フェイスブックが新型コロナアンケートシステムを米国で公開、全世界にも拡大予定

新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をモニタするアプリはこれまでも無数に開発されてきたが、今回発表されたFacebookのプロジェクトは影響範囲の広さが桁違いだ。

2020年4月初め、Facebookはカーネギーメロン大学(CMU)のDelphi疫学研究センター(Delphi Epidemiological Research Center)と新型コロナウイルス感染症のモニターに関して提携した。今回、Facebookはこのプロジェクトを全世界に拡大するという。同じく4月上旬から同社は米国のユーザーの一部に対し、新型コロナウイルス感染の自覚症状の有無をCMUの方法により自己チェックしてレポートするよう要請し始めている。これは流行が今後どこに拡大するか政府や医療当局が予測できるようにするプロジェクトだ。

Facebookのプロジェクトの拡大についてはメリーランド大学の研究者が協力する一方、CMUのDelphiチームはすべての研究者がデータを利用できるAPIを開発している。

Facebookは収集した調査データを独自の症候追跡マップに表示する。これにより郡(カウンティ)あるいは担当医療区域ごとに新型コロナウイルス感染症の症状を持つ住民が人口に占める割合を一覧することができる。マップには、新型コロナウイルスとは異なるインフルエンザに対する感染症候も表示される。多くの場所でまだ十分な報告が得られず、能力はまだ限られているが、この調査はウイルス感染拡大のトレンドを示すことで流行を予測可能とすることを目指している。

Delphi COVID-19対策チームの共同責任者、Ryan Tibshirani(ライアン・ティブシラニ)氏「我々が算出したリアルタイムの推定は、新型コロナウイルス流行に関する入手可能な最も確実なデータと高い相関があった。これにより、流行が拡大する可能性が高い地域を数週間前に予測して医療関係者に提供できるようになると確信している」と声明で述べている。

CMU Delphiの調査にオプトインしたFacebookメンバーは咳、発熱、息切れ、または嗅覚の喪失が発生しているかどうかを回答する。これら新型コロナウイルス感染の初期症状であり、治療が必要な重症化の前に現れる可能性が高いため医療関係者にとって重要だ。

CMUが月曜に発表した最初のレポートによれば、 Facebookで収集された新型コロナウイルス感染に関するデータは公衆衛生機関からの確認ずみデータと高い相関があったという。研究チームはCOVIDcastと呼ばれるツールを発表した。これは、新型コロナウイルス関連データを地域別に集約する。 Googleもこの調査に協力を始めているので今週後半にはCOVIDcastはFacebookとGoogle双方のアンケートの結果を統合できる。現在までにFacebookで毎週100万件、Googleのインセンティブ付きアンケートアプリ、GoogleアンケートモニターとAdMobアプリを通じて毎週60万件の近くの回答が得られている。

Washington Postの意見コラムでFacebookのファウンダーであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)はこう書いている。

「全米で郡ごとに正確なデータを取得することは難しい事業だ。そうした厳密なデータを全世界から取得するとなると困難さははるかに大きくなる。しかしFacebookは膨大な人たちに対してアンケートを行う上で極めてユニークな立場にある」。

プライバシーやセキュリティー上の問題で長らく批判されてきたソーシャルメディアは、新型コロナウイルスとの戦いを機に自らの重要性を再認識させようと努力している。ことにネガティブな報道に苦しめられてきたFacebookは医療専門家からの新型コロナウイルス情報をプラットフォームに掲載するなどいち早く対応を開始した。しかしFacebookや他のソーシャルネットワークは、新型コロナウイルスの場合でもデマ火事場泥棒陰謀論に悩まされ続けており、こうしたノイズを運営者が一掃するのは簡単ではないようだ。

【略】

画像クレジット:Angela Weiss / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SAP、オンライン調査のQualtricsを80億ドルで買収へ――SaaS企業買収として最大規模

TechCrunch Disrupt SF 2015に登壇したQualtricsのRyan Smith

今日(米国時間11/12)、SAPはQualtricsを80億ドルのキャッシュで買収することで同社と合意したと発表した。SAPはエンタープライズ・ソフトウェアの世界的有力企業である一方、Qaltricsはオンライン調査サービスとソフトウェアを提供するスタートアップで上場を目前に控えていた。買収手続きは来年、2019年の上半期に完了するものとみられている。Qualtrics の直近のラウンドは2016年に実行され、25億ドルの会社評価額で1億8000万ドルの資金調達に成功している。

SaaS企業の買収としては2016年にOracleが93億ドルでNetsuiteを買収したのに次ぐ第2の規模となる。

電話記者会見でSAPのCEO、Bill McDermottはQualtricsの上場による株式販売はすでに募集枠を上回っており、両者は数ヶ月前から話し合いをしていたという。SAPは「われわれのソフトウェアは世界のソフトウェア・トランザクション収入のシェアの77%に達している。Qualtricsの調査、アンケートのサービスとソフトウェアが加わることで、今後、9000以上の大企業は必要としている顧客満足度や社員の会社に対するエンゲージメントに関する情報を容易に知ることができるようになる」と述べた。

McDermottはまたSAPによる Qualtricsの買収の影響をFacebookのInstagram買収に匹敵するものだとして 「90年代のレガシー・テクノロジーを21世紀まで引きずってきた企業は完敗した。SAPはライバルの既存のマーケットの大きな部分を消滅させた」と強調した。SAPのライバルと考えられている企業はOracle、 Salesforce.com、Microsoft、IBM.だ。

SAPはドイツのヴァルドルフに本拠を置くグローバル企業で、買収に必要なコスト70億ユーロ(79.3億ドル)の資金をすでに確保しているという。これには支払いが必要な社員へのボーナス、買収時点での貸借対照表の負債分などのコストが含まれる。

2002年にQualtricsを共同創業したRyan Smithが買収後もCEOを務める。買収手続きの完了後、同社はSAPのCloud Business Groupに属すが、本社は引き続きアメリカのユタ州プロボとワシントン州シアトルに置かれる。ブランドおよび社員も従来どおり維持される。

われわれのCrunchbaseによれば、QualtricsはAccel、Sequoia、Insight Venturesなどから総額で4億ドルの資金を調達している。.予定されていた株式上場では18ドルから21ドルの範囲を目標として2050万株を売り出す予定だった。CrunchBaseのAlex Wilhelmによれば、新規上場で4億9500万ドル程度を調達できるものと予測されていた。この株価であれば時価総額は39億ドルから45億ドル程度となる。

新規上場申請書によれば.、Qualtricsの収入は今年の第2四半期の9710万ドルから8.5%アップして第3四半期には1億540万ドルとなっていた。第3四半期のGAAPベースの純利益も第2四半期の97万5000ドルから490万ドルにアップしている。前年同期の純利益も470万ドルだった。2018年初頭から9ヶ月のQualtricsの営業キャッシュフローは525万ドルで、前年同期の361万ドルからアップしている。

今日の発表で、Qualtricsは2018年通年の収入は4億ドルを超えるという予想している。これは40%の急成長となるが、SAPの買収によるシナジーの効果は計算に入っていない。

Qualtricsの主たるライバルはSurveyMonkeyで、同社は今年9月に上場を果たしている。

画像:Steve Jennings (opens in a new window) / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Instagramがアンケートを楽しくするために絵文字スライダーステッカーを追加

もし新しいヘアスタイルの出来栄えを、友人たちにどれだけセクシーか「ナスビ度」(ナスの絵文字は一部の人たちの間ではセクシーな意味合いを持つ)で聞いてみたいなと思っていたならおめでとう。今日(米国時間5月10日)Instagramは、「絵文字スライダー」という機能を発表した。これは任意の絵文字を使ってフォロワーたちが投票を行う、フィードバックステッカーだ。この更新されたInstagramアプリは、現在App StoreとGoogle Playの両方で利用可能になっている。

たとえば、金曜日の夜に外出しないことにして、際どい自撮り写真を撮り、友人たちにその行為を、天使の絵文字もしくは怪しい悪魔の絵文字でレーティングしてしてもらうことができる。あるいは、ヘビなのか、それとも小さな足を持つサンショウウオなのかが判然としない生き物を見た際に、Instagramのストーリーをよく読む人たちに、ヘビの絵文字を使って「ヘビ度」を0から100パーセントの範囲でレーティングしてもらうこともできる。こうした実用的とは言い難い応用はいくらでも考えられる。

Instagramによると、絵文字スライダはpoll stickerの人気から生まれたと言う。poll stickerは確かに友人やフォロワーたちに自然な参加を促す楽しい手段だ。絵文字スライダを使用することで、単純な2択の質問代わりに、対象の「絵文字度」をアナログ尺度で尋ねることができるというわけだ。なにしろ2択なんてもう終わってるからね。

もしも使ってみる気になったなら、絵文字スライダーはストーリーのステッカートレイの他のナンセンスなものたちの中に見つけることができる。ただそれを選んで、質問を書き、ストーリーに放り込もう。やがて甘い甘〜いフィードバックがパラパラと…。

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(翻訳:sako)

GoogleがアンケートサービスFormsをアップデート、複数回答可、一般的な構成(コンフィギュレーション)が可能、などなど

Googleが今日(米国時間7/10)、Formsのアップデートを発表した。ネットワーク上でアンケートをして情報を集めるサービスだ。綱引き大会の町内チームを作りたいんだけど、誰と誰が参加してくれるかな? 今度発表した新製品を、ユーザーはどう思っているかな? などなど複数の人に質問したいとき便利に使える。そして実はFormsには、もっと便利な機能もある。

今度の新しい機能で、各質問に対する正しい答の実例を前もって提供できる。たとえばメールアドレスを知るためのアンケートなら、「本当のメールだけを受信する」という要望が前もってあると良いだろう。

またアンケートの対象者に、彼らの会社の外からのファイルアップロードを求めることができる。これはFormsのユーザーと対象者の両方の会社が、Google Driveの複数ドメイン間ファイル共有を許容している場合だ。アップロードするフォームの上限は1GBだが、これだけあれば間に合うだろう。ただし、1TBまでの拡張が可能だ。

“チェックボックスグリッド”と呼ばれる新しい質問形式が導入された。これは下図のように、文字通り、チェックボックスのグリッド(格子)で、複数の答にチェックを入れられる。下図の例では、自分の都合の良い時間と曜日を、複数箇所指定できる。会議のスケジュールを作るのに、便利だね。

自分が使うすべてのフォームに対する設定(構成)もできる。たとえば「必ずメールアドレスを求める」、とか。また質問項目の並び順を、クリック一回で変えられる

今これらの新機能が入手できるのはRapid Release(早期リリース)チャネルのみだが、2週間後には一般供用される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WELQ騒動後のウェブメディア、重要視するのは「質の高さ」——女性ネットユーザーへのアンケートで

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「WELQ」にまつわるキュレーションメディア騒動を受け、Googleが品質の低いウェブサイトを対象としたアルゴリズム変更を実施した。騒動はプラットフォームに影響を与えるまでに至ったが、一方で読み手となる世間のユーザーにはどのような変化があったのだろうか?

リビング新聞グループのリビングくらしHOW研究所は「WEBからの情報収集」と題して「リビングWeb」「シティリビングWeb」のユーザーを対象にアンケートを実施。その結果を2月10日に発表している

今回のアンケートは「健康・医療に関する情報収集」をはじめ、「まとめサイトの利用動向」「DeNAにはじまるキュレーションメディア騒動の印象」などの項目で構成されている。調査期間は2016年12月14日〜12月18日。調査似回答したのはサイトを利用する全国の女性ユーザー1131人(平均年齢42.42歳)となっている。同社サイトの女性ユーザーに限定されているということ、またあくまで全ての項目がWELQ騒動前後での態度の変化を比較できるものではないことから、やや偏りはあるかもしれないが、いわゆるネットのヘビーユーザーとはまた違う属性の意見を知るにはいい材料だろう。

調査によると、キュレーションメディア騒動を知っていたのは1131人のうち35.1%。そのうち「WEB記事への信頼度や情報検索の仕方に変化があった」と答えるのは44.1%だった。ウェブの記事への信頼度や、情報検索の仕方などに変化があったかという設問(複数回答)に対しては、「検索で上位に上がっていてもむやみに信用しないようにしようと思った」という回答が77.7%と最も多く、その次に「医療情報などの重い情報は、専門サイトから得るようにしたい」という回答が50.3%で続いた。

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リビングくらしHOW研究所 女性(2016年/全国)「WEBからの情報収集についてのアンケート」より

また、ウェブの情報をどの程度参考にするか、記事のジャンルごとに5段階評価をつけるという設問で「十分参考にする」および「まあ参考にする」と回答した割合が過半数を超えたのは「食品情報」「旅行情報」「化粧品・美容情報」「子育て情報 ※子供がいる方のみ」の4ジャンル。一方過半数に満たなかったジャンルは「マネー・投資情報」「受験・塾情報」「住宅情報」「求人情報」の4ジャンルで、ライフスタイルに関する情報は参考にする一方で、ライフイベントなど、重要な選択に関わる情報では参考にする割合が低いようだ。

参考にする基準は全ての記事のジャンルで「記事の質の高さ」が1位で、「その道の専門家が書いている」が2位。一方、ジャンルごとの指標を見ると、受験・塾情報は「書いている人の名前やプロフィールがわかる」、旅行情報は「引用でないオリジナルの写真や文章を使っている」、求人情報では「WEBサイト自体の知名度」「WEBサイトの運営元の知名度」がそれぞれ重要視されていることがわかる。

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騒動後、世間のユーザーは「品質の高い記事」への意識が高まっていることがわかる。実際に筆者の周りでも、その気配を察知して専門家集めや、取材記事、企画記事の制作体制作りに奔走している新興ネットメディアをいくつか見かけている。しかし、この調査を見ればわかるように、ユーザーが支持する記事には、専門家であるかどうかや一次情報であるかどうか以外の基準も含まれる。メディア企業の関係者はこの調査を参考に、さらなる品質の向上のヒントを見つけてはいかがだろうか。