2013年Q1、アプリストア総売上22億ドル、ダウンロード134億回、Google、Appleの2社寡占が続く

AppleのApp StoreとAndroid用Google Playは、依然として世界のモバイルアプリをリードしており、BlackBerryとMicrosoftのWindows Phoneは「水をあけられた挑戦者」から抜けられない。今日(米国時間4/8)のCanalysによると、2013年Q1にトップ4アプリストア合計で、134億ダウンロード、有償アプリ、アプリ内購入、および購読で売上22億ドルを記録した。しかし、Googleは世界最大のスマートフォンプラットフォームとして以前からAppleをリードしているにもかかわらず、こと収益化となるとAppleが未だに文句なしのリーダーだ。全ダウンロードの51%(68億回)がGoogle Playだが、AppleのApp Storeは全売上の74%(16億ドル)を占めている。

ダウンロード数に関して、AppleはGoogleにさほど大きく離されてはおらず約40%。BlackBerryとMicrosoftは依然として1桁パーセントに留まっている。Canalysの上級アナリスト、Tim ShepherdがTechCrunchに伝えたところによると、GoogleとAppleの差は、Androidの世界スマートフォン市場での支配状態が続く限り、広がっていくだろうという。

しかし売上でGoogleが追いつくにはまだまだ時間がかかりそうだ。Appleの74%に比べて、Googleは「20%足らず」だと彼は言う。それ以外は1桁だ。

ダウンロード数では前四半期から11%伸びており、売上では約9%増だ。市場別で見ると北米は売上が8%増、ダウンロード6%増、ヨーロッパ西部ではそれぞれ8%、10%の増加だった。

このAppleとGoogleのプラットフォームへの集中は、他社にとって端末でSamsung/AndroidとAppleに立ち向かうのが大変なだけでなく、コンテンツに関しても同じことが言えることを意味している。

これは挑戦者たちにとってあまり良いニュースではない。彼らは自分たちのハードウェアの魅力を高めるために、それぞれのアプリストアに大きく力を注いでいる。例えば、デベロッパーに協力して重要なアプリを比較的小さい市場に投入してもらう、あるいは有名アプリを新しいプラットフォームにもたらすキャンペーンなどだ。(有名なところでは、InstagramをWindows Phoneに載せるようNokiaが取り組んだ)。

それでも、アプリ数の差異はデベロッパーがどのプラットフォームに力を注ぐかの指標の一つだ。AppleとGoogleは50万アプリを大きく越えているが、BlackBerryは10万本前後だ。

このアプリ数の多さが示すもう一つの重要なポイントは、より一般的なウェブ利用と釣り合いを保っていることだ。モバイルウェブがオープンでチャンスが大きいかどうかに関わらず、モバイル端末でアプリが主要なアクセス手段である限り、それがデベロッパーの判断基準になる。タッチスクリーンの世界では最初の入口はアイコンのようであり、ハードウェアをフル活用した体験は、今後も消費者にとって必須だろう。

困難な状況とあまり期待のできない数字をよそに、Canalysは今でもBlackBerryとMicrosoftにはそれぞれ状況を改善するチャンスがあると見ている。

「AppleのApp StoreとGoogle Playは、未だに世界アプリストアの重鎮だ。一方BlackBerry WorldとWindows Phone Storeは、今は大きく離されているものの、やは無視できない存在である」とShepherdは語った。

Canalysは、これらの後発アプリストアが、南アフリカ、ブラジル、インドネシアのように未だ成長の余地のある未成熟市場にどう取り組むかによって、チャンスはあると見ている。

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(翻訳:Nob Takahashi)


文字のパスワードはもう古い。UCバークレー教授が「パス思考」を開発中

「パスワードをタイプする代わりに、将来はパスワードを思い浮かべるだけでよくなる」と、UCバークレー情報スクールのプレスリリースは説明する。これは数字や文字のパスワードの代わりに脳波を利用して個人認証を行う研究だ。100ドルの消費者向け脳波検知ヘッドセット、Neurosky MindSetを使って、John Chuang教授は、集中して息をするたけで個人を特定できることを発見した

脳波測定装置、即ち脳電計(EEG)は、頭皮上の電気的活動を測定し、その波長から特定の気分、精神状態、および行動を推測する。過去数十年にわたり脳電計を使用した多動症候群、心的外傷後ストレス障害など様々な精神衛生問題の治療が研究されてきた。

技術の進歩によって脳電計の大きさも価格も小さくなり、Neuroskyのような家内工業製品によって、思考制御コンピューターの普及が可能となった。上の画像は本誌のAnthony HaがNeurosky強化版ネコミミを着用しているところで、ユーザーが神経を集中すると回転する。

「パス思考」(passthought)研究の次の段階では、親しみやすい思考対象を見つけることに集中する。これまでのテストでChuang教授は、被験者に好きなスポーツの動作を演じているところを想像するよう依頼したが、「実際に動かさずに自分の筋肉が動くところを想像するのは不自然である」ことがわかったという。

しかし、解読不能パスワードの登場をセキュリティー強更硬論者たちが喜ぶ前に、研究者たちは人の思考を「ハック」することに成功している。バークレーの別のチームは、見覚えのある情報について考えさせることによって、ATMの暗証番号などのデータの抽出が可能であることを発見した。

つまり、もし今後〈パス思考〉が主流になることがあれば、署名を思い浮かべるのはやめた方がいいかもしれない。赤ん坊にキャンディーを渡すことだけ考えることだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


全世界の登録ドメインネームが2億5千万を突破: 約半分が.comと.net

Verisign’sが発行しているDomain Name Industry Briefの最新号によると、インターネットの登録ドメインネームの数は2012年の最終四半期に2億5000万を超えた。2012年の第四四半期には600万あまりのドメインネームが登録され、全世界のドメインネームは合計で2億5200万になった。

もちろんもっとも多いのは.comドメインだ。昨年12月現在で.comドメインネームは1億620件、.netは1490万だ。この二つのドメインは新規登録数でももっとも多く、2012年で計800万が登録された。前年の790万より、やや増えている。

.comと.netのWebサイトの約21%が1ページだけのサイトと、そして15%はサイトが存在しない。

この二つのTLD以外では、国別コードが前年同期比で5%伸び、合計で1億1020万となった。とりわけ、中国の成長が大きい。このVerisignのデータによると、.cnドメインネームは7番目に多いTLDである。

上位のTLDは: .COM, .DE, .NET .TK

上位のTLDは、次のようになっている:

登録数の多いTLDを順に挙げると、次のようになる:

  1. .com
  2. .de(ドイツ)
  3. .net
  4. .tk( トケラウ)
  5. .uk(イギリス)
  6. .org
  7. .cn(中国)
  8. .info
  9. .nl(オランダ)
  10. .ru(ロシア)

トケラウ(Tokelau)諸島を表す.tkが多いのは、無料登録のFreedom Registryで使われているためだ。このドメインネームはフィッシングサイトが悪用しているという噂もあるが、これだけ多いのはやはり無料登録の魅力だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、あと365日でサポート終了とXPユーザーにクギを刺す

もしまだWindows XPを使っているなら、あるいは使っている人を知っているなら、Microsoftは、サポート終了まであと365日しかないことを思い出してほしいと言っている。XPは2001年10月25日にニューヨークで登場したWindows XP SP3およびOffice 2003共、2014年4月8日にはサポート対象外となり、それ以降XPユーザーは、Microsoftからセキュリティー・アップデート、緊急修正、その他サポート(有償無償を問わず)を受けられなくなる。全世界のデスクトップおよびノートパソコンの40%弱が今でもXPを使っている、とNet ApplicationsのNetMarketShareが報じている。

すでにMicrosoftは、Windows XPの主たるサポートを2009年4月に打ち切っているが、企業ユーザーの拡張サポートおよび全ユーザーに対するセキュリティーアップデートは続けている。

2014年4月以降、XPの利用は「移行しないことを選択した利用者の自己責任」であるとMicrosoftは書いており、XPを使い続けれる時間が長くなるほど移行コストは高くなる可能性が強い。

今日の発表でMicrosoftは、XPを使い続ける落伍者たちに対して、「検討提案から移行完了まで」に平均的企業で18~32ヵ月を要すると念を押した。現時点でWindows 7または8への移行を提案することは簡単(Windows 8の方が難しいとしても)に思えるかもしれないが、現実には相当数の企業が新OSへの移行を決断していない。もちろん、XPからWindows 7への直接アップグレードパスがないことも移行を難しくしており、技術サポート要員のいない中小企業ではなおさらだ。

もちろんMicrosoftにとって、Windows XPの終了は潜在顧客にWindows 8の「利点」を再考させるチャンスでもある。同社はWindows 8について「近代的企業のための近代的OSであり、Windows 7のスピード、信頼性、およびセキュリティーといった中核機能に基づき、新しい世代のハードウェアオプションのためにデザインされた最新プラットフォームを作り上げた」と言っている。

しかしMicrosoftは、企業によって「全社一斉にWindows 8に移行するのが最善である場合と、まずWindows 7に移行する方がよい場合とがある」ことも認めている。しかし多くの場合、モバイルユーザーにはWindows 8タブレットといった具合に、Windows 8とWindows 7を並行して展開していくシナリオが主流になるだろう。

Windows 8への移行を促進するためにMicrosoftは、2013年6月30日までWindows 8 ProおよびOffice Standard 2013の15%割引キャンペーンを実施している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google、 Playストアから低品質アプリ6万件近くを削除―スパム撲滅に本腰

Googleはスパム・アプリその他Googel Playストア利用の約款に違反しているアプリに対し、ここ数週間で大ナタを振るったようだ。たとえば2月のアプリの登録削除数は6万件と、これまでの月間削除数の最高を記録している。近く行われるものと予想されているGooglePlayのv 4.0へのアップデートに先立ってこのニュースが飛び込んできた。

業界の事情に通じたある会社からわれわれは今回のアプリ大量削除に関する情報を得た。

念のため言っておくと、消えたアプリのすべてがGoogleによって削除されたわけではない。Sprintのバンドルのアプリなどいくつかは開発者自身によって取り下げられたのだろう。しかし6万件という総件数をみれば、やはり大多数は直接Googleによって削除されたと見なければならない。

カテゴリー別に見ると、もっとも削除数が多いのはMP3/着メロだ。この分野には、非常に婉曲に言っても、理想的な振る舞いをするとはいえないデベロッパーが多い。

Apple同様、Googleもアプリを事前審査しているものの、これまではマルウェアや露骨な性的内容が含まれているなど明らかにサービス約款に違反したものをそのつど削除するに留まっていた。

Googleはアプリの削除について一切コメントを出していないが、Google検索と同様、アプリの審査のアルゴリズムの改良を続けてきたものとみられる。Appleは人海戦術で人間による事前審査を行っているが、Googleはアプリが公開された後でスキャンをかけるというまったく対照的なアプローチを取っている。GooglePlayストアが拡大するに従い、Googleの収集したデータも増え、スパム判定アルゴリズムも強化されたはずだ。

スパム・アプリはGoogleの約款の多くに違反することになるので削除される可能性がある。事実、Googleはサービス約款に1章を設けてスパムを定義している。

デベロッパーはGoogleにおける優れたユーザー体験を維持する上で重要なパートナーなので、

  • 同一コンテンツを繰り返し投稿してはならない。
  • アプリの説明は誤解を招き、あるいはストアにおける関連性検索順位を操作するためのキーワードを含んでいてはならない
  • デベロッパーはストアにおける表示順位を操作するためにユーザーに複数回の評価を投稿させたり、評価を高め、あるいは低めるための見返りをユーザーに与えたりしてはならない。
  • 自動アプリ作成ツール、ウィザードの提供者が他人に代わってそのようなツールで作成されたアプリを登録してはならない。
  • 主たる目的が以下のようなアプリを登録してはならない: 自分が管理していないウェブサイトへのアフィリエイト・トラフィックないしページビューを誘導するもの(そのサイトの運営者、所有者から明示的に許可を得ている場合はこの限りでない)。
  • ユーザーにおる内容の確認と承認なしでユーザーの名前で他人にSMS、メール、その他のメッセージを送信するアプリ

スパムで悪名高い着メロアプリ分野に大量の削除が行われたことからみみると、Appleとは違ったやり方ではあるが、Googleもアプリストアの品質維持に本腰を入れ始めたようだ。

ちなみに、これだけアプリが増えてくると、各ストアにおけるアプリの絶対数はさして意味を持たなくなってくる。2月にAppleのApp storeには80万件が登録されていた。昨年10月のAndroidの公式数字は70万件だった。最近の推計ではこの数字は80万件とも67万6000件とも言われている。ただしGoogleの今日の発表では依然として70万件という数字が使われている。

一般ユーザーにとっては60万件だろうと80万件だろうと変わりはない。その大部分はどのみちいわゆる「ロングテール」に属する。現在のAndroidユーザーにとっての関心事はそれよりもダウンロードしようとしているアプリの品質だ。Googleのアルゴリズムによる自動的なチェックが品質管理にどのような効果を上げるか注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ソーシャル・ログイン市場は依然Facebookが46%を占めてトップ―Googleも2四半期連続で差を詰める

今年に入ってすぐ、GoogleがGoogle+によるサービス開始したので、ソーシャル・ログイン市場は再び激戦区となった。ログイン・プロバイダーのJanrainが発表したところによると、Facebookは依然としてソーシャル・ログイン市場のシェアでトップを占めているが、Googleに追い上げられている兆しがあるという。

JanrainやGigyaなどは、ユーザーがウェブサイトにサイン・インする手続きを簡単にし、同時にウェブサイトにはさらに豊富なユーザー情報を提供するサービスだ。こうしたサービスはユーザーの身元確認にさまざまな方法を用意している。Facebook、Google、Yahoo、LinkedIn、Twitterなどがポピュラーなオプションだ。しかしニッチなウェブサイト向けにSoundCloudやTumblrなどもそれなりのユーザーを得ている。Janrain Engageは25のネットワークをサポートしている。

現在JanrainのソーシャルログインではFacebookが46%を占めてトップ、Googleが34%でこれに続いている。ただしFacebookについては2012年第4四半期と比較して3%の減少で、同時期にGoogleのシェアは逆にちょうど3%増加している。これで2期続いてFacebookとGoogleの差が縮まった。Janrainは「Googleのサービスが信頼性、親近性を増している表れだろう」という。Googleは自らの既存の各サービスへのログインにGoogle+を使わせることでこのソーシャル・ネットワークへのトラフィックの増大を図っている。JanrainはGoogle+ログインを最近になってサポートしたので今回発表された数字には含まれていない。次期のレポートの結果が楽しみだ。

Janrainのレポートによれば、ソーシャル・ログインに用いられるネットワークには地域によって大きな差があるという。たとえばオランダでは地元のソーシャル・ネットワークのHyvesが好まれ、ブラジルとインドでは依然GoogleのOrkutが人気だという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook HomeのChat Headがもたらす真のマルチタスキング。今後の「標準」はここにあり!

モバイル環境においては、シングルタスク式のやり方が一般的だった。しかしFacebook Homeの登場で、Google、Yelp、地図などのアプリケーションを使いながら、オーバーレイ式のドロップダウンウィンドウでチャットができるようになる。これはデスクトップの効率性を小さなデバイスにも持ち込むことになるものだ。Homeで実現されたカバーフィードやレスポンシブデザインの完成度の高さは確かにすばらしい。しかし言ってみればそれは「当たり前」のことでもある。ところがチャットをマルチタスキング化するというのはすなわち、コンピューティングとコミュニケーションを融合するという意味で、携帯デバイスの新次元を切り開くものであると言えるだろう。

ちなみにイノベーションというのは、誰も思いつかなかったアイデアを生み出さなければならないというものでもない。問題解決のための、新たな方法を提供するものをイノベーションと称するわけだ。これまで、モバイル環境でメッセージのやり取りをする際には、コンテクストの切り替え作業が必要だった。すなわち、誰かとメッセージをやり取りするか、「あるいは」アプリケーションを使うかであったわけだ。この両者を「同時に」行うことはできなかった。AndroidもiOSも「マルチタスク」をうたってはいたが、いずれも「タスクスイッチング」であり、「同時に」作業できるわけではなかったのだ。確かに通知機能があって、他の作業をしていても送られてきたメッセージに気づくことはできた。しかし返信を行うためには作業を中断する必要があった。作業を切り替えるにあたっては、「意識の中断」も生じることになっていた。

こうしたコンテクストの切り替え作業は不自然であり、不便なものだ。私たちはしばしば、今まさにコンピュータ画面で行なっていることについてコミュニケーションを行う。たとえば画面で示される疑問に答えようとしたり、同じ資料を見ながら共通認識を持つために会話をしたり、あるいは特定の場所に道案内をしたり、何か面白いものを見つけて、それについて意見を言い合うというような形でコミュニケーションを行なっているのだ。会話している友人に細々とした物事を正確に伝えたり、複雑に絡み合った事象を説明するには、SMSないしFacebook Messenger画面と、他のアプリケーション画面を行ったり来たりしなければならなくなる。これは非常にストレスを感じることだ。スピーカーフォンモードにして音声通話をするのがベストかもしれないが、場合によってそうした方法が取れないこともある。

デジタルワールドをいろいろと見て回りながら会話をするというやり方は、モバイル時代以前には当然のことだった。デジタル以前についても、何かをしながら会話するというのは当たり前過ぎる行為だった。IRCや(TechCrunchの親会社である)AOLのインスタントメッセンジャーでも、画面を見ながら同時にチャットを行うことができていた。それがモバイル時代になってからは不可能となり、これまでは単純に画面サイズのせいで行えないのだと納得して(させられて)きた。Galaxy Note IIのような大画面ファブレットや、iPadのようなタブレットなら可能かもしれないが、スマートフォンのような画面では無理だと考えてきたわけだ。

しかしFacebookのデザイナーに、「そうではないのだ」と考える人がいたわけだ。デザインチームは、人びとの「実際の生活」の様子に注意をはらってデザインプロセスを進めている。たとえば既読通知機能なども、そうした流れから導入されたものだ。面と向かって話をしているときには、話が聞こえればそれを態度で示すものだ。Facebookメッセージにも同様の仕組みが必要であると考えたわけだ。発表当時、FacebookのProduct部門ディレクターのPeter Dengに話を聞いた。相手に読まれたかどうかを示す仕組みは絶対に必要だと考えたのだそうだ。

技術というのは、私たちの手伝いをするために存在するのです。強引にやり方を変えさせたり、複雑な手順に従わせるというようなものであってはならないと思います。たとえば私たちは、人間同士の「会話」を模するための仕組みを作りました。何千年もの間、慣れ親しんできた実際の「会話」に着目するところから始めたのです。面と向かって行う会話と同じような効果を出すことを心がけました。今回導入した既読通知機能は、今後に向けての第一歩なのです。

Facebook Homeで実現するマルチタスクチャットも、そうした流れの一環であるということができる。誰かがメッセージを送ってくれば、現在使っているアプリケーションの上に送信相手の顔アイコンがポップアップ表示される。そして送られてきたメッセージの最初の方の文字がアイコン横に表示されるようにもなっている。従来型のアプリケーションであれば、ここで送信相手の顔をタップすると、使用中のアプリケーションを閉じてFacebookメッセージ画面に遷移することとなるだろう。しかしFacebook Homeでは利用中のアプリケーションが見えるままの状態で、オーバーレイ式のメッセージウィンドウが表示されるようになるのだ。チャット画面上の顔アイコンを再度タップすると、メッセージウィンドウが小さくなって元の画面に戻ることになる。これにより、メッセージのやり取りをする際に何をやっていたか見失ってしまうようなことはなくなる。発表イベントでデモに触れてみることができた。モバイル機器を操作しながら、シームレスにメッセージ送受信が行えるのは非常に快適なエクスペリエンスだった。この仕組みならばチャットも「邪魔するもの」ではなく、「相補的なもの」として利用することができそうだ。

ここで実現しているチャットシステムこそ、他のモバイルエクスペリエンスと「同時に」楽しむことができるものだ。ただ、オーバーレイ画面を表示したままで、下に表示されている別アプリケーションをスクロールしてみたりすることができないのが残念ではある。HTC Firstの画面や、標準的なサイズのAndroidデバイスには、そうした操作を有効に行うための広さが足りないということなのだろう。しかしそれでも操作できれば便利だろうと思うのだ。最近は画面サイズが拡大する傾向にあるようなので、サイズ的な制約は今後消えていくことにもなるだろう。

Facebook Homeのハンズオンビデオを見た人や、説明を聞いた人は皆、このチャット機能に導入されたマルチタスクに拘りを見せる。「Chat Heads」(頭部のアイコンが表示されるからそう呼ぶらしい)という妙な名前ながら、機能的に大いに注目を集めているわけだ。ワシントンDCで27歳の非テック系の女性にも紹介ビデオを見てもらった。ここでも人気を集めたのはやはりChat Headだった。「欲しい」という声や「ぜひHTC Firstを買いたい」とも言っていた。

きっと、ここから新しい時代が切り拓かれていくことになるに違いない。他のアプリケーションでも同様の仕組みを実装し、あるいはさらに進化させていくに違いない。たとえばAppleのiMessageの新版が、が同様のマルチタスク機能を備えていなければ非常にがっかりすることになるだろうと思う。もちろんこれは近々の登場が噂されているGoogleの統合メッセージングシステムについても同じ事が言える。真の「マルチタスク」はもちろん、さらなる進化を見せて貰いたいと思っているのだがどうだろうか。

少なくともしばらくのうちは、このChat Headsの魅力によってFacebook Homeのダウンロード数は伸びるだろうし、HTC Firstを購入するという人もでてくることだろう。メッセージングの重要性については、改めて各開発者が再認識している段階でもある。メッセージのやり取りから、ここからさまざまなコミュニケーションが始まっているのだ。非同期のメッセージングシステムのおかげで、安心してネットから離れる時間を持つことができるようにもなっているのだ。そしてメッセージングアプリケーションはさまざまな進歩を遂げてきた。そのような中でスマートフォンが広まり、利用者としてはさらなる進歩を期待するようになってきているのだ。

Facebook Homeの今後について、少なくともしばらくのうちは注意しておくべきだろう。

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(翻訳:Maeda, H)


Apple、iOSアプリ発見サービスのAppGratisをApp Storeから削除

Appleは、発見と日替り特典のアプリ、AppGratisをApp Storeから削除した。今のところこの問題に関してAppGratisから発表はなく、ユーザーは何が問題なのかを憶測するほかない。時としてAppleは、アプリの最新バージョンがクラッシュする、あるいはアプリが非公開APIを使っているという理由でアプリを閉鎖することがある。その場合デベロッパーは新しいバージョンを提出してApp Storeに復活する必要がある。しかし問題がもっと大きい可能性もある。

昨年10月、AppleはiOSデベロッパー・ガイドラインに新たに規則を追加した。そこにはこう書かれていた。「App Storeと類似あるいは紛らわしい方法で、購入または宣伝目的に自身以外のアプリを表示するアプリは却下される」。ちなみにAppGratisは、App Storeからアプリを収集し、短い説明を加え1日間有料アプリを無料で配布する。

当時AppGratisのCEO Simon Dawlatは、おそらくAppleが問題にしているのは質の悪い類似アプリでありAppGratisではないと答えた。AppGratisの特徴は、発見と収益分配によって独立系デベロッパーを助けることだ。

他の人気発見アプリの中にもAppleの新ガイドラインの影響を受けたものがある。PocketGamer.bizによると、AppShopperはApp Storeから削除されて以来復帰できていない。AppShopperはApp Storeを検索する方法を提供していて、Apple自身のApp Storeと直接競合していた。しかもユーザーはアプリが値下げされた時に通知を受け取るので、結果的にデベロッパーのユーザー当たり売上を減少させる恐れもあった。

別のシナリオがいくつもあり得る理由はこれだ。おそらくAppGratiが非公開APIを使ったか、些細なガイドライン違反を犯したために、Appleは次期バージョンが提出されるまでアプリを戻さないのかもしれない。いずれにせよデベロッパーは常にAppleレビュー・チームに翻弄される。デベロッパーは、アプリをストアに置いておくために、チームからあれこれと修正を要求されることがある。

ちなみにフランス・パリ拠点のAppGratisは、1月に1350万ドルの資金を調達したところだ。700万のユーザーを擁し、1本のアプリを最大50万回ダウンロードさせる力を持つこの会社は決して新参ではない。もしAppleがAppGratisを追い出したければ、数ヵ月前にそうしてはずだ。

彼らにできることと言えば、Appleの最終決定を待つことだけだ。現在のところ既存ユーザーは引き続きAppGratisを使い続けられる。おそらくわずかなUX変更あるいは、インフラストラクチャーの修正によって、同アプリはApp Storeに復活できるだろう。

AppGratisには取材を申し込んであるので、新しい情報が入り次第この記事を修正する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ビットコインは近代国家を崩壊させるか

Bloombergの論説者でプリンストン大学の学生、Evan Soltasが、Bitcoinについて「近代自由主義国家の脅威」と書いている。この一文には二通りの読み方がある。彼の論説記事の一つの解釈は、われわれが皆危険な状態にあり、課税や追跡が不可能なbitcoinが闇市場を栄えさせ財務調整を弱体化させた結果、社会は崩壊するというもの。もう一つSoltasの偏向を踏まえると、彼はタイトルにある「近代」よりも「自由」の部分に強く焦点を当てているのではないかと私は想像している。つまり、近代国家は、富裕層に不公平な課税ができなくなり、そのため国民の福祉に浪費する余裕がなくなり、特定種の人々のための財政の涅槃になるというもの。いずれにせよ、現在の経済レーダーの見方としてはおそまつと言わざるを得ない。

金銭を匿名で移動する手段は遠い昔からあった。中東に伝わるハワラのようなネットワークを使うことによって、何世紀も前から比較的スムーズに富の移動が行われてきた。富を貴金属や宝石、宝飾品に圧縮する方法もある。国境間で悪事が栄えることを許した一種の金銭ZIPファイルだ。

いずれの方法も、資金洗浄や戦争支援、戦争犠牲者の援助などに使われており、Soltasは「近代自由国家への脅威」を生み出していると指摘する。FBIも、「bitcoinの作成、運用、配布の方法は、不法な資金移動の疑いが著しく高いい」と言っている。同じことは、20万ドルの腕時計をつけて国境を越えそこで転売する者についても言える。

Bitcoinには、仮想通貨を現実世界で使える何らかの形に変換する方法が必要だ。bitcoinでポルシェを買うこともできるが、今度かき氷を買いに行く店が対応しているほど普及するとは私には思えない。

その一方でBitcoinは経済活動における新しい役割を担っている。現実的に、ウォレットサービスや自分のパソコン何百万ドルものbitcoinを預けるのはリスクが高すぎる。移動はスムーズにできるかもしれないが、引き出すのは大変だ。あちこちの政府機関がプログラムによってbitcoinのの入出金や変換を追跡できるようになるとは思わないが、ある日あなたが100ドル持っていて、翌日には2万ドルになっていたら、勇敢な監査員なら危険信号を出すことができるだろう。

近代銀行システム崩壊に関するこの議論は、3Dプリンターによる銃製造と似ている。興味深い話であることは別として、昔流のやり方の方がまだずっと簡単で安上がりだ。もしBitcoinが真にスムーズになり比較的安定してきた時には、多少なりとも心配する原因になることが想像できる。実際これは、何世紀にもわたって行われていることをするためのクールな方法の一つであり、注目すべき対象であることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


アプリでは不十分:Facebook Homeを追ってモバイル画面の陣取り合戦が始まる理由

スマートフォンアプリの器は限られている。視聴者にコンテンツや情報を提供することはできても、あくまでもオペレーティングシステムの制約の範囲に制限される。使ってもらうためには、ユーザーをまず自社アプリまで誘導する必要があり、必然的にユーザーが自社製品「内」にいる時と「外」にいる時とがある。先週Facebookは、その区別を自分で決める意向を明確に宣言した。そして他の人々も同じことができないか探りはじめているに違いない。

Facebook Homeは、モバイル端末における物ごとの自然な順番を従来と逆転させる。ユーザーはますFacebookに入り、そこからソーシャルネットワーク「外」(ただし完全に外ではない)のAndroid本来の世界へ行き他のアプリを使うためのランチャーが利用できる。このソーシャルネットワーク会社は、Facebook Homeでは人が第一と謳っているが、実際にその背後にあるビジネス動機は、Facebookが第一だ。

Facebook HomeのしくみやAndroid OS自体の修正やアプリによる方法との違いを説明するためにFacebookが使った図(OSの基本部分とその上で動くアプリの間にサンドイッチされたレイヤーだとFacebookは言っている)は、なぜこれがFacebookにとって望ましい状況であるかを表す完璧な例だ。モバイルユーザーはデスクトップユーザーと比べて同時に複数のことを行う傾向にあり、モバイルSDKやAPIによって他社ソフトウェアとの統合が簡単になった今何をどう共有するかの選択肢も増えた。そんなユーザーからより多くの価値を引き出そうとする他社にとってもこれは好ましい状況だ。

一般に、従来のウェブモデルからモバイル第1への移行を試みる企業は産みの苦しみを経験する。特に、小さな画面とアプリ中心の環境に広告モデルを転換する方法が問題だ。Facebook Homeは当初広告を入れていないが、CEO Mark Zuckerbergは、いずれカバーフィードに広告を導入する意向を強く示した。これはFacebookのAndroidランチャーのメイン画面で広告が重要な位置を占めるようになるとことを意味している。

Androidでは、開発リソースと時間とやる気のある者なら誰でも、独自のランチャーを作り、OS本体とアプリの中間位置に入ってさまざまな方法でユーザー体験を制御できる。シェアされたり話題にしてもらいたいサービスを持つ会社なら誰でも、ユーザーの端末上に場所を確保できることによって大きな恩恵に預かることができる。Evernoteフォンはもちろん、GetGlueタブレットやTwitterフォンも、容易に想像できる。

ユーザーが自分の端末体験の大部分を一サービスやアプリメーカーに委るだろう、と企業が考えるのは少々傲慢かもしれない。だから月間アクティブユーザー10億人のFacebookならその試みが許されると感じるのかもしれない。他の小さなネットワークが同じことをやろうとするのは、さらに非常識かもしれないが、仮に十分な数のユーザーを説得してモバイル体験の鍵を渡させることができるのなら、長期的に見て初期リスクを負う価値はあるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ヒト型ロボットPETMANはBig Dogを散歩させられそう

PETMANはBoston Dynamicsが作ったヒト型ロボットだ。BDは四足歩行ロボットBig Dogも作った。そのロボット犬はレンガを投げるから、夢でうなされそうだ。

こちらのロボットは防災服を着てガスマスクを付けているが、犬型ロボットよりも怖い。いまのところケーブルで操作するようだが、自立したPETMANに汚染地域から追い払われることを想像すると、ほんとに怖い。まず、この服装ではあまりにも人間に似すぎている。第二に、人の願いなど聞き入れてくれそうもない。これぞまさに、誰かの言う未来社会だ。まだ、そこらにうじゃうじゃとはいないから、やや気は楽だが。

第三に、PETMANはダンスをする。

出典: Giz

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


プログラマでない人でも自分のサイトに簡単に支払システムを埋め込めるMoonClerk

正規の商業者でなくても誰もがオンラインで支払を受け取れるサービスStripeに欠点があるとすればそれは、デベロッパやそのほかの技術力のあるユーザのためのサービスであることだ。今日(米国時間4/5)ローンチした支払システムMoonClerkは、一度かぎりや今後何度もある支払をプログラマでない人が自分のWebサイトで容易に受け取れるようにするサービスだ。

これまでのStripeの使い方では、Stripe ConnectをサポートしているShopLocketShopifyWufooなどのプラットホームの上にユーザがeコマースのストアを作り、その上でStripeの支払サービスを利用する。

しかし小企業などはすでにある自分のサイト上で支払を受け取りたいと思うのが当然だから、MoonClerkはそれを可能にする。オンラインのフォームビルダーで構成オプションやスタイル、色などをユーザが指定すると、MoonClerkがどのWebサイトでも使えるリンクと埋め込みコードをくれる。

Dodd Caldwell(CEO)とRyan Wood(CTO)の二人が地元サウスカロライナのスタートアップアクセラレータThe Iron Yardで修行を積み、11月に非公開ベータでMoonClerkを立ち上げた。今年に入ってから公開ベータに移行し、不具合をつぶして、今日から一般公開となった。

Caldwellによると、それはまず自分自身が欲しかったサービスだ。彼はそれまで、Bellstrikeという自分の会社でNPOたちのためのソフトを作っていたが、そのとき、NPOが寄付などの支払を受け取る簡単な方法が欲しいと思った。

“小企業や非営利団体が日常の支払を受け取るサービスをいろいろ探したが、簡単で使いやすいものはなかった”、とCaldwellは説明する。“商業者アカウント、ゲートウェイ、SSLの証明、などなど面倒なもののいっさいない、ユーザ登録がすぐにすむのが欲しかった。Stripe Connectはそれができるが、デベロッパでないと導入は無理だ”。

チェックアウトの部分がすっきりしていること、そして、まるで自分のサイトの一部のように埋め込めること。それも重要な要件だ。Caldwell自身過去に、自分の作ったサイトでPayPalを利用して低いコンバージョンレート(実買率)に悩んだ経験がある。MoonClerkなら、何もかも超簡単だ。

彼自身は技術者ではないので、以前仕事を頼んだことのあるWoodをスカウトした。そうして完成したMoonClerkのシステムは、ノンプログラマがStripeを使えるだけでなくて、豊富な機能を盛り込んでいる。

MoonClerkは、一度だけの支払と、月、四半期、年などの定期的な支払をサポートする。ユーザはまず同社のオンラインフォームビルダーへ行って、チェックアウトのデザインなどを決める。できる人は、CSSも使える。金額の表示や支払方式など、細かい指定もいろいろできる。

フォームを作ったら、MoonClerkが料金を引き落とすためにクレジットカードの情報を教える。そして、Stripe Connectのために自分の銀行情報を入力する。そうするとサイト用の埋め込みコードと、共有(Facebook、Twitter、…)のためのリンクをもらえる。

入金を知らせるメールの通知機能もある。来週からはクーポンやディスカウントも扱えるようになる。Caldwellによると、そういう細かい機能増強課題は、まだまだたくさんある。たとえば顧客がチェックアウト時に追加注文ができる機能など(あと5ドルでケースもおつけしますが、いかがでしょうか?)。

サウスカロライナ州Greenvilleに居を構えるMoonClerkは、完全に自己資本のみだ。Caldwellが不動産投資から得た利益を使っている。資金調達の意向は、今のところない。口コミだけで数ダースのユーザがついたが、その中には、このサービスを利用して毎月1万ドルを処理している人もいる。

サービスの利用料金は支払の額がベースで、最低は月額1000ドルまでが9ドルだ。ユーザになってみたい人はここで登録を

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


30台のRaspberry Piがカメルーンの田舎の中学校でコンピュータ教育に使われる

マイクロコンピュータRaspberry Piは発売後の1年で、合計100万台がメーカーたちや、電子工作マニア、親たち、子どもたちの手に渡った。子どもたちをコンピュータ科学に入門させるための教育玩具として作ったものが、こんなに広い層に売れるとは驚きだ。Pi Foundationはとくに、イギリスの子どもたちがこれでプログラミングを初体験することを意図していた。でもPiの力は実際には、最初に考えた使命よりも大きい: カメルーンでは、Piが中等学校のコンピュータ教育で使われているのだ。

Pi Foundationのブログのゲスト記事で、ベルギーのボランティアが書いている。彼らは資金を募り、30台のPiをスーツケースに詰め込んでカメルーンへ行き、コンピュータ教室を作った。ディスプレイとキーボードとマウスは、ベルギー国内で買った。このPiを使ったコンピュータ教室は、まだ電気が来ていない田舎なので、自家発電を使っている。

その学校、Saint Marcellin Comprehensive Collegeは、カメルーンの北西部のNkambeに近いBinshua村にある。今現在は、Piを使ってオフィスソフトの使い方を教えているが、ねらいは子どもたちにプログラミングを教えることにある:

OSは12月時点のRaspbian〔Raspberry Pi用のDebian Linux〕で、その上にLibreOfficeとCUPSをインストールしている。今は子どもたちにOfficeの使い方の基本を教えているだけだが、先生にはすでにScratchによるプログラミングを教えたし、良い本もあげた。だから次からは、学校のカリキュラムにScratch入門が入って欲しいと思う。

このコンピュータ教室にはまだインターネット接続がないが、この状況もベルギー人たちが変えようとしている:

コンピュータはすべてネットワークに接続している。ネットワークの中心はルータで、それはWANのモデムに接続されるのを待っている。近い将来にはインターネットへの接続を提供したいが、そうなるとこの田舎に小さな革命がもたらされるだろう。インターネット接続のない今でも、この未開発地域に相当高度なコンピュータ教室を作った、とわれわれは自負している。この地方の子どもたちに、より良き未来を切り開く力と機会を与えた。それこそが、われわれの動機だったのだ。

この、小さくて安くて低能力なマイクロコンピュータは、開発途上国の人たちに初めてのコンピューティング体験を与えることができる。Piのハードウェアは多くの場合、携帯電話よりも安い。スマートフォンよりも、もちろん安い。スマートフォンはこれまで、“次の数十億人”に最初のコンピューティング体験を与える、と持て囃されてきた。またPiは、そのほかのLinuxベースのローコストコンピューティングプロジェクト(たとえばOLPCXO laptop)よりも相当安い。もちろん、周辺機器の価格も考慮に入れる必要はあるが。

下のビデオでは、教師が生徒たちにPiを紹介している。彼女はMicrosoftのWindows OSの名も挙げているが、その言及は同社の人たちを喜ばせないだろう: “この小さなボックスはWindowsオペレーティングシステムでは動きません。別のタイプのオペレーティングシステムで動きます。それはLinuxといって、とっても人気があり、しかも無料です”。

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YouTube上の無料長編ムービーを見つけてくれるサービスPegleg–藪をつついて蛇のおそれも

YouTubeに長編ムービーの完全収録版が氾濫していることは、今では誰もが知っている秘密だ。しかもそのほとんどが、無料で見られるのばかりだ。アップロードする人たちには、すぐに削除される不安もあったと思うが、いずれにしても長編のアップロードは今では簡単にできるようだ。そしてそのことは、そのムービーをちょっと見てみたい人にとっては、とってもありがたい。

そしてYouTube上の長編ムービーを簡単に見つけてくれるありがたいサービスが、Peglegだ。

そのコンセプトは実にシンプルだ。Peglegのフロントページには、ユーザがそれまでに見つけたすべてのムービーが表示される。何かを探したい人は、いくつかの条件を入力したり、ムービーの名前を指定する。その映画(のURL)がすでにPeglegにあれば、すぐに見られる。万一なければ、候補作品が上映時間データと共に表示される。十分に長ければ、それはきっと完全収録版だ。

今Peglegには、ユーザが新たに加えたYouTubeビデオが900近くある。その中にはきっと、あなたが見たいのもあるだろう。Peglegは、トロントのデベロッパMina Mikhailが、 Meteorの使い方を勉強するための習作として作ったらしいが、それにしてはよくできてる。でも、アプリがどれだけ良くできていても、これらのムービーがより目立つようになれば、著作権クレームで下ろされる危険性も増す。Pegleg自身もヤバイかもしれない。これまでの数日間で、Pegleg上のリンクが20ぐらい削除された。それらのムービーをYouTubeが削除したからだ。

でもMikhail自身は、それで当然だと思っている。YouTubeによる削除は今後も起きる。しかし長編ムービーのアップロードが、YouTube上で行われなくなることも、あり得ない。突如なくなるムービーもあれば、YouTube上に自分の永続的な居場所を得るムービーもある。そして著作権保有者たちとYouTube上の映画ファンとのダンス合戦は、永遠に終わらない。Mikhail自身も、よほどのことがないかぎり、Peglegを閉鎖する気はない。それに、Peglegが万一閉鎖しても、YouTubeに長編ビデオをアップロードする人たちは、いなくならないのだ。

“コンテンツのオーナーの権利を侵すつもりはない”、とMikhailはブログで言っている。“Peglegは、世界中の友だちやムービーファンたちが今現在やってることへの、単純なお返しにすぎない”。

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今やネット上の醜い化石のようになっているフォーラムをフレッシュに蘇らせるMoot

新しい形のフォーラムを提供するMootが、3年半の開発期間を経て今日(米国時間4/5)ローンチする。ディスカッションサービスは今でも各種存在するが、Mootはサイトのオーナーのニーズに応じて自由にカスタマイズでき、しかもクリーンでシンプルでリアルタイムで組み込み可能でクロスプラットホームであることを特長とする。スマートフォンやタブレットからも利用できる。

同社のファウンダはポートランドの起業家Courtney Couchと、UIライブラリjQuery Toolsの作者Tero PiirainenJanne Lehtinen、二人は共にヘルシンキに住む。このチームは以前、人気のWebビデオプレーヤーFlowplayer作り、そのときに経験し感じたことからMootのアイデアが生まれた。

Couchは次のように説明する: “Flowplayerの全面改築をやろうとしていた。それまではサポートシステムもフォーラムも別々だった。しかし、全体的にスタティックな(動的に生成される部分のない)サイトにしたかった。でも、そのためのツールがなかった。別のフォーラムソフトを単独でインストールすることも考えたが、既存のフォーラムサービスはどれも90年代の産物で、アプリケーションとフォーラムを一体化することができなかったし、ましてやそのための自由な構成も不可能だった”。

そこで彼らが自作したのが、Mootだ。

このプラットホームは、サイトのオーナーがその機能性を自由に設計できる。

たとえば、コメントの投稿だけ、という使い方ができるし、コメント投稿とフォーラムのディスカッションの両方がある形にもできる。フォーラムとコメントが融合してもよい。フラットなコメントも可、スレッドも可能だ。ユーザが、そのサイトのアプリケーション(サービス)の本体で使っているユーザ名とパスワードを、そのまま使えるようにもできる。

Mootにはこのような柔軟性があるが、そのほかの機能もある。たとえば写真やビデオ付きの投稿機能はデフォルトではないが、サイトのオーナーの構成次第でそれができるようになる。

好き/嫌い、賛成/反対、などのいわゆる人気投票の機能はない。それがあると議論に参加するユーザが混乱する、とCouchは言う。

ブログのプラットホームは、Tumblrのようなシンプルなものから、WordPressのような複雑高度なものまで、いろいろある。それと似てMootは、今市場にあるものに比べてずっとシンプルなコメントおよびディスカッションのためのプラットホームだ。Couchによると、ベーシックなフォーラムを立ち上げるまでに1分もかからない。あとは、いくつかの埋め込みコードをコピペするだけだ。

Mootでいちばん目立つのはそのクリーンでシンプルな外見だが、Mootのホームページにはサイトをおもしろくするための多様な機能が詳しく説明されている。たとえば、新規投稿をリアルタイムでフィードできる。また”My Feed”というページで、ユーザが自分自身の対話履歴を閲読できる。こちらもリアルタイムだ。

検索は高速で、入力時にスペルや文法の間違いを訂正してくれる。また関連語彙を見つけてくれる。たとえば”configuring Pyton”とタイプすると、”configure Python”で検索してくれる。

検索結果として出てくるディスカッションは、最初は折りたたまれているが、そのディスカッションへ行かなくても検索結果のページの上で広げることができる。アップデートは、リアルタイムで反映される。リプライも検索結果ページに居るままでできる(上図)。

コメントは、フラットにもできるし、スレッドにもできる。ただし、複雑化を避けるためにスレッドは一段のみ。コメントの[Like]はできるので、それとWordPressのAkismetを使ってスパムを管理できる。サイトのアドミンは、ダッシュボードの上で簡単に悪質なコメントを削除できる。ダッシュボードからの一括管理は、とても簡単便利だ。

ユーザ名の横のボタンが赤だったら今オンライン、グリーンだったら今オフラインだ。ユーザ名はユーザが決められるが、その後勝手に変えることはできない。投稿してから2.71分(またの名: “e“)経つと、編集や削除はできない。アドミンが削除するまで、その投稿はパーマネントになる。

“あとからの削除や編集を自由放任にすると、読者にとって議論のスレッドが理解不能になるからね”、とCouchは言う。たしかに、何のことだか分からなくなるのは、困るね。

Mootの中核的な機能(コメンティング/ディスカッション)は、DiscourseやLivefyre、Disqus、などなどと競合する。今は無料だが、今後は3つの機能を有料化したいと考えている: シングルサインオンが月額20ドル、独自ブランド化が月額5ドル、非公開フォーラムが月額10ドル。ただしこれらの機能は、今のところまだない。

Mootを使ってみたくなったWebサイトのオーナーは、ここで申し込む

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SXSWにおけるGoogle Glassの紹介セッション全50分がYouTubeに登場, とくにデベロッパは必見

これを読んでる人のほとんどがSXSWを見るためにテキサス州オースチンまで行けなかった人だと思うが、しかもその中で、Googleのあの意欲的なGlassプロジェクトをちょっとでも体験した人となると、すごく少ないだろう。過去数週間、あちこちでGlassのおもしろそうな話を読んで悶(もだ)えていた人も、しかしご安心を。GoogleがSXSWにおけるGlassのセッション全篇50分を、YouTubeにポストしたのだ。

そのプレゼンは”Building New Experiences with Glass”(Glassで新しい体験を作る)と題され、GoogleのSenior Developer Advocate、Timothy JordanがGoogle Glassの説明紹介役を務めた。こんな実物実演は前にもあったが、Jordanは側面にあるトラックパッドをいじったり、Google+のお友だちからのアップデートをチェックしたりしながら、Glassのインタフェイスを分かりやすく説明した。

しかもJordanのセッションは、現場のデベロッパたち向けに、このヘッドマウントデバイスのためのサービスはどうやって作るのか、それをちらっと見せてくれた。彼は、実際の開発過程は簡単である(“複雑でない”)と何度も言ったが、デベロッパたちにGlass向けの開発がいかなるものかを実感させるには十分なプレゼンだった。しかし、Glassがエンドユーザに何をもたらすかについては、Jordanは強気だった。あるGoogle社員のように、今のタッチスクリーンは人類を無力化する、とまでは言わなかったが、彼は、これまでの対話の方式は、人間の現実生活と事象とを互いに疎外する、と言った。

“テクノロジが必要以上に人間の邪魔をしている”、と彼は指摘する。“Project Glassは、そんな状態を解決しようとする。人は、大好きなテクノロジにアクセスしつつ、今そのときの現実から遊離することもない”。

JordanとGoogleの彼の上司たちは、みんながGlassを愛していると思いこんでいるが、本当の陪審がやってくるのはまだ先だ。Googleは今年の終わりごろにGlassを一般消費者向けに大々的に発売するつもりだが、しかし並行して数千名のテスターたちによるモニタテストもやっている。Googleはこの未来的な製品のターゲットをとても慎重に見極めようとしているが、でも実際に発売されたら話はまったく違ってくるだろう。

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Google Compute Engineが月額400ドル24/7電話サポート付きの利用形態をローンチ

昨年のGoogleのデベロッパカンファレンスI/Oで、Compute Engineローンチされた。それはクラウドコンピューティングのプラットホームで、デベロッパはGoogleの大規模なインフラストラクチャの上でホストされているLinuxの仮想マシン上で、自分のアプリケーションを稼働できる。しかしこれまでは制約のあるローンチで、デベロッパは招待されるかまたはGoogleの営業からアクセス許可をもらわないと、利用できなかった。

しかし今日からは、月額400ドル払ってGold Supportの会員になると24/7の電話サポートが利用でき、招待も営業へのコンタクトも不要でCompute Engineにアクセスできる。

新しい料金体系

この有料サポート付きパッケージは、Compute Engineを利用する権限を与えるだけだ。アプリケーションがGoogleのインフラを利用するときには、それなりの料金が発生する。ただし今日の発表とともにGoogleは、その料金を4%引き下げた(11月にはストレージの料金を20%下げた)。新しい料金体系では、最小の仮想マシンが1時間0.132ドル(13.2セント)で、現在の最高の料金は8コアのマシン、52GBのメモリ、1770GBのハードドライブ2基という構成で1時間1.211ドル(1ドル21.1セント)だ(ヨーロッパではこれよりやや高くなる)。

新しい機能

Compute Engineの機能とインスタンスタイプも増えた。たとえば、各インスタンスタイプにはディスクレスのバージョンがある。管理コンソールも改良され、これからはルートファイルシステムとしてマウントされた永続性のディスクからブートできる。ヨーロッパのゾーンが二つ増え、それにより“ヨーロッパの顧客に低レイテンシと高パフォーマンスを提供できる”という。新機能の詳細は、このページにある。

Googleのインフラは大きくて潤沢だから、そのCompute EngineはクラウドコンピューティングにおけるAmazonの強敵になるかもしれないが、しかし現状ではAmazonの幅広いサービス構成にGoogleは追いついていない。数週間後に迫っている今年のI/OでもCompute Engineについて何か発表があるかもしれないが、月額400ドルのサポートパッケージに続いて今度は無料の最小構成が出てくるのなら、まあ当然と思うだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


シンプルさの中に「狙い」を詰め込んだFacebook Home。その動きをビデオでチェック

Facebook Homeのニュースは既にご覧になったことだろう。Android上で新たなエクスペリエンスを実現するものだ。文字による説明はきっと十分だと思うので、ここではキャリアパートナーのAT&Tが公式YouTubeチャネルに公開したビデオをご紹介しようと思う。ビデオで紹介しているのはカバーフィード(Cover Feed)、通知(Notifications)、そしてChat Headsと呼ばれる機能だ。ひとつひとつが、オリジナルのAndroidにはない面白いエクスペリエンスを提供している。

いずれの機能も、結局のところ非常に単純なものではある。しかし「人との繋がり」を前面に押し出したいFacebookとして、まさ狙い通りの機能を実現していると言えるのではなかろうか。いったん導入すれば学習カーブのことなど気にする必要もない。少なくとも初期リリース版を見る限り、誰もがすぐに利用できるように、可能な限りシンプルな作りを心がけているようだ。

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(翻訳:Maeda, H)


Facebook Homeの心はAndroidにあり。当分iOSにはやってこない

Facebookが、アプリを開かずすぐに友達とつながれる新しいAndroid端末用ランチャー、”Home” を発表した後、私はFacebook CEO Mark Zuckerbergに、このようなプロダクトがiOSに載ることはあるのか尋ねた。

Zuckerbergが発表イベントの冒頭で言ったように、「Android第一」の理由は明らかに、GoogleのモバイルOSが完全にオープンで、どのモバイルOSよりも自由に誰でも改造したりカスタマイズしたりできるからだ。

iOSについてZuckerbergは、同社がすでにAppleと提携関係にあり、Facebookは可能な限りOSの奥深くまで統合されていることをすぐに指摘した。現在iDeviceでは、通知画面からツイートしたりFacebookの近況をアップデートしたりできる。今回のような完全なカスタム化をAppleに受け入れさせることは難しい。またAppleは、一ソーシャルサービスがAppleユーザーの体験をそこまで支配することも望んでいない。

ともあれ、Androidユーザーが享受するレベルのカスタム化をiPhoneユーザーが欲しがる時が来れば、Facebook Homeは、長年のiDeviceユーザーが離脱する初めてのケースになるかもしれない。果たしてそれだけでAppleを動かす理由になるだろうか?すぐにはないだろうが、もしAppleが「低価格」iPhoneを計画しているのなら、iOSに柔軟性を持ち込むのはその時かもしれない。2種類のバージョンのiOSを維持するのは狂気の沙汰に思えるかもしれないが、ローエンドiPhoneのユーザーたちは、いずれ成長してAppleが提供する最上位機種を買う人々だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Photonで三次元スキャンした「物」のデータをどの3Dプリンタでもプリントできる

Photonは、実物の点群を作る三次元レーザースキャナーだ。ユーザは、その点群データのファイルを3Dプリンタに供給してその「物」のコピーを作ることができる。Indiegogoで、399ドルを‘出資’すると手に入る。そのすばらしさを一言で言うと、それは、ぼくがかねてから、欲しくて欲しくてたまらなかったものだ。

トロントの住人Adam BrandejsとDrew Coxが作ったそのデバイスは、小型レーザー装置とターンテーブルを使って物の表面をスキャンする。その結果は、今の3Dプリンタの多くが使っているSTLファイルまたはOBJファイルに保存される。つまり、プリントできる。

三次元スキャナーは、最近ちらほらと登場してきた。たとえばMakerbotが提供するスキャナーもある。しかし、これほど洗練された製品は初めてだ。その主な機能は:

PhotonスキャナーはHDカメラとデュアルレーザーラインを使ってわずか3分で3Dスキャンを捕捉する。対象物の最大サイズは190mm x 190mm x 250mm (直径7.5″ x 高さ9.75″)で、装置本体は折りたたみできる。軽量でポータブルでコンパクトで、あなたの仕事場に置いても邪魔にならない。

ぼくにとってとくに魅力的なのは、「現場で三次元スキャン」というコンセプトだ。もうすぐ、もっと複雑な大きなものでも、現場でスキャンできるようになるだろう。100ドル札4枚で三次元スキャナーが買えるなんて、まるで奇蹟のようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))