リモート採用を支えるリファレンスチェック自動化のHiPeopleが3.1億円を獲得

ベルリンに拠点を置き、リファレンスチェックのプロセスを自動化したいと考えるHRテックスタートアップのHiPeople(ハイピープル)は、シードで300万ドル(約3億1000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはMattias Ljungman(マシアス・ユンマン)氏のファンドであるMoonfireで、Capnamic VenturesとCherry Venturesが参加した。2019年後半の110万ドル(約1億1000万円)のプレシードに続くラウンドだ。特筆すべきは、シードラウンドが対面の会議なしで完全にリモートで完了したことだ。「HiPeopleのクライアントの採用プロセスと同じように」と、創業者のJakob Gillmann(ジェイコブ・ギルマン)氏とSebastian Schüller(セバスチャン・シュラー)氏はメールで筆者に語った。

HiPeopleは今回の資金を成長のために使用し、より多くの採用担当者が自動化されたリファレンスチェックによりリモートで採用ができるようにすると述べた。長期的に同社は、候補者分析プラットフォームを開発し、各候補者に関する豊富なデータと洞察を提供し、「データ主導」の採用を可能にする予定だ。

「抽象的にいえば、HiPeopleはタレントインサイトビジネスに携わっています」とギルマン氏とシュラー氏はいう。「当社のミッションは、人材データを自動で収集・分析し、豊富な洞察を提供することで、より良い採用を可能にすることです。HiPeopleは現在、リクエストから収集、分析に至る候補者のリファレンスチェックを自動化することでこれを解決しています。これにより企業は、追加の手作業なしで候補者に関する情報を充実させることができます」。

HiPeopleのSoftware-as-a-Service(SaaS)の背後にある考え方は、同社のアプローチにより採用担当者にシームレスなユーザーエクスペリエンスが提供され、「検証済みで信頼できる詳細なリファレンスチェック」が作成されるというものだ。その結果、ユーザーが平均して候補者の2倍の量のリファレンスを50%の時間で収集できると同社は主張している。「従来、リファレンスチェックは手作業のプロセスに偏り十分に活用されておらず、多くの場合、経営幹部の採用にのみ使用されていました。HiPeopleはリファレンスチェックの無駄な部分を取り払い、プロセスを再考することにより、人材に関する洞察を豊富に提供します」とHiPeopleの創業者はいう。

HiPeopleの顧客は、急成長しているスタートアップから成長中のテック企業や確立された中堅企業にまでおよぶ。たとえば過去12カ月で従業員を倍増させ、世界全体で1200人にまで増やしたプロセスマイニング会社のCelonisは、HiPeopleを利用してサンフランシスコ、ミュンヘン、東京でのポジションの採用の質を向上させた。「企業はプログラムに従ってリファレンスチェックを実施することにより、改善、スキル、チームワークスタイル、仕事の価値などのトピックに関する検証済みの洞察に基づいて人材を採用できます」とHiPeopleは説明する。

Moonfireのマシアス・ユンマン氏は次のように述べた。「反復するプロセスのワークフローの自動化や、職務経歴書の制約を超える候補者に関する洞察は、採用において誰にとっても明らかな苦痛です。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けたリモートワークの現実、つまりリモート採用の慣行により、適切な人材を見つけることの複雑さが増しています。HiPeopleは、プロセスを改善し、採用のスピードを上げながら、採用に携わるすべての人がより良い意思決定を行う方法を開発しました」。

ギルマン氏とシュラー氏によると、HiPeopleの欧州における競争相手は、主に採用担当者が手作業でリファレンスチェックを行うときに使う既存のインフラやプロセスだ。米国では、リファレンスチェックの自動化に関してXrefやCrosschqのような企業がより直接的な競争相手だ。

カテゴリー:HRテック
タグ:HiPeople資金調達

画像クレジット:HiPeople

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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