「ハードウェアのためのGitHub」のValispaceが人工呼吸器開発を支援

ハードウェアエンジニアリングのベースになっているのは、たいていドキュメントだ。一般的な人工衛星では数十万ものPDF、スプレッドシート、シミュレーションのファイルなどがあり、複数の書類の間に矛盾が生じるおそれがある。そしてそれは、高くつく失敗の原因になりかねない。例えばNASAでは1999年に、あるエンジニアリングチームはメートル法を使い、別のチームは英国の単位を使っていたために、1億2500万ドル(約136億円)の火星探査機を失ったことがある。

ドイツに本社がありポルトガルにもオフィスを置くValispaceは、自社を「ハードウェアのためのGitHub」と称する。Valispaceのサービスはエンジニアが共同作業をするためのプラットフォームで人工衛星、飛行機、ロケット、核融合炉、自動車、医療機器などあらゆるものの開発に役立つブラウザベースのアプリだ。エンジニアリングのデータを保存し、ユーザーは数式でデータを互いに接続できる。すると、ある値が変更されれば、自動で他の値もすべて更新され、シミュレーションが再実行され、ドキュメントが書き換えられる。

現在の新型コロナウイルス感染拡大下では、最後の点が重要だ。人工呼吸器の製造と改良が世界的な大問題になっているからだ。

Valispaceは現在、この危機に対してオープンソースでハードウェアソリューションを開発しようと数千人ものエンジニアを集めるいくつかの取り組みと連携している。その代表的な取り組みには、CoVent-19 Challenge、GrabCAD、Helpful Engineeringなどがある。人工呼吸器に携わっているエンジニアはここから無料のアカウントを申請するか、engineering-taskforce @ valispace.comにメールで連絡して参加できる。

Valispaceはシード拡張ラウンドで220万ユーロ(約2億6000万円)を調達した。このラウンドを主導したのはベルリンのJOIN Capitalで、パリのHCVC(Hardware Club)も参加した。

この資金で、新たな業界(医療機器やロボティクスなど)への進出と、現在関わっている業界(航空、宇宙、自動車、エネルギー)での拡大を目指す。Valispaceは70億ユーロ(約8248億円)規模のヨーロッパのシステムエンジニアリングツール市場に取り組んでいるが、米国の市場も同等かそれ以上だ。同社の競合にはRHEA CDP4、Innoslate、JAMA、そして最大手のStatus Quoなどがある。

ValispaceのCEOであるMarco Witzmann(マルコ・ウィッツマン)氏は、次のように述べている。「Valispaceには、さまざまな業界のエンジニアが優れたハードウェアを開発できるよう支援してきた実績がある。それはドローンから人工衛星まで、小さな電子装置から核融合炉全体までに及ぶ。我々の顧客となっている最先端の企業は、Valispaceを利用したアジャイルなエンジニアリングのアプローチを選んでいる」。

JOIN CapitalのTobias Schirmer(トビアス・シルマー)氏は「ブラウザベースの共同作業は現代のあらゆる企業にとって必須となっている。チームやオフィス間のコミュニケーションの重要性が増しているからだ」とコメントしている。

BMW、ペイロード輸送サービスのMomentus、小型商用核融合炉開発のCommonwealth Fusion Systems、エアバスなどがValispaceの顧客となっている。

ウィッツマン氏はかつて、ヨーロッパ最大の人工衛星プログラム、メテオサット第3世代にシステムエンジニアとして関わっていた。ポルトガルに拠点を置く共同創業者でCOOのLouise Lindblad(ルイーズ・リンドブラ-ド)氏は、欧州宇宙機関で人工衛星とドローンの開発を手がけていた。

人工衛星のエンジニアだった2人は、最先端のプロダクトを開発しているにもかかわらず開発のためのツールはまるで1980年代のようだと疑問に思っていた。2016年に2人はValispaceを創業し、エアバスを最初の顧客の1社として獲得した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナによるカオスの中でテック企業の誤情報対応は

ソーシャルメディア企業は2016年以来、プラットフォームが悪用されてかなりの人に影響を及ぼすかもしれないという備えを怠ったとして、メディアでかなり叩かれ、社会的批判にさらされてきた。その悪用とは世界中の民主主義を妨害したり社会的分断の原因をつくったり、あるいは集団虐殺をたきつけたりする、といったものだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)により世界がカオスに、そして社会的隔離状態となるにつれ、ソーシャルメディア企業はそうした集中砲火から一時的に逃れている。新型コロナウイルス救援の取り組みに協力するために並々ならぬリソースを活用しているところでは特にそうだ。政府の官僚主義が衰えている一方で、世界は官僚的形式主義を超えて科学的進歩を早送りすることに熟練しているテック企業に目を向けている。しかし、たとえ我々があまり注意を向けていなくても同じ古い問題が頭をもたげている。

YouTubeに関しては、The Guardianと監視グループTech Transparency Projectの新たなレポートで、嘘のコロナウイルス治療法を宣伝するかなりのビデオの広告で同社が儲けていることが明らかになった。ウイルス感染を治療できるかもしれない方法として「民間療法、瞑想的音楽、ビタミンCのような処方サプリの健康を害すかもしれない量の摂取」など科学的でないものを助長するビデオでは、Liberty Mutual、Quibi、トランプの2020年再選キャンペーン、Facebookなどの広告が流れた。Facebookの場合、同社のバナー広告が、「わずかながらパワフルなシータ波を使うことによるポジティブ思考」がウイルスを寄せ付けないかもしれない、とうたう音楽をアピールするビデオで表示された。

パンデミックの初期段階では、YouTubeはコロナウイルスに関するあらゆるビデオでの広告を禁止した。3月中旬に、真に対象とすべきものが明らかになり、同社はポリシーを撤回し、一部のチャンネルに広告掲載を許可した。4月2日、同社は広告許可を拡大し、ガイドラインに従っている全ビデオに広告を許可した。ガイドラインの主なものの1つとして、「危険な療法や治療の宣伝」を含む医学的な誤情報の助長を禁じている。レポートにあるビデオのほとんどはジャーナリストの指摘を受けた後に削除された。

こうした例、そして他の多くも、この極めて特異なときに主要なテックプラットフォームがいかに判断しているのかという疑問を引き起こしている。ソーシャルメディア企業は、パンデミックが自社のワークフローにどのように変化を起こしているか、いつになく公表してきた。3月の電話会見で、Facebook創業者のMark Zuckerberg (マーク・ザッカーバーグ)氏は契約モデレーター1万5000人に有給休暇をとってもらっていることを認めた。つまり、同社のプラットフォーム上のコンテンツのフィルタリングではかなり人工知能に頼るようになっているため、ユーザーはより多くの「嘘」を目にすることが予想される。児童ポルノや深刻な暴力、ヘイトスピーチといった最も好ましくないコンテンツの選別作業は、心理的そして法的な結果を伴うことが考えられるだけに、家に持ち帰って行えるものではない。

YouTubeも同様に、人間によるレビューを補うために「一時的にテクノロジーに多くを頼る」と警告した。自動化されたプロセスは「ポリシーに反していないかもしれないビデオを含め」より多くのビデオの削除につながるかもしれない、ともしている。Twitterもまた、人間によるレビューを希望する手段も残しつつ、「悪意や操作性があるかもしれないコンテンツに対してあらゆるアクションをとるために」機械学習に頼っていると明らかにした。これらの企業は、現在の対応でどんなことが起こり得るのかについてはほとんど警告していない。

ひとたび日常が戻り、あるいは新たな日常に落ち着けば、モデレーションはどうなるのだろうか。人工知能がタスクをマスターし、人間のレビュワーを不要のものとするのだろうか(そうはならないだろう)。ソーシャルメディア企業は人によるモデレーションの価値を再認識して、そうした業務にあたる人を社内で増やし、フルタイムの従業員に提供されているような待遇を与えるのだろうか。悪夢のようなパンデミックで明らかになった多くの物事と同様に、結果はせいぜい漠としたものだろう。

不規則な調査レポートや事例のツイート、当局による事後検討など、プラットフォームの責任を問うアプローチがすでに断片的だったとしたら、真実はさらに遠のく。ましてや、新型コロナパンデミックにより、便乗値上げをする者やカオスの中でさらにカオスを作り出す悪党は数え切れないほどの新たなチャンスを手にしている。

我々はすでにイランで恐ろしい事態を目の当たりにした。そこでは数百人の人が産業用アルコールを飲んで死んだ。そうした人々は、産業用アルコールを飲めばウイルスから身を守ることができるかもしれないという扇情的な話を拡散する「転送メッセージがまた転送されたもの」で情報を得ていた。ほとんどの死で、犠牲となった命以上のことは気づかれもせず、広報規制のために報告もされず、注意をひくことすら抑制されるだろう。

コロナウイルスや未知のことについては多くのことが書かれてきたが、それらのほとんどは、ウイルスが全世界を脅かすもので、救命用品の在庫が先細る中で新型コロナウイルス患者が押し寄せて病院や健康施設を危機的な状況に陥れるものであることを強調する科学的な研究に基づいている。しかし誤情報、そして故意に拡散された誤情報の危機は、それ自体が不安定な要素だ。いまやビジネスを完全に滅茶苦茶にし、容赦無くニュースを独占した前代未聞のグローバル危機と混ぜ合わさっている。そして世界トップの権力を完全に常軌を逸した大統領選へと追いやっている。テック業界における米国の穏健主義に結びつく予想しなかった選挙結果では、我々がほとんど気にしていなかったソーシャルネットワークの表面下で極悪な力が働いていたことが明らかになったが、今回の誤情報危機はそのとき以来のものだ。

いずれにしろ、現在においては、パンデミックの最中に実行された新たなシステムがどこで間違い、どのような悪い結果を伴うことになるのか、外部の者が判断するのは困難だろう。そうした原因を判別するために、我々は企業の言葉、特に平時にさまざまな結果を伴ったリスクのある言葉に耳を澄ませる必要がある。人との結びつきにおいてかつてなくソーシャルネットワークに頼っているが、我々が日々没頭しているバーチャル・ポータルは依然としてブラックボックスで、これまでと同じく不可解なものだ。平常が打ち砕かれた暮らしにおける多くの要素と同様、唯一望まれることは変化だろう。

画像クレジット: Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ニューヨーク市は学校でのZoom禁止、セキュリティ上の懸念からMS Teamsに移行へ

休校が続いても生徒たちは学習を続けねばならない。このほど米国ニューヨーク市の学校当局は、リモート教育にビデオ会議サービスのZoomを使用することを許可しないと発表した。セキュリティ上の懸念が理由に挙げられている。

ニューヨーク市教育庁の広報担当者、Danielle Filson(ダニエル・フィルソン)氏は「リモート学習を生徒に提供するにあたって安全性と信頼性の確保は不可欠だ。セキュリティ上の懸念をさらに検討したところ、学校はできるだけ早くZoomの使用をやめるべきだという結論となった。リモート教育に多くの新しいサービスがあり、われわれは(その採用に関しては)教職員、生徒の利益のを最優先してリアルタイムで意思決定を行っていく」と述べた。

同氏によれば、市教育庁は学校をMicrosoft Teamsに移行させているという。こちらは「適切なセキュリティ対策が講じられており、機能も同等」だとしている。

この禁止によって、市内の5つの区の1800校以上の学校の約110万人の生徒が影響を受ける。2018年に創設されたニューヨーク市のコンピュータ・セキュリティーを担当する組織であるNYC Cyber Commandはすでに学校でのZoomの使用を一部禁止している。

Zoomからはまだコメントがない。

新型コロナウイルスの流行拡大のために世界では何億人もの人々がビデオチャットのプラットフォームを利用することを余儀なくされている。このためZoomのユーザー数も急拡大していたが、同社のセキュリティとプライバシーに対する方針と行動に多数の欠陥が発見され、批判の嵐が起きていた。そこにこの禁止が発表された。

セキュリティ専門家がZoomのシステムは中国当局による傍受の危険にさらされていると強く批判した後、4月4 日に同社のCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏は、ルーティングの一部が中国を通じていたのは「設定のミスによるもの」だとして謝罪した。 同時にZoomは、このサービスがエンドツーエンドで暗号化されていなかったにもかかわらずそうしていると主張していたことについても謝罪した。

Zoomはまたデフォルト設定を「パスワードを有効する」に変更した。これはパスワードなしで行われているZoomのビデオチャットに部外者が乱入して妨害するZoombombingが多発したことによるものだ。

しかし一部の学校では他のサービスへの移行に困難を感じている。 Chalkbeatが最初に報じたが、3月16日にニューヨーク市の市立学校が休校となった後、Zoomはすぐにビデオチャットサービスの一番人気となった。ブルックリン区の校長の一人は、Microsoft Teamsの「使いにくい」を挙げて、「Zoomの禁止はリモート学習に困難さを加えるもの」とChalkbeatに答えている。

ニューヨーク市の広報担当者は、「学校に対してはすでに数週間前からMicrosoft Teamsの操作を訓練してきた」語った。同時に、将来(学校が)Zoomに戻ることを許可する可能性を除外しなかった。

ニューヨーク市は「Zoomの開発の状況をモニターし、引き続き詳しくレビューしていく。なんらかの進展があればすぐに学校にもアップデートを通知する」予定だという。

画像:ニューヨーク市の公立学校教室内部 Michael Loccisano/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ARCHが新型コロナ治療を研究する企業向けのファンドを設立

世界が新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンや治療法の開発を競い、バイオテクノロジーのイノベーションが死活を分けることが明らかになりつつある中で、ライフサイエンス投資家のARCH Venture Partnersが新技術開発に出資するために14億6000万ドル(約1580億円)を調達した。

同社は、アーリーステージのバイオテクノロジー企業だけに投資する多くのビークルを抱えるが、この長いリストにARCH Venture Fund XとARCH Venture Fund X Overageが新たに加わった。

「ARCHは人類の健康に影響をもたらす素晴らしいサイエンスに常に投資してきた。総力を挙げてCOVID-19と戦うことほど我々の理念を示すものはない」と共同創業者でマネージングディレクターのRobert Nelsen(ロバート・ネルセン)氏は声明で述べた。「ヘルスケア革命は現在起こっている変化によって今後加速し、真に転換を図るサイエンスに取り組んでいる挑戦者たちに引き続き積極的に投資することを嬉しく思う」

ARCHのポートフォリオに名を連ねるVir Biotechnology、Alnylam Pharmaceuticals、VBI Vaccines、Brii Biosciences、そしてSana Biotechnologyは全てCOVID-19の治療法に取り組んでいる。Quanterixは臨床試験と臨床試験開発を支える技術を開発している。またARCHがサポートする別の会社Twist Biosciencesは、治療やワクチン開発に貢献すると考えている遺伝子編集ツールを持っている。吸入された一酸化炭素を放出するテクノロジーの開発を手掛けたBellerophonはCOVID-19による呼吸困難を軽減させる治療としてFDA(米食品医薬品局)から緊急使用許可を得た。

ARCHのOverageファンドはより多額の資金を必要としているレイターステージ企業の大量の株を取得するのに使われる、と同社は説明した。

「当社は、何百万という人が直面するさまざまな病気や症状のための薬を開発できる最先端のサイエンス、ツール、人材をもたらす。2つの新たなファンドで当社は急を要する、そして意義のある仕事に引き続き取り組む」とマネージングディレクターのKristina Burow(クリスティーナ・ブロウ)氏は声明で述べた。「我々は5万ドル(約540万円)から数億ドル(数百億円)まで、あらゆる額の投資に対応する。各企業やそれぞれのテクノロジーは状況を改善して変えるという最高の機会を持っている」

2つのファンドは、2016年に11億ドル(約1190億円)でクローズしたARCHの直近の投資ファンドとおおよそ同じ規模だ。しかし総額で5億6000万ドル(約600億円)調達した2014年のARCHファンドからは大幅な増加だ。

ARCHファンドの規模拡大は、資金を確保してきた幅広い産業が運用資本を拡大する傾向にあることを表しているが、しかしまたスタートアップ業界におけるバイオテック投資の認知度が高まっていることも暗示している。

このところ、世界を飲み込んでいるのはソフトウェアではなく、プログラム可能なバイオロジーだ。

「ARCHは、健康福祉に関する重要な問題を解決することで、生命科学や自然科学研究のリードから、世界のコミュニティへの貢献まで、最も約束されたイノベーションを前進させるというミッションに35年間取り組んできた」とKeith Crandell (キース・クランデル)氏は声明で述べた。「ARCHは、感染病やメンタルヘルス、免疫学、ゲノムと生物学のツール、データサイエンス、新発想の診断や治療などで進歩を追求する草分け的な会社の発掘、サポート、投資を優先する」

新ファンドのマネージングディレクターにはRobert Nelsen氏、Keith Crandell氏、Kristina Burow氏、Mark McDonnell(マーク・マクドネル)氏、Steve Gillis(スティーブ・ギルス)氏、そしてPaul Thurk(ポール・サーク)氏が含まれる。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国では新型コロナ対策で睡眠時無呼吸用の装置を改造して人工呼吸器の不足に対処

米食品医薬品局(FDA)は、従来とは異なる解決策に対する必要性が高まるなか、同局の方針と規制を適応させるよう取り組んできた。つまり、新型コロナウイルス(COVID-19)患者の治療に必要な医療機器の不足などに対応するためだ。カリフォルニア大学バークレー校と同サンフランシスコ校、さらには実働中の病院に所属する医師、エンジニア、医学研究者のグループは、人工呼吸器不足に対応する独創的な解決策を考案した。それがFDAの緊急使用許可(EUA)の基準を満たすことを願っている。これまでほとんど使われずに放置されていた、どこにでもあるハードウェアと、備蓄されている医療用呼吸器具によって解決しようというもの。

このグループには、肺疾患専門医、医学および工学の教授、その他多くのメンバーがいる。自らを、COVID-19 Ventilator Rapid Response Team(COVID-19人工呼吸器緊急対応チーム)と名乗っている。睡眠時無呼吸症候群の治療に一般的に使われている既存のCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)マシンを改造して、一種の人工呼吸器として利用する方法を編み出した。人工呼吸器は、ICU内で重度の新型コロナウイルス患者の呼吸を維持するための挿管に必要とされている。

睡眠時無呼吸用の装置は、自力で呼吸できない患者が継続的に使用するようには設計されていない。基本的に、睡眠中に患者の気道が塞がれないようにし、酸素レベルを維持して、望ましくない目覚めやいびきを防ぐもの。このCPAPの改造に取り組んだグループは、挿管に使用できるチューブを使用して、ハードウェアを適合させることができた。主導的な役割を果たしたのは、ベイエリアの3つの病院のICUで、肺の疾患を専門とする救命救急医、Ajay Dharia(アジャイ・ダリア)博士と、カリフォルニア大学バークレー校の工学系の大学院生だ。

すでにFDAは、緊急の必要性がある場合には、もともと人工呼吸器として設計されていない呼吸装置の使用を検討するよう、医療施設や専門家に促すガイダンスを発行している。これだけでも、人工呼吸器緊急対応チームのアプローチは一歩先んじたものだったことになる。それでもチームは、当局からの緊急の認可をさらに求めている。というのも、大量の機器を改造するには、サプライヤーやメーカーと大規模に協力することが必要だからだ。

さらにチームでは、現在使われていないCPAP、つまり睡眠時無呼吸症候群用の装置を寄付してくれるよう、個人や組織に協力を求めている。それを改造して、人工呼吸器を作るためのベースのハードウェアとして使うためだ。興味のある人は、チームのウェブサイトで、さらなる情報をチェックしてみよう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

DataStaxがCassandraデータベースのためのKubernetesオペレーターをローンチ

米国時間3月31日、オープンソースのApache Cassandraプロジェクトを支える商用企業DataStaxが、データベースのクラウドネイティブバージョンを動かすために同社が開発したKubernetesオペレーターをオープンソースで発表した。

DataStaxの最高戦略責任者である Sam Ramji(サム・ラムジ)氏が2019年にGoogleから来て最初に取り組んだのが、KubernetesとCassandraに関して顧客、パートナー、コミュニティメンバーの動向をつかむことだったが、そこでわかったのはサポートが驚くほど限定的だったことだった。

一部の企業はKubernetesのサポートを自分たちで構築していたが、DataStaxには自社サポートと呼べるものがなかった。KubernetesはGoogleで生まれ、そして現在、DataStaxはコンテナ化を熱心に推進している。そこでラムジ氏は、顧客がKubernetesの利用を始めやすくするためのオペレーターがDataStaxにあるべきだと考えた。

「オプションとしてコミュニティに提供しているKubeオペレーターの特別な点は、オペレーターをCassandra向けに一般化して、どこでそれを実装しても使えるようにしたことだ」とラムジ氏はいう。

ラムジ氏によると、多くの企業が独自にKubernetesを運用している企業の多くは、それらは各社の固有の要求に向けて独自化されている。それはそれで結構だが、同社がCassandra上に構築しているため、幅広いユースケースにアピールできる一般的なバージョンを開発したいと考えていたという。

Kubernetesでは、オペレーターはDevOpsチームによるパッケージングの仕方、アプリケーションの管理とデプロイの仕方、それを正しく動かすために必要なインストラクションなどの指示を与える。DataStaxが今回作ったオペレーターは、Cassandraを幅広い前提条件で実行するために特別に作成ししたものだ。

Cassandraは強力なデータベースで、他のデータベースがダウンしても動き続ける。そこでAppleやeBay、Netflixなども主要なサービスを実行するために使っている。この新しいKubernetesの実装により、コンテナ化したアプリケーションとしてCassandraを動かしたいという人は誰でも利用できるようになり、Cassandraをモダンな開発領域へと押し上げられるようになる。

同社はまた、新型コロナウイルス(COVID-19)のためデータベースの利用が増えて苦労している技術者を助ける無料のヘルプサービスを発表した。彼らはそのプログラムを「Keep calm and Cassandra on(落ち着いて、Cassandraを動かそう)」と呼んでいる。Cassandraのようなシステムの稼働の維持を任されている技術者をサイトリライアビリティエンジニア(SREs、サイトの信頼性を維持するエンジニア)と呼ぶ。

ラムジ氏の説明によると「この新しいサービスは完全無料のSRE間のサポート通話だ。我々のSREたちは世界中どこからのApache Cassandraユーザーからの電話に対応する。需要増に対応しようとしているCassandraのバージョンは何でもよい」という。

DataStaxは2010に創業され、PitchBookのデータによるとこれまで1億9000万ドル(約206億円)を調達している。

関連記事:DataStax Lands $106M In Series E Funding(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ディズニー映画「Artemis Fowl」が新型コロナの影響で映画館をスルーしてDisney+へ直行

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでほとんどの映画館が閉まっている中、ディズニーは今後の上映予定作品の封切りを遅らせようとしている。そんな中、まったく映画館で上映される予定のない映画も1つある。5月封切り予定だった「Artemis Fowl(アルテミスと妖精の身代金)」は、ストリーミングサービスへ直行する。

ディズニーは米国時間4月3日、この映画のデビューはDisney+でのみ、封切日は追ってお知らせする、と発表した。

ハリウッドのメジャーな映画会社のすべてが、映画館の閉鎖対策で苦戦している。NBCUniversalは「The Hunt」と「The Invisible Man」「Emma」をストリーミングサービスのレンタルで公開し、一応形だけだが映画館でも封切った。「Trolls World Tour(トロールズミュージック☆パワー)」は、公式の劇場封切り日である4月10日にデジタルで公開される(日本では2020年10月に公開)。

その他の映画会社も同じだ。報道によれば、 Paramount(パラマウント)はKumail Nanjiani(クメイル・ナンジアニ)とIssa Rae(イッサ・レイ)のコメディー「The Lovebirds」を、劇場ではなくNetflixで封切る契約をすでに結んだという。ただし、公式には発表されていない。

関連記事: NBCUniversal will break the theatrical window to release ‘The Invisible Man’ and other movies on-demand…NBCUniversalが「The Invisible Man」などをオンデマンドで公開(未訳)

一方ディズニーは、既に「アナと雪の女王2」をDisney+で配信し、さらにピクサーの「Onward(2分の1の魔法)」は劇場公開から数週間後にデジタル化され、米国時間4月3日にDisney+で公開されている。

Kenneth Branagh(ケネス・ブラナー)監督の「アルテミスと妖精の身代金」は、原題「Artemis Fowl」と同名の若い犯罪者の物語で、Eoin Colfer(オーエン・コルファー)のファンタジー小説シリーズが原作だ。当初の封切予定日は2019年8月9日だったが、遅れて2020年5月29日になっていた。

だから、また遅れても不思議ではない。ディズニーには他の映画もある。「Mulan(ムーラン)」や「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」そして「Jungle Cruise(ジャングル・クルーズ)」ですら、もっと高い確率で映画館での上映はなくなるだろう。

Disney+のマーケティング担当社長Ricky Strauss(リッキー・ストラウス)氏は「ケネス・ブラナー監督と豪華キャストが観客を、多くの人に愛された本のわくわくするようなファンタジーの世界へ連れていく。読者は何年も前から、映画化を待っていた。家族向けのすばらしいエンターテインメントが、Disney+の夏のラインナップをさらに完璧にするだろう」と語っている。このとおり、ストラウス氏はDisney+の話しかしていない。

画像クレジット: The Walt Disney Company

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

血漿ベースの新型コロナ治療法開発に米政府が約16億円注入

先週我々はEmergent BioSolutions(エマージェント・バイオソリューションズ)の治療学事業部門の責任者Laura Saward(ローラ・サワード)博士に、同社の血漿をベースとする新型コロナウイルス(COVID-19)治療法の開発について話を聞いている。そして今、同社は米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から1450万ドル(約16億円)の資金を得たと発表した。BARDAは米保健福祉省(HHS)の一部門で、今回調達した資金は、可能性がある治療法の開発のスピードアップに使う。

Emergent BioSolutionsは、新型コロナに感染し、それによって引き起こされる呼吸器疾患を抱える患者の処置に使う2種類の血漿ベース治療法の開発にすでに取り組んでいる。そのうちの1つは馬から採取した血漿をベースにしたもので、大量生産できることがメリットだ。もう1つは人間の血漿を使用していて、こちらは患者の拒絶反応を引き起こす可能性を抑えられる。

どちらの場合も、患者の免疫を高めることができる「高度免疫」治療製品を開発する1つの方法として回復期患者の血漿を使うというコンセプトに基づいている。研究者や衛生当局が調べている、回復期患者の血漿の他の使用法と似ている。しかし直接注入するアプローチではなく、Emergentはウイルスと戦うための多くの異なる種の抗体を含む血漿ベースのソリューション、しかも予想通りの効果を伴うものを作り出すことで状況を打破しようとしている。

同社はすでにこれらのソリューションの開発に取り組んでおり、似たような治療法を実用化させた以前の経験をフル活用しながら開発、認証、テストを急いでいる。しかし今回、特に人間の血漿を使ったプログラムの開発を加速させるためにBARDAから1450万ドル(約16億円)を得た。計画では、新型コロナウイルスから回復した人の血液を使って開発を行う。同社はまた、すでに献血の回収とスクリーニングを始めている。

次のステップとして、Emergent BioSolutionsのソリューションは米国立アレルギー感染症研究所との臨床試験で確かめられる。同研究所が治療の有効性を判断する。

画像クレジット:zhangshuang/Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ対策として空港の混雑などを監視するZensorsのコンピュータビジョン

新型コロナウイルスの感染が広がる中、商用のコンピュータビジョン技術が人々の行動を観測する有益なツールになりつつある。機械学習でレストランの空き状況や行列などを追跡するスタートアップのZensorsは、感染拡大防止のために測定のシステム化を必要としている空港などで、このプラットフォームを無料で利用できるようにする。

Zensorsが創業したのは2年前の2018年だが、TechCrunchは2016年に防犯カメラの映像などから有用なデータを抽出するコンピュータビジョンのアーリーアダプターの1つとして同社を紹介した。レストランを映すカメラでテーブルの空きを数え、時間の経過に伴うデータの変化を追跡するのは可能で当然のことのように思えるかもしれないが、数年前にはなかなか思いつかないことで、実現も簡単ではなかった。

それ以来Zensorsは、空港、オフィス、小売店などそれぞれの環境に合わせたツールを作ってきた。座席の埋まり具合やゴミ、行列の見込みなどを調べることができる。偶然ではあるが、人と人との距離を注意深く監視する必要がある現在の状況において、このようなデータは空港などの管理者にとってまさに必要なものだ。

Zensorsはカーネギーメロン大学から生まれた企業だ。Zensorsの共同創業者であるAnuraag Jain(アヌラーグ・ジェイン)氏は同大学に対し、Zensorsの技術を公衆衛生に生かしたいと考える空港などから多くの問い合わせを受けたと語っている

例えば、何人が行列に並んでいるかを数えるソフトウェアを応用すれば、簡単に人々の密集具合を推計し、人が集まり過ぎていたり狭い場所に集中したりしているときにアラートを送信できる。

「これで利益を得るのではなく、無償で支援しようと考えた」とジェイン氏は言う。そこで最短でも今後2カ月間、Zensorsは同社のプラットフォームを「我々のクライアントである空港など、現在の危機に最前線で対応している一部の組織」に対して無償で提供する。

特定のエリアにいる人が多すぎないか、ある場所が最後にいつ清掃されたか、急いで清掃する必要があるか、ある集団の中で何人がマスクをつけているかなど、新型コロナウイルスに関連して知りたい情報を提供する機能がすでに強化されている。

空港ではおそらくこうした情報をすでに追跡しているが、あまり体系化されてはいないだろう。このようなシステムは、清潔な環境を維持しリスクを減らすのに役立つはずだ。Zensorsとしては無償で試用した組織の一部が料金を支払うクライアントになることを期待していると思われる。関心を持った組織は、Zensorsの通常の問い合わせフォームから相談できる。

トップ画像クレジット:Zensors

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナ蔓延のいま、我々は安全なオンライン投票について検討しなければならない

オンライン投票

予備選挙と選挙を延期した州が急速に増加している。ニュージャージー州は地方選挙の延期をも決定した。議会でさえ、今後挙がってくるパンデミック関連法案の採決をリモートな手段で行うべきという要求が高まっており、新型コロナウイルスの蔓延という前例のない事態に対処する中で、伝統から離れ、安全な選挙とは何かを再考している。

しかし、この議論では重要な背景を見落としている。多くの米国市民はすでに在宅でまたは海外からオンラインによる投票を行っているのだ。米国の23州およびワシントンDCでは一部の不在者投票をEメールで、また別の5つの州ではウェブポータルで行うことを認めている

我々は、一部の有権者にオンラインによる投票手段を提供することが義務付けられている2つの州の選挙担当官である。これらの有権者にとって、この議論は学術的なものではなく、必要上の問題である。従来の投票方式は海外在住者、軍勤務者、障害者にとって機能していない。選挙担当官として、市民の憲法上の権利を守るのは我々の義務であり、彼らがどのような環境にいるのであれ、また彼らの現実がどのようなものであれ、オンライン投票を実現することで、これらの2つのグループに属する人々が我々の民主主義に参画する機会が劇的に改善するのである。

オンライン投票を認めるか否かを議論すべきではない。そうではなく、問うべきは「電子的なかたちでの投票を促進するための最も安全な方法とはなにか」である。オンライン投票はすでに既存のものだからである。また一部の有権者グループにオンライン投票が必要とされており、そのニーズが近い将来拡大する可能性があるからである。

連邦投票支援プログラムが隔年で行う海外米国市民人口分析によると、全国で300万人の有権者が海外に在住しているが、そのうち2016年の選挙に投票したのは7%だけであった。同分析によると、投票方式におけるバリアを取り除くことで、投票率が30%上がることがわかった。また別の分析では、100万人近くの現役軍人が投票権を持っているにもかかわらず、2018年の選挙で実際に投票したのはそのうちの約23%にすぎなかったことが明らかになった

従来の郵送による不在者投票や決まった場所で行われる投票の仕組みはこれらの有権者の役には立たない。選挙権を奪われているのは、彼らだけではない。投票率について言えば、障害者を持つ3500万人の投票者にとっても現実は厳しい。2017年10月の米国会計検査院の報告書でも、プライバシーを守った形での投票を難しくする機械など、障害者が投票するにあたっての多くの問題が明らかにされた。 2017年のラトガース大学の研究で明らかになったように、過去2回の大統領選挙で障害者の投票率が2008年の57.3%から2016年の55.9%に下がっているのは無理もないことである。

新たなテクノロジーにより、海外に在住する米国市民や障害を持った有権者の投票へのアクセスが拡大され、確保される。ユタ州の最高齢の有権者である、106才のMacCene Grimmett(マッケーン・グリメット)さんについて考えよう。彼女が生まれた1913年には、女性の選挙権は認められていなかった。彼女は2年前に足首を負傷して以来、外出できなくなり、またペンをしっかり握ることも難しい。しかし昨年、モバイルデバイスのアプリのおかげで投票することができたのだ。テクノロジーによって力を得たマッケーンさんは、誰かに頼ることなく、匿名で、安全にそして威厳をもって、彼女の最も基本的な市民としての義務を遂行することができた。

全国で様々な規模の先行試験や検証が行われ、現在のところ前向きな結果が示されている。2019年にユタ郡が海外在住者に携帯電話による投票を提案したところ、投票率に飛躍的な増加が見られた。アプリを使って海外から投票した有権者の投票率は、投票日に実際に会場に出向いて投票した人の投票率よりも高かった。2019年には、オレゴン州でも市民に対しアプリによる投票を認めた

重要なのは、全ての先行試験に厳密に結果を精査する機能が含まれているため100%の精度を確保できる点である。

最終的な課題は、投票へのアクセスを最大化するために、安全で革新的な方法でいかにテクノロジーを継続的に用いるかである。安全は最優先事項である。我々は、相互につながりあった世界に住んでおり、海外の敵やその他の悪意のある組織が情報技術を使用して我々の政治システムを弱体化させようとしていることを深く認識している。今後に向けて進む中で、我々自身の責任として、自らの環境を理解しておくべきである。

これらの懸念は実際問題ではあるが、インタネットを基盤とした投票の必要性や潜在的なメリットを抑制するものであってはならない。我々のテクノロジーには全く綻びがないと盲目的に信じることはできないのと同様、何百万もの有権者の選挙権を無駄にし、選挙への信頼を揺るがすような無意味で全面的な不信に陥る必要もない。

大ざっぱな判断を下すのではなく、それぞれのケースを個別に検討する必要がある。例えば、アイオワ州では、不十分なトレーニング、検証の欠如や、ある政党による特定のテクノロジープラットフォームに関する政党幹部会での結果報告にトラブルなどがあったことが原因でオンライン投票がうまくいかなかった。その失敗がなぜユタ州の障害者やオレゴン州の軍人がアプリで投票し、承認することに悪影響を与えるべきなのだろうか?

全市民のために投票へのアクセスを確保することにより投票率を上げることは、我々の民主主義を守るために、最も優先すべき事項である。21世紀の今、投票に電子的な手段が含まれるのは必然の成り行きである。海外の有権者に関する問題に直面し、また国内ではCOVID-19のような新たな課題が発生し、人々が大勢集まり長い列を作ることは脅威と考えられる現在では特にである。

我々は投票へのアクセスを広げるため、システムを強化しより耐性の高いものにしつつ、試行や実験を継続していく必要がある。小規模の先行試験からはじめ、機能する点を確認し、結果を厳密に精査してから、それをまた新しい段階の検証へと活用していくのである。例えばアプリベースの投票はEメールで投票を返信するよりも安全であり、Eメールでは不可能な投票者の匿名性を保護することもできる(Eメールを開き、集計のため投票を紙の投票用紙に手書きでコピーする担当者は、誰が送信したかわかるため)。

これらはインターネット上での投票が現時点で成功を収めている側面である。我々がゆっくりと責任と自信をもって前進するのと並行し、これらの成功が議論が促進してくれるはずである。

【編集部注】寄稿者のAmelia Powers-Gardner(アメリア・パワーズ-ガードナー)は、2019年1月に就任したユタ州ユタ郡の郡書記官。Chris Walker(クリス・ウォーカー)はオレゴン州ジャクソン郡の郡書記官だで、2008年に初めて任命され、 その後2010年、2014年に再任された。

画像クレジット: NickS / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

米国でも布マスク推奨へ、米疾病予防管理センターが一般人に布マスク着用の要請を出す見込み

米国時間4月2日にホワイトハウスは、症状のない非医療従事者がマスクを着用することを奨励していなかったこれまでのガイドラインを、間もなく変更する可能性が高いことを発表した。この変更はCDC(米国疾病予防管理センター)から「ガイダンス」(要請)として発行されことになると思われるが、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の中で、連邦政府の権力を行使することを躊躇し続ける大統領はそれを義務化する予定はない。

なお医療グレードのマスクの供給は、新型コロナウィルスの被害を受けた場所、あるいは程なく被害を受けるであろう場所で供給が極めて厳しくなっている。そうした不足が続いているため、新しいガイダンスの中で使うことを要請されるのは、布製マスクおよび非医療用の顔面カバーのみが対象となることが予想されている。

4月2日のホワイトハウスの記者会見で、コロナウィルス対策本部の渉外コーディネーターであるDeborah Birx(デボラ・バークス)博士は、新しいガイダンスは「追加の」保護手段を与えるもので、置き換えるものとして意図されたものではないと強調した。「要請が出たとしたら、もし出たらの話ですが、それは追加の対策になるでしょう」とバークス博士は語った。

バークス博士は、ホワイトハウスとCDCが新しいマスク要請を出すことをためらった理由は、そのことで人びとに、米国の封じ込め活動の鍵となる重要なソーシャルディスタンシング(ウイルスに感染しないために他人と距離を空けること)対策に対する気の緩みを招きかねないからだったと語る。「私たちは皆さんに決して『さあ、マスクをしたぞ、だから自分は大丈夫だし、他の人にも感染させたりしない』と思って欲しくないのです」。

バークス博士が布製マスクによる新しい予防策の背後にある考え方を説明した際に、トランプ大統領も自身の根拠のない情報の解釈を発表した。「マスクをつけたかったら、つければいい」とトランプ大統領は言った。だが残念なことに「多くの場合は、スカーフのほうがいいだろうね、なにしろもっと厚いから」という誤った情報も付け加えた。

新しいガイダンスは今後数日のうちに、CDCから発表される予定だ。 ワシントンポストが入手したメモによれば、症状のない人がウィルスを感染させているという証拠から、CDCは布マスクの推奨を検討し始めたということである。ポリシーのドラフトには、CDCが「周りの人へのウィルスの蔓延を防止するために人々が取ることができる追加の公衆衛生対策として、コミュニティに対して布マスクの使用を推奨する」と書かれている。

米国時間4月1日にロサンゼルス市長のEric Garcetti(エリック・ガルセッティ)氏は、N95とサージカルマスクは医療従事者に直接渡されるべきであることを強調しながら、住民に対し公共の場では顔を覆うよう促した。

適切な個人用保護具(PPE)を入手できない医療従事者や、保護対策を講じたい人たちのために、自家製マスクを作る草の根職人たちの運動がすでに全国的に広がっている。多くのオンラインリソースが、マスクの作り方や縫わずに作る方法に関する、パターンやハウツーを提供している。これから出される布マスクに関する新しい連邦要請は、多くの企業が耐え忍ぶために創造的な動きをしている中で、企業が新型コロナウイルスとの闘いに役立つリソースを生み出す機会を提供することもできるだろう。

日本や韓国のような国では、パンデミック時以外でもマスク着用は日常的に行われているが、欧米諸国では一般的にマスク着用はあまり好まれていない。米国人に対して発せられている、医療従事者に医療用マスクを寄付するように促すメッセージと、同時に発せられているマスクは日常的な状況でウィルスに対する保護を提供しないことを示唆する当局からの混乱したメッセージによって、社会規範は混乱するかもしれない。

「皆さん、心からのお願いです。マスクの購入をやめてください!」、米国公衆衛生局長官 Jerome Adams(ジェローム・アダムス)氏は、2月下旬にこのように ツイートした。「マスクは一般市民が#Coronavirusに感染することを防ぐのには効果的ではありませんが、もし医療提供者が患者のケアをする際にマスクを入手できない場合には、医療従事者と私たちのコミュニティを危険にさらします!」。

米国人が行う個人用のマスクを買いだめは、すでに逼迫していた医療従事者のための個人用保護具の供給を、さらに悪化させる可能性があったため、危機の初期段階ではこのようなメッセージは意味があったかもしれない。

布製マスクは医療用マスクほど効果的ではないが、たとえ不完全であったとしても、ウィルスの蔓延を制限するためには何もないよりはましだ。インフルエンザが大流行した場合の自家製マスクの有効性を検証するために、2013年に行われた先見性のある小さな研究によれば、研究者たちは布製マスクを「最後の手段としてのみ考慮されるべきである。しかし、何も保護しないよりはマシだろう」という表現で推奨している。

ケンブリッジ大学出版局が発表した研究によれば、手作りの布製マスクと従来の外科用マスクの両方で、着用者が排出する感染性のある飛沫の量は「有意に」減少したが、感染防止効果は外科用マスクの方が3倍優れていたという。自家製マスクは医療用マスクのように使い捨てられることが少ないため、使用後に洗浄して感染性の飛沫を取り除く必要がある。

木曜日に保健当局は、マスクを使用することは、物理的な距離対策を緩和しても良いという意味ではないことを、注意深く強調した。

「マスクを使うことが、現在皆さんにお願いしている全ての対策の代替になるものではないということを肝に銘じておいてください!」とバークス氏はコメントした。

画像クレジット: SeongJoon Cho/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:sako)

米国市場は記録的失業数は影響せず再び株価が上昇

およそ660万人が失業保険を申請した歴史的失業率が報じられる中、米国の株価は米国時間4月2日の通常取引時間に上昇した。

新型コロナによる米国内死者数の恐ろしい推定値が株価の下落をよび、政府の感染速度緩和の対策による経済低迷が続く中、米国の主要インデックスはそろって上昇した。

一方で米国連邦政府は、 CARES法の刺激策の一環として2兆ドル近い資金を米国経済に投入する方法の詳細を詰めているところだ。そして製薬会社と医療機器会社は診断ツールの改善ウイルス治療の新たな方法の開発のために休みなく働き、ワクチン開発規制当局の承認プロセスに向けてゆっくりと進んでいる。

主要3インデックスの数字は以下のとおり。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):+469.93ドル、+2.24%
  • S&P 500:+56.40ポイント、+2.28%
  • Nasdaq Composite:(ナスダック総合指数) +126.73ポイント、+1.72%

テック株の多いNasdaqの上昇率は主要インデックス中で最も低く、この良き日がテクノロジー業界にとって必ずしも明るいものではないことを示している。この事実は、SaaS関連およびクラウド株の大量売りによる急落が強調しており、ベンチャーキャピタルのBessemer(ベッセマー)が算出したクラウドインデックスはこの日1.4%下落した。Nasdaqはいまだに下げ相場の領域にいる。

今日の時間外取引でTesla株は、同社が株主を喜ばせる納車台数を発表した後値上がりした。気まぐれな自動車会社はこの3ヶ月の期間に8万8400台を納車したことを発表し、予測されていた7万9900台(FactSetによる)を上回った。

今後を見渡すと、新たな失業者数が示唆する大規模な経済的影響を市場が消化できているとは感じられない。雇用率が急落し、世界中の経済が商業より安全を優先する中、世界は一時停止や静止どころではなくなるかもしれない。われわれは大恐慌の第一週を見下ろしているのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ対応の細胞療法の早期治験を米食品医薬品局がCelularityに認可

Celularity(セルラリティ)は、ベンチャーキャピタルから支援を受け、癌治療のための画期的な細胞療法に取り組んでいる。新型コロナウイルス(COVID-19)に有効と考えられる治療法に関する早期臨床試験を開始するため、必要なFDA(米食品医薬品局)からの初期認可を受けた。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko/Getty Images

Crunchbaseによると、同社はこれまでに、少なくとも2億9000万ドル(約313億円)を調達している。「ナチュラルキラー」(NK)細胞療法を使用して、免疫システムが疾患と闘う際の反応を高める。Celularityでは、こうしたNK細胞を、胎盤組織から培養された幹細胞から得ている。通常は、病院が医療廃棄物とみなしているものだ。

同社は、ベンチャー投資会社のSection 32と、いくつかの戦略的投資家から支援を受けている。その中には、現在はブリストル・マイヤーズ(Bristol Myers)の一部門となったCelgene、生物医学技術開発会社のUnited Therapeutics、J. Craig Venter(J・クレイグ・ベンタ―()氏によって創立され、ベンチャーキャピタルから支援を受けたスタートアップのHuman Longevity、そして上場している生物医学企業のSorrento Therapeuticsが含まれる。Celularityは、新たな細胞療法についていくつかの応用に取り組んでいたが、それはもともと癌治療に焦点を当てたものだった。

同社が成し遂げた本当のブレークスルーは、細胞療法に使う細胞を、患者から取り出した細胞から培養する必要がないこと。それは時間もお金もかかるプロセスなのだ。それゆえ、同社への期待は高く、多くの資金が集まった。Celularityは、NK細胞を生成して保存できるので必要なときにいつでも輸血できる。

Celularityでは「FDAの承認を得て、86人を対象とした小規模な治験を開始し、新型コロナウイルスに感染した成人に対し、CYNK-001免疫療法による治療の有効性をテストする予定である」と述べている。中国でも、ナチュラルキラー細胞が新型コロナウイルスの治療に使用できるかどうかをテストする、少なくとも2つの研究が進行中だ。

NK細胞は、身体の免疫系の一部である白血球の一種。特定の病原体を標的とするt細胞とは異なり、NK細胞は通常、免疫システムをサポートするように働く。感染や変異によってストレスを受けていると判断される体内の細胞を特定して破壊する。

この治療法は、特定の種類の癌の治療には効果を上げているものと考えられる。同社の研究者は、新型コロナウイルスを全身に広げる新型コロナウイルスの能力を停止させることで、同様の結果が得られると推測している。

ただし、NK療法を実施するにあたっては、それ相応の潜在的な障害とリスクがある。何よりも、新型コロナウイルスは免疫システムを暴走状態にする可能性があり、致命的となる場合もある。感染によって引き起こされる「高サイトカイン血症」だ。免疫システムが、肺の健康な細胞を攻撃し始め、臓器不全を起こして死に至らしめる。その場合、新型コロナウイルスに対する免疫反応を高めることは、患者にとって危険なこととなる。またNK細胞が、新型コロナウイルスを引き起こす新型コロナウイルスに感染している細胞を検出できず、治療の効果が得られない可能性もある。

「研究では、ウイルスの種類に関係なく、ウイルス感染に対してNK細胞が強力に活性化されることが確かめられています」とCelularityの最高科学責任者であるXiaokui Zhang(キアオクイ・ジャング)氏は、声明で述べている。「こうした作用は、CYNK-001が感染した細胞を排除することによって、SARS-CoV-2ウイルスの複製を阻害し、疾患の進行を遅らせることで、新型コロナウイルスの患者に有益である可能性を示唆しています」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新型コロナ感染回避を強力に支援するビデオチャットアプリ8選

video call

ソーシャルディスタンス(社会的距離)の変遷を多くの人が驚きを持って受けとめる中、ビデオ通話が距離のある人との交流に欠かせない新しいツールになりつつある。しかし、巷にあふれる多くのアプリの中から、あなたと(テクノロジーに疎いかもしれない)友達や家族に適しているのはどのアプリなのだろう?お茶するときによし、家族の集まりによし、深夜のゲーム大会によしのお勧めアプリを紹介していこう。

ここで紹介するサービスは、簡単に他の人々とつながることのできる無料アプリを探している個人向けのもので、中小企業を含めた企業向けのものではない。セレクションのポイントは、使いやすさと一般の人々が魅力を感じる機能だ。アプリはすべて無料で、クロスプラットフォーム、つまり少なくともiOSとAndroidで使用でき、多くはmacOSやWindowsにも対応している。

多人数グループ向け

Skype(iOS、Android、macOS、Windows、Linux、ウェブ)

skype

良い点: 一度に多くの人と通話が可能
悪い点:他の機能に力を入れすぎ
Skypeは長く使われてきた。そのデスクトップアプリはいまひとつだが、モバイルバージョンは安定している。無料で多人数に対応可能で、実質上制限はない(1通話あたり4時間、月あたり100時間)。ビデオ通話をメインに考えているのであれば、優秀なアプリである。しかしSkypeの絵文字リアクション、ステータスの更新、およびその他のお粗末な機能は回避するのが最善。

Zoom(iOS、Android、macOS、Windows)
Zoom
良い点:一度に多くの人と通話が可能、主催者の権限が強い
悪い点:不完全なバックグラウンドデータポリシー、40分の通話制限
Zoomは、ビジネスビデオ会議アプリとしては最も人気のアプリの1つだ。信頼性が高く、安定したウェブ統合とその他の機能を備えている。Zoomは本来個人の通話用に作られたものではない。個人使用には必要ない機能も多数あるが無料版で十分だ。残念ながら、グループ通話には40分の時間制限が設けられている。40分は思ったより早く経過してしまい、全員がいったん通話を終了し、もう一度開始しなければならない。Zoomは無断で大量のデータを収集してたことで批判されてきた。友達とおしゃべりするだけなら、他にもっと良い選択肢がある。

友達・家族向け

Facebook Messenger(iOS、Android、macOS、Windows)
Facebook Messenger
良い点: 簡単に使用でき、多くの人が既に持っており、便利なグループ機能
悪い点: Facebookアカウントが必要
メッセンジャーの人気には理由がある。メッセンジャーがあれば、友達とのほぼすべてのデジタル通信の機能がある。無料の時間無制限のビデオ通話に最大8人が参加できる。2人で通話を行う場合は、サーバーを経由しないピアツーピア構造に切り替わり、渋滞を回避することができる。もちろん、これもFacebookの製品なので、Facebookアカウントが必要になってくるが、アカウントの作成を嫌がる人もいる。しかし、メッセンジャーは、Facebookへの投稿や画像よりもスヌーピングから保護されている。

WhatsAppメッセンジャー(iOS、Android、macOS、Windows、ウェブ)

whatsapp

良い点: 安全、多くの人が使用
悪い点: 1回のビデオ通話で4人まで
WhatsAppは、FBメッセンジャーの冴えない、やや見劣りする兄弟に例えることができる。かなりブサイクであっても、プライバシーに焦点を当てているため、WhatsAppは世界中で多くの人に支持されている。ビデオ通話はWhatsAppの主要機能ではないが、4人しか参加できないことが気にならないのであれば、悪くないアプリである。ビデオ通話をするには、グループチャットを開始し、右上の通話ボタンを押して参加者を選択し、カメラを押す。

Google Duoまたはハングアウト (iOS、Android、ウェブ)

Google Duo

良い点:シンプルなインターフェース、既存のGoogleアカウントの使用
悪い点:複雑なプラットフォームの問題、Duoは今後消えていく可能性あり
Duoは、Googleの比較的新しいメッセージング製品でAlloの補完を目的としている。ハングアウトのコンシューマーバージョンという位置付けで、ChatとMeetに分割されているが、独立した存在である。紛らわしい? それこそGoogleである。しかし現在このアプリはとてもうまく機能している。既存のGoogleコンタクトやアカウントに接続し、簡単にビデオ通話ができる上、特に制限はない。友達が新しいアカウントを作成したがらない場合、これはよい選択肢である。ただし、あまり依存してはいけない。人気のないGoogle製品の寿命は長くはないからだ。

Marco Polo(iOS、Android)

良い点: ビデオメッセージングはライブチャットの代替手段として楽しめる機能
悪い点: ライブチャットオプションがない
いわゆるビデオチャットアプリではないが、全員が対面式のライブビデオ通話を望んでいるわけではないのは事実だ。Marco Poloは合理化されたSnapchatのような存在で、落書きやフィルターなどを追加するオプションを使用して、短いビデオを友達やグループに送信するのに利用される。友達と話すのに30分も時間がない場合には、良いオプションになるだろう。

次点FaceTime、Instagram

FaceTimeは優秀なアプリだが、クロスプラットフォームではないため、かなり有用性が制限されている。友達がたまたまApple製品を使用していたら、FaceTimeは優秀でシンプルなオプションだ。Instagramにはダイレクトメッセージにビデオ通話が組み込まれている。内輪のグループにいれてもよいかどうか確信がもてない人と、ちょっとした通話を行うのに便利だ。

一緒に楽しいひとときを過ごすためのアプリ

Houseparty(iOS,、Android、ウェブ)

Houseparty

良い点: グループチャットへの出入りが簡単、ゲーム内蔵
悪い点: 基本的にHeads Upのためのトロイの木馬
Housepartyは、10代の若者が家に居ながらにして友達グループとチャットするために使用するアプリとしてそのブランドを確立した。大人には不評。しかし、そういったものの常として、子供には支持されている。Housepartyは仲良しグループでの使用に適している。誰かがオンラインになれば通知され、チャットにもで簡単に入ることができる。アプリ内のゲームも楽しめるが、Heads Upをするには課金されてしまう。ピクショナリークローンは楽しいが、限られた文字数では紹介しきれない。

Discord(iOS、Android、macOS、Windows、Linux、ウェブ)

Discord

良い点: ゲームをしながらボイスチャットをするか、たまに簡単なビデオチャットをするのに最適
悪い点:インターフェースが時々紛らわしく、ビデオが中心機能ではない
Discordはゲーム関連コミュニティーでは事実上の王者と言ってよく、ゲーム内チャットインターフェースやSteamなどの教育業界の大物に取って代わるものだ。Discordの主力サービスは音声チャットであり、そちらは良好だが、ビデオチャットも選択できる。複数のタブ、グループ、チャンネルがあるため、テクノロジーに精通していないユーザーには、そのインターフェースは紛らわしいかもしれない。

次点BunchSquad

新しいアプリ、Bunchは, ビデオチャットをしながらグループでゲームをすることに力を入れている。うまく機能するかどうかわからない上に一部のゲームにアプリ内課金がある可能性がある。しかしプラットフォームは当初から多くの人が利用しているので、この際試してみてはどうだろう。

Squadが力を入れているのが、自分がスマートフォンでしていることをチャットしながら共有する機能だ。一緒にTinderをチェックしたり、ビデオを見るといったことが可能だ。Bunchと同様、Squadは未だ新参のアプリであるため、友達にサインアップをしてもらわなければならないが、自分がスクロール(またはスワイプ)しているものをそのまま友達と共有するのには最適な手段だ。

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(翻訳:Dragonfly)

買い物代行のInstacartもショッパーにマスク、消毒剤、体温計を配布へ

Instacart(インスタカート)はフルタイムで働くショッパー(Instacartで買い物品を顧客に届ける人のこと)への健康・安全キットの配布を開始する。同社は2日、キットにはフェイスマスク、手指消毒剤、体温計が含まれると明らかにした。

このキットは来週から無料でショッパーに提供される。Instacartによると、ショッパーはInstacartショッパー電子メールで登録してキットをリクエストできる。需要に対応するため、同社は毎日在庫をアップデートする。店内での買い物業務を担うショッパー向けには、それぞれの小売店舗のショッパーにフェイスマスクを提供する。

「手指消毒剤やフェイスマスクのような個人用保護品は入荷が遅れ、また世界的に品薄になっているが、それらをヘルスケアワーカーから奪うことなく積極的に確保するために当社のチームは昼夜問わず取り組んでいる」とInstacart会長のNilam Ganenthiran(ニラム・ガネンティラン)氏は声明で述べた。「グローサリーや日用品の入手で頼れる必須のサービスを我々は顧客に提供したい。その一方でInstacartのショッパーに安全でフレキシブルな収入の機会を提供する。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大するにつれ、今日の健康や安全のためのソリューションは、明日のために必須のものだ。当社のチームは、ショッパーコミュニティがこうした状況でも守られるよう、新しいサービスや機能を導入すべく素早く取り組んでいる」。

今回の発表は、一部のギグワーカーによるストライキが展開されている中でのものだ。3月27日、Instacartショッパーのグループはストライキの計画と同社が要求に応じるまで職場復帰しないと発表した。労働者に個人用保護品を無料で提供すること、オーダー1件あたり5ドル(約540円)の危険手当を上乗せすること、デフォルトのチップを10%にすること、疾病手当を新型コロナの影響を受けやすい持病を抱えている人にも適用すること、そうした福利厚生の資格申し込みの期限を4月8日以降に延ばすことを要求している。

これを受けInstacartは申し込み期限を延ばし、デフォルトのチップを顧客が払うチップ額に設定した。しかしこれでは十分でないとショッパーは話す。Mediumへの投稿の中で、労働者はInstacartの対応を「侮辱的」で「質の悪い冗談」と形容した。

「行動を起こすのにこんなに時間がかかるとは、まったく忌まわしい。しかしストライキがInstacartの行いを変えるのに効果的であることがわかったのは収穫だった」と投稿に書いた。

労働者への危険手当や新型コロナでかなりのリスクを負う人への支払いはまだだ。労働者に不穏な動きが広がる中で安全プロトコルを引き上げる企業はInstacartだけではない。Amazon(アマゾン)は、倉庫で働く従業員やWhole Foods(ホールフーズ)の従業員向けにサージカルマスク配布を開始すると明らかにした。

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(翻訳:Mizoguchi

Estimoteが新型コロナ接触者を追跡するウェアラブル端末を発表

Bluetoothを使ったビーコン端末のスタートアップであるEstimote(エスティモート)は、その専門技術を活かし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を抑えるための一連の新製品を開発した。同社は、社会的距離の確保や隔離が要請されている間も物理的に狭い場所に集まって作業しなければならない人たちの職場の安全性を高めると共同創設者Steve Cheney(スティーブ・チェイニー)氏が確信する、新分野のウェアラブル端末を作り出したのだ。

ストレートに「Proof of Health」(健康の証)ウェアラブルと呼ばれるこのデバイスは、接触者の追跡を目的としている。言い換えれば、それぞれの職場の施設レベルで、人から人への新型コロナウイルスの感染経路をモニターするものだ。その狙いは、従業員の間で万一感染が発生した場合、状況を把握し、手遅れになる前に拡大を抑制する手立てを提供することにある。

このデバイスには、パッシブGPSによる位置追跡システムに加え、Bluetoothと超広帯域無線(UWB)接続を利用した近接センサー、充電式バッテリー、LTE通信機能が備わっている。さらに、装着者の健康状態や、健康の保証、症状、感染の確定といった記録状態の変更を手動で行える。装着者が、感染の可能性または感染確定に自身の状態を変更すると、接近した距離と位置情報の履歴を基に、接触した相手の情報が更新される。これらの情報は、接触の可能性のある人たちの詳細情報を保管し集中管理するための健康ダッシュボードにも記録される。現在は、ひとつの組織内での使用を想定してデザインされているが、この情報を企業全体あるいは一般社会での追跡に役立てることができないか、WHOを始めとする保健機関と協力する道を探っているとチェイニー氏は話している。

このデバイスは、さまざまな形態で展開できるよう作られている。現在すでにある丸い小石のようなタイプ(紐を取り付けることで首に装着して情報を確認できる)、調整可能なバンドで腕に巻くタイプ、施設の入出管理でよく使われている従来型のセキュリティーカードと一緒に携帯しやすいコンパクトなカード型タイプがある。小石型タイプはすでに生産に入っており、これから2000ユニットが展開される。近い将来、同社のポーランドにある製造資源を生かして、さらに1万ユニットを生産できるよう態勢を強化する予定だ。

Estimoteは、ほぼ10年間、企業向けにプログラム可能なセンサー技術を構築し、AppleAmazonといった巨大グローバル企業とも協力関係にある。チェイニー氏が私に話してくれたところによると、彼はその技術を、パンデミックによって生じたこの特異な問題に応用する必要性を即座に認識したというが、Estimoteはすでに18カ月前から、別の目的でその技術の開発に取り組んでいた。サービス業界の従業員向けに、安全対策や非常ボタンを提供するというものだ。

「このスタックは18カ月間、フル稼働しています」と彼はメッセージで話してくれた。「私たちは、すべてのウェアラブルのプログラムを遠隔で操作できます(LTE接続されてます)。工場に配備する場合、そのウェアラブルに遠隔でアプリを開発します。これがプログラマブルIoTです」

「ウイルスのおかげで、人と人が間近に接する場所での健康確認の診断技術が必要になるなんて、誰も思いませんでしたよ」と彼は言い足した。

接触者追跡をテクノロジーで実現しようという提案は数多くある。スマートフォンで収集された既存のデータを利用する方法や、カルテを転送する消費者向けアプリの応用などだ。しかし、それらの取り組みには、プライバシーの問題が大きく関係してくる。しかも、スマートフォンを使うことが前提だ。人の行き来が激しい環境では、正確な位置追跡をスマートフォンで行うのはほぼ不可能だとチェイニー氏は指摘する。専用のウェアラブルを作ることで、Estimoteは従業員同士の「侵害」的な行為を避けることができるとチェイニー氏は言う。その目的に合わせて作られたデバイスを使用し、従業員の間だけでデータを共有するからだ。さらに、取り外しができる形態で、部分的に自分でコントロールができる。また屋内では、モバイル機器は専用ハードウェアのように精度の高い追跡が行えないとも彼は話している。

しかも、このようにごく限られた領域での接触者追跡は、感染拡大を、他の方法よりも早く徹底的に抑制するための早期警報を雇用主に伝えるだけのものではない。実際、センサーデータから得られた大きなスケールでの接触者追跡情報により、新型コロナウイルス対策に、新しい優れた戦略がもたらされている。

「一般的に、接触者追跡は、個人の記憶や、高レベルの想定(例えば、その人の勤務シフトなど)に依存しています」と、ジョン・ホプキンズ大学応用物理研究室のBrianna Vechhio-Pagán(ブリアンナ・ベッキオペイガン)氏は言う。「新しいテクノロジーによって近距離、つまりおよそ2m以内での接触を追跡できるようになり、他の方法でもたらされる誤差が減りました。BlurtoothやUWB信号からの感染状態や症状を含む濃厚接触者追跡データにより、患者や医療従事者の安全を守る新しい優れた方法が発見されるでしょう」。

人との距離を保つ方針がいつまで続くかは今のところは不明だ。何カ月も続くという予測もある。感度に差があったとしても、Estimoteのようなソリューションは、リスクを回避して従業員の健康と安全を守るための最大の努力を払いつつ重要なサービスや業務を遂行する上で、欠かせないものとなる。さらに大規模な対策も必要だろう。一般市民を対象とした接触者追跡計画などだ。Estimoteの取り組みは、そうした計画の設計や開発の参考になるはずだ。

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(翻訳:金井哲夫)

スマート体温計の発熱者マップが新型コロナ対策での外出自粛の重要性を示す

米国ヘルスウェザーマップ

スマート体温計メーカーのKinsa(キンサ)は、インフルエンザなどの季節性疾患が地域でどのように感染拡大するかを示す正確かつ予測的なモデル作りに着手しており、発熱者マップは新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにおいて役立つ可能性がある。キンサの米国ヘルスウェザーマップでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を特定してその感染拡大を追跡することはできないが、地理的データに紐づく発熱状況が確認できるため、各地域で講じられる社会的距離戦略と隔離対策の有効性が簡単に把握できる。

キンサのヘルスウェザーマップが2月にニューヨークタイムズに掲載されたとき、同社製体温計の米国市場での流通量は約100万個だった。だが、記事掲載の1週間前から注文が殺到し、注文数は1日あたり1万個ほどに及んでいる。これは同社の分析が、米国総人口に対し非常に膨大なデータセットに基づいていることを意味している。キンサ創設者兼CEOのInder Singh(インダー・シン)氏は、同社がオレゴン州立大学助教授Ben Dalziel(ベン・ダルジエル)氏と提携し、今までにない高精度と高粒度で、地域レベルでのインフルエンザ予測を可能にしたと説明した。

「私が当社を起業した理由の核となる仮説が正しいことが証明された。その核となる仮説とは、感染症の突発的発生の検出や感染拡大の予測をするためには、罹患者から得られる、医療的に正確でリアルタイムの地理的なデータが必要であることだ」とシン氏は言及した。「当社は、自社データをダルジエル氏の感染病拡大第一原理モデルに入力した。そして9月15日には、風邪やインフルエンザのシーズンの残り全期間すなわち超局所的な20週間における感染の山(ピーク)と谷に関して、非常に正確に予測できることが示された」

これまでも、インフルエンザの感染を追跡・予測する努力はされてきたが、今までの「最新技術」は国もしくは複数の州レベルでの予測であり、個別の州や、ましては地域内の傾向の追跡や予測は不可能であった。リードタイムに関しては、キンサとダルジエル氏によるモデルの数ヵ月ではなく、実質的に最短3週間で達成可能だった。

新型コロナウイルスの世界的大流行という危機的な状況がなかったとしても、シン氏、ダルジエル氏とキンサが成し遂げたことは、テクノロジを利用した季節性疾患の追跡と緩和に向けた大きな一歩である。またキンサは1カ月前に「非定型疾患レベル」と呼ばれるヘルスウェザーマップ機能を有効にした。これは米国における新型コロナウイルスの感染と、社会的距離戦略などの主な緩和戦略の効果を解明する重要な先行指標となるだろう。

「リアルタイムの病気の兆候を集め、そこから予想値を取り除く」とシン氏は新しいビューの機能について説明した。「そうすると、非定型疾患が残る。つまり、通常の風邪やインフルエンザの時期からは予想されない発熱者のクラスターが残る。それは新型コロナウイルスと推定できる。新型コロナウイルスだと断言はできないが、普通ではないアウトブレイクであるとは言える。完全に予期されなかった菌株の変異型インフルエンザの可能性もある。また別の何かかもしれないが、少なくともその一部はほぼ間違いなく新型コロナウイルスだろう」。

「非定型疾患」ビュー

キンサの米国ヘルスウェザーマップ「非定型疾患」ビュー。赤色は、発熱で示される、予測レベルよりも高い疾患を示す

発熱者報告件数

グラフは、キンサの正確な季節性インフルエンザ予測モデルに基づき、各地域の予測数(青色表示)に対する、実際の発熱者報告件数を示す

上記の例で、シン氏は発熱者の急上昇は、推奨される距離戦略のガイダンスを無視するマイアミ市民と観光客の報告と一致していることを指摘した。ただしそのエリアでは、ビーチの閉鎖やその他の隔離措置などより厳格な措置が講じられた後に急下降がみられた。シン氏は住民が社会的距離戦略を無視しているエリアには急上昇がみられ、ロックダウンやその他の措置が講じられると、その5日以内に曲線が下に向くと言及した。

キンサのデータはリアルタイムというメリットと、ユーザーによって常に更新されるというメリットがある。これは、社会的距離戦略や隔離戦略のより即効的な効果を示すという点では、増加する新型コロナウイルスの検査結果数といった他の指標よりも時間的な利点がある。こうした戦略について起こった批判の1つは、感染確認例が増加の一途をたどっていることだが、専門家は社会的距離戦略がプラスの影響を及ぼしていても、検査の利用可能性が広がると、地域に新しい感染例が増えると予測している。

シン氏が指摘するように、キンサのデータは厳密には発熱範囲の体温を示すものであり、確認された新型コロナウイルスの症例を示すものではない。しかし発熱は新型コロナウイルスの症状がある患者の重要な初期症状であり、キンサが現在行っている風邪とインフルエンザに関連する発熱患者数の予測では、現在の状況は、少なくともかなりの確率で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを示している。

アウトブレイクの追跡に位置データを使用することに尻込みする者もいるが、シン氏は地理的な座標と体温のみに関心があると言及。これらのデータを個人を特定する情報に結び付けることはないため、完全に匿名による集計プロジェクトとなる。

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シン氏は「地理的信号をリバースエンジニアリングして個人を特定することはできない。不可能だ」と話してくれた。「これは個人のプライバシーを保護し、社会や地域が必要とするデータを公表する正しい方法だ」と言う。

非定型疾患を追跡する目的で、キンサは現在利用されている標準疾患マップと同等にまで精度を上げることはできない。そうするにはより高度な精巧性が必要とされる。しかし同社は、さらに多くの体温計を市場に出すことで、データセットの拡大に努めている。キンサのハードウェアは多くの健康関連のデバイス同様、現在いたるところで在庫切れとなっているが、シン氏は部品コストの全体的な値上がりにも関わらず、サプライヤーからの部品調達を進めていることに言及した。またシン氏は、他のスマート体温計メーカーとも協力したいと考えており、同社モデルにデータを入力するか、キンサ独自のアプリをワイヤレス体温計ハードウェア用の標準接続インターフェースを使ったBluetooth体温計と互換性を持たせることも検討している。

現在キンサでは、非定型疾患ビューを進化させ、疾患レベルがどの程度の速さで減少しているか、また感染の連鎖を効果的に断ち切るにはどの程度の速さで減少する必要があるかを視覚的に示すことで、自らの選択や行動が与える影響について、一般の人々にさらに情報を提供していくことに取り組んでいる。特に毎日公表される感染者数が切迫した数値になる中で、保健機関、研究者、医療専門家は一様に奨励していることだが、外出を控え、他者との距離を保つという勧告は我々全員にとって課題となっている。キンサの追跡機能は希望の光を与え、各個人の貢献が重要であるということを明確に示してくれるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナの検査と追跡調査はAppleとGoogleの協力が不可欠

検査と追跡

閉鎖の後に行われるのは、検査と追跡調査である。韓国では「マントラは追跡調査、検査、治療であり、都市封鎖、道路封鎖、移動制限ではない」。WHOは「感染拡大を抑制し制御するため各国は隔離、検査、治療、追跡調査を行わなければならない」と述べている。

しかし「追跡調査」とは実際のところどのようなものなのだろうか?シンガポールでは「TraceTogether」アプリが使用されている。このアプリではBluetoothによって(位置情報を追跡することなく)近くの電話を追跡して、ユーザーが接触した人のログ記録をローカルで保持できる。そして、ユーザーが選択または同意した場合のみ、シンガポール保健省にそれらの情報がアップロードされる(おそらくユーザーが感染者と診断された後)。これにより、感染者との接触者に警告を与えることができるようになる。シンガポールではこのアプリのオープンソース化を予定している。

韓国では、新型コロナウイルス(COVID-19)感染者と診断された人が近くにいるかどうかを知らせるメールが政府から国民に送られる。送られる情報には、感染者の年齢、性別、位置情報の詳細な履歴が含まれる場合がある。その後、さらに詳細な情報が得られるようになる。

Victoria Kim(ヴィクトリア・キム) @vicjkim
@Seoul_govで提供されているCOVID-19感染者すべてに関する詳細情報のレベルは驚くべきものだ。以下の情報を確認できる。

姓(ここでは表示を隠している)
性別
生年
居住区
職業
旅行履歴
既知の感染者との接触
現在治療を受けている病院

お察しのとおり中国では、監視の目はより深く浸透しており、さらに厳格だ。中国で広く普及しているAlipayアプリとWeChatアプリには、不明瞭な基準に基づいて設定された健康コード(緑、黄、赤)が中国政府により追加された。この健康格付は今や、数百の都市(そして間もなく中国全土)で使用されている。例えば、人々が地下鉄や電車を利用したり、建物に入ったり、さらには幹線道路を出たりすることを許可できるかどうかを判断するために使われている。

高度に民主的な世界に住んでいる私たちはどうだろうか?中国のようなモデルを受け入れられるだろうか?当然受け入れることはできない。では韓国のモデルはどうだろうか?おそらく無理である。ではシンガポールのモデルは?もしかしたら可能かもしれない(例えば、私の故郷カナダでは受け入れられるんじゃないかと思う)。しかし、TraceTogetherアプリや、それと同じ方向性を持ったMITプロジェクトのSafe Pathsアプリといった別個のアプリをインストールする必要があるということは問題だ。シンガポールのような都市国家ではうまくいっても、米国のような巨大で政治的に分断された国で成功させるのははるかに難しいだろう。収集されるデータ品質は、データの使用に対する承諾が得られないこと、および選択の偏りが原因で低いものとなるだろう。

もっと広く言えば、緊急に求められている良質なデータを収集しようとすると、個人のプライバシー保護がどのような場合に犠牲になってしまうだろうか? さらに、警察国家を目指す国や現存する警察国家に利用可能な道具を与えてしまわないようにすることが、どのような場合に困難になるだろうか? 現実を甘く見ないようにしよう。このパンデミックは独裁主義の脅威増大させており、決して縮小させてはいないのだ。

おそらく英国のNHSのように、パンデミック対策の新しいデータインフラスを構築する人たちは「公衆衛生上の緊急事態が終結したら、データは破壊されるか返還される」ことを約束するだろう。しかし、すべての組織が、求められるレベルの信頼を一般大衆から得ているわけではない。このような強い不安が原因で、パンデミックを緩和し制御するために新しい監視システムを構築する必要があるかどうか熱い議論が引き起こされている。

これは私にとってすごく意外なことだ。こうした議論のどちらの側にいたとしても、新しい監視システムを構築することにはまったく意味がない。すでに複数の選択肢が存在するからだ。あまり考えたくはないが、冷厳な事実として、すでに2つの企業グループは集合体として事実上私たちのすべての近接(および位置情報)データに対して、望む時に無制限にアクセス可能である。

お察しのとおり、それら2つのグループを構成するのは主要な携帯電話プロバイダー、そしてAppleGoogleだ。この点は、データ企業のTectonixによってありありと示されている。Tectonixは、春休みにパーティーに行った人の移動に伴うウイルス拡散を視覚化することに成功した。

Tectonix GEO @TectonixGEO
社会的距離を取らないことにより、実際にどんな影響が考えられるか見てみたいと思わないだろうか? 当社では@xmodesocialと協力し、Ft. Lauderdaleビーチのみに限って、春休みの期間中にアクティブだった匿名化されたモバイルデバイスの二次的な位置情報を分析をした。この動画はそれらの人々が米国全土でどこに移動したかを示している。

言うまでもないことだが、それらすべての電話にOSを提供しているAppleとGoogleでは、事実上望む時に同様のことを行える。「科学技術者、感染症専門家および医療専門家」からの公開質問状では「Apple、Google、また他のモバイルオペレーティングシステムのベンダー(他のすべてのベンダーも遠隔で関わるのが望ましいとの考え)が、接触者の追跡調査をサポートするために、オプトイン方式のプライバシーを保全したOSの機能を提供する」ことを求めている。

彼らの言っていることは正しい。AndroidとiOSではプライバシーが保全され、相互使用可能なTraceTogetherのような機能をOSレベル(あるいは技術的な点で細かく言うとGoogle Play Serviceレベル)で追加してリリースすることが可能であり、またそうすべきだ。もちろん、これは企業による監視に頼ることを意味しており、それを考えると私たちはみな不安になる。しかし、少なくともこれはまったく新しい監視インフラストラクチャを構築することにはならない。また、AppleとGoogleは、特に携帯電話プロバイダーと比較して、強固な制度上の歴史を持ち、プライバシー保護、および監視内容の送信に対する制限を重要視している。

(信じられないって?Appleがプライバシーにコミットしていることは、長年にわたり同社にとって競争上優位な点となっている。Googleでは、データとプライバシーの設定をユーザーが管理できるようにする十分なツールセットが提供されている。お尋ねするが、あなたの携帯電話サービスプロバイダーではこれらと同等のものが提供されているだろうか。そう。今後、同等のものが提供されると思うだろうか。なるほど。提供されると思っているとすれば、起こりそうもないことを信じていることになる)

また、AppleとGoogleは、データセットを「匿名化する」ことによって適切な方法でプライバシーを保全できる。メリットは他にもある、両社は、ある種の差分プライバシーや準同型暗号、さらにはゼロ知識暗号化(概要が活発に議論された技術)を利用してプライバシーを保全する仕事を行うことに最適な企業だ。そして実用レベルでも、両社にはバックグラウンドサービスをアクティブ状態に維持する点で、サードパーティーのアプリ開発者よりも優れた能力がある。

もちろん、この点はすべて十分に、かつ厳しく規制されている必要がある。しかし同時に、すべての国民がそのような規制を信頼しているわけではないという事実も認識している必要がある。接触者追跡調査システムの有効性と最大限調和したプライバシー保護をシステムの奥深くに構築することは、生データを要求する独裁国家に利用される可能性を考えるととりわけ重要だ。「匿名化された」位置情報データセットは、確かに矛盾したものとなりがちだが、それでも独裁者にとって匿名性を奪うことの難しさは技術的な障害となる。また、個人のプライバシーを優れた暗号化方式でさらに安全に保全できるのであれば、非常に素晴らしいことだ。

AppleとGoogleは、他の選択肢(政府による監視、電話会社、または新しいアプリ、そしてそれらを使用することに付随するあらゆる衝突と障害)と比較して、異論の余地が少ない選択肢である。加えて、世界的なパンデミックに直面している今、両社ではそれぞれの検査および追跡調査のソリューションを30億人のユーザーに比較的迅速にリリースすることができるだろう。広く普及したパンデミック監視システムが必要であるなら、危険が最小限で、プライバシーが最大限保全される方法で既存のシステム(それについて話すのがあまり好きでないとしても)を利用しよう。

画像クレジット: PeakPx under a CC0 Public Domain license.

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(翻訳:Dragonfly)

Amazonが来週から倉庫従業員の体温をチェックしマスクも配布へ

Amazon(アマゾン)は、米国や欧州の倉庫での新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を防ぐための新たな方策の詳細を明らかにした。ロイターの報道によると、Amazonの倉庫やWhole Foods(ホールフーズ)で働く従業員の体温チェックを行い、マスクも配布する。世界中の国・地域がロックダウンや自己隔離といった策を取るにつれ、Amazonの利用は急激に増えている。そして米国にある同社の倉庫で働く従業員の間でも新型コロナウイルスの感染が確認された。

Amazonはすでにいくつかの対策を明らかにしている。陽性となった従業員に対し隔離中の14日間の給料を保証するほか、施設やインフラの清掃・消毒を強化するというものだ。そして来週から導入される新たな対策では、施設の入り口で従業員の体温をチェックする。体温が38度以上だった人は帰宅するよう促される。そして職場に復帰するには、3日連続で平熱でなければならない。また、数週間前に発注した「何百万」ものサージカルマスクが届けば、従業員に配布するとのことだ。

こうした対策に加え、従業員が労働中に他人と安全な距離を保っているかを確認するために、機械学習を使ったソフトウェアを活用しながら施設内外に取り付けたカメラの映像をモニターする。

Amazonの新型コロナ危機対応をめぐっては多くの従業員が抗議している。スタテン島の倉庫ではボイコットが起こり、この動きを誘導した労働者が解雇される事態に発展した。デトロイトにある倉庫の従業員もまた、危険な労働環境だとして抗議するためにボイコットを計画している。

一方で、Amazonは増大する需要に対処するために倉庫や配送センターの従業員を増やしている。同社は以前、需要増に対応するために新たに10万人を雇用する計画だと発表したが、4月1日に同社がロイターに語ったところによると、すでに8万人を雇用したとのことだ。

画像クレジット: ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スタートアップ製ウェアラブルで新型コロナによる下気道感染症を早期発見する研究

現在の新型コロナウイルス(COVID-19)による危機的状況は、たった1つの試みや対処策で完全に「解決」できるという見込みはほとんどない。そこで、スタートアップのWHOOP(フープ)のフィットネスと健康管理のためのリストバンドなどを対象にした、新しい研究が重要性を増してくる。オーストラリアのセントラル・クイーンズランド大学が主導し、クリーブランド・クリニックが協力する研究では、新型コロナウイルスに感染したと自己判断している数百人のボランティアにWHOOPを装着してもらい、収集したデータから各自の呼吸活動の変化を継続的に監察する計画を立てている。

この研究で使用するデータは、WHOOP Strap 3.0という機器から回収される。このリストバンドには、装着した人の睡眠中の呼吸数から睡眠の質を数値化して示す機能があり、最近のアリゾナ大学の外部研究により、その呼吸数の測定値の正確性が認められている。その研究で、侵襲的手段を除いてはもっとも正確に呼吸数が測れる装置であることが示されたため、今回の研究に携わる人たちは、他の方法によって症状が検知される以前に新型コロナウイルス患者の呼吸活動の異常を知らせる早期警報装置として有効ではないかとの仮説を立てたのだ。

WHOOPは、彼らのハードウェアが報告する呼吸数は、正しいと認められた個々の基準値から外れることがめったにないと話している。そのため、基準値から逸脱するとしたら、極端に気温が高くなったり酸素濃度が変化するといった環境的な原因か、下気道感染症などによる身体的な異常しか考えられない。

新型コロナウイルスは、まさに下気道感染症だ。上気道感染症であるインフルエンザや風邪とは違う。つまり、(比較的簡単に解消できる)環境的原因では説明がつかない下気道の問題による呼吸数の変化と新型コロナウイルスの事例との間には、強力な相互関係があると言える。WHOOPのウェアラブルは数値の偏りを機能不全の兆候として検出するため、本人が呼吸の異常を自覚する前に、基準値と呼吸数との乖離から体の変化を知ることができる。

この研究は、現時点ではまだ仮設の段階でありデータによる裏付けが必要だ。研究チームは、それには6週間ほどかかると話しているが、その調査を開始するアプリには、すでに「新型コロナウイルスに感染したと自己申告した最初の数百人」が集まっているという。目標は、陽性と診断された500人を参加させることだ。またこの他にも、健康や運動をモニターするウェアラブルを新型コロナウイルスの早期発見システムにできないかを探る研究がいくつか進められている。そのひとつに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校とOura Ring(オーラ・リング)の共同研究がある。

以前のパンデミックと違い、この新型コロナウイルスの場合は、私たちがデータドリブンのアプローチで問題を解決する方法に慣れてきた時期に発生した。また、自分で数値を測定できる健康器具も数多く普及している。それらが、感染拡大の状況をより正確に評価するための手段となり、ウイルスが人々の間でどのように広がり、あるいは終息していくのか、その傾向を教えてくれるようになるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)