創業者が失敗する最大の理由:プロダクトCEOのパラドックス

創業者が会社を軌道に乗せた後、大きく成長させる上で大きな課題となるのが、創業者が製品開発にいつまでも関わりすぎることによる弊害「プロダクトCEOのパラドックス」。世の中にはスティーブ・ジョブスみたいな製品開発の詳細の詳細までこだわって成功した人もいるわけですが、ジョブス自身がカリスマとなりジョブス=Appleブランドとなった余りに特殊な例でもありますし、現実的にはその拘りが中長期的な成長の足かせになることが多いようです。今回はそんな創業者への製品への拘りにまつわる興味深い話を全米No.1クラスのVCが語ります。 — SEO Japan

If I knew what I knew in the past
I would have been blacked out on your a**
?Kanye West,?Black Skinhead

私は、創業者が自分の会社を経営することを支持していることで有名なため、創業者がスケールに失敗したり、プロのCEOに取って代わられたりするといつも、人々が多くのEメールを私に送ってくる。Ben、何が起きたんだ?創業者の方が優れているのかと思っていたけど?“私が創業者CEOを好む理由”をアップデートするつもりがあるのか?

これらのEメールへの返答:いいや、私はその投稿を書き直すつもりはないが、私はこの記事を書くつもりだ。創業者が自分の作った会社を経営するのに失敗する理由は主に3つある:

  1. 創業者が本当はCEOになりたくない全ての発明家が会社を経営したいわけではない。そして、もしあなたが本当にCEOになりたいわけじゃないのなら、あなたが成功する確率はひときわ低くなる。CEOのスキルは習得するのが非常に困難なため、そうしたいという強い願望がなければ、創業者は失敗するだろう。もしあなたがCEOになりたくない創業者なら、それは構わないが、それを早い段階で把握して自分自身と他の全ての人達を多くの痛みから救うべきだ。
  2. 役員会がパニックになる時には、創業者はCEOになりたいのだが、役員会は創業者が間違いを犯すのを目にして、パニックになり、時期尚早に取り換える。これは痛ましいが、よくあることだ。
  3. プロダクトCEOのパラドックス多くの創業者は、プロダクトCEOのパラドックスにぶつかる。これについて以下に説明する。

プロダクトCEOのパラドックス

ある友人は、容赦なく自分のプロダクトビジョンを追求することによって、記録的な速さで自分の会社を利益ゼロから10億ドル以上に導いた。彼は、自らの会社のプロダクトプランニングと実行の複雑な詳細に密接に関与することによってそれを成し遂げたのだ。これは、従業員およそ500人に至るまでは見事にうまくいった。その後、会社が拡大し続けると、物事は悪化し始めた。彼は、複雑な製品ラインにわたって団結と文脈を維持した明確なビジョンを持つプロダクト創業者から、気まぐれに思える意思決定者および製品の障壁へと変貌した。これが従業員を苛立たせ、開発を遅くした。その問題を受けて、さらには会社を拡大するのを助けるために、彼は身を引き、全ての主要製品の決定と指示をチームへと委任し始めた。そして彼はプロダクトCEOのパラドックスにぶつかったのだ:プロダクトCEOが製品に大いに関与することにもまして早く会社を破たんさせる唯一のことが、CEOが製品から離れることなのだ

これはよくある話だ。創業者が飛躍的なアイディアを練り、それを築くために会社を始める。そして、そのアイディアを最初に思いついた人として、休むことなく働き、製品の出来栄えがビジョンに合っていることを確実にするために製品の細かいこと全てに関与することによってそれを実現する。製品は成功し、会社は成長する。すると、いつの間にか、CEOは自分なしで従業員がより上手にできることに注意を払い過ぎて、会社の他のことに十分に注意を払っていないと、従業員が文句を言い始める。役員会もしくはCEOコーチが、“従業員を信頼して委任する”ことを創業者にアドバイスする。そして、製品は焦点を失い、ラクダ(委員会によって作られた馬)のように見え始める。そうこうしているうちに、CEOが製品において唯一の世界クラスだったために、彼女が素晴らしい製品指向のCEOからくだらない汎用CEOへと事実上変身したということが判明する。私たちには新しいCEOが必要なようだ。

どうすれば私たちはそれを防ぐことができるのだろうか?製品指向の優れた創業者/CEOのほぼ全てが、そのキャリアを通して製品に関与したままであることが分かっている。Bill Gatesは、リタイアするまでMicrosoftでの全ての製品レビューに出席した。Larry Ellisonは、今もOracleで製品戦略を実行している。Steve Jobsは、Appleで全ての重要な製品のディレクションに介入していたことで有名だ。Mark Zuckerbergは、Facebookで製品ディレクションを行っている。彼らはどうやって会社を粉々に吹き飛ばさずにそれをやっているのだろうか?

長年にわたって、どの人も、個々の一連のプロダクト・ディシジョンへの関与のレベルを減らしたが、必要不可欠な関与は維持した。製品指向のCEOの必要不可欠な関与は、少なくとも以下のアクティビティから構成される:

  • プロダクトビジョンを維持し推進する – CEOが、全部のプロダクトビジョンを作る必要はないが、製品指向のCEOは自分が選択したビジョンを推進しなければならない。何が為されるべきかを見て、それを適切に準備するという立場にある人間なのだ。
  • クオリティ・スタンダードを維持する – 十分に良い製品とはどれくらい良くあるべきなのだろうか?これは、応えるのが非常に難しい質問であり、それは一貫していなければならないし、文化の一部でなければならない。Steve JobsがAppleを経営していた時、彼は素晴らしい顧客ロイヤルティを作ったスタンダードを推進したため、これを正しく行う力を見るのは簡単だった。
  • インテグレーターになる – Larry PageがGoogleのCEOを引き継ぐと、彼は全てのプロダクトグループに共通のユーザープロフィールに着手することを強いてパラダイムを共有することにたくさんの時間を費やした。なぜか?彼がそうしなければならなかったからだ。CEOがそれを起こさなければ、決して起こらなかった。それは他の誰かの優先事項ではなかったのだ。
  • 人々に自分が持っていないデータを検討させる – 今日の世界では、プロダクトチームは自分たちが作った製品に関する未曾有のデータを持っている。彼らのやりたいようにさせると、彼らは自分が持っているデータの周辺で製品を最適化する。しかし、彼らが持っていないデータはどうなのだ?顧客が想像することのできない作られる必要のある製品や機能はどうなのだ?CEOの出番だ。

しかし、これまでずっともっと深いレベルで製品に関与してきたのなら、あなたはどうやってそんなことをするのか?どうやっていくつかの分野では全く身を引かずに、総体的には体裁良く身を引くのか?ある時点で、あなたは自分の製品関与を正式に構造化しなければならない。密接に関与した動きから、チームから力を奪ったりチームの気を狂わせることなく自分が貢献することを可能にするプロセスへと移行しなければならない。厳密なプロセスは、あなた自身とあなたの強みとあなたのワークスタイル次第だが、通常は以下の要素から恩恵を受ける:

  • 言うのではなく、書く。 製品に求めることがあるのなら、それを完全に書き出すのだ。簡単なメールではなく、正式なドキュメントとして。これが、あなたが最初から最後まで考えたそれらのことへのあなたの関与を制限する働きをしながら、明確さを最大限にする。
  • 製品レビューを正式なものにして参加する。 もし、チームが、ビジョンとの一貫性やデザインの質や統一ゴールに対する進捗などをあなたがチェックする定期的なレビューを予期すべきことを知っているのなら、あなたが廊下で方向転換する場合よりも、力を奪われる感じは少なく感じるだろう。
  • 正式な過程以外で指示を伝えない。個々のエンジニアやプロダクトマネージャーとその場しのぎで話すのは構わないし必要なことだ。あなたは何が起こっているのかの自己理解を継続してアップデートする必要がある。しかし、これらの状況に飛び込んで指示を与えようとする試みは我慢することだ。上で説明したような正式なコミュニケーションチャネルを介してのみ指示を与えること。

必要とされる場所では関与したままで、必要不可欠ではない関与から手を引くのは本当に難しいということは留意すべきことだ。これがほとんどの人が自爆する場所なのだ:手放さないことによって、もしくは手放すことによって。もしあなたが、私の友人が気付いたこと―全てを手放さずに少しを手放すことはできない―に気付いたなら、CEOの変更を検討すべきかもしれない。しかし、そうするのではなく、これをする方法を学ぶのだ。


この記事は、ben’s blogに掲載された「Why Founders Fail: The Product CEO Paradox」を翻訳した内容です。

私も、零細ベンチャーの経営者なりに参考になる話でした。最も私の場合は、最初の成功が不十分なのでそちらを頑張らないといけないわけですが・・・汗 創業者なりの製品への愛情や拘りは製品や事業の成功には絶対不可欠とは思いますが(米国で大手に買収されたベンチャーの製品がその後飛躍的に進化する例って余りないですよね)、成長過程でいかに社員・チーム全体の意思を統一し、全員の力を発揮することによってより優れた製品に育てていくことができるのか、というのは成長前のスタートアップにとっても大事なこととは思いますし、スタートアップ経営者にとっても参考になる記事だったのではないでしょうか? — SEO Japan [G+]

GIF大好きな人にとっての必携ツール、Gif.Meという名前のChrome拡張機能が登場

Gif.meというのは新しくリリースされたChromeの拡張機能だ。インターネットで見つけたGIFを右クリックひとつで保存して共有することができる。

とても便利だ。

ウェブで発見したGIFの上で右クリックしてGIFME THISを選ぶと、画面右に表示されるGIF MEフォルダに保存され、いつでも確認することができるようになる。GIFへのリンクをコピーするのもクリックひとつで行うことができる。さらにはタグを付けてGIF MEライブラリを管理しておくこともできる。

GIFの保存管理のためのツールというのは誰もが必要とするものではないだろう。但し、少なくとも私のような(GIFおたく的)存在にはなくてはならないツールだ。

多くの人は、GIFを見たくなったらおそらくネットから探してくるというのが一般的だろう(Giphyのようなサービスを使うことが多いだろうか)。あるいは面白いものを見つけたときにブックマークしておいて、それを時々見なおしたりするだろうか。人によってはファイルをダウンロードしておくという人もいるかもしれない。

おたくな人々は、マクロを組んでおいて、思いついたときに必要なGIFを呼び出せるようにしている人も多い。

そうした振る舞いをしている人(ないし、そこまでいかなくても、ちゃんと整理しておきたいと思う人)にとっては、このGif.me拡張機能が必携ツールとなるのではないだろうか。さまざまな苦労が右クリック一発で解決することとなる。

また、ファイルのURLはそのままで変更されることはない。これも著作権的に好ましいことだろう(訳注:但し、ファイルへの直接リンク形式です)。

試してみたいと思う方はこちらからインストールすることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


SmartNewsのゴクロが4.2億円を増資、データサイエンティストなど人材採用を加速

smartnews

スマートフォン向けニュースアプリ「SmartNews」を開発、運用するゴクロが今日、グロービス・キャピタル・パートナーズを割当先とする第三者割当増資を実施して4億2000万円を調達したと発表した。増資実施後のゴクロの資本金は4億8000万円となる。

SmartNewsはiPhone、iPad、Android向けアプリとして提供されていて、事前にダウンロードしたコンテンツをモバイル端末に合わせた独自UIで読めるニュースアプリ。メディア各社と提携していて、現在25社43媒体と提携、もしくは協業が進行中という(情報開示:TechCrunch Japanも協業媒体の1つ)。ダウンロード数は公開されていないが、2013年7月8日現在でiOS版の評価平均が4.66(8527人の評価)、Android版の評価平均が4.58(3379人の評価)というから評判は上々のようだ。

ニュースのアグリゲーション・キュレーション市場では、SmartNews以外にもGunosyや、Anntena、Flipboardなどがある。Antennaを運営するグライダーアソシエイツが8月8日にマクロミルから15億円の出資をすることを発表しているなど注目分野だ(もっともAntennaへの出資についてはバリュエーションが過大ではないかという意見も各方面から聞こえてくるが)。

SmartNewsは単にモバイル画面で見やすいニュースということではなく、今回の増資でエンジニアや「データサイエンティストを採用する」と明言しているように、情報のフィルタリングが1つのキモだ。ゴクロの鈴木健氏がTechCrunchに語ったところによれば、ユーザーに届ける記事の選別は、Twitterで得た情報を独自開発のリアルタイム解析技術「Crowsnest」を使って行なっている。

また、OSネイティブの描画コンポーネントではなく、独自の表示エンジンを使っているのも特徴という。ページめくりのエフェクトというのもあるが、もう少し地味でありながらもUIを使いやすいものにする工夫がある。例えば、記事の見出しを形態素解析を行って品詞の連接状況から折り返し位置を決定して表示しているほか、カーニングや長体処理(文字幅を縮めたり伸ばしたりする処理)をかけることで、スマフォなど限られた画面に最適に文字が表示されるよう腐心している。OSやブラウザ標準の描画コンポーネントを使うと、特に横幅を狭めたようなときのテキスト表示では、禁則処理で無駄な空白ができてしまいがちなので、それを回避しているということだ。SmartNewsのタイル表示された記事見出しをよく見ると、一部の記事の枠に淡い色がついているが、こうした配色がなく真っ白な状態だと、ぱっと画面をみた時にどの写真(画像)がどのテキストと関係しているのか人間には分からなくなってしまう、ということもあるという。

ゴクロは今回調達した資金で、主に人材獲得を加速する。エンジニア、データサイエンティストらを中心に、現在6名の社員を1年以内に40名規模の体制する。さらに、海外市場を視野に入れた事業の準備に着手するという。

PCからモバイル、Webからアプリ、人間によるコンテンツ編成から統計処理と、いろんな流れにうまく乗っているように見えるSmartNewsですが、果たしてポストPC時代のヤフーポータルのような存在になれるのか注目ですね。


履歴書ではわからないプログラマ能力を評価するHackermeter。採用現場での普及を目指す

有能なプログラマを雇おうと考えたとき、応募された履歴書を見ていくという行為はたいてい無駄なものとなる。募集要項なども見ずに応募してくる人をはじくこと程度にしか役に立たないのだ。優秀な技術者を募集したとしよう。するとプログラマを自認する人のすべてが「Cに堪能である」として応募してくることもあり得る。だまそうとするのではなく、各自の基準にて自分で信じ込んでいる場合もあるのだ。

そうした事実に対処するため、コーディング能力を数値化しようとするのがHackermeterだ。Y Combinatorに参加していたスタートアップのひとつだ。

Hakcermeterは、基本的にコーディング課題に対応する能力によってスコア付けを行う。より良いプログラミングを行えばスコアは高くなる。スコアが高ければ、それだけ有能な人材であると認知されるようになるわけだ。

Hackermeterに登録する際、まずはプログラマであるのか採用側であるのかを選択する。

プログラマであるとして登録すると、選択すべき課題範囲が表示される。もちろん基本的なものから応用レベルのものまでがある。基本的なものの方では、たとえばフィボナッチ数列ジェネレーターを作るとか、回文であるかどうかを判定するプログラムを作るといったようなものだ。難しい方ではJSONを使って特定のデータ構造をパースするツールを作るだとか、あるいは簡易暗号化モデルの限界をテストするといったようなものもある。

課題はいずれもRuby、Python、Java、C++ないしCという5つの言語に対応している。コーディングおよびテストはブラウザ内で行うようになっている(大事なところなのだが、後に改めて説明する)。納得がいくものに仕上がったら、書いたプログラムを登録する。登録したプログラムが課題に適合するものであれば、ポートフォリオに登録され、スコアにも反映するようになる。

採用側であるならば、Hakcermeterのデータベースを使って検索をかけることで、自動的にふさわしいプログラマを見つけることができるようになっている。たとえばPythonのエキスパートを探しているとする。難しい課題をPythonを使って回答した人という条件を指定すれば、該当するプログラマが簡単に見つかる。レベルの高さはさほど必要ないが、ともかくRubyを使える人を探したいときはどうするか。課題レベルを検索条件から外して、Rubyで回答した人という条件のみで検索をすれば良い。こうして条件を満たすプログラマに対して、メッセージを送るなりの対応をすれば良いわけだ。あるいはこの段階でも条件があうかどうか不安であるならば、さらに「スクリーニング」を行うこともできる。

「スクリーニング」というのは、採用者側で用意する連続(rapid-fire)課題のことだ。Hackermeterにも予めいくつか用意されているので、それを使っても良いし、作成から採用者側で行っても良い。制限時間を設定し、スキップ可能な課題数(スキップ不可でも良い)を定め、そして採用候補者に提示する。

こうしたサービスで最も問題になるのは、「Google」だ。課題内容を入手して、その課題についての回答をどこかにアップロードするという人はいるだろう。すると自分で解かなければならないはずの人も、Googleで検索をして、コピーペーストでエキスパートに成りすますことができてしまう。

ここで関係してくるのが、先に「改めて説明する」と書いていた部分だ。Hakcermeterは、システム側で用意しているエディタ内でコードの作成を行うように指示している。実は、採用者側は後に回答者のキーストロークをひとつひとつ再現できるようになっているのだ。ペースト動作一発で回答を作成しているとしたならば、それはおそらくカンニングの事実を示すものといえるだろう(あるいは使い慣れた自分のエディタで作業をしたということを示すのかもしれないが、それはしてはならないことになっている)。キーストロークひとつひとつを再現されるのは気持ちが悪いという意見もあるだろう。しかし対面式のコーディングテストなどを行う企業も増えつつあり、結局のところそれと変わらないと考えることもできる。

もちろん不満の声もあり、現在のところは次の2つが主なものだろう。

  • サイトで扱う情報が、コーディングスコアのみしかない。名前とスコアしか表示されていないのは、確かにある意味では「効率的」だろう。しかしもう少しパーソナルな情報も欲しいという考えもあろう。コーディングを行っているのがどのような人物で、どういう嗜好ないし志向をもっているのかという情報があっても良いかもしれない。あるいは2分間の自己紹介ビデオを掲載した方が良いなどという考えもあるかもしれない。「スコアも興味深いものでしょうが、こちらに私の作った素晴らしいプロダクトもありますよ」などという紹介文は双方にとって役立つ情報となり得る。おそらくこうした機能は何らかの形で組み込まれることになるはずだ。取りあえず、今のところは存在していない。
  • 透明性の問題。課題に回答すると得点が付けられる。しかし、どのような部分で減点されているのかということがよくわからない仕組みになっているのだ。Hackermeterの共同ファウンダーであるLucas Bakerによれば、得点は消費時間、コードの効率性、そして課題の難易度などを考慮してつけられているのだと言う。しかし得点についての疑問の声もある中、評価基準の客観化も進めようとしているのだそうだ。現在のところはブラックボックスとなっている。

Hackermeterは、プログラマの採用手続きから履歴書というものを排除してしまうものとなるだろうか。おそらくそうはなるまい。効率性はともかく、組織は履歴書のようなものの存在を必要としており、またHR部門も履歴書なしでは動きえない面がある(そもそも優秀なプログラマというのは一般公募の形ではなく、高額な報酬で動くヘッドハンターを経由して採用されることも多い)。しかしそうであってもHackermeterのようなサービスは面白い。優秀なプログラマを見つけ出すことはますます難しくなっているようで、さらに給与も高額化しつつあるようだ。こうした中、Hakcermeterのようなサービスを使ってみようと思う企業もあるだろう。また、職探し中のプログラマにとっても、自らのスキルを多くの採用担当者に見てもらうのは、決して悪いことではないはずだ。

Hackermeterはプログラマとしての利用は無料で、採用側は採用者数に応じたコミッションを支払うことになっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


すべてを見通すサウロン? いやいや、iDoorCamはWiFI接続の便利なカメラ付きドアホンだ

すべてを見通す恐るべき目、というわけでないが、iDoorCamはなかなかよく考えられた便利なガジェットだ。現在のドアホンの代わりに取り付けるだけで電源が供給され、設置は完了だ。

来客がボタンを押すとスマートフォンの画面で誰が来たのか確かめたうえで応対ができる。赤ちゃんが寝付いたばかりというときにはドアベルのスイッチを切っておくこともできる。このガジェットを利用すれば、出先にいてもドアカメラの映像を見たり来客と会話したりできる。

このプロジェクトの開発者はカリフォルニアのプロダクト・デザイナー、Andrew ThomasとDesiree Mejiaのコンビだ。現在AppleのiOS対応のハードウェアが完成しており、10月の出荷に備えて生産を開始するためIndieGoGoで出資者を募っている。

初期の出資者は127ドルでこのドアフォンが入手できる。最初のバッチの生産を開始するための目標金額は10万ドルだ。その後150ドルで市販される。

闇の大王モルゴスの副官サウロン同様、決意を固めたホビットにはしてやられるかもしれないが、UPSの配達人に大切な荷物を玄関の前に置きっぱなしで帰らないよう外出先から頼むことはできるかもしれない。

document.getElementById(‘wpcom-iframe-form-6d6bc7f241ace8c231ab9ebfee827719′).submit();

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


サイト変更箇所の自動検知技術などを活用して、リアルタイム翻訳サービスを提供するOne Hour Translation

2008年にサービスを開始したOne Hour Translationは、オンライン翻訳サービスの中でも老舗で、多くの顧客により利用されている。100ヵ国にアクティブな翻訳者1万5000名を抱えており、対応言語も75以上にのぼる。オフィスはキプロスに構え、月間10万以上の翻訳プロジェクトを消化している。サービスを利用している企業には、コンテンツの整合性を気にしなければならない相当な大企業(トヨタやShellなど)からGoogle翻訳よりも、もう少々こなれた翻訳を望むといったレベルのところまで、さまざまであるとのこと。

自己資金によるサービスをスタートさせたCEO兼ファウンダーのOfer Shoshan曰く、この5年ほどで企業はより広いマーケットを意識するようになり、オンライン翻訳のニーズは高まりつつあるのだと言っている。

「いろいろな業界に金融危機が波及しましたが、そうした業界では、一国集中をリスクととらえて国際展開をはかるという動きが出てきました」とのこと。「こうした流れがあるので翻訳サービスのニーズは広がっているのです。市場は巨大で、昨年の統計では300億ドルという計算もあります」。

翻訳サービスは他にも数多く存在する(GengoConyac、あるいはDakwakなどをTechCrunchでも取り上げてきた)。しかしOne Hour Translationは、さまざまなボリュームに対応することができ、短時間で実施でき、そして特許取得技術などを使って、より良いサービスを提供することができるのだとShoshanは言っている。

特許取得技術にはたとえばWeST(Web Site Translationの略)というものがある。サイトに数行のコードを追加することで、サイトを多言語対応化することができる。コードを仕込んでおくと、WeSTがサイトの全テキストを把握しておくようになる。そして変更箇所を自動的に識別して、翻訳者に変更箇所を通知するようになっているのだ。これにより、母国語でサイトを更新すれば直ちに多言語版もアップデートされることとなる。また、Translation Memoryという他の特許取得技術では、サービスを利用して過去に翻訳したフレーズを再利用して、翻訳料金を抑えることもできるようになっている。また、品質保持のために同時に2名の翻訳者に作業を依頼することもできるようになっている。


One Hour Translationのウリのひとつが、同社が保持しているテクノロジーにあることは間違いない。但し最大の強みは、登録している翻訳者の質と量だろう。1万5000名以上の翻訳者たちは、仕事を始める前にはテストにも合格しなければならない。翻訳者は母国語への翻訳のみを担当する。分野的には法律、メディカル、財務文書などの専門家がいて、あるいはコピーライティング分野やアプリケーションのローカライズを専門にする人もいる。

記事中に記したWeSTなどは、同社のホームページからも簡単に申し込むことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


ウォンテッド、メール解析で連絡帳を作成するアプリ「CARD」をローンチ

日本のスタートアップ界隈ではエンジニアやデザイナーの人材採用時によく使われているソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」のβ版が公開されたのは2年程前のことだ。現在は約1,400社と5万のユーザーが利用しており、最近ではスタートアップだけでなく、複数の上場企業も同サービスを活用しているそうで、順調に成長している。

そして本日、このWantedlyを運営するウォンテッドが2つ目のプロダクトである名刺管理アプリ「CARD」のローンチを発表した。まずはiOSでのみ提供される。CARDを簡潔に説明すると「メールアドレスを登録するとメールを解析し、自動で連絡帳を作成してくれるアプリ」だ。

このアプリはメールアドレスを認証すると、受信したメールと送信したメールの本文を解析し、署名欄などから相手の名前、会社名、役職、電話番号といった情報を取得することで自動的に連絡帳をCARD内に作成してくれる。自動作成された連絡先はデフォルトの連絡帳のようにアプリ内で名前や会社名を入力し検索することも可能だ。

一度自分のメールアドレスをアプリで認証すれば、それ以降の更新は自動でやってくれるので、ユーザーが必要な作業はほとんど発生しない。また、メールは受信したものを全て解析して連絡帳に登録するわけではなく、1往復以上のやり取りをした相手だけ連絡先として登録する仕様になっている。

名刺管理サービスというと、本誌でも紹介した三三が提供する「Eight」(最近はTVでCMも放送している)やScanSnapとEvernoteを組み合わせるなどして、もらった名刺全て登録しておく利用法が一般的だが、CARDは「メールのやり取り」が基本なので、他のサービスと比べるとより密な関係にある人に絞った名刺管理サービスとなる。

ウォンテッドはWantedlyを見てわかる通り「何をするか」よりも「誰とするか」を重視しているから、このようなサービス設計をしたことにも納得できる。これを強調するかのようにCARDにはライブ機能と呼ばれるものもあり、これは他のユーザーの連絡先情報をリアルタイムにアップデートしてくれる。

ライブ機能をONにしておけば、自分が異動などをした際にプロフィールを更新するだけで、自分が登録されている他のユーザーの連絡帳で情報がアップデートされる。この機能を使うことで、一度関係を作れば、その後最新の情報が常に登録されている状態になるわけだ。

しかし、このような個人情報を取扱うサービスには、企業によってはセキュリティなどの不安があることも確かだろう。

この点に関しては「セキュリティはもちろん気にかけているし、メールの意味解析などはせず、アカウント情報は暗号化し、連絡先作成・更新に必要な情報は一定期間後に破棄している」とウォンテッド代表取締役社長の仲暁子氏はいう。

その上で、仲氏は「こういうもの(CARD)が便利だということを認識してもらいながら、使ってもらえる企業からどんどん展開していきたい」という。最近では大企業でもGoogle Appsを使ったり、iPhoneを支給してiCloudに接続しているケースもあるから、こういった取り組みを行っている会社には使ってもらえるのではないかと考えているそうだ。

Wantedlyでは転職者というごく一部の層にしかリーチできず、企業理念である「シゴトでココロオドル人を増やす」には対象者が少なすぎた。だから、CARDではビジネスパーソン全員をターゲットにして、”ココロオドル”人をもっと増やしていきたいと仲氏はいう。

今後の展開としては現在iOSにのみ対応のところ、他のデバイス・OSも順次提供。また、IMAPのみに対応しているがPOP3にも対応する予定とのこと。


GrowthPushはグロースハックのためのプッシュ通知分析サービス

300万DLを達成している写真共有サービスのMy365を提供することで知られるシロクが、新サービスを開始した。GrowthPushと名付けられた新サービスは、字面から想像できるとおりプッシュ通知でグロースハックを手助けするためのサービスだ。具体的にはプッシュ通知をユーザーごとに最適化し、それを分析することでリテンションを高めることを目的としている。

グロースハックはユーザーの流入と流出について測定、最適化を行い、新規サインアップ数の増加、そこからアクティブユーザーの確保、さらにエンゲージメントの向上などプロダクトの成長を促すものだ。昨年後半ごろからグロースハックは日本でも注目され始め、今ではグロースハックに特化したイベントも開催されるほどになっている。

グロースハックの中でもGrowthPushはユーザーの継続率に焦点を当てている。というのも、リワードやアドネットワークを通じてユーザーにアプリをダウンロードしてもらっても、1週間後には大半のユーザーがアプリを使用しなくなってしまう。だから、アプリインストール後に開発者から行える重要なアクションの1つであるプッシュ通知でこの問題を解決したいとシロクCOOの向山雄登氏はいう。

GrowthPushではユーザーの属性、アクションの有無(例:課金/無課金)などでセグメント化し、文言や時間帯を変えてプッシュ通知を送ることができる。

例えばソーシャルゲームの場合、登録まもないユーザーと課金を何回もするほどのヘビーユーザーとでは送るべき内容が違ってくるだろう。使い始めならば、どのような使い方ができて何をすべきかを教え、ヘビーユーザーにはイベントのお知らせなどを積極的に送る方が効果が高いかもしれない。

Verizonやインテル、セールスフォースなどから出資を受けているプッシュ通知サービスを運営するUrban Airshipによると、プッシュ通知を送るのと送らないのでは半年後の定着率が2倍違うというデータもある

実際にシロクが運営するアバターアプリ「ピプル」では文言を分けてプッシュ通知を送ったところ、文言によってアプリの起動率が1.4倍から2.3倍も違ったそうだ。

しかし、プッシュ通知を送り過ぎてアンインストールされてしまう可能性があることも確かだ。この点に関しては今後データを集めながらアンインストールに繋がる頻度なども提供していく予定とのこと。

料金体系は5万リクエストまでは無料で、200万リクエストは2万円(スタートアップ)、600万リクエストは5万円(ビジネス)など5つのプランが用意されている。目安としては3万ユーザーほどの規模で毎日プッシュ通知を送るとスタートアッププランを、300万DLを突破したMy365規模になるとビジネスプランをそれぞれ少し上回るそうだ。

GrowthPushはSDKとタグを入れるだけですぐに利用でき、登録はこちらからできる。


不動産売買(まだディスラプトされてない業界)のUberやAirbnbがそろそろ現れてもよい頃合いだ

80年代には家を探すことがどれだけ大変だったか、今の人には想像すらできないだろう。ここ数年間で、ZillowやTrulia、Redfinなどのサイトが登場し、家を買いたい人や売りたい人に大量の情報を提供してくれるようになった。条件に合った物件が出ると、携帯に通知がくる。それはたぶん、不動産屋さんがその物件を教えてくれるよりも早いだろう。競争の激しい市場で情報が早くアクセス性が良いことは、技術にあまり詳しくない買い手にとってとくに有利だ。比較も簡単にできるから、その物件が高すぎることや、どれぐらい値引きしてくれそうかなども、しろうとに分かるようになった。

以上はとてもすばらしいことであり、今ではRedfinのモバイルアプリなしで家を探すことなど、とても考えられない。でも、不動産スタートアップにできることは、ここまでなのか? ZillowやTruliaがIPOしたということは、不動産情報の世界でスタートアップが大成功できることを示している…ただし両社とも今は、賃貸を重視しているが。しかしいずれにしても現状では、不動産スタートアップのやることは、ユーザにより多くの情報を提供し、不動産屋に見込み客を提供することに、もっぱら限られている。でも本当なら、今よりももっと多くのスタートアップが存在して、不動産市場に大改革をもたらしているべきではなかったのか。

シアトルのRedfinもIPOするという噂があるが、でも多くの競合他社と違って同社は、“テクノロジを活用した不動産仲介企業”を自称している。そこで同社には、不動産屋が地域のMultiple Listing Service(マルチリスティングサービス)から得るのと同じ種類の情報をユーザに提供できる、というアドバンテージがある。ユーザの多くは、RedfinはZillowと横並びで競争していると見ているようだが、実際には同社は各地の不動産屋と組んで、ユーザの物件下見をスケジュールしたり、購入プロセスの一部始終を介助したりしている。しかしそれでも、結局のところ、RedfinのWebサイトは要するに不動産屋さんのための高度な見込み客生成ツールであり、ごく限られた市場で人気はあっても、各地のCentury 21やPrudential、Windermereなどの事業所を近いうちに廃業に追い込むほどの、強力な業態を確立してはいない。

では、不動産における本当のディスラプションとは何か? スタートアップたちはこれまで、商用物件と賃貸アパートだけを扱ってきたが、しかし非商用の私的物件となると、今でも60年代に家を買った人たちが経験したのと同じ売り方しかない。不動産屋さんに頼んで手数料を払う(売り手は小額を直接、買い手は買値に含まれて)。でも、その家や近隣については、自分の方がよく知っているのだ。しかしその家の鍵は不動産屋が持っていて、オープンハウスでないかぎり、不動産屋を介するしかその家の中を見る方法はない。

不動産の売買は相当複雑だ。それを取り仕切る不動産屋の言動が、なお一層、それを大仕事のように思わせる。でも、それをもっと軽く易しく透明にしてくれるスタートアップはどこにいるのだ? たしかに規制の多い業界で、奇妙な慣習もある。でもタクシーは(規制と慣習だらけの業界だが)Uberなどのスタートアップによって見事に変わりつつある。また、一時的な貸し家や貸間は、Airbnbががんばっている。Lockitronみたいなものがあり、またネットからの監視も可能な現代において、少なくとも物件の下見ぐらいは、もっと簡単にできてもおかしくない。

もちろん、良質な不動産屋さんはたくさんおられる。でも長期的に見ると、不動産屋は旅行代理店と同じ道をたどるだろう。特殊な状況向けには高度なプロフェッショナルが残るだろうし、また、ネットを使って自分でやるより専門家に任せたい、という人もいる。でも、意欲的なスタートアップたちによって旅の予約の仕方ががらっと変わったように、不動産もいずれは、変わるに違いない。

しかも、ここには大きな機会がある。誰かが、旧態依然たる業界に変革の大地震をもたらすことを、ぼくは期待してやまない。

写真クレジット: Images_of_Money

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


国産モバイル決済のCoiney(コイニー)も決済手数料を3.24%に変更、入金サイクルも短縮し競争が本格化

今年5月にSquareが日本でローンチされてから、国内のモバイル決済サービスの競争は加速している。

PayPal Hereと楽天スマートパスはカードリーダーを有料で販売していたが、実質無料になるキャンペーンを行うなど様々な施策を行っている。

その中でも大きな動きが決済手数料だった。PayPal Hereと楽天スマートパスはSquareの3.25%に対抗し、3.24%へと改定してきた。そして本日、少し遅れて日本のモバイル決済スタートアップのCoineyも決済手数料を3.24%にすると発表した(現在は4%)。

8月21日からCoineyの取引は全てこの手数料で利用できる。これで国内で展開されているモバイル決済サービスの手数料はSquareの3.25%を除いて他3社は3.24%となり、手数料に関してはSquareの優位性はなくなった。

また、Coineyは入金サイクルの短縮も発表している。Squareと楽天スマートペイは銀行口座への振込が決済日の翌日/翌営業日で、PayPal Hereは(銀行により異なるが)3日から1週間ほどかかる。これに対してCoineyは毎月25日締め翌月末の振込になっており、資金繰りが厳しい店舗からすると導入の障壁になっていただろう。

しかし、手数料変更日と同じく8月21日からは月に6回までの支払いが可能となった。締め日が5日ごとになり、支払いはそれぞれの締め日から12日後にまで短縮された。

入金サイクルはSquare、楽天スマートペイに比べると依然差はあるが、今後実績が積み上がるにつれて改善されることだろう。なお、入金時の手数料に関しては3万円未満が105円、3万円以上は210円をユーザーが負担する。この点に関しては楽天スマートペイは210円(楽天銀行は手数料無料)、PayPal Hereは5万以上は210円、Squareは無料となっている。

この他、これまではメールでのみの対応だったレシートをプリントアウトできるように、9月中旬からプリンターを試験的に提供するそうだ。

Squareが日本でローンチした際には決済手数料の安さと入金サイクルの早さが目立っていたが、こぞって競合サービスが改善してきた。今後はさらにこれらの点では差別化が難しくなるだろう。となると、この先重要になってくるのはPOSレジの機能やSquare Walletのような顔パス決済(ここまで来ると”モバイル”決済ですらないが)といった点になるのかもしれない。

今後の各社の動きにも引き続き注視していきたい。


モバイル決済のSquare、カードリーダーを全国のローソン約1万店舗で販売開始

モバイル決済のSquareが日本でのサービス提供を開始したのは2カ月程前のことだ。競合サービスよりも圧倒的に安い決済手数料3.25%という発表で話題となった。そのSquareが本日から全国のローソンでSquareリーダー(カードリーダー)の販売を開始したことを発表している。

これまではオンライン上でSquareに申請した後にカードリーダーを郵送で受け取るか、国内のApple Store7店舗で購入できたのだが、今日からはコンビニでも手に取ることができる。ローソンは全国に約1万店舗あるというから、多くの人の目に触れることになるだろう。

Squareリーダーの料金は980円(税込)だが、Apple Storeでの販売と同様に、商品パッケージ内に記載されているコードを入力すると銀行口座に1,000円が振り込まれるため、実質無料となっている。

さて、ここで競合サービスとの比較を簡単におさらいしておこう。ソフトバンクと組んだPayPal Hereは7月1日から決済手数料を3.24%へ変更し、リアル店舗での販売はソフトバンクショップ・ソフトバンク取扱い店を合わせて約2,700店舗で展開しているそうだ。

楽天のスマートペイもPayPal Hereと同様に決済手数料を3.24%に変更し、初期費用が無料になるキャンペーンを開始したりと奮闘している。最後にクレディセゾンと提携したCoineyだが、今のところ決済手数料は4%のままである(8月21日から3.24%に変更予定)。この2つのサービスに関してはオンラインのみでの申し込みとなっているようだ。

その他、口座振込までの時間や入金手数料といった様々な条件が人気を左右することになるが、Squareが決済手数料を除いては全てリードしている印象だ。


TechCrunch Tokyo 2013を11月に開催します!

TechCrunch Japanは、今年もTechCrunch Tokyo 2013を開催します。今年は初となる2日間の開催予定で、小会場のほうでハッカソンを並行して行うなどパワーアップしています。国内外のキーパーソンや、海外からTechCrunchスタッフが今年もやってきて、これからのテクノロジービジネスの話題やスタートアップの現在について、講演やパネルディスカッションが繰り広げられる予定です。

もちろんスタートアップバトルをやります! スタートアップ企業による未来のプロダクトをオーディエンスの方々の前で披露してもらいます。今年も優勝者には100万円の賞金を用意しますので、イケてるプロダクト・サービスを披露したいスタートアップ企業の方々は、ぜひご応募くださいませ。

昨年同様に、リクルートとのコラボレーションによる日本最大級のWebアプリ開発コンテストのMashup Award 9の授賞式も併催で行われます。テクノロジーのトレンドや新しいアイデアに触れられる盛りだくさんの2日間。食事をしながらのミートアップがあるので、インターネットビジネスに携わる人やスタートアップ起業家、エンジニア、投資家などなど多くの方との交流ができます。皆さまの参加をお待ちしています!

イベント概要

  • イベント名称:TechCrunch Tokyo 2013(ハッシュタグ #tctokyo)
  • 開催日:2013年11月11日(月)、11月12日(火)
  • 会場ベルサール渋谷ファースト(東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワーB1)
  • 主催:AOLオンライン・ジャパン株式会社
  • プログラム
    • セッション・キーノートスピーチ――現在調整中
    • スタートアップバトル――スタートアップ企業によるプロダクトのデモプレゼンテーション
    • ハッカソン――ソフトウェア開発やデザイナのチームによる短期プロダクト開発のコンテスト
    • Mashup Award 9表彰式――リクルートが毎年開催するWebアプリ開発コンテストのMashup Award 9の授賞式を行います。
    • ミートアップ――食事や飲み物をご用意してこのイベントに来場した方とのネットワーキングを楽しんでもらうものです。2日目の夜にはスタートアップバトルの勝者の表彰式も執り行います。

※プログラム以外に会場内にスタートアップを中心としたデモブースを設けます。ブース参加の応募も近日中にご案内予定です。

スタートアップバトル参加企業の募集を開始します!

TechCrunch Tokyo 2013では、プロダクトのデモンストレーションを審査して、優秀なスタートアップを決定するスタートアップバトルを開催します。

応募のスタートアップ企業の優れたプロダクトの中から、一次審査によって30社前後のチームを選出し、TechCrunch Tokyo 2013のイベントに登壇していただきます。予選で10社に絞込み、決勝で勝者を決定します。みごと勝者に輝いたチームには賞金と、そのほかの賞品を用意しています。成功を目指すスタートアップ企業のみなさんのご応募をお待ちしています! 詳しくは、特設イベントページをご覧ください。


外出先からいつでもペットの様子を確認し、話しかけておやつもあげられるPetziConnect

FitBark等、愛犬と繋がっているためのガジェットはいろいろと登場してきている。愛犬の健康チェックを目的とするものもあるが、今回紹介するのは、外出中でも愛犬におやつをあげたりして触れ合いたいという人のためのものだ。ただし、楽しくなっておやつをあげすぎたりしては、結局健康管理用ガジェットも必要になってしまうので、おやつのあげすぎには注意が必要だ。

おやつをあげることのできる、このPetizConnect。もちろんそれ以外の機能も搭載されている。ワイアレスHDカメラおよびマイクを内蔵しており、いつでもポチに呼びかけることができるようになっているのだ。呼ばれたポチは、飼い主の声が妙なところから聞こえてくることに驚き、頭を悩ませることとなる。

おやつをあげるにはアプリケーションを利用する。Android版ないしiOS版のアプリケーション、あるいはウェブクライアントが用意されている。写真やビデオの撮影も、こうしたアプリケーションから行う。写真やビデオが撮影できるとなると、セキュリティ面での不安も感じる人もいるだろう。インターネット経由でうちの中を覗かれてしまう可能性もあるだろうからだ。しかしもともと犬の背の高さに合わせて設置するものであるから、映っているものが何なのかはほとんどわからないかもしれない(床の上にちらばっているものなどは映ってしまう)。

PetzilaはもともとIndiegogoにて3万ドルの資金調達を目指していた。その資金でまずはファーストロットの製造を行おうと考えたわけだ。しかし、調達申込みの締め切りまでかなりの日数を残して、既に目標額は集めてしまった。PetziConnectsは、もっとたくさんおやつを欲しがったり、あるいは箱のなかに閉じ込められた飼い主を救い出そうと興奮するかもしれない犬に突っつき回されても大丈夫な外装になっているそうだ。出荷予定は12月。クラウドファンディングに参加してPetizConnectを入手するための最低金額は99ドルとなっている。

Update:Petzilaのスポークスマンによると、、モバイルないしウェブ部分、ネットワーク部分、そしてPetizConnect本体の間での伝送経路で、128ビットないし256ビットの暗号化を行っているそうだ。簡単に言えば、徹底的なセキュリティ管理を行なっているということらしい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


ついにテディ・ベアと友達になれる日がやってきた!

今回紹介するKickstarterプロジェクトは、80年代後半および90年代に育った子供たちの夢を実現するものだ。名前をSupertoy Teddyというぬいぐるみのクマだ。Teddy Ruxpinのように話すことができる。ただ、Supertoy Teddyは「返事」をすることができるのだ。カセットテープを内蔵して、いくつかのセリフを順番通りに話すだけではないのだ。AI並の会話能力を持つロボットであり、製造もウェールズのロボットカンパニーだ。

このSupertoy Teddy、出自も怪しからぬものだ。Supertoy Roboticsの共同クリエイターであるAshley ConlanおよびKarsten Flüggeは、Jeannie Rabbotというプロダクトも送り出している。こちらはSiri風のNuanceの技術を一部用いたバーチャルアシスタントで、iPhone、Mac、Androidなどの上で動作する。Teddyは、このJeannieから陽気な性格を受け継いでいる。そして人の感情を判断したり、その上で自律的に会話を組み立てたりする能力を持っているのだ。

Supertoy Teddyは、会話に応じたり、質問に答えたりするのに、スマートフォンとリモートサーバーの資源を活用するようになっている。iPhoneおよびAndroid上にインストールする、無料のアプリケーションを通じてさまざまな処理を行うようになっているのだ。クマの側には動作用デバイスと接続するために、スマートフォンを格納するためのスペースが用意されている。これまでに3バージョンのプロトタイプを作成しているのだそうだ。最新版は商用に耐えるものと判断され、Kickstarterでのキャンペーンがうまくいけば、12月の出荷開始を予定している。

ちなみにクマの口は動く。手足なども動くようにと考えてもいるようだ。また対話相手を把握して、相手に応じて自らの振る舞いを変えることもできる。すなわち、大人たちはクマにTedのような「仲間」意識を求めることもあり得るわけで、また子供たちはカワイイぬいぐるみとして接することができるわけだ。尚、実用的な機能ももっている。たとえば天気を知らせることができるし、目覚まし時計としての利用も可能だ。また眠るときに「お話」をしてくれたり、音楽を奏でてくれたりもする。電話やメールも、このクマ経由で行うことができる。

おどろくべきことに、このクマは30種類もの言語を操ることもできる。将来的には利用する言語に応じて声を変えたりすることもできるようになるかもしれないとのこと。ちなみに感情によって声のトーンを変える機能は既に実装されている。この機能により、クマが実際の「おともだち」のようにも感じられる。Kickstarterにて投資しようとする人は42ポンド(だいたい62米ドル)で1体入手することができる。

80年代は、ロボダッチ(ロボットのともだち)としてはTeddy Ruxpinが理想の存在だった。しかし、現代技術にサポートされたSupertoy Teddyこそ、あの頃の夢を実現してくれるものとなりそうだ。また、全年代を対象としたデザインで、少々年をとってしまったRuxpin世代であっても、このSupertoy Teddyを楽しむことができそうだ。大人になった人々も、クマに投資して、若いころの夢を味わうことができるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


視聴時間単位で広告枠を販売するDennooがニッセイ・キャピタルから110万ドルを追加調達

単にブラウザに広告が読み込まれただけではなく、実際にユーザーに表示された時間単位で広告枠を販売する事業を展開するのがDennooだ。このスタートアップについては以前に本誌でも取り上げている

そのDennooが新たにニッセイ・キャピタルから110万ドルを追加調達したことを発表している。今年2月にはニッセイ・キャピタル、サイバー・コミュニケーションズ、サイバーエージェント・ベンチャーズと数名の個人投資家から117万ドルを調達しており、それ以前に調達した83万ドルと合わせると、累計調達額は310万ドルとなっている。

Dennooが手掛ける新しい広告の取組みは、興味深い。一方で、表示時間ごとに支払う広告主側のメリットは大いにあるが、広告を掲載する媒体側からすると従来の単純なインプレッション数で計測した方が視聴時間で計測するよりも収益性が高いのではないかという懸念点が存在することは確かだ。この点について、Denno共同創業者の長山大介氏は、同社が提供する「Viewable Time*計測サービス」でどの広告枠がCPV販売によって収益増につながるかを予め予想することができる」としている。(*Viewable Time:ユーザーの画面上に広告が表示されている状態)

Dennno共同創業者の梅田茂利氏は「このサービスの真価を発揮するのは動画広告だ」と語っており、今年6月からサイバー・コミュニケーションズと共に動画広告サービス「Adjust Display Cost-per-View」の提供を開始している。

この動画広告はユーザーの画面に広告の50%以上が表示されていて、一定秒数(15秒から30秒)以上が表示された場合のみ広告料金が発生するというものだ(YouTubeの動画広告である30秒間視聴されたら料金が発生する「True Viewインストリーム」と似ている)。すでに大手IT企業、通信会社や官公庁などから発注を受けているそうだ。

今後は今年秋ごろに「Cost-per-View」の売買を自動的に行うことでができるプラットフォーム「Dennoo Display CPV Demand Side Platform (仮称)」をリリース予定としており、年内には米国でも同サービスを提供予定だそうだ。


Lomographyの新Kickstarterプロジェクトは伝説のポートレートレンズ、Petzvalの復刻

LomographyはKickstarterでiPhone向けフィルム・スキャナーへの出資を募って成功したニューヨークの光学機器メーカーだが、今回はPetzvalという19世紀の名レンズのデジタル一眼向け復刻版のKickstarterプロジェクトを立ち上げた。

Petzvalレンズは19世紀を代表する写真レンズで、独特のボケ味と極めて浅い被写界深度が特徴で、慣れればこのレンズで撮影された写真はひと目見てそれと判別できる。現代のデジタル一眼のセンサーと画像処理能力と組み合わせると一段と強い印象を与える写真になる。

Lomography版はオリジナルの特徴的なデザインを継承する。マウントはCanon EFとNikon Fが用意される。オリジナルより1段以上明るいf/2.2で、Lomographyによれば「色ののりもコントラストもすばらしい」という。焦点が合った部分の描写は極めてシャープだ。周辺減光は大きいが、これはオリジナルのPetzvalが芸術的意図からそのように設計されているという。

Petzvalレンズはポートレート写真で人物を浮き上がらせるのに効果的なように焦点深度がきわめて浅くデザインされている点もユニークだ。LomographyのPetzvalはオリジナル同様、ケーシングは真鍮で作られている。このクラシックでユニークな外観もボーナスだ。

Lomographyはこの10年にわたって主として復刻版のレンズや低解像度カメラを作ってきた。Petzvalは野心的な試みだが、今までの路線の延長にある。今回のキャンペーンでは10万ドルの調達が目標だが、すでに半額が集まったという。 レンズを予約できる出資額は300ドルからだが、この枠はもうすぐ売り切れる。350ドル、400、それ以上の枠が用意されている。

Kickstarterには失敗プロジェクトも多いが、財布のヒモのゆるいアーリー・アダプター層を対象に中規模の実績のあるブランドがユニークな新製品を売り込むにはかっこうのプラットフォームだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


登録者に健康スナックを毎月送付するNatureBoxが、General CatalystおよびSoftbankより850万ドルを調達

NatureBoxは、美味しくて、健康によいスナックを毎月登録者に配送する、サブスクリプション型サービスだ。18ヵ月前にスタートした。このNatureBoxからのアナウンスによれば、General CatalystおよびSoftbank Capital主導によるシリーズAにて、850万ドルの資金を調達したとのことだ。エンジニアリングチームを拡充し、顧客満足を向上させるプロダクトの開発を行うために資金を活用したい考えだ。

NatureBoxを簡単に説明すると、健康スナック向けのBirchboxといったものだ。月に20ドルの登録料で、ときどきパクついてしまうジャンクスナックの代わりとなる健康スナックが一箱送られてくるのだ。NatureBoxから送られてくるスナックはすべて栄養士が承認したもので、異性化糖、部分水素化油、トランス脂肪酸、および人工甘味料、香味料、着色料などを含んでいないものに限られている。また地元栽培家や、小規模食品サプライヤーとの協力関係も進めていこうとしている。

NatureBoxから発送されるスナックのバリエーションは現在80種ほどとなっている。月間に5ないし10種が追加されている。尚、リストから消されるものも僅かながら存在する。年末までに品揃えを100以上程度に持っていくことが当面の目標となっている。但し、品揃えを揃えればそれで良しという話ではない。NatureBoxとしては、揃えた品物を消費者に食べてもらうことが必要なのだ。そのため、NatureBoxは消費者の好みや、あるいは食餌制限などにマッチしたスナックを提供できるようにしている。

これまでの状況を見ると、NatureBoxのアイデアは消費者から支持されているようだ。2012年には登録者向けに50000箱を出荷したとのこと。今年については年間100万箱以上の出荷を目指しているところなのだそうだ。

もちろんサービス向上のために為すべきことは、まだまだ多い。データ分析能力を精密に行い、特定顧客向けに推奨すべきプロダクトをきちんと判別できるようにもしたいところだ。この点についてはNatureBoxのCEOであるGautam Guptaも同意見で、そのためにエンジニアリングチーム拡充の必要性を感じているそうだ。また製品開発およびマーケティング部門についても拡充していくらしい。

昨年12月、NatureBoxはGeneral Catalyst、Redpoint Ventures、およびエンジェルたちから200万ドルの資金を調達している。業務の拠点はカリフォルニア州サンカルロスにある。現在の従業員は35名。Guptaによると年内に45人体制を実現したいのだとのことだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


TC Tokyoでデビューしたクラウド会計ソフトのfreeeが2.7億円の資金調達を実施

昨年のTechCrunch Tokyoでデビューを果たし、今年3月にローンチしたクラウド会計ソフトのfreeeは順調に成長しているようだ。現在もプロダクトの開発にフォーカスをしていて、いよいよ8月には有料版がリリースされる。現在は6500の事業所が登録しているということだが、有料版への移行も順調に進んでいるという。

このfreeeを開発するCFOが今回資金調達を発表した。第三者割当増資を実施して総額で2.7億円を調達したというものだ。引受先はInfinity VentursとDCMで、DCMはシードラウンドで投資をしている既存株主である。CFOはこの資金調達と同時タイミングに社名もサービス名と同じfreeeに変えている。

この資金調達によって、さらなるプロダクトの開発にフォーカスをしたいと代表取締役の佐々木大輔氏は語っている。たとえば、現在は銀行やクレジットカードなどのサービスをクローリングすることで、データを取得しているが、今後は現金の動きも取り込めるようにしたいという。具体的にはレジアプリやレシートの読み込みアプリなど、現金の動きを扱うアプリやサービスなどの連携を考えているのだという。ほかにもCRMツールとの連動などオープンな設計を目指している。

また、これまでは経理担当者のみが使うためのツールだったが、会計事務所や社員が使うようなコラボレーション機能なども導入していきたいという。たとえば、これによって経費精算などを社員が直接入力するような機能が実装されることになる。彼らがこだわっているのはビジネスアプリとしてのエクスペリエンスで、使い心地やデバイスそのもの広がりにも大きな投資をしていくという。

海外ではXeroのようなクラウドベースの会計ソフトが台頭しているが、今後はfreeeも海外での展開を目指して行きたいと佐々木氏は語っている。freeeは今回の資金調達以前にDCMから5,000万円を調達している。また、最近ではInfinity Ventures SummitのLaunchpadでの優勝を果たしている。


国内12兆円市場を狙う「住」のソーシャルサイト「SUVACO」が今朝ローンチ

「ソーシャル・ホームデザイン・サイト」という耳慣れないジャンルのWebサイト「SUVACO」(スバコ)が今朝、プレオープンした。建築家やリフォーム業者、インテリアメーカーといった「住」のプロフェッショナルや業者と、その顧客である施工主を結びつけるオンラインのコミュニティサイトだ。リフォームや、新築デザインを建築家やインテリアデザイナーに依頼したいが、そもそもどこを探せばいいか分からない私やあなたのような人と、まだ発掘されていないような建築家を結ぶプラットホームを目指す。


SUVACO共同創業者の黒木武将氏(左)と、中田寿氏(右)

ぱっと見は一種のカタログサイトだ。建築家のホームデザインの事例や、インテリア写真を雑誌感覚で眺められる。もともと住宅やインテリア関連の雑誌を眺める層には、サイトを巡回するだけでも楽しめそうなサービスだが、2013年のローンチなので、狙いソーシャルなインタラクションが発生するプラットフォームとなることだ。お気に入りの建築家をフォローしてみたり、コミュニケーションを取るとか、気に入った画像を家族や友人とシェアするといったことができる。建築家の作品に対してコメントを入れるとかデザインを相談するといったことも可能だ。こうしたインタラクティブなやり取りを通して、自分のイメージにあう理想の部屋やインテリアを探し、それを作れるプロに出会えるというのがSUVACOだという。

なんだ、またマッチングサイトかと思うかもしれないが、これは注目のスタートアップだ。

何しろリフォームや注文住宅は12兆円もある巨大市場という。SUVACO共同創業者の1人で、過去11年にわたってメリルリンチ等の外資系証券会社などでIPOを手がけてきた中田寿氏は「ネット企業がdisruptしていない最後の巨大市場」とし、次のメガベンチャーが登場する可能性がある市場規模と話す。生命保険の37兆円、銀行の15兆円、ファンションの7兆円、旅行の6兆円、化粧品の2兆円といった市場では、それぞれライフネット生命、ソニー銀行やじぶん銀行、zozotownといったようにネット企業が既存勢力のパイを侵食しているが、同様の変化は住宅関連市場では、まだ起こっていないという。

「まだ起こっていない」というのは、米国では同コンセプトのプラットフォームとして2009年2月に「Houzz」がスタートし、現在月間アクティブユーザー数が1600万人にのぼるコミュニティに成長しているからだ。Houzzはこれまでにセコイアキャピタル、KPCBなどを含むVCから計3度、総額49億円ほどの資金調達をしているレイターステージの成長株だ。Houzzはこれまでに蓄積したデータから「現実的なリフォームの相場」を米国の州ごとに表示するような機能を追加したり、雑誌の切り抜きをスクラップするようにお気に入りのアイテムを貯めることができるideabookという機能を提供していたりする。内装写真の各所に付けられたタグにマウスオーバーすれば、アイテムの商品情報や販売サイトへのリンクが表示されるなど、単にカタログ雑誌の写真をオンライン化した以上のイノベーションを起こしつつある。

本日プレオープンとなったSUVACOは、Houzzほど高度な機能はさすがにまだ提供できていないものの、スッキリした美しいUIで、建築やインテリア好きなら眺めているだけでも飽きないかもしれない。すでに書いたようにフォロー機能やFacebookの「いいね!」的な「クール」ボタン、ユーザーがアイテムや部屋に対して付けたコメントが時系列に表示されるタイムラインとして「みんなの投稿」というソーシャル要素も実装されている。プレオープン時点で、すでに50人の建築家などの専門家、約700のアイテム、1,000強の部屋のデザイン例を集めている。こだわりを持って作られた「作品」が並ぶ。

リフォーム市場の7兆円、建売住宅以外の注文住宅市場が5兆円。このうち建築家が手がける約3兆円の市場、それに家具の6,000億円の市場がSUVACOのひとまずのターゲットという。例えば5,000万円の案件の場合、デザイン料として一般的に建築家は1割の500万円の対価を得るが、この対価のうちさらに1割の50万円がSUVACOの取り分となるという(建築家か工務店か、リフォームか注文住宅かなどで1〜5%とSUVACOの手数料率は異なる)。現状でも市場規模は大きいが、追い風も吹いているという。日本は新築市場の比率が高く、他国に比べてリフォームやリノベーション市場の割合が小さい。このことからリフォーム市場には成長余地があるとして、2020年までに倍増すると政府の成長戦略に盛り込まれている。

中田氏とともにSUVACOを共同で創業した黒木武将氏が自ら建築家を口説いて回った。富士銀行でキャリアをスタートし、シカゴ大学MBA、米国でも日本でも買収案件を手がけてきた金融業界20年のエリートが、なぜ住宅関連のITベンチャーなのか? 黒木氏は「日本にLBOが入り始めたころからM&Aを手がけてきた。もうやり尽くしたという思いもあり、新しい価値を作って行きたい。われわれミドルの人間がやらないと」という。長くIPOを手がけてきた中田氏には米中に大きく水を空けられてるIPOの市場規模の現状に対して、日本のスタートアップ業界に必要なのは数を増やすことよりも、量を増やすことという問題意識があったという。「必要なのは次のメガベンチャーを生み出すこと」という思いから住宅市場に取り組むことに決めた。「中田も私も建築業界の非効率性を外部の人間としてビジネスの観点から見れる。そこを建築家や事業会社の方々にご説明して賛同いただいた上でSUVACOに参加していただいている」という。必ずしも賛同が得られる場合ばかりだはなかったというが、黒木氏は「このままじゃダメだと思っている建築家が多かったのは発見」といい手応えを感じている。現状、建築家と施工主の出会いは前時代的な口コミがメイン。一般的な建築事務所だとアシスタントが何人かいて、事例を掲載するWebサイトもあるかもしれないが、潜在的な施工主がこうしたページにたどり着く道筋はほとんどないのが現状という。部数10万部程度の住に関する雑誌は数誌あるが、こうした雑誌が扱うのは個別案件ではなく、コミュニケーションも発生しない。

建築業界は言語や文化、地域性が強いビジネスだが、4年先を行っているHouzzが将来に日本市場に将来参入しないとも限らない。グローバルな視点で見た場合の競合はどう見るのか? 「3年から5年あれば日本市場を取れると見ています。その後はアジア圏を目指したい。アジアでは日本の建築のデザインや品質に対する評価は高い」と黒木氏は語る。

「ソーシャル」と聞くと写真共有やコミュニケーションのことを思い浮かべて食傷気味に思う読者も多いかもしれないが、巨大市場に切り込む地に足の着いたベンチャーの門出を祝いつつ、TechCrunchとしてはSUVACOの9月のグランドオープンも引き続き注目していきたい。


KDDI∞Labo 4th Demo Day 100社から選ばれた全5社を紹介

 

本日、渋谷ヒカリエにて、KDDIが運営するインキュベーションであるKDDI∞Laboの4th Demo Dayが開催された。∞Laboの第4期は今年3月末からプログラムを開始し、各々のサービスを作り上げてきた。今期からは新たにHTML5の特徴を活かしたサービスを支援するための「HTML5枠」設けている。

それでは、100社以上の応募の中から選ばれたKDDI∞Labo第4期採択チーム5社をご紹介しよう。

リディラバ — TRAPRO(学生枠):ソーシャルアントレプレナー賞

社会問題は常に存在する。ホームレス、少子化、地球温暖化など様々な問題が身の回りにはあるはずだ。しかし、これらの問題が解決されることは少ない。なぜ解決されないのかというと、「問題が可視化されておらず、身近に感じることができないからだ。」とリディラバ代表の安倍敏樹氏はいう。

そこで、TRAPROは問題だと感じたことをユーザーが投稿し、それに関連する「スタディツアー」と呼ばれる社会問題が発生している現場へ行き、見学するためのサービスを提供する。ツアーに行ったユーザーは感想や現場の写真などをTRAPROへ投稿し、次のツアーに繋げていく。

TRAPROはこうして問題を身近に感じさせることだけではなく、問題解決までを目標としていて、ツアーからの売上のうち70パーセントを現場へ還元することで資金を送りこんでいる。

すでにTRAPROは利用可能で、いくつものツアーが成立している。

ヒトクセ — Smart Canvas(HTML5枠):ベストエンジニア賞

スマートフォンが一般化し、市場が大きくなるにつれ、アプリ開発者は増えてきた。プログラミングは無料のWebサービスを使ったり、勉強会に行けば習得できるようになっているから、アプリをリリースするまでの障壁は低くなったように感じる。

しかし、Smart Canvasはそれでもプログラミングは障壁が高いと感じ、もっと簡単にアプリを作れるようにした。こうしたサービスはすでにいくつか存在するし、∞Labo第1期の採択チームであるReargeもAndoridアプリを簡単に開発できるサービスを提供している。だが、Smart Canvasが特徴的なのはHTML5にこだわっている点だ。

HTML5のCanvas機能を活用し、多様なデバイスで利用可能な(Web)アプリを数分で作ることができる。画像やテキスト、アニメーションを設定できる他、if(もし◯したら△)、for(繰り返し)といった簡単なロジックも組める。

Smart Canvasで公開されたアプリには広告が挿入され、ここからの売上はアプリ作成者とSmart Canvasで分け合うことになっている。

現在はβ版として提供されており、9月中旬に正式版をリリース予定だ。なお、サンプルのアプリはこちらから確認できる。

ライフイズテック — mygrow:Create the Future賞

ライフイズテックは中高生向けのITキャンプを開催しているスタートアップで、開催回数を重ねるごとに参加者は倍々的に増えている。今年開催されたキャンプには総勢1,100名が参加したそうだ。

このキャンプを運営してきた経験などから、同社代表取締役社長の水野雄介氏は「学ぶことで一番難しいのは継続」であると感じたことからmygrowを開発したという。

mygrowは一緒に学ぶ仲間を作り、仲間と励まし合い、学んだ記録を残しながら個人の成長を手助けする。例えば、プログラミングを頑張っている人ならば、その様子や学んだことをmygrow内に記録する。その記録に対して仲間や友達が励ましのアクションを行う。

学習記録を残し、共有するという点ではミクシィから7,200万円を調達したクラウドスタディが運営するStudyplusに似ている。

水野氏によると、頑張ったことに対しての褒めてもらえ、それが記録として残り、さらに一緒に頑張る仲間が居ることが学びの継続にとって重要なのだそうだ。

mygrowはiOSアプリで提供される予定で、今年秋以降にリリースされる。

Euno–Kawaii Museum:Japanese pop culture賞

Tokyo Otaku Modeのように日本のポップカルチャーを紹介するFacebookページを運用し、現在390万いいね!を獲得しているのがKawaii Museum JPNだ。これまではFacebookページ上で”Kawaii”写真などを中心に投稿し、人気を得てきたが、独自のサービス「Kawaii Museum」を開始した。

Facebookでは写真を見るだけで、趣味の合う友達を見つけたり、そこでコミュニケーションを取ることが難しかった。そのため、新たにキャラクターコンテンツに特化したソーシャルサービスを作ったとEuno代表取締役社長の田中丈登氏はいう。

このサービスではキャラクターごとにコンテンツを閲覧・共有したり、そのコンテンツを連携しているECサイトで購入する機能などが備わっている。

6月21日のリリース後、約1カ月でユーザー数は3万人とのこと。とにかく、”Kawaii”キャラクター好きな人々が満足できる場所を今後も作り上げていくそうだ。

we-b — Class:Cool デザイン賞

名前の通り、Classは学生時代のクラスを体験するサービスだ。社会人になると、仕事で会う人は多くても、仲良くなる友達との出会いは学生時代に比べると減ってしまう人が多いという(ファウンダーの2人はサービスのアイデアを出している時に、自分たちに友達が居ないことに気付き、同サービスを思いついたそうだ)。

we-b代表取締役社長の真子就有氏はこの悩みを解決すべく、簡単にクラスを体験するためのClassを開発した。サービスに登録し、生年月日などの基本情報を入力すると居住地が近く、同い年のユーザーが集められたクラスが作られる。

このクラスにはバーチャルの担任の先生が付き、話題の提供をしてくれる。1日目は新学期の始まりと題して自己紹介から始まり、2日目は朝の挨拶やランチ時間に食べたものの写真をアップロードするなどしてコミュニケーションを取る。このようにして、ネット上ではあるが、学生時代のような感覚を味わえるSNSとなっている。

クラスは2週間限定で、最終日には卒業しなければいけないのだが、Classの目標は「リアルで仲の良い友達を作る」なので、この期間の間に気が合う友達を見つけてもらいたちとのこと。

テストユーザーの中には実際に皆で飲み会に行くこともあるそうで、クラスの全員が同い年という点が他のSNSとの差別化になっているようだ。

Classは9月初旬にまずはiOSアプリをリリース予定。

なお、Classは会場のオーディエンスがリアルタイムにお気に入りのサービスに投票し、No.1を決める「オーディエンス賞」にも選ばれている。

以上がKDDI∞Labo第4期採択チームだ。

今期を含め、これで19社が∞Laboのプログラムを卒業したことになるが、その内訳を見ると第1期のソーシャルランチ、giftee、animetalk、Qlippyを始め、スキコレ、Close、LogTown他、今期の5社中4社がソーシャル系のサービスであるのは興味深い。

今後もそのようなサービスを中心に採択するかは不明だが、第5期に興味のある方は一度採択チームをチェックしてみると良いだろう。∞Labo第5期の募集はすでに開始されており、応募期間は8月14日までとなっている。