アップルがポッドキャストに有名人が推薦する番組を紹介する「Listen With」コレクションを導入

Apple Podcast(アップル・ポッドキャスト)は、ユーザーが番組を発見するための新しい方法を提供するために「Listen With(リッスン・ウィズ)」という新しいシリーズの展開を開始した。

同社によると、このListen Withは、人気アーティスト、作家、映画監督、ジャーナリスト、インフルエンサーなど、著名なポッドキャスターが聴いている番組を共有することで、ユーザーが新しい番組を発見できるようにするものだという。アップルのチームが監修した各コレクションには、いくつかの番組と、その番組が選ばれた理由についての引用文が掲載されている。現在は米国とカナダで提供されており、Apple Podcastアプリの「ブラウズ」セクションで見ることができる。

最初のコレクションは、作家であり、ライフコーチであり、元僧侶でもあるJay Shetty(ジェイ・シェッティ)氏のものだ。同氏はコレクションの中で、Pushkin Industries(プーシキン・インダストリーズ)社のMaya Shankar(マヤ・シャンカール)氏による「A Slight Change of Plans(計画のわずかな変更)」、Ramble(ランブル)の「Anything goes with Emma Chamberlain(エマ・チェンバレンの何でもあり)」、NPR社の「How I Built This with Guy Raz(ガイ・ラズの私はどうやってこれを築き上げたか)」、Cadence13(ケイデンス13)の「We Can Do Hard Things with Glenn Doyle(グレノン・ドイルの困難なこともできる)」、Oprah(オプラ)の「SuperSoul(スーパーソウル)」をレコメンドしている。

Listen Withはアップルにとって3つ目のシリーズだ。同社は2021年、米国の新進気鋭のポッドキャスト制作者を紹介する「Spotlight(スポットライト)」というシリーズを起ち上げた。アップルのチームは、毎月新しいポッドキャストクリエイターを選んで特集し、Apple Podcastアプリで目立つように表示したり、ソーシャルメディアなどで宣伝したりしている。そしてもう1つ、アップルはCommon Sense Media(コモンセンス・メディア)との提携による「Kids & Family(キッズ&ファミリー)」コレクションも用意している。

関連記事:アップルが新進気鋭のポッドキャスト製作者に光を当てる「Apple Podcasts Spotlight」発表

Listen Withの起ち上げに加えて、アップルは2021年4月に開始したポッドキャストのサブスクリプションに関するインサイトを公開した。サブスクリプションを開始すると、ポッドキャストの総視聴者数が増加することを、同社は明らかにした。アップルは、Apple Podcastで既存の聴取者を持つ上位の50の番組が、サブスクリプション開始後の4週間で総聴取者数が増加したと指摘する。パフォーマンスの高いクリエイターでは、リスナーの10%以上がサブスクリプションに登録しているとのこと。Apple Podcastサブスクリプションの開始以来、サブスクリプションの5つに1つが10%以上の加入率を享受しているという。

関連記事:アップルがポッドキャストの有料定額サービス開始を発表、米国では番組あたり約53円から

ポッドキャストプラットフォームの拡大に取り組んでいる企業は、決してアップルだけではない。例えば、Spotify(スポティファイ)はこれまで、Anchor(アンカー)、the Ringer(ザ・リンガー)、Gimlet Media(ギムレット・メディア)、Megaphone(メガフォン)といったポッドキャスト企業に8億ドル(約915億円)以上を投じている。SiriusXM(シリウスXM)は、ポッドキャスト管理・分析プラットフォームのSimplecast(シンプルキャスト)、広告技術プラットフォームのAdsWizz(アズウィズ)、ポッドキャストアプリのStitcher(ステッチャー)を買収した。その一方でAmazon(アマゾン)も、ポッドキャストネットワークのWondery(ワンダリー)を買収している

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スマホ出荷台数がサプライチェーン問題で伸び悩む中、アップルが1位に返り咲く

サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。

Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。

「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。

画像クレジット:Canalys

より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。

アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。

「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。

一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。

画像クレジット:Apple event photo

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ

iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ
iOS・iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15に深刻なバグ、Googleアカウント情報やブラウズ履歴が漏えいの恐れ

9to5Mac

iOS/iPadOSとmacOS用の最新版Safari 15にバグがあり、Googleアカウント情報や最近のブラウジング履歴が流出する恐れがあると報じられています。

Webブラウザ向けの指紋認証サービスを提供するFingerprintJSは、ブログ記事にてSafari 15にはIndexedDB実装にバグがあり、特定のWebサイトが自分のドメインのみならず、あらゆるドメインのデータベース名を見られると指摘しています。このデータベース名は、ルックアップテーブルから識別情報を抽出するために使用できると述べられており、実際に試せる概念実証デモも公開されています

たとえばGoogleのサービスでは、ログインしているアカウントごとにIndexedDBインスタンスを保存しており、データベース名はGoogleユーザーIDに対応しています。ここで報告されている脆弱性を利用すれば、悪意あるサイトがユーザーのGoogle IDを抽出して、そのIDにより他の個人情報も抜き出せるというわけです。上記の概念実証デモでは、実際に(匿名であるはずの)アクセスした本人のGoogleプロフィール写真も表示されてしまいます。

このバグは、すべての IndexedDB データベースの名前がどのサイトでも参照できるだけであり、各データベースの実際のコンテンツへのアクセスは制限されているとのことです。

つまりデータベース名が分かるだけで、それ以上の中味を見たり、内容を改変したりはできないということ。GoogleユーザーIDはデーターベース名から分かるため個人を特定でき、またデータベース名から最近立ち寄ったサイトの履歴ものぞき見られるというわけです。

ちなみにChromeなど他のブラウザでの本来あるべき動作は、Webサイトが自分のドメイン名と同じドメイン名により作られたデータベースのみを見ることができる、というものです。

この脆弱性はiPhone、iPad、Macに搭載されたSafariの現在バージョンすべてで悪用できるとのこと。 FingerprintJSによると、11月28日にAppleにバグを報告したものの、まだ解決していないそうです。今後のアップルの対応を待ちたいところです。

(Source:FingerprintJS。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

PUBGの開発元が著作権侵害を主張、ライバルのゲーム会社とアップルやグーグルを提訴

人気バトルロイヤルゲーム「PlayerUnknown’s Battlegrounds(プレイヤー・アンノウンズ・バトルグランド)」の開発元であり、2021年の世界的なモバイルゲーム売上ランキングで第6位となった「PUBG Mobile(PUBGモバイル)」のメーカーであるKrafton(クラフトン)は、ライバルゲームメーカーであるGarena Online(ガレナ・オンライン)の「Free Fire(フリーファイア)」が著作権を侵害しているとして、アプリストアとGarenaを提訴している。

この訴訟では、Garenaのゲームが、オープニングからゲームの構造や遊び方、武器や防具、独自のオブジェクトの組み合わせと選択、ロケーション、全体的な配色や素材、テクスチャーなど、自社のゲームの数多くの側面をコピーしていると、Kraftonは主張している。

また、Google(グーグル)傘下のYouTube(ユーチューブ)も、侵害された素材の動画をホストしているとして、訴訟にその名を挙げている。

Garenaはこの訴訟に対して声明を発表し「Kraftonの主張は根拠のないものです」と、同社の広報担当者は述べた。

訴状によると、Garenaは、2017年にKraftonのBattlegroundsが発売された直後に、このゲームの要素をコピーした疑いのあるゲームの販売をシンガポールで開始したとされている。Apple(アップル)とGoogleは、アプリストアでこのゲームのモバイル版の販売を開始していた。このゲームは当初「Free Fire:Battlegrounds(フリーファイア:バトルグランド)」と呼ばれていたが、現在は「Free Fire」と呼ばれている。シンガポールでの訴訟は両社の間で和解に至ったものの、KraftonはGarenaとライセンス契約を結んだわけではないと、訴状には記されている。

その後、2021年9月28日にGarenaは「Free Fire MAX(フリーファイア・マックス)」という新タイトルをリリースした。これはAppleやGoogleのアプリストアで配信されている別のモバイルゲームだが、Free Fireと同じユーザー体験を提供することを目的としており、Battlegroundsの数多くの要素も侵害していると、Kraftonは主張している。同社は、この侵害したゲームが世界的な売上から「数億ドル」の利益を得たと指摘。AppleとGoogleも、このゲームをアプリストアを通じて配信することによって、手数料という形で利益を得ている。

その一方で、Kraftonは「Free Fire」および「Free Fire MAX」のゲームプレイの動画を配信しているYouTubeも、訴訟の対象として名前を挙げている。これらの動画は何億回も視聴されており、動画によっては1本で100万回以上も再生されている。また、YouTubeは、Battlegroundsの権利を侵害してドラマ化した長編実写映画も公開していると、訴状では述べられている。

Kraftonは、AppleとGoogleが問題を解決しようとしないため、裁判所に頼ることにしたという。同社によると、2021年12月21日にゲームの配信を停止するよう、両社のアプリストアに求めたが、拒否されたとのこと。また、YouTubeも侵害している動画を削除しようとなかった。

今回の訴訟は、Kraftonの後続タイトルである「PUBG:New State(PUBG:ニューステート)」が11月にリリースされた直後のことであり、このタイトルには多くの新要素が含まれている。この問題が解決されなければ、同社は最新作も「コピー」されることを懸念しているのだろう。

人気アプリやゲームのクローンは、アプリストアではよく見られる問題であり、サブスクリプション市場の成長により、その行為はますます増えている。実際、例えばAppleは今週、人気オンラインゲーム「Wordle(ワードル)」のクローンを、App Storeから一掃しなければならなかったばかりだ。Appleはクローンアプリで利益を失った別の開発者からの訴訟にも直面している。Wordleと同様、数年前に人気を博した「Threes(スリーズ)」や「Flappy Bird(フラッピーバード)」などのゲームもクローンの被害に遭っている。しかし多くの場合、これらのゲームはよりシンプルで、コピーしやすく、人気が落ちるのも早かった。しかし、PUBG Mobileのようなゲームの場合、コピーされることによる経済的な影響は、はるかに大きな規模となる。

アプリ情報分析会社であるSensor Tower(センサータワー)のデータによると、PUBG Mobileは2020年に27億ドル(約3070億円)を売上げ、2021年には29億ドル(約3300億円)に伸びている。ちなみに、Garena Free Fireの2021年の売上は約12億ドル(約1365億円)だった。

この訴訟は、2022年1月10日にカリフォルニア州中央地区の米国地方裁判所に提出された。Kraftonは、この問題を解決するために陪審員裁判を要求している。Kraftonが勝つためには、単に類似した「バトルロイヤル」スタイルのゲームを提出するだけでなく、Garenaが法的に侵害していることを裁判所に証明しなければならない。

Kraftonは、最近ではチーター(不正行為プレイヤー)に対する訴訟で勝訴するなど、しばしば自社のゲーム帝国を守るための行動を起こしている。Kraftonの子会社であるPUBG Corporation(PUBGコーポレーション)も、同じくPUBGのクローンをめぐってNetEase(ネットイーズ)を著作権侵害で訴え、和解に至ったことがあるが、2018年には「Fortnite(フォートナイト)」をめぐりEpic Gamesに対して同様の訴訟を起こしたものの、後にこれを取り下げている

なお、今回の訴訟に関してKraftonはコメントの要請に応じていない。

画像クレジット:PUBG MOBILE

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

HJBC via Getty Images

先日アップルでM1チップ等の開発を主導していた人物がインテルに移籍したことが明らかになったばかりですが、今度はマイクロソフトがアップルからベテランのチップ設計者を引き抜いたと報じられています。

米Bloomberg報道によると、アップルのチップ設計者だったマイク・フィリッポ(Mike Filippo)氏が離職してMSに入社したとのこと。それはご本人のLinkedInプロフィールにも明記されていますが、Bloombergは同氏の移籍を、MSが「自社のサーバーチップへの取り組みを拡大しようとしている」動きだと推測しています。

フィリッポ氏は、10年間Arm社でトップの半導体設計者として活躍した後、2019年にアップルに入社。それ以前はインテルとAMDの両社に在籍したこともあり、Bloombergは「スマートフォンなどにおけるArmの基盤技術の能力を向上させたと評価されている」と実績を説明しています。

iPhoneのAシリーズチップとMacおよびiPad用のMシリーズチップは、Armアーキテクチャをベースにしています。アップルが2019年5月にフィリッポ氏を採用した際には、Mac用プロセッサにおけるインテル製からArmベースAppleシリコンへの移行(Appleシリコン正式発表は2020年6月で、約1年後)に大きな恩恵をもたらすものとして注目を集めていました。

またMSがサーバーやSurface PC向けに独自Armプロセッサを開発しているとの噂はこれが初めてではなく、2020年末に報じられたこともあります。その噂を伝えたBloombergは、インテルへのチップ依存度を下げるためのMSの戦略の一環だと示唆していました。

かたやアップル側から見れば、Appleシリコン開発を支えてきた主戦力が次々と退社し、競合他社に参加する流れにあります。

ここ数年でもM1チップやT2セキュリティチップ開発を主導してきたジェフ・ウィルコックス氏がインテルに移籍したほか、iPhoneのAシリーズチップ開発を率いた人物らがNuviaという半導体スタートアップを立ち上げ、最終的にはクアルコムに買収されました

こうした人材の引き抜きを防ぐため、アップルは2021年末に一部のトップ従業員に稀に見る高額な株式ボーナスを支給したと報じられていました。これらの額は約5万ドル~18万ドルで、ほとんどが4年間で権利確定するように設定されているのこと。

つまり、少なくとも主要な独自チップを開発している最中には離脱しないよう、対策しているのかもしれません。

(Source:BloombergLinkedInEngadget日本版より転載)

「フォートナイト」がiOSで復活(ただしApp Store経由ではない)

「Fortnite(フォートナイト)」がiOSに帰ってきた……まあ、言ってみればだが。NVIDIAのストリーミングゲームサービスGeForce NOWを通じて、iOSおよびAndroidのモバイルユーザーは、クラウドゲーミングを通じてタッチコントロール版のFortniteをプレイできるようになる。プレイヤーはNVIDIAサイトから、Fortniteの新しいモバイル向け回避策のクローズドベータテストに参加するためのウェイティングリストに登録できる。有料アカウントを持っていなくてもプレイすることは可能で、有料アカウントがあっても優先権は得られない。しかし、モバイルでFortniteを1時間以上プレイしたい場合は、アップグレードする必要に迫られるかもしれない。

Fortniteは2020年8月以降、iOSデバイスではプレイできなくなっている。アプリ内課金に対するApple(アップル)の30%手数料を回避しようとしたため、App Storeから追放されたのだ。その後、Fortniteの開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)は、テック巨人が独占禁止法に違反していると主張してAppleを訴えた。9月、カリフォルニア州の裁判所は、Appleは開発者がApp Store以外の代替決済リンクを追加することを禁止できないという判決を下した。しかし、この判決では最終的にAppleが優位に立った。裁判所は、Epicが主張するような独占的な行為はAppleはしていないと判断したのである。

AppleもEpicもこの判決に満足しなかったため、両者は控訴した。また、Appleは、差止命令が発効するまでの時間を延期するよう控訴裁判所に認めさせた。これによりAppleは、当初の判決で裁判所が指示したApp Storeの変更を行う必要がなくなった。

Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、相変わらずAppleに対し反体制派の旗手として声をあげているため、たとえ両社が合意に達したとしても、すぐにFortniteのiOSアプリが復活するかどうかは不明だ。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

半導体不足にもかかわらず2021年の全世界でのPC販売台数は大幅増

2021年のパソコンの販売台数は、半導体不足によって全世界的に減少したと想定するのは容易だが、そんな月並みの考えは間違っているかもしれない。実は市場調査企業Canalysの調査報告によると、2021年のPCの出荷台数は前年比で15%伸び、2019年に比べると27%増加した。売れた総台数は3億4100万台というすごい量だ。

その調査報告によると、第4四半期は前年比1%増と微々たる伸びだが、しかしそれでも、2012年以降で最良の年だった。

CanalysのシニアアナリストIshan Dutt(イシャン・ダット)氏によると、半導体の供給不足にもかかわらずPCはすばらしい年を経験し、PCは私たちの仕事とレジャーの両方にしっかりと根を張った。そして世界の先進地域では、家庭に複数のPCがあることが標準的な姿になりつつあるという。

「供給の制約という暗雲が常に立ちこめている市場で、好調だった2020年を超える成果を達成したことは、過去12カ月のPCの需要がいかに大きなものであったかを示している。長期的に見た場合、2021年で最も重要な展開は、PCの普及率と使用率の大きな増加だ」。

2021年のPC市場におけるビッグ3は、Lenovo、HPそしてDellで、Appleは4位だった。下表にあるように、2021年は各社とも好成績だったが、前年比伸び率が最大だったのは28.3%を達成したApple(アップル)、次位が販売台数では5位のAcerの21.8%だった。

マーケットシェアでは、勝者は24.1%のLenovoと21.7%のHPとなる。3位のDellが17.4%、次いで4位のAppleは8.5%だった。

画像クレジット:Canalys

半導体不足は2022年も続くと予想され、また教育市場の飽和も囁かれているが、Canalysの予測では2022年もPCの売れ行きに関しては良い年だ。それどころか、CanalysのアナリストRushabh Doshi(ルシャブ・ドーシ)氏によると、供給問題がなければ2021年の市場はもっと大きかっただろうという。

「不足の一面には需要が大きかったということにもある。供給状況が良ければ間違いなくPC業界は、もっと強力に成長して大きくなっていただろう」とドーシ氏はいう。

彼は、今後も市場は拡大し続けると見ている。「自由な視点で見ると、より高性能で高速なPCに対する需要は、職場だけでなく家庭でもかつてないほど高まっています。過去2年間でPCの重要性が強化されたことで、成長は今後も続くと考えています」とドーシ氏は述べた。

画像クレジット:Irina Cheremisinova/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがiOS 15.2.1リリース、iPhoneとiPadにHomeKitの欠陥に対するパッチを適用

Apple(アップル)は、iOSおよびiPadOSに存在するセキュリティ脆弱性を修正した。この脆弱性は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性がある。

Appleは米国時間1月12日にiOS 15.2.1およびiPadOS 15.2.1をリリースし、セキュリティ研究者のTrevor Spiniolas(トレバー・スピニオラス)氏によって1月初めに開示された、いわゆる「doorLock」と呼ばれる欠陥を修正した。このバグはiOS 14.7からiOS 15.2を搭載したiPhoneおよびiPadに影響するもので、Appleのスマートホーム基盤であるHomeKitを介して発生する。

このバグを悪用するには、攻撃者はHomeKitデバイスの名前を50万文字を超える文字列に変更する必要がある。この文字列がユーザーのiPhoneやiPadに読み込まれると、デバイスのソフトウェアがサービス拒否(DoS)状態に陥り、フリーズを解除するために強制リセットが必要になる。しかし、デバイスが再起動し、ユーザーがHomeKitにリンクされたiCloudアカウントにサインインし直すと、再びバグがトリガーされる。

ユーザーがHomeKitでデバイスを1つも追加していなくても、攻撃者は偽のHomeネットワークを作成し、フィッシングメールでユーザーを騙して参加させることができる。さらに悪いことに、攻撃者はdoorLock脆弱性を利用して、iOSユーザーに対してランサムウェア攻撃を仕かけ、デバイスを使用できない状態にロックして、HomeKitデバイスを安全な文字列長に戻すために身代金の支払いを要求することができると、スピニオラス氏は警告している。

スピニオラス氏によると、Appleは2021年のセキュリティアップデートでこの問題を修正することを約束していたが、これが「2022年初頭」まで延期されたため、同氏はこの遅れがユーザーに「深刻なリスク」をもたらすことを恐れてバグを公開したとのこと。

「Appleはセキュリティ問題を確認し、私はこの4カ月間に何度もこの問題に真剣に取り組むよう彼らに促したにもかかわらず、ほとんど為されていませんでした」と同氏は書いている。「頻繁に要求したにもかかわらず、この問題に関するステータスの更新は稀で、並外れて少ない詳細情報しか得られなかったのです」。

「Appleの透明性の欠如は、しばしば無償で活動しているセキュリティ研究者を苛立たせるだけでなく、セキュリティ問題に関するAppleの説明責任を低下させることで、日々の生活でApple製品を使用している何百万人もの人々にリスクをもたらしています」とも。

このアップデートは現在ダウンロード可能で、iPhone 6s以降、iPad Pro全モデル、iPad Air 2以降、iPad第5世代以降、iPad mini 4以降、iPod touch(第7世代)が対象となる。

画像クレジット:file photo

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

Tumblr、App Storeルールに準拠するためiOS版にセンシティブコンテンツのトグルを追加

Tumblr(タンブラー)は数週間にわたり、Apple(アップル)App Storeのガイドラインに準拠するため、iOS上でさまざまなタグの検索結果を隠していた。米国時間1月11日、Tumblrはこの問題を解決するべく、iOS版アプリにセンシティブコンテンツのトグルボタンを導入し、ユーザーがセンシティブなコンテンツの表示をオプトインできるようにした(デフォルトでは、センシティブコンテンツは表示されない設定になっている)。

関連記事:Tumblrが「大人向け」コンテンツを巡って再びアップルと闘争中

アップデートされたTumblrのiOSアプリでは、センシティブなタグ(たとえば「マリファナ」など)を検索すると、検索結果が非表示になる。代わりにポップアップが表示され、検索結果を見たい場合はセンシティブコンテンツフィルターをオフにするよう促される。センシティブなコンテンツを見るために「設定を表示する」をクリックすると、アプリ内メニューではなく、モバイルブラウザ上のTumblrのウェブサイトにリダイレクトされる。設定を変更したら、その変更を有効にするためにiOSアプリを再起動する必要がある。そしてついに、ベビーヨーダがマリファナでハイになっているファンアートを含む検索結果を見られるようになる(本当の話だ)。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrによると「センシティブコンテンツを非表示にする」トグルを有効にすると、センシティブなタグが付いたおすすめ投稿、露骨なコンテンツのブログ、センシティブなタグが付いた検索が非表示になるという(Tumblrの定義では、セックスや性器を描写したGIF、画像、動画、イラストなどのアダルトコンテンツまでいかなくても露骨と分類され得る。現在、アダルトコンテンツは禁止されている。TechCrunchは、アダルトコンテンツと露骨なコンテンツの区別についてTumblrに明確な説明を求めたが、まだ回答は得られていない)。

この新しいトグルを無効にすると、ユーザーは、コミュニティガイドラインに違反していないセンシティブな内容の検索結果を表示したり、オーバーレイをタップして露骨だと判断されたブログにアクセスできるが、iOSでは露骨なコンテンツは非表示のままだ。トグルを無効にしたユーザーは、センシティブな可能性のあるコンテンツのレコメンデーションを受けることもできる。

一方、トグルを有効にすると、一見大丈夫そうなタグでも警告ポップアップが表示される場合がある。例えば「submission(投稿、提出、または服従)」というタグは、性的なコンテキストになり得るため、センシティブコンテンツフィルターを無効にしない限り、禁止されることがテストしてわかった。このタグはTumblrのプラットフォーム上で、性的ではない別の意味で使用されることが多いため、問題となっている。他のユーザーが自分にあてて投稿したコンテンツを自分のブログに投稿すると、自動的に「submission」というタグが付けられるのだ。

以前、Tumblrは同様のトグルスイッチを提供しており、ユーザーがアダルトコンテンツを表示することを選択しない限り、iOSの設定でサイトのアダルトコンテンツを直接ブロックすることができた。しかし、このトグルは、2018年にTumblrがプラットフォームからすべてのポルノを公式に禁止することを決定する前は、Tumblrがホストするポルノコンテンツを禁止することに重点を置いていた。

Tumblrは、同社のブログ記事でこう述べている。「これらの最新のアップデートは、iOSアプリ上の我々のコミュニティで、自分に最適な体験を構築し、自分がおもしろいと思うコンテンツを探索するためのコントロールを提供するものです。コミュニティの体験を最優先する一方で、AppleのApp Storeガイドラインおよび当社のガイドラインも遵守しなければなりません」。

画像クレジット:MARTIN BUREAU/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが韓国でサードパーティ製アプリの決済オプションを許可

韓国放送通信委員会(KCC)は現地時間時間1月11日、開発者が韓国でサードパーティ製の決済手段を、少なくした手数料で利用できるようにするための遵守計画をApple(アップル)が提出したと発表した。

KCCはまた、手数料の料金体系やその支払いオプションが有効になる正確な日程など、さらなる詳細についてAppleと協議するとも述べている。

この発表は、韓国当局が10月に、Google(グーグル)やAppleなどのグローバルなアプリストア運営会社に対し、アプリストア運営会社が開発者に自社の決済システムを使用するよう強制することを禁止した、同国の新法に対する詳細な計画の提出を求めたことを受けたものだ。

Appleは2021年10月、KCCに対し、同社はすでに新法を遵守していると説明し、Googleは9月に施行された「反グーグル法」とも呼ばれるこの新法に従う動きとして、韓国のアプリストアで代替決済システムを提供する戦略の概要を11月に明らかにした。

Googleはブログで、開発者の手数料を4%引き下げると述べた。例えば、これまでGoogle Playの課金システムを通じて取引に15%を支払っている開発者は、Googleの代替課金システムを通じて11%を支払うことになる。

一方、Appleの韓国におけるトップで、アプリストアのシステムを担当していたBrandon Yoon(ブランドン・ユン)氏が、11月上旬に突然、同社を退社している。メディアの報道によると、ユン氏の離職はアプリの代替決済システムとは関係がないようだ。

2021年8月下旬、韓国の国会で、世界的なハイテク大手企業が開発者にアプリ内課金システムの利用を強制するのを防ぐための世界初の法案が可決された。

関連記事:世界初、韓国がグーグルとアップルのアプリ内課金手数料を抑制する「反グーグル法」可決

Appleの広報担当者は「我々は、韓国のユーザーのためになる解決策について、KCCおよび開発者コミュニティと協力することを楽しみにしています」と述べている。

Appleは声明の中で、韓国で活動するアプリ開発者の数は約58万人に増え、2008年以降、韓国のApp Storeで140万以上のアプリが利用可能になったと述べている。同社はApp Storeを通じて、韓国の開発者が世界約200カ国の市場と顧客にアクセスするのを支援してきたという。

「Appleは、韓国の法律を尊重し、韓国の優秀なアプリケーション開発者と強い協力関係を築いてきました。私たちの仕事は、App Storeをユーザーのみなさまが愛するアプリケーションをダウンロードするための、安全で信頼できる場所にし続けることを常に念頭に置いています」と広報担当者は述べている。

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルは2021年、アプリ開発者に約7兆円支払う

数々の反トラスト訴訟や特定マーケットでの規制強化に直面しながらも、Apple(アップル)は米国時間1月10日、2021年のApp Storeの成長率が記録的なものであることを示す新たなデータを公表した。同社はプレスリリースの中で、App Storeが登場した2008年以来、アプリ開発者に支払った金額は現在2600億ドル(約29兆9710億円)を超えたと明らかにした。この数字は同社が2020年末に報告した2000億ドル(約23兆550億円)から増加している。つまり、2021年だけでも開発者に少なくとも総額600億ドル(約6兆9165億円)を支払ったことになる。

この数字は、過去に報告された支払い額よりもずっと大きい。

ちなみに、Appleは2019年末までに、App Storeのデビュー以来、開発者に計1550億ドル(約17兆8680億円)を支払った。その前年は、約1200億ドル(約13兆8335億円)だったと明らかにした。行間を読むと、開発者への支払いは2018年から2019年にかけて350億ドル(約4兆330億円)増え、その後2019年から2020年にかけてさらに450億ドル(約5兆1855億円)増加したことになる。

残念ながら、個々のアプリによって支払われる割合が異なるため、Appleが共有した支払額の数字は、もはやApp Store全体の経済状況を明らかにする助けにはならない。

App Storeのビジネス慣行に対する規制当局による監視の強化、独占禁止をめぐる苦情、訴訟(現在控訴中のEpic Gamesとの裁判を含む)が増すなかで、Appleは近年、開発者収益の自社の取り分を減らすために手数料体系を調整してきた。

2020年11月に発表されたAppleのSmall Business Programの開始にともない、同社は対象となるアプリ(年間売上高が100万ドル[約1億1520万円]以下)に対して、手数料を30%から15%に引き下げた。2021年にはまた、一部のメディアアプリを対象に、Apple News Partner Programに参加することを選択した場合に手数料を引き下げた。Appleは、実際にこうした機会を利用した開発者やメディアの数については明らかにしていないが「大多数」のアプリが零細事業割引の対象となると指摘している。

Appleは、App Storeの新たな記録を発表するにあたり、通常の自社宣伝と、膨大な利益に対する過剰な注目との間の微妙なラインを行き来しているようだ。同社は、2021年のクリスマスイブから大晦日にかけて、App Storeの顧客が「これまで以上に」お金を使い、前年から2桁の伸びを記録したと明らかにした。

しかし、Appleは2021年同様、このマイルストーンを記録する明確な数字を提示しなかった。2021年は2020年のクリスマスイブから大晦日までの1週間に消費者はデジタル商品とサービスに18億ドル(約2070億円)を費やし、これは主にゲーム支出によるものだと指摘していた。

1月10日に発表された数字は、App Storeにとって過渡期の1年だったことを示している。

App Storeは、米議会の公聴会で取り上げられたApp Store詐欺や、App Reviewプロセスに現在も伴っている難しさについて、開発者からの反発をこれまで以上に受けている。Appleは2022年、Epic訴訟の判決により、サードパーティの決済方法へのリンクを許可するようApp Storeの変更を命じられたが、その後、この訴訟が上訴されている間、裁判所から土壇場で猶予を与えられた。しかし、日本韓国など他のマーケットでは、規制当局がAppleに外部ウェブサイトへのリンクを許可するよう迫り、手数料を抑制するためのその他の措置を取ったため、同社はApp Storeに対する支配力を緩めざるを得なくなった。

App Storeの数字に加えてAppleはApple Arcade、Apple Fitness+、Apple Music、Apple TV+、Apple News+、Apple Podcasts、Apple Books、Apple PayとWallet、Apple Maps、iCloud+といった他のサービス事業に関する最新情報も提供した

特筆すべきは、Arcadeが今や200以上のゲームを扱い、Apple Musicには9000万曲超のロスレスオーディオがあり、Apple TV+は190の業界賞を獲得したことだ。また、Apple Fitness+には2000セッション近くのワークアウトコンテンツがあり、Apple Newsは提供されているすべてのマーケットで引き続きナンバーワンのニュースアプリとなっている。Apple Payは約60カ国・地域で提供されていて、ユーザーは2021年にApple Walletで3000万枚のNFCチケットを利用した。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

Apple Fitness+、新機能「Collections」と「Time to Run」シリーズを導入

Apple Fitness+は、米国時間1月10日から新シリーズ「Time to Run(タイム・トゥ・ラン)」とともに、新機能「Collections(コレクション)」を導入する。Collectionsは、ユーザーが目標に到達できるように整理したFitness+ライブラリのワークアウトや瞑想のシリーズだ。この機能は、約2000のワークアウトを利用し、ユーザーが次のワークアウトを始める際に、モチベーションを高める新しい方法を提供する。Apple(アップル)によると、Collectionsは、ユーザーが具体的なトレーニングを選択するのに役立つプランを提供するとのことだ。

発売時に利用できる6つのCollectionsは「30-Day Core Challenge」「Improve Your Posture with Pilates」「Perfect Your Yoga Balance Poses」「Run Your First 5K」「Strengthen Your Back, Stretch Your Hips」、そして「Wind Down for a Better Bedtime」を含んでいる。

Appleの新しい「Time to Run」シリーズは、2021年開始した「Time to Walk(タイム・トゥ・ウォーク)」機能の延長線上にある。同社は、この新シリーズを、ユーザーがより安定した、より良いランナーになるためのトレーニングを支援するために設計されたオーディオランニング体験と説明している。各エピソードは、人気のランニングルートに焦点を当て、Fitness+のトレーナーによるコーチングが含まれている。エピソードは、それぞれのランニングの強度、場所、コーチングに合わせてデザインされたプレイリストを備えている。また、各エピソードには、Fitness+のトレーナーによって撮影されたルートの写真も含まれている。

Time to Runは、3つのエピソードでスタートする。Cory Wharton-Malcolm(コーディ・ウォートン・マルコム)氏がコーチを務めるロンドン、Emily Fayette(エミリー・フェイエット)氏がコーチを務めるブルックリン、そしてSam Sanchez(サム・サンチェス)氏がコーチを務めるマイアミビーチだ。毎週月曜日に新しいエピソードが公開される予定だ。Appleは、車イスを使用しているApple Watchの顧客のために、Time to RunがTime to Run or Pushになり「Outdoor Push Running Pace」のワークアウトを開始するオプションが提供されると指摘している。

画像クレジット:Apple

「新しい年の始まりに、多くの人が自分の目標に向かうための新しい方法を探していることを私たちは知っています」と、Appleのフィットネス技術担当副社長Jay Blahnik(ジェイ・ブラニク)氏は声明の中で述べている。「これらの新しい追加機能により、Fitness+は、あなたがフィットネスの旅のどの地点であろうと、心と体を鍛えるための高品質で多様なコンテンツの最も完全なライブラリによって、どこでも簡単にモチベーションを上げ、アクティブに過ごすことができるようになります」。

Appleは、米国時間1月10日に開始するCollectionsとTime to Runに加えて、ユーザーがより頻繁に歩くことによってアクティブになることを目的としたシリーズ、Time to Walkの第3シーズンも導入する。今シーズンでは、毎週新しいゲストが追加される予定だ。ゲストには、Hasan Minhaj(ハッサン・ミンハジ)氏、Chelsea Handler(チェルシー・ハンドラー)氏、Bernice A. King(バーニス・A・キング)氏などが登場する。

また、Fitness+では、ワークアウトのプレイリスト全体を1人のアーティストにあてるArtist Spotlight(アーティスト・スポットライト)シリーズにもコンテンツを追加し、Ed Sheeran(エド・シーラン)、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムズ)、Shakira(シャキーラ)、The Beatles(ビートルズ)の楽曲を使った新しいワークアウトを提供する。ワークアウトの種類は、サイクリング、ダンス、HIIT、ストレングス、トレッドミル、ヨガがある。

Appleは2020年12月14日にFitness+を発売し、その後、Peloton(ペロトン)を含む他のサブスクフィットネスとの競合に取り組んできた。Fitness+は、月額9.99ドル(約1100円)で単独のサブスクとして、または月額29.95ドル(約3400円)でApple Music、Apple TV+、Apple Arcade、Apple News+、2TBのストレージを持つiCloud+にアクセスできるApple Oneプレミアプランの一部として提供されている。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップルでM1チップなどAppleシリコンの開発を主導したジェフ・ウィルコックス氏、古巣のインテルへの移籍を明かす

アップルでM1チップなどAppleシリコンの開発を主導したジェフ・ウィルコックス氏、古巣のインテルへの復帰を明かす

Apple

アップルが「Macのプロセッサを2年かけてインテル製から自社開発のAppleシリコンに移行する」との約束を今年(2022年)6月には果たすと予想されるなか、M1チップをはじめとするAppleシリコンの開発を主導してきた人物がインテルに移籍したことが明らかとなりました。

Macシステムアーキテクチャ担当ディレクターだったジェフ・ウィルコックス(Jeff Wilcox)氏はLinkedInにて、インテルでの新たな職に就くためにアップルを去ったと述べています。ウィルコックス氏はインテルのフェロー兼デザイン・エンジニアリング・グループのCTOとして、クライアントSoCアーキテクチャ設計を担当するとのことです。

ウィルコックス氏は今月退社するまでの8年間、アップルのMacシステムアーキテクチャーチームに所属していた人物です。この期間はちょうどAppleシリコン開発が始まってから発表されるまでの時期と思われますが、実際LinkedInのプロフィールでもM1チップやT2セキュリティチップなど「すべてのMacのAppleシリコンへの移行を主導した」とアピールされています。

またウィルコックス氏はアップルでの仕事を「M1、M1 Pro、M1 MaxのSoCおよびシステムでのAppleシリコンへの移行をはじめ、私が在籍していた間に達成した全てのことを、この上なく誇りに思っています」と振り返り。そう述べつつ「アップルの同僚や友人たちと離れるのはとても寂しいですが、年明けに始まる次の旅を楽しみにしています。 これからもよろしくお願いします」とあいさつを語っています。

もともとウィルコックス氏は2010年~2013年にインテルにてPCチップセットの上級エンジニアを務めていたことがあり、今回の移籍は新天地というよりも古巣への復帰となります。そして「インテルの素晴らしいチームと一緒に、画期的なSoCの開発に携わることができ、これ以上の喜びはありません。素晴らしいことが待っています」という言葉は、Appleシリコン対抗SoC開発をリードすることを示唆しているとも憶測できます。

Mac搭載プロセッサがAppleシリコンに移行することで、最もダメージを受けると予想される企業はプロセッサの発注が大幅に減らされるインテルでした。

そのため最近のインテルはAppleシリコンを強烈に意識した行いが目立っており、「インテル製チップ採用のノートPCがM1 Macよりも優れている」というキャンペーンを展開したり、ノートPC向け第12世代Core i9がM1 Maxよりも優れた史上最速モバイルCPUだとアピールしたり、その一方でパット・ゲルシンガーCEOは「Appleシリコン製造を請け負いたい」と発言していたこともあります。ウィルコックス氏のインテル移籍も、その文脈を考えれば頷けるところではあります。

ここ2年ほど、アップルのチップ開発チームの主要エンジニアが離職することは珍しくはありませんでした。最も注目されたのはiPhoneのAシリーズチップ(A7~A12X)開発を主導した人物らがNuviaという半導体スタートアップを立ち上げたことです。Nuviaは最終的にクアルコムに買収され、そのチームがPC向けArmベースチップの開発を進めていることも発表されています

これら離職者の影響が、今後のAppleシリコンの進歩にどのような影を落とすかは不明です。ともあれ、インテルの次世代CoreプロセッサやクアルコムのArmベースSoCがAppleシリコンのように「省電力性能と処理速度の両立」を備えることになれば、WindowsノートPCでもバッテリーが長持ちして快速で動く新モデルが続々と出ると期待できるかもしれません。

(Source:LinkedIn。Via Toms’ HardwareEngadget日本版より転載)

Chipolo、アップルの「探す」アプリ対応の「カード型紛失物トラッカー」でTileに対抗

AirTag(エアタグ)とTile(タイル)のライバル、Chipolo(チポロ)が発表した新製品は、ユーザーが紛失したものをAppleの「Find My(探す)」アプリで見つけたり、うっかり置き忘れた時に通知を受けることができる。Chipolo CARD Spot(チポロ・カード・スポット)は、同社の既存のスマートカード製品の改良版で、同社のもう1つの紛失物トラッカーであるChipolo ONE Spot(小さな丸形デバイスでAirTagと直接競合する)と同じように、Appleの「探す」ネットワークを利用できるようになった。

新しいスリムなスマートカードは、キャッシュカード並の薄さで、サイズは3.35 x 2.11インチ(8.5 x 5.4 cm)と財布のクレジットカードポケットに入れることができる。

デバイスを追跡するには、まずChipolo CARD Spotを「探す」アプリのサードパーティ製ハードウェアアクセサリー追跡機能を使って、iPhoneまたはiPadとペアリングする。このシステムは、AppleのMFi Program(MFiプログラム)に支えられているもので、デバイスメーカーは、iPhoneなどのAppleデバイスとやり取り可能なアクセサリーを開発するために必要な仕様やリソースの提供を受けることができる。これは、AppleがAirTagで参入する前から忘れ物トラッカー市場をリードしてきたTileとの争点でもあった。

画像クレジット:Chipolo

TileはAppleが権力を乱用して市場を支配しようとしていると主張し、同社のようなデバイスメーカーが独自のモバイルアプリを経由してユーザーに直接アクセスするのをやめさせて、Appleのテクノロジーに統合させようとしていると訴えた。しかもAppleは、AirTagが発売されて顧客基盤ができあがるまでそのテクノロジーの利用を遅らせた(Tileは最近、Life360に227億円で買収された。競合が激化する中でスタンドアロン企業としての将来を見限ったようだ)。

関連記事
Tileがアップルの新しいAirTagを不正競争だと非難
家族向けロケーターサービスのLife360が紛失物探索デバイスTileを227億円で買収

しかしChipoloは違うアプローチをとった。Appleと喧嘩するのではなく、同社はAppleのネットワークを活用し、AirTagに似た同社独自のトラッカーを「探す」対応にした。これによってChipoloの認知度は高まり、Appleの新製品プロモーションのおかげで紛失物トラッカーとその能力を初めて知った人たちにリーチすることができた。

Chipolo CARD Spotの発売によって、同社は「財布を追跡するスマートカード」というAppleにない「探す」対応製品の可能性に賭けている。

しかし、この新しいアクサセリーは、Tileの薄型ウォレットトラッカーであるTile Slim(タイル・スリム)と直接競合する。

画像クレジット:Chipolo

Tileのスマートカードと同じく、Chipoloカードは財布が手元を離れるとアラームを鳴らしたり、Lost Mode(紛失モード)になる。アラームは音は大きく(105dB)、カードは「探す」の200フィート(60m)範囲内で位置を特定できる。

Chipoloの新デバイスは、防水(IPX5)だが、この点ではTile SlimのIP67が上を行っている。Chipoloカードのバッテリー寿命は約2年間。その時点でユーザーには新製品を50%ディスカウントで購入できる通知が送られ、古いデバイスはリサイクルのために送り返すことができる。ちなみにTile Slimは最大3年間のバッテリー寿命を約束している。

Chipoloデバイスは1台35ドル(約4060円)、3台60ドル(約6959円)だが、TileはSlimを値下げして1台29.99ドル(約3480円)、2台で59.99ドル(約6958円)にした。

しかしChipoloの強みは、顧客は「探す」アプリで使えるデバイスを選ぶ可能性が高いということで、Tileは対応していない。

また、消費者がAirTagの安全性について懸念し始めている(デバイスがストーカー行為やカージャックに使われていると記事は伝えている)ことから、ユーザーは「探す」対応製品の方を選ぶかもしれない。Appleの同アプリは、未知のデバイスがユーザーを追いかけていると先を見越して警告してくれるからだ。Tileはまだ、アンチストーカー機能に取りかかっている段階だ。

関連記事:TileがApple AirTagのライバルとなる次期製品Tile Ultraを含む新製品ラインナップを発表

Chipoloの新デバイスは、現在予約受付中で、公式ウェブサイトおよびNomad(ノマド)で申し込める。出荷は2月の予定。

画像クレジット:Chipolo

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Schlageの新型スマートロックはApple Watchで玄関を解錠することが可能

この数年、スマートロックを目にする機会は少なくはなかったが、業界の大手も未来に向けて目覚め始めたようだ。CESでは、大手Schlage(シュレージ)がスマートフォンやApple Watchに触れるだけでドアを開けられる機能を導入した「Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt」を発表した。

この技術は、iOS 15で導入されたAppleの最近のHome Keyの革新的技術に基づいて構築されている。この技術では、Apple Walletに家の鍵を追加することができ、身の回りの鍵と通信することができる。これにより、スマホやApple Watchをタップをするだけで(わざとらしく「オープンセサミ」「オープンシュレージ」と叫ぶのはオプションだと思われるが、同社のプレスリリースには明記されていない)、家の中に入ることができるのだ。

この技術のメリットは、鍵を簡単に配布できることだ。ゲストに一時的に家の鍵を渡すことができるのだ。例えば、カプチーノを買いに出かけなくてはいけなくなった後、あなたのドッグウォーカーが愛犬を連れて帰る必要がある場合や、配管工が予定より早く来て、家に入れないと帰ると脅された場合などだ。

Schlage Encode Plusロックは、Home Key機能を備えたHomeKitに対するAppleの最新の機能強化にいち早く対応したものとなる。エコシステムへの追加は歓迎すべきことだと思う。Schlageには100年にわたる錠前製造の経験があり、スマートホーム技術に関しては、BluetoothとIoTチップセットの助けを借りて製品全体を構築するよりも、もともとすばらしい働きをする製品にスマートさを追加する方が簡単なことが多いのだ。

Allegion(アレジオン)のブランドであるSchlageのゼネラルマネージャーであるDave Ilardi(デイブ・イラルディ)氏は「当社は100年の歴史を通じて、お客様が信頼できる便利で安全なホームアクセスでユーザーエクスペリエンスを革新することに専念してきました。私たちは、コネクテッドホームに革新をもたらしているという歴史と評判を持つ、高く評価されているこの2つのブランドを結びつけるAppleとのコラボレーションに興奮しています」と述べている。Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadboltは、ホームオーナーに、よりシンプルで安全なアクセス方法を提供する。これは、シンプルさと安心感をもたらす目的にかなった体験を創造するという同社のビジョンの新たな一歩にすぎない。

イケているのが、当技術が「省電力」モードでも動作することだ。つまり、スマホやApple Watchの充電が切れそうになっている状態でも、さらに数時間、ドアを開けるために使用することができるということだ。

Schlage Encode Plusロックは、タップして開けるというワザを除けば、機能的にはSchlage Encode Wi-Fi対応ロックとかなり似ており、ドアがロックされているかどうかを確認したり、施錠 / 解錠をスマホから行うことができる。アプリから特定の時間帯にアクセスコードを設定できるので、永続的、一時的、定期的にかかわらず、特定のコードで特定の時間帯に他人へアクセスを与えることができる。また、同デバイスはリアルタイムのアクティビティログを保持しているので、どのコードがいつ、どの鍵を開くために使われたかを確認することもできる。Siri、Googleアシスタント、Alexaにも対応しており、それらからデバイスのコントロールが可能だ。

タップして解錠する機能は、AppleのHome Key機能で、iOSまたはApple Watchのデバイスでしか利用できないので、Androidユーザーは今のところその機能を使わずにやり過ごすことになるが、もちろんGoogleアシスタントやSchlageアプリを使ってデバイスをコントロールすることはできるだろう。

Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadboltは2022年春末に購入可能で、小売価格は299.99ドル(約3万4800円)だ。

画像クレジット:Schlage

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

時価総額3兆ドル(約348兆円)に達したアップルにひとまずの拍手を

過去数年間におよぶApple(アップル)の評価額の急騰が米国時間1月3日、そのピークを迎えた。クパチーノに本社を構えるこのソフトウェアとハードウェアの企業の時価総額は、Google Financeのデータで3兆ドル(約347兆5000億円)の節目に達した。

データの出処によってやや違いはあるが、コンセンサスとしては、同社は日中取引で3兆ドルの時価総額に到達している。一部、2兆9900億ドル(約346兆3000億円)とするデータもある。

注目すべきは、3兆ドルと2.99兆ドルの違いは100億ドル(約1兆2000億円)だから微差にすぎないことだ。いずれにしてもAppleは、現代の企業の時価総額の、新しい最高水準値を定めた。めでたい。

注目すべきは、3兆円と2兆9900億ドルの差は100億ドル(約1兆2000億円)だが、その差ははした金はいえないことだ。ともあれ、Appleは現代における企業価値の新たな高水準を打ち立てた。めでたい。

それがどうした?

1つのテクノロジー企業、ないし一般に1社が、3兆ドルの時価総額になっても、見出しに財務の大きな数字が踊る記事を見慣れている人なら驚かないだろう。しかし実際にそれは、大きな成果だ。

状況説明をすると、2017年5月に私は、テクノロジー大手5社の時価総額が、5社合わせて2兆9700億ドル(約343兆9000億円)になり、3兆ドルに近づくと書いた。実際に同年後半の7月にはその額に到達している。翌年の2018年には同じ5社合計の価値が4兆ドル(約463兆2000億円)になり、前年から大きく飛躍した。

その後のことは、誰もがご存知だろう。パンデミックがテクノロジー企業の価値を変え収益1ドルあたりの額は前例のない額になった。テクノロジー企業に対する新型コロナウイルスのインパクトは、純粋なソフトウェア企業とって最も厳しいものだったが、Appleが自力で3兆ドルを達成したことからもわかるとおり、、米国の最大手テクノロジー企業は好調だった。3兆ドルといえば、5年前のAppleとAmazonとMeta(元Facebook)とMicrosoftとAlphabetを合わせたのと同じ価値だ。

別の理由でも、3兆ドルは注目に値する。Crunchbaseのニュースによると、3兆ドルは2021年半ば時点でのユニコーンの価値の合計となる。CB Insightsによれば、その合計額は現在、3兆1000億ドル(約359兆1000億円)だという。つまり、Appleの価値はすべてのユニコーンの価値を合わせたものと同じというということだ。途方もない!

私たちは、テクノロジー大手はなにしろ大きい、ということを忘れてしまいがちだ。その規模を具体的に理解するのは難しい。率直にいって彼らの富の中には、事実上、不可算なものもある。

多くのSF小説が、企業が暗黙的または明示的に国家のようなものになってしまう未来を描いている。私が想像しても、そのように感じる。Appleが単独で3兆ドルに達した現在、SF作家たちは預言者だったといえる。

画像クレジット:JOSH EDELSON/Stringer/Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Tumblrが「大人向け」コンテンツを巡って再びアップルと闘争中

「Tony the Tiger(トニー・ザ・タイガー)」や「Eugene Levy(ユージン・レヴィ)」のパロディは今すぐ隠すこと。これらをはじめとする数百件のフレーズは、現在、Tumblr(タンブラー)のiOSアプリから排除されている。

現在、自らを「mature(大人向け)」と称したいかなる個人ブログもiOSアプリでアクセスできない。ユーザーには「思わせぶり、あるいは露骨である可能性のあるコンテンツ」のために隠されている旨を説明するポップアップが表示される。Tumblrによると、一部の投稿は、検索機能やおすすめ投稿やフォローしているユーザーのコンテンツを表示するユーザーダッシュボードでも隠されるという。

「私たちがAppleのApp Store(アップ・ストア)に存続し、TumblrのiOSアプリを利用できるようにするためには、慎重に扱うべきコンテンツに関するAppleのポリシーにこれまで以上に厳格に従うよう修正する必要があります」とTumblrは公式ブログで述べている。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrユーザーたちは、iOS版Tumblrアプリが一連のポリシーを守るために禁止したタグの非公式クラウドソースリストを作った。禁止されたタグの中には、繊細なコンテンツに関して潔癖でいようとするプラットフォームとして理にかなったものもあり、たとえば「porn(ポルノ)」「drug(ドラッグ)」「sex(セックス)」などが禁止されている。それ以外は理解不能(あるいは、それについて考えすぎると頭が痛くなる)であり、上にもあげた「Tony the Tiger」や「Eugen Levy」などがある。数字の「69」と「420」も禁止されている。

サイトには多くのTumblrユーザーが集まり、自分たちの体験について匿名で語り合っているが、タグの禁止によって、その会話も実質的に検閲状態にある。stimming(自己刺激行動)という自閉症患者にとって一般的な対処行動に関わるいくつかのタグ、例えば「depression(うつ病)」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「bipolar(躁うつ)」なども禁止されている。

「これらの調整によって、ユーザーが当社のiOSアプリを使って慎重に扱うべきコンテンツをアクセスできるかどうかに影響を与えることがあり、いらだたしいこともあることを理解しています」とTumblrの広報担当者がTechCrunchに伝えた。「現在もっと考慮された解決方法を検討中で近いうちに公開する予定なので、逐次状況をお知らせします」。

元TumblrのiOSエンジニアがsreegs(スリーグス)というブログで、この問題が起きた原因や、効果のないバンドエイドのような解決方法につい説明している。

「レビュー担当者がアプリを動かしてみて、ポルノが見つかればそのアプリは拒否されて、開発者は修正するようにいわれます」とブログに書かれている。そのエンジニアは、おおよそ「5回に1回のアップデート」でそれは起きるが、問題の投稿(スクリーンショットがTumblrに提供される)が削除されると、アプリは公開OKになる、と述べている。

「時おり、Tumblrが特別頑固なレビュー担当者に当たることがあります。ゴーサインをもらうまでにはいくつものポルノ粛清と再提出が必要になります」。同じようなことが今のTumblr iOSアプリでも起きているとエンジニアは考えている。

TumblrはiOS App Storeで承認を得るために、1年近く苦闘したことがある。2018年、TumblrのiOSアプリはApp Storeから削除され、それは児童性的虐待資料(CSAM)がアプリのフィルタリング機構に組み込まれた後のことだった。1カ月後、Tumblrはあらゆるポルノおよび性的に露骨なコンテンツを禁止し、ほぼ直後にトラフィックが29%減少した。それ以来、同プラットフォームのウェブトラフィックは低迷を続けている。

関連記事:TumblrがZ世代のクリエイターのためのサブスクサービスPost+を開始

画像クレジット:SimilarWeb

もちろん、ユーザー生成コンテンツのプラットフォームからあらゆるアダルトコンテンツを排除するのは果てしない無駄な作業だ。

「何かと言いたくなる気持ちもあるんです。Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)はあまりに巨大なので、Tumblrよりも許されることが多いのでしょう」と、その元Tumblr iOSエンジニアは理論づけた。「それとTumblrが2018年の終わりまでポルノをあからさまに許していた歴史とを合わせてみてください。もちろん証明はできませんが、もしTumblrのAppleでの評判というものがあるなら、それは良いものではありえません」。

それとは別に、Tumblrコンテンツは「#rule 34」から「#long post」まで、あれこれのタグを禁止されている。

Tumblrは米国時間12月28日、同社のChangesブログで、iOSアプリで利用できないタグのリストをレビュー中であり、1月までに完了する予定だと書いた。

そして「現在、iOSアプリで繊細なコンテンツを許容することをユーザーが選択できるウェブベースのスイッチを開発しています」と付け加えた。

Tumblrユーザーはしばしば、このプラットフォームをインターネットの荒れ地と呼ぶ。Tumblr自身、あるときApp StoreでiOSアプリの副題に「hellsite (affectionate)」(地獄サイト[愛情をこめて])と書いていたこともある。だったらなぜ使い続けるのか?

「サイトは死んだと思われていますが、この手のことには超簡単な回避方法があるものです」とあるTumblrのヘビーユーザーがTechCrunchに話した。「tab ban」をサイトで検索すればそういう抜け道を見つけるのは難しくないが、常連ユーザーはTumblrの検索機能がバグだらけなことも知っている。「実際、壊れた検索機能はこのピンチに役立っています。使った時の半分は欲しい物を見つけられませんが、Appleも見つけられませんから」。

しかし、TumblrがiOSアプリと検索機能で不足している部分は、アルゴリズムというかそれが欠けていることで補われている。TikTok(ティックトック)、Twitter、YouTube(ユーチューブ)、Facebook(フェイスブック)、Instagramなどのプラットフォームが上院に呼ばれて、彼らの謎の多いコンテンツの扱い方について釈明していた一方で、Tumblrは、昔風のやり方で仕事をしている。フォローしているユーザーのコンテンツを、逆時間順に表示するだけだ。

「正直、収拾不可能な状態でいることが、今はTumblrにとって完全に有利方向に働いていると私は信じています」とその熱心のTumblrユーザーは言った。「そこにアルゴリズムはないので、今でも自分の欲しいままの体験を収集することができています」。

関連記事
TumblrがZ世代のクリエイターのためのサブスクサービスPost+を開始
ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがフォックスコンのインド工場を監督下に、食事と寮に対する抗議受け

Apple(アップル)は、Foxconn(フォックスコン)のインド南部の工場の劣悪な食事と宿泊施設の状況について労働者から抗議を受け、同工場を監督下に置いた。両社は、この懸念について認め、改善を約束した。

Appleは監督期間を明言しなかったが、インドのAppleの広報担当者はTechCrunchに「工場を再開する前に、当社の厳しい基準が満たされるようにする」と語った。

タミル・ナードゥ州にあるFoxconnの工場では約1万7000人の従業員が働く。先の地元メディアの報道によると、工場で働き、ホステルの1つに住む数百人の女性が食中毒の治療を受け、100人以上が入院したため、12月19日の週に工場で抗議活動が発生した。

州政府も介入し、Foxconnに対し労働者に提供するサービスを見直すよう求めていた。

Appleは、食品の安全性と宿泊施設に関する懸念が提起されたことを受け、独立した監査人を派遣して状況を調べると述べた。

「従業員用の遠隔地の寮と食堂の一部が当社の要件を満たしていないことが判明しました。包括的な是正措置が迅速に実施されるようサプライヤーと協力しています」と広報担当者は話した。

Foxconnは、この問題を調査しており「一部のオフサイトの寮の施設が要求される基準を満たしていない」ことが明らかになったと述べた。広報担当者は次のようにTechCrunchに語った。「従業員が直面した問題を非常に残念に思っており、遠隔地の寮舎で提供する設備とサービスを強化するため、早急に措置を講じています」。

Appleの重要な組み立てパートナーであり、台湾の大手企業であるFoxconnは「必要とされる高い水準を達成・維持できるよう、現地の経営陣と管理システムの再構築に取り組んでいる」と話した。

「操業再開前に必要な改善を行う間、すべての従業員には給与が支払われ続け、従業員が仕事に復帰するためのサポートを提供し続けます」と広報担当者は付け加えた。

近年、インドでの現地生産を拡大しているAppleが、世界第2位のスマートフォン市場である同国でこの種の問題に対処するのは今回が初めてではない。2020年は、劣悪な労働条件と賃金未払いをめぐる労働者の暴動を受け、別の重要な組み立てパートナーであるWistron(ウィストロン)を監督下に置いた

関連記事:アップルがインドのiPhone工場での暴動を受けサプライヤーWistronへの発注を一時停止

画像クレジット:Arun Sankar / AFP / Getty Image

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、iPad上でアプリ開発ができるSwift Playgrounds 4をリリース

Apple(アップル)が、Swift Playgrounds 4の公式ローンチを発表した。最初の発表と予告は、2021年6月のWWDCで行われている。今回のローンチにより、ユーザーはSwiftUIによるiPhoneやiPadのアプリの作成を直接iPad上で行えるようになり、アプリに変更を加えた場合、その結果をリアルタイムでプレビューできるようになる。Appleによると「App Store Connect」が統合されているため、完成したアプリをApp Storeにアップロードすることもできる。

「Swift Playgroundsは、プログラミングを学ぶ最良で、最も簡単な方法です。あなたが書いたコードは、アプリの制作と並行してライブの(リアルタイムの)プレビューにすぐ反映され、アプリをフルスクリーンで表示しながら実行できます。Swiftのパッケージに基づく新しいオープンプロジェクトフォーマットは、iPad用のSwift Playgroundsの中でオープンしエディットできますが、同じくMac上のXcode内でも行えるため、iPadとMacの両方で使用できるアプリを開発できる幅広い多機能性が提供されます」とブログで語られている。

画像クレジット:Apple

Appleによると、このソフトウェアにはインラインコードの提案機能があるため、コードをより速く正確に書くことができる。検索機能は個別のファイルではなくプロジェクト全域を対象とするので、一度に複数のファイルを検索できる。また、Swiftパッケージのサポートにより、ユーザーは公開されているコードを含めてアプリを強化することができるとしている。なお、このソフトウェアの「Snippets Library」は、何百種類ものSwiftUIのコントロールやシンボル、カラーなどをユーザーに提供する。

Swift Playgrounds 4の狙いは、iPhoneとiPadの新人デベロッパーがMacを使わなくても容易にアイデアを試せることだ。新機能を利用するためには、iPadOS 15.2以上が必要となる。Swift Playgrounds 4は、現在、iPad向けのApp Storeでアクセス可能だ。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)