グーグルがウェブサイトの写真を購入可能な商品に、「検索」に新たなショッピング方法を追加

Googleは、オンラインおよびGoogle検索モバイルアプリを利用した新たなショッピング方法を紹介した。近日に行われるiOS用「Google検索」アプリのアップデートでは、デバイス上での処理を利用した新しい機械学習モデルを活用して、ウェブサイト上の画像に含まれる商品を認識し、即座に「ショッピング可能」な状態にする。これにより、オンラインショッピングをするユーザーは、検索結果から洋服やアクセサリーを見たり、近くの店舗に在庫があるかどうかを確認したりすることが簡単になる。

iOS用のGoogleアプリでは間もなく、ユーザーはウェブサイト上の画像をGoogleレンズでショッピング可能な商品に変える新しいボタンを目にすることができる。ウェブサイトを見ていて、写真の中に気になるものがあれば、タップしてその商品の購入先を確認することができるのだ。この機能は、すでに画像内の商品を識別できる「Googleレンズ」の技術を拡張したもので、これまでと違う新たな文脈での利用となる。

画像クレジット:Google

Googleによると、デスクトップのChromeにも「Googleレンズ」が登場し、ユーザーは「レンズ」でウェブサイト上の画像、動画、テキストコンテンツを選択すると、同じタブで検索結果を見ることができるようになる。

別のアップデートでは、モバイル端末で服や靴、アクセサリーを見ているときに検索結果から簡単に買い物ができるようになる。

例えば「クロップドジャケット」といった検索条件にマッチする商品が、複数の色やスタイルでビジュアルフィードとして表示される。また、スタイルガイドや動画、購入場所の詳細情報なども表示される。さらにスタイル、ブランドなどで検索結果をフィルタリングしたり、評価やレビューを確認したり、価格を比較したりすることもできる。

画像クレジット:Google

この機能は、Googleが提供する「ショッピンググラフ」によって実現される。ショッピンググラフは、現在240億件以上の商品情報をリアルタイムで提供している。

また「在庫あり」のフィルターを選択すると、近くの店舗で今すぐ購入できる商品を確認することができる。この機能は、忙しい年末商戦の前に、プレゼントや子どものおもちゃを買う際に特に役立つだろう。

今回のアップデートは、本日開催されたGoogleのイベント「Search On」で発表された。同社はGoogleマップ、レンズ、検索の他の製品アップデートについても詳細に説明しており、その中には新しいAIの機能強化を活用するプロダクトもある。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アクセシブルなソフトウェアデザインのためのハブ「Stark」がMacアプリのベータ版を開始

Stark(スターク)は現地時間9月28日、Macアプリ「Stark」のプライベートベータ版を立ち上げた。プロジェクトに関わる誰もが簡単にコラボできるようにする一方で、プロダクトをより包括的なものにするためのアクセシビリティの規則遵守を簡素化するものだ。企業はデザインファイルをStarkのツールにアップロードすると、Starkがアクセシビリティの問題を特定し、変更を提案する。

Starkは、作品をアクセスしやすく包括的なものにするデザイナー向けの簡単なソリューションがないことにCat Noone(キャット・ヌーン)氏と同氏のチームが気づいた2017年に創業された。いまや50万人超が、Adobe XD、Figma、Sketch、Google Chromeのようなアプリ向けのStarkの統合されたプラグインを使った。これは、ビジュアル素材を視覚障害者のためのアクセシビリティ基準に合うよう、チェックしたり提案したりする。

「まずプラグインで始めました。あなたのプロダクトで起こっている問題を表面化することで意識を高めるすばらしい方法であり続けています」とヌーン氏はTechCrunchに語った。「しかしプラグインは大規模に、あるいは誰もがプロダクトに関われるようにする方法でアクセシビリティの問題を解決しません」。

ただ、ヌーン氏はMacアプリ用のStarkが多くのデザインファイルにある抜本的な問題を簡単に解決できるようにすることで「アクセシビリティを高める」と話す。例えばTwitterのようなアプリがフォントを変更すると(つい最近変更し、アクセスしやすいデザインにおけるカスタマイゼーションの必要性について議論を呼んだ)、デザイナーはアプリ内の何百ものスクリーンの書体を根気強く変更しなければならない。しかしStarkはこのプロセスをかなり迅速化する。

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Starkに表示される可能性のあるアクセシビリティに関する警告メッセージ(画像クレジット:Stark)

「Starkがしようとしているのは、問題が起こったときに、あなたが提案された変更を受け入れ、デザインファイルを開き、変更し、そのまま進めてシンクさせるということです」とヌーン氏はいう。「ですので、その時点で1つのスクリーンだけでなく、全デザインシステム、あらゆるスクリーンで並行して表示されます。それはすごいことです。というのも、あなたのデザイン開発時間を短縮するからです。そして我々の目標は、これがなぜ修正されたのかあなたに教えながら、規則遵守にかかる時間を抑制することです」。

Starkがシードで150万ドル(約1億6800万円)を調達した2020年以来、プロダクトは消費者レベル、企業レベルどちらでも機能するアクセスしやすいデザインのGrammarlyだとヌーン氏はいう。Starkはまだ黒字になっていないが、同社の既存顧客にはMicrosoft、Pfizer、Instagram、ESPNなどがいる。加えて、Starkはアクセスしやすいデザインや、ヌーン氏いわくインターネット上で最大だというアクセシビリティリソースに興味がある人のSlackでのコミュニティもホストしている。同社はユーザーがプロダクトを試してSlackに参加できる限定無料プランを提供しているが、既存の一連のツールを利用するには年60ドル(約6700円)かかる。一元化された請求書へのアクセスや複数メンバーによる管理を加えるカスタムプランの見積もりを依頼することもできる。

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StarkのMacウェブサイトのスクリーンショット(画像クレジット:Stark)

アクセシビリティはテック企業にとって重要なものだ。というのも、障がいを持つ人が自社のプロダクトを使えなければ、巨大な顧客ベースを失うからだ。しかし包括的であることが十分な動機付けでなくても(ため息)、お金はそうだろう。

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「特にこのところ、パンデミックによって多くの企業がデジタルの活用を増やしました。プロダクトをすべての潜在ユーザーにとってアクセスしやすいものにしていないテック企業がマーケットから排除され、思いがけない大きな機会を逃すようになっています」とヌーン氏は述べた。しかしStarkは古いデザインファイルをアクセシビリティ基準に沿うものに変えるのを簡単にしている。「Macアプリ向けのStarkは、あなたがコンサルタントを10人も20人も雇わなくてもいいようにします。なぜなら、プロダクトを構築している個人は教育を受けていて、そばに使えるツールがあるからです」。

差し当たり、Macアプリ向けStarkのプライベートベータ版はSketchで使えるが、ほどなくFigmaやAdobe XDのような他の人気デザインツールでも使えるようになる、とヌーン氏は話す。その後、プロジェクト管理ツールを統合することで、ユーザーはアプリ内でタスクを他の人に割り当てることができるようになる。プライベートベータ版を試したい人はウェブサイトでアクセスをStarkにリクエストできる。ベータ版は無料だが、正式展開するときには料金プランが発表される。

「かなり意見を主張するコミュニティとともにこれを構築する余裕がありました」とヌーン氏は話した。「プライベートベータ版ですが、エンジニアやデザイナーにとってもかなりメリットのあるものです」。

Starkのチームは8カ国からリモートで働く17人だ。

「チームのメンバーは世界中に散らばっています。多くの言語、さまざまな肌の色、さまざまなバックグランドを持っています。我々自身のとらえ方、世界を誘導する方法はそれぞれの中にある包括性であり、かなりマジックのようなものだと考えています」とヌーン氏は語った。StarkがVRやARのような新手のテクノロジーに受け入れられることを同氏は願っている。その一方で、文化によってアクセシビリティが異なるという問題も解決して欲しいと思っている。例えば英語で書体を読みやすくすることはアラビア語やタイ語で書くことに必ずしも当てはまるとは限らない。「我々は構築したプロダクトを反映する存在であり、思うにそれが口でいうだけでなく行動で示すことを極めて簡単にしています。というのも、我々は毎日共同で暮らしているからです」。

画像クレジット:Stark

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Windows 11のアプリストアはサードパーティにも開放、Epic Games Storeも登場予定

Microsoft(マイクロソフト)がWindows 11のポータルにサードパーティのアプリストアを増やしたいと言ったのは、単に夢想に耽っていたわけではなかった。The Vergeによると、Microsoft Storeの新しいポリシーは、サードパーティのストアフロントアプリの展開が可能になるという。Amazon(アマゾン)のアプリストアだけでなく、Epic Games Storeも「今後数カ月」内にMicrosoft Storeに登場する見込みだ。約束通り、マイクロソフトはこれらのストアから得られる収益の分配を要求しない。

同社がライバルのブラウザに対する方針を緩めたこと(マイクロソフト以外のエンジンを搭載したブラウザを認めるようになった)も実を結ぶ。Microsoft Storeでは、OperaとYandex Browserが、Edgeの代替品として提供される。最初から衝動的にChromeやFirefoxをダウンロードしてしまう人には、これらの追加はあまり役に立たないだろうが、マイクロソフトが少なくとも、自分のところのストアで競争することには、寛容であることを示している。

SteamやGOGなどの有名なアプリやゲームストアについての言及はない。Epicが早いうちから選ばれていることは驚くに値しない。EpicはApple(アップル)のApp Storeポリシーに声を大にして反対しており、できるだけEpic Games Storeを提供したいと考えている。マイクロソフトがこれを利用しない手はない。Microsoft Storeを、アップルのApp Storeよりもオープンなストアであると宣伝できるからだ。もっとも、Mac(マック)ユーザーがEpic Games Storeや他のストアフロントにアクセスするのに、何か実際に問題があるわけではないのだけれど。

編集部注:本稿の初出はEngadget執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Microsoft

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflixがポーランド、イタリア、スペインにて会員限定でモバイルゲーム3作品を新たに提供

Netflix(ネットフリックス)は、欧州のいくつかのマーケットで会員だけが利用できるゲーム3作品を投入し、モバイルゲーム促進にさらに注力している。同社は現地時間9月28日、カジュアルゲーム3作品「Shooting Hoops」「Teeter Up」「Card Blast」の提供をスペイン、イタリア、ポーランドで開始した。同社はポーランドでこのほど、初の会員専用モバイルゲームの販促をAndroidアプリ内で始めていた

新しい作品も同じモデルで利用できるようになる。Netflixアプリ内にある新しい「ゲーム」タブから、対象国の会員は居住国のGoogle Play Storeにあるゲームのリストに案内される。そして他のアプリでもそうするように、そこでゲームをダウンロードインストールする。ただ、ログインするとき、プレイを開始するのにNetflixのクレデンシャルが必要だ。

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新しいゲームは無料でプレイでき、広告やアプリ内購入もない。Netflixのゲームタブで利用できるようになった最初の2つの作品は人気シリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」と結びついていたが、今回の新しいゲームは同社の映画や番組とは無関係だ。新しいゲームはシンプルで、さまざなまゲーマーにアピールするカジュアルなゲームだ。こうした動きは、同社が単なるストリーミングコンテンツを超えて、幅広いエンターテインメントの一部にモバイルゲームを含めようと注力している投資の拡大を表している。

ポーランドでは9月28日から、すでに展開されている2つの「ストレンジャー・シングス」作品に新しいゲームが加わる。一方、イタリアとスペインのNetflix会員は新しいゲーム3作品と既存の2作品がプレイできるようになる。

ゲームは正式には太平洋標準時間9月28日午前8時、イタリアとスペインでは同日午後5時から、Netflixのサービスで利用できるようになる。

同社は第2四半期決算会見時にゲーム分野へと事業を拡大する計画について言及した。その際、このモデルをどのようなものにするか試行錯誤している初期段階だと述べた。

「オリジナル映画やアニメーション、脚本のないテレビへの進出と同様に、ゲームは当社にとって新たなコンテンツカテゴリーだととらえています」と株主にあてたレターには書かれ、そしてまずはモバイルデバイス向けの無料ゲームに注力すると付け加えている。「オリジナルのプログラミングに注力して10年近くがすぎ、当社の会員がどのようにゲームを評価しているかを学んでしかるべき時だと考えています」と説明した。

Google PlayにあるTeeter Uのスクリーンショット

Netflixは8月下旬、テキサス州アレン拠点のゲームスタジオBonusXPが制作した2つの「ストレンジャー・シングス」作品をNetflixの独占コンテンツに移したときに、そうした発言を履行した。ただ、これらのゲームは以前Play Storeで利用できたもので、すでにインストールした人は引き続きプレイできる。しかし新しいゲーマーは「Stranger Things:1984」と「Stranger Things 3:The Game」をNetflixのアプリでしか利用できない。

同じモデルが新たにリリースされる作品でもとられる。「Card Blast」は米国拠点のRogue Gamesからライセンス貸与され「Shooting Hoops」と「Teeter Up」はカナダのデベロッパーFrosty Popからのものだ。

これらのデベロッパーの名前はPlay Storeの一覧には表示されず、ゲームそのものはNetflixのGoogle Playアカウントのもとで公開されている。

TechCrunchが偶然新タイトルの1つを見つけてNetflixにコメントを求めたところ、同社は立ち上げ計画を認め、モバイルゲーム拡大についての次のような声明を出した。

「現在進めているゲームの展開の一環として、スペイン、イタリアのNetflix会員は今日からAndroidで5つのモバイルゲームをプレイできます」と同社の広報担当は述べた。「この5つのゲームは『Stranger Things:1984』『Stranger Things 3:The Game』『Card Blast』『Teeter Up』『Shooting Hoops』で、これらはポーランドでも現在利用できます。まだかなり初期段階ですが、広告もアプリ内購入もないNetflix会員制の一環としてこうした当社独占のゲームを導入することに興奮しています」。

この前に同社は、ポーランドはアクティブモバイルゲーミングのオーディエンスを抱え、初期のフィードバックにうってつけであることから、モバイルゲームの初期テストマーケットとして同国を選んだと説明していた

同社は同様の理由で、そして欧州マーケット全体が同社にとって重要なものであることからイタリアとスペインを選んだとしている。

米国を含む他のマーケットでも将来どこかの時点でゲームを導入する計画だとNetflixは話しているが、それがいつになるのか言及はなかった。また、ゆくゆくはiOSでもゲームを展開することを目指している。

一連のゲームはポーランド、イタリア、スペインのNetflixのAndroidアプリにあるゲームタブで米国東部時間9月28日午前8時(太平洋時間午前11時、中央ヨーロッパ時間午後5時)から利用できるようになる。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ニュース速報アプリ「NewsDigest」など運営するJX通信社が資金調達、シリーズC総調達額が約22億円に

ニュース速報アプリ「NewsDigest」など運営するJX通信社が資金調達、シリーズC総調達額が約22億円に

データインテリジェンスを駆使しニュース速報アプリ「NewsDigest」(Android版iOS版)などを運営するJX通信社が9月28日、第三者割当増資を実施しシリーズCラウンドにおける総調達額が約22億円になったと発表した。引受先は、富士フイルムシステムサービス。今後は両社が協業してビッグデータを活用することにより、自治体や企業の防災と減災力を向上させる取り組みを進めていく。

2008年設立のJX通信社は、報道とデータインテリジェンスの組み合わせを領域とするテックベンチャー。報道価値の高いニュースをAIで判別し通知するニュース速報アプリ「NewsDigest」、SNSなどのビッグデータからリスク情報を検知・配信する「FASTALERT」を主事業としている。

FASTALERTは2016年9月のリリース後7カ月で、NHKとすべての民放キー局が採用しニュース番組における視聴者提供の動画を定着させる原動力になったという。国内の多くの報道機関に採用されており取材活動の一環として利用されている。防災やBCP、障害監視やサプライチェーンのリスク管理といった観点から「防災テック」サービスとして、政府・自治体やインフラ企業においても導入されたという。

NewsDigestにおいては、一般的なニュース速報に加え地震・災害速報、鉄道情報まで網羅した情報を配信している。総ダウンロード数は約500万件を達成。月間アクティブユーザー数は前年比で4倍の成長を見せているとのこと。

スマホ内に潜むモバイルスパイウェアの脅威を取り除くMallocのアプリ

モバイルスパイウェアは、無秩序な監視の中でも最も侵襲的かつ標的を定めた方法の1つだ。あなたがどこへ行き、誰と会い、何を話したかを追跡するために使うことができる。そしてその隠密的性質ゆえに、モバイルスパイウェアを発見することは不可能に近い

しかし、このY Combinatorが支援するスタートアップは、ユーザーが自分のスマートフォンに侵入したモバイルスパイウェアを見つけるためのアプリを開発している。

関連記事:米連邦取引委員会がスパイウェアSpyFoneを禁止措置に、ハッキングされた被害者に通知するよう命令

キプロス拠点のアーリーステージのスタートアップMalloc(マロック)は、「Antistalker(アンチストーカー)」というアプリでデビューを飾った。スマートフォンのセンサーと動作中のアプリを監視して、マイクやカメラが密かに起動されたり、ユーザーの知らぬ間にデータが転送されるのを検出する(当初はAndroidにのみ対応)。これは消費者グレードのスパイウェアの典型的行為であり、他にメッセージ、写真、ウェブ閲覧履歴、リアルタイム位置情報などをユーザーの許可なく盗むものもある。

こうしたスパイウェアによる脅威の増大は、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)両社が端末のマイクロフォンやカメラが使用されていることを示すインジケーターを導入するきっかけとなった。しかし、特に巧妙で高性能のスパイウェア(政府や民族国家がよく利用する)は、iOSとAndroidの防御をすり抜けることもある。

関連記事:iPhoneのセキュリティ対策もすり抜けるスパイウェア「Pegasus」のNSOによる新たなゼロクリック攻撃

そこがAntistalkerの出番だとMallocはいう。Mallocの共同ファウンダーであるMaria Terzi(マリア・タージ)氏、Artemis Kontou(アルテミス・コントウ)氏、Liza Charalambous(リザ・チャラランボス)氏の3人は、機械学習(ML)モデルに基づいてアプリを作り、スパイウェアが録音、録画したりデータを送信していると思われるデバイスの動きを検知してブロックする。

Mallocの共同ファウンダー。写真左リザ・チャラランボス氏、中央マリア・タージ氏、右アルテミス・コントウ氏(画像クレジット:Malloc)

MLが専門のタージ氏は、同社が実世界の監視を模倣するために、既知のストーカーウェアアプリを使ってMLモデルを学習させたとTechCrunchに話した。機械学習は、アプリが幅広く、それまでに知られていない新たな脅威を見つける能力を高めるために役立つ。従来は既知のスパイウェアアプリの特徴との一致を調べる方法だった。

「私たちはスパイウェアとわかっているアプリケーションを知っています。それならその行動パターを利用して機械学習モデルを訓練し、新しいスパイウェアを認識できるようにするのに使わない手はありません」とタージ氏はTechCrunchに語った。

このMLモデルは、端末上でプライバシーに配慮した方法で動作し、データをクラウドに送ることはない。Mallocは、将来一部の匿名データを収集することで、MLモデルを改善しユーザーの端末に出現する新たな脅威をアプリが検出できるようにする考えがあると話した。

アプリの異常な行動、たとえば長らく使っていなかったアプリが大量にデータを送るような動きも同アプリは検出するほか、どのアプリがいつマイクロフォンやカメラをアクセスしたかをユーザーは見ることができる。

彼らの賭けはすでに投資家の目を引いており、同社はY CombinatorとUrban Innovation Fund(アーパン・イノベーション・ファンド)から200万ドル(約2億2000万円)近くを獲得している。

同社は2021年サービスを開始して、現在月間8万人以上のアクティブユーザーがいてなお増加中だとタージ氏言っており、企業が社員を監視の脅威から守るためのエンタープライズ向け製品も計画している。近い将来にはiOSアプリも公開予定だ。

関連記事:すべてを監視するストーカーウェア「KidsGuard」から個人データが大量に漏洩

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

批判を受けてInstagramのCEOが10〜12歳向けバージョンの開発を「凍結」と発表

Instagram(インスタグラム)のトップが、13歳以下を対象とするバージョンの計画を「一時停止」することを発表した。ソーシャルメディアサービスはティーンエイジャー女子に不安や精神面での健康問題を引き起こすことをFacebook(フェイスブック)傘下の同社が認識していたことを示す内部資料を明るみに出した、ウォールストリートジャーナル(WSJ)の批判的な報道を受けての対応だ。

InstagramのCEOであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は米国時間9月27日、TwitterのスレッドでWSJの報道に言及した。しかし、少女たちのメンタルヘルスへのInstagramの影響について、極めてネガティブな暴露へのパニック反応とは正反対に、意図的かつ思慮深い対応として「一時停止」してやり直すことを模索することで、調査報道の影響を軽く扱おうとしている。

WSJは2019年からの内部調査スライドを入手し、その中でInstagramの親会社Facebookは「10代少女の3人に1人の身体像問題を悪化させている」と認識していた。

「当社は『インスタグラム・キッズ』と呼ばれるトゥイーン向けのInstagramを構築するプロジェクトを一時停止しています」とモセリ氏は9月27日に一連のツイートに書いた。

「このエクスペリエンスは決して子どものためのものではありませんでした。我々はトゥイーン(10〜12歳)むけのエクスペリエンスをデザインしていました。そして今日展開されているInstagramと同じものにはならないはずでした。親がトゥイーンのアカウントを承認し、子どもが誰をフォローするか、誰が子どもをフォローするか、誰が子どもにメッセージを送るか、使用時間などを監視します。しかしプロジェクトは、それがどのようなものになるのかが見えてくる前に漏れました。人々は最悪のケースを恐れました。その時点で答えは持ち合わせていませんでした。最近のWSJの報道はより大きな懸念を引き起こしました。この件にもう少し時間をかける必要があるのは明らかです」

インスタグラム・キッズとよく呼ばれる、トゥイーンのためのInstagramを構築するというプロジェクトを一時停止し、ティーンエイジャー向けの選択制ペアレンタルコントロールを構築することを発表します。詳細はこちらhttps://t.co/fWwkK5yu6R

ーアダム・モセリ (@mosseri) 2021年9月27日27

「もう少し時間をかける」のが「中止」の婉曲表現なら、モセリ氏の結論はFacebookにこの計画を中止するよう何カ月も促してきた、多くの子ども保護グループや関係者に歓迎されるだろう。

例えば米国44州・準州の司法長官らは2021年5月にFacebookに13歳以下向けのInstagramの計画を破棄することを求める書簡を送った。

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米国の州司法長官らがフェイスブックに子ども用Instagram計画の撤回を要求
FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

しかしながら9月初めにTechCrunchが報じたように、モセリ氏は以前、アプリがティーンエイジャーに及ぼすネガティブな影響の懸念について「極めて少ない」と退け、軽視することを模索した。

13歳以下の子どもが代わりのアプリを見つけて使用することはなおさら悪いものになるかもしれないとも述べたが、その前に「批判家はこれを、プロジェクトが悪いアイデアだったと譲歩したととらえるでしょう。それは違います」とモセリ氏はプロジェクトを棚上げすると発表したツイートのスレッドで続けた。モセリ氏、落ち着いて欲しい。

Instagramトゥイーン(モセリ氏がそう表現している)を一時停止するという大きなニュースに加えて、 Instagramは「ティーンエイジャー向けの選択制ペアレンタルコントロール」というものを構築中であることも明らかにしている。

記事執筆時点で、この取り組みについてのInstagramのブログ投稿へのリンクは機能しておらず、詳細はまったくない。しかしこの動きは、WSJが報じた内部資料によると、ティーンエイジャー女子の32%が Instagramで身体像が悪くなったと回答していることが明らかになったことにInstagramがプレッシャーを感じていることを示している。

WSJの報道ではまた、この調査への参加者で自殺を考えたことのある人は、英国のティーンエイジャーで13%、米国のティーンエイジャーで6%で、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

「ティーンエイジャーは、不安や気分の落ち込みの増加をInstagramのせいにしています」と別の内部資料のスライドにはある。「この反応は全グループで自発的かつ一貫したものでした」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

大人も子どもも、モーションエンターテインメントで運動不足を解消するNEXのアプリ「Active Arcade」

運動不足が世界で認識されている。成人の4分の3が「体を鍛えることは健康上の利益のために非常に重要」だと考えている一方で、World Health Organization(世界保健機関)によると、成人の4人に1人、そして青少年の81%は身体活動が不十分な状態であるという。またCenters for Disease Control and Prevention(CDC / 米国疾病予防管理センター)によれば、新型コロナウイルス感染症が発生する以前においても、毎日60分間の身体活動を行っていたのは6歳から17歳の子どもで24%に満たなかった。

パンデミックの期間中、在宅勤務やステイホーム運動不足状態を助長した。ほとんどの人は、映画の鑑賞やライブコンサートのストリーミング、ビデオゲームのプレイ、バーチャルパーティーの開催など、動きが最小限に抑えられた座った状態で楽しむエンターテインメントを選んでいる。

誰もがアクティブな遊びへと促されるような新しい方法を生み出し、非アクティブという世界的な問題を解決に導く。サンノゼと香港に拠点を置くモーションエンターテインメントのスタートアップNEX(ネックス)は、それを実現するべく、身体の動きを促すコンテンツとしてモーションエンターテインメントの構築を進めている。同社は、その新しいモバイルAI対話型モーショントラッキングゲームActive Arcadeのローンチに合わせて、2500万ドル(約27億円)のシリーズBラウンドを発表した。

この新たな資金調達は、Blue Pool Capital(ブルー・プール・キャピタル)が主導し、Samsung Ventures(サムスン・ベンチャーズ)、SparkLabs(スパークラボ)、Susquehanna(サスケハナ)の参加を得た。また同ラウンドは、シャン・チーを演じたSimu Liu(シム・リウ)氏、ロサンゼルス・ドジャースのAlbert Pujols(アルバート・プホルス)氏、アーセナルのレジェンドThierry Henry(ティエリ・アンリ)氏、WNBA(米女子プロバスケットボール協会)選手のSabrina Ionescu(サブリナ・イオネスク)氏といったスポーツやエンターテインメント業界のインフルエンサー、そしてYouTube(ユーチューブ)、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)、Alchemy(アルケミー)、OpenDoor(オープンドア)、WordPress(ワードプレス)のCEOや創業者、Zendesk(ゼンデスク)、Uber(ウーバー)、MasterClass(マスタークラス)、Facebook(フェイスブック)の幹部ら、ビジネス界のエグゼクティブたちを惹きつけた。

この最新のラウンドは、NEXが2019年にNBA(米プロバスケットボール協会)、Will Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers Fund(ドリーマーズ・ファンド)、Alibaba Entrepreneurship Fund(アリババ・アントレプレナーシップ・ファンド)から850万ドル(約9億3300万円)のシリーズAを調達した後に行われたものだ。さらに2018年には、Charmides Capital(カルミデス・キャピタル)、Harris Blitzer Sports & Entertainment Ventures(ハリス・ブリッツァー・スポーツ&エンターテインメント・ベンチャーズ)、およびMandra Capital(マンドラ・キャピタル)、Steve Nash(スティーブ・ナッシュ)氏、Jeremy Lin(ジェレミー・リン)氏、およびMark Cuban(マーク・キューバン)氏から400万ドル(約4億3900万円)のシードラウンドも獲得している。他にもスポーツ、メディア、テクノロジー界の多くのリーダーたちがNEXに関心を寄せている。

今回のシリーズBラウンドで、NEXのこれまでの調達総額は4000万ドル(約44億円)となった。

NEXは、David Lee(デビッド・リー)氏、Philip Lam(フィリップ・ラム)氏、Reggie Chan(レジー・チャン)氏、Tony Sung(トニー・ソン)氏によって2018年に設立された。そのミッションは、Active Arcadeのようなアプリを通じて、受動的な活動を能動的な遊びに変換することにあった。同社の最初のアプリHomeCourtは、200を超える国々でプレイされている。

「座位中心のライフスタイルという、世界中ですでに広く深刻化している問題への関心が、パンデミックにより一層高まっています」と、NEXのCEOで共同創業者のデビッド・リー氏は語っている。「動きながら楽しむことは、遊びの最も純粋な定義の1つです。しかし、昔とは異なり、アクティブな遊びのためのエンゲージメントの基準は、最高のビデオゲームと同等である必要があります。アクセシブルなモーションベースのエンターテインメントが、身体活動を高めることへの世界的なニーズに対する答えであることは、私たちにとって明白でした」。

身体活動のための十分な時間がないという向きもある。だが、真の問題は「余暇時間というのは活動的に、楽しく快適なことをして過ごすもの」という概念が、高価で、時間を消費し、困難なものであると認識されていることにある。

NEXが新しくローンチしたActive Arcadeには、モーションゲームのコレクションが用意されており、子どもから大人まで、ゲームをすることを通じてより多くの動きを得られるようになっている。スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップなど、カメラを搭載したあらゆるコンピューティングデバイスを介して、誰もがどこからでもアクセスすることが可能だ。

VRヘッドセット、コネクテッドハードウェア、あるいはゲームコンソールのような、高価なギアを必要とする他のモーションベースのエンターテインメント企業のプロダクトとは異なり、NEXは特別な機器やモニター、またはサブスクリプションを必要とすることなく、モーションベースのエンターテインメントアプリを展開している。

誰でも自分の体の動きを使ってActive Arcadeをプレイできる。個々のゲームがそれぞれ異なるゲームプレイ、スタイル、深度を備えているため、どの年齢層や活動レベルのプレイヤーにも適したものが見つかるだろう。

「モーションベースのエンターテインメント業界には、グローバル企業が開発したハイテクのエクササイズプログラムが数多くありますが、そのほとんどは、高価な新しい機器や、険しい習熟曲線を要するものです」と語るのは、NEXで戦略、マーケティングコミュニケーションおよびパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるAlex Wu(アレックス・ウー)氏だ。

NEXは、モバイルおよびビジョンテクノロジーを使用したAIの独自の組み合わせにより、デジタルと物理の世界を融合させ、Active Arcadeのようなゲームを生成可能な携帯電話アプリケーションを構築している。

リー氏によると、同社は2021年夏にActive Arcadeの限定テスト版をローンチしたという。

NEXは2018年、同社初のAIベースのバスケットボールトレーニングアプリHomeCourtをローンチし、Apple(アップル)のiPhoneスペシャルイベントにおいて、スティーブ・ナッシュ氏とともに壇上でデモを行った。

Brooklyn Nets(ブルックリン・ネッツ)のコーチで2度のリーグMVPのSteve Nash(スティーブ・ナッシュ)氏は、次のように述べている。「私は常に、自分が支援できる、自分の価値観に合った企業やプロダクトに投資したいと考えています。子どもや大人の動きを促進し、活動をプレイに変換するNEXのアプローチは、私が心底支持しているミッションです」。

Harris Blitzer Sports & Entertainment VenturesのジェネラルパートナーであるChip Austin(チップ・オースティン)氏は「世界中の人々の活動を遊びに変換していく上で、重大なネクストステップを踏み出したNEXのチームは、これからも私たちの誇りであり続けるでしょう」と語っている。「私たちは、彼らの重要なビジョンを尊重し、そのリーダーシップとテクノロジーに感銘を受けています」。

画像クレジット:NEX

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(文:Kate Park、翻訳:Dragonfly)

Vungle傘下のモバイルマーケターが「Fontmaker」をApp Storeのトップに押し上げたカラクリとは

よくあることだろうか?TikTokをはじめとするSNSで話題になったアプリが、すぐにApp Storeのトップに躍り出て、その露出度の高さからさらに新規インストール数を増やしていく。最近、米国のApp Storeで1位になった定額制のフォントアプリ「Fontmaker」は、TikTokの動画やその他のSNS投稿による口コミの恩恵を受けていたようだ。しかし、ここで私たちが目にしているのは、App Storeマーケティングの新しい形であり、この分野で最も歴史のある企業の1つ、Vungleを巻き込んだものだ。

Fontmakerは、一見すると、大ヒットしたインディーズのアプリのように見える。

Mango Labsが開発したこのアプリは、ユーザーが自分の手書き文字を使ってフォントを作成し、それをカスタムキーボードで利用できるというもので、1週間あたり4.99ドル(約551円)というかなり高額な料金が設定されている。このアプリが最初に登場したのは7月26日だった。Sensor Towerのデータによると、約1カ月後には、米国のApp Storeで第2位のアプリとなった。8月26日には、さらに1つ順位を上げて1位になったが、その後、無料アプリ総合ランキングの上位から徐々に下がっていったという。

8月27日には15位となり、翌日には一時的に4位まで上昇したが、その後は再びランクダウンした。現在アプリは全体で54位、競争の激しい写真 / ビデオカテゴリーでは4位となっているが、主に若いユーザーをターゲットにした新しくてややニッチな製品としては、堅実な位置にある。Sensor Towerによると、このアプリは現在までに6万8000ドル(約750万円)の収益を上げている。

しかしFontmakerは、ボットではなく実際のユーザーからのダウンロード数の増加によってトップチャートにランクインしたにもかかわらず、真の純粋なサクセスストーリーとは言えないかもしれない。むしろ、モバイルマーケティング担当者がアプリのインストールを促進するために、インフルエンサーのコミュニティを活用する方法を見つけ出した一例と言えるだろう。また、インフルエンサーマーケティングによって流行ったアプリと、真の需要によってApp Storeのトップに躍り出たアプリとを区別するのは難しいということを示す例でもある。例えば、トランシーバーアプリのZelloは、ハリケーン「アイダ」の影響で最近1位になったという。

Fontmakerは、典型的な「インディーズアプリ」ではない。実際のところ、誰が作ったのかは不明瞭だ。そのパブリッシャーであるMango Labs, LLCは、実際には、モバイル成長企業JetFuelが所有するiTunesの開発者アカウントである。JetFuelは最近、モバイル広告・収益化企業のVungleに買収された。Vungleは長年この分野で活躍し、時には物議をかもした企業で、自身も2019年にBlackstoneに買収されている。

Vungleが主に関心を示したのは、JetFuelの主力製品であるインフルエンサー向けアプリThe Plugだった。

モバイルアプリの開発者や広告主はThe Plugを通じて、合計したInstagramのフォロワー数は40億人、TikTokのフォロワー数は15億人、Snapchatの1日の再生回数は1億回になる1万5000人以上の検証済みインフルエンサーが集うJetFuelのネットワークにアクセスできる。

マーケターは、これらのネットワークのそれぞれに組み込まれた広告ツールを使ってターゲット層にリーチしようと試みることもできるが、JetFuelの技術を使えば、Z世代のうち価値の高いユーザーにリーチするためのキャンペーンを迅速に展開することができるとしている。このシステムは、従来のインフルエンサーマーケティングよりも労力をかけずに済む場合がある。広告主は、アプリのインストールに対して、CPA(Cost Per Action)ベースで支払いを行う。一方、インフルエンサーはThe Plugをスクロールして宣伝したいアプリを見つけ、それを自分のSNSアカウントに投稿するだけで、収益を得ることができる。

The Plugのウェブサイト。インフルエンサーにプラットフォームの仕組みを紹介している

つまり、多くのインフルエンサーがFontmakerに関するTikTok動画を作成し、消費者にアプリのダウンロードを促していたかもしれないが、インフルエンサーはそれに対する報酬を得ていたのだ(また、Fontmakerのハッシュタグを見ていると、金銭的な関係を一切開示せずに動画を作成している場合が多く、これはTikTokで増加しているよくある問題であり、FTCも懸念している)。

厄介なのは、Mango LabsとJetFuel / Vungleの関係を整理することだ。App Storeを見ていると、Mango Labsは楽しい消費者向けアプリをたくさん作っているように見えるし、Fontmakerはその中でも最新のものだ。

JetFuelのウェブサイトがこのイメージの促進にも役立っている。

同社はMango Labsという「インディー開発者」のケーススタディと、同社の初期アプリの1つであるCaption Proを使い、インフルエンサーマーケティングの仕組みを紹介していた。Caption Proは2018年1月に配信された(App Annieのデータによると、2021年8月31日にApp Storeから削除されている)。

画像クレジット:App Annie

しかし、VungleはTechCrunchに対し「Caption Proアプリはもう存在しないし、長い間App StoreやGoogle Playにも載っていない」という(App Annieの記録には、Google Playにこのアプリが掲載されている記録は見つからなかった)。

また「Caption Proは、JetFuelになる前にMango Labsが開発したもの」であり、JetFuelの広告機能を強調するためにケーススタディを使用したのだとも話した(しかし、その関係を明確に開示することはなかった)。

「JetFuelが現在のようなインフルエンサーマーケティングプラットフォームになる前、同社はApp Store向けのアプリを開発していました。同社がマーケティングプラットフォームへと方向転換した後、2018年2月にはアプリの作成を中止しましたが、Mango Labsのアカウントを時折使用して、第三者機関と収益化パートナーシップを結んだアプリを公開し続けていました」とVungleの広報担当者は説明している。

つまりこの主張は、Mango Labsは元々、ずっと前に方向転換してJetFuelになった人々やCaption Proのメーカーと同一であったけれども「Mango Labs, LLC」の下で公開されている新しいアプリはすべて、JetFuelのチーム自身が作ったものではないということだ。

「App StoreやGoogle PlayでMango Labs LLCの名前で表示されているアプリは、実際には他社が開発したものであり、Mango Labsはパブリッシャーとしての役割しか果たしていません」と広報担当者はいう。

Mango Labsを「インディー開発者」と表現するJetFuelのウェブサイト

この主張が腑に落ちないのには理由があり、JetFuelのパートナーがMango Labsの名前に隠れて喜んでいるように見えるからだけではなく、Mango Labsが過去にJetFuelチームのプロジェクトであったからでもある。また、Mango LabsとTakeoff Labsが一連の同じアプリを提供していることも奇妙だ。Mango Labsと同じく、Takeoff LabsもJetFuelと関係がある。

この記事を書いている現時点で、Mango LabsはApp StoreとGoogle Playの両方でいくつかの消費者向けアプリを公開している。

iOSでは、最近のNo.1アプリFontmakerをはじめ、FontKey、Color Meme、Litstick、Vibe、Celebs、FITme Fitness、CopyPaste、Part 2などがある。Google Playでは、さらに2つのアプリ、StickeredとMangoを提供している。

画像クレジット:Mango Labs

App StoreにあるMango Labsのリストのほとんどは、アプリの「開発者のウェブサイト」としてJetFuelのウェブサイトを提示しており、VungleがいうJetFuelがアプリのパブリッシャーとして機能していることと一致している。

しかし奇妙なのは、Mango Labsのアプリ、Part2が、App StoreのリストでTakeoff Labsのウェブサイトにリンクしていることだ。

Vungleの広報担当者は当初、Takeoff Labsは「独立したアプリ開発会社」であると説明していた。

Takeoff Labsのウェブサイトには、JetFuelの共同創業者兼CEOのTim Lenardo(ティム・レナルド)や、JetFuelの共同創業者兼CROのJJ Maxwell(JJ・マックスウェル)など、JetFuelのリーダーたちで構成されたチームが表示されている。Takeoff LabsのLLC登記申請書は、レナルドによって署名されている。

一方、Takeoff Labsの共同創業者兼CEOのRhai Goburdhun(ライ・ゴバードハン)は、LinkedInとTakeoff Labsのウェブサイトを見ると、今も同社で働いているのだ。この関係について質問されたVungleは、ウェブサイトが更新されていないことに気づかなかったと答えており、今回の買収ではJetFuelもVungleもTakeoff Labsの所有権を持っていないとのことだ。

Takeoff Labsのウェブサイトには、JetFuelの共同設立者を含むチームが掲載されている

Takeoff Labsのウェブサイトでは、同社の「ポートフォリオ」として、Mango LabsがApp Storeで公開しているCeleb、Litstick、FontKeyの3つのアプリも紹介されている。

Google Playでは、Takeoff LabsはCelebsの他、VibeとTeal(ネット銀行)の2つのアプリの開発者となっている。しかしApp Storeでは、Vibeを公開しているのはMango Labsだ。

Takeoff Labsのウェブサイトでは、同社のアプリのポートフォリオが紹介されている

(さらに事を複雑にするわけではないが、RealLabsという企業もあり、同社はJetFuelやThe Plug、そしてMango LabsがGoogle Playで公開しているアプリMangoなどの消費者向けアプリを提供している。Labsという名前を付けたがっている人がいるようだ)。

Vungleによれば、この混乱は、同社がMango LabsのiTunesアカウントを使ってパートナーのアプリを公開していることと関係があり、これはApp Storeでは「よくあること」だと主張する。Vungleも混乱を招いていると認めており、Mango Labsで公開されているアプリを開発者のアカウントに移行するつもりだという。

またVungleは、JetFuelは「現在アプリストアで公開されているいかなる消費者向けアプリも作っておらず、所有していません。同社がMango Labsとして知られていた頃に作られたアプリは、ずいぶん前にアプリストアから削除されています」と主張している。

JetFuelのシステムは混乱しているが、今のところその目標は成功している。Fontmakerは、インフルエンサーマーケティングによってグロースハックが行われ、確かに1位になった。

しかし消費者としては、自分がダウンロードしているアプリが実際に誰によって作られたのか、そして自分が非公開の広告に「影響」されてダウンロードしたのかどうかを知ることができないということになる。

インフルエンサーによるプロモーションを通じてグロースハックによりトップに躍り出たのは、Fontmakerが初めてではない。夏に大ヒットしたPoparrazziも、同様の方法でApp Storeのトップに躍り出た。しかしPoparazziはその後、写真 / ビデオ部門で89位に沈んだ。

Fontmakerについては、手を回したインフルエンサーのおかげで1位を獲得したものの、トップチャートにいる時間は短いものだった。

関連記事:米App Storeトップに華々しく登場、作られた完璧さが並ぶInstagramのアンチを謳う新SNS「Poparazzi」

画像クレジット:Fontmaker

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

PayPal元COOの「ソーシャルポッドキャスティング」アプリCallin、ライブ録音を保存しポッドキャストに編集可能

ライブオーディオの人気が高まる中、共同創業者のDavid Sacks(デビッド・サックス)氏(PayPalの元COOおよびYammerの元CEO)とAxel Ericsson(アクセル・エリクソン)氏は、ソーシャルオーディオとポッドキャスティングを1つのシームレスなアプリに統合することを目指した。その結果生まれたアプリCallinは先に、Sequoia、Goldcrest、そしてSacksが設立しパートナーを務めるCraft Venturesが共同で主導したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2400万円)を調達したことを発表し、iOS上でローンチした。

ClubhouseやTwitter Spaces(Twitterスペース)のようなライブオーディオプラットフォームでは、ルームが終了するとオーディオは消えてしまう。Callinにも似たようなライブオーディオ機能があるが、ユーザーが自分のライブ録音を保存してポッドキャストのエピソードに編集できるという点で他と一線を画している。

「私は何年も前からポッドキャストをやろうと思っていましたが、あまりにも複雑で障壁が高すぎるためにまったく取り組めていませんでした」と、ロックダウンの中でポッドキャスト「All In」を始めたサックス氏は語る。「スタジオにはポッドの全エピソードのポストプロダクションに6時間費やす担当者がおり、私たち全員がマイクとハードウェアを手に入れる必要がありました【略】編成が大変でした」。

Callinは、初めて番組を制作するポッドキャスター志望者の参入障壁を軽減するとともに、ユーザーがアプリ上で作成したコンテンツの所有権を保持できるようにする。録画を開始するには、ユーザーがプライベートまたはパブリックのルームを開くだけで、ゲストを招待して会話に参加させたり、1人で録画したりできる。またライブルームでは、ホストがクラウドを管理しやすくなるよう、オーディエンス参加のためのキューがより簡素化されている。

画像クレジット:Callin

録音後にポッドキャストを編集する場合は、アプリが録音と同じくらいの時間でトランスクリプトを生成する。その後、テキストのブロックをタップするとポッドキャストから切り取ることができる。「um(えーと)」や「uh(うーん)」といったつなぎ言葉も分離可能だ。今のところ、AIが特定したテキストのブロック中の個々の単語やフレーズをカットすることはできないが、アプリの編集システムは引き続き構築されていくとサックス氏は語っている。またCallinは、録音の開始時または終了時に「デッドエア」をカットするプロセスも自動化する。編集が終わると、ホストは録画したものをアプリ上で制作する番組のエピソードとしてアップロードすることができる。ユーザーは自分のオーディオをエクスポートして他のポッドキャストホスト上で共有することも可能で、将来的にはRSSフィード経由でコンテンツをシンジケートできるようになるとサックス氏は述べている。

「ですが、ポッドキャストアプリを介してそのコンテンツを消費することは、Callinでそれを体験することとは異なるでしょう。Callinでは会話が行われたときのルームをインタラクティブに再生できるからです」とサックス氏はいう。「誰が話しているかのアバターを見ることができ、それをクリックしてフォローしたり、プロフィールを閲覧して彼らが他に何に興味を持っているかを見ることができます。それは単なるフラットなオーディオファイルとは異なる体験です」。

画像クレジット:Callin(TechCrunchによるスクリーンショット)

ポッドキャスターたちはまだトランスクリプトを公開できない、つまりほとんどの自動トランスクリプトと同様に100%正確ではない状態ではあるものの、Callinが取り組んでいるこの機能は、Clubhouseに依然として欠けている待望のアクセシビリティを生み出す可能性がある。Clubhouseと同様、Callinはまだライブキャプションをサポートしていない(Twitterスペースはサポートしている)。しかしサックス氏は、ホストがトランスクリプトを共有できるように拡張されれば、ライブキャプションは「ロードマップ上にある」と語る。

「ルームで使えるアプリもあれば、トランスクリプト0を編集できるアプリもありますし、ソーシャル発見やハイライトを行うアプリも存在しますが、これらの要素をすべて1つの体験にまとめたものはありません」とサックス氏。「私たちは、オーディオ番組の制作を考えているすべての人のために、この完全な垂直スタックを作ろうとしています。そのため、その体験のあらゆる側面をイテレートしていくことになるでしょう。ポッドキャスティングスタジオでできることで、私たちのアプリではできないことは何1つないようにしたいのです」。

それでも、App Storeに登場した現在のCallinには、オーディオ録音の品質の編集、効果音や音楽の追加、コンテンツのより正確な編集などを行うツールはない。さらに、iPhoneで録音されたポッドキャストでは、プロが制作した番組や、コンシューマー向けUSBマイクで録音されたホビイストのポッドキャストほどの音質は得られなかった。しかし、ライブオーディオアプリの成功は、リスナーが高品質のポストプロダクションやサウンドデザインを求めているのではなく、単に興味のある話題について話したいと思っていることを示すものだ。Callinとその投資家たちは、人々が事前録音されたClubhouseのルームを聴きたいと思うことに賭けている。

サックス氏は自身のアプリを使って、ソフトウェア企業の創業者向け番組「Sacks on SaaS」や、インターネット上で非常に悩ましい歴史を持つフレーズをタイトルにしたインタビュー番組「Red Pills」などを制作している。アプリ上の他のユーザー作成コンテンツには、NFL、ベルリンのスタートアップ、料理などに関連した番組がある。サックス氏によると、Callinはベータ版の段階で、100を超える番組を創出した「数千人」のユーザーを擁していたという。

コミュニティガイドラインによると、Callinは「人々が発言する場であり、私たちのプラットフォームで発言が制限される場合は常に正当な理由が存在するものとする」。Callinが制限するのは、会場のホストによる制約、AppleやGoogleなどの「基盤となるテクノロジープラットフォーム」による制約、そして「米憲法修正第1条で保護されていない危険な言論」による制約のあるスピーチだけである。

Clubhouseのようなライブオーディオプラットフォームではコンテンツモデレーションが課題となっており、人種差別的で反ユダヤ主義的な発言が報告された後、コンテンツモデレーションの基準の精緻化に苦慮している。Callinのコミュニティガイドラインでは、AppleやGoogleストアからアプリを起動させないユーザー生成コンテンツはすべてCallinがホストすることになっている。最近Parlerが、ソーシャルプラットフォームがコンテンツをモデレートすることを拒否したためにアプリストアから削除された例として注目を集めたが、その後何カ月にもわたって繰り返された末に復活している。

関連記事:保守派お気に入りのソーシャルメディアアプリParlerが数カ月の禁止を経てアップルのApp Storeに復活へ

1200万ドルのシリーズAラウンドで、CallinはAndroid版とウェブ版のアプリをサポートしたいと考えている。最終的にCallinは広告や番組のサブスクリプションを通じて利益を得ることも考えられるが、サックス氏によると、収益化の選択肢を検討する前にまず規模を拡大する計画だという。

「これは、私がこれまで取り組んだ中で最高のプロダクトだと思います」とサックスは語る。「つまり、Yammerよりも優れていますし、PayPalさえも上回ると思います」。

画像クレジット:Callin

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

Yahooが新しいカレンダーアプリ「Day」を開発、Sunriseの共同創業者をデザインに起用

オンラインカレンダーやカレンダーアプリといえば「Googleカレンダー」や「Outlook」などのサービスが、世界中に数億人のユーザーを抱え、圧倒的なシェアを誇る。だが、この分野に新たな企業が参入しようとしている。TechCrunchは、Yahoo(ヤフー)が新しいスタンドアロンのカレンダーアプリ「Day」を開発していることを確認した。情報筋によると、同社はJeremy Le Van(ジェレミー・ル・バン)氏をデザインに起用した。同氏はカレンダーアプリ「Sunrise」を共同で立ち上げ、最終的にMicrosoft(マイクロソフト)に1億ドル(約110億円)以上で売却している。MicrosoftはSunriseを自社の大人気カレンダープラットフォーム「Outlook」のバックボーンに据える目的だった。

多くの人がSunriseの終幕を嘆いたが、今回、いわばSunrise 2.0を手に入れるチャンスが巡ってきたと言えそうだ。

(免責事項:YahooとTechCrunchを所有している会社は同じ)。

「我々は消費者により良いサービスを提供するためのさまざまな方法を模索しており、それにはモバイルファーストの時間管理、カレンダー、イベントに関する新しいアイデアも含まれています」とYahooの広報担当者はTechCrunchの質問に答えた。

このサービスは現在、招待者限定のクローズドアルファ版で、本格的なサービス開始に向けて準備を進めている(サイト上でサインアップすることもできる)。

カレンダーは、仕事でもレジャーでも、多くの人が日々の生活を送るための基盤となっている。そして間違いなく、私たちの活動やその計画がデジタルプラットフォームに移行すればするほど、カレンダーもより強力なものになるだろう。

つまり、プラットフォームにとって、カレンダーの機能やアプリをより大きなサービスの一部として提供することは、ユーザーをより広いプラットフォームに引き留める良い方法であり、プラットフォームがユーザーの行動についてより多くの知識を得る方法でもある。例えば、Googleのカレンダーは、Googleが提供する生産性向上や情報提供のためのサービス群と非常に密接に、そして多くの場合自動的に統合されており、ユーザーを引き留めるための1つの手段となっている。

また、この分野で何かを推し進めることに興味を持っているのはYahooだけではない。Facebook(フェイスブック)が2018年にRedkix(レッドキックス)を買収したのは、Workplaceにカレンダーなどの生産性向上ツールを増やすためだと言われている。結局、Workplaceはサードパーティが提供する既存のサービスと統合したため、独自のスタンドアローンのカレンダーアプリを持っていない。Facebook自身も消費者向けメインアプリの中に独立したカレンダー機能を持っていない。しかし、人々はFacebookの中にあるものを使ってさまざまなプランを立てているため(Facebookの「Events」だけでなく、Instagram、WhatsApp、Messengerなど)、この分野もいずれ進出が可能だと思われる。

実際、Yahoo自身も、Yahooメールでアクセスできる簡素なカレンダーウィジェットをすでに提供している。それがどの程度普及しているのかはわからない。というのも、最近では、メールと他のほとんどのカレンダーアプリとの統合が非常に簡単になっているからだ。

問題は、Dayがどのようにして差別化を図り、どのようにして競争に勝つのかということだ。

Google、Microsoft、あるいはYahoo自身でさえ、カレンダー機能を幅広い生産性スイートに統合している。対照的に、TechCrunchが理解しているところでは、YahooがDayでとっているアプローチは異なる。

このアプリはメールチームのメンバーによって開発されたが、オペレーション上は「スタートアップのように」扱われており、独立して開発するためのライセンスが与えられていると聞いている。また、Yahoo傘下での特別なブランディングもなく、Yahooとの統合も一切ない。多くのカレンダーアプリとは異なり、分離独立させておく計画だ。かつてのSunriseがそうだった。アプリストアに存在し、ユーザーが利用する他の電子メールやその他のツールと統合できるものにすることを目指している。そのうちに、いまだに約2億人のユーザーを持つ「Mail」を利用して、Dayの販売を支援する取り組みも行われるかもしれない。

今回の動きは、検索、メール、動画、広告などの分野でGoogleに事実上負けているYahooが、適切なアプローチをとれば、プレイヤーが多いこの市場でまだ革新の余地があると考えていることを裏づけている。メッセージングのように、他の分野でそれを実現しようとして失敗した経験があるにもかかわらずだ。

しかし、TechCrunchがCalendly(約3300億円規模のスタートアップで、会議のスケジュールしなければならない人々にとってのビッグヒットになった)についての最近の記事で述べたように、カレンダーアプリは別の理由で難しいものになっている。カレンダーは決して目的地ではなく「いつ」「どのように」「誰と」行くかを記録する場所にすぎない。その基本的な機能をもっと高める方法はないものだろうか。

Yahooは、そのような方法があると信じているようだし、人々はそのようなアプリを使いたいと思うだろう。

画像クレジット:day.co

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

第3四半期の全世界のアプリダウンロード数は360億回、支出額約3.8兆円でともに過去最多に

アプリ経済に関する新たな予測では、第3四半期にアプリとゲームに費やされる額は過去最多となることが見込まれている。App Annieは、世界の消費者が同四半期にアプリとゲームに前年同期比20%増の340億ドル(約3兆7650億円)を費やすと推定している。この増加は、人々が現在エンターテインメント、買い物、仕事、教育などのためにアプリをどのように使っているかという点において、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが消費者行動にまだ影響を及ぼし続けていることを示している。

App Annieに関しては、初期に秘密の情報源を使って情報を人為的に操作し、証券会社のクライアントに不正確な情報を伝えていたことが先にニュースになったことを記しておくべきだろう。同社はそうしたことを防ぐために内部コントロールで統計的にモデル化してきた。証券会社が投資判断を下すのに操作されたデータを使ったため、App Annieは証券詐欺で1000万ドル(約11億円)超の罰金を支払うことで米証券取引委員会と和解した。

しかしこうした操作にもかかわらず、App Annieのデータは今日でもモバイルマーケットをかなり正確にとらえており、かなりのアプリ会社、マーケッター、投資家にモバイルエコシステムに関する情報を提供している数多くのトップ企業の1社だ。

第3四半期のアプリ売上高に最も貢献したのは、引き続きゲームでの支出とモバイルサブスクリプションだとApp Annieは指摘した。モバイルサブスクは、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)がアプリストアプラットフォームを通じての購入で手数料を徴収する権利を保持しようとする中で、訴訟や増えつつある規制の焦点となっている。ゲームは引き続き消費者支出の大部分を占めているが、ゲーム以外の支出もサブスクのおかげでここ数年割合を増やしてきた。

関連記事:アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開

また、ダウンロード数では引き続きAndroidがiOSを凌いでいるが、消費者支出額では逆の構図であるのも変わらない。

画像クレジット:App Annie

第3四半期のダウンロード数は前年同期に比べて10%増え、過去最多の360億回に達した。この増加は主にGoogle Playによるもので、特にインドやブラジルなどの新興マーケットでのダウンロードが貢献した。増加幅が最も大きかったのはブラジル、フィリピン、メキシコで、中南米マーケットは今や世界のアプリ会社の注目を集め始めていて、成長の可能性を秘めている。

ダウンロード数の成長を支えた産業は、旅行、教育、医療だ。この3部門はパンデミックの影響を受けた。旅行アプリのダウンロードは Google Playで前年同期比35%増、iOSで同15%増だった。ワクチン接種が広がる中で夏の旅行シーズンを迎えたことが貢献した。もちろん医療と教育のアプリもパンデミックに結びついていて、ユーザーはオンライン学習や診察、新型コロナ検査やワクチン接種の予約でモバイルテクノロジーを活用した。

モバイルアプリの売上高となるとiOSが優勢で、過去4四半期でもそうだったが世界のアプリストアの消費者支出の65%を占めた。

画像クレジット:App Annie

iOSアプリでの消費者支出額は前年同期比15%増の220億ドル(約2兆4360億円)に達し、Google Playでは同15%増の120億ドル(約1兆3290億円)だった。売上高の大半はゲームアプリによるもので、両アプリストアでの支出額の66%を占めた。非ゲームアプリ部門では、消費者支出の76%がiOSでのものだった。どちらのアプリストアでもゲーム以外の部門での成長のほとんどはエンターテインメント、写真・ビデオ、ソーシャルメディア、デートのアプリによるものだった。

消費者支出額においては米国と中国が最大のiOSマーケットで、日本、米国、台湾で最も増加した。Google Playでは、米国、日本、韓国の消費者支出額が最大だったが、日本、ロシア、オーストラリアが成長を牽引した。

売上高やダウンロード数の調査はこれまでモバイル経済の全体図を把握するのに役立ってきた一方で、マーケットが成熟するにつれ、アプリをデバイスにすでにインストールした消費者のアプリエンゲージメントにもかなりの関心が寄せられている。

App AnnieのライバルSensor Towerが9月23日に発表した調査結果では、ゲームアプリと非ゲームアプリのアクティブユーザー、セッション、リテンション(保持)の数字を分析している。同社によると、世界のトップ500のアプリの平均の月間アクティブユーザー数は9170万人で、この数字は第2四半期に前年同期の8460万人から8.4%増えた。

画像クレジット:Sensor Tower

ビジネスアプリは2018年第1四半期から2021年第2四半期の間に約42%という最も高い複合年間成長率(CAGR)を見せた、とSensor Towerは指摘した。一方、消費者は2021年第2四半期にエンターテインメントアプリで最も多くの時間を費やし、トップ100の各アプリの使用時間は平均1日あたり約29分だった。

画像クレジット:Sensor Tower

ゲームの中では、ジャンル別に「PUBG Mobile」や「Garena Free Fire」などのシューティングゲームのデイリーアクティブユーザーが第2四半期に最も多く、このジャンルのトップ50のゲームのデイリーアクティブユーザーは平均760万人だったが、ハイパーカジュアルゲームがトップだった。

Sensor Towerはまた、ロックダウン中に人々がモバイルデバイスを頻繁に利用するようになり、初期のアプリ全般のアクティブユーザー数の増加は新型コロナパンデミックによるものとしている。しかし2020年第3四半期でわずかに減ったのち、アクティブユーザー数はいまパンデミック前のレベルに戻った、と指摘した。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

学習支援プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テスト実施までのフローを一元化

  1. 学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

モノグサは9月22日、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」(Android版iOS版)の「小テスト機能」をアップデートしたと発表した。Monoxer上で作成したBook(問題集)をそのまま小テストとして使えるため、記憶定着からテストにおける確認まで、Monoxer上で完全に一元化できる。

これまでのMonoxerでは、先生が児童・生徒に憶えてもらいたい項目をBook(問題集)として作成し、その確認のための小テストは別途作成をする必要があった。今回のアップデートにより、学校や塾の先生方にとってより手間がない形で、記憶定着から確認テストの実施までのフローをサポート可能となった。

2021年4月に正式リリースした小テスト機能は、児童・生徒が学んだ内容をMonoxer上で小テストにし、AIが自動採点するという機能。多くの学校・塾では、先生が紙のテストをプリントアウトおよびコピーし、生徒に解かせた後に採点して、点数を集計している。膨大な時間が割かれていることから、同社は、このプロセスをMonoxerを活用し小テスト機能としてデジタル化した。

Monoxerでは、手書き入力や音声認識など機能を利用することで先生は様々な形式のテストを作成し、採点をすべてAIに任せられるという。作成する小テストは、配点・制限時間・難易度の設定が可能。択一問題から英単語や漢字を入力する問題まで、これまで紙でできていたテストから、デジタルならではのもの作ることも作成できる。

また、Monoxerにおける学習履歴・記憶度と小テストの結果を比べることで、一夜漬けなのか、日々の学習の成果なのかわかるため、長期の目標に対しても正しく進捗を把握できるという。学習履歴とテスト結果を紐付けることで、生徒や保護者に対して、結果だけでなく、プロセスも共有可能となっており、先生、保護者、児童・生徒の三者間でより強固な関係性を構築できるとしている。学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

Monoxerは、児童・生徒におぼえてほしい内容を先生が登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題が自動で作成されるという、記憶定着のための学習プラットフォーム。生徒は作成された問題をスマホ・タブレットのアプリで学習可能な上、個別の習熟度・忘却度に応じて、リアルタイムで問題の出題頻度や難易度が調整される。このため、児童・生徒それぞれのレベルにあった学習が実現できるとしている。

また、遠隔でも生徒の学習状況・定着度がわかるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行うことが可能という。

 

FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

Facebookが再度苦しい立場に追い込まれる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先にFacebookに関する複数パートからなるシリーズ記事を発表した。この記事では、著名人をホワイトリストに登録して水面下で特別扱いする同社の慣行から、Instagramが10代の少女の精神衛生に重大な打撃を与えることをFacebookが把握していた、といったことまで、内部文書から得られた内容が報告されている。

相次ぐ調査記事により、Facebookがすでに指摘されていた問題について表向きに口にしてきた言葉と、裏で同社が実際に把握していたこととが、必ずしも一致していないことが明らかになった。Facebookは何年にもわたって自ら種を蒔いてきたさまざまな社会的病気について素知らぬふりをしてきたわけだが、それでも今回発表された記事は衝撃を与えた。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookが2016年の選挙に影響を与えたという考えを「ばかばかしい」として否定したことを覚えておられるだろうか?Facebookが長いこと取ってきたPR戦略は、仮に調査によって問題が社内で明るみに出ていても、その危険性を隠し、社会への負の影響を把握していることを表向きには否定する、というやり方である。

このやり方は、誰かが内部調査報告書を入手するまではまったく問題なかったかもしれない。

WSJのレポートで明らかになった重大な問題の1つは、 Instagramが10代の少女たちの精神衛生に重大な危険を及ぼしていることをFacebookが把握していたことである。2019年の内部調査結果を報告するスライドには「我々は、3人に1人の割合で10代の少女の身体イメージに関する問題を悪化させている」と書かれていた。同社は現在、さらに年若く影響を受けやすい年齢層にもサービスを拡大する計画 を立てており、こうした事実を知っていたことは衝撃的である。

ついこの間の5月、InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同アプリが10代のユーザーに与えるマイナスの影響について「ごくわずかである」として、懸念を否定したばかりである。

しかし、内部で把握していたことは、これとは異なるようである。WSJによると、2019年から2021年まで、同社はオンライン調査、日記研究、フォーカスグループ、大規模なアンケート調査などを通し、10代の若者の精神衛生について徹底的な調査を実施した。

ある内部スライドによると、この調査で、10代の少女の32%がInstagramによってマイナスの身体イメージを植え付けられたと報告していることがわかった。自殺念慮を持ったことのある調査参加者のうち、英国の10代の若者の13%、および米国の10代の若者の6%が、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

別の内部スライドには次のような記載があった。「10代の若者は、不安やうつ症状の増加に関しInstagramに原因があるとしている。この反応は自発的なもので、すべてのグループ層で同じ傾向が見られた」。

WSJのレポートを受け、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン、共和党・テネシー州選出)上院議員およびRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル、民主党・コネチカット州選出)上院議員が、Facebookについて、Instagramが10代の若者に与える深刻で致命的な危険について示した内部調査に対する同社の対応が透明性に欠けるとして、調査を実施することを発表した。上院の消費者保護・製品の安全・およびデータセキュリティ小委員会が調査を近々開始する。

「私達は、Facebookの内部告発者と連絡を取り合っており、Facebookがどのようなことをいつ頃知ったかについて、さらに詳しい文書を探すことや証人喚問も含め、あらゆるリソースを使って調査します。ウォール・ストリート・ジャーナルの衝撃的なレポートは氷山の一角に過ぎない可能性があります」と、ブラックバーン、ブルメンタル両上院議員は書いている。

ブラックバーン氏とブルメンタル氏だけがこのレポートに危機感を覚えた米国議員ではない。Ed Markey(エド・マーキー、民主党・マサチューセッツ州選出)上院議員、Kathy Castor(キャシー・カスター、民主党・フロリダ州選出)下院議員、Lori Trahan(ロリ・トゥラハン、民主党・マサチューセッツ州選出)下院議員もFacebookに別途書簡を送り、子ども向けのInstagramの立ち上げ計画を思いとどまるよう要求した。この書簡の中で「子どもと10代の若者は、オンラインによる害を特に受けやすい層であり、さまざまな知見により、Instagramが若者の心身の健康に著しい脅威をもたらすアプリであることを明確に衝撃的な形で示している」と彼らは述べている。

5月、44名の州検事総長が連名で書簡を送り、13歳未満の子どもにInstagramを提供する計画を放棄するよう同社に働きかけた。「Facebookはニーズに応えているのではないように見えるが、実はニーズを作り出しているのである。このプラットフォームは主にそれが存在しなければInstagramアカウントを持たない、または持たないであろう年齢層の子ども向けのものだからである」。と州検事総長らは書き、子ども向けInstagramは「有害だとする理由が数え切れないほどある」と警告している。

4月には、民主党の議員がやはり連名でInstagramが若年層のユーザーの心身の健康に与える影響について「深刻な懸念を」表明したほか、消費者擁護団体連合も子ども向けInstagramの立ち上げを再考するよう同社に要求している。

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WSJが入手した文書をもとに考えると、これらの懸念はすべて非常に妥当に思われる。広範な内部調査を実施しそこから重大な問題があることを把握していたにも関わらず、また規制当局が同社に対し何を実際に把握しているか知らせるよう定期的に求めていたにも関わらず、Facebookは表向き同社が持っている知識を過小に見せてきた。

Instagramのモセリ氏が先に、ソーシャルメディアと自動車についてしゃれにならない比較をしたことで、事態はさらに悪化したのではないかと思われる。モセリ氏はRecodeのポッドキャストでPeter Kafka(ピーター・カフカ)氏に「自動車があるために事故で亡くなる方がいますが、おしなべて考えれば、自動車はそうしたマイナスの要素よりもずっと大きな価値を世界にもたらしています。私はソーシャルメディアもこれに似ていると思います」と述べたのだ。

モセリ氏は、ソーシャルメディアの中毒性が十分な調査によって判明しているにもかかわらず、ソーシャルメディアと薬物、またはタバコとの類似性を否定し、かわりにソーシャルプラットフォームと自動車産業とを結びつけた。当然のことながら、同社を批判している人々はこの発言に飛びつき、ソーシャルメディアと死との関連性、および自動車産業はソーシャルメディアと異なり厳しい規制を受けているという事実を指摘した。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

Androidスマホに多数の運転者向け新機能、グーグルはホンダとの協業も発表

Google(グーグル)は米国時間9月23日「Android Auto(アンドロイト・オート)」に追加されるさまざまな新機能を発表した。また、2022年後半に北米で発売されるHonda(本田技研工業、ホンダ)の新型車より、ホンダとGoogleの協業による車載向けコネクテッドサービスの搭載が開始されることも、両社から発表されている。

Googleは2015年に「Android Auto(アンドロイト・オート)」と呼ばれるアプリを発表。これを使ってドライバーは車内でスマートフォンと車載オーディオを無線で接続し、スマートフォンから音楽を車内で再生したり、マップのナビゲーションをスピーカーから音声で読み上げたり、ハンドルを握ったまま車載サウンドシステムを通じて電話をかけたりすることができるようになった。それから6年が経った今、Android Autoも、それが動作する車載インフォテインメントシステムも、格段に賢くなっている。Googleは今回、さらに多くの機能をドライバーに提供すると発表した。これらの機能はドライバーがスマートフォンでAndroid Autoを起動しなくても、車載システムを通じて直接利用できる。

Android Autoは運転中のドライバーの気を散らさないように設計されたものだが、これまでは携帯電話を車載インフォテインメントシステムやオーディオシステムに接続するのにも一苦労だった。携帯電話でBluetoothが有効になっていることを確認し、クルマにデバイスを認識させてペアリングし、さらに実際にAndroid Autoにさせたいことをさせるためには、無数の音声コマンドを覚えなければならなかった。しかし、もうそんな必要はなくなるのだ! ドライバーは「Hey Google, let’s drive.」と声をかけるだけで、接続のプロセスを実質的に自動化できるようになる。

さらに、Googleはユーザーインターフェイスも刷新し、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、Audible(オーディブル)、iHeartRadio(アイハートラジオ)、JioSaavn(ジオサーバン)、Pandora(パンドラ)、Podcast Addict(ポッドキャスト・アディクト)、SoundCloud(サウンドクラウド)、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)など、数多くのコンテンツソースにワンタップでアクセスできるようにした他、受信したテキストメッセージをシステムが読み上げ、ドライバーが音声で応答できるようにした。これらの新機能は、今後数週間のうちに、英語圏をはじめ、ドイツ、スペイン、メキシコ、フランス、イタリアの各市場で提供される予定だ。

また、デュアルSIM携帯電話を使用している国際的な旅行者のために、Android Autoでは仕事用と個人用のプロファイルを別々に設定し、運転している時間や用事に応じて、関連する連絡先リストやカレンダーの予定を表示できるようになる。

車載ディスプレイを搭載している車両では、Android Autoに追加されたゲームなどの新機能を利用できるようになる。GoogleはGameSnacks(ゲームスナックス)と提携し、車を駐車している間、ドライバーに手軽で楽しい気分転換を提供する。これで公共の充電施設で座ったまま、くだらないニュースを読んで時間を潰す行為から解放される。さらにGoogleは、ガソリン代の支払い方法も簡単にした。「Hey Google, pay for gas」というだけで、Google Pay(グーグル・ペイ)による非接触型の支払いが完了する。もっとも、燃料の種類を選択したり、実際に給油したりする作業は依然として必要だが。この機能はまず、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Conoco(コノコ)、Phillips 66(フィリップス66)、76(セブンティシックス)の全米3万2500店舗のガソリンスタンドから利用できるようになる。

一方、車両搭載型システムの「Android Automotive OS(アンドロイド・オートモーティブOS)」は現在、Polestar 2 (ポールスター2)やVolvo XC40 Recharge(ボルボXC40リチャージ)といった一部の車に搭載されているが、今後はFord(フォード)やGMなど、さらに多くのメーカーやモデルに搭載されることになる予定だ。Googleはその最新のパートナーがホンダになることを発表した。ホンダはGoogleと協業して「Googleの車載向けコネクテッドサービス」を搭載した新型車を、まずは2022年後半に北米で発売し「その後、順次グローバルに展開」していくと述べている。Googleの車載システムは、Chevy Silverado(シボレー・シルバラード)とRenault Mégane E-Tech(ルノー・メガーヌEテック)にも搭載される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

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画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開

Apple(アップル)と「Fortnite(フォートナイト)」の大規模でドラマチックな訴訟は、どちらの当事者にとっても実際に望んでいた結論には至らなかったようだが、その解決策はフォートナイトファンにとって、同タイトルがApp StoreやAppleデバイスに戻ってくるかもしれないという希望を与えた。

しかし、そうは問屋が卸さない。法律用語が再びこのバトルロワイヤルに割り込んでくることになりそうだ。米国時間9月22日に投稿されたEpic Games(エピックゲームズ)のTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOのツイートスレッドを見ると、同氏とAppleの法務チームとの間で交わされたコミュニケーションは、Epicが裁判所の判決を不服として訴え続けている間は、Appleがフォートナイトを復活させる気がないことを裏付けているようだ。スウィーニー氏は、このプロセスによって、フォートナイトがあと5年以上App Storeから姿を消してしまう可能性があると見積もっている。

Appleは嘘をつきました。Appleは過去1年、世界、裁判所、報道機関に「Epicが他の企業と同じルールでプレイすることに同意するなら、EpicのApp Storeへの復帰を歓迎する」と伝えました。Epicはこれに同意しましたが、Appleは10億人を超えるユーザーに対する独占的な力をまたもや乱用し、これを反故にしました。

スウィーニー氏は、自身がAppleのPhil Schiller(フィル・シラー)氏に送ったメールと、Appleの法務チームから受け取った手短な返信メールを共有した。「Appleは、Epicの開発者プログラムアカウントを現時点で復活させないという裁量権を行使しました」と説明されており「さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定して上訴できなくなるまで、再登録を求めるさらなる要請について検討することはない」という内容だった。

以下がそのメールの全文だ。

ゲイリー様

2020年、正当な理由により解約されたEpicの開発者プログラムのアカウントを復活させて欲しいというAppleへの要請についてお答えします。Epicは、Appleからコードを隠し、関連する不実表示と不作為を行うことで、意図的な契約違反と信頼の失墜を犯しました。裁判所は判決の中で「Appleは、同社の行動に関し契約上の権利を持っていた。(Epicの) 内部文書によれば、Epic Gamesが期待していたように、これらの権利を行使したに過ぎない」と認めました(ECF No. 812 178-79頁)。さらに裁判所は「Appleによる、Epic GamesとAppleとの間の [開発者プログラムライセンシング契約] および関連する契約の解除は、有効かつ合法的であり、強制力がある」と判断しました(判決文179頁)。この判決を受けて、スウィーニー氏は、Epicが「フォートナイトをiOSに戻すために(代替決済システムを)引き換えにすることはない」と公言しました。裁判所の判決以降のこのような発言やその他の発言、そしてEpicの過去の二枚舌的な行動を考慮して、Appleは現時点ではEpicの開発者プログラムアカウントを復活させないという裁量権を行使しました。さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定し上訴が不可能になるまで、今後の復帰要請を検討しないこととしました。

マーク・ A・ペリー

裁判所は2021年9月初めの判決で、Appleは「反トラスト法に違反していない」と判断し、Epic GamesはAppleに失われたApp Storeの手数料を返済しなければならないとした。だが最も興味深いことに、AppleはApp Store内での代替的な支払い方法をブロックし続けることはできないとした。この判決はAppleのApp Storeの経済状況を非常に複雑にするものだが、Appleはこの判決を全体的に圧倒的な勝利とみなし、控訴しなかった。一方のEpic Gamesは、この判決を不服とし「戦い続ける」ことを誓った。

判決の直後に行われた記者会見で、Appleは、Epic GamesがApp Storeの他の開発者と同じルールに従うことに同意すれば、フォートナイトの復活を歓迎すると述べていたが、この発言は、Epicが判決に対して公式に控訴する前のことだった。

スウィーニー氏は、同氏のスレッドのさらに下の方にあるツイートで、Appleがフォートナイトの開発者アカウントの復活を拒否したことについて「Appleによるもう1つの途方もない反競争的な動きであり、彼らの市場を再構築して勝者と敗者を選ぶ力を示している」と述べている。

TechCrunchはAppleにコメントを求めている。

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

画像クレジット:Christian Petersen / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

Uber Eatsが最寄りのピックアップ飲食店を探せる新マップ機能を導入

Uber Eats(ウーバーイーツ)は、ユーザーが周辺のレストランや店を検索できるようにするピックアップマップ機能をアプリに新たに追加する。マップはユーザー向けにローカライズされ、これによりユーザーは言葉や絵文字を入力してどんな店が近くにあるのか、現在地から店舗までの正確な距離などを確認できる。

この新機能は、Uberが黒字化の目標を達成するのに助けとなると信じている部門であるEatsを強化しようという試みの最新例だ。今週初めに同社は予想よりも早い第3四半期に黒字化を達成できるかもしれないと明らかにした。同四半期のグロスブッキング(総取扱高)が最後の投資家説明会で株主に示した予想よりも増加し、また調整後EBITDAも力強いものになりそうだと述べた。

新機能は、近くの飲食店を探すのに他のマップアプリに切り替えていたユーザー10人中8人からのフィードバックに刺激を受けている、とEatsは話す。同社の広報担当によると、マップは世界中で展開されていて、ほとんどのユーザーがすでに使えるようになっているはずだ、とのことだ。

Uber EatsアプリとUberアプリどちらでも、アプリを立ち上げるとトップ部分にデリバリーかピックアップのオプションがくる。ピックアップを選ぶとマップが起動する。バーガーとタイプしたりピザの絵文字を入力したりすると、近くのバーガーショップやピザ屋が案内される。時間を節約でき、そして地域の店を探索するのを楽しめる機能性の向上だと同社は話す。

ピックアップのマップには70万ものレストランや店がある、としている。同社は世界中でピックアップ注文の増加を見込んでいて、顧客のために検索結果をすばやくビジュアル化するのを簡単にしたい、と話した。

関連記事:Uberが第3四半期に黒字化達成か、デリバリーと配車事業が回復

画像クレジット:Uber Eats

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

エンジンシ・ミュレーター・アプリ「Trans4motor」の航空機版「Trans4motor S」が発売開始

エンジンシ・ミュレーター・アプリ「Trans4motor」の航空機版「Trans4motor S」が発売開始

キットピークは9月22日、レシプロ航空機エンジンの動作や燃焼の再現の他、カスタマイズも可能なエンジン・シミュレーター・アプリ「Trans4motor S」(トランスフォーモーターエス)の発売を開始した(iOS版)。すでに発売済みの自動車・自動二輪のエンジン・シミュレーター「Trans4motor」(iOS版)の航空機版にあたる。R-4360 Wasp Major/ワスプ・メジャー(空冷星型28気筒)を近日追加予定。

iPhone(iOS14以降)、iPad(iPad OS14以降)に対応。価格は980円(税込)。Android版のリリースは、現在「検討中」とのことだ。

同アプリでは、ライト兄弟のライトフライヤー号に搭載されていた直列4気筒エンジンから、航空機特有の星型、倒立V型、W型、H型まで様々なエンジンを動かすことができる。ピストン、コンロッド、カム、バルブなど、エンジンのメカニズムとその動きが再現され、各パーツの分解や合体も行える。リアルな美しい画像とサウンドで「栄光のレシプロ航空機エンジンの発達を追体験」ができ、内燃機関の勉強にもなる。

カットモデル・モード

空冷フィンやクランクケースを任意の場所でカットし、動いている状態のエンジンの内部を観察できる「カットモデル・モード」

エンジン始動モード

「エンジン始動モード」では、スターターハンドルを回す、手動でのエンジン始動を仮想体験できる

「Trans4motor」の特徴は以下のとおり。

  • シームレスなエンジン形式の変形:エンジンが駆動している状態で、アニメーションを中断することなく、エンジンの形式を切り替えられる
  • エンジンサウンドとスロットル操作:エンジン音アプリ「RealEngineSim」を開発したサウンドデザインラボの協力により、新たに航空機のエンジン音合成を新造。気筒数、空冷、水冷の違いや、プロペラの干渉音などのサウンドがリアルに再現される。本格的な航空エンジン物理モデル(エンジン発生トルクや、プロペラの直径や枚数による空気抵抗によるエンジン回転抵抗などを毎時計算)も実装
  • カットモデル・モード:空冷フィンやクランクケースを任意の場所でカットし、動いている状態のエンジンの内部を観察できる
  • エンジン始動モード:スターターハンドルを回す手動でのエンジン始動を仮想体験できる
  • 機銃モード:零戦搭載の栄エンジンの九七式七粍七固定機銃や、bf 109搭載のDB601エンジンのMG 151/20機関砲を試射できる。スーパースローでプロペラと機銃の同調の仕組みを見ることもできる
  • エンジンの追加拡張:プリセットされているエンジンは、直列4気筒に、7気筒・14気筒・18気筒の星型、H型、W型、V型、倒立V型の8種類。ボア、ストローク、気筒数、星型の配列などを自由に編集して登録することも可能
  • インタラクティブ動画:「4ストロークエンジンの原理」、「カムと歯車」、「航空機銃と機関砲」、「スリーブバルブ」の4本のインタラクティブ動画を収録
  • 各種設定機能:プロペラ、カム、バルブ、スパークプラグなどの部品の表示・非表示を切り替えられる。金属質感、HDR(360度背景)切替機能

NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「閲覧のみで売買はできない」アプリを発表

「分散型インターネットのAmazon(アマゾン)」といわれるOpenSea(オープンシー)にとって、米国時間9月17日は大きな意味のある日になった。同社がiOSAndroid用のアプリを発表したのだ。ほとんどの企業にとって、モバイルアプリを用意することは、15億ドル(約1650億円)の評価額を達成する前に到達するマイルストーンである。しかしNFT(非代替性トークン)アートであってもなくても、実際の店舗で販売するときと同様に、アプリストアでの取引には、AndroidでもiOSでも、高額な手数料を取られる。おそらくそのためだろう、OpenSeaから華々しく登場したこの新しいアプリは、NFTを閲覧するためだけのものであり、売買するためのものではない。ちなみにOpenSeaは、8月に200万件の売買を記録しており、その取引総額は34億ドル(3738億円)に上る。Apple(アップル)とGoogle(グーグル)はアプリ内取引の30%を徴収するため、もしこれらの取引がアプリ内で行われたとしたら……34億ドルの30%、つまり10億2000万ドル(約1122億円)が両社の懐に入っていたことになる。

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もっとも、より大きな障害となっているのは、おそらくアプリ内での支払いを暗号資産で行う方法がまだないことだろう。OpenSeaが売買に対応するためには、米ドルで支払うためのインフラを構築し、より多くのユーザーをそちらに誘導する必要がある。しかし、OpenSeaの魅力の1つは、主としてEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンに依存した暗号資産ネイティブなプラットフォームであり、NFTがいつ鋳造されたか、誰が鋳造したか、どのように取引されたかなどの情報に人々が容易にアクセスできることだ。同社がそのプラットフォームを、よりドル寄りの方向に推し進めれば、既存のユーザーのエコシステムを混乱させる可能性がある。

このOpenSeaのアプリでは、ユーザーは自分のプロフィールに接続し、NFTの閲覧、NFTのお気に入り登録、NFTの検索とフィルタリング、コレクションとアイテムの統計情報の閲覧ができる。アプリ内でNFTを閲覧すると、そのNFTをアプリ外で共有するためのボタンが表示される。同じくNFTのマーケットプレイスであるRarible(ラリブル)は、1カ月ほど前にモバイルアプリをリリースしている。OpenSeaのアプリと同様、RaribleのアプリもNFTの閲覧のみが可能で、売買やトレードはできない。

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画像クレジット:OpenSea

そのうちアプリでNFTを売買できるようになるのかなど、OpenSeaのアプリに関する同社の計画についてTechCrunchは質問したが、回答は得られていない。もっとも、アプリで暗号資産の取引を行うものが、今までなかったというわけではない。PayPal(ペイパル)でも今や暗号資産による支払いが可能になっている。むしろ、OpenSeaのアプリは、ウォレットやブロックチェーンなどについて何も知らない人でも、簡単にNFTアートを閲覧できるユーザーフレンドリーな方法を提供することで、新しいユーザーをNFTの世界に呼び込かもしれない。

なお、このアプリが発表されたのは、OpenSeaの幹部がインサイダー情報に基づいてNFTを取引したとして告発されてから数日後のことだった。同社は米国時間9月15日にブログで、この従業員がその後、辞職したことを明らかにしている。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)