長寿命のWebサイトビルダーJimdoが初めて大きな外部資金€25Mを調達

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Webサイトビルダーたちを、おぼえておられるかな? 実は彼らはまだ生きていて、今でも稼いでいるのだ。

ドイツ生まれでアジアで伸びたJimdoが今日(米国時間6/8)、成長投資専門企業*Spectrum Equityからの少数株主投資として2500万ユーロを調達した。それまで同社が調達した外部資金の総額は、わずかに50万ユーロにすぎない。〔*: VC, Venture Capitalが創業初期を支援するのに対し、Growth Capital(or Equity)は安定企業の成長資金を提供する。〕

2007年にスタートしたJimdoはその後グローバルに業績を上げ、2013年にはiOSとAndroidにも対応、8つの言語を扱い、オフィスはハンブルグとサンフランシスコと東京にあり、これまで1500万あまりのWebサイトを作ってきた。

2007年にドイツで創業された同社は、今でもChristian SpringubとFridtjof Detzner、Matthias Henzeらがオーナーで経営者、2009年以降黒字だ、という。社員は上記三都市を合わせて約200名だ。

Jimdoによると、これまでは外部からの資金調達をもっぱら断ってきたが、Spectrum Equityとは4年あまりの付き合いなので投資受け入れを決意した、という。

2008年にドイツのISP United InternetがJimdoの株式の30%を取得したが、同社は1年後にそれを買い戻した。

ここには、多くの起業家が学ぶべき教訓がある: 立派なビジネスを築きあげて、資金はもっとも有利な条件で、かつ、正しいタイミングで調達すること。

Spectrumにとってこれは、初めてのドイツでの投資だ。しかしこの合衆国の企業は、すでにハンガリー生まれ(今は合衆国)のPreziに投資している。

Detznerはこう語る: “資金の用途は主にマーケティングと製品開発だ。経営のやり方で、変えるべきところはない。今までやってきたことを、ちょっと加速するだけだ”。

コンペティタのWixが快調であることは彼も認めるが、“この業界は中小企業との結びつきがすべてだからね”、ということだ。

参考記事。〕

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WWDC:Apple、Beats1グローバル・ラジオを発表―日本でも近日スタート

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今日(米国時間6/8)、WWDCでBeats Electronicsの共同ファウンダーで現在はAppleに所属するJimmy Iovineは、世界初の24時間年中無休のグローバル・ライブ・ラジオがAppleミュージック内に開局されることを発表した。

「(Nine Inch Nailsの)Trent Reznorが『いい考えがある。世界で最初の24時間年中無休のライブ・ラジオ局を作らないか?』と 電話をかけてきた」とIovineはステージで述べた。

「Reznorが独特のしゃがれ声で説明したところによると、『アルゴリズムではなくて本物の人間が選んだ曲がアメリカの三大都市から放送されるんだ。それぞれの局を1人のマスター・ディスクジョッキーが仕切る』というアイディアだった。そこで私は『どうしてアーティストってのはいつも実現が不可能に近いクレージーなアイディアばかり思いつくんだ』と不平を言った。しかすすぐに『いや待て、こういうクレージーなアイディアを実現するためにわれわれはAppleに加わったんじゃないか!』と気づいた」とIovineは発端を語った。

このグローバル・ラジオはロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークから全世界100地域に向けてインターネットを通じて放送を行う。

ロサンゼルス局の音楽マスターはZane Loweで、Ebro Dardenがニューヨーク局から、Julie Adenugaがロンドンから放送する。番組にはアーティストの独占インタビューやゲスト出演が含まれる。

AppleはiTunes RadioもIovineの下でリニューアルする。IovineはBeatsが30億ドルでAppleに買収された後、その音楽部門の指揮を取っている。

有名DJによるラジオ番組の放送はAppleの1年がかりで準備された新しい音楽サービスの柱の一つをなすものとなる。Spotify、Pandora、Rdioなど既存のサービスには強力なライバルの出現だ。

Apple musicは6月30日スタートで、個人は月9.99ドル、家族パスは月14.99ドルだ。

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〔日本版〕Apple Japanサイトには新しいMusicを予告するページがすでに作られている。その中でBeats 1 Radioも詳しく紹介されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WWDC:Apple、Proactive Assistantを発表、Google Nowに対抗

Appleは今日(米国時間6/8)、噂されていたGoogle Now対抗でSiriの改訂版、’Proactive’ を発表した。Proactive Assistantは、Google Nowのようにユーザーがその時やりたいことを推論するツールだ ― ただし、プライバシーに焦点を当てている。

数年来、Googleはユーザーから集めたデータを元に、例えば空港へ出発すべき時間を先回りしてユーザーに伝えることができている(交通状況を知り、Gmailで届いた飛行機のチケットを見ているため)。Appleはこうしたユーザーに関するデータの宝庫を持っていないため、Nowの有効な競合サービスを提供できていない。新サービスは、Nowの一部の機能は提供するものの、本当のライバルになるために必要なデータをAppleが持っていないことは明らかだ。

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AppleのCraig Federighiが今日話したところによると、Appleはこうした情報を追加する上で、ユーザーのプライバシーを守りたいと考えていることを強調した。データはすべて匿名で、ユーザーのApple IDとリンクしたり、サードパーティーと共有したりしないとAppleは言う。「われわれはユーザーのプライバシーを侵害しない方法でこれを行う…実際われわれはプライバシーを知りたくない。すべてはデバイス上で実行される」とFederighiは言い、明らかにGoogleを批判した。

新機能はiOSの一番左の画面 ― iOS 7のデザイン変更前にSpotlightがいた場所 ― に置かれ、Spotlight検索からも利用できる。

Proactiveは2013年に買収したCueをベースに作られた可能性が高く、これでAppleも空港へ出発する時間を告げられるようになったが、こちらはカレンダーのイベントやPassbookに保存された塔乗券に基づいて推論を行う。またユーザーは他の位置情報がタグ付けされたカレンダー項目に基づいて、同様の出発時間の通知を受けるかもしれない。

Proacive Assistantは、ユーザーの使用頻度に基づいてよく使うアプリも提示する。例えば、朝起きたらすぐFacebookを見る人には、iOSは画面にFacebookアイコンを表示する。

同サービスは、夕食時間に位置情報に応じてレストランのお薦めも表示することができる。最新ニュースのハイライトも可能で、その通知には元のアプリへのディープリンクが埋め込まれる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snapchatのアップデートでビデオ撮影中にフロントとリアのカメラを切り替えられる

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Snapchatが今日(米国時間6/8)発表したアップデートで、ユーザはビデオを撮りながらフロントとリアのカメラを切り替えられるようになる。

スチル写真でカメラを切り替えるのは簡単だが、ビデオ撮影中は不可能だったから、スマホ本体の向きを、友だちから自分へ、自分から友だちへ、と変えるしかなかった。

これはささやかなアップデートなので、SnapchatはブログでもTwitterでも触れていない。でも、便利だ。

Snapchatは、今自分がやってることを共有することがキモだが、映像が短命であるため、その瞬間というものに、なにかしら“貴重感”が抱(いだ)かれる。でもこれまでは視界を前後に切り替えられなかったから、一面的な視界しか見せられなかった。

今度からは、自分の友だちを見せつつ、ストーリーの作者も見せることができる。

このアップデートをダウンロードしたい人は、App Storeへ。

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iOS 9はディープリンク機能のある検索APIを提供…ほかのアプリのコンテンツも検索

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Appleはこのところ検索の改良に努めているが、今日(米国時間6/8)はモバイルで大きな発表があった。AppleがiOS 9で導入する検索APIでは、デベロッパが自分のアプリの外部をインデクシングしてリンクできるため、ネイティブの検索から外部のコンテンツを発見できる。つまりこれからは、アプリやWeb上のコンテンツだけでなく、ユーザのデバイス上のアプリにあるものなら何でも、Appleの検索機能Spotlightで検索できるようになる。

それだけではなく、これからは、その日もっともよく使うコンタクトやアプリも検索できるようになる。アプリ内検索の結果における、それらの項目の優先順はまだ不明だが、やはり、いちばん最近アップデートされたコンテンツなどより、ユーザがよく使うアプリが優先されるのだろう。

アプリ内からのこのような検索を支える技術はディープリンクと呼ばれ、すでにQuixeyやDeepLink、Branch、Buttonなどが、アプリとそれらの中のコンテンツをリンクするサービスを提供している。それは、従来の検索が、Web上のコンテンツをインデクシングするのと同じような技術だ。

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今日のWWDCのデモでは、検索ウィンドウから”potatoes”を検索すると、Yummlyというサードパーティアプリのレシピが拾われた。

アプリ内からほかのアプリへリンクする、このディープリンクという技術はAppleだけのものではなく、5月にはGoogleが、ユーザが自機の上にインストールしていないアプリから検索結果を拾ってみせた。その機能はすぐに、iOS上のGoogle検索アプリにも実装された。それは、2年前から開発が始まっていた技術だ。

Googleのねらいは、ユーザがまだインストールしていないアプリにも関心を持ち、いずれそれらをインストールしてくれることだ。Googleの場合、そういうアプリを対象とする検索は通常のGoogle検索と、スマートフォン上のネイティブ検索アプリからできる。Appleの場合は、ディープリンクがiOS本体の機能になる。

この前Appleが発表したApp Extensions機能は、アプリ同士がデータやToday画面上のウィジェットなどを共有したり、Photosアプリ内の写真フィルタを使ったり、カスタムキーボードを使ったりするための拡張APIだった。

今回、検索でもアプリ間の相互通信がサポートされたことは、Appleのユーザにとって便利であるだけでなく、AndroidからiOSへの移行を阻害していた要素を取り除くことにもなる。また将来について極論すれば、今まで知らなかったアプリを検索を通じて知る機会が得られ、検索が未知のアプリを評価するための重要な手段になるかもしれない。

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WWDC:Apple、Mac OS X 10.11 El Capitan を発表

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サンフランシスコで行われたWorldwide Developer Conferenceで、AppleはデスクトップOSの最新バージョンを発表した。

Apple上級副社長のCraig Federighiは壇上でアップデートを披露し、Spotlight、OS標準塔載アプリ、およびウィンドウ管理機能のアップグレードに焦点を当てた。

FederighiはまずMailアプリのジェスチャーをいくつかデモし、Mailboxスタイルのスワイプで削除あるいは未読にする様子を見せた。次に、Safariでは、ブラウザー内でタブをピン止めできる機能を紹介した。UIの左端に専用スロットが割り当てられ、ブラウザーを再オープンした時に自動的にロードされる。

さらに目につく機能として、Federighiはアップデートされて自然言語処理が加わったSpotlightがを披露した。例えば“Show me all mail from Phil that I’ve ignored”[Philから来たけれども無視したメールを全部表示]を検索すると、システムが文章を解析し、Mac上の適切なアプリでコンテンツを表示する。

El Capitanには、Windowsユーザーには見慣れてたウィンドウズ管理機能もいくつか追加された。例えば、ウィンドウをデスクトップの一辺にドラッグすると、その辺いっぱいに拡大され、手動でリサイズする手間を省ける。

Federighiは、iOSデバイスの高速グラフィック性能を可能にするMetal APIが、OS Xに追加されることを発表した聴衆を驚かせた。Appleはこれがデスクトップのレンダリング性能を10倍改善されると主張しており、ステージにEpic Gamesを呼び、低レベルグラフィックプログラミングの利点をデモした。

Appleによると、いくつかの主要ゲーム会社がOS X上のMetalをサポートしており、2K Games、Blizzard、Unreal、およびUnityがそれぞれのレンダリングエンジンにAPIを統合している。

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Mac OS X 10.11は、昨年iOS 7および8のルックスをデスクトップに持ち込み、”Handoff”や”Confinuity”等の機能でiPhoneおよびiPadと密接な連携を行った ‘Yosemite’ リリースに続くものだ。

El Capitanのデベロッパーベータは今日公開され、一般ユーザーも7月の公開ベータ版で試す機会を得られる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユーザー翻訳で日中英展開、小説投稿SNS「Taskey」がグッドスマイルカンパニーから資金調達

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累計発行部数1000万部超えのライトノベルだって生み出している小説投稿サイト。そこに「翻訳」というアプローチを持ち込んでいるのが小説投稿SNS「taskey」を手がけるTaskeyだ。同社は6月8日、グッドスマイルカンパニーを割手先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開だが、数千万円前半とみられる。

Taskeyは2014年の創業。2015年2月からベータ版を提供しているtaskeyは、小説やイラストを投稿できるSNSだ。小説投稿サイトと聞くと2004年スタートの「小説家になろう」や「ハーメルン」、「Arcadia」などなど複数の先行サービスを思い浮かべるのだが、彼らのウリは「言語の壁を越えた共創」にあるという。

taskey上では小説やイラストを投稿したり、投稿された作品を読んだり、コメントをしたり……といういわゆる小説投稿サイト的な機能に加えて、お気に入りの作品をユーザーが自ら翻訳して公開するという機能がある。対応言語は日本語、英語、繁体中国語の3言語。当初は提携する留学生団体の有志が一部の作品を翻訳していたそうだが、人気上位の小説を中心に、その数も徐々だが伸ばしているそうだ。

有志の翻訳ということで品質は気になるところだが、Taskey代表の沼澤健人氏は楽天が買収した動画配信サービスの「Viki」を例に(Vikiもユーザーが字幕をつける機能がある)、「最終的には翻訳をチーム化して、マネージャーを置いてクオリティコントロールしていく。だが今考えうる一番簡単な方式でやっている」と説明する。

ちなみに国内・母国語で発信される小説の著作権はクリエーターに、翻訳に関しては翻訳者に帰属する形になるが、いずれもTaskeyが非独占的に使用する権利を保持するかたちになり、書籍化などに際しては著作権者と個別に契約を結ぶことになるという。

今回の調達で期待するのはコンテンツ業界とのネットワークだ。グッドスマイルカンパニーはフィギュアや玩具の企画・制作を手がけているファブレスの玩具メーカー。2014年9月期業績は純利益で11億7140万円。未上場で売上高は開示されていないが、100億円超とも聞く(2012年度で売上高115億円だった)優良企業。コンテンツ業界との関係性も深く、「出資を機会に、コンテンツ業界の上流から下流までアプローチしていける」(沼澤氏)と期待する。今後は提携や共同の企画などをコンテンツ業界の企業に対して打診していく。

Taskeyでは今後、スマートフォンアプリの開発を進める。ウェブサイトについても、6月中にベータ版から正式版に移行する予定だという。

WWDC:Apple、プログラミング言語Swiftをオープンソース化

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Apple上級副社長Craig Federighiは、昨年のWWDCでデビューしたプログラミング言語Swiftをオープンソース化すると発表した。

Federighiによると、AppleはSwiftコンパイラーおよびiOS、OS X用ライブラリーのコードを提供するだけでなく、追加の試みとしてLinux用に作られた同じソースコードも提供する。これによってデベロッパーは、バックエンドのコードを、Appleの言語で書くことが可能になる。Swiftの文法の一部はサーバーサイドプログラミングで主に使われている言語に由来している

Federighiは、Swiftを2015年末までにオープンソース化すると語った。この時期が守られることを願いたい ― かつてスティーブ・ジョブズが言ったことで知られる、FaceTimeプロトコルをオープンソース化して、サードパーティーアプリに統合できるようにするという約束を、Appleはまだ果たしていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WWDC:Appleの新開発者プログラムは、iOS、OS XとwatchOSツールを全て合わせて99ドルで提供

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Appleは開発者プログラムを統合し、開発ツール、iOS、OS XとwatchOSのリリースに向けたソフトウェア開発のアクセスを一つにまとめる。プログラムの統一は開発者にとって喜ばしいことだろう。これまで、MacとiOSのプログラムは、それぞれに年間99ドルかかっていた。今回の統合により、その両方と新しいwatchOSのネイティブ開発ツールも使用できて年間99ドル利用できる。

既にiOSかMacのいずれかの開発プログラムに登録している場合、もうAppleはユーザーのメンバーシップを新しいプログラムへと移行を完了している。新しい利用規約と条件に同意すれば、全てにアクセスすることができる。また、それぞれの開発者ポータルページの自動更新プログラムも近々導入される予定だ。

新しい開発プログラムの概要はここから見ることができる。また、メンバーシップに含まれる内容はここから確認できる。既にメンバーとして登録していて、何が変更されたかを知りたい場合は、移行に関するガイドはここから見ることができる。チームの移行などについての情報が掲載されている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

SMX Advanced 2015-ランド・フィッシュキン氏が語る、未来のランキングシグナルとは?

SEO Advanced 2015の第二回目のセッションレポートです。初回のセッション同様、3セッションから成るセッションに参加しましたが、その中でもWhiteboard Fridayでおなじみのランド・フィッシュキン氏によるセッションをピックアップします。いつも通りのハイテンションなスタイルではありませんでしたが、会場を沸かす技術は健在でした。彼が思う、これからのランキング要素についての発表になります。– SEO Japan

Speaker:Rand Fishkin,Wizard,Moz
(原題:The Future of Search Signals)

未来のランキングシグナル
検索エンジンが将来どのようなシグナルを採用するか、また、それらが現在どのような影響を与えているか。7つのシグナルをピックアップしたので見てみよう。

1.ページやサイトのデータ
“1日あたりの訪問者数の増減”、”セッション率”などの情報を利用し、ランキングに反映させる(“SEO by the Sea”によると、Googleはこの技術に関する特許を取得している)。そうした数値が低いサイトが上位に表示されていることもあるが、エンゲージメントが高ければ上位表示されるのだろう。

CTRのランキングへの相関関係は高いことが、それを証明しているとも言えるが、”CLICK MONKEYS“(クリックをしまくりエンゲージメントを擬似的に上げるサービス)などは、Googleには通用しないだろう。

2.情報の正確性と人気度
Googleによると、ページランクと情報の正確性には高い関連性はない。しかし、様々なデータを見てみると、サイト内の情報の正確性を測定することは可能なようだ。医療分野などのGoogleが正確性を重視する業界では特にだが、一貫した正確性はランキング上位につながる可能性がある。

3.クエリの構造
人気のあるファッションの組み合わせなどの場合、ランキングに影響がある場合がある。例えば、”sunglass(サングラス)”と検索ボックスに入力すると、サジェストの一番上に”sunglass hut(サングラス 帽子)”と表示される。

では、”sunglass(サングラス)”と検索してみよう。1位のサイトは”Sunglass Hut Online Store“というサイトだ。Googleはこうした情報もランキングに使用しているかもしれない。(Googleは”サングラス”には”帽子”との組合せが人気があると判断し、それをサジェストのみならず、検索結果にも使用している可能性がある。)

4.ブランドとエンティティ
ナレッジグラブ内にエンティティとしてブランドが掲載される場合が増加している。また、いくつかのブランドのランキングの下降とそのブランドに対するGoogleの認識(評価基準)には関連性があると個人的には思う。

サジェスト内にブランド名が表示されることがあるが、Googleはそのブランドと検索キーワードに高い関連性があると認めていると思う。漠然としたキーワードの場合でさえ、特定のブランドがサジェスト内に現れることもある。

ある検索を行った時、どのブランドを真っ先に思い浮かべるだろうか?自分のイメージしたブランドが表示されないこともあるが、“多くの人にとってイメージできる”存在になれば、ランキングの上昇に影響するかもしれない。

5.答えまでの道のりを追跡する
Webで答えを見つけるまでの道のりは非常に複雑だ。ブランドを検索してサイトを訪れ、より詳細な検索をして別のサイトを訪れ、さらに。。。といった感じだ。

Googleはその過程をよりシンプルなものにしたいと思っている。漠然としたクエリから、ユーザーが最終的に到達したサイトを突き止めることで、そのサイトを初めから検索結果の上位に表示するかもしれない(例え、他のランキング要素が低かったとしても)。少なくとも、Googleがそうしたデータを計測し、保管していることは確かなようだ。

6.ユーザー体験
パンダ以降、Googleはコンテンツの品質ではなく、サイトの品質を見ている。”httpsの使用”、”モバイルフレンドリー”、”ガイドラインの刷新”などから伺える。現在は使用していないとしても、Googleはユーザー体験を測定する方法とランキングへの使用を検討してはいるだろう。

7.ディープラーニング
人間が作るアルゴリズムから、マシンが学習するアルゴリズムへと変わっていくだろう。GoogleのディープラーニングシステムはYouTubeを分析し、”cats(猫)”という分類を作成することに成功した。個人の検索履歴からベストなサイトを提供することにも使われるようになり、最終的にはGoogleのエンジニアでさえ、ランキングアルゴリズムの特定の要素を知ることができないようになるかもしれない。

ランド・フィッシュキン氏が思う、7つの要素を紹介していただきましたが、サイトとユーザーの情報をランキングに使用することは納得といった感じです。ユーザー体験はどうしても主観が入ってしまう要素だとは思いますが、”大多数のユーザーにとって好ましい状態”を作成できればいいですね。ディープラーニングについては徐々に進めていくという感じでしょうか?すでに他の追随を許さないほどのスピードで進化をし続けているGoogleですが、そのスピードの加速具合もさらに高まる予感が有ります。

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WWDC:Apple WatchのネイティブSDKが公開され、ウィジェットの作成やセンサーへのアクセスが可能に

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今朝のWWDCで、Apple WatchのネイティブSDKとwatchOS 2が公表され、Apple Watchの開発プラットフォームが更に魅力的になった。

AppleのヴァイスプレジデントであるKevin Lynchはステージに登壇し、サードパーティーの開発者が利用できるようになる新機能のデモンストレーションを行った。まず「Complications(コンプリケーション)」機能だ。開発者は、Apple Watchの多様な時計画面に合わせたウィジェットを作成することができ、ユーザーは一日を通してアプリが提供する細かい情報を簡単に素早く確認することができるようになる。

「Time Travel(タイム・トラベル)」という新機能では、ユーザーはデジタルクラウンを回すことで、コンプリケーションで表示された情報の履歴を辿ることができる。この機能を使うことで、例えばMLBの試合がどのように進んだか、獲得得点の履歴を時計画面から直接遡って確認することができる。

新しいネイティブSDKでサードパーティアプリに提供されるAPIは具体的に、Apple Watchでの動画再生、内蔵マイクの幅広い活用、スピーカーへのアクセス、さらに心拍数データのストリーミングといったHealthKitへのアクセスもできるようになるとLynchは説明した。

また、Watchの加速度計とタプティックエンジンにアクセスすることで、モーションコントロールやタッチでのアウトプットも可能となる。開発者はApple WatchのWi-Fiラジオも利用できるようになり、iPhoneを傍において常時ペアリングをする必要も少なくなる。

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これまでApple Watchにアプリを提供したいと考えていた開発者は、WatchKitというSDKを使用していた。開発者が製作したアプリは腕に着けた端末専用であるにも関わらず、このツールキットで製作したソフトウェアは実際には、ペアリングされたiPhoneの中で動いていた。Bluetooth LE経由でデータとインターフェイスの要素をWatchに転送する仕組みだった。

転送にかかる時間は、Apple Watchのアプリのユーザー体験を著しく限定的にするものだった。アプリを起動するのに何秒もかかる場合もある。

Appleのオペレーションのシニアヴァイスプレジデントを務める Jeff Williamsは、先日行われたCode Conferenceで、今日のカンファレンスにはApple WatchのネイティブSDKが盛り込まれること、そしてアプリはApple Watchのセンサーから直接データを読み取ることができるようになると発表されると、ヒントを出していた。

開発者は今日からwatchOS 2 のベータ版を使用することができる。メインストリームのユーザーは、秋頃になる公開リリースを待つことになる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

WWDC:iOS 9でiPadが2画面分割マルチタスクが可能に―Surfaceに追いつく

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Appleはビジネス・ユーザー向けにiPadの生産性ツールとしての能力をアップさせた。新しい画面分割モードでは、2つのアプリを同時に表示、作動させることができる。これまでMicrosoftは自社のSurfaceタブレットがiPadより優秀であり「仕事に使える」根拠として、この種のマルチタスク機能を広告でアピールしてきた。

iPadでスプリット・スクリーン・モードが準備されていることは以前からとなっていた。またSurfaceに加えてSamsungのGalaxy Tabシリーズもマルチウィンドウをサポートした。

今朝(米国時間6/8)、WWDCのキーノートでAppleのソフトウェア・エンジニアリング担当上級副社長、Craig FederighiはiPadの新しいスプリット・スクリーン表示をデモした。Safariブラウザを使っている最中、画面右端からスワイプするとメッセージ・アプリが開かれた。メッセージ・アプリを上からスワイプするとアプリ・スイッチャーが表示され、望みのアプリに切り替えることができる。

スプリットビュー・モードでは右側のアプリと左側のアプリは完全に独立にマルチタスクで作動する。

デモ中でFederighiはマップ・アプリへのリンクをタップした。するとAppleマップが左画面に表示された。

またESPNアプリでビデオを見ているときに、メールが届いた。その通知をタップすると、メールアプリが開き、ESPNアプリはピクチャー・イン・ピクチャーに縮小されて動画再生が続いた。

このピクチャー・イン・ピクチャー窓はスクリーン内で自由に動かすことができ、ピンチで拡大縮小ができる。

iPadのマルチタスク・モードでAppleはスプリットビューとスライドオーバーという用語を使っている。スプリットビューというのは2つのアプリが画面分割で表示され、同時に作動することをいう。スライドオーバーは現在使っているアプリを開いたまま第2のアプリをサイドからスワイプして開くことをいう。

スプリットビューはiPad Air 2のみでサポートされる。スライドオーバーはiPad Air、Air 2、Mini 2、 Mini 3でサポートされる。

この新機能にはユーザーが上からのスワイプによって新しく表示させるアプリを選択するスイッチャー機能が含まれる。

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Federighiはキーノートのこれより以前の部分で、似たようなスプリット・スクリーン・モードを新しいOS X、El Capitanでもデモした

「多くのユーザーにとってiPadはメイン・コンピュータだ」とFederighiは言う。iOS 9でiPadのソフトウェア・キーボードも大きく改良され、トラックパッド機能が追加されたことで、これまでiPadの難点だったカーソル移動が自由になった。画面分割マルチタスク機能と合わせて、iPadの生産性ツールとしての能力は大きくアップしたといえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WWDC:AppleのQuickTypeキーボードの改良でiPadが本物のコンピューターに

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ただのキーボードなので、キーが打てることに限定されていた。

しかし本日WWDCで公表された、iPad用のiOS9の新バージョンでは、タッチを認識して動くQuickTypeキーボードに、トラックパッドの機能が付く。画面のキーボード部分に、どこでも二箇所を指で触るとトラックパッドとして利用できる。画面を指でなぞると、カーソルも一緒に動く。

iPadのカーソルは、何年もコンピューターを利用している人でも、動きが自然に感じられるよう設計されている。今までのiPadのカーソルはとても使いづらかった。

新しいiPadのキーボードにはさらに、テキストのフォーマットを整えるための機能が追加された。ボタンをタッチするだけで簡単に使用することができ、カット、コピー、ペースト用のボタンもある。ユーザーは、キーボードからカメラを直接起動したり、添付ファイルを付けたりもボタン一つでできる。

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さらに、iPadは、外部接続のキーボードのショートカットにも対応するようになった。ユーザーは自分のキーボードをつなげ、いつものショートカットをiPadに妨げられずに使用できる。

これは、重要なアップデートだ。これらの機能により、iPadは創作活動により適したツールになるからだ。AppleのiPadはこれまで、コンテンツの消費が主な使用用途だった。ユーザーはiPadで何かを読んだり、動画を見たり、音楽を聞いたり、ゲームで遊ぶことは簡単にできた。しかし、記事の執筆や長めのEメールを作成するのは、骨が折れる作業だった。

作成した文章をトラックパッド機能で自由に移動できること、そして外部キーボードをつないで、そのまま使えるようになったのは、それらの問題を解決する劇的な改良だ。

また、マルチタスクを行うための画面分割機能(これも本日発表)は、iPadを消費メインのツールから、本物のコンピューターに変身させるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

WWDC:iOS 9の一般公開は秋、iPad 2とiPhone 4s以降のすべてのデバイスをサポート

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AppleはWWDCでiOS 9を発表し、乗り換え案内新しい検索APIiPadのマルチタスクとスクリーン分割Google Nowに対抗するProactiveサービスなど多数の新機能が紹介された。iOS 9のリリースの時期については、7月に公開ベータが発表され、秋に一般向けに公開されるという。

サポートされるデバイスについて、Appleは「iOS 9はiOS 8が作動するすべてのデバイスで作動する」としている。上のWWDCのステージ写真に全デバイスのリストがある。いちばん古いデバイスはiPad 2とiPhone 4sだ。

われわれのiOS 9記事

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WWDC:Appleの音楽ストリーミング、6/30開始、個人は月9.99ドル、家族は月14.99ドル

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今年のWWDCの最大のニュースの一つは新しい音楽ストリーミング・サービス、Apple Musicの発表だった。Appleが音楽ストリーミングを準備している情報はかなり前から頻繁に流れていたが、今朝の公式発表でデジタル音楽の最大の販売者であるAppleがオンラインストリーミングの分野でもトップを狙うことが明らかになった。Apple MusicはやがてAndroid版も発表されるという。

Apple MusicはSpotifyやRdioなど既存のサービスの直接のライバルとなる。月額料金は9.99ドルで膨大な楽曲がオンデマンドで聞き放題となる。最初の3ヶ月、無料のトライアルができる。

Appleの新サービスにはライバルにないいくつかの優位性がある。ひとつはもちろんiOSミュージック・アプリ自体にネーティブに組み込まれることだ。またこのサービスでは専門家の選曲によるプレイリストが提供される。この中には著名アーティスト自身によるスペシャル・コレクションも含まれる。

Apple Musicにはニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルスから放送されるBeats 1というDJサービスも含まれる。

Appleが新しい音楽サービスをiOS 9のミュージック・アプリ内に組み込んだことは、他のストリーミング・サービスに対して大きな優位性だ。なにしろすべてのiPhoneにデフォールトで組み込まれることになるのだ。

Apple Musicにはリスナーとアーティストを結ぶConnectというサービスが含まれる。これはFacebook、Twitter、Instagramなどアーティストのソーシャル・メディアのコンテンツを一つにまとめたポータルとなる。

Apple Musicは6月30にスタートする。個人ユーザーは月額9.99ドル、ファミリー・パスは最大6人までのユーザーが利用でき、月額14.99ドルだ。当初、Apple MusicがサポートするプラットフォームはiOS、 OS X、Windowsだが、今年秋にはApple TVとAndroidが追加されるという。

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[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ランサーズとアイレップが提携、クラウドソーシングを使ったコンテンツマーケ支援事業

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クラウドソーシングサービスを展開するランサーズとマーケティングエージェンシーのアイレップは6月8日、コンテンツマーケティング領域での業務提携を締結した。2社は共同でコンテンツマーケティング支援サービス「ONE CUSHION(ワンクッション)」を提供する。

ONE CUSHIONは、ランサーズに登録するライターに対して試験を実施して、人材を選抜。試験に合格したライターに限定してクライアントワークを発注することで、クライアントは品質の高いコンテンツをもとにしたコンテンツマーケティングを実現できるというもの。ライターのアサインやディレクションをランサーズが、クライアントとのコミュニケーションや最終的な校正等をアイレップが担当する。

このONE CUSHION、もともとランサーズ、アイレップがそれぞれ今まで提供してきたサービスの強みを組み合わせたモノだという。

企業がオウンドメディアを立ち上げるなどして、コンテンツ(記事など)をフックに、消費者や顧客との関係性を築くことを指すコンテンツマーケティング。ランサーズ上にはこれまでもコンテンツマーケティングに向けた記事作成——1記事数十円〜数百円という、価格重視で品質を問わないモノかから、特定分野に特化したライターでないと書けないような比較的高単価のものまで——の依頼は数多くあったし、例えば「金融」といったテーマに特化した記事作成に特化したメディアにライターのリソースを提供するといった法人向けのビジネスも行ってきているのだそうだ。

またこれまでSEMや広告運用などを通じて企業のマーケティング支援をしてきたアイレップでは、2年ほど前から編集プロダクション(編プロ)などライターを束ねる企業と組み、コンテンツマーケティング事業を進めてきた。

アイレップが事業を進める中で課題を感じていたのは、コンテンツの品質。例えば著名な編集プロダクションと組んでも、その品質は実際に記事を書くライター個人の能力によって左右されるため、「ライターのアサイン状況次第では満足できない結果になっていた。ライターの高度な標準化が必要になった」(アイレップ取締役の下山哲平氏)という。その解決策として、同社では社内で編集・校正の機能を持つようになったのだという。

だが最終的な品質のチェックを社内でするのであれば、編集機能のある組織と組むよりも、クラウドソーシングようにライターが集まるプラットフォームと組む方が安価なわけだ。そんなことから複数の事業者と話し合いを進め、今回のランサーズとの提携に至ったのだそう。「(クライアントから来た)案件をそのままプラットフォームに投げるのではなく、間に入ってクライアント、ライターの両方とコミュニケーションをとるディレクターが必要。そこに投資をし、注力しているのがランサーズだった」(下山氏)。

 

インキュベイトファンド、起業志望者向けのEIR(客員起業家)制度を開始

インキュベイトファンドが起業家以外のビジネスマンも対象にして開催している業界研究コミュニティ「Fellow Program」。6月8日からこの中でEIR(Entrepreneur in Residence:客員起業家)向けのコースがスタートした。インキュベイトファンドが認めた人材に対して奨励金を提供。半年〜1年の期間で起業までの支援を行う。

「大人」のビジネスマンが集うFellow Program

まずはそもそものFellow Programについて紹介する。このプログラムは2014年にスタートしたもの。特定の業界や事業領域の研究や、その領域での起業などに興味のある人材に対して、月額3万円までの奨励金を提供している。これは起業家向けに限定したプログラムではなく、コンサルや外資系金融、メーカーや士業など、現時点で就職しているような人材も対象にしている。

メンバーは月次勉強会や都度開催される分科会に参加。研究・調査の結果を発表するほか、イベントなどで参加者間の交流を図る。また、立ち上げを検討する事業や起業のプランのメンタリングを受けることができる。

僕も前回の勉強会の様子を見させてもらったが、20人ほどの参加者が1カ月の進捗を共有し、その後3人の参加者が1人20分ほどのプレゼンを行って参加者同士での質疑応答をする、というものだった。今後その領域での起業を計画しているという人もいたので詳細は伏せるが、IoTや金融といった領域の現状分析やその領域での新規事業の可能性など、発表内容も質疑も、かなり具体的な話がされているというのが印象的だった。

プログラム参加者の中にはすでに起業している、もしくは現在起業の準備を進める人もいると聞いたが、参加者は20代後半から30代以上が中心。一般的なインキュベーションプログラムと比較すると年齢的にもキャリア的にも「大人」な人が多く、起業にも興味あるが、まずは自分の専門性を生かせる領域について深く調査したいという人が中心という印象だ。冒頭でも業界研究コミュニティと書いたが、リサーチとかシンクタンクとかいったような雰囲気を感じた。プログラムを手がけるインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏も「意図的に(そんな雰囲気を)作っている」とのこと。

大きいビジネスを始めるための準備期間に

今回開始したEIRコースは、和田氏いわく「ネットに精通してるだけでは立ち上げられない非常に重たいテーマや大きいテーマで起業を志す人たち向け」とのことで、フェロープログラムの中でも明確に起業を前提にしたものだという。

年始に発表した新ファンド設立の際にも、IoTのほか、グローバル、レガシーマーケットといった比較的大きい規模のビジネスに対して数億円単位での投資をしていくとしているインキュベイトファンド。だがこういった領域に進出する場合、低コストで立ち上げられるネット完結のサービスとは異なり、それなりの資本が必要になるし、ビジネスが成功するかどうかの検証が終わる前に起業してしまうことのリスクが大きい。そこでまず検証の時間を作ろうというのがEIRコースの目的だという。「シード、アーリーステージで億単位で投資するに当たっての準備期間を設けたい」(和田氏)

インキュベイトファンドの指定する書類を提出した上、面接と筆記での試験でEIRの採択を決定する。条件としてあるのは、兼業ではなくEIRとしての事業に専業するということ。契約期間は半年から1年を予定。奨励金は在職時の月収額を参考にするとしている。金額について具体的な話は聞けなかったが、在職時とほぼ変わらない生活をしつつ、起業の準備ができるようにリビングコスト(生活費)を提供する」(和田氏)。また採択者には、ビジネスノウハウを提供するほか、今後の資金提供も検討する。

既存の業界を破壊するような大きなビジネスを作ろうとするのであれば、調査や研究に時間をかけるにこしたことはない。これまでの生活のコストを得つつそれが可能になるこのプログラムは、大きな事業を企画する人にとって有効な選択肢になるかもしれない。

東大発ベンチャー「popIn」をバイドゥが十数億円で買収、中国から世界展開へ

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東大発ベンチャーの「popIn」をバイドゥ(百度)が買収した。バイドゥが2015年5月に全株式を取得し、経営を統合。法人としてのpopInは独立して事業を継続。今後popInでは国内事業はそのまま継続し、世界市場へはアジアを中心にバイドゥとともに世界展開していくという。株式の取得額は非公開だが、今回のディールに近い関係者へのTechCrunch Japanの取材では買収額は10億円から20億円の間ではないかという情報を得ている。popInは社員数12人。売上規模は非公開だが、過去1年で400%の伸びを示しているそう。東京大学エッジキャピタル(UTEC)が最大株主で、これまでにGMOベンチャーパートナーズFreakOutらが投資している。

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両社は本日6月8日に東京大学本郷キャンパス内の産学連携プラザで会見を開いた。

企業買収や経営統合の記者会見といったものが大学施設内で開かれることは多くないが、これはpopInが東京大学TLOから知財を、またUTECから投資を受けて同大学施設内に拠点を置いて活動してきたことから考えれば自然なこととも言える。popIn創業者の程涛氏は1982年中国生まれ。東京工業大学卒業後に、東京大学情報理工学研究科の修士課程での発明をビジネス化するため2008年7月にpopInを起業。留学生として起業し、M&Aによる売却にまでこぎ着けた。会見で挨拶した程氏は、「(留学生として来日したときには)友だちも家族もお金もなかった。日本で成功できたのは産学連携のおかげ。身近な事例として見てほしい。もっと多くチャレンジャーが出てくることを期待している」と話した。ちなみに同じ東京大学の産学連携の枠組みからは2014年に東証一部に市場替えしたバイオベンチャーのユーグレナも出ている。

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popInはこれまで、メディアのWebサイトにレコメンデーション・ウィジェットを提供する事業を展開してきた。TechCrunch Japanも一時期popInを利用していたが、記事下に表示される「おすすめ記事」に出す記事のセレクトや、UIの最適化を行うといったことだ。読者が読んだ記事と関連性が高い記事を出すほどメディアは回遊率が高まるし、ネイティブ広告のクリック率も良くなることが期待できる(ちなみにTechCrunchは英語版、日本語版ともに記事広告は1度もやったことがない。やる予定もない)。popInはネイティブアド配信事業を2014年2月にスタートしていて、ここが中国で広告プラットフォーム事業を展開するバイドゥが注目した理由となった。

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記事レコメンド市場にはOutbrainTaboolaといった競合がいて、急速なネイティブ広告市場の立ち上がりから注目されている。こうした競合とpopInのプロダクトとしての最大の違いは読了計測技術「READ」にあると程氏は言う。READはpopInが独自開発した技術で、単にページを開いたかどうかだけでなく、最後までじっくりコンテンツを読んだかどうかという指標だ。釣りタイトルや、中身が伴わない読み流されるコンテンツではREADは低くなる。READは大手ニュースサイトなど200サイト以上で採用されているそうだ。

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「レコメンドエンジンの本質は、いかに読者に満足してもらうか。満足という主観的なものなので客観的には取れないが、研究して辿り着いた結果がREADだ。ブラウザ上で表示するコンテンツに対して読むのにかかる所要時間を事前に計算する。そしてリアルタイムにコンテンツの部分部分で滞留時間を計測している。通常の広告の指標にはクリック率やコンバージョン率が使われる。しかしネイティブ広告にはコンテンツの主観指標が必要だ。すぐにコンバージョンするとは限らないからだ」。逆に競合分析として「TaboolaはUI研究をあまりやっていないように見える。Taboola本社に訪れたときに感じたのはPCと動画解析に力を入れていること」と話した。

会見で買収の背景を説明したバイドゥ日本法人代表のチャールズ・ジャン氏が引用した米BIA/Kalsey社の調査によれば、2014年に54億ドルだったネイティブ広告の市場規模は、2015年には79億ドルになり、2019年には184億ドルになるという。バイドゥは2000年創業の検索を中心とする中国のネットサービス企業だが、中国最大の広告プラットフォームも持っている。中国の広告市場で「READ」を展開すること精度を上げていくのが直近の狙いで、今後はブラジルやエジプト、タイ、インドネシアなど、すでに同社が拠点展開している都市を中心に世界展開も視野にいれるという。

国内ネット系企業も含めて、数社と買収について話を進めていたpopInだが、去年末から話をしていたバイドゥに決めた背景として程氏は、「大企業に入ったらスピード感が落ちるという不安」から、独立してやりたいというニーズを話して受け入れられたこと、世界展開のパートナーとなれること、人工知能やッビッグデータに投資を続けているバイドゥの技術支援が期待できることなどを挙げた。2014年5月に百度研究院を設立し、「深度学習研究所」に米国のスター的な研究者アンドリュー・ン(Andrew Ng)を主席科学者として招聘したことは日本でも話題になった。

バイドゥは日本から中国へを支援

バイドゥは米国留学から中国に戻ったロビン・リーが2000年に創業して7人でスタートした検索サイト。現在は、Baidu Web/Wiki/News/Map/Navi/Analytics/DataCenter/Knows/Funsなど総合サービスとして成長していて、2007年12月には中国企業として初めて米ナスダックに上場。グループの社員数は4万人で、「そのほとんどは技術者」(ジャン氏)という。2015年第1四半期の売上高は2276億円、営業利益は388億円。時価総額は約8兆円で、KPCBが発表した「Internet Trends 2015」のネット企業ランキングでも8位にランクインしている。中国ユーザーの70%にリーチしていてトラフィックは60億PV/日。

日本のバイドゥといえば、2006年に設立されたものの、今ひとつ影が薄い。Simejiの買収や、その後のプライバシー絡みでの炎上で記憶しているという読者も多いのではないだろうか。

六本木ヒルズに拠点を置くバイドゥ・ジャパンは社員数30人で、実はSimejiのような国内事業のほかに、日本企業の中国進出サポートビジネスを手がけているのだそう。具体的には広告出稿サポートや、インバウンドビジネス、版権ビジネスといったことで、楽天、無印良品、ANA、花王、住友不動産、日テレ、楽天トラベル、バンダイナムコ、明治製菓といった企業を支援した実績があるという。ジャン氏は、こうしたビジネスの中国進出に加え、今後は日本生まれの優れた技術の中国経由での世界展開もしていきたいと話した。

LINE NEWSのMAUが1200万人突破、ヤフーの牙城を崩せるか

編集部が選んだ話題のニュースをLINE経由でプッシュ配信する「LINE DIGEST NEWS」(左)、雑誌ライクな「LINE NEWS マガジン」(中)、「LINE NEWS」アプリ(右)
編集部が選んだ話題のニュースをLINE経由でプッシュ配信する「LINE NEWS DIGEST」(左)、雑誌ライクな「LINE NEWS マガジン」(中)、「LINE NEWS」アプリ(右)

編集部が選んだ話題のニュースをLINE経由でプッシュ配信する「LINE NEWS DIGEST」(左)、雑誌ライクな「LINE NEWS マガジン」(中)、「LINE NEWS」アプリ(右)

もう数年来言われてることだけど、PC時代の王者・ヤフーの牙城がスマホ時代になって崩れる時がいよいよ近づいてきたかもしれない。

5月の「LINE NEWS」月間アクティブユーザー数(MAU)が1200万人を突破した。MAUはLINE NEWSのアプリ、および公式LINEアカウント経由で、LINE NEWSのウェブページに月1回以上アクセスしたユニークユーザーの合計。双方で重複ユーザーはあるものの、前月比469万人増と急成長を遂げている。

重複というのは、アプリを立ち上げてニュースを閲覧しているユーザーと、LINEを通じて話題のニュースを1日に3回ダイジェスト配信する「LINE NEWS DIGEST」を読んでいるユーザーのこと。重複ユーザー数は明かされていないが、LINE NEWSを担当するLINE執行役員の島村武志氏によれば、「アプリは能動的にニュースを読みたい層、LINE NEWS DIGESTはライトな層で住み分けがあるので、重複は多くない」という。

国内のニュースアプリは、昨年12月にMAUが400万人と発表したスマートニュース、MAUを公表していないグノシーなどがしのぎを削っている状況。ニュースアプリに限定しなければ、Yahoo! JAPANアプリやスマホブラウザー経由で毎月2300万人が読んでいる「Yahoo!ニュース」が圧倒的なユーザー数を誇る。島村氏はYahoo!ニュースを「明確に意識している」と言い、“巨人”超えを狙っている。その一端を担うのが、4月27日にスタートした「LINE NEWS マガジン」だ。

MAU急増の牽引役となった「マガジン」とは

LINE NEWS マガジンは、ユーザーが好みに応じて選んだ「マガジン」を週1〜2回程度、LINE NEWSの公式LINEアカウント経由でプッシュ配信する。ニュースアプリによくある「経済」や「テクノロジー」といった単純なカテゴリ分けはせず、テーマを絞った全21マガジンを用意している。

登録者が多いマガジンとしては、見るだけで旅行気分が味わえる「なにここ行きたい!」(約65万件)、旬なレシピや話題のレシピを届ける「これは使えるレシピ」(約63万件)、女子力を上げる情報を厳選する「女子力UP!」(約56万件)などがある。創刊を記念して無料でLINEスタンプを配布したことも後押しし、5月末時点でマガジン登録者数は合計636万人。LINE NEWSのMAU急増の牽引役となった。

LINE NEWSのLINE公式アカウント経由で届く「マガジン」。別アプリを立ち上げることなくニュースがプッシュで受け取れる点や、ニュースを“見る”だけで内容を把握できるのが特徴だ

LINE NEWSのLINE公式アカウント経由で届く「マガジン」。別アプリを立ち上げることなくニュースがプッシュで受け取れる点や、ニュースを“見る”だけで内容を把握できるのが特徴だ

各テーマは雑誌のようにコンセプトを決めているのが特徴だ。例えば、「野郎メシ」創刊の際にLINEが発表したコンセプトはこんな感じになっている。

肉!肉!肉!とろける極旨な「お肉」の情報や、パンチの効いた「麺」や「ご飯もの」など、とにかくガッツリ食べられる男のメシ情報。届くと思わず腹がへる「野郎系」なグルメ情報をまとめてお届けするマガジンです

で、マガジンの何がウケているのか? ということだけど、LINE NEWSを担当する島村武志氏によれば、こういうことらしい。

「欲しい情報がちゃんと届くことですね。LINE NEWSのカテゴリは分類学上で何に属するかという話ですが、マガジンはユーザーの志向性に基づいています。テーマに特化することでユーザー層が狭まる? そんなことはないですよ。例えば、動物萌えっていうマガジンがありますが、動物を見て癒されたいって普遍的じゃないですか。マガジンはそういう共通性のあるテーマを揃えています。」

タップされるかどうかが本質的な価値じゃない

もうひとつマガジンで特徴的なのは、イメージ画像とシンプルな記事タイトルで見やすくまとめた雑誌のようなUIだ。

ニュースをチェックするのが日課になっている人ならともかく、そうでない人は忙しくなるとニュースを見る時間を取りにくい。そんな時でもわざわざアプリを立ち上げず、LINEを通じて友達が画像を送るような感覚でニュースが届く。ニュースを“読む”のではなく、“見る”だけで内容が把握できれば、“ニュース離れ”の層も取り込めるということなのだろう。

「LINE NEWSの価値は、今までニュースを読まなかった人にも、ニュースを身近な存在にしたこと。我々は情報源のニュースを集め、人力で編集しているので記事を読んでもらいたいですが、タップされるかどうかが本質じゃない。動物萌えマガジンでアザラシの画像を見て、『今日もがんばろう!』と思ってもらえるだけでも価値があるはずなんです。」

LINE執行役員の島村武志氏

LINE執行役員の島村武志氏

ヤフトピは「間違いなく意識している」

スマホ向けニュースアプリの多くは、動画広告とネイティブアドが収益源。そのため、記事がタップされるかどうかが生命線だ。「タップされるかどうかが本質的じゃない」と言うLINE NEWSは、収益化をどう考えているのか?

「タップを意識するのはPV型のビジネスモデルだから。PVを軽視するつもりはないですが、ユーザーを騙しちゃダメと思っています。今は焦ってPVをお金に換えるよりも、LINE NEWSを愛してくれる人、つまりMAUを増やす段階。なのでPVは全く追いかけていません。ただ、想定よりも早く1000万MAUを超えたので、そろそろマネタイズのテストはしたいですね。」

島村氏は、2013年7月のLINE NEWS創刊時から「ヤフトピ超え」を強く意識していた。昨年12月、ヤフーは「スマホのYahoo!ニュース利用者は2300万人」というブログエントリを投稿。新興ニュースアプリとはユーザー数で桁が違うことをアピールした。LINE NEWSのMAUと比べても2倍近くのユーザー数を誇っているが、島村氏は現在も「ヤフーを超えるのは、目標として確実に存在しています」と言い、その考えは揺らいでいない。

「Yahoo!ニュースがあるからこそ、カウンターとしてのLINE NEWSがあると思っています。ヤフーさんの13.5文字の見出しが並ぶ、磨きに磨かれた世界観は存在してますけど、スマートフォンの時代になって感覚は変わった。その枠組みを我々がどう壊せるか。例えばマガジンで極端にビジュアル中心にしているのは、ヤフーさんとの対比で意識している側面はありますね。」

イケてる友達に、LINE NEWSはなりたい

「LINE NEWS創刊時からブレてないんですけど、キーワードは『友達』なんです。記事は人力で編集し、本文の語り口が柔らかいのも、友達でありたいから。マガジンで言えば、普段ニュースを積極的に見ている人でも、もう少し深い情報を欲している人に『これ読んでおくといいよ』ってヒントを与える。そんな情報通のイケてる友達になりたいんです。」

LINE NEWS マガジンは「もっともっとニッチなニーズにも答えていきたい」と語る島村氏。時期は明らかにしなかったが、将来的にはマガジンの編集をオープン化することも視野に入れている。

マガジンは現在、LINE NEWS編集部がピックアップしたニュースをまとめて配信する形態。これを外部のユーザーが編集して配信できるようにする。LINEはこれまでも、外部のユーザーが「スタンプ」を制作できるようにして、売上に報酬を支払ってきたが、マガジンでも同様の仕組みを検討するという。

金融テクノロジーは、アフリカの現金経済をいかに破壊するか

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【編集部注:Tim CarterはFortumoの最高収益責任者】

地元のコーヒーショップやスーパーで、カードの代わりにスマートフォンで支払うことは、便利ではあるがクレジットカードと比べて特別便利ではない。一部の金融テクノロジー[フィンテック]分野では、TransferWiseやAzimoなど海外送金サービスのように著しい破壊現象が起きているが、他のイノベーションは、欧米ユーザーにとって少々表面的に感じる。

大陸全体にわたる10億人以上の人たちが商品やサービスを購入する方法を根本的に変えるチャンスがここにある。

その大陸はアフリカであり、平均年齢( わずか18歳)は世界で最も低い。アフリカには、有線インターネットのような、古いテクノロジーとインフラストラクチャーから移行する面倒がないため、進化が早い。その結果アフリカの人々は、完全モバイルインターネットを最新スマートフォンで使う環境へと直接遷移しつつあり、ケニアと南アフリカは世界有数の急成長スマートフォン市場だ。

郊外から都市部や隣国へと移行する大量の人々は、主として若い世代であり、新たの富の大部分を生みその多くを故郷の親戚に仕送りしている。そのための方法は、数百万人の人々にとって未だに複雑で不便だ。

しかし、しがらみのなさはアフリカが金融テクノロジーにとって未開のチャンスであることを意味している。金融IT製品やサービスが既存の3兆ドル規模の大企業と競合する欧米市場とは対照的に、アフリカでは根強い問題が伝統的銀行システムの普及を阻止している。 アフリカ人の80%はクレジットカードはもちろん銀行口座さえ持っていない ー しかし彼らは携帯電話を持ち、その多くがもうすぐ
スマートフォンになる。

現金しか選択肢がなく、自宅から銀行まで公共交通機関で長距離を移動して現金を得ていた消費者にとって、自分の資金をデジタルアクセスできることは直ちに利益となる。現行方法は効率が悪く安全面でも問題がある。他にも、個人識別、評判管理、債務執行、信用評価、保険、貯蓄などの金融製品の利用といった多くの問題がある。

これは、モバイルウォレットによって、代替銀行チャンネルが確立されつつあることを意味している。欧米のウォレット(殆どか金融機関によって運営されている)と異なり、アフリカのウォレットは、これを巨大に広めるために投資している携帯電話キャリアが構築している。アフリカではすでに1.83億人がモバイルウォレットを持っている。これは、米国Eウォレットユーザーの約3倍であり、米国の3倍の速さで成長している。

もし、その傾向が続けば、2021年までにアフリカ人全員がモバイルウォレットを持つことになる。

しかし、モバイルウォレットはアフリカ全体で断片化している。この断片化は、金融IT企業に多大な機会をもたらしている ー 断片化したEコマース基盤の構造を統一することだ。キャリアは地元に強く根を下ろしているが、国境を越えた支払い機能をほとんど持たない。これらのウォレットをネットワークで結ぶことは、参加者全員の利益であり、キャリア基盤に付加価値をつけ、商品の売り上げを増やし、消費者に選択と利便性をもたらす。

ローカルモバイルウォレットをグローバルネットワークに繋ぐことによって解決する問題をいくつか挙げる。

  • 国外送金:ヨーロッパだけで1000万人以上の故郷に親戚を持つアフリカ移民が住んでいる。海外送金に支払いサービスを利用することはできるが、その収集方式はデジタル時代では時代遅れだ ー 銀行口座を所有しているか送金場所に出向く必要がある。
  • 貧困者への直接寄付:寄付活動の中間業者をなくし、透明性を高めつつ、必要としている人々に従来よりずっと早く届ける。
  • モバイルコマースのオンライン支払い:ローカルウォレットをAmazonやeBayなどのグローバル商店と繋ぐことによって、少なく
    とも1億人以上の、携帯電話は持っているが銀行口座のない人々が買い物できるようになる。
  • 国際企業の給与支払い:Vodafoneはすでに、モバイルウォレットを使った給与支払いを実施ししている。遠隔地で働く海外労働者は、欧米諸国から給与を直接モバイルウォレットで受け取り、高額で時間のかかる電信送金を使う必要がなくなる。

殆どの金融IT企業はアフリカに焦点を当てておらず、それは有効なビジネスケースを構築するための既存インフラストラクチャーがないと認識しているからだ。しかし、キャリアはすでに基盤を持ち稼動中なので、それを拡張することによって、顧客獲得コストを下げユーザー維持率を改善することができる。

アフリカには、より良い金融テクノロジーソリューションに対する必要性と熱望がある。モバイルウォレットの急速な普及はその一つにすぎない。現金は、流通面の利便性をフルに生かすことができず、オンライン支払い機能もない。

アフリカに注力する金融IT企業は、一定の課題には直面するだろうが、事実上競争がない。アフリカの現金問題を解決することは、10億人以上の人々が次の成長の波へと飛び移るのを助けるチャンスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook