ソーシャル共有のための定型化された画像を作成することができる。ウェブサイトのテキストをスクリーンショットで残すことは、すでに一般的になっており、特にニュース記事の重要なポイントをTwitterやFacebook、Instagramといったプラットフォームのフォロワーと共有したい人にとって便利な機能だ。この新機能では、テキストを長押ししてハイライトした後「共有」をタップし、メニューから「カードを作成」をタップしてテンプレートを選ぶことができる。

すべての機能は、Chromeベータ版ブラウザの一部だ。実験を有効にするには、ブラウザのアドレスバーに「chrome://flags」と入力するか、実験ビーカーアイコンをクリックし、フラグを有効にする。これらの実験に関連するフラグは、#ntp-modulesフラグ(新しいタブページ)、#continuous-search(検索結果の変更)、#webnotes-stylizeフラグ(引用カード)だ。

これらの実験は、必ずしもChromeの機能として広く展開されるわけではない。その代わりにGoogleは新デザインのアイデアに関する大規模なユーザーフィードバックを集めており、一般公開前に機能を微調整できるようになっている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

世界初、韓国がグーグルとアップルのアプリ内課金手数料を抑制する「反グーグル法」可決

韓国国会は現地時間8月31日、何度も延期されてきた「反グーグル法」を可決した。この法案は、Google(グーグル)とApple(アップル)が、市場を支配する2つのアプリストア向けのアプリを開発する際に、両社のアプリ内決済システムを利用するようデベロッパーに義務付けることを禁じるもので、検索の巨人Googleにちなんだ名称だが、より広範な内容となっている。

この法案は、GoogleとAppleが自社のアプリ内決済システムを開発者に強要することを防ぐために、政府が介入した世界で初めてのケースだ。

GoogleとAppleは、他の市場での両社のシステムの制限的な側面についてますます厳しい目を向けられるようになっており、今回の韓国での動きが転機となって、他の国でも同じような措置が取られるかどうかに注目が集まっている。メディアの報道によると、オーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)も、AppleとGoogle、さらにWeChatのデジタル決済システムに対する規制を検討しているとのこと。

関連記事:グーグルとアップルのアプリ内決済ルール強制を禁じる韓国の法案の最終採決が延期に

韓国の予備委員会は8月25日、GoogleとAppleがアプリ内課金でアプリ開発者に手数料を請求する慣行を制限しようとする電気通信事業法改正案を進めることを承認した。

2020年8月以降、韓国の国会議員たちは、世界的なテック企業がアプリ決済市場で支配力を振るうことを禁止する法案を提出してきた。

Googleは2021年3月、アプリ開発者からの批判を鎮めるために、アプリ内課金の手数料を当初の30%から15%に引き下げた。しかしその4カ月後には、新しいアプリ内課金システムの導入を2022年3月に延期すると発表した。

Appleは8月、米国のソフトウェア開発者らが同社を相手取って起こした訴訟の和解案を提示した。その内容は、アプリ開発者がiOSアプリやApp Store以外での支払い方法をユーザーに指示できるようにするというものだったが、アプリ自体に別の支払い方法を組み込むことまでは認めていない。

Appleは声明の中で「提案されている電気通信事業法は、他のソースからデジタル商品を購入するユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシー保護を弱め、購入の管理を困難にし、(子ども向けの)『承認と購入のリクエスト』やペアレンタルコントロールなどの機能の効果が失われることにつながる」と懸念を示していた。

Googleのコメントは得られていない。

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

ArtMarie via Getty Images

Googleとアップルが共同開発した新型コロナ接触通知APIは世界各国のアプリに採用され、日本ではAndroid版の「COCOA」が数か月にわたって事実上機能していなかった一件もありつつも、英国では6000人もの命を救ったと推計されています。

しかしGoogleとアップルの本国である米国では、このAPIを使ったアプリはほとんど失敗に終わったとの調査結果が発表されています。

米Business Insiderの調べによると、米国の多くの州ではアプリ開発さえ行われず、作られても利用率も低く、わざわざアプリに感染記録を残しているユーザーもほとんどおらず、まるで役に立ってないと判明したとのことです。

この報告では、連邦政府から個人に至るまで様々な失敗例が紹介されています。まず最初の問題は、ホワイトハウス(米行政府)が米国で共通の接触通知アプリを作らず、各州に委ねていたことです。

FTC(米連邦取引委員会)の元チーフテクノロジストは、個々の州にアプリ開発を任せたことが全国的な認知度を高め、ユーザーに検査結果を入力してもらう努力を妨げたのではないかと推測。さらに「もし連邦政府がシステムを支援し、このアプリや同種のアプリを全米に広く展開していたら、この数字(使用率)はおそらく大きく変わっていたでしょう」と述べています。

第2に、米国の約半数の州がそもそもアプリを開発しない道を選んだことです。サービスを利用できた28州および準州の人口は約1億8680万人。つまり、残り1億4150万人(全人口の43.1%)もの米国人が一切カバーされなかったわけです。

第3にアプリを展開した州でも、プロモーションや教育が不十分であったため、利用率が極めて低かったことです。一部の州では住民にサービスを検討してもらうことさえ困難であり、たとえばアリゾナ州では人口の1.3%しかアプリを導入しないまま、2021年7月にはプログラムを終了したとのことです。ほかミシガン州では住民の6.3%、ワイオミング州では0.69%(約4000人)しかアプリを入れなかったという低調ぶりです。

最後に、新型コロナの陽性反応が出た人々のうち、実際にアプリに記録した人はわずか2%でした。接触通知アプリは、陽性診断を受けた本人がアプリを通じて報告し、その人と濃厚接触した可能性のある人々に警告することが目的のため、98%もの陽性ユーザーが記録を付けなければまったく意味を成さないことになります。

これは同じAPIを使っている英国民保険サービス(NHS)のアプリでは、実に感染ユーザーの40%以上が報告していたこととは対照的ではあります。

米9to5Macは、多くの米国人が接触通知アプリを「自分の居場所や会った人を追跡している」と勘違いしていたと指摘。その原因のひとつは偽情報ではあるのですが、もう一つは政治家らが接触通知アプリを使っても安心だと説得するどころか、アプリの使用に積極的に反対していたためだと推測しています。

新型コロナワクチンについてもYouTubeで誤情報を拡散する動画がはびこっているほか、ロシアが自国製ワクチン売込みのために偽情報を広めているとの報道もありました

人類と新型コロナとの戦いは、一方で人流を減らしたりワクチン接種を進めるといった物理的な対策をしつつ、他方では反ワクチン主義者の出会い系アプリなど誤情報を抑止することも必須のため、いっそう困難となっているといえそうです。

(Source:Business Insider。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)