救急車を呼ぶとiPhoneが病歴やアレルギー情報を伝えてくれるようになる

911[日本なら119番]に電話したとき、対応した通信指令員が知っておくべき病歴をあなたはわかっているだろうか? 薬剤アレルギーや、現在服用している薬などだ。

iPhoneとApple Watchは、この情報を自動的に指令員に送れるようになる(本人が選択した場合)。

ユーザーがこの機能を有効にした状態で911を呼ぶと、Appleは指令センターの位置を確認して、 “Enhanced Emergency Data”(拡張緊急データ)に対応しているかどうかを調べる。これはAppleが数年前に開発したサービスで、救急センターに発信者の場所を伝えるしくみだ。対応していれば、ユーザーのメディカルID情報(ヘルスケアアプリで設定する)が救急サービスに通知される。

このしくみはApple Watchの転倒検出機能とも連動していて、ユーザーが転倒して動けないことを検出すると自動的に911を呼び出す。

新機能は今日(米国時間5/6)午前に公開されたiOS 13.5ベータに導入され、Appleは「数週間以内」に一般公開されると言っている。

これはきわめて理にかなった機能であり、まず間違いなく命を救うだろう。人は911に電話したときに冷静でいることはめったになく、ほとんどの人は意識を失いかけているときに、「ところで私は[薬剤の名前]にアレルギーがあります」と言おうなどとは考えない。しかしそれは、指令員が知るべきことなのだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

接触者追跡アプリのセキュリティー欠陥を指摘されたインド政府が「設計通り」と回答

インド政府は、国が作った接触者追跡アプリ、Aargya Setuが9000万ユーザーの位置データを取得し、地域内の新型コロナウイルス検査陽性者の密度を見られるようにしているのは「意図的」であると語った。

同国政府はフランス在住のセキュリティー研究者、Baptiste Robert氏がデザイン欠陥およびプライバシー問題であると指摘したことを受けて声明を発表した。

ユーザーの位置情報を取得していることは常に公表していると政府は言っているが、AppleとGoogleの共同プロジェクトなど、同様のテクノロジーと比べてセキュリティー保護が不十分であると専門家は指摘している。

Aarogya Setuのプライバシー・ポリシーによると、アプリはユーザーが登録した時に位置情報データを取得するだけでなく、「連続的に位置データを取得し、ユーザーがいた場所のデータを15分毎に端末に記録している。新型コロナウイルス検査が陽性だった場合、あるいは感染している可能性を示す兆候があると自己申告した場合、アプリはこのデータをユーザーのデジタルIDとともにサーバーにアップロードする。

位置データの収集は、たとえデベロッパーや運用者の善意であっても複雑な問題である。月曜日(米国時間5/4)にGoogle(グーグル)とApple(アップル)は、両者が共同開発した新型コロナウイルス追跡アプリの位置追跡機能の利用を禁止した。

デベロッパーの中には、感染爆発の動きや多発地域の確認のために位置データのアクセスが必要であると主張する向きもあるが、プライバシー擁護団体は、もしこのデータが暴露されると感染した人たちが排斥される恐れがあると警告している。

Robert氏がもうひとつ懸念しているのは、先月始めに公開されたAarogya Setuのユーザーは誰でも、半径500メートルから10 km以内にいる新型コロナ感染の疑いがあるか感染が確認された人たちの分布を見られることだ。同氏はTechCrunchに、自分が書いたスクリプトで、世界で2番目に人口の多いこの国のありとあらゆる場所について同様のデータを見ることができた、と語った。

3月後半に国全体の都市封鎖を行った同国政府は、せめて可視半径を500メートル以内にすべきだったとRobert氏は話した。

これに対してインド政府は、システムはデータを大量取得するスクリプトを防ぐよう設計されていると発表し、「この方法で複数の緯度経度データを取得することは、何人かの人たちにそれぞれが住む場所の新型コロナ統計データを尋ねるのと変わらない」と語った。

「この情報はすべて全地域について公開されており、いかなる個人情報や秘密情報にも抵触しない」と開発チームは語っている。

一部の人たちは、このような何千人もの死者がでる危機の中では、こうした「不具合」は取るに足らない問題であり、アプリははるかに大きな目的を果たしていると主張する。しかし、わずか35日間に9000万人のアクティブユーザーを集めたAarogya Setuは、その間にさまざまな反発を買ってきた。今月始めにインド政府は、政府および民間企業の従業員は全員、スマートフォンにこのアプリをインストールしなければならない、と発表した。

火曜日(米国時間5/5)に、デリー郊外で64万人以上が住むノイダ市では、当局がスマートフォンにAarogya Setuアプリをインストールしていない者は罰金あるいは懲役刑に処すると発表した。
新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleがアジア太平洋地域の18の報道機関に約2.5億円の資金を提供

米国時間4月30日、Google(グーグル)はアジア太平洋地域の18の報道機関に対して230万ドル(約2億4600万円)の資金を提供すると発表した。これは世界中の報道機関を継続して支援している同社の取り組みにおける最新の発表だ。

Googleはオーストラリア、インド、パキスタン、香港、日本、台湾など11の国と地域の報道機関に資金を提供する。アジア太平洋地域では、2019年後半からこのイノベーションチャレンジ資金提供の応募を受け付けていた。

Googleによれば、250以上の報道機関がこれに応募した。報道機関は、読者がコンテンツに対して喜んで費用を支払うようなエンゲージメントを高める方策を探り、その「アイデアの多様性と創造性」を示して応募した。

Googleの報道担当者はTechCrunchに対し、この230万ドルのイノベーションチャレンジは、選ばれた18の報道機関に均等に配分されるのではないと語った。また、選ばれた機関に対しGoogleがメンタリングとトレーニングのセッションも提供すると述べた。

インド最大の都市のひとつ、Lucknow(ラクノー)に拠点を置く報道機関のGaon Connectionは、農村地域の人々に影響を与える問題に焦点を当てている。インドでは、Gaon Connectionを含め4社がGoogleから資金提供を受ける。

Gaon Connectionの創業者でベテランジャーナリストのNeelesh Misra(ニーレシュ・ミスラ)氏はTechCrunchとのインタビューで、創業7年の同社にとってこの資金は農村メディアプラットフォームから農村インサイト企業へ転換するために役立つだろうと述べた。

同氏は「我々の事業では、有意義な統計データを活用することを目指してきた。インドの農村の人々の声を調査と研究で裏打ちすれば、その声は広く届くようになるだろう。自分たちには発言権がないという農村の人々の発言を、我々はよく耳にする」と語った。

同氏は「私はコンテンツを作る立場の人間で、技術には明るくない。最初の頃は厳しかった。現在はインドの300以上の地域に地元のジャーナリストがいる。我々がGoogleからの資金でプラットフォームを構築すれば、各地のジャーナリストたちはそのプラットフォームで調査し、ビデオや音声、テキストコンテンツを記録し、データを検討できる。このプラットフォームによってインドの農村部の人々は発言権を得て、都市部にいる政策立案者などは農村部の人々とその要望をもっと理解できるようになる」と述べた。

訳注:上図の「GNI」はGoogleニュースイニシアティブの略。

インドではThe Morning Contextも資金提供を受ける。同社は世界第2位のインターネット市場であるインドで、インターネットやビジネスなどを取り上げるオンラインメディアだ。同社は5月初めにシードラウンドを完了した。

パキスタンのThe Currentは「新鮮で、知っておくべきニュースだけ」を提供している。韓国からは、共同でリアルタイム分析をし、Googleに「読者に応じてカスタマイズしたエクスペリエンス」を提供すると評されたBusan Daily、Maeil Daily、Gangwon Dailyが選ばれた。

オーストラリアのAustralian Community Mediaは、地域の新聞と中小企業に役立つ案内広告の新たなプラットフォームを開発している。日本テレビはニュースアーカイブにARを取り入れている。

Googleのアジア太平洋地域でニュースおよびパブリッシングの責任者を務めるFazal Ashfaq(ファザール・アシュファク)氏は発表の中で「アジア太平洋の報道業界の重要性はこれまでになく増している。我々は今回選ばれた各機関がアイデアを実行に移すことに期待している」と述べた。

今回の発表は、Googleニュースイニシアティブが2018年5月に発表した3億ドル(約320億円)の資金提供の一環だ。同社はこれまでに世界各地で5回のイノベーションチャレンジを開催した。その内訳はアジア太平洋で2回の他、北米、ラテンアメリカ、中東・アフリカ・トルコで各1回だ。

画像クレジット:NARINDER NANU / AFP / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ドローンから就職支援、チャリティーポーカーまでテック企業に広まる支援の輪

Human Interest(ヒューマン・インタレスト)の共同創業者であるRoger Lee(ロジャー・リー)氏が米国サンフランシスコ市の自宅待機を聞いた時、彼はレイオフのニュースをブログに書き、クラウドソーシングされたレイオフ対象者のリスト掲載を始めた。彼のゴールはレイオフの現状を広く知らしめて、採用候補者を探すための場所を雇用者に提供することだった。

しかし1週間が過ぎ、スタートアップ40社でレイオフが起きた時、リー氏は自分のブログでは全米で起きている膨大な人員削減に対応できないことを知った。そこでレイオフ追跡サイトのLayoffs.fyi が生まれ、現在毎日数万人が訪れている。

同氏はこの追跡サイトと自分の会社であるHuman Interestのバランスをどうとっているのか? 彼はさまざまな視点にたって働くようにやり方を転換したと言う。同氏が手掛けている仕事は、今週取り上げたくさんの元気づけられる取り組みの一例だ。ではさっそく紹介に入ろう。

  1. 未来のアドベンチャー計画:多くのサイトが地域のレストランをサポートするギフトカードの購入を促進している。しかし、旅行業界についてははどうなのか? オレゴン大学の学生 Adam Faris(アダム・ファリス)氏は、アクションスポーツやアドベンチャー体験スペースの事業者を支援するために、新型コロナプロジェクトを友人らと立ち上げた。ファリス氏は、スキー、サーフィン、ホワイトウォーター・ラフティングなどのディスカウントを提供している会社の情報を集約して、中小企業の支援を呼びかけている。
  2. デベロッパーに特別な支援:Y Combinator(ワイ・コンビネーター)出身のリモート開発チームをつくるためのプラットフォーム、YouTeam(ユーチーム)は、volunteer developers(ボランティア・デベロッパーズ)というグループを結成した。新型コロナウイルス(COVID-19)関連作業をしているスタートアップなら誰でもここへ来て、技術支援を受けたり、フロントエンド、バックエンド、UXサポートなどの無料開発作業を申請できる。
  3. 小さな歩みで大きなインパクト:小児栄養会社のTiny Organics(タイニー・オーガニクス)は毎年1万ドル Partnership for Healthier America(パートナーシップ・フォー・ヘルシー・アメリカ)に寄付している。子どもたちに健康食品を確実に届ける取組みだ。Tiny Organicsは、スペシャルエディションの植物由来食品、Michelle My Broccoli Belle(ミッシェル・マイ・ブロッコロー・ベル)を開発し、収益の100%をFood Bank for New York City(フードバンク・フォア・ニューヨークシティー)に寄付する。
  4. 空からの助け:Skydio(スカイディオ)は全米の救急対応機関に自立飛行ドローン数十台を寄贈する。これは同社の緊急対応プログラムの一環だ。このドローンはスピーカーを搭載していないため伝達手段としては使用できないが、消防や警察が潜在的問題を間近で見る方法として使われる。Skydioはトレーニングとサポートも無償で提供する。さらに同社は、非営利団体のFrontline Support(フロントライン・サポート)と共同で、個人防護具(PPE)100万個以上を入手し、同社のサプライチェーンシステムを使ってワシントン大学病院システムに届ける。
  5. 安心スペース:異文化、LGBTQ、および女性が経営する会社のためのコワーキングスペース、Equal space (=SPACE、イコール・スペース)が、バーチャルなドアを開いた。同社はフリーランサーや中小企業オーナー向けに、トレーニング、ワークショップ、生産性講座、健康相談などのオンラインサービスを無料で提供する。
  6. 医療従事者を支援:Work & Co(ワーク・アンド・カンパニー)はAdobe(アドビ)、Dropbox(ドロップボックス)および多数の医学生と共同で、医療従事者を食料品デリバリー、割引保育、無料メンタルヘルスサービスなどとつなぐツールを開発している。このツールは医者、看護師、医学教員らから得た情報に基づき、現場で働く人たちが、PPEだけでなく、基本的な生活ニーズを満たすのを支援する。
  7. Bandcampが手数料を放棄:ユーザーがアーティストを直接支援できる音楽プラットフォームのBandcamp(バンドキャンプ)は、 アーティストから手数料を取らない日を何日か設定した。最初の手数料無料のイベントでは、アーティストの楽曲と物販の売上が総額430万ドル(約4億6000億円)に上った。リアルなコンサートを行うことのできない世界でアーティストを支援する斬新な方法だ。
  8. 無料奉仕ポータル:米国法曹協会と司法テック会社のPaladin(パラディン)は、新型コロナウイルスの影響を受けた人を無料奉仕の弁護士に紹介するポータルを共同で開設した。LegalZoom(リーガル・ズーム)とClio(クリオ)も同プロジェクトに参加している。詳細はこちら
  9. 就職支援:Binc(ビンク)は、Tiktok(ティックトック)、Stripe(ストライプ)、Nest(ネスト)、Groupon(グルーポン)などの企業のと共同で仕事しているリクルート会社だ。このほど同社は技術者の職探しを無料で支援するプログラムを立ち上げた。今月末まで、エンジニアリング、プロダクト、デザイン、マーケティング、および人事専門家に無料で就職を斡旋する。
  10. ポーカーチップで新型コロナ対策支援:Morning Brew(モーニング・ブルー)は、オンラインポーカーのトーナメント転じて募金活動を主催して、レストラン支援と現場作業者に食事を提供するFrontline Foods(フロントラインフーズ)の資金を集める。プレイするには100ドルの寄付が必要だ。

画像クレジット:Arttur Debat / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米下院司法委員会がAmazonのベゾス氏に不当競争問題について証言を要求

Amazonに難題が持ち上がった。米下院の重要な委員会がAmazonに不当競争行為があったのではないかと疑っている。

先週、5月1日に下院司法委員会はAmazon創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に超党派で書簡を送った。これはベゾス氏に対して、自身の以前の発言とWall Street Journal(WSJ)の最近の記事との矛盾について説明を求めるものだ。この書簡はAmazonが自身のデータベースからサードパーティーのビジネスやプロダクトに関する情報を収集し、Amazonブランドの競合プロダクトを開発するという慣行を特に問題にしている。

WSJの記事は「Amazonは自社ブランドのプロダクトを製造、販売する際、自身のプラットフォームでサードパーティのマーチャントから得た競争上の秘密と考えられるような情報を使用していないと議会その他に対して主張してきた」と述べている。

しかしWSJは多数の元社員から得た文書やインタビューによって、Amazonがこうした情報を利用してきたことを発見した。同社はビジネス上で最も有望な製品のジャンル、価格、機能などを決定するにあたって競合プロダクトの情報を参考にしていたと指摘している。

下院司法委員会は書簡で、過去のビジネス慣行に対する委員会の質問に対してベゾス氏は「誤解を招き、あるいは犯罪を構成するような虚偽ないし宣誓違反の証言をした」疑いがあるとしている。

さらに委員会は書簡で「当委員会の本来的活動の一環であるデジタル市場における競争の実態を調査、認識する作業にあたって、Amazonのデジタル市場での競争慣行についての質問に同社が正しく回答することは不可欠だ」と述べ、必要であればCEOに対して召喚状を発行するとしている。

新型コロナウイルス危機は米国のハイテク企業に対する規制強化の動きにある程度ブレーキをかけた。しかし今回の司法委員会の書簡は、我々の生活が大混乱に陥っている中でも、多くの議員が依然としてハイテク企業の責任に強い関心を抱いていることを明らかにした。

以下のScribdで書簡の全文を読むことができる。

画像クレジット:David Ryder / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ジョンズ・ホプキンス大学が新型コロナの検査状況がわかる新しいサイトを公開

米国における新型コロナウイルス(COVID-19)の検査状況を理解することは容易ではない。政府や公共、民間の医療機関などの異質な組織が関わっているためだ。新型コロナの追跡と基本情報源の収集にすばらしい成果を上げているジョンズ・ホプキンス大学が「COVID-19 Testing Insights Initiative」という新たなハブを立ち上げ、利用できる検査の種類や米国内でどのように実施されているかどんな規模で行われているかを詳しく紹介している。

新しいハブは、現在新型コロナをどうやって診断しているのか、2種類のテスト(分子生物学的と血清学的)はどう違うのか、検査を受ける際の支払いや該当する症状、暴露のリスクなど、よく聞かれる質問への答えを用意している。

特に重要なのは、検査実施回数を確認された感染者数、死者数と比較したグラフを州別に提供していることだ。一週間の検査陽性率の変化もすべての州について報告されいて、陽性者数の増減を週単位で見ることができる。

ジョンズ・ホプキンス大学は、データは必ずしも一貫していない、それはさまざまな公開情報を元にしているからであり、州のデータ自体も一貫していないからであると注意している。一貫性に欠けるデータから生じる不規則性についてはできる限りのことをしているが、データの事実を曲げることはしたくない、と同大学は言っている。

何回検査が実施されたか、どこで、誰が検査され、何人陽性だったかに関する全体像は多くの混乱と議論を生んでいる。ホワイトハウスが提供する数字は、州が報告する数字とことごとく不一致があり、検査総数については特にそうだ。

ジョンズ・ホプキンスの新しいハブは、検査の現状を州毎に見るために最良の情報源であり、新たな情報が入り次第更新される。検査能力の拡大は、あらゆる有効な新型コロナ対策にとって決め手の一つであり、われわれが適切に行動しているかどうかを示す通信簿の役割を果たすだろう。

画像クレジット:USC / L.A. County Department of Public Health

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルとグーグルが新型コロナ感染警告向け通知APIのベータ版をリリース

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行の抑制に取り組んでいるApple(アップル)とGoogle(グーグル)は共同で、感染者との接触をモニタするアプリを開発している。両社が感染追跡APIと呼んでいた感染リスク通知APIの最初のバージョンがリリースされた。これはデベロッパー向けAPIのシード版であり、フィードバックを得るのが主たる目的だという。公衆衛生機関と契約して感染者との接触を追跡しリスクがある人々にこれを通知するアプリを開発するデベロッパーが対象だ。

先週、アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏はEU委員会のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏に「APIはまもなくリリースされる」と述べている。これが事実リリースされたわけだ。ただし、現在利用できるのは「世界中の公衆衛生当局の依頼を受けてアプリを開発しているデベロッパー」だと両社は述べている。

シード版という意味は、5月中旬に一般に公開されるAPIに先駆け、デベロッパーから利用上の問題点などのフィードバックを得ることを目的としたテストだという。正式に公開されれば、デベロッパーはAPIを利用したアプリを開発してiOSとGoogleのストアから公開できる。

両社は「今週の金曜にAPIのリリースに関する詳細を発表する」と述べた。ここでサンプルコードに加えて実際にどのように作動するのかがが明らかにされるようだ。両社は一般公開された時点でマニュアルなどのドキュメンテーションのアップデート版も提供する。またテスト期間中、アクセスできるデベロッパーを随時追加する。ただし両社はAPIへのアクセスを公衆衛生当局のために活動するデベロッパーに限定している。

両社はデベロッパー向けサイトでスペックの詳細を記述した文書を公開しており、機能の改良についてのアップデートもすで行われている。先週の電話記者会見でも述べられていたが、ユーザーのプライバシー保護と利用の容易さには特に重点が置かれ、デベロッパーがこれをアプリ内で実装する方法に特に努力が払われた。

最新版では、公衆衛生当局がそれぞれの実情に基づいて独自の基準を作成しユーザーの感染リスクを判定できる機能が追加された。変数には新型コロナウイルス感染確認者と接触した距離や時間の長さなどが含まれる。デベロッパーはどのレベルのリスクがあった場合にユーザーに警告を通知するか容易にカスタマイズすることができる。

ベータアップデートでは、下のスクリーンショットにあるように、ユーザーが個々のアプリの新型コロナウイルスの感染警告の通知の有効、無効を簡単にトグルできる機能が追加されている。

両社は4月10日にAPIと、最終的には、OSレベルに感染リスク追跡機能を組み込むアプリを共同開発していることを発表した。APIの一般公開は5月中旬、その後数カ月の間にOSレベルでへの統合を行う予定だ。 このテクノロジーはプライバシー保護に留意してデザインされている。特定個人が識別されることがないよう、ランダムに生成したユーザーIDが割り当てられ、2週間で破棄されて新しいIDが付与されるという。

画像:Bryce Durbin/TechCrunch
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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが全米の新型コロナ検査施設をマップに追加

Apple(アップル)は、同社のマップアプリに全米の新型コロナウイルス(COVID-19)検査施設を追加した。全50州とプエルトリコが対象だ。この更新によって病院、診療所、救急施設、一般開業医、薬局などに加えて、専門の新型コロナ検査場など、検査が可能な場所の位置が表示されるようになる。さらに、位置を検索したときの目的地候補として新型コロナ施設が優先的に表示される。またアップルは、新型コロナ危機の中で人々がどのように都市を移動しているかを示す、Mobility Trends(移動傾向レポート)サイトも更新した。

マップアプリのアップデートは先週9to5Macが発見している。検査施設の提供者がデータベースに位置を追加するためにアップルが作ったポータルを通じてわかった。追加情報は既に有効になっており、パンデミックのためにカスタマイズされた優先検索オプションに追加されている。他には食料品店、フードデリバリー、薬局、病院、救急施設などが優先検索対象になっている。

移動傾向レポートは地域指定が改善され、米国、カナダで週単位での検索ができるようになり、地域の地元での呼び名が検索結果に追加され、世界中の人が目的の場所を見つけやすくなった。米国では、対象になる都市が追加されている。

アップリはこのデータを公開することで、政府や交通機関、都市などがパンデミックによる影響の理解を深めるとともに、ソーシャルディスタンスや自宅待機などの行動がどれだけ守られ、どれだけ効果を生んでいるかに関する情報を提供するために役立てることを期待している。このデータは、ユーザーがマップアプリで検索した目的地情報に基づいているが、アップルのマップには既にプライバシー対策が講じられているため、検索情報と共に個人情報が収集されることはない。

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UPSと薬局チェーンのCVSが処方薬をドローン配達、フロリダ州の高齢者地区で

運送大手のUPSと薬局チェーンのCVSは、ドローンを使った処方薬の配達を、フロリダ州の大規模高齢者居住地区であるThe Village(ザ・ビレッジ)で開始する。これは、ドローンメーカーのMatternet(マターネット)との2019年に開始した提携の一環でもあり、同社のドローンシステム、M2を使ってノースカロライナ州の顧客に同様の配達サービスを既に提供している。2019年3月の発表によると、Matternetのドローンはノースカロライナ州のWakeMed(ウェイクメッド)系列の病院に医療用品を届けている。ドローンは5ポンド(約2.3 kg)の貨物を最大12マイル(約19.3 km)運ぶことができる。

関連記事:UPSとCVS、ドローンで処方薬を米住居に初配送

今回のサービス拡大は、各州のロックダウン政策によって全米の住民が外出を制限されていることを受けたものだ。フロリダ州の自宅待機命令は少なくとも4月30日まで継続される予定だが、州内の海岸では一部の制限が緩和されている。

このドローン利用はFAA(連邦航空局)の小型無人航空機規約、パート107に該当するもので、パンデミック中の操縦および期間終了後に必要となる作業を許可されている、とUPSは説明している。同社はあと2カ所の近隣CVS店舗にも配送を行う計画だ。

ご存じの通りシニア世代(60歳以上)はこの新型コロナウイルスに対して最も脆弱な人々だ。80歳以上になるとさらにリスクは高まり、ウイルスに感染した場合の致死率は15%に上る。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixがミシェル・オバマのドキュメンタリー「Becoming」を5月6日に封切り

Netflixとバラクおよびミシェル・オバマのプロダクションが、彼らの新しい映画「Becoming」を発表した。それは、ミシェルが同じ題名のベストセラー回顧録を宣伝して回る全国ツアーのドキュメンタリーだ。

ドキュメンタリーの監督はNadia Hallgrenだが、映画はミシェル・オバマからのインプットにも大きくアクセスしたようだ。結局のところプロデューサー企業のHigher Ground Productionsは、オバマ夫妻がNetflixSpotifyなどのコンテンツを作るために創った企業だ。

そして発表には、ミセス・オバマからの書簡も付いていて、その中で彼女は、ありきたりの書籍販促ツアーではない、と言っている。曰く、「大小さまざま、老若男女さまざま、そして独立や連合さまざまのグループと一緒に私たちはストーリーを共有し、各地の会場をみなさんの喜びと心配と夢でいっぱいにしました」。

Higher GroundとNetflixが共同プロデュースした「American Factory」は、今年のオスカーで長編ドキュメンタリー賞を勝ち取った

NetflixとHigher Groundがこの映画を発表したのは今日だが、封切りは遅くない。Netflixの計画では、「Becoming」は1週間あまりのちの5月6日に封切られる。

画像クレジット: Netflix

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

看護師向けセラピーやベビーフード、食糧支援マップ、新型コロナ禍の困窮者を支援するテック企業

もしあなたが、先週Fortnite(フォートナイト)でトラビス・スコットの活躍を見た1230万人のひとりなら、きっと賛成してくれるだろう。人を元気にすることに際限はないと。TechCrunchのコメント欄によると、ある少年はスコットのパフォーマンスをスター・ウォーズ以上だと言ったそうだ。

Epic Games(エピック・ゲームズ)の人気マルチプレーヤーゲームであるフォートナイトは、このパンデミックの中でもビジネスを普段どおり継続する創造的方法を見つけた例のひとつにすぎない。しかし、このゲームはサイケデリック要素を加えたことで特別な加点を得た。

画像クレジット:Little Spoon

では、新型コロナウイルス(COVID-19)の中で必死に頑張っているテック企業がほかにもたくさんあるので紹介しよう。

シニアとボランティアを結ぶ架け橋

シニア層向けのサービスを提供するスタートアップ、Umbrella(アンブレラ)は、自宅待機命令のために家を離れられない高齢者に生活必需品を届けるボランティア数千人を募集している。配達物の中には非接触食料品や処方箋もある。ニューヨーク拠点の同社はシニアを地元の店舗やサービスと結びつけているが、新型コロナ感染拡大を受け、年間メンバー料金を免除するとともに、シニアと地元ボランティアをつなぐボランティア・プラットフォームを開始した。最近同社は、この取組みを拡大するために、Venture for America(ベンチャー・フォー・アメリカ)と協力関係を結んだ。

看護師の心の健康

看護師の就職斡旋などを支援するTrusted Health(トラステッド・ヘルス)は、オハイオ州立大学看護学部と共同で、今最前線で働く看護師たちの心の健康と福祉に焦点を当てたプログラムを立ち上げた。過去6週間に40万人の看護師が登録した。同プログラムは、心の健康を守るためのホットラインや4~8時間のコーチングと心理療法などのパートナープログラムをスタートした。

科学講座にリアルタイム字幕を

リモート教育は冗談ではなくなった。音声認識サービスのRev.com(編集部注:日本のRevcommとは無関係)は、K-12(年長~高3)の教員向けに文字起こしサービスを提供している。同社は声明で、このリアルタイム字幕はZoomへの統合が可能で、英語が母語ではなく苦労している生徒たちの助けになるだろう、と言っている。サービスは学年度の終わりまで無料で提供される

移民二世と低所得の生徒向けのコーチング

多くの移民二世と低所得家庭の学生にとって、学校閉鎖の影響は春休みの計画以上に大きな問題だ。何万人もの学生たちが、新たな食料、住居、仕事の供給元を探さなくてはならない。飛行機が危険だったり高価すぎるために故郷へ戻れない人たちもいる。大学の卒業に特化した非営利団体であるBeyond 12(ビヨンド・トゥエルブ)はCOVID-19 Virtual College Coaching Corps(COVID-19バーチャル・カレッジ・コーチング・コープス)をつくるための基金を開始する。これは、卒業が危ぶまれている学生の精神的・社会的・学問的支援に重点をおいた支援プログラムだ。同社は、過去2週間に30万ドルを集め、現在新たなコーチ20名の雇用と登録学生2万人を目標にしている。

隔離?大丈夫、ひとりじゃない

非営利のソフトウェア会社、Astra Labs(アストラ・ラブズ)は新型コロナの影響と戦う人たちを支援するウェブサイト、Isolatednotalone.comを立ち上げた。このサイトはこれまで見てきたホットラインや疾病対策センター(CDC)を詳細する取り組みとは少々異なり、パンデミックが原因で生じた困難な疑問に答えてくれる。愛する人が新型コロナで亡くなったことを知りました、どうすればいいでしょう? どんな葬儀ができるのか? 私が次にすべきことは何なのか? 等々。

レストランのための非接触ソリューションを無料で

テイクアウトを電話注文した客がレストランに受け取りに行くと、昔ながらのクレジットカードと署名(つまりウイルス)のやりとりがある。画面やペンの共有を避けるために、サンフランシスコ拠点で2012年設立のCardFree(カードフリー)は、同社のモバイル・オンライン注文システムを3ヶ月間無料でレストランに提供している。対象は中小規模の店で、このソフトウェアによって「サードパーティー配達アプリの仲介手数料を削減できる」とCardFreeは言っている。

Instagramの科学インフルエンサー全員集合

イタリア・ベニスのスタートアップで科学に基づくプロバイオティクスを製造しているSeedは、Instagramを通じて無料科学教室を開設した。ベンチャーキャピタルが支援する同社は、新型コロナの中で微生物はどのように働くか、という今ますます重要になっている複雑なテーマについて教えている。講座は全6週間。

スプーンで伝える善意

消費者直販ベビーフード会社で、セリーナ・ウィリアムズが支援するLettle Spoon(リトル・スプーン)は、子どもたちの食事に苦闘する親たちに無料または割引価格で食事を提供している。同社はフードバンクの全米ネットワークであるFeeding America(フィーディング・アメリカ)にLittle Spoonのベビーフード10万ドル分を寄付し、医療従事者向けにディスカウント販売している。さらにLittle Spoonは、雇用者と共同で、従業員の子どもたちにヘルシーで手頃価格のキッズミールを提供する取組みも行っている。

感情を話し合うフォーラム

このところ誰もが感じている感情の起伏の中には、Twitter(ツイッター)の280文字や仕事用のSlackグループでは表せないものがたくさんある。Now&Me(ナウ・アンド・ミー)は、感情の山や谷をみんなと共有するための話し合いの場をつくった。匿名でも投稿できる。共同ファウンダーのDrishti Gupta氏は、「オーケーでなくてもオーケーだと知ることが、元気になるスタート地点だ」と言う。

クラウドソーシングでつくる食糧支援マップ

このパンデミックは、世界中の食糧危機に試練を与えている。人権と栄養価の高い食品に特化した慈善団体であるWhyHunger(ホワイ・ハンガー)は、10x managementと同社ソフトウェアチームの協力を得て、米国全土にわたる無料食事提供場所のインタラクティブマップを作った。ソフトウェアエンジニアのGreg Sadetsky(グレッグ・サデツキー)氏とColin Wren(コリン・レン)氏がクラウドソーシングのオープンソースマップの開発に協力した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米議会が新型コロナ支援法案を可決、給与保護融資プログラムを拡充

米国時間4/23、米議会はCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響を強く受けた企業・組織に財政支援を行う最新の緊急刺激策を可決した。

法案は上院で2週間にわたる議論を呼び、共和党は包括性の低い案を推し、民主党は刺激策に他の基金を追加で織り込もうとした。最終的に、同暫定法は3100億ドル(33兆円)を確保して中小企業庁(SBA)の給与保護プログラム(PPP)を拡充し、病院に750億ドル、新型コロナウイルス検査に250億ドルを供出する。本法案は経済的損害災害融資(EIDL)プログラム向けの追加基金も含んでいる。

新型コロナ検査の資金には、各州と協力して国の検査能力を拡大するトランプ政権の「戦略的計画」策定にむけた具体的要求が付随している。検査能力の拡大は、国がビジネスの再開を認めるために必要だと医療専門家が言っている重要な要件だ。

新型コロナ危機によってその多くが壊滅状態にある全国の中小企業のために中小企業庁が実施した返済免除条件付き融資プログラムは、期待をもって迎えられたが、すぐに不満を募らせる結果となった。融資プログラムは中小企業が給与を支払うことを目的とするもので、社員の慰留に使われた場合には助成金として扱われる。多くの中小企業経営者は給与保護プログラム融資を扱う銀行を探しまわったが、申請受付が開始された直後にプログラムから締め出された。申し込み結果を受け取れずに宙ぶらりん状態の会社もあった。数日後に、基金は底をついた。

大手銀行は先着順システムをとらず、自らの利益の可能性に基づいて融資を小出しにしたと非難された。比較的大きい会社の中には、プログラムの抜け穴を見つけて資金をタダ取りしたものもあった。ちなみに、レストランチェーンのRuth’s Chris Steakhouse(ルースクリス ステーキハウス)は2000万ドルを手に入れたが、現在同社は返済すると言っている。

民主党はこうした問題の一部に対応すべく新たな分割案の採用を求めて闘い、最終法案では、資産100~500億ドルの銀行と信用組合に300億ドルの融資が割当てられ、資産100億ドル以下の銀行には別途300億ドルが割り当てられた。

トランプ大統領は本法案を承認する意向を以前から表明しており、できるだけ早く資金が利用できるように署名すると言っている。

関連記事:Senate passes new $484 billion relief bill to replenish small business loans, fund hospitals and testing

画像クレジット:Sarah Silbiger/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャル・ディスタンス制限を緩和すればピークは5月中旬にずれ込む、コロンビア大学の新型コロナ最新予測

米国ニューヨーク州のコロンビア大学メールマン公衆衛生学部は、米国における新型コロナウイルス(COVID-19)感染数のピークと減少について、ソーシャルディスタンス基準の違いに応じた最新予測を公表した。最新の情報に基づいて改定された予測によると、人との接触を約30%減らすことで、4月末にこの国の新規感染者数をピークにもっていける。しかし、減少が20%に留まると様相は劇的に変わり、ピークに達するのは5月半ばにずれ込み、1日の新規感染者数は最大3万人に膨れ上がる。

コロンビア大学の予測数値はホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースや米国疾病対策センター(CDC)、ニューヨーク市を始め全米の数多くの自治体への助言に使用される。今回改定された予測では、近々ピークを迎える可能性はあるものの、それは同じ時期に病院やICUの収容能力が最大限に達することを意味していると指摘している。さらにコロンビア大学の研究者らは、この情報はピーク到達の地域差は考慮にいれておらず、30%の接触削減が着実に行われていた場合であっても、地域によってピークを迎える時期が異なる可能性があると警告している。

コロンビア大学研究チームが開発したモデルは、感染者数および死者数、都市や州の境界をまたぐ移動、緊急野戦病院の収容能力など、モデルが最初につくられたときには入手できなかった情報も取り入れている。コロンビア大学のウェブサイト経由でモデルから導かれた日々の予測をインタラクティブなグラフで見ることができる

これ以外にも、最近多くの公衆衛生専門家、伝染病学者、医学研究者らが改定された予測を発表しており、ソーシャル・ディスタンスの緩みが新型コロナウイルス感染拡大を長期化、悪化させる壊滅的に結果につながり、さらには医療従事者(特に現場作業者)の負担を増やすことを指摘している。

MITも、現在の対人接触の制限緩和が及ぼす影響について、「指数関数的爆発」が起きると予測している。一方一部の州では、専門家や研究者が時期尚早との意見で一致しているにも関わらず、すでに制限の緩和を実施している。

画像クレジット:Rob Kim / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ隔離者の日記、中国から米国、そして中国への逃避行

【編集部注】TechCrunchのライターであるRita Liao(リタ・リャオ)の中国から米国、そして中国への帰国の旅は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界中で発生する何カ月も前に計画されていた。パンデミックによって、単なる帰国は大変な印象に残る旅になった。記事には彼女が移動した場所には触れられているが、ストーリーの本題に集中するためその詳細は省く。

焦点は、新型コロナウイルスの感染規模が拡大するなか、移動とともに世界の展望と見通しが変化する様子をユニークな視点で見ることができたことだ。この期間の日記をここに掲載することで、読者に主観的な視点の一部を伝える。当然ながら、(テック業界で働いているかどうかにかかわらず)現在のあらゆる人の生活に関係しているテクノロジーを、この記事では切り口にしている。アプリは、実際に人と会うことができないときに我々をつなぎ、物事を進めるうえで不可欠なものになっている。各国政府は事態の追跡にテクノロジーを慌てて使用している。驚くべきことに、最も一党独裁主義的だと考えられた対策でも危機には十分ではないのだ。結局、我々の情報すべてはインターネットからくるのだから。

14日にわたる中国での隔離は、午前1時に核酸検査のために街外れまで連れていかれるなど、想像を絶したものだった

出発

3月13日夜、フィラデルフィアから中国へ帰国するフライトの前夜、滞在していたAirbnbのホストが私の部屋にお別れを言いに来た。私は多数のマスクやハンドジェル数個をスーツケースに詰め込んでいたところだ。2月初旬、米国に到着してすぐ新型コロナウイルス感染防止のために買いだめしたものの残り。中国で生産がハイピッチで行われるようになったので、中国の家族に持ち帰ろうと思っていたもののほとんどを米国の友人や親戚に譲っていた。

3月初めにこの家に着いた際、細身で快活な50代初めの植物学者のホストにもこれらの防御グッズが必要かどうかを聞いた。彼女は穏やかに微笑んで、自分は心配していないと言った。フィラデルフィアにはほとんど感染者は出ていなかったし、彼女はマスクは使ったことがないらしい。

丁寧に断りながら彼女はこう尋ねた。「マスクをすると病気だと思われるわ。アジアの人はどうしてマスクをするの?」。

一般の人にマスクが必要かどうかについては賛否両論があると説明した。新型コロナウイルスの伝染を防ぐためには効果があるというのが合意の下にあるのだと。西洋の衛生当局者は長らく、患者または感染者と接触のある人だけに着用を推奨していたが、最近米国では公の場ではあらゆる人にマスクを着用するよう勧める動きが出てきた

アジアでは、新型コロナの発生以前からマスクの風習があった。 この病気の潜伏期間は27日間にもなる場合があり、多くの人が気づかないうちにキャリアになる可能性があることから、マスクの着用が他の人を守る結束の表れになった。中国の都市では、すでに公共の場でのマスク着用が義務付けられていた。私にとって、マスクは気休めでもあり顔を触らないためにも役立っていた。

1週間のうちに感染は全米で急速に拡大し、フィラデルフィアにも新たに何十人かの感染者が報告された。あらゆる大規模なイベントは中止され、私のホストも何件かのキャンセルの被害にあっている。

防御グッズがいらないか、もう一度彼女に聞いてみることにした。「ありがたくいただくわ。ハンドジェルを持ってないし、 マスクも持ってないの」。今回は目を輝かせて答え、こう尋ねた。 「でも、どうやって着けるの?」。

グッズを渡しながら、自分がコロナウイルスから逃れようとするのは2回目であることに気が付いた。数カ月前、今回の米国旅行を計画しているときは、それが2回もの大脱出になろうとは想像もしていなかった。最初は病気の感染が広がり始めている中国からの脱出、そして同様の危機が起こり始めようとしている米国からの脱出だ。

第1~2週:パラレルワールドでの恐怖

50日ほど前に米国に旅立つ際、私は不安で落ち着きをなくしていた。 客観的に考えれば、私が新型コロナに感染する可能性は低い。効果的な対策をいち早く講じた台北のような被害の少ない都市にいたし、香港発のフライトの99%の乗客はマスクを着けていた。しかし、出入国管理の突然の変更や、予告なく行われたフライトキャンセルなど、伝染病の流行によって引き起こされた不透明な出来事が重なることで、私の不安も高まっていた。

到着地のテキサスは不気味なほど普通だった。2月下旬に米国初の市中感染が報告される3週間前のことだ。入国審査では予想していた検査はなかった。体温チェックも、最初の新型コロナウイルス発祥地の中国の都市、武漢にいたかどうかの質問もなかった。 安心すると同時に、機内で着けていたマスクを捨てた。「ここは安全だ」と自分に言い聞かせた。マスクを外した理由の多くは、この地にはマスクに対する偏見があるためだったが、マスクをしていない人たちを見ることで安心感を得ようとしていた。

この安心は長くは続かなかった。実際この時から8週間、私は理性と妄想の間で揺れ続けることになった。

宿泊させてもらうはずの親戚と友人は、私を泊めることができなくなっていた。 彼らの雇用主はどちらもアジア系で、テキサス州にはそのような規制はなかったものの、中国からの訪問者と接触のある従業員に14日間の自己隔離を義務付ける新しい規則が言い渡されていた。

3月上旬、クリーニング用品が品切れになったテキサス州プレイノのコストコ。この時点での州全体の新型コロナ発生件数は1件。 この地区には多数のアジア系の人が住む(写真: TechCrunch)

厳密には、私は自由に外出できたが、現地の中国人コミュニティ内に存在する恐怖は明白だった。 祖国から離れている人々の気持ちを祖国につなぐためのデジタルツールは、国外の現実から引き離すものにもなった。 WeChatからの恐怖をあおる多量の投稿を見て、多くの中国人移民は、米国で大規模な流行が報告されるずっと前から日用品の買いだめを始めていた。 チャイナタウンはゴーストタウンと化した。中国にいる母は、米国ではアジア系の人しかマスクをしていないことを聞くと縮みあがり、マスクをするように、人込みを避けるように、というメッセージを連日送ってきた。

私が従ったのは後者のメッセージ、人込みを避け、自主的に14日間、他の人との距離を取ることだけだった。感染を恐れてのことではなく、無症状感染者として他の人を感染させるのでは、という妄想にかられていたからだ。この伝染病を理解するための情報をむさぼる行為は不安を強めることにしかならなかった。ここで体験した沈黙は、コロナウイルスがすべての人類にもたらした大きな不確実さの中での孤立と同様に、耐え難いものだった。

第2~5週:折り合いを付ける

2週間後、ついに人との接触を再開することを決めた私は、礼儀として自分が中国から来たことを人々に明かした。人々の反応はさまざまだった。

ほとんどの米国人の友人は中国の状況に同情を示し、私が安全な場所にいることを喜んでくれた。高齢者と同居している現地の歯科医は、21日後までは診察できないと言った。新型コロナの症状がでるまでに最長で21日間かかるという。 米国在住の中国人の友人の何人かは、疫病からの脱出を祝福するジョークを飛ばした。脱出のために来たのではないが、実際私はラッキーだった。50代の中国人の知人は握手を避け、米国に来て何日経つかを恐る恐る聞いてきた。

私を疑いの目で見る人のことは気にしないように努めた。 彼らの反応は生き残るための本能に過ぎないのだから。中国での感染の拡大に伴って信頼も損なわれていった。隣人たちはおしゃべりをやめ、エレベーター内でくしゃみをする人はひんしゅくを買った。 仕方ないことだが、こうしたちょっとした態度の変化が長期的には人との関りや精神衛生に打撃を与える可能性があるだろう。

この時点で、私は自分はおそらく感染していないと思った。 テキサス州が正常に機能していたこともあり、閑散とした並木道を他の人と距離を取りながら歩くことができた。 平静を取り戻したところで、米国旅行の2番目の目的地、フィラデルフィアに移動した。私は中国語で書かれたこの伝染病に関する記事の山をむさぼるように読み始めた。ウイルスの暗闇の中に一縷の望みが見いだせればと思っていた。

室内に閉じ込められた中国の人々は、難しい問題を熟考せざるを得なかった。それは離婚率の増加など、意図しなかった結果を招いた。例を見ない数の市民活動や、今回の危機に端を発する討論は、多少の慰めになった。一般の人が病気と闘うストーリーが党や市民のジャーナリストによって鮮明に語られた。内部告発者の李文亮氏の死は、インターネット上で類を見ない怒りを生み出した。もう1つ興味深いことは、インターネットユーザーが暗号を使って検閲されたインタビューを急いで保存したことだ

中国当局に対する異例の集団抗議運動は、瞬く間に断片化されたデジタルの世界に姿を隠した。中国の強硬な封鎖が実質的な効果を見せ始めると、オンラインユーザーは国の緊急時対策をいち早く声高に賞賛し始めた。一部の人はモバイルゲームや動画のストリーミングなどの気晴らしに没頭することで時間をつぶした。この間、学校や企業は、民間のテック企業によるITサポートの下、デジタル技術を駆使して再開されようとしていた。

人民の活力を維持するため、新型コロナ危機の中働く中国のフードデリバリーグループ美団のスタッフ(写真: Meituan(美団)

オフラインの世界でも中国は通常に戻りつつあった。 実店舗は再開を許可され、移動の制限は全国で緩和された。 人々は徐々に自宅から出始め、警備員の目の届かないところではマスクを外して新鮮な空気をこっそりと吸い込むのだった。

日常生活にそれほど変化がない人にとっても、生活はより不確かなものになった。 高収入を得られる職業に就いている人は仮想会議に出席したり、テレワークブームの恩恵を受けたりする一方で、サービス、製造、物流業界で働く人々は自宅にいるわけにはいかず、人々の生活を守るために昼夜を通して働いていた。おそらく彼らには有給休暇はなく、多くは企業健康保険も持たない。今回の健康危機は、格差を浮かび上がらせることにもなった。

第6週: 安全を求めることの代価

中国行きフライトの出発ゲートにたどり着くやいなや、中国が近いことが肌で感じられた。群衆は一様に何らかの予防対策を顔に装着していた。私はまだだった。何週間にもわたるマスクのない環境に慣れ、シカゴでの乗継時には着用の必要性を感じていなかった。他の人との距離を保つことだけは注意していた。香港と中国本土への乗客以外には、空港ではマスクを着けている旅行者はほとんど見られなかった。

それでも、私も一致団結の精神にのっとりマスクをつけた。しかし他の人の防御手段は、私を恥じ入らせるほどのものだった。多くの人は医療用手袋をはめ、研究室用の保護ゴーグルを装着している人もいる。中にはプラスチックのポンチョをかぶり、自分で触った物を消毒してまわっている。マスクの片耳を外して水を飲んだ私は悪いことをしたような気になった。機内食を食べるなどもってのほかだ。

他の人の防御手段に圧倒されただけではなく、それぞれが入手したマスクの違いにも興味を引かれた。丈夫だが入手が困難なN95マスクには法外な値段を払わなければならない。ほとんどの人はより安価な医療用マスクをしているが、これも供給者にコネがなければ入手は困難になってきている。スポンジマスク、イラスト付きの洗える布マスク、果てには自作のオシャレなショールのようなものなど、効果が定かではないものを着けている人もいた。2002年にSARSが流行した時には、私もハローキティのマスクを着けて小学校に通ったものだった。

フライトも防御格差を見せる小宇宙となった。ファーストクラスでは乗客同士は安全だと言われる距離を保って席に着くことができ、窮屈なエコノミーの乗客は伝染病が大流行する最中に飛行機に乗るリスクと、安全だと思う国への帰国のメリットを天秤にかけたのだった。

飛行機の席を確保できたことさえ恵まれたことだった。 航空会社はいずれも渡航禁止令による影響を受けていたものの、大規模な政策変更の前後には、需要が一時的に急上昇する可能性があった。新型コロナを世界的パンデミックとするWHOの宣言を受け、世界中の学校がオンラインでの授業に移行し、学生寮は閉鎖され、海外留学生は自国へ帰るように促された。 航空券の値段は急騰した。 帰国を希望しながら、その値段を支払えない人は取り残されることになった。

第7週:不確実さとの闘い

新型コロナを持ち込まないための中国入国時の健康検査(写真: TechCrunch)

飛行機が地球を横切っている間、新型コロナの中心地は国外に変遷し、私の地元の深圳市では海外からの感染の流入を防ぐため、4カ国からの入国者への強制隔離を8カ国に拡大した。これには米国も含まれていた。

午後8時、深圳の税関検査は病院の待合室の様相を呈し、何百mにも伸びた列はほとんど動いていないようだった。 コロナウイルスの感染者を検出するための検査が行われていた。この最新の政策は正式には発表されておらず、多くの旅行者はまだ家族が到着ゲートで待っているものと思っていた。イライラと混乱が、強烈な蛍光灯に照らされるホールに充満した。 全員へのウイルスのテストは入国時なのか、あとで隔離場所でされるのか?外国人も無料でテストを受けるのか?隔離には料金の支払いが必要なのか?

入国審査官すら詳細を知らなかった。中国の封鎖対策はウイルスの拡大と同様に流動的だった。帰国者の波は国の医療リソースを急速に圧迫し、隔離施設に姿を変えた格安ホテルを満員にした。

午前1時、やっと私の体温チェックの順番が来た。旅行履歴や健康状態など、同じような質問が書かれた異なる政府機関用の十種類ほどの書類に記入した。優れた技術力を誇っているはずの中国で、なぜこのような面倒な作業がまだデジタル化または合理化されていないのか?国民を監視するリソースが、政府の他の優先事項に回っているのか?

私は疲れ果てていたが、私を検査した税関職員は私より疲れているようだった。12時間を超えるシフトによる疲弊は明らかだった。防護具を全身につけてはいるものの、彼はマスクが鼻の下にずれているのに気が付かないようだった。

「あなたはいつ家に帰れるの?」と私が聞くと、「さあ。帰国者はこんなにいるんだよ。また中国で大流行を起こすわけにはいかない。今は働くしかない」と何でもないことのように答えた。

私の書類が整うと、国境を超えることができた。 直ちに中国はテキストメッセージで私の入国を祝福し、公安部への登録が促された。通信事業者からのロケーションデータで、私が最近「感染の被害が甚大な」米国にいたことが示されているからだ。 ウイルスの蔓延は、個人を監視することを政府にさらに正当化させた。不思議なのは、政府はすでに豊富な市民データを自由に利用できるのに、なぜ当初、武漢からの旅行者の追跡に苦戦していたのか、ということだ。

Rita Liao(リタ・リャオ)@ritacyliao 2020年2月12日
中国政府が移動データを基にコロナウイルスへの感染リスクを測るアプリを立ち上げた。 しかしなぜ今? 地方政府や企業から市民データを収集/統合することが困難だったから? もっと前に導入されていれば、このアプリがウイルスの封鎖に役立っていたのでは?

Rita Liao(リタ・リャオ)@ritacyliao
@thisboyuanが教えてくれたように、政府が伝染病発生中の人々の移動の追跡に苦心したことから、北京で実施している国民の監視システムにはまだかなりの問題があることうかがえる
2020年2月12日 3:45 PM

私は20人の旅行者からなるグループに振り分けられ、隔離先のホテルへ向かうシャトルバスを待った。20人のうちほとんどが海外へ留学していた中国人学生だった。私たちはすぐに打ち解け、この現実離れした8時間の入国審査について愚痴を言い合ったが、実際に怒っている人は誰もいなかった。反対に、最前線で働く医療従事者と出入国管理職員に心からの感謝を一様に口にした。

お腹がペコペコだった。1人が全員のWeChatグループを作って、食べ物のデリバリーを注文することを提案した。「3.14隔離」というピッタリな名前が付いた私たちのWeChatグループは、さまざまな問題が発生した隔離期間中の情報交換や、支え合いに役立つことになった。道路清掃車の音が遠くから聞こえる。時計は朝4時を打ち、バスはホテルに到着した。

第8週: 混沌の甘受

体温チェック、食事の配達、核酸検査、各種政府機関からの電話、新しい隔離場所への移動などが突発的に行われるなか、ホテルでの隔離中に身体を中国時間に戻すのは事実上不可能だった。ある夜、私たちは30分で荷造りして、バスで深圳の外れまで移動するように言われた。そこで私たちはウイルス検査を受け、8時間後の午前3時にまた前と同じ地区にある別のホテルに連れて行かれた。

隔離仲間たちは、この予測不可能な状況にいら立ち、助けになりそうな人に手あたり次第電話をかけ始めた。ホテル従業員、現地職員、親戚、友人から得た情報の断片をWeChatグループで共有するなか、何かが見えてきた。隔離システムは、民間組織と公的機関の間の大規模な動員と複雑な調整によって行われているらしい。これには、医療従事者や共産党下級行政機関(居民委員会と呼ばれる)から、政府の助成を受けたホテルや団地までが含まれる。

政策立案者による頻繁な変更に際し、たびたび各地の当事者はこれを大慌てで実施しなければならず、誤解を招いたり、逆効果の行動をとってしまうこともある。私たちをバスに詰め込み右往左往したのもこの結果だった。持ち場の仕事の説明しか受けないので、プロセス全体を把握していない。そのため、政策立案者に近いところからの情報を得ることが死活問題だった。ホテル従業員に何が起こっているか聞くより、疾病管理部で働く親戚に電話する方が役に立っていただろう。不確実な状況で少しでも確実な情報を把握したいとき、中国では個人的なコネが一層重要なようだった。

内部情報を聞き出した一部の仲間が、この仕組みを解明した。隔離場所に送られる前に、私たちは自宅住所を報告していた。これは各区政府がその帰国住民の隔離を担当するためだ。通常、財源の豊富な地区ほど質の高い宿泊施設と食事を提供するので、少しでもよい扱いを求めるのに必死な人たちにとって、この情報も貴重だった。

私は混乱を甘受することにした。少しでも情報を収集し、上層部からの継続的な規則の変更を把握しようとしたが、この対処法だと瞬く間に不安に陥ってしまうからだ。

セルフケアのためのアイデアは、これまでにいろいろと提案されているが、コロナウイルスから2回の脱出を遂げた私としては、少なくともその有効性は証言できるだろう。情報は1つか2つの信頼できる情報源に絞り込むこと。身体を動かすことを忘れないこと。誰かに電話すること。ユーモアのセンスをなくさないこと。深呼吸をして、マインドフルネストークに時間を当てるのもいい。新型コロナによって長期的な変化が起きる可能性はますます高まっている。今後の変化に備える気概を維持しておくことがのぞましい。

3月29日の午後、私の地区の居民委員会の職員が私のドアをノックした。青い防護服に身を包んだ職員に最後の体温チェックを受け、隔離完了を告げる書類をもらった。私はすぐにマスクを着け、階下に降りた。

街は一瞬いつもと同じように見えたが、よく見ると、中国を離れた2カ月間で起こった、目立たないが長期的な変化が見えてきた。

あらゆる人がマスクをしている。一人で車を運転している人でも。建物の入り口では体温チェックと消毒が行われている。多くの小さなレストランは閑散とし、営業を再開しているところでは中で食べている人より、外で待っている配達スタッフの方が多い。戦時下のようなプロパガンダポスターが街頭のあちこちに貼られ、疫病との戦いはまだ終わっていないことを告げている。世界は、以前と同じ状態にはもう戻らないのだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

個人の違法解雇につながる?雇用主は従業員に新型コロナテストを実施できるのか

Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が先週株主に送った毎年恒例のレターでは、当然のことながら新型コロナウイルス(COVID-19)について多く割かれていた。同氏はパンデミックを克服するためのさまざまなレベルでの取り組みを示した。その中には、従業員向けテストラボの設置が含まれていて「症状がない人を含め、全Amazon従業員を定期的に検査する」と書かれていた。

Amazonが、熱やその他の新型コロナ特有の症状がある従業員にテストを行うというのは既知の事実だ。結局のところ、同社は米国やその他の多くの国にとって小売を支える主要企業の1つだ。ウイルスが小包経由でうつされるとは考えられない、と世界保健機関(WHO)は述べたが、その一方でウイルスが倉庫内でかなり早く広まる可能性がある。

しかし症状のない従業員をテストするというのは、テストキットが限られているため、緊急性は低い。しかし、WHOやCDC(米疾病予防管理予防センター)、他の機関がそろって指摘しているように、症状がなくてもウイルスを運ぶことは大いにあり得る。この事実が新型コロナをより恐ろしいものにしている。

テストが広く利用できるようになったら、実際のところ、症状があるかないかにもかかわらず雇用主が従業員にテストを行えるのかをはっきりさせることが重要になる。公共の安全と個人の権利を考慮しなければならない大事な問題だ。

米雇用機会均等(EEO)委員会は、障害を持つアメリカ人法(ADA)のもとに雇用主向けのガイドラインを積極的にアップデートしている。

ADAとリハビリの法律を含むEEO法は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック時でも適用される。しかし、CDCや州・地方の公衆衛生機関が雇用主向けに出している新型コロナウイルスに関するガイドラインや提案を雇用主が守ることを妨げない。雇用主は、新型コロナウイルスパンデミックが広がるにつれ、公衆衛生当局が出すガイダンスが変わり得ることを考慮すべきだ。ゆえに、雇用主は職場の安全性維持に関する最新情報を引き続きフォローする必要がある。

パンデミックに対応するためにアップデートされたものの1つが、体温チェックを含むスクリーニングだ。「パンデミックの間は、ADAが適用される雇用主は従業員にパンデミックを起こしているウイルスによる症状があるかどうかを尋ねることができる」と米雇用機会均等委員会は続ける。「新型コロナウイルス感染症に関しては、症状として発熱や悪寒、咳、息切れ、喉の痛みなどが挙げられる。雇用主はADAに従って従業員の病気についての全情報を機密の医療記録として扱わなければならない」。

我々は、雇用と商事の訴訟を専門とするDebevoise & Plimptonの弁護士、Tricia Bozyk Sherno(トリシア・ボジック・シェルノ)氏に質問をぶつけた。

「既存従業員の場合、健康調査や検査は、特定の従業員がその健康状態によって『直接的な脅威』になると雇用主が合理的確信を持つ場合のみ許される」とシェルノ氏は説明する。「新規従業員に関しては、仮雇用契約のあとで雇用主が健康調査を実施することをADAは認めている。しかし個人が働き始める前に受ける検査は、同じ部門の従業員に提供されているものと同一のものでなければならない。既存のEEOCガイダンスが想定している主な『健康調査』は体温測定だ。参考ガイダンスでは新型コロナウイルス感染症テストについてまだ言及されていない」。

テストに関する現在のルールは、直近のガイドラインのもとでは完全に明確ではない。ただ、テストが広く受けられるようになり、また州政府が外出規制を緩和し始めているため、今後ルールがはっきりすると思われる。パンデミックがもはや脅威でなくなれば、ガイダンスは適用されないことが予想される。その後、ADAガイドラインのもとに残るものはといえば、新型コロナウイルス感染症のような症状をめぐっての個人の違法解雇だ。

「ADAは障害を持つ個人に対する差別を禁じていて、雇用主にはそうした個人に合理的配慮を提供することを義務付けている。地方自治体の法律が、影響を受けている従業員に追加の保護策を提供するかもしれない」とシェルノ氏は話している。

画像クレジット:zhangshuang / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

事業用不動産は新型コロナ終息後の回復に影

ここ数年の好景気により、事業用不動産のオーナー、不動産業者、土地所有者たちは、年間数千億ドルもの収益を上げてきた。

それが今、新型コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた経済危機で、大打撃を受けている。さらに悪いことに、不動産業界は元に戻れないほどに変わり果ててしまう可能性もある。

今、賃貸料を回収するのは明らかに至難の業である。National Multifamily Housing Councilによれば、米国では、3月5日の時点で家賃を支払えた世帯が81%であったが、4月5日にはそれが69%まで激減した。昨年の同じ時期には82%の世帯が家賃を支払っていたのに、だ。

解雇された人や自宅待機となった人の数が急増したことを考えると、この数は、5月5日までに、ほぼ間違いなく悪化するだろう。

事業用不動産でも、問題は深刻になりつつある。賃料を支払えなくなり、立ち退きを余儀なくされた小売店やレストラン業は数え切れない。さらに、大手チェーンの中にも、賃借料の支払いが困難になったり支払いを拒否したりする企業が増えている。

例えば、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるところによると、WeWorkは米国にある一部の施設の賃借料を支払えず、リース契約についての再交渉を試みている。とはいえ、WeWorkは自社がコワーキングスペースを提供するテナントには賃料の請求を続けている

StaplesSubway、Mattress Firmも、賃貸料の値下げ、リース契約の修正、新型コロナウイルスの影響で被った損失を埋め合わせるその他の措置を講じるよう建物のオーナーに強く迫るため、賃貸料の支払いを停止したのである。

目まぐるしい変化

一番答えが知りたい質問は、次に何が起こるかということだ。行き詰ってしまった資産を何とかしようと、その方法を探る人たちもいるが、事業用不動産市場が元に戻らないという可能性は非常に高い。

小売業者やレストランが姿を消していく一方で、オンラインで事業を展開する企業の業績は上がっている。Amazonは、悪い評判がないとは言えないが、それでも一日ごとに市場シェアを拡大している。実際、Amazonの時価総額は今週1兆ドルの大台を取り戻した。

数週間前に報じた通り、ストリートウェアのオンライン販売を手掛けるStockXも急成長している。StockXのCEOであるScott Cutler(スコット・カトラー)氏は、その時にこう語っていた。「StockXは、これまでもずっと希少性の高い購買プラットフォームだったが、実際の店舗に行けなくなった今、StockXの利用者はさらに増えている」。

特に、サンフランシスコ、シカゴ、ボストン、ニューヨークといった市場では状況が急速に変化する可能性がある。個人経営の店やレストランがしのぎを削るエリアであったのに、ベンチャー企業の従業員やサラリーマンたちが突然在宅勤務となってその業務形態に順応してきており、消費需要が落ち込んでいるためだ。

Cadenceの創設者兼CEOであるNelson Chu(ネルソン・チュー)氏の例を考えてみよう。Cadenceは、ニューヨークにおいて17人のスタッフで証券化プラットフォームを運営する駆け出しの会社である。最近、400万ドルの資金調達に成功し、先月、住宅地内の物件の賃貸契約を結んだ。その契約では、オフィスを移転できるまでは、賃借料を請求されないことになっていた。

Cadenceにしてみれば、良い条件である。使ってもいない場所の貸借料の支払いを心配しなくて済むのだ。それにもかかわらず、Chu氏は、リモートで働かなければならない状況に追い込まれたことで、自社の業務形態にリモートワークをもっと組み込む余地があることに気づかされたと述べている。

Chu氏は次のように語っている。「これまでリモートワークがビジネスを継続する上で悪影響を及ぼすのではないかと心配されてきた。しかし現在、リモートワークが強いられる中でも、業務には何の支障も出ていない。これは、オフィスの規模を縮小し、州外に住む従業員が毎日出勤しなくても運営が成り立つことを示しているのではないだろうか」。

想像に難くないが、これまでテレワークというトレンドに同調してこなかった他の起業家や経営陣も、Slack、Googleスプレッドシート、Zoomなどのツールを使うようになり、同じ結論に達しつつある。

生き残りをかけて

リモートワークに関するこの新たな可能性は、不動産会社に直接影響する。

事業用不動産向けサービス会社大手のCBREで、調査と分析のディレクターを務めるColin Yasukochi(コリン・ヤスコチ)氏はこう語っている。「リモートワークは現在、その運用が活発に検討されている分野である。今はリモートワークを余儀なくされている状況だが、その働き方を今後も続ける企業が当然出てくるだろう。問題はリモートワークの規模や期間がわからないことだ」。

この状況はもちろん、CBREや他の不動産業界が今年期待していた動向ではない。昨年11月にCBREが発行した「市場展望」レポートの内容はかなり楽観的だった。当時は、「不測のリスクがなければ」と前置きした上で、「活発な経済活動、強固な財務基盤、低金利、資産クラスとしてある程度の魅力が不動産にあること」について考えると、2020年は事業用不動産業界にとって「非常に良い年」になるであろうと推測していたのである。

ご存知の通り、その後の数カ月間に生じた「不測のリスク」により、企業は休業に追い込まれ、産業界のほぼすべてのセクターにおいて一時解雇が余儀なくされている。また、ウイルス感染の本質が明らかになった今、オフィスに再び出勤できるようになったとしても、人が密集する職場に行くことに気乗りしない人が出ることも十分に考えられる。

オフィスに行かずに仕事ができることを知ってしまえば、間違いなくそうなるであろう。

それが、今後のオフィス用スペースの需要減少につながる可能性は高い。そして、減少したのと同じ(またはそれより大きな)スペースが、新たな形体のオフィスに利用されることになるかもしれない。このことは、事業用不動産業者を含め、誰にもまだわからないのだ。

Mark George(マーク・ジョージ)氏はカリフォルニア州サンノゼ在住の仲介業者で、Cresaという事業用不動産会社に勤務している。現在、在宅勤務を行っており、同じく初めてリモートワークを行う妻とオフィスを共有し、子どもたちと一緒に家にいる時間を楽しんでいる。「しかし、特に不動産業では、自宅から出られない状況で業界の動向の変化を把握するのは難しい」と同氏は言う。

ジョージ氏によると、仲介業者は「いくぶん孤立している」。「物件を見せられないので、内見などの仕事はすっかりなくなってしまった。どの地方自治体でも庁舎は閉まっていて許可を得られないため、不動産業界はまさに休業状態だ」とのことだ。

「最終段階まで来ていた取引は」新型コロナウイルスが米国で勢いを増す前に「おそらく契約までこぎ着け」た。しかし「契約成立まであと少しだったが、最終段階とは言えない取引はどうなったかわからない。私が見てきた取引は、全て保留になっている。皆が待機状態に陥っている」と同氏は語っている。

同じくCresaに勤務しており、サンフランシスコ在住のBrandon Leitner(ブランドン・ライトナー)氏も同じように感じており、「取引に急速な動きはない」と言う。それでも、自社がTwitterのような大企業をはじめ、シリーズAラウンドやシードラウンドのスタートアップとも取引があるため、現在の市の外出禁止令が解除され、仲介業者が再び物件を見せられるようになれば、取引は再び活発化するであろうと期待している。

CBREによると、過去数年間、サンフランシスコで商業用スペースは1平方フィート(1000平方cm)当たり88ドルで取り引きされていたが、ライトナー氏は、その価値が「最低でも10%、おそらく20~30%」低下すると予想している。要因としては、市内にある200万平方フィートのスペースを押さえていた複数の企業がそれを手放したがっており、取引が可能になるとすぐにその物件が市場に出回ることが挙げられる。

特に、取引可能な320万平方フィートの商業用スペースがすでにあることを考えると、この数字は大きい。さらに、CBREのヤスコチ氏は、過去6カ月間だけでも「相当」なスペースが市場に上がってきたと述べている。

回復に望みをかける

ライトナー氏が言うように、「市場に上がる物件の数を増やすことを今は控えたい」と言う不動産所有者には、ありがたくない話である。

同氏は、不動産所有者が「現実的」であり、「できる限り譲歩して」踏みとどまり、新たなテナントを募集するようにと提案している。もちろん、できることには限界がある。土地所有者もたいてい負債を抱えているのだ。つまり、業績不振が長引き、オフィス利用者の数が元に戻らなければ、自分たちも苦境を乗り切るのに、金融業者に頼らざるを得なくなるのである。

サンノゼ在住の仲介業者であるジョージ氏は金融業者は投資を保護するためにも、不動産業者に助けを差し伸べるだろうと考えている。連邦準備制度も、銀行に不動産ローンの支払いを先送りする権限を与えることで、不動産所有者が賃貸料の請求を先延ばししやすくする可能性もある。

とはいえ、新型コロナウイルス感染症の終息後、事業用不動産マーケットが元に状態に完全に戻るのかどうかは、フタを開けてみなければわからない。

ヤスコチ氏は「このパンデミックは、我々が今までに経験したことのない事態だ」と語っている。CBREのエコノミストは第2四半期と第3四半期の目算が「非常に厳しい」と予測しているが、同氏によると、第4四半期には市場に「大幅な上昇傾向が見られるかもしれない」とのことである。

ただし、「これは、需要が回復するか、業務拡張計画が延期になるのか、それとも永久に白紙になるのかにかかっている」とも語っている。

今のところヤスコチ氏は、特に地元サンフランシスコの市場では、通常通りのビジネスに戻れるだろうと楽観視しているようである。「Bay Areaは何かあるとすぐ悪影響を受ける気がするが、たいてい回復も早い」と語っている。

業界関係者は、その回復に望みをかけているに違いない。

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(翻訳: Dragonfly)

パンデミックによりスポーツはファンの体験を再考する必要に迫られている

10歳のときに、父が私を初めてボストン・レッドソックスの本拠地、フェンウェイパークに連れていってくれた。通路を上った後に目に飛び込んできた輝く緑の芝を鮮明に覚えている。何もかもが素晴らしかった。それは優れたカスタマーエクスペリエンスだ。

私はすぐに野球場の美しさのとりこになった。内野の守備練習中にダイヤモンドでボールを軽々と放る才能豊かな選手たちを見る前から。試合の初球の前から、バットが折れる前から、観客がどよめく前から。音、景色、ホットドッグとドリンクも、その一部だった。私はエメラルドの芝を目にした瞬間から、そのエクスペリエンスに心を奪われた。

スタジアムで見るスポーツにはいつだってエクスペリエンスが重要だ。野球ファンにはおなじみの歌「私を野球に連れてって」(Take Me Out to the Ball Game)には「ピーナッツとクラッカージャックを買ってね、もう家に帰らなくてもかまわない」と歌われている。マスコットとダンサー、巨大な高解像度スコアボードの時代に、エクスペリエンスは強化された。

しかし2020年、スポーツは突然の存続の危機に瀕している。無観客で再開するとしたら、リーグは進化したテクノロジーを使って、家にいるファンにどのようにして興奮を感じさせるだろうか? パンデミックの中、あらゆるビジネスがカスタマーエクスペリエンスの意味を再考する必要に迫られている。スポーツは道を示せるかもしれない。ファンはこれまで「ホームチームにひたすら声援を送るよ」と歌ってきた。

今週、NFLのドラフトがバーチャルで実施され、私たちは新しいエクスペリエンスを初めて味わうことになりそうだ。NFLのドラフトは、ラスベガスで3日間にわたって開催される、お楽しみ満載のスペクタクルになる計画だった。ベラージオホテルの前に水上ステージが設けられ、指名された選手は船で登場するはずだった。新型コロナウイルスの影響で人々は集まれなくなり、細部まで作り込まれた野外劇はすべてご破算になって、代わりにテクノロジーを使ってドラフトは開催される。

短期的には、このドラフトをバーチャル移行の最終訓練として見るのはフェアではないだろう。これは初めての試みであり、完璧ではないかもしれない。しかしイベントや大学、小売店に至るまで、あらゆるビジネスがあらゆるエクスペリエンスの可能性を突然検討することになった。みんながこれからどうするか、興味深い。

ウイルスの影響で変化しているのは、第1ラウンドのスペクタクルだけではない。多くの企業がそうであるように、ここ6週間でチームの働き方も変化している。重要な人物がひとつの部屋に集まれず、「ドラフト作戦室」を再編成する方法を見つけなくてはならない。どこかで聞いた話でしょう?

ゲームが再開したら、我々がライブでスポーツを見る方法もおそらく変わるだろう。スポーツはNFLの最初の試みから何を学んで再構築するだろう? 雰囲気を盛り上げる生の観客なしで、コミュニティをどう作り、興奮を生み出すだろう?

大きな変化もあれば小さな変化もあるだろう。アイデアをいくつかひねってみよう。選手がファンとともに参加するライブのインタラクティブなコミュニティがあり得るかもしれない。フィールドの内外で選手やコーチがマイクをつければ、我々がふだん知ることのできない場面をもっと幅広く伝えてもらえるかもしれない。可能性は無限にある。プロも学生も、すべてのスポーツで何ができるかを大いに議論しているはずだ。

VRの活用のほか、先進的なリプレイや工夫されたカメラビュー、ファンを仮想的にフィールドに入れるなどエクスペリエンスの拡張もできるだろう。近年、こうしたアイデアは検討され、徐々に実装されて、アメリカンフットボールリーグのXFL(今月破産申請して短命に終わったが)で実際に目にすることもあった。AWSとスポーツリーグの協力により、詳しいデータが見事なビジュアルで表示されるのも見たことがある。このようなアイデア、そしてさらに多くのアイデアを、急激に加速させなくてはならない状況が突然やってきた。

さまざまなエクスペリエンスが現れるとしても、我々が今まさに見出そうとしているのはリーグの創造性だ。おそらく我々は、家の中で球場の範囲を超えた体験をする新しい方法を見つけるだろう。それは、これまでとは違うが、負けず劣らずエキサイティングなエクスペリエンスだ。10歳の子供はかつての私が感じたのと同じときめきを感じるかもしれないが、その手段はきっと違う。「私を野球に連れてって」の歌詞になぞらえて言うなら、「ホームチームが負けたらとても残念。1、2、3ストライクでアウトだよ、『新しい』野球では」。

画像:Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックが新型コロナアンケートシステムを米国で公開、全世界にも拡大予定

新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をモニタするアプリはこれまでも無数に開発されてきたが、今回発表されたFacebookのプロジェクトは影響範囲の広さが桁違いだ。

2020年4月初め、Facebookはカーネギーメロン大学(CMU)のDelphi疫学研究センター(Delphi Epidemiological Research Center)と新型コロナウイルス感染症のモニターに関して提携した。今回、Facebookはこのプロジェクトを全世界に拡大するという。同じく4月上旬から同社は米国のユーザーの一部に対し、新型コロナウイルス感染の自覚症状の有無をCMUの方法により自己チェックしてレポートするよう要請し始めている。これは流行が今後どこに拡大するか政府や医療当局が予測できるようにするプロジェクトだ。

Facebookのプロジェクトの拡大についてはメリーランド大学の研究者が協力する一方、CMUのDelphiチームはすべての研究者がデータを利用できるAPIを開発している。

Facebookは収集した調査データを独自の症候追跡マップに表示する。これにより郡(カウンティ)あるいは担当医療区域ごとに新型コロナウイルス感染症の症状を持つ住民が人口に占める割合を一覧することができる。マップには、新型コロナウイルスとは異なるインフルエンザに対する感染症候も表示される。多くの場所でまだ十分な報告が得られず、能力はまだ限られているが、この調査はウイルス感染拡大のトレンドを示すことで流行を予測可能とすることを目指している。

Delphi COVID-19対策チームの共同責任者、Ryan Tibshirani(ライアン・ティブシラニ)氏「我々が算出したリアルタイムの推定は、新型コロナウイルス流行に関する入手可能な最も確実なデータと高い相関があった。これにより、流行が拡大する可能性が高い地域を数週間前に予測して医療関係者に提供できるようになると確信している」と声明で述べている。

CMU Delphiの調査にオプトインしたFacebookメンバーは咳、発熱、息切れ、または嗅覚の喪失が発生しているかどうかを回答する。これら新型コロナウイルス感染の初期症状であり、治療が必要な重症化の前に現れる可能性が高いため医療関係者にとって重要だ。

CMUが月曜に発表した最初のレポートによれば、 Facebookで収集された新型コロナウイルス感染に関するデータは公衆衛生機関からの確認ずみデータと高い相関があったという。研究チームはCOVIDcastと呼ばれるツールを発表した。これは、新型コロナウイルス関連データを地域別に集約する。 Googleもこの調査に協力を始めているので今週後半にはCOVIDcastはFacebookとGoogle双方のアンケートの結果を統合できる。現在までにFacebookで毎週100万件、Googleのインセンティブ付きアンケートアプリ、GoogleアンケートモニターとAdMobアプリを通じて毎週60万件の近くの回答が得られている。

Washington Postの意見コラムでFacebookのファウンダーであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)はこう書いている。

「全米で郡ごとに正確なデータを取得することは難しい事業だ。そうした厳密なデータを全世界から取得するとなると困難さははるかに大きくなる。しかしFacebookは膨大な人たちに対してアンケートを行う上で極めてユニークな立場にある」。

プライバシーやセキュリティー上の問題で長らく批判されてきたソーシャルメディアは、新型コロナウイルスとの戦いを機に自らの重要性を再認識させようと努力している。ことにネガティブな報道に苦しめられてきたFacebookは医療専門家からの新型コロナウイルス情報をプラットフォームに掲載するなどいち早く対応を開始した。しかしFacebookや他のソーシャルネットワークは、新型コロナウイルスの場合でもデマ火事場泥棒陰謀論に悩まされ続けており、こうしたノイズを運営者が一掃するのは簡単ではないようだ。

【略】

画像クレジット:Angela Weiss / AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ロサンゼルスの新型コロナウイルス抗体保有者は公式感染者数の55倍

南カリフォルニア大学(USC)がロサンゼルス郡公衆衛生局と共同で実施した最新研究で、ロサンゼルス郡人口の2.8~5.6%がCOVID-19(新型コロナウイルス)の抗体をもっていることが示された。これは22万1000~44万2000人の市民が過去に感染していたことを示唆しており、検査によって確認されたよりも最大55倍の人数に上る。これは、感染は以前考えられていたよりもはるかに広がっていると疑っているカリフォルニア州が、短期間に行った2回目の抗体調査であり、ソーシャル・ディスタンス対策を継続する正当な理由でもある。

ロサンゼルス郡の研究結果には、よいニュースもある。もし抗体検査の結果が正確であれば(われわれは現時点で彼らの報告が正しいかどうか確信は持っていない。特に免疫性については)、感染者の致死率は公式診断例のデータよりもずっと低いことになる。USCの研究による抗体検査を通じて計算された感染率は、先週スタンフォード大学が発表したサンタクララ郡の感染率と驚くほど似通っていて、同郡では4万8000~8万1000人が感染から回復したことを示している。

ロサンゼルスの研究が、誤差を考慮した上で郡人口全体に外挿した結果、2.8~5.6%の市民が抗体をもっていることを示しているのに対して、スタンフォード大学の研究では、2.5~4.2%の住民が新型コロナウイルスの抗体をもっているという結果がでている。これらの数値は、検査キットの精度および検査標本の性別年齢層に基づいて補正されている。

いずれの研究論文も相互査読を受けていないので、ある程度疑ってかかる必要がある。しかし、双方の数値の密な近似や、世界で行われた過去の類似研究の結果を踏まえると、新型コロナウイルスの実際の感染数は公表されている数値よりはるかに多いことを示唆していると考えられる。公表数値は通常、診察で確認されたものだけを数えるが、その大部分は中度から重度の症状を示している患者が対象だ。

未検知感染者率の高さは、新型コロナウイルスの脅威が見かけより低いことを意味すると捉えるべきでは決してなく、この新しい情報は、外的症状がないために診察を受けることも隔離や接触者追跡の対象になることもなかった人々からの感染が、誰の予想よりもはるかに多いことを意味しているにすぎない。

これは、ソーシャル・ディスタンス対策がいっそう重要であることを意味している。なぜなら、新型コロナウイルスの潜在保菌者を識別することがこれまで思っていた以上に困難だからだ。感染の特質を理解することは、究極的にはウイルスにさらされる最大の危険を避ける対策の向上に役立つのだろうが、現時点でこの新しい情報からわかっているのは、新型コロナウイルスはわれわれがこれまで理解していたような早期の前兆をみせることなく、はるかに効果的に人々に伝わっている、ということだけだ。

画像クレジット:Kit Karzen https://www.kitkarzen.com/ /

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

国連PS機関がソニーとタッグ、神戸拠点に気候変動への対処に取り組むスタートアップなどを募集

国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)とソニーは4月21日、UNOPSが開催する持続可能な開発目標(SDGs)に取り組むスタートアップ起業やテクノロジー企業を支援する「Global Innovation Challenge」プログラムを通じて協業を開始することを発表した。

本プログラムに選定された企業は、兵庫県神戸市に開設予定のUNOPSのGlobal Innovation Center Japan(グローバル・イノベーション・センター・ジャパン、GIC Japan)に入居し、Sony Startup Acceleration Program(ソニー・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム、SSAP)の育成プログラムにも参加可能で、アイデアの実現に向けたさまざまな支援を得られるのが特徴だ。

募集テーマは「テクノロジーを用いた強靭なインフラを作り、気候変動への対処を強化する」。地域ごとに多様性をもった非構造データである気候や森、海といった資源のデータを、データをセンシングとAI技術で的確に分析し活用することで、迅速な気候変動の対処や豊かな森と海の創出に貢献することを狙うテーマ設定となっている。募集概要は以下のとおり。

  • 募集期間:中央ヨーロッパ時間2020年7月31日24時まで(日本時間2020年8月1日8時まで)
  • 応募方法:UNOPSの応募サイトにて受け付け
  • GIC Japan開設時期:2020年夏以降を予定
  • GIC Japan開設場所:三井住友銀行神戸本部ビル2階(兵庫県神戸市中央区浪花町56)

UNOPSは、デンマーク・コペンハーゲンに本部を置く、プロジェクトサービス(事業運営・実施)に特化した国連機関。世界80か国以上で毎年1000件以上の援助事業を実施している。通常資金(コア予算)に対して各国政府から資金提供を受けず、事業運営の実施のみですべての経費をまかなう完全独立採算の機関で、ほかの国連機関や国際開発金融機関、援助国および被援助国政府などからの依頼に基づき、援助事業のプロジェクト推進を進めている。具体的には、アフガニスタンでの道路舗装や太陽光発電を利用した街灯の敷設、ヨルダン北部では老朽化した配水管を修復して漏水を削減する事業などを進めた。

GIC Japanは、国内外におけるスタートアップを集積・育成と、日本で創出されたSDGs課題解決型サービスが国連を通じて調達に結び付けるインキュベーション施設。グローバルでは神戸が3拠点目となり、2018年1月にカリブ海東部の小アンティル諸島にあるアンティグア・バブーダ、2019年10月に本部のデンマークの隣国であるスウェーデンに開設している。今後は発展途上国を中心にGICの設置を進めていく予定で、すでにモンテネグロ、チュニジアへの設置も決まっている。

SSAPは、2014年にソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援するSeed Acceleration Program(シード・アクセラレーション・プログラム)として始まった取り組み。これまでに国内外でソニー社内を中心に750件の新規事業案件を審査し34件を育成し、14件の事業立ち上げを通じて培ってきた経験やノウハウを、スタートアップ支援サービスとして社外にも提供するものだ。2018年12月にはソニー本社オフィス内に、社外の新規事業プロジェクトが入居可能な専用スペースが設置し、社外との連携を強化。2019年2月20日より、名称をSony Startup Acceleration Programに変更している。

なお、SSAPでは本プログラムの応募に向けてアイデアをもう少し整理したい応募者に対して、新規事業を始めるために必要な準備を効率よく進めるための無料のウェブアプリ「StartDash」を提供している。アイデアはあるが何から始めたらいいかわからないという場合に、チェックリスト形式の質問に回答していくだけで事業化に向けた準備を進められる。

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