リアル店舗でおもてなし、アプリで住まいのサポート–お部屋探されサイトiettyの新展開

東京・恵比寿のリアル店舗

 

ユーザーが希望条件をあらかじめ入力しておけば、不動産会社のスタッフから条件に合う賃貸情報がチャット形式で提供される、お部屋“探され”サイトの「ietty」。サービスを手がけるiettyがリアル店舗を軸にさまざまなサービスの展開をはじめた。

店舗は2月26日には東京・恵比寿に正式オープン。ウェブサイトやスマートフォンアプリ同様に賃貸情報を提供するだけでなく、不動産業経験者を中心にしたiettyスタッフがオフィス賃貸や不動産売買、リフォームといった賃貸以外のニーズにも対応していく。

「リアル店舗は『オフラインの相談窓口』という意味合いが大きい。我々は不動産のプラットフォーマーになりたいと思っている。例えば単身で賃貸に住んでいた人が結婚して広い賃貸に移り、さらに戸建てを買うといったように、ライフステージが変化していくユーザーのニーズに対して、継続的に応えていける事業者はあまりいない」(ietty代表取締役の小川泰平氏)。

「ietty トータルサポート」のイメージ

 

そうは言っても、ライフタイムイベントなんて数年に一度あるかないかというペースなのが普通だし、ユーザーと継続的な関係性を持つことができないのではないかとも思う。そこでiettyでは、「今後は例えばユーザーが引っ越しすれば、それに付随するような作業やトラブル対応の支援をしていく」(小川氏)のだという。

それが3月5日に発表された「ietty トータルサポート」だ。ietty経由で物件への入居を決めたユーザーに対して、スマホアプリ上で家賃や初期費用の相談から、設備トラブル、退去時の引っ越し手配までをチャットでサポートするという。

また店舗では、3月4日より月額15 万円以上の賃貸物件のほか、住宅売買やオフィス賃貸を希望するユーザーに対して特別なプランを提供する「ietty 大人の部屋探し」をスタートした。

このサービスでは、完全個室での接客、ウェルカムドリンクの提供、50インチのモニタを使った物件紹介、店舗から帰る際には同社負担でUberを配車(都内23区限定)といった、ちょっとゴージャスなおもてなしを提供するのだとか。


「キャッシュバック賃貸」運営の賃貸情報が電通グループなどから1億円調達

賃貸住宅情報サイト「キャッシュバック賃貸」を運営する賃貸情報は2月4日、電通デジタル・ホールディングス(DDH)、SMBC ベンチャーキャピタルを引受先とする総額約1 億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

キャッシュバック賃貸は、賃貸借契約が成立した際に、入居者にあらかじめ指定された金額のキャッシュバックが受けられる賃貸情報サイト。一般的な賃貸住宅情報サイトでは、掲載課金が一般的だったが、キャッシュバック賃貸では成約課金のモデルを採用している。現在物件数は180万件を超えるという。賃貸情報取締役副社長の遠藤彰二氏はリブセンスの出身。リブセンスの手がけるアルバイト情報サイト「ジョブセンス」でも採用者にお祝い金としてキャッシュバックを実施しているが、これを賃貸住宅情報サイトに当てはめたかたちだ。

遠藤氏に今回の調達の目的を聞いたところ「資金ニーズより戦略を重視している」とのこと。先日開催されたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのインキュベーションプログラムである「T-Venture Program」にも採択されている同社だが、電通グループや事業会社との接点の多い銀行系VCの資本を入れることで、広く事業会社との連携を狙っていくのだという。「キャッシュバック賃貸の強みは(キャッシュバックの手続きを行うために)『引っ越しが決定したユーザー』が分かるということ。他のサイトはで『引っ越しを予定するユーザー』しか分からない。引っ越しの際は利用する美容室もスーパーも変わるし、家電も買い換える。さらには就職や進学、出産というイベントに関わることも多い。さまざまな業態と連携ができる」(遠藤氏)。また同社では、今回の調達を機にマーケティングにも注力していく。


お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


球場やお寺だって借りられる「スペースマーケット」はビジネス向けのAirbnbだ

最近、スタートアップと話すときに聞くのが「Airbnbを(ときにはUberも)を徹底的に研究した」という言葉だ。特に聞くのはCtoCの領域だろうか。フリマ、旅行・アクティビティをはじめとしてあらゆるところでそういった声を聞く。

その中でもっとしっくりきたのが、4月28日にオープンしたスペースマーケットの「スペースマーケット」ではないだろうか。このサービスは、いわば“BtoB向けのAirbnb”だ。企業の持つ遊休スペースや利用時間外のスペースを、会議や株主総会、研修、イベントなど向けに貸し出すためのマーケットプレイスとなる。

当初利用できるのは、都内を中心にした100スペースほど。提供されるスペースは貸し会議室やオフィススペースにとどまらない、青山迎賓館(結婚式場)、ユナイテッド・シネマ豊洲(映画館)、門間箪笥店(古民家)、正蓮寺(お寺)、オバケン(お化け屋敷)、Coca-Cola Park(野球場)など、ユニークスペースが並ぶ。なんと現在は「お城」などもそのラインアップに入れるべく営業活動中だそうだ。

価格はスペースの性質にもよるが、「ホテルなどで会議をすると、平均で20万円程度かかるという資料があったがそれより安価になる」(スペースマーケット代表取締役 CEOの重松大輔氏)とのことだ。 実際僕がサイトを見たところ、VOYAGE GROUPのオフィス入り口にあるバースペース「AJITO」やフォトクリエイトセミナールームが利用無料で提供されているのにはじまり、1時間数千円の会議スペース、1日利用45万円の「代官山TSUTAYA」、さらには詳細は問い合わせとなっているスペースまでバラエティに富んでいる。なお、利用は最低3時間(スペースによっては1日)からになるという。

当初は、会場の性質や稼働率、運用をどこまでサポートするかなどの条件によって、20〜50%の手数料を取る。今後は広告でのマネタイズなども検討する。年内1000スペース、3年後5000スペースまでの拡大を狙う。また今後はスペース管理やセキュリティ、イベントへのケータリングなど、パートナーと組んでの派生事業も検討する。

“披露宴会場の課題”が起業のきっかけに

代表の重松氏は、NTT東日本に新卒で入社した後、同社の同期でフォトクリエイト代表取締役社長の白砂晃氏に誘われて同社へ。こそで新規事業のほか、広報、人事を担当。新規事業で立ち上げたウェディング事業は、全国で年間約3万組の結婚披露宴(日本全体では25万組程度らしい)で導入されるに至ったという。

実はここに、スペースマーケット創業のきっかけがある。重松氏はウェディング事業を通じて知ったそうだが、披露宴会場は優秀なスタッフがいるものの、披露宴がない場合、特に平日などは遊休スペースとなる。だが本業とは異なる分野で営業をかけ、スペースの利用を促すことは難しい。

また一方で、フォトクリエイトは各種イベントの写真を撮影し、オンラインで販売する事業を展開していたため、スペースの情報にも詳しく、同時にイベントなどで利用するスペース探しに広告代理店などが苦労している様をずっと見てきた。起業自体は以前から考えていたということだが、この2つの点から重松氏はスペースマーケットの企画を始めたのだという。余談だが同氏の妻はサイバーエージェント・ベンチャーズのキャピタリストとして活躍する佐藤真紀子氏。家庭内の会話で事業計画をブラッシュアップしていったそうだ。

「最初はオフィスの『間借り』のマッチングを考えたが、それではマーケットが小さい。Airbnbから発想したが、受け入れられるのは大きいハコではないかと考えた。イベントだけでなく、株主総会や採用説明会などでイベントスペースは求められている。需要が顕在化しているビジネス領域からまずはやっていこうとなった」(重松氏)。海外でも、「Liqudspace」「eventup」といった、スペースを貸し出すマーケットプレイスには注目が集まっている。また国内でも、サムライインキュベートが投資する「軒先.com」などがある。

 


“リブセンス仕込み”のキャッシュバック付き賃貸情報サイト、運営会社が1億円調達

賃貸情報は4月22日、グローバル・ブレインが運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を割当先とする1億円の第三者割当増資を実施した。

賃貸情報は2012年9月の設立。賃貸情報代表取締役の金氏一真氏は、司法書士からジャスダック上場のアスコットに入社し、不動産ビジネスを手がけていた人物。取締役副社長の遠藤彰二氏はリブセンスの創業メンバーで、祝い金(キャッシュバック)付きアルバイト情報サイト「ジョブセンス」の事業部長などを務めた後に独立。その後ブルームの共同創業者となり「ドリパス」をヤフーに売却するなどしている。

同社が2013年11月から展開している賃貸情報サイト「キャッシュバック賃貸」は、賃貸情報の掲載料を無料にし、成約時に情報掲載者に課金するという「成約課金」型のサービスだ。借り主であるユーザーは、成約時にお祝い金として1万円以上のキャッシュバックを受けられる。このキャッシュバックの仕組みを導入することで、運営側で成約情報を把握できるようになっている。またキャッシュバック金額は掲載者が設定することが可能で、金額が大きい物件情報ほど検索結果の上位に表示するようにしている。

掲載物件数は現在98万5000件。今後は仲介会社のシステムとのつなぎ込みを完了すれば常時200万件程度まで物件情報は増える見込み。

”リブセンス仕込み”のビジネスモデル

賃貸情報サイトとといえば、ネクストの「HOME’S」、リクルート住まいカンパニーの「SUUMO」などが大手だが、それぞれ課金の方式が違う。SUUMOでは、掲載自体に課金する「掲載課金」、HOME’Sも以前は掲載課金だったが、現在は掲載自体は無料だが問い合わせがあった場合に課金する「反響課金」という課金モデルを採用している。

掲載課金であれば予算によって掲載できる物件数に限りがあり、その効果を計測することも難しい。そこでHOME’Sが採用したのが反響課金。だが反響課金で掲載数が増えたとしても一部の物件に問い合わせが集中するなどの不都合が起きる。それに対して成約課金は実際に成約した場合にのみ費用がかかるため、もっとも効率がいいという。ただしキャッシュバック金額によって表出順位が変わるため、どういった物件の注目度を上げるかなどは考えないといけないだろう。

「不動産は成功報酬でやっている世界なのに、広告は先払い。先払いの広告を排除するのは、不動産仲介業の悲願」とまで金氏氏は語るが、実際のところ、既存の事業者は相当数の営業マンを抱えていることもあってすぐにビジネスモデルを変更できないこともあり、成約課金にするのは難しいようだ。このあたりはジョブセンスを開始した当時のリブセンスとリクルートの関係にも通じるところがある。

なおこのキャッシュバック賃貸、現在6割のアクセスがモバイルからということもあり、今後はスマートフォン版の開発に注力していくそうだ。


不動産売買(まだディスラプトされてない業界)のUberやAirbnbがそろそろ現れてもよい頃合いだ

80年代には家を探すことがどれだけ大変だったか、今の人には想像すらできないだろう。ここ数年間で、ZillowやTrulia、Redfinなどのサイトが登場し、家を買いたい人や売りたい人に大量の情報を提供してくれるようになった。条件に合った物件が出ると、携帯に通知がくる。それはたぶん、不動産屋さんがその物件を教えてくれるよりも早いだろう。競争の激しい市場で情報が早くアクセス性が良いことは、技術にあまり詳しくない買い手にとってとくに有利だ。比較も簡単にできるから、その物件が高すぎることや、どれぐらい値引きしてくれそうかなども、しろうとに分かるようになった。

以上はとてもすばらしいことであり、今ではRedfinのモバイルアプリなしで家を探すことなど、とても考えられない。でも、不動産スタートアップにできることは、ここまでなのか? ZillowやTruliaがIPOしたということは、不動産情報の世界でスタートアップが大成功できることを示している…ただし両社とも今は、賃貸を重視しているが。しかしいずれにしても現状では、不動産スタートアップのやることは、ユーザにより多くの情報を提供し、不動産屋に見込み客を提供することに、もっぱら限られている。でも本当なら、今よりももっと多くのスタートアップが存在して、不動産市場に大改革をもたらしているべきではなかったのか。

シアトルのRedfinもIPOするという噂があるが、でも多くの競合他社と違って同社は、“テクノロジを活用した不動産仲介企業”を自称している。そこで同社には、不動産屋が地域のMultiple Listing Service(マルチリスティングサービス)から得るのと同じ種類の情報をユーザに提供できる、というアドバンテージがある。ユーザの多くは、RedfinはZillowと横並びで競争していると見ているようだが、実際には同社は各地の不動産屋と組んで、ユーザの物件下見をスケジュールしたり、購入プロセスの一部始終を介助したりしている。しかしそれでも、結局のところ、RedfinのWebサイトは要するに不動産屋さんのための高度な見込み客生成ツールであり、ごく限られた市場で人気はあっても、各地のCentury 21やPrudential、Windermereなどの事業所を近いうちに廃業に追い込むほどの、強力な業態を確立してはいない。

では、不動産における本当のディスラプションとは何か? スタートアップたちはこれまで、商用物件と賃貸アパートだけを扱ってきたが、しかし非商用の私的物件となると、今でも60年代に家を買った人たちが経験したのと同じ売り方しかない。不動産屋さんに頼んで手数料を払う(売り手は小額を直接、買い手は買値に含まれて)。でも、その家や近隣については、自分の方がよく知っているのだ。しかしその家の鍵は不動産屋が持っていて、オープンハウスでないかぎり、不動産屋を介するしかその家の中を見る方法はない。

不動産の売買は相当複雑だ。それを取り仕切る不動産屋の言動が、なお一層、それを大仕事のように思わせる。でも、それをもっと軽く易しく透明にしてくれるスタートアップはどこにいるのだ? たしかに規制の多い業界で、奇妙な慣習もある。でもタクシーは(規制と慣習だらけの業界だが)Uberなどのスタートアップによって見事に変わりつつある。また、一時的な貸し家や貸間は、Airbnbががんばっている。Lockitronみたいなものがあり、またネットからの監視も可能な現代において、少なくとも物件の下見ぐらいは、もっと簡単にできてもおかしくない。

もちろん、良質な不動産屋さんはたくさんおられる。でも長期的に見ると、不動産屋は旅行代理店と同じ道をたどるだろう。特殊な状況向けには高度なプロフェッショナルが残るだろうし、また、ネットを使って自分でやるより専門家に任せたい、という人もいる。でも、意欲的なスタートアップたちによって旅の予約の仕方ががらっと変わったように、不動産もいずれは、変わるに違いない。

しかも、ここには大きな機会がある。誰かが、旧態依然たる業界に変革の大地震をもたらすことを、ぼくは期待してやまない。

写真クレジット: Images_of_Money

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))