検索結果でグーグルが歌詞を無断利用した訴訟でGeniusが敗訴

Google(グーグル)がスポーツマン精神に反するような振る舞いをしたとして注目されていた裁判で、原告の訴えを棄却された。訴訟では、グーグルがGeniusから歌詞を盗み取った現行犯とされていた。しかしGeniusにとっては不運なことであるが、その訴えは著作権侵害に相当するとされ、原告が主張したものではないため訴訟は無効になってしまった。

2019年12月に提起されたその訴訟(The Hollywood Reporter記事)は、グーグルがGeniusの利用規約に違反し、後者のサイトから歌詞を切り取って曲を検索するページに不正に表示したと告発していた。例えば「Your Love is Killing Meの歌詞」で検索すると、検索者はGeniusといった歌詞の情報を提供しているサイトへ送られるのでなく、検索結果のページに歌詞が直ちに表示される。

それらの歌詞が、直接または共犯者により許可や出典明記なく、それらのサイトから直接取られたものであるならフェアではない。グーグルがその現行犯的行為を、括弧やアポストロフィ使ったモールス符号を使って偽装したことを、Geniusは証明した。ずるい!

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摘発されたグーグルは、やり方を改めるとしたが、すぐにまた、同じ方法で同じことを行い摘発されている。誰もが「ビッグG」が懲らしめられるのを見たくなり、Geniusはその期待に応えるべくグーグルを訴訟した。

しかし問題は、Geniusがそれらの歌詞の著作権保有者ではないことだ。歌詞をライセンスしているだけだ。グーグルに対する同社の申し立ては、ニューヨーク東部地区判事であるMargo Brodie(マーゴ・ブロディ)氏の決定により、著作権侵害に相当するとされた。そして著作権は、ブロディ氏の管轄外だった。

被告が歌詞を「切り取って」自己の利益のために使ったとする原告の申し立ては、被告が原告による歌詞の書き起こしを無許可で再生し利益を得たという申し立てに相当する。それは、国の著作権法に触れる行為である。

不正な事業行為の申し立てに関しては、ブロディ氏はそれもまた著作権の論議だとした。

原告は被告が何らかの信認義務や守秘の関係に違反した、あるいは被告の企業秘密を不正利用したと申し立てていない。むしろ被告の主張はまさしく、裁判所が従来から一貫して関わってきたタイプの不正行為であり、それらは著作権法の対象になるものである。

申し立てのすべての主因が国の法律に関わるものである以上、州の地裁の判事であブロディ氏には、この訴訟を棄却する以外の選択肢はない。

原告のすべての州法に関わる主張が著作権法に関わるものである以上、また原告は国の法に関連する申し立てを主張していないので、当裁判所はこの告訴を、訴件を申し立ての失敗として棄却する。

グーグルほどの企業が不正に手を染め、さらに無罪解放になったことは、ちょっとがっかりだが、Geniusにも不正の前歴がある。しかし法律のシステムは、上部の横に線がある文字「t」を「i」と読んだり、上に点のある文字「i」を「t」と読むことはできない。誰かが財布を盗んだら、それを横領で訴えることはできない。両者がほとんど同じ窃盗行為であってもだ。

この訴訟ではGeniusのチームは著作権の申し立てをすべきだったが、残念ながら同社は著作権の保有者ではない。著作権法はわかりにくいことで有名で、特にデジタルコピーやライセンスの問題になると、わかりづらさが増す。

Geniusは、グーグルの目の回りに不名誉の黒いあざを作ることには成功したから、今後はまた新たな訴訟を起こすのか、それとも今後の裁判費用を節約するのか。スクレイピング(他サイトのコンテンツを削り取り流用すること)は、最近の議会の反トラストに関する聞き取り調査でも問題になっている。でしかし間違いなく今夜、グーグルの本社で安堵のシャンパンが開けられていることだろう。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

検索結果ページで歌詞を紹介するGoogleは今後歌詞提供者のクレジットを明記へ

今週初めに、いろんな曲の歌詞をたくさん集積しているGeniusが、Googleを同サイトからコピーした歌詞を検索結果の中で無断流用していると非難した。GeniusはWall Street Journal紙(WSJ、ウォールストリートジャーナル)によって同社サイトへのトラフィックが減った、と言っている。Googleは最初、間違ったことは何もしていないと主張していたが、その後、問題を調査中であると述べ、その紛争を本日のブログ記事で取り上げている。その中で同社は、検索結果の情報ボックスの中の歌詞を提供しているサードパーティのパートナーの帰属(attribution)を、今後は含めるようにする、と言っている。

Googleが最初にWSJの取材を受けたとき、検索ページに表示される歌詞はパートナーからライセンスされたもので、Googleが作ったコンテンツではない、と言っている。しかし曲の検索結果のページの上部に表示される情報ボックスやカードの中の歌詞の一部には、モールス符号を使ったGenius特有の透かし模様がときどきある。Geniusはこれまで2年間、この件で何度もGoogleにコンタクトしたという。たとえば4月にGoogleに送った書簡は、そのやり方はサイトの利用規約に違反しているだけでなく、反トラストの法律にも違反している、と責めている。Googleなどの大手テク企業は、それでなくても政府の規制当局から反トラストで捜査されているから、それは重大な嫌疑だ。

WSJの記事のあとGoogleは声明で、この問題は調査中であり、やり方が良質でない歌詞提供者とは今後協働しない、と言った。

今日のブログ記事では、Google検索のグループプロダクトマネージャーSatyajeet Salgar氏がこう言っている。「会社は歌詞を表示する権利に関して音楽の出版者に支払っている。ソングライターのために歌詞の権利を管理しているのが彼らだからだ」。しかし音楽出版者の多くが歌詞のテキストをサードパーティの歌詞コンテンツプロバイダーからライセンスしているので、Googleは彼らとパートナーすることになる。(訳注:歌詞プロバイダーに協力するクラウドソーシングな書き起こし屋さんが多数いる。歌詞が最初から音楽商品に付随している場合も、それらの一般的な提供業務は既存音楽業界のどこも担当してない)。

Salgar氏は曰く、「たくさんのWebサイトをクロール(crawl、はいまわる)したりスクレープ(scrape、こそげる)したりして歌詞を得ているわけではない。検索ページの情報ボックスに出る歌詞は、歌詞コンテンツのプロバイダーから直接来ている。定期的に修正や新しい歌詞を受け取っているので、それらの歌詞は自動的に更新されている」。

そんなパートナーのひとつが、Googleが2016年に協定を結んだLyricFindだ。LyricFindのCEOはWSJに、歌詞をGeniusから得ていない、と言っている。

Salgar氏のブログ記事は社名を挙げていないが、紛争に関してはこう書いている。「今週のニュース記事によると、われわれの歌詞コンテンツプロバイダーのひとつが、彼らの歌詞の出所をめぐって、ある歌詞サイトと争議を起こしている。われわれはパートナーに問題の調査を求め、彼らのやり方が業界のベストプラクティスに確実に従っているようにしてほしい、と言っている」。

今後Googleは、検索結果のページに歌詞を提供したプロバイダー企業の帰属を含めるつもりだ。Salgar氏は曰く、「これからも権利保有者を尊敬し報酬が支払われるようなやり方を続けていく。音楽出版者とソングライターは彼らの作品に関し確実に支払われるべきである」。

Geniusは2009年にRap Geniusという名前でローンチし、Googleとは一貫して仲が悪い。2013年には検索結果の上位に自分を置くためにRap Geniusが使ったSEOの手法に、Googleのウェブスパム対策チームが文句をつけた。Googleは仕返しとして、Rap Geniusのリンクをほかの検索結果のページの下に置いた。その喧嘩は2週間足らずで解消したが、その間はRap Geniusのトラフィックが激しく落ち込んだ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple Music、歌詞注釈のGeniusと提携

Spotifyが、ポップミュージックのプレイリストに歌詞注釈を持ってこようとGeniusと提携したのは2016年のことだ。しかしながら、その提携はそれ以上発展しないようだ。Geniusは、Spotifyの競合相手とパートナーシップを結んだ。

Geniusは今日、ブログ上でAppleとの提携を発表した。この提携により、GeniusはAppleのデスクトップやiOSアプリにある“数千ものヒット曲”に歌詞を提供する。この提携に加え、Geniusはまた優先ミュージックプレイヤーとしてApple Musicを使う。

これは、GeniusのサイトまたはiOSアプリで閲覧する曲の再生はAppleのソフトウェアがデフォルト設定されていることを意味する。

「Apple Musicで音楽を聴きながらGeniusで歌詞や注釈を読めるというのは夢のような体験だ」とGeniusのCSO、Ben Grossは今回の発表に伴う声明でこう述べている。「Apple Musicを我々のオフィシャルミュージックプレイヤーにすることを誇りに思う。そしてその素晴らしい音楽プラットフォームにGeniusの歌詞を提供することは二重の喜びだ」。

Spotifyにとって、Geniusが競争相手に傾いたことは少なからず逆風となる。Spotifyはこのところ、成長を続けるApple Musicによってシェアの維持に苦しんでいる。本誌記者Sarah Perezが最近書いたように、歌詞や音声サポートの欠如はサービスを展開する上で弱点となりつつある。

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(翻訳:Mizoguchi)

Geniusが従来の注記注釈のほかにQ&Aを常設、歌詞についてアーチストに質問できるぞ!

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Geniusは、ドキュメント〔曲の歌詞など〕にユーザーが自由に注記を書けるサービスだ。ここが今日、Q+Aと名付けたQ&Aサービスを立ち上げた。

初期のGeniusはRap Geniusという名前で、もっぱらラップの歌詞の宝庫だった〔ラップの歌詞を知りたい人のためのサービス〕。でもそのときからすでに、ユーザーは、各歌詞に対して情報や意見を書けた。しかしその後は、あらゆる種類のドキュメントを扱うようになった。一般公開されているスピーチの内容や、詩など、さまざまなドキュメントが対象になった。移行に際しては、成長痛もあったけれど。

これからのGeniusユーザーは、求める情報が同サイト上になくても、諦める必要はない。Q+Aはデスクトップではページの右側、モバイルでは歌詞の下にある。

Q+Aは、あらゆるジャンルのドキュメントで使える。歌詞だけでなく、スピーチでも、何かの声明文でも。

しかも、Geniusのアカウントがない人でもQできる。答が得られたら通知が来るから、メールアドレスは提供する必要がある。

Q+Aの内容も、これまでの注記と同じく、永久に存在する。ただし内容の変化や他の注記等との層状化(関連付け)はありえる。

Q+Aの重要なねらいのひとつが、アーチストをファンなどとの会話に参加させることにある。同社によると、Q+Aは、このサイト上でアーチストとファンが対話するための常設的部位になる、ということだ。

アーチスト自身が、このサイト上で自分の歌詞に注記を提供している場合も多い。その主な例は、Lin-Manuel Miranda, Selena Gomez, Sia, The Chainsmokers, Lil Wayne, Eminem, Blake Sheltonなどだ。〔そして、Metricも!〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

注釈サービスGeniusがAPIを公開、最初のパートナーはInstapaper

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オンラインの注釈プラットホーム(annotation platform)Genius〔元Rap Genius〕は、ラップの歌詞のページに書き込みができるサービスとしてスタートし、やがてWeb上のどんなページでもサポートするようになった。同社は今ではサービスのAPIを…蓄積した注釈や音楽メタデータなどとともに…公開しているので、外部のデベロッパが自分のアプリケーションにその機能を実装できる。Betaworksは早速そのAPIのパートナーになり、InstapaperにGeniusを統合してその新しい機能Notesを実装し、それを昨日ローンチした

InstapaperのNotes機能では、ユーザがネット上の記事から短いテキストをセレクトして、そこにコメントをつけられる。それらの注釈はデフォルトではプライベートだが、共有を指定すればTwitterのtextshotで共有できる。また、FacebookやEvernote、Tumblrなどそのほかのアプリケーションでも共有できる。

InstapapeのNotes機能でユーザが注釈を作成すると、それをGeniusのAPIがGeniusにポストする。ポストそのものは、FacebookやTwitterなどにポストする場合と同じだ。

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このAPIには投票機能があるので、読者の投票により注釈が”Genius IQ“と呼ばれる得点を稼げる。それは、Genius上の一種の評判システムで、いろんなアクティビティにポイントが付与される。

しかしGeniusのルーツが音楽の注釈なので、その無料で使えるAPIには音楽系のパブリッシャーにとって便利な機能がいくつかある。またデベロッパは、これまでGenius.comに蓄積された何百万もの注釈にアクセスしたり、あるいはGeniusの音楽メタデータのライブラリを検索してアーチストやアルバムや曲について知ることができる。

GeniusのAPIについて詳しく知りたい方は、どうぞこちらへ

Geniusは昔から目立ちたがり屋で、本誌のTechCrunch Disruptのステージでも必ずおふざけをやらかす。協同ファウンダのMahbod Moghadamはインタビューの席で、Mark ZuckerbergやWarren Buffetなどの大物について、(受けねらいで)不謹慎なコメントを述べたこともある。また同社はブロガーたちにインセンティブを与えて記事中にGeniusのリンクをたくさん書かせ、Googleの検索に対するいかがわしいSEO行為に及んだ。Moghadamはその後、カリフォルニアの銃乱射事件の犯人の声明文へのGeniusの注釈で、女性差別的なことを書き、辞任に追い込まれた

しかしGeniusのサイトそのものは、ほかの、スパム広告ばかり多い歌詞サイトに比べると、歌詞の読むためのリソースとしては優れている。またGeniusは、企業のプレスリリースに対する注釈で、煙幕のように真意の見えにくい企業語を、ずばり大衆の言葉に翻訳することが上手だ。たとえばここでは、Verizonによる(本誌の親会社)AOLの買収の一件を説明している。

今Genius.comの月間ビジター数は3000万で、毎月10万あまりの注釈が作られている。Betaworks/Instapaperに続くそのほかのAPIパートナーは、今後数週間以内に発表されるそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa