ByteDance傘下のVRスタートアップ「Pico」がQualcommとの関係を強化

中国のVRスタートアップで2021年8月にTikTokの親会社であるByteDanceに買収されたPicoが、エクステンデッド・リアリティ(XR)分野への取り組みをさらに推進するためにQualcomm(クアルコム)と大型提携を結んだ。

PicoのXRプロダクトには今後QualcommのSnapdragon Spacesが活用される。Snapdragon SpacesはXR対応アプリを作る開発者向けにQualcommが提供しているプラットフォームだ。Snapdragon Spacesプラットフォームは、利用者をVRヘッドセットの中でデジタルの世界に没入させるのではなく、開発者がARグラスのエクスペリエンスを構築して既存のスマートフォンで利用できるようにし、ARをユーザーにとっての「2つめの画面」にすることを狙っている。

PicoとQualcommがこれまで近い関係であったことを考えれば、この提携はうなずける。すでにPicoの最新VRヘッドセットであるNeo 3はSnapdragon XR2チップセットを採用している。

QualcommのCEOであるCristiano Amon(クリスティアーノ・アモン)氏はバルセロナで開催されている毎年恒例の大規模モバイル関連展示会のMWCで「これはすばらしいチャンスです。おそらく今後10年間で(XRは)スマートフォンと同等の規模にまで成長し、特にARグラスはすべてのスマートフォンを拡張するものとなるでしょう」と述べた

ByteDanceのCEOであるRubo Liang(梁汝波)氏はリモートのビデオで「人々のエコシステムを作るハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーのロードマップに関して協業できることをたいへん喜んでいます」と述べた

Picoは中国ではVRブランドをリードしているが、Oculusのユーザーへのリーチやクリエイターエコシステムの規模には遠く及ばない。Steamの調査によると、2022年1月にグローバルで使われているVRヘッドセットのシェアはPicoの主要2製品を合わせてもわずか0.3%だ。この市場ではOculus Quest 2とRift Sの2つで60%を占めている。

業界関係者は、資金力のあるByteDanceが親会社であることがPicoのシェア獲得に役立つかどうかに注目している。さしあたり中国では、Picoは中国版TikTokと呼ばれるDouyinに大量の広告を出している。

Qualcommとの提携によってPicoのコンテンツのエコシステムが成長し、開発者の目が中国のXR市場に向くかもしれない。中国では急速に5Gが展開されていることから、XR市場が大きく成長すると予測されている。Qualcommによれば、Snapdragon Spacesは「OpenXRランタイム対応スマートフォンに接続するARグラスに最適化された、顔に装着する初のARプラットフォーム」であるという。Snapdragon SpacesにはUnityやEpic GamesのUnrealなど主力3Dエンジンをサポートする使いやすい開発者向けキットも用意されている。

画像クレジット:Pico

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォームTrippが世界最大のVR瞑想コミュニティEvolVRを買収

カリフォルニアに拠点を置く「ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォーム」、Tripp(トリップ)は買収による成長路線を継続し、世界最大のVR瞑想コミュニティであるEvolVR(エボルVR)を買収した。これは2021年のPsyAssist(サイアシスト)の獲得に続くものだ。PsyAssistは、サイケデリック体験を続けるために使うモバイルアプリである。今回の買収によって同社は、ポケモンGOメーカー、Niantic(ナイアンティック)の新しいツールキットであるNiantic Lightship(ナイアンティックライトシップ)の立ち上げパートナーの一員として、拡張現実(AR)体験に取り組んでいることが明らかになった。

EvolVR(創設者はユニテリアンユニバーサリストの牧師および瞑想インストラクター)は、VRで活動する世界初・世界最大の瞑想コミュニティであると主張しており、4万人を超える人がVRマスクを着けて瞑想に入っているとのことだ。Trippも負けてはいない。同社は、350万を超えるウェルネスセッションを行ってきたと主張している。「瞑想術、フロー誘発ゲーム、バイノーラル音声と呼吸のエクササイズ」を組み合わせて、不可思議な感覚を吹き込み、ユーザーの感じ方を変えるのだ。こうしたセッションは、リラックスと調和に役立つように考案されているが、サイケデリック体験の促進に使用することもできる。

コミュニティを重視する組織を買収して支持者の規模を拡大すれば成長を大きく促進できるが、当然ながら、すべてのコミュニティが「買われる」ことに賛成であるとは限らない。特に、買い手が移行期間に荒っぽいことをすればそうである。TrippのCEO兼創業者であるNanea Reeves(ナネア・リーブス)氏と話して、買収の背景が少しわかった。また、高揚感を得られるVR・瞑想・スピリチュアリティ・サイケデリックのマッシュアップとして次に来るものを知ることもできた。

Trippという名前について尋ねないわけには行かなかった。名前の由来は?サイケデリックとの関係は?

「体験としては、サイケデリックというよりVRです。Oculusの開発キットが初期段階の頃、誰もが四六時中VR体験をしていました。ヘッドセットを外して、『すごい、まさにTrippだ!』と言ってました。ある現実があってそれに気づくという体験をして、それから別の現実も体験することには、何かがあります。もちろん、薬物を使ってもそういう体験はできますが、VRにはそれ自体にそういうメカニズムがあります。そこから名前がひらめきました」とリーブス氏は説明している。

TrippのCEO兼創業者ナネア・リーブス氏(画像クレジット:Tripp)

「先方が当社のサイケデリックな面について知ったのは、当社が消費者向け製品を発売した後でした。私たちがしていることにサイケデリックコミュニティから大きな関心が寄せられ、ケタミンを使うクリニックなどでは当社の消費者向け製品がオーガニックな方法で採用されていることがわかりました。私たちは、それを臨床分野への進出の機会と見ることにしました。(苦痛緩和ケアやサイケデリック療法において)臨床展開に取り組む方法はいくつかあると思います。不安を和らげる治療に備える方法や治療後のサポート方法に大いに力を入れていきたいと思います」。

「当社には、別の取り組みと、サイケデリックなメンタルヘルスの手順を対象としたPsyAssistというアプリケーションバンドルがあります。当社はこれらの分野で支援を行うことができます。2022年の前半に、現時点ではケタミン限定のパイロット試験をいくつか行う予定です」。

「私たちと消費者の最も意味深い関わり合いのいくつかは、人生の終わりに臨んで当社の製品を使用する人との関わり合いであることがわかりました。そうした人にメリットがあった、つまり自分が身体的に経験していることから気持ちを紛らすことができたというだけではありません。家族や世話をする人も、Trippの体験を通してストレスを解消できました。当社のツールキットやアプリがさまざまな点でどのように役立ったか報告してくれるユーザーのフィードバックを見ると、起業家としてそれ以上求めるものはありません。努力によって実際に人々の状況が良くなっていることがわかるからです」。

EvolVRの買収

同社はMayfield(メイフィールド)が取りまとめたラウンドで400万ドル(約4億6200万円)を調達し、その後2021年6月にサイケデリックライフサイエンスを重視する投資会社Vine Ventures(バインベンチャーズ)とMayfieldが取りまとめたラウンドで1100万ドル(約12億7000万円)を調達した。同社は、変革的な体験を実現するために臨床分野とコミュニティ構築を並行して追求することを計画している。EvolVRの買収は明らかに、その課題の中のコミュニティ分野である。

Trippは、2022年の終わり頃にAR製品を発売するために、ナイアンティックライトシップのプラットフォームに取り組んでいる(画像クレジット:Tripp)

「私は、EvolVRのコミュニティについていくつか気づいたことがあります。私はよくVRで人に会っていましたが、彼らはJeremy(ジェレミー)[Nickel(ニッケル)氏、EvolVRの創設者]の話をずっとしていることがよくありました。それがアバターのグループでの瞑想を強制することになるとは思いませんでしたが、私は続けて、特にパンデミックの時期に彼らの瞑想をいくつか試してみました。彼らが案内付きの瞑想体験をしているのが気に入りました。私と一緒に瞑想体験をしている別の人がいるのを感じました」とリーブス氏は説明している。「Electronic Arts(エレクトロニックアーツ)にいたとき、私はゲーム中毒のコミュニティの状況や、彼らが女性に優しくないことがわかりました。EvolVRでは、瞑想グループのリーダーが安心できる場を作っているのがわかりました。彼らは、私が良い印象を受けるようにグループをリードする方法を心得ていました。誰かが煽っても、効果はありませんでした。メタバースが拡大するときも、嫌がらせを無視できる場があることは大切です。私たちは、そうした配慮の行き届いた落ち着ける場を作って、自分自身と他の人とのつながりを深めるお手伝いができます」。

「ジェレミーと私は(買収を)内密にしてきました。彼は、コミュニティの人たちは買収を喜ぶだろうと思っています。私たちは、ジェレミーの14人の瞑想リーダーと意思の疎通を図る必要があります。彼らも私たちの傘下に入るからです。私たちは、配慮の行き届いたメタバースとはどのようなものか、考える努力をしています」。

買収の結果、EvolVRはどう変わるか?

「私はこの買収を記念したいと思っています。2つのコミュニティが一緒になって、アンビエント音楽のDJイベントとローンチパーティーを開くことを考えていました。私たちは、本当にクールなことをしようと思ってわくわくしています」とリーブス氏は語る。「プログラミングの観点からは、単なるグループ瞑想の枠を超えたいと思っています。サウンド入浴を手がけたいと考えています。呼吸法も手がける予定です。アンビエント音楽の『エクスタティックダンス』で体を動かすイベントを行う方法についてアイデアがいくつかあります。VRの抽象的な概念を使ってコミュニティとの調和をサポートするすばらしい機会があります。VRの申し分のない使用事例です。不名誉なことは避けて、自分の家でこっそりできます。きまりの悪い思いをすることはあまりなく、それでいてメリットがあります」。

Trippのプラットフォームを試してみた。慣れるのに少しかかりますが、とてもリラックスできる。写真は私ではない(画像クレジット:Tripp)

「(Trippの)支持者の幅広さにとても満足しています。私たちの支持者の大多数はミレニアル世代で、X世代がとても大きな2番目の世代です。支持者の約8パーセントは65歳以上です。VRはまだ共有のデバイスで、家族全体で使われています。例えば宿題をする前に集中力を高めるのに役立つよう子どもにTrippを使わせているという声もあります。ゆくゆくは、ほとんどの人がデータに対応したヘッドマウントディスプレイを使うようになることを期待しています。理想では、感情的な健全性を管理するお手伝いをしたいと思っています。そこから、依存症ケアや苦痛緩和ケアのような使用事例を対象にすることができます。実際のところ、主なメリットは、その時その時の感じ方に力を作用させるのに役立つということです」。

「音声だけの現行世代の瞑想アプリで、人々はますます快適に解決策を探していると思います。それを次のレベルに持っていくお手伝いができると思います。そうすれば、そのレベルのあり方を体験できます。私の目標を挙げるとすれば、必要な時に利用できるセルフケアの決まったツールキットを継続的に提供することです」。

今回の買収は現金と株式の組み合わせだったが、Trippは取引の詳細を開示していない。

画像クレジット:Tripp

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

シンガポールのXR企業Refractが約6.8億円調達、ゲーム指向の全身モーションキャプチャソリューション「AXIS」開発を強化

シンガポールを拠点とするXR(エクステンデッドリアリティ / クロスリアリティ)スタートアップのRefract(リフラクト)は米国時間1月25日、Sea Limited(シー・リミテッド)がリードするシリーズAラウンドで約850万シンガポールドル(約6億8300万円)の資金を調達したことを発表した。他にも海外のファミリーオフィスや個人投資家が参加している。

今回の資金は、ウェアラブルで、ゲーム指向の全身モーションキャプチャソリューションである「AXIS(アクシス)」の研究開発の強化に充てられる。同社はまた、2022年後半のAXISの商用化に向けてチームを拡大し、急速に成長するゲーマー、テクノロジーアダプター、コンテンツクリエイター、フィットネス愛好家の市場の要求に対応していく計画である。このシリーズAラウンドで、Refractの調達総額は900万ドル(約10億2500万円)となった。

2018年、Refractの共同創業者であるChong Geng Ng(チョン・ゲング・ウン)氏、Michael Chng(マイケル・チャン)氏、Eugene Koh(ユージーン・コー)氏の3氏は、ゲーミング関連のプロジェクトに取り組む中で、次の課題に直面した。ゲーミングと身体活動のギャップをいかに埋めるか?RefractのCEOであるチャン氏がTechCrunchに語ったところによると、同氏らはそのソリューションを、プレイヤーが自分の体をゲームのコントローラーとして使うということに見出した。3人の共同創業者は、ゲーミングや他の業界のアプリケーションにおける最先端の技術イノベーションについて関連する文書や記事を精査した後、その市場にギャップがあることを認識し、Refractを設立した。

「Refractの目標は、ARおよびXRゲームのキープレイヤーになることです。今回の資金調達により、このプロセスを加速することができます」とチャン氏は語っている。

画像クレジット:AXIS

この資金調達は、Kickstarter(キックスターター)でAXISのクラウドファンディングキャンペーンを成功させ、Deep Dive Studios(ディープ・ダイブ・スタジオ)の買収によってXRゲームパブリッシング部門を立ち上げた直後に発表された。

AXISは、Perception Neuron(パーセプション・ニューロン)やRokoko(ロココ)、Xsens(エックスセンス)のような全身モーショントラッキングシステムとは異なり、リアルタイムのゲーミングやエンターテインメント用途に適している。またAXISでは、ユーザーはゲーミング用に7から10ノードまで、またはより高精度なモーショントラッキング用に業界標準の17ノードまでを柔軟に使用できる。AXISにはベースステーションは必要ないが、ユーザーのコンピューター接続にWi-Fiが必要となる。

「AXISは完全に無接続かつワイヤレスで、外部のベースステーションやセットアップを必要としません。すべてがボディ上にあり、独自のインサイドアウトトラッキング機能を備えています。これはHTC Vive(エイチティーシー・バイブ)の類に見られる、システムのオクルージョンやスペース要件といった一般的な問題に対処するものです」とチャン氏はTechCrunchに語った。

Refractは、ウェアラブルのAXISに代表される同社のテクノロジーとゲームを通じて、没入型でエンゲージメントの高いXRやVRの体験を、成長を続ける29億人のゲーマーに継続的に提供していくことを見据えている。

Deep Dive Studiosによって、Refractはさらに没入的なタイトルを制作できるようになる。現在開発中の格闘ゲーム「FreeStriker(フリーストライカー)」のような、AXISのすべての顧客に無料で提供されるオファリングのリストを補完していく。

Refractのソフトウェアスイートは、OpenVR(オープンブイアール)、OpenXR(オープンエックスアール)、Unity(ユニティ)、Unreal Engine(アンリアル・エンジン)などのプラットフォーム、既存のVRシステムやアプリケーションと互換性があり、ゲーム開発者やコンテンツクリエイターのアクセシビリティを高めている。チャン氏によると、AXISはOculus Quest 2(オキュラスクエスト2)などの人気VRヘッドセットとも連携できるという。

Refractは、このセクターにおけるさらなる垂直統合と水平統合を進めている。

Refractはすでに、バーチャルスポーツプログラムの一環として、World Tekwondo(ワールドテコンドー)のような組織との戦略的関係を確保している。同連盟と協働し、近い将来、バーチャルテコンドーをメダル競技にすることを目指していく。World Tekwondoは、このスポーツをゲーム化し、新しい領域を創出することで、より幅広い、技術に精通したオーディエンスにリーチするというオポチュニティを見出した。そしてこのパートナーシップが生まれた、とチャン氏はTechCrunchに語っている。またRefractは、トルコのイスタンブールで開催予定の2022年Global Esports Games(グローバル・eスポーツ・ゲームズ)でAXISをフィーチャーすることも計画している。

画像クレジット:Refract

「AXISは、高忠実度モーショントラッキングテクノロジーとキャプチャテクノロジーをより幅広いオーディエンスに提供する上で、大きな前進を果たします。この分野でイノベーションを起こし、より没入感のあるゲーミング体験を提供します」とRefractのエグゼクティブディレクターであるチョン・ゲング・ウン氏は語っている。「私たちの投資は、Seaや他の投資家たちが私たちのビジョンと創造性を強く信じていること、そしてXRゲーミング市場の未開拓である大きなポテンシャルを反映するものです」。

「Refractのようなシンガポールの会社が、XRやVRの革新的なテクノロジーの開発を推進しているのを見るのは、とてもエキサイティングなことです」と、Seaのデジタルエンターテインメント部門であるGarena(ガレナ)で戦略的パートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるJason Ng(ジェイソン・ウン)氏は述べている。「彼らの成長とシンガポールにおけるイノベーションエコシステム全体の発展をサポートできることを、私たちは大変うれしく思っています」。

「Seaや他の投資家たちは、Refractの才能と、AXISの持つ巨大なポテンシャルを認識してくれました。AXISのKickstarterキャンペーンにおける成功は、このビジョンを共有するゲーマーたちの献身的なコミュニティの存在を証明しています。2022年にAXISとFreeStrikerを彼らに提供できることを心待ちにしています」とチャン氏は語った。

画像クレジット:Refract

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(文:Kate Park、翻訳:Dragonfly)

MozillaがVRウェブブラウザ「Firefox Reality」の公開終了を発表

人気のVRウェブブラウザが終了する。米国時間2月3日、MozillaはVR環境で使用するために開発し、4年にわたって公開していたFirefox Realityブラウザを終了すると発表した。このブラウザを利用するとVRヘッドセットでウェブにアクセスし、マウスではなくVR用ハンドコントローラを操作して、URLへのジャンプ、検索、2Dと3Dのインターネットのブラウズなどができる。

関連記事:MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Firefox Realityは2018年秋に初めて公開され、Viveport、Oculus、Pico、Hololensのプラットフォームでアプリストアから入手することができた。2Dのウェブを閲覧できる一方、この新しいテクノロジーを使ってウェブの3Dコンテンツ、例えば360度パノラマ画像やビデオ、3Dモデル、WebVRゲームなどのブラウズや操作ができると期待された。しかし米国時間2月3日の発表で、Mozillaはこれまでダウンロード可能だったアプリストアから「数週間」以内にブラウザが削除されると述べた。

Mozillaはその代わりとして、今後もVRでウェブブラウザを利用したいユーザーは、Firefox Realityのソースコードに基づいてIgaliaが公開するオープンソースのブラウザ「Wolvic」を使うように案内している。Wolvicは2月7日の週にダウンロードできるようになるので、ユーザーにとってはブラウザがなくなってしまうわけではないが、乗り換えが必要となる。

IgaliaはXR分野への取り組みを全面に押し出している。XRとは、VRやAR、そしてこれに類するテクノロジーの総称として使われる言葉だ。Igaliaは同社の発表の中で、この分野に対するMozillaの取り組みが行き詰まっていると感じていたことを示唆し、実験を引き継いで「この取り組みを継続してプロジェクトを完成させる」ことに意欲を示している。

Igaliaのウェブサイトに掲載された発表には、以下のように書かれている。「Igaliaは、XR分野にとってウェブは多くの点で重要であると確信しています。没入型OSを提供するXRシステムには、その一部としてウェブブラウザが必要です。ウェブ上にすでに存在するものに一切アクセスせずに『リアリティ』に入っていくことは、かなり難しいでしょう。そしてWebXRはブラウザ自体から得られる情報をたどり、共有し、体験するための新しい手段となります。没入型OS向けブラウザの再考は新しい領域であり、なぜ新しいかといえばブラウザの選択が現在は限られているからです」。

公開時点では、WolvicブラウザはOculus、HTC Vive Focus、Pico Interactive、Daydream、HuaweiのARメガネ、オープンソースのLynxデバイスで動作する。ただし2月7日の週に公開されるブラウザはMozillaがこれまでのブラウザで提供していた機能の一部を移行中であるため、まだベータ版だ。

Igaliaは今後2年間ブラウザのプロジェクトに取り組む資金の一部を確保したが、健全なエコシステムを構築するにはさらにパートナーを見つける必要があると述べ、関心のある人はメールで連絡して欲しいと呼びかけている。

Firefox Realityの終了を決めた理由について、MozillaはWebVRやWebARといった新しいテクノロジーの開発は支援するが、そうしたテクノロジーのホストやインキュベートを長期にわたって継続するとは限らないと説明している。WebAssembly、Rust、Servoのように、プロジェクトを継続できる他の組織を見つける場合もある。もちろん、かつてたいへんな人気を誇ったウェブブラウザのFirefoxで一般ユーザーに今でもよく知られている組織として、最新のブラウザ技術の将来は別の組織に引き継いでいる。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開するGaudiy(ガウディ)は1月18日、アニメ、マンガ、ゲームなどの新しい知的財産を活かしたビジネス創出を目指して、大日本印刷(DNP)と業務提携することを発表した。ファンエコノミーの構築を進めるGaudiyと、リアルとバーチャルの「ハイブリッドな強み」を持つDNPの提携で、新しいコンテンツサービス創出のための共同研究を推進するとのことだ。

Gaudiyは、インターネットやメタバースなどの仮想空間にファンエコノミー(ファンによる応援や創作で生まれる価値を適正に評価し還元する経済圏)の構築を推進するスタートアップ。非代替性トークン(NFT)はじめブロックチェーン関連技術を活用したデジタルコンテンツの適正な取り引き環境を整備し、日本製コンテンツによる世界規模のビジネスを展開することを目指している。

エンターテイメント産業の課題解決に向けて、大手コンテンツホルダーとも協業し、漫画・アニメ・ゲーム・スポーツ・音楽などの領域で、コンテンツとファンを直接つなぐコミュニティサービスを展開している。

一方DNPは、「多彩な表現技術や、高度なセキュリティー環境」で膨大な情報を安全に処理するノウハウを持ち、多様なパートナーとの連携による「リアルとバーチャルの融合」の一環として、新しい体験価値を創出するXR(Extended Reality)コミュニケーション事業を展開。アニメ、マンガ、ゲームなどのコンテンツと、ファンや企業とをつなぐ新しいコミュニケーションモデルの創出に取り組んでいる。

両社は、今回の業務提携を通じてそれぞれの技術やノウハウを掛け合わせ、メタバースをはじめとする新たな領域での価値創出および「未来のファンサービス」を創出するという。

この業務提携による取り組みの第1段として両社は、2022年1月21日から「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で開催される「約束のネバーランド POP UP SHOP in 東京アニメセンター」と連動し、ファンコミュニティー向けデジタルコンテンツを提供する実証実験を行う。

HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

Holoeyes、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験を実施

医療用画像処理ソフトウェアなどを提供するHoloeyes(ホロアイズ)と歯科医療スタートアップDental Prediction(デンタル・プレディクション)は1月17日、Holoeyesが提供する医療用画像表示サービス(非医療機器)「Holoeyes XR」とオンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、日本とシンガポールの医師が参加する国際間遠隔カンファレンスの実証実験を実施した。5Gネットワークを活用したVR空間での国際間遠隔医療カンファレンスは、世界初の試みとなる。

この実証実験では、シンガポールの大手通信会社Singtel(シングテル)の実験施設「5G Garage」とNTTドコモの「ドコモ5GオープンラボYotsuya」を利用し、NTT DOCOMO ASIAの現地サポートを受けて、日本とシンガポールを5Gでつなぎ、遠隔カンファレンスを2回行った。

1回目は、HoloeyesのCOO兼CMOである帝京大学冲永総合研究所教授の杉本真樹氏による、シンガポールの消化器外科医2名に対する肝臓の腫瘍切除の模擬カンファレンス。もう1回は、Dental Predictionの歯科医、宇野澤元春氏とニューヨーク大学歯学部准教授の岡崎勝至氏が、シンガポールの日本人歯科医師に対するインプラント治療や歯内療法、歯科器具に関する説明を、歯列の3DモデルをVR空間で操作しながら行うというものだった。HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

この実験について、シンガポールの消化器外科医の1人によると、ストレスなくカンファレンスの体験ができたという。「患者への説明、若い外科医の教育、手術計画など意志決定のためのツールとして使用できる」と話している。

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

関連記事:2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

関連記事:車内VRエンタメのHolorideが市場投入に向けブロックチェーンとNFTを導入

「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

企業のXRデバイス管理を支援するプラットフォーム「ManageXR」

ManageXR(マネージXR)は米国時間12月16日、Rally Ventures(ラリー・ベンチャーズ)が主導するシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達し、ベンチャーパートナーで前回のリードエンジェル投資家であるJay Borenstein(ジェイ・ボーレンスタイン)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。

この資金を使って、ManageXRはチームの拡大とGo-To-Market戦略を推進する予定だ。同社は2019年11月にベータユーザーに提供を開始し、2021年4月に正式にローンチして以来、急速に成長を遂げている。このスタートアップ企業は、世界中でハードウェアおよびソフトウェア企業のパートナーネットワークを拡大する方法を引き続き模索していくと、創業者兼CEOであるLuke Wilson(ルーク・ウィルソン)氏はTechCrunchに語り、2022年は大企業により注力するつもりだと付け加えた。

ManageXRは、組織の中核インフラとして機能するVRおよびARデバイス用に設計された企業向けデバイス管理プラットフォームを構築した。このプラットフォームは、企業のXR展開を拡張し、アプリやファイルの配布、ホーム画面のユーザーエクスペリエンスのカスタマイズ、デバイスの状態や使用状況の追跡など、XRデバイス群のあらゆる側面をリモートで制御できるようにする。

「デバイス管理ソリューションは何年も前から存在していましたが、最近までVRやARデバイスのための有効な選択肢はありませんでした。私たちは、産業の変曲点にいる企業のために、その問題を解決します」とウィルソン氏は述べている。

ManageXRは、XRHealth(XRヘルス)やBrink’s(ブリンクス)など、中小企業や中堅企業が使用する数千台のVR・ARデバイスで、これまでに20万以上のセッションを促進してきた。また、最近では、VR・ARハードウェアメーカーのPico Interactive(ピコ・インタラクティブ)と提携し、米国で販売されるすべてのPico製デバイスにManageXRをプリロードしている。

Accenture(アクセンチュア)が6万台のヘッドセットを導入したことからもわかるように、企業がXRを非常に大規模に、従業員へ提供する傾向が増大しています。これらの企業は、XRを利用して従業員のオンボーディング、トレーニング、スキルアップを図るとともに、メタバースをコミュニケーションやコラボレーション、業務遂行の新しい場として活用する新しいワークフローを導入しています」と、ウィルソン氏は述べている。「これらの企業にとって、デバイス管理は新しい概念ではありません。テクノロジーを拡張性のある安全な方法で使用するために、この種のインフラがいかに重要であるかを理解しているのです」。

ウィルソン氏は2018年、病院内の小児患者向けにVR体験を構築する目的でManageXRを設立した。当時、同社は医療環境でコンテンツを配信するために、基本的なデバイス管理プラットフォームを独自に開発しなければならなかったと、ウィルソン氏は語った。2019年後半、同社は他のあらゆる企業が、ManageXRのように、同じ問題を自力で解決しなければならないことに気づき、2020年初頭にManageXRのみに注力するように社の方向を転換した。同社のチームは、XRを大規模に使用する際の課題を、深く個人的なレベルで理解しており、それが会社の運営方法に大きな違いをもたらしているとウィルソン氏は言う。

画像クレジット:ManageXR dashboard / ManageXR

その競合他社には、携帯電話やノートPC向けに同様のツールを構築している既存のモバイルデバイス管理会社や、一部のデバイスメーカーがある。しかし、XRは発展途上で動きの速い市場であり、これらの企業には対応できない様々な要件があると、ウィルソン氏は続けた。

「これらのハードウェアメーカーは、独自に基本的なデバイス管理システムを作成していますが、機能性や使いやすさの点ではことごとく的を外しています。このようなメーカー純正の管理システムは、ユーザーに1つのメーカーのハードウェアのみを使用することを強要し、市場にある多種多様なハードウェアを顧客が使用することを妨げます」と、ウィルソン氏は述べている。

ウィルソン氏によれば、同社の顧客はデバイスごとに、月額または年額の料金を支払っているという。製品層によって異なるが、ライセンス費用は1デバイスあたり月額7〜10ドル(約795〜1135円)。その中でも、1台あたり月額10ドルのプレミアム製品層が、群を抜いて最も人気が高い。

「最近ではいくつもの大手ハイテク企業がこの分野に投資を行っており、企業はVRやARを従業員のトレーニングから患者の治療、販売促進まであらゆる用途に使用しています。企業における拡張現実は、大規模導入の入り口にあるところです。私たちは、Rally Venturesが仲間に加わってくれることに心を躍らせています」と、ウィルソン氏は述べている。

「XRは、事業の運営や協業のやり方、そして仕事や私生活における世界の体験を根本的に変えるものですが、導入が進むにつれ、企業がプログラムを首尾よく実行するために直面する課題も増えています」と、Rally Venturesのベンチャーパートナーであるジェイ・ボレンスタイン氏は語る。「企業がXRデバイスを大規模に管理することで恩恵を受ける方法を加速させ、最終的に企業規模のXRを普及させるために、ルークと彼の成長を続けるチームを支援できることを非常に嬉しく思います」と、ボレンスタイン氏は締め括った。

画像クレジット:ManageXR

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Synamonが「エンタープライズ向けメタバース構築支援サービス」提供開始、プロモーション・ブランディング活用支援

VR/AR/MR企画・開発のSynamonが2.5億円を調達、人材採用・先端技術活用の価値創出を推進

VR・ARを含むXRやメタバース市場の創造に取り組むSynamon(シナモン)は11月15日、「エンタープライズ向けメタバース構築支援サービス」の提供開始を発表した。

Synamonによると、昨今メタバースに対する注目からその活用例が増えてきたものの、「空間構築やユーザー体験設計などをどのように行えばいいかわからない」「プロジェクト全体をどのように企画し、制作をディレクションするべきか不安」といった声があるという。同社は、そうした企業に応えるため、エンタープライズ向けにXR技術を活用したバーチャル空間構築、またそれら空間内での体験設定を行なってきた技術力を活かし、プロモーションやブランディングへの活用を中心に、高品質なメタバース体験の構築を支援するサービスの提供を行うとした。

提供サービス概要

  • メタバース空間構築によるブランディング支援:実在するショールームの再現から架空のコンセプト空間の創出など、バーチャル上に3D CGを活用した自由なメタバース空間を構築し、企業・サービスのブランド価値向上に貢献
  • コンテンツ制作によるイベントプロモーション支援:展示会や自社イベントなど、来場者に向けた記憶に残るコンテンツを制作することで、体験者に驚きや感動を与えるイベントプロモーションを実現
  • XR技術を活用したリアル×メタバースのユーザー体験の創出:VR単体だけでなくAR・MRといったXR技術をかけ合わせ、リアル空間とバーチャルコンテンツを融合した新しいユーザー体験を創出
  • 先進技術の活用や新規事業への立ち上げ支援:AIやNFTなど先進技術との組み合わせや自社アセットを活用した新規事業の検討など、技術調査やビジネス企画の段階からの支援

また、著名IPに関わった経験を有するクリエイターによる監修、外部プラットフォームに依存しないSynamon独自開発アプリ活用などにより企業ブランドの世界観を最大限反映した体験を創出できるという。Oculus Quest2などのXRデバイスのほか、PCやスマートフォンまで含むマルチデバイスに対応可能。同社が強みとするマルチプレイ技術により、複数人が同時共有するメタバース空間において優れたユーザー体験を設計できるとしている。

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

集英社は11月9日、XR事業開発課を新設し、XR事業「集英社 XR」をスタートしたことを発表した。XRとは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などを含む超越現実(クロスリアリティー)とよばれる技術の総称。「従来の出版事業を力強く下支えしつつ、立体的で躍動感のある新たなメディア展開」を行うとのこと。

集英社では、XRテクノロジーは、これまで作品や雑誌などで提供してきたコンテンツを、より豊かに届けることを可能にすると話している。このXR事業が目指すのは、総合出版社として社内のメディア全般のXR化、XRを軸に新たなパートナーシップをもとにしたビジネスモデルの変革、自社による投資としてのXRシステムの構築運用としている。

XR事業創設にともない、集英社は、事業企画、ネットワークシステム、CM制作、IoTなどを手がけるティーアンドエスと業務提携し、事業企画、クリエイティブ制作、サービス企画、システム開発、プロモーション、先端技術における研究開発などをともに行うとしている。

さらに、アメリカのARソフトウェア開発企業Niantic(ナイアンティック)と、「Pokémon GO」の技術的基盤ともなっている同社のツールセット「Niantic Lightship ARDK」に関するパートナーシップ契約も結んだ。

これらの先進的なAR技術、地球規模でのインフラを活用することで、集英社 XRは、日本をはじめグローバル規模での展開も視野に入れているという。同プロジェクトにおいて「さまざまな企業様とも新しい体験やサービスを創造していきたい」と集英社は話している。

デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版

  1. デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版公開

デジタルツインプラットフォームの開発・提供を行うSymmetry Dimensions(シンメトリー・ディメンションズ)は8月19日、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」を発表した。

2014年10月設立のSymmetry Dimensionsは、空間・都市向けデジタルツイン構築およびプラットフォーム開発を行う企業。空間や都市における人流・交通・IoT・BIM/CIMなど様々な種類のデータをプラットフォーム上で統合・解析することで、誰もが簡単にデジタルツイン上での仮説・検証・計画を行うことを可能にするとしている。

デジタルツインとは、物理空間に存在する場所や事象について、IoTデバイスなどを用いてデータ化しデジタル空間上に再現することで、分析・予測などを可能にする技術。データを活用した業務の最適化を行う方法として、製造業や建設業、スマートシティなど様々な分野での活用に注目が集まっているという。

同社は、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」とともに、デジタルツインの市場動向およびテクノロジーのうち、特にトレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを解説している。

「オープンデータ」の加速

デジタルツインやスマートシティを構築する基盤として、世界中の国や自治体でオープンデータ化の取り組みが加速している。米国政府機関や州・都市などが保有する公共データを一元的に管理提供する「Data.gov」では、2009年の発足当初47件だったデータが、現在では6570倍の約31万件に増大。日本国内では2021年3月に公開された国土交通省の3D都市モデル「Project PLATEAU」(プロジェクト・プラトー)、静岡県の3D点群(Pointcloud)データベース「Virtual Shizuoka」など、3Dデータを中心としてオープンデータ化が進んでいる。

「製造」「建設」業界が先行するデジタルツイン

従来から3Dデータを利用していた製造・建設業界は、デジタルツイン化への対応も早く、これらのニーズに応じたデジタルツイン構築やサービス提供を行う企業が増加している。また、製造業界では自社開発でシステム化を進める企業が多く見られる一方、建設業界では外部テクノロジー企業との協業によるシステム化を進める傾向にある。建設業界においては、今後もスタートアップをはじめとした様々な企業からデジタルツイン開発への参入が活発になるとしている。

業界を横断した「汎用型」プラットフォーム(Cross-Industry)

スマートシティに代表される都市型デジタルツイン領域では、業界を横断した汎用型のデジタルツインプラットフォームが登場。これは、IoTセンサーの普及による現実空間のデータ収集が増大したこと、iPhoneをはじめ身近な製品がLiDARセンサーを採用するなど現実世界をデータ化する流れが加速していることで、従来は3Dデータを使用していなかった企業においてもデジタルツインの構築・利用が可能になってきたためという。

「マルチエクスペリエンス」

デジタルツインの活用では、企業や組織のあらゆる関係者が、場所を問わず、より迅速に現在の状況を把握・共有し、次の行動につながる意思決定を行う必要があるという。Symmetry Dimensionsは、そのためウェブブラウザー・スマートフォン・xR(拡張現実、複合現実)を組み合わせたマルチエクスぺリンス化が加速するとしている。ウェブブラウザーを基点としたクラウドベースのデジタルツインプロダクトは今後さらに増大するという。

デジタルとフィジカルの双方向での共有・連携

現実空間の位置情報に基づき、永続的に情報を保存し、ユーザー間での共有を可能にする技術である「AR Cloud」の進化と、コロナ禍により、あらゆる業務の「デジタルファースト」のプロセスが加速し、デジタルツインと物理空間の双方向でのデータ共有・連携が進むという。これによりデジタルツイン上で行われた意思決定の迅速な現場への反映と、最適化された従業員エクスペリエンスを提供をするようになるとしている。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援Holoeyesは、Dental Predictionとソフトバンクの協力のもと「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に関する実証実験を7月12日から実施します。

5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用した実験で、東京にいる指導医が大阪にいる若手歯科医に、VR・AR映像を通して診断・治療の指導と手術を支援をするといった内容です。

具体的には、歯が欠損した場合に行うインプラント手術の症例を扱います。インプラント手術は、知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置です。5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用して、物理的な場所の制約を受けずに若手歯科医への知識や技術の伝授ができるかを検証します。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

3Dモデル/3Dプリンティング模型

実験では患者のデータを基に作成した頭蓋骨の3Dモデルを使い手術に必要な3次元の動きをVR空間で共有します。診断と検討の後、指導医は3DモデルをAR空間で操作しながら、同じ患者の顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導します。

若手歯科医はAR映像を見ながら模型にドリルで穴を開けるなどの実習を行うことで、インプラント手術の一連の流れを体験できます。最終的には、指導医が東京からAR映像を通して支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者の手術を行います。

なお、遠隔指導および遠隔手術支援に当たっては、現役の歯科医であるDental Prediction代表の宇野澤氏が、診断を行う上で重要なポイントや解剖に関する手順を解説します。

各種デバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、ソフトバンクの5GネットワークでVR・AR映像を送受信することで、指導や手術支援を行います。

以降リリースより転載です。

実証実験の概要

  1. 名称:5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証
  2. 実施期間(予定):2021年7月12日~9月
  3. 実施場所:東京会場:ソフトバンク本社(東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー)、大阪会場:5G X LAB OSAKA(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟 6階「ソフト産業プラザTEQS」内)

実施の流れ

  • ステップ1(7月12日実施予定):過去に手術を受けた患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。複数の若手歯科医へ同時に遠隔指導することで、その有用性を検証します。
  • ステップ2(8月実施予定):これから手術を受ける患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。今後予定している手術を、複数の若手歯科医が同時に疑似体験できることを検証します。
  • ステップ3(9月実施予定):東京の指導医が遠隔支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者(ステップ2の患者)の手術を実施します。若手歯科医が、指導医の遠隔支援の下で安全かつ確実に手術ができることを検証します。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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ウェブブラウザーだけでXR空間を構築できる「STYLY」を手がけるPsychic VR Labが9億円調達

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VR・AR・MRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」(Android版iOS版)を提供するPsychic VR Labは2月26日、計9億円の資金調達を発表した。引受先は、KDDI Open Innovation Fund 3号(グローバル・ブレイン)、DGベンチャーズ、DG DaiwaVentures、DK Gateほか。累計調達額は約19億円となった。

調達した資金により、様々な空間のXRメディア化を促進すべく組織体制の強化と事業化を推し進める。

ウェブブラウザーだけでXR空間を構築できる「STYLY」を手がけるPsychic VR Labが9億円調達

2016年5月設立のPsychic VR Labは、すべてのアーティストがXR空間を構築できる世界を作ることをミッションに、アート、ファッションからライフスタイルに関わるインターフェイスのXR化を推進。

同社のクラウドサービスSTYLYは、VR・AR・MRの制作負荷を圧倒的に下げることが可能なクリエイティブプラットフォームという。ウェブブラウザーだけでXR空間を構築し、VR・AR・MRコンテンツを配信できるとしている。

クラウド上でコンテンツの制作から配信まで一括管理するため、キャンペーンやイベント対応など、制作から運用まで自社で行うことも可能。制作者は難しいエンジニアリング作業から解放され、空間構築に集中できるという。

これまでの実績としては、渋谷パルコにおいて、商業施設で珍しいXRアート作品の常設展示 XR SHOW CASEを実施。1カ月で2万5000人の来場を記録した。

渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトを通じた渋谷駅ハチ公前広場での5G体験イベントや、渋谷区公認「バーチャル渋谷」MR企画のほか、KDDIのコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI」でのクリスマスツリーのAR拡張などの取り組みも行っている。

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