データ自動取得で火花を散らすクラウド会計、freeeとマネーフォワードが立て続けにレジ勢と提携

簿記の知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフト。国内ではfreeeマネーフォワードの2社が競合。どちらも顧客となる中小企業や個人事業主を取り込むために、機能強化を図りつつ、銀行やクレジットカード、ECサイトなど各種サービスのデータを自動取得するための提携を進めている。こうした施策の一環として、freeeが19日にリクルートライフスタイルの無料POSレジアプリ「Airレジ」、マネーフォワードが20日にスマートフォンやタブレットを使った決済サービス「Coiney(コイニー)」との提携を発表した。

freeeとAirレジの提携は、Airレジを利用する店舗の売上データを自動でfreeeに取り込めるようにするもの。Airレジで集計した売上のデータは1日1回、freeeに自動で取り込まれ、freee上で複式簿記の仕訳として反映される。現金だけでなく、クレジットカードやリクルートポイントでの支払いも区別して自動で取り込めるようになっている。従来のレジを使った場合、レジに売上データが入っていても、日々の締め作業でレシートを再度印刷し、会計ソフトにその内容を手入力する作業が必要だった。

マネーフォワードとCoineyの提携は、Coineyを導入している店舗の売上データを毎日マネーフォワードに取り込むことで、マネーフォワードへの売上データの手入力を省けるようにするもの。クラウド型会計ソフトでスマホ向け決済と提携するのは国内初といい、Square楽天スマートペイPaypal Hereといった同様のサービスともデータ連携に向けて協議を進めているそうだ。

マネーフォワードは2月17日、ECサイト構築サービス「BASE」、タブレット型POSシステム「EC-Orange POS」、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」とのデータ連携を開始。現時点では銀行1351サイト、クレジットカード51サイト、電子マネー6サイト、通販2サイトなど合計1420サイトから、自動的に売上データを取得することが可能となっている。

3月25日には、マネーフォワードにメールで請求書を送信する機能を追加する。これまでも請求書PDFをダウンロードすることは可能だったが、メール送信機能によって請求書を相手が受け取ったかどうか確認できるようになる。

freeeは、元グーグル社員の佐々木大輔氏が2012年7月に設立。2013年3月のサービス開始から1年で6万以上の事業者が利用しており、特に2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いなのだという。その背景には、4月にWindows XPのサポート期間が終了し、インストール型の会計ソフトから乗り換るユーザーが増えていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていることがあるそうだ。

一方のマネーフォワードは、ソニーやマネックス証券に勤めていた辻庸介氏が2012年5月に設立。もともとは、銀行やクレジットカードなどの複数口座を一括で管理し、入出金情報を自動入力してくれる家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を手がけていたが、2013年11月にクラウド会計ソフト事業にも参入。2014年1月の正式ローンチ時には、月額料金をfreeeの980円より低い800円に設定するなど攻勢をかけている。現在の利用者数は「数万人」だという。


LINE電話、8カ国で運用開始―Androidユーザーは低料金で音声通話が可能に

それぞれに差別化を図って激しい競争を繰り広げているメッセージ・アプリだが、今日(米国時間3/17)、日本のLINE は距離に関係ない一律料金の音声通話サービス、LINE電話の運用を開始した。

従来からLINEユーザー同士ではアプリ内から無料で音声通話ができたが、LINE電話はこの機能を拡張したものだ。ユーザーはLINE電話でもデバイス本来の電話番号を利用できる。ただし、LINEによると、一部の地域、キャリヤでは着信の際に番号が正しく表示されないことがあるという。

最初にLINE電話が利用できるのは日本とアメリカに加えてコロンビア、メキシコ、ペルー、フィリピン、スペイン、タイの8カ国のAndroidユーザーだ。

これらの地域ではサービスの利用に必要なLINE Call v 4.1.0アプリがダウンロードできる。iPhone版が準備中で近日公開される。またアプリがダウンロードできる地域も拡大されるという。

LINEが公開した料金表によると、近く中国からも利用できるようになるようだ。固定回線への通話はアメリカ、メキシコ、ペルー、スペイン(これに中国が加わる予定)の1分2セントが最安で、順次高くなりフィリピンの1分12セントが最高だ。モバイル通話は1分あたり4セントから15セントとなっている。

LINE電話は2月に発表されたものだが、今日、無事に運用開始の運びとなった。LINEのサービスはSkypeやGoogleと同様、ユーザーの音声通話時間ではなく定額のデータ通信を利用することによって安価な通話を可能にするものだ。

しかし同時にLINEにとっては他のメッセージ・サービスに先駆けて音声通話機能を提供できたことは大きな差別化の要因となるだろう。LINEは2月に3億4000万人の登録ユーザーがあった(アクティブ・ユーザー数は不明)。メッセージ・アプリのリーダーでさきごろFacebookに190億ドルで買収されたWhatsAppは同時期のアクティブ・ユーザーが4億6500万人だった。

WhatsAppも2月に音声通話を提供する計画を発表したが、まだ詳細は明らかにされていない。

LINE電話の料金体系は2種類用意されており、Skypeのように事前にクレジットを購入するものと、一定の通話時間を決めて30日間有効になるものがある。長時間通話するユーザーには30日プランの方が割安になる。

LINEの売上は、前四半期で1億5600万ドルで、そのうち1億2000万ドルが中核事業であるLINEのメッセージ・アプリからのものだった。LINE電話は財務的にも大きな寄与が期待される。

2013年にLINEが株式上場を計画しているという報道があった。アジアのメッセージ・サービスでは韓国のKakao、中国のWeibo(微博)も上場を計画していることは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


国内未公開ベンチャー投資が拡大傾向、平均調達額は2.5倍の5000万円に

2008年のリーマン・ショック以降、下降線をたどっていた国内の未公開企業の資金調達額が増加に転じた。ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)の調べによれば、2013年には315社が合計584億円を調達し、前年の522億円から増加。1社あたりの調達額(中央値)は5000万円で、前年の2000万円から2.5倍に拡大した。大型の資金調達が相次いだことに加えて、2013年に設立されたファンドが本数、規模ともに大幅に増えたことも下支えした。これらのファンドは2014年から投資を本格的に実行することから、引き続き未公開企業ベンチャーへの投資拡大が継続されると推測している。

資金調達を行った企業数・資金調達の推移

資金調達を行った315社(調達金額が不明な企業を含めれば472社)のうち、設立3年未満のシード・アーリー期の企業が66%と半数を超えたのも特徴で、これらの企業の資金調達額は全体の43%を占めていたという。

調達金額が増えた一方で、資金調達社数は2012年の425社から315社減少している。その理由についてJVRは、「2011年~2012年に数多く生まれたシードアクセラレーターによるシード投資が2013年に入って一巡し沈静化したこと、そして、投資の大型化傾向から選別が厳しくなったことなどが原因」と指摘。2014年についてはファンドの充実、シードアクセラレータ支援先の成長による資金調達など、社数の増大に期待ができるとしている。

1社あたりの資金調達額の推移

2013年に資金調達を実施した企業のうち、インターネットを利用したビジネスモデルを持つ企業の社数は2013年に83.7%と、前年の78.5%から増加。資金調達額は全体の65.2%と、2007年以降増加傾向が続いている。

資金調達を行ったインターネットビジネスモデル企業数・資金調達額の割合の推移

地域別に資金調達を行った企業を見ると、関東が80%で東京に一極集中している様子が伺える。名古屋や大阪は合計しても1割に満たなかった。また、海外で起業したベンチャーの割合は2012年の2%から10%に増大している。

資金調達のランキングでは環境関連のエリパワーが36億円でトップ、2位はバイオテクノロジーのヘリオスで24億円。IT関連では、コンテンツを雑誌のようなデザインで閲覧できるサービス「Antenna」を手がけるグライダーアソシエイツが20億円で3位、ソーシャルゲームのgumiが19億円で4位、ネットワーク仮想化技術のMidokuraが16億円で5位にランクインしている。

資金調達ランキング

ベンチャーキャピタル(VC)の投資金額ランキングでは、事業会社自らがベンチャー企業への出資・投資活動を行うCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)や外資系VCの健闘が目立ち、上位30社中、CVCが7社、外資VCが6社ランクインした。投資金額ランキングの1位は産業革新機構で108億円、2位はジャフコで34億円、3位はニッセイ・キャピタルで29億円。

投資金額ランキング (ベンチャーキャピタル)


年額6000円、ルクサが有料会員制レストラン予約「LUXA RESERVE」を開始

クーポン共同購入サイト「LUXA」を運営するルクサは13日、年額6000円の会員制レストラン予約サービス「LUXA RESERVE」を開始した。ザガットサーベイやミシュランガイドが取り上げる選りすぐりのレストランをオンラインで予約でき、限定メニューや優待価格など会員特典サービスが受けられる。東京・大阪・名古屋・福岡のレストラン300店舗でスタートし、2015年3月末までに1500店舗の掲載と、月間4万組の予約数を目指す。

オンラインのレストラン予約は、古くは2006年に日本法人を設立した米OpenTable、2011年以降はぐるなびや食べログ、ホットペッパーなどの大手グルメ情報サイトが相次いで参入。2013年10月にはヤフーが検索結果から予約できる「Yahoo!予約」を開始している。これらのサービスはいずれも無料だが、ルクサ代表取締役の南壮一郎氏は「ユーザーとしては情報量が多くて選べなかった」と課題を指摘する。

これに対してLUXA RESERVEは、1人あたりの予算7000円以上の有名ガイドブック星付きレストランを中心に掲載。オープン時の300店舗のうち、70店舗はLUXA RESERVEだけでオンライン予約を受け付けている。ユーザーは「分煙」「全席喫煙可」「23時以降ラストオーダー」「靴を脱ぐ」といった条件や、「記念日」「接待」「デート」などと利用シーンに合わせて検索できる。会員特典として、ウェルカムドリンクや限定コースなどの優待メニュー、記念日の特別な演出も受けられる。

ルクサ代表取締役の南壮一郎氏

レストラン側としては、上質な顧客に限定したプロモーションができるメリットがある。LUXA RESERVEに掲載されているレストランのマネージャーは、「お客様には上質なサービスを提供していますが、どなたを良いお席にご案内するかといった『順序』があるのも事実。それは予約時の声のトーンで決めることもありますが、なかなか判断は難しい。有料会員制サービスを使うお客様であれば『特別扱い』をしやすくなります」と話している。レストラン向けには当日のキャンセルで空席が出た場合、メールとサイト上で特別プランを会員に告知できるツールも提供している。

ルクサはクーポン共同購入サイトで約65万人が利用しており、会員の世帯収入は800万円が中心と「購買力の高い会員が多い」のが特徴。親会社で有料の会員制転職サイトを運営するビズリーチも高所得者のユーザーを多く抱えているので、LUXA RESERVEへの誘導も期待している。2014年4月以降、資本金1億円超の企業は飲食費の50%が非課税になるため、主に接待や会食での利用を見込んでいるようだ。

LUXA RESERVEで掲載しているレストランは、電話であれば誰でも予約することができる。そのため、オンラインで24時間いつでも予約できる利便性と、会員特典である「プラスアルファの贅沢体験」(南氏)をユーザーに評価してもらえるかが成功の鍵になりそうだ。収益は会員が支払う年会費と、レストラン側から送客ごとに徴収する手数料が中心。手数料は非公開だが、売り上げの10%程度という。


ロボコップが現実に、ロボット警備員を開発するKnightscopeにドコモ・ベンチャーズが出資

Knightscopeのサイトより引用。現時点では公道での使用は許可されていません

スターウォーズに登場するR2-D2のような姿をしたロボット警備員が街の治安を守る。そんな日がまもなくやってくるかもしれない。そう、自立走行型マシン「K5」ならね。

K5は高さ152cm、横幅81cm、重さ136kgと少しずんぐりとした体型のマシン。内部には、周囲360度の動画を撮影するHDカメラ、4方向の音声を収集するマイク、超音波式の近接センサー、対象物の移動速度や距離を図るセンサーなどがある。

開発元の米Knightscopeによれば、人々の挙動をリアルタイムに監視し、攻撃的であったりコソコソした身振りを察知した場合は、当局に通報して犯罪を未然に防ぐのだという。1台のK5が年間に収集するデータ量は90テラバイトに上る。

各種センサーで収集するデータに加えて、顧客企業が指定した地域で投稿されたソーシャルサービスのデータも活用する。具体的には、市民の抗議や違法行為に関する雑談などがあると、Knightscopeのセキュリティオペレーションセンターに警報が届く仕組みだ。

TechCrunch Japanのメールインタビューに応じたKnightscopeのCEO、William Santana Li(ウィリアム・サンタナ・リー)氏によれば、同社は2012年12月のサンディフック小学校銃乱射事件や2013年4月のボストン・マラソン爆発事件をきっかけに設立。現在、北米には約200万人のガードマンや警察官、約50万台の警察車両があるというが、「その数はこれ以上増えることは見込めず、治安を守るにはテクノロジーの助力が不可欠」という思いから創業した。

「K5が単調な仕事や、時として危険の伴う仕事までも請け負うことで、人間には高次元の思考や、細かい陣頭指揮が求められる衝突などに注力してもらいたい。将来的には特定エリアの犯罪を50%減らすことを目標に掲げている。」

2014年第2四半期にはシリコンバレーでベータテストを開始する予定で、「ウェイティングリストには30社近くの大企業が順番待ちをしている状況」。本格展開は2015年を見込んでいて、月額3000ドルで提供する計画。ショッピングモールやイベントスペースなど比較的広域なエリアでの利用を想定している。日本での展開は未定だが、リー氏は2020年の東京オリンピックを商機と捉えているようだ。

3月13日には、NTTドコモ・ベンチャーズが同社に出資したことを発表。出資額は明らかにしていないが、NTTグループの安心・安全に関わるビジネスや、機械と機械が互いに通信を介して情報をやりとりするM2M(Machine to Machine)分野への貢献を期待しているという。


mobcast、ゲームプレイ中に攻略情報を共有できるQ&Aサービス「Quu」

「モバサカ」「モバプロ」といったモバイルゲームを運営するモブキャストは25日、ゲームの攻略情報を共有するQ&Aコミュニティ「Quu(キュー)」のクローズドβサービスを開始した。ゲームの攻略情報といえば、先日個人情報が流出した「@wiki」をはじめとするWikiサービスや2ちゃんねるなどに投稿されているが、モブキャストはモバイルゲームプラットフォーム「mobcast」で配信するゲームに実装することで、ユーザーの継続率や課金率などのKPIを高める狙いだ。

モブキャストはこれまで、ゲームとは別の場所の自社ポータルサイト上に攻略情報を共有する場所を設けていた。これに対してQuuは、ゲーム画面の下部に用意されるQボタンから質問や回答を投稿・閲覧できるため、ゲーム内のコミュニティ機能として使えるのが特徴。例えば、野球ゲーム「モバプロ」やサッカーゲーム「モバサカ」であれば、攻略情報や選手のトレード情報、あるいはゲームと全く関係ない雑談を投稿し、返信を確認しながらプレーを続けられる。質問は特定のユーザーやグループに限定したり、不特定のユーザーに向けて投稿できる。

モブキャストはQuuを通じて、ユーザーのアクティビティを向上させるとともに、Q&Aでのやりとりの中から他のゲームに興味を持ってもらい、ゲーム間の相互送客ツールとしても活用したいのだという。サービス開始当初は400万人が利用するmobcastで配信する自社ゲーム向けに提供し、今秋までに国内外でリリースされるすべてのゲームに対応する。将来的にはQuu自体を商用化し、ネイティブゲーム開発会社などにも提供していく。

12日には、プラットフォームとしてのmobcastのリニューアルも実施。「SVS(Social Victory Space)」という独自のコンセプトに沿って、新たに「30代を中心とした負けず嫌いな男性」をメインターゲットとして定める方針を明らかにした。

モブキャストによれば、SVSとは人と人が競い合うことを楽しむ空間。負けず嫌いな男性がゲームに勝って、ライバルに褒められたり、尊敬されたい欲求に応えるゲームやコミュニティを提供するという。具体的にはゲームの勝ち負けに則した人間関係を「ライバルグラフ」として構築し、ライバルをリコメンドしたり、ライバルの戦歴を比較する機能を提供する。


日本発、音と動きでカラダを使った遊びを実現するMoffがKickstarterキャンペーンを展開中

「キュートなウェアラブル」といえばこれを指すことになるかもしれない。何の話かと言えばMoffだ。子供用の腕輪で、これをつければありふれた日用品が、様々な音を発するオモチャになる。このカワイイプロダクトを生み出したのは、もちろん日本だ。

Moffはスラップベルトで巻きつけるようになっている(つまり紐などを使って結びつける必要はない。手首に勢い良く打ち付けるようにすると、自然に手首の周りに巻き付くような形になる)。そしてMoffはiOSデバイスとBluetooth 4.0で繋がり、iOS側のアプリケーションにて、鳴らす音を選択するようになっている(Android版も現在開発中だとのこと)。

Moffには加速度センサーとジャイロセンサーが搭載されており、Moffを身につけた人の動きを感知することができ、感知した動きに応じた音を鳴らすことができる。たとえばエアギターを演奏して実際に音を出すこともできるし、魔法の杖を振っていかにもそれらしい音を出すこともできればオモチャの拳銃の発射音などを鳴らすこともできる。

動力はボタン電池で、30時間ほどのプレイタイムになるのだそうだ。電池は利用者が自分で交換することができる。

現在Kickstarterでのキャンペーン中で、目標調達額は2万ドルとなっている。これまでのところ29日を残して既に1万1000ドル以上を調達している。

SDKやMoff利用者に対するアプリケーションを販売できるアプリケーションストアの開設も検討中で、またMoffの動作検知の仕組みを他のアプリケーションと組み合わせてジェスチャー対応にすることなどにもトライしていく予定なのだそうだ。

さらにはメジャーなアニメ・キャラクターとの連携も念頭においているとのこと。Kickstarterのページには以下のように記されている。

キャラクターなどのコンテンツ(音声コンテンツ等)を持っている企業の方は、それらコンテンツをアプリケーションストアで販売していただくことができます。Moffを使って消費者に新たな魅力をアピールすることで、キャラクターなどの人気が世界中で一層高まることも期待できます。

価格を見ると、早期割引の価格でひとつ45ドルとなっており、通常価格が49ドルに設定されている。資金調達に成功した暁には、7月より出荷を始めていく予定なのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


サイバーエージェント・ベンチャーズ、韓国のフードデリバリー「Woowa Brothers」に出資

サイバーエージェント子会社のサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)は10日、スマートフォンでデリバリーフードを注文できるアプリ「配達の民族」を手がける韓国のWoowa Brothersに対して、2月21日付で出資したことを明らかにした。出資額は非公表だが、関係者によると数千万円程度のようだ。

CAVによれば、配達の民族は累計ダウンロード数900万、月間注文者数180万件に上る韓国最大のデリバリーフードのポータルサービス。日本で言えば楽天デリバリーや出前館、米国で言えば600以上の都市で2万8000店舗を展開しているGrubHubが同様のサービスといえる。GrubHubは2月28日、1億ドルの資金調達を目指し、証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請を行っている

CAVは韓国において、スマホアプリを手がけるベンチャー企業への投資を最重要方針として掲げている。Woowa Brothersは、同国最大のメッセンジャーサービス「Kakao Talk」を運営するKakao、600万ダウンロードを保有するナビゲーションアプリ「KIM GISA」を運営するLOCNALLに次ぐ、韓国で3件目の投資支援先となる。


東大発のAgIC、インクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変えるDIY KitプロジェクトをKickstarterで展開中

電子工学プロダクトのプロトタイプを作成するのに、ブレッドボード上にコードを這い回らせることすら無用にしてしまうプロダクトがKickstarterに登録された。

名前をAgIC Printというプロダクトで、以前にTechCrunchで紹介したアイデアを組み合わせたようなものとなっている。その2つとは、プリント基板を印刷するEx1 3D printerで、もうひとつは伝導インクにて回路を描くCircuit Scribeだ。これらプロダクトの直系というわけではないが、AgIC Printは、家庭用のインクジェットプリンターで伝導インクを使い、文字通りのプリント基板を作ってしまうプロダクトだ。

AgICはペンで利用することもできるようになっていて、その場合は前述のCircuit Scribeボールペンと同様の形で回路を描くことができる。

但し、このプロダクトの主な特徴は、やはりインクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変身させてしまうことだろう。しかも299ドルという低価格にて変身させることができるのだ。299ドルのキットには以下のものが含まれる。

フィルターとシリンジ(注射器) x3 + 伝導シルバー・ナノパーティクルインク 25ml + 専用コート紙(A4) x20 + 伝導グルー(シリンジ3本分) + 伝導マーカー x1 + 伝導テープ x3

以上がプリント関連のものだが、これにさまざまなパーツがついてくる。

サーフェスマウントタイプのICソケット x4、電池 x2およびマウントケース、mbed MCU(LPC1114FN28) x2、サーフェスマウント・スライドスイッチ x2、チップレジスター x50+、チップLED x50+、そしてサーフェスマウント・ピンヘッダー(20×2ピン)

AgICのDIYキット購入者は、プリント基板プリンター化するためのインクジェットプリンターを自前で用意する必要がある。専用のインク注入器の利用できるプリンターが推奨される。また既に通常の印刷用途に利用しているものではなく、新たなものを購入した方が良いとのこと。既存のものを利用する場合には、内部に残ったインクを完全に除去する必要がある。

599ドルを出せば「完全版」を手に入れることができる。こちらにはインクジェットプリンターも同梱されている。この、プリンタ同梱版であっても、Kickstarter上で1499ドルであったEx1 PCBプリンターよりもはるかに安価となっている。

但し、Ex1の場合は木材、ガラス、プラスチック等、紙以外の素材にも印刷することができる。また印刷用回路を設計するためのソフトウェアも開発中で、よりトータルな用途への展開を考えているようだ。AgICの方はハードウェアプロダクトを提供するもので、設計にはAdobe IllustratorやCorel Drawなどを使うことになる。

AgICの目標調達額は3万ドルだが、既に2万5000ドルが集まり、締め切りにはまだまだ多くの日が残されている。目標額を調達できれば(おそらく調達できるだろう)、キットは8月までに出荷を開始したいとしている。

訳注:AgICは東大発ベンチャーで、ホームページはこちらになります。

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(翻訳:Maeda, H


「LINE MALL」が販売手数料を無料化、競合フリマアプリに衝撃か

ヤフーミクシィサイバーエージェントなど大手ネット企業に加えて、メルカリFrilなどのスタートアップが続々と参入する個人間取引(C2C)市場。いわゆるフリマアプリと言われるこの分野ではいくつかのサービスが販売手数料無料をうたっているが、6日に「LINE MALL」がこの動きに追随した。国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINEが手数料無料化に踏み切ったことで、勢力図に大きな影響を与えそうだ。

LINE MALLのイメージ

LINE MALLは商品のジャンルや新品・中古に関わらず、あらゆる商品を売買できる。出品は一般ユーザーか企業かを問わず、事前審査も不要。スマホで撮影した写真を利用し、販売価格を設定、出品ボタンを押すという3ステップだけで出品できる手軽さがウリだ。2013年12月にAndroid版で先行スタートし、これまでは出品者から商品代金の10%を手数料として徴収していた。今回の無料化に伴い、過去に商品を販売した人に対しては手数料を払い戻す。

6日には、LINE MALLのiPhoneアプリも公開した。これにあわせて、アプリ内に新カテゴリとして「LINEセール」を設置。国内外のバイヤーが集めた商品を中心に、LINEセールでないと購入しづらい商品やお得な価格の商品を7日午後12時30分より毎日紹介していく。

LINEは手数料を無料化した理由について、「多種多様な出品を促してMALL全体のコミュニケーションを活性化させるため」と説明。LINE MALL単体での収益化については「その段階ではない」としている。


モバイルPOSレジを”ハブ”にしたビジネスを――リクルートのAirレジがSquareと連携

導入にコストのかかる既存のPOSレジ置き換える、タブレットを活用したクラウド型のモバイルPOSサービスが増えている。ユビレジの「ユビレジ」、プラグラムの「スマレジ」など、スタートアップの製品に注目が集まっているが、NECのような大手ベンダーも3月から「NEC モバイルPOSソリューション」を開始するなど、競争は激化している。

リクルートグループもモバイルPOSサービスに参入しており、2013年11月にリクルートライフスタイルから無料のモバイルPOSレジサービス「Airレジ」を発表している。同サービスはすでに3万アカウントのユーザー登録があるという。現在は100人体制で開発。200人で導入を進めており、2015年3月時点で10万アカウントの獲得を目指している。

ではなぜリクルートグループがPOSレジ事業に参入したのか? それも無料で、だ。

POSレジサービスはメディアの様な“ハブ”に

これについてリクルートライフスタイル代表取締役の北村吉弘氏は、「Airレジは人と店舗を繋ぐ“ハブ”のようなものであるから」という言葉で説明する。かつて飲食店情報のフリーペーパー「Hot Pepper」や、旅行情報誌「じゃらん」などを発行し、メディアという“ハブ”を通じて送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルPOSレジサービスも、「顧客と店舗を繋ぐ」という意味ではメディアのようなハブとして機能するものであり、その普及のためにサービスを無料で提供。さらにはiPad Airの店舗配布も進めているという。単体で収益化することは考えていないそうだ。

今後はHot Pepperなど、グループで提供する各種サービスとの連携も予定する。Airレジは座席の管理機能があるので、もし空席があればその空席に対して連携するサービスを使ってリアルタイムで送客するという世界感を目指す。

北村氏はAirレジを無料で提供する理由について「Airレジはハブのようなものであるから」と説明する。これまでメディアというハブを通じた送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルレジサービスもそれと同じようなハブとして考えたため、サービス無料、さらにはiPad Airの店舗への提供も進めているという。同日開催された記者会見では、北村氏は「店舗の業務負担を下げることで経営支援をしていく」と強くアピールした。

Squareがらからのオファーで提携

そんなAirレジだが、ユーザーからもっとも大きかった要望が「Airレジ上からシームレスなカード決済への対応」だったという。前述のユビレジでもモバイル決済サービスの楽天スマートペイと、スマレジもゼウスとそれぞれ提携し、カード決済サービスを提供している。リクルートライフスタイルは3月5日、Squareと提携し、3月下旬よりAirレジアプリ上からSquareを利用したカード決済ができるよう対応をすると発表した。

連携の詳細はこうだ、Airレジのアプリ上で通常どおりレジ業務を行い、最後にSquareでの決済を選択すれば、そのままアプリ内でSquareの決済機能が起動する。あとはイヤフォンジャックに差したSquareのカードリーダーでクレジットカードを読み取り、カードの所有者が画面にサインをすればいい。なお、利用にはAirレジのアカウントに加えてSquareのアカウントが必要となる。

実は今回の提携だが、筆者が聞いたところによると、Square側が打診したものだという。Squareカントリーマネージャーの水野博商氏は、「これまでSquareの販売パートナーなどはいたが、ここまでミッションを共有できた企業はいなかった」とリクルートライフスタイルについて語る。提携を打診したのは2013年12月で、そこから3カ月というスピードで今回の発表に至った。

リクルートライフスタイルでは、今後もAirレジで協業できるパートナーを積極的に探していくとしている。


ヤフー、今春開始のカード決済「Fastpay」、手数料を最低水準の3.25%にするも値下げ合戦が勃発

ヤフーは3日、今春開始予定の開発者向けクレジットカード決済サービス「Yahoo!ウォレット Fastpay」の決済手数料を3.25%にすることを明らかにした。サイト運営者はcURLやPHP、Ruby、Pythonなどの言語で数行のコードを貼り付けるだけで、月額費用や初期費用が無料で自社サイトにカード決済機能を組み込める。支払情報はダッシュボードでリアルタイムに確認できる。カード情報はYahoo!ウォレットがPCIDSSに準拠した方法で管理する。4日には先行申込受付を開始した。

ヤフーは2013年10月、“eコマース革命”と銘打ち「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」のストア出店料(月額システム利用料)を無料化。Yahoo!ウォレット Fastpayは「売り手と買い手の摩擦係数をゼロにするeコマース革命の一環」(ヤフー担当者)といい、ネットビジネスを拡大するスタートアップ企業を中心に普及を図る考えだ。これまでカード決済機能を導入するには、決済サービスの複雑なAPIを利用したり、書類審査で何週間も待つ必要があった。

国内で同様のサービスとしては、先日1億1000万円を調達した「WebPay」関連記事:開発者向けカード決済サービス「WebPay」が1.1億円のシード資金調達)や、ベリトランスが手がける「VeriTrans Air」などがある。Yahoo!ウォレット Fastpayのサービス内容は2月に発表済みだが、手数料は公表されていなかった。3.25%という手数料はWebPayが設定する「3.4%+30円」を意識したものと思われるが、VeriTrans Airは4日、6月30日までの期間限定で通常の3.6%から3.2%に下げるキャンペーンを開始するなど、値下げ合戦の様相も呈している。


「リッチなハイヤー体験を誰にでも」Uberがついに東京で正式ローンチ、日本上陸のキーマンに勝算を聞く

Uber日本法人の塩濱剛治社長

スマートフォンアプリでハイヤーを配車できる「Uber(ウーバー)」がいよいよ東京で本格的に始動する。昨年11月より「ソフトローンチ」という位置づけで東京・六本木地域を中心に試験運用を行っていたが、3月3日より六本木、渋谷、恵比寿で正式にサービスを開始することが発表された。タクシー業界の黒船とも言われるUber。日本法人を立ち上げた塩濱剛治社長に勝算を聞いた。

Uberは全米都市部やヨーロッパ主要都市、上海やソウル、台北など31カ国81都市でサービスを展開している(3月3日時点)。アプリではハイヤーを配車でき、目的地までの見積もり額、ハイヤーの現在地や到着にかかる時間などを確認することが可能。決済はクレジットカード情報を登録したアプリで行い、降車後は領収書がメールで送られてくる。東京では基本料金が100円、1分ごとに65円、1kmごとに300円がかかる(最低料金は800円)。

日本上陸にあたっては、法規制をクリアするために第2種旅行業の資格を取得。その上で、ハイヤーを保有するタクシー会社と提携し、ハイヤーと運転手を提供してもらっている。Uber自体はハイヤーを持たず、「仲介業者」として配車している。現在の提携先のタクシー会社やハイヤーの台数は「徐々に増えている」(塩濱氏)というが、具体的な数値は明らかにしていない。収益はハイヤー会社と分配するが、その比率も非公表となっている。

Uberは黒塗りのハイヤーとお抱えの運転手といった高級感のあるサービスが特徴。米国での成功の背景には、流しのタクシーが拾いにくかったり、接客態度の悪いドライバーがいたりする環境がある。これに対して、東京は公共交通機関が充実しているし、ドライバーの接客の質も平均して高い。そんな市場で米国ほどの成功が見込めるのか? 塩濱氏は勝算を次のように語る。

「例えば、私が何かの記念日に家族を連れて食事をするとしたら、タクシーを呼ぶよりも、ハイヤーが家の前まで来てくれて、運転手さんがうやうやしくドアを開けてくれるのは、ちょっとリッチな気分で気持ちいい。こうした体験は従来、大企業の役員クラスしかできなかったが、Uberがあれば誰でもそれができる。プレミアムな選択肢を提供したい。今までハイヤーを使っている人というよりも、新たな顧客層を開拓していけると思っている。」

11月以降のソフトローンチでは、IT・ネット業界の起業家や関係者の利用が多く、こぞって数千円分が無料で乗れるプロモコードをFacebookに投稿していた。見方によっては「ネタで乗車しただけ」とも捉えられるかもしれないが、リピート率は半数を超えているのだとか。具体的な数値目標は掲げていないが、今後は主に起業家や企業のエグゼクティブ、海外でUberに慣れている観光客などを対象にアプローチしていきたいとしている。

タクシー業界の黒船とも言われるUber。実際にサービス開始以降は米国でタクシー会社と衝突したり、訴訟沙汰になったりを繰り返してきた経緯もあるが、タクシー業界をディスラプト(破壊)するつもりはないと塩濱氏は語る。「新しいことを始めると拒絶反応は出てくるもの。私達としては、Uberと組むことでタクシー会社のハイヤーと運転手の稼働率を上げませんかと提案している。競合というより協業のスタンス」。

3日に開催された記者発表会では、アメリカ大使館商務部のアンドリュー・ワイレガラ氏が「Uberは黒船ではない」として日本企業にとって良きビジネスパートナーになるとコメント。また、元ソニーCEOで現在はクオンタムリープ代表取締役の出井伸之氏は、「今までの生態系と違うものが来ると違和感を感じる人もいる。iPodが出た時に音楽の権利関係ではどうなんだという声もあったが、ユーザーの立場で便利なものは普及する。Uberも世界的に見てものすごく便利」とUberの船出を後押しした。


狙いはSNS離れの若年層、ミクシィがスナップチャット風アプリ「muuk」公開

ミクシィは3日、自分の表情をセットにした写真を友だち同士で共有できるメッセンジャーアプリ「muuk(ムーク)」を発表した。iOS版Android版がダウンロードできる。米国でティーンに人気のSnapchat(スナップチャット)と同様に、共有した写真が短時間で消滅するのが特徴。ミクシィとしては、SNS「mixi」離れが進む10〜20代前半の女性を取り込みたい考えだ。スマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」やM&Aで取得した結婚支援事業は好調に推移している同社だが、muukが若年層にリーチするための起爆剤になれるか注目だ。

写真は閲覧後すぐに削除されるため、仲間内だけの変顔や悪ふざけの写真を気軽に送ることもできそうだ。Snapchatは10秒以内の指定した時間で写真が消滅するのに対して、muukは3秒のみとなっている。日本でもブームになりつつあるFrontbackのように、写真にはスマホの前面カメラで撮影した自撮り画像が添えられるので、絵文字やスタンプと比べて、豊富な感情表現ができるのだとか。写真には32文字以内のテキストも入力可能。

mixiのIDと連携せず、利用する際にはLINEまたはTwitterで友だちにmuukのIDを通知する。写真はソーシャルメディアには投稿されず、muukでつながった数人のグループだけで共有する仕組みだ。簡単に写真をやりとりできるようにするために、画像を加工したり、閲覧可能な時間を選ぶ機能などはあえて入れず、シンプルかつミニマムであることを意識したと、muukのディレクターを担当する大崎敦士氏は語っている。

アプリの開発段階では、約60人の女子高生や女子大生にテストを実施。そこでわかったのは、彼女たちが大勢とつながる欲がなく、親しい仲間と無意味かつ無目的な写真をやりとししたがっていることだった。muukのプロデューサーを務めるミクシィ取締役の川崎裕一氏は、「若い女性ユーザーがmixiを離れているのは事実。そうした世代への提案として、親しい仲間同士の日常を補完するような会話の手段を提供したい」と話している。

今後は女子大生に人気のモデルをプロモーションに活用するなどして、100万ユーザー到達を目指す。4月以降はアジアを中心に海外展開を開始する。ちなみに、アプリ名は「無垢」から転じてmuukとなっている。素の自分を伝え合うために、自分の心の殻を「剥く」という意味も込められているのだという。

ミクシィの大崎敦士氏(左)と川崎裕一氏(右)


ストックフォトのピクスタが定額制サイト「Imasia」、オウンドメディアやFacebookページでの需要受け

約690万点の写真が登録されているストックフォトサイト「PIXTA(ピクスタ)」は、定額制サイト「Imasia(イメージア)」を4月3日にオープンする。写真を大量に必要とするデザイナーや企業が対象。3万7800円の30日間プランや、20万5200円の90日間プランなどがあり、それぞれ1日25点まで(30日で最大750点)ダウンロードできる。

PIXTAは2006年5月に開設。現在は約12万人のクリエイターが写真や動画を販売している。素材はすべてピクスタの審査を経たもので、写真・イラストは1点525円〜、動画は1点2100円〜。プロが撮影した写真を提供するストックフォトサイトと比べて、「約10分の1の低価格」(ピクスタ代表取締役の古俣大介氏)という。顧客は広告制作や出版、放送などの分野で約14万人を超える。

クリエイターにはプロもいるが、全体の97%が会社員や主婦などのアマチュアカメラマンだ。リーマン・ショック以降の副業ニーズでユーザーが伸びていて、その中には平日は会社員として勤め、休日はPIXTAのクリエイターとして活躍し、その収益で家を建てた人もいるのだとか。

今回定額制サイトを立ち上げた背景には、企業のオウンドメディアやFacebookページ、オンラインメディアやウェブ広告などで、商用利用可能な写真の需要が高まっていることがある。PIXTAでは毎月20枚以上の購入する顧客が増えていて、コストへの懸念や購入ごとの稟議書の手間から、大量購入をためらうケースが多々あったのだという。

欧米系のストックフォトサービスに目を向けると、2012年12月にニューヨーク証券取引所に上場したShutterstockがいち早く定額制サービスを開始。これに同業他社も追従し、今では定額制が一般化している。国内ではゲッティイメージズの「Thinkstock」「ペイレスイメージズ」が定額制を提供している。

ピクスタは定額制サービスとしては後発になるが、500万点を超える日本コンテンツの品揃えで差別化を図るという。「国内の定額制サイトは日本コンテンツが10〜30万点程度。圧倒的な日本コンテンツの品揃えが強み」(古俣氏)。同社はImasia単体で2015年までに売上高1億円を目指す。今後はアジアの素材も充実させ、3年以内にアジア諸国でのサービス展開を視野に入れている。

ピクスタ代表取締役の古俣大介氏


気になる話題を自動収集する「カメリオ」、グローバル・ブレインから5000万円調達


白ヤギコーポレーションは28日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とする約5000万円の第三者割当増資を実施した。同社は、気になる話題に関するニュースやブログを自動収集するiPhoneアプリ「カメリオ(Kamelio)」を手がけるスタートアップ。今回調達した資金では人材採用を強化し、サービス開発に注力する。

カメリオは自らを「フォローメディア」と称していて、ユーザーがフォローしたテーマに沿ったニュースやブログの記事をリアルタイムに自動収集する。テーマは100万以上あり、例えば好きなアーティストをフォローすると、テレビの出演情報や作品情報をプッシュ通知してくれる。

もう一つ特徴的なのは、関連する記事を過去にさかのぼって読めるタイムライン機能だ。技術的には、記事に含まれる「コンセプトの距離」を定量化することで実現している。例えば、ビッグデータとクラウドコンピューティングは0.1、ビッグデータとTechCrunchは0.2などと数値化し、コンセプトが近い記事をタイムラインに表示させているのだとか。

実際に試してみると、ビットコイン騒動のような時事的な記事はタイムラインがうまく機能する傾向があるようだ。ただ、指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」がKickstarterに公開されたことを報じたTechCrunchの記事は、タイムラインに二次配信先のヤフーニュースの記事しか表示されなかったりもする(TechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルでRingが優勝した記事も入れて欲しかった)。タイムライン機能の品質向上については、今後の最優先課題だとしている。

白ヤギコーポレーションによれば、カメリオは最新の情報を収集したり、興味を学習してくれるニュースアプリと、探している情報がすぐに見つかり、興味に合わせて深堀りできる検索エンジンのいいとこ取りをしたアプリ。かつてポータルサイトで消費されたニュースは昨今、モバイルアプリに主戦場が移行しつつある。この分野は激戦区だが、本日バージョン4.0.0をリリースしたGunosyや、2月3日に300万ダウンロードを突破したSmartNewsLINEの公式ニュースアプリなどがある中で存在感を出せるか注目だ。


ミクシィが公募増資などで63億円調達、「モンスト」広告宣伝にあて再成長図る

ミクシィは28日、公募増資などによって63億円を調達することを明らかにした(PDF)。調達した資金は、2月に300万ユーザーを突破したスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」(モンスト)の広告宣伝に投入する。SNS「mixi」が伸び悩む中、ゲームに注力することで再成長を果たせるか注目される。

モンストのヒットなどを受け2月13日の決算説明会では、16億円の赤字を見込んでいた2014年3月期の業績予想を2億円の黒字に上方修正。朝倉祐介社長は会見で、「構造的赤字から脱却し、事業再生フェイズから再成長フェイズに移行した」と強調したが、成長は一時的とみる向きもある。(関連記事:ミクシィ朝倉社長が退任へ、「再成長を描ける人間にバトンタッチする」

13日の会見では朝倉社長が6月24日に退任し、後任にはmixiやモンストの事業を率いた森田仁基執行役員兼mixi事業本部長が就任することが発表された。森田氏は今後のミクシィについて、「経歴を見るとゲーム事業に関わっているイメージが強いが、私が目指しているのはつながりを加速するサービス。必ずしもゲームに軸足を置くわけではない」と話していた。


売れなければ意味がない、ネットショップ無料構築「STORES.jp」が集客支援の提携を加速

専門知識がない人でも手軽にネットショップを作れる「STORES.jp」。現在までに8万以上のストアが開設され、100万点を超える商品が登録されているという。その中には、自らのTwitterやFacebookの影響力を駆使して、年間5000万円を売り上げるストアもあるのだとか。とはいえ、簡単にストアは作ったものの、ほとんど売れない人のほうが圧倒的多数。STORES.jpとしてもこうした現状を理解していて、「売れるストア」を作るための提携戦略を進めている。

その中で最も話題となったのは、親会社のスタートトゥデイと共同で開発したアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」(関連記事)。STORES.jpでストアを開設したオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。販売力の弱い中小のアパレルストアにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長は、「できたてホヤホヤの地方アパレルの商品が毎月数百個レベルで売れている」と話す(もちろん、こうした成功事例の影には閑古鳥が鳴いているストアが多数あるだろうが)。

ZOZOMARKET以外にも、「売れるストア」作りに向けた施策を年末から今年にかけて矢継ぎ早に打ち出している。2013年12月にはユザワヤ商事とハンドメイド作品専門の「ユザワヤマーケット」を開設、2014年2月には「ヤフオク!」と連携(関連記事)、同月には同人誌販売の「コミックとらのあな」と「とらのあなマーケット」を開設、そして本日、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」と「PASS THE BATONマーケット」を3月28日に開設することを発表した。今後は全国363店舗の雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」と「ヴィレッジヴァンガード・マーケット」をオープンする予定だ。

提携先として重視しているのは、根強いファンがいて集客力のある企業かどうか。これらの事例ではいずれも、ストアオーナーが管理ページでプロモーションスイッチを有効にするだけで、提携先サイトに商品が露出される。光本氏によれば、プロモーションスイッチを有効にしているストアと、そうでないストアを比べると、1カ月で売り上げが2.7倍も変わるのだとか。

STORES.jpは専門知識がなくても利用できる手軽さがウリなだけあって、「ITリテラシーの低いストアオーナーが少なくない」と光本氏は指摘する。そうしたオーナーに対しては知識を詰め込むのではなく、「プロモーションスイッチを有効にしていたら、いつのまにか売れていた」という状況が理想だという。「売れないストアを生成しても意味がない」(光本氏)。

無料でネットショップを作成できる国内の競合サービスとしては、1月末時点で7万店が開設されているBASEがある。どちらも初期費用や販売手数料は無料だが、掲載できる商品数はBASEが無制限、STORES.jpは5点まで(月額980円のプレミアムプランに加入すれば無制限)だったり、BASEが無料で独自ドメインを取得できる一方で、STORES.jpはプレミアムプラン加入者のみ取得可能といった違いがある。BASEについて光本氏は、「よく比較されるが、我々の強みは圧倒的に売る導線を確保していること」と話していて、外部との提携戦略で差別化を図っていく考えだ。

ブラケットの光本勇介社長


ITで不透明な業界に挑む、追加費用なしの定額リフォームEC「リノコ」が2億円調達

ネットを通じてリフォームを依頼できるサイト「リノコ」を運営するセカイエは28日、ニッセイ・キャピタルが運営するファンドを引受先とする2億円の第三者割当増資を実施した。リノコは施工店と消費者の間に入ることで、施工店による強引な販売や追加料金の請求を排除することをうたっている。料金体系が不透明なリフォーム業界にインターネットを武器に参入することで、適正な相場を形成したいのだという。調達した資金は主に広告宣伝や採用にあて、全国展開を強化する。

矢野経済研究所によれば、2012年の住宅リフォーム市場規模は約6兆3000万円。業界には圧倒的な市場シェアを獲得するプレイヤーは存在せず、中小零細企業の売り上げが75%を占めている。大手不在のためにサービスが適正化されていない部分もあるようで、見積もりに追加料金が発生するといったトラブルも少なくない。そこでリノコは施工店とユーザーの接点をなくし、問い合わせや連絡は自社のコールセンターを経由してやりとりしている。セカイエ代表取締役社長の高間舘紘平氏は、「腐った慣習がはびこっている業界に適正な相場をもたらしたい」と語る。

サービスの流れ

リノコが手がけるのはクロスの張り替えやキッチン、お風呂、トイレ、洗面台の交換など。見積もりには材料費や工事費、人件費などリフォームに必要なすべての費用を記載し、例えばクロス貼替えは6帖で3万9800円などと決まっている。価格は競合サイトと比べて最安値ではないが、リノコ経由で施工店に直接発注し、二次請けや三次請けといった中間マージンを排除することで業界標準よりも3割ほど安い価格を設定しているという。材料はこれまで施工店経由で仕入れていたが、2013年12月からはリノコ側で一括仕入を順次開始したことで、仕入れ値を下げている。

サービスの提供地域は日本全国。北海道から沖縄までの工務店や職人など300社と業務提携している。施工店側としては、通常業務の空き時間にリノコ経由で受注した仕事を行うことで稼働率をあげられることがメリットだ。この仕組みは、2月に14億5000万円を調達したネット印刷「ラクスル」や、昨年12月にサービスエリアを全国に拡大したネット宅配弁当「ごちクル」と似ている。前者は印刷会社、後者は飲食店を組織化し、ネット経由で受注した案件を通常業務の空き時間に依頼している。

リノコは全国一律で工事の品質を担保するために、ユーザーアンケートやコールセンターとの応対内容にもとづいてに施工店を採点し、ランク付けしている。同一地域内でランクが高い施工店には優先的に仕事を依頼し、反対に評価が悪い施工店は取り引きを停止している。実際にこれまで約100社との提携を解消したが、クレームをなくすための品質管理としては欠かせない仕組みなのだという。品質を担保するサービスとしてはこのほか、施工箇所の1年工事保証とメーカー保証も付けている。

主な利用者は50~60代の持家・分譲マンション居住者やマンションオーナー。地域別では東京が26%で最も多く、千葉、埼玉、神奈川を含めると5割を超える。受注件数は2013年11月期で1200件。現在は月間220件ペースで受注していて、今期は5000件を上回る見込みだ。年内にはハウスクリーニングや太陽光パネル設置などのメニューを増やし、今期売り上げ10億円を目指す。

セカイエは大阪に拠点を置くスタートアップ。リノコはもともと、低価格葬儀サービス「小さなお葬式」を提供するユニクエスト・オンラインの新規事業として始まったが、2013年にユニクエスト社が買収。これに伴い代表取締役を務めていた田中智也氏が退任し、新たにセカイエを設立してリノコを継続していた。その後、当事JAFCOでユニクエストのリードインベスターとして支援していた高間舘氏にラブコールを送り、田中氏に代わって社長に就任した経緯がある。ちなみに、小さなお葬式はリノコと同じく、不明瞭な価格設定が横行する業界にネットを武器に参入し、追加料金なしの定額プランを提供している。

セカイエ代表取締役社長の高間舘紘平氏


開発者向けカード決済サービス「WebPay」運営元が1.1億円のシード資金調達

ウェブペイ・ホールディングスは25日、新株予約権付転換社債によるシードラウンドを実施し、サイバーエージェント・ベンチャーズを含む3社より、1億1000万円を調達したことを明らかにした。同社はウェブサイトやモバイルアプリにクレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」を運営するウェブペイの純粋持株会社。調達資金は主としてエンジニアを含む採用に使う。

WebPayは2013年6月に正式サービスを開始。わずか数時間で組み込めるほど簡単に使えるというAPIを提供し、最短3営業日で審査が完了する体制を構築。カード情報を加盟店側で処理・伝送・保存しないのも特徴だ。これまでカード決済機能を導入するには、各決済サービスの独自で複雑なAPIを利用する必要があり、書類審査で何週間も待たなければならなかったという。

この分野にはヤフーが2014年春、「Yahoo!ウォレットFastPay」というサービスで参入することも発表済み。内容はWebPayと類似していて、ウェブペイ代表取締役CEOの久保渓氏は、「WebPayとYahoo!ウォレットFastPayは競合です!歓迎します!徹底抗戦します!」と題するブログエントリを投稿している。Yahoo!ウォレットFastPayもWebPayと同様、急成長するスタートアップ向けカード決済サービスという位置付けでユーザー獲得を目論んでいるようだ。