CRISPRを使ったヒト遺伝子改変治療の臨床試験、アメリカで遂に認可

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2015年の春、中国の科学者のグループがCRISPR/Cas9テクノロジーを使って54ものヒト胚のDNAを改変した 。これらの内、28個では成功したものの、約半数である26個では改変は失敗し、ヒトの遺伝子改変の倫理性に関して科学界で熱い議論が巻き起こった。

現在アメリカではヒトのDNAをCRISPRを使って改変する事は認可されていないが、ペンシルバニア大学の研究者がCRISPRテクノロジーを初めてヒトに使用する研究を提案している。このプロポーザルは、遺伝子編集によりT細胞を改変し遺伝性の3種類のガン細胞を攻撃する能力をT細胞に付与するというものだ。

本日、連邦生物安全倫理委員会はペンシルバニア大学のグループがヒトの患者で研究を行うことを認可した。今後実際に研究を行うには研究が行われる予定のメディカルセンターで計画が承認される必要があり、食品医薬品局からの承認も必要だ。

プロポーザルによると初期のトライアルは15人までの患者を使用し、CRISPRテクノロジーをヒトに適用した際の安全性と実現可能性を見極める予定だ。この研究はテック出身の億万長者ショーン・パーカーの創設したParker Institute of Cancer Immunotherapyから手厚いサポートを受ける。この組織は様々な研究機関と協力してガンを撲滅することを目的に、この春正式に設立された。

科学者の間では、ヒトのDNAを操作することの倫理性に関して意見が割れている。このテクノロジーは遺伝子のヒモを切り取ることで様々な驚くべき芸当を可能にするものだ。例えば、微生物に蜘蛛の糸を作らせたり、致死的な病気を引き起こすDNAを取り除いたり出来る。

CRISPRの是非に関しては、一方の言い分によると、CRISPRを使えばこれから生まれてくる子供たちは自分の親からの遺伝のせいで健康な生活が送れないといったことがなくなり、そのうち遺伝的にガンを引き起こす原因すら単純に切り取って治してしまうことが可能になるという。

反対側の意見としては、CRISPRを使うことは、それが究極的に我々に何を引き起こすか分からないうちに、我々の遺伝的基盤をみだりにいじくりまわすことだという。中国で行われた実験ではゲノム上に意図しない効果がもたらされ使用したヒト胚のほぼ半数が死んだ。

ペンシルバニア大チームのリードサイエンティストであるCarl June博士が本日のウェブキャストで認めている通り、望ましくない遺伝子を切り取ってしまう技術は完璧ではない。ある種のPD-1とTCRの遺伝子は、それらが欠損すると肺腫瘍を抑える効果があることが示されているにもかかわらず、今回の処理後も残ってしまう。しかしながら、データによると後に残ったもののレベルは十分に低く、そのおかげでCAR T細胞と呼ばれる特定のT細胞がガン細胞を攻撃する効果が増す。

しかし、ペンシルバニア大のプロポーザルは、今日皆がこの分野で起こっていると想像していたよりも一段上を行くものだ。遺伝子編集を専門とするEditas(本年度初旬に株式公開)は2017年にCRISPRを使った最初の臨床試験を行うという。

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(翻訳:Tsubouchi)

WatchOSを刷新、UIが新しくなってアプリのローンチ時間も速くなった

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今日のWWDCでAppleはwatchOSの第3バージョンをローンチした。注力したのはスピードの改善だ。今日から開発者にベータ版を公開し、秋に全ユーザーへと開放する。

スピード

Appleはアプリの速さを本気で改善した。第1、第2バージョンのOSの遅さは明らかに改善が必要だった。アプリのローンチの速さは旧OSより「7倍」速くなったとAppleはいう。

どうやってそれを実現したのだろうか?サードパーティとビルトインアプリのメモリー使用を許可し、ユーザーが特定のアプリを使用していない時でもアップデートと情報の更新をバックグランドで行えるようにした。

ウォッチの操作を早めるため、AppleはwatchOSに「dock(ドック)」を追加する。上にスワイプすることで、各アプリのローンチが素早くできるようになる。

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WatchOS3にも、iOSのようなコントロールセンターが搭載される。上にスワイプして、消音、BluetoothやWi-Fiのオンオフを素早く設定できる。

また、アプリでのメッセージ送信も楽にする。Scribbleという機能を新たに追加した。これは、文字を描くとすぐにテキストに変換する機能だ。ユーザーはスマホを触らずとも素早くメッセージを送るのに役立つだろう。これは最初のwatchOSがリリースされた時に、約束していた内容だ。

SOS

AppleはSOSという新機能をローンチした。これは、緊急時にユーザーを助けるためのものだ。助けが必要な場合、ウォッチの下のボタンをしばらく押すとカウントダウンが始まる。それがゼロになると端末から911に電話回線かデータ接続で電話がかかる。

SOSを使用した時、ウォッチはユーザーがHealthKitに入力した緊急情報を自動で表示する。最初に到着した救助者が救助の際に役立てることができるだろう。

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Health

watchOSの第3バージョンでは、健康情報関連の改善が多く施された。Activityは、watchOSでユーザーの運動と健康上の数値をトラックする機能だが、友人と競えるようになる。

新ソフトウェアは、Activity Sharing機能を搭載する。毎日の歩数や消費カロリーといった指標を友人と共有することができる。この親しみある競争で、フィットネスにおける目標を達成するのに友人の力を借りることができる。

AppleはBreatheという2つ目となる健康関連のアプリをローンチした。このアプリはリラックスするのを助け、呼吸の頻度をコントロールすることを促す。ユーザーはアプリを開いて、何分練習するかを設定し、視覚か触覚のヒントに従って呼吸をする。

ActivityとHealth Kitは車椅子のユーザーにも対応するようになる。Appleは、車椅子のユーザーの動きをトラックするアルゴリズムを改善し、「立ち上がる時間」などの通知を「動く時間」に変更するなどの調整を行った。

開発者向け機能

WatchOSは開発者向けの新機能も実装している。前述の通り、ほとんどのアプリはバックグランドで動いて、ユーザーのためにデータを予めロードすることができるようになる。また、開発者は端末のスピーカーを使うWatchアプリを制作できる。腕の端末で動画を再生できるようになる。

今回のアップデートから、watchOSアプリのApple Pay対応もできる。手首からEコマースが利用できるよう実装が可能となる。

デザイン

watchOSのデザイン面では、新しい文字盤デザインがいくつか登場した。ミニーマウスの文字盤やローマ数字のデザインなどだ。ユーザーは、右か左にスワイプして文字盤を簡単に変更することができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

オンデマンドで獣医を派遣するペットのためのTreat

ペットの様子がおかしくなって、どうすれば良いのかわからなくなったことはおありだろうか。Googleで検索してみても異なる対処方法が出てくるばかりだし、獣医の予約を取るのにも時間がかかってしまう。そういう事態に対処しようとするのが、iOSアプリケーションとして登場してきたTreatだ。アプリケーションを経由して獣医師とチャットしたり、あるいは訪問を依頼したりすることができるのだ。さらにこのアプリケーションを使って、ペット関連製品を購入したり、あるいはトレーニングやグルーミングの依頼をすることもできる。

つまりTreatはペット医療系のコンシェルジュとして機能するわけだ。

まずはサンフランシスコおよびオークランドを対象にサービスを開始することとなった。下に4匹の子猫について相談する様子をFacebookのライブストリームで流したものを掲載しておこう。

サービスを開始したばかりではあるが、SlackのApril Underwoodや、ペットケア分野で戦略投資を行う人物からの資金を獲得している。iOSアプリケーションを使えば午前8時から深夜まで獣医師に無料で相談できる。また獣医師に訪問してもらう場合の費用は99ドルとなっている。また30分のトレーニングセッションを行う場合は59ドルで爪の手入れが29ドルだ。

Treat Chat

Treat Vet ChatTreatはペットオーナーの悩み全般を解決することも目的としている。関連市場は、餌市場をあわせて600億ドルとなる。Treatがチャットを通じての結びつきを築くことができれば、食べ物からコスメ、健康関連まで、さまざまな面でのワンストップサービスを提供することができるようになる。

サービスのアイデアは共同ファウンダー兼CEOのSteve Simitzisの猫が発作を起こした関連で思いついたのだとのこと。猫は理学療法および人工栄養により回復したそうだが、病が発症したのは午前2時のことで対応に困り、また自身の仕事中にどのように処遇すれば良いのかでとても悩んだのだとのこと。「今の世の中、答えはネット上にあると思っていました。しかしそうではなかったのです」。そこで共同ファウンダーのMarta Croweおよび獣医のKait Linkとこのサービスを考えだした。

Treatの競合としてはオンデマンドで獣医を派遣するVetProntoや、犬の散歩に付随するサービスを展開するWagWalkingなどが想定される。しかしTreatとしては、PetcoやPetSmartなどのペット関連の小売サービス全体をライバルとして成長したいのだとのこと。ペット関連の小売サービスでは現在、緊急時に対応するようなサービスを展開しているところはない。飼い犬の吐いたものが緑であったり、飼い猫の様子がいつもとまったくちがうとき、インターネットに答えを探してもたいていは不安が増すばかりとなってしまう。

Treat Book Appointment確かに、Treatもペットが骨折したような場合に自宅でレントゲンをとったり、麻酔を施したりするようなソリューションは提供していない。「基本的な、予防的手段を提供しようと考えているのです」とSimitzisは言っている。ただしTreatはいくつかのクリニックと提携し、深刻な症状についてはそちらで対応できるようにも考えている。

ペットの具合が悪くなったら獣医につれていく、という発想を変えることが、Treatにとって必要なことだろう。自宅で医療ケアを受けたり、あるいは医師に相談するというのは一般的なことではない。しかしUberは外出時の振る舞いをまったく変えてしまった。それにならって、料金を支払うことによってペットの健康に関する不安を和らげるというあり方を探っているわけだ。

サービス提供開始のプロモーションとして、Treatはベイエリアに子猫を持ち込んでみる予定となっている。これは捨てられた猫などの住まいを探すためのプロジェクトとの共同で行われるプロモーションだ。このプロモーションには獣医も帯同する。この一環としてTechCrunchにも4匹の子猫を連れてきてくれたわけだ。子猫の様子やTreatがどのようなチームなのかについてはFacebook Liveのビデオ(上に掲載した)にて確認することができる。

Treatは現在iOS版のみ提供されており、また利用できるのはサンフランシスコおよびオークランドに限定されている。

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(翻訳:Maeda, H

$25Mを投じた2年間の研究で携帯電話が発する電磁波と雄のラットの発癌に正の相関が見つかる

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【抄訳】
国による大規模な毒物研究事業National Toxicology Program(NTP)が、携帯電話などが発している電磁波への被曝とラットの発癌とのあいだに、わずかながら正の相関があることを発見した。ただしそれは、雄の個体のみだった。

ピアレビュー(同僚審査)を伴うこの2年間の研究は、何千匹ものラットに2年間毎日、一定量の電磁波を照射した。電磁波をまったく当てないコントロールグループも、同期間養育した。被曝したラットの2ないし3%が脳に神経膠腫を生じ、1ないし6%が心臓に神経鞘腫を発現した。

奇妙なことに、雄のラットのみがこれらの発症を示した。さらに不可解なのは、電磁波の露爆を受けないコントロールグループのラットの方が、寿命は短かったことだ。

効果が微弱なので、この結果を安易に人間に外挿することはできない。しかしまた、効果が存在しなかった、とも言えない。

研究の最終結論はまだ出ていないし、経過的報告にすぎないとはいえ、有意な結果であることは確実である。

国立癌研究所(National Cancer Institute)によると同機関はこのニュースに基づいて、携帯電話からの電磁波の放散に関する同研究所のファクトシートを改訂中である。ただしそれに関する詳細説明は得られず、彼らは、研究結果について目下検討中、とだけ言った。

国立衛生研究所(National Institute of Health)は声明を発表し、その中で、この研究は癌との関連を見出さなかったこれまでの研究を置換ないし無効化するものではない、と述べている:

マウスとラットによるこの研究を、今外部の専門家たちが吟味している。これまでの、大量の人間に対する観察データでも、携帯電話の使用が癌発症リスクを増加させることの、限定的な証拠が見つかっていることは、ここで指摘しておくべきである。

元NTPのトップChristopher Portierは、Scientific American誌で述べている:

これは群を抜いて細心に行われた携帯電話に関するバイオアッセイ(bioassay)、すなわち生物学的評価である。人間に生じる問題については、今後の大量の研究評価事業が必要だが、ラットで結果が得られたことは大きな成果だ。

【中略】

今日(米国時間5/21)bioRxivに載ったレポートは、きわめて部分的なものだが、その前に一部のデータがMicrowave Newsで報じられたため、それを補う情報の発表が必要、と研究者たちは判断した。完全な研究論文は来年、発表される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネットの使いすぎがティーンの学校バーンアウトを導く…フィンランドの研究が結論

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あなたのいまいましい子どもたちはコンピューターを離れて庭仕事の手伝いでもすべきである、という説の最終的決定的な証拠を、ヘルシンキ大学の心理学科の研究者たちが見つけた。インターネットの使いすぎ、ほとんど中毒のような使い方は、ティーンの学校バーンアウト(school burnout, 学校燃え尽き症候群)をもたらす、というのだ。

使いすぎの詳しい定義はないが、それは見れば分かるだろう。研究者たちは、こう書いている:

この研究が示唆しているのは、デジタル中毒と学校バーンアウトの問題に取り組むべきもっとも重要な段階が13歳から15歳までの時期であることだ。青少年の心の健康を支え、インターネットの過度の使用を防ぐためのもっとも効果的な方法は、学校への関心を高め、児童生徒の学習意欲を増進し、学校バーンアウトを防止することである。

青年期後期における抑うつ的症状と学校バーンアウトは、男子よりも女子に多く見受けられる。過度なインターネット利用による被害は、女子よりも男子が深刻である。

学校バーンアウトの定義は、学校へ行く意欲や学校で勉強する意欲の欠如、である。

この研究は、数千人の児童生徒のインターネット利用と心理学的問題を調べたMind the Gapプロジェクトに関連している。その結論は重い: “これらの結果は、青少年における過度なインターネット利用が、学校バーンアウトとその後の抑うつ的症状の原因でありうることを示している”。…このプロジェクトの研究者Katariina Salmela-Aroは、そう述べている。

結局のところ、子どものインターネットへの過剰接触を防ぐのは親の責任だ。しかし残念ながら具体的な指針は乏しく、この研究もその点では貧しい。しかしながらインターネット利用と抑うつ的症状の直接的な因果関係を示したことは決定的であり、小さな家族のためには数日おきにプラグを抜き、目の前にスクリーンのない時間を確保してあげるべき、とあらためて自覚させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

食べ物中のグルテンを検出する6SensorLabsが$9.2Mを調達、そのほかのアレルゲン検出にも取り組む

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Nimaは、CES 2016で好評だった。この小さなグルテンセンサー〔上図〕は本誌主催のHardware Battlefieldで優勝し、テクノロジー系のメディアがこぞって取り上げた。そのNimaが今日(米国時間5/19)、シリーズAで920万ドルの資金を調達し、グルテン以外のアレルゲンの検出にも取り組むことになった。そして実は同社は6SensorLabsという社名だったが、これからは製品名であるNimaを、社名にすることになった。

この資金調達ラウンドはFoundry Groupがリードし、Upfront Ventures, SoftTech VC, SK Ventures, Lemnos Labs, Mitch Kapor, それにNestの協同ファウンダーMatt Rogersが参加した。Foundry Groupの専務取締役Brad Feldが、Nimaの取締役会に加わった。

CEOのShireen Yatesはこう語る: “Nimaのビジョンは、誰もが自分の食べ物のリアルタイムデータを入手でき、誰もが、今自分が体に何を入れようとしているのか正確に分かる世界を築くことだ。新たな資金によりわれわれの技術の能力を拡大し、全世界における、食べ物の透明性を求める需要の高まりに対応できることに、喜びを感じている。今回の資金が投じられるのはR&Dの方面、とくに、ピーナッツとミルクなど、グルテン以外の物質をテストできるセンサーの開発だ”。

一方、同社の最初の製品であるグルテンテスターは、今、ベータの最終段階に入り、今年後半には発売できる予定だ。

本誌Startup AlleyにおけるNimaのプレゼンテーション

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

人間療法士に代わってストレスを診断・緩和してくれるBioBeatsのHear and Nowアプリ

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BioBeatsは、社員や患者のウェアラブルから健康に関するリアルタイムのデータを得て、バイオメトリックスのソフトウェアを動かす機械学習のプラットホームに投入し、企業や医師などに分析の結果を提供する。同社はこのほど、White Cloud Capitalが率いるラウンドにより、228万ドルを調達した。これにAXA Strategic VenturesとIQ Capitalが参加した。

BioBeatsのストレス軽減アプリHear and Nowはこれから、一般消費者市場と企業の社員福利市場の両方に向けて売っていく予定だ。

BioBeatsは2013年に、Dr. David Plans, Nadeem Kassam, およびDavid Morelliらが創業した。

BioBeatsは既存のウェアラブルデバイスやスマートフォンからバイオメトリックス情報を集め、それに基づいて、ユーザーの健康目標を実現するための指導要項を作り出す。

企業の場合は、このシステムを人事のシステムや生産性スイート〔例: Microsoft Office〕に統合してもよい。それによって、社員たちの健康状態や生産性をコンスタントにモニタできる。今、イギリスと合衆国の数社でパイロット事業を行っている。

同社によると、既存の類似サービスはユーザーに質問をしたり、あるいはGinger.ioのように、スマートフォンの運動センサーからデータを集めるものが多い。これに対してBioBeatsは、AIを利用してスマートフォンやウェアラブルのセンサーからのデータ…中でもとくに心拍と皮膚の伝導性…が何を意味しているのかを知り、ユーザーの現在のストレスの程度を推し量る。そのときのユーザーの動きや振る舞いも、参考情報として利用する。

つまりBioBeatsのシステムは、人間セラピスト(療法士)と同じように、受診者のストレスや疲労、燃え尽きに近いか否か、などを判断する。これがあればユーザーは、自分で自分を診断できる。

Hear and Nowは現在iTunesストアで入手できるが、ユーザーの手首にあるデバイスからリアルタイムでデータを集め、ビジュアルや音楽も併用して、彼/彼女のストレス管理を指導する。

Calm, Pacifica, Happify, Serenitaなどのアプリはテクニックが中心だが、BioBeatsはデータを集めて分析するので、もっと良い結果を提供できる、と同社は主張している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

遺伝子組み換え作物ではない遺伝子“編集”作物は農務省が規制しないので将来性あり

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遺伝子組み換え作物(GMO)は今、遺伝子編集という新しい技術のおかげで、変わろうとしている。

その最新の例は、CRISPR(クリスパー)を利用して遺伝子を編集した白いボタンマシュルームだ。‘編集’とはこの場合、生物のDNAのパーツを切って並べ替えることだ。

合衆国農務省によると、そのマシュルームは、別の、有害かもしれない、バクテリアのDNAを使っているGMO植物のような危険性がないと思われるので、規制の対象としない。

ペンシルヴェニア州立大学の植物病理学者Yinong Yang博士は、マシュルームのDNAを変えて、酸素に触れても褐変しないようにした。そのコード中の二つの文字を入れ替えただけで、キノコは褐変しにくくなった。

しかし昨年10月に初めて組み換え種を作ったときには、その、遺伝子を変えたマシュルームが農務省の認可を必要とするのではないか、とYang博士は危惧した。

農務省の動植物健康検査サービス(Animal and Plant Health Inspection Service, APHIS)は、アメリカの農業環境を問題のある植物から守る機関で、検査の対象には、バクテリアやウィルスからのドナーDNAを使って植物の病虫害耐性を強化した作物も含まれる。

しかしCRISPRには、従来のGMOにない抜け穴がある。Yang博士はマシュルームに他の生物のDNAをいっさい加えていない。むしろその小変化は、マシュルーム自身の遺伝子で起きている。

CRISPRはかなり新しい技術だが、バイオテクノロジーの分野に新しい生命(いのち)を与え、明らかに規制をめぐる疑問を喚起している。USDAは、自分のDNAを改変した作物を問題視するのだろうか?

過去5年間で30件の、何らかの形で遺伝子編集技術が関わった作物が登場したが、マシュルームはその一つにすぎない。しかしこれまでのところ、答はノーである。

APHISはペンシルヴェニア州立大学宛の4月13日付けの書簡で、マシュルームは確実に規制検討の対象外だ、と確認した。

USDAは次のように声明している: “APHISにはCRISPR/Cas9ホワイトボタンマシュルームが有害植物であると信ずべき理由がない。したがって、同様の質問状に対する前回の応答と同じく、APHISはCRISPR/Cas9により編集されたホワイトボタンマシュルームが、2015年10月30日の貴書簡に記述されているように、連邦規則集第340部により規制されるべきとは見なさない”。

Yang博士は今、彼のマシュルームの企業化の可能性を、思いめぐらしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

血液検査で疑惑のTheranos、当局が免許取り消しとファウンダーElizabeth Holmesの2年間就業禁止を検討

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Theranosは近くホームレス化するかもしれない。連邦規制当局は ファウンダーのエリザベス・ホームズを血液検査業務への就業を2年間禁止し、カリフォルニアの同社の免許を取り消すことを検討している。

このニュースはWall Street Journalで最初に報じられたが、保健社会福祉省のメディケア・メディケイド・サービス・センターは、3月18付書簡で免許取り消しとホームズの就業禁止に加えてプレジデントのSunny Balwaniが医療関係企業を所有、運営することを少なくとも2年禁止するという制裁の意向を明らかにしていた。

業務が禁止される地域にはカリフォルニアとアリゾナの両州が含まれる。取り消される免許はカリフォルニアのニューアークとパロアルトの施設だ。Theranosが運営能力と情報公開における正確性の改善の要求に応えることに引き続き失敗するなら、これらの制裁が実施される運びになるといいう。

こうした制裁は現在90億ドルに評価されている同社にとって大きな経済的打撃となる。 Theranosは調達した資金が7億ドルほど銀行にあるはずだが、業務の運営にあたっては2つのラボからの売上が大きな役割を果たしていた。同時にファウンダーとプレジデントが追放さればTheranosは回復不可能な状況に陥る可能性がある。

書簡は一般に公表されたものではないが、そのコピーはWSJのこちらの記事に掲載されている。

これによるとCMSはTheranosに書簡の日付から10日間の猶予を与えている(この期限は数週間前に過ぎている)。

昨年6月1日から9月21日の期間で、Theranosは医療機器の操作にあたって資格をもち正規の訓練を受けた人材を当てることを怠り、無資格の社員に血液検査の結果を読み取らせ、検査結果の正確性を確保するため機器のメーカーが文書によって指示した正しい操作方法によるカリブレーションを行わなかった。

Theranosは2月にこれらの点を改善する計画を発表したが、3月18日の書簡でCMSは「これまでのTheranosの対応は不十分である」としている。

先週、TheranosはTechCrunchのインタビューに答えて「問題点を改善することをCMSに約束した」と述べていた。これにはニューアーク施設に正規の資格をもった新しい責任者を任命することも含まれていた。

Theranosは連邦当局による制裁を免れるために、同社が十分な対応を行ったことを証明しなければならない(制裁措置には、指示に従わなかった1日ごとに最高1万ドルに上る罰金も含まれる)。

Theranosの広報担当Brooke BuchananはTechCrunchに対し「CMSは現在制裁を実行していない。Theraosは3月18日の書簡に対して10日以内に適切に対応ずみだ。〔CMSの書簡はこうした場合に〕通常の手続きにすぎない。いずれにせよ、制裁が現に実行される場合を除いて、純粋に仮定の話題だ」と述べた。

画像: Mate Marschalko/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

EmoWatchは、Apple Watchであなたの気分が :) か :( かを教えてくれる

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Siriは様々な仕事をうまくこなすが、あなたが元気かどうかはあまり気にかけない。今日(米国時間4/10)公開されたEmoWatch,は、iPhoneとApple Watchの新しいアプリはそこに注目し、人の感情の状態を追跡する。

The EmoWatch app identifies and tracks users's emotions from their voices, regardless of language, by analyzing vocal properties

EmoWatchアプリはユーザー声で感情を分析する。言語によらず音声の性質だけを分析する。

基本的にEmoWatchは、Smartmedical CorpEmpath技術を紹介するためのデモアプリだ。「アプリ」とは言ったが、あまり高度なものではない。iPhoneアプリは、かろうじて使えるというレベルだ。正直なところ、よくiTunes App Storeのレビューを通過したと思うが、一応やるべきことはやる。Apple Watchと接続して、一日の気分を(グラフで)表示する。文字通りそれだけしかしない。Apple Watchを持っていない人は混乱するに違いない。なぜならiPhoneアプリからは何をすべきか全くヒントが与えられないから。

究極のミニマリズムが私を魅了したことはたしかではある。

殆どの魔法はサーバー側の見えない所で起こっている。まずユーザーの声をサンプリングする。2~3秒間、一文を読み上げるかどうかの短い時間でよい。次にその音声データを、抑揚、高さ、速度、音量等いくつかの面から分析する。

この技術は純粋に人の声だけを見るもので、使う単語にはよらない。アプリは、4つの「次元」で感情を測定する:喜び、悲しみ、怒り、冷静。理論的には、どんな言語履歴を持つユーザーにも適用できると同社は言っている。

アプリも興味深いが、私はEmpath APIがデベロッパーに公開されていることの方に注目している。APIは、話者の気分をリアルタイムでフィードバックするもので、いくつも面白い応用が考えられる。もしこの技術が正確なら、このAPIは既存の様々健康監視アプリにとって重要な追加機能となり、さらに多くの利用場面が想定される。この技術はロボティクス(ロボットが皮肉を理解するのを手助けするのだろうか)やコールセンター(顧客の怒りの程度を検出する等)でも利用されている。

もちろん、この分野で戦っているのはEmpathだけではない。Good VibrationsBeyond Verbalも類似の機能を提供しているが、私の知る限り、いずれもEmpath APIほどのリアルタイムフィードバックは提供していない。

正確性に関しては、気分分析技術がどこまで機能するのか、詳しくテストすることはできなかったが、概して大きくは外れていなかった。今日私はややストレスを感じていたが、アプリはそれを検出して、私が元気一杯ではないと判抽した。本稿を書いている間私はGrapefruit Sculpinを飲み、リラックスして音楽を聞きながら仕事をしている。そしてこの記事の「公開」ボタンを押せば週末だ。アプリが私の気分を申し分ないと報告するのも当然だ。

【日本語版注:開発元のSmartmedical Corpは日本企業】

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「計るだけ」ダイエットの先をいく(?)、「自撮りする」ダイエット

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体重を減らしたいと考えている人は多い。理想の体重に近づくために、頑張ってライフスタイルを変える人もたくさんいる。ただ、そうしたチャレンジにとって、成果がすぐに体感できないということが高いハードルとなることがある。体重の変化は一般に徐々に、ゆっくりとあらわれるものだ。努力の結果が目に見えにくいことに苛立ち、そして未来に向けた努力を諦めてしまう人も多い。そんな人に対して、単純でありながら効果的な支援を提供しようとするのがProgressだ。

このアプリケーションの制作者も、やはりフィットネスの成果が目に見えないことに苛立った経験があるのだとのこと。ジムに通っても変化が目に見えず、継続へのモチベーションを失ってしまいがちだったのだと言う。そういう経験を踏まえて、フィットネストレーニングの成果を目に見えるようにするための仕組みが必要だと考えたのだそうだ。

アプリケーションの登場をまたず、「成果が見えない」という問題に自力で対処しようとしている人もいる。すなわち自分の姿を写真におさめて成果を確認しようとしているのだ。しかし写す角度のちょっとした違いなどによって、見える印象が全くことなってしまったりもする。結局、自身の身体にどのような変化が生じたのかがわからなくなってしまうのだ。

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iPhoneアプリケーションとして登場したProgressは、基本的にはその仕組みを可能な限り効率的にしようとするものだ。自撮り写真を撮るという方法自体は同じながら、アプリケーションでは前日の写真がうっすらと表示されるようになっている。それによって、前の日と変わらぬ角度で写真を撮ることができるようになっているのだ。

さらにProgressはAppleのHealthKitとも連携しながら体重管理をすることもできるようになっている。すなわち、HealthKit対応のスマート体重計を使っているのなら、体重データは自動的にProgress側にも記録されることとなる。

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データを15日間にわたって記録すると、Progressがそれまでの写真を組み合わせて、身体の変化具合を示す短いビデオを作ってくれる。このビデオは友だちとシェアして変化の具合を自慢するようなこともできるし、もちろんひとりで眺めながら、乗り越えてきたハードワークに耐えた自分を褒めたりするような使い方もできる。

こうした類のアプリケーションがないわけではない。App StoreにはSnapTrack、Fitness Progress Photos、Selfit、Fitstream、Transformation Suite Progressなどといったアプリケーションが登録されている。違いといえば、このProgressがシンプルに体型変化の記録をしようとしているところにある。他のアプリケーションは、たとえばウェイトリフティングや、あるいはより広範な健康管理の一環としてフィットネスの進捗具合を管理しようとするものが多いのだ。そのシンプルな目的ゆえに、アプリケーションの使い方も非常にシンプルでわかりやすくできている。

アプリケーションは無料でダウンロードできる。ただし「プロ」モードで使用するには、アプリ内課金が発生する。

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(翻訳:Maeda, H

Googleがジカ熱情報を検索に加え、UNICEFとパートナーして世界の発病地域を同定努力中

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Zika virus(ジカ熱ウィルス)が南米から世界へと広がりつつある。しかしそのほかの広域的疫病と違って、発病とその地域を同定することが意外と難しい。Googleは今日(米国時間3/2)、同社が今UNICEFと協働してプラットホームを構築し、そこにさまざまなソースからのデータを集めて、発病の可能性を予測し地図に落とす作業をしている、と発表した。

Googleの通常の検索エンジンでも、このウィルスに関する情報を充実し目立たせる努力が行われている。またGoogle.orgはUNICEFへの100万ドルの寄付を行い、それにより診断技術やワクチンの開発を一層促進してもらうことになった。

Googleによると、UNICEFとの協働には技術者、デザイナー、そしてデータサイエンティストたちのボランティアのチームを当て、UNICEFが伝染のリスクを同定できるための、新しいプラットホームも作っている。また、“UNICEFや各国政府やNGOたちが、彼らの時間とリソースをどこにどのように向けるべきかを決断できるための手助け”も、やっている。今Googleのそのツールはジカ熱に焦点を当てているが、今後の疾病の発生にも役立つようなプラットホームを構築することがねらいだ。

Google.orgのディレクターJacquelline Fullerは今日、次のように書いている: “人びとの情報発見を助けることを使命とする企業としてわれわれは、大量のデータを分析する経験を大量に積んでいる。そのためわれわれは、そのスケールとスピードにおいて、援助を提供するのに適した位置にいる。そこで今日われわれは、GoogleのエンジニアたちをUNICEFと協働させてデータを分析し、ウィルスの発生地域とその今後の予測努力に助力を提供している。また弊社のプロダクトもアップデートして、ジカ熱の情報によりアクセスしやすいようにした。UNICEFには100万ドルを寄付して、彼らの、ネット上ではなく地上における努力を支援している”。

もちろんGoogleはすでに、検索結果のページのサイドバーに、大量の保健医療データを載せている。しかし今日のアップデートにより、ジカ熱に関するさらに豊富な情報を16の言語で表示している。これには、ウィルスによる症状の概要や、新たな情報で随時アップデートされる公共的な健康情報、などが含まれている。

同社によると、Sesame Streetなど、何名かの人気YouTuberたちとも協働して、ジカ熱とその予防に関する知識を広める努力をしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スマートベッドのEight(元Luna)がシリーズAにこぎつけ$6Mを調達、クラウドファンディングの予約好調

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Eight、元の名Lunaが今日(米国時間3/2)、シリーズAで600万ドルを調達したことを発表した。

同社が作っているスマートマットレスカバーは、ユーザーの睡眠をチェックして、カバーの各所の温度を適切に調節し、そのデータをそのほかの、インターネットに接続されたデバイスに送る。同社によると、クラウドファンディング段階の予約販売で6000台売れたそうだ。

協同ファウンダーでCEOのMatteo Franceschettiによると、予約注文した人の多くが、睡眠チェックデバイスを装着したくない、という人たちだった。“ウェアラブルを持ってる人でも、夜には外していたい人が多い。うちのような、装着する必要のないデバイスは、これまでなかったからね”、と彼は語る。

Eightの次のステップは、予約ぶんの製造と発送だ。それが春には終わる予定なので、スマートカバーの一般発売を夏から行う。

シリーズAの投資家は、Y Combinator, Yunqui Partners, Azure Capital, Cota Capital, Comcast Ventures, Vast Ventures, スタンフォード大学のStartXインキュベータ, Galvanize Ventures, そしてYCのパートナーでScribdの協同ファウンダーJared Friedmanだ。

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自然食お届けのHungryrootが急成長の勢いで$3.7Mを新たに調達

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ブラックビーン(黒インゲンマメ)で作ったぶどうパン、ヒヨコマメで作ったクッキーなど、一風変わった食品を得意とするHungryrootは、昨年ニューヨークでローンチした、菜食/自然食品のミールキットを製造販売するスタートアップだ。ミールキット(meal kit)とは、一パッケージで一人一回分の食事が成り立つような加工食品のことだが、同社の製品は7分以内で食べられる状態になる。

立ち上げ直後から急成長したHungryrootはこのほど、Lightspeed Venture Partners, Lerer Hippeau Ventures, Crosslink Capitalなどから追加資金370万ドルを調達し、調達資金の総額が600万ドルになった。

“今こそ、事業を加速すべきタイミングだ”、とファウンダーでCEOのBen McKeanは語る。同社の製品はすでにAmazonで買えるが、今後は自然食品専門のスーパーマーケットWhole Foodsへの進出をねらっている。

Blue Apronなどと同じく、Hungryrootも完全に一人一回分の食事内容が一個の製品を構成する。でも会費制ではなくて、一種の、“健康に良いインスタント食品”のようなイメージ、ないし位置づけだ。

McKeanによると、ほかのオンデマンドなどの食品配達サービスは“食べ物を人びとに届ける方法のイノベーションだった”が、Hungryrootは、“人びとに届ける食べ物のイノベーションだ”、という。

CEOのおすすめは、メープル・ヒヨコマメ・パンケーキ・バッター(maple chickpea pancake batter)とアーモンド・ヒヨコマメ・クッキー・ドー(almond chickpea cookie dough)とスイートポテト・カカオムース(sweet potato cacao mousse)だ。私はブラックビーン・ブラウニーが好きだが、その原材料はアーモンドバターとスイートポテトと完全植物性のチョコレートチップを使っている。そのバッターは、全体として‘本当の本物’という味だ。〔バッター(batter)とドー(dough)は焼く前の生地。〕

Lightspeed Venture PartnersのJeremy Liewは曰く、Hungryrootに投資したのは、同社の思想や製品が“The Honest Companyにとてもよく似ている”からだ。Liewはこの、Jessica Albaの有機指向の企業にも投資しているが、こちらは今や10億ドル企業だ。“最近では消費者の健康意識が高まり、良質な食べ物を選ぼうとしている”、と彼は語る。

Hungryrootは昨年のシードラウンドで、Brooklyn Bridge VenturesやMesa Ventures などから200万ドルを調達している。

CEOのMcKeanはこう言う: “ Hungyrootのクッキーを食べたら、もう二度と、そこらのふつうのクッキーを食べる気にならないよ”。

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ソイレントのキャップシールは、CDケース以来の剥がしやすさ

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私はSoylent信者である。個人的に私を知っている人には、理解しがたいことだろう。なにしろ、好物はパンとチーズであり、Crunchiesアワードの最優秀スタートアップはSeamless[*] が毎年永遠に受賞すべきだと思っているような人間だから。[* レストラン料理の宅配サービス]

私のSoylentへの愛 ― その味と私のメンタル、フィジカルのエネルギーに対する総合的効果の両方 ― は、この新しい食品がどれだけ革命的であるかの証拠になるだろう。〈私〉が毎日一食をSoylent 2.0の1瓶で置き換えられるなら、〈誰でも〉できるだろう。

しかし、当初私がSoylentに興味を引かれたのは、味でも効能でもない。それは、利便性だった。

利便性はSoylentの大きなセールスポイントだ。食べ物を買い、料理をし、レストランへ行き、あるいは食事をする代わりに、Soylentをちびちび飲むだけでいい。日々の仕事をこなすように。

これは、仕事をしながらの朝食や昼食に最適だと私は思う。体謝を高め、満腹になっても眠気に襲われず、脳を活気づかせてくれる。それでいてデスクの上ではコーヒーカップほどの場所もとらない。

しかもSoylentを買うのもこの上なく便利だ。ネットで注文、配達を受け取り、箱を開ける。

それだけ効率と利便性を追究した商品なら、Soylentのボトルを開けるのも効率よく便利だと思うだろう。しかし、不条理ながら、それが違うのだ。

ボトルのフタに被さっているプラスチックは、Nesquikミルクのボトルを覆っていたプラスチックを彷彿させるが、あんなに良いデザインではない。このプラスチックカバーは、切り取り線通りに破れない。

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プラスチックを手でほんの少しずつ剥がしていかなくてはならず、Seamlessで料理を注文すればよかったと思うほど時間がかかる。

最近私は、フタごと回せば、プラスチックカバーをつけたまま、フタとカバーを一緒に外せることを発見した。しかし、この手のどうでもよいことに執着する気持ちが私の1/100でもある人なら、外したフタからプラスチックを外そうと苦悩している自分に気付くだろう。

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ちょっと待った!まだある!

剥がしてフタを外した後、〈もう一つ〉除去すべくプラスチックの層が待っている。

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私は物を新鮮に保ち、食品が損われないよう万全を期している。おそらく、こいつのプラスチックが、古いCD以上に剥がしにくい理由もそこにあるのだろう。

しかし、Soylentにとってデザインが重要であることもまた明白である。この瓶を見てほしい。実にシンプル、実にエレガントだ。

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ではなぜこのボトルのユーザー体験はこれほど困難なのか? まともな切り取り線を付けたプラスチックは使えないのか?内側のプラスチックには簡単なポップタブは付けられないのか?

私が細かすぎることは承知している。しかしこの便利なテクノロジーと新たに開発された食品でいっぱいの素晴らしき新世界は、当然のように私を幼児化し甘やかした。こんな私にしたのた、Soylent、あなたなのだ。

というわけで、お願いだから、全顧客と私のために、Soylentのボトルを開けやすくしてほしい。それを買って、飲んで、消化するのと同じくらい簡単に。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

女性医療スタートアップのCelmatixと23andMeが、不任の原因遺伝子を共同研究

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何十万年も前から、人間は遺伝システムの中で人間を作ってきたを考えると、遺伝子の中に人間の赤ちゃんを作る能力を阻止するものがあるというのは、反進化論的に思える。しかし、ある種の遺伝子がやっていることは、まさにそれであり、女性医療のスタートアップ、 Celmatixと、現在彼らと共同研究している23andMeは、その理由を見極めたいと思っている。

Celmatixは、一定のデータポイントに基づき、当て推量でなく妊娠する方法を研究しているが、そのデータは不妊に関する注目すべきデータを発見する可能性を秘めている。ファウンダーのPiraye Yurttas Beimは、何世代も受け継がれてきた休眠遺伝子が、新たな理由で不任の原因になっているかもしれないと言う ― 多くの女性が出産をかつてない期間遅らせているためだ。

「そこから全く新しい種類の要因が生まれる」とBeimはTechCrunchに語った。彼女は、高齢女性の妊娠に影響を与える子宮内膜症や卵子数の減少といった様々な要因についてスラスラと語った。「われわれは、これまで経験したことのない領域にいる」と彼女は言う。

しかし、遺伝に関してその領域の大部分は未知である。15~44歳の女性の約12%が妊娠、あるいは出産予定日まで赤ちゃんを身ごもることに問題を抱えているとCDCは報告している。生殖能力の問題がすべて女性の子宮に起因するものではないが ― すべてが遺伝的要因でもない ― 研究が進むにつれ、不明点は解消されていくだろう。

23andMeは、今後Celmatixを手助けする良きパートナーになるに違いない。消費者向け遺伝子企業である同社は、長年にもわたりわれわれの唾液サンプルから膨大な量のデータを集めてきた。その中には、Celmaticの研究者が女性の不任原因を解明するためのデータがあるかもしれない。

この協力によって、早期スクリーニングテストの開発も可能になるだろう。こうしたテストは、産婦人科医が女性の卵巣機能の早期減退リスクを判定するのに役立つ。卵巣機能は、不妊だけでなく広範囲な健康問題に関わっている。

23andMeにとってのメリットは何か?Celmatixは、生殖に関連する遺伝バイオマーカーを既に5200種類発見したと言っている ― 23andMeは将来同社のプラットフォームでその情報を研究者と共有することができる。あるいはFDAが認めれば消費者とも。

「Celmatixは、6年間にわたり世界トップクラスの不妊治療センターと協力して、不任治療の診断に劇的な影響を与える新種の遺伝バイオマーカーを検査、検証、発見してきた」とBeimは言った。「この協力によって、23andMeの研究コミュニティー優れた取り組みを活用して、さらにこのプロジェクト加速することができる」

The FDAは昨年9月に、23andMeがキャリアステータス情報を顧客に提供することを許可し、そこには36種類の疾病の情報が含まれていた。現在同社は、唾液サンプルを提供した消費者にそのデータを提供している。新たな不妊治療情報が一般に公開されるかどうかは、まだわかっていない。23andMeは、「将来消費者に提供する医療関連情報についてFDAと検討する」予定だと話している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

睡眠時の子どもの夜驚症の発生を自動的に防ぐ小さなデバイスSleep Guardianがアップデート

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Lullyをこの前取り上げたときは、このYC出身のスタートアップが210万ドルのシード資金獲得を発表したときだった。もちろんそれは、同社の旗艦製品Sleep Guardianのためだ。このプロダクトは2015年の6月にローンチしたが、今日(米国時間2/9)早くもそのアップデートバージョン、Sleep Guardian Plusがリリースされた。

Sleep Guardian Plusは、子どもの敷布団の下に置く小さなデバイスだ。振動によって不健康な睡眠サイクルを中断させ、夜驚症を未然に防ぐ。それ以外の睡眠パターンは、中断しないようだ。つまりSleep Guardian Plusは、いわゆる計画的覚醒(scheduled awakenings)を自動的に行う。

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ハードウェアとしては、Bluetoothモジュールの位置を変えることによってやや小型にした。

ソフトウェアとしては、次のような改良が行われた:

  • 子どもの睡眠パターンを長時間追跡
  • 睡眠履歴をアプリのダッシュボードで見られる
  • 夜驚症の治癒過程を見られる
  • ほかの人(シッターなど)がスマートフォンからコントロールできる
  • 睡眠学の専門家に質問できる

Lullyによると、同社の199ドル新型機を使えば、子どもの夜驚症の発生がそれまでの20%近くにまで抑えられるそうだ。

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任天堂は睡眠追跡デバイスのプランを睡眠させた(2015Q3決算報告より)

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2014年の10月にNintendoは、これまでの軌道を逸(そ)れて健康指向になり、睡眠時間を最適化するために眠りと疲労をチェックするアプリを開発する、という計画を発表した。しかしその後そのプロジェクトの話はあまり聞かれなくなり、そして今日(米国時間2/4)、この日本のゲーム大手は、そのプランを無期限に睡眠させていたことを確認した。

確かにそのデバイスには、最初の発表のときから関心を惹かれた。そもそもゲームとは無関係なデバイスで、手中に収まるサイズ、ベッドサイドテーブルにのせておくとマイクロ波センサーを使って一晩中睡眠データをモニタする。そしてそのデータを分析し、睡眠と休息のサイクルを改善するためのアドバイスをくれる。

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でも今では、そういった計画やデザインはどうでもよくなった。Wiredの記事によるとNintendoの社長Tatsumi Kimishima(君島達己)は、‘生活の質(quality of life)’デバイスはやめたが、将来そのほかの健康関連のプロジェクトを手がける可能性は否定しない、と確言した*。〔*: 下の発言引用とこの記事文はちょっと違う。〕

Wiredは株主とのQ&AにおけるKimishimaの言葉を英語に翻訳している。それはNintendoの2015Q3の決算報告書に載っている:

〔訳注: 以下は、Q&A記録の日本語原文である。〕

また、今日ご質問が出ていないQOL(Quality of Life)に関してですが、睡眠と疲労のテーマにつきましては商品化できる段階であることを確信していませんので、2016年3月期に(商品として)発売することは予定していません。一方でQOLという領域については、できることがあると思いますので、この分野の事業を拡大していくことは引き続き検討していきたいと思っています。

Nintendoはほかにも多数の活動を抱えているので、今年は多忙だ。モバイルのアプリとゲームにやっと進出しただけでなく、今年の後半には同社の次世代ゲーム機を出す計画がある。いろいろと楽しみだが、しかし今のところ、休息を助けてくれるものはないようだ。

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事実性を重視する健康情報サイトGreatistが3年目を迎え$4.5Mを調達、今後もリーンな経営を目指す

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“最高の幸せのために知るべき真実とできること”を謳うWebサイトGreatistが、シリーズAで450万ドルを獲得した。

2012年に同社を取り上げたときは、“不快くない健康情報”と書いた。ミレニアル世代向けの健康アドバイスだが、編集姿勢が明快で個性的、しかも事実や実際の研究結果に基づいている。

CEOのDerek Flanzraichによると、その後同社は月間ユニークビジター数1000万に成長し、その50%がオーガニック検索から、25%弱がソーシャルネットワークから、という現状だ。収益も、当初の“ほとんどゼロ”から、昨年は、利益が出るまでに成長した。

Flanzraichの言い方では、彼のチームは“意図的に資本効率の良い、外部資本になるべく依存しない形に固執してきた”。なぜなら、ブランドの確立には時間がかかるからだ。

彼は曰く、“シリーズAもやる気はなかったけど、うちと同じ長期的なビジョンを共有してくれるパートナーだからOKした。資本の余裕があればオーディエンスと収益を計画的に増やせるし、失敗を恐れずに新しいことを試せる。そしてブランドのパートナーであるユーザへのサービスも、厚くできる”。

ラウンドのリーダはFloodgate、これにStrauss Zelnick, Andy Russell, John Gardner, David Peckerが参加した。Greatistの調達総額はこれで800万ドルになるが、過去の投資家RiverPark Ventures, Vayner/RSE, Jon Miller, Ramit Sethi, Chris Hughesらも今回のラウンドに参加した。

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モバイルアプリ付き、70ドルの高級お弁当箱Prepd Packが半日でKickstarterの目標額を突破

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毎朝お弁当を作って職場に持っていくことは、もっと簡単になるべきだ。

昼食を自分のお弁当ですませることには、たくさんの利点がある。より‘持続可能’であり、自分の体に入るものを自分で管理でき、お金の節約にもなり、そして多くの場合、とっても健康的だ。

今日(米国時間1/19)はKickstarterに、Prepd Packというお弁当箱が登場した。それは、見た目のデザインと、ユーザのウェストラインを重視する製品だ。料理を区分けするモジュール構造は、いかにもお弁当箱的だが、でもこの“デバイス”は、ちゃちいタッパーウェアに代わって、すっきりとした竹製品を使い、それをマグネットで閉じる。中には丈夫な容器がいくつかあり、ナイフやフォークは、これもマグネットで固定して、ばらけないようにしている。

チームにはCESで会ったし、そのとき完成間近のプロトタイプも見た。そのとき、デザインには相当力を入れていることが、よく分かった。ここまできれいに仕上がっていれば、堂々と会社に持っていけるだろう。

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しかもこれは、おしゃれなランチボックスであるだけでなく、ユーザの栄養チェックもやってくれる。まず、容器はわざと小さめにして、“小分けにする”という目的に奉仕している。鶏の丸焼きなどは、入れられない。

またPrepd Packの付属アプリが、専門の栄養士やシェフが作った、容器にぴったり入る量のおかずメニューのレシピを教えてくれる。また、アプリはiOSのHealth Kitを統合しているので、自分の健康データも見られる。

以上のように、デザイン的にも構成的にもお弁当箱の高級品だから、Kickstarter支援者のためのお値段は50ドルからと、少々お高い。小売価格は70ドルを予定している。今朝(米国時間1/19)ローンチしたばかりのPrepd Packは、ほぼ半日で目標額の25000ドルを超えてしまった。初期支援者への発送は、6月を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。