テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

Tesla(テスラ)CEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月9日、ベルリンの新しいギガファクトリーで大パーティーを開催し、まばゆい照明とテクノミュージックから観覧車、回転木馬、アーケード、ベジタリアン・フード・トラックまでを揃えた会場で、環境保護団体による訴訟で紛争中の工場における生産開始を発表した。

「私たちは数カ月以内、基本的に11月か12月の生産開始を目指しており、最初の12月中に最初の車両を出荷できることを願っています」とマスク氏がイベントで話し、数千人のファンの喝采を浴びた。「ただし、生産の開始はどちらかというと簡単な部分です。難しいのは大量生産につなげることです」。

量産は週に5000台か「願わくば1万台」とマスク氏はいう。同工場ではModel Y、およびバッテリーセル数百万個を生産する予定だ。Teslaは、300ヘクタールの施設に隣接する50GWh(ギガワット時)のバッテリー工場に58億ドル(約6520億円)を投資する計画を提示しており、マスク氏は年内のバッテリーセル量産開始を約束した。Volkswagen(フォルクスワーゲン)が計画するザルツギッター工場の生産能力は40GWhを予定している。

ベルリン-ブランデンブルクのTeslaギガファクトリー建設は、2年前に例外的な手続きによって当局の承認を得たのち、環境の懸念から最終承認を妨げていた地元の反対にも関わらず、ほぼ完成している。マスク氏の法外なイベントからは、現地の人々を取り込もうとする意図が感じられ、 「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」で、新たな別世界の扉を開くために、独立記念日の祭典を行って土地を貸しているロシア人たちの票を獲得し注意をそらそうとしたクライン市長の漫画的な行動を思い起こさせる。

2021年6月、フィンランドの政党である緑の同盟とブランデンブルク自然生物多様性保護連合は、環境破壊の懸念から工場の塗装部門、鋳造部門、プレス部門の機械試験の即時中止を求める訴訟を起こした。 2020年、複数のNGOが近隣の絶滅危惧種のトカゲとヘビの自然生息地を保護するために差止命令を要求した。

地元民は、オンライン住民協議プロセスで検討されている800件以上の苦情を提出しており、10月14日に締め切られる、とBloomberg(ブルームバーグ)は伝えている。それが過ぎてから環境当局による最終決定が下される。

こうした反対にも関わらず、Teslaの工場が認可される可能性は95%だとブランデンブルク州経済相は言っている。このTesla工場は、現在ヨーロッパ全体から広く雇用しており、ドイツ東部の主要な景気刺激策であると見ている多くの政党が賛成している。

マスク氏は批判派に対し、工場の水の使用は「比較的少なく」、バッテリー生産は「持続可能」であると言って工場を擁護した。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

本田技研工業がeVTOL、アバターロボット、宇宙技術に向けた計画を発表

本田技研工業は9月下旬、電動垂直離着陸機(eVTOL)、二足歩行ロボット、宇宙技術などの新規事業分野におけるイノベーション計画を発表した。

本田技研工業(HMC)のイノベーション部門である株式会社本田技術研究所(Honda R&D)が中心となり「モビリティの可能性を3次元、さらには時間や空間の制約を受けない4次元、そして最終的には宇宙へと広げて、人々に新たな価値をもたらすテクノロジーへの既成概念にとらわれない研究」を行なっていくという。

まるでSF小説のような話である。こういったイノベーション計画は結局うまく行かずに終わることも多々あるが、説明会で同社は過去73年間にわたって開発し続けてきた燃焼、電動化、制御、ロボティクスなどのコア技術が、これまでのモビリティニーズと大きく異なる未来の目的に適応し、いかに進化を遂げることができるかを論証したのである。

ハイブリッドeVTOLとそれに対応するモビリティ・エコシステム

画像クレジット:本田技研工業株式会社

eVTOLとヘリコプターの違いは、前者がバッテリーからの電力で駆動する独立したモーターを持つ複数のプロペラを備えているのに対し、後者は巨大で騒がしいローターを上部に備えていることである。つまりeVTOLは通常、より安全で静か、そしてクリーンであることになる。

世界中で開発されているeVTOLのほとんどがオール電化であるのに対し、HMCは「自社の電動化技術を活用し、ガスタービンハイブリッドのパワーユニットを搭載したHonda eVTOLを開発する」ことを目標としている。この分野での技術開発を進めていくという計画意図は4月の記者会見で初めて発表されたが、その中でHMCは2050年までに製品を100%EVにするという目標も掲げている。

HMCのコーポレートコミュニケーション担当マネージャーであるMarcos Frommer(マルコス・フロマー)氏はプレスブリーフィングの中で、全電動式のeVTOLは質量あたりのバッテリー容量の関係で航続距離が非常に短いため、新型車両のほとんどのユースケースが都市間移動やシャトル便などの近距離飛行に限られると説明している。2024年までの商業化計画を発表したばかりのJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)でさえ、これまでで最も長いeVTOLのテスト飛行は1回の充電で約150マイル(約241km)だったという。

「当社の市場調査結果によると、eVTOL機での移動における最大のニーズは、航続距離が250マイル(約402km)程度の長距離の都市間移動です」とフロマー氏。「自動車の電動化もあって、ホンダはリチウムイオン電池の研究開発に力を入れています。しかし、現在のリチウムイオン電池をベースに進歩しても、容量あたりのエネルギー密度は今後20年間で数倍程度にしかならないと予想されています。そのため、さらなる軽量化が求められる空のモビリティでは電池だけで長距離を実現するのは難しいと考えています」。

フロマー氏によると、将来的にバッテリーがさらに進化すれば、HMCはガスタービン発電機を取り外してeVTOLをオール電化にすることも可能だという。

ホンダはコアテクノロジーを活用しながら新分野へ取り組み、挑み続けている(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

同社はeVTOLを核に、地上のモビリティ製品と連携した新しい「モビリティ・エコシステム」を構築したいと考えているという。同社の説明会ではアニメーションを使った次の例が発表された。ケープコッドに住むビジネスエグゼクティブが、1つのアプリを使ってハイブリッドeVTOLを予約。ニューヨークのオフィスまでは空路でわずか2時間の距離だ。このアプリはホンダの自律走行車に接続されており、離陸のためのモビリティーハブに向かう間には今日の天気を教えてくれるだろう。着陸すると自律走行のシャトルがビッグアップルで待機していて、オフィスに連れて行ってくれる。仕事が終わり、悠々と帰宅すれば、家族と一緒に自宅のテラスでディナーを楽しむことができるだろう。

「モデルベース・システム・エンジニアリング(MBSE)の手法を用いて、従来のものづくり企業から、システムやサービスの設計・商品化も行う新しい企業へと変革するために挑んでいます。予約システムのインフラ、航空管制、運航、自動車などの既存のモビリティー製品など、さまざまな要素からなる1つの大きなシステムを完成させてこそ、お客様に新たな価値をお届けすることができるのです。これらの要素をすべて弊社だけでまかなうことは不可能であり、多くの企業や政府機関とのコラボレーションが必要になるでしょう」とフロマー氏は話している。

HMCは2023年に試作機による技術検証を行い、2025年にハイブリッド実証機の飛行試験を行うことを予定している。商業化の判断はそれからだ。HMCがそこから進み続けることを決めた場合、2030年までに認証を取得し、その次の10年でローンチできるようにしたいと考えている。同社がTechCrunchに話してくれたところによると、商業化が実現した場合、一度に4人以上の乗客を乗せることができるeVTOLの価格は民間旅客機のビジネスクラスよりも低くなることが予想されている。

「商用化の可能性については、まだ詳細を議論中です。しかし、すべてのお客様が民間旅客機のビジネスクラスよりも安い価格で当社のeVTOL機を利用できるようになるよう努力しています」とフロマー氏は話している。2040年までにはeVTOLが日常化するとHMCは予想しており、それまでに市場規模は約2690億ドル(29兆8800億円)になると予測している。

ホンダのロボット「Asimo」で時空を超えた世界へ

ホンダのアバター・ロボット・レンダリングは、医師が遠隔で患者を助けることを可能にする(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

ユーザーが実際にその場にいなくてもタスクを実行したり物事を体験したりできるという、第二の自分を持つことを可能にする、ホンダによるアバターロボットコンセプトの「Asimo」。ユーザーはVRヘッドセットと、手の動きを正確に反映させることができる触覚グローブを装着することで、アバターを接続して遠隔操作することができる。

「私たちはこれを、2Dや3Dのモビリティを超え、時間と空間を超越した4Dモビリティと位置づけています」とフロマー氏。

Asimoは、世界で通用するような外科医がいない発展途上国では高いニーズを得るであろう遠隔手術や、人が住めない場所や人が到達するのが困難な場所にアバター版の人間を送る宇宙探査などの用途を想定している。

「アバターロボット実現の核となるのが、弊社の強みであるロボット技術を活かして開発された多指ロボットハンドと、ホンダ独自のAI支援の遠隔操作機能です。多指ハンドを使って人間用に設計されたツールを使いこなすことができ、AIによってサポートされた直感的なユーザー操作に基づいて複雑な作業を迅速かつ正確に行うことができるアバターロボットを目指しました」と同社は話している。

トヨタ自動車にもテレプレゼンスでコントロールできる同様の二足歩行アバターロボットT-HR3があり、テスラも最近人型ロボットの計画を発表している(テスラのロボットは遠隔操作技術をベースにはしていないようだが)。もしホンダがAsimoの計画を進めるならば、操作を容易にするためにも、ロボットの学習のためにも、遠隔操作の利用は理に適っている。ロボットに動作を直接行わせるというのは、ロボットを訓練する上で最良の方法なのかもしれない。

同社は2030年代にはAsimoを実用化したいと考えており、2024年3月期末までにテストを実施したいと考えている。

宇宙技術の研究・開発を強化する

循環型の再生可能エネルギーシステム(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

同社はさらに宇宙技術分野、特に月面開発の研究開発を加速する計画も発表した。その中で少し触れたのが、同社が以前発表した循環型再生可能エネルギーシステムだ。6月、本田技術研究所と宇宙航空研究開発機構はこのシステムの共同事業化調査を発表した。月面上の基地や惑星探査機に酸素、水素、電気を供給し、人間が長期間にわたって宇宙で生活できるようにすることを目的としたシステムについてである。このシステムは、ホンダの既存の燃料電池技術と高差圧水電解技術を活用したものだという。

同社は宇宙飛行士が宇宙に飛び出す際のリスクを最小限にするために、月面で遠隔操作のロボットを使うこと、さらには地球からバーチャルで月を探索できるようにするということも検討している。月面用ロボットには、アバターロボットで開発中の多指ハンド技術や、AI支援の遠隔操作技術に加え、ホンダが衝突被害軽減のために使用しているトルク制御技術が搭載される予定だ。

同社はまた、再利用可能なロケットの製造に向けて、流体や燃焼、誘導、制御などのコア技術を役立てたいと考えている。

「このようなロケットを使って低軌道の小型衛星を打ち上げることができれば、コネクテッドサービスをはじめとするさまざまなサービスにコア技術を進化させることが期待できます」とフロマー氏はいう。「これらのサービスはすべて、ホンダの技術と互換性を持つことになるでしょう」。

フロマー氏によると、同社はロケット製造を夢見る「若いエンジニア」たちに、2019年末に研究開発を開始する許可を与えたという。ホンダは宇宙に関するいずれの取り組みについても、それ以上の具体的な内容を明らかにしていない。

画像クレジット: Honda Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

Rivian(リビアン)は、初めての試みで、ピックアップトラックのゴルディロックスを作った。

Rivian R1T電気トラックは大き過ぎず、小さ過ぎない、適正サイズのトラックだ。ロッククローリングやオフキャンバー走行を難なくこなす。ダートでも数秒で時速約96kmに達し、後輪のスリップも発生しない(ただし、オプションでドリフト効果を発生させることもできる)。また、曲がりくねった山道でコーナーを攻めても車体が横揺れすることもない。

内装も外装も間違いなく最高級の仕上がりになっている。が、Rivian R1Tは決して見かけだけの軟弱なクルマではない。

リビアンのデザイナーとエンジニアは、あらゆる面で形と機能を両立させることで、見せ掛けだけのクルマにならないように配慮している。さらに驚かされるのは、タイダウンフック、エアコンプレッサー、コンセントといった装備の場所などから、多くの社員が、キャンプ、マウンテンバイク走行、あるいは買い物などの日常的な作業に至るまで、実際のさまざまな条件下でこのクルマをテストしたことが伺える点だ。

こうした努力の結果、季節を問わず、あらゆる用途に使えるクルマになっている。そして何より、運転していて楽しい。

記者向けの3日間の試乗で、最終製品仕様に近いR1Tは、誰もこんなクルマが必要だと気づいていなかった、そんな電気トラックであることが分かった。

といっても、すべてが完璧だと言っているわけではない。ハードウェアの細かい部分やソフトウェアユーザーインターフェイスなど、改善して欲しい点はいくつかある。1つ指摘しておくと、おそらくペン立てなのだろうが奇妙な切り込みがあるのだが、これはワイヤレス充電パッドによって間違いなくすぐにホコリがたまるだろう。

はっきり言っておくが、このクルマを詳細にレビューするにはもっと時間をかけて試乗してみる必要がある。とはいえ、全体としてRivian R1Tには好印象を持った。

画像クレジット:Kirsten Korosec

リビアンがR1Tで実現したことは簡単ではない。

名のある自動車メーカーにとって、消費者の欲しいものリストを予想して、すべての要望を実現していくのは難しいことだ。量産しながら適切な仕上がりを維持するのはさらに難しい。リビアンは、最初の電気トラックを米国市場に投入して、ドライバーが欲しがるトラックをきちんと製造することを目指す絶好の立場にある。

リビアンは消費者の要望と運転のしやすさという点では期待に答えていえるが、生産と配送というさらに2つのテストに直面している。

リビアンはこれらの目標に向かって前進している。リビアンブルーの車体を持つ最初のRivian R1T電気ピックアップトラックは、今月始め、イリノイ州Normal(ノーマル)の同社工場の組み立てラインから排出され、創業10年を超える同社と創業者兼CEO RJ Scaringe(RJ・スカーリンジ)氏にとって画期的な出来事となった。

関連記事:アマゾンも出資するRivianが電動ピックアップトラック「R1T」の量産第1号車を出荷

2009年にMainstream Motors(メインストリームモーターズ)として創業した同社は2年後にリビアンに社名を変更し、この2年間で、社員、支援者、パートナーの数が急増し、爆発的な成長を遂げた。

リビアンは数年間ひそかに事業を展開した後、2018年、ロサンゼルスのモーターショーで完全電気自動車R1TトラックとR1S SUVのプロトタイプを発表した。

その後、リビアンは数十億ドル(2019年以来105億ドル)を調達し、イリノイ州ノーマルの工場を拡張し、数千人(8,000人以上)の社員を雇用し、アマゾンを法人顧客として獲得した。最近では、ひそかにIPOを申請している。また、イリノイ州の工場の他にも、カリフォルニア州のパロアルトとアービン、ミシガン州プリマスにも工場があり、英国支社もある。

基本概要

画像クレジット:Kirsten Korosec

筆者が試乗したR1Tは、グレイシャーホワイトのLaunchエディションで、Pirelli Scorpionの全地形対応タイヤを履いていた。価格は約7万5000ドル(約833万円)だ(1075ドル[約12万円]のコンテナ取扱料金を除く)。

特性のバッジが付いてくるLaunchエディションはもう購入できないが、リビアンの「Adventureパッケージ」トリム(7万3,000ドル[約811万円]より)は装備という点でLaunchエディションとほぼ同じだ。例えばLaunchエディションとAdventureエディションは、どちらもオフロード向けアップグレードが標準装備されている。具体的には、強化されたボディー底面シールド、デュアルフロントバンパーけん引用フックとエアーコンプレッサー、内装アクセント、100%リサイクルのマイクロファイバー天井材、Chilewich(チルウィッチ製)フロアマットなどだ。

R1Tの特徴は、バッテリーパック、駆動装置、扱いやすい独立型空気サスペンション、保温性の高い下部構造などで構成されるスケートボードアーキテクチャーだ。このスケートボードシャーシには上記のすべての装備が組み込まれている。つまり、このスケートボードに異なるボディを乗せることができる。これにより、柔軟性とコスト効率性が向上し、同じ基盤を使用して車を量産できる。

その結果、重心が低く、68立方フィート(約28リットル)の積荷スペースが確保された。積荷スペースは、デザイナーとエンジニアがさまざまな身長の顧客に配慮して設計したものだ(下の2階層の前方トランクはそうした例の1つだ)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

パワートレインには、135kWhのリチウムイオンバッテリー、全輪駆動用の4台のモーター、835馬力 / 最大トルク1,231.25N・mのシングルスピードトランスミッションが搭載されている。これらの数字によって、パワー、パフォーマンス、カーブで加速したときの安定感といった利点が得られる。

リビアンがクワドモーター駆動(前輪軸と後輪軸にデュアルモーター駆動ユニットを搭載)を設計した経緯は説明しておく価値があるだろう。というのは、筆者はその設計が重要な理由を身を持って体験できたからだ。4台のモーターはそれぞれ独立にドルクを調整するため、さまざまな条件下でトラクションを制御できる。筆者が試乗したのは未舗装の悪路だった。クワドモーター駆動により、状況に応じて、最もパワーを必要としている車輪にパワーを伝えることができるため、スリップを防いだり、車両の回転を制御したりできる。

車両の温度管理とバッテリー管理システムにより、車両は最大11,000ポンド(約5トン)をけん引でき、直流急速充電速度は走行距離140マイルの場合200kWで20分の充電が必要となっているが、どちらも試すことはできなかった。この2点については、数日間試乗できる機会がきたら試してみようと思う。

サーキット

画像クレジット:Kirsten Korosec

記者向けの試乗会は全員デンバー国際空港をスタート地点として開始された(ただし筆者は飛行機が遅れたため同時にスタートできなかった)。空港から州間ハイウェイ70を100マイル北上し、ロッキー山脈の東側地域に入り、ブレッケンリッジ(テンマイル・レンジにある人気のスキーリゾート)を最終地点とする(今回の旅費と宿泊費はリビアンではなくTechCrunchが負担してくれた。リビアンはトラックと食事を供給してくれた)。

筆者は、 Rivian R1Tに試乗するのを、次の日まで待たなければならなかった。

翌朝早く、Rivian Camp Kitchenで屋外での朝食をとり、安全性チェックと簡単な説明を聞いた後、いよいよコースでの試乗が始まった。

初日の大半はオフロードだが、舗装されたマウンテンハイウェイも面白そうだ。最初のルート(スワンリバーのノースフォークに沿って走りディアー・クリークとセントジョン・トレイルに接続するコース)は、ロッククローリング、難しいV時型の切り込みのある区間、険しい上りと下りで構成されている。スピードの出せるダート・ロードもあるので「ラリー」モードを試すこともできた(詳しくは後述する)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

ドライバーは、古い鉱山採石場だったモンティズマを通過し、ハイウェイ6(ラブランド・パス峠を越える曲がりくねった舗装道路)に入る。初日の最後はドライバーによって走行距離に差が出た。トラックに乗車した筆者と他の記者たちが選んだ午後のルートは、ラブランド・パス峠を2回越えて、キーストーン、スワン・ロードを通過して最終地点に到達するルートだった。

翌朝、記者たちは再度空港まで試乗車を試すことができた。今回の初めての試乗は計約270マイルにおよぶ3日間の旅だった。

ハンドリングとパフォーマンス

画像クレジット:Rivian

オフロード区間の走行時は、4輪独立の空気サスペンションが真価を発揮した。ドライバーは、多目的、スポーツ、オフロード、節約、けん引などの複数のモードからいずれか1つを選択できる。オフロードモードには、さらに、オフロードオート、ロッククロール、ラリーなどのオプションが用意されている。ドリフト走行モードも用意されているが、今回はテストしなかった。

最低地上高、ダンピング、再生ブレーキを制御するペダルマップ、車両のサスペンションは、走行モードに応じて調整される。例えば節約モードでは、車高は約8インチ(約20cm)だが、オフロードでは14.9インチ(約37cm)にまで調整できる。

オフロード走行では、急斜面の登り下り、浅瀬走行も行った。地上高と、34度のアプローチ角、25.7度のブレイクオーバー角(斜路走破角)、29.3度のデパーチャー角により、車体が地面をこすったり、つっかえたりすることは一度もなかった。特に大きな石を避けて進もうとしていたら(他の車両ではごく普通のテクニック)、リビアンの社員がそのまま乗り越えるようアドバイスしてくれたことがあった。言われるとおりにやってみると、まったく問題なかった。

画像クレジット:Rivian

オフロード走行中に突然発生した唯一の問題は、同乗者の窓の開閉がときどき遅くなったり、止まってしまうことだ。これは量産仕様の車両では問題になるだろうが、ちょっとした誤作動の類で、あと数週間で実際に顧客に納車されるまでには修正されていることを望みたい。

このクルマのさまざまなモードでのパフォーマンスは期待どおりだったが、インターフェイスが原因で、モード切り替えが若干もたつく感じがした。これについては、以下で詳しく説明する。

ユーザーインターフェイス

画像クレジット:Rivian

内装はテクノロジーと物理構成要素のバランスが非常によくとれている。フロントガラスのワイパーとギヤセレクターの操作はレバーに組み込まれており、中央の車載インフォテインメント・システムから操作しなくてよいのはありがたい。また、ハンドルには親指操作の2つのトグルスイッチが装備されており、音量、1曲飛ばし、電話応答制御、Alexa音声アシスタントを制御できる。また、先進の運転補助機能もいくつか用意されている。

先進の運転支援システム(ブランド名Driver+)がアクティブ化されたときに使用される運転者監視システム(カメラ)も用意されている。ドライバー用ディスプレイは仕様に組み込まれているもので、わずかな重要情報(速度、ナビゲーションマップ(必要な場合)、レンジなど)のみが表示される。

運転席の右側中央には矩形の中央タッチパネルがあり、クルマに関して必要なほぼすべての情報が表示される。その中には、物理的なボタンやノブでも操作できればありがたいと思える項目もいくつかある。とはいえ、良い点を挙げると、インフォテイメントシステムでは、面倒なホーム画面ボタンを省略して、必要な項目がすべて画面下部に固定的に配置されている。これにより、ほとんどの機能を直感的に見つけて操作できる。

画像クレジット:Rivian

普通のドライブなら「どうしてもっとボタンとノブで操作できるようにしないんだ?」などと愚痴をこぼすこともないだろう。だが、急な石だらけの斜面を登るときなど、換気口の向きを変えるのに、いちいちタッチパネルをタップして小さなドットを動かして自分の顔に風が当たるように調整するのは何とかならないのかと思わず声に出して愚痴ってしまった。また、ガタガタ道や曲がりくねった道を走行しているときに回生ブレーキのレベルを変更したいとも思わなかった。

こうしたぎこちなさの中には慣れれば解消されるものもあるだろう。それでも、リビアンのユーザーが物理的なノブや換気口を掴んで操作できることを望んでいるのではと思うような機能もいくつかある。エアコンはその最たるものだ。

ソフトウェアは思ったとおりに動作した。今回試乗したトラックでは、が反応が遅くてもたつくことはなかった。携帯電話は簡単にBluetooth接続して音楽を再生できた。ただし、リビアンの車載システムにはApple CarPlay やAndroid Autoはインストールされていない。

リビアンはソフトウェア中心型でクラウドベースのアーキテクチャーの利点を享受している。これにより、無線でソフトウェアをアップデートできるため、わざわざサービスセンターまで足を運ばずに済むとリビアンの社員が保証してくれた。アップデートは定期的に実行され、新しい機能とアプリがインストールされる。

テスラでは、ビデオゲームやその他のお楽しみコンテンツを配信する手段としてOTA(Over The Air)を使っているため、テスラのオーナーはOTAがお気に入りになっている。リビアンは少なくとも現時点では、OTAにはあまり乗り気ではない。リビアンの電気トラックの隠し機能はハードウェアを重視しており、それは未来のリビアンオーナーの希望に沿ったものだと同社は考えている。

ハードウェアアクセサリー

キー、ギア・トンネル、ギアガードなど、簡単に触れておくに値するハードウェアコンポーネントがいくつかある。すべてのアクセサリ(粋なポータブルスピーカー、タイヤ空気圧縮機、懐中電灯など)については、今週掲載する記事で詳しく紹介する。

まずはキーだ。いや複数のキーといったほうがよいかもしれない。リビアンはオーナーがクルマのドアを開けるための4つの方法を用意した。携帯アプリ、カラビナタイプの錠前のついたフォブ、クレジットカード型のキー、ブレスレットの4つだ。やり過ぎではないかと思うかもしれないが、これはアクティブで、辺ぴな地域で一種の冒険を楽しむことが多いリビアンのターゲットユーザーに合わせたものだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

次はギア・トンネルだ。これは11.6立方フィート(約328リットル)の収容スペースを提供する。ギア・トンネルはこのクルマの主要な特徴であり、スカーリンジ氏によると、何度も修正が繰り返されたトラックの初期デザインでギア・トンネルだけは一貫して変わらなかったという。

ギア・トンネル内にオプションのスケートボードアップグレードを施すことで、5,000ドルのキャンプ用キッチンを装着できる。リビアンはこれ以外にもアクセサリを追加する準備を進めているようだ。スキーやスノーボードブーツの乾燥用ヒーター、泥だらけの自転車走行用着衣を入れる簡単着脱式バケツ(スケートボードに装備可能)などが考えられる。

ギア・トンネルのドアは荷台のフレームに付いているボタンを押すと下向きに開く。ドアは人が1人乗っても耐えられるくらい十分な強度があり、収容スペースを広げてくれる。下の写真では、リビアンの社員が空気圧縮機のアタッチメントをドアの収納ボックスから取り出しているところだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

最後に、Adventureパッケージトリムに含まれているギアガードと呼ばれるハードウェアとそれに付随するソフトウェア機能について触れておく。このシステムは荷台の側面に差し込む積荷固定用ケーブルで構成されている。このケーブルをラックに搭載した自転車やその他の道具に接続できる。接続すると、セキュリティシステムが稼働する(下の写真参照)。

セキュリティシステムは車の10台の外部カメラに接続されており、何者かが荷台の道具に近づいていじり始めると、録画を開始する。録画された動画は、中央のディスプレイで表示したり、保存および共有もできる。ただし、細かい点だが、この動画がユーザーのスマホアプリに即座に送信されることはない。

画像クレジット:Kirsten Korosec

リビアンはこの機能を発表と同時に追加し、アプリを改善していくものと思われる。これは、ソフトウェアとハードウェアの統合を重視しながら、ゼロから車を開発する場合の利点だ。多くのちょっとした点を改善していくことができる。

リビアンが実現したことは、たまたま変更が難しいものになっている。リビアンのトラックは、トラックのオフロード走行能力、機敏なセダンやスポーツカーの路上性能、静かな電気自動車の利点を備えながら、デザイン、内装素材の選択、ソフトウェア、機能アクセサリなどもなおざりにはしていない。

それはブランドの信頼性を構築するに違いない初期的な取り組みであり、お客様にも良い印象を与えることだろう。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

米国通学システムスタートアップZūmが1万台のEVをプラットフォームに追加

通学する子どもたち向けに最適な移動サービスを提供するスタートアップのZūm(ズーム)は、1億3000万ドル(約146億円)のシリーズD調達を行ったことを発表した。これによって同社の総資金額は2億ドル(約224億円)を超えた。同社は、この資金を使って、1万台の電気バスやバン、車両を新たにプラットフォームに追加し、2025年までに電気自動車(EV)率を100%にすることを最終目標としている。現在、同社は1000台の車両を保有しており、それらは主に内燃機関で動いている。

オフピーク時には大量のバッテリーが使われない状態になることを想定した Zūmは、同社の車両をグリッドにエネルギーを還元する巨大な仮想発電所に変身させるために、エネルギー管理・分配ソフトウェアを提供するAutoGrid(オートグリッド)と提携した。

Softbank Vision Fund 2が主導し、Sequoia、BMW i Ventures、AngelPadなどの既存の投資家が参加した今回のシリーズD資金調達が行われたのは、Zūmがサンフランシスコ統一学校区(SFUSD)の輸送サービスを近代化するための1億5000万ドル(約168億円)の契約を獲得してから数カ月後のことだ。また、Zūmは、この資本を新しい市場や地域へのさらなる拡大のために使用したいと考えているという。

通学用の交通システムは、米国最大の大量輸送機関だと言われているにもかかわらず、前世紀からあまり変化していない。米国では毎日2600万人以上の子どもたちがバスに乗っているが、そのバスはいまだに時代遅れの黄色いバスで、ディーゼル燃料を吐き出しながら、効率が悪く位置追跡もされないルートを走行しているようだ。Zūmは、乗り換え時間を短縮したり特別なニーズを持つ生徒に対応したりできるように、バス、バン、車両を学区内に配置し、高度な車両管理プログラムを使って移動を最適化できるシステムを、2021年以降に導入することを目指している。

CEOで共同創業者のRitu Narayan(リトゥ・ナラヤン)氏は声明の中で「当社は、子どものために親が直接乗り物を予約する会社としてスタートしましたが、この成功を基にシステム全体にサービスを拡大できる可能性があると考えました」という。「本日私たちは、通学システムを悩ませてきた構造的な問題を解決するために、大きな一歩を踏み出しました。学校、保護者、子ども、ドライバーのすべてがより良いものを手に入れるべきだと考え、システム全体を刷新していきます」。

通学システムは学校区内における最大のコストの1つだ。Zūmは、遠回りのルートや硬直したスケジュールなどの非効率性を是正することで、SFUSDのような学区では、平均して年間300万ドル(約3億4000万円)の経費削減に成功しているという。すでにカリフォルニア、シアトル、シカゴ、ダラスの4000校と提携しており、今後数年間でアリゾナ、フロリダ、バージニア、オレゴン、ニューヨークなど12の州にサービスを拡大する予定で、次のターゲットとしてワシントンD.C.も視野に入れている。

Softbank Investment Advisersの投資ディレクターであるAndrew Straub(アンドリュー・ストラウブ)氏は「Zūmは、データとテクノロジーを駆使することで、子どもたちの安全性を高めながら、より良いサービス、効率性、持続可能性を提供し、通学システム刷新できていると確信しています」と述べている。「私たちは、過去1年間に、学校のネットワーク全体にZūmのサービスを導入した学区で、大幅なコスト削減などの即効性があったことに感心しているのです」。

画像クレジット:Zūm

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

米GMとGEがEV製造に使われるレアアース材料のサプライチェーン構築で提携合意

自動車メーカー各社がサプライチェーンの変化を先取りしようとしているさらにもう1つのサインとして、General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、EV(電気自動車)やクリーンエネルギー機器の製造に使用されるレアアース材料の供給に関して、General Electric(GE、ゼネラル・エレクトリック)と了解覚書(MOU)を締結したと発表した。

拘束力のないこの契約は、GEのクリーンエネルギー部門であるGE Renewable Energyとのもの。レアアース希土類に加えて、磁石、銅、電気用鋼の供給を改善する方法も検討されている。

当初は、北米および欧州における磁石製造のためのサプライチェーンの確立に焦点を当てた協力関係を構築する予定だという。これは、磁石の主な生産国が中国、ブラジル、インドなどであることを考えると重要なことだ。また両社は、銅や、自動車用トラクションモーターや再生可能エネルギー発電に使用されるリサイクル素材「eSteel」についても、新たなサプライチェーンを検討していく。

今回の合意は、北米の自動車メーカーが重要鉱物の供給において海外に依存することを減らしたいと考えていることを示している。このニュースは、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が、あらゆるものの電動化を進めるにあたり競争力を維持するために、銅やリチウムなどの鉱物資源の国内調達を強化するよう求めてきたことを考えると、先見性がある動きといえる。

そのために、両社は公共政策面での協力も視野に入れており、北米や欧州を中心としたこれらの素材のサプライチェーンの構築を支援する政策を模索している。

GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるShilpan Amin(シルパン・アミン)氏は、声明の中でこう説明している。「EV用素材の安全で持続可能なローカルサプライチェーンは、GMのビジョンである”オール・エレクトリック・フューチャー”を実現するために不可欠です。モーターは当社のアルティウム(Ultium)プラットフォームの最も重要なコンポーネントの一つであり、重希土類および軽希土類材料は当社のモーターマグネットに不可欠な成分です」。

画像クレジット:Jeffrey Sauger for Chevrolet

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ライドシェアLyftでマッチングアプリTinderで出会った相手に乗車をプレゼント

対面デートがカムバックした今、Lyft(リフト)とTinder(ティンダー)は、対面による出会いを後押ししようと考えた。3月に予告された通り、Tinderアプリに新しくExplore(エクスプロア)ハブが追加され、交際相手にLyft乗車を贈れるようになった。住所や位置情報を交換する必要はなく、クレジット(目的地を指定することもできる)を送るだけであとはデート相手がやってくれる。

クレジットは、設定された目的地から0.5マイル(800メートル)以内で降車したときにのみ有効で、未使用のクレジットは払い戻しができる。自分の恋人候補が町の反対の端まで乗っていく心配はしなくてよい、という言い方もある。

同期は実に明快だ。Lyftドライバーの仕事を増やし、Tinderユーザーにはメッセージを送り合ったり動画を見たりする以上の行動を促す。レストランまでただ乗りするために使われても文句は言いにくいかもしれないが、それで良い関係が築くことができれば悪くないかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏はEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Tinder

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏がテスラ本社のテキサス州オースティン移転を発表

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社の本社をカリフォルニア州パロアルトから、最近テック企業やリモートワーカーが急激に増えているテキサス州オースティンに移転すると発表した。マスク氏はこのニュースを、2021年のTesla, Inc.年次株主総会でアナウンスした。この総会は、例年のようにベイエリアではなく、Teslaのオースティンにあるギガファクトリーで行われた。

また、マスク氏は、Teslaは今後もカリフォルニア州での活動を継続的に拡大し、フリーモントのギガファクトリーの生産量を50%増加させると述べたが、どのようにしてそれだけの生産量増加を実現するかについては詳しく説明しなかった。同工場では現在、年間約50万台のModel 3(モデル3)とModel Y(モデルY)、さらに年間約10万台のModel S(モデルS)とModel X(モデルX)を生産することが可能だ。

Teslaは2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、必要不可欠とみなされない事業を制限して、カリフォルニア州フリーモントにある同社の製造施設を閉鎖するよう命じられたことをめぐり、同州アラメダ郡を提訴し、自分の事業を州外に持ち出すと脅していた。同社はわずか2週間後に訴訟を取り下げたが、マスク氏は確かに気が立っており、こうツイートした。「率直に言って、堪忍袋の緒が切れた。Teslaは今後、本社と将来のプログラムを直ちにテキサス州かネバダ州に移すだろう。もしフリーモントの生産活動を維持するとしても、それはTeslaが今後どのように扱われるかにかかっている。Teslaはカリフォルニア州に残された最後の自動車メーカーだ」。

関連記事:テスラ工場の再稼働阻止を受け「本社と将来の事業基盤をカリフォルニアからテキサスかネバダに移す」とマスク氏

マスク氏は今回の株主総会では、アラメダ郡とのドラマについては触れなかった。むしろ、テキサス州への移転は、労働者にとってよりアクセスしやすい場所にあることが理由の1つだとしている。

「家を買うのも大変だし、遠くから通勤せねばならず大変です」とマスク氏は述べた。「ベイエリアでは、工場の規模を大きくするのには限界がある。オースティンでは、工場は空港からものの5分くらい、ダウンタウンからは15分のところにあります」とも。

同氏は、Teslaはコロラド川に近いオースティンの敷地に「エコロジカルパラダイス」を建設することを計画していると述べた。

イベントの中でマスク氏は、Cybertruck(サイバートラック)に関する最新情報も提供し、2022年末に生産を開始し、2023年には「量産」すると述べた。Tesla Semi(セミ)とRoadster(ロードスター)は2023年末までに生産が開始され、それに続くことになる。

マスク氏は遅延の理由として、継続的な半導体不足を含む複数のサプライチェーン問題を挙げている。

「特にSemiは多くのセルが必要で、たくさんのセル(と)チップを必要とします」と同氏は述べた。

Teslaは2017年にSemiのプロトタイプを、そして2019年にCybertruckを発表したが、両モデルともその後度重なる延期に直面しており、常にサプライチェーンの問題が挙げられている。

関連記事:テスラがセミトラックの発売を2022年に延期、Cybertruckの遅延も示唆

マスク氏が車両生産の状況を説明する前に、株主総会ではさまざまな議案が決議された
Institutional Shareholder Servicesが反対票を投じたにもかかわらず、マスク氏の弟であるKimbal Musk(キンバル・マスク)氏、21st Century Fox(21世紀フォックス)の元役員でメディア界の大物Rupert Murdoch(ルパート・マードック)氏の息子であるJames Murdoch(ジェームズ・マードック)氏が取締役に再選された。

株主会は、2021年12月31日に終了する会計年度におけるテスラの独立登録会計事務所としてのPricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)の任命を批准することを含め、ほぼすべての議題についてTeslaの取締役会の提案を承認した。しかし、投資家たちは3つの提案項目について取締役会の勧告に反した。通常、株主らはTeslaが設定したラインに沿って投票するが、2021年、投資家たちはTeslaの取締役を3年ごとではなく1年ごとに再選に立候補させることを決議した。

また、株主総会では、Teslaが従業員の多様化に向けた取り組みについて、より詳細な情報を公表することを求める決議がなされた。これは、Teslaが、フリーモントにあるEV工場での差別や人種的虐待を容認していたと告発した元黒人契約社員のOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏に、1億3700万ドル(約151億円)の損害賠償を支払うよう命じられた2日後のことだ。

関連記事:テスラに人種差別訴訟で151億円の支払い命令

Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)が出資する責任投資会社Calvert Research and Managementの副社長兼コーポレート・エンゲージメント・ストラテジストであるKimberly Stokes(キンバリー・ストークス)氏は「多様性に富んだインクルーシブなチームがより多くのイノベーションを支えることは、リサーチで明らかになっています」と述べた。「Teslaの2020年DEIレポートには、投資家が同社のパフォーマンスを長期的に同業他社と比較するのに、十分な量的・質的情報がありません。この報告書で1つ明らかになったのは、Teslaの顧客基盤が進化し、より多様化している中で、マイノリティの従業員が過半数を占めているにもかかわらず、テスラのリーダーシップは83%が男性、59%が白人であるということです」とも。

Calvertの提案では、Teslaに対し、人種と性別の包括的な内訳を含む、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みに関する年次報告書の発行を求めている。

画像クレジット:Mason Trinca for The Washington Post / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMが「米国とカナダのすべての舗装道路」で使用可能になる新ハンズフリー運転支援システムを2023年より導入

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、新しいハンズフリー運転支援システムを2023年に導入する予定だ。このシステムは、運転中に予想される状況の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用できるようになる。

GMは、米国時間10月6日から開催されている2日間の投資家向けイベントで、この新しい「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」システムとそのいくつかの機能を発表した。ただし、GMはこのシステムの価格や使用料金、買い切り型になるのかそれともサブスクリプション制になるのかということは、明らかにしなかった。

GMは2017年に発表したハンズフリー運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」を導入した際と同じように、今度も慎重にゆっくりと展開していく戦略を採るようだ。つまり、この新しいシステムはまず、高級車ブランドのCadillac(キャデラック)の新型車にオプションとして導入され、後にChevrolet(シボレー)やGMCなど、他のブランドでも徐々に利用できるようになるということだ。

関連記事:GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

また、先代のシステムに比べればはるかに少ないものの、当初は利用できる場所が制限されることになる。Ultra Cruise搭載車の発売時には、まずは米国およびカナダの200万マイル(約322万キロメートル)以上の道路で、ドライバーはこのシステムを使用できる。GMによれば、使用できる道路は最終的に340万マイル(約547万キロメートル)にまで拡大される予定だという。Super Cruiseの初期仕様とは異なり、Ultra Cruiseは高速道路だけでなく、市街地や住宅地の道路、地方の舗装された道路でも利用できるように設計されている。

ただし、Super Cruiseがなくなるわけではない。最近では車線変更の自動化や牽引時のサポートもできるようにアップグレードされたこのシステムは、今後もGMの各ブランドのクルマにオプションとして提供される。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムが搭載されている。Tesla(テスラ)の「Autopilot(オートパイロット)」運転支援システムとは異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

この点はUltra Cruiseも同様だ。GMの自動運転グループでチーフエンジニアを務めるJason Ditman(ジェイソン・ディットマン)氏は、記者に向けた説明の中で、Ultra Cruiseがいわゆるレベル2の自動運転システムとして設計されていることを何度も指摘した。その機能はSuper Cruiseよりも信頼性が高く、より多くの道路で利用できるようになるにしても、ドライバーが常に注意を払っている必要があることに変わりはない。

つまり、Ultra Cruiseは「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーという形を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。Ultra Cruiseでは、カメラ、レーダー、LiDARの組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。ただしGMでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

このような仕組みによって、Ultra Cruiseシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行える。

さらにUltra Cruiseでは、フロントガラスの裏側に組み込まれたLiDARも使用する。この次世代システムを作動させるのは、5nmの拡張性が高いコンピューター・アーキテクチャで、これはGMの「Ultifi(アルティファイ)」ソフトウェア・プラットフォームや、車両ハードウェア・アーキテクチャ「VIP(ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」と連携して機能する。

GMは先週、Ultifiという新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェア・プラットフォームを開発しており、2023年から生産が始まる新型車に搭載すると発表した。同社によれば、このソフトウェアは、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになるという。このソフトウェア・プラットフォームは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャであるVIPの上に組み込まれる。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

Super Cruiseと同様に、Ultra Cruiseにも車内カメラを使ったドライバー監視システムは搭載されることになる。さらに、GMはドライバーが必要とする情報を提供する新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を、Ultra Cruise搭載車に採用するとしており、これはドライバーが車両を操作する必要がある時にも使用される。その中心的な装備である「Ultra Cruise Dynamic Display(ウルトラ・クルーズ・ダイナミック・ディスプレイ)」について、GMではドライバーの視線の先に情報を直接表示できる「自由形式のディスプレイ」と表現している。

GMは、駐車時に車載センターディスプレイに表示できるUltra Cruiseアプリも開発している。このアプリは、ドライバーの統計情報、走行履歴などを見ることができるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがiPhoneでクルマの空調やシートをコントロールできる技術を開発中か

iPhoneが、電話に出たり音楽を選んだりする以外にも、クルマの中で役立つことができるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)はコードネーム「IronHeart」というiPhoneを使ってクライメートシステム、ラジオ、シート、さらにはインストルメントクラスターをコントロールできるようになる技術を開発しているとのことだ。暖房の温度を上げるためだけに、CarPlayとクルマの(おそらく不便な)インフォテイメントソフトウェアを切り替える必要はなくなるだろう。

情報提供者によると、IronHeartはまだ開発の初期段階にあり、自動車ブランドとのパートナーシップが必要になるとのことだ。この件についてAppleはコメントを控えている。

このような取り組みは、自動車におけるAppleの存在感を、CarPlayや最近のCarKeyのような限定的な技術を超えたものにする可能性がある。また、かねてより噂されている電気自動車戦略の一環というわけではないが、この技術の開発を通して自動車のより多くの側面を経験することができ、Appleでの自動車開発にも役立つはずだ。

ただ、自動車メーカーがこのコンセプトを受け入れるかどうかは別の問題だ。Appleは、多くの一般的な作業において、自動車の元々のインターフェイスを事実上バイパスすることになる。特に、Appleのサービスと競合するサービスを持っているメーカーは、自社のカーインターフェースやアプリに多大な労力を費やしてきただけに、躊躇することは容易に想像できる。もしIronHeartが出荷されたとしても、クルマの購入者から熱狂的な反応がない限り、その搭載は一部のメーカーやモデルに限られるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:JOSH EDELSON / Stringer / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)

GMは2030年までにサブスクをNetflix級のビジネスにしようとしている

GM(ゼネラルモーターズ)は2021年の車載サブスクリプションサービスの売上が20億ドル(約2230億円)近くに達し、2029年末には250億ドル(約2兆7800億円)とNetflixやPeloton、Spotifyに匹敵する規模になるとの予測を公表した。

GMのクルマは米国とカナダで1600万台走っている。現在その4分の1にあたるおよそ420万台のオーナーが有料サブスクリプションサービスを利用していると、米国時間10月6日の投資家向けイベントのプレゼンテーションで同社のイノベーション&グロース担当SVPであるAlan Wexler(アラン・ウェクスラー)氏が言及した。

同社はサブスク利用者の増加を見込んでいる。特に、2023年に同社のエンド・ツー・エンドのプラットフォームであるUltifiが公開されてサブスクリプションプラットフォームが強化され、Over The Airでソフトウェアをアップデートできるようになったら増加が加速するとの予測だ。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

GMの現在のサブスクリプションプラットフォームは、同社の子会社で車のセキュリティ、緊急サービス、ナビゲーションを提供するOnStarなどのサービスに対応している。

同社によれば、顧客は全般に複数のサービスを選びたいと希望しているという。同社は数千人の顧客を対象とした調査で、45種類の機能やサービスのオプションを提供した。顧客が選択したプロダクトやサービスは平均で25種類だった。

ウェクスラー氏は「我々の調査では、魅力のあるサービスを適切に組み合わせれば、お客様はプロダクトやサービスに平均で月額135ドル(約1万5000円)を支払うつもりがあるとの結果が出ています」と述べた。

GMは2030年までに米国内で3000万台の車にコネクテッドカー技術が搭載され、サービスの市場は800億ドル(約8兆9200億円)規模になると予測している。ウェクスラー氏は、GMは売上をさらに200億~250億ドル(約2兆2300億〜2兆7900億円)増やすことを目指しており、そのうちの60億ドル(約6700億円)は保険、それ以外はワンタイムの購入とサブスクリプションになるだろうと述べた。

OnStarとは別に、GMは2021年4月に公開したアプリベースの車載ナビゲーションソリューションでAlexaの音声コントロールで起動できるMaps+に関心を示している顧客をターゲットにする意向だ。また、法人顧客からも売上を得る大きなチャンスがあると見ている。特に既存のサービスであるOnStar Vehicle Insightsでは、GMとGM以外の車両が混在していても車両を管理できる。

ウェクスラー氏は次のように述べた。「このサービスだけで巨大な市場のニーズに応えられます。数十万台のコネクテッドカーから何百万回、何億マイルもの移動のデータが集まり、こうしたデータがすべて多大な収益化の機会となります。当社は扱うべきデータの量で群を抜いており、これを活用する計画です」。

ウェクスラー氏は、サブスクリプションサービスが同社の「成長の機会と経常収益の基盤」になるだろうと述べた。その詳細や初期のKPIは今後公表されるものと見られる。

画像クレジット:Steve Fecht / General Motors

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

テトラ・アビエーションがアメリカで試験飛行中の空飛ぶクルマ・新型eVTOL「Mk-5」の飛行動画を公開

テトラ・アビエーションがアメリカで試験飛行中の空飛ぶクルマ・新型eVTOL「Mk-5」の飛行動画を公開

個人向けeVTOL(電動垂直離着陸航空機)を開発するテトラ・アビエーションは10月7日、アメリカで試験飛行中の新型機「Mk-5」(マークファイブ)の飛行映像をYouTubeで公開した。この航空機はすでに予約受け付けを始めており、2022年末ごろから順次出荷される予定。

Mk-5は、2021年9月に米連邦航空局(FAA)より試験飛行用の特別耐空証明証と、米国内の空域の飛行を許可する飛行許可証を取得し、カリフォルニア州バイロン空港で試験飛行を行っている。

7月にアメリカで開催された航空機イベント「AirVenture OSHKOSH 2021」で、テトラは実機を初公開し、予約の受け付けを開始した。Mk-5は、個人で飛行機のキットを購入して組み立て飛行を楽しんでいる愛好家をターゲットにキット販売されるが、日本でも購入は可能とのこと。今回の販売で、利用者からのフィードバックを得て量産型を開発し、2025年開催予定の大阪万博で2拠点移動サービスを行う機体を準備したいとテトラでは話している。

GMは「本当に手頃な価格のEV」でテスラの市場シェアを狙う

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、米国時間10月6日に開催した投資家向けイベントにおいて、フルサイズの電気自動車ピックアップ「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」を中心とした今後のEVポートフォリオを発表した。

GMはこれまでにも電気自動車「シルバラード」を発表していたが、今回の発表では、一部のモデルに固定式ガラスルーフを採用することや、2022年1月に開催されるCESでデビューするといったいくつかの追加情報を発表した。シルバラードは、Ford(フォード)のF-150 LightningやRivianのR1Tに続いて電動トラック(米国で最も売れている車種の1つであるにもかかわらず空席が目立っていた)分野に参入する。

しかしながら、GMがこのトラックをどのように販売し、どのような顧客を想定しているのか、その詳細はまだ明らかにされていない。「GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は、10月6日に行われたメディアブリーフィングで「誰をターゲットにするかは、トラックを見れば一目瞭然です。長年にわたってピックアップトラックに起こってきたマイクロセグメンテーションを見てみると、さまざまなユーザーがいます。我々がターゲットとするピックアップトラックの購買層は1つではありません」と述べている。

GMは自社ブランドであるChevy(シボレー)とBuick(ビュイック)のクロスオーバーに加え、GMC Hummer(GMCハマー)のピックアップとCadillac(キャデラック)のLYRIQ(リリック)クロスオーバーを発表した。これらの車両は、2025年までに350億ドル(約3兆8990億円)を電動化と自律走行技術に投資し、10年後までに収益を倍増させるという同社計画の一環となる。

これらの目標を達成するために、GMがどれ程度苦しい戦いを強いられるかはわからない。他の自動車メーカーと同じく、GMも第3四半期の売上高は惨憺たるものだったが、その理由として半導体の供給不足が続き、製造や車両の納入に支障をきたしていることを挙げている。レガシーな自動車メーカーとは対照的に、Tesla(テスラ)社の第3四半期における売上は非常に好調で、車両出荷台数と過去の台数の予想を上回っている。

しかし、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、テスラの顧客になりそうな人たちの一部を誘い出すために、手頃な価格のEV、つまり「人々にとって本当に手頃な価格のEV」を提供することを強調している。「私たちは、そのような顧客を魅了できると信じています」と述べている。彼女とルース氏は、GMには顧客のロイヤルティ、強力な製造能力、幅広いディーラーネットワークなど、EV市場で有利な立場に立つための利点があると付け加えている。

また、GMは、韓国のLG Energy Solutionsと提携して製造している「Ultium」バッテリー電気推進プラットフォームが、今後発売される車両の競争力を高めると考えている。例えば、電気自動車のシボレー・シルバラードの航続距離は400マイル(約643.7km)だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

GMがEVへの信頼を高めるため、充電インフラへの投資を強化

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、電気自動車(EV)の充電インフラへの投資を7億5000万ドル(約835億円)規模に拡大する。EVの充電に対して不安を抱くドライバーたちの懸念を和らげることが目的だ。

GMは、2025年までに約7億5000万ドル(約835億円)を投じて、公共の場、家庭、職場に充電器を設置し、使いやすくしたいという。この投資は、GMのUltium Charge 360(アルティウム・チャージ360)プロジェクトにも大きな影響を与える。

GMが充電に投資するのは今回が初めてではない。2020年GMは、有名な充電ネットワーク企業であるEVgo(イービーゴー)と提携し、5年間で2700基以上のDC急速充電器を設置することを発表した。

充電設備の充実度は、電気自動車への移行をためらう主な理由の1つとして常に挙げ続けられている。Consumer Reports(コンシューマー・レポート)が最近行った調査によれば、回答者の約半数が「公共の充電ステーションが十分でないこと」がEVの購入を妨げていると答えている。

この資金が、世界の約3000カ所のステーションに2万5000台以上の充電器を設置しているTesla(テスラ)のスーパーチャージャーネットワークのような独自の充電ネットワーク構築に使われるのか、それとも別のパートナーシップに使われるのかは不明だ。GMは投資家説明会で、サブスクリプションやサービスから収益を得る「垂直統合型」のOEMになるという話を繰り返した。また今回の投資が、同社が「Ultium Charge 360」と呼ぶ新しい(サブスクリプション的な)取り組みを支援するものであることも強調した。だが詳細については待つしかなさそうだ。

画像クレジット:GM/EVgo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

GMが2030年までの売上倍増を計画、EV販売でTeslaシェア狙う

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間10月6日、内燃機関車両の利益率を向上させつつ、2030年までに売上高を倍増させ、EV(電気自動車)のマーケットシェアを奪うと明らかにした。EVマーケットは現在Tesla(テスラ)が席巻している。

同日から始まったGMの2日間にわたる投資家イベントで概要が説明された野心的な目標は、さまざまな種類のEVとソフトウェアベースのサービスを販売し、ハンズフリーの先進運転支援システムの新バージョンを含むテクノロジーを提供することで達成される。先進運転支援システムについては、全運転シナリオの95%で機能し、ゆくゆくは米国とカナダのすべての舗装道路で使用される、と同社は主張する。

2030年までに年間売上高2800億ドル(約31兆1967億円)の達成を目指す、と同社は述べた。この数字は、2020年の売上高である1225億ドル(約13兆6485億円)の2倍超だ。同社の広報担当によると、売上高の目標はローリング平均約1400億ドル(約15兆5976億円)をベースとしている。

同社はこの新しい目標を達成すべく、すでに多額の投資を表明した。同社は2020年11月、EVの開発と自動化テクノロジーに向こう5年間で以前の計画に35%積み増した270億ドル(約3兆81億円)を投資すると明らかにした。そして同社は7月に再び額を増やし、2025年までに350億ドル(約3兆8994億円)注入するとした。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

そうした投資はすでに行われつつあり、その最たるものがEVアーキテクチャと次世代EVに搭載するバッテリーだ。次世代EVには今後展開されるChevrolet Silverado、価格約3万ドル(約334万円)のChevroletクロスオーバー、Buickクロスオーバー、Cadillac Lyriq、Celestiqなどが含まれる。

「強固なポートフォリオをみると、入手しやすいEV、真に入手しやすいEVを当社が人々のために提供し、そして彼らが必要とするエコシステムに取り組んでいるという事実がわかります。というのも、多くの人がEVのみを所有するようになり、信頼できる充電インフラを確保する必要があるからです」と会長兼CEOのMary Barra (メアリー・バーラ)氏は記者会見で、いかに同社がマーケットシェアを獲得するか説明する中で述べた。「だからこそ当社はそうした顧客をひきつけることができると確信しています」。

バーラ氏はまた、顧客が同社に対してすでに持っている忠誠心の上に社が成り立っている、と指摘した。ポートフォリオとともに既存の生産能力とディーラーネットワークは優位点であるとも述べた。

「アクセルペダルに足を置く今、当社は多くのものを持っていて、すぐに動くことができます」。

目標を達成するために、2030年までに北米と中国にある工場の50%超をEV生産専用とする、とGMは述べた。

GMの売上高目標はEVの販売と融資に完全に頼っているわけではない。10月6日のマスコミへの説明会で、バーラ氏と同社社長のMark Reuss(マーク・ルース)氏は、新しいUltifiソフトウェアプラットフォームを通じたデジタルサービス、そして商用EVデリバリー会社BrightDrop(ブライトドロップ)やOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)のような新規事業を展開する計画を繰り返し指摘した。

そうしたデジタルサービスと戦略についての詳細は7日も開かれる投資家イベントで概説される見込みだ。乞うご期待。

画像クレジット:General Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

LiDAR開発会社OusterがSense Photonicsを買収、狙いは自動車業界

2021年3月にSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて上場したLiDAR企業のOuster(オースター)は、ソリッドステート型LiDARのスタートアップ企業であるSense Photonics(センス・フォトニクス)を、月曜日の市場終了時に約6800万ドル(約75億7000万円)と評価された全株式を取得して買収すると発表した。

この買収が完了したら、Ousterは新たな事業部門としてOuster Automotive(オースター・オートモーティブ)を起ち上げ、現在のSense社のCEOであるShauna McIntyre(シャウナ・マッキンタイア)氏が、同部門を率いることになるという。この新事業部門では、Senseの最長測定距離200mのソリッドステート型LiDARを、Ousterが自動運転車用として計画しているマルチセンサーLiDARスイートに統合する。サンフランシスコを拠点とするSenseが開発したLiDARの特長は、以前TechCrunchの記事でも説明しているように、視野角の広さである。

関連記事:28億円調達でLiDARシーンに登場した新しいアプローチ

ニュースリリースによると、Ouster Automotiveは5社の自動車メーカーとの交渉進展を目指すというが、そのような可能性のある提携についての詳細は明らかにされなかった。もしこれらが確実なものになれば、2025年か2026年に生産が始まる見込みだという。

LiDARは、ほとんどの自動運転システムで重要な役目を担うセンサーだ。LiDARとは「light detection and ranging(光による検知と測距)」の略で、レーザーを使って離れた位置にある物体までの距離を測定し、周囲の3Dマップを作成する。Waymo(ウェイモ)やArgo AI(アルゴAI)などの企業が開発している自動運転システムにとって、LiDARはレーダー、カメラ、ソフトウェアとともに欠かせないものとなっている。

2021年2月、OusterのCEOであるAngus Pacala(アンガス・パカラ)氏は、ポッドキャスト「Shift(シフト)」で、LiDAR業界の将来は統合が進むだろうと述べていた。「LiDAR企業は今後5年以内に3~5社になるだろう」と同氏は語ったが、今回の新たな買収は、Ousterが同氏の予測を現実のものとする動きの先頭に立つことを示している。

Ousterは2021年前半に19億ドル(約2120億円)規模の取引で白地小切手会社との合併を完了し、競合のLiDAR企業であるLuminar(ルミナー)、Innoviz(イノヴィズ)、Velodyne(ヴェロダイン)と同様に、SPACルートで株式市場に上場を果たした。Ousterの株価は、2月に15.39ドル(約1715円)の年初来高値を記録したが、現在は7.41ドル(約826円)で取引されている。

Ousterの広報担当者にTechCrunchが確認したところによると、同社はSenseで働く従業員80人の大半がマッキンタイア氏とともにOusterに加わることを期待しているとのこと。

広報担当者は、次のように続けた。「Ousterの視点は常に、自動車製造会社が求めているのは、大量生産が可能で、数百ドル(数万円)という低コストで車体に組み込むことができ、長距離から短距離までカバーする、ソリッドステート型LiDARのマルチセンサースイートであるということを見据えています。それこそが、当社が提供しようと考えているものです」。

画像クレジット:Ouster

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがより低コストで航続距離の長いEV用バッテリーの開発施設を建設中

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、ミシガン州ウォーレンのキャンパスに新しい施設を建設している。その目的は、バッテリーのコストを削減しながら航続距離を伸ばす画期的なセル技術を開発することだ。

GMは米国時間10月5日、このWallace Battery Cell Innovation Center(ウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センター)と呼ばれる施設の建設が始まったことを発表した。同社のグローバル・テクニカル・センターの敷地内に建設中のこの新施設は、2022年の半ばに完成する予定だ。敷地面積は約30万平方フィート(約2万7900平方メートル)だが、必要に応じて当初の面積の少なくとも3倍に拡張することを計画しているという。GMはこの施設に「数億ドル(数百億円)」を投資していると述べるだけで、建設費用については明らかにしなかった。

この施設の名前は、2018年に亡くなったGMの取締役で、同社のバッテリー技術に貢献したBill Wallace(ビル・ウォレス)氏から付けられた。同氏は、Chevrolet(シボレー)ブランドから発売されたプラグインハイブリッド車の「Volt(ヴォルト)」の初代および二代目モデル「Malibu Hybrid(マリブ・ハイブリッド)」、そして電気自動車「Bolt EV(ボルトEV)」のバッテリー・システムを開発したチームを率いていた。ウォレス氏はまた、GMとLG Chem(LG化学)R&D(現在のLG Energy Solution)の関係を築いた人物でもある。

すでにGMは、より安価でエネルギー密度の高いバッテリーの開発に取り組んでいるラボや研究開発施設を持っている。この新しいセンターは、同社の化学・材料サブシステム研究開発ラボやバッテリーシステムラボで行われているさまざまな取り組みをすべて結びつける役目を担う。

GMがこの新設で目指しているのは、1リットルあたり最大1200ワット時のエネルギー密度を持ち、コストを少なくとも60%削減したバッテリーを開発することだ。この目標は野心的であり、高尚だともいえるだろう。そしてこれはGMにとって、ラインナップの全車または大部分を電気自動車に切り替えるという計画を発表している他のすべての自動車メーカーと競争するための、重要なステップであるとも考えられる。

現時点において、GMのEVへの転換戦略の基盤となっているのは、Ultium(ウルティウム)プラットフォームとUltiumリチウムイオン電池だ。2020年に公開されたこの新しい電動車アーキテクチャとバッテリーシステムは、コンパクトカー、商用ピックアップトラック、大型高級SUV、パフォーマンスカーなど、GMのさまざまなブランドで幅広い製品に使われる予定だ。

GMは、このUltiumのバッテリーセルを製造するLGエナジーソリューションズとの合弁会社に、50億ドル(約5570億円)を投資する計画を発表している。両社は、オハイオ州北東部のローズタウン地区にバッテーセルの組立工場を設立し、1100人以上の新規雇用を創出するとともに、テネシー州スプリングヒルにも第二の工場の建設を予定している。

Ultiumバッテリーは、レアアースであるコバルトの使用量を減らし、単一の共通セル設計を採用することで、GMの現行バッテリーよりも小さなスペースで高いエネルギー密度を効率的に構成することができると、同社では述べている。

GMのグローバル製品開発・購買・サプライチェーン担当取締役副社長のDoug Parks(ダグ・パークス)氏によると、新設されるウォレスセンターは、将来的により手頃な価格で航続距離が長いEVの基礎となるバッテリーを製造するというGMの計画の重要な部分を占めることになるという。このような画期的な技術は、間もなく市場に投入されるUltiumバッテリーの世代にはまだ見られない。

ウォレスセンターでは、リチウム金属電池、シリコン電池、固体電池など、新技術の開発を加速させることが期待されている。また、このセンターでは、GMがLGと合弁で運営するローズタウンとスプリングヒルの工場をはじめ、米国内ある非公開の拠点を含むGMのバッテリーセル製造工場で用いることができる生産方法の改善にも力を入れていくという。

さらに特筆すべきは、この新施設では、一般的に携帯機器や研究用に使われる小型のリチウム金属電池セルを超えた、自動車に使用できる大型リチウム金属電池セルのプロトタイプを製造できる能力を持つようになるということだ。これらのセルはGM独自の方式で作られ、初期のUltiumバッテリーで使われるパウチセルの約2倍に相当する1000mm程度の大きさになる可能性があるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米幹線道路交通安全局がテスラのバッテリー管理システム公式捜査の請願を却下

幹線道路交通安全局(NHTSA)は、ネット経由アップデートの欠陥が5台の車の火災を引き起こしたとする申し立てを巡り、Tesla(テスラ)のバッテリー管理ソフトウェアの公式調査を要求した2019年の請願を却下した。

同局が公式捜査を行わない理由の1つは、該当事象の過半数が米国外で起きているためである、と同局のウェブサイトに掲示された文書で述べられている。

NHTSAは評価の一環として、請願書に記載された2012年から2019年のModel SおよびModel X6万1781台に対する59件の苦情申立を検討した結果、却下を決定した。59件の苦情のうち、52件がバッテリー容量の減少を、7件がソフトウェアがアップデートされた後に充電速度が低下したことをそれぞれ主張していた。車のログデータによると、苦情の58%で車両の電圧制限ファームウェアが有効になっていたが、その後のアップデートによって当該車両のバッテリー容量は部分的あるいは完全に復旧したと報告書概要に書かれている。

同局は、最悪の事態が重なって2019年に中国で発生した2件の火災を引き起こしたことは認識している。それらの車両は直近に高速充電処理を完了し、バッテリーは高い充電状態にあり、バッテリー冷却システムが切断された状態で駐車されていた。2台の車には高負荷下で利用されていた履歴もあった。

Teslaのバッテリー管理システムに詳しい筋によると、もし本当に系統的なソフトウェア問題が存在したなら、5台をはるかに越える車が火災を起こしているだろうと語った。そのような稀少な事故は、製造上の物理的欠陥あるいは利用中の物理的損傷が原因である可能性が高い。例えばこの種の火災が発生した中国ではよくあるとNHTSAが指摘する、高速充電されたばかりの車に高い負荷をかけるような行為だ。

米国でも2件火災が起きているが、1件は高速充電の履歴がなく火災発生時に走行中だった車両によるものであり、もう1件は高電圧バッテリーシステムとの関連性がなかった。5番目の火災はドイツで発生し、車両は低い充電状態で長時間駐車されていた。

「米国内で高速充電に関連する事象が起きていないこと、および2019年5月以降同様の事象が世界中で起きていないことを踏まえると、この請願を許可した結果実施された捜査によって、安全に関係する欠陥の通知と改善に関わる命令が発行される可能性は極めて低い」と裁定は結論づけた。「よって、請願書に記載された情報、および安全に関わる潜在リスクを十分に検討した結果、本請願は却下された」。

報告書は、今回の請願が却下されたことに関わらず、将来安全に関わる欠陥が認められれば、同局がさらなる措置をとる可能性があることを示唆している。

NHTSAはこの請願を拒否したものの、これとは別にTeslaのソフトウェア「Autopilot」の捜査を今も継続している。高度な運転支援システムを有効にした車両が、非常灯を点滅させて駐車していた緊急自動車に衝突するなど、2018年以来死者1名負傷者17名を生む事故を起こしたのを受けたものだ。Teslaは10月22日までに詳細なAutopilotのデータを提出しないと1億1500万ドル(約128億5000万円)の罰金を課せられるが、同社の第2四半期の純利益11億4000万ドル(約1273億9000万円)を考えると軽いお仕置きだ。

関連記事:米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

画像クレジット:PIERRE-HENRY DESHAYES/AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドのバス通勤をデジタル化するChaloが約44.5億円調達

Mohit Dubey(モヒート・ドゥビー)氏は10年以上前に、中古車や新車の売買を可能にするスタートアップ「CarWale(カーウェイル)」を設立した。しかし、このスタートアップで10年以上を費やしたことで、ドゥビー氏は、自分が解決している問題はインドのわずか3%にすぎないことに気がついた。そこで彼は、もっと大きなことに挑戦したいと考えるようになった。文字通りに。

現在、彼が手がけているのは、バス事業者がデジタル決済を受けられるようにし、通勤状況を把握できるようにする「Chalo(チャロ)」という会社だ。インドのバス市場は200億ドル(約2兆2200億円)規模のビジネスチャンスであり、タクシーの約2倍の規模であるにもかかわらず、インドにはバスがほとんど存在しないと、彼はTechCrunchのインタビューで語っている。

Chaloの初期の支援者の1人であるWaterBridge Ventures(ウォーターブリッジ・ベンチャーズ)のパートナーであるManish Kheterpal(マニッシュ・カテルパル)氏は「残念ながら、(バスの分野では)技術破壊や有意義なサービスの改善は見られませんでした。Chaloのユニークなソリューションは、インドの11の州で毎日の通勤者の生活にポジティブな影響を与えており、そのサービスを全国的に拡大する準備ができています」と述べている。

インドでは、人口1万人に対してバスが3台しかない。この分野は、変革の機運が高まっている一方で、まだ十分なサービスが提供されていない分野でもある。顧客はいまだに現金で料金を支払わなければならない。月間パスを提供しているバスもほとんどない。また、どのバスが指定された停留所にいつ到着するかも不明確だ。

これらの課題を解決するのが、7年前に設立されたChaloだ。この会社は、バスにGPS装置を設置し、顧客が自分の通勤経路を追跡できるようにしている。その名を冠したアプリでチケットや月間パスを販売し、運行会社の経常的な収益確保に貢献している。

「これは大きなチャンスです」とドゥビー氏はいうが、バス通勤のデジタル化には大きな課題もある。バスの所有者は、1日にどれだけの集金があったかを知らないことが多いのだ。また、この発券システムは、オフラインモードでも動作し、ネット接続がほとんどない地域をバスが通過する際にもオンライン決済を受け付ける必要がある。

Chaloは現在、すべての面で成功を収めつつある。

画像クレジット:Chalo

米国時間10月5日、Chaloは、シリーズC資金調達ラウンドで4000万ドル(約44億4900万円)を調達したことを発表した。このラウンドは、Lightrock India(ライトロック・インディア)とFilter Capital(フィルター・キャピタル)が主導した。このラウンドには、既存の投資家であるWaterBridge Ventures、Raine Venture Partners(ライネ・ベンチャー・パートナーズ)、Neeraj Arora(ニーラージ・アロラ)氏(WhatsAppの元チーフビジネスオフィサー)、Amit Singhal(アミット・シンガル)氏(Googleの元SVP)も参加した。

ドゥビー氏によると、2020年のパンデミック発生前には、同社は約1900台のバスを運行していたとのことだ。現在は2500台のバスを運行しており、さらに数千台のバスと契約を交わした。12月までには、約8000台のバスがこのプラットフォームに登録される予定だという。「社会にインパクトを与えるようなビジネスチャンスは、滅多にありません」と同氏は語っている。

「バスはインドの公共交通機関の第一位であり、移動の48%を占めています。にもかかわらず、その体験は崩壊しています。Chaloでは、バスの利用体験を大幅に改善する技術を導入し、それによって利用者数を増やしています。当社は現在、毎月2000万人のお客様にご利用いただいているインド最大級のモビリティ企業です」と述べている。

Chaloは、今回の資金調達の一環として1000万ドル(約11億1200万円)をストックオプションの買い戻しに充て、現在の従業員と元従業員、および初期のエンジェル投資家に報いる予定だ。

「Chaloは、サービスが行き届いていない公共交通機関の分野に取り組むことで、新型コロナ後の明確な勝者となりました。これにより、Chaloは国の事実上のモビリティ・オペレーティング・システムとなることができます。公共交通機関は、大規模なモビリティニーズに対応するより大きなモビリティプラットフォームを構築するためのバックボーンとなります」と、LightrockのパートナーであるVaidhehi Ravindran(ヴァイデヒ・ラヴィンドラン)氏は声明の中で述べている。

「私たちは、社会に貢献したいという深い目的意識を持った創業チームの革新的で技術主導のアプローチに感銘を受けました。彼らのステークホルダーに対する共感は、ビジネスのあらゆるレベルで成文化されており、インドの一般市民のためにこのソリューションを構築するのに最適なチームです。インドのモビリティを変革し続けるChaloとパートナーシップを組めることをうれしく思います」と語っている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

元テスラのCIOが率いる自動車小売プラットフォームTekionの価値が3倍に

1年前、TechCrunchは、元TeslaのCIOであるJay Vijayan(ジェイ・ヴィジャヤン)氏が追い求めている計画についてお伝えした。それは、彼がTeslaで開発に携わったような、エンド・ツー・エンドで自動化されたSaaSプラットフォームを使って、自動車ディーラーを21世紀に連れて行こうというものだ。顧客は、このプラットフォームを使って、自分の好みに合った車を注文することができる。ディーラーは、このプラットフォームを使って、リアルタイムで在庫を把握し、サービス予約のために顧客をシームレスにチェックインすることができる。OEMはこのプラットフォームを使って自社の部品がディーラーのどこにあるかを正確に把握することができる。

関連記事:テスラの元CIOが自動車ディーラー向けクラウドソフトビジネスの成長に向け160億円調達

ヴィジャヤン氏の説明によれば、このソフトウェアを導入することで、ディーラーとOEM企業の双方がコスト削減と効率化を図ることができるという。カリフォルニア州サンカルロスにある彼の会社Tekion(テキオン)も、この流れの重要な引率役を果たしているようだ。

ヴィジャヤン氏によると、同社の収益は2020年の3倍に成長し、Tekionのソフトウェアを使用しているディーラーの州数は28から39に増え、国際的な企業になるための計画の一環として、カナダで最初のディーラーとの仕事を始めたばかりだという。

これにより、シードステージにおける資金調達サイクルの第4ステージシリーズDで同社は2億5000万ドル(約278億円)の資金調達を発表し、評価額は1年前の10億ドル(約1114億円)から35億ドル(約3899億円)に、その資金総額は1億8500万ドル(約206億円)から4億3500万ドル(約484億円)に拡大した。このラウンドはAlkeon CapitalとDurable Capitalが共同でリードしており、その他の投資家には、現代自動車、米国内のいくつかのディーラーグループ、そして以前からの支援者であるAdvent InternationalとIndex Venturesが含まれている。

興味深いことに、2021年9月の新車販売台数を26%も減少させた世界的なチップ不足やその他の部品供給の混乱は、Tekionにとってはプラスの影響しか与えておらず、Morning Brewの最近の記事はその理由を以下のように述べている。

オハイオ州コロンバスにある自動車グループの社長に話を聞いたところ、在庫が不足しているため、チップ不足の前には4時間かかっていた販売が、今では52分で終了しているという。またこの品薄状態は利益を押し上げており、買い手は新品・中古品を問わずより高い価格で購入し、自動車小売業者は在庫が少ないことで営業コストを削減できるというメリットがある。

また、Tekionや競合他社の技術により、販売店は、品薄状態に耐えながら、車を長持ちさせたいと願っている消費者へのサービスをより迅速に行うことができるようになったと思われる。

実際、フロリダ州のフォートローダーデールにあるディーラーは、2020年の第1四半期と比較して2021年の第1四半期に利益が197%も急増したとMorning Brewに語っている。

「供給は少ないですが、需要は多いので、誰もがたくさんの利益を出しています」とヴィジャヤン氏はTechCrunchに語った。「ディーラーもOEMも、かなりのマージンを稼いでいます」。

また、Tekionは「そのような成長の中で非常に強い存在」であり、ヴィジャヤン氏は、在庫が需要に追いつき始める来年はさらに良い年になると予想している。

「来年のある時期には、市場にある程度の調整が入ると思います。そして、当社の技術プラットフォームは、ディーラーとOEMの両方が、どこにビジネスの焦点を当てるべきかという洞察を提供するために学習し、進化し続けるので、この修正をよりスムーズにナビゲートすることができると信じています」。

カリフォルニアとインドのベンガルールに拠点を置くTekionの成長は、大部分は自然なものであるようだ。自動車業界はマーケティングに莫大な費用をかけ、積極的な営業活動を行うことで知られているが、現在1350名の従業員のうち、営業を担当しているのはわずか17名である。「マーケティングには一切お金をかけていませんし、それはほとんど無視できる程度のものです。私たちは口コミで成長しています」。

BMWや日産・ルノー・三菱アライアンスと同様に、Tekionに早くから出資しているゼネラルモーターズと3月に契約を結んだことも、確実に同社に貢献している。

それぞれのフランチャイズが参加するかしないかを選ぶことができるものの、現在、GMのディーラーは、Tekionのホワイトレーベルのディーラー管理ソフトウェアを使用して、顧客がChevy、Cadillac、Buick、GMCブランドの電気自動車を簡単に購入できるようにし始めている。このプラットフォームは、ユーザーが近くのディーラーで特定のGM車を検索し、インターネット上で取引の一部を完了することができるGMの既存のShop. Click. Drive.プログラムに似ているものの、それ以上に優れた操作性を持っていると言われている。

少なくとも、シボレーの副社長は、2021年初めにAutomotive Newsとの会話の中で、このソフトウェアをGMの社内プログラムを「強化」したようなものであり「ゲームチェンジャー」であると表現していた。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Yuta Kaminishi)

Qualcommがマグナを退け、先進運転支援技術を手がけるヴィオニアを約5000億円で買収

Qualcomm(クアルコム)が、スウェーデンの自動車技術会社Veoneer(ヴィオニア)を買収することに決まった。より高い入札額を提示して、Magna International(マグナ・インターナショナル)を退けたことになる。

クアルコムと投資グループのSSW Partners(SSWパートナーズ)は、米国時間10月4日、ヴィオニアを1株あたり37ドル(約4100円)、総額45億ドル(約5000億円)で買収すると発表した。買収が完了したら、SSWはヴィオニアのArriver(アライバー)技術(センサーとソフトウェアを含む先進運転支援システムスタック)をクアルコムに売却し、他のティア1サプライヤー事業は維持すると述べている。

ヴィオニアは以前、マグナ社へ自社を売却することに合意していた。社がマグナより18%すなわち8億ドル(約890億円)高い金額で入札を行うまで、この取引は前進するかのように見えた。しかし、クアルコムの時価総額1648億ドル(約18兆3000億円)に対し、253億ドル(約2兆8000億円)のマグナは応札しなかった。

関連記事:自動車技術会社VeoneerにQualcommがMagnaを上回る約5000億円で買収を提案

これはクアルコムにとって、2021年最初の大型買収というわけではない。同社は半導体や通信機器の設計・製造で知られているが、現在はその事業領域を拡大しつつある。1月には、高性能コンピューティングのスタートアップ企業NUVIA(ヌビア)を14億ドル(1560億円)で買収することで合意し、通信以外の市場を模索していた。今回の買収は、自動車メーカーが当たり前のように新車に搭載するようになっているADAS(先進運転支援)技術にとって、特に好材料のニュースと言えるだろう。

クアルコムがヴィオニアの買収提案を行ったのは、マグナの提案から約1カ月後のことだったが、まったくの驚きというわけではなかった。両社は2021年の初めに、運転支援システム用のソフトウェアとチップを開発するための提携を結んでいたからだ。

ヴィオニアは買収合意を解消することになったマグナに対し、1億1000万ドル(約122億円)の違約金を支払う。この買収の完了は2022年になる見込みだ。

関連記事:創業2年アップルとグーグルで活躍したチップ開発者のNUVIAをQualcommが約1460億円で買収

画像クレジット:Veoneer

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)