eスポーツ大会運営のRATELが1.2億円を調達、プロゲーマー向けボイスチャットアプリ「VOLBOX」の開発を強化

画像左からCEOの吉村信平氏とCOOの吉本砂月氏

2021年4月14日、eスポーツ関連事業を展開するRATELはシードラウンドで総額1億2000万円を調達したことを発表した。引受先はNOW、F Ventures、ABBALab、East Ventures、個人投資家の田中邦裕氏、 田中良和氏、高梨大輔氏、他複数の投資家を含む。

2018年10月に設立したRATELの主力事業はeスポーツ大会の運営と放送だ。具体的にはeスポーツ大会の運営と放送、クリエティブ制作、大会運営に必要な配信機材と施設の貸し出し、実況者や解説者、オピニオンリーダーなど演者のキャスティング、イベントの企画、コンサルティングなどを行っている。2021年5月からは大会への新規参入を容易にし、長期的な大会運営が実現できるよう、レベニューシェア型の大会立ち上げサービス「ノバシェア」を提供する予定だ。

もう1つ、RATELはアプリ事業にも注力していきたい考えだ。現在、RATELはプロのモバイルゲーマー向けボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」を開発している。

開発中のボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」

何人かでゲームをする時に使えるコミュニケーションツールには、ゲーム特化のコミュニティアプリ「Discord」やLINEのグループ通話機能などいくつかある。ただ、それらはスマホゲームをプレイする際に使うには不便な点が多いとRATELのCOOを務める吉本砂月氏は説明する。

例えば、Discordのスマホ版は、出力される音声がモノラルになってしまうのが難点という。ステレオは左右のイヤフォンまたはスピーカーから異なる音を出力することで、音の立体感を出す技術のことだが、モノラルの場合は左右で同じ音を出力する。FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)など、立体的な動きのあるゲームの場合、モノラルだと他のプレイヤーの足音がする方向が分からなくなり、プレイに支障が出てしまう。他のボイスチャットアプリにはステレオ出力できるものもあるが、ゲーム音とボイスチャットの音のそれぞれの音量を調整できないなどスマホゲームと併用するには不便な点があるのだそう。

VOLBOXではそうした課題を解消するため、ステレオで音声を出力し、ボイスチャットの音とゲームの音をそれぞれ調整できる機能などを盛り込むなどして、プロのeスポーツ選手が使えるボイスチャットアプリを目指している。現在はクローズドベータ版をeスポーツの選手やインフルエンサーなどに提供して、サービス改善のためのフィードバックを得ている段階だという。正式リリースは2021年の秋頃を見込んでいる。

今回調達した資金は、VOLBOXの開発とeスポーツイベントの製作チームの強化に充てる予定だ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RATEL資金調達ボイスチャットアプリ日本VOLBOX

画像クレジット:RATEL

決済者に直接営業してスピーディーな案件獲得を目指すB2Bマッチング支援のオンリーストーリーが約13億円調達

決裁者とのアポイントメントがなかなか取れない。そんな悩みを解決するB2Bリード獲得支援のオンリーストーリーが、日本郵政キャピタル、Das Capital、DCIベンチャー成長支援 、ユーザべース、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、ユナイテッドから総額約13億円の資金調達を実施した。

現在、営業支援のツールは多く存在する。従来の電話やメールでの営業は決裁権限のない担当者にまでしかアプローチしにくい。オンリーストーリーはKBM(Key person Based Marketing)という独自の考えの下、完全審査制決裁者限定マッチングサービス「ONLYSTORY」を提供する。同サービスでは、従業員数10名以上の企業における決裁者クラスの人間が自身の過去・現在・未来を記事として掲載でき、他者の記事も閲覧可能。有料マッチングサービス「チラCEO」に登録すると直接メッセージを送ることができる。事業カテゴリーや会社の事業規模などから、決裁者を検索することも可能だ。Facebookに似た掲示板機能もあり、投稿に対して気軽にコメントできることから、決裁者同士のコミュニケーションの場にもなっている。現在、登録決裁者は3000人を突破している。

有料プランに切り替えると決裁者にメッセージを送れるようになる(画像クレジット:オンリーストーリー)

ONLYSTORYでは、メッセージ返信率が10%以上と、メール営業の約10〜20倍となっていると同社はいう。決裁されるまで関係する担当者の数が少ない、比較サイトから流入する場合と比べて相見積もりになりにくいといった点から受注率も高い。現在、WeWorkやエンジャパンなど幅広い事業が同サービスを活用している。

またONLYSTORYは2015年からサブスクリプションモデルを導入し、その売上が全体の90%を占めるという。代表の平野哲也氏は「顧客が目標を達成すると解約する恋愛マッチングや人材採用などのサクセスチャーンビジネスと違い、営業は成約が決まった後も半永久的に行われる行為であり、サブスクリプションモデルと相性が良いと考えています。アポ取得から決裁までが早いため、受注までのインサイドセールスの人件費などを考えれば十分ペイする費用感であるというお声もいただいています」という。

新型コロナウイルスの影響でオンライン営業の需要が拡大(画像クレジット:オンリーストーリー)

2012年の創業以来、今回で2度目のエクイティ調達となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で交流会やゴルフ会などが減り、オンライン営業ニーズが強まったことが追い風となったという。人々がオンライン会議に慣れ、自社からの距離を問わず全国各地の相手と商談をするようになり、アプリ利用者が増加。今回の調達を経て、他サービスとのAPI連携や企業情報のクローリングといった機能の開発強化を行っていく予定とのこと。さらにM&A、新規事業の投資先を探すなど、利用者の目的を元に必要な機能の拡充も検討している。

平野氏の周辺には会社を経営する親族が多く、彼らが営業に悩む姿を長年見てきた。多くの経営者にとって、どのように決裁者とアポをとり、スピーディーに案件獲得を行えるかということが大きな課題となっていると知り、創業に至ったという。「社長として何を目指しているかと聞かれるが、利益追及の資本主義、社会貢献性を目指す利他主義の両方を追う、『つよいい(強い+良い)』会社を作りたいと考えている。ONLYSTORY自体も、営業しあうTakerコミュニティではなく、与え合うGiverコミュニティとして育ってきた。企業としても、この度『つよいい』方々に投資いただいたので益々の成長を目指したい」と語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:オンリーストーリー資金調達日本

医者とすぐにチャットできる小児科アプリのBilobaが処方機能を追加し約1.9億円調達

フランスを拠点とるすスタートアップBilobaは、質問があればいつでも医者とチャットできる小児科アプリをローンチした数カ月後に、140万ユーロ(約1億8000万円)の資金調達ラウンドを実施した。資金調達に加えて、このスタートアップは最近アプリ内処方機能も追加した。

Bilobaのコンセプトは驚くほどシンプルだ。これはモバイルアプリで、子供の医療に関する質問があればいつでも一般開業医や看護師に連絡できる。このサービスは午前8時から午後10時の間に利用できる。

会話はメッセージアプリのようにも見える。メッセージの送受信だけでなく、写真やビデオの送信もできる。リアルタイムのビデオ通話や予約機能はない。Bilobaによると、通常は10分以内に回答が得られるという。

2020年、Bilobaは120万ユーロ(約1億6000万円)のプレシード資金を調達した。2021年の140万ユーロ(約1億8000万円)のシードラウンドをリードしたのはAglaéVenturesとID4で、既存投資家のCalm/Storm Ventures、Inventures、Acequia Capitalそして何人かのエンジェル投資家も再び参加している。

テキストでの会話は、小児科医の診察の代わりにはならない。また幼児が生まれた後も、多くの医療交流や節目がある。ただし質問がある場合は、次の予約を待ちたくはないだろう。

そして対面予約を必要としない比較的無害な問題であれば、Bilobaは処方箋を発行することができる。アプリでは処方箋を受け取り、フランスのすべての薬局で受け付けられる。同スタートアップはこの機能にOrdoclicを使っている。

フランスの国民健康保険制度と民間の健康保険が特に充実しているにもかかわらず、Bilobaは人々が診察ごとに支払うべきではないと考えている。その代わり、このスタートアップはサブスクリプションモデルを選んだ。

保護者は月額12.99ユーロ(約1700円)、3カ月で24.99ユーロ(約3300円)、年額79.99ユーロ(約1万円)を支払う。その後、好きなだけ会話を開始できる。Bilobaへの加入はフランスの国民医療制度の対象ではない。

基本的にBilobaの会費を払う余裕があれば、医師との交流の頻度を増やすことができ、より良い医療アドバイスにつながるはずだ。

画像クレジット:Biloba

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bilobaフランス医療資金調達

画像クレジット:Biloba

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「フォートナイト」開発元Epic Gamesが約1090億円を新たに調達、株式評価額は3兆1300億円に

Epic Gamesの価値はいったいどのくらいなのか?まあ、普通の人間がすんなり解釈できる範囲の金額をとうに超えているのは確かだ。今回のラウンドで、Epic Gamesの評価額は287億ドル(約3兆1300億円)に達した。そう「3兆」。読み間違いではない。マイクロトランザクションにすると……とにかく大変な数だ。

メタバース(Metaverse)を語り始める時は今だ!

大成功を収めたバトルロワイヤルゲーム「Fortnite(フォートナイト)」で知られるEpicは、ソニー・グループから2億ドル(約218億円)の出資を受け、新たな10億ドル(約1090億円)の資金調達ラウンドを発表した。この他にも、Appaloosa、Baillie Gifford、Fidelity Management & Research Company LLC、GIC(シンガポール政府投資公社)、T. Rowe Price Associates投資信託、Ontario Teachers’ Pension Plan Board、BlackRock投資信託、Park West、KKR、AllianceBernstein、Altimeter、Franklin Templeton、Luxor Capitalなど、予想どおり長いリストの投資家たちが参加した。

創業者兼CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は、このニュースに関した声明の中でこう述べている。「Epicとメタバースに対する当社のビジョンを支持してくださる、新規および既存投資家のみなさまに感謝しています。彼らの投資は「フォートナイト」「Rocket League(ロケットリーグ)」「Fall Guys(フォールガイズ)」における、コネクテッドソーシャルエクスペリエンスの構築に向けた当社の活動を加速させると同時に、Unreal Engine(アンリアル・エンジン)、Epic Online Services、Epic Games Storeを通じ、ゲーム開発者やクリエイターに力を与えることになります」。

支配株主であるスウィーニー氏には、感謝する理由がたっぷりある。

ここ数カ月、Epicにとっては忙しい日々が続いている。同社はゲーム内課金の収益をめぐり、Apple(アップル)およびGoogle(グーグル)との間で継続的な争いを繰り広げている。2021年5月初めには、テック界の大物たちが参加する裁判が開始される予定だ。

関連記事:Apple vs Epic Games裁判の証人候補はいずれも役員リストのよう

Epicはまた、2021年3月にFall Guysの開発元であるMediatonic(メディアトニック)を買収するなど、すでに非常に潤沢だった資金を使って複数のゲーム開発者やパブリッシングスタジオを買収している。この傾向は、今回の大規模なラウンドでもほぼ確実に続くだろう。

今回の資金調達により、ソニーとの関係もさらに強化されることになりそうだ。プレスリリースでは、ソニーグループの吉田憲一郎会長兼CEOが次のようにコメントしている。

Epicは、ゲームやデジタルエンターテインメント業界のクリエイターをサポートする最先端のテクノロジーを駆使して、革命的な体験を提供し続けています。当社は、世界中の人々に新しいエンターテインメント体験を提供するために、我々のコラボレーションを強化できることをうれしく思います。これは、創造性とテクノロジーの力により、世界を感動で満たすという当社の目的に合致するものだと確信しています。

今回のラウンドに先立ち、同社は2020年8月に実施された17億8000万ドル(約1941億円)のラウンドを含め、総額34億ドル(約3706億円)を調達していた。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Epic GamesFortnite資金調達Sony

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

山火事発生時に避難情報を伝える双方向緊急プラットフォームをPerimeterが開発

窓の外では火が燃え盛っていて、それがどんどん近づいてくる。混乱している。恐怖。クルマに逃げ込む。道路が当局によって突然閉鎖される。渋滞に巻き込まれる。炎が止まったかと思うと、突然、炎が方向を変えて飛び出してくる。普段の日常生活の中では、誰もがこれからやることの予定を立てている。しかし、誰かが避難のために家を出た瞬間、その「やること」は破棄されてしまう。

だが、いざというときこそ、何をすべきか、どこに行くべきか、正確に把握しておくことは、誰にとっても必要だ。とはいえ、残念ながら、そのような情報が必要な形で得られることはほとんどない。

カリフォルニア州のサンフランシスコ北部に住むBailey Farren(ベイリー・ファーレン)氏の家族は、このような事態をもう4回も経験している。気候変動による乾燥化で山火事がかつてないほど多発しているにもかかわらず、避難は相変わらず大混乱になる。カリフォルニア大学バークリー校の学生だった彼女は、何が起きていたのか、なぜ家族が安全かつ迅速に避難するために必要な情報が常に不足していたのかを調べ始めた。「第一応答者は、必要な情報をすべて持っていると思っていました」と、彼女はいう。

しかし、そうではなかった。最前線で活動する消防士には、正確な情報をオペレーションセンターに伝え、市民に避難方法を指示するためのテクノロジーを持ち合わせていないことが多い。市民には最新の情報を常に伝えなければならないが、その手段を関係当局は簡単なテキストメッセージに頼っていることが多く、例えば、郡全体の人々に避難するように伝えるだけで、それ以上の情報はほとんど伝えられない。

2018年にカリフォルニア州で発生した史上最悪の火災「Camp Fire(キャンプ・ファイア)」をきっかけに、ファーレン氏は公安担当者へのインタビューに留まらず、さらに解決策の構築を目指すようになった。2019年春に大学を卒業すると同時に、彼女は同じバークリー校の卒業生であるNoah Wu(ノア・ウー)氏と、Perimeter(ペリメーター)を設立した。

Perimeterは、ファーレン氏の言葉によれば、地理空間データを中心にした双方向のコミュニケーションを提供することで「機関と市民の間のギャップを埋める」ために設計された緊急対応プラットフォームだ。

同社は米国時間4月12日、プレシードラウンドで100万ドル(約1億900万円)の資金を調達したと発表した。この投資ラウンドはParade Ventures(パレード・ベンチャーズ)のShawn Merani(ショーン・メラニ)氏と、Dustin Dolginow(ダスティン・ドルジノウ)氏が主導し、SIO(ソーシャル・インパクト・オーガニゼーション)のOne World(ワンワールド)と、Alchemist Accelerator(アルケミスト・アクセレレーター)が参加。Alchemistはこのスタートアップの最初の資金提供者だった。

Perimeterの共同創業者でCEOのベイリー・ファーレン氏(画像クレジット:Benjamin Farren via Perimeter)

市民はPerimeterを利用して、新たに発生した火災や、倒れて道路を塞いでいる木など、地理的にタグづけされた情報をアップロードすることができる。「消防隊員が到着する前に、市民が最も正確でリアルタイムな情報を持っていることがあります。それを【略】政府の役人と共有してもらいたいのです」と、ファーレン氏は語る。しかし、その情報はすぐには一般には広まらない。まずは第一応答者が情報を調査し、市民が常に正確な情報をもとに行動を起こせるようにする。「ソーシャルメディアのようにはしたくないのです」と、彼女は説明する。

その一方で、オペレーションセンターはPerimeterを使って、市民に正確で詳細な避難地図と避難経路を送ることが可能だ。単なるテキストメッセージとは異なり、PerimeterはメッセージとURLの両方を送信し、地図や災害の進行状況に関するリアルタイム情報を表示できる。

現時点では、このプラットフォームはウェブアプリとして配布されており、災害時に備えて市民が事前にインストールしておく必要はない。ファーレン氏によれば、同社はネイティブアプリにも取り組んでおり、特に被災地では携帯電話の電波が断続的になることが多いため、堅牢なオフライン機能を必要とする救急隊員のために開発を進めているという。

ファーレン氏と彼女のチームは、緊急管理機関に広くインタビューを行っており、最初の顧客はパロアルトのOffice of Emergency Services(緊急管理局)だった。「研究開発に重点を置き、機関と手を取り合って構築しました。過去2度の火災が多い時期には、技術のベータテストを行いました」と、ファーレン氏は述べている。

現在、Perimeterには4人のフルタイム従業員がいる。リモートで仕事をしているが、全員がカリフォルニア在住だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Perimeter火災資金調達Alchemist Acceleratorカリフォルニア

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ブラウザの拡張機能で商品購入時のカーボンオフセットを提案するEcoCartが約3.3億円調達

EcoCart(エコカート)は、提携するオンラインショップで消費者が商品を購入する際に、排出される二酸化炭素を相殺する方法を無料で提案する(ブラウザの拡張機能を使用して!)会社だ。同社はBase10 Partners(ベーステン・パートナーズ)から300万ドル(約3億2800万円)の資金を調達した。

店舗のウェブサイトを運営する企業は、標準的なアフィリエイトのマーケティングモデルに基づいてEcoCartに手数料を支払い、同社はその収益の一部を消費者の二酸化炭素排出量のオフセットのために使う。

EcoCartと直接パートナーシップを結んでいる企業や、受動的なアフィリエイトマーケティングサービスを通して同社と提携している企業は、約1万社に上る。共同設立者のPeter Twome(ピーター・トゥオミー)氏とDane Baker(デーン・ベイカー)氏によると、EcoCartは企業向けの炭素計算ツールやオフセットサービスも提供しているという。

サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップは、ClimeCo(クライムコ)やBlueSource(ブルーソース)などのサービスを利用して、企業が融資可能なオフセットプロジェクトを調達・集約している。

サンディエゴ大学で出会った2人の共同創業者は、以前にToyroom(トイルーム)というスタートアップを起ち上げ、不必要な消費を減らすためにアウトドア用品を顧客に貸し出すという事業を行っていた。

「私たち自身がこの問題に直面しています。持続可能性という理念を維持することは、非常に難しいと我々は認識しました」と、ベイカー氏は述べている。

EcoCartは、ブラウザの拡張機能を利用する仕組みによって、Cloverly(クローバーリー)のような他のオフセットサービスとは一線を画している。その一方で、企業向けサービスでは、購入にともなう二酸化炭素をオフセットするオプションがチェックアウトフローに直接組み込まれる機能などを提供している。

EcoCartは、2020年6月にB to B(企業間)統合を開始し、現在では500社のベンダーが顧客となっている。これまでに、消費者の約4分の1が購入した商品を会計する際にオフセットすることを選択しており、その結果、約2500万ポンド(約1万1340トン)の二酸化炭素を削減することができたという。

同社を支援する投資家には、PopSugar(ポップシュガー)の共同創業者であるBrian Sugar(ブライアン・シュガー)氏が運営するアーリーステージの企業を対象としたベンチャーファンドのBase10 Partners(ベーステン・パートナーズ)をはじめ、Privy(プリヴィ)の創業者であるBen Jabbawy(ベン・ジャバウィ)氏、Klaviyo(クラビヨ)のグローバルパートナーシップ担当VPであるRich Gardner(リッチ・ガードナー)氏、Chubbie(チャビー)の共同創業者であるKyle Hency(カイル・ヘンシー)氏、Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)会長であるBryan Meehan(ブライアン・ミーハン)氏、BarkBox(バークボックス)の共同創業者であるCarly Strife(カーリー・ストライフ)氏などのエンジェル投資家が含まれる。

オンラインショッピングというと環境に悪いイメージがあるが、2020年Nature(ネイチャー)誌に掲載されたある研究によると、実際には実店舗での買い物より環境に優しくなる場合もあるという。

消費者によるオフセットは、善行ではあるものの、企業が実際に温室効果ガスの排出を抑制し、事業を脱炭素化することに比べると、同等の効果を得ることはできない。実際のところ、消費者のカーボンフットプリントや、地球汚染に対する消費者の個人的な責任という概念は、石油・ガス会社や消費財メーカーに頼まれて、広告会社の幹部が商品を売り込むために考え出したものだ。

しかし、何もしないよりは良いし、環境のために必要なプロジェクトの資金調達に役立つことは確かだ。

EcoCartは、数カ月かけてオンライン注文のカーボンフットプリントを計算する独自のアルゴリズムを開発したという。電子商取引用プラグインとブラウザ拡張機能のいずれも、商品への材料投入量、配送距離、パッケージの重量など、各注文の特徴を利用して、その注文から発生する二酸化炭素排出量を推定しているという。

「EcoCartは、ブランドが顧客と対話しながら、環境への影響を大規模に管理・対処する方法を再構築するものであると、我々は確信しています」と、Base10 PartnersのプリンシパルであるChris Zeoli(クリス・ゼオリ)氏は述べている。「EcoCartは、何十年にもわたって続いてきた有害な気候変動を元に戻すために役立つソリューションです。Base10は、EcoCartの創設者たちが、カーボンニュートラルなショッピングを、小売、マイクロモビリティ、フードデリバリーなどの業界で新しいチェックアウトの基準にしていくための活動に、パートナーとして協力できることを誇りに思います」。¥

カテゴリー:EnviroTech
タグ:EcoCartカーボンフットプリントカーボンオフセット資金調達ブラウザー機能拡張B2Bネットショッピング

画像クレジット:Taqi Fatikh/EyeEm / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ベトナムの電動バイクメーカーDat Bikeが2.9億円調達、ガソリンバイクからの乗り換えを狙う

自社のバイクに乗るDat Bike創業者でCEOのソン・グエン氏

東南アジアでトップの電動バイク企業になることを目指しているベトナムのスタートアップ企業Dat Bike(ダット・バイク)が、Jungle Venturesが率いるプレシリーズAで260万ドル(約2億9000万円)の資金を調達した。Dat Bikeは、ほとんどが国産部品で構成されたベトナム製バイクで、価格と性能の両面でガソリンバイクに対抗できるのがセールスポイントだ。Jungle Venturesがモビリティ分野に投資するのは今回が初めてで、Wavemaker Partners、Hustle Fund、iSeed Venturesも参加している。

創業者であり最高経営責任者でもあるSon Nguyen(ソン・グエン)氏は、シリコンバレーでソフトウェアエンジニアとして働いていたときに、廃品を利用してバイクを作る方法を学び始めた。彼は2018年にベトナムに戻り、Dat Bikeを創業した。インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムでは、8割以上の家庭がバイクを所有しているが、そのほとんどがガソリンを燃料としている。グエン氏はTechCrunchに対して、多くの人が電動バイクに乗り換えたいと思っているが、大きな障害は性能だと語る。

グエン氏によれば、Dat Bikeは市場に出回っている多くの同じ価格帯の電動バイクに比べて、3倍の性能(5kW対1.5kW)と2倍の航続距離(100km対50km)を実現しているという。ガソリンバイクに対抗するために作られたのが、Weaver(ウィーバー)という名の同社のフラッグシップバイクだ。グエン氏によれば東南アジア諸国での重要なセールスポイントである2人乗りで、5000Wのモーターを搭載し、0から50km/hまでを3秒で加速する。Weaverは標準的なコンセントを使って約3時間でフル充電が可能で、1回の充電で最大100kmの走行が可能だ(次のモデルでは1回の充電で最大200kmの走行が可能になる)。

Dat Bikeは、2020年12月にホーチミン市に初の実店舗をオープンした。グエン氏によれば、同社は「これまでに数百台のバイクを出荷していて、まだ受注残を抱えています」という。また、ホーチミン店のオープン後、新規受注が前月比で35%増加したと付け加えた。

3990万ドン(約18万9000円)というWeaverの価格設定も、ガソリンバイクの中央値に相当するものだ。Dat Bikeは、銀行や金融機関と提携して、顧客に12カ月の無利息支払いプランを提供している。

「彼らは、ベトナムの新興中産階級を初めてデジタル金融市場に引き込むために競い合っていますので、結果的に非常に有利なレートを得ることができるのです」と彼はいう。

ベトナム政府はまだ電動バイクへの補助金は提供していないが、交通省が駐車場やバイク駐輪場に充電インフラを義務づける新しい規制を提案していることもあって、グエン氏は電気自動車の導入が進むだろうという。ベトナムで電動バイクを製造している企業には他にもVinFast(バンファスト)やPEGAなどがある。

Dat Bikeの強みの1つは、地元で調達したパーツを使って自社で開発している点だ。グエン氏は、中国やその他の国から調達するのではなく、ベトナムで製造することのメリットとして、Dat Bikeのサプライヤーのほとんどが国内にあるため物流の合理化やサプライチェーンの効率化があるという。

「バイクの輸入関税は45%、バイク部品の輸入関税は15%から30%なので、地元企業であることには税制面でも大きなメリットがあります」とグエン氏。「一方、東南アジア内の貿易には関税がかからないので、海外からの輸入バイクに比べて、東南アジアへの進出に優位性があるのです」。

Dat Bikeは、Jungle Venturesなどの投資家の協力を得て、今後2~3年の間に東南アジアでのサプライチェーンを構築し、拡大していく予定だ。

Jungle Venturesの創業パートナーであるAmit Anand(アミット・アナンド)氏は声明の中で「特に東南アジアの250億ドル(約2兆7000億円)規模のバイク産業は、電気自動車と自動化の新たな発展の恩恵を受けるための機が熟しています。私たちは、Dat Bikeがこの動きをリードし、次世代の電動バイクの外観や性能について、国内だけでなく世界的にも新たな基準を作ることができると信じています」と語る。

関連記事:電動スクーターのGogoroが電動自転車ブランドEeyoを発表、まずは米国で発売

カテゴリー:モビリティ
タグ:ベトナム東南アジア電動バイクDat Bike資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

BaaSプラットフォームを手がけるKippが累計5億円調達、金融機関にサービス提供開始

BaaSプラットフォームを手がけるKippが累計5億円調達、金融機関にサービス提供開始

Kipp Financial Technologies(キップフィナンシャルテクノロジーズ。Kipp)は4月13日、2020年までに実施したシードラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権の発行による累計5億円の資金調達を発表した。引受先は、伊藤忠商事、AGキャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、セブン銀行、TIS、DGフィナンシャルテクノロジー。

また、「資金決済に関する法律」に基づく資金移動業の登録(関東財務局長第00078号)、前払式支払手段(第三者型)発行者の登録(関東財務局長第00744号)を完了。金融サービスを開発・運用するための技術・ライセンス基盤「BaaS」(Banking as a Service)を複数の金融機関向けに提供開始した。

現在、国内における金融サービスの開発・運用は、ゼロからアプリケーションを開発したりレガシーなパッケージをカスタマイズする案件が多く、金融サービス提供事業者にとって開発にかかる時間もコストも大きな負担となっている。また、そのようなシステム基盤上では、新機能の追加や、外部サービスとのAPI連携は容易ではない。

北米や欧州では、様々な金融機能をAPIとして提供するBaaSや埋め込み型金融(Embedded Finance)などと呼ばれる市場が拡大し、開発コストが低減可能となったことで、様々なFintechサービスが生み出されているという。

国内でもBaaSを利用しFintechサービスを開発し、サービスを成長させたいという要望を耳にする機会が増えたことから、KippはBaaS事業に参入し、複数の金融機関にBaaSを提供するに至ったとしている。

金融機関へのBaaS提供第1弾はセブン・グローバルレミットの海外送金アプリ「Sendy」で、今後複数の金融機関においても同社BaaSを基盤に開発した金融サービスがリリースされる予定という。Kippは、ウォレット・送金・決済・チャージ・AML・与信・債権管理等の機能を提供していくとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:API(用語)Kipp Financial Technologies(企業)資金調達(用語)セブン銀行(企業)FinTech(用語)日本(国・地域)

バッテリーのリサイクルと製造を商業化するBattery Resourcersが約22億円調達

輸送市場の電動化が進むにつれ、メーカーは今後10年間に道路から湧き出てくる何万トンもの使用済みバッテリーの処分方法に頭を悩ませ始めている。

Battery Resourcers(バッテリー・リソーサーズ)は、一見簡単そうなソリューションを提唱している。リサイクルだ。しかしこの会社はそこで終わらない。リサイクルした材料をニッケルマンガンコバルト・カソード(陰極)にしてバッテリー製造メーカーに売り戻す「閉じたループ」を開発した。さらに、アノード(陽極)に使われているグラファイトを回収・精製してバッテリーグレードにするプロセスも開発している。

Battery Resourcersのビジネスモデルは新たなラウンドへの投資家の注目を集め、2000万ドル(約22億円)のシリーズBラウンドをOrbia Venturesのリードで完了し、At One Ventures、TDK Ventures、TRUMPF Venture、Doral Energy-Tech Venturtes、およびInMotion Venturesも出資した。Battery Resourcers CEOのMike O’Kronley(マイク・オクロンリー)氏は今回の企業評価額を明らかにしていない。

カソード、アノードと電解槽はバッテリー構造の主要構成品であり、オクロンリー氏はTechCrunchに、このリサイクル・製造プロセスが他のリサイクル業者との差別化要因だと語った。

「私たちがこの業界で革命を起こそうとしているいうとき、それは私たちがやっているのはカソード活物質を作ることだという意味であり、他の多くのリサイクル業者がやっているようなバッテリーの金属を回収するだけではありません」と彼はいう。「私たちはこれらの材料を回収し、まったく新しいカソード活物質を作るとともに、グラファイト活物質の回収と精製も行っています。2種類の活物質はバッテリー製造メーカーに売られて新しいバッテリーに使われます」。

「他のリサイクル業者は金属の回収だけに集中しています。それは銅であり、アルミニウムであり、ニッケルであり、コバルトです。彼らはこれらの金属を汎用品としてそれを必要としているどんな業界にでも売っています」と同氏は付け加えた。「だからバッテリーに戻ることも戻らないこともあります」。

このアプローチによって、バッテリー業界は発掘金属への依存を減らせる可能性がある。今後高まるだけだと予想されている依存性だ。2020年12月に発表された研究によると、EV普及の速さとバッテリー科学の進歩の程度によっては、コバルトの需要は17倍、ニッケルは28倍になるかもしれない。

これまで同社は、マサチューセッツ州ウースターのデモンストレーション規模の施設で運営してきたが、ミシガン州ノバイの施設へと拡大し、分析試験と材料特性解析を行っている。2か所合わせて同社は年間15トンのカソード材料を製造する能力を持つ。今回の資金調達は、商業規模施設の開発に役立てられ、Battery Resourcersは声明で、年間1万トンのバッテリーを処理できるように能力を強化すると言った。これはEV約2万台分に相当する。

この独自のリサイクルプロセスのもう1つの特徴は、旧型新型両方のEVのバッテリーを処理して、現在のバッテリーで使われている最新タイプのカソードを作れることだ。「つまり、Chevy Voltの10年前のバッテリーから取り出した金属を再構成して、現在使われているハイニッケル・カソード活物質を作ることができます」と広報担当者がTechCrunchに説明した。

Battery Resourcersはすでに自動車メーカーや家電メーカーから問い合わせを受けている、とオクロンリー氏は語ったが、それ以上の詳細は明かさなかった。しかし、Jaguar Land Roverのベンチャーキャピタル部門であるInMotion Venturesは声明で、今回のラウンドへの参加は「重要な意味のある投資」であると語った。

「Battery Resourcers独自のエンド・ツー・エンド・リサイクリング・プロセスは、Jaguar Land Roverの2039年までにネットゼロカーボン企業になる旅を手助けするものです」とInMotionのマネージングディレクターであるSebastian Peck(セバスチャン・ペック)氏は語った。

Battery Resourcersは2015年にマサチューセッツ州のウースター工科大学からスピンアウトした後に設立された。同社は以前、全米科学財団、およびGeneral Motors、Ford Motor Company、Fiat Chrysler Automobilesのジョイントベンチャーである米国先進バッテリー協会の支援を受けていた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Battery Resourcers資金調達バッテリーリサイクル電気自動車

画像クレジット:Battery Resourcers

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

顧客エンゲージメントのノウハウを可視化しアクションを提案する営業支援SaaSのMagic Momentが6.6億円調達

顧客エンゲージメントのスキル・ノウハウを可視化しアクションを提案する営業支援SaaSのMagic Momentが6.6億円調達

Magic Moment(マジックモーメント)は4月13日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資と借入による総額約6億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、既存投資家であるDCMベンチャーズ、DNX Ventures。借入先は三井住友銀行および日本政策金融公庫。調達した資金により、営業・プロダクト・開発を中心とした組織の強化に加え、他社SaaSとの連携など様々な機能を開発する。

2017年3月設立のMagic Momentは「すべての企業が、顧客との関係性を根拠にした、正しい経営判断ができる世界をつくる。」というビジョンを掲げ、エンタープライズ向けに、営業支援SaaS「Magic Moment Playbook」を提供。2020年11月にβ版、2021年1月に正式版を提供開始している。

Magic Moment Playbookは、「顧客エンゲージメントの向上が顧客価値最大化につながる」という考えのもと、営業プロセスや顧客エンゲージメントを可視化し、最適なアクションを提案するクラウドサービス。営業チームにおける過去の成功事例をもとに、「導入を決定するために電話しましょう」「決裁の状況を確認するためにビデオ会議をしましょう」といった提案を行うことで、顧客エンゲージメントおよび顧客価値最大化を支援する。

また、CRM(顧客管理)やMA(マーケティングオートメーション)との連携を通じてリアルタイムで情報を同期し、それぞれのツールをより効率的かつ効果的に利用できるようになるという。さらに、Magic Momentの人員を導入企業の営業メンバーとして派遣し、顧客エンゲージメントを起点とした営業組織づくりやオペレーション設計などを企業内部から支援する。

顧客エンゲージメントのスキル・ノウハウを可視化しアクションを提案する営業支援SaaSのMagic Momentが6.6億円調達

導入企業は、旧来の獲得型から顧客エンゲージメントを起点とした組織・オペレーション設計を実現できるほか、属人的になりがちなスキルを平準化し、成約率アップにつなげられるという。現在、LINE、旭化成、USENグループなどが導入し、リードから顧客獲得までの転換率が10.2倍になったという効果が出始めているとした。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)Sales Tech / セールステック / 営業Magic Moment(企業)日本(国・地域)

手術支援ロボットを手がけるMemicが約105億円の資金を調達

Memic(メミック)は、ロボット支援手術プラットフォームの開発を手がけ、最近、米国食品医薬品局から販売承認を取得したスタートアップ企業だ。同社は米国時間4月12日、9600万ドル(約105億円)を調達してシリーズD投資ラウンドを完了したと発表した。このラウンドはPeregrine Ventures(ペレグリン・ベンチャーズ)とCeros(セロス)が主導し、OurCrowd(アワークラウド)とAccelmed(アクセルメッド)が参加した。同社は今回の資金調達により、米国内でのプラットフォームの商業化と、米国外におけるマーケティングおよび販売活動の拡大を計画している。

Crunchbaseによると、同社は過去に総額3180万ドル(約34億8000万円)の資金を調達しており、そのうち約1250万ドル(約13億7000万円)はクラウドソーシングプラットフォームのOurCrowdを通じて調達している。

画像クレジット:Memic

同社が「Hominis(ホミニス)」と呼ぶプラットフォームは「良性子宮摘出術を含む単一部位の自然開口部経腟腹腔鏡下外科手術」への使用が認可されている。ただし、人間の介入なしにロボットが手術を行うわけではなく、外科医が中央のコンソールから装置とロボットアームを制御するということには留意しておくべきだろう。同社によると、この器具は外科医の腕の動きを再現するように設計されているという。現時点では、ある特定の種類の手術にしか認可されていないものの、このようなシステムが有益な他の手術にも幅広く使われることをMemicは目指している。

「Hominisシステムは、数十億ドル(数千億円)規模で成長を続けるロボット手術市場において、著しい進歩を象徴しています。今回の資金調達によって商業化への取り組みを加速させ、今後数カ月のうちに、Hominisを外科医と患者さんの両方のお役に立てていたくことができるようになります」と、Memicの共同設立者でCEOを務めるDvir Cohen(ドビル・コヘン)氏は述べている。

同じようなコンピュータ支援型の手術システムは、すでにさまざまな製品が販売されていることも記しておくべきだろう。例えば、2021年3月にはAsensus Surgical(アセンサス・サージカル)が、同社の腹腔鏡プラットフォームを一般外科手術に使用するためのFDA認可を取得した。一方、眼科手術用ロボットのスタートアップ企業であるForSight(フォーサイト)は最近、同社のプラットフォームのために1000万ドル(約11億円)のシード資金を調達している。

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しかし、MemicのHominisは、良性経膣手術に承認された最初のロボット機器であり、同社とその投資家は、これが将来的にさらなる使用例につながる最初の足がかりになると確信している。

「Hominisの幅広い可能性とMemicの強力な経営陣の組み合わせを考慮し、私たちは同社とその大胆なビジョンの実行を支援できることを誇りに思います」と、Peregrine VenturesのマネージングゼネラルパートナーであるEyal Lifschitz(エヤル・リフシッツ)氏は述べている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Memic資金調達医療手術FDA

画像クレジット:Memic

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サイバーセキュリティ訓練スタートアップのHack The BoxがシリーズAで約12億円調達

ギリシャ発のサイバーセキュリティ訓練のスタートアップHack The Boxが、Paladin Capital GroupがリードしOsage University Partners、Brightye Ventures、そして既存投資家のMarathon Venture Capitalが参加したシリーズAのラウンドで1060万ドル(約12億円)を調達した。資金は事業拡大のために使われる。最近同社はHack The Box Academyを立ち上げた。

2017年に創業したHack The Boxは、サイバーセキュリティ技術を訓練するための「倫理的ハッキング」を専門としている。ユーザーはシミュレートされゲーム化されたテスト環境で、仮想的の脆弱なラボを「攻撃」する課題を与えられる。このアプローチにより初心者から専門家まで50万人以上のプラットフォームメンバーを獲得し、約800の組織(政府、Fortune 500企業、学術機関など)を集め、サイバーアドバーサリーの知識を向上させている。

Hack The Boxの共同創業者でCEOのHaris Pylarinos(ハリス・ピラリノス)氏は「私たちの活動はすべて、企業のチームや個人が壊れないシステムを作れるようにし、より安全なインターネットを作ることを目的としています」と語った。

Paladin Capital GroupのSenior Vice PresidentであるGibb Witham(ギブ・ウィザム)氏は、「常に進化し続けるサイバー攻撃に対処するために、敵対的なセキュリティ対策がますます重要になっている中、Hack The Boxをこの成長の転換点で支援できることに興奮しています」とコメントしている。

Hack The BoxはOffensive SecurityImmersive LabsINEおよびeLearnSecurity(INEによって買収)と競合している。

Hack The BoxはSaaSビジネスモデルを採用している。B2C市場ではトレーニングコンテンツへの無制限のアクセスを提供する月額および年額のサブスクリプションを提供し、B2B市場では付加価値の高い管理機能を備えた専用の敵対的トレーニング環境へのアクセスを提供する、通年および隔年のライセンスを提供している。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Hack The Boxギリシャ資金調達

画像クレジット:Hack The Box

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

気候変動重視の個人投資家向け投資アプリを発表したClim 8が7pc Venturesから8.8億円調達

エシカル(倫理的な)投資はいまだに混乱した迷路のようなもので、多くの「グリーンウォッシング」が行われている。一方で英国の新しいスタートアップが個人投資家向けの新しいアプリとプラットフォームをローンチすることで、この問題を解決しようとしている。

Clim8 Investhasは7pc Ventures(Facebookに買収されたOculusの初期の支援者)、British Business Bank Future Fund、そしてMoneseのMarcus Exall(マーカス・エグザル)氏、N26のMarcus Mosen(マーカス・モーセン)氏、Lego DigitalとMcKinseyのPaul Willmott(ポール・ウィルモット)氏、RedbrainのDoug Scott(ダグ・スコット)氏、Thought MachineのMatt Wilkins(マット・ウィルキンス)氏、SkyscannerのAndrew Cocker(アンドリュー・コッカー)氏、RedbrainのSteve Thomson(スティーブ・トムソン)氏、NeyberとGoldman SachsのMonica Kalia(モニカ・カリア)氏、AdzunaのDoug Monro(ダグ・モンロ)氏、LimejumpのErik Nygard(エリック・ナイガード)氏ら数多くのテクノロジー起業家やエグゼクティブから800万ドル(約8億8000万円)を調達した。

これにより、消費者は気候変動に取り組む企業やサプライチェーンに投資できるようになる。この分野で競合するスタートアップにはロンドンのTickr(Ada Venturesから300万ドル、約3億3000万円を調達)、パリのHelios、チューリッヒのYovaなどがある。

Clim 8のDuncan Grierson(ダンカン・グリアーソン)CEOは声明で「私たちは持続可能な投資にとって刺激的な時期にビジネスを立ち上げます。2020年は投資家が気候関連の投資機会に目を向けていたため、環境に焦点を当てた投資にとって例外的な年でした。新型コロナウイルス(COVID-19)の危機以降も持続可能な投資は市場を上回る成果を上げており、今後も継続すると考えています」と述べた。

グリアーソン氏は環境業界で20年の経験を持ち、EY Entrepreneur of Year Cleantech賞を受賞している。

Clim8はサステイナブルな投資ファンドの情報開示に関するEUの新しい高いルールを活用する。ユーザーは株式型ISA(2万ポンド、約300万円まで)、または課税対象となる一般投資口座のいずれかを選択できる。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Clim8気候変動資金調達

画像クレジット:Clim8 Invest

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

油井の排出メタン監視技術のAndiumが大手石油企業から巨額の資金を調達

油井やガス井の遠隔フィールドモニタリングに注力しているAndium(アンディウム)は、OGCI Climate Investments(石油・ガス気候変動イニシアチブ気候投資)が主導した投資ラウンドで、少なからぬ資金を調達した。

世界最大手のエネルギー企業で構成されるOGCIは、世界の温室効果ガス排出量を抑制するためのパリ協定で定められた目標を「支援」するために2014年に設立された。これまでに21のプロジェクトに投資している。

同イニシアチブに加盟する石油メジャー各社は、Citadel Securities(シタデル・セキュリティズ)や、Talis Capital(タリス・キャピタル)の元最高投資責任者であるTom Miglis(トム・ミグリス)氏などの既存の投資家とともに、天然ガスのフレア監視、タンクの遠隔測定、物体検知などの技術を開発している企業のAndiumを支援することになった。

同社は、石油・ガス会社に遠隔地からのリアルタイム情報を、他のソリューションに比べてはるかに低いコストで提供できるとしている。

センサーや監視装置と聞いてもあまり刺激的なテクノロジーとは思えないかもしれないが、温室効果ガス排出の流れを食い止めるために、これほど重要な技術サービスはないだろう。再生可能エネルギーに投資するEnergize(エナジャイズ)のパートナーであるMark Tomasovic(マーク・トマソビッチ)氏は、(筆者に向けて)次のようにツイートしている。「採掘中の石油・ガス井から排出されるメタンの監視と削減に取り組んでいる企業がいくつかあります。米国には100万以上の石油・ガス井があり、メタンは二酸化炭素の28倍もの温室効果があることを考えると、これらのスタートアップ企業はTesla(テスラ)よりも地球の気候変動に影響を与えていると言えるでしょう」。

Jon Shieber
Twitter(ツイッター)ユーザーのみなさん、全般的に言って、温室効果ガスの排出削減に最も影響を与えると思われる気候テクノロジー投資の新しいカテゴリーは何でしょうか(風力・太陽光以外で)?

Mark Tomasovic
採掘中の石油・ガス井から排出されるメタンの監視と削減に取り組んでいる企業がいくつかあります。米国には100万以上の石油・ガス井があり、メタンはCO2の28倍もの温室効果があることを考えると、これらのスタートアップ企業はテスラよりも地球の気候変動に影響を与えていると言えるでしょう。

AndiumのCEOであるJory Schwach(ジョリー・シュワッチ)氏は、声明で次のように述べている。「変革のリーダーシップと卓越したオペレーションには、可視性が最も重要であると我々は考えています。当社の遠隔監視技術は、企業が持続可能性の目標を達成するための迅速な道筋を提供するために、特に設計されたものです」。

シュワッチ氏は、太陽電池による全地球測位システムを開発したGlobalRim(グローバルリム)や、オフライン通信サービスのMeshMe(メッシュミー)などの事業を、これまでてがけてきたシリアルアントレプレナーで、当初は物流業界向けの電池式トラッキングシステムの開発を行っていた。

「私は2年間の大半を、長距離トレーラー用のバッテリー駆動のトラッキングソリューションを構築することに費やしました。それによって市場がブローカーに代わって『共有財産』を管理できるようになるからです。ハードウェアの開発には何度も失敗しましたが、本当の価値は、継続的に変わる製品要求の中にあり、それはソフトウェアの変更ではるかに簡単に解決できることに気づきました」と、シュワッチ氏はMedium(ミディアム)出版社のAuthority Magazine(オーソリティ・マガジン)に語っている。「ハードウェアとインフラをクライアントに代わって管理しながら、変化するユースケースに基づいて製品をカスタマイズするためにOSを活用するのであれば、小型デバイス用の新しいタイプのOSを構築することは大きなビジネスになると考えました」。

Andiumの技術は、市販のカメラやマイクに人工知能を重ね合わせて、あらゆる産業資産のリアルタイムなモニタリングを実現する。

「メタンを監視・測定することで生まれる透明性は、排出量の削減に不可欠です」と、OGCI Climate InvestmentsのCEOであるPratima Rangarajan(プラティマ・ランガラジャン)氏は語っている。「Andiumの低コストで革新的なソリューションは、あらゆる規模の事業者がベストプラクティスを採用・実施する障壁を低くするものであり、我々は彼らの成長を支援できることをうれしく思います」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Andium温室効果ガス資金調達気候変動メタン石油

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オンライン・カタログギフトを手がけるギフトパッドが4億円を調達、お土産や野菜・米などの仕送りサービス拡充

オンライン・カタログギフトを手がけるギフトパッドが4億円を調達、お土産や野菜・米などの仕送りサービス拡充

オンライン・カタログギフト事業を展開するギフトパッドは4月12日、第三者割当増資による4億円の資金調達を発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合(VGI)。

今回調達した資金により、今後事業展開のコアとなるギフトパッドのプラットフォームを活用したGDX(Gift Pad Digital Transformation Platform)の推進に取り組む。また、かねてより推進している地域経済活性化に向けた地方創生事業の取り組み、オンラインおみやげサービス「みやげっと」、野菜や米などのオンライン仕送りサービス「シオクル」もサービス拡充を目指す。

オンライン・カタログギフトを手がけるギフトパッドが4億円を調達、お土産や野菜・米などの仕送りサービス拡充

同社は、紙タイプのカタログギフトの代わりにカード一枚、メール・SNSでカタログギフトが贈れる仕組みを提供。主なサービスとして、法人向けにセールスプロモーションやマーケティング、株主優待、福利厚生まで様々な活動で利用できる「3X‘s ticket」(サンクスチケット)を展開。そのほか自治体向けに地域の宿泊施設、飲食店、地域生産者、医療関係者を支援できるクーポンツールとシステムを提供する「Premium Coupon」(プレミアムクーポン)、誕生日プレゼントや結婚・出産祝いなどを贈れる個人向け「Gift Pad」を展開している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:EC(用語)ギフトパッド(企業)ギフト / プレゼント(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

ソフトバンクによるBetter.comへの約548億円出資で住宅ローン業界の魅力が証明された

デジタル住宅ローン融資のBetter.com(ベター)は、日本の投資コングロマリットであるSoftBank(ソフトバンク)から5億ドル(約548億円)の資金調達を行い、同社の価値を60億ドル(約6571億円)とした。

この資金調達はいくつかの理由で注目されている。まず、同社の60億ドルという新たな評価額は、2020年11月にシリーズD投資ラウンドで2億ドル(約219億円)を調達した際の評価額40億ドル(約4381億円)から50%アップしていること。2019年8月のシリーズCラウンドで資金調達した当時の6億ドル(約657億円)という評価額からは10倍にもなっている。

2つ目の理由としては、伝統的に「魅力的ではない」業界で、長い間分裂を必要としてきた住宅ローンが、公式にホットであるとさらに証明されたということだ。ソフトバンクが投資すれば、間違いなく人々は注目する。

新型コロナウイルスの大流行と過去最低水準の住宅ローン金利は、誰も予想しなかった方法でオンライン住宅ローン融資の分野を加速させた。これにベンチャー投資における全体的な熱気が合わされば、Better.comがわずか数カ月の間に7億ドル(約767億円)を調達したことも大きな驚きは与えない。

今回の投資によって、2014年の創業以来、Better.comが調達した資金総額は9億ドル(約986億円)を超えた。ソフトバンク以外の支援者には、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、American Express(アメリカン・エキスプレス)、Activant Capital(アクティバント・キャピタル)、Citi(シティ)などが含まれている。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、ソフトバンクはBetterの既存の投資家から株式を購入し、同社創業者でCEOのVishal Garg(ヴィシャル・ガーグ)氏に、同社に投資する「熱心さの表れ」として、すべての議決権を与えることで合意したという。

2020年10月に開催されたバーチャルイベント「LendIt Fintech(レンディット・フィンテック)USA 2020」で筆者が行った個別インタビューの中で、ガーグ氏は「IPOは間違いなく実現する」と語っていた。

「適切な時にやるつもりです」と、彼は言った。「米国資本主義の核となる信条の1つは、ある会社の顧客がその会社の株を買えるということです」。

そして2021年2月には、Betterが米国での新規株式公開に向けて、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)と Bank of America Corp(バンク・オブ・アメリカ)を起用したと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。IPOの前に多額の資金を調達することは珍しいことではない。例えば、後払いや分割払いによる決済サービスを提供するフィンテック企業のAffirm(アファーム)は2020年それを行った

2020年10月にヴァーグ氏が筆者に語ったところによると、新型コロナウイルス感染流行前のBetterは月に約12億ドル(約1315億円)のローンを処理していたが、2020年10月の時点では月に25億ドル(約2739億円)以上の資金を調達し、スタッフも1500人から世界中で約4000人に増えていたという。

「新型コロナウイルス感染拡大が始まったとき、私たちの収益は月に5000万ドル(約54億8000万円)にも満たないものでした。今はその2.5倍です」と、当時ヴァーグ氏は語っていた。

その後、この数字はさらに上昇している。同社の広報担当者によると、Better.comは2021年の第1四半期だけで140億ドル(約1兆5300億円)のローンを提供し、現在は月に40億ドル(約4380億円)以上のローンを提供しているとのこと。ちなみに、同社が2020年の全期間で提供したローンの総額は、250億ドル(約2兆7400億円)だった。また、現在の従業員数は6000人で、2020年10月からさらに2000人増加しているという。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Better.comソフトバンクグループ資金調達ローン不動産

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

B2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」でファッション業界のDXを推進するBranditが2億円調達

B2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」でファッション業界のDXを推進するBranditが2億円調達

自社生産・自社ECにおいてインフルエンサーを起用したD2Cブランド「TRUNC 88」、生産から物流までをワンストップで提供できるB2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」を展開するBrandit(ブランディット)は4月12日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億円の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドにおけるリードインベスターとして大広と資本業務提携を交わし、新たにSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合を引受先として迎え入れた。さらに、シード期からの既存株主であるDIMENSIONから3度目のフォローオンによるラウンド調達を実施した。

「顧客価値」を基点にした事業開発やマーケティングサポートを提供する大広が、その実績・ノウハウをさらに発展させ、eコマース事業の中でも特にD2C事業に関しての支援体制を強化・拡充していくことを受け、Branditの事業・ノウハウと掛け合わせることで幅広いクライアントに対するアプローチができると考え、資本業務提携を交わしたという。

D2Cブランドを展開するクライアントに対して、コミュニティ形成や販売支援などのファンマーケティングに基づく設計からEC構築に至るまでのサポート体制を確立し、ソリューション提供における連携を図るとしている。

さらにBranditは、事業拡大における経営体制・組織体制の強化を目的に、CxOを含む人材採用を積極的に行う。

2019年9月設立のBranditは、「Make Next Branding by Fashion Tech.」をビジョンに掲げ、D2CブランドやD2Cソリューション事業を通してファッション業界のDXを推進するスタートアップ企業。D2Cソリューション事業では、BRANDIT production、BRANDIT system、BRANDIT logisticsとして、「生産・EC・在庫管理・マーケティング/分析・ロジスティクス」の一気通貫サービスも実施している。

BRANDIT productionでは、自社オリジナルアイテムの企画・デザインをサポートし、小ロットでの生産による在庫リスクを軽減したアイテムの提案から生産を実現

BRANDIT productionでは、自社オリジナルアイテムの企画・デザインをサポートし、小ロットでの生産による在庫リスクを軽減したアイテムの提案から生産を実現

カート機能だけでなく、別々のツールで管理していた「受注」「原価」「各チャンネル別手数料」「販売開始日」「配送データ」「出荷売上」などの項目を一括管理できるECシステム「BRANDIT system」を運営

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BRANDIT logisticsでは、商品マスタ登録→商品の入荷→受注データの連携→商品の出荷→出荷データの連携→売上計上→在庫引当後の在庫管理という一連の流れを自動連携させることで大幅に工数を削減

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)D2C(用語)ネットショッピング / eコマース(用語)ファッション(用語)Brandit(企業)日本(国・地域)

創業5カ月でユニコーン企業に、別荘の共同所有をサポートするPacasoが83億円調達

創業からまだ1年にも満たないPacasoが、10億ドル(約1100億円)の評価額で7500万ドル(約83億円)の成長資金を調達したことを発表した。

GreycroftとGlobal Founders Capitalが共同で主導したこの7500万ドルのエクイティファイナンスには、注目に値する要素がいくつかある。

1つはそのチームだ。CEO兼共同創業者のSpencer Rascoff(スペンサー・ラスコフ)氏は、Zillowの元幹部であるAustin Allison(オースティン・アリソン)氏とともに約18カ月前にZillow(時価総額は329億ドル、約3兆6300億円)を去った後、Pacasoのコンセプトを打ち立てた。同社は、人々がセカンドハウスを共同所有を支援するサービスを展開している。

「セカンドハウスを持つことは、私たち双方の生活に非常に大きな影響を与える贅沢であったことに気づきました。私たちは2人とも幸運にもセカンドハウスを手に入れ、それは自分たちや友人、家族に大きな変革をもたらしたのです」とラスコフ氏は述べている。「私たちが目指したのは、セカンドハウスへのアクセスを一般に普及させることでした。そうすることで、1%の人々だけが享受できる贅沢にとどまらず、願わくば世界中の何千万人もの人々がセカンドハウスを利用できるようになるのです」。

Crunchbaseのデータを使った本誌の社内分析によると、2020年10月にローンチしたばかりのPacasoがユニコーンになったのは、他のどの企業よりも早い。

「Pacasoは驚異的な速さで成長しており、これは私が経験したことのないものです」とラスコフ氏はTechCrunchに語った。「これほど急速に成長している理由は、消費者がこのコンセプトに魅せられ、はるかに安価な価格でセカンドハウスを所有できるというアイデアを喜んでいるからでしょう」 。

サンフランシスコに拠点を置くPacasoは、米国時間3月24日に発表した株式発行による資金調達に加えて10億ドル(約1100億円)の負債調達も行った。2020年秋のローンチ時点で、同スタートアップはMaveron率いるシリーズAで1700万(約19億円)ドルを調達し、同時に2億5000万ドル(約276億円)の融資も受けている。

Acrew Diversify Capital FundのSukhinder Singh Cassidy(スキンダー・シン・キャシディ)氏とTheresia Gouw(テレジア・グー)氏、First American Financial、Shea Ventures、Amazon Worldwide Consumerの元CEOであるJeff Wilke(ジェフ・ウィルケ)氏など、著名なエンジェル投資家たちも今回の資金調達に参加した。

不動産に特化したLLC(有限責任会社)を設立し、独自の共同所有モデルを可能にすることで、同社はセカンドハウスのコストと手間を削減することを目指している。また、セカンドハウス所有者は不動産を貸し出すという選択肢も得る事ができる。

Pacasoのモデルは、コンドミニアムやホテルで一定の期間使う権利を販売するタイムシェアの古いコンセプトとは一線を画している。Pacasoでは、小規模の共同所有者グループを集めて一戸建て住宅のシェアを購入し「年間を通して継続的なアクセスを楽しむ」事ができるのだ。

仕組みとしては、まずPacasoが家のシェア、またはすべてを購入する。その後同社は不動産を販売するために地元の不動産業者と提携する。そして同社が持ち家の8分の1程度、あるいはそれ以上の割合で持ち家のシェアを売却する。

Pacasoは、ナパ、レイクタホ、パームスプリングス、マリブ、パークシティなどの複数の人気セカンドハウス市場で仲介ライセンスを保有している。購入者は同スタートアップのウェブサイトで厳選されたリスティングを見ることができ、有効な物件や、購入希望を基に購入を検討する住宅のプレビューを見ることができる。

このリスティングのキュレーションに加えて、Pacasoは統合ファイナンス「高級路線の」インテリアデザイン、専門性の高い不動産管理、独自のスケジューリング技術も提供している。

画像クレジット:Pacaso

ローンチ以来50万人以上がサイトを訪れ、これまでに6万人もの「購入希望者」がセカンドハウスの共有について詳しく知るためPacasoに問い合わせてきたと同社は伝えている。これまでのところ同社は、約100世帯に向けてセカンドハウスの共同所有者になる支援を行ってきた。

アリソン氏の推定によると、世界には約1億戸のセカンドハウスが存在し、その大半は1年のうち10カ月から11カ月ほど空室になっているという。

「月ごとにその数は急増しています」と同氏は続けた。

同社は今回調達した資金の一部を、西海岸から東海岸への新規市場開拓に充てる計画だ。最終的にはヨーロッパ、さらにはメキシコやカリブ海にも進出する展望を持っている。同社の負債は、さらに多くの住宅の持ち分を取得する方向に向かっていくだろう。

「裁量所得があるほど十分な収入を得ている世帯は何千万もあり、そのうちの約75%はセカンドハウスを持つことを夢見ています」 と同氏はいう。「しかし、コストの問題、あるいはそのような購入を正当化できないといった理由で、彼らの行動は妨げられています。この大きな問題に直面して私たちが考え出したのは、真に革新的なソリューション、つまり共同所有でした」。

アリソン氏によると、同社は今後、低価格の住宅を含め、より幅広い価格帯の住宅を提供したいと考えているという。

Greycroftの共同創業者でパートナーのDana Settle(ダナ・セトル)氏は、Pacasoのビジネスの活力を「極めて意義深いもの」と表現している。

「Pacasoは、人々がセカンドハウスを購入し、所有する方法を劇的に変える新しいカテゴリーを作り出しています」と同氏は付け加えた。

多くのベンチャー企業がそうであるように、GreycroftもPacasoの創業チームの力量に魅力を感じている。

「このチームは市場を熟知しており、かつてともに働いた経験を有しています」とセトル氏はTechCrunchに語った。「彼らがいかに迅速に稼働し始めたかを見れば、まさにそのことが証明されています」。

同氏はまた、PacasoをUberやAirbnbになぞらえた。これらの企業もまた、十分に活用されていなかった資産を事業化している。

「テクノロジーを活用して市場でのアクセス性を向上させる、新たな機会です」とセトル氏はいう。

事業拡大を進めるにあたり、Pacasoは最高財務責任者としてNina Tran(ニナ・トラン)氏を迎え入れた。トラン氏は、Waypoint HomesをStarwood Waypointと合併して株式公開し、同社をInvitation Homesに売却してCFOを務めた人物だ。

ラスコフ氏は最近、多忙を極めている。同氏はSupernova Partners Acquisition Companyの責任者でもあり、同社は最近Offerpadと合併して上場することを発表した。ラスコフ氏はDoma(以前のStates Title)の投資家でもある。SPACの合併によって上場された別の専門技術企業だ。同氏はまた、多くのスタートアップを支援しており、その中には最近ローンチした、アジア系米国人コミュニティを主な対象とするデジタルバンキングプラットフォームCheeseも含まれている。

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カテゴリー:その他
タグ:Pacasoセカンドハウス資金調達ユニコーン企業不動産

画像クレジット:Cory Sherwood Photography / Pacaso

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

新しいコンセプトのロボティクスに挑むRapid Roboticsが13.2億円調達

サンフランシスコのロボティクスのスタートアップであるRapid RoboticsはこのほどシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したことを発表した。ロボティクスにおける同社の新しいコンセプトは2020年からTechCrunchでも報じてきたが、今回のラウンドはNEAがリードし、これまえの資金調達総額は1750万ドル(約19億2000万円)となった。2020年11月に発表されたシードラウンドは最近完了したばかりだ。Greycroft、Bee Partners、468 Capitalなどの既存投資家が今回のシリーズAにも参加している。

我々は繰り返し新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックがロボティクス分野に大きな影響を与えていることを指摘してきた。パンデミックにより「社会生活の維持に必須の要員」に認定されなかった多数の労働者の出社が不可能になったことで、さまざまな産業でオートメーションへの関心が強く掻き立てられたことは間違いない。製造業では多くの職がリモートワークに適さない。

Rapidによれば、そのテクノロジーは過去1年間に極めて広範囲な製造業で5000万点の部品生産を行ってきたという。トランプ大統領同様、バイデン大統領も製造業の雇用を米国に取り戻すための戦略を発表し始めている。どのような野心的な計画も結局の人間の職の創出とオートメーションの間で適切なバランスを取る必要があることは間違いない。

同社もロボットと人間のオペレーターの関係という長年の課題についてCEOのJordan Kretchmer(ジョーダン・クレッチマー)氏はプレスリリースに「簡単に要約すれば、この問題を解決しなければ米国の製造業はグローバル市場で競争力を持ち得ない」と書いている。

Rapidの最大の付加価値は「使いやすさ」だ。この会社はその社名のとおり、購入後だれでも即座に動かせるようなシステムを提供している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Rapid Roboticsサンフランシスコ資金調達製造業

画像クレジット:Rapid Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナで増えるバーチャルワークアウト、フィットネスインストラクター向けサービスMoxieが約6.9億円調達

新型コロナウイルスの影響で地球上の人々が屋内でワークアウトをするようになり、家庭用フィットネス市場がブームになっている。2020年10月には、設立3年目のFuture(フューチャー)がシリーズBラウンドで2400万ドル(約26億3000万円)を調達、パーソナルトレーナー向けストリーミングサービスのPlaybook(プレイブック)はシリーズAラウンドで930万ドル(約1億200万円)を調達した。新たにこの市場に参入したMoxie(モキシー)は、フィットネスインストラクターが、ライブや録画でクラスを配信できるプラットフォームだ。ライセンスを受けた音楽プレイリストにアクセスしたり、CRMや支払い用のツールを活用することもできる。クラスの受講価格は5~25ドル(約550〜2700円)で、さまざまなサブスクリプションやパッケージが提供されている。

Moxieは米国時間4月8日、Resolute Ventures(リゾルト・ベンチャーズ)が主導した「シード+」ラウンドで、630万ドル(約6億9100万円)の資金を調達したと発表。この投資ラウンドには、Bessemer Ventures(ベッセマー・ベンチャーズ)、Greycroft Ventures(グレイクロフト・ベンチャーズ)、Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などの投資家も参加した。2020年10月に行われた210万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドと合わせて、Moxieは合計840万ドル(約9億2100万円)の資金を調達したことになる。

今回の資金を使って、Moxieはユーザーと講師をつなぐ新しいツールや、受講前のクラスのプレビュー機能などを導入し、Moxieの厳選された人気クラスにおけるユーザー体験の最適化を計画している。

Moxieは、新型コロナウイルスが流行した時代に、その利便性から同社が「指数関数的な成長」を遂げたと主張する。2021年3月には8000クラスが完了し、100万クラス分 / 月を超えたという。Moxieの独立したインストラクターは、自分でスケジュールや価格を設定し、プラットフォームで得た収益の85%を確保することができる。

同社はStride Health(ストライド・ヘルス)との提携により、インストラクターに健康保険、歯科・眼科プラン、生命保険などを提供するヘルスケア特典「Moxie Benefits(モキシー・ベネフィット)」の導入も予定している。

また、同社が計画している「Moxie Teams(モキシー・チームズ)」は、Uber(ウーバー)のドライバーがチームを結成するのと同じように、インストラクターのグループがプラットフォーム上で小さなビジネスを行うことを可能にする。

Moxieの創設者でCEOのJason Goldberg(ジェイソン・ゴールドバーグ)氏は、声明の中で次のように述べている。「Moxieは、パンデミックの際にジムやスタジオから追い出され、突然起業家となってバーチャルフィットネスという新たなフロンティアを開拓しなければならなくなった何千人もの独立したフィットネスインストラクターとともに誕生しました。現在はオンラインフィットネスが人々の生活に広く浸透しており、Moxieの成長はこのような消費者行動の変化が持続力を持つことを証明しています。Moxieのユーザーの89%は、その利便性からバーチャルワークアウトを、新型コロナウイルス収束後も継続するつもりであることがわかっています」。

Resolute Venturesのパートナーであり、共同設立者であるRaanan Bar-Cohen(ラーナン・バーコーエン)氏は、次のように述べている。「我々の投資理論は、常に今日の問題を解決する起業精神に溢れた創業者を見極めることにあります。Moxieには、ジェイソンという経験豊富な経営者がいて、インストラクターや消費者がオンラインフィットネスへの移行で経験した問題を解決する製品があり、継続的な成功のための明確なロードマップを持っていると、我々は考えています」。

ではなぜ、Moxieは新しいバーチャルワークアウトの文化に定着することができたのだろうか?ゴールドバーグ氏によると、それにはさまざまな要因があるという。

まず、MoxieがVODアプリやPeloton(ペロトン)とも決定的に異なるのが、インタラクティブなグループフィットネスのクラスをライブで提供するという、2面性のあるフィットネスマーケットプレイスであるということだ。さらに、Pelotonのように「スター」として選ばれるのを待つのではなく、Moxieではどんなインストラクターでも教えることができる。なぜなら、クラスの90%はライブのグループフィットネスのクラスであり、これらはパーソナルトレーニングではなく、ヨガスタジオやHIIT(高強度インターバルトレーニング)クラスの代わりとなっている。ゴールドバーグ氏によると、多くのトップインストラクターがこのプラットフォームで6桁ドル(数千万円)の収入を得ているという。

確かにMoxieは、ジムが閉鎖されている間に、バーチャルクラスを簡単に行うことができるという事実をうまく利用してきた。だが、新型コロナウイルス収束後も彼らは残ってくれるだろうか?おそらく、多くの人が、ジムに足を運ぶよりも便利で、実際に対面するクラスに参加するよりも敷居が高くないことに気づくだろう。加えてユーザーは、テレビのチャンネルを切り替えるように、簡単にクラスを変更することができるのだ。

ゴールドバーグ氏は、メールで次のように語っている「新型コロナウイルスにより、誰もが初めてバーチャルフィットネスに挑戦せざるを得なくなりました。それでどうなったでしょう?人々は、オフラインのジムに行くよりも便利で、よりつながりが感じられると思うようになりました。それでどうなったでしょう?Peloton以外を選ぶ人が増えたのです」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フィットネス新型コロナウイルスMoxie資金調達オンラインレッスン

画像クレジット:(c) Daniel Hofer / (c) Daniel Hofer under a (c) Daniel Hofer license.

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)