高速で綺麗なHTML5アプリケーションのためのフレームワークFamo.usが完全無料に

HTML5で超リッチ超高速なインタフェイスを作れるJavaScriptフレームワークFamo.usが、サンフランシスコで行われたHTML5 Developer Conferenceで今朝(米国時間4/1)、二つの発表をした: このフレームワークは数社の“大手ハードウェアベンダ”のおかげで無料で使えるようになる。そして、物理演算エンジンを搭載する。

本誌はFamo.usをこれまで何度か取りあげてきたが、それらを読まなかった人のためにまず概要を: Famo.usは2011年にSteve Newcombが立ち上げた。当時、彼が3年前に作った言語処理の企業PowersetがMicrosoftに1億ドルで買収され、それはBingに組み込まれた。Famo.usが2012年のTechCrunch Disrupt SF(サンフランシスコ)に登場したときは、何人かの審査員を困惑させたが、それからわずか6か月後にはシリーズAで400万ドルを調達した。

簡単に言うと、Famo.usは多くの巧妙なトリックを駆使して演算を直接GPUにさせる(PCでもスマートTVでもタブレットでも携帯でも)。プラグインは使わない。そのためデベロッパは、よりリッチでかつより高速なインタフェイスを作れる。エンドユーザは、プラグインをインストールしなくても超かっこいい(ときにはド派手な)インタフェイスを楽しめる。

下のビデオは、Famo.usを使用したUIのデモだ(http://www.famo.usへ直接行ってもよい)。

しかしFamo.usは、数百万ドルもの資金を元に、何をして稼ぐのだろう?

同社は、デベロッパに課金することもできた。使用料を払うフレームワークは聞いたことがないが、同社はたぶんその例外になれる。しかし、Famo.usの方針は違った。今朝の発表では、“アプリケーションをどんなにたくさん作っても、それらのユーザがどれだけたくさんになっても”、デベロッパはFamo.usを無料で使える。

Famo.usは、数社の大手ハードウェアベンダが今後の製品のUIにFamo.usを利用することから、お金を得る。それらのUIはFamo.usが作る(またはFamo.usが協力して作る)。そしてベンダにライセンスを課金する。さらにFamo.usは、企業向けのアドオンも提供する(UIの効果を評価するためのアクセス分析や、ユーザセッションを録画再生してUIがどのようにナビゲートされるかを調べる、など)。

それらハードウェアベンダの社名等は公表されていないが、こんなことが割に合う“巨大”ハードウェア企業は数社しかない。AppleはHTML5よりもネイティブ主義だから、除外だ(WebKitを通じてHTML5には貢献しているが)。しかしSamsungとLGは今、今後のハードウェアのために、巨費を投じてHTML5向けのオペレーティングシステムを開発中だ(TizenとwebOS)。

また今日の発表によれば、これまではレンダリング専門だったFamo.usに物理演算エンジン(physics engine, フィジックスエンジン)が加わる。Steveによると、同社は三つの基準を満たすエンジンを探した: 速いこと、モバイル対応、そしてDOM完全対応でGoogleフレンドリ。探しても見つからなかったので、同社は内製することを選んだ。

ユーザインタフェイスのためのフレームワークが物理演算エンジンを搭載するのは、2Dや3Dの空間内をオブジェクトが動き回るインタフェイスを高速化できるからだ。必ずしもゲームを意識しているわけではない。物理演算エンジンを使うと、現実世界の重力や質量、抵抗などの感じをリアルに表現できる。

Famo.usのそういう理想像を、Steveは本誌のAnthony Haが先月書いた記事で説明している:

“クソみたいなゲームエンジンを作ったけど、でもそれは、アプリケーションエンジンとしては最高さ”。

Famo.usはまだベータだが、ユーザであるデベロッパの数は3万名近い。登録はここで。

情報開示: 本誌TechCrunchのファウンダMichael ArringtonはFamo.usのシリーズAにおける投資家の一人だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


いよいよ収益化へ:Facebookのエミリー・ホワイト、Instagramの事業運営責任者に就任。第2のサンドバーグになるか?

Instagramが事業運営責任者を雇った。これは巨大スケールの写真共有アプリを収益化し、ブランド提携による無限の可能性を拡大するための第一歩だろう。Facebookのモバイル提携担当ディレクター、Emily Whiteは、2月にユーザー数1億人を突破した20名足らずのチームに内部異動する。

Emily White自身がInstagramで就任を発表している。

ある筋が「実に行動的な人物」と呼ぶWhiteは、Goolgeの早期メンバーで、従業員わずか200名の時に入社し、2万2000人の時に退社した。Googleでは、AdWordsの開発などを手がけた。Whiteは2010年2月にFacebookに入社、ローカルおよびモバイルのディレクターを務めた。できるだけ多くのデバイスにFacebookを載せることに集中しその数は2500機種に上った。ヨガウェア最大手のLululemonの取締役を兼務している。

Sheryl Sandbergの弟子ともいえるWhiteは、若きInstagramチームを率いる、最初の著名で経験豊かな指導者となる。実際Whiteは写真アプリのShryl Sandbergになるかもしれない。Instagramの活用しきれていない人気を、ユーザー体験を大きく損うことなく本格的収入源へと変えることが彼女の使命だ。共同ファウンダーのKevin SystromとMike Kriegerは、事業運営をWhiteに任せることによって、モバイルおよびウェブの開発に専念できるだろう。

「Emily WhiteをInstagramチームに迎えたことを嬉しく思う。1億人を超えるアクティブユーザーをサポートするわが社の事業を今後もスケーリングしていくために、パートナー作りと事業運営に関する彼女の経験は、今後の成功の鍵を握っている」とWhiteの就任にあたってSystromは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Firefox 20がローンチ: プライベートウィンドウ, ダウンロードマネージャの刷新, WebRTCとHTML5の実装が充実, など

Firefox 20がリリースされ、今日(米国時間4/2)からダウンロードできる。この新バージョンの最大の目玉は“プライベートウィンドウで開く”という閲覧モードができたことだ。これでデスクトップのFirefoxユーザは、ブラウザを終了しなくてもプライベートウィンドウを開けるようになった。またFirefox for Androidのユーザは“プライベートタブ”を開ける。このほか新バージョンでは、デスクトップのダウンロードマネージャが改良され、モバイルではホーム画面のショートカットにお気に入りのサイトを置け、そしてHTML5とWebRTCのサポートがさらに充実した

Firefox for Androidの新バージョンは非力なARMv6プロセッサを使っているデバイスもサポートする(Samsung Galaxy Next, Dart, Pop, Q; HTC Aria, Legend; ほか)。

プライベートウィンドウ/タブについてMozillaは、“それまでの閲覧を妨害されずにお誕生日プレゼントの買い物をプライベートウィンドウでできる。複数のメールアカウントを同時にチェックできる”、という説明をしている。

でも、ユーザが最初に気づく機能は、新しいダウンロードマネージャだろう。下のビデオはそれを解説している:

デベロッパ向けには、今度のバージョンでWebRTCのgetUserMediaがサポートされた。これを呼び出してデベロッパはユーザのカメラやマイクにアクセスできる(パーミッションがあるなら)。HTML5では<canvas>でブレンドモード(色を重ねる)がサポートされ、また<audio>と<video>の実装が改善された。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


新刊『シリコンバレーの秘密:世界のイノベーションの中心からわれわれが学べること』の著者に聞く

われわれの秘密がついに暴露された。今日(米国時間4/2)、デボラ・ペリー・ピシオーネ(Deborah Perry Piscione) による期待の新刊 シリコンバレーの秘密:世界のイノベーションの中心からわれわれが学べること(Secrets of Silicon Valley: What EveryoneCan Learn From The Innovation Capital Of The World)が出版された。ピシオーネによれば、シリコンバレーの強さの本当の秘密は、ハイアラーキーによる硬直した上下関係のなさにあるという。

ニューヨークが貪欲と権力によって動かされているのに対してシリコンバレーはアイディアに固執しそれを原動力としている。新しいアイディアへの強い愛好の存在が、東海岸ではなく西海岸がアメリカのイノベーションの大半を生んでいることの原因だとピシオーネは主張する。しかしこれには東海岸の住民は反発するかもしれない。

シリコンバレーの秘密の刊行を機に、アメリカ経済の全体にイノベーションを浸透させるにはどうすればよいか、変化を恐れ、現状にしがみつこうとする経営者の意識をどうやったら変えられるか、全国的な議論が巻き起こることが期待される。

〔日本版:デボラ・ペリー・ピシオーネはジョージタウン大学卒業後、米議会の議員スタッフ、ホワイトハウス・スタッフなどを務めた後、ワシントでニュースショーのホスト、コメンテーターとして活動。2006年からシリコンバレーに移住して執筆、講演、テレビ出演のかたわら女性向けウェブサイト、BettyConfidential他を創立している。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


SaaSでデータウェアハウスを価格破壊, Treasure Dataが分散データベース”Plazma”をローンチ

[筆者: Michael Seo]

データウェアハウスをクラウドから提供するTreasure Dataがそのサービスをローンチしてからまだ半年しか経っていないが、すでに順調な成長カーブに乗っているようだ。

昨年黒字に転じたTreasure Dataは、今年は月商が前年比で500%伸びた。50社の有名企業をクライアントに抱え、その中にはソーシャルゲームのトップ企業や、フランスのモバイル広告プラットホーム、そのほかのFortune 500企業がいる。これらは意外ではないが、同社はその社名を明かさなかった。

Treasure Dataは、企業がデータを保存するための大きな“倉庫”(warehouse, ウェアハウス)をクラウド上に提供する。IBMやOracle、Teradataなどの大企業もデータサービスを提供しているが、それらは料金がウン百万ドルのオーダーに達することもある。利用できる企業は、おのずから限られてくる。

一方Treasure Dataの料金は月額1500〜2500ドルで、年単位の契約だ。データウェアハウスを自力で構築できない中企業でも、十分利用可能な低料金である。

そのTreasure Dataが今日(米国時間3/29)、分散データベースPlazmaをローンチし、HDFS(Hadoop Distributed Files System, Hadoop分散ファイルシステム)の重要な改良バージョンを提供する。とくにそれまでのHDFSに比べて効率が良く、データの編纂や解析が相当速くできる。

“これはうちのサービスのロバストネス(堅牢性)と信頼性とパフォーマンスを上げるための投資でもある”、と同社のプロダクト担当VP Kiyoto Tamuraは語る。“Hadoopには信頼性に関していくつか問題があり、うちならもっとうまくやれると確信していた”。

Plazmaがあることによって、Treasure Dataのシステムは日量3000億以上のデータポイントを処理できるようになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OracleはJava APIの著作権にあくまでも固執, デベロッパの自由が危機に

[筆者: Sacha Labourey, Steven G. Harris]

編集者注記: Sacha LaboureyはCloudBeesのCEOで元JBossのCTOだ。彼をTwitterでフォローするには@SachaLaboureyへ。Steven G. HarrisはCloudBeesの製品担当SVPで、前はOracleのJavaサーバ開発担当SVPだった。彼のTwitterアドレスは@stevengharrisだ。

OracleがGoogleを訴訟した裁判で、William Alsup判事が下した裁定は、デベロッパたちを一(ひと)安堵させた。Oracleの言い分はほとんど何一つ通らなかったが、中でもOracleに致命傷を与えたのは、次の一文だ:

メソッドを実装するために使われているコードが異なってさえいれば、著作権法の下では誰もが自由に、Java APIで使われているどんなメソッドでも、それと正確に同じ機能や仕様を実現する自己独自のコードを書いてよい。メソッドの宣言やヘッダ行は同一であってもかまわない。Javaの規則においては、同じ機能を指定するメソッドはそれらの宣言も同じでなければならない–実装が異なっていても。ある考えや機能を表現する方法が一つしかないときは、誰もが自由にその表現ができ、誰もその表現を独占することはできない。そして、Androidのメソッドとクラスの名前をJavaにおけるそれらの同等物とは違う名前にしても、たしかに正常に動作したではあろうが、しかし著作権法による保護は名前や短い語句にまでは及ばないものである。

Oracleを支持する法廷助言人たちからの具申書にも示されているように、この裁定は企業世界の超保守派大物たちの憤激を買った。OracleがライバルのMicrosoftやIBMらと(Business Software Allianceを介して)一つのベッドを共にする光景は、珍しい。彼らの今回の同床異夢ならぬ同床同夢は、スタートアップという「ファウンデーション」から彼らの老いたる「帝国」を守ることであった。さらにそこに、合衆国著作権局のトップも加わる。そしてこのごった煮に最後にふりかけるスパイスと調味料が、さまざまな業界関係者たちだ。元Sunの役員Scott McNealyとBrian Sutphinも、彼らに兵糧を送った

法廷助言人たちによるこれらの趣意書の内容は、ソフトウェアデベロッパ全般と業界の未来に対し警鐘を鳴らしている。なぜか? 彼らは口を揃えて、Alsup判事の裁定は業界にとって有害だと主張している。たしかにそれは、旧守派の事業にとっては有害だろう。それでなくても彼らは今、オープンソースとクラウドベースのサービスがますます激しく燃え立たせている変化の炎の脅威にさらされている。しかし、Alsup判事の裁定が控訴審で否定されたら、逆に、ソフトウェアのプロフェッショナルとしてのあなたにとって、有害な事態になることは確実だ。

APIは、なぜ存在するのか? それは実装の提供者とその実装のユーザ、すなわちデベロッパとの間のコミュニケーションチャネル、共通語、接触界面である。もちろん、APIを作るためには投資が必要だ。高度な専門知識と経験知と、そして良い趣味も、効果的なAPIを作るためには必要だ。しかし企業や個人がそのような投資をするのは、実装をAPIを通じて露出することにより、デベロッパたちにその実装を使ってほしいからだ。その実装は、人びとにあなたのハードウェアやソフトウェア、あるいはサービスを買う動機を与えるかもしれない。それはもしかして、広告を売るためのより効果的な方法ですらありえる。

APIを作るときには、それなりのねらいや目的がある。しかしAPI自体は、収益化のための素材…商材…ではない。収益化の対象はあくまでも、そのAPIによってアクセス可能となる何ものかだ。APIは多くの本やブログやオープンソースのプロジェクトにドキュメントされ、使われている。APIの成功は、その採用利用数によって計れるかもしれない。しかしデベロッパにAPIの使用を積極的に勧めるときに、それによって生ずる副作用を抑えることはできない。Captain PicardがOracleのレプリケータに“お茶、アールグレイをホットで”とオーダーするとき、彼はお茶だけでなく、“オブジェクト、クォリファイヤー(Object, Qualifier)”といったAPI概念も使っている。Oracleが、ほかのシンタクスを使えと言い張るなら、Googleなどは自分たち独自のレプリケータを作らなければならない。

Oracleは、特許に関する彼ら独自の定義を、通せなかった。彼らは、Googleがほんの数行のコードをコピーしたことを、特許侵犯と認めてもらえなかった。彼らの主張どおり、コミュニティがスタンダードとしてプッシュしているJava APIを、Oracleの許可なくして使えなくなったら、敗者となるのはGoogleではなくソフトウェアデベロッパとイノベーションだ。Java言語を学ぶことは比較的易しいが、そのAPIをマスターするためには、Javaデベロッパとしての相当大きな–個人としての–投資が必要だ。AndroidがJavaデベロッパに与えたものは、彼らのそれまでの個人的なキャリアと職業的投資を、Sunがその正しい取り組みを失したモバイルの市場で、そのまま活かせる、という事態だ。

Androidの分裂と互換性の問題は、どうなるのか? 私たちは、Javaの互換性、Javaというブランドの力、そしてコンプライアンス試験の価値を大きく信じている。私たちはJava Community Process Executive Committeeに参加している。Javaに比べてAndroidには互換性という問題が確かにある。Googleによる互換性努力も、完全な成功には遠い(しかしJava MEも互換性が完璧ではなかった)。Androidの、Java APIをベースとするライブラリの下には、ノンJavaの仮想マシン(Dalvik)があり、Googleはそれによって、ライセンスの問題や、それに伴う互換性、サブセットかスーパーセットか、名前空間の汚染、といった問題を避けようとした。そこまでのことができる者は、今の世界にそんなに多くはない。

いずれにしても、AndroidがJava APIを使っているおかげで、JavaデベロッパはAndroidにすぐなじめる。コーヒーカップのロゴが消えただけだ。Javaデベロッパにとっては、Androidから得られる機会の方が、AndroidがJavaの標準APIのサブセットしか提供していないことによる不完全な互換性の問題よりも、大きかった。今JCP(Java Community Process)では、現在のルールをもっと前進させ、Javaをよりフォークフレンドリーなオープンソースやクラウドの世界で円滑に共用できるよう努力している。Java APIもその多くの部分はJCPが進化させてきた。それに対してOracleが今権利を主張しているが、それによって互換性が犠牲になり、Javaがコミュニティを無視して完全に私企業の商材になることはない、ありえない、と信じたい。

IT産業がパッケージソフトからクラウドベースのサービスというモデルへ移行していくに伴い、この議論はさらに重要性を増す。企業が今後ますます、SaaSやPaaSやIaaSによるソリューションに投資していくとき、彼らのオペレーションはサードパーティAPIへの依存度を増していかざるをえない。それらのAPIは、総体的にまだ標準化が未整備であり、そこに、APIの合法的使用をめぐる不安や恐れや懸念を今回のように持ち込むことは、業界に、イノベーションを阻む無意味な足かせを課すことにほかならない。

今は、そのナイフの柄を誰が持つべきか、を決めなければならない。経済の繁栄と競争力の強化は、APIが同一だから企業がサービスプロバイダのスイッチを安心して容易にできることにかかっている。ベンダロックイン(vendor lock-in, 閉じこめ)の停滞沈滞とは、逆の状態である。APIのプロプライエタリ化によるロックインは、競争を鈍化し、経済を窒息させる。しかもそんな事態が、ほんの一握りのレガシーソフトウェアのベンダたちが彼らのフランチャイズをせめてあと数年保護したいがために起きるとしたら、一体そんなことは、許されるだろうか?

Java〜Java APIの柄を握るのは誰か? その決定が及ぼす影響は今後数十年と長く、そしてクラウドという新しいITモデルにも影響は及ぶ。それなのにその決定が今、この激しい変化の時代に生き残りを画策するレガシーベンダたちによる、強力なロビー活動によって為されようとしている。デベロッパのみなさん、あなたの今後の長期的な生計の糧、技術選択の幅広さ、そして私たちの業界の活発な競争性、それらが今、危機に瀕しているのだ。

〔訳注: 豊富な原文コメントも、ぜひお読みください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


TechCrunch、オンライン・カジノに参入決定―作動するスロットマシンも完成!

ネバダ州、デラウェア州、ニュージャージー州が最近オンライン・カジノを合法化する法案を成立させた。これでZyngaに続いてオンライン・カジノへの参入が増えそうだ。

この不景気の時代にブログの運営はビジネスとして苦しい。われわれは新たな収入の道を探ったが、もっとも有望なのがこのオンライン・リアルマネー・ギャンブルだった。リアルマネーでカジノを運営するという計画の発表以後半年でZyngaの株価は15%もアップした。同じことがAOLでも起きるに違いない。

そこでわれわれはどのスタートアップが成功するかに現金を賭けられる新しいタイプのスロットマシンを開発した。これは同時に証券取引委員会のベンチャー投資家の資格に関する小うるさい規制を迂回して一般投資家が事実上のベンチャー投資が行える道を開くものだ。

そう、上にエンベッドしたスロットマシンは実際に作動する。真面目な話だ。SPINボタンをクリックしてみればわかる。賞品にはサンフランシスコで開催されるTechCrunch Disruptのチケット(1795ドル相当)が含まれる。テスラ・ロードスターは残念ながらバーチャル版だが、アレクシアを3つ並べることに成功したらわれらが共同編集長は読者に詩を書いてくれる。アンソニー・ハが当たればイギリスからSkypeを通じてセックス・ピストルズの曲を歌ってくれる。

リアルマネー・ゲーミングのプラットフォーム、Betableソーシャルゲーム・スタジオのMurkaのご協力に感謝する。両社は急なお願にもかかわらず、文字通り1週間でスロットマシンを作ってくれた。

〔アメリカではまだ4月1日であることにご注意。ただしスロットマシンは本当に作動する。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


フランスで無人ドローンによる新聞配達を5月から開始


フランスの新聞少年たちは別の仕事を探さなくてはいけなくなりそうだ。オーヴェルニュ地域圏では、ドローンによる新聞配達サービスを5月から開始する。公式郵便サービスのLa Poste Groupはすでに20機のススメバチ型無人航空機による自動配達のベータテストを行っている。これはエイプリルフールのジョークではない。

FedExはかねてからドローンを利用した配送サービスの積極的支持者であり、FAA(連邦航空局)は2015年秋を目指して着々と法制化を進めている。もし実現すれば、あのUPS配達員のセクシーな短パン姿ともお別れだ。

少なくとも1州、バージニア州では警察ドローンの2年間一時禁止措置を進めているが、これもFedExの自動配達ドローン軍団計画を頓座させるものではなさようだ。

朝刊も嬉しいが、私としてはタコス配達サービスのタココプターが待ち切れない。この味の妖精は作り話だったが(The Colbert Reportはひっかかった)、遠からず実現することを願っている。

The Colbert Report
Get More: Colbert Report Full Episodes,Indecision Political Humor,Video Archive

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(翻訳:Nob Takahashi)


Facebook携帯のハードは平凡なHTC機―カスタム・ホーム・アプリは一般のAndroid機種でも利用可能

Facebookの「Androidの新しいホーム」のハードウェアは結局、コードネームをMystというHTCの平凡な機種であるようだ。しかしアプリは標準的なAndroidスマートフォンならどれでも作動するという。

Android Policeによれば、この情報はリークされたFacebookフォンのソフトウェアを分析した結果判明したものという。 この分析は「今週木曜日にFacebookが大がかりなプレスイベントを予定している」というわれわれのスクープと合致する。

多少のカスタマイズをしたAndroid OSをHTCの携帯向けに提供することで、FacebookはiOSや標準のAndroid機種ではできないようなカスタマイズの自由を得るわけだ。これにはユーザー別に高度にカスタマイズされたホームスクリーンが含まれる。このホームスクリーンにFacebookのニュースフィードや通知が表示される他、OSの各所でFacebookの機能との密接な連携が図られている。

しかしFacebookの利用に特化したスマートフォンの市場はさほど大きくないことが予想されるので、FacebookはHTC版のカスタム・ホームスクリーンに似たユーザー体験を提供するホームスクリーン・ランチャーを一般のAndroid機にインストール可能な単独のアプリとして発表するものと思われる。ともかくもAndroidは世界でもっとも数多く利用されているスマートフォンOSだ。FacebookとしてはせっかくのホームスクリーンをHTCの特定機種だけに閉じ込めておくわけにはいかないだろう。

Android PoliceのRon Amadeoによるソフトウェアの分析によって、以下の詳細が明らかになった。

Facebookスマートフォンのハード

これはデベロッパー・ビルドの内容の分析に基づくもので、ターゲットのデバイスは単なるテスト目的であり、木曜日には何かもっとハイエンドの機種が登場する可能性はある。しかしAPK(アプリケーション・パッケージ・ファイル)の内容によれば、このソフトウェアは以下のハードウェアで作動するようデザインされている。

  • メーカー: HTC
  • モデル: MYSTUL (Myst_UL)
  • キャリヤ: AT&T
  • プラットホーム:MSM8960 (デュアルコア)
  • RAM: 1GB
  • ディスプレイ: 4.3 inch、720p
  • Androidバージョン:4.1.2
  • Senseバージョン:4.5
  • リアカメラ = 5M
  • フロントカメラ = 1.6M
  • SDカード・スロット:なし
  • Bluetooth 4.0
  • Wi-Fi a/b/g/n

このスペックはFacebookフォンはHTCSense 4.5かそれにごく近いモデルとなるだろうというUnwired Viewの情報とも一致する。ただしキャリヤはAT&T以外にも対応することになるだろう。

“Facebook Home”アプリ

先週われわれが報じたように、 “Facebook Home”というロゴが表示される。このFaceboookアプリの機能には以下のようなものがある。

  • あるウィンドウを常に他の窓の上に表示させる
  • ロックスクリーンを無効にする
  • デバイスを起動すると同時にこのアプリも起動する
  • 他のアプリの作動状態をモニタする
  • デバイスのWi-Fi接続を管理する
  • システム設定を変更する

XMLレイアウトと画像ファイルから判断するとFacebook Homeはホームスクリーンにニュースフィード、時計、他のアプリを起動するショートカット、Google検索などを表示するようだ。

APKから発見されたもっとも興味ふかい機能のひとつは“Chat Heads”だ。これはFacebookのチャット窓をフロート状態で他の窓の上に表示させることができる機能で、他のアプリを利用している場合でもそのまま表示され続ける。一部の音楽サービスのサイトがいったん起動すると他のアプリを使っていてもずっと表示が続くプレイヤー・アプリを提供しているが、そのチャット版と思えばよい。ただしChat HeadsはFacebookがカスタマイズしたAndroid OSでなければ作動しない。

一般Android向け“Home”アプリ

Android Policeの発見でもっとも重要なのはこの点だ。Facebook Homeソフトウェアにはカスタマイズされていない一般のAndroid OSの設定を読み込む機能があると判明した。またHTCランチャーだけでなくSamsungのフロントエンド、TouchWizランチャーにも対応している。このことはHomeアプリがHTC以外のメーカーの標準的Android OS搭載機でも作動することを示唆している。Facebookは一般Android向けHomeアプリをGoogle Playを通じて広く提供することになるだろう。

Homeアプリのプレミア・アージョンはHTCの専用OS搭載機で作動するが、いくつかの機能を外したバージョンは一般Android機で作動するということになるというのは合理的でもあり、先週の私の記事の推測とも合致する。イベントが予想されている4月4日はもう目前だ。カスタムOSによるプレミア版が成功すれば、FacebookはHTC以外にもOEMパートナーを増やすかもしれない。

つまりFacebookの戦略こうなるのだろう。1. HTC機で最高のユーザー体験をデモンストレーションする。 2. 現在のアプリより深いレベルでOSの機能を利用した一般Android向けHomeアプリを」提供する。 3. 他のメーカーをカスタムOSの専用機製造に勧誘する。

なかなか巧妙な戦略に聞こえるが、これが成功するかどうかはFacebook Homeが既存のアプリと比べてユーザーにどれだけの新たな価値を与えられるかにかかっている。さほどのメリットが見出されなければユーザーはHTCのFacebook携帯を買わないだろうし、他のメーカーも誘いには乗ってこないだろう。Facebookは何年もかけて無駄な骨折りをしたということになる。

しかし成功すれば、Facebook Homeのユーザーは常時リアルタイムでFacebookの友だちと交流しつづけるという新たなソーシャル感覚を手に入れることになる。もしかするとAppleもホームスクリーンのカスタマイズをデベロッパーに認めるようになるかもしれない。一方、Facebookは自らハードウェアの製造に乗り出さないでもモバイルでのユーザー体験に対するコントロールを強めることが可能になるだろう。

Facebookのスマートフォン計画については次の記事も参照

Facebook To Reveal “Home On Android” Sources Say Is A Modified OS On HTC At 4/4 Event

Facebook’s “Home” On Android Could Give You A Sixth Sense For Your Social Life

Facebook’s Android Homescreen Could Expose Apple’s Inflexibility

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


幽霊はどんな臭い? Google Noseで検索しよう

GoogleがYouTubeを閉鎖? 清々する! どうせPaula Abdulの「正反対同士は引き合う」以来見るべきビデオはない。

Googleは、同社の〈まさしく本物〉の最新プロジェクトを発表することによって、オンライン娯楽の本当の未来が何かを知っていることを明らかにした。それは〈臭い〉だ。Google Noseを紹介しよう。

Google Noseを使えば、あの妖物を捕まえることなくバラの香りを嗅ぐことができる。

ではどうやってGoogleの新しい嗅覚の探究に参加できるのか? 特別なハードウェアに大枚をはたく機会を得るためにGoogleに向かってツイートする必要すらない。あなたは適切なハードウェアをすでに〈持っている〉。好みの香り(濡れた犬でも、パチパチと燃えさかるキャンプファイヤーでも、ジムの臭いでも)をGoogleして、「嗅ぐ」ボタンをクリックして鼻を利かせるだけでいい。Googleは、「光子と可聴下音波を交差」させることによって要求された香りを模倣する。みなさん、これが〈科学〉だ。

すぐに感じられなければ、鼻を近づけて嗅ぎ続けること。Googleの他の多くの製品がそうであったように、これはベータ版なのでいつもうまくいくとは限らない(そして、これまでの多くのGoogle製品のように、たぶん2週間ほどで閉鎖されるだろう)。

[明日(米国時間4/1)になれば本誌にエイプリルフールのジョーク一覧が載るのは間違いないが(なにせ慣例なので)、こいつは早く届いた上に私を大笑いさせてくれたので、単独記事に値すると判断した。

加えて、私はこのおかげで、幽霊がいったいどんな臭いかを少なくとも5分間考えさせられた。]

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(翻訳:Nob Takahashi)


ハッピー世界バックアップデー! 今すぐバックアップを取ろう!

ハードディスクのバックアップは、自分にプレゼントした靴下の詰め合わせのようなものだ。その時は面白くも何ともないが、イザという時には〈最高のプレゼント〉になる。出かける直前になっていつもの靴下がない? よかった買っておいて。あなたのハードディスクは必ず壊れて過去3年間のデジタル生活を道連れにする。バックアップに感謝!

今日は第3回毎年恒例世界バックアップデーだ。世界バックアップデーは、2011年にRedditで始まった習慣で、以来世界中のテクノロジー愛好家の間に広まっている。

バックアップデーが今日であることの特別な意味は、イースターと重なることだ。つまり、「ちょっと失礼。バックアップしてくる!」と言ってハム料理ができるまでの面倒な家族との会話から逃がれることができる。あるいは、機械に弱い家族や親戚たちにバックアップの重要性を説くのもいいかもしれない。

そうそうもう一つ。明日はエイプリルフール。多分データにとって一番安全な日ではない。

では、どうやってバックアップを取るのがよいだろう。

もし簡単にすませたければ、大きな外付けハードディスクを買ってきて、OS標準のバックアップツールに仕事を任せて(Widowsでのバックアップと、OS XでTime Machineを使う方法はこちら)、終ったらディスクをどこかにしまっておく。離れた場所(信頼できる友達の家など)に置いておけば、火事や洪水の時にもデータは守られる。

もっとおしゃれに、オンラインでバックアップしたい人は、今日のテクノ・ホリデーのためにバックアップ界の大物何社かが特別価格で提供している。Crashplanは通常の年額71ドルを今日だけ42ドルにしているし、Backblazeは新規ユーザーに3ヵ月分無料で提供している。バックアップが必要なファイルがさほど多くなければ、Dropboxの2GBプランが賢実な選択だ。

ハードディスクは安い。失われたデータは安くない。今すぐ、ゴーだ!

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(翻訳:Nob Takahashi)


jQuery 2.0がWindows Storeアプリケーションを完全サポートできるため部分的に改作

人気の高いJavaScriptライブラリjQueryの次期バージョン(2.0)はInternet Explorer 6, 7, 8のサポートをやめるが、Microsoftは今でも強気で、デベロッパたちに、jQuery 2.0とHTML5による“jQueryベースのWindows Storeアプリケーションのニューウェーブ”を作ってもらうつもりでいる。

今日(米国時間3/29)のMicrosoftの発表によると、同社のオープンソース系子会社Microsoft Open TechnologiesappendToのJavaScriptエキスパートたちが、jQueryのコミュニティと協力して、その次期バージョンがWindows Storeアプリケーションを完全にサポートするための作業を行った。

デベロッパたちは当然すでにWindows Store/MetroアプリケーションをjQueryを使って作っているが、しかしこの協力によって、jQuery 2.0ベースのWindows Storeアプリケーションを開発することがより円滑、安全、そしてより効率化される。

appendToのサポート担当ディレクターJonathan Sampsonが今日の発表声明の中で、jQueryはつねにWindows Storeアプリケーションのための言語の基準を満たしていたが、しかし、“Windows 8はHTML5の開発環境中にWinRTのAPIをすべて露出するので、新しいセキュリティモデルが持ち込まれ、そのためWindows Storeアプリケーションのコンテキストにおいては、一部のコードとjQueryの一般的な慣行が安全でないとマークされる。AppendToはjQueryのコアの一部の検討と書き換えを行い、Windowsのセキュリティモデルとの互換性を確保した。また、今後代替パターンが必要になると思われる重要な部分も同定した”、と語っている。

Microsoftはこれを、Windows 8のローンチの準備作業の一環であると強調しているが、しかし多くのデベロッパは自分たちのWeb開発のスキルをWindows 8やWindows RTのデスクトップアプリケーションの開発にも応用できるのか、不安を抱いている。ただしデベロッパたちは今すでに、ほかにも数多くあるオープンソースのJavaScriptフレームワーク、backbone.jsKnockout.JSYUIなどなどを使うこともできるのだ。

jQuery Foundationの理事長Deve Methvinは今日の声明文の中で、同団体としてもMicrosoftとの協働には関心を持っている、と述べている。“jQuery 2.0が使える環境が新たに増えることは、jQueryのコミュニティにとって欣快である。HTMLとJavaScriptのデベロッパは、自分たちのjQueryの知識を利用してどのような開発課題でも効率化したいと願っている。jQuery 2.0はそんな彼らに、Windows 8 Storeのアプリケーションでもそれができる能力を与える。そのために行われたjQuery 2.0のパッチと試験に関してはappendToに、そしてその技術サポートに関してはMS Open Techに、感謝申し上げたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AdobeのBlankは何も(スペースさえも)表示しないオープンソースの代替フォント

Adobeが今日(米国時間3/29)ローンチしたAdobe BlankはオープンソースのOpenTypeフォントだが、それは見た目には文字も図形もスペースすらもない、単なる“無”だ。というかそれは、作者のKen Lundeの説明によると、あらゆるUnicode文字を“スペースもマークもないグリフ”として描く。

これはまるで、数日早すぎる、しかもへたくそなエイプリルフールのジョークみたいで、HackerNewsではだじゃれネタにもなっていたが、でも実際にはこれはWebデベロッパにとってかなり便利なツールなのだ。

Lundeは、誰にも見えないフォントを使う理由は二つある、と言う:

  • 目的のフォントが描かれるまで一時的にこのフォントを指定しておき、OSやアプリケーションが勝手に自分の代替フォントを使うのを防ぐ。
  • 上とも関連するが、このフォントを使ってWebのフォントが実際にロードされていることをあらかじめ検出できる。それにより、CSSの制約を克服できるかもしれない。

この、“無”のフォントをとりあえず使っておかないと、Webからの実物フォントが実際にロードされるまでの間、OSやブラウザの、デフォルトフォントが表示されてしまう。今はデザイナーの多くがHelveticaのようなありふれたローカルフォントに代えて、差別化のために独自のフォントを指定することが多いから、それらに切り替わる間、ユーザは目障りな代替文字を見せられることが多い。しかしBlankは極端に小さいからすぐにロードされ、ユーザが代替フォントを見せられる間がない。

Lundeの言う第二のユースケース…デベロッパがWebフォントのロードを検出できる…は、明らかにハックだが、Adobe自身がそのコードエディタBracketsの拡張機能Edge Web Fontsでこのトリックを使っている。ほかのデベロッパたちはもっと多様な用途を見つけるだろう。

このフォントは今SourceForgeからダウンロードできる。もうすぐGitHubにも載るはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OUYAのCEO Julie Uhrmanがそのインタフェイスと初期に出揃うゲームを明かす

今日(米国時間3/28)は、OUYAにとって重要な日だ。この、Kickstarterで資金と支援者を集めた、AndroidをOSとするゲーム専用機は、6月4日に99ドルで発売されると発表された(ちょっと前にリークはあったが)。そして今宵はサンフランシスコで、発表パーティーが行われるのだ。

実は昨日本誌は、ファウンダでCEOのJulie Uhrmanに会って取材をした。彼女はハードウェアの最終的な姿とそのインタフェイスについて、簡潔に説明した。ぼく自身がいちばん感じることは、そのYves Beharがデザインしたハードウェアは、価格が安いにもかかわらず、ルックスがすてきなことだ。またインタフェイスについては、徹底して使いやすさにこだわっていることに感銘を覚える。OUYAはハードコアのゲーマーがターゲットではないから、シンプルであることがきわめて重要だ。しかも多様なゲームを提供することによって客層を広げることも、同じく重要だ。

Uhrmanは、“OUYAは最後に残ったクローズドなプラットホームであるテレビをオープンにした”、という言い方をする。

[初期画面]

いちばんすごいと思うのは、9か月前にはOUYAはアイデアがあっただけだ、という点だ。今のOUYAは彼女の最初のアイデアにどれだけ近いか、と尋ねると、“意外だけど、とっても近い。何が欲しいのか、最初から分かっていたから”、というお答えだ。

しかし成功の鍵はあくまでもゲーム機ではなくゲームにある。OUYAのゲーム制作者として登録しているデベロッパはすでに8000を超えており、その中にはSquare Enix, Inc.、Double Fine Productions、Tripwire Interactive、Vlambeer、Phil FishのPolytron Corporation、Kim SwiftのAirtight Gamesなどの顔ぶれもいる。ゲームの方の顔ぶれは、ビデオを見るとやや分かる。Uhrman自身が今はまっているのは、Stalagfightだそうだ。このゲームは収益化の新しい形も示しており、ユーザが実感した価値に応じた額を払う。OUYAのゲームは無料で遊べることが必須の条件だが、それ以外では収益化の方法はパブリッシャーやデベロッパの自由だ。

[Final Fantasy]

Uhrmanは、OUYA 2を来年出す、と確言した。彼女によるとOUYAのリリースサイクルはゲーム専用機よりも携帯電話のそれに近いものになる。ただし、不必要なものをどんどん加えて高価なハードウェアにするようなことは、しない。“適切で配慮に富んだリリースサイクルを守っていく”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftのWorldWide TelescopeはNASAのデータによる全宇宙の地図

Microsoft Researchの人たちが壮大な宇宙の地図を作っている。そのために利用しているのは、NASAのHubble Space Telescopeをはじめ、世界中の天文台(の望遠鏡)から集めたデータや写真だ。彼らはそれを、The WorldWide Telescopeと呼んでいる。

銀河系宇宙にはおよそ3000億の星があり、宇宙にはそれとほぼ同じ数の銀河がある(欲しければ一つでも二つでもあげるよ)。WorldWide Telescopeでは、科学者とデベロッパが宇宙の詳細な3D画像を一つ一つ組み上げ、ユーザは人間に今分かっているどんな惑星や恒星や銀河のそばでも飛んでいける。一枚の画像で全宇宙を見ることもでき、それを見れば自分たちが無に等しい存在だと悟れる。

しかしWorldWide Telescopeは天文学ファンや物理学マニアのための探検ツールでは終わらない。プログラムディレクターのDan Fayは、NASAがこれを研究ツールとして利用し、また小学校から大学まですべての学校の児童生徒学生たちの教材にもなることを望んでいる。操作はタッチスクリーンやデスクトップで行うが、とてもシンプルな操作インタフェイスだ。2つのボタンにさわってから、ピンチしてズームすると、宇宙旅行が始まる。モバイルへの実装も、予定されている。

APIも提供されるので、デベロッパは独自のツアーやレッスンを作れる。銀河系宇宙の星雲観光旅行をやってみたが、なにしろ綺麗だ。レッスンは、太陽系宇宙のすべての惑星のそばを飛行する簡単なものから、宇宙最深部の写真を分析する高難度なものもある。また、ふつうの可視光線のほかに、赤外線やX線などいろんな波長の光で宇宙を見ることもできる。

デモを見たあとぼくは、2018年立ち上げ予定のJames Webb Space Telescopeのスケールモデルで宇宙ツアーをやってみた。Hubbleの100倍という高性能な望遠鏡で、大きさも7倍だ。反射鏡の直径は21フィート、数多くの計器類もついている。

NASAは生成期の星のまわりにある宇宙塵雲を赤外線装置を使って透視できたら、星の誕生の様子が分かるだけでなく、望遠鏡の視界もこれまでよりずっと遠方になり、今まで分からなかったことも分かるようになる、と期待している。太陽系の外部に、水蒸気を検出することもできるから、水があるところには生命が見つかる可能性もある。

今日は、圧倒されてしまった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Delicious、「ソーシャル」強化を狙ってTwitterおよびFacebookログイン機能を実装

最近、とんとDeliciousについての話題を耳にしなくなっていた。ソーシャルブックマークのためのサービスで、2005年にYahooにより買収され、そして2011年にAVOSに売却されていた。当時、AVOSはDeliciousを再度ベータ版に戻して、新たな視点からのサービス提供を試み始めていた。しかし多くの利用者を集めるには至らず、また面白そうな機能が追加されるようなこともなかった。

そのような中、しばらくの間の無更新状態から復帰して、Deliciousのブログに新しい記事が登場した。すなわちDeliciousに新しい機能を追加したというものだ。TwitterやFacebookというソーシャルネットワークに移り、ソーシャルブックマークという概念を忘れ去ってしまったような人を意識した機能追加となっている。

ソーシャル界の巨頭を意識したアップデートとはすなわち、TwitterないしFacebookアカウントによるログインを可能にしたというものだ。これにより、Facebookで共有したリンクおよびTwitter上でシェアおよびお気に入りに登録したものが自動的にDeliciousに登録されるようにもなっている。Deliciousは、こうした形でのリンク共有サービスの提供を考えて、2011年11月にTrunk.lyを買収してもいた。そしてTwitterについては昨年3月、そしてFacebookについても昨年6月から、リンク情報の共有自体は提供を開始していた。

TwitterやFacebookの情報を利用してサインインできるということに新しさは全くない。しかしDeliciousに「ソーシャル」機能を持たせることになったとは言えよう。さらに「ソーシャル」を意識したものとして「Friend Finder」機能も搭載されるようになった。名前の通り、TwitterやFacebook上の知り合いをDelicious上で発見するためのツールだ。

また、パフォーマンス面等での改善も行なっている。ブックマークレットやサイト自体の読み込み速度も若干向上したようだ。さらに、以前から要望のあった「first saver」情報も提供されるようになった。これはDeliciousで最初に情報を共有した人を記録しておくものだ。

今回のアップデートがDeliciousを救うことになるのかどうかはわからない。ソーシャルネットワーク上にリンクを保存するということ自体が、もの珍しかった時代はとうの昔に過ぎ去ってしまった。しかしDiggも、まだまだ活躍の場を探って話題にのぼっている。懐かしのdel.icio.usにも新しい活躍の場があるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


Amazon傘下になったGoodreadsは、統合を密にしつつインディーズの立場を守る

今日(米国時間3/28)の午後AmazonがGoodreadsの買収を発表した後、私はGoodreadsのCEO Otis ChandlerとAmazonのKindleコンテンツ担当VP Russ Grandinettiのふたりと話す機会を得た。いちばん気になっていた2点、即ち契約に至った経緯とKindle/Goodreads統合の詳細計画については、ふたり共曖昧さを貫いていたが、それでも将来の計画についていくつかのヒントを漏らしてくれた。

Chandler(写真は妻で共同ファウンダーのElizabethと一緒)によると、Kindleとの統合はGoodreadsユーザーの間でも人気が高く、Grandinettiは、Kindleデバイスやアプリ上でのソーシャル体験を「超カンタン」にしたかったと言った。どんな形になるかに関しては「機能については発売時にお話ししたい」と言うだけだった。

本誌のDrew Olanoffがこのニュースを報じた際、これによってAmazonが電子書籍のライバル、特にAppleに対してソーシャル的な優位性を得られのかどうかが注目的の一つだった。Amazonの買収によってGoodredsの非Kindleデバイスとの統合が不可能になるのかという私の質問に対して、Grandinettiは、AmazonチームはKindleアプリがiOS、Android上でも動くよう頑張っていると答えた。つまり、例えばiPadのKindleアプリ経由でGoodreadsを利用できることになりそうだ(ただしこれは、むしろiBookstoreに関して重要視していたDrewの指摘を消し去るものではない。また、Amazonは以前ソーシャル読書のスタートアップ、Shelfariも買収しているが、ソーシャル面の急転回にはつながっていないことも指摘しておきたい)。

Goodreadsが今後もFacebookと密に連携していくのか、Amazonでスタンドアロンのソーシャル体験を作っていくのかについても質問した。Chandlerは、「Facebookは今後もGoodreadsにとって重要だ。われわれのミッションは人々が読書を通じて自分を表現するのを支援することであり、Facebookの膨大なユーザー基盤はそれを容易にすると答えた。

さらにChandlerはこの買収に関する自身のブログ記事で、「Goodreadsはサイト利用者が喜ぶものすべてを引き続き提供し続ける」と書いている。ちなみに、Goodreadsチームは全員今後もサンフランシスコに残る。Chandlerは「ZapposとIMDbの形態」と似た形の独立子会社として運営されるだろう」と言っていた。

「これからも採用も続け、チームを大きくしていく」と彼はつけ加えた。

AmazonとGoodredsは過去に何度か衝突があった。中でも昨年1月には、Amazonのデータに制約が多いという理由で、Goodreadsは書籍データの主要入手先をAmazonからIngramへと乗り替えた。今日この件に触れたところ、Grandinettiは、「GoodreadsがAmazonのAPIを使わなくなったことはどちらの利益にもならなかった思う」と語り、今こそ「発見と読書の全く新しい領域を探る」ためにAmazonのデータをGoodreadsに取り戻す時だと彼は言った。

Chandlerは、Amazonデータを止めたことによる不都合の一つが海外データだったと言う。この買収によって、Goodreadsは再びそのデータを利用できるようになる。

APIと言えば、Chandlerは別のインタビューで、Goodreadsは今後も自身のAPIを公開し、Koboへのレビューフィードも続ける予定だと語った。

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(翻訳:Nob Takahashi)


MapReduceのオープンソース実装を特許訴訟の対象にしないとGoogleが公式に誓約

Googleが今日(米国時間3/28)、同社のMapReduceプログラミングモデルのオープンソースバージョンを実装したユーザやディストリビュータやデベロッパを、それらの実装が本質的にはGoogleのパテントを侵害しているものであるにもかかわらず、訴訟はしないと公式に誓約した。たとえばApacheのHadoopはおそらく、Googleがこの技術に関して保有している10件のパテントを侵害している。同社法務部でパテント関連を担当しているDuane Valzは今日の発表声明の中で。“これをこの業界における範例としたい。弊社以外の特許保有者にも、誓約やそれ相当の自発的行動をとるよう、おすすめしたい”、と言っている。

今回の誓約の対象はGoogleが保有する特許のごく一部にすぎないが、しかしGoogleは誓約の対象範囲を長期的に拡大していくものと予想している。ただし、最初にGoogleの方が攻撃された場合には、公然と特許権を振りかざして相手と戦う、としている。

残念なことにパテントをめぐる抗争はソフトウェア業界で日常化しており、そのため、GoogleやRed Hat、Sony、IBMなどが支援する団体Open Invention Networkは、オープンソース製品の開発をパテントに関する懸念から解放しようと努力している。

Googleは今回の”Open Patent Non-Assertion Pledge” (特許公開非主張誓約, OPN誓約)が、業界の今後のモデルになると考えている。同社のパートナーや競合企業が同様の誓約をすることによって、この過程(特許公開非主張の過程)関し長年待望されていた透明性と、幅の広さとセキュリティが導入される、と同社は期待している:

  • 透明性: 特許保有者は誓約の対象となる特許と関連技術を正確に同定し、デベロッパと一般社会に対し特許権をめぐる透明性を提供する。
  • 幅広さ: OPN誓約による保護の対象は特定のプロジェクトやオープンソースの著作権ライセンスに限定されない(Googleはその種のライセンスの下に大量のコードを寄与貢献している。それらはApacheGNU GPLなどのライセンスであるが、特許からの保護に関してそれらは非力である)。それとは対照的にOPN誓約は、過去現在未来を問わず、誓約下のパテントに依存しているかもしれないいかなるオープンソースソフトウェアに対しても適用される。
  • 守勢の保護: Googleの製品やサービスに対して特許訴訟が起こされ、それらの特許がOPN誓約の対象であったときには、そのときにかぎり、攻勢の保護を行うために、非主張誓約は破棄される(==特許権を主張して公然と戦う)。
  • 永続性: 誓約は対象特許の寿命期間中有効であり、権利が他に移行された場合にも、有効である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、 サンフランシスコ周辺でオンライン通販のShopping Expressをテスト開始―Target、 Toys”R”Usなどと提携、無料即日配達

今日(米国時間3/28)、GoogleがついにGoogle Shopping Expressサービスの公開テストを開始した。対象はサンフランシスコ周辺とサンマテオからサンノゼにかけて一部の住民だ。参加している小売業者はわれわれが以前に報じたとおり、Target、Walgreens、Staples、American Eagle、Toys“R”Us/Babies“R”Us、Office Depot、SanFranciscoのBlue Bottle Coffee、RaleyのNob Hill Foods、Palo Alto Toy & Sportだ。

われわれの当初の記事では、Amazonのプライムサービスと競争できる料金、すなわち年会費が69ドルから64ドル程度になるだろうと予想していた。しかしGoogleは現時点では料金を決定しておらず、テストによって得られるデータを検討した上で改めて料金を設定するということだ。テストに参加するユーザーは今後6ヶ月間無料で即日配達サービスが受けられる。商品の価格は店頭と同額だ。

私はBlue Bottleのファンなので、好きなときに熱い淹れたてコーヒーが届くのだったら嬉しいが、実際には豆だけの販売かもしれない。しかし私にはお呼びがかかっていない。Googleがどうやって最初のテスト参加者を選んだのかは謎だ。(ただしこちらから参加申し込みをすることができる。小売業者の申し込みはこちら)

ともかく消費者としては便利になる。「ちょっとした買い物のために町の向こう側まで行く必要がなくなるようにしたい」とShopping Expressのプロダクト・ディレクターのTomFallowsがブログ記事に書いている。

まだ料金やロジスティクスの詳細が不明だとはいえ、Google Shopping Expressは小売業者にとっても大きな魅力がある。複数の店で買い物をしてそれが即日無料で同時に届くというのは消費者にとって大きなメリットだから既存、新規を問わず購入は伸びるだろう。また見込み顧客の発見にもつながる。

Googleがいよいよこの分野に参入してきたことは既存のeコマース業者には脅威となるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、Gmailのメール編集画面を新しいものに統一

Googleは昨年10月以来、新しい形のメール編集ウィンドウをオプションとして提供開始していた。そして本日より、この新しいものを標準として採用し始めている。新たな編集ウィンドウとは、画面右の方にポップアップ形式で表示されるものだ。Googleは、これまでよりも簡単かつ迅速に作業を行え、また他の作業と並行しての利用もしやすくなったと自賛している。但し、アンダーライン、インデント、番号付きないし番号なしリストの作成等の文字フォーマットオプションについては、従来よりも目立たないところに配置されることとなった(キーボードショートカットは以前と同じものが利用できる)。

編集画面が新しくなることにより、画面右のサイドバー上に情報を表示していたRapportive(最近LinkedInにより買収された)などとの共存関係は崩れてしまうことになるのかもしれない。新しい編集画面には、そもそもサイドバーが存在しないのだ(広告も表示されないことになる)。これまでサイドバーを使っていたツール群がどのような対応をするのかは興味深いところだ。

これまで利用していたツールが使えなくなるかもしれないが、しかし他の作業との同時進行がしやすくなるのはプラスだろう。編集画面を複数開くこともできるようになっている。但し、2つ以上開くと少々混乱することになるかもしれない(新デザインを使っている人は試してみていただきたい)。尚、Google Driveとの連携もできるようになっていて、Drive内のデータを簡単に添付することができるようになっている。

新しい編集画面は、数日のうちに全ての利用者に対して提供し始める予定となっている。いったん新しい編集画面になれば、元に戻ることはできくなる。

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(翻訳:Maeda, H)