アップルがワイヤレスイヤフォンのAirPods Proを発表、ノイキャン機能搭載

Apple(アップル)は米国時間10月28日、AirPods Proを発表した。同社はプレスリリースにて、新デバイスを発表している。その名前が示すように、AirPods Proはワイヤレスイヤフォンで、通常モデルのAirPodsに機能が追加されている。

注目すべきは、AirPods Proにはアクティブノイズキャンセリング機能があり、この機能はBose 700やソニーのWH-1000XM3のような飛行機向けに設計されたヘッドフォンで特に人気がある。

それぞれのイヤフォンには2つのマイクが内蔵されており、バックグラウンドの雑音を聞き取ったり、あるいは積極的に周囲の音を消したりできる。マイクの片方は内側に配置されていて、耳の中の音を聞き取る。さらにアップル宇はアダプティブEQを統合し、装着者の耳の形に応じてリアルタイムに低音と中音を調整する。

アクティブノイズキャンセリングと「トランスパレントモード」を切り替えて、バックグラウンドのノイズをブロックできるほか、それをイヤホンで聞くことができる。これはスマートフォンからコントロールすることも、あるいはイヤホンの底を指先でつまむことでも切り替えられる。

 

AirPods Proのデザインは、AirPodsとは少し異なる。イヤーチップに柔軟性のあるシリコンを採用したインナーイヤー型のイヤフォンとなった。なお、イヤーチップは3サイズが付属し交換できる。また、AirPods Proは汗や水にも耐えられる。

AirPods Proの内部にはAppleが設計したH1チップが搭載されており、ノイズキャンセリング、オーディオ処理、「ヘイシリ」の要求への応答など、あらゆる処理がリアルタイムで可能だ。

アップルによると、AirPods Proでは通常のAirPodと同等のバッテリー駆動時間が期待できる。アクティブノイズキャンセリング機能を利用した場合には4時間30分の再生時間、充電ケース込みで最大24時間の再生が可能だ。

充電ケースも若干変更され長方形になった。Lightningポートを搭載し、ワイヤレス充電が利用できる。

AirPods Proは10月30日から249ドル(日本価格は2万7800円)で発売され、本日からAppleのウェブストアで注文できる。また、通常のAirPodsもワイヤレス充電ケースの有無によって、159ドルから199ドル(日本価格は1万7800円〜2万2800円)と、以前と同じ価格で販売される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルの対中国姿勢が米国で超党派議員による政治同盟を生み出す

Apple(アップル)が中国政府の要求を聞き入れアプリの承認を取り下げた判断に対する手厳しい非難は、米国議会、上院議員、下院議員が、憎しみやいがみ合いを乗り越えて意見を一致させる珍しい事例となった。

ロン・ワイデン、トム・コットン、マルコ・ルビオ、テッド・クルーズの各上院議員と、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス、マイク・ギャラガー、トム・マリノフスキーの各下院議員は、「香港の抗議活動で目覚ましい役割を果たしているものを含むアプリの、中国政府からの要請によるアップルの検閲に対して深い憂慮を表明する」と記した書簡に署名した。

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ティム・クックはロン・ワイデン、トム・コットン、マルコ・ルビオ、テッド・クルーズ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス、マイク・ギャラガー、トム・マリノフスキーから書簡を受け取った。

もっとも強力な産業のひとつに立ち向かうために、アメリカの敵対する政治派閥が手を結ぶというのは、2019年内には初めてのことに思われる。

論争の中心となったのは、HKMapsと呼ばれるアプリの承認を取り下げるといアップルの判断だ。これは、香港市民が警察の動きを監視するために利用している

数カ月間にわたり、小さな香港の中では、北京の中国政府からの香港の自治権への介入と彼らがみなす行為に抗議する人たちと、警察との間で衝突が続いている。かつて英国の保護領であったこの地域の住民は、1997年7月1日に英国から中国に返還されて以来、中国本土の市民には与えられない特権と人権を享受してきた。

香港の警察活動監視アプリを承認したとして中国政府がアップルを批判


「先週のアップルの判断は、HKMapsの承認を取り消すことで中国政府に便宜を図ることになり、大変に憂慮すべきことだ」と書簡の送り主たちは話す。「市場アクセスよりも大切な価値観を示し、基本的人権と香港の尊厳のために戦う勇敢な男女の側に立つようアップルに、最大限の強い言葉で方向転換を求める」

アップルは長年、人権(プライバシーと言論の自由を含む)の擁護者という立場を貫いてきた……アメリカ国内においては。海外においては、同社の歴史は潔癖だったとは言えない。とくに、アメリカ国外では最大の市場である中国からの圧力に対する態度は曖昧だ。

2017年、アップルは、すべての仮想プライベート・ネットワーク(VPN)アプリをApp Storeから排除せよとの中国政府からの要求に屈した。それらのアプリは、中国政府とその検閲機関の承認を得た情報だけにアクセスできるよう制限するグレート・ファイヤーウォールの回避を可能にするものだ。

関連記事:中国に屈してVPNアプリを取り下げたアップルは本国に苦悩を持ち帰る(未訳)

中国の非営利団体GreatFireによると、中国政府の要求を聞いてアップルが承認を取り消したアプリは1100本以上あった(このデータは今回の米議会からの書簡にも使われている)。その中には、VPNや、中国国内の反体制コミュニティー(ウイグルチベット)で作られたアプリが含まれている。

香港での騒乱に何らかの形で関係したとして中国政府から目をつけられた企業は、アップルだけではない。National Basketball Association(NBA)とゲーム会社のBlizzard(ブリザード)も、従業員や、これら企業が代表するスポーツフランチャイズやゲームコミュニティーなど個々の系列団体に関連するさまざまな公的な立場を理由とした自己検閲をめぐって揉めごとが起きていた。

しかし、アップルは中でも最大の企業だ。そのため、ターゲットとしても最大だ。アップルの立場は、本国での立ち位置は別に、戦略的に重要と思われる市場の圧力にはしぶしぶ従ってしまうことを示唆している。

問題は、米国の規制当局が書簡の送付を止め、独自に法的な要求を行うようになったときに何が起きるのかだ。

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(翻訳:金井哲夫)

アップルが自前スタジオでスピルバーグらの作品をプロデュース

Apple(アップル)の会員制ストリーミングサービスApple TV+は豊富な新番組を揃えているが、これまではそのどれも、アップルがオーナーではない。

でもアップルは最近、自前のスタジオを持ってオリジナル作品を作り始めたので、この状況は変わる。同社がプロデュースする「Masters of Air」は、その前の「Band of Brothers」と「The Pacific」の続編で、Donald L. Miller(ドナルド・L・ミラー)氏のノンフィクション書籍「Masters of the Air: America’s Bomber Boys Who Fought the Air War Against Nazi Germany」(マスターオブザエア:ナチスドイツとの空中戦を戦った米国の爆撃機少年たち)のドラマ化だ。この番組のエクゼキュティブプロデューサーは、Tom Hanks(トム・ハンクス)、Gary Goetzman(ゲイリー・ゴーツマン)、そしてSteven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグ)だ。

Apple TV+の番組として、アップルのスタジオがプロデュースしたものと、しなかったものの違いは、多くの視聴者にとってわからないだろう。でもストリーミングの世界ではいろんなタイプの作品に「オリジナル」のラベルがついているから、それほど厳密な区別はない。

たとえば「House of Cards」や「Orange Is the New Black」にはNetflix Originalsのラベルがついているが、それらは別のスタジオがプロデュースした作品の権利をNetflixが買ったものだ。ときには、その権利に地理的制約があったりする。

一方「Stranger Things」などはプロデュースも所有権もNetflix自身だ。Netflix Originalsの中で特に伸びているが、これらの自己プロデュース作品だ。

アップルの場合も、自分のスタジオを持てば最初からコンテンツの所有権を持ち、ライセンス料金の交渉が要らなくなるだけでなく、今後の商品化等に対する権利も持つ。

The Hollywood Reporterによると、そのスタジオにはまだ名前がないが、アップルのWorldwide Video部門のトップを務めるZack Van Amburg(ザック・ヴァン・アンバーグ)氏と、前にSony Pictures TVを仕切ったJamie Erlicht(ジェイミー・エリヒト)氏が率いるだろう。

関連記事: Apple TV+ to launch November 1 for $4.99/month, one year free comes with select Apple devices(Apple TVが11月に月額4.99ドルで立ち上げ、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルが中国の国営メディアに批判されたクラウドソーシング地図アプリをApp Storeから削除

【抄訳】
Apple(アップル)がHKmapをApp Storeに載せて中国の国営メディアに批判されてからまだ1日も経たないが、同社はそのクラウドソースで作られた地図アプリを削除した。そのアプリの配信を拒否するという最初の決定をアップルがひるがえしてから1週間足らずで、今度は削除を決めた。その地図は、民主化運動のデモをしている人たちや、道路閉鎖、警官の行動などの場所を示していた。なお、HKmapのウェブサイトは健在だ。

アップルがHKmapをApp Storeで許可すると、中国共産党がオーナーである新聞China Dailyの記事が同社を批判。そのアプリは「暴徒が暴力行為に赴くことを可能にした」と述べ、さらに「企業は政治に介入すべきでない。アップルはその無分別で無責任な決定を反省すべきだ」と言った。

中国政府は抗議に参加している人たちを暴力的と呼び、ソーシャルメディア上で組織的なキャンペーンを展開しているが、アムネスティインターナショナルのような人権団体は、抗議者たちに対する警官の暴行の複数の事例を記録している。

HKmapの作者は、アップルがこのアプリを警察と住民を危険にさらすと主張しているが「その説には同意しない」とツイートした。

HKmap.live 領域のリアルタイム地図 HKmapアプリが香港の警察と住民を危険にさらしているというAppleと香港警察の主張には同意しない。

アップルはTechCrunch宛ての声明で「香港の警察と住民を危険にさらしていることがアプリを削除した理由だ」と明言した。

その声明には「App Storeはアプリを見つけるための安全で信頼に足る場所である。私たちが知ったことによると、HKmap.liveアプリは香港の警察と住民を危険にさらすようなやり方で使われてきた。香港の多くの心配している顧客がこのアプリに関して私たちにコンタクトしてきたので、私たちは早急にその調査を始めた。そのアプリは警官の所在を表示し、私たちに対するHong Kong Cybersecurity and Technology Crime Bureau(CSTCB, 香港サイバーセキュリティ・テクノロジー犯罪局)からの立証によると、アプリは警官を狙って待ち伏せ攻撃するために利用されており、警官の安全を脅かし、また犯罪者たちがそれを利用して警察がいない場所を知り、それらの地区の住民を犯罪の被害者にしている。このアプリは私たちのガイドラインと当地の法律に違反しているのでApp Storeから削除した」。

アプリのデベロッパーはこの理由付けを疑問視している。彼らは、「香港のCSTCBのHKmapアプリが、警官に対する待ち伏せ攻撃や警官の安全性の毀損のために使われ、犯罪者が警官のいない場所を知って犯行に利用しているという説には証拠がまったくない」と主張し、「Wazeなどそのほかのアプリにもクラウドソースの情報や投稿があり、通勤者が交通カメラや警官を避けるためなどに利用しているが、それらのアプリは今でもApp Storeにある」とコメントしている。

【中略】

これは民主派の人々を心配させ、同社の3つ目に大きい市場である中国の政府を慰撫するためと思われるアップルのいくつかの決定の最新版だ。2年前に同社は、中国のApp StoreからVPNアプリを削除し、そして先週は香港のiOSキーボードから台湾の旗の絵文字を削除した。また香港のApp Storeからは、ニュースサイトであるQuartzのアプリを削除した。噂では同サイトが香港の抗議活動を報じているからだそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップル本社のあるクパチーノ市がViaによるオンデマンドの公共交通機関を立ち上げ

シャトルのスタートアップのViaと米国クパチーノ市が、オンデマンドの公共交通ネットワークを立ち上げる。これは、従来のバスに代わるものを試行する地方自治体の最新の例だ。

このオンデマンドシャトルはクパチーノの市章を付けた6台のバンでスタートする。狙いは、列車便CalTrain(カルトレイン)との接続を改善し、市の公共交通をより便利にすることだ。

このオンデマンドシャトルサービスは10月29日に始まり、最終的には10台で運用され、車椅子利用者への便宜も提供される。車両管理を代行するもうひとつのパートナーであるAvis Budget Groupが、車のメンテナンスも担当する。

クパチーノの住民や通勤者は、アプリまたは電話予約でシャトルを呼べる。Viaの発表によると、ネットワークは市の全域11平方マイル(約30平方km)をカバーし、カルトレインのサニーベール駅を利用する通勤者たちの周辺の都市圏が含まれる。クパチーノの市長であるSteven Scharf(スティーブン・シャーフ)氏は、Viaのオンデマンドサービスを「次世代の公共交通機関であり、人びとの移動性を増すと同時に交通渋滞の減少にも貢献する」と見ている。

運行時間は平日が午前6時から午後8時まで、日曜日は午前9時から午後5時までで、運賃は5ドルだ。定期は1週間が17ドル、1か月が60ドルである。

Via Cupertino Service Zone 1

Viaの事業には2つの面がある。同社はシカゴとワシントンD.C.とニューヨークでは、一般消費者向けのシャトルを運行している。

また他方では都市や地方の交通局などをパートナーして、彼らが運用するシャトルを提供している。Apple(アップル)やSeagate Technologiesをはじめ、ソフトウェアやテクノロジー関連企業の多いクパチーノ市は、その例のひとつだ。オースチン広域都市圏交通局は、同市のピックアップサービスをViaのプラットホームを利用してより充実させている。また英国ではドイツ鉄道の子会社のArriva Busが、同国ケント州の高速鉄道駅への通勤者の連絡を改善するための末端交通機関としてViaを利用している。

1月にViaは、ロサンゼルスとのパートナーシップを発表した。それは同市の公共交通機関の利用の多い3つの地区で通勤者の便宜を図るためだ。Viaによると、同社はこれまでに80件あまりのシャトルサービスを立ち上げており、20を超える国で目下検討されている。これまでの乗客累計は6000万人超に達する。

都市の指導者たちは最近ますます、オンデマンドシャトルの実験に入れ込んでいるようだが、このニッチビジネスの成功は保証されていない。たとえばFordが買収したChariotは、2019年の初めにサンフランシスコとニューヨークと英国の操業を閉鎖した

画像クレジット:Via

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpotifyがApple TVに、iOS 13ではSiriもサポート

米国時間10月7日、音楽ストリーミングの大手であるSpotifyのサービスがついにApple TVで使えるようになった。またiOS 13に対応した最新のSpotifyアプリがSiriをサポートしたことも発表された。 音楽を聞くときにSiriの音声コマンドが使える。「Hey Siri, play」の後に楽曲名を付け加え、最後に「on Spotify」と付け加えればいい。

Siriのサポートがテストされていることは今年に入って発見されていたが、一般向けにサポートされる日時についての正式な発表はなかった。

Spotifyによれば、AirPods、CarPlay、HomePodでもSiriはサポートされているという。また最新のSpotifyアプリは、データ帯域幅が問題になる場合に役立つ、iOSのデータセーバーモードにも対応する。

アプリのアップデートは順次行われているのでApple TVでSpotifyが使えるようになるまでいま少し待つ必要があるユーザーもいるかもしれない。

これまでSpotifyでSiriがサポートされていなかったのもSpotifyの責任ではなかった。Siriを使ってアプリに音声コントロール能力を与えるAppleのSiriKititフレームワークがiOS 13でやっとサードパーティに公開されたのだ。これでSpotifyなどの音楽サービスはオーディオ再生や、曲のスキップや移動、トラック情報の取得などの機能を音声で操作できるようになった。

iOS 13になって、まずPandora、Googleマップ、WazeなどがSiriのインテグレーションを行った。 つまり日頃Appleのライバルである企業もSiriのサポートができるようになれば即座に飛びつくということが証明されたわけだ。

もちろんSiriの音声コマンドが使えるのは一般ユーザーにとって便利だし、結局アプリの運営者のビジネスにもメリットがあることになる。SpotifyはこれまでAppleの行動を反トラスト法に違反する疑いのある競争制限的なものとして対立していたが、こうした事情がその主張を軟化させたようだ。

長らくSpotifyはAppleのアプリプラットフォームは反競争的であり、自社アプリやApple Musicのような自社サービスを不当に優先するビジネス慣行を継続させてきたと非難してきた。そうした不満の最たるものがAppleがSiriに自社のアプリ、サービスを優先させていることだった。またApp StoreにおけるAppleの取り分が30%であることもSpotifyの成長を妨げる要因だとしていた。

この3月にSpotifyはEUに対しAppleに対して反トラスト的ビジネス慣行の申立を行っていた。また米議会もAppleに関する反トラスト法調査に関連して情報を提供するようSpotifyに接触しているとReuters(ロイター)が報道している。

iOS 13でSirikitがサードパーティに公開され、Siriが使えるようになってもSpotifyは「これでは十分でない」という立場を維持するだろう。たとえばユーザーがSiriにSpotifyを操作させるためにはいちいち「on Spotify」と付け加える必要がある。ユーザーがいつもSpotifyで音楽を聞いているなら、このサービスを音楽再生のデフォルトに設定できる機能があれば大いに手間が省けるわけだ。またSiriのサポートが行われたのはすべてのiOSではなくiOS 13のデバイスのみだ。

Spotifyは本日、Google Nest Home Max、Sonos Move、Sonos One SL、Samsung Galaxy
Foldに加えて、スマートウオッチではMichael Kors(マイケル・コース)のAccessシリーズ、Wear OSを搭載したDiesel(ディーゼル)やEmporio Armani(エンポリオ・アルマーニ)のサポートも発表している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルは英国の視覚効果スタジオIKinemaを買収してAR/VRへの取り組みを加速

Apple(アップル)は、英国の特殊効果スタジオIKinemaを買収したと伝えられる。Appleは、ARを利用した特殊効果をモバイルデバイスに搭載したり、より広範囲に使えるAR/VRヘッドセット市場への参入を目指していると考えられている。そのための布石となるスタートアップ買収だ。

Appleは、今回の買収について、TechCrunchに対して型通りの回答を返した。「Appleは、折に触れて小さな会社を買収しています。ただしその目的や計画について、いちいち説明するようなことはしていません」ということだ。このニュースは、まずMacRumorsが噂を広めた後、Financial Timesによって最初に報道された。

IKenemaは、モーショントラッキング機能を利用して、デジタルキャラクターの身体の動きをライブアニメーション化した。また、そうした情報を蓄積して、デジタル世界でデジタルキャラクターに本物そっくりの動きをさせるモデルを作成した。これは、特にゲームや、仮想現実のタイトルのコンテキストで有効なもの。

それらのモデルは、やはりスタートアップのRunTimeの製品で注目を集め、Epic GamesのUnreal Engineといったゲームエンジンに組み込まれた。RunTimeは、例えばThe Voidが手掛けたディズニーリゾートのVR体験「Star Wars:Secrets of the Empire」(帝国の秘密)の中でも、アバターの動きの相互作用を生み出す原動力となっている。ほかにも、Capcom Linden Lab、Microsoft Studios、Nvidia、Respawn、Square Enixなどのスタジオが利用している。

RunTimeの技術は、Impulse GearsのPSVRゲーム、「Farpoint」でも利用されている

IKenemaの製品、Orionは、低コストの入力によるモーションキャプチャを可能にするもの。基本的には、頭と手の動きなど、限られた入力をモーションモデルと同期させるというハイブリッドな手法で、本物そっくりな動きを実現できる。この技術は、NASA、Tencentなどのチームによっても、視覚化のために使われていた。

Appleはこの会社の技術に何を期待しているのか?

この技術が確実に役立つと考えられる分野はいくつもあるが、中でももっとも分かりやすいのは、iOSのカメラに特殊なAR効果を組み込むものだろう。カメラが現実世界から収集する空間データと、デジタルARモデルを重ねて表示したりできる。これによって、たとえばARフィギュアのようなものに、現実の階段を上らせたり、椅子に座らせたりすることが、原理的には可能となる。このようなシナリオの場合、IKenemaでは、カメラから得られるコンピュータービジョンのセグメンテーションができないという問題が残る。つまり、テーブルの面と床、それらとソファのクッションを区別できないのだ。それでも、そうした現実空間とデジタルモデルが相互作用できるようになるのは、大きな進歩と言える。

他にはどんな用途が?

Appleにとって、もうちょっと現実的な用途として考えられるのは、この技術をVRやARのアバターの世界で利用することだろう。これまでIKenemaは、モーションキャプチャの分野で多くの業績を積み重ねてきた。それというのも、デジタルで表現された人間が、リアルタイムでデジタル環境とやり取りするためのモデルを設計するという明確な目的があったから。彼らのソリューションは、すでに仮想現実のデベロッパーに利用されてきた。それにより、VRゲーマーが、自分の体をVRの世界に送り込んだ状態を、最小の入力で視覚化できるようになった。

Facebook Horizonの脚のないアバター

通常の仮想現実のシステムでは、位置追跡機能がコントローラーとヘッドセットに内蔵されているため、ユーザーの手と頭の位置だけを認識できる。それに対してIKinemaのソリューション利用すれば、デベロッパーは、ゲーム内に入り込んだユーザーの体の他の部分にも、ずっと自然な動きをさせることが可能となる。これは、実はかなり困難な課題であり、多くのVRタイトルのアバターが、足、首、腕、肩を欠いたものとなっている理由はそこにある。そうした部分に動きがないと、全体の見栄えが著しく損なわれてしまうのだ。

Appleが、ARやVRのデバイスの開発を推し進めたり、GoogleやSamsung製デバイスとの差別化のポイントとして、iPhoneのカメラの強化を目指しているため、同社のコンピュータービジョンに対するニーズは、どんどん高度なものになっていく。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルが最新iPhoneのカメラにML合成技術「Deep Fusion」のベータを導入

米国時間10月1日、Apple(アップル)は新しいiPhoneのカメラでDeep Fusionのベータ版を使えるようにした。これはiOSのアップデートとして提供される。Deep Fusionは複数画像をピクセルごとに合成して画質をアップするテクノロジーで、従来のHDRよりも高度な処理だ。特に、皮膚、衣服、植生のような複雑な対象の描写で威力を発揮するという。

今回のリリースはデベロッパー向けベータ版で、iPhone 11のカメラでは広角レンズが、 iPhone 11 ProとPro Maxではワイドに加えて望遠レンズがサポートされる。ただし超広角はサポートされない。

Appleによれば、Deep Fusion処理にはA13 Bionicプロセッサーが必要とのこと。つまり上記以外の旧モデルではこの機能は利用できない。

iPhone 11 Proのレビューでも詳しく説明してきたが、新しいiPhoneは写真の撮影にあたってソフトと専用ハードの両面から機械学習を積極的に利用している。

iPhone 7でAppleは写真の画質を改善するために広角レンズと望遠レンズから得られる情報を合成し始めた。このプロセスはユーザーの介入を必要とせずバックグラウンドで自動的に行われた。Deep FusionはこうしたAppleの写真哲学をさらに一歩先に進める素晴らしいテクノロジーだ。

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Deep Fusionは一定のシチュエーションで自動的に起動されて画質を改善する

光源の状態によって異なるが、広角側での撮影ではナイトモードが使われる10ルクス以下の暗い状況では自動的に起動する。望遠側では常時起動しているが、極めて明るい撮影状況ではスマートHDRに切り替わる。ハイライトの光量が非常に大きい場合にはこちらのほうが有効だという。

AppleはDeep Fusionを利用した撮影サンプルを多数発表しているのでそれらを記事にエンベッドした。Deep Fusionが実際に使えるようになったので、利用した場合と利用しない場合を比較した写真もアップされるようになるだろう。

Appleによれば、Deep Fusionの仕組みは概ね以下のようなことだという。

カメラは段階的にEV(光量)値を変えるブラケット撮影を行う。最初はEV値をマイナスに振り、シャッター速度が速い暗めの映像を撮影する。ソフトウェアはここから鮮明さを得る。次に適正EV値で3枚撮影し、最後にシャッター速度を遅くしEV値をプラスにしたショットを撮影する。これらの映像を合成して2枚の画像を得る。

ここで生成された1200万画素の写真2枚をさらに2400万画素の写真1枚に合成する。最後の合成を行う際には4つの独立のニューラルネットワークが用いられ、iPhoneの撮像素子のノイズ特性や撮影対象が何であるかが考慮される。

合成処理はピクセル単位で実行される。機械学習モデルが撮影された画像の「空間周波数」を含めた情報を把握して最良の画質を得るための合成方法を決める。空などは全体が比較的単調で繰り返しが多いが、画像周波数は高い。人間の皮膚は画像周波数は中位、衣服や植生は画像周波数が高いが、どちらも複雑な画像だ。

Deep Fusinシステムはこうした画像各部の特質を把握して全体の構成を決定し、最良の結果が得られるようピクセルを選ぶ。

Appleによれば、こうした処理によって皮膚の質感や衣服のディテール、動く対象のエッジの鮮明さなどが改善されるという。

現在のベータ版では、Deep Fusionのオン、オフを切り替える方法はないが、超広角はDeep Fusionをサポートしていないため、これを利用してDeep Fusionの「あり」と「なし」を比較するテクニックがあるもようだ。

Deep Fusionは実行に1秒程度必要とする。ユーザーが撮影後すぐにタップしてプレビューを見ようとした場合、画像が現れるのを0.5秒ほど待つ場合があるかもしれない。しかしこの程度であればほとんどのユーザーはバックグラウンドでDeep Fusion処理が行われていることに気づかないだろう。

まずは実際に使ってみたいところだ。我々はDeep Fusionが利用できるようになり次第テストを行い、結果を報告するつもりだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがSonosを買収するなら今がそのとき

スマートスピーカー分野ではこのところニュースが相次いだ。Amazon(アマゾン)は今週、Echo最新バージョンやプレミアムサウンドの新Echo Studioを含む、いくつもの製品を発表した。Sonos(ソノス)もまた、Bluetoothをサポートする同社初のポータブルスピーカーSonos Moveを発売し、8月にはIkeaとのコラボ製品もリリースされた。一方でApple(アップル)は直近のプロダクト発表会でHomePodには一切触れなかった。これは、Appleがこの分野についてよく知っている企業を買収するつもりであることを明示する「発表なし」だ。その買収対象となる企業はSonosだろう。

両社はかなりしっくりくる

部外者の見方として、プロダクトデザインやビジネスモデルにおいてSonosとAppleほどしっくりとくる2社はないだろう。両社とも明らかにプレミアムなハードウェア製品の展開にフォーカスしていて(価格面では大体において消費市場のハイエンドだ)、ハードウェア製品の魅力を増大させ、また補うためにサービスを充実させている。たとえAppleが急成長中のサービス事業との混合にシフトさせつつあるにしてもだ。

AppleのようにSonosも明らかに工業デザインにかなりフォーカスし、それなりに大きな投資もしてきた。そして真に特徴のあるプロダクトの外観にかなり注力し、他社の製品と差別化を図ってきた。大半の製品が黒か白で統一されてきたのもまったくAppleのようだ。Appleは少なくともiPhoneを含む人気のデバイスにおいて、多色展開する前は黒と白のプロダクトを提供してきた。

テクニカルの面では、AppleとSonosは協業に熱心なようだ。コラボの結果は、どちらのエコシステムも使う消費者にとって素晴らしいものだった。AirPlay 2のサポートはモダンなSonosハードウェアすべてにおいて事実上スタンダードだ。さまざまな要素や価格設定において幅広い選択肢があるお陰で、AirPlay 2ベースのマルチフォームオーディオを探している人にとってはすでにSonosは必然的にデフォルトの選択肢となっている。Sonos とAppleはまた、SonosのコントローラーアプリでApple Musicを提供している。そして今やApple Musicを流すのにAlexa経由の音声コントロールを使うこともできる。

競合する動き

これまでは現実味がなかった「Apple傘下のSonos」となったときの大きな問題は、少なくともスピーカーメーカーSonosの観点からすればだが、すべてのメジャーなストリーミングサービスプロバイダーやバーチャルアシスタントで素敵な音楽をかけるプラットフォームであるというメリットを失ってしまうことだ。例えば、最近のSonosスピーカーはAmazon AlexaとGoogleアシスタントのサポートどちらも提供していて、Sonosのソフトウェアは事実上、利用できるあらゆるメジャーな音楽とオーディオのストリーミングサービスに対応している。

変わったことといえば、今週のAmazonの多くの発表にあるように、Amazonのような競合相手がSonosの領域のビジネスを展開したがっているということだ。AmazonのEcho Studioは、Sonosと直接競合する新しいプレミアムスピーカーだ。これまでのEchoはそうではなかった。そしてAmazonは常により良いサウンドでリーズナブルプライスのEchoを展開してきた。Amazonはまた、機能が充実したマルチルームオーディオ機能を展開している。ここには、ホームシアター使用向けのワイヤレスサラウンドのサポートも含まれている。

さしあたっては、SonosとAmazonは「frenemy」(フレネミー、ライバルであると同時に友であるの意)のようだが、スピーカーハードウェアカテゴリーにおいてはAmazonはだんだんハイエンド部門に侵食しつつあるようだ。AmazonはAlexaを最大限活用するためにできることは何でもするだろう。それは自前のデバイス、サードパーティのデバイスどちらにおいてもだ。しかしAmazonはまた自前のデバイスラインアップを強化して拡大する意思もあるようだ。

GoogleやAppleを含め、他の競合相手は直接Sonosと競うラインアップで成功しているとは言い難い。しかしSonosは、オーディオ業界で信念を持っている企業から永遠に挑戦を受け続けるだろう。また、Anker(アンカー)のようなオーディオに関して野心を持っていて、コスト面でもアドバンテージを抱える新たなデバイスメーカーと競争を展開することもあり得る。

足りないものとなすべきこと

もちろん、AppleのSonos買収では、消費者離れを起こさないために大きな課題や今後注意すべきこともある。Sonosはかなりうまくやっている。というのも、サービスに依存していないからだ。例えば、最近展開しているプロダクトで鍵を握っているのは、人々が実際に最も使いたいと思っているスマートホームアシスタントの搭載のようだ。これは主にAlexaとGoogleアシスタントになる。

Apple傘下となれば、Apple Musicが唯一提供されるストリーミングとはならないにしても、少なくともApple Musicが優遇されるというのはあり得る話だ。おそらくSiriが利用できる唯一のヴァーチャル音声サービスとしてAlexaやGoogleアシスタントに取って代わる。そしてもし本当に買収したら、Appleが競合するサービスのサポートを継続するのはほぼ考えられない。

つまり、AppleとSonosの顧客はすでにかなりオーバーラップしていて、サービスでいくらかの柔軟性がある、という前提である限り(iOS上にSpotifyのようなストリーミング競争相手がいるように)、Siriのみを提供することはさほど大きな問題にはならないだろう。また、買収によりHomePodが確立できていない、家庭での足がかりをSiriが得ることになるかもしれない。Appleは、一般的な家庭でのアシスタントとしてSiriのパフォーマンスをさらに改善しようと駆り立てられることになりそうだ。これは最終的にはAppleエコシステムを利用している客にとっていいことだ。

他の買収例

Appleの大型の買収というのはさほどあるわけではない。しかし買収するときには通常、明らかにコアビジネスに近い会社が対象となる。Sonosの買収は、たとえ既存プロダクトの提供とストリーミングサービス立ち上げのための基礎固めという強固なモチベーションがなくても、Appleが2014年に買収したBeatsを思い起こさせる。

しかしながら、Sonosが進めてきたことは、ハードウェアを売るために素晴らしいサービスを活用するというAppleが取ってきたモデルの逆を行く。Sonosエコシステムは素晴らしく使いやすい。そしてAppleの音楽とビデオ(そして新たに加わるゲームサブスクリプション)のストリーミングサービスを最大限活用するためのプレミアムな手段となる。こうした要素は、AppleがiPhone頼みだった事業を変えていくのに、かつてなく重要なものとなっている。

AppleのSonos買収が理にかなっていると指摘するのは私が初めてではない。実際、J.P.モルガンのアナリストであるSamik Chatterjee(サミック・チャタジー)氏も今年初めに提案している。しかし私が思うに、買収のタイミング、そして両社にとっての動機付けも今がベストだろう。

情報公開:私は2015年から2016年にかけてのわずかな期間、Appleのコミュニケーション部門で働いた。しかし上記の分析記事はすべてオープンになっている情報に基づくものだ。また、Apple、Sonosどちらの株式も私は保有していない。

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルがサードパーティー製キーボードがフルアクセスを得るバグについて警告

Apple(アップル)はサードパーティー製のキーボードに関する iOS のバグについて、ユーザーに警告している。

アップルが米国時間9月24日に公開した短い文書では、このバグはフルアクセスの許可を要求できるサードパーティ製キーボードに影響すると明かした。

サードパーティ製キーボードはスタンドアロンで動作することも、あるいはフルアクセスにより他のアプリケーションと通信したり、スペルチェックなどの追加機能のためにインターネットにアクセスしたりすることもできる。一方で、フルアクセスでは開発者がキーストロークやユーザーが入力した電子メール、メッセージ、パスワードなどのデータを自分のサーバーに取り込むこともできる。

そして今回のバグにより、たとえ承認されていなくてもサードパーティ製キーボードがフルアクセスを取得する可能性がある。

アップルはこの問題について、これ以上は明かしていない。また、スポークスパーソンは追加のコメントを控えている。なお警告によると、このバグはiOSの内蔵キーボードには影響しないという。このバグは、今後のソフトウェアアップデートで修正される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ニューヨーク五番街のアップルの最新ストア内部の詳細を17枚の写真で

2年間にもおよぶリノベーション作業を終えて、巨大なガラスのキューブから覆いが取り払われた。米国時間9月20日、Apple(アップル)のニューヨーク五番街の旗艦店が一般公開されたのだ。この開店は、AppleのiPhoneやApple Watchの新モデルの発売と時機を合わせたものとなった。そうした最新の製品に、それにふさわしい壮大なお披露目の機会が与えられたわけだ。

その開店の前日の朝、Appleは選抜したメディアに対して内覧会を開催した。もちろんTechCrunchも選ばれている。その間も、何人かの人が、歩道から中をのぞき込んでいたので、スタッフはカーテンを閉めなければならなかった。キューブそのものは、それほど大きくは変わっていない。ただし、新たな輝きを帯びている。残念ながら、キューブ全体を覆っていたカラフルなラップは、一時的なものだったことが判明した。

ところで、できてから十数年にわたって、ニューヨーク市のランドマークともなっていたものを、なぜ作り直す必要があったのか? このストアは、市内でも最も交通量の多い交差点の1つ、セントラルパークの南東の角、プラザホテルの真向かいに位置している。どうでもいいかもしれないが、例の大統領のタワーから2ブロックほど北だ。数年前までは、あの有名な玩具店、FAOシュワルツと同じブロックを分け合っていた。

しかし今では、Appleが完全にこの空間を占領している。キューブを取り巻く広場は大きく変更され、太陽光と50万個ものLEDの組み合わせを活用する新しい照明システムの採用を可能にした。詳しくは、こちらの記事を参照していただきたい。

地下は、ストアが広場のすべての領域を専有している。面積が増えたことで、ストアの一辺を占めるジーニアスバーも、必然的に大きくなった。HomePodの視聴エリアは、かつての高級ステレオショップのガラス張りの試聴室を思い起こさせる。

いちばん驚いたのは、かつてのストアのシンボル的な存在だったガラスの螺旋階段が、もはや純粋なガラス製ではないということ。今や、個々のステップには、ステンレス製のカバーが付けられている。おそらく安全上の理由だろう。今朝、いっしょにストアを訪れた人は、以前最初にこのストアに来たとき、階段を降りていて、うっかり足を取られそうになったと言っていた。全部ガラス製というのは、見栄えは良くても、雨が降るたびに惨事が発生するのをただ待っているのようなものだったのかもしれない。

期待どおり、この照明システムは大きな効果を発揮している。くもりガラスの舷窓のような丸い窓から陽の光が差し込み、その回りをLEDの照明リングが取り囲んでいる。これはなかなか見応えのある組み合わせだ。下の写真の反射で、それがよく分かるだろう。

太陽光は、ストアの東側と西側、2列に分かれた8本の大きな木と、東側に伸びる生きた緑の壁にも降り注ぐ。この緑の壁の近くには、なぜかAirdPodsがある。ここは、日の出と日の入りの際には、赤味がかった光に包まれ、もっともすばらし景色となる。

新しいストアは、9月20日金曜日の午前8時、一般向けに開店した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新型Mac Proは米国で製造するとアップルが発表

数カ月の憶測の後、Apple(アップル)は米国時間9月24日、米国でMac Proの最新版を製造することを認めた。この動きは、ハイエンドのプロ向けデスクトップ製品の以前のモデルと一致している。The Wall Street Journalは6月、アップルが長く待たれていたデスクトップ製品を上海郊外の工場で製造すると報じていた。

アップルは当時この報道を否定せず、「他のすべての製品と同様、新しいMac Proも米国カリフォルニア州でデザイン/設計され、米国を含む数カ国のコンポーネントが含まれる」と述べていた。

しかしアップルは今週、アリゾナ州やメイン州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、オレゴン州、ペンシルベニア州、テキサス州、バーモント州などの製造業者を利用し、テキサス州オースティンに製造拠点を戻すと発表した。サプライヤーにはIntersil(インターシル)とON Semiconductor(オン・セミコンダクター)が含まれる。

「Mac Proはアップル史上で最もパワフルなコンピューターであり、オースティンで製造されることを誇りに思う。我々は、この機会を可能にした政府の支援に感謝する」と、Tim Cook(ティム・クック)氏はプレスリリースで述べた。「我々は米国のイノベーションの力を信じている。そのため、すべてのアップル製品は米国でデザイン/設計され、36州からの部品で製造され、米国のサプライヤーとの45万人の雇用をサポートしている」。

この動きは、2023年までに3500億ドル(約38兆円)を米国に投資するというアップルの取り組みと一致する。同社が中国での製造にシフトするという初期の報道は、一連のツイートでクック氏とアップルを名指しで非難していたトランプ大統領にとっての大きな障害だった。

「アップルは、中国で製造されたMac Proの部品に対する関税を猶予、あるいは免除されることはない」とトランプ大統領は7月にツイートした。「米国で製造すれば、関税なしだ!」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iOS 13へのアップデートにあたって知っておきたいセキュリティとプライバシーの新機能

ようやくiOS 13が正式にリリースされた

Apple(アップル)の新しいiOS 13は、人気の高いiPhone用OSの13番目のメジャーリリースであり、すでにダウンロード可能となっている。ここでは、新しいセキュリティ機能とプライバシー機能に焦点を当ててiOS 13を試し、どこが新しいのか、それらはどう動くのかを検証した。

知っておくべきことは以下のとおりだ。

ユーザーの位置を追跡するアプリについては通知が表示される

どのアプリが自分の位置を追跡しているのだろう、と疑問に思ったことはないだろうか? もう、そのような疑問を抱く必要はない。iOS 13は、バックグラウンドで現在地を追跡しているアプリについて、定期的に通知する。その通知は、最近どのアプリが、何回、ユーザーの位置を確認したかを、折に触れて知らせてくれる。その際には、確認された位置を示す地図も表示される。通知のダイアログに配置されたボタンによって、そのアプリがユーザーの位置を追跡することを「常に許可」したり、追跡を制限することもできる。

アプリによる現在位置の確認を1回だけ許可できる

どのデータへのアクセスを許可するか、ということをより細かく設定できるようにする機能として、iOS 13は、アプリに位置情報へのアクセスを1回だけ許可することができるようになった。以前は、「常に許可」、「許可しない」、「使用中のみ」というオプションがあった。これでは、許可しない以外の選択では、アプリを使用中には必ずリアルタイムの位置情報収集を許可することになってしまう。それが、アプリが実際に位置情報を使用しようとするたびに、ユーザーがアクセスを許可できるようになった。プライバシーが気になる人には嬉しい機能だ。

Bluetoothにアクセスしようとするアプリを拒否できる

Bluetoothにアクセスしようとするアプリも、ユーザーの同意を求めるようになった。アプリはBluetoothを使用して、フィットネスバンドやスマートウォッチなどのガジェットに接続することができる。しかしその状態では、ビーコンと呼ばれるBluetooth対応の追跡デバイスを利用した位置の追跡が可能となっている。そうしたビーコンは、普通の店舗からショッピングモールまで、いたるところに置かれている。それにより、ユーザーのデバイス固有のBluetooth識別子を取得し、ユーザーの物理的な位置の移動情報をつかむことができる。そうして、ユーザーがどこに行って何をしたかを、だいたい把握できる。これはたいていターゲティング広告に使われる。明らかにその必要がないと思われるアプリのBluetooth接続を拒否することは、プライバシーの保護に有効だ。

「探す」アプリが統合され、オフライン追跡が可能に

これまでの「iPhoneを探す」と「友達を探す」が、1つの「探す」アプリに統合され、オフライン追跡も可能となった。これまでは、たとえばMacBookをなくした場合、そのデバイスが最後にWi-Fi接続した場所を頼りに探すことしかできなかった。これからは、行方不明になったデバイスはBluetoothを使って固有の識別子を発信する。その近くにあるiPhoneや他のApple製品は、携帯電話の電波を使ってAppleのサーバーに、そのデバイスの位置情報を安全にアップロードする。その位置データは暗号化され、匿名化されているので、行方不明になったデバイスの所有者以外には、Appleも含めて、位置情報が知らされることはない。

アプリは連絡先に含まれるメモを盗み見できなくなった

Appleは「連絡先」についても、アクセスの制限を厳しくした。これまでも、連絡先にアクセスしようとするアプリは、その前にユーザーの許可を求めてきた。しかしいったん許可されたアプリは、連絡先の項目の中に書いた個人的なメモにもアクセスすることができていた。もしそこに、自宅のアラームコードや、テレフォンバンキングの暗証番号などが書いてあったら、それも読まれてしまうのだ。今後は、連絡先へのアクセスを許可されたアプリも、個々の項目の「メモ」の内容を見ることができなくなった。

「Appleでサインイン」すると、リレー専用メールアドレスが使える

これは、iOS 13で使えるようになった新機能の中でも特にすごいと思えるもの。Appleの新しいサインイン機能を使えば、ユーザーはアプリやサービスに1タップでサインインすることができる。その際、機密やプライバシーに関わる情報を引き渡してしまう心配はない。どんなものにせよ、サインインを必要とするアプリは、必ず「Appleでサインイン」のオプションを有効にしなければならない。その際ユーザーは、自分の本物の電子メールアドレスをアプリの会社に伝えるか、個人に割り振られた「リレー」電子メールアドレスを代わりに伝えるかを選択できる。後者の場合、ユーザーの本物のアドレスを隠すことができ、アプリはAppleが個別に生成したアドレスしか知ることができない。Apple自体は、ユーザーのデータを収集しないとしているので、これはかなりプライバシーを重視した方策となるだろう。この機能は、AndroidデバイスやWebサイトを含む、あらゆるデバイスでも使える。

未知の発信者からの電話の呼出音は鳴らさない

迷惑通話を撲滅するのに有効な手段も提供される。iOS 13では、未知の発信者からの電話は自動的に留守電状態にすることができる。連絡先のリストに含まれていない人は、不明な発信者と見なされる。

写真から位置情報のメタデータを取り除くことができる

iPhoneは、写真を撮るたびに、撮影された場所の正確な位置情報を写真ファイルのメタデータとして保存する。しかしその情報から、ユーザーの自宅や勤務先など、機密性が求められる個人の位置情報が明らかになってしまう場合もある。通常、iPhoneで撮影した写真をSNSやその他のサービスで共有する場合、いちいち位置情報のメタデータを削除したりはしない、という人が多いだろう。これからは、それも簡単にできる。数回のタップで、位置情報のデータを削除してから写真を共有できるようになる。

Safariも優れたアンチトラッキング機能を装備した

Appleは、クロスサイトトラッキングや、ブラウザのフィンガープリンティング防止機能など、新しいトラッキング防止技術を、純正のSafariブラウザ上で進化させ続けている。これらの機能により、広告がウェブサイトをまたいでユーザーを追跡することは、これまでよりはるかに難しくなった。またiOS 13では、クロスサイトトラッキング防止技術が、デフォルトで有効に設定されているため、ユーザーは使い始めたときから直ちに保護される。

この記事は、7月19日に掲載したものをベースに、iOS 13のリリースを受けて更新した。

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画像クレジット:Apple/YouTube

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOS 13を早速使ってみた、ダークモードやBTスキャニングオフなど多数の新機能

Apple(アップル)は、iOSの主要アップデートiOS 13を公開した。これはiPhoneの使い方が変わるような大改革ではない。しかし、Appleは多大な努力を払ってさまざまな細部にわたる機能を改善した。

多くの面でiOS 13は「生活の質」アップデートだと私は感じている。デベロッパー用語で「生活の質」アップデートとは、すでに動いている機能に磨きをかけることを言う。何かを1秒早くしたり、今より簡単にできるようにすることだ。

これからその細かい改善について詳しく書いていくが、まず、中でも重要だと思われる2つに焦点を絞る。ダークモード、そしてプライバシーに対するAppleの取り組みだ。

ダークモードがやってきた

ある時から、スマートフォンメーカーは大画面のスマホを作り始めた。そして、夜目がくらまないためにはダークモードが必須となった。少々時間はかかったが素晴らしい出来栄えだ。

iOS 13のダークモードはシステム全体に適用される。「設定」アプリに行くか、コントロールセンターを開いて明るさ調節アイコンを長押しすれば有効にできる。これでiPhoneのルック&フィールは一変する。

一部のサードパーティーはすでにアップデートされているが、多くのデベロッパーはこの新しい設定に対応するためのアップデートを提供する必要がある。願わくば6カ月以内には、ダークモードをオンにしてアプリからアプリに移動しても、白い画面を見なくても済むようになるだろう。

設定で「自動」モードにしておくのがお勧めだ。現在地と時刻を使って日の入りと日の出にあわせてシステムが変えてくれる。あなたのiPhoneは夜になると暗くなり、朝になると明るくなる。

ダークモードで変わるのはアプリだけではない。ウィジェット、通知、その他のユーザーインターフェースのボタンも暗くなる。Appleは純粋な黒を使用しており、OLEDディスプレイで素晴らしく見える。カスタム壁紙を夜暗くすることもできる。

プライバシー

この夏に多くのギークたちがiOSを試した。しかし、この秋に何千万人もの人たちがダウンロードするのはまったく別の話だ。iOS 13には待望されていたプライバシー関連の変更が加えられたため、一部のデベロッパーにとっては厄介なことになりそうだ。

Appleはユーザーが個人情報をコントロールする方法を追加した。アプリが何らかの理由で位置情報を必要としたとき、ユーザーは位置情報を一度だけアクセスさせることができる。次回はまた許可を得る必要がある。

同じように、iOS 13はアプリがこっそりとユーザーの位置を追跡しようとした時、そのことをユーザーに教えられるようになった。

まるでデベロッパーを辱めるかのように、Appleは「このアプリは過去2日間にバックグラウンドで40カ所の位置情報を利用しました」と言って地図を表示する。そのポップアップから位置情報アクセスを無効にすることができる。Facebookはすでにうろたえて、先週ブログ記事でユーザーのプライバシーを尊重していることを伝えようとした。

関連記事:iOS 13: Here are the new security and privacy features you need to know

さらにiOS 13は、全アプリでBluetoothのスキャニングをデフォルトで無効にした。多くのアプリが近くのBluetoothアクセサリーを検索し、世界中のBluetoothデバイスのデータベースと比較している。言い換えればそれは、ユーザーから位置情報の利用を許可されていないアプリが位置を知るための方法だ。

これからは本当にBluetoothデバイスを探す必要のあるアプリのために標準の許可ポップアップが表示される。デバイスとつながるため、あるいは近くのユーザーとの個人間支払いを行うためにBluetoothを必要とするアプリもある。

しかし、その他ほとんどのアプリはBluetoothスキャニングを乱用している。念の為に書いておくと、Bluetoothスキャニングを禁止しても、Bluetoothヘッドホンは使える。オーディオは今までどおりちゃんとヘッドホンに送られる。

アプリ開発者においては、今使っているサードパーティー製SDKを見直してほしい。多くの広告支援型アプリはアドテク会社のコードを埋め込んでいる。しかし、そのSDKがユーザーのプライバシーを脅かすことは必ずしも明記されていない。

そしてAppleはついに「Appleでサインイン」(Sign in with Apple)を導入した。これは「Googleでサインイン」や「Facebookでサインイン」に代わるものだ。ユーザーは、メールアドレスをシェアしたり、デベロッパーがちょっとした個人情報を取得できるかどうかを決められる。これが普及するかどうか、興味深い。

関連記事:今すぐ知りたい「Sign in with Apple」の15の疑問にお答えします

基本機能の改善

オペレーティングシステムレベルでいくつか変更があった。まず、アニメーションが最適化され、わずかにスピードが速くなった。スワイプ、アプリの開始と終了が早く感じる。

次に、(英語)キーボードで「なぞり入力」が可能になった。Android端末やサードパーティー製キーボードを使ったことのある人なら、どうやって使うかはわかるだろう。文字から文字へ指を離さずになぞって入力できる。まるで魔法のようだ

そして、写真やリンクをシェアする画面が改定された。3つの部分に分かれていて、一番上の行には、写真などを送る相手の候補が重要度に応じて表示される。

その下には別のアプリを使って開くためのアプリのアイコンが並んでいる。

さらにスクロールするとアプリごとに異なるさまざまなアクションのリストがある。

自動化に関しては、iOS 13ではショートカットアプリが標準装備になった。多くのユーザーはアプリを開いて初めてショートカットを見ることになるだろう。音声起動のSiriショートカットもショートカットアプリから利用できる。

ショートカットの起動も自動化できるようになったのは興味深い。たとえば、CarPlayや位置情報、さらには小さなNFCタグに関するシナリオも作ることができる。

  • iPhoneをCarPlayに接続したり、Bluetoothを使って車に接続した時、ミュージックのプレイリストを開く。
  • 機内モードをオンにした時、画面を暗くして低電力モードに切り替える。
  • ナイトスタンドのNFCステッカーの上にiPhoneを置いたら、フィリップスのHueライトを消す。

アプリの新機能

Apple製アプリの大きな変更をいくつか紹介する。

「Apple Arcade」がやってきた。使うためにはiOS 13にアップデートする必要がある。ファーストインプレッションは別の記事で読むことができる。

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「写真」アプリが最も大きく変わったかもしれない。メインタブのデザインが全面変更された。4つのサブタブからさまざまなビューでフォトライブラリーを見られる。

「すべての写真」に加えて「年別」をタップして年を指定したり、「月別」で日付ごとにまとめたスマートアルバムを見たりできる。そこでイベントを開くと「日付」タブに移ってベストショットが表示される。

(月別表示で月別にまとめてではなく日付ごとに並ぶなど)ボタンの名称には少々疑問があるが、数年前の写真を見つけるのに便利なことは間違いない。写真編集が大きく改善された。サードパーティーアプリで行っていたような基本的な編集はだいたいできそうだ。

「マップ」は興味深いアプリになった。Appleは地図データの改善に努めてきたが、カリフォルニア州に住んでいる人以外は気づきにくい。しかしGoogleストリートビューによく似たLook Aroundはかなり魅力的だ。これは単なる360度写真ではなく、前景と背景かからなる街路の3D表現になっている。サンフランシスコの地図を見てLook Aroundを試してみることをお勧めする。

「メッセージ」アプリはWhatsAppに似てきた。プロフィール名と写真を選んで友達や家族とシェアできる、という意味だ。AppleばMemoji「ミー文字」を使えと言っているが、好きな写真を選ぶことができる。メッセージの検索機能もずっと良くなった。

「ヘルスケア」アプリは少しデザインが変わった。しかし、最大の機能追加は同アプリ内で月経周期を追跡できるようになったことだ。サードパーティーアプリをインストールする必要はない。


「リマインダー」アプリにもいくつか新機能が入った。クイックツールバーから時刻、日付、位置を追加できる。項目のインデント、スマートリストの作成なども可能になった。To Doアプリは好みの違いが大きいが気にいる人もいると思う。

「探す」(Find My)は「iPhoneを探す」と「友達を探す」の各アプリが統合された新しい名前だ。もうすぐAppleがTile風の忘れ物防止タグを発表したら、いろんなものを探せるようになるかもしれない。

「メール」「メモ」「Safari」などのアプリも少し改善された。メールのリッチテキスト編集、メモのギャラリービュー、Safariでデスクトップサイトの表示やコンテンツブロッカーの無効化、リーダービューへの切り替えなどを行うサイト設定ポップアップなどが加わっている。

「ファイル」アプリがSambaファイルサーバーにも使えるようになり、
ファイルのZIP/UNZIPがアプリで直接できるようになりショートカットは必要ない。カスタムフォントのインストールもできるようになった。

ご覧のとおり、iOS 13には全般にわたって大きな変更小さな改善がたくさんある。たしかに少々バグがある印象もある。しかしこれは意欲的なアップデートであり、AppleはiOSリリースのペースを遅くするつもりはないとみんなに言っている。そしてAppleはプライバシー面でいい進展を見せている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

待望の常時表示ディスプレイを備えたApple Watch Series 5、Series 4からの買い替えは微妙か

Apple(アップル)も、このところiPhoneの販売台数には陰りが見られるものの、スマートウォッチに関しては、市場を完全に支配していると言ってもいい状態を維持している。Counterpointによる最近の数字では、Apple Watchの第1四半期の成長率は前年比で48%となり、全世界のスマートウォッチ市場全体の3分の1以上を押さえている。それに対して、Samsung(サムスン)の多様なモデルは、合計してもシェアは11%程度で、遠く離れた2位に位置している。

こうした数字は、アップルがここで何か正しいことをしていることを表している。そして、Fitbit(フィットビット)やFossil(フォッシル)のような競合他社が、スマートウォッチの分野で追いつくためには、まだまだやるべきことが多いということだ。アップルが、最初からかなりうまくやってきたことを考えると、このApple Watchの最新モデルが、すでにあるものを新たに作り直すのではなく、細かな改良に注力したものであるのも納得できるはずだ。

新世代のiPhoneシリーズと同時に発表されたApple Watch Series 5には、以前のアップデートで導入されたLTEやECG(心電図)モニターといった、目立ったハードウェア機能は追加されていない。確かに、常時表示ディスプレイとコンパス機能は新しい。しかし、いずれもスマートウォッチの機能として長年待たされたあげくにようやく実現したことを讃えるようなものではない。しかし全体的に見れば、こうした新機能も、世の中のスマートウォッチの序列の中で、このApple Watchの位置を最上位に保つ役には立っている。

Apple Watchの見た目は、これまでの世代のものと大きくは変わらない。画面サイズについては、すでに前作のSeries 4から大きくなっていて、今回は変更されていない。ただし、ディスプレイが常時表示となったのは、このデバイスの長年の欠点にようやく対処したことになるだろう。これまでのApple Watchは、使っていないときには画面が真っ黒になっていた。これは、ずっと放置されてきた欠陥のようにも思えるが、それも止むなしと思わせるものでもあった。というのも、このサイズの製品では、バッテリー寿命が常に大きな課題だからだ。画面を常に表示し続けていれば、1日も保たずにエネルギーが枯渇することは目に見えていた。

アップルは、この常時表示が可能となったApple Watchのバッテリー寿命については、やや妥協したのか、前任機と同じ18時間というスペック上の持続時間を実現している。もちろん、今後のアップデートでバッテリー寿命が延長されれば、かなり歓迎されることは間違いない。私の通常の使い方では、実際に問題なく1日を乗り切ることができる。私自身は、充電せずに20時間近く保たせることができているが、それでも、このデバイスは毎日充電しなければならないことに違いはない。もし充電を忘れると、翌日には必ず途中で干上がってしまうことになる。

以前から待ち望まれていた睡眠追跡機能は、このモデルでは見送られた。そこは、アップルが競合から遅れを取っている数少ない部分の1つだ。もちろん、そうした機能を実現するには、現状のような1回の充電で18時間保つバッテリーよりも、ずっと強力なものが必要となるだろう。

関連記事:watchOS 6はiPhoneからの独立に焦点

アップルは、常時表示機能がバッテリー寿命に大きなインパクトを与えないようにするため、いくつかの巧妙な手法を採用している。まず、それぞれの文字盤のデザインには、低消費電力の常時表示版が追加された。私が試してみたのは、watchOS 6から使えるようになったMeridianで、黒い背景に白い文字のもの。これを自分の顔に向けると、色が反転する。このアクティブなバージョンは見やすいが、常時表示バージョンは消費電力を少なくすることを重視したものだろう。

また、Apple Watchが採用するLTPO(低温ポリシリコン酸化物)ディスプレイは、使用状況によってリフレッシュレートを調整している。その範囲は広く、最高は60Hz、最小はわずか1Hzとなる。さらに、環境光センサーが明るさを自動調整することで消費電力を節約する。時計を手で覆って見ると、すぐに低消費電力モードに入るのがわかる。

コンプリケーションや、その類のものを表示する機能は残っているが、以前よりシンプルなものになっていて、電力消費の大きな機能は削除されている。たとえば、標準の文字盤からは秒針が消えた。またワークアウトモードでは、文字盤をユーザーの顔の方に向けるまで、ミリ秒の表示も消えたままとなる。

環境光センサーによって、ディスプレイを暗くする機能もある。例えば、映画館で映画を観ているときなど常時表示の画面の明るさでも、まったくの迷惑になるような場合だ。それでも十分に暗くはなるが、そうした場合にはシアターモードに設定するほうがいいだろう。手首を動かしたりしても、デジタルクラウンを押すまでは、決して画面を表示しないようになる。

ハードウェアとしての、もう1つの大きなアップデートはコンパスを内蔵したこと。以前に追加されたLTEやスピーカーと同じように、これも、スマホの機能をスマートウォッチに持ち込んだものの1つに数えられる。現時点では、この新機能を利用するWatchアプリはほんのひと握りだけ。最もわかりやすい例は、アップル純正の「マップ」アプリだ。コンパスが追加されたことにより、このウェアラブルデバイスによって直接ナビゲートするのが、ずっと簡単になった。

これは実際にかなり便利だ。画面が小さいのは仕方ないが、知らない場所に行ったときにiPhoneを取り出さなくても、これだけで道順がわかるのは素晴らしい。アップル純正のコンパスアプリもある。ハイキングに行く際には便利だ。海抜高度の表示も追加された。この数字は、Wi-Fi、GPS、地図データ、さらに気圧センサーの値から算出している。

この製品が、まだ発売前であることを考えると、この機能を利用するサードパーティ製のアプリの数が、まだかなり限られているのも当然だ。とはいえ、人気の高い星座アプリのNight Skyは、このコンパスを最大限に活用した機能を実現している。腕をあちこちの方向に向けることで、この広大な、そして拡大し続ける宇宙の中で、自分が今どこにいるのかよく理解できるはずだ。

ハードウェアに対するもう1つの大きな追加は緊急SOS機能だ。一般にデバイスの新機能は、いろいろな事情で必ずしもすべて実際に確認できるわけではないが、この機能もその1つ。これについては、アップルの言うことを鵜呑みにするしかない。この機能は、Series 5のセルラーモデルでのみサポートされている。海外に旅行したとき、近くに電話機がなくても、現地の緊急サービスに電話をかけることができる。この機能は、前回のモデルから導入された転倒検出機能とも連動し、着用している人が倒れた際には緊急SOSを送信することができる。

一方、watchOS 6で新たに追加されたソフトウェア機能としては、まず周期追跡アプリがある。これは、月経についての健康状態、兆候、周期などの記録、妊娠可能期間の予測といったことが可能なもの。またノイズアプリは、Apple Watchの内蔵マイクを使って、周囲のノイズレベルが90デシベルを超えているかどうかを追跡する。このレベルの騒音を聴き続けると聴力に障害をきたす危険があるからだ。

Series 5の価格は、標準(GPS)モデルが399ドル(税別4万2800円)から、セルラーモデルが499ドル(税別5万3800円)からとなっている。これが最低価格で、価格はすべてこれ以上となる。例えば、新たに登場した魅力的なチタニウムケースのモデルは799ドル(税別8万2800円)からとなっている。中でも、最も見栄えのするのはおそらくセラミックケースのモデルだが、その1299ドル(税別13万3800円)からという価格は、私たちの大多数にとっては候補から外れてしまう要因となるだろう。安くて見た目の優れた製品など期待できないということだ。Apple Watchには、ケースとバンドの組み合わせが数え切れないほど用意されている。アップルの実店舗に行けば、さまざまな組み合わせを試して確認してから購入できる。あなたの知人が、みんなApple Watchを身に着けていたとしても、あなたのものをちょっとだけ目立たせるための余地は残されているわけだ。

低価格のiPhone 11の導入に加えて、アップルはApple WatchのSeries 3の価格を199ドル(同1万9800円)からに値下げした。初めてこのデバイスを買おうという人でも手を出しやすい価格帯だ。すでにApple Watchを持っているという人にとってSeries 5は、特に昨年のモデルから買い換えようというほどの十分な動機は感じにくいかもしれない。とはいえ、常時表示ディスプレイなどの新機能は新しいシリーズならではの特徴として十分魅力的なものだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルが精密ガラスメーカーのコーニングに約270億円を出資

Apple(アップル)はAdvanced Manufacturing Fundの一環として、iPhoneやApple Watch、iPad用ガラスのサプライヤーであるCorning(コーニング)に2億5000万ドル(約270億円)を投資した。なお以前にも、Appleは2017年5月に2億ドル(約220億円)を投資している。

Appleによると、今回の投資は精密ガラスの製造プロセスの研究開発を支援するためだとしている。Corningは全世代のiPhoneと iPadにガラスを供給しており、AppleによればiPhone 11とiPhone 11 Proのガラスは以前よりも硬度が増しているという。また、ワイヤレス充電機能を利用するため、デバイスの背面もガラスが使用されている。

以前Appleは、Corningが2018年に米国のサプライヤーとなる9000社に600億ドル(約6兆5000億円)を支払い、45万人の雇用を生み出したと発表している。

今日の投資は、米国を拠点とする企業が新しい設備を建設し、製造業者を助けるために、Advanced Manufacturing Fundとして数十億ドルを投資するという公約の一部である。Appleはもともと10億ドル(約1100億円)の投資を計画していたが、初期資金をすべて投入している。

同社はこれまでに50億ドル(約5400億円)のファンドから10億ドルを投資している。例えば、TrueDepthカメラを製造するFinsarに3億9000万ドル(約420億円)、アルミニウムメーカーのElysisに1000万ドル(約11億円)を投資している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Apple Arcadeが9月20日のリリースを待たず、iOS 13プレビューでプレイ可能に

Apple(アップル)の新しいゲームサブスクリプションサービスであるApple Arcadeは世界で今週(日本では9月19日)リリースされるが、MacRumorsが発見したところによれば、iOS 13ないし13.1のプレビュー版をインストールしているユーザーはすでに利用を開始できるという。

Apple Arcadeの作動にはiOS 13、tvOS 13、macOS Catalinaがインストールされていることが必要だ。つまりデバイスに新しいOSをインストールするまでArcadeの体験はおあずけだった。iOS
13安定版が正式に配信されるのは今週木曜の9月19日の予定だ(日本のAppleサイトによれば9月20日に登場)。

広告が表示されないゲームプラットフォームを準備中だということは、今年始めにAppleがからアナウンスされていた。このサービスでプレイできるゲームには広告が出ないだけでなく、アプリ内課金もない。

つまりユーザーは4.99ドル(日本では600円)の月額サブスクリプション料金の負担だけで好きなだけゲームをダウンロードできる。同一のサブスクリプション契約で家族6人までがプレイ可能で、最初の1カ月はトライアル期間とjなって無料だ。

現在すでに53タイトルのゲームが登録されているが、Appleによればこの秋のうちに100タイトルになるという。

Apple Arcade 1

それぞれのゲームはApp Storeのページを持ち、トレーラー、スクリーンショット、年齢制限、カテゴリー、プレイヤー数などが表示される。

App Storeでこうしたゲームのページを見つけたがArcadeのサブスクリプションを申し込んでいない場合、「無料でApple Arcadeのトライアルを開始できる」というボタンが表示される。またアプリ名上部には「Apple Arcade」と表示される。

Apple Arcade 2

【Japan編集部追記】 日本のAppleのプレスリリースによればArcadeはiPadOS、tvOSでは9月30日、macOSでは10月以降。なおiOS 13の場合、9月19日から利用可能とある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルはApp Storeのサブスク期限切れに「猶予期間」を導入

Apple(アップル)は、App Storeでのサブスクリプションの仕組みを変更しようとしている。これまでは、支払いが滞るとその時点で、ユーザーはアプリの機能のうち、サブスクベースのものを使うことができなくなっていた。そうなると、アプリのデベロッパーにとっては、将来再びそのユーザーにアプリを使ってもらうことができにくくなる。しかしAppleによれば、今後は、デベロッパーはサブスクの自動更新に「猶予期間」を提供するオプションを設定することができるようになる。Appleにとっては、支払いを受け付ける期間を長くすることができ、結局はデベロッパーの利益にもつながるという。

サブスク料金の支払期限切れは、いろいろな理由で起こりうる。たとえばクレジットカードの有効期限切れ、請求先の住所の移動による郵便番号の変更、または会社の支出システムの都合によってコーポレートカードによる支払が停止されたり、銀行によってカードが無効にされたりすることもあるだろう。このようなユーザーの意図に反した支払いの停止は、デベロッパーにとっては収入の損失に直結する。それも、ユーザーがサブスクを止めたいからではなく、単に支払手続き上の問題によってだ。

新たに導入されるGrace Period(猶予期間)は、デベロッパーがアプリを管理するApp Store Connectによって有効に設定できる。これは、標準では有効になっていないので、明示的にオンにする必要がある。まず「マイ App」に移動し、ツールバーの「機能」を選び、左側のコラムから「App 内課金」をクリックする。そこに新たに表示される「Billing Grace Period(請求猶予期間)」のセクションで「Turn On(オンにする)」をクリックすればいい。

もちろんアプリ自体にも、この設定に対応する機能を組み込む必要はあるが、それでユーザーをアプリに繋ぎ止めておくことができるのなら、その程度の労力は惜しむべきではないだろう。

アプリ内サブスクリプションのスタートアップ、RevenueCatのCEO、Jacob Eiting氏によると、こうした機能を実装するのは難しいので、デベロッパーによっては利用を諦める可能性もあるという。

「iOSが猶予期間を設けることは、ユーザーにとっては大きなメリットになりますが、デベロッパーはサーバー側のサポート部分も含めて開発しなければ利用できないので、現実的にはこの機能を有効にするアプリはあまり出てこないかもしれません」と、彼は予想する。また、Google Playが2018年以降、猶予期間をサポートしているので、Appleはそれに追いついたフリをしているだけではないかとも指摘する。

「Googleのものはうまく機能しています。デベロッパーは、そのためにコードを追加する必要はありません」と、Eiting氏は付け加えた。「とはいえ、いつものことですが、AppleがiOSのサブスク機能に力を入れていると分かって嬉しく思います。サブスクは、デベロッパーにとって、アプリを収益化する最良の方法なのです。他の方式と比べても、デベロッパーとユーザーとの関係を最良に保つことが可能な手法でもあるのです」と彼は言う。

Appleのドキュメントによれば、猶予期間が有効になっている場合、6日、または16日後に再び料金の回収を試みるという。その日数は、サブスクの期間が週単位か、月単位以上かによる。その間、ユーザーはアプリの有料コンテンツへのフルアクセスを維持することができる。

その期間内にサブスクリプションが更新された場合には、有料サービスの日数やデベロッパーの収益に影響を与えることはない。

ユーザーが、60日以上経過してから再びサブスクを申し込んだ場合には、有料サービスの日数はリセットされ、デベロッパーは1年間の有料サービス期間が終了するまで、サブスク価格の70%を受け取ることになる。1年が経過してからは、Appleは自らの取り分を減らし、デベロッパーは同85%を確保することができる。

サブスクリプションからの収益は、デベロッパーにとって非常に重要だ。App Store自体も、有料ダウンロードから、反復的に収益が得られるサブスク方式へ、すでにシフトしている。

Sensor Towerのデータによると、先月の売上げが上位100位に入っているiOSアプリの70%は、サブスクベースのものであり、それで収益全体の81%を占めていた。ちなみに、4年前の2015年8月には、上位100位のアプリの42%がサブスクベースで、その収益は全体の54%だった。

デベロッパーにとって、サブスクリプションは、持続可能性の高いビジネスを意味する。またAppleにとっても、サブスクリプションは成長中の「サービス」ビジネスの中の大きな部分を占めている。Apple Storeからの収入ももちろんだが、iCloud、Apple Music、Apple News+、Apple TV+、Apple Payなど、どれもサブスクベースなのだ。

第3四半期には、サービス収益は、前年同期の101.7億ドル(約1兆991億円)から13%増加して114億6000万ドル(約1兆2384億円)となり、Appleの収益全体の5分の1を占めるまでになった。今やAppleでは、自身のサブスクベースのサービスも成長の一途をたどっている。それを考えれば、全体的にサブスクリプションの仕組みを整備しておきたいと思うのも当然だ。それによって、課金に関して起こりがちな問題にも容易に対処できるようになるからだ。

画像クレジット:EMMANUEL DUNAND/AFP/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ディズニーCEOのらボブ・アイガー氏がアップルの取締役会から辞任

今公開されたばかりのSECの提出文書によると、Disney(ディズニー)でCEO を務めるBob Iger(ボブ・アイガー)氏がApple(アップル)の取締役を辞任した。

辞任の理由は明らかでないが、SEC(証券取引委員会)の文書には(2019年9月10日にボブ・アイガーはAppleの取締役会から辞任した」とだけ記載されている。ディズニーとアップルはどちらも11月に自社のビデオストリーミングサービスを立ち上げるから、両者の大きな重複が今後問題になるのかもしれない。そもそもサービスの呼び名が「Disney+」と「Apple TV+」だから、その時点ですでに相当ややこしい。

イーガー氏がAppleの取締役になったのは、2011年の11月だ。

アップルの取締役会のメンバーはこれで以下の7名になる。

  • 【会長】Arthur D.Levinson(Alphabetのバイオテック研究開発企業CalicoのCEO)
  • James A. Bell(Boeingの元CFO)
  • Al Gore
  • Andrea Jung(Grameen AmericaのCEO)
  • Ronald Sugar【Northtrop Grummanの元CEO)
  • Susan L. Wagner(BlackRockの共同創業者)
  • Tim Cook(AppleのCEO)

今両社にコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートする。

画像クレジット:Axelle Bauer-Griffin/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa