ワールドカップでのドイツ圧勝は、スポーツイベントでのツイート回数記録も塗り替えた

ワールドカップでドイツ―ブラジル戦が行われた日、しばらくの間はTwitterのタイムラインがワールドカップのドイツ―ブラジル戦に関するものばかりとなってしまった。当然ながら、多くの人が同じような現象を体験したようだ。7-1というドイツの衝撃的な勝利は、単独の試合としてはTwitter上で最も言及されたスポーツイベントとなった(via THR)。今年のスーパーボウルが打ち立てた記録を凌駕したのだ。

試合中、ゲームに関するツイートは3560万件を数え、ピーク時には1分間に580,166ツイートが発せられるという状況だった。スーパーボウルについては、試合中の関連ツイート数が2409万で、1分間のツイート数はピーク時で381,605件だった。サッカー関連ではこれまで、やはり今回のワールドカップでのブラジル―チリ戦が1640万件のツイートを集めてトップだったが、この記録も大幅に塗り替えられたこととなる。

最も多くのツイートがなされた瞬間といえば、ドイツのサミ・ケディラが5-0となるゴールを決めたときで、1秒間でのツイート数が580,166件にもおよんだ。4-0となったゴール、あるいは3-0となったゴールの瞬間が、それぞれ数千ツイート差で秒間ツイート数2番目および3番目となっている。ブラジル関連のツイートといえば「ブラジリアンワックス」に関することが多かったが、その記憶も追いやられる勢いだ。

壊滅的で悲劇的な状況でTwitterが盛り上がりを見せるというのは、ある意味で当然のことともいえる。ソーシャルネットワークは「出来事」を伝えるためだけにあるのではないが、しかし注目すべきイベントがあれば多くの人がそれをシェアする。さらにブラジル―ドイツ戦は「嵐」のような出来事でもあった。こうした情報を伝えるのに適した仕組みを持つのが、まさにTwitterであると言えるかもしれない。リアルタイムで情報を伝え、それに対するコメントがさらなる発言を生み、同時に嘆き悲しむブラジル人の写真なども数多くシェアされることとなった。これで盛り上がらないわけがないとも言えそうだ。こうした突発的盛り上がりというのは、プロダクトの成長戦略をたてるのに考慮すべきものではないかもしれない。しかし誰も予想しないようなできごとに対応しやすいのがTwitterであるとは言えるのではなかろうか。今後とも、ある意味で「突発的」な出来事を伝えるツールとして、Twitterは発展していくのかもしれない。

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Maeda, H


Facebook MessengerがやっとiPadに登場―マネタイズ開始も近い?

FacebookがBelugaを買収してスマートフォン向けチャットアプリのMessengerをリリースしてから3年になる。今日(米国時間7/3)、やっとiPhoneアプリを拡大しただけではないiPad専用Messengerアプリが登場した。iPad版にはスレッドのリストと現在のスレッドを並行して表示するマルチウィンドウ機能が備わっている。Messengerには4月の時点で2億人以上のユーザーがいるが、これでiPadの広い画面でメッセーjジがやりとりできるようになった。

Messenger for iPadにはスタンプ、グループチャット、VoIP通話などiPhone版Messengerのほとんどの機能がある。わずかに欠けているのは最近追加された2画面自撮りカメラ長押しでビデオ撮影の機能だけだ。Androidタブレット版についての計画は明らかにされていない。

FacebookとMessengerの双方をiPadにインストールすれば、Facebookのメッセージ・ボタンをタップするだけでMessengerアプリに切り替わる。Messengerの画面トップのバーをタップすればFacebookに戻る。〔日本版:日本版のMessenger v7.0ではそのようになっていないようだ。〕

Messengerがサポートするデバイスを増やすことはSMSを改革してモバイル・チャット分野でも優位性を確立しようとするFacebookの長期戦略にとって重要なテーマだ。Facebookといえばニュースフィードとプロフィールを思い浮かべるのが普通だが、多くのユーザーは一般公開されたコンテンツを毎日丁寧に読むわけではない。むしろ特定のユーザー間の直接のメッセージのやりとりがユーザーの日常生活にとって重要な役割を果たすようになっている。

またメッセージはユーザーのソーシャル・グラフに深く関わっており、ソーシャル・ネットワーク活動そのものといえる。そのためFacebookはこの分野で優位に立つために全力を挙げている。実際チャットはそれ自身で巨大なソーシャルネットワークをいくつも生み出している。これがFacebookが190億ドルの巨額でWhatsAppを買収した理由だ。世界で5億人のユーザーを持つWhatsAppには、ステータスアップデート機能などを備え、単なる無料SMSアプリという以上の存在になりつつあった。Facebookがユーザーの限られたアテンションを奪われる恐れを感じたのももっともだ。

今のところFacebookはMessengerからは直接収益を上げていない。Facebookはこれをユーザーの囲い込みに利用しているようだ。サポートするデバイスが増えれば囲い込みはそれだけ有効性を増す。しかしMessengerアプリを利用した収益化の方法はいくらでも考えられるだろう。最近、FacebookはPayPalの社長、David Marcusを引き抜いて、メッセージ・プロダクト担当副社長に据えている。

この人事を発表した際、Facebookは「Marcusはこれまで数々のすばらしいプロダクトを作り上げると同時に、それらをすばらしいビジネスに育てる方法を見つけ出してきた」とコメントしているのは興味深い。これから察するに、Facebookは近くMessengerのマネタイズを図るのだろう。Lineのようにユーザーがスタンプを購入したり、自分のデザインしたスタンプを販売してりできるようにするのもよいだろう。また、最近のLegoMinifiguresパッケージのように、大手映画スタジオ、おもちゃメーカーなどと提携してブランド・スタンプを販売することもできる。

しかしそれよりももっと大きなビジネスチャンスは、まさにMarcusの専門分野である「支払」だ。Messenger上にP2Pの支払いネットワークを作って少額の手数料を得ることもできる。現在、世界中でオンライン送金の手数料は法外に高い。海外へ送金しようとすると、送金額の1.5%から最高で20%にもなる。現在有力な送金サービスはWestern Union、MoneyGram、Telegiros、Remit2Indiaなどだが、Facebookが参入すればこうした既存サービスを打ち負かすことは可能だろう。Facebookの参入で手数料が下げれば母国の家族に継続的に送金している出稼ぎ労働者などが大きな恩恵を受けるだろう。

もちろん、iPhone/iPadはこうした労働者には高価すぎるデバイスだが、サポートされるデバイスが増え、サービスのユーザーが増えればMessengerがネットワークとしてさらに有効性を増すことになる。

〔日本版〕 記事中にも注記したが、AppStoreで公開されている日本語版Messengerはv7.0にアップデートされているものの、Facebookとの自動切り替え機能などは現在サポートされていないようだ。iPadのFacebookアプリでメッセージアイコンをタップしてもMessengerアプリは自動的に起動しない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、モバイルビデオ広告ネットワークのLiveRailを買収、ビデオ広告事業の強化へ

Facebookは先ほど、ビデオ広告配信テクノロジーのLiveRail買収したことを発表した。このスタートアップは広告主とウェブサイトのパブリッシャーを結びつけ、モバイル・ビデオ広告を毎月70億回も配信している。情報源によれば、Facebookの買収額は4億ドルから5億ドルの間だろうという。

取材に対してFacebookは買収条件についてのコメントは避けたが、「LiveRailの運営継続のために必要な資金を投資する。LiveRailとのデータの共有方法については今後検討していくが、基本的にはLiveRailの広告ターゲティングを助けるものとなるだろう」と述べた。社員170人のビデオ・スタートアップの買収によってFacebookのビデオ広告における地位は強化されることになる。

2007に創立されたLiveRailは、いわゆる「サプライサイド・ビデオ・プラットフォーム」として知られるサービスにメジャーリーグ野球、ABC、A&E Networks、Gannett、Dailymotionなどの有力顧客を抱えている。LiveRailは独自のビデオ広告ターゲティング・テクノロジーによって広告主が想定する対象に広告を表示する。またビデオ広告を供給することによってサイト運営者も助ける。

LiveRailはSan JoseのPond Venturesを主要投資家として、シードからシリーズCまでのラウンドで総額1200万ドルを調達している。 買収金額がわれわれの聞いたように4億ドルから5億ドルだというのが事実なら、Pondにとってこの投資は大成功だったことになる。

LiveRailの核心はリアルタイムの広告オークション・テクノロジーにある。LiveRailは広告配信先のサイトのすべてのビデオ広告掲載スペースとその条件をスキャンし、広告主に対してもっとも有利な条件の広告枠をダイナミックに判定する。この広告主とパブリッシャーの双方を利するテクノロジーはFacebookが開始したサードパーティーへの広告ネットワークを強化するためにうってつけだ。

LiveRailはまたCheckpointというテクノロジーを持っており、アルコール飲料、タバコその他の年齢制限のある広告が未成年者の目に触れないようにできる。

2013年にLiveRailはTechCrunchの取材に対して、対前年比300%の成長を続けており、年間売上1億ドルを達成できる見込みだと答えている。当時同社は2014年中の株式公開を考えていた。しかしFacebookの出した条件のほうがさらに良い選択肢となったわけだ。LiveRailが株式上場に懸念を抱くようになった事情はよく理解できる。IT系スタートアップの上場は次々に不調に終わっている。たとえば、YuMeは9ドルで上場したが、現在は5.95ドルだ。Tremor Mediaの上場価格は10ドルだったが、今は4.61ドルだ。

上で述べたように、Facebookは今年5月のf8カンファレンスでFacebook Audience Networkというモバイルビデオ広告ネットワークをローンチした。おそらく最終的にはFacebookのAudience NetworkとLiveRailは統合運用され、あらゆるプラットフォームのアプリにビデオ広告を配信することになるだろう。

この3月、Facebookは自サイト向けに15秒の自動再生ビデオ広告をスタートさせている。いわばFacebook版のテレビCMだ。LiveRailの広告ターゲティング・テクノロジーとFacebookの膨大なユーザーデータが統合されれば、たとえば映画の予告編などのビデオ広告をそれにもっとも興味を示しそうなユーザーに対して効率良く表示することが可能になる。

ソーシャル公告戦争は現在激しさを増しているところだ。今週月曜にはTwitterがモバイル広告の再ターゲティングのスタートアップ、Tap Commerceを買収したが、Twitterは今年に入ってネーティブ・フォーマット広告のNamo Mediaを5000万ドルで、モバイル広告市場のMoPubを3億5000万ドルの巨額で買収している。

広告費が活字媒体やテレビからオンラインにシフトする中、広告ターゲティングはオンライン広告の市場シェア獲得のためにもっとも重要なテクノロジーとなりつつある。LiveRailの買収によってFacebookはテレビCMに対する大きな優位性を手に入れた。同時に、われわれユーザーにとっても、まったく興味のない商品のCMビデオを見せられる可能性が減少するならメリットがあるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


6秒ビデオ投稿サービスのVine、「ループ」導入で再生回数がわかるようになった

自分の投稿したコンテンツが何度閲覧されたのか。多くの人が気になるところだろうと思う。そうした人に向け、Vineは「ループ」(Loop Counts)を導入した。投稿したビデオが、何度再生されたかを示すものだ。

ちなみに、ほとんどの人がご存知とは思うが、Vineとは6秒間のビデオをInstagram風フィードにて流すサービスだ。みた人はそのビデオを「re-vine」したり、コメントを書いたり、あるいはお気に入りとして登録しておくことができる。

今回のアップデートはウェブ版でも同様に行われている。どこかに埋め込まれて再生された回数も、そしてもちろんVine.coで再生された回数もカウントされる。対応しているプラットフォーム全体での再生回数がカウントされるわけだ。

また今回のリニューアルにともなって、フィードに表示されるビデオのサイズを大きくして、端から端までいっぱいに表示されるようにした。またお気に入りへの登録状況やre-vine数などを表示するアクティビティフィードも新しくなり、未読と既読がわかりやすくなった。また投稿したビデオの人気が出た際には(お気に入り投稿回数が25回や100回といった基準値に達した場合等)、これも通知されるようになった。

アプリケーション版についてはiOS版およびAndroid版の双方ともに新機能を盛り込んだものがリリースされている。こちらからチェックできる。

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(翻訳:Maeda, H


CoffeeMeetingの次の一手は空き時間の売買サービス「TimeTicket」

空き時間にお茶したい人を探すサービス「CoffeeMeeting」を運営する株式会社レレレが先ほど、個人の空き時間を売買する「TimeTicket」を開始した。サイト上では「Webサービスのこと何でも相談にのります」や「英日翻訳とか手伝えます」といった専門スキルありきのものから、「とにかく話を聞きます」「友だちのフリをします」「皇居をぐるりと一緒に一周歩きます」のような商品っぽくないものまでが販売されている。個人の空き時間を生かす点ではCoffeeMeetingと同じだが、TimeTicketはマネタイズを意識したサービスと言えそうだ。

空き時間を30分単位で売買する

サービスの流れはこんな感じだ。空き時間を売りたいユーザー(ホスト)はまず、「自分ができること」を登録。その後、シェアする時間(0.5〜5時間)と1時間あたりの価格(1000〜1万円)を設定する。空き時間は「チケット」としてサイト上に登録され、売り上げの一部(10%〜100%)は指定した寄付先に寄付できる。売上げの30%は手数料としてレレレに支払い、そこから寄付金を引いた金額が収入となる。

チケットに興味を持ったユーザー(ゲスト)は、予約日時と金額を指定して購入を申し込む。「この人にはもっと価値がある」と思えば、支払う金額を増やすこともできる。ホストに申し込みが承認された場合、ゲストはクレジットカードで仮支払を行い、予約した日時にオンライン・オフラインで会う。ホストは「ちょっとこのゲスト怪しい」と思った場合、承認をしなければ会わなくてもよいことになっている。

金銭のトラブルを防ぐために、ホストとゲストには直接チケット代金をやり取りさせないようにしている。ホストは事前に仮支払を行ったゲストだけに会えるし、ゲストとしてもホストの都合で予約当日に時間の提供を受けられなかった場合の支払いはキャンセルされる仕組みだ。

実用的なスキルよりも「個人のなんでもない時間」を販売

空き時間を生かして専門的なスキルを売買するサービスとしては、仕事のジャンルが多いクラウドワークスやランサーズをはじめ、最近では請求や経理、家事など特定のジャンルに特化するサービスが増えている。これに対してTimeTicketは、実用的なスキルというよりは「個人のなんでもない時間」が商品になっている印象だ。

レレレが運営する「CoffeeMeeting」は会員数が3万人を突破し、これまでに約1200件のミーティングが成立。それなりに利用数は伸びているようだが、山本氏によれば「無料サービスだからこそ成り立っている部分があってマネタイズが難しかった」という。これらが実際にどれだけ売れるのかはわからないが、サービスを運営するレレレ代表取締役の山本大策氏は、「これまで世の中になかった新しいサービスが生まれ、それだけで食べていける人が出てくるのが理想」と話している。


Google、提供してきたソーシャルネットワークのOrkutを9月に停止予定

Orkutをご記憶だろうか。Googleが2004年に立ち上げたソーシャルネットワーク・サービスだ。ブラジルおよびインド以外ではほとんど利用されなかったサービスだが、いくたびもの春の大掃除を奇跡的に生き延びてきた。これまでずっと、サービス終了は時間の問題であるとみなされてきた。そして、ついにその時がやってくるようだ

2014年9月30日をもって、Orkutはついにサービスを終了することとなる。その時点で、サービスへのログインはできなくなる。また、Google+へのデータのエクスポートもできなくなる。提供されているAPIなども、その時点をもって利用不能となる。

ただし、2016年9月までの間であれば、Google Takeoutを使ったエクスポートには対応するとのこと。ちなみにサービス停止の報を受けてOrkutに興味を持ったという人には残念な話がある。新しいアカウントの作成は、既に停止されているのだ。どのようなものだったのかと確認する術は永久に失われた。

GoogleはOrkutなどを擁してソーシャルネットワーク・サービスに参入を始めた。残念ながらアメリカではほとんど利用者を集めることができなかった。しかしブラジルでは、しばらくの間に過ぎなかったとはいえ、ナンバーワンのソーシャルネットワークであった。Facebookの方がメジャーな存在になったのは2012年になってからのことだった。インドでも善戦していて、2010年までは首位の座を保っていた

現在の状況をいえば、Orkut利用者の50%がブラジル在住だ。また20%をインドからの利用者が占めている。アメリカからの利用者はといえば18%未満ということになっている。

システム開発についていえば、2012年からほとんど放置されていたというのが実際のところだ。以前のGoogleサービスがメニューバーに存在し、今ではなくなってしまったGoogle Talkも現役であるかのように言及されていたりする。そんなこんなで、Orkutのサイトは既に古臭い感じのするものとなっている。Googleとしては、速やかにGoogle+に乗り換えてほしいと考えているわけなのだろう。

Googleの20パーセントプロジェクトからはじまって、これまでサービスが続いたというのは悪い話でもあるまい。しかしGoogleによれば、YouTube、Blogger、およびGoogle+など成功したプロジェクトについては(Google+が成功かどうかについてはいろいろと議論のあるところだろう)、「成長率がOrkutの成長率を凌駕している」という状況であるようだ。Googleは限定的なリソースに注力することにより「提供するソーシャルプラットフォームを、利用者にとって本当にエキサイティングな場所として提供していきたい」ということであるようだ。

訳注:TechCrunch JapanでもOrkutの話題はいろいろと取り上げてきました。過去の関連記事はこちら

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(翻訳:Maeda, H


Facebookによるユーザー感情操作実験の倫理性

[アップデート: 論文の共著者の一人でFacebook社員であるAdam Kramerからのコメントを末尾に付け加えた]

最近、Facebookユーザーを対象に、本人の了解なく一週間にわたる感情操作実験が行われていた。予算の一部は陸軍から出ている。この研究は、ユーザーのニュースフィードの内容が、ユーザー本人の感情形成に影響を与えるかどうかを発見することを目的とし、歪曲されたコンテンツを見た後の投稿内容のトーンを測定することによって判断するものだ。

70万人近いFacebookユーザーが、ポジティブあるいはネガティブに偏ったコンテンツを見せられた。研究の結果、ポジティブなニュースフィードを与えられたユーザーはよりポジティブな内容を投稿し、ネガティブなニュースフィードを与えられたユーザーはネガティブな内容を書き込んでいたことがわかった。

驚きの結果か? 疑わしい。倫理に反するか? その通り。

忘れてならないのは、実験の影響を受けたのが、直接操作された人々だけではないということだ。報告書によるとポジティブおよびネガティブグループのユーザー15万5000人が、「実験期間中1回以上近況アップデートを投稿している」。つまり、何十万という近況アップデートが、〈ネガティブに誘導されたユーザーグループ〉から発信されたことになる。こうしたネガティブ投稿が、さらに同種の投稿を呼んだ可能性は高い。

要するに、感染は玄関では止まらない。

この実験が、2012年のある一週間、数十万人の日々を暗くする以上の影響を与えたのかどうか、われわれにはわからない。しかし、その可能性はある。そしてそれは、本件を問題視するのに十分な理由だ。自社のユーザーを、本人の知らないうちに感情操作の実験台にすることは、薄気味悪いどころではない。これは、明らかに非礼で危険な選択だ。

誰もが良い感情状態にあるわけではない。あらゆる時点で、かなりの人数のFacebookユーザーが、情緒的に脆弱な状態にある。ネガティブな影響を取けた人々の中には、打たれ弱い人々や若い人々もいる。本誌はFacebookに対して、13~18歳のユーザー調査対象から除いたかどうかを尋ねたが、まだ回答を受け取っていない。

良好な精神状態の人に、不必要な情神的負荷をかけることは思いやりのない行為である。激励や支援を必要としている人に対して行うことは、残酷だ。

平均的Facebookユーザーは、同社と不文ソーシャル契約のようなものを結んでいる。私はあなたのサービスを使い、あなたは私がシェアしたデータを使って広告を配信する。そこには、Facebookがユーザーのデータや信頼を悪用しない、という暗黙の紳士的行動が期待されている。今回のケースでFacebookは、両方を破った。ユーザーのソーシャルグラフを、情緒的強迫を起こさせる目的で使用したのだ。

誰もが企業に操作されている。広告は、その中でも露骨な例だ。他にも気付いていないものがいくらでもある。こうした操作が蔓延した結果、われわれは少々慣らされてしまっている。しかしだからといって、陰で行われている行き過ぎた行為をわれわれが指摘できない理由にはならない。もしFacebookがこの実験を許すなら ― 調査の筆頭著者はFacebookのコアデータサインスチームの社員 ― 将来何が許されることになるだろうか?

私は、Facebookがニュースフィードの内容を、平均的によりポジティブにすべきだと言っているわけではない。そんなサービスは耐えられない ― 人生の出来事はポジティブなものばかりではなく、友達や愛する人にデジタルな方法で同情できることは、人生経験の新たな部分だ。そしてFacebookは、これまで何度となく様々な理由でニュースフィードを操作することによって、ユーザー体験の改善をはかってきた。

それは極めて理にかなっている。意図的にユーザーの感情形成を歪め、ユーザーの許可なく安全対策もなく、興味本位にネガティブ情報を広めることは別問題だ。無責任だ。

FacebookのKramerからの返信を以下に引用する:

最近PNASで発表した研究について多くの人々から質問を受けた。われわれがこの調査を行った理由は、Facebookが感情に与える影響、および当社のサービスを利用する人々のことを大切に考えているからだ。われわれは、友達がポジティブな内容を投稿するのを見ることによって、人々がネカティブに感じたり、疎外感を受けるという、よく言われる心配事を調査すべきと考えた。同時に、友達のネガティブな発言を見ることによって、Facebookを利用しなくなるということ懸念もあった。研究の動機付けは、論文に明記してある。

方法に関して、われわれは上記の主張を確かめるために、ニュースフィードのコンテンツのごく一部について、最少限の優先順位変更を行った(記事中に情緒的単語があるかどうかに基づく)。実験は、一部のユーザー(約0.04%、2500人に1人の割合)に対して、短期間(2012年前半の一週間)実施された。「非表示」にされた記事はなく、単に一部のフィードで表示されなかった。それらの記事は、友達のタイムラインでは常に見ることが可能であり、後のニュースフィードに表示された可能性はある。そしてわれわれは、一般通念とは正反対の結果を得た。ある種の(ポジティブな)感情を見ることは、感情を高揚し、抑制はしない。

そして、対象ユーザーに与えた実際の影響は、統計的に検知し得る最小量だった ― 実験の翌週にそれらの人々が発信した内容に含まれる情緒的単語は、1000語あたり平均1語少なかった。

われわれがFacebookで行っている研究のゴールは、いかにしてより良いサービスを提供できるかを知ることにある。この実験を設計、実行した本人として、われわれのゴールは決して誰をも動揺させないことであると私は明言する。一部の人々がこの実験に懸念を持つ理由は理解している。私は共著者らと共に、論文の説明方法やそのために生じた不安について、大変申し訳なく思っている。今考えれば、論文のもたらした利益は、与えた不安を正当化していないかもしれない。

われわれは、実施する調査を注意深く検討しており、内部レビュー体制の改善にも取り組んでいる。この実験は2012年初めに実施されたものであり、その後様々な改善がなされれいる。今後のレビューには、この論文に対する反響から学んだことも含めていくつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


孫さんが認めたサービスの開発者が手がけるデートアプリ「コッピア」

日本でFacebookを活用して恋人を探せるスマートフォンアプリといえば、2013年12月にヤフーと提携した「Omiai」や100万人が利用するという「pairs」などがある。この手のアプリはゴマンとあって、違いがよくわからないのが正直なところだけれど、今回紹介するデートアプリ「Coppia(コッピア)」を記事にするのは、その原点となったアプリがちょっと異色だからだ。

コッピアを運営するロケットスタッフは2011年3月、東日本大震災の被災者と支援者をマッチングするサービス「TwitForYou!」をオープン。被災者が欲しい物資と、支援者が送りたい物資の情報をそれぞれTwiterアカウントでログインして登録する仕組みで、これまでに家具や洋服、雑貨など2000件の物資がやりとりされたのだという。この取り組みにはソフトバンクの孫正義社長も「素晴らしい!」と絶賛している。

Twitterを使ったマッチングに可能性を感じた彼らが次に手がけたのは、現在地から10km圏内にいる人とチャットや写真共有ができるiPhoneアプリ「Pepper-meet」だ。この話を聞いてすぐに「近所同士の出会い系?」と思ってしまったが、ロケットスタッフ代表取締役社長の高榮郁氏曰く「近所同士の助け合いが目的だった」。結局は意に反して出会い系のように使われたためにサービスを終了。ところが、このアプリに目を付けた会社からデートアプリを作ってほしいというオファーが舞い込む皮肉な展開となり、2つのデートアプリを受託開発することとなったそうだ。

理想のデートプランでマッチングする「重くない」デートアプリ

そして今回、独自のデートアプリとしてリリースしたのがコッピア(イタリア語でカップルの意)というわけだ。自分が投稿したデートプランを気に入ってくれた異性とメッセージのやりとりをするのが特徴。デートプランを投稿した人は、1対1だけでなく、2対2以上のグループデートも選べる。アプリを見せてもらったところ、「ワールドカップ観戦できるビアガーデンに行きたい」「ダーツバーに行ってみたい、できれば複数で」といったデートプランが投稿されていた。

婚活や恋活をうたうデートアプリは、お互いのプロフィール写真に「いいね!」をした人同士をマッチングするものが多いが、高氏はこれらのアプリを「重苦くないですか? そもそも婚活ってキーワード自体が重い。出会いというのは、かしこまらず自然であるべき」と言う。コッピアは「同姓や異性にかかわらず、気軽に楽しいことができるサービスにしたい」と話し、早々に2000ユーザーを目指す。

利用するにはFacebookアカウントが必須。あとは保険証や免許証などの写真をアップロードして年齢認証を行わせることで安全面に配慮している。月額料金は無料で、課金はお互いの「サブ写真」(メインのプロフィール写真とは別にアップロードしている写真)を見たり、男性が女性にメッセージを送信するごとに発生する。現時点では東京限定のサービスだが、今後は大阪や名古屋での展開も見込んでいる。


フランスサッカー連盟、チームの応援ツールに「Yo」を導入

果たして「Yo」がコミュニケーションの「未来の形」であるのか、それとも「一時的な流行」にすぎないのか、まだ結論は出ていない。しかし流行であれば乗ってみるというのが一般的な動きであり、さまざまな分野から「Yo」参入の動きが見られる。

新たに「Yo」を使い始めたのは、サッカーのフランス代表チームだ。エクアドル戦を前に応援「Yo」を送ろう(ちなみに「Yo」の複数形は「Yos」だ)キャンペーンをはじめたのだ。フランスチームが得点すれば、お返しの「Yo」も戻ってくるという仕組みだ。母国であるはずのイングランドが敗退してしまったのは、こうした応援スタイルの進化に対応できなかったからかもしれない…。

ワールドカップで「Yo」が活用されるのは、今回が初めてというわけではない。「Yo」自身が、ゴールが決まれば「Yo」がくる仕組みを実装している。しかし国の代表チームまでもが「Yo」を活用するというのは、確かに「Yoミーム」が非常な広がりを見せていることの証拠とはなる。フランス語版などない状態でのことなのだから、たいした話だ。

サッカーのスコアよりも「Yo」の数が気になるという人にはフランスサッカー連盟の作ったページで確認できる。記事執筆時、試合開始前2時間の時点で2000件の「Yo」が送られていた。

日本語版追記:ちなみに試合は0-0だった様子。「Yo」の数は12000以上にのぼったようだ。

(訳注:「Yo」については「不思議なソーシャルアプリYoのユーザーが100万人突破、Googleが保険に進出?―US記事ピックアップ」でも解説しています)

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(翻訳:Maeda, H


Facebook、従業員の多様性データを公表。男性69%、白人57%(Googleらとの比較グラフ有り)

先ほどFacebookは、従業員多様性報告書を公開し、本誌はこれをGoogle、Yahoo、およびLinkedInと比較したグラフを作った。FacebookはGoogleよりやや多様性が高く、他社よりやや低いことが見て取れるが、男性、白人およびアジア系に大きく偏っていることから全社とも評価は Fだ。Facebookは全世界で69%が男性、米国では57%が白人、34%がアジア系、4%がラテン系、2%が黒人、そして3%が2種以上の混成民族だった。

職種別の内訳では、Facebookの技術系社員の85%が男性である一方、非技術系では53%が男性、上層部は77%が男性だ。

職種別の民族性は、技術系の53%が白人、41%がアジア、3%がラテン、1%が黒人。非技術系では、63%が白人、24%がアジア、6%がラテン、2%が黒人だ。そして、上層部は、74%が白人、19%がアジア、4%がラテン、1%が黒人だ。

Googleが先月報告書を公開して以来、多様性に関する透明性向上を求める声が高まっている。YahooおよびLinkedInもこれに続き、今やAppleとAmazonは、自社の多様性を公表していないことが際立ち始めている。

Facebookは、同社の戦略的多様性チームが、性別および民族間の平等性を高めるために進めている取り組みのをいくつか紹介した。Facebook Universityは、少数派グループの大学一年生にFacebookでインターンになる機会を与えるものだ。同プロジェクトは、Girls Who Code、Code 2040、National Society of Black Engineers、Society of Hispanic Professional Engineers、および Management Leadership for Tomorrowと提携している。また、Yes We Codesと協力して10万人の「機会僅少若年者」たちにコンピューターおよび教育プログラムの機会を与える取り組みも進めている。

Facebook 2013年インターンクラス

Facebookは、従業員の無意識のうちの偏見を取り除く訓練も行っており、知らず知らずのうちに表現される民族差別や性差別を無くそうとしている。同社は、様々な性指向の人々を支援する福利厚生プログラムも提供している他、異なる民族出身者や、LGBTQコミュニティー、および退役軍人らを支援する従業員人材グループも設置している。

女性は長年IT業界で少数派とされてきたが、これらの報告書が指摘する真の問題は、この業界に白人、アジア人以外が極めて少ないことだ。Facebook、Google、Yahoo、およびLinkedInのいずれもが、89~91%白人またはアジア人だ。

しかしこれらの会社を責めることは解決にならない。雇用慣習の改善は可能だが、そこには構造的不均衡が存在している。女性や非アジア系少数民族は、IT巨人で職に就くための準備となる科学、技術、工学、数学に関して、同等の奨励を受けて育っていない。早期にこれらの教育を受けない限り、スタンフォード、ハーバード、MIT等、大企業が採用する一流コンピュータサイエンス学科に入学することはない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


FacebookのSlingshotが世界中で利用可能になった

Facebookの新しいメッセージングアプリケーションであるSlingshotが、全世界で利用できるようになった。以前にもお伝えしたが、利用者の間で「特別な」操作を行うことが必要とされる。これまでは地域限定で公開されていた。

このSlingshotはもちろん、Snapchatに対する対抗プロダクトとしての意味も持つものだ。SnapchatはFacebookから独立したソーシャルネットワークを構築するものであり、それがある意味ではFacebookに対する脅威ともなっている。Facebookとしても、真剣に対処する必要があるわけだ。

アプリケーションでは写真ないしビデオメッセージを送る。落書きやエフェクトを追記して送ることもできる。そこまでは他のメッセージングアプリケーションと変わらない。ここで必要とされるのが「特別な」操作ということになる。送られてきたメッセージを見るために、自分の方からも写真ないしビデオを送る必要があるのだ。

ある意味では、自分ばかりが送り手になるのではなく、相手からの返信が(高い確率で)期待できるようになる仕組みだと言うこともできよう。

これまでのところ、利用者の受け取り方はさまざまであるようだ。メッセージをやりとりする人々の間での強制的な関係強化を面白い仕組みだと考える人もいれば、これまで何度か生み出されてきた失敗作のひとつとして葬り去られるだろうと考える人もいる。個人的には、なかなか面白いものだとは思う。ただ、大規模に利用されるようになるのかどうかについてはよくわからない。

写真を送らないとメッセージを見ることもできないというのを重荷に感じる人もいることだろう。情報の受け手としての立場でいたいと考える人も多いのだ。発言を強制されるようならば、アプリケーションの利用をやめてしまおうと考える人も多いのではないだろうか。

また、Facebookについて「クールじゃない」と感じる層は依然としているわけで、これはアプリケーションによって払拭できるイメージではないという見方もある。若い人たちは流行に敏感であるものだが、しかし2008年以来Facebookが「流行」となったことはないようにも思われる。今後の動向を見守りたい。

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(翻訳:Maeda, H


ワールドカップの最新ゴールのアニメGIFをツイートする「ReplayLastGoal」

TechCrunchらしくない話題かも知れないが、ブラジルワールドカップを楽しんでいる人に便利なTwitterアカウントを紹介しよう。@ReplayLastGoalというのがそれで、ワールドカップでの最新ゴールシーンのビデオやアニメGIFをツイートしてくれるボットだ。これはなかなか便利ではなかろうか。得点経過などを知る方法はいくつもあるが、このボットをフォローしておけば、得点シーンを見ながら経過を知ることができるのだ。

@Storify(2013年に@Livefyreに買収された)の共同ファウンダーであるXavier Dammanによるオープンソースプロジェクトで、1週間ほど前に登場してフォロワーを増やしつつあるようだ。

「試合が仕事時間中に行わるので、テレビでも見ることができないのです。それでこのTwitter Botの開発を思い立ちました」とDammanは言っている。「ゴールが入ったときにスコアをツイートするボットはありましたが、そのシーンを見たいと思ったのです。それで仕事外の時間を使って作ってみたというわけです」。

ボットは試合のライブストリームを20秒間記録し続けている。そしてゴールが生まれれば記録した映像を単独のビデオ化して、そこからアニメGIF化してツイートするという仕組みだ。ちょうどTwitterにアニメGIFの投稿ができるようになったところで、まさにタイムリーなプロダクトだといえる。

商用のプロジェクトではないので、ソースコードもオープンになっている。たとえば野球などで同様のサービスを作る人も出てくるのではなかろうか。

ところで、FIFAはこうした動きに、もっと目を向けるべきだと思うのだがどうだろう。放映権というのはあまりに面倒な仕組みであるようにも思うのだ。

(Photo Credit: Eser Karadağ /Flickr CC)

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(翻訳:Maeda, H


Twitter、「コメントしてリツイート」をテスト中―オリジナルのツイートがフルに表示される

Twitterは「コメントしてリツイート」(retweet with comment)という新しい機能をテスト中だ。

現在のTwitterでは自分の意見を付加してRTしようとすると、多くの場合、全体を140文字に収めるためにオリジナルのツイートを編集しなければならない。

念のためまず現在のTwitterのリツイートの仕組みをおさらいしておこう。

ユーザーはすでに投稿されたツイートの下部の「リツイート」リンクをクリックすることで、そのツイートを自分のタイムラインに再投稿することができる。これに対して、自分のコメントを含めてツイートを引用したい場合、オリジナルのツイートを引用符で囲んで引用し、引用の前に自分のコメントを挿入する。

しかしどちらの方法でもTwitterの140文字の制限は動かせない。公式リツイートの場合はオリジナルのツイートをフルに表示できるが、自分のコメントを挿入することはできない。引用リツイートの場合、140文字以内に収めるためにオリジナルのツイートを短縮する必要がある。

しかしテスト中の「コメントしてリツイート」では、気に入ったツイートをそのまま引用しながら、通常のツイートと同じように自分のコメントが書ける。

このオプションでは、ユーザーのコメントのツイートの下にRT対象のオリジナルのツイートがTwitterカードとして表示される。Twitterカードはこれまで写真やVineのビデオなどリッチ・メディアを表示するために利用されてきたが、この場合、スクリーショットのように引用対象のツイートがフルに表示される。

現在のところこの「コメントしてリツイート」機能は一部のユーザーを対象にテストされているようだ。Twitterは新機能に対するユーザーの反応を見るためにこうした実験をときおり行ってきた

「コメントしてリツイート」がテストされていることは、Twitterのプロダクト・コミュニケーションの責任者、Carolyn Pennerが自分のTwitterアカウントで利用しているのにMashableが気づいたことで発見された。

その後Twitterのタイムラインを調査した結果、Twitter社員だけでなく一般のユーザーもこの実験の対象になっていることが判明した。

例によって変化を嫌う一部のユーザーが怒っているものの、自分のコメントを含めてRTしようとすれば、いちいちオリジナルのツイートを編集しなければならない現在の仕組みにくらべてこの新機能はユーザー体験の大きな改良だろう。

Twitterは「コメントしてリツイート」に関してコメントを避けた。

画像: Mashable; Twitter users @xctrackforfun and @Deadbass_;

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、ユニークな写真共有アプリ、Slingshotを公開―写真を投げ返さないと相手の写真が見られない

先週、早まって一瞬公開されたFacebookの新しい写真とビデオの共有アプリ、SlingshotiOSAndroid向けにアメリカで正式リリースされた。

このアプリは友だちに写真やビデオを送れるが、その友だちがコンテンツを見るためにはまず自分も写真などを送り返さねばならないというユニークな仕組みになっている。プロダクト・マネージャーのWill Rubenは「全員がコンテンツのクリエーターになる。単なる観覧者は誰もいない。そこがSnapchatとの大きな違いだ」と述べた。

Slingshotの成否は、ユーザーがこの「返信してアンロックする」というユニークな特徴を不必要に面倒なハードルと感じるか、参加のインセンティブと感じるかにかかっている。

詳しい話に入る前に、簡単に概要を紹介してておこう。Slingshotは写真や15秒以下のビデオを、相手を指定して、または最近Slingshotで会話した友だち全員に送信できる。,コンテンツの存続は一時的で、閲覧後に消去される。ただし自分が作成したコンテンツは自動的に保存できる。友だちはFacebookの友だちリストないし電話帳の連絡相手から選べる。

ただしプライバシーはあまり強固ではなく、ユーザー名を秘匿するといういわゆるくオブスキュリティー・モデルに頼っている。したがって簡単に推測できるユーザー名を選んだ場合、誰でもSlingshotを通じて写真などを送りつけることができる。

デザインは全体に楽しげで、文字や線を描き込んだり、ユーモラスな効果音やBGMを入れたりできる。

こちらはFacebookのイントロ・ビデオだ。

Slingshotの動作

SlingshotはスタンドアローンのアプリでFacebookの一部ではない。サインアップにはスマートフォンの電話番号を用いる。アプリは電話帳と(メンバーである場合)Facebookの友だちリストをスキャンして新たなソーシャルグラフを作成する。FacebookのメンバーでなくてもSlingshotは利用できる。Slingshotは定期的に連絡相手をスキャンしてソーシャルグラフを最新の状態に保つ。

Slingshotのデフォールトはカメラ画面で、上部に小さいカウンターが表示され、ロックされている未読メッセージとすでにアンロックされたメッセージの数が表示される。画面下部のShootボタンをタップすると現在の画面が撮影され、長押しすると動画が撮影される。Selfieボタンをタップするとフロントカメラに切り替わる。さらにタップして最大5行のテキストを書き込める。

Slingshotにはよく出来たお絵かき機能も用意されており、右側のカラーピッカー・レールを使って好みの色を選択する。左右にドラグしてブラシのサイズを変えることができる。写真の顔にヒゲを描いたり夕日を付け加えたり自由自在だ。ドローツールは操作するたびにマンガ的な効果音が鳴って気分を盛り上げる。

処理が終わったらUseボタンをタップすると、最近Slingshotでなにかコンテンツを送ってきた相手のリストが表示される。その下にSMSで友だちをSlingshotに招待するオプション、まだSlingshotからコンテンツを送っていない友だちのリストが続く。アンロックしていないSlingメッセージにはモザイクをかけてぼやかしたサムネールが表示される。



プライバシーにはご注意

Slingshotの「オブスキュリティによるプライバシー確保」というポリシーには少々懸念を抱かざるをえない。もしユーザー名がどこかに公開されたり、簡単に推測できるようなものだったりすると誰でもあなたにSlingshotメッセージを送りつけてくることができる。メッセージを受け取りたくユーザーは、そのユーザー名を左にスワイプして非表示にできる(設定から再度表示するようにできる)。もしわいせつ写真などを送りつけてくるユーザーがいればFacebookに通報できる。

送信したコンテンツは全員がアンロックして閲覧した後、あるいは30日後に自動的に消滅する。このときFacebookはコンテンツをサーバーから削除するということだ。



Slingshotはブレークするか?

謎めいたコンテンツに「返信してアンロック」するという仕組みは自然に好奇心を刺激して自分もコンテンツを作ろうとするインセンティブになる可能性はある。誰もが興味を持つような印象的な写真はFacebookやInstagramに、親しい間でのプライベートな写真はSnapchatに、普段のなんでもないような写真がSlingshotに、と住み分けることになるかもしれない。

しかし同時に、「返信してアンロック」は面倒すぎる小細工だと感じられるかもしれない。テキスト・メッセージですむところをどうしていちいち写真つきでやりとりしなければならないのか、と感じるユーザーが多ければ利用は進まないだろう。 

「ソーシャルメディアでコンテンツを作っているのは1%のユーザーにすぎない」という「1%の法則」の現実を変えるのは必ずしも不可能ではないだろう。Instagramは巧みなUIデザインによって誰でもアーティスティックな写真のコレクションを作れるようにして裾野を大きく広げた。Slingshotはメッセージ・サービスというもっとも競争の激しい分野に挑戦している。もしかするとSlingshotはなんでもない日常写真を友だちと共有するという新しい分野を開くことができるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


実は女性8割のコミュニティになっていた料理写真共有サービス「ミイル」、体制を刷新して再始動

自分で作った料理や飲食店で食べた料理の写真に、美味しく見せるフィルターをつけてアップロードして交流する写真SNS「miil(ミイル)」運営のミイル。2013年に創業者だった中村仁氏が代表取締役を退任し、取締役だった高橋伸和氏が代表に就任。さらに2014年5月にはミイル(当時の社名はFrogApps)が創業期に出資を受けていたサイバーエージェント・ベンチャーズの元取締役である大下徹朗氏が代表となった。

先日代表に就任したばかりの大下氏に会ったところ、今後はミイルを「食を通じたコミュニケーションサービス」と再定義してサービスを展開するといった話を聞くことができた。

ミイルの登録ユーザーは現在32万人。そのうち8割は女性ユーザーで、中でも10〜20代のユーザーが6割を占めるのだという。月間で40万枚の写真が投稿され、Facebookの「いいね!」に相当する「食べたい!」は月間で900万件も付く。写真をきっかけにしたコメントのやりとりも多い。「料理は大変な家事。だがそれが作品や趣味として楽しめるようになっている」(大下氏)

ミイルがサービスを開始した当初、「スマホ時代のぐるなび、食べログ」の座を狙う料理写真共有サービスが複数あった。その多くは最近話題をあまり聞かなくなったのだが、ミイルはそういった店舗検索のサービスではなく、料理好きな女性に刺さるコミュニティとして成長していたようだ(その一方で、レストラン検索機能なども強化する予定があるそうだが、これは有料オプションとなるらしい)。ただまだユーザー数は30万人弱、まだまだ伸びしろはありそうだ。

そんなミイルは6月16日、「アンバサダー制度」を開始。あわせて、認定アンバサダーによる食品EC支援事業を開始した。

食品EC支援事業では、miilのアクティブユーザー数人を「アンバサダー」として認定。クライアント企業の商品をそのアンバサダーに無償で提供して、その商品を使ったメニューなどの投稿を促す。クライアント企業やミイルがアンバサダーへ金銭を支払うことはせず、いわゆる「ステマ」にはならないようにする。そのほかミイル内に「おとりよせショップ」を設置して、アンバサダーや商品購入者による写真の投稿や生産者による写真の投稿、ECサイトへの誘導などを進める。第1弾として、新潟県のカガヤキ農園と提携して事業を展開する。ミイルでは今夏中にも5件程度の提携を狙う。


モバイルでもいつもGIFを見ていたい人のためのアプリケーション「Nutmeg」登場

大好きな読者の方々に、素晴らしいアプリケーションの情報をお届けしようと思う。通常は記事を公開しない曜日ではあるものの、これはぜひともお伝えする価値のあるアプリケーションだと思うのだ。GIF動画を、とっても簡単にシェアすることのできるアプリケーションだ。

名前をNutmegという。モバイル版のGiphyだと思えばだいたいお分かりいただけるかと思う。アプリケーションを開くと、そこにはHello、Ugh Fail、Awesome、あるいはHaHaHaなどというメニューが並ぶ。もしこれらメニューの意味がよくわからなくても、メニューを選択すればどういう意味かがすぐわかることだろう。それぞれはカテゴリ名となっていて、カテゴリに属するGIFがまとめられている。

カテゴリを選んだ段階では多くの画像が表示されているが、その中から特定の画像を選ぶと、GIFアニメ再生がはじまる。そこで2度クリックするとメッセージ送信モードとなる。送り先を指定すれば、即座に表示されていたGIFを友達に送ることができるのだ。

まだできたてのアプリケーションで、GIFの枚数にも不足を感じる。現在、一所懸命にコンテンツの充実に向けて努力しているところであるそうだ。

尚、アプリケーションのトップには現在進行中のイベントに関するカテゴリも用意されている。もちろん、現在はワールドカップ関連のGIFを集めたカテゴリとなっている。

いろいろなGIFを見てみたいのに、なかなか良いものが見つからないという人は、ぜひともアプリケーションを試してみては如何だろうか。iOS版がこちらで公開されている。

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(翻訳:Maeda, H


アメリカのパロディーニュースの老舗、Onionが釣りネタでトラフィックを集めるClickHoleをローンチ

大げさな釣りタイトルの記事、なんとか診断、トップなんとかのリスト等々で手段を選ばずトラフィックをかき集めたいと考えているなら良い知らせがある。パロディー・ニュース専門サイトのthe OnionがClickHoleという釣りネタでクリックを集めるとBuzzFeedスタイルのサイトをオープンした。ソーシャルメディアのユーザーはこういう記事を拡散することで労せずに大きな反響を得ることができるというわけだ。出だしはなかなか好調のようだ。

現在のトップ記事は「流砂に埋まっていないビヨンセの写真トップ16枚」というものだ。次には「映画の有名シーンはやらせだった・トップ5」(パルプ・フィクションの殺し屋ジュールスは実在しない。サミュエル・L・ジャクソンという俳優が演じていた)とか「誰も聞いたことがない権力者」(それはバラク・オバマという男だ)というような記事が続く。なんとか診断も用意されているが、神がかり的にバカバカしい。

しかしそのうち、「こういう記事をいくら読んでもどこがおかしいのかわからない人々がネットには大勢いる」ということに気づいて暗い気持ちになる。

ClickHoleの運営で最大のハードルはこういうバカバカしい記事を今後も大量に補給できるかどうかという点だろう。願わくばこのサイトが長続きしてFacebookのニュースフィードに笑い(と恥かき)の種を撒き続けんことを。

〔日本版〕the OnionThe Borowitz ReportThe Daily Currantはアメリカ版虚構新聞のトップ3。日本のソーシャル・メディアでもこれらのサイト発のネタ記事を真に受けた読者が拡散しているのを見かける。ご用心。アメリカのパロディーニュースはこちらにリストアップされているので参考になる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


TweetDeck、ハックされたが脆弱性はすでに修正―ユーザーは一度ログアウトすること

アップデート:Tweetdeck は今朝(米国時間6/11)、ハッカーの攻撃に対処してセキュリティー上の修正を行うため一時サービスを停止したが、現在は復帰している。

当初の記事:

パワーユーザーに人気があるTwitterの公式クライアント、TweetDeck今朝ハッカーに攻撃を受けたXSS(クロスサイトスクリプティング)脆弱性を修正したと発表した。Tweetdeckはこのパッチを有効にするためにいったんログアウトしてからログインするようユーザーに求めている。

クロスサイトスクリプティングというのはブラウザを騙して外部のコードを実行させるハッキングの手口で、脆弱性が残っている間はユーザーはTweetDeckのウェブアプリ(あるいはChromeの拡張機能)を停止するしかない。パワーユーザーにとって大いに苛立たしい話だ。

XSSS脆弱性は、たいていの場合、この記事のトップのスクリーンショットのように、無関係なポップアップを開かせるのに使われる。しかし脆弱性を長時間放置しておくとハッカーがユーザーのアカウントを乗っ取ることも可能になる。今回のTweetDeckへの攻撃ではアカウントが乗っ取られた形跡はないということだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleマイビジネスは「御社の情報を無料でGoogleに掲載」するダッシュボード〔日本語化ずみ〕

今朝(米国時間6/10)、Googleはスモールビジネスのオーナー向けの新しいツールをリリースした。ビジネスのオーナーはこのツールを使ってGoogle検索を始め、Googleのさまざまなサービスに企業情報や写真を提供し、ユーザーレビューなどのフィードバックを得ることができる。このGoogleマイビジネスはスモールビジネスがGooogleを利用するためのワンストップ・ダッシュボードだ。もちろんGoogle+のアカウント管理もできる。

Googleマイビジネスの主なターゲットはいってみればまだ「Googleに登録」していないビジネス・オーナーのようだ。マイビジネスのホームページにはまさにそういう表現のボタンがある。

今日の発表にさりげなく埋め込まれていた興味深いニュースは、 GoogleプレイスやGoogle+のダッシュボードのような既存のビジネス向けサービスもすべて新しいGoogleマイビジネスに統合されるという点だ。「これらのサービスのユーザーはマイビジネスにアップグレードされます」とGoogleは告知している。

Googleマイビジネスに登録して必要な事項を入力すると、その情報はGoogle検索、Googleマップ、Google+に掲載される。どんなデバイスないしサービスからでも、ユーザーが検索すればその情報が表示されるようになる。ビジネスは住所、電話番号、営業時間などに加えて写真やバーチャル・ツアーを掲載することもできる。またGoogleレビューを読んで回答することもできる。

またこのサービスはFacebookページに対抗するGoogle+ページの作成や管理にも利用できる。マイビジネスのダッシュボードからGoogle+に顧客に知ってもらいたいニュース、イベント、写真などを簡単に投稿できる。

マイビジネスにはまたGoogle+ページのアクセスを表示するGoogle Insightsや地域密着型広告のAdWords Expressも統合されている。ビジネスのオーナーは自分のGoogle+ページの記事の表示回数、読者層、広告のクリック数などの情報を簡単に得ることができる。 (Google+のInsghtsについてはこちらが詳しい)

GoogleマイビジネスのAndroidアプリはすでにGoogle Playで公開されている。iOS版も近くリリースされる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LINEがセールスフォースと提携、海外の法人需要開拓の足がかりに

LINEと米Salesforce(セールスフォース)は10日、パートナーシップを締結したことを発表。LINEはSalesforceのCRMサービス「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と連携し、公式アカウントを持つ企業向けに提供する「LINEビジネスコネクト」の導入負担を軽減する。日本とアジアを中心に収益化を進めるLINEだが、アメリカやヨーロッパに強いセールスフォースと提携し、海外の法人需要開拓の足がかりにする狙いもある。

LINEビジネスコネクトは、公式アカウントを開設した企業が持つ顧客データベースと接続し、LINEを使ってユーザーごとに最適化したメッセージを送れるサービス。従来の公式アカウントは、すべてのユーザーに同じメッセージしか送信できない「一方通行」だったが、LINEビジネスコネクトは性別や年令などの属性に応じてメッセージを送り分けられるのが特徴。

2月の発表以降、注目を集めるLINEビジネスコネクトだが、企業側は顧客データベースを連携するためのシステム開発が負担だった。導入費用についてLINEは「一概に言えない」というが、一部の企業からは「億単位」といった声も上がっている。そこでLINEはセールスフォースのCRMサービスと連携することで、企業のシステム開発負担を軽減する狙いがあるようだ。(関連記事:LINEが企業向けにAPI公開、既存のマーケティングツールを置き換えようとしている

Salesforce ExactTarget Marketing Cloudは、顧客データベースやウェブ閲覧履歴などに応じて、メッセージやコンテンツを効率的に配信できるサービス。LINEの公式アカウントを持つ企業は今後、セールスフォースの顧客データベースと連携し、ユーザーごとに最適なメッセージをLINEで配信できるようになる。Salesforce ExactTarget Marketing Cloudの利用料金は明らかにされていないが、日経新聞によれば年間800万円程度だとしている。

両サービスの連携は10日に日本でスタート。両社は今後、既存顧客企業でお互いのサービスを検討している企業に対して、両社サービスの連携によるシナジー効果を訴求することで新たな顧客獲得も図っていく。