独Wingcopterが米国に進出し新世代配送用ドローンを展開、4年間の自己資金運営を経て22.8億円調達

ドイツのドローン技術スタートアップWingcopter(ウィングコプター)は、これまでほぼ自己資金でやってきたのだが、初めての大型ベンチャー投資となるシリーズAラウンドで2200万ドル(約22億8000万円)を調達した。

ドローン配送に特化する同社は、2017年の創設以来、長い道のりを経て、特許技術である独特なティルトローター機構を採用した配送用Wingcopter 178 Heavy-lift(ヘビーリフト)の開発、製造、飛行を実現させた。これは、垂直離着陸機が持つあらゆる利点と、長距離の水平飛行を可能にする固定翼機の長所を持つものだ。

この新しいシリーズAラウンドは、シリコンバレーのベンチャー投資企業Xplorer Capitalと、ドイツの成長株ファンドFutury Regio Growthが主導した。WingcopterのCEOで創設者のTom Plümmer(トム・プラマー)氏はインタビューの中で、シリコンバレーの投資企業を加えたことは、同社にとって特に重要だったと話している。FAA(米連邦航空局)の規制をクリアして事業認可を得るための試験飛行の実施や、将来の米国におけるドローン製造のための同国支社設立など、米国進出の準備を進めている最中だからだ。

Wingcopterはすでに、世界各地のさまざまな市場で商用運用を行っている。たとえばバヌアツでは、ユニセフと共同で辺境地域にワクチンを届けている。タンザニアでは、政府とともに医療物資の双方向輸送を行っている。アイルランドでは、インスリンの輸送のために世界初の目視見通し外(BVLOS、緊急対応のための人間のオペレーターが目視できる範囲を超えてドローンが飛行することを意味する専門用語)の運用を世界で初めて実現した。

WingcopterのCEOで創設者のトム・プラマー氏(画像クレジット:Jonas Wresch)

これまでWingcopterはドローンのOEMメーカーとしてのビジネスモデルを追求しており、彼らのドローンを効果的に購入したいという熱心な顧客もいた(ある客などは、まだ会社用の銀行口座もないうちに送金しようとしきたとプラマー氏は話す)。しかし現在は、ドローンで「サービスとしての配達」を提供する事業を進めようとしている。苦労して技術を一から作り上げ、事業展開に必要な世界各地の規制当局の認可を取得してきたプラマー氏と共同創設者たちは、その過程でこう悟った。サービス事業への参入は単に新しい収入源を得るためのものではなく、潜在顧客のより多くのニーズに、より良い対応できるようにするためのものだと。

「認可の申請、認可の取得、そして今は5つの大陸のいくつもの国との共同事業を通して、実際にBVLOS飛行でドローンの運用を行っている私たちは、それに大変に長けているのだと知りました」と彼はいう。「それが非常に大きな収入源となりました。収益の半分以上を占める時期もありました。しかしOEMとしてビジネスモデルの拡大を考えると、それは何というか……リニアです」。

確かな収益と安定した需要によるリニアな成長は、大学生たちが家族や友人から少額の資金を集めて設立し、自己資金でやってきたスタートアップであるWingcopterにすれ重要なことだった。しかしプラマー氏は、彼らが開発したテクノロジーにはもっと大きな潜在力があると、みんなで話しているという。しかも、ドローンによる「サービスとしての配達」市場の急激な拡大が、旧来型のベンチャー投資家に対して説得力を持つようになっている。初期のころからWingcopterに話を持ちかけるベンチャー投資企業はあったものの、その当時は彼らの方向性に合わないと感じていたとプラマー氏は話す。だが、状況は変わった。

「この4年間、自己資金でやってこられたのはラッキーでした」とプラマー氏。「なにせ、ドローンの販売収益だけで、30人もの従業員を雇えたのです。しかしある時点から、本気で収益の計画を考えるようになると、月々決まった収益がほしくなります。ソフトウェアビジネスの、サービスとしてのソフトウェアのように継続されるものです」。

Merckの配送を行うWingcopter 178配達ドローン。

Wingcopterはまた、サービス事業にとって都合のいいヘッジを構築することもできた。それは自社がハードウェアの供給元であることに加え、商用ドローン飛行の黎明期に世界の数多くの航空規制当局と密接に協力して規制プロセスを作り上げてきた実績によるものだ。たとえば現在同社は、FAAと認可のための協議の最中だ。週に1度当局を訪問して、BVLOSドローン運用のための認可手続きを協議している。規制環境を理解していることと、さらには規制環境の構築の手伝いもしていることが、自社に専門家を雇い入れて規制対応部門を創設するのが難しい企業への大きなセールスポイントになる。

だが同社は、およそ6kgの荷物を搭載して最大時速160kmで120kmまでの範囲を飛行できるWingcopter 178 Heavy-Liftを販売するだけではなく、OEMとしての役割も継続する。なぜなら、そのユニークなティルトローター機構により、飛行効率がよいばかりか、さまざまな条件下での飛行も対応できるからだ。他のドローンと違い、より厳しい条件での離着陸ができる。

Wingcopterは、ハードウェア開発業者としての栄光の上にあぐらをつもりはないとプラマー氏は話す。同社は間もなく、異なる能力を有する新型機を発表し、OEMとして、またサービスとしてのドローン事業として、対応可能な市場の範囲を拡大する予定だ。

 

米国に進出しても、配送市場に重心を置くことに変わりはないが、その特異なテクノロジーが、観測や調査などの市場や、さらには通信分野の需要にうまく対応できない理由はないとプラマー氏は指摘する。しかし、Wingcopterには望まない市場がある。軍事と防衛だ。これらは宇宙航空とドローンの市場では上得意客ではあるが、プラマー氏によれば、Wingcopterには「持続可能で効率的なドローンソリューションを生活の向上と命を守るために創造する」という理念があるという。そして彼らは、この理念に沿うあらゆる潜在顧客に目を向けているが、防衛産業はこれに当てはまらない。

同社はシリーズAラウンドのクローズを発表したばかりだが、すでにいくつかの有望な投資家にシリーズBラウンドへの参加を呼びかけているとプラマー氏は話す。さらに、FAAの認可に必要な試験過程で力になる、内蔵システムソフトウェア開発と飛行運用試験のための人材を米国で募集する予定でいる。

プラマー氏は、Wingcopterの特許技術であるティルトローターからはロングテールとしての価値が生まれ、幅広い業界で活躍できる可能性があると見ている。だが、その価値を本当に実現するまでは、M&Aによる可能性は一切探らないという。その一方で同社は、ユニセフのAfrican Drone and Data Academy(アフリカン・ドローン・アンド・データ・アカデミー)に協力して、ドローンの飛行と運用のための訓練プログラムを実施するなど、未来の潜在顧客のための種まきを始めている。

Wingcopterがドローンによる配送事業に明るい未来を描いていることは確かだ。他に差をつけるハードウェアの上に構築した事業に集中し、さらに世界の規制作りに貢献することで、その未来の中心に同社が立てるようになるだろう。

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カテゴリー:ドローン
タグ:Wingcopter資金調達ドローン配送

画像クレジット:Wingcopter

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(翻訳:金井哲夫)

全国ブランドに地域に特化したマーケティングプラットフォームを提供するSOCiが約83億円調達

「ローカライズされたマーケティング」に焦点を当てたスタートアップのSOCiは、シリーズDで8000万ドル(約83億円)の資金を調達したと発表した。

Ace Hardware、Anytime Fitness、The Hertz Corporation(ハーツ)、Nekter Juice Barなどの米国内およびグローバル企業は、検索、ソーシャルメディア、レビュープラットフォーム、広告キャンペーンを通じたプロモーションを行う際に、個々の店舗をコーディネートするためにSOCi(発音は「ソーシー」)を利用している。同社によると、2020年には100以上の新規顧客を獲得し、約3万の新規店舗を代理しているという。

共同創業者兼CEOのAfif Khoury(アフィフ・クーリー)氏は、非常に多くの企業が「地元のオーディエンスとつながるための真のソリューションを見つけようと躍起になっている」中で、パンデミックは同社のプラットフォームにとって正念場だったと語った。

SOCiのアプローチの重要な利点の1つは、ナショナルマーケティングチームがコンテンツやアセットを共有し、各拠点が「全国的な企業の個性」に忠実でありながら、「地域性」を表現できるようにすることだとクーリー氏は述べている。パンデミック時には、企業は「どこが開いていて、開いていないか」といった基本的な情報を共有しながら、「全国的なマーケティングに欠けている要素である人間性を表現し、それに同情する」ことができたという。

「その結果、閉店を余儀なくされた店舗がグランドオープンした時には、人々はその店を応援したいと思うようになりました」と同氏は語った。「それは、うまくいけばずっと続く絆のようなものを生み出しました」とも。

クーリー氏はまた、「特にローカルレベルでは、誰も7つの異なるシステムに7つの異なるログインをしたがる人はいない」ため、企業がローカライズされたマーケティングをすべて管理するための包括的なプラットフォームを構築してきたことを強調した。

今回の新たな資金調達は、買収と統合の両方を通じて、より包括的なプラットフォームを構築することを可能にするだろう、と彼は述べている。「CRM、POS、リワードプログラムに接続し、それらのデータを検索、ソーシャル、レビューのデータと統合して、顧客のプロファイルを構築したいと考えています」。

SOCiはこれまでに、総額1億1000万ドル(約114億2000万円)を調達している。シリーズDはJMI Equityが主導し、Ankona Capital、SeismicのCEOであるDoug Winter(ダグ・ウィンター)氏、そしてクーリー氏自身が参加した。

「すべての兆候が、2021年の最初の数カ月は、レストランや地域社会に依存している他のビジネスにとって、軒並み困難な状況が続くことを示唆しています」とJMIのゼネラルパートナーであるSuken Vakil(スッケン・ヴァキル)氏は声明の中で述べている。「これは、全国的なブランドの価値観に沿いつつも、地域に特化したメッセージを提供するマーケティングキャンペーンが今後も必要とされることを意味しています。SOCiのマルチロケーション機能は現在、マルチロケーションのフランチャイズ/ブランドにとって必須のプラットフォームソリューションとして、競合他社をはるかに卓越するマーケットリーダーとしての地位を確立しています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SOCiマーケティング資金調達

画像クレジット:Prasit photo / Getty Images

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(翻訳:Nakazato)

「デスカムトゥルー」「ワールズエンドクラブ」のイザナギゲームズが1.6億円を資金調達

「デスカムトゥルー」「ワールズエンドクラブ」のイザナギゲームズが1.6億円を資金調達

イザナギゲームズは1月25日、第三者割当増資による1億6880万円の資金調達を発表した。引受先は、コロプラネクスト4号ファンド投資事業組合およびアカツキ。今回の調達により、累計調達額は3億6880万円となった。

同社は、コンシューマーゲームを軸にインタラクティブなエンターテインメント作品を日本から世界に向けてプロデュース、パブリッシュを展開。調達した資金により、人材採用の強化および新たなプロジェクトのクオリティアップにつなげ、ヒット作を生み出すことを目指していくとしている。

2018年12月設立のイザナギゲームズは、日本のクリエイターや開発チームとともに作り上げたプロジェクトを世界のマーケットにダイレクトにアピールしていくことを理念に掲げる、コンシューマーゲームを中心とするインタラクティブエンターテインメントプロデュース&パブリッシュ会社。

資金調達の幅を広げることにより、優れたクリエイターが新しいIP・ゲームを創り出すチャンスを増やし、全世界を販売マーケットとして大きくアプローチすることで、数多くのユーザーにゲームを中心としたインタラクティブエンターテインメント体験を届けることを目指している。

2020年にはインタラクティブムービー「デスカムトゥルー」をリリース、2021年は「ワールズエンドクラブ」のSwitchバージョン、「冤罪執行遊戯ユルキル」のリリースなどを予定。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:イザナギゲームズ資金調達(用語)日本(国・地域)

SPACE WALKERがプレシードエクステンションラウンド総額として1.4億円を調達

SPACE WALKERがプレシードエクステンションラウンド総額1.4億円を調達

SPACE WALKER(スペースウォーカー)は1月25日、プレシードエクステンションラウンド総額として1.4億円の資金調達を2020年12月末までに完了したと発表した。松本大氏(マネックスグループ 代表執行役CEO)、谷家衛氏(あすかホールディングス 取締役会長)をはじめとする個人投資家が参加している。

2018年10月に実施したエンジェルラウンド、2020年2月に実施したプレシードラウンドを含め、今回の資金調達までの累計調達額は6.65億円となった。さらに開発を加速させるべく、次回シードラウンドの募集も開始している。

SPACE WALKERは、「誰もが飛行機に乗るように自由に宇宙へ行き来できる未来の実現」を目指し、サブオービタルスペースプレーンの設計・開発、運航サービスの提供を目的に2017年12月に設立。今回プレシードエクステンションラウンドで調達した資金は、商用サブオービタル機(科学ミッション)の基本設計およびPOC実証機WIRES(WInged REusable Sounding rocket)15号機の製造に活用する。

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カテゴリー:宇宙
タグ:資金調達(用語)SPACE WALKER(企業)日本(国・地域)

製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

東京ファクトリーは1月25日、ANRIを引受先とする第三者割当増資により、約1億円の資金調達を発表した。また、製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」(プロシードクラウド)正式版を2月から提供開始すると明らかにした。

Proceedクラウドは、分散していた生産情報を工程写真を基に製造情報データベースを構築し、製造状況の可視化を行うサービス。モバイル端末での写真整理・保存機能、写真一覧画面への工程情報の表示機能、写真への書き込み機能などにより、業務効率化、遠隔での製作進捗状況の把握、技能継承の基になるデータベースの構築を実現する。

調達した資金は、Proceedクラウド強化に加え、顧客サポートに向けた社内体制強化を行う。今後も事業展開を加速させるとともに、日本のものづくりの実績・経験の蓄積により競争力を保ち続けることをサポートする。

製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

 

製造業の中でも、大型構造物の生産現場では、製品サイズが大きくライン生産が困難なことや、受注生産品が多いことから製造工程の自動化が難しく、人手に頼った生産を行う必要があるという。そのため、人件費が高い国内工場は新興国の工場に比べコスト競争力が低下しており、海外への生産移転が進んできた。

また国内製造業では人材確保が困難になっていることから、熟練技術者に属人化している管理手法や高品質を担保するためのノウハウを効率的に継承することが急務になっている。

またコロナ禍により、海外サプライヤーへの視察やスーパーバイザーの派遣が困難になったことで、工程の進捗を正確に把握できないことも大きな課題という。

そこで東京ファクトリーは、2020年10月から、製造過程において撮影した工程写真をベースに製造情報データベースを構築することでサプライチェーンの見える化と技能継承を実現するSaaS「Proceedクラウド」β版を公開。造船系メーカーや大手プラントエンジニアリング会社などに提供してきたという。

イワキテックでは、船舶部品などの製造現場でProceedクラウドを導入。製造状況の可視化と現場での実績・経験のデジタル化、モバイルを用いた作業効率の改善に寄与してきた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)製造業東京ファクトリー日本(国・地域)

自動車ローン借り換えプラットフォームのMotoRefiが10.4億円調達、パンデミックの中で収益6倍

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックが北米に拡大する1カ月前、自動車フィンテックのスタートアップであるMotoRefiは、新たに約900 万ドル(約9億3000万円)の資金で武装し、借り換えプラットフォームを大衆に提供しようと準備を進めていた。

CEOのKevin Bennett(ケビン・ベネット)氏と同社を支える投資家たちは、自動車ローンの総額が1兆2000億ドル(約124兆5000億円)に上る米国人にサービスを提供するチャンスがあると考えていた。彼らが予想していなかったのは、新型コロナウイルスによる需要の急激な増加と、パンデミックがもたらした不確実性と混乱だった。

2017年にQED Investorsから誕生したMotoRefiは、最適な金利を見つけること、以前の貸し手への返済、車両の所有権の再登録など、すべてのプロセスを処理する自動車借り換えプラットフォームを開発した。同社は、新型コロナに端を発した2つのトレンドの融合により、事業をターボチャージしてきた。経済全体でのフィンテックの採用が加速していることと、パーソナルファイナンスへの注目度が高まっていることである。

今、投資家たちは自動車ローンの借り換え需要の急増を最大限に活用するために、同社にさらに多くの資金を注ぎ込んでいる。

MotoRefiは米国時間1月22日、Moderne Venturesが主導するラウンドで1000万ドル(約10億4000万円)を調達したと発表した。Moderne VentureのパートナーであるLiza Benson(ライザ・ベンソン)氏が取締役会に加わることになる。

ベネット氏は、2020年の出来事についてこう語った。「多くの人が今、どうすればお金を節約できるのかと周りを見回しています。自動車ローンの借り換えは歴史的にパーソナルファイナンスの中では比較的認知度が低いカテゴリーですが、2020年にはそれに対する関心は本当に高まり、加速しました」。

たとえば自動車ローンの借り換えに関するGoogle検索は2020年、前年比で約40%増加したと同氏は付け加えた。

同社の収益は6倍に増加し、従業員は3倍の150人以上になり、プラットフォーム上の融資業者の数はこの1年で2倍になったという。MotoRefiは、2020年に2億5000万ドル(約259億円)以上の自動車ローンを借り換えたと同氏は述べた。

「実際には1年で2回の資金調達は計画していませんでした」とベネット氏は述べている。「しかし、市場の投資家の立場から見ると、成長はかなり目立っていました」。

ベネット氏によると、MotoRefiは現在42州とワシントンD.C.で事業を展開しているという。この新しい資本は、従業員の雇用とサービスの拡大に充てられる。

MotoRefiはこれまでに2400万ドル(約25億円)以上を調達している。同社は2020年2月、シリーズAラウンドで860万ドル(約8億9000万円)の資金を調達した。このラウンドはAccompliceとLink Venturesが共同で主導し、後に940万ドル(約9億8000万円)まで成長した。Motley Fool Ventures、CMFG Ventures(CUNA Mutual Groupの一部)、Gaingelsもこのラウンドに参加した。そのシリーズAラウンドは、MotoRefiが2019年3月に発表した470万ドル(約4億9000万円)のシードファンディングに続くものだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:MotoRefiローン資金調達

画像クレジット:Tom Merton / Getty Images(Image has been modified)

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(翻訳:Nakazato)

ノーコードでAirtableを利用したウェブサイト・アプリの作成を簡単にするSoftrが2.3億円調達

ノーコード、これまでコーディングスキルを必要としていたタスクを実行するためのソフトウェアは、その基本的な前提が約束されていたにもかかわらず、長年にわたって完全に実現されていないが、ますますホットな分野となっている。それと関連しているのが、Airtableのような企業だ。Softrは、リレーショナルデータベースの構築とそれらへの質問を、スプレッドシートを作成するときのように簡単なものにしようとしている。ベルリンのスタートアップSoftrが、ノーコードのコンセプトをさらに推し進めて、コードを書く必要なくAirtable上にウェブサイトを容易に構築できるようにしたい、と考えている。

最近Product Huntでソフトローンチしたこの若い企業は、米国時間1月20日、220万ドル(約2億3000万円)のシード資金調達を公表した。Softrはそれまでは、2人の米国人創業者であるCEOのMariam Hakobyan(マリアム・ハコビアン)氏とCTOのArtur Mkrtchyan(アルトゥール・ムクルチャン)氏の自己資金だけで運営されていた。シードラウンドをリードしたのはAtlantic Labsで、これにTiny.VCのPhilipp Moehring(フィリップ・メーリング)氏と、GitHubやSumUp、Zeitgold、EyeEm、Rowsなどの創業者たちが参加した。

2019年にスタートしたSoftrは、誰もがAirtableに収めたデータをベースにウェブサイトやウェブアプリケーションを作ることができるノーコードプラットフォームを開発した。データベースを扱うときの退屈な単純労働をAirtableに任せることを狙っており、Softrはかなり柔軟性はあるがテンプレートを提供する。

Softrのハコビアン氏の説明によると、マーケティングやeコマース、求職・求人、マーケットプレイスなど一般的なウェブサイトやウェブアプリケーションのためのテンプレートがあり、それらを利用するとユーザー認証や、鍵つきのコンテンツ、決済、賛成投票(upvote)、コメントなどの機能があるアプリケーションを作成できる。

「Softrは学習曲線のないツールなので、技術の知識や経験がなくても利用できます。技術的な部分はすべて抽象化し、ユーザーが技術よりもプロダクトの構築とコンテンツに集中できるようにしています。Softrは、Airtableをデータベースとして使うため、簡単にリレーショナルデータベースの作成と共有することができます。SQLやスクリプティングを勉強しなくて大丈夫です。Airtableは、ここ数年盛り上がっており、個人だけでなくFortune 500社も利用しています」と彼女は説明する。

画像クレジット:Softr

ハコビアン氏によると、Softrのポイントは「組み立て済みのビルディングブロック」(リスト、ユーザーアカウント、支払いなど)のコンセプトとビジネスロジックを使って、ウェブサイト作成者の代わりに面倒な作業のほとんどを処理するところだ。「ブロックとテンプレートを使えば、作業の70%すでに終わっています」と彼女は説明する。

しかもSoftrは、StripeやPayPal、Mailchimp、Zapier、Integromat、Hotjar、Google Analytics、HubSpot、Driftといった人気サービスに接続できる。

Softrは現在、数千社の製造業企業やスタートアップが利用している。顧客がSoftrで作成したアプリケーションの例として、会員制の外国語学習、ベビーシッターを予約できるマーケットプレイスプレース、認証が必要な(最初にユーザー登録を要する)コンテンツコミュニティ、オンラインの学習コースなどがある。

シード資金を獲得したSoftrは、中小企業の非技術部門に顧客基盤を拡大し、従業員名簿、製品在庫、不動産リストなどの社内ツールの構築を支援し、手作業のプロセスを自動化する計画だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SoftrAirtableノーコード資金調達

画像クレジット:Softr

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

4大陸18カ国に展開しているAI農業プラットフォームの南アフリカ発Aeroboticsが17.6億円調達

予想される人口増加と食糧需要に応えるために世界中で農業が背伸びをし、地球温暖化によって食糧安全保障がより差し迫った課題となっている中、南アフリカ発のスタートアップが人工知能を使い農場や樹木、果物の管理をすることで農家を支援している。

世界の農業にインテリジェントなツールを提供する南アフリカのスタートアップ、Aeroboticsは応募超過となったシリーズBラウンドで1700万ドル(約17億6000万円)を調達した。

Aerobotics社によると、南アフリカの消費者向けインターネット大手Naspersの投資部門であるNaspers Foundryがこのラウンドを主導し、560万ドル(約5億8000万円)を出資したという。他にはCathay AfricInvest Innovation、オランダのFMO: Entrepreneurial Development BankPlatform Investment Partnersが参加した。

James Paterson(ジェームズ・パターソン)氏とBenji Meltzer(ベンジ・メルツァー)氏によって2014年に設立されたAeroboticsは現在、果樹農家のためのツールの構築に注力している。AI、ドローン、その他のロボットを使用した同社の技術は、樹木の病気の特定、害虫や病気の追跡、より良い収量管理のための分析など、これらの作物の健康状態の追跡と判定を支援している。

同社はその技術を発展させ、シーズンの早い段階で柑橘類の生産者から樹木と果実の両方の画像を収集・処理することで、農家に独立した信頼性の高い収量予測と収穫スケジュールを提供している。これにより農家は在庫を準備し、需要を予測し、顧客が最高の品質の農作物を手に入れることができるようになる。

Aeroboticsはここ数年で記録的な成長を遂げている。1つには、8100万本の樹木と100万個以上の柑橘類の果実を処理した実績から、世界最大の樹木と柑橘類の独自データセットを持っていると主張している。

設立して7年の同社は、南アフリカのケープタウンに拠点を置いている。アフリカ大陸の新興企業の多くが、主に国内での課題の特定と解決に注目している時期に、Aeroboticsは海外でもそのサービスに多くの牽引力を見出している。同社はアフリカと同様に世界の主要な農業経済の中心地である米国、オーストラリア、ポルトガルにオフィスを構えており、アフリカ・南北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアの4大陸にわたり18カ国で事業を展開している。

画像クレジット: Aerobotics

その中でも米国が同社の主要市場であり、Aeroboticsによると同国では2つの仮特許を申請中であり、1つは樹齢を推定するシステムと方法、もう1つは収量を予測するシステムと方法だという。

同社は今回のシリーズB投資を利用して、米国とその他の市場向けに、より多くの技術と製品を開発し続ける計画だと述べている。

「当社はオートメーションを最適化し、インプットを最小限に抑え、生産を最大化するためのインテリジェントなツールを提供することに尽力しています。農産物業界のリーダーたちとのさらなる共同開発を楽しみにしています」とCEOであるパターソン氏は声明の中で述べている。

何世紀か前にはテクノロジーのフロンティアとして謳われていた農産物業界は、長い間その面で停滞していた。しかし気候に適した農業をサポートし、農家を支援するAeroboticsのようなアグリテック企業は、業界を過去の栄光に戻そうと躍起になっている。投資家は業界に注目しており、過去5年間、息を呑むような勢いで投資が行われてきた。

Aeroboticsの場合、2017年9月にシードラウンドの一環として4Di CapitalとSavannah Fundから60万ドル(約6200万円)を調達した。その後、2019年2月にはNedbank CapitalとPaper Plane Venturesが主導するシリーズAラウンドでさらに400万ドル(約4億2000万円)を調達した。

今回のシリーズBラウンドを主導したNaspers Foundryは、2019年にNaspersが南アフリカのテック系スタートアップのための14億ランド(104億円弱)のファンドとして立ち上げた。

Naspers South AfricaのCEOであるPhuthi Mahanyele-Dabengwa(プーティ・マハニエレ-ダベンガ)氏は、今回の投資についてこう述べている。「南アフリカでは食料安全保障が最も重要であり、Aeroboticsのプラットフォームは、それを維持するための支援に向けて積極的に貢献しています。この種の技術革新は社会的課題を解決するものであり、まさにNaspers Foundryが支援したいと考えているタイプのアーリーステージ企業です」。

Aeroboticsの他にも、Naspers FoundryはオンラインクリーニングサービスSweepSouthやフードサービスプラットフォームFood Supply Networkにも投資している。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Aerobotics農業南アフリカ資金調達

画像クレジット:Aerobotics

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(翻訳:Nakazato)

APIをプロダクト化する「ノーコード」企業Blobrがプレシードで1.5億円を調達

パリを拠点とするスタートアップのBlobr(ブルーバー)が、プレシード資金として120万ユーロ(約1億5000万円)を調達した。同社が提供する技術は、企業が自らの既存のAPIを、公開して収益化する作業をノーコードで簡単に行えるようにするというものだ。

このラウンドは、欧州全域でプレシードおよびシード投資を行うSeedcampが主導して、New Wave、Kima、その他のエンジェル投資家たちが参加している。BlobrはまたNew Waveから投資を受ける初めての会社でもある。New WaveはPia d’Iribarne(ピア・ディリバーン)氏とJean de la Rochebrochard(ジャン・ドゥ・ラ・ロシュブシャー)氏が共同で設立した欧州の新しいベンチャーキャピタルだ。同VCは、IliadのXavier Niel(ザビエル・ニール)氏、Benchmark のPeter Fenton(ピーター・フェントン)、元Appleの著名なTony Fadell(トニー・ファデル)氏を含む有名投資家たちから、投資可能資金として5600万ドル(約58億1000万円)を集めたことを発表している

Alexandre Airvault(アレクサンドル・エアボールト)CEOとAlexandre Mai(アレクサンドル・メイ)CTOによって設立されたBlobrは、APIの「ビジネス・プロダクトレイヤー」の標準になることを目指している。基本的なアイデアは、プロダクトやビジネスの担当者たちが、技術的な知識なしに、そして社内のエンジニアリングリソースも増やすことなく、企業の持つアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を管理し、収益化できるようにするというものだ。Blobrは、それを実現することで、データや機能の商用利用がより多くのサードパーティから可能になり、その上にアプリケーションが構築されることで、APIのより多くの革新的利用が増えることになると考えている。

「私たちは、企業はAPIを単なるパイプだと考えるのを止めて、その力を解き放つためにプロダクトとしての構築を始めるべきだと考えています」とエアボールト氏は述べている。「つまりAPIは、単に技術指向であるだけではなくユーザー指向のマインドセットで、価格設定、カスタマイズ、管理が行われるべきだということ意味しています」。

これを実現するためにBlobrは、プロダクトやビジネスのオーナーたちが技術者への依存度を下げながら、「データ共有を収益性の高いモデルにする」ことができるように設計されている。「このアプローチこそが、データ交換を次のレベルに押し上げるものだと信じていいるのです」と彼は説明する。

Blobrのノーコード技術は、すでにかなり多くの機能を提供している。既存の内部APIから、機密情報やGDPR関連のデータをフィルタリングすることができる。また、顧客のセグメンテーションに応じて異なるAPI出力を提供することも可能なので、必要なデータのみを公開することができる。そしてAPIの利用は、利用に基くビジネスモデルと連携させたり、Stripe(ストライプ)の1カ月単位のサブスクリプションプランと連携させたりすることが可能だ。

エアボールト氏によれば、主な競合には、Google(グーグル)、IBM(アイビーエム)、Axway(アクスウェイ)、Microsoft(マイクロソフト)の提供するAPI管理ソリューションがあるという。「そうしたプラットフォームは内部API用に作られていますが、APIをプロダクトとして管理するためには考えられていませんし、最適化もされていません。またそれらは技術者のために作られたものですが、ノーコードソリューションのBlobrは、プロダクトならびにビジネスパーソンが技術者の手を借りなくても良いように、ゼロから作られたものなのです」と彼は付け加えた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:BlobrノーコードAPI資金調達

画像クレジット:Blobr

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(翻訳:sako)

法人旅行の回復を受けTripActionsが約5191億円の評価額で約161億円を調達、コロナ禍から大逆転

米国時間1月21日、法人旅行の予約と管理を支援するソフトウェアツールを提供するTripActionsは、新たに1億5500万ドル(約161億円)の投資調達を発表した。

本ラウンドは以前からの投資家であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)氏、AdditionそしてColor Genomicsの共同創立者のElad Gil(エラッド・ギル)氏が共同で主導した。今回のシリーズEラウンドでは、TripActionsはポストマネー50億ドル(約5191億円)で評価されていると、同社の広報担当者はメールで述べた。

こうした評価の数字は通常、ほどほどにしか役立たないが、TripActionsの最新ラウンドの場合、普通よりも重みを持つ。

同社はレストランソフトウェアのユニコーンであるToastとともに、新型コロナウイルス(COVID-19)が一部カテゴリのスタートアップに与えた影響のポスターチャイルドのような存在になった。TechCrunchは2020年2月下旬に、Liquidと呼ばれるTripActions製品の、5億ドル(約519億円)の信用供与ローンチを取材した。その1カ月後の2020年3月下旬、TripActionsは旅行市場が凍結したことで数百人のスタッフを解雇した

2019年半ばに40億ドル(約4153億円)の評価額で2億5000万ドル(約260億円)を調達していた会社にとっては、劇的な運の下降だった。またTripActionsは、旅行市場が特に低迷していた2020年6月に「転換社債型IPOファイナンス」と呼ばれる方法で1億2500万ドル(約130億円)を追加調達している。

しかし今また、投資家は同社の運に賭けており、新たに9桁の資本を提供するだけでなく、さらに大きな評価額を与えている。

レイオフ後1年未満のアップラウンドは驚異的な回復であるため、TechCrunchは法人旅行市場、TripActionsの主要な収入源、大切な出張旅行の回復ペースについて、また新型コロナワクチン接種の開始にともない、企業の社員はどれだけ早く飛行機に戻ってくるのだろうかなどを同社に取材した。

同社の広報担当者によると、法人旅行市場は「今月の時点で20%のレベル」であり、「週単位で」3%から6%の間で回復しているという。この回復ペースが投資家たちに、TripActionsが以前の強さを取り戻すのは時間の問題であると確信させたのかもしれない。

TechCrunchはまたTripActionsに、多くの人が予期しているZoom対応のハイブリッドワークの世界で、今後の法人旅行市場はどのような姿をとっていくのか尋ねた。同社の広報担当者は「すぐに100%ではないかもしれないが」「これから1年以内には」75%にまで回復するだろうと「強く」信じていると述べた。

また、同広報担当者は、より分散された労働人口が実質的には法人旅行を後押しする可能性があると書いている。もしそれが証明されれば、TripActionsはパンデミックが起こらなかった場合よりも、ポストパンデミックの方が強い立場になる可能性がある。市場が一時的に消滅したときに多くの従業員をレイオフすることを余儀なくされたユニコーンにとって、そのような復帰はすばらしいどんでん返しとなるだろう。

ラウンドの話題に戻ると、TripActionsは新たな資金を商品開発への投資に使用する予定だ。同社はTechCrunchへのメールで、ソフトウェア統合を含むポイントを含め最近の機能リリースを強調し、今後も金融に特化したLiquidの開発に取り組み続けることをつけ加えた。

また「分散したチームがより簡単に対面で会うことができるように、出張サイドの機能を構築する」とも述べている。我々の多くが、完全に地理的に1カ所に集中している企業の時代は終わったと予想している中、今回の決定は理に適っている。

TechCrunchは、これまでにレイオフされたスタッフのうち、どのくらい再雇用されたのか、新しい資金は2020年に解雇された従業員の再雇用に使われるのかを尋ねた。返答があり次第、記事を更新する。

いずれにしても、パンデミック前の高値からコロナ禍の谷間を経て、新たに引き上げられた評価額と多額の資金を得た今日に至るまで、TripActionsの過去1年は、将来ケーススタディになることだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TripActions旅行資金調達

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

会計自動化スタートアップのGeorgesが44億円調達、ブランドも「Indy」に変更

フランスのスタートアップGeorges(またはGeorges.tech)は、3500万ユーロ(約44億円)の資金を新たに調達した。ブランドも新しくなり、今後は「Indy」と呼ばれる。同社は、フリーランサーや中小企業向けの会計自動化アプリケーションを開発してきた。

Singularがこの資金調達ラウンドをリードした。Singularについてご存じではないかもしれないが、GeorgesのキャップテーブルにSingularが載っているのは至極もっともだ。パリを拠点とするベンチャーキャピタルであるAlvenのパートナーだったJeremy Uzan(ジェレミー・ウザン)氏とRaffi Kamber(ラフィ・カンバー)氏は、同VCを離れ自らのファンドを立ち上げた。ウザン氏は以前Alvenに在籍時にIndyに投資した。その後もSingularとともにIndiを追いかけている。

既存の投資家であるAlvenとKeralaも再び投資した。Indyはこれまで、サービスへのアクセスを得るために月額サブスクリプション料金を支払う4万人のクライアントを引きつけることに成功した。

Indiは最初、フリーランサー、自営業者、医師、建築家、弁護士などのために特別に設計した製品から始めた。これを利用すれば会計士を使わなくてもよい。まず、同社のサービスを銀行口座に接続する。次に、Indyがすべての取引をインポートし、できるだけ多くの取引にタグをつけて分類を試みる。

遡って不足しているデータを追加することもできる。取引に領収書や請求書を添付することも可能だ。こうした処理を行えば、年末に付加価値税をどの程度取り戻せるかがわかる。

次にIndyは、データに基づき管理フォームに自動で入力する。そうすると税務の書類をダウンロードしたり、Indyから直接書類を送付できたりする。

プラットフォームを利用すればビジネスの概要を把握することもできる。あなたは自分の会社の収入を把握したり、費用を追跡したりできる。あなた自身が会社からいくらもらい、また個人として費用がいくらかかったかに基づき、個人としていくら儲けたのかを知ることもできる。

時が経つにつれIndyはサービスを拡大し、多様な企業をサポートできるようになった。フリーランサーに加え、EURL(出資者1人で設立できる会社)、SARL(有限会社)、SAS(単純型株式会社)、SASU(1人簡素株式会社)をサポートしている。同社は2020年に売上高を3倍に増やした。

また同社は、フランスでBICステータスの商品を販売する人々を含め、さらに多くの自営業者をサポートするために製品の改善を計画している。Indyは2021年にリヨンで100人を雇用する予定だ。

同社はさらに大きな計画を立てている。潜在的な市場として米国を検討しているのだ。米国には自営業者が多い。興味深いチャンスになると思われる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Indy会計資金調達

画像クレジット:Kelly Sikkema / Unsplash

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(翻訳:Mizoguchi

AIが健康な胎芽を特定し体外受精の成功率を高めると謳うEmbryonics

年を追うごとに、医療の世界では正確な診断の標準的レベルをAIが押し上げるようになってきている。皮膚ガン肺ガンの発見においては、それが顕著だ。

そして今、イスラエルのスタートアップEmbryonics(エンブリオニクス)は、同社のAIなら、体外授精で健康な胎芽が着床する確率を高めることができると主張する。彼らが開発したのは、基本的には、胎芽の着床の可能性を予測するアルゴリズムだ。それは、体外受精の際の胎芽の発育をコマ撮りした画像でトレーニングされている。

ハッキリいって、これはやっと始まったばかりの技術だ。現在のところ、20歳から40歳の女性11人を対象にしたテストが行われているが、そのうち6人は妊娠に成功し、残る5人は結果待ちの状態だとEmbryonicsは話している。

それでもEmbryonicsは、経済的不安から出産をためらっているミレニアル世代の女性のように、外的要因のために何十年も進歩がないまま拡大を続けている巨大市場を活気づける可能性があるという点で興味深い。

体外受精市場は2019年のおよそ183億ドル(約1兆9000億円)規模から、今後5年で2倍に拡大すると一部では見られている。しかし、毎年体外受精を試みている多くの女性たちは、1回に1万ドル(約103万円)から1万5000ドル(約155万円)という費用を長期にわたり負担している(少なくとも米国の場合)。しかも、年齢が増すごとに成功率は下がってゆく

そんな体外受精の実施回数を減らし費用を軽減させることが、まさにEmbryonicsの原動力だ。同社は3年前に、CEOでありヘブライ大学で一般外科を学び、後にある体外受精研究所の研究員となり受胎の科学に変わらぬ興味を抱いた医学博士Yael Gold-Zamir(ヤエル・ゴールド-ザミール)氏によって創設された。

後に彼女は偶然にも、興味と専門知識を相補的に併せ持つ2人の人物を紹介される。1人はDavid Silver(デイビッド・シルバー)氏。テクニオン・イスラエル工科大学で生物情報学を学び、2020年にEmbryonicsに加わる以前は、Apple(アップル)の機械学習エンジニアとして3年、Intel(インテル)のアルゴリズムエンジニアとして3年働いている。

ゴールド-ザミール氏が紹介された2人目は、 Alex Bronstein(アレックス・ブロンスタイン)氏だ。いくつもの企業を立ち上げてきた起業家であり、Intelの主幹エンジニアとして長年勤務してきた。現在はテクニオン・イスラエル工科大学の知的システムセンターの主任を務めている。さらに、Embryonicsや資本市場のアルゴリズムトレーディングに特化したスタートアップSibylla(シビラ)などで、深層学習AIを含む複数の研究に携わっている。

Embryonicsの規模はまだ小さいが、この3人と彼らの元に集まった13人のフルタイムの従業員は、明らかに進歩を遂げている。

Shustermann Family Investment OfficeとIsraeli Innovation Authority(イスラエル・イノベーション局)が主導したシード投資ラウンド400万ドル(約4億1400万円)を助力とするEmbryonicsは、現在、欧州でのソフトウェア販売を可能にする認可を待っているという。それは、人間よりもはるかに高い精度で小さな細胞クラスターのパターンを検出するというもので、ヨーロッパ大陸全域の不妊治療クリニックが利用できると同社は話している。

世界中に点在し、あらゆる人種、地域性、年齢層を含む数百万件の匿名化された患者データベースを利用することで、同社はすでに次のステップにも目を向けているとゴールド-ザミール氏はいう。

中でも注目すべきは、胎芽分析ソフトウェアをひっさげて米国アメリカ進出を果たす他に、ホルモン刺激と呼ばれる治療法の改善を不妊治療クリニックと協力して進めるという計画だ。ブロンスタイン氏が指摘するとおり、体外受精療法や妊孕性温存療法を受けるすべての女性は、卵巣ができるだけ多く成熟した卵子を作り出せるようにする処置を受けることになる。これには8〜14日間にわたるホルモン注射も含まれる。しかし現在、一般的なプロトコルは3種類しかなく、「適切なものを確立するために数多くの試行錯誤」が続けられている状態だと彼は話す。そこで深層学習を利用すれば、その人ごとの適切なホルモンの配合と、適正な投与時期がわかってくるとEmbryonicsは考えている。

すべてが計画どおりに進むと、彼らの仕事はさらに増える。「Embryonicsの目標は、治療のあらゆる側面をカバーする総合的なソリューションをもたらすことです」とゴールドザミール氏はいう。彼女は会社を経営しながら、4人の子どもを育てている。

この生まれたばかりの企業が成功できるか否かを判断するのは、まだ早い。しかし、数日間シャーレに載せておいた胎芽を顕微鏡で観察し、細胞の増殖の様子や形状からその健康状態を判断するという、40年前から変わらない世界中の体外受精クリニックのやり方を一気に変革するテクノロジーを先導しているようには思える。

2019年春、ニューヨーク市のワイルコーネル医科大学院の研究者が、AIは人間の目よりも正確に胎芽の形態を評価できるとの研究結果を発表した。これは、受精後正確に110時間経過した人間の胎芽の写真1万2000点を使ってアルゴリズムをトレーニングし、胎芽の質の良し悪しを選別した結果だ。

この調査を行った研究者たちは、まず胎生学者が、個々の胎芽の外観をさまざまな側面から観察して、等級づけを行ったと説明している。次に統計的分析によって胎芽の等級と、うまく妊娠する確率との関係を導き出した。妊娠の成功率が35%以上なら胎芽は高品質、35%未満なら低品質と見なされる。

トレーニングと検証を終えたアルゴリズムは、新しい画像を使った胎芽の選別を97%の精度で判定することに成功した。

関連記事:フェムテックは細分化により妊娠計画以上の事業に成長する

カテゴリー:フェムテック
タグ:Embryonics資金調達妊娠

画像クレジット:Tammy Bar-Shay

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(翻訳:金井哲夫)

中国のeスポーツプロバイダーVSPNが海外展開に向け約62億円調達

eスポーツの「トータルソリューションプロバイダー」VSPN (Versus Programming Network)は6000万ドル(約62億円)のシリーズB+ラウンドをクローズした。本ラウンドにはProspect Avenue Capital (PAC)、Guotai Junan International、Nan Fung Groupが参加した。

中国ではeスポーツは巨大な産業で、eスポーツ会場など関連のエリアにも産業が拡大している。その中国でVSPNはeスポーツ競技会を開催している。同社は主要なトーナメント主催者であり、数多くのトップ競技会のための放送局でもある。同社は中国のeスポーツトーナメントの70%超と提携している。

同社は「B+」資金調達ラウンドの3カ月前に、Tencent HoldingsがリードしたシリーズBラウンドで1億ドル(約104億円)を調達したばかりだ。

今回のラウンドで調達した資金はとりわけ、海外でのeスポーツサービスに手を広げるのに使われる。

VSPNの創業者でCEOのDino Ying(ディノ・イン)氏は声明文で次のように述べた。「eスポーツ産業は初期段階をすぎ、新たな時代に入りつつあります。2022年、VSPNは多様化したeスポーツプロダクトやコンテンツを披露することを楽しみにしています。また、パンデミック終焉までの日を指折り数えています」。

PACの共同創業者Ming Liao(ミン・リャオ)氏は「資本市場における唯一無二の企業としてVSPNは財務管理で有名です。こうした信任はVSPNの今後の展開にとって強固な基盤となります」とコメントした。

Guotai Junan Internationalのプライベートエクイティ責任者であるXuan Zhao(シュアン・チャオ)氏は「当社はVSPNの鋭いマーケット見識ならびにチームの格別な事業モデルについてかなり楽観的です」と述べた。

Nan Fung GroupのCEO室のマネジングディレクターMeng Gao(メン・ガオ)氏は次のように話した。「VSPNの現事業モデルの強化、そして新興のサービスとeスポーツストリーミングエコシステムの急速な開発推進を支える投資ラウンドに参加できることを光栄に思います」。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:VSPN資金調達

画像クレジット:VSPN

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(翻訳:Mizoguchi

「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

「地球をハックする」衛星データ解析コンテスト運営のSolafuneが資金調達を実施

衛星データ解析コンテスト「Solafune」を運営するSolafuneは1月22日、ANRI、East Venturesを引受先とする資金調達を発表した。調達した資金を基に事業をより加速させ、宇宙産業市場をリードしてくテクノロジー企業として、事業の拡大に邁進する。

Solafuneは、「Hack The Planet.」をミッションに衛星データなどを活用して地球上のあらゆる事象を制御可能にしていくための事業を展開。その先駆けとして、衛星データを活用したデータ解析コンテスト「Solafune」の運営を2020年10月より開始した。

取得のハードルが高い衛星データのデータセットをオープン化した反響は大きく、初回に開催したデータ解析コンテストでは100人以上のAIエンジニアが参加。1500件以上の解析結果の収集を実現した、現在も急成長中のプラットフォームという。

今後も同社は、企業課題や社会課題の解決を主な目的としたデータ解析コンテストを継続的に開催し、世界中からAIエンジニアが参加する解析プラットフォームとして日々進化し続けるとしている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:宇宙(用語)資金調達(用語)Solafune日本(国・地域)

世界中からリモートワーカーを見つけるOmnipresentがシリーズAで16.4億円を調達

Omnipresent(オムニプレゼント)は世界中から地域のリモートワークチームを集めて雇用する企業のためのサービスだ。このほどシリーズAラウンドで1580万ドル(約16億4000万円)を調達した。ラウンドをリードしたのは匿名の投資家で、ほかに既存出資者のEpisode 1、Playfair Capital、Tuesiht Venturesが参加した。2020年7月の200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドの5カ月後にこのラウンドを完了したと同社は話した。

共同ファウンダーのMatthew Wilson(マシュー・ウィルソン)氏とGuenther Eisinger(グエンター・アイジンガー)氏は、2019年に人材投資グループであるEntrepreneur Firstの支援で会社を立ち上げた。

Omnipresentは、同社のプラットフォームで150カ国から社員を見つけることで、リモート雇用のコストを会社自身が行う何分の一かに抑えるられるとしている。同社は社員に対して、現地向けの契約書、税申告に加えて健康保険、年金、ストックオプションなどの現地および国際的な特典の支援を行う。

共同CEOのグエンター・アイジンガー氏とマシュー・ウィルソン氏は共同表明で次のように語った。「パンデミック以前から、私たちは国際雇用における法律や管理の障壁を打ち破る革命的可能性を認識していました。私たちは元ビジネスオーナーとして、国際的チーム構築の複雑さや官僚制度との戦いの厄介さを肌で感じてきました。パンデミックの襲来とともに世界的なリモートワークへの転換が起きている今、私たちの方向が間違っていなかったことが確認できました」。

「たとえばカナダには当社のカナダ支部があり、当社クライアントに代わってカナダの人との雇用関係を結ぶので、クライアントはカナダにおける法的インフラを作る必要がありません。これは当社が運営する149カ国すべてにいえることです。その後の雇用に関わる管理業務は人材、福祉、医療にいたるまですべて私たちが管理します」とウィルソン氏はインタビューでこう私に述べた。

同社は、Remote.comやBoundless HQらと競合する。

Episode 1 VenturesのゼネラルパートナーであるCarina Namih(カリーナ・ナミ)氏は次のようにコメントしている。「人材は全世界に均等に分散しているのに、あまりにも長い間、雇用機会はそうなっていません。私は国際的雇用の難しさを直接体験してきました。すでにOmnipresentは、異なる国々を横断して働くグローバルチームのインフラストラクチャーに不可欠な存在です」。

Playfair CapitalのゼネラルパートナーであるJoe Thornton(ジョー・ソーントン)氏も次のように語った。「リモートワークは近代的労働形態の未来系であることはまちがいありません。企業は早く取り入れるほど世界に分散する労働力に関わる競争で大きくリードするしょう。労働力の生産性と満足度を高め、より大きく多様な人材の中から採用することができます。

Ominipresentが行った経営者アンケートによると、85%の会社が2021年にリモートあるいは海外社員を雇用する予定だと答えている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:Omnipresentリモートワーカー資金調達

画像クレジット:Omnipresent / AP

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アフリカの教育テクノロジー系スタートアップ企業uLessonがシリーズAで7.8億円調達

ナイジェリアに拠点を置くEdTech(教育+テクノロジー)系スタートアップで、SDカードで学生にデジタルカリキュラムを販売するuLesson(ユーレッスン)が、シリーズAの資金調達で750万ドル(約7億8000万円)を調達した。このラウンドを主導しているのは、わずか数カ月前に5億ドル(約520億円)を超える新規投資を締結したOwl Ventures(オウル・ベンチャーズ)だ。他にもLocalGlobe(ローカルグローブ)や、TLcom Capital(ティーエルコム・キャピタル)、Founder Collective(ファウンダー・コレクティブ)などの既存の投資家が参加している。

今回の資金調達は、uLessonが2019年11月に310万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドをクローズしてから1年あまり経っているが、当時と現在の最大の違いは、単に銀行に数百万ドル(数億円)の資金があるかどうかではなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、このスタートアップの価値提案全体に大きな影響を与えたことだ。

uLessonは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの世界的大流行を宣言する数週間前に市場に参入した。Dカードの送付によるコンテンツの配信から始まったこのスタートアップ企業は、学生がリモート学習に適応し、アフリカ全土の家庭にスマートデバイスの波が押し寄せた時期と適合した。

「これまで見たことのないようなかたちで地面が濡れてきました」と、uLesson創業者兼CEOのSim Shagaya(シム・シャガヤ)氏は語った。「オフラインだけでは不可能だった、私たちがEdTechの世界でやりたいと思っていた本当に素晴らしいことが、すべて実現できるようになりました」と、創業者は付け加えた。

uLessonは他の多くのEdTech系スタートアップと同様に、一夜にしてリモート教育が普及したことの恩恵を受けてきた。補助的な教育ツールとしての位置づけが、前月比70%の成長を達成するのに役立ったと、シャガヤ氏は述べている。同氏によると、デジタルインフラが整ったことにより、「2021年の第2四半期までに完全オンライン化」が可能になるという。

uLessonの年会費は50ドル(約5200円)で、アプリのダウンロード数は100万回を超えている。

シャガヤ氏は、uLessonがSDカードの送付を利用したオフラインの非同期コンテンツから、ライブのオンラインプラットフォームへと進化していくことで、新たな需要があると見ている。このスタートアップはすでにライブ個別指導の実験を行っており、事前に録画された教材を見ながら学生が質問できる機能をテストしている。このスタートアップには毎日3000以上の質問が寄せられ、需要が高すぎてテスト機能を一時停止せざるを得なかった。

「ユーザーがボタンを押すだけで、自分が勉強していることを基本的にマスターしている大陸のどこかの大学生から、瞬時にサポートが受けられるようにしたいと考えています」と、シャガヤ氏はいう。Chegg(チェグ)、Quizlet(クイズレット)、Brainly(ブレインリー)などの企業を見てもわかるとおり、コンテンツに特化したスタートアップがライブ個別指導のレイヤーを追加する傾向は続いているようだ。

巨大なチャンス

新型コロナウイルスの影響で、eラーニングのスタートアップ業界は活況を呈している。これによって、家庭教師のマーケットプレイスや、学生にサービスを提供するコンテンツが続々流入しつつある。EdTechで最も価値のあるスタートアップの1つは、オンライン学習サービスを提供し、学生にテスト対策を行うByju’s(バイジューズ)だ。

しかし、シャガヤ氏は、他のどんなライバル企業も、Byju’sでさえアフリカ市場に向けてデジタルな方法でこれを行うことについて、困難を乗り越えたとは思っていない。南アフリカやケニアには家庭教師の人材紹介会社があり、学生の自宅に人材を派遣するオフラインの家庭教師市場はあるが、デジタルカリキュラムの観点で明確なリーダーはいない。

「アフリカは大きなチャンスだと誰もが思っています」と、シャガヤ氏は語る。「しかし、それを成し遂げるためには、現地のチームが必要だということも誰もが知っています」。

シャガヤ氏は、アフリカのEdTechには巨大なチャンスがあると考えているが、その理由は2つある。若い人口と、私立学校へ進む学生の深い洞察力だ。これらの事実が組み合わさることで、経済力があって補習教育にお金を払う意思のある学生の宝庫が生まれる可能性がある。

uLessonにとって、そして新型コロナウイルスの恩恵を受けたすべてのEdTech系スタートアップにとって、最大のハードルは流通と成果だ。uLessonは有効性と成果に関するデータは公表していないが、現在、ジョージア大学と共同で熟達度を把握するための研究を進めている最中だという。

「コンテンツへの取り組みと製品は、流通という聖壇で生きるか死ぬかのどちらかになります」とシャガヤ氏はいう。この創業者は、たとえばインドでは、社会的なニュアンスや文化から、事前に録画された動画がうまく機能していると指摘する。uLessonは、アフリカ周辺の市場で動画に最適なソースを見つけ、それを製品に組み込んでいこうとしている。

カテゴリー:EdTech
タグ:uLessonアフリカ資金調達

画像クレジット:uLesson

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(翻訳:TechCrunch Japan)

リモート採用を支えるリファレンスチェック自動化のHiPeopleが3.1億円を獲得

ベルリンに拠点を置き、リファレンスチェックのプロセスを自動化したいと考えるHRテックスタートアップのHiPeople(ハイピープル)は、シードで300万ドル(約3億1000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはMattias Ljungman(マシアス・ユンマン)氏のファンドであるMoonfireで、Capnamic VenturesとCherry Venturesが参加した。2019年後半の110万ドル(約1億1000万円)のプレシードに続くラウンドだ。特筆すべきは、シードラウンドが対面の会議なしで完全にリモートで完了したことだ。「HiPeopleのクライアントの採用プロセスと同じように」と、創業者のJakob Gillmann(ジェイコブ・ギルマン)氏とSebastian Schüller(セバスチャン・シュラー)氏はメールで筆者に語った。

HiPeopleは今回の資金を成長のために使用し、より多くの採用担当者が自動化されたリファレンスチェックによりリモートで採用ができるようにすると述べた。長期的に同社は、候補者分析プラットフォームを開発し、各候補者に関する豊富なデータと洞察を提供し、「データ主導」の採用を可能にする予定だ。

「抽象的にいえば、HiPeopleはタレントインサイトビジネスに携わっています」とギルマン氏とシュラー氏はいう。「当社のミッションは、人材データを自動で収集・分析し、豊富な洞察を提供することで、より良い採用を可能にすることです。HiPeopleは現在、リクエストから収集、分析に至る候補者のリファレンスチェックを自動化することでこれを解決しています。これにより企業は、追加の手作業なしで候補者に関する情報を充実させることができます」。

HiPeopleのSoftware-as-a-Service(SaaS)の背後にある考え方は、同社のアプローチにより採用担当者にシームレスなユーザーエクスペリエンスが提供され、「検証済みで信頼できる詳細なリファレンスチェック」が作成されるというものだ。その結果、ユーザーが平均して候補者の2倍の量のリファレンスを50%の時間で収集できると同社は主張している。「従来、リファレンスチェックは手作業のプロセスに偏り十分に活用されておらず、多くの場合、経営幹部の採用にのみ使用されていました。HiPeopleはリファレンスチェックの無駄な部分を取り払い、プロセスを再考することにより、人材に関する洞察を豊富に提供します」とHiPeopleの創業者はいう。

HiPeopleの顧客は、急成長しているスタートアップから成長中のテック企業や確立された中堅企業にまでおよぶ。たとえば過去12カ月で従業員を倍増させ、世界全体で1200人にまで増やしたプロセスマイニング会社のCelonisは、HiPeopleを利用してサンフランシスコ、ミュンヘン、東京でのポジションの採用の質を向上させた。「企業はプログラムに従ってリファレンスチェックを実施することにより、改善、スキル、チームワークスタイル、仕事の価値などのトピックに関する検証済みの洞察に基づいて人材を採用できます」とHiPeopleは説明する。

Moonfireのマシアス・ユンマン氏は次のように述べた。「反復するプロセスのワークフローの自動化や、職務経歴書の制約を超える候補者に関する洞察は、採用において誰にとっても明らかな苦痛です。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けたリモートワークの現実、つまりリモート採用の慣行により、適切な人材を見つけることの複雑さが増しています。HiPeopleは、プロセスを改善し、採用のスピードを上げながら、採用に携わるすべての人がより良い意思決定を行う方法を開発しました」。

ギルマン氏とシュラー氏によると、HiPeopleの欧州における競争相手は、主に採用担当者が手作業でリファレンスチェックを行うときに使う既存のインフラやプロセスだ。米国では、リファレンスチェックの自動化に関してXrefやCrosschqのような企業がより直接的な競争相手だ。

カテゴリー:HRテック
タグ:HiPeople資金調達

画像クレジット:HiPeople

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(翻訳:Mizoguchi

医療VR・デジタル治療VRのジョリーグッドが10億円を調達し累計調達額約22億円に

医療VR・デジタル治療VRのジョリーグッドが10億円を調達し累計調達額約22億円に

医療VRやデジタル治療VRを展開するジョリーグッドは1月21日、第三者割当増資(シリーズC)や資本性ローンなど合わせ計10億円の資金調達を行ったと発表した。引受先は、ジャフコ グループ(ジャフコSV6投資事業有限責任組合、ジャフコSV6-S投資事業有限責任組合)、アクシル・キャピタル・パートナーズ有限責任事業組合(アクシル・ライフサイエンス&ヘルスケアファンド1号投資事業有限責任組合)、いわぎん事業創造キャピタル(岩手新事業創造ファンド2号投資事業有限責任組合)。累計調達額は約22億円となった。

調達した資金により、VRサービスをさらに多くの医療従事者やコロナ禍で心が弱っている方々に届けるために、組織体制の拡充と事業スピードの加速を行なっていく。

同社は、手術を術者目線で360度体験できるVR臨床教育プラットフォーム「オペクラウドVR」をはじめ、発達障害向けソーシャルスキルトレーニングVR「emou」(エモウ)、精神疾患向けのデジタル治療VRなど、VRとAIテクノロジーを本当に必要としている医療・障害者・精神疾患治療向けに開発・提供。

ジョリーグッドは、高精度なVRソリューションと、VR空間のユーザー行動を解析するAIによる医療福祉向けサービスを開発するメディカルテクノロジーカンパニー。VRやAIなどのテクノロジーにより、医療教育、障害者支援、精神疾患治療など、人の成長や社会復帰を加速し、医療の進化や人の生きがいを支えるサービスを様々な研究機関や企業とともに展開している。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:AI / 人工知能(用語)医療(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)ジョリーグッド資金調達(用語)日本(国・地域)

インフルエンサーによる独自製品開発やブランド構築を支援するGenflowは英BGFから11.4億円調達

ロンドンとロサンゼルスを拠点に、eコマースとモバイル技術のプラットフォームをインフルエンサーに提供し、起業を支援するブランディング企業Genflow(ジェンフロー)が、1100万ドル(約11億4000万円)の資金を調達した。

このラウンドは英国の投資会社BGFが主導した。今回投入された資金で、Genflowは事業を拡大し海外進出を果たす。

2016年、ソーシャルメディアのインフルエンサーが独自ブランドを立ち上げてオーディエンスから利益が得られるよう支援する目的で、起業家Shan Hanif(シャン・ハニフ)が創設したGenflowは、戦略、デザイン、プランニングを行う従来のブランディング企業の側面と、独自のソフトウェアスタックを持つテック企業の側面を併せ持つ。

これによりGenflowは、サービスとしてのブランド(Brand as a Service、BaaS)と自らを位置づけ、外部のブランドを宣伝するのではなく、インフルエンサーによる独自のデジタル製品や物品の開発を支援し、独自の会員制クラブ、ゲーテッドコミュニティー、モバイルアプリ、直販ブランドなどの構築を可能にする。

「Genflowはデザイン、開発、製造、流通から、収益を高める戦略、マーケティング、コンテンツ制作を網羅する完全なインフラストラクチャーを提供します」と同社は説明する。

Genflowによれば、そのクライアントベースは、Instagram(インスタグラム)とYouTube(ユーチューブ)で多くのフォロワーを有する実績あるインフルエンサーだという。

「Genflowは、昔ながらのブランドの販促ではなく、インフルエンサーが独自の事業を立ち上げる手助けをするものです。そのため、特定のオーディエンスがあり、自分だけの本物のオーディエンスを獲得し事業を立ち上げたいと考える人がいれば、私たちはそれを代行します」とハニフ氏。「私たちは、事業を立ち上げるための完全なインフラを提供します。デザイン、製造、開発、コンテンツ、戦略、マーケティングがすべてひとつの場所で揃います。これにより私たちは、非常に高いレベルでの仕事が可能となり、収益を拡大するユニークな能力を発揮できます」。

ハニフ氏によれば、Genflowを訪れるインフルエンサーは、アイデアがある人か、どんなブランドを立ち上げればよいかを探る手助けを求める人のいずれかだという。「私たちは、社内開発のソフトウェア『Genlytics(ジェンリティクス)』を使って、彼らのアナリティクス、オーディエンスの概要、過去にどんなブランドと関わったかを見て、リリースする上でもっとも相応しいブランドを決め、どれほどの売上が見込めるかを調べます」と彼は説明する。

そうしてGenflowは、クライアントを交えてブランド構築の過程に入る。そこには大きく2つの選択肢がある。ゲーテッドコンテンツ、会員制クラブ、コミュニティーアプリやモバイルアプリを開発するか、物品の直販ブランドを開発するかだ。

前者は、自分専用のOnlyFans(オンリーファンズ)やPatreon(パトレオン)のようなソーシャルメディア・プラットフォームといえる。後者は、昔ながらの消費者直販型のeコマース事業だ。製品をデザインし、工場と協力してサンプルを作り、製品を製造して、流通を取り仕切るといった内容になる。

「どちらの場合も、私たちがブランドの立ち上げプランと戦略を立て、その後にインフルエンサーと一緒にブランドをローンチします」とハニフ氏はいう。

「おもしろいのは、スタートアップはまず目的を決め、チームを組み、資金を集めてから顧客を探すのが普通だということです。私たちが発明したのは『まずオーディエンスありきのアプローチ』です。すでにオーディエンスがあるので、そこに適した製品を作りさえすれば、すぐに成功できます。私たちのブランドに対する私の評価基準は普通ではありません。顧客転換率は5〜30%、リピート購入率は20%、Facebook(フェイスブック)の広告費の回収率はおよそ6対1です」。

「これまでに私たちが立ち上げたすべてのブランドが利益を生み、前年比で成長を続けていることに、私たちは誇りを感じています。私たちのアプローチが機能しているのです」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Genflowインフルエンサーブランディング資金調達

画像クレジット:Genflow

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(翻訳:金井哲夫)

対話型AIを含む遠隔医療プラットフォームのConversa HealthがシリーズBを約21億円に増額

米オレゴン州ポートランドに拠点を置く、バーチャルケアおよびコミュニケーションプラットフォームを提供するConversa Healthは米国時間1月19日、シリーズBの資金調達ラウンドを1200万ドル(約12億4000万円)から2000万ドル(約20億7000万円)に増額したことを発表した。このラウンドは当初の発表のように、Builders VCとNorthwell Healthのベンチャー部門であるNorthwell Venturesが共同で主導している。その他の投資家には、University Hospitalsのベンチャー部門であるUH Ventures、VC企業のP5 Health Ventures、Epic Ventures、StartUp Health、Nassau Street Venturesのほか、今回の拡大ラウンドに新規投資家として参加したGenesis Merchant CapitalとJ-Venturesが含まれている。

ConversaのCEOであるMurray Brozinsky(マレー・ブロジンスキー)氏はこう語る。「特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にともない、これはヘルスケアにおける2つの大きなトレンドですが、自動化とバーチャル化の必要性が認識されています。これらは地平線上にあったものが、新型コロナウイルスのおかげで地平線をもっと近くに引き寄せざるを得なくなり、医療システムは、患者にとってアクセスを可能にし、患者と医療提供者の経験を向上させ、より良い結果をより低コストで得るために必要になっていくと認識するようになりました」。

ブロジンスキー氏は、今後10年以内に、ケアの80%が遠隔で行われるようになると実際に考えている。これにより、よりパーソナライズされ科学的根拠に基づいたケアが可能になるが、自動化への投資も必要になるだろうという。

「Conversaは、プロバイダーのEHR(electronic health record、電子カルテ)やその他の患者データを、最高水準のインタラクティブなデジタルケア・パスウェイと臨床分析エンジンにリンクさせ、24時間365日体制でケアマネジメントを自動化します。これにより、訪問前から訪問後のケアプランのアドヒアランスが向上し、コストが削減され、患者にとってより良い結果が得られます」と、Builders VCのパートナーであり、Conversaの取締役であるMark Goldstein(マーク・ゴールドスタイン)氏は述べている。「Conversaのエンタープライズプラットフォームとデジタルパスウェイのライブラリは、単発のポイントソリューションとは対照的に、プロバイダーが患者の集団全体をケアするために使用されています。Conversaのサービスは、市場の大きなギャップを埋めてくれます」。

パンデミックを考慮すると、Conversaのビジネスが急成長したのも不思議ではない。多くの大企業がプラットフォームの使用を拡大しているため、同社のサービスの顧客数は4倍に増加し、財務指標は6倍に増加している。

同社チームは、この勢いに資本を投下するために、既存のシリーズ Bラウンドを拡大し、プラットフォームをスケールするため、より多くのエンジニアを採用することを決めた。ブロジンスキー氏は、パンデミックが終わった後もConversaのようなプラットフォームの必要性は残ると考えている。また、同社はすでに予防接種プログラムのサポートをサービス内で展開しており、消費者の教育を支援するだけでなく、予防接種を受けた後のモニタリング活動も支援している。

「医療機関から聞く話ではどこでも、高齢化が進む中心となる人口層をケアする必要が続くのは変わりませんから、深刻な医療従事者不足も含め、再びパンデミックが発生した場合に備えて準備をしておかねばならないと認識しているようです。」とブロジンスキー氏は語った。「そのため、システムやプラットフォームの必要性はさらに高まり、投資は追加コストというよりは、莫大なリターンとなります」。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)