金融テクノロジーは、アフリカの現金経済をいかに破壊するか

africa

【編集部注:Tim CarterはFortumoの最高収益責任者】

地元のコーヒーショップやスーパーで、カードの代わりにスマートフォンで支払うことは、便利ではあるがクレジットカードと比べて特別便利ではない。一部の金融テクノロジー[フィンテック]分野では、TransferWiseやAzimoなど海外送金サービスのように著しい破壊現象が起きているが、他のイノベーションは、欧米ユーザーにとって少々表面的に感じる。

大陸全体にわたる10億人以上の人たちが商品やサービスを購入する方法を根本的に変えるチャンスがここにある。

その大陸はアフリカであり、平均年齢( わずか18歳)は世界で最も低い。アフリカには、有線インターネットのような、古いテクノロジーとインフラストラクチャーから移行する面倒がないため、進化が早い。その結果アフリカの人々は、完全モバイルインターネットを最新スマートフォンで使う環境へと直接遷移しつつあり、ケニアと南アフリカは世界有数の急成長スマートフォン市場だ。

郊外から都市部や隣国へと移行する大量の人々は、主として若い世代であり、新たの富の大部分を生みその多くを故郷の親戚に仕送りしている。そのための方法は、数百万人の人々にとって未だに複雑で不便だ。

しかし、しがらみのなさはアフリカが金融テクノロジーにとって未開のチャンスであることを意味している。金融IT製品やサービスが既存の3兆ドル規模の大企業と競合する欧米市場とは対照的に、アフリカでは根強い問題が伝統的銀行システムの普及を阻止している。 アフリカ人の80%はクレジットカードはもちろん銀行口座さえ持っていない ー しかし彼らは携帯電話を持ち、その多くがもうすぐ
スマートフォンになる。

現金しか選択肢がなく、自宅から銀行まで公共交通機関で長距離を移動して現金を得ていた消費者にとって、自分の資金をデジタルアクセスできることは直ちに利益となる。現行方法は効率が悪く安全面でも問題がある。他にも、個人識別、評判管理、債務執行、信用評価、保険、貯蓄などの金融製品の利用といった多くの問題がある。

これは、モバイルウォレットによって、代替銀行チャンネルが確立されつつあることを意味している。欧米のウォレット(殆どか金融機関によって運営されている)と異なり、アフリカのウォレットは、これを巨大に広めるために投資している携帯電話キャリアが構築している。アフリカではすでに1.83億人がモバイルウォレットを持っている。これは、米国Eウォレットユーザーの約3倍であり、米国の3倍の速さで成長している。

もし、その傾向が続けば、2021年までにアフリカ人全員がモバイルウォレットを持つことになる。

しかし、モバイルウォレットはアフリカ全体で断片化している。この断片化は、金融IT企業に多大な機会をもたらしている ー 断片化したEコマース基盤の構造を統一することだ。キャリアは地元に強く根を下ろしているが、国境を越えた支払い機能をほとんど持たない。これらのウォレットをネットワークで結ぶことは、参加者全員の利益であり、キャリア基盤に付加価値をつけ、商品の売り上げを増やし、消費者に選択と利便性をもたらす。

ローカルモバイルウォレットをグローバルネットワークに繋ぐことによって解決する問題をいくつか挙げる。

  • 国外送金:ヨーロッパだけで1000万人以上の故郷に親戚を持つアフリカ移民が住んでいる。海外送金に支払いサービスを利用することはできるが、その収集方式はデジタル時代では時代遅れだ ー 銀行口座を所有しているか送金場所に出向く必要がある。
  • 貧困者への直接寄付:寄付活動の中間業者をなくし、透明性を高めつつ、必要としている人々に従来よりずっと早く届ける。
  • モバイルコマースのオンライン支払い:ローカルウォレットをAmazonやeBayなどのグローバル商店と繋ぐことによって、少なく
    とも1億人以上の、携帯電話は持っているが銀行口座のない人々が買い物できるようになる。
  • 国際企業の給与支払い:Vodafoneはすでに、モバイルウォレットを使った給与支払いを実施ししている。遠隔地で働く海外労働者は、欧米諸国から給与を直接モバイルウォレットで受け取り、高額で時間のかかる電信送金を使う必要がなくなる。

殆どの金融IT企業はアフリカに焦点を当てておらず、それは有効なビジネスケースを構築するための既存インフラストラクチャーがないと認識しているからだ。しかし、キャリアはすでに基盤を持ち稼動中なので、それを拡張することによって、顧客獲得コストを下げユーザー維持率を改善することができる。

アフリカには、より良い金融テクノロジーソリューションに対する必要性と熱望がある。モバイルウォレットの急速な普及はその一つにすぎない。現金は、流通面の利便性をフルに生かすことができず、オンライン支払い機能もない。

アフリカに注力する金融IT企業は、一定の課題には直面するだろうが、事実上競争がない。アフリカの現金問題を解決することは、10億人以上の人々が次の成長の波へと飛び移るのを助けるチャンスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SMX Advanced 2015-【2015年度版】ランキング要素を大解剖!

SMXではおなじみとなっているセッションの2015年度版です。基本的な考えは大きく変わらないでしょうか、新しい要素の追加など、気になる点はやっぱりあります。ちなみに、Search Engine Landでもランキング要素のテーブルが刷新されており、それに併せて、SEOのガイドラインも変更が加えられているようです。今回のセッションの最後はダイレクトアンサーについてのセッションですが、個人的には非常に面白いセッションでした。SMX Advanced 2015の開幕ともいえるセッション。その内容は果たして??– SEO Japan

原題:The Periodic Table Of SEO Ranking Factors: 2015 Edition

このセッションは以下の3セッションで構成されています。

  • 最新版!ランキング要素の相関関係調査
  • 2015年度版。SEOにおけるランキング要素とは?
  • Googleのダイレクトアンサーに自身のコンテンツを取り上げてもらう簡単な方法
  • 最新版!ランキング要素の相関関係調査

    Speaker:Cyrus Shepard,Director of Audience,Moz

    はじめに
    Mozが数年間続けている調査の最新の報告を行う。約15,000キーワードを対象にGoogleのTop50のランキングを調査した。どのような要素がランキングとの相関関係があるかを調べるためだ。

    相関関係について
    相関関係は因果関係ではない。しかし、ヒントにはなる。マシンラーニングやエンゲージメントの詳細な情報を得ることは不可能であるため、ヒントは非常に重要になる。そして、ヒントを得るためには、複数の要となる要素を組み合わせた調査を行うことが必要だ。

    リンク
    リンクはさらに需要な要素となっているようだ。”リンクを張っているドメイン数”の相関関係は0.30となっている。2011年は0.24、2013年は0.29という結果だったため、さらに相関関係が高まっていると言える。

    みなさんも御存知の通り、Googleはランキングを決定するために200以上の要素を用いている。つまり、何か一つの要素が順位を決定づけているということは考えづらい。そのため、単一の要素の相関関係が0.3ということは、非常に重要な要素と言えよう。逆に、0.1未満(0.00台の数字)は相関関係は薄いと言える。

    アンカーテキストとキーワード
    “アンカーテキスト”の相関関係も非常に高い。部分一致のアンカーは0.29、完全一致は0.24という数字が出ている。しかし、”タイトルタグ内のキーワード”は0.08しかない(しかし、それでも非常に大事)。タイトルタグ内に完全一致のキーワードが含まれていない場合も、相関関係のあるキーワードがあれば1位になる場合もある。我々が思っている以上に、関連性は大事となっているかもしれない。

    ソーシャルシェア
    “ソーシャルシェア”の相関関係も高いが、Googleはランキングの要素としては用いていないだろう(Googleの言葉を信じるのであれば)。サービス別に見てみると、FacebookとGoogle+がそれぞれ0.27と高い数字を出している。また、以前と比べ、Google+の相関関係が下がり、Twitter(今回の調査では0.21)が伸びていることは注目すべき箇所かもしれない。

    https
    相関関係は0.04。低いといえる。MOZのサイトもhttpsに変更したが、大幅なトラフィック増は見られなかった。httpsに対応したURLは、全検索結果の14.3%という数字がでている。Googleはhttpsをテニスで言うタイブレークのポイントのように、”均衡を破る要素”になり得ると、主張している。

    Schema.org
    相関関係は-0.01。今回の調査でも1.8%しか対応していないことがわかった。スキーマとリッチスニペットはイコールではないが、Googleにサイト内容を的確に伝えることで解決する問題もあることから、個人的には導入を強く勧める。

    hreflang
    相関関係は0.14であったため、比較的高いと言える。思ったよりも高かったため、少々驚きだ。検索結果の8.2%が対応しているようだ。

    スパムフラグ
    “内部リンクの少ない大規模サイト”や”小規模のサイトからリンクが被リンクの大部分を占めている”などのスパムフラグの相関関係を調査。個々の要素は大きな相関関係が見られなかったが、より多くのスパムフラグがあればペナルティの可能性が高まる、という事実はあるようだ。

    URLの長さ
    調査した中では最も相関関係の低い要素であった。しかし、短く、人間が読めるものを使おう。

    相関関係の高い要素
    最後に最も相関関係の高かった要素と数字を3つまとめておく。

    • ページオーソリティ(0.39)
    • リンク(0.30)
    • アンカーテキスト(0.29)

    2015年度版。SEOにおけるランキング要素とは?

    Speaker:Marcus Tober,Founder/CTO,Searchmetrics Inc.

    はじめに
    たった一つの真実、というのものはない。業界や状況によって異なるからだ。また、今回のセッションでは“関連性への回帰”を主張したい。様々なデータから、”関連性”は非常に重要になっている。

    相関関係と因果関係
    相関関係と因果関係はイコールではない。また、0は重要でないことを意味するが、誤解を生む場合もある。例えば、全てのサイトがキーワードをタイトルに入れていると、相関関係は0になる。しかし重要でないということではない。
    *上記、サイラスのセッションの補足とも言える

    リンク
    “被リンク数”の相関関係は2015年は0.28だった。2014年は0.31であったため、相関関係は落ちたと言えるが、サイラスの調査と同じような数字だ。”キーワードを含むリンク”の相関関係は去年とほぼ同じで0.17だ。”ドメイン名を含むリンク”は0.16であり、こちらも去年と変わらず。”ニュースサイトからのリンク”は2014年は0.20で、2015年は0.22。多少伸びたと言える。

    キーワード
    “外部リンク内のキーワード”の相関関係は2014年は0.11、2015年は0.03。重要性は下がった。”ドメイン内のキーワード”は、2014年は-0.02で2015年も同じ。ランキングとの相関関係はないと言える。キーワードの相関性はかなり下がっていると感じる。

    コンテンツの要素
    “ファイルサイズ”の相関関係は0.15で変わらず。”文字数”は去年の0.13から0.07へと下がった。”画像数”は0.05から0.04へ。1サイトあたりの”ファイルサイズ”、”文字数”、”画像数”の全てが伸びているが、これは自然な流れと言えよう。
    *上記の通り、全体が上がっているため、相関関係が落ちていると言えるかもしれない。

    事実を表す単語
    2015年のみの調査であるが、関連性は0.03。
    *以前Googleが発表した論文の内容を受けてのものと思われる。

    セマンティック
    “コンシュマーインテント”のためであり、”キーワード”のためではない。ユーザーが求めていることは、あくまでも、”関連性”であり、“検索キーワードがドメインやタイトルに含まれているか”を知りたいのではない。上記にも述べたとおり、”キーワード”を最適化する時代は終わった。”関連性”を求めよう。成功したいのであれば。

    モバイルについて
    モバイルとデスクトップでは調査結果が異なる。幾つか見てみよう。

    • バックリンク数
      相関関係は0.11(デスクトップは0.28)
    • 内部リンク数
      相関関係は0.03(デスクトップは0.09)
    • ファイルサイズ
      相関関係は0.08(デスクトップは0.15)
    • タイトル内のキーワード
      相関関係は-0.02(デスクトップは0)
    • Body内のキーワード
      相関関係は(0.01)

    最後に
    繰り返しになるが、キーワードへの注力はやめよう。そのページからのメッセージを考え、”関連性”を意識しよう。

    Googleのダイレクトアンサーに自身のコンテンツを取り上げてもらう簡単な方法

    Speaker:Eric Enge,CEO,Stone Temple Consulting

    ダイレクトアンサーについて
    Googleのアミット・シンガル氏は、「Googleを完全なアンサーマシンにすることが目標」、と述べている。今回のセッションでは、そのダイレクトアンサーを取り上げるが、まずは簡単なデータを紹介しよう。

    トータルクエリ数 855,423
    リッチアンサー(Google) 166,366 19.4%
    リッチアンサー(Bing) 9,569 1.1%

    このセッションではGoogleのケースを取り上げるが、上記のリッチアンサーは以下のタイプを含む。

    • 表形式
    • 全体の一部を表示する形式
    • ソースへのリンク付きのリスト形式
    • チャート形式 
    • その他

    ダイレクトアンサーのソースとなることで、リンク先をクリックする可能性を生む。また、74.7%のダイレクトアンサーがソース(リンク先)を表示していた。

    勝者はさらに豊かになったか?
    Googleはオーソリティの低いドメインも積極的に利用している。ダイレクトアンサーのソースの57.3%がドメインオーソリティが60以下のサイトだった。

    What is a rfp?(rfpとは?)の例
    ダイレクトアンサーに使用されているサイトのドメインオーソリティは47である。検索順位では上位に表示されているWikipediaを抑えての採用だ。非常に簡潔で明確な答えを提供している。

    さあ、実験してみよう
    上記の通り、ダイレクトアンサーに採用されれば大きな恩恵を受けることができる。しかし、どのようにすれば採用されるのだろうか?以下に実験の内容を記載する。

    質問内容を決める
    どんな質問に対するダイレクトアンサーになろうか?我々は、よくある5つの質問を採用した。内容は以下の通りである。

    • nofollowの実装方法
    • noindexタグの実装方法
    • rel alternateタグの実装方法
    • rel Canonicalタグの実装方法
    • Varyヘッダーの実装方法

    アンサーの作成
    上記の質問に対する答えを提供する5つの動画を作成し、5月20日に公開した。わかりやすいステップの説明と単純な”ハウツー系”の内容以上のコンテンツも作成した。その中の一つをGoogle+でシェアし、サーチコンソールへ提出した。

    結果は…
    動画の公開からわずか3日後、“NoFollowの実装の仕方”という検索でダイレクトアンサーとして表示されるようになった。

    まとめ
    今回の実験で得たポイントを以下にまとめる。ダイレクトアンサーを狙う場合の参考にして欲しい。

    1. シンプルな質問の特定
    2. その質問に対する答えの提供
    3. さらに有益な情報を追加
    4. ユーザーとGoogleが発見しやすいようにする

    セッション後のQ&A

    ランキング要素
    最も重要なランキング要素は”ユーザーを満足させる”こと。Googleが考えることを理解することは不可能。しかし、ユーザーを満足させる方法を考えることはできる。

    https
    現在はランキング上昇などは見られないが、将来はわからない。しかし、全てのURLがhttpsになれば、相関関係は低くなる。これは覚えておくべき。

    リッチアンサーとコンバージョンの相関関係は?
    はっきりとしたデータはないが、個人的にはあると思う。

    ページスピード
    毎年見ているが相関関係はある。そんなに大きくはないが。モバイルでは特に大事。遅いと直帰率が高まる。

    何に注力すべきか?
    ランキングの10位内になるためには、ランキング要素は重要。しかし、No1になりたいのであれば、人々の記憶に残るようなサイトになることが必要。

    セッションを終えての感想は、”おそらくそうであろうというものが多かった”というところです。しかしながら、実際に数字で比較することにより、より深い理解ができたと思います。マーカス氏が述べたとおり、”皆が対応しているため相関関係が低くなるが重要な要素はある”、ということは一つのポイントですね。ダイレクトアンサーのセッションはこうした実験を初めて見ましたので、非常に興味深かったです。オープニングアクトとしては最適なセッションではなかったでしょうか?。– SEO Japan

    Live Rowingは、ボート漕ぎマシンで友達とレースができるアプリ

    漕艇は人類が水上を漕ぎ始めた時代から社会的活動だった。最古のオリンピック団体競技の一つであり、アイビーリーグの多くの大学にボートチームがある。しかし、室内ボート漕ぎマシンは、ほとんどの場合孤独な営みだ。

    それは、この方法でワークアウトするのが好きな人々にとってあまり嬉しいことではない、とボート漕ぎマニアのNick Sheedyは言う。彼は、屋外ボートレースの社会的要素を室内に持ち込むべく、新たなiOSアプリと、ほとんどのボート漕ぎマシンに設置できるパフォーマンスモニターを開発した。

    Live Rowingと呼ばれるそのアプリとデバイスを使うと、漕ぎ手はボート対ボートの競争ができるようになり、タイム、距離、消費カロリーのランキングを見たり、友達の状況をチェックしたりできる。

    そのために、Connect2 Rowerモニターをマシンに設置し、Apple LightningケーブルでiPhoneのLive Rowingアプリと接続する。モニターは、デジタルディスプレーのデータを拾ってアプリに送り込むことができる。

    Screen Shot 2015-06-05 at 5.26.59 PM

    TechCrunchビデオチームと私は、地元サンフランシスコのジムでSheedyに会い、Live Rowingが動作する様子を見た。私はボートレースの訓練を受けたとだけ言っておこう。というわけで、私が息を切らして漕ぐところを上のビデオでご覧あれ。

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    (翻訳:Nob Takahashi / facebook

    開発者を束ねるマネージャーの仕事の内実

    lumbergh


    私はソフトウェアエンジニア、執筆家、ジャーナリストであり、マネージャーも務めている。今ままで一番複雑な仕事は、開発者のマネージャーを務めることだった。(最も困難なのではなく、最も複雑な仕事だ。)私はその専門家ではないし、素晴らしいマネージャーを装うつもりもない。しかし、より良いマネージャーになろうとする中で数多くの失敗を繰り返してきたことは事実だ。それらの失敗から学んだことを共有したいと思う。

    責任者だからといって、支配するのが仕事ではない

    マネジメントにおける最大の矛盾は、役職の階段を上るほど、実際の支配力は失われていくことだ。謙虚なコーダーである分には、コンピューターに対して、どうこうするよう明確な指示を出すことができる。しかしマネージャーになると、他の人が自分の要望を理解し、彼らがそれを時間通り、正確に仕事をこなすことを祈って信じるしかないのだ。

    開発者からマネージャーになった人、特に私のような「フルスタック」(あるいは「プログラム愛好者」)の開発者は、ここで問題に直面することが多い。100%コーディングの仕事と100%マネジメントの仕事を行ったり来たりしている人、あるいはどちらも少しずつ行う人は特に顕著に体験するだろう。自分で全てが正確にできているか確認したいという衝動から離れるのが難しいという問題にだ。

    更に難しいのは、誰かの仕事を確認する中で「私ならこういう風にはしない」ということと「これは間違っていて、リファクタリングしたり、書き直したり、アサインし直さければならない」ことを区別することだ。経験の浅い開発者には翼を広げるスペースを与えなければならないし、経験豊富な開発者にはその翼で自由に飛べるスペースが必要だ。マネージャーは意図的に一歩下がり、支配を弱めることで、大きな影響力を持つことができると理解しなければならない。

    開発マネージャーで、エンジニアのバックグラウンドを持たない人は、更に支配力を持たない。開発における、プロセスや落とし穴への理解も少ない。そのような人に開発マネージャーが務まるのか私は疑問に思っているが、共に働いたあるいは、雇われていた先にそのようなタイプの優秀な人もいた。彼らがもたらす、あるいはもたらすと期待されているのは、クライアント、役員そしてエンドユーザー目線での考えを持ち込み、開発するプロダクトの質を高めることだろう。他人を支配できるという幻想からマネージャーを引き離す効果もあるのかもしれない。開発者からマネージャーに転身した人は、自身を軍隊の司令官であるように考えるが、実際は嵐の中を進む船をなんとか導こうとする航海士なのだ。船員の仕事が実際には重要なのだ。

    アジャイルは良い。しかしそもそもアジャイルとは?

    皆はプロセスの話をしたがる。私に言わせれば、話しすぎているほどだ。「アジャイル開発」と呼ばれるものの多くは、「スタンドアップ(立って参加する短い会議)」、「スクラム」、「スプリント」といった形式が細部まで定められた特定のプロセスに組み込まれている。これは、アジャイル開発のマニフェストの基本理念である「プロセスやツール以上に個人と互いの交流に重きを置く」と「計画を遂行すること以上に変化に対応することに重きを置く」という項目に対立し、とても皮肉な状況だ。結果的に企業が作成し、熱心に従っているものを見てみると、それはアジャイル開発のプロセス、ツールと計画なのだ。これはとても残念なことだ。スクラムマスターの認定を取得するのは、正しい道ではない。

    人が作った特定のプロセスはそれほど重要ではないということだ。私が共に働いた最も優秀なチームは毎日スタンドアップ会議をしていたが、機能不全に陥っていた、今まで出会った中で最悪のチームもそれを行っていた。多くの人は、リーン・スタートアップの実用最小限のプロダクトを作るというアイディアに心を躍らせるが、同時に今は「デザインの時代」であると話し、スタートアップが成功するためには、世に送り出すプロダクトのデザインを最初から美しく、完璧に仕上げなければならないと言う。対面でのミーティングや「カジュアルな交流」は劇的な効果をもたらすこともあるだろうが、何十のタイムゾーンに散らばる100%リモートのチームでも同じことができるだろう。何が正しいのか?いつも答えは決まっている。その状況によるのだ。

    早まらないでほしい。整えられたプロセスが全くない方が良いと言っているのではない。重要なのは、プロジェクトを行う手段として選んだシステムやプロセスは流動的で柔軟であるべきで、チームの状況や置かれている文脈によって選ぶべきものが変わってくるということだ。

    幸いなことに私は本当に重要なことに気を配る、アジャイル開発の会社に勤めている。アジャイル開発にとって最も重要なことは、その名称が表している。アジャイルでいることだ。つまり、素早く動くということだ。(また、実践的なテストコードを書くことも重要だ。これは名称には含まれていないが、相当重要だと考えている。)コードを頻繁に定期的に世に送り出すことに意味がある。そうしなければ、私の経験上、ソフトウェア開発における停滞は、Lindy効果の対象となる。つまり、停滞している時間が長いほど、停滞から抜け出すのにより多くの時間がかかるということだ。サメのように、動き続けていなければ直に死ぬのだ。

    つまらない仕事がマネージャーの職務

    マネージャーの仕事とは基本的に、チームのプロダクティビティを高めることだ。そうするのに良い方法は?開発者の邪魔になっている仕事を代わりに行うことだ。つまり、開発者が最も嫌う重要な仕事を見つけ出し、代わりにそれを行うということだ。

    ドキュメント作成を好む開発者は少ないだろう。それがマネージャーの仕事になる。テストコードを書くのもとても重要なことだが、開発者の多くは好まないだろう。それもマネージャーの仕事だ。全てのテストコードを書く必要はないが、一例として基準を設定し、物事を動き出させるのに必要な分を書くと良いだろう。コードが書けない場合でも、テストが作成できるくらいは身につけた方が良いだろう。自分でコードが書ける場合は、テストハーネスを全て作り、そこに何かを加える作業が限りなく簡単になるようにすると良いだろう。品質管理は他の誰かの仕事、あるいは職務内容に含まれていないと考えるのは、とても悪いマネージャーだ。

    対人間で発生する摩擦にも向き合わなければならない。もし開発者がマネージャーの元を訪れ「重大な問題があり、苦渋の選択ですが、リファクタリングして正さなくてはなりません。期限には間に合わないと思います」と言ってきたのなら、それは称賛すべきことだろう。短期的に見ると痛みを伴うことだとしても、長期的に見ればそれは報われる。そのような技術的な負債を受け入れるのは、長期的にそれがそこには存在しないことが保証されている場合に限るべきだ。

    まとめの更に要点だけを言うと:人が問題を起こす

    きっと既に知っていることだろうが、残念ながら人は完璧ではない。人は疲れるものだし、間違えるし、マネージャーを無視することもあれば、嫌ったり、いなくなったり、仕事を辞めたり、マネージャーに対して失望するものだ。それは真っ当な理由もなく頻繁に起きる。そして事実は、マネージャーになったのなら、彼らの失敗はマネージャーの失敗であり、彼らの問題はマネージャーの問題であるということだ。早めに慣れよう。人の問題に早く気がつけるように気を配り、不測の事態に対応する方法を準備しておこう。

    もう一つ:一人一人、違う方法で違うペースで働くということを覚えておくべきだ。つまり、採用活動がとても重要であるとことを丁寧に言い換えている。何故なら、やはり、人が問題を起こすからだ。

    しかし、意外にも、人の問題を減らす方法もある。彼らがマネージャーを軽視したりすることが少なくなり、これが私の今までのキャリアの中で学んだ一番意外なことだった。彼らがマネージャーを信頼できる人だと分かれば、マネージャーも彼らに信頼を置くことができるようになるということだ。これは、本当だ。誓って言う。

    絶対に誰にも嘘をつかないことだ。(今までのキャリアの中での最大の賛辞は、退職時の面談で当時の上司に言われた言葉だった。「どうやっているのか分からないが、君が話す時、聞いている人は皆、不誠実の仮面を外すようだ」と言った。)見たままの真実を外交的に伝えることだ。意味を取り違えないでほしい。信頼されるように努るべきということだ。そうした分だけ、他人を信頼することができるようになる。

    マネージャーとは根本的には、少し注目を浴びることになった技術開発における翻訳者のようだ

    マネージャーの仕事は、プロジェクトの壮大な計画を細部に至る内容と動作に落とし込み、開発者がそれぞれ遂行できるタスクに翻訳することだ。そして、開発者が仕上げたプロダクトをクライアント、役員、ユーザーが理解できるように翻訳することである。更に最も重要なのは、エラー、障壁となる物、そしてチャンスや可能性についてクライアントに対してその詳細を分かりやすく伝えるために翻訳することだ。そうするには、どんなプロの翻訳者でも言うように、創作物について執筆者よりも深く理解しなければならない。執筆者にとっては直感的に理解できるものだが、それを誰もが理解できるように落としこむのがマネージャーの仕事だ。

    しかし翻訳者は翻訳した本に対する、栄光や賞賛を受けることはあまりない。(執筆者としての私の考えだ。)彼らの全ての良い判断は、執筆者に帰属するからだ。同様に、ファウンダー( 私たちの場合は、クライアント)が創作物への賛美を受ける。開発者はコードに対して称賛される。誰も美しい子供を見て、助産師の仕事を称えることはないのだ。

    なら何故やるのか?上述したように、個々の開発者にはより多くの支配力があるが、影響力はとても少ない。いかに賛美も称賛を受けなかったとしてもマネージャーの判断が、最終的に構築されるプロダクトの良し悪しを決めるのだ。それに価値を感じられないと言うのなら、その人は悪いマネージャーなだけでなく、仕事をするフィールドを間違えていると言えるだろう。

    [原文へ]

    (翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

    ムーアの法則が、スタートアップの成功あるいは死を意味する理由

    50th

    【編集部注:

    Diane BryantはIntelデータセンターグループのSVP・ゼネラルマネージャー。】

    ムーアの法則50周年が語られる中、こう言いたがる人がいるかもしれない:それで?Intelを共同設立する3年前、ゴードン・ムーアはトランジスタの価格低下と性能向上が指数的に進行すると主張した。

    ムーアはその主張を今や存在しない業界紙で1965年4月に発表し、ほとんど話題にならなかった。ほとんどの人々が ー ムーアを含め ー 何の反響も覚えていない。50年後、トランジスターの数や「FinFET」や「III-V」族半導体のことを気にかけるのは筋金入りのチップや材料科学のマニアだけだ。ムーアの法則の話題は、博物館やテクノロジーおたくの小さな集まりに似合っている。それは歴史だ。いや、本当にそうなのか?

    静かに、密かに、ムーアの法則は革命的勢力であり続けている。これを無視する人はそれなりの覚悟が必要だ。その真の意味合いを知り魔法を活用する者には、成功さらには革命を起こすチャンスがある。

    Googleはその一例かもしれない。ベテランジャーナリストのSteven Levyは最近、いかにムーアの法則がGoogleを可能にしたかの理論を展開した。Larry Pageが後にGoogle検索になるもののアイデアを開発した時、彼はムーアの法則の力を念頭においていた。

    Levyはこう書く:「(Pageの)卒論指導教授が、そんな作業はウェブ全体をスタンフォードのローカルサーバーに取り込むことを意味していると指摘した時、Pageは臆さなかった。明日のテクノロジーがどれほど強力で安価になるかを確信していた彼は、そんな離れ技がいずれは比較的些細なことになることに気づいていた」。

    もちろんムーアの法則は、テクノロジーや関連する分野で成功する唯一の秘密ではない。しかし、そのしばしば基本的となる役割を避けて通ることはできない。ムーアが彼の主張を発表した1960年代、トランジスタはデジタル経済の基本的構成要素であり、1つ約150ドルで売られていた。今日、トランジスターの価格は0.00014セントだ。言い換えれば、1セント硬貨1枚で、7万個のトランジスタを買うことができる。

    その指数的威力、およびそれがもたらす驚くべき価格低下と劇的性能向上とエネルギー効率の改善は、スマートフォン、ドローン、ゲノム解析、そしてウェアラブルコンピューティングなどの革新を支えている。ムーアの法則は、スマートフォンというアイデアそのものを可能にしただけでなく、それが1990年中期の最高速スーパーコンピューター並みのコンピューティング能力を備えている事を意味している。

    起業家たちにとって、ムーアの法則はデータ集中型ビジネス ー かつてはサーバー、ネットワーク、およびネットワーク機器に何百万ドルも費やす必要があった ー を始めるために必要なのは、今や素晴らしいアイデアとコンピューティング能力をレンタルする能力だけであることを意味している。

    Levyはこう言っている:「事実上あらゆる分野の企業が、ムーアの法則を適用した若い会社の挑戦を受け、ときには廃業に追い込まれている(これをあらゆる物のユーバー化と呼ぼう)。たった今誰かの構想の中に、我々の生活を変え、数十億ドルを稼ぐアイデアが浮かんでいることは十分考えられる ー しかし資金調達には苦労している、なぜならその売り込みが狂気に感じるから」。

    起業家は、いったい何をすればいいのか?

    ムーアの法則の指数的威力を理解し活用するのが悪くないアイデアであることは明らかだ。人間にとって指数的に考えることは困難だが ー クレイジーだと思われる ー しばしばそれは、大きな見返りを生む。

    おそらく、締めの言葉はムーア自身に語ってもらうのがよいだろう。

    「私の考えは、ます製品や何かをしたい領域を決め、それが理にかなっているなら、新たな事業を始める。つまり、今日の多くの起業家はものごとに逆のアプローチをしているように思える。彼らは新しい会社を起こすことを決め、それから利用できるアイデアを探し始める。それが大成功することもある、例えばGoogleのように。多くの場合、線香花火のように、短期間成功したあと他の何かに取って代わられる。もし私が現在および未来の起業家にアドバイスを贈るとすれば、今やろうとしていることを元に長期的事業を作る方法を探しだすことだ ー 短期的成功だけでなく。

    原文へ
     
    (翻訳:Nob Takahashi / facebook

    写真の「LEGO化」に必要なLEGOブロックおよびその組み合わせを教えてくれるLegoizer

    legoizer

    LEGOを使えばいろいろなものを自分で作ることができる。さらに、Legoizerを使えば写真さえもLEGOにすることができる。画像をピクセル化する技術を利用して、写真をブロックに分割し、LEGOで描くための方法を教えてくれる。すなわち必要なブロックの色と形、および各行毎にどのように組み合わせていくのかを教えてくれるのだ。

    たとえば上に掲載した写真は、125行のレゴブロックで再現できるのだそうだ。必要なブロック数は9400ピースなのだとのこと。実用性はともかくとして、LEGOファン同士の間でネタにするには十分に楽しいのではなかろうか。あるいは財政赤字の自治体など、交通標識をLEGO化することで支出を抑えることもできるかもしれない。

    サイトを訪問してみても詳細な情報は記載されていない。コンタクト情報すら掲載されていない。写真をLEGO化することを楽しんでもらいたいと考えたおたく親切な人が開発してくれたのだろう。おそらくサンフランシスコ在住のプログラマーであり、Sailor Mercuryの名も持つSailorHGの作品ではなかろうかと思うのだがどうだろうか。

    via Giz

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    (翻訳:Maeda, H

    HTCのVRヘッドセットViveのデベロッパキットが発売…Oculusの独走を許さず

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    仮想現実ヘッドセットの市場化ではHTCとValveがOculusを追っているが、今日(米国時間6/5)彼らはデベロッパ用ハードウェアを発売した。それは誰が見ても、最初のKickstarterキャンペーンのあとにやることとしては、Oculus VRよりもずっと進んでいる。

    Valve/HTCのViveデベロッパキットにはViveヘッドセットとともに、二つのLighthouseベースステーションが入力のパッシブ部位としてあり、これとSteamのワイヤレスVRコントローラ二基がセットになって、プレーヤーの没入感が完成する。そのほかに、必要なケーブル類とインストラクションがあり、これらが一体となって、デベロッパにやる気を出させるつもりだ。今年の終わりごろに出る消費者製品の吉凶の運命は、彼らが握っているようなものだから。

    この開発キットは、最初は数が限られている。Valveの指定では、大手の映画スタジオとトップクラスでAAAのビデオゲームデベロッパ、そして、これから初めてゲームを作るインディーのクリエイターたちが対象だ。上のツイートの画像でお分かりのように、すでに梱包を開けてみた人もいる。

    本誌のJohn Biggsは今年の初めのMobile World CongressでViveを触(さわ)ってみて、結果に大満足していた。彼みたいに、このヘッドセットに感動した人は多い。ハイエンドのVR消費者製品が、どこかの独走でないことを願っている人たちにとって、それはとても良いニュースだ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    小さなディスク型デバイスのChronosが普通の時計をスマートにする

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    Apple Watchのおかげで、自分の時計コレクションの登場回数は激減したのだが、そろそろ良質な機械の生真面目に一定間隔で時を刻むあの動きが恋しくなってきた。小さい電子製品から情報を始終受け取りながらも、卓越した時計職人の作品を愛でることはできないのだろうか?そうだ、Chronosがある。

    Chronosは、手持ちの洒落た時計の下部に「マイクロ吸盤」で取り付けられる、小さなディスク型のデバイスで、通知を小さなLEDの点滅と振動で伝える。スマートウォッチのように時計の表面をタップし、デバイスを起動させ、着信を止めたり、音楽を再生したりすることもできる。Kisai Linkのように、Chronosのインターフェイスはとても限定的だが、そこが洒落た時計をしつつも、多すぎる通知に煩わされたくない人にとって魅力的なポイントになっている。

    以前私はこのような製品を厳しく評価していた。今でもニッチな市場であると思っている。しかし、良い時計に大金を払った人がジャガー・ルクルトの時計からApple Watchに乗り換えるのは難しいだろう。たとえそれが金のApple Watchでもだ。そう考えると、Chronosは道理にあった製品であると言える。

    このプロジェクトのCTOのLuke Fromowitzは、Samsungの電子製品イノベーションチームと組み、Highway 1でのプログラムを修了して会社の設立に至った。彼らがローンチしたサインアップページには価格は掲載されていなかったが、この小さなディスクの今後に注目していくことにする。予想していたよりも早く私のスピードマスター マークII の出番が回ってくるかもしれない。

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    (翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

    インドで三輪タクシーの配車サービスを展開するJugnooが500万ドルを調達

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    何十年にも渡り三輪タクシーはインドの生活に欠かせないものとして確立してきた。Jugnooという企業は、スマートフォンで簡単に三輪タクシーを呼び止めるようにする。チャンディーガルを拠点とするこのスタートアップはSnow Leopardを筆頭にモバイルコマースの会社Paytmやエンジェルラウンドにも参加した複数の投資家から、シリーズAのラウンドで500万ドルを調達した。

    Jugnooのビジネスモデルの特徴は、移動手段とオンデマンド配達サービスを同時に行っていることだ。ファウンダーのSamar Singlaはこの二本柱でのアプローチで、mGaadiPoochOといった三輪タクシーの配車アプリ、更には最近三輪タクシーもサービスの一環に加えたUberOlaとも差別化を図れると踏んでいる。

    このアプリは現在4都市(チャンディーガル、ルディヤーナー、アムリトサル、ジャイプール)で提供していて、次にグルガオンでもサービスを開始する予定だ。Jugnooは、15万人のユーザーを抱え、毎日およそ3000の注文を満たし、日々4000ドルの収益が得られているという。

    Jugnooは11月にローンチした直後、多くの人が三輪タクシーを移動手段として呼んでいるのではなく、商品の配送か受け取りのために利用していることに気がついた。

    これに対応するため、彼らは新たに2つのサービスの提供を開始した。Jugnoo MealsとJugnoo Fatafatだ。前者はレストランの注文に特化し、後者は地元の商店からのオンデマンド配達を行っている。

    この2つのサービスはJugnooにとって重要な収入源だ。価格に敏感なユーザー層に対して運賃を抑え、サージプライシングを避けたいと考えている。同社の取引の30%を物流サービスが占めているが、彼らの目標はその数値を50%まで引き上げることだ。

    三輪タクシーがインドで普及しているのは、低価格で利用でき、混雑する道でも移動に小回りが利くのと同時に自転車やスクーターより多くの荷物を運ぶことができるからだ。SinglaによるとJugnooやこの手のアプリが登場する前まで、多くの人は道端や停留所で三輪タクシーを呼び止めていたが、場所や交通状況によっては、三輪タクシーを見つけるのに1、2キロも歩かなければならない場合もあったそうだ。

    物理学者でもあったSinglaは、前職はオンデマンドサービスのアプリを提供するJuggernautというスタートアップで働いていた。そこで三輪タクシーをいつでも呼び出すことへの需要があることに気がついたという。

    他の配車アプリや地元に密着した配達サービスのように、Jugnooもヒートマップを利用して需要と供給の管理を行っている。UberやOlaもインド市場での急成長を狙っているが、Jugnooはドライバーやリピート顧客に対し、より魅力的な価値を提供することで差別化することができるとSinglaは説明する。

    「ドライバーに対しては、バックアップとしてではなく、三輪タクシーの配車に特化した企業と働くことの利点を訴求できます」とSinglaは言う。「インドには10倍多く三輪タクシーが走っていて、私たちは需要と供給のバランスを上手く管理することができます。ユーザーがA地点からB地点まで行く一番安くて早い方法を探している場合は、私たちが選ばれるでしょう。空調の効いた車で送迎されたい場合はUberを選ぶと思います」。

    Singlaは物流サービスに関し、地元の食料品店の配達サービスを提供するGrofersPeppertapが主な競合企業であると考えているが、Jugnooの三輪タクシーのネットワークの方が、素早く配達の依頼に応えることができると言う。配達の多くは40分以内に完了しているそうだ。

    会社の拡大については、Jugnoo Fatafatにユーザー、商店とカスタマーサポートの三者間チャットの導入とモバイルでのPOSシステムを構築する計画であると話した。Singlaは、Jugnooの目標は商店にJugnooが開発を計画しているコミュニケーションツール、スムーズな決済手段と商品配達のロジスティクスを提供することであると話した。

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    (翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

    アプリケーション開発の最初から最後までの全工程を描くビデオ…アイデアとプログラミングだけじゃないよ

    アプリケーションは、アイデアとプログラミング(または〜〜をやってくれる人)だけではできない。終点に到達するまでには大量の雑事があるが、プログラムを自分で作ることを漠然と夢見ている段階では、それらに考えが及ばない。デベロッパのDavid Smithは、多くの人から愛されたPedometer++やEmoji++、Feed Wranglerなどを作った人だが、このほど、アプリケーション作りの全工程を表すビデオを制作した

    比較的簡単なアプリケーションを作っていく過程を、最初から最後まで細かく追っていくところが、おもしろい。いちばん最初は、何を解決するのか、というニーズや悩みの把握だ。このビデオでは、Apple Watchやスマートフォンのナビゲーションアプリでお気に入りの場所を容易に検索できるためのリストを、できるだけ簡単に作りたい、がニーズだ。実際のプログラミングの過程は、このビデオでは圧縮されて早回しになっている。

    プログラミングや納品の過程を早回しで見ても、あまり参考にはならないが、このTake Me Thereと名づけた、ものすごくシンプルなアプリでも、大量の作業をこなさないと作れない、と分かることが、このビデオの目的だ。おそらくいちばんおもしろいのは、アプリケーションを作るときの、Smith自身の発想だ。彼によると、最初は前途に大小の障害物ばかり見えるけれど、それを徐々に、エレガントでやりやすい方法を見つけて変えていくのだ。

    なお、そのアプリそのものも良いアイデアだ、とぼくは思った。ときどきApple Watchをナビ的に使って場所を探す人には、とくに便利だろう。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    注釈サービスGeniusがAPIを公開、最初のパートナーはInstapaper

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    オンラインの注釈プラットホーム(annotation platform)Genius〔元Rap Genius〕は、ラップの歌詞のページに書き込みができるサービスとしてスタートし、やがてWeb上のどんなページでもサポートするようになった。同社は今ではサービスのAPIを…蓄積した注釈や音楽メタデータなどとともに…公開しているので、外部のデベロッパが自分のアプリケーションにその機能を実装できる。Betaworksは早速そのAPIのパートナーになり、InstapaperにGeniusを統合してその新しい機能Notesを実装し、それを昨日ローンチした

    InstapaperのNotes機能では、ユーザがネット上の記事から短いテキストをセレクトして、そこにコメントをつけられる。それらの注釈はデフォルトではプライベートだが、共有を指定すればTwitterのtextshotで共有できる。また、FacebookやEvernote、Tumblrなどそのほかのアプリケーションでも共有できる。

    InstapapeのNotes機能でユーザが注釈を作成すると、それをGeniusのAPIがGeniusにポストする。ポストそのものは、FacebookやTwitterなどにポストする場合と同じだ。

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    このAPIには投票機能があるので、読者の投票により注釈が”Genius IQ“と呼ばれる得点を稼げる。それは、Genius上の一種の評判システムで、いろんなアクティビティにポイントが付与される。

    しかしGeniusのルーツが音楽の注釈なので、その無料で使えるAPIには音楽系のパブリッシャーにとって便利な機能がいくつかある。またデベロッパは、これまでGenius.comに蓄積された何百万もの注釈にアクセスしたり、あるいはGeniusの音楽メタデータのライブラリを検索してアーチストやアルバムや曲について知ることができる。

    GeniusのAPIについて詳しく知りたい方は、どうぞこちらへ

    Geniusは昔から目立ちたがり屋で、本誌のTechCrunch Disruptのステージでも必ずおふざけをやらかす。協同ファウンダのMahbod Moghadamはインタビューの席で、Mark ZuckerbergやWarren Buffetなどの大物について、(受けねらいで)不謹慎なコメントを述べたこともある。また同社はブロガーたちにインセンティブを与えて記事中にGeniusのリンクをたくさん書かせ、Googleの検索に対するいかがわしいSEO行為に及んだ。Moghadamはその後、カリフォルニアの銃乱射事件の犯人の声明文へのGeniusの注釈で、女性差別的なことを書き、辞任に追い込まれた

    しかしGeniusのサイトそのものは、ほかの、スパム広告ばかり多い歌詞サイトに比べると、歌詞の読むためのリソースとしては優れている。またGeniusは、企業のプレスリリースに対する注釈で、煙幕のように真意の見えにくい企業語を、ずばり大衆の言葉に翻訳することが上手だ。たとえばここでは、Verizonによる(本誌の親会社)AOLの買収の一件を説明している。

    今Genius.comの月間ビジター数は3000万で、毎月10万あまりの注釈が作られている。Betaworks/Instapaperに続くそのほかのAPIパートナーは、今後数週間以内に発表されるそうだ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    ブラウザから使えるSkypeの公開ベータがまず合衆国とイギリスから提供開始

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    Skypeのビデオ/音声通話とIMが、Webから使えるようになる。その、Webアプリケーション版Skypeのブラウザ上のクライアントを、今日から公開ベータで使える、と同社が発表した。この人気絶大なるチャットと通話サービスのWebバージョンが出たのは昨年の終わりごろだったが、これまではアクセスを招待者に限定していた。それが今日からは、合衆国とイギリスのユーザを皮切りに、誰もが利用できるようになる。

    対応ブラウザはInternet ExplorerとChromeとSafariとFirefoxだが、Chromebookはノー。音声とビデオによる通話は上記ブラウザのみ、OSはWindowsとOS X。いずれも、ブラウザ用のプラグインをインストールする必要がある。

    Web上のSkypeにはローカルのクライアントにない利点がある。旅先で出会った見知らぬコンピュータでも、SkypeアプリケーションはなくてもWebブラウザは確実にあるだろう。何でもWeb上でできる時代にわざわざネイティブアプリケーションをインストールしない、という主義の人もいる。動機は何であれ、機能の完備したSkypeをWebから使えるのは、なにしろ良いことだ。

    Chrome OSがサポートされないのは、ちょっと残念だ。Skypeが使えない==日常のコンピュータとして使えない、という人が多いからね。

    WebバージョンSkypeの詳しい使い方は、Skype.comへ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    キー配列の上部空間に目に見えないタッチパッドがあるBluetoothキーボードMoky

    このキーボードの前宣伝は、嘘みたいに良すぎる。まだプロトタイプしかないから、それもありえる。嘘でなければこれは、久しぶりの本物の天才の作品だ。

    そのキモは、この充電式BluetoothキーボードMokyでは、キー配列の上部の空間がジェスチャで入力できるタッチパッドであることだ。だから別のタッチパッドやマウスは要らない。嘘とか天才とか大げさな言葉を使うのは、タッチパッドがキーボードの下に敷いてあるわけではないからだ。キーの側面にもない。単純にそれは、キーの上の空間にある。だから、それを使うために、不自然な手首の動きは要らない。キーをタイプする同じ場所で、スクロール、ピンチ、ズームなどができる。

    このキーボードの四隅には赤外線レーザーセンサがあって、それらが人間の手の動きを読む。スワイプだけでなく、軽いタップ動作も読む。指は、必ずしもキーの上面に触れる必要はない。キーの上部空間を‘飛行する’だけでよい。

    下のビデオでこの製品のプロトタイプを見られるが、まだ完成品ではない。最終製品では、キーボードの厚さ8ミリを目標にしている。

    また、今の設計ではユーザがキーを下に押し下げてタッチパッド機能をonにするから、完全にタッチレスではない。でも、空間の利用方法としてはとても巧妙で、見てて気分が良い。長時間使ってRSIになる危険性も、少なそうだ。

    このプロトタイプを作った韓国のチームは今、Indiegogoで資金を募集している。発売予定は今年の10月だ。目標額の30000ドルはとっくに突破して60000ドルに接近しており、締め切りまであと1か月あまりある。このアイデアは、かなり好評である。

    WindowsとMacとAndroid対応で、2点のマルチタッチをサポート。今のところマウス入力デバイスAPIのないiOSでは、ふつうのキーボードとしてしか使えない。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    Googleが非営利団体支援事業をアジアでも展開へ

    google-sign

    Googleがその、非営利団体のための一連のサービスを初めてアジアに持ち込み、同社が選んだ地域の団体がそのサービスを利用して、自分たちの活動への認知度の向上努力や新しい寄付者の募集運動を、インターネットからできるようになった。

    Google For NonProfitsと呼ばれるその事業を、これからは香港とインドと、インドネシア、マカオ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、そしてベトナムの団体が利用できる。Googleが申し込みを受け入れた団体には、AdWordsの広告枠が無料で提供され、YouTubeでは特別ブランドとして優遇され、そしてGmail、Calendar、DocsなどGoogle Apps生産性アプリケーションのカスタムバージョンを使用できる。

    また企業ユーザはGoogle Earth ProとMaps APIのライセンスが無料になり、団体はGoogleの資金調達プラットホームOne Todayを資金集めのために利用できる。

    “アジアの諸団体との継続的パートナーシップの開始を、これ以上先延ばしすることはできない。非営利団体がこれらのツールを使って新しい寄付者やボランティアを見つけ、活動の効率を上げ、支援者たちのアクションを誘導できることを、期待したい”、とGoogleのブログ記事は述べている。

    今週の初めにGoogleは、アジアにおけるサーバの能力を拡大するための努力の一環として、シンガポールのデータセンターを拡張することを発表した

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    手持ちのファッションアイテムから最適なコーディネートを提案する「ベストスタイルミー」

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    エモーシブは6月5日、男性向けのファッションコーディネート提案アプリ「ベストスタイルミー」のiOS版を正式公開した。Android版は2014年10月に公開されている。

    人力とアルゴリズムで最適なコーディネートを提案

    ベストスタイルミーは、ユーザーが質問に回答して自分の服の好みを選択した上で、所有している、もしくは購入を検討しているファッションアイテムの写真を撮影すると、24時間以内にそのアイテムを使った最適なコーディネートを提案してくれるサービス。

    スクリーンショット4

    コーディネートの提案は、人力での画像判定と、独自のアルゴリズムを組み合わせて行う。アップロードされた写真に対して、そのファッションアイテムがシャツなのかジャケットなのかという「種類」やアイテムの「色」、半袖か長袖かといった「袖丈」などをまず人力で判定。その上で機械的に最適なコーディネートを提案する。

    人力でのチェックが入ることもあって、ECサイトで見かけるような背景白抜きできっちり撮影した写真でなくとも利用可能。例えばコーディネートを知りたいアイテムを着た自分自身の写真をアップしてもいいのだそうだ。写真を数多くアップデートすることでユーザーの好みを学習し、さらに最適なコーディネートを提案してくれる。ただ、人力ということでどこまでの件数を処理できるかというのはちょっと気になるところだけれども。

    サービスを提供するエモーシブは2012年11月の設立。これまでにインキュベイトファンドおよびディー・エヌ・エー、プライマルキャピタルから資金を調達している(金額は非公開)。

    スタイリストの「ロジック」をシステムに落とし込む

    エモーシブ代表取締役の坂本慧氏は、新卒でホリプロに入社。3年2カ月芸能人のマネージャーを務めたのちに起業を志した。インキュベイトファンドが主催する起業支援プログラムの「Incubate Camp 4th」にも参加している。papeboy&co.(現GMOペパボ)創業者の家入一真氏が自由な発想で次々とサービスをリリースしているのを見て、自らもサービスを立ち上げたいと思ったという坂本氏だが、前職で出会ったスタイリストとのやりとりがベストスタイルミーの企画に繋がったと説明する。

    「スタイリストはセンスや感覚でファッションアイテムを選んでいるように見えるかも知れないが、実は何と何が似合うのかということを非常にロジカルに考えている。ロジカルなのであれば、その考え方をシステムに落とせないかと考えた」(坂本氏)

    僕もそのアルゴリズムのベースになっているスタイリストへのヒアリングシートの一部を見せてもらったのだけれども、「○○の柄は××な体型には合わない」といったことからファッションアイテムの区分、配色の組み合わせに関する内容まで幅広い。坂本氏いわく「スタイリストには合計100時間以上話を聞いている」(坂本氏)とのこと。これに季節ごとのトレンドなどの情報を追加してアルゴリズムをアップデートしている。

    ダウンロード数は4万件に満たない程度でまだまだこれからという数字だが、「リテンションは高い」(坂本氏)とのこと。コーディネートアプリと聞くと、スタートトゥデイの「WEAR」などを思い浮かべるが、坂本氏は利用のニーズが違うと説明する。

    「ゼロベースでコーディネートを考えるのであればWEARでいいと思うが、ベストスタイルミーは自分の持っているファッションアイテムを軸にコーディネートを提案してくれる」(坂本氏)。今はアップロードした写真以外、ユーザーの所有していないファッションアイテムを組み合わせてコーディネートを提案しているが、「自分が持っているファッションアイテムだけでのコーディネートを提案する機能が欲しい」という要望も少なくないという。

    現状、収益源はファッションアイテムのアフィリエイトのみ。今後はオプション機能の提供などでユーザー課金をする予定だという。

    Office 2016プレビュー、OS XとWindows合わせて100万人が使用

    microsoft-office

    MicrosoftのOffice製品は今も人気が高く、歴史的背景を踏まえればそれも驚くことではない。同ソフトウェア会社によると、100万人以上がOffice 2016プレビューを、OS XおよびWindowsで使っている。

    では、100万人というのはかなり多いのか、そうでもないのか、それともその中間なのか? 過去の比較材料があるので見てみよう。Windows 10早期利用プログラムの参加者100万人というデータある。

    Windows 10は2週間に100万人のテスターを集めた。実は私はその数値をj大したことがないと評した。時間と共に、Windows 10は新たなテスターを呼び、その数は「400万人以上」へと増えた。同社に最新数値を尋ねたところ提供を拒まれた。

    もっと長期で見ると、Windows 10は、私が400万人以上と仮定するテスターを集めるのに250日程かかった。平均すると1日当たり1万6000人だ。もちろん変化の波は激しいが、ならせばそうなる。

    Office 2016 for Macプログラムは、2015年3月5日から[Office 365を持たない]一般ユーザーがOS X上で同アプリを使うことを可能にした。Windowsでは、Office 365ユーザーにとって2015年3月16日がその日だった。

    意味のある比較を行うことは簡単ではないが、あえて並べてみよう。まず控え目に仮定して3月10日をOffice 2016の「スタート日付」とすると今日までに86日が過ぎた。単純な割り算をすれば1日当たり1万2000弱のダウンロードになる。

    ここに両方向の落とし穴がある。Officeプレビューを使うことは、新たなWindowsビルドを使うよりずっとハードルが低く、Windowsの方がずっと粗野でかつ短いサイクルでリリースされる場合はなおさらだ。一方で、OfficeのニュースはOSほど報道されない ― 逸話的ではあるが私はそれを言うのに十分長い間この業界にいると思っている ― ので、その点はハンディになる。

    総合的に見て、Officeの数字は立派だ。もちろん、会社は都合の悪い数字は公表しない。私がWindows 10の100万人にケチをつけた時の反応について語ることもできるが、それは飲みながら話すことだ。

    つまるところ、Microsoftの資金源たるOfficeスイーツは、まだまだデスクトップでは固い地盤を持っているようだ。企業人にとって驚く話ではない。シリコンバレーに住むその他の人々にとっては、気に留めておく価値があるだろう。

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    (翻訳:Nob Takahashi / facebook

    Facebook Liteは新興国向けに最小限の機能を備えたAndroid用Facebookアプリ

    fblite


    インターネット接続の弱い場所でFacebookアプリを使用すると不快なほどロードが遅い。また、けちなデータプランしかないインド、アフリカ、東南アジア地域で利用すると法外な通信料が請求される。Facebookは必要最低限まで削ぎ落とした低解像度のAndroidアプリをローンチした。このアプリは、脆弱なインターネット環境や古い端末からでも利用でき、通常のスマートフォンアプリよりデータ通信も少ない。今日からアジア地域で利用でき、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ地域でも数週間内に利用できるようになる予定だ。

    Facebook Liteは新興市場向けに設計され、次の10億人にFacebookのソーシャルネットワークへの搭乗を促すものだ。Facebook Liteには、動画の視聴や近くの友人を探す「Nearby Friends」機能といったデータ通信を多く必要とする機能は搭載されていない。ユーザーがそのような機能がないこと、そしてサムネイル画像が低解像度なのを許せるなら、世界中のどこからでも、素早くスムーズに、そして安価にFacebookを利用することができる。

    Facebook Liteの簡単なデモ動画は以下から視聴できる。

    地に足を付ける

    最新鋭のスマートフォン、LTEネットワーク、無制限のデータプランがあるカルフォルニア州メンローパークでは、Facebookのアプリに問題点があるようには思わない。しかし、Facebookのユーザーが住む地域の全てがメンローパークのようではないし、ユーザー数20億人のマイルストーンを目指すFacebookにとって、リーチすべきユーザーがいる場所もそのような場所ではない。

    「およそ1年前、現在のFacebookでの体験を更に改善しなければならないことに気が付きました。特に新興市場、それもインターネット接続が良くない地域向けにです」とFacebook LiteのプロダクトマネージャーであるVijay Shankarは、私の取材にそう答えた。Facebookは2つの並行する道を同時に進むことにしたと言う。一つは、既存のFacebookのフラグシップアプリを、より少ないデータで早くロードできるように最適化することだった。既に主要なAndroidアプリには適応され、軽くなっている

    もう一つは、「新たなアイディアを検討しました。全く新しく新興国向けのアプリを構築するならどうするか?完全に作り直すならどうすれば良いか?」と考えることだったとShankarは説明した。

    Facebook Lite

    それらの地域での問題を想像するのではなく、Shankarは「多くの実地調査を行いました。アフリカ、インド、インドネシアにおいて多くの時間をかけて調査しました」と話した。チームは、これらの地域での問題を解決するには、3つの条件を満たさなければならないと考えた。

    1. どんなAndroid端末でも機能すること。:どんなストレージ容量、RAM、CPUの端末に関わらずということだ。
    2. 2Gのモバイル回線でもロードが早いこと。:地球上の4億人はそのモバイル回線しか利用できない。
    3. データ通信を極力抑えること。: ネットワークへのアクセスが問題なのではなく、データプランの法外な金額がインターネット利用の最大の障壁であるため。

    未開の市場

    Facebookは新興市場をもう何年も追い求めてきた。5年前、携帯キャリアの力を借り、テキストだけのFacebookアプリ、Facebook Zeroをローンチした。人々にインターネットの必要性を理解してもらうためのものだった。FacebookはSnaptuを買収し、新興市場のフィーチャーフォン向けのアプリの開発も行った。名称は後に、Facebook For Every Phoneと変更された。

    Facebookの最近の取り組みは、50億人にインターネットを提供するための一大プロジェクトであるInternet.orgのローンチだ。通信会社とパートナーシップを結び、都市から離れた地域にもGoogleのProject Loonの風船のように、インターネットを空から届けるドローンを製作している。同時にデータ圧縮技術の開発にも力を入れている。

    internet-org-app

    Internet.orgのアプリもローンチし、キャリアの力も借り、制限のある「基本的なインターネットサービス」への無料アクセスを提供している。例えば、地域の医療や市民に関連する情報、ニュース、Wikipedia、FacebookとMessengerの機能だ。キャリアは、ユーザーにインターネットを無料で試してもらうことで、データプランの購入に結び付けたいと考えている。しかしInternet.orgが無料で使用できるサービスを選別し、限定していることはネットワーク中立性に反するとし、批判に晒されている

    Facebookは全員に無料のインターネットアクセスを提供するようキャリアに強要することはできない。そこで、ユーザー自身が通信料をまかなえるよう、できるだけ低価格で利用できるようにする取り組みを進めた。Facebookは6ヶ月の検証を重ね、Facebook Liteの最初のバージョンを今年の1月からバングラディッシュ、ネパール、ナイジェリアを含む複数の国に提供を開始したことを、TechCrunchのライターであるDarrell Etheringtonが突き止めた。

    Shankarによると、Google Play ストアで既に5万件近いレビューを受け、4.3の平均評価を獲得したが、多くのレビューは彼らの国に導入される時期について尋ねるものだったという。中にはどうしてもアプリを手に入れたい人もいて「彼らは、インターネットで創造性を発揮し、別の国で提供が開始されたアプリを手に入れている」とVPNを利用してGoogle Playを騙し、ダウンロードしている人もいることをほのめかした。

    データ使用量を低減

    今日からFacebook Liteは公式にグローバル展開を始める。サイズは1メガバイト以下で、遅い2G回線でも通信料を安価に抑えられ、数秒でダウンロードできるとShankarは言う。私もしばらくこのアプリを試してみたが、様々な要素をそぎ落としているにも関わらず、アプリは多機能で、動きが軽快なことに驚いた。

    FBLiteNewsFeed

    データ通信を抑えるためFacebookは、このアプリでは一切、高解像度の画像を最初から全部ロードしない仕組みにした。ニュースフィードの写真やリンクのプレビューのサムネイルは最初、多少粗く表示される。タップされた時だけ高解像度の写真がロードされるが、ユーザーが望まない限りFacebookはそのような大きなデータ通信を行わない。Facebook Liteに写真を投稿する場合、アプリは画像を圧縮し、バックグランドでデータを送信するため、画像データは小さく、ユーザーは処理が終わるのを待つ必要がない。

    「サーバーとのやりとりが全て負担になります」とShankarは言う。よって「どの機能や体験をアプリで提供するかに気を配っています」と説明する。アプリには多少の広告もあるが、アプリダウンロード広告のような、Facebookのいくつかの代表的な広告フォーマットはFacebook Liteには表示されないという。広告主は、自社のクリエイティブを圧縮して低解像度で表示されることも好まないだろう。しかし、そうしなければユーザーはそれらがロードする時間を待たず、スクロールしていってしまう。

    以前までFacebookはモバイル用のコードを複数バージョン用意する作業を減らすため、一つのHTML5のウェブサイトからiOSとAndroidアプリをラッパーとして製作しようとしていた。だが今は方向転換し、完全にフォークした低帯域幅の回線専用のコードベースを製作している。

    Facebookはこのことについて熟考したが、何十億人のポテンシャルユーザーにリーチできると考えたら、多少の労力も報われるだろうと判断したとShankarはいう。「Facebookの主要な体験を提供するインターフェイスを複数追加するということは、今後何年にも渡り、それを継続して維持する必要があるということです」。Facebookはライトな気持ちで今回の新興国向けの取り組みを始めたのではないということだ。

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    (翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

    日本のLINEがグループ会話サービスPopcorn Buzzを開始、無料で最大200名まで

    popcornbuzz

    日本のメッセージングサービスLineが、その絶えず拡大しているサービスの中にこのほど、グループ通話を加えた。そのPopcorn Buzzと名付けられたアプリは、すでに相当混み合っているグループ通話の市場に新たに参入する。SkypeやGoogle、Kakao Talkなどの強力な先輩たちに負けたくない新人Popcorn Buzzは、完全に無料で最大200名までのグループに対応、という機能を決め手にするつもりだ。

    Lineの音声サービスLine Callは、安いけど無料ではない。またメインのLineアプリでは、ほかのLineユーザとの通話は無料だ。

    このグループ通話サービスは今すでにAndroid上で全世界的に利用でき、iOSアプリももうすぐ出る。グループによるビデオチャットや、LINEの既存のチャットグループとのトークも、近くできるようになる。

    また、これまで消費者向けのみだったLineのサービスと違って、このグループ通話は企業にも売り込んでいくようだ。

    同社の声明によると、“Popcorn Buzzを使って友だちや家族、クラスメート、クラブのメンバーなどとお話できる。また、それだけでなく、Popcorn Buzzは、これまでの有料の企業向け会議通話サービスに代わって、立派に利用できる。Popcorn Buzzは個人利用も企業の利用も、すべて無料だ”、ということ。

    ただし、この、最大200人のグループ通話を企業が利用する際、QoSの保証はないのでは…、と私は思う。

    Lineは2億500万のユーザが、主に日本といくつかのアジア諸国に集中しているが、サイズではWhatsAppやFacebook Messengerの方が上だ。しかしLineの特長は、メッセージングだけでなく、ほかにも多様な機能を提供し、その部分でも伸びていることだ。

    同社の考え方は、メインのメッセージングサービスの中で、そういういろいろなアプリやサービス(ゲーム、辞書、写真編集、ショッピング、そしてたぶん近く音楽も、などなど)を使わせることによって、既存のユーザのエンゲージメントを増し、メッセージングだけでは掴まえられなかった新規のユーザを獲得することだ。それらのアプリの中でステッカーなどを売ることが、同社の売上になっている。この、メッセージングサービスの中で機能を多様化するという、うまいやり方は、Facebookも最近、真似始めているようだ。

    Lineで通話を始めるには登録が必要だが、その後はURLによってLineのユーザや、Line以外のユーザと共有できる。すでにLineの上にいたユーザは、そのLineのコンタクトをPopcorn Buzzにシンクできる。Uber Conferenceなど、そのほかのグループ通話サービスと同じく、誰かがトークするとその人のアイコンが高輝度になる。

    今Popcorn Buzzで使える言語は、アラビア語、ブラジルポルトガル語、中国語(簡体と繁体)、英語、フランス語、ドイツ語、インドネシア語、イタリア語、韓国語、マレー語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、トルコ語、ベトナム語だ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

    Yahoo、IFTTTの先駆けともなったYahoo Pipesのサービスを停止(Yahoo Mapsなど含む)

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    IFTTTなどが登場してくる前、オンライン上のデータを使ってマッシュアップするのにYahoo Pipesがよく利用された。オンライン上に用意されたビジュアルインタフェースを使って、プログラミング知識のない人もいろいろなウェブデータを収集してフィルタリング処理するようなことができるようになっていた。便利に使っている人も多いこのYahoo Pipesだが、まもなくサービス停止となるそうだ。他にもYahoo Maps、GeoPlanetとPlaceSpotter API、さらには各地域毎に提供されてきたサービスもいろいろと停止されるようだ。

    ニュースソースはYahooのブログ記事だ。検索、コミュニケーション、デジタルコンテンツといったエリアに注力するために、リソースの集中化をはかることが目的であるとのこと。

    また、この流れに則って古いプラットフォーム上でのプロダクトサポートの停止もアナウンスしている。たとえば6月15日よりiOS 5以前のMailアプリケーションでYahoo Mailを使うことはできなくなる。またMac OS X 10.8 Mountain Lion以前のOSでは、Yahoo Contactの同期機能が使えなくなるようだ(こちらも6月15日より)。いずれの場合も、アプリケーションからではなく、ウェブブラウザーによって利用は継続できる。

    さらにはYahoo Mapsも閉鎖されるとのこと。但しこれは単独のサービスとしては停止するということで、Yahoo SearchやFlickrからの利用は継続して行なっていくらしい。

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    GeoPlanetおよびPlaceSpotter APIはQ3から使えなくなるそうで、これらを利用している開発者はYahoo Query Language(YQL)およびBOSSに乗り換える必要が出てくる。

    また、6月から7月にかけて、以下のような地域サービスが停止されると挙げられている。すなわちフランスおよびカナダにおけるYahoo Music、スペインにおけるYahoo Movies、Yahoo Philippinesのホームページおよび各ジャンル毎のサイト、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、およびカナダにおけるYahoo TV、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、およびイタリアにおけるYahoo Autos、そしてシンガポールにおけるYahoo Entertainmentだ。停止されるサービスで扱っていた情報コンテンツについては、将来的には他のYahooネットワーク上で提供していきたいとのこと。それぞれの地域独自の判断で停止されるというよりも、2014年からの地域プロパティの廃止策を継続したものと考えるべきだろう。

    Screen Shot 2015-06-04 at 2.16.42 PM

    Yahoo Pipesについては、確かに利用者は減少傾向にあったのだろう。しかしウェブデータを手軽に扱うための画期的プロダクトとして登場してきて以来、便利に使っている人も多かったはずだ。Yahoo Pipesの登場は2007年になったばかりの頃だった。さまざまなサイトからのデータを集約し、必要なデータを抜き出したマッシュアップを作成するためのツールとして大いに注目を集めたものだった。自前のマッシュアップを作るのに利用するのはビジュアルインタフェースで、さまざまなモジュールをドラッグ&ドロップで配置することで行うようになっていた。完成品は保存しておき、もちろん多くの人と共有することもできるようになっていた。

    Pipesで作ったツールをテンプレートとして「リミックス」用に公開するというのは、たとえばIFTTTの「レシピ」のようなものだったわけだ。

    一般の(開発系ではない)人々にもデータを操作する仕組みを提供しようとする、このYahoo Pipesの試みはIFTTTだけではなく、たとえばZapierTasker、あるいはWorkflowなどのサービスに引き継がれることともなった。

    Yahoo Pipeを使った開発は今年の8月30日で停止となる。データの移植などのために、Pipesの仕組み自体は9月30日まで動作させるのだとのことだ。

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    (翻訳:Maeda, H

    Instapaperがテキストに注釈を書ける‘Notes’機能をローンチ

    オンラインの記事を保存/共有させてくれるInstapaperが、Notesと呼ばれる注釈機能をローンチした。

    この機能は使ってユーザは記事などから一片のテキストを選び、そのテキストにコメントをつけられる。Notesはデフォルトではプライベートなので、誰もその注記を見ることはできない。しかしシェアを指定すると、Twitterのtextshot機能で注記を共有できる。たとえば、次のように:

    共有はそのほかのiOSアプリ、FacebookやEvernote、Tumblrなどでも共有でき、IFTTTの新しいトリガからでもよい。

    デフォルトをシェアにしたければ、Instapaperの”Share All Notes”ボタンを押す。

    昨年9月にInstapaperは大改装をし、フリーミアムへ移行した。それ以降、Speed Readingをはじめ、新しい機能が次々と増え、そして今回がNotesだ。

    依然としてInstapaperはデフォルトでは無料だから、Pocketなどと互角に競合していくためには、人びとがお金を払ってでも使いたくなる有料機能を提供していくことが、収益化の決め手になる。

    Instapaper 6.4を使ってみたい人は、ここへ行ってみよう。

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    [原文へ]
    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa