Chromeベータ版はよりパワフルな新しいタブページ、ウェブのハイライト、検索の変更を実験的に実施

Googleは米国時間9月1日、Chromeベータ版ブラウザの新バージョンを発表し、ユーザーインターフェースとデザインにいくつかの重要な変更を行った。新しいタブページでは、従来のお気に入りのウェブサイトへのショートカットだけではなく、過去のウェブ検索履歴を表示するカードが追加される。その他の変更点としては、検索結果のナビゲーションがより簡単になり、ウェブ上の引用文をハイライトして共有することができるようになる。

新しいタブページのアップデートは、Chromeベータ版ユーザーが最初に気づく変更点の1つとなるだろう。

このデザイン変更の背景にあるアイデアは、レシピやショッピングなどで利用していたサイトを思い出すために閲覧履歴を調べる必要なく、過去のウェブでのアクティビティにすばやく戻るということだ。また、Googleドライブの最近使ったドキュメントのリストにもすばやく戻ることも可能で、Googleのサービスとのクロスプロモーションにもなる。

画像クレジット:Google

ページには、単なるリンクではなく、Googleが「カード」と呼ぶものが表示され、例えば、最近訪れたレシピサイトでアイデアを探していたり、編集を終えなければならないGoogleドキュメントがあったり、ショッピングカートに入れたままになっている小売業者のウェブサイトにアクセスしたりすることができる。後者は、Googleがオンラインショッピングへの投資を拡大していることに関連している。Googleはすでに、商品リストを無料にしたり、Shopifyといったeコマースプラットフォームと提携したりすることで、この分野でのマーケットシェアを拡大しようとしている。

関連記事:Googleがオンラインショッピング拡大でShopifyと提携

Googleは、Amazonの広告ビジネスが急成長していることに懸念を抱いている。同社の「その他」カテゴリーの大部分を占めている広告事業は、第2四半期に前年同期比87%増の79億ドル(約8687億6000万円)を売り上げた。今回の変更は、Chromeの新しいタブを利用して、ショッピングを活性化させ、ユーザーの取引が完了することを期待してのものだ。

もう1つの変更は、ウェブでのリサーチをより簡単にすることを目的としている。Googleによると、ユーザーがプラットフォーム上で何かを検索する際、答えを見つけるために複数のウェブページに移動することがよくあるという。Android版Chromeで、アドレスバーの下に検索結果の残りの部分を表示する行を追加することで「戻る」ボタンをタップすることなく他のウェブページに移動できるようにしている。

画像クレジット:Google

Android版Chromeベータ版にも搭載された「quote cards(引用カード)」のテストも予定されており、ウェブサイトに上のテキストを使って、ソーシャル共有のための定型化された画像を作成することができる。ウェブサイトのテキストをスクリーンショットで残すことは、すでに一般的になっており、特にニュース記事の重要なポイントをTwitterやFacebook、Instagramといったプラットフォームのフォロワーと共有したい人にとって便利な機能だ。この新機能では、テキストを長押ししてハイライトした後「共有」をタップし、メニューから「カードを作成」をタップしてテンプレートを選ぶことができる。

すべての機能は、Chromeベータ版ブラウザの一部だ。実験を有効にするには、ブラウザのアドレスバーに「chrome://flags」と入力するか、実験ビーカーアイコンをクリックし、フラグを有効にする。これらの実験に関連するフラグは、#ntp-modulesフラグ(新しいタブページ)、#continuous-search(検索結果の変更)、#webnotes-stylizeフラグ(引用カード)だ。

これらの実験は、必ずしもChromeの機能として広く展開されるわけではない。その代わりにGoogleは新デザインのアイデアに関する大規模なユーザーフィードバックを集めており、一般公開前に機能を微調整できるようになっている。

関連記事
グーグルがRSSを復活させる
Chromeに漏洩パスワードを自動的に修正する新機能、グーグルのAIテクノロジー「Duplex」を利用
GoogleがCookieに代わる広告ターゲティング手段FLoCをChromeでテスト開始

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。