タブレットやスマホをPOSレジにーーAirレジの利用アカウント数が25万5000を突破

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最近ショップやカフェに行くと、店員がタブレットでレジ対応をしているのを見かけたことはないだろうか?リクルートライフスタイルは、こうしたタブレットやスマホで利用可能なPOSレジアプリ「Airレジ」を提供している。Airレジは2013年11月からサービスをローンチし、3周年を迎えた。本日リクルートライフスタイルは「Airレジ カンファレンス2016」を開催し、Airレジのこれまでの実績と今後の拡大戦略について発表した。

リクルートライフスタイルの執行役員大宮英紀氏

リクルートライフスタイルの執行役員大宮英紀氏

店舗でPOSレジシステムを導入しようとすると通常、数十万円の初期投資が必要となる。これは新しく店舗を開店しようと考える個人事業主にとって大きな負担となっていた。Airレジは、初期投資も月額費用もかからない無料のPOSレジシステムのアプリだ。2013年11月にローンチして以来、小売店や飲食店、美容院やイベント会場など25万5000以上のアカウント利用があると、リクルートライフスタイルの執行役員大宮英紀氏は説明する。

この3年間で、Airレジを中核に店舗運営に関わる業務効率化するサービスの拡充を行ってきたと大宮氏は説明する。来客の受付管理サービス「Airウェイト」、予約管理のウェブサービス「Airリザーブ」、カードや電子マネーでの決済に対応する「Airペイ」などをローンチしている。

また、サービス拡充と同時にAirレジは、潜在利用者の個人事業主とのリアルな接点を持つ施策も行った。2016年4月、Airレジは家電製品の小売を行う「ビックカメラ」の店舗にAirレジのサービスカウンターを設置した。個人事業主はAirレジのサービスカウンターを訪れ、実際にAirレジのサービスを触ったり、専任の販売員から使い方の説明を受けたりすることができる。2016年12月時点で、全国26箇所のビックカメラにカウンターを設置している。

また、Airレジは2016年2月、Appleのモビリティパートナーに選ばれている。Apple StoreでもAirレジのイベントを開催したり、Apple StoreでAirレジの周辺機器の購入したりすることもできるという。

今日のカンファレンスではAirレジの今後の戦略をいくつか発表した。まず、2016年5月にローンチした飲食店向け予約台帳アプリ「レストランボード」に力を入れていくという。「レストランボード」は予約管理、顧客管理、会計、メッセージ配信、ホームページ作成、ネット広告配信に対応し、Airレジと深く連携させることで、一気通貫した効率的な店舗運営と販売促進を実現していくという。

「レストランボード」の競合には、予約台帳と顧客管理ができる「トレタ」などのサービスがある。Airレジの顧客基盤に訴求できる点、そしてリクルートライフスタイルが展開する飲食店のネット予約サービス「ホットペッパーグルメ」と連携可能な点は、レストランボードの大きな強みとなりそうだ。

また、エンドユーザーがAirレジで利用可能な決済手段も増やしていくという。2016年12月にAirレジは「POICHI for AirREGI」をローンチした。このサービスを導入する店舗は、販売促進の一環としてTポイントとPontaといったポイントカードサービスを利用できる。エンドユーザーはその店舗で何かを購入する時にポイントを貯めたり、ポイントを代金の支払いに充てることができるという。

決済部分を担うAirペイでも主要クレジットカードの他に、モバイル決済や交通系ICカードと対応可能な決済手段を拡充している。中国で広く利用されているアリペイにも対応し、これは中国からの旅行客を取り込みたい小売店に支持されているという。2017年4月からはApple Payにも対応できるより開発を進めているそうだ。

最後に、Airレジは今月より店舗向けの電力サービス「おみせのでんき produced by AirREGI」を発表した。12月22日より申込受付を開始予定だ。このサービスを持って、店舗にとってコストとなる光熱費の見える化を促進し、効率的な店舗運営を助けるという。

 

モバイルPOSレジを”ハブ”にしたビジネスを――リクルートのAirレジがSquareと連携

導入にコストのかかる既存のPOSレジ置き換える、タブレットを活用したクラウド型のモバイルPOSサービスが増えている。ユビレジの「ユビレジ」、プラグラムの「スマレジ」など、スタートアップの製品に注目が集まっているが、NECのような大手ベンダーも3月から「NEC モバイルPOSソリューション」を開始するなど、競争は激化している。

リクルートグループもモバイルPOSサービスに参入しており、2013年11月にリクルートライフスタイルから無料のモバイルPOSレジサービス「Airレジ」を発表している。同サービスはすでに3万アカウントのユーザー登録があるという。現在は100人体制で開発。200人で導入を進めており、2015年3月時点で10万アカウントの獲得を目指している。

ではなぜリクルートグループがPOSレジ事業に参入したのか? それも無料で、だ。

POSレジサービスはメディアの様な“ハブ”に

これについてリクルートライフスタイル代表取締役の北村吉弘氏は、「Airレジは人と店舗を繋ぐ“ハブ”のようなものであるから」という言葉で説明する。かつて飲食店情報のフリーペーパー「Hot Pepper」や、旅行情報誌「じゃらん」などを発行し、メディアという“ハブ”を通じて送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルPOSレジサービスも、「顧客と店舗を繋ぐ」という意味ではメディアのようなハブとして機能するものであり、その普及のためにサービスを無料で提供。さらにはiPad Airの店舗配布も進めているという。単体で収益化することは考えていないそうだ。

今後はHot Pepperなど、グループで提供する各種サービスとの連携も予定する。Airレジは座席の管理機能があるので、もし空席があればその空席に対して連携するサービスを使ってリアルタイムで送客するという世界感を目指す。

北村氏はAirレジを無料で提供する理由について「Airレジはハブのようなものであるから」と説明する。これまでメディアというハブを通じた送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルレジサービスもそれと同じようなハブとして考えたため、サービス無料、さらにはiPad Airの店舗への提供も進めているという。同日開催された記者会見では、北村氏は「店舗の業務負担を下げることで経営支援をしていく」と強くアピールした。

Squareがらからのオファーで提携

そんなAirレジだが、ユーザーからもっとも大きかった要望が「Airレジ上からシームレスなカード決済への対応」だったという。前述のユビレジでもモバイル決済サービスの楽天スマートペイと、スマレジもゼウスとそれぞれ提携し、カード決済サービスを提供している。リクルートライフスタイルは3月5日、Squareと提携し、3月下旬よりAirレジアプリ上からSquareを利用したカード決済ができるよう対応をすると発表した。

連携の詳細はこうだ、Airレジのアプリ上で通常どおりレジ業務を行い、最後にSquareでの決済を選択すれば、そのままアプリ内でSquareの決済機能が起動する。あとはイヤフォンジャックに差したSquareのカードリーダーでクレジットカードを読み取り、カードの所有者が画面にサインをすればいい。なお、利用にはAirレジのアカウントに加えてSquareのアカウントが必要となる。

実は今回の提携だが、筆者が聞いたところによると、Square側が打診したものだという。Squareカントリーマネージャーの水野博商氏は、「これまでSquareの販売パートナーなどはいたが、ここまでミッションを共有できた企業はいなかった」とリクルートライフスタイルについて語る。提携を打診したのは2013年12月で、そこから3カ月というスピードで今回の発表に至った。

リクルートライフスタイルでは、今後もAirレジで協業できるパートナーを積極的に探していくとしている。