バイデン政権のジーナ・ライモンド商務長官にはファーウェイをエンティティリストから外す理由がない

Huawei(ファーウェイ)の米国における立場は、Joe Biden(ジョー・バイデン)新政権の上空を漂う多くの疑問符の1つだ。このスマートフォンメーカーは、トランプ氏の4年間の在任中、米商務省の「エンティティリスト(禁輸企業リスト)」に載せられた数多くの中国企業に含まれる。

バイデン大統領が商務長官に指名したGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏が述べた見解は、新政権下における同社の今後を占う上で、現時点における最も明確な見方の1つとなり得るものを提示した。共和党上院議員からの質問に答えて、元ロードアイランド州知事のライモンド氏は、バイデン政権はファーウェイをブラックリストから急いで外すことはないだろうと示唆している。

共和党の下院議員たちは米国時間2月2日の共同声明で、ファーウェイのような企業に対する、まだ明らかでなかったライモンド氏の姿勢に対して懸念を表明している。「我々は、ファーウェイがエンティティリストに残ることを求めていたこれらの上院議員がその原則を遵守して、ファーウェイに関する意図を明らかにし、大量虐殺を行い、我が国の国家安全保障を脅かしている国に対する輸出管理政策を明らかにするまで、自らの原則を守り、ライモンド氏の承認を保留することを強く求めます」と述べている。

ブルームバーグの記事によるとライモンド氏は次のように答えている。

「一般的にその企業が、米国の国家安全保障や外交政策の利益にリスクをもたらすために、エンティティリストと軍のエンドユーザーリストに掲載されることを理解している。現在のところ、これらのリストに記載されているエンティティがそこにあるべきではないと信じる理由がない。商務長官として承認されれば、これらの法人実体とその他の懸念材料に関してブリーフィングを行いたい」。

この声明は、少なくとも閣僚指名者からの声明としては決定的なものが何もない。確かに、この問題に関してトランプ元大統領時代の姿勢からラジカルな変化はない。ファーウェイがリストに追加されたのは2019年で、同社はそれまで長期にわたって安全保障とスパイ行為の懸念で非難を浴びてきた。またファーウェイは、中国政府とのさまざまな結びつきがある。

当時の商務省は、こう書いていた。

ファーウェイは、国際緊急経済権限法(IEEPA)違反の疑い、イランに禁止されている金融サービスを提供することによるIEEPA違反の陰謀、米国の制裁違反の疑いの調査に関連した司法妨害など、米国の国家安全保障または外交政策に反する活動に従事していると同省が結論づけた後、企業リストに加えられた。

トランプ政権は中国のテクノロジー企業をブラックリストに載せることに意外なほど熱心で、これによりファーウェイの経営はすでに大きな影響を受けている。ドローン大手のDJIとAI企業のSense Timeもリストに載り、政権の末期にはXiaomiが別の軍事ブラックリストに追加された。

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タグ:Huaweiアメリカ中国エンティティリスト

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国の国家ブロックチェーンネットワークが世界中のdApps開発者を受け入れ

中国では仮想通貨取引所やICOが禁止されているが、同国政府はそれらの基盤となるテクノロジーを活用する方向に向かっている。 多くの場合、分散型、という部分を除いて。例えばブロックチェーンは、高級品の出荷を追跡したり、裁判所の証拠を認証したりするのに役立つかもしれない。中国は自国の利益のためにブロックチェーン・アプリケーションを導入する過程で、この新技術の世界的リーダーになりたいと考えている。

昨年中国では、政府が支援する野心的なブロックチェーンインフラネットワークが立ち上がった。Blockchain-based Service Network(BSN)は、ブロックチェーンプログラムのオペレーティング・システムとして機能するため、開発者は一からフレームワークを設計する必要がない。重要なのは、これが業界標準を設定し、世界中のブロックチェーン・アプリケーションのための基盤となるインフラを構築するという国家的な目標の一部であることだ。

BSNのブレーンは、中国のトップ経済・改革プランナーである国家発展改革委員会の関連シンクタンクState Information Center(国家信息中心)、クレジットカード処理大手のUnionPay(中国銀聯)、テレコムキャリアのChina Mobile(中国移動通信)、そしてあまり知られていないが中国でスマートシティ技術の構築に携わってきた、北京を拠点とするスタートアップのRed Date(红枣科技)だ。

ブロックチェーンは大きく2つのタイプに分けられる。パブリックで分散型、透明性のあるパーミッションレス(Permissionless/自由参加型)と、特定業界の1つまたは複数の利害関係者によって運営されるパーミッションを必要とするもの(Permissioned/許可型)で、後者はプライベート・ブロックチェーン、コンソーシアム・ブロックチェーンと呼ばれる。

BSNは、コンソーシアム・ブロックチェーンとパブリック・ブロックチェーンの両方をサポートするグローバルなインフラとして設計されていると、昨年3月に発表されたホワイトペーパーで述べている。「インターネットと同様に、BSNもまた、クロスクラウド、クロスポータル、クロスフレームワークのグローバルインフラストラクチャネットワークである」。

dAppデベロッパ向けに英語版のウェブサイトが公開されており、Ethereum(イーサリアム)、EOS、Tezos、NEOなどの大手パブリックチェーンはすでにネットワーク上にノードを持っている。

現在、BSNはインフラのよりプライベートな部分に取り組んでいる。今週、同プロジェクトはCosmosの許可型バージョンをロールアウトすると発表した。2019年に公表されたCosmosは、多くの独立したブロックチェーンで構成されたネットワークで、自らを「ブロックチェーンのインターネット」と称している。

Cosmosをベースにしたチェーンの開発作業は中国のブロックチェーンスタートアップであるBianjie(智能科技)によって行われ、その許可型チェーンの名前は、中国初のブロックチェーンパイロットゾーンがある中国最南端の海南省の都市、文昌(WenChang)にちなんで付けられた。

WenChang Chainの意図は、「コンソーシアム・ブロックチェーンアプリケーションの低コストでの開発、実装、運用、メンテナンス、規制を可能にする公共インフラネットワーク」を提供することにある、とBianjieは発表の中で述べている。

世界中のデベロッパが、BSNを介してWenChangチェーン上でdAppsを展開することが可能となり、同時に中国の規制に準拠したdAppsを提供できるようになった、とBianjieの広報担当者はメールで説明した。

「このような形で、彼ら(世界各国のデベロッパ)のdAppsは多くの中国ユーザーを獲得し、中国市場に参入することが可能になります」。

WenChang Chainは、企業向けサービスだけでなく、B2C、C2Cのプログラムも対象としている。例えば、消費者向けのeチケットのdAppであるUptickはまもなく、同チェーン上で最初のdAppになるとBianjieの広報担当者は述べている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:中国

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

中国が企業間の炭素排出量取引制度の運用開始、気候変動にポジティブな影響の可能性

中国は現地時間2月1日、全国規模の炭素取引マーケットを立ち上げた。このマーケットが効果的に機能すれば、2021年における温室効果ガスを削減するための最も大きな取り組みになるかもしれない

中国は世界最大の温室効果ガス排出国で、世界の排出量に占める中国の割合は右肩上がりだ。

中国政府は環境への影響を抑えようと取り組んでおり、炭素取引システムのような政策は新テクノロジーの浸透、国内スタートアップや世界中のテック企業の商品やサービスに対する需要増を呼び起こすかもしれない。

米国では一部で、そして欧州では広範に導入されている炭素市場は産業からの炭素排出に価格をつけ、大気から同量の温室効果ガスを取り除くプロジェクトに投資することでそうした炭素排出を相殺するよう企業に促す。

これは2015年のパリ協定の重要な構成要素であるが、議論も呼んでいる。というのも、Carbon Markets Watchの政策担当官Gilles Dufrasne(ジレス・デュフラン)氏が2020年にタイム誌に語ったように、十分に実行され効果的に管理されなければ排出企業の「大きな抜け穴」になり得るからだ。

これは中国には特に当てはまる。中国では腐敗が繰り返されており同国は長い間、環境政策と経済成長の管理を犠牲にしてきた。こうしたことは中国だけではないが、他のどの国(米国を除く)よりも大規模な制度の運用が決定された。

政策の有効性はまた、中国共産党の官僚主義内に存在するヒエラルキーの影響を受ける。ChinaDialogueが指摘したように、中国国家発展改革委員会(NDRC)よりも弱い法的権限を持つ生態環境省によって政策は出された。NDRCは中国全土のマクロ経済政策と同国の主要経済イニシアチブの監督を行っている主要政府機関だ。

世界の温室効果ガスの28%を占めるという最大の排出国である中国ほど、大規模な排出取引マーケットを導入した国は他にない。

全国人民代表大会(NPC)の閉会式で演説する習近平国家主席、2018年3月、中国・北京(画像クレジット:Lintao Zhang/Getty Images)

中国はまず2011年に深セン、上海、北京、広東、天津、湖北、重慶、福建で排出ガス取引システムのテストを開始した。絶対的な排出上限値よりも炭素集約度(GDPユニットあたりの排出)に基づいた排出の上限を設けたシステムを使って政府は電力部門や他の産業でこうしたパイロットの展開を開始した。

2018年の構造改革後に、NDRCの後援の元に起草された計画は生態環境部に投げ渡された。排出上限・取引プログラムの移譲は、ちょうど米国がDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権下で気候規制やイニシアチブを捨ててパリ協定から脱退する最中でのものだった。

中国の排出スキームは当初2020年に取引シミュレーションで開始するはずだったが、新型コロナウイルスパンデミックで妨げられ、2021年2月1日の実行まで半年後ろ倒しになった。

差し当たって排出取引は中国の電力産業と約2000の発電所施設をカバーしている。ChinaDialogueによると、これだけで中国の総排出量の30%を占め、今後取引システムはセメントや鉄鋼、アルミニウム、化学、石油・ガスといった重工業にもおよぶ。

当面、政府は無料の排出枠を割り当て、「状況に応じて適切な時期に」オークション枠を開始する。

そうした表現、それから炭素価格が利益と貸し出しリスクにもたらし得る効果について注意喚起している国有企業や金融サービス企業が提起した懸念は、中国政府がまだ産業成長にともなう環境的コストよりも経済的利益を重視していることを示している。

ChinaDialogueが引用したマーケット参加者の調査では、二酸化炭素1トンあたりの価格は41元(約670円)から始まり、2025年には66元(約1070円)に上昇すると予想されている。中国における二酸化炭素の価格は2030年までに77元(約1250円)になると見込まれている。

一方、経済学者Joseph Stiglitz(ジョセフ・スティグリッツ)氏とNicholas Stern(ニコラス・スターン)氏が提唱した炭素価格にかかるコミッションが2017年にできた。両氏はマーケットと価格が行動に影響を与えるとすれば、二酸化炭素は2020年までに40〜80ドル(約4200〜8400円)、2030年までに50〜100ドル(約5200〜1万400円)のレンジになる必要があるとの考えを示した。

そうした価格をつけている国はない。しかし欧州連合はかなり近く、その結果、温室効果ガスを最も削減している。

それでも中国政府の計画には、検証済みの企業レベルの排出量についての公開報告要件が含まれている。そして、もし政府が実際の価格をつけることを決めた場合、マーケットの存在は炭素排出を追跡するための技術を開発しているモニター・管理機器のスタートアップにとって大きな恩恵となり得る。

ChinaDialogueのアナリストは以下のように記している。

カーボンプライシング(炭素の排出量に価格づけを行うこと)の最も困難な部分は往々にして開始時にあります。中国政府が国家の排出量取引制度(ETS)で目標を高く設定すると決めることは可能です。メカニズムが今、動き出し、習国家主席の気候分野における野心による勢いと政治的意思が衰えなければ、加速するかもしれません。数年のうちに、これは上限の低下、多くの部門のカバー、透明性のあるデータ提供、効果的な政府間の調整につながるかもしれません。ETSを縄張りへの脅威としてではなく、政策目標のために大きなコベネフィットをともなう方策としてとらえる必要があるエネルギー・産業当局においては特にそうです。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:中国二酸化炭素二酸化炭素排出量気候変動

画像クレジット:大杨 / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Jonathan Shiber、翻訳:Nariko Mizoguchi)

新型コロナで日常となったレストランのデジタル注文方式に中国の人々は反発

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック前からすでに、中国のレストランではデジタルによる注文と支払いが定着していた。スマートフォンをタップして注文する方式は、現金と紙の文書が消えつつある中国で大きく発展したものの1つだ。大きな街では、人件費削減のためのデジタルメニューが欠かせない状態にまでなっている。

そんな中、一般市民や行政は、過度なデジタル化への反発を見せている。中国共産党の機関紙である人民日報には、今週、「注文のスキャンだけが唯一の選択肢ではない」と題した記事が掲載された。

消費者の選択の自由と客が喜ぶ人によるサービスが奪われることに加え、スマートフォンの使用を強要される環境は、データプライバシーの懸念も呼び起こしている。スマホで注文する際には、レストランのデジタルサービスを利用可能にするためにWeChat、Alipay、Meituanといったインターネットプラットフォームの個人プロフィールへのアクセスが求められることがあるからだ。そんなお宝データの山を利用して、企業はユーザーに広告を送りつける。

「このアプローチは消費者のデータ保護の権利を侵害します」と人民日報は、中国の法学者の公的機関である中国法学会の幹部の言葉を引用している。

中国はまた、キャッシュレス決済の過度な普及にも目を光らせている。2018年、中国の中央銀行は現金決済の拒否は、特に高齢者など電子決済に不慣れな人たちに対して「違法」で「不公正」な行為だと非難した

高齢者は、パンデミックによって日常となったSIMカードの位置情報などから人の移動の記録を生成する、デジタル保険条例によるジレンマにも直面している。スマホで健康パスを提示できなければ、高齢者はバスの運転手、地下鉄の警備員、レストランの従業員、公共施設の守衛に追い払われてしまう恐れがあるのだ。

こうしたデジタルデバイドの谷を埋めようと、広東省南部では最近になって、指定されたスキャナーに物理的なIDカードをかざすだけで自分の健康状態を証明できるサービスを開始した

だが、キャッシュレス決済を後戻りするのは難しい。公的なデータによれば、2015年から2020年にかけて、中国のモバイルインターネットユーザーの間のデジタル決済の普及率は60%未満から85%以上に伸びている。しかも政府は、デジタル人民元の展開ペースを速めている。これはサードパーティの決済方式と違い、中央銀行が発行し管理するものであり、中国の物理的な法定通貨のデジタル版だ。

関連記事:中国のデジタル人民元の大規模な実験が深圳でスタート

カテゴリー:フィンテック
タグ:デジタルデバイド中国キャッシュレス決済

画像クレジット:The future of restaurant ordering:Alipay

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(文:Rita Liao、翻訳:金井哲夫)

中国のSNSで盛んな「自媒体」セルフメディアの独立系ニュースを当局が新ルールで抑制

中国では厳しいメディア規制が行われてきた歴史があるにもかかわらず、Tencent(テンセント)のWeChat(ウィーチャット、微信)やByteDance(バイトダンス)のToutiao(トウティァオ、今日頭条)のようなソーシャルメディアプラットフォームでは、組織化されていない個人メディアの産業が栄えている。これらのセルフパブリッシャーは、中国のネット用語では「We Media」(中国語では「自媒体」)と呼ばれ、市民ジャーナリストやコンテンツクリエイターの独立した力を表している。

一方で、セルフメディアの発信者は常に投稿内容に注意を払わなければならず、内容を違法または不適切と判断する検閲者のターゲットになる危険性がある。

彼らが扱うトピックは、ファッションや食べ物から、政治や時事問題まで多岐にわたる。自媒体の主要な行き先であるWeChatは、昨年7月に2000万人の「公開アカウント」を保有していることを示唆したが、これは個人がコンテンツを発信し、企業の場合は顧客にリーチするためのプラットフォームだ。2020年には3億6000万人のユーザーがWeChatの公開アカウントで発信された記事を読んだと、WeChat創業者のAllen Zhang(アレン・チャン)氏は最近明らかにした

中国のTwitterに相当するSina Weibo(新浪微博)は、長い間、市民ジャーナリストを引き付けてきた。新型コロナウィルス(COVID-19)の初期には何百万人もの中国のユーザーが、武漢での経験を記録した作家のFang Fang(方方)のようなアカウントから発信される事実を求めてWeiboに殺到した。

そして今、中国のインターネット規制の新たな展開が、中国の数千万人の自媒体、セルフパブリッシャーをさらに制限しようとしている。

中国のインターネット監視機関である中国サイバースペース管理局(Cyberspace Administration of China、CAC)が現地時間1月22日に発表した新規則(英文翻訳はこちら)によると、「国民にオンラインニュースサービスを提供する公開アカウントは、インターネットニュース情報許可証およびその他の関連メディアの認定を取得しなければならない」とのこと。

その後、WeChat、Baidu、Sohuなどのオンライン情報サービスは、新ルールの告知を開始した。「あなたのアカウントが関連する認定を欠いている場合は、政治、経済、軍事、外交情勢、その他の主要な時事問題に関するニュースの編集、報道、公表、コメントをしないように推奨いたします」とWeChatから送られた通知にはある

「WeChat公開アカウントプラットフォームは、ユーザーのみなさんに地球に優しく健全なオンライン環境を提供することを常に約束します」 とそのメッセージは付け加えている。

ニュース機関認定の要件は、ジャーナリストとしての役割を担ってきた独立系のソーシャルメディアパブリッシャー、特に政治を取材しているパブリッシャーにとっては弔いの鐘となるだろう。「公式の報道機関や、他に類を見ないリソースと背景を持つ組織でない限り、簡単に取得できるものではない」と、あるWeChatアカウントの自媒体パブリッシャーはTechCrunchに語った。

米中関係などのセンシティブな話題を避けるのは常に当たり前だが、プラットフォームごとに越えてはならない一線は微妙に異なると、金融に特化した自媒体パブリッシャーは語った。「時には自分で試してみる必要があるでしょうね」と、その人物はいう。

中国のニュース規制はインターネットの隅々にまで及んでおり、マイクロブログやライブストリーミングなどの新しいメディアの発展のスピードに、規制当局は常に追いつこうとしている。

2017年から2018年にかけて、サイバースペース管理局は合計761件の「インターネットニュースサービス」に報道許可を与えており、これらは合わせて、743のウェブサイト、563のアプリ、119のフォーラム、23のブログ、3つのマイクロブログ、2285の公開アカウント、1つのインスタントメッセンジャー、13のライブストリーミングサービスを運営していた。言い換えれば、これらのカテゴリーのインターネットサービスでは、ニュースライセンスを持たずに運営されている場合、ハードニュースは禁止ということになる。WeChatやWeiboのようなプラットフォーム運営者がどのようにこのルールを実施していくのか、注目されるところだ。

オンライン情報の監視を強化することは、誤報との戦いという面ではメリットがあるかもしれない。新規則はまた、フェイクニュースを根絶するために、クリエイターのブラックリストのようなメカニズムを設定することを事業者に求めている。しかし、この規制は全体的に中国の表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると、国際ジャーナリスト連盟(International Federation of Journalists、IFJ)は警告している

「曖昧に定義された新規則は、中国で『セルフメディア』が大流行し、ジャーナリストがそうしたプラットフォームを利用して、所属組織によって出版を止められた著作物を発表し始めていた中で施行されました」と、IFJは中央ヨーロッパ時間1月28日に発表した声明で述べている。

関連記事:中国におけるファーウェイのスマホシェアが急激に縮小、米制裁の影響如実に、アップルはじめライバルには追い風

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:中国 SNS

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(文:Rita Liao、翻訳:Nakazato)

中国におけるファーウェイのスマホシェアが急低下、米制裁の影響如実に、アップルはじめライバルには追い風

米政府による制裁は引き続きHuawei(ファーウェイ)にダメージを与え続けており、中国最大のスマートフォンメーカーである同社の同国でのスマートフォン出荷の勢いを削いでいることがCanalysの最新レポートで明らかになった。しかしHuaweiの出荷減はApple(アップル)含む主要ライバル企業にとっては新たなチャンスとなっている。

iPhone 11とiPhone 12のおかげで、Appleの中国での2020年第4四半期業績はここ数年の中で最高だったとCanalysは指摘する。通年の出荷台数は2018年の水準に戻り、四半期としてはiPhone 6sがローンチされた2015年第4四半期以来、最も多くなった。

2020年の中国における全スマホ出荷台数は前年比11%減の3億3000万台で、Huaweiが新たな端末を出荷できないことがマーケット回復を妨げた。Huaweiデバイスに対する中国国内の需要は依然として大きいものの、同社は米国企業との取引を禁止するトランプ政権時の米政府による制裁への対応に苦慮し、新たなチップを確保する能力が著しく落ちた。

2020年5月、HuaweiのGuo Ping(グオ・ピン)輪番会長は、集積回路のような半導体部品をデザインできても「他の多くをこなすことはできない」と述べている。

そうした事情で、同社は自社デバイスに対する需要に対応することができない。しかしこれはライバル企業にとって新たなチャンスとなっている、とCanalysのモビリティ担当副社長Nicole Peng(ニコール・ペン)氏はレポートに書いた。「Oppo(オッポ)、Vivo(ビボ)、Xiaomi(シャオミ)は過疎地を含め中国各地にあるHuaweiの実在店舗パートナーを獲得しようと争っています。そうしたパートナー企業は店舗拡大やマーケティング支援で莫大な投資を受けてきました。こうした投資は迅速に結果をもたらし、マーケットシェアはものの数カ月で改善しました」。

AppleもHuawei減速の恩恵を受けた。というのもHuaweiのMateシリーズは高価格カテゴリーにおけるiPhoneの主要ライバルであり、第4四半期に出荷されたMateはわずか400万台だったとCanalysの調査アナリストAmber Liu(アンバー・リュー)氏は書いている。「さまざまなeコマースサイトでの積極的なオンライン販促、広く利用できるトレードインプラン、大手銀行との手数料なし分割払いなどがAppleの輝かしい業績につながりました」。

2020年第4四半期の中国本土のスマホ出荷台数は前年比4%減の8400万台だった。Huaweiは出荷台数では1位の座を守ったが、マーケットシェアは前年の41%から22%に急激に縮小した。出荷台数はわずか1880万台で、ここには低価格ブランドHonorの台数も含まれる。Huaweiは2020年11月にHonorの売却で合意している。

中国におけるトップ5のスマートフォンメーカーの出荷台数(画像クレジット:Canalys)

一方、Huaweiの主なライバル企業は軒並み2020年第4四半期に出荷台数を増やした。Oppoが第2位で、出荷台数は前年同期比23%増の1720万台だった。Oppoと熾烈な争いを繰り広げているVivoは1570万台だった。Appleは1530万台超を出荷し、マーケットシェアは前年同期の15%から18%に増やした。トップ5に入り込んだXiaomi(シャオミ)は1220万台を出荷し、この数字は前年同期比52%増だった。

Honorを売却するというHuaweiの決断は、Honorがすでに消費者に認識されているブランドであるため、Honorが2021年にマーケットシェアを急拡大させることを意味する、とペン氏は書いている。5Gもまた中国のスマホ出荷、特にプレミアムモデルの出荷を後押しすると予想されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Huaweiスマートフォン中国

画像クレジット:Barcroft Media / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi)

中国におけるファーウェイのスマホシェアが急低下、米制裁の影響如実に、アップルはじめライバルには追い風

米政府による制裁は引き続きHuawei(ファーウェイ)にダメージを与え続けており、中国最大のスマートフォンメーカーである同社の同国でのスマートフォン出荷の勢いを削いでいることがCanalysの最新レポートで明らかになった。しかしHuaweiの出荷減はApple(アップル)含む主要ライバル企業にとっては新たなチャンスとなっている。

iPhone 11とiPhone 12のおかげで、Appleの中国での2020年第4四半期業績はここ数年の中で最高だったとCanalysは指摘する。通年の出荷台数は2018年の水準に戻り、四半期としてはiPhone 6sがローンチされた2015年第4四半期以来、最も多くなった。

2020年の中国における全スマホ出荷台数は前年比11%減の3億3000万台で、Huaweiが新たな端末を出荷できないことがマーケット回復を妨げた。Huaweiデバイスに対する中国国内の需要は依然として大きいものの、同社は米国企業との取引を禁止するトランプ政権時の米政府による制裁への対応に苦慮し、新たなチップを確保する能力が著しく落ちた。

2020年5月、HuaweiのGuo Ping(グオ・ピン)輪番会長は、集積回路のような半導体部品をデザインできても「他の多くをこなすことはできない」と述べている。

そうした事情で、同社は自社デバイスに対する需要に対応することができない。しかしこれはライバル企業にとって新たなチャンスとなっている、とCanalysのモビリティ担当副社長Nicole Peng(ニコール・ペン)氏はレポートに書いた。「Oppo(オッポ)、Vivo(ビボ)、Xiaomi(シャオミ)は過疎地を含め中国各地にあるHuaweiの実在店舗パートナーを獲得しようと争っています。そうしたパートナー企業は店舗拡大やマーケティング支援で莫大な投資を受けてきました。こうした投資は迅速に結果をもたらし、マーケットシェアはものの数カ月で改善しました」。

AppleもHuawei減速の恩恵を受けた。というのもHuaweiのMateシリーズは高価格カテゴリーにおけるiPhoneの主要ライバルであり、第4四半期に出荷されたMateはわずか400万台だったとCanalysの調査アナリストAmber Liu(アンバー・リュー)氏は書いている。「さまざまなeコマースサイトでの積極的なオンライン販促、広く利用できるトレードインプラン、大手銀行との手数料なし分割払いなどがAppleの輝かしい業績につながりました」。

2020年第4四半期の中国本土のスマホ出荷台数は前年比4%減の8400万台だった。Huaweiは出荷台数では1位の座を守ったが、マーケットシェアは前年の41%から22%に急激に縮小した。出荷台数はわずか1880万台で、ここには低価格ブランドHonorの台数も含まれる。Huaweiは2020年11月にHonorの売却で合意している。

中国におけるトップ5のスマートフォンメーカーの出荷台数(画像クレジット:Canalys)

一方、Huaweiの主なライバル企業は軒並み2020年第4四半期に出荷台数を増やした。Oppoが第2位で、出荷台数は前年同期比23%増の1720万台だった。Oppoと熾烈な争いを繰り広げているVivoは1570万台だった。Appleは1530万台超を出荷し、マーケットシェアは前年同期の15%から18%に増やした。トップ5に入り込んだXiaomi(シャオミ)は1220万台を出荷し、この数字は前年同期比52%増だった。

Honorを売却するというHuaweiの決断は、Honorがすでに消費者に認識されているブランドであるため、Honorが2021年にマーケットシェアを急拡大させることを意味する、とペン氏は書いている。5Gもまた中国のスマホ出荷、特にプレミアムモデルの出荷を後押しすると予想されている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi)

インド政府のTikTok禁止継続を受けてByteDanceが現地従業員を解雇

中国インターネット大手ByteDance(バイトダンス)は、インド政府が先週TikTok(ティクトック)と他の中国のアプリの禁止措置を維持したことを受け、同社のインド従業員にチームの規模を縮小すると伝えた。この件に詳しい情報筋が明らかにし、またTechCrunchも内部メモを入手した。報道を受け、TikTokの広報担当は従業員の解雇を認めている。

インドで2000人超を雇用している同社は現地時間1月27日午前10時に従業員に情報を共有し、重要な職務のみ維持されると伝えた、と情報筋は述べている。従業員の3分の2以上が解雇される見込みとのことだ。2020年6月下旬に大量のアプリを禁止したインド政府がいつTikTokが復活できるのか方向性を明確に示さなかったため、ByteDanceは他に選択肢がなかったと述べた、と情報筋は匿名を条件に語った。

「インドで2000人超の従業員を半年以上サポートしてきましたが、従業員数を削減するより他にないことを大変遺憾に思っています。TikTokを再び展開できる機会を得てインドの数億人ものユーザー、アーティスト、ストーリーテラー、教育者、パフォーマーをサポートすることを楽しみにしています」とTikTokの広報担当はTechCrunchに話した。

禁止前、世界第2位のインターネット市場であるインドでのTikTokの月間アクティブユーザーは2億人で、TikTokにとってインドは最大の海外マーケットだった。インド政府は、中国との地政学的緊張が高まっていた2020年、中国と関連のある200以上のアプリを禁止した。これらのアプリは「究極的にはインドの主権と高潔さを損なう、インドの国家安全保障と防衛にとって脅威となる活動に関与した」とインド政府は述べている。

先週、インド政府はByteDanceと数十の中国企業に、最初に提起した懸念がまだ残っていて禁止措置を維持すると伝えた。

TikTokのCEOであるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パッパス)氏とグローバルビジネス担当VPのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は1月27日に従業員に宛てたメモの中でより詳細に流れを伝えた。「我々は当初、措置が短期的なものになることを、そしてこの問題をすばやく解決できることを願っていました。しかし7カ月が経ち、そうはなりませんでした。みなさんの多くがどのような結果につながるのか辛抱強く待ちました。かなりのストレスをともなうものでした。当社を信頼し続けてくれたことに感謝しています」と2人は書いている。

「想像できるかと思いますが、この大きな決断は簡単なものではありません。ここ数カ月間、経営チームは解雇を回避しようと精力的に取り組んできました。経費を削減し、その一方で福利厚生は提供し続けています。しかしながら、アプリが禁止されている間は全従業員を雇用し続けることはできないのです。今回の決断がインドの従業員に及ぼす影響を十分に承知しており、我々の思いはチームとともにあります」。

解雇の動きは、インドのByteDance従業員にとっての奇妙で混乱の日々を締めくくるものだ。禁止措置後も従業員はインドで禁止されていないByteDanceの生産性アプリLarkのような他のさまざまなアプリの開発に専念するよう言われていた。

しかし、そうしたByteDanceの他のアプリが憂き目にあうリスクを回避するために、これらアプリについて公では話さないよう従業員は求められていた。情報筋はByteDanceがインドでの他のサービスの販促をすべて停止した、とも語った。

「インドにいつ戻ってこれるかわからない一方で、回復力には自信を持っていて、その時が来たら復活します」とパッパス氏とチャンドリー氏はメモに書いた。

1月27日の声明の中で、在インド中国大使館の広報官Ji Rong(ジ・ロン)氏はインドの中国アプリ禁止措置は世界貿易機関(WTO)のガイドラインに反していると述べた。「WTOの無差別の原則と市場経済の公正な競争の原則に違反するこうした動きは、中国企業の正当な権利と利益を著しく損なっています。中国は断固反対します」。

「中国政府は常に、中国企業が海外で事業を展開するときに国際ルールと地域の法律・規則の遵守を求めています。インド政府はWTOのルールと市場原則に従い、中国企業を含む海外投資家の正当な権利と利益を保護する責任があります。また、インド政府が取ってきた行動は同国の事業環境の改善と産業関連のイノベーティブな開発を妨げています。中国とインドの経済・通商での協力は本質的に双方にとって有益です。我々はインドにただちに差別的措置を是正し、二国間協力にさらなる害を与えないよう求めます」。

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タグ:インドアプリTikTok中国ByteDance

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(翻訳:Mizoguchi

BlackberryとBaiduは中国における自動運転車開発で仲を深める

Blackberryと中国の検索エンジン大手Baiduは、自動車メーカーが中国におけるインターネット接続された次世代の自動運転車を発売するために必要なツールを提供することを目的とした提携関係を拡大することで合意した。

この契約の下、Baiduの高解像度マップはBlackberryのQNX Neutrino Real-Time Operating Systemに統合される。この組み込みシステムは、年間200万台以上を生産する米国三大自動車メーカーの1つGACグループの電気自動車部門から発売予定のGAC New Energy Aionモデルで量産される。

BaiduのIntelligent Driving Groupの技術部門シニアディレクターであるWang Yunpeng(ワン・ユンペン)の声明によると、新たなパートナーシップ拡大の目的は「安全・安心を最優先に、自動車メーカーに自動走行車の生産における明確かつ迅速な道筋を提供する」ことだという。

BaiduとBlackberryの提携が注目に値するのは、中国政府が国産技術を奨励しているにもかかわらず、Baiduは中国製車両に外国製のOSを搭載しているためだ。

BlackberryのQNXソフトウェアは機能安全、ネットワークセキュリティ、信頼性の側面を担い、Baiduは人工知能とディープラーニングの開発に投資している。

「両社が力を合わせて優れた技術を提供すれば、自動車メーカーは迅速に安全な自動運転車を生産できるようになり、インテリジェントネットワーク化された自動車産業を共同開発を促進を支援することができます」とユンペン氏はいう。

かつてはスマートフォン業界を支配していたBlackberryは、自社のQNX技術を自動車に搭載することに成功した。今日、そのソフトウェアは1億7500万台以上の車両への高度な運転支援、デジタル計器のクラスターおよびインフォテインメントシステムで使用されている。

この契約は、BlackBerryのQNXオペレーティングシステムをBaiduの自動運転オープンプラットフォーム「Apollo」の基盤にするという両社が2018年1月に交わした契約に基づいている。

Baiduとの提携は、Blackberryが最近参入した中国でマーケットシェアを拡大し続ける助けにもなる。2020年にBlackberryは、QNXがTesla(テスラ)のライバルXpengの電気自動車に中国で統合されると発表した。

BlackBerry Technology Solutionsのチャネル、パートナーおよびアジア太平洋地区担当副社長であるDhiraj Handa(ディラジ・ハンダ)氏は、声明で次のように述べている。「Blackberryの組み込みソフトウェアQNXを基盤としてBaiduは、同社のApolloプラットフォームで重要な進歩を達成し、革新的技術の商用エコシステムを確立しました。OEMではそれを、彼らの次世代車に利用できます」。

Baiduの自動運転プログラムはApolloと呼ばれ、「スマートドライビングのためのAndroid」とも言われた。Aplloプログラムは、100あまりの製造およびサプライヤーのパートナーに行き渡った。Baiduは自動運転のテストも精力的に行い、2020年9月にはロボタクシーの車隊を立ち上げている

この契約は、Baiduが自動車のソフトウェアだけでなく自動車の生産も始めるという発表の直後に交わされた。Baiduは2021年1月の初めに、中国の自動車メーカーGeelyと共同で、電気自動車を作る新会社を立ち上げると発表した。Baiduがいわゆるスマートドライビングテクノロジーを提供し、Geelyが設計とエンジニアリングと車両の製造を担当する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド政府がTikTokやUC Browserなど59の中国製アプリを引き続き禁止

インドが2020年6月下旬に禁止したTikTok、UC Browser、UC News、Baidu Map、XiaomiのVideoとCommunity、その他53の中国企業のアプリについて、インド政府は国内におけるすぐの使用再開は認められないと判断した。この件に詳しい情報筋がTechCrunchに明らかにした。

インド政府は先週これらアプリの親会社に、これまでに報告のあった対応ではサイバーセキュリティの懸念を十分に解決していないと伝えた、と情報筋は語っている。内密情報であるため情報筋は匿名とした。

またインド政府はアプリの親会社に、アプリ禁止を継続するが意見交換のチャンネルは完全に閉ざしていないと伝えた、と情報筋は明らかにした。インドのメディアは先週後半、インターネットユーザー6億人超を抱える世界第2位のインターネットマーケットであるインドがそれらアプリを永久に禁止すると報道している。

2020年6月下旬から隣国同士であるインドと中国の間で地政学的緊張が高まり、インドは結局PUMG Mobileを含む中国につながっている200超のアプリを禁止するに至った。これらのアプリすべてが「インドの国家安全保障と防衛にとって脅威となる活動に関与し、究極的にはインドの主権と高潔さに悪影響を与える」とインドのIT大臣は述べた。

インド政府はこれまで、2020年6月に禁止されたアプリに禁止措置についてのフィードバックを送っただけだ。

インドで禁止されたアプリの中で、TikTokは最も有名なものだ。ByteDanceの代表アプリは禁止される前、インドでユーザーは2億人超を抱えていた。しかし禁止措置にもかかわらず、同社はこれまでのところインドで従業員を雇い続けている。

ByteDanceの情報筋は、同社がインドでまだ展開されているLarkという生産性アプリを含むいくつかのアプリを展開しており、チームはそうしたアプリの開発を続けているとTechCrunchに話している。これは今まで報じられていなかった情報だ(UC Browserもかつてインドでかなり人気があったが、GoogleのChromeブラウザの人気の高まりによってUC Browserのインド支配に終止符が打たれた)。

禁止にもかかわらず、TikTokといくつかの禁止された中国アプリはいまだにインドで何百万人というユーザーを維持している。そうしたユーザーはそれらアプリにアクセスするためにVPNといった特殊なソフトウェアを使っている。モバイル分析会社App Annieの幹部がTechCrunchに明らかにしたところによると、TikTokのインドにおける2020年12月のアクティブユーザー数は500万人を超え、PUBG Mobileは1500万人超だった。

TikTokは、インド政府の通知をレビュー中だと声明文で述べた。「当社は引き続きインドの法律や規則の順守に努めており、インド政府の懸念を解消すべく最善を尽くしています。当社の全ユーザーのプライバシーとセキュリティは依然として最優先事項です」と広報担当は述べている。

TikTokのインドでの禁止、そして米国での禁止の可能性についての一連の動きはByteDanceの財務に大して影響を与えていない。The Informationは米国時間1月26日、ByteDanceが2020年売上高を前年の倍以上となる370億ドル(約3億8340億円)に、営業利益も2019年の40億ドル(約4145億円)から70億ドル(約7254億円)に増やしたと報じた

米国と中国の企業は過去10年、新たなユーザー10億人を求めてインドに急ぎ進出してきた。しかしインドマーケットはそうした企業の収益にわずかしか貢献していない。インドの連続起業家Kunal Shah(クナル・シャー)氏は2018年の会議で、多くの企業にとってインドは「MAU(月間アクティブユーザー)ファーム」になったと述べた。

禁止されているにもかかわらず、TikTokとPUBG Mobileはインドに再登場する方法を模索してきた。TikTokはインド最大のコングロマリットの1つ、Reliance Industriesと投資の話し合いを持った。そしてPUBG Mobileはゲーム会社Tencentとの縁を切りインドで1億ドル(約104億円)投資することを約束している。

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(翻訳:Mizoguchi

香港空港で手荷物を運ぶ自律走行のUiseeが約160億円のラウンドで中国政府系ファンドを初誘致

中国は10年後にAIの世界的リーダーになるという目標を掲げており、近年、スマートドライブのスタートアップ企業においては国家資金に事欠くことはない。資金面で最新の後押しを得たのは、以前はIntel Labs Chinaの所長だったGansha Wu(ガンシャ・ウー)氏を含むテック業界ベテランのグループによって設立された北京に拠点を置く企業、Uiseeだ。

Uiseeは中国時間1月25日に、国家製造業変革・向上基金(National Manufacturing Transformation and Upgrade Fund)を含む投資家からの10億元(1億5000万ドル、約160億円)を超える資金調達ラウンドを完了したと発表した。前出の基金は、中国の財政部を筆頭株主として、同国製造業のバリューチェーンを促進し、アップグレードするために2019年に設立された210億ドル(約2兆1789億円)の政府系ファンドだ。

発表によると、5年前に設立されたUiseeは、同ファンドがこれまでに支援した初めての自律走行技術企業であり、公共交通機関や物流部門の推進に貢献し、中国における自律走行事業の「ベンチマーク」になることが期待されていると、ファンドのマネージャーは声明で述べている。

より高度なレベル4運転の開発に投資しながら高度なドライバー支援システムを販売しているMobileyeや中国のMomentaとは異なり、UiseeはADASを飛躍させ、無人運転に特化していると共同創業者兼CEOのウー氏は以前のインタビューで語っている。

Uiseeは、ロボタクシーや市バスから空港や物流ハブに至るまで、さまざまなケースに技術を提供している。香港国際空港では、Uiseeのソリューションを使用して荷物用トラクターの自動化を行っており、国営自動車メーカーのFAW Group(中国第一汽車)、Dongfeng Motor(東風汽車)などと並んで、大手顧客の一握りを確保している。

非公開の「産業投資家」も多数参加している今回の新たな資金注入により、Uiseeは研究開発を強化し、研究開発を強化し、さらに大きな規模で業界の収益化を推進することができる。同社によると、SAIC Motor(上海汽車)、ゼネラルモーターズ、Wuling Motors(五菱汽車)の3社による合弁会社が、同社の技術を使い、物流ハブ内で安全運転手なしで30万キロの車両運行を可能にしたという。

既存の投資家には、昨年のUiseeのシリーズBラウンドに参加したドイツの電子機器大手Boschのほか、深圳政府出資のShenzhen Capital Groupや中央政府出資のCCI Investmentが含まれている。

他の中国のスタートアップも、スマートドライブソリューションを加速させるために、ここ数ヶ月で多額の資金調達を受けている。例えば、2021年の初めに3億1000万ドル(約321億7000万円)のシリーズBラウンドを終えたWeRide、12月に1億5000万ドル(約155億7000万円)を調達したチップメーカーHorizon Robotics、11月に2億6700万ドル(約277億円)を調達したPony.ai、そして昨年5月に自律運転に特化した新事業体のために5億ドル(約518億9000万円)を調達した配車サービスプラットフォームDidiなどがあげられる。

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(翻訳:Dragonfly)

中国政府が決済事業の規制案を発表、AntとTencentによる寡占を抑制

中国の決済業界における最近の一連の出来事は、Ant Group(アントグループ)とTencent(テンセント)による複占が揺らいでいる可能性を示唆している。

Ant Groupの急な新規株式公開の中止と、中国政府が同社の事業に修正を指示したことに続き、中国当局は先週、繁栄を続けるデジタル決済業界の寡占を抑制する計画を示す新たなメッセージを送った。

ノンバンク決済を規制するために、中国人民銀行(PBOC)が先週発表した一連の草案によると、1社でノンバンク決済市場の3分の1を占める場合、または2社の合計で半分を占める場合、国務院に属する反独占委員会から規制上の警告を受けるという。

一方、ノンバンク決済事業者1社でデジタル決済市場の半分以上を占める場合または2社で3分の2を超える場合は、独占状態にあるかどうか調査される。

2つの規則の違いは微妙であり、前者はノンバンク決済、後者はデジタル決済に焦点を当てている。

さらに当局が企業の市場シェアをどのように測定するのか、たとえば総取引額なのか、総取引量なのか、それともそれ以外の基準で判断するのかについては、規則では特定されていない。

市場調査会社のiResearch(アイリサーチ)によると、Ant GroupのAlipay(アリペイ)は2020年第1四半期に中国の第三者決済取引の半分以上を処理しており、Tencentは同期間に40%近くを処理していたという。

中国は決済大手への監視を強めており、一方で金融市場を国際的なプレイヤーに開放してもいる。2020年12月には、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が中国の合弁事業の完全所有権を取得した。そして2020年1月、PayPal(ペイパル)は現地の決済パートナーであるGoPay(国付宝)の残りの株式を買い取り、中国で1つの決済事業を100%支配する初の外資系企業となった

業界の専門家は、PayPalが中国内の決済大手を追うことはないだろうが、代わりにクロスボーダー決済の機会を探る可能性があると、TechCrunchに語った。つまり、Antのベテランチームによって設立されたXTransferなどの地元企業がいる市場だ。

AntとTencentは、他の中国インターネット企業との競争にも直面している。食品配達プラットフォームのMeituan(美団)や電子商取引プラットフォームのPinduoduo(拼多多)やJD.com(京東商城)、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)まで、様々な企業が独自の電子ウォレットを導入しているが、いずれもAntのAlipay(アリペイ)やTencent傘下のWeChat Pay(ウィーチャットペイ)に差し迫った脅威を与えるものではない。

PBOCの包括的な提案では、決済処理業者が顧客データをどのように扱うかについても定義している。ノンバンク決済サービスは、一定のユーザー情報や取引履歴を保存し、データチェックについて関係当局と協力することになっている。また、企業はユーザーの同意を得て、顧客のデータがどのように収集され、どのように使用されるかを明確にすることも求められている。これは不正なデータ収集を取り締まる中国の広範な取り組みを反映した規則だ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

WeChatのeコマースが急成長、年間取引額は約25.6兆円

WeChat(ウィーチャット)はソーシャルネットワーキングアプリとして10年が経とうとする中、ショッピングへの野望を高め続けている。この中国のメッセージアプリは年間取引額にして1兆6000億元(約25兆6200億円)を仲介した。スーパーアプリで実行されるサードパーティのサービス「ミニプログラム」を通じて、ユーザーは服を買ったり、食べ物を注文したり、タクシーを呼んだりできる。

これは2019年のミニプログラムの取引額の2倍だ。ネットワーキングの巨人である同社はこれをビジネスパートナーとエコシステム開発者のための年次会議で発表した。通常、WeChatはホームタウンである中国南部の広州で開催するが、2021年はパンデミックのためオンラインで行った。

Alibaba(アリババ)の最大の競争相手であるeコマースのスタートアップのPinduoduo(拼多多=ピンドゥオドゥオ)は、第3四半期に合計2147億ドル(約22兆円)の取引を記録した。

WeChatは2017年の初め、Apple(アップル)のApp Storeへの挑戦とも見られた動きでミニプログラムを導入し、時が経つにつれメッセージアプリを人々の生活を維持するオンラインインフラに仕立てていった。WeChatがホストするサードパーティのライトアプリがいくつあるのかは最近明らかにされていないが、2018年までにその数は100万に達し、当時のApp Storeの半分を占めた。

Tencent(テンセント)の戦略的観点から、ミニプログラムをベースとした取引の成長は、フィンテックビジネスを強化するという同社の目標をさらに促進するのに役立つ。同社のフィンテックビジネスにとってデジタル決済は重要な収入源だ。

WeChatのミニプログラムの大部分はゲームであり、女性と中年のユーザー、および中国のティア3の都市に住むプレイヤーの増加により、月間ユーザー数が5億人を超えたとWeChatは述べている。

このバーチャル会議では、2020年の月間アクティブユーザー数が12億人を超えた中国最大のメッセージアプリから、一連のマイルストーンも発表された。

毎月のユーザーのうち5億人がWeChat検索機能を利用した。中国のインターネットはTencent、Alibaba、Baiduなどの巨人が管理するいくつかの壁に囲まれた庭に分けられており、競合他社のサービスをブロックすることがよくある。ユーザーがWeChatで検索すると、実際にはオープンウェブではなく、メッセージアプリやSogou、Pinduoduo、ZhihuなどのTencentの同盟国で公開されている情報を取得する。

WeChatによると、2億4000万人が「決済スコア」を利用している。この機能が2019年にデビューしたとき、それはWeChatが消費者信用金融に参入し、政府の社会信用システムに参加したことを示しているとの憶測があった。WeChatは2021年のイベントで、WeChatスコアはどちらも行っていないと繰り返した。

Ant Group(アントグループ)のセサミスコアと同様、WeChatの評価システムは「販売者とユーザーの間の信頼を構築するように設計」されたロイヤルティプログラムのように機能する。たとえば特定のスコアに達した人は、WeChatで業者のサービスを使用するとき、デポジットを免除されたり、支払いを遅らせたりすることができる。WeChatによると、このスコアによりユーザーは年間300億ドル(約3兆1200億円)以上のデポジットを回避することができた。

WeChatの法人バージョンのアクティブユーザーは1億3000万人を超えた。最大のライバルであるAlibabaが運営するDingtalkは、2020年3月に1日のアクティブユーザーが1億5500万人に達している

終日行われたイベントは、WeChatを生み出したAllen Zhang(アレン・チャン)氏の待望の登場で締めくくられた。チャン氏は、Snap(スナップ)のストーリーにいくぶん似ているWeChatの初期のショートビデオ機能について非常に長い時間をかけて話した。同氏は「広報チームが許可していない」ため、ショートビデオのパフォーマンスについては明かさなかったが、「私たちが自分たちの目標を設定する場合、それは達成されなければならない」と述べた。

チャン氏はまた、WeChatチームがユーザー向けの入力ツールを検討していると発表した。Tencentの巨大な規模を考えると、これは小さなプロジェクトだが、このプロジェクトは「プライバシー保護」に対するチャン氏の信念を反映している。WeChatのユーザーデータの扱いについて一般の人々が懐疑的であるにもかかわらずだ。

「ユーザーのチャットの履歴を分析すれば、その会社に大きな広告収入をもたらすことができます。しかし、私たちはそういうことはしません。WeChatはユーザーのプライバシーを大切にします」とチャン氏は主張した。

「しかし、なぜWeChatで今。発言したことに関連する広告がいまだに表示されるのか。WeChatに限らず、情報を処理するチャネルは他にもたくさんあります。そこで私たちの技術チームは『自分たちで入力ツールを作成してみては』といったのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WeChat中国eコマース

画像クレジット:WeChat founder Allen Zhang

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(翻訳:Mizoguchi

TikTokの中国国内版「Douyin」が電子ウォレットサービスを開始

中国ではTencentのWeChat PayとAlibaba系列のAlipayが長くデジタルペイメントを支配しているが、両社は常に新しいチャレンジャーの挑戦を受けている。オンラインペイメントに新たに参入したのは、TikTokの中国国内版であるDouyin(抖音)だ。

DouyinではこれまでAlipayとWeChat Payで支払いができたが、ここにDouyin Payが加わった。

Douyinの広報は「Douyin Pay(抖音支付)は既存の主要な支払い方法をに追加されるものであり、最終的にはDouyinのユーザーエクスペリエンスを高めるものです」と述べている。

ペイメントはeコマース事業の成長が見られるDouyinにとっては自然なステップだ。たとえばリップスティックをインフルエンサーが紹介している動画を見ながら、ユーザーは商品のリンク先に行くことができる。インセンティブが大きければ、おなじみのWeChat PayやAlipayではなく、いずれDouyin Payで支払うようになるかもしれない。

eコマース大手のJD.comやフードデリバリーサービスのMeituan(美団)など、他のインターネット大手も自社のペイメント手段をユーザーに使ってもらおうとしているが、市場の寡占状態を打ち破るのは難しい。全体で見ると、中国の電子ペイメントの約90%をWeChat PayとAlipayが扱っている。

他のインターネット関連企業にも見られることだが、Douyinの親会社であるByteDanceはペイメント企業を買収することで待望のペイメントのライセンスを取得した。2020年9月に、ByteDanceの創業者であるZhang Yiming(張一鳴)氏の指揮する企業がペイメントソリューション企業のWuhan Hezhong Yibao Technology Co(武漢合衆易宝科技)を買収した。結果として、DouyinやToutiao(今日頭条)などのByteDanceのサービスがペイメント機能を提供できるようになった。

たとえばユーザーはDouyinのキャンペーンで現金がチャージされた電子レッドパケットを受け取り、その現金を自分の銀行口座に預けることができる。

Douyin Pay

Douyin Payは2月の旧正月を前にして良いタイミングで登場したように思える。旧正月に家族や友人は互いにレッドパケット(赤い封筒)を贈り合う。過去10年間でWeChatはお金が入った縁起の良い封筒の電子版を身近なものにし、これが初期のWeChat Payの飛躍につながった。

中国ビジネスニュースメディアのLatePostによると、DouyinはCCTV(中国中央テレビジョン)と契約し、同局の毎年恒例の大型広告イベントであるカウントダウン番組、Spring Festival Gala(春節聯歓晩会)の赤い封筒テクノロジープロバイダーになるという。創業からほどなくしてAlibabaのライバルとなったPinduoduo(拼多多)は2020年にこの契約をして、自社のペイメント利用者を増やそうと試みた。

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タグ:DouyinByteDance中国電子ウォレット

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(翻訳:Kaori Koyama)

プライバシーポリシーへの懸念で欧米で人気のSignalとTelegramは中国国内でも(いまのところ)拡大中

WhatsApp(ワッツアップ)のプライバシーポリシーに対する懸念から、欧米では何百万人ものユーザーがSignal(シグナル)やTelegram(テレグラム)に移行しているが、WeChat(ウィーチャット、微信)が長い間支配し、政府がオンラインコミュニケーションに強い影響力を持っている中国でも、暗号化された2つのアプリのユーザー数がわずかに増加している。

WhatsAppが、親会社であるFacebook(フェイスブック)とデータを共有することを、ポップアップ通知によってユーザーに知らせたことを受けて、ユーザーは別の暗号化されたプラットフォームへと脱出を始めた。Telegramはその公式Telegramチャンネル上で、米国時間1月10日から13日の間だけでユーザーが2500万人増加したと発表した。一方でSignalは数十カ国でApp StoreとGoogle Play Storeのトップに急上昇したことを、TechCrunchは早々に取り上げていた

この移行が加速したのは、米国時間1月7日にElon Musk(イーロン・マスク)氏が、その4000万人のTwitter(ツイッター)のフォロワーに対して、エンド・ツー・エンドの暗号化メッセンジャーへの関心をさらに煽るようなツイートでSignalをインストールするよう促したことがきっかけだ。

中国におけるTelegramとSignalの成長は、WhatsApp が主流のチャットアプリである地域における人気の急上昇ほどは顕著ではないものの、この成長は、WeChatの代替となるものがまだ中国に様々なかたちで存在していることを思い出させてくれる。

調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)のデータによれば、Signalは中国時間1月8日から12日までの間に中国のApp Storeから9000件の新規ダウンロードが行われた。これは1月3日から7日までの期間と比較して500%の増加だった。一方、Telegramは中国時間1月8日から12日の間に1万7000回ダウンロードされ、1月3日から7日の期間と比べて6%増加した。WhatsAppの成長は停滞し、両期間で1万ダウンロードを記録した。

センサータワーの推計によると、Telegramの中国のApp Storeにおける総インストール数は約270万回で、一方Signalのダウンロード数は45万8000回、WhatsAppのダウンロード数は950万回となっている。

中国でTelegram、Signal、WhatsAppにアクセスできるという事実を知って、驚く人もいるかもしれない。しかし、中国の検閲判断は、恣意的で一貫性がないこともあり得る。検閲モニターサイトのApple Censorship(アップル・センサーシップ)が示しているように、中国のApp Storeでは、主要な欧米のメッセンジャーは現在でもすべてが利用可能だ。

Android(アンドロイド)の場合はもっと複雑な状況になっている。中国ではGoogleのサービスの大部分がブロックされており、AndroidユーザーはTencent(テンセント、腾讯)やBaidu(バイドゥ、百度)などの現地企業が運営するAndroidアプリストアに戻っている。TelegramもSignalも、こうしたサードパーティーによるAndroidストアには置かれていないが、仮想プライベートネットワーク(VPN)などを使って、中国のグレート・ファイアウォール(GFW)迂回できるユーザーは、Google Playにアクセスして暗号化されたメッセンジャーをインストールすることができる。

次の課題は、これらのアプリを実際に使うことだ。主要なチャットアプリはすべて、北京の検閲組織からわずかに異なる扱いを受けている。Signal のように、VPN を必要とせずに完全に動作するものもある。ユーザーからの報告によれば、WhatsAppは中国ではVPNを使わずに動作することもあるものの、読み込みが非常に遅いとのことだ。そして、FacebookはVPNがないとまったく機能しない。

「一部のウェブサイトやアプリは、当局がウェブサイトやアプリをブロックしたり、破壊しようと考える一定数の閾値にユーザーが達するまで、手つかずのまま放置される可能性があります」と語るのは、中国のインターネットをモニターする組織でありApple Consorshipも運営する、Great Fireの責任者であるCharlie Smith(チャーリー・スミス)氏(仮名)だ。

「おそらく今回のWhatsAppからの大量移行の前には、Signalは中国ではそれほど多くのユーザーを持っていませんでした。それによって当局がSignalの制限を考慮した可能性がある場合には、先週の間に状況が変わった可能性があります」とスミス氏は付け加えた。

2017年に制定されたサイバーセキュリティ法に従うなら、中国で合法的に運営するためには、企業は中国国内でデータを保管し、セキュリティのスポットチェックのために当局に情報を提出しなければならない。たとえばAppleは、現地のクラウドプロバイダーと提携し、中国のユーザーのデータを保管している。

この要件は、SignalやTelegramなどの海外アプリが中国当局とどのようなやりとりをしているのかに関する疑問を投げかけている。Signalは、旧英国の植民地に対する北京の統制強化に対する懸念が高まった際には、香港警察にデータを引き渡したことはなく、引き渡すデータもなかったと語っている

スミス氏によれば、中国におけるSignalのようなアプリに対する最大の圧力は、Appleからやってくるという。Appleは中国当局への情報提供に対して、常に投資家や活動家から常に攻撃されている。

近年、米国の巨大企業Appleは、中国でのアプリの取り締まりを強化し、VPNプロバイダーRSSフィードリーダーポッドキャストアプリなどの、中国のユーザーがフィルタリングされていない情報へのアクセスを許可するサービスに狙いを定めている。また、Appleはここ数四半期には、何年も放置してきた多数の未認可ゲームを追放してきた。

「Appleは、当局が検閲したいと考えるアプリを先回りして検閲してきた歴史を持っている」とスミス氏は観察している。「Apple独自の判断にせよ、または当局からの要請に直接対応したものにせよ、もしAppleが中国でSignalを削除することを決定した場合には、中国のAppleユーザーは安全なメッセージングの選択肢を失うことになります」。

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・検閲により中国のApple App Storeから2つのポッドキャストアプリが消える
・Appleが中国で4年放置されていたApp Storeの抜け穴をやっと封鎖

カテゴリー:セキュリティ
タグ:メッセージ暗号化SignalTelegramWhatsApp中国

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(翻訳:sako)

トランプ政権が世界3位の中国スマホメーカーXiaomiも防衛ブラックリストに追加

中国のスマートフォンメーカーXiaomi(シャオミ、小米科技)がトランプ政権の防衛ブラックリストに新しく加わった。米国防総省は米国時間1月14日、Xiaomiを含む9社を中国の軍事疑惑のある企業のリストに追加した。

市場調査会社IDCによると、Xiaomiは2020年第3四半期の時点で世界第3位のスマートフォンメーカーで、Apple(アップル)を抜いてSamsung(サムスン)とHuawei(ファーウェイ)に次ぐ第3位となっている。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は2020年11月、中国の軍事・諜報・安全保障機関の活動を支援する企業への投資を禁止する大統領令に署名し、2021年1月に施行する予定だった。ファーウェイ、中国の大手チップメーカーSMIC中国の3大通信事業者などがリストの対象となっている。

国防ブラックリストは、米商務省のエンティティリスト(禁輸リスト)とは異なる。後者のリストは、ファーウェイDJISenseTimeやその他中国のハイテク企業を国家安全保障上の懸念から、米国のサプライヤーから切り離すことで知られる。

Xiaomiの広報担当者は声明で「当社は、中国軍に所有されていることも、支配されていることも、軍と提携しているわけでもなく、国防権限法(National Defense Authorization Act、NDAA)で定義されている『共産主義中国軍企業』ではないことを確認します。会社と株主の利益を守るために、適切な行動をとっていく所存です」と述べている。

エンティティリストと同様に、米政府の国防ブラックリストは、コンプライアンスをめぐり混乱を招いている。China Mobile(中国移動通信)、China Unicom(中国聯合通信)、China Telecom(中国電信)に対する制裁を受けて、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は3回動いた。最初は中国の通信事業者3社を上場廃止にすると発表し、その後規制当局との協議の結果、上場廃止の撤回を決定したが、最終的にはこれをまた覆し、さらなる審査の結果、上場廃止にすると決定した

Xiaomiの担当者は次のように述べている。「当社は、この影響が当社グループに与える影響をより深く理解するために、潜在的な影響を検討中です。適切な時期にさらなる発表を行う予定です」。

Xiaomiは香港に上場しており、この行政命令は米国の投資家に、ブラックリストの発表で株式が11%以上下落し、1株あたり29ドル(約3000円)にまで落ち込んだ同社の株式を売却することを強制する可能性がある。

Xiaomi社の業務と技術アクセスは、米国政府による攻撃の最新ラウンドでは影響を受けていないが、サプライチェーンの禁止はダモクレスの剣(一触即発の危険な状態)になる可能性がある。同社はQualcommと緊密に提携しており、ハイエンドのSnapdragon 888チップをいち早く入手している。ファーウェイはエンティティリストによって課せられた制限を回避し、そのサプライチェーンを救うために格安電話ユニットHonorをスピンアウトした。Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が就任後、トランプ政権時代の中国テック大手に対する政策にどのように取り組むかは、今後も注目されるところだ。

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(翻訳:Nakazato)

従業員の死や過酷な労働時間への批判をよそに中国のeコマースPinduoduoの株価・ダウンロード数に揺るぎなし

急成長している中国のeコマースプラットフォームのPinduoduo(拼多多、ピンドゥオドゥオ)は、1人の従業員の死が会社の過酷な労働時間に対する批判に火をつけた後、そのPRの嵐を乗り切っている。

話題になっている21歳の従業員は2020年末の深夜、会社からの帰宅途中に倒れた。死因は明らかにされていないが、ネットユーザーは彼女が過労死したのではないかと推測している。

ハッシュタグ「#PinduoduoEmployeeSuddenDeath」の付いた投稿は、中国のSNS微博(ウェイボー)で3億の投稿数に達した。これとは別に、中国時間1月9日には別のPinduoduoの従業員が27階のアパートから飛び降り自殺した。現地の労働当局は、上海に拠点を置くPinduoduoの労働条件を精査していると報じられている

中国時間1月10日には、元Pinduoduoの従業員が、動画で同社のストレスの多い労働文化に抗議の声を上げ、Alibaba(アリババ)最大のライバルに対する世間の非難に油を注いだ。彼は、Pinduoduo本社の従業員は月に最低300時間(週に約75時間)の勤務を要求されるのに対し、新しく設立された食料品デリバリー部門の従業員は最低380時間の労働時間を要求されていると主張した。帰宅途中に倒れた従業員は、新疆ウイグル自治区西部にあるPinduoduoの食料品事業に従事していた。

事情に詳しい筋がTechCrunchに語ったところによると、Pinduoduoの特定のプロジェクトで働く従業員は月に300時間以上働く可能性があるものの、強制ではないという。会社全体では、スタッフは午前11時から午後8時まで勤務することが義務付けられているとのこと。

Pinduoduoからのコメントは得られなかった。

中国での長時間労働はPinduoduoに限ったことではない。一連の事件は、週6日午前9時から午後9時まで働く従業員を指す用語である「996」をめぐる議論を再燃させている(この言葉は中国の熾烈なインターネット業界で見られる、他の形態の過酷な労働体制を指すこともある)。

大衆の反発やPinduoduoに対するボイコットを求める声にもかかわらず、同社の市場での地位は揺るがないようだ。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)によると、同社のアプリのダウンロード数は2週間前の最初の従業員の事件以来、安定しており、インストール数がわずかに増加している日もあるという。2021年1月8日現在、Pinduoduoのインストール数は約6億5000万件に達している。

ニューヨークで取引されている同社の株式は、米国時間2020年12月28日の144ドル(約1万5000円)から2021年1月5日には187ドル(約19000円)まで上昇し、1月11日には174ドル(約18000円)までわずかに下落した。TechCrunchがコンタクトを取ったPinduoduoのVC投資家数名は、この記事へのコメントを差し控えた。

これらの数字は多くを物語っているかもしれない。中国の富裕層が住む都市部でより多くのユーザーを引き付ける努力をしているにもかかわらず、相当な数のPinduoduoユーザーは中国の内陸部や農村部の町に住んでいる。大都市を拠点とするテック大手の「996」文化は彼らにとっては遠い存在かもしれないが、「バカ安い」商品で有名なeコマースアプリ「Pinduoduo」のお買い得品は、目に見えて触れられるものなのだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinduoduoeコマース中国

画像クレジット:Jack Ma via Weibo

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(翻訳:Nakazato)

カリフォルニアの植物性卵スタートアップ「Eat Just」が中国のファストフードチェーンに製品を供給

サンフランシスコの食品スタートアップで鶏に由来しない卵を製造しているEat Justは、中国市場を開拓しようとしている。中国では植物性食品の需要が高まりつつあり、ここ数四半期でBeyondなど欧米のビーガン代替ブランド製品が販売されるようになっている

Eat Justは2021年1月第2週に、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのライバルである中国ファストフードチェーンのDicosに今後製品を供給すると発表した。この合意により500店舗以上のDicosの朝食メニューにEat Justの植物由来卵が加わる。この卵は緑豆から作られており、緑豆は中国ではスープや麺、デザートの材料として長く親しまれている。

中国の大都市にあるDicosでEat Justの代替卵を使った朝食のバーガー、ベーグルサンド、洋風朝食プレートが食べられるようになる。Dicosの植物ベースのメニューには中国スタートアップのStarfieldが供給するビーガンチキンバーガー(Sixth Tone記事)がすでにあり、この代替卵によって選択肢が増える。Dicosは、すでに拠点があり中国大都市部の富裕層以外の人々に植物由来タンパク質が広まると見込まれる一線都市以外の都市にも販路を広げる。Dicosは中国国内で2600店舗を経営し、年間6億人に食事を提供している。

Eat Justのグローバルコミュニケーション担当責任者であるAndrew Noyes(アンドリュー・ノイエス)氏はTechCrunchに対し、Eat Justは2019年に中国市場に参入したばかりで現時点では中国での売上は同社の売上の5%に満たないと述べた。しかし将来的には中国での売上が半分以上になると予測している。同社の160人の従業員のうち10人が中国を拠点としている。

Eat Justのビーガン卵レシピ(画像クレジット:Eat Just)

ノイエス氏は「我々は意図的に小さく始めてゆっくり進み、市場を知っていて持続可能なビジネスをどう構築するかを理解している人材を雇ってきました。我々は下流の製造工程、販売、供給にともに取り組む最適なパートナーを見つけることにも力を注ぎ、これを継続しています」と述べた。

Eat Justはアジア子会社の設立を発表していたが、Dicosとの提携はこれに続くものだ。Eat JustはかつてはHampton Creekという社名で、創業から9年が経つ。同社はLi Ka-Shing(レイ・カーセン)氏、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏、Khosla Venturesなどの著名投資家から3億ドル(約310億円)以上を調達した。最新の評価額は12億ドル(約1240億円)だった。

Eat JustはDicosと提携する前に、アリババやJD.comなどの小売チャネルを通じてすでに中国でオンライン販売を始めていた。Eat Justの中国事業は現在、前年比で70%成長している。

中国における植物由来食品の競争は熾烈だが、Eat Justは卵に集中することで独自の立場を取っていると主張する。

ノイエス氏は主力製品のブランド名について「植物由来肉の企業はJust Eggとの組み合わせで美味しく食べられる製品を提供しています」と説明する。

「中国の消費者の間で植物由来食品の人気が高まり、持続可能な食事は中国の将来的な食品供給に関する国民的な話題の1つになっています。中国では年間およそ4350億個の卵が生産され、タンパク質の需要は増えています」とノイエス氏。

実際、Euromonitorは世界最大の肉消費国である中国の「動物肉フリー」市場について、2018年に100億ドル(約1兆300億円)であったのに対し2023年までに120億ドル(約1兆2500億円)に成長すると予測している

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カテゴリー:フードテック
タグ:Eat JustDicos食品代替卵中国

画像クレジット:Eat Just

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(翻訳:Kaori Koyama)

最終的にニューヨーク証券取引所は中国の通信大手3社を上場廃止に

ニューヨーク証券取引所(NYSE)は米国時間1月6日朝、中国の大手通信事業者3社の上場廃止を発表した。この動きは先週発表されたものだが、1月4日には撤回されるとみられていた

これは、中国軍部を支援する企業への米国からの投資を禁止するトランプ政権の広範な命令を受けたものだ(トランプ大統領は別の命令でTikTokを禁止しようとしている)。

なぜ判断は二転三転したのだろうか?ニューヨーク証券取引所は公平を期するために、執行命令が適用されるかどうかを評価する間、通信キャリアの取引継続を許可するとだけ最初は述べていた。

しかし、判断は完了したようだ。本日の発表でニューヨーク証券取引所はChina Telecom(中国電信)、China Mobile(中国移動通信)、China Unicom(中国聯合通信)の3社に行政命令が適用されることを確認した「具体的な新ガイダンス」を受け取った後、この決定を下したと述べている。

この結果、米国東部時間1月11日午前4時からこれらの3銘柄すべての取引が停止されることになった。ニューヨーク証券取引所を経由した同通信キャリアの取引高は、取引可能な株式全体に占める割合が小さいことから、この動きは象徴的なものとなるとみられている。

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タグ:ニューヨーク証券取引所中国

画像クレジット:Siegfried Layda / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

中国の通信大手3社上場廃止計画をニューヨーク証券取引所が撤回

誰にとっても予想外だったが、米国時間1月4日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、2020年12月31日に発表された中国の大手通信事業者3社の取引除外を撤回するという声明を出した

除外は、中国の軍部や諜報および安全保障部門に供給とサポートを提供しているとみなされる企業への投資を禁じる(The White Houseリリース)トランプ政権の政策の一環としてChina Mobile、China Unicom、China Telecomの3社を対象にしていた。

現在のブラックリストには35社が掲載されており、その中には上記3社の通信企業の親会社やHuawei(ファーウェイ)、中国の大手チップメーカーであるSMICなどが含まれている。

ニューヨーク証券取引所は除外取消の理由として「関係規制当局とのさらなる協議の結果」を挙げている。発表によると、3社の上場と取引は継続するが、彼らへの大統領令の適用可否と彼らの上場状態についての評価は続けるという。

ニューヨーク証券取引所で約20年もの間取引されていた通信大手3社の除外を、一部の専門家は象徴的意味合いに過ぎないと考えている。これら企業のニューヨークにおける取引量は、取引可能量のごく一部でしかない。したがってニューヨーク証券取引所からの除外は、企業の成長と一般的なマーケットパフォーマンスに大きな影響を与えない、とChina Securities Regulatory Commission(中国証券監督管理委員会)は米国時間1月3日の声明で述べている(CSRCリリース)。

同委員会は続けて「米国の一部の政治的勢力による最近の動きは、米国市場に上場している外国企業を継続的かつ根拠なく抑圧し、グローバルな資本市場における自らの立場をも損壊しようとしており、米国の規則と機関が恣意的で無責任で気まぐれでありうることを示している。米国側がマーケットへの尊敬の念と法的規則への敬意を示し、グローバルな金融市場の秩序と投資家の正当な権利および世界経済の安定性と育成に貢献することを望みたい」と述べている。

最近では米国で上場している中国企業の多くが、香港におけるセカンダリー上場を選択している。すでにAlibaba(アリババ)とJD.com(Reuters記事)とNetEaseが香港でデビューし、他にも多くのテクノロジー企業が帰郷を検討している。中国のテクノロジー大手は米国政府による締めつけの可能性を憂慮しており、また、アリババの香港における成功を自分も経験したいと願っている。また、中国の優良テクノロジー企業を呼び戻すために2019年に導入されたNASDAQ方式の取引所(未訳記事)にも、彼らは資金調達の機会を見出している。

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カテゴリー:その他
タグ:ニューヨーク証券取引所中国

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa