子供たちのアート作品などを保存するKeepy。サービス拡張を狙って110万ドルの資金を調達

Keepyは、子供のアート作品や通知表などをデジタル化してスクラップしておくためのサービスだ。各データには、いろいろとインタラクティブな要素を付け加えて保存しておくこともできる。このKeepyが、システムの拡充などを目的としてシリコンバレー、ニューヨークk、およびイスラエルの投資家たちから110万ドルの資金を調達した。投資したのはBen Ling、Eyal Goldwerger、Eyal Gura、Magma VenturesのModi Rosen、Petra VenturesのNadav Peres、Winklevoss Capital、Yair Goldfinger、およびYaron Galaiとなっている。

Keepyは、子を持つすべての両親がいずれ直面する問題に対して解決策を提供しようとする。すなわち、子供が幼い頃に生み出すアート作品をどうやってすべて保存しておくのか、そしてまた、そうして保存した作品をどのような方法で祖父母や親戚たちと共有しようかという問題だ。Keepyはそうした「作品」をアップロードする場を提供し、またコメントなども登録できるようにした。Keepyでは、それぞれの登録アイテムを「Memory Playlist」と呼んでいる。

サービスがスタートしたのは1ヵ月と少々前のことだ。しかし提供開始以来、既に5万人以上の会員が利用登録を行っている。登録した人は写真やビデオなどを登録してシェアするだけでなく、寄せられる反応などをきっかけにコミュニケーションも行っている。

「寄せられる反応」というのは、登録されたアイテムに対する、声ないしビデオによるコメントなどのことだ。両親は、子供が自らの「作品」の説明をしている様子を撮影して登録できるし、また閲覧した親族などもそれぞれいろいろなコンテンツを使ってレスポンスを送ることができるようになっているのだ。

また、KeepyにはFacebookと対応し得る要素もある。すなわち全ての登録データがプライベートなものとして扱われるのだ。自分では何の意思表示もできないうちに、両親が一般公開してしまったいろいろなもののおかげで、将来において馬鹿にされるだとかいうこともあり得ないわけだ。

創立者はOffir Gutelzonだ。以前設立したPicScoutは2011年にGetty Imagesに売却している。Keepyを通じて、世界中の子供たちの思い出を管理する役目を担おうと考えている。他にもこうしたサービスが存在する中、集めた資金を使ってどのような展開を見せるのか、今後を楽しみにしてみたい。

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(翻訳:Maeda, H


TwitterのDMが古典タンゴから自由なモダンダンスへ–フォローしてないフォロワーからでももらえる

Twitterが、ぼくのようなジャーナリストや、Twitterを公開とプライベートの両方のコミュニケーションに使いたいと思っている人にとて、とても便利な機能を実装した。このソーシャルネットワークではこれからは、自分のフォロワーの誰からでもダイレクトメッセージをもらえるのだ。自分がその人をフォローしている・いないに関係なく。

これにより、その人(フォロワー)をこっちからもフォローしなくては、その人からのDMをもらえないという、長年の面倒がなくなる。ときにはこのことを、DMハニーポット(蜜壷)として利用するユーザもいた。価値ありそうな情報をちらつかせて、フォロワー数を稼ぐ、という手口だ。これからは、フォロワーの誰からでもDMを受け取れる。そのためにはTwitterのアカウントのメインの設定ページへ行って、次のようなチェックを入れる(下図):


〔日本語版にはないよう(10/15現在)。〕

DMを自分がフォローしている人にしか送れないことには、二つの利点があった。ひとつは、フォローすることの義務化によりネットワークの成長が促されること。しかしもっと重要なのは、プライベートメッセージによるスパムの防止だ。それゆえ、従来のDMは、フィッシングが紛れ込んだり、ヘンな人をフォローしちゃったなんて場合を除き、比較的きれいだった。

今回のオプションを有効にすると、Twitterのインボックスがオープンな草刈り場になる可能性もある。だから、デフォルトでは無効なのだ。でもスパムを適当にあしらうことができれば、これは新しいコミュニケーションチャネルの開通であり、むしろ歓迎すべき変化だ。

出典: Verge.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebookが「名前で検索されない」 オプションを廃止―プライバシー・コントロールの問題点を露呈

「私の名前を検索できる人?」というプライバシー設定をFacebookは正式に廃止した。この設定を利用しているユーザーにはその旨の通知が届くはずだ。この設定を利用していないユーザーに対してはすでに昨年12月に廃止されている。その代わりに「私のコンテンツを見ることができる人」などのプライバシー設定ができるようになった。しかしワンクリックでFacebook検索で名前を検索されないようにするオプションはもはや存在しない。

Facebookにグラフ検索が導入されてから人々のプロフィールを探し出すことが劇的に簡単になった。名前はもちろん住所や趣味など個人の情報の切れ端(すぐに投稿内容も加わるはず)が検索のキーとなる。自分の住所をサンフランシスコだと公開しているユーザーはサンフランシスコでグラフ検索されると浮かび上がってくる。

「私の名前を検索できる人」の設定は実のところ抜け穴がいくつもあって、さほど強固なセキュリティーを提供するものではなかった。その点、Facebookが設定自体を削除したのはユーザーに「偽りの安心感」を与えないという意味では適切だったかもしれない。しかしそれならFacebookはその代わりにもっと強固なセキュリティー設定を提供すべきだった。現状ではセキュリティーは弱まっている。

「私の名前が検索できる人」の設定が廃止された後、ユーザーができることはプロフィール中の個々の要素を手動で非表示にすることだ。これは相当に面倒な作業だ。基本データのページを開いて、多数の要素についてそれぞれ友達、知り合い以外の友達、自分のみなどのオプションを選択しなければならない。

プライバシーを気にするユーザーに念のためことわっておくが、現在アクティブになっているプロフィール画像とカバー画像は常に公開されている。つまり名前以外の情報を一切公開したくないのであれば要素の公開範囲を制限すると同時にプロフィール画像、カバー画像も空白にしておくべきだ。

「私の名前を検索できる人?」の廃止によってストーカーにつきまとわれている人々にとってFacebookの安全性は減少した。なるほどブロック機能を使えば特定のユーザーからのアクセスを禁じることはできる。しかしストーカーが偽名で新しいアカウントを作れば簡単にそのバリヤーを突破できるわけだ。

ここでFacebookの「世界をより結び付けられた場所にする」という使命、金を儲けなければならないという株主に対する責任とユーザーのプライバシーと安全を守るという義務が衝突する。

Facebookは個人情報を一切非公開にするオプションを設定できるはずなのにそうしなかった。名前にかぎらず、あらゆる検索からオプトアウトできるオプションも提供してない。Facebookは友だちがユーザーを検索で発見できなければならない、そしてグラフ検索はなんでも検索できるツールでなければならないと考えている。Facebookはユーザーのニュースフィードへの投稿が広告表示を最大限にすることを望んでいる。そしてそれと引き換えにユーザーの「検索されない権利」が犠牲になっているといわねばならない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Twitter、パーソナライズしたニュース速報を通知するための@Eventparrotアカウントを実験中

Twitterが、ニュース速報を通知するためのアカウントを運用しているようだ。アカウントは@eventparrotという名前で、既に1万名以上のフォロワーを集めている(英文記事公開時は1500名程度であった様子)。アカウントの説明によると、「世界中で発生する興味深い出来事をダイレクトメッセージで送る」ものなのだそうだ。

フォローしてみると、確かにダイレクトメッセージが送られてきた。CNNのニュース速報からの情報を流すもので、すなわちリビアの首相が誘拐されたことを伝えるものだった。

これは、フォロワーや「面白いツイート」のレコメンドをプッシュ通知する@magicrecsによる実験と同じようなスタンスで運用されているのだろう。ちなみにこの@magicrecsのアカウント説明には「Twitterによる実験アカウント」と記されていた。その後、広く評判を集めるようになり、モバイルアプリケーションの機能として取り込まれることになった。

今回紹介している@eventparrotが、Twitterオフィシャルな実験アカウントなのかどうかはまだわかっていない。たいていの場合、Twitterは実施中の実験についてあまり言及しないのだ。しかし、このアカウントはフォロワーを個別に認識していて、各フォロワーの興味に応じたニュース速報を送ってくるようになっているようだ。フォロワーを覗いてみると、最初の方のフォロワーはTwitterの社員ばかりだ。もちろんこれは驚くべきことではない。きっと彼らが、アルゴリズムの進化のためにいろいろと手を入れていったのだろう。

このアカウントが、Twitterの本気のプロジェクトなのかどうかについて明言できないことについてはご容赦いただきたい。しかしおそらくはきちんとした実験アカウントなのだと思う。フォロワーに対して、パーソナライズしたニュース速報を送るという手間を払っている点でも、本気度が伺えると思うのだ。但し、あくまでも「実験」段階であるので、@magicrecsのような人気が集まらなければ、いつの間にかどこかに消えてしまうということにもなるだろう。

もちろん、人気を得ることになれば@magicrecsと同様に、標準状態でも@eventparrotによる通知機能が使えるようにしていくのだろう。先週も記事に書いたが、Twitterはサービスのパーソナライゼーション(個別化)を実現すべく、いろいろと試しているところであるようだ。今回導入された@eventparrotも、同じ方向にあるものだと言えよう。

上場を控えたTwitterは、収益をあげる方法と快適な利用環境、そして新規利用者の獲得といった中で最適なバランスを実現する方法を模索しているところだ。TwitterのS-1書類にあった利用者数の頭打ち傾向は、外部メディアをTwitterに取り込もうとする方向にばかり気が向いてしまったからではないかと考える。Twitterはもう少し自らが提供するエクスペリエンスの充実を目指して良いのかもしれない。Twitterを使っても、他で見ることのできるビデオや写真を見るだけなのであれば、わざわざTwitterを使う必要はないわけだ。いろいろと見なければならないネット情報もある中、Twitterに時間をかけようと思う人はいなくなってしまう。しかしTwitterが、そのサービスの中で生まれる面白そうな情報を、各利用者毎に提供してくれるようなことになれば、ぜひともTwitterを使っていたいという気持ちが一層強くなっていくわけだ。

これから@eventparrotがどのように成長するのかについては気を配っていきたいと思う。ちなみにこのアカウントの存在は@magicrecsからの通知により気づいたのだった。

Image Credit: Auckland Photo News

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(翻訳:Maeda, H


Instagramはダイエットにも効果あり?!(あるいは人類の進化について)

ダイエットを考えている人にはぜひ読んでもらいたい。

ご存じのようにInstagramには、食べ物の写真が数多く登録されている。そしてJournal of Consumer Psychologyで発表されたBYU(ブリガムヤング大学)の最新の研究によると、食べ物写真を見ることは、その写真の食べ物に対する食欲を減退させる効果があるのだそうだ。

発表によれば、実際には食べなくても、食べ物の写真を見るだけで、その食べ物に対する欲求が抑えられるとのこと。すなわち実際に目の前に出された時、あまり魅力的に感じなくなってしまうのだそうだ。

今回の実験が行われた方法を見ておこう。BYUのRyan Elder教授とJeff Larsonは232人の被験者を集めて、料理写真の評価を行わせた。被験者の半分には塩味の効いた食べ物の写真を扱わせ、あとの半分には甘いものの写真を見せた。そしてそれぞれが写真を見てレーティング作業を終えた段階で、ピーナツを供したのだ。

すると塩味の食べ物を見ていたグループは、ピーナツ自体は写真になかったにも関わらず、ピーナツに興味を示さなかったのだ。塩味の料理写真を数多く見ることにより、十分な塩を味わった感じがしてしまったのだ。実際に口には入れていないのに、感覚的には充分であると感じてしまったわけだ。

もちろん、ほんの数枚の写真では効果は現れない。店で食べ物の写真を撮って共有したからといって、営業妨害に問われることはなさそうだ。

「効果が現れるのは相当数の写真を見たあとのことです」とElderは言っている。「2、3枚の写真を見てもう十分だと感じるようなことはありません」。

さて、本題は以上だが、この調査レポートから得るべき内容とは何か。

もちろん「大いなる希望」を読み取るべきだ。動物世界の一員であるにも関わらず、私たちの食生活というのはずいぶんと奇妙なものとなってしまっている。動物たちは、基本的には生きるために食べる。そしてその生きるための食べ物こそ、彼らにとって美味であるわけだ。生きるのに必要なだけ食べ、そして食べた分はしっかりと消化して、エネルギーに変える。

一方で私たちは、素材をいろいろと料理してさまざまな化学調味料を加えてから食すようになっている。そして、アメリカ人はあきれるほどの肥満大国になってしまったのだ。美味しそうなものを見かけると、まるでその時こそが最期のチャンスになるとばかりにむさぼり食う食事習慣を持ってしまっている。そうしておいて、またしばらくすると食事の時間だと、レストランに向かうのだ。

ところで現在の私たちは、美味しそうなものを見ると写真に撮って共有しないと気が済まない状態になりつつある。これはすなわち、食べ物との付き合い方を考え直せという神の啓示なのではないだろうか。別の言い方をすれば、人類は進化しようとしているのだ。食べ物の写真を見れば食欲を抑制できる。近々、Instagramの#foodpornハッシュタグは、新しい「治療方法」としてメディカルジャーナルに掲載されることになるに違いない(めでたしめでたし、と、話を終えておきたい)。

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(翻訳:Maeda, H


目の前の様子を30秒毎に撮影し続けるライフロギングカメラのMemoto、名前をNarrativeに変更して世界にうって出る準備は完了

スウェーデンのMemotoにとって、Kickstarterの活用は大成功だった。調達目標額の11倍にものぼる額(55万ドル)を調達して、無事、ライフロギング用カメラの生産を開始した。このカメラは身につけて使うことを想定している小さなデバイスだ。カメラ本体にボタンはなく、身につけている間、目の前の写真を撮り続ける。但しこのカメラ、これまでのMemotoの名前を捨て、新たにNarrativeとして世に出て行くことにしたようだ。調達した300万ドルの資金で運営を行っていく。資金を調達して、そして名前を変えて、新たな気持ちで世界に打って出る、という心づもりなのだそうだ。

実のところを言えば、同一ジャンルのサービスで、既にMemotoという名前が使われていることが判明したようなのだ。商標絡みの争いに巻き込まれることを避け、Narrativeという名前に変更することにしたというわけだ。潜在的な危機を回避したことで、今後は大手を振ってプロモーションも行えるようになった。また名前を変えることで、カメラ以外のプロダクトにもサービスを広げやすくなったと、肯定的にとらえておいて良いのではないかと思う。

カメラの名前は変わったが、しかし外見は以前から変わらない。プレオーダーをしている人も、ちゃんとイメージ通りのものが届くので心配はいらない。プロダクトは予定通り、そして会社にはKickstarterで獲得した資金以外にも資金が注入された。サンフランシスコのTrue Ventures主導による300万ドルのラウンドが完了したのだ。True Venturesはこれまでにも、MakerBotやFitbitなどのハードウェアスタートアップに資金を提供してきた。そういえばNarrativeはフィットネス部分以外について「データ化」(quantifying)する目的があるわけで、Fitbitに似ていると言えるかもしれない。ちなみに今回のラウンドにはLDV CapitalおよびロンドンのPassion Capitalも参加している。Passion CapitalはこれまでにEyeEmやLoopcamにも出資した経験を持っている。

Narrative Clipは、11月から予約購入者に向けて出荷される。また、初期ロット版もグレイ、ホワイト、オレンジに関してはまだオーダー可能となっている。このカメラは30秒毎に写真を撮り続ける。そして位置情報や時刻情報と一緒にネットワーク上にデータを送る。後にサイト上から閲覧したり共有することができるようになっている。写真は5メガピクセルで、バッテリーは充電式で2日間動作するようになっている。

Kickstarterで人気を集めたプロダクトの名前を変更するというのは、確かにある面ではマイナスであったかもしれない。しかしライフロギング用のカメラというのは、まだまだ新しい存在だ。おまけにまだ出荷すらしていない状態だった。そういうことを鑑みるに、名前の変更がマイナスの要因となるようなことはないと言っても良いだろう。ワーキングプロトタイプで撮影した写真を見ると、こうした「自動撮影」によるソーシャルフォトというのもなかなか面白いものとなるケースが多そうだ。きっとあらゆるケースで使ってみようとするであろう最初のユーザーたちが、どのように使うのかを楽しみに見てみたいと思う。

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(翻訳:Maeda, H


2億1800万のTwitter利用者中、Twitterフィードを見ない人(Blind-Tweeters)の割合は?

ウェブを介して行われるコミュニケーションの「バックボーン」となることには、プラスの面とマイナスの面がある。Twitterはいろいろなサイトから情報を取り出してきて多くの人と共有するために使われている。しかし他サービスからの情報を「流す」(共有する)用途で利用している人は、Twitterのサイトを訪れる必要もない。すなわちTwitterサイトに掲載する広告を目にすることもないのだ。

既におわかりのように、広告の提示機会を失っていることがTwitterにとっての問題となる。2億1800万の利用者のうち、こうしたTwitterサイトを経由しない利用者(blindtweeter)がかなりの割合にのぼるものと思われる。

TwitterはS-1書類の61ページにて「アクティブユーザー」にはサイト訪問者およびモバイルアプリケーションの利用者のみでなく、ログインして外部のアプリケーションないしサイト経由で利用している人も含むと記している。そうした人々もTwitterにコンテンツを送り込み、そしてそのコンテンツのフィード中には広告も表示される。すなわち、そうした人々もTwitterの売上げに貢献しているのだと言うことはできる。但し、そうした人々自身は、Twitterの提供する広告を目にしてはいないことも事実だ。

言うまでもなく、サイトを訪問せずにTwitterを利用する方法は無数にある。多くの人がブログに投稿したり、Tumblrを更新したら、自動的にツイートが流れるようにしている。Facebookへの投稿を自動的にTwitterに流している人もいる。IFTTTなどのツールもあり、さまざまな方法で外部サービスと連携させることができるようになっている。上場云々が無関係な時期であれば、ともかくコンテンツを増やすというのが大事なことではあった。もちろん現時点でも大事なことだろう。ただ、「無意識」のうちにTwitterを使う人が多い中、Twitterの「商業的価値」を実際以上に大きく見せてしまうということはある。

「Twitterは全く利用していないけれど、Instagramのフォードは流すように設定している」という人もいる。実のところInstagramのフィードを流す人というのが、Twitterにとっては痛し痒しの存在になってもいる。InstagramはTwitter Cardsのサポートをやめてしまっていて、Twitter上にInstagram関連の投稿が流れても、写真を見ることはできないのだ。写真を見ようとする人は、Twitterから離れてInstagramのサイトに飛ぶことになってしまうのだ。つまり、ここでも広告の表示機会を失うこととなってしまう。

Twitter自身も「他アプリケーションからTwitterを利用していて、Twitterからの広告を目にもしない利用者」を「リスク要因」としている。但し、こうしたタイプの利用者割合については明らかにしていない。もし、Twitterのマネタイズに寄与しない(寄与する率の低い)利用者が非常に多いようだということになれば、上場を行う前にきちんとした数値を明らかにせよという圧力が強まることになるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook、ロックスクリーン・アプリにFlickr、Pinterest、Tumblr、Instagramのコンテンツを追加

9月のTC DisruptでFacebookのCEO、Mark ZuckerbergはAndroidのロックスクリーン・アプリ、Facebook Homeの改良について「Facebook以外にInstagramその他サードパーティーのコンテンツが近く表示されるようになる」と述べた。

そして今日(米国時間10/3)、Flickr、Pinterest、TumblrそしてFacebook傘下のInstagramの写真がFacebook Homeに表示されるようになった。このアップデートはまず最初にAndroid版のベータテスター向けに公開された。Facebookはベータテスターの数については明らかにしなかったが、広報担当者は「なるべく早く一般公開したい」と語った。

Homeアプリをもっと便利にすることでユーザーを増やしたいといのがFacebookの狙いだろう。Google Playストアの表示では、今のところこのアプリのインストール数は100万から500万の間となっている。TC DisruptでZuckerbergも「普及が期待しほど速くない」と認めた。

Homeは4月にローンチされてすぐに100万ダウンロードを記録したが、その後は伸び悩んでいる。またAT&TがHomeをプレインストールしたHTCのAndroidスマートフォンを発売する計画を取りやめるなど、キャリヤの関心も薄れた。

しかしZuckerbergはHomeの普及に関しては依然強気で、機能を拡充すればFacebookの「壁に囲まれた庭」を確立するのに役立つと考えているようだ。

今回のHomeアプリの使い方はこうだ。ユーザーはHomeの設定メニューからコンテンツを取り入れたいサービスを選び、それぞれのパスワードで一度ログインする。すると以後、それらのサービスはFacebookの一部のように機能する。つまり投稿を見るのはもちろん、「いいね!」をつけたり、リンクから直接サイトを訪問したりできる。

こちらからFacebook Homeの紹介ビデオがダウンロードできる

今回のアップデートで追加されたコンテンツはYahooから2種類、Facebookから1種類、それにPinterestの4種類だったが、将来Facebookはさらに多くのサイトを追加する計画だろう。これはHomeのロックスクリーンをFacebookのタイムラインよりもビジュアル性の高い一種のデフォール・ホームページにしようとする試みと考えると興味深い。一時大騒ぎされたFacebookフォンはどこかに消えてしまったようだが、毎日使われる人気アプリ以上のもの―モバイル・プロットフォームそのものに成長しようとする野心をFacebookは捨てていない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookが投稿本文のグラフ検索をアメリカの一部ユーザーに提供開始―ご用心! 過去、現在のすべてが明るみに

人気テレビ番組についてみんなは何と言ってるだろう? 私の友だちは何と言ってるだろう? 古い写真に私についてどんなコメントがついているだろう?

今日(米国時間9/30)、Facebookが投稿本文のグラフ検索(Graph Search)を一部ユーザーに公開した。対象となったアメリカの英語版ユーザーは1兆件にも上る投稿を自由に検索できるようになる。ありとあらゆる物事について世界がどう考えているかが瞬時に明らかになるとともに、検索できないことによって守られていたプライバシーも過去のものになるだろう。

Facebookがこの1月にグラフ検索を発表したとき、対象はユーザー、写真、場所、興味に限られていた。特定の条件でユーザーや写真を検索できるだけだった。レストランなどのローカル・ビジネス、友だちのお気に入りのブランドなどを知るためには便利な機能だ。しかし国際アクセス、モバイル・アクセス、本文の検索という3つの重要な機能が欠けていた。

それ以後Facebookはグラフ検索のサポートを限定ベータ・ユーザーからアメリカの英語版ユーザー全員へと拡大した。しかしグラフ検索は自然言語の質問文を利用したセマンティック検索なので、多言語化が難しい。またFacebookはモバイル第一のサービスにシフトしているという割には現在まだモバイルからのグラフ検索もできていない。

しかし今日、Facebookは3番目の課題、本文の検索を解決した。グラフ検索でFacebookに投稿されたあらゆる情報、近況からコメント、写真のキャプション、ノート、チェックインまでが検索可能になった。今日この機能が公開されたのはアメリカの英語版ユーザーのごく一部に過ぎないが、私の取材に対してFacebookの担当者が語ったところによると、「ユーザーからのフィードバックによってさらに改良を加えた上で近くすべての(アメリカの英語版)ユーザーに公開する」という。

検索不可能性によるプライバシーの終焉

Facebookの歴史を考えると、グラフ検索はタイムラインの導入が目指した方向の自然な延長線上にあるとわかる。タイムライン以前は過去の投稿を読むにはその友だちのプロフィール・ページを訪問し、何百回も「もっと読む」ボタンをクリックしなければならなかった。これはいってみれば「検索できないことによるプライバシー」だ。ユーザーの過去の投稿は公開されており、理論的にはアクセス可能jだが、探しだすために手間がかかりすぎて現実には秘密にされているのと同じことになっていた。

ところがタイムラインの導入でこうした過去の投稿を表示することが劇的に容易になった。グラフ検索では友だちだけでなくあらゆるユーザーのあらゆる公開情報が検索可能となる。グラフ検索は「検索できないことによるプライバシー」を過去のものにする。なんであれユーザーのFacebook上の発言はすべて検索によって明るみに出されてしまう。酔っ払った、興奮した、鬱だ、などという発言も汚い言葉で罵ったこともすべて白日の下にさらされてしまう。

私は無用に恐怖を煽るものではない。もちろんグラフ検索には便利で面白い面が多々ある。しかしこれを機に自分の活動のログを見なおしてプライバシー上問題がありそうな情報が含まれていないか見なおしておくことをお勧めする。Facebookがグラフ検索の新機能の公開を一挙に行わないのは一般ユーザーに準備の時間を与えるという面があるかもしれない。【後略】

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


とうとうFacebookの投稿が共有後に編集可能になる―ウェブ、Androidは今日にもアップデート、iOSも近日

タイプミスでFacebookへの投稿の傑作を台無しにした経験は誰にもあるだろう。Facebookはとうとう投稿を共有した後で編集する機能を追加する。

ウェブ版とAndroidアプリは今日(米国時間9/26)のアップデートで〔日本版では6:00am現在まだアップデートされていない〕、iOSアプリも近々アップデートされる。以前は投稿の公開後に間違いを見つけた場合、投稿を削除して再度アップするしかなかった。当然ながらそれまでについた「いいね!」やコメントはすべて失われてしまう。今回のAndroidのアップデートでは気分や活動の共有、イベントの一覧などの新機能も追加されている。

投稿を編集するには右上隅の下向き矢印をクリックしてドロップダウン・メニューを開き、「編集」を選べばよい。ただし友だちは「編集履歴」を開けば編集以前のテキストを読むことができる。コメントの上にマウスをもっていく(スマートフォンの場合はタップする)と、鉛筆アイコンが現れるので、クリックすればよい。

ユーザーからの要望が強かったにもかかわらず、Facebookが投稿公開後の編集機能を追加するのをためらっていた理由は、悪質なユーザーが公開後にまったく別の内容に書きなおして他のユーザーを騙すことを恐れていたのだろう。ある投稿に「ジャスティン・ビーバーが嫌いだ」と書いてあったので「いいね!」を押したところ、いつの間にかその投稿が「ジャスティン・ビーバー大好き」に書き換えられていたらどうだろう? 友だちに音楽の趣味を疑われるような破目になりかねない。

しかしFacebookは「編集履歴」を読めるようにしておくことでこういうインチキを防止する対策としては十分だという結論に達したようだ。 コメントの編集は2012の7月から可能になった。またしばらく前からFBページの管理者は写真の説明を編集できる。こうしたテストの結果、Facebookは投稿の編集を許可してもあまり問題は起きそうもないと見極めたのだろう。

Google+は当初から投稿の編集が可能だ。そのためGoogle+は複雑な内容の長文を投稿するのに向いている。

スマートフォンからの投稿はタイプミスをしやすいので、後から編集できる機能はことに便利だ。それに“its”と“it’s”を逆にするような無学な間違いは即刻訂正したいものだ〔日本人はこういう間違いをしないがネーティブはよく間違う〕。タイプミスが原因で少なからぬ数の投稿が削除されていただろうから、そういうことがなくなるのはFacebook側にも多少のメリットがあるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、YouTubeのコメント・システムを全面リニューアルへ―Google+アカウントが必須になる

YouTubeの新しいコメントシステムを使うにはGoogle+を経由する必要がある。Google+は「理屈の上では」重要でも、実際にどうしても使わねばならない場面は少なかった。これが大いに変わることになりそうだ。

Googleは一種のソーシャル身分証明として利用できるようGoogle+をデザインした。Google+以前には、Googleは個別ユーザーについて、メールのやりとりから分かる程度の情報しか持っていなかった。その他ログインした状態でGoogle検索を行えばその履歴も利用できる。Androidのユーザーであればさらに他の情報も得られる。しかしGoogleはユーザーの年齢、教育、職歴、興味、そしてなかんずくソーシャル・グラフについては推測するしかできなかった。

そこで2011年にGoogle+がローンチされた。「ソーシャルネットワーク」という建前だったが、実際にはユーザーから自分自身についての大量の情報を引き出すことが最大の狙いだったはずだ。

しかし当時すでにFacebookとTwitterが地位を確立した後で、この出遅れは大きかった。

だが、われわれがかわいいネコや最新の音楽ビデオを見ようと思えばYouTubeを訪問するしかない。VimeoやDailymotionには悪いが、YouTubeとは比較にならない。そこでGoogleは昨日(米国時間9/24)、近くYouTubeを楽しむにはGoogle+アカウントが必要になると発表した。

つまりYouTube (それにBlogger)のコメント・システムが完全にGoogle+ベースに移行するというのだ。今後コメントするには必ずGoogle+アカウントが必要になる。

ユーザーのメリット…

ユーザーにとって第一のメリットは悪名高いYouTubeのコメント荒らしをかなりの程度防げることだろう。ヘイトスピーチやいやがらせなどのためにその場限りの使い捨てアカウントを作って書き込むろくでなしが大勢いる。もちろん今後も偽名でGoogle+アカウントを作ることはできるが、荒らしのコメントをするためにいちいち偽アカウントにログインしなければならないのは手間だから、やはり抑圧効果が期待できる。

またGoogle+アカウントをベースにすることで、ホワイトリストを作って特定のユーザーのみコメントを許可するなどビデオの投稿者がコメント欄を管理しやすくなる。[情報開示:YouTubeのコメント担当プロダクト・マネージャーのNundu Janakiramは私の友だちで以前ルームメイトだったこともある。ただしそのことはこの記事になんら影響を与えていない]

Googleのメリット

Google+がYouTubeコメントのインフラになるのはGoogleにとって計り知れないメリットがある。

短期的にはGoogle+のユーザー登録が大きく増える。特に一日中YouTubeにへばりついてあれこれ大量のコメントを書き込んでいるような若者層を取り込むのに効果抜群だ。Google+のユーザー層は平均年齢が高くであまりおもしろみがないという評判を打ち消すことができる。

中長期的には、効果的な書き込みAPIを欠いているため、他のサービスから書き込めず、そのためコンテンツの質、量ともに不足するというGoogle+の大きな欠点を是正する糸口になるだろう。

Googleは比較的容易にYouTubeのコメントとビデオをGoogle+のストリームに統合することができるはずだ。YouTubeビデオが多数、Google+のストリームに現れれば、コメントも活発になり、ユーザーエンゲージメントも上昇する。

またYouTubeをプロモーションの重要な手段としているミュージシャンや俳優などのセレブをGoogle+に引っ張り込むこともできるだろう。一般ユーザーがスターのアカウントに惹かれてソーシャルネットワークを頻繁に利用するようになるという現象はFacebookやTwitterでも見られた。

万能全知のGoogleだが、Google+アカウントに関連づけられることで今後はさらに個人別のYouTube視聴履歴にもアクセスが可能になるわけだ。これをターゲット広告にどう活かすかは分からないが、サイクリングのビデオを頻繁に見ているから自転車関連の広告を表示するといった直接的な方法以外に、同一の視聴傾向のユーザーに効果がある広告を判別してターゲティング精度を改善するするといった応用も考えられるだろう。

いずれにせよ、現在のインターネットに残る最後の掃き溜めの一つであるYouTubeのコメント欄がソーシャル化によって少しでも改善されるならよいことだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、Google+のハッシュタグを検索してページ右上隅に表示―企業、ブランドには大きなインセンティブ

Google+は今年5月からハッシュタグのサポートを始めた。今日(米国時間9/25)、GoogleはGoogle検索の結果にGoogle+のハッシュタグを含めると発表した。今やGoogleのほとんどすべてのサービスにGoogle+が統合されていることを考えれば、この動きは驚きではない。

ハッシュタグのサポートは現在アメリカとカナダの英語版サイトで有効となっている。

ユーザーがGoogle検索窓に、たとえば#AmericasCupと入力すると、そのハッシュタグを使ったGoogle+投稿がサイドバーにリストアップされる。GoogleはTwitter、Facebookのハッシュタグは直接検索しないが、Google+の検索結果の下にTwitterとFacebookへのリンクが表示されるのでこれらのソーシャルでもユーザーは同じハッシュタグを用いて簡単に検索ができる。

Google+投稿へのリンクにはサムネール、+1、コメントの数が表示される。ただし検索結果から直接投稿にコメントすることはできない。+1やコメントのためにはまずリンクをたどってGoogle+を訪問する必要がある。

新機能が一般ユーザーにどの程度利用されるかは不明だ。多くのユーザーにとってハッシュタグの検索といえばTwitterを意味するだろう。

しかしコンテンツ所有者にとってこの機能は決定的に重要だ。企業やブランドがGoogle+に投稿する際にはハッシュタグを付加することが必須になる。検索結果ページの右上隅というのは、いわば「地価最高」の場所だ。ハッシュタグを利用すればこの場所にリンクが表示される可能性があるのだったら使わない手はない。企業、ブランドがGoogle+を利用する大きなインセンティブとなりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Twitter、@magicrecs経由での実験成果を踏まえ、真に役立つレコメンド機能を提供開始

TwitterがAndroidおよびiPhoneにて、フォロー推奨アカウントや興味を惹きそうなツイートのレコメンドをプッシュ形式で行うための仕組みを導入したようだ。この仕組は、しばらくの間、実験的に運用してきた@magicrecsアカウントを通じて構築されてきたものだ。Twitterは、このアカウントをフォローしている人がフォローしている人のツイートを見て、どういった層にフォローされていて、またその関係性の中でどのようなツイートがリツイートされているのかなどを分析してきた。

この実験を通してTwitterは、これまでに蓄積されたデータを活用するためのノティフィケーション機能の強化を行ってきたわけだ。少なくともこの@magicrecsアカウントを通じた実験結果を見る限り、新たに搭載される機能も非常に素晴らしいものとなりそうだ。個人的には、ここしばらくの間@magicrecsをフォローしてきた。Twitterの専任チームにより運営されていて、今回の新機能を生み出すために各種実験および機能開発を行ってきたわけだ。実験中に得たツイートおよびアカウントのレコメンドはまさにぴったりとくるもので、レコメンド機能の素晴らしさを大いに吹聴してまわったものだった。Twitterからのアナウンス以前から、この機能は間違いなく公式機能として取り込まれるはずだと信じていた。レコメンドされてフォローを開始したアカウントは、以来変わらずタイムラインを楽しくしてくれている。

@magicrecsアカウント経由で有益な情報が送られて来る中、この通知機能がTwitterアプリケーション自体に組み込まれるのはいつだろうと考えてきていた。ようやくそれが実現したわけだ。

「長らく行ってきた実験結果に基づき、今回ご紹介している新機能を実現しました。実験は@magicrecsを通じて行ったもので、アカウントのプロフィールにあるように、人物ないしツイートのレコメンド情報をダイレクトメッセージの形で送信するものでした」と、開発チームのVenu Satuluriは述べる。「運用中にも、利用者の方のエンゲージメント率やフィードバックに基づいてアルゴリズムの改善を行いました。そうして、真に役立つ情報のみを流すようにしていったのです」。

今回実装された新しい通知機能は、各アプリケーションの利用者に対して徐々に導入されるようになるとのこと。もちろん導入された場合も「設定」メニューの「通知設定」から、機能をオフにすることもできる。

フォローしている人々の振舞いや、あるいは自分自身の関わり方のデータに基づいた実験というのは、まさにTwitterが今後も行っていくべきことだろう。成果に基づいて実装した機能により、Twitter利用者に対してサービスの魅力を伝えていくことが重要だからだ。とくにIPOを控えた今、これまで以上に利用者数や成長率などにシビアな注目が集まることになる。

Twitterの7年間を振り返ってみる記事にも書いたように、Twitterの魅力は、サービス内でどのような人と関わるかに大きく左右される。面白いアカウントをフォローしていれば、タイムラインは非常に面白いものとなるだろうし、逆につまらないツイートばかりが流れてくることになれば、Twitterなどすぐにやめたくなってしまうことだろう。

しかしながら、Twitterの「おすすめユーザー」はモバイルアプリケーション上では、かなり目につきにくいところにおいやられている。そのせいもあって、新たに人をフォローするという動きがなかなか生まれにくくなっていたのだ。

「おすすめユーザー」を(とくにモバイル版で)もっと見やすいところに移動させてはどうかと提案もしてみた。何かの機会にすぐに表示されるような仕組みを作ってもいい。利用状態(コンテクスト)に応じたレコメンドが表示されるのは(少なくとも私にとっては)面白いコンテンツを発見するために非常に有益なことだと思えるのだ。

そうした提案に対してTwitterのプロダクト部門VPであるSippeyは「それは素晴らしいですね」と応じてくれた。

もちろんSippeyが礼儀正しかっただけだ。私の提案など全く取るに足らないものだった。@magicrecsによるレコメンドがあれば、従来の(ランダムにすら見える)レコメンドなど不必要とも言えそうなほどだ。パーソナライズされた、インテリジェントなレコメンド情報を提供する仕組みを実装中であったわけだ。

レコメンドの重要性について、Sippeyは補足も行ってくれた。もう一か所、前回の記事から引いておこう。

Twitterの魅力というのは「友達との繋がり」のみにあるわけではないのですとSippeyは言っている。最高のエクスペリエンスは、ある種の「バランス」から生まれてくるのです、とのこと。

「笑ってしまうような話もあれば楽しいでしょうし、興味対象についての知識も得たいと考えているはずです。もちろん友達の近況などもチェックしたいと考えていることでしょう。Twitter上でこうしたそれぞれのバランスをとることによって、自分のタイムラインがさらに魅力的なものとなっていくのです」。

こうした面からも@magicrecsを通じて提供していたレコメンデーションは、うまく機能していたと言えるだろう。それを引き継いで実装されることになる新機能も、利用者が「バランス」を実現するために、大いに役立つものとなるはずだ。

Image Credit: William Andrus/Flickr CC

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(翻訳:Maeda, H)


俺はザッカーバーグ。「クール」なんてものを求めているわけがない

誰が言ったか「Facebookはクールじゃない」という言葉がある。その言葉を引用して、Facebookは勢いを失いつつあると言い募る人もいる。しかし実のところ、Facebookが目指すのは「クールさ」ではないのだ。では、Facebookは何を求めているのだろうか。

「電気というのも、登場当時は“クール”なものと扱われていたんでしょうね。しかし普及すると、誰も“うちには電気がきているんだ”などという話はしなくなりました。誰もが不必要に電気のスイッチをぱちぱちしなくなったからと言って、電気の大事さが失われたということにはならないはずです」。

ワシントンD.C.にてAtlanticの編集長であるJaves Bennettと対談を行い、ザッカーバーグはこのように述べている

このところ、一部のティーンエイジャーの言葉を引いて、Facebookが魅力を失っていると言う人がおおぜいいる。また関連する各種調査では、ティーンエイジャーたちは「Facebookなんて好きじゃない」とか、「Facebookは使わない」と応えるのがクールであるというバイアスをかけられてしまっていることが多いようだ。ところが、Facebookのエンゲージメント率は下がっておらず、上のような言説や調査は、何も証明してはいないというのが実際なのだそうだ。

Facebookも収支報告などの現場で、「若者のFacebook離れ」などという事象は確認できないと繰り返し主張してきていた。ザッカーバーグもいかなるデータもそのような兆候を示してはいないと述べている。今年になっても、Facebookを利用するティーンエイジャーの数は順調に増えているのだそうだ。

ザッカーバーグの考えでは、Facebookは既に「クール」であるとかないとかのレベルを超えているのだ。ある意味では、他サービスと比べてどういう機能があるとかないとか、そういう段階も超えてしまっていると言えるのかもしれない。ザッカーバーグは冗談めかして次のようにも言っている。

「私たちが“クールさ”を目指しているのだと考えている人が大勢います。そんなことは考えたこともありません。私が“クール”を目指しているかどうか、見ればわかりそうなものです。Facebookがサービスの提供を開始してから10年になります。ニッチを云々するサービスではなくなっています。“尖った”サービスで魅力をアピールするというようなサービスではないのです」。

ではFacebookは何を目指しているのだろうか。ザッカーバーグは「必需品」としての地位を獲得したいのだと述べる。それぞれの時代に、産業にとってなくてはならないものが生まれてきた。そのひとつはもちろん電気だ。「社会には、より多くのソーシャルサービスが生まれてくるでしょう。Facebookはそれらを支える立場になりたいと考えています」とのこと。

Facebook等、ソーシャルサービスの拡大には、プライバシーとのトレードオフもあるのではないかという疑問もある。それに対しては、利用者が「ソーシャル」の方向を向いているようだと応える。すなわち「情報をできる限り隠すことと、親しい人と繋がっていることを比較して、多くの人が繋がる方が大切であると考えているようです」と述べている。「ソーシャル化」の傾向は拡大していくと、Facebookは考えているようだ。

いずれにせよ、さまざまな評価基準で見て、Facebookが大いなる成功を収めていることは間違いない。利用者数は膨大で、共有される情報も増え続けている。現在の利用者数は11億5000万人で、6億9900万人が日々利用している。またザッカーバーグによれば、ソーシャルアプリケーションの50%で、ログインにFacebookアカウントが利用されているのだそうだ。

少なくとも現在のところ、Facebookが心配しているのは、ヒップなソーシャルネットワークが新たに爆発劇な拡大を見せることではないようだ。自らの進化を止めてしまうことの危険性を、より重要視している様子。洞察力のあるプロダクトビルダー、デザイナー、エンジニア、そしてビジネスパーソンの採用を拡大していかなければならない。また、場合によっては、才能豊かな人材が集まる企業の買収も必要であると考え、そして(少なくともこれまでのところは)実行してきている。

さらに、現状に馴染み過ぎないことにも注意を払っているようだ。いずれ、今日のウェブ技術を陳腐化させる変革の波がいずれ押し寄せてくる。その波をしっかりと見極め、そしてその波に乗って行く方法を構築する準備を続けなければならない。時代の波に乗り、そして時代が「必要」とするサービスを展開していくのだ。足を止めてしまえば、時代においていかれる。たとえばMyspaceのような運命を辿ることになるかもしれないということを、危機意識として保持しているのだろう。

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(翻訳:Maeda, H)


Twitter、「史上最悪にくだらない」から上場へと駆け上がったスタートアップ

個人的な思い入れが紛れ込んだ記事になるのをお許しいただきたい。

数日前、TwitterがIPOの準備作業に入った旨をアナウンスしたとき、少々センチメンタルな気持ちになってしまった。Twitterは2006年、ポッドキャスティングに関わるスタートアップのOdeoのサイドプロジェクトとして登場してきた。そのとき、ちょうど私は最初の職であった映画業界の仕事を辞め、テック業界に職を求めていた頃だった。日々の時間をウェブ開発に充てつつ、徐々にテックブロギングに興味が移りつつある時期だった。Twitterの登場はちょうどその頃であり、いろいろと記事を書いたものだった。

正確に言えば、Twitterの話題には少々乗り遅れてはいた。いったいTwitterというサービスがナニモノかになり得るのかと意見が割れていた頃に、いろいろとTwitterについての話題は仕入れていた。しかし実際に利用登録したのは2007年1月のことだった。Tweetbotによると、私のユーザーナンバーは652,193なのだそうだ。まあ若い方の番号だと言えるとは思う。ただ、標準的に見て「アーリーアダプター」であると名乗ることはできないかもしれない。

但し。Twitterを正しく理解するのは比較的早かったのではないかと自負している。2007年初頭の頃はGoogle Talk経由でTwitterに投稿していた。Gmailに保存されている過去のデータを見ると、数多くの投稿を発見することができる。どのような投稿をしていたかといえば、たとえば「うちに帰る」といったような内容だ。つまらない内容ながら、Twitterには頻繁に投稿していた。当時は確か2、3人のフォロワーしかいなかったはずだ。

Gmailで過去を探ると、他にもTwitter関連の話がいろいろと出てくる。たとえば数週間に一度、TwitterからはBiz Stone自身の手になるアップデート情報が流れてきたりしていたものだった(2007年2月20日のメールには興奮した。SXSWの参加を前に、Odeoを売却する旨が記されていた。Twitter社にとって、大きな分岐点であった)。

あるいは、友人がTwitterについて語るメールなども出てきた。友人は「これまでみたなかで最も間抜け(dumbest)なプロダクトだと思う」などと解説していたりした。

この友人はテックに詳しいわけでもなく、仕事も別方面のことをやっている。そういう人物なので、出てきたばかりのテック系サービスにうといのは当たり前のことだが、しかしさまざまな友だちから、繰り返し繰り返し「Twitterはくだらない」という話を聞いた(あるいはメールなどで読んだ)ものだった。Twitterが下らないものであるというのは通説だった。そしてそのTwitterを面白がっている私は、変人扱いだった。

時を経るにつれ、Twitterの評判は徐々に変化していった。「誰も使わない」「くだらないもの」であるという評価が少々ニュアンスを変えていったのだ。曰く「テック系の人以外」にとっては「くだらないものである」といった具合だ。

そんな中、Twitterはシステムダウンを繰り返す時期を迎えた。Twitterはシステム的に利用できない状況になっているという理由で、自らの運命に幕を引きそうになっていた。しかしそこからなんとかかんとか這い上がってきた。そしてついに、多くの人の人気を集めるようになっていったのだ。

もちろん、それからもTwitterについての疑問の声はあった。たとえば「マネタイズの方法が見えない」というものがあった。企業価値の算定については失笑を買ったりもした。Twitter人気などというのは砂上の楼閣であり、バブルに過ぎないと目されたわけだ。

そして話は現在に繋がる。

Twitterは、いろいろな低評価を被った時代を生き延びて成長してきた。政治の世界でも、また、私が以前に属した映画業界でも存在感を増している。スポーツ中継が行われれば、それについてのツイートも数多く投稿される。もはやTwitterが関係しないテレビ中継など存在しないかのようでもある。気ままなおしゃべりの場でもあり、あるいはニュース編集室であり、そしてまた自らがニュースになったりもしている。調査報告によると、来年の売り上げは十億ドルにも達する予定なのだという。利用者も数億人規模となっている。

Twitterが気に入っていた私の判断が正しかったのだと自慢するつもりはない。もちろん、少しはそう言いたい気持ちがないでもない。Twitterの企業買収を通じて、株式を保持することにもなったが、それでリッチになったからと、Twitterの成功を喜んでいるわけではない。馬鹿にされつつ、そしてピンチに陥り、さらにはもう駄目だと思われ、全く評価されず、ただ消え行くのみと思われたスタートアップのひとつであるということを面白く感じるのだ。あれよあれよと存在感を増し、生き残ったというだけでなく、非常に強力な存在と成りおおせたのだ。

ビジネスを遂行するには、シニカルな見方も必要ではある。この業界に関わるようになってから、数千は言い過ぎにしても、数百の企業が投資家やライターから「過去最大級にくだらない」という評価を受ける様子を見てきた。そしてそうしたスタートアップの多くは姿を消していくこととなった。しかしTwitterがある。数多のスタートアップの希望の星となり、そして数多くのアイデアがビジネスの世界に持ち込まれてきているのだ。

新しく、画期的なアイデアというのは、どこか愚かしく見えるものだ。難しい話をしているわけではない。誰にとってもわかりやすく、かつ利益のあるアイデアというのは、既にどこかで誰かが実現しているはずなのだ。つまり「史上最高にくだらない」という評価が、それがかならずしも本当に何の成功も勝ち取ることができないということを意味するのではない。誰もが思いもよらなかった素晴らしいものに発展する可能性があるという意味もあるのだ。

プロフェッショナルとして、最初にTwitterについての記事を書いたのは6年半も前のことだった。「プロフェッショナル」という部分は「記事」という部分に、何か意見したくなる人がいることは認めよう。ただ私は、Twitterと出会ったことで、この業界での地歩を固めることにも繋がった。非常な幸運であったと言えよう。Twitterの歴史を7文字でまとめるなら、「いろいろあった」という言葉がぴったりだろう。自分の経験とTwitterの「いろいろ」を重ねあわせつつ、ついノスタルジックになってしまっているのだ。

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(翻訳:Maeda, H)


コツンとぶつけてスマホのデータを交換する人気アプリ、BumpをGoogleが買収

2000万ドルのベンチャー資金を集め、ダウンロード数でもトップのモバイル・アプリとなったBumpだが、十分な売上を得ることだけは失敗したようだ。Bump TechnologiesはGoogleに買収された。

Bump〔コツンと打ち合わせる〕という名前のとおり、このテクノロジーはスマートフォン同士(あるいはスマートフォンとコンピュータ)を物理的に接触させることでさまざまなデータの交換を可能にする。独立したビジネスとして成功することはできなかったものの、Googleの一員として有望な未来を確保することができたようだ。

Bumpの共同ファウンダー、CEOのDavid Liebは公式ブログでGoogleに参加したことを発表した。共同ファウンダーのLiebとAndy Huibersを含む25人のBumpチームは引き続きGoogleで働くことになるもようだ。

Bumpは昨年新しいコンセプトの写真共有アプリ、Flockをリリースしている。ブログ記事によれば、BumpとFlockの開発は今後も継続されるという。ただしPayPal的な支払いサービス、Bump Payアプリの今後については言及がなかった。

買収金額等の詳細が明かされていないので、Y Combinator、Sequoia Captial、Felicis Ventures、SV Angel、Andreessen Horowitz、その他多数のエンジェル投資家にとっての収支について推定するのは難しい。

いちいち連絡情報をタイプする面倒なしに新しい友だちやビジネス相手と情報を共有できるのがうけて、BumpはApp Storeの初期の大ヒットになった。iPhoneを握った拳を突き合わせるだけで連絡情報のみならず、写真、オーディオ、ビデオ、その他選択したファイルをなんでも交換できるのだから簡単だ。3月には1億2500万ダウンロードで10億枚の写真が交換されたという。

しかしBumpは無料アプリで、意味のある売上を獲得するビジネスモデルを発見することができなかった。その一方で最近Appleが爆弾を落とした。近接したデバイス間でのファイル交換を可能にするAirDrop機能がiOS 7に含まれることをAppleが発表した。これでBumpもついにタオルを投げ入れることを余儀なくされた。こうした状況から察するに、投資家はGoogleの買収で損失は免れただろうが、大きな利益を挙げたようには思えない。

ところでGoogleが関心を示したのはBump自身よりFlockだったかもしれない。このアプリには位置情報を解析して付近にいるFacebookの友だちを探し出し、共同して写真アルバムを作るように勧める機能がある。これはパーティー、コンサート、カンファレンス、旅行などでたいへん便利だ。パーティーなどの場で撮った写真をソーシャルメディアで一般公開するつもりはなくても、その場にいて同じ体験した知り合い同士でなら共有してもよいと考えるユーザーは多いだろう。 Flockは余分な機能をできるかぎりそぎ落として、ほとんど自動的にこうした写真共有ができるようにしている。GoogleはFlockをGoogle+の機能の一つとして取り込むはずだ。

またこの買収でGoogleはモバイル・コミュニケーション関係の重要な特許を多数手に入れた。この中にはアプリがGPSその他のセンサー情報を解析して複数のデバイスが位置的に近接していることを判断するテクノロジーなどが含まれる。

Googleであれば直接BumpとFlockのテクノロジーをから収益を上げる必要はない。Googleが膨大な既存ユーザーにこれらのアプリを提供することになれば、Liebのいう「非還元的」デザイン 、すなわちユーザーに代わって状況を判断して自動的に作動するアプリのインパクトがいっそう広く感じられることになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Twitter、セレブ利用者の利便性を増すため、認証アカウント利用者向けに新フィルタを導入

有名人にとっては、いろいろと厄介事の多い世の中だろう。Twitter上で、知り合いのセレブと「@」を使って会話しようと思っても、すぐにファンやスパマーがやってきて、何がどう繋がっているのかがよくわからなくなってしまう。

こうした状況に対処するため、Twitterは認証済みアカウントを持つ人に対して、「つながり」タブで利用できる2つのフィルタを導入した。ひとつは「Filtered」で、これはスパム系のツイートが表示されないようにするものだ。もうひとつは「Verified」で、「つながり」タブに、認証済みアカウントを持つ人とのやりとりのみしか表示しないようにするものだ。

Twitterは、この機能を徐々に適用していこうとしているが、一般の利用者にはわかりにくいだろう。どのように見えるかについては、下のスクリーンショットで確認していただけると思う。

Twitterにとって、セレブがアクティブに利用してくれれば非常なビジネスチャンスとなる。公開準備を始めたとなれば、こうした機会を一層重視することにもつながっていくのだろう。一般の利用者にとて、セレブが利用していたり、あるいはセレブの呟きを目にすることができるというのは大いなる魅力であるに違いない。俳優やアスリート、ミュージシャンなど有名人等、気になる有名人からのツイートを目にするのは面白い出来事となるだろう。そして、Twitterとしてはそうした「面白い発言」とともに、広告を届けることもできるようになるわけだ。つまるところ、セレブがTwitterを楽しんでくれれば、Twitterとしても利益を計算できるようになるとのだ。

[Image Credit: Jimmy Kimmel]

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(翻訳:Maeda, H)


速報:Twitter、上場手続き開始―証券取引委員会にS-1申請書を提出

今日(米国時間9/12)、Twitterは証券取引委員会(SEC)にS-1書式(上場申請書)を提出したことを確認した。つまり公式に上場手続きが開始されたわけだ。Twitterにとってのみならずテクノロジー業界全体にとって重要な瞬間だ。今後Twitterに続いて上場するテクノロジー企業が数多く出そうだ。

以下がTwitterのツイートだ。

これには「上場準備のためSECにS-1申請書を非公表で提出ずみ。このツイートは株式の販売を申し出るものではない」とある。今のところわれわれにもこれ以外に情報はない。Twitterの上場規模は150億ドルから200億ドルぐらいになると予想されている。最後の資金調達の際の会社評価額は100億ドルだった。

Facebookの上場は1000億ドルだった。Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグがTechCrunch Disruptで昨日、「株式上場を恐れるべきではない」とステージ上で発言したばかりなのが興味深い。Twitterはマークのアドバイスに従ったようだ。

Facebookの上場は上場初日にNASDAQのエラーもあって波乱に満ちたものとなった。株価の下落で時価総額からあっという間に数百億ドルが消えた。しかし現在Facebookは上場時の株価を取り戻したばかりか新高値をつけており、Twitterの上場に道を開いたといえる。Twitterは非公開で巨額の資金を調達しており、投資家からの上場圧力は日毎に強まっていた。株主待望の日がいよいよ近づいてきた。

S-1申請書がSECから公開されればTwitterの売上、利益など詳しい財務状態が判明する。興奮が拡大中だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ザッカーバーグ、新たな使命を語る―次のターゲットはインターネットにアクセスできない50億人

ユーザーが10億人に達した後もFacebookは前進を続けている。それどこころかインターネット・ユーザーの全員がFacebookに加入しても終わりではない。「世界をよりオープンでより結び付けられた場所にする」というFacebookの使命は地域や収入を問わず文字通り「世界中の人々」を対象としている。ファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグが「われわれはインターネットを拡大するというより困難な課題に取り組むためにFacebookを再編成中だ」と語った理由はその点にある。

先月、ザッカーバーグはInternet.orgを立ち上げ、自ら執筆した10ページのホワイトペーパーを掲載した。これはテレコミュニケーションとモバイルのハード、ソフトの6社(Samsung、Ericsson、MediaTek、Nokia、Opera、Qualcomm)をパートナーとするインターネット・アクセス拡大のためのイニシアチブだ。

Internet.orgの目的は、新たなデータ圧縮技術、ネットワーク・インフラ、ビジネスモデルを創出することによってデータ・アクセスのコストを劇的に下げ、誰もがスマートフォン経由でインターネットにアクセスできるようにすることだ。これは非常に重要な点だ。というのもスマートフォンを利用するコストの大部分はデータ通信料金にあり、本体の価格はほんの一部に過ぎないからだ。

Interet.orgはFacebookがもっとユーザーをかき集めるための仕掛けにすぎないという批判も出そうだ。しかし、これは本質的には利他的な事業である。インターネット・アクセスは教育を普及させ、ひいては人々の自己実現、貧困の追放を助ける。インターネットの普及は常にGDPの増大をもたらしてきたし、親しい人々が常にコミュニケーションを取り合うことを可能にする。たしかにインターネットのさらなる普及はFacebookの売上を伸ばすだろう。しかしザッカーバーグがこの事業を始めた動機は単にそれだけではない。一言でいえば「世界中の人々を結びつける」というのはFacebookの新たな使命だ。

TechCrunch Disruptカンファレンスのステージで「手法は変わってきたが使命そのものは変わらない」とザッカーバーグは語った(インタビューのビデオは下にエンベッドしてある)。

ザッカーバーグはこのインタビューで「会社には2種類ある。何をするかが本質の会社と具体的に世界を変えることを使命とする会社だ。Facebookは後者でありたい」と語った。ザッカーバーグはビル・ゲイツをもっとも尊敬する人間の一人として挙げたが、その理由はMicrosoftが「世界のあらゆる家庭とオフィスにコンピュータを」という使命を持ち、かつそれを実現させたからだ。

ただし、ザッカーバーグによれば「本当に意味のある価値というのは賛否の議論を巻き起こすような主張からしか生まれないというのが私の信念だ。正直であれ、などという誰も反対しようのないお題目は意味のある価値を生むことはない」という。

Facebookの「賛否の議論のある主張」の一つが素早い行動は完璧にまさるというものだ。Facebookの社員はプロダクトを作り、作ったら即座に試し、それを繰り返すことを求められる。プロダクトが完全なものになるまでじっと座っていることは許されない。「このモットーのおかげでこれまでとんでもないトラブルを背負い込んできた」とザッカーバーグは笑う。ときには「ブレーキをかけて不具合を直せ」という主張が正しい場合があることも認めた。しかし本質的にみれば「速く動け」の哲学がFacebookに停滞を許さず驚異的な速さで進歩させた原動力なのだという。

この哲学がFacebookに10億人のユーザーをもたらした。しかしザッカーバーグは「もちろん始めからそんな目標を持っていたわけではない。誰も朝起きて、『そうだ、人類の7人に1人をユーザーにする事業を始めてやろう』などと思うわけはない」と謙遜した。しかしマイク・アリントンが「本当に世界中の人間をユーザーにするつもりか?」と尋ねると持ち前の強気で「もちろんそうだ」と答えた。しかし現実には無理だろう。というのも特定の仕組みを嫌う人間が必ず存在するからだ。インターネットには「Facebook嫌い」はいくらでも存在する。しかしそういう人々もSMSやメールやTwitterは使っているかもしれない。Internet.orgとFacebookの使命は人々にインターネットへのアクセスとコミュニケーション手段の選択の自由を与えることだ。

「人間はお互いに密接に結びつくことを欲する存在だ」というのがザッカーバーグの信念だ。ザッカーバーグは目を輝かせて「それがわれわれがこうしてFacebookを運営する理由だ」と断言した。

[画像:Anton Balazh / Shutterstock.com]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


TC Disrupt:ザッカーバーグ、「Facebook Homeを改良中。Instagramその他ソーシャル・コンテンツをロックスクリーンに追加する」

サンフランシスコで開催中のTC DisruptカンファレンスでFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはFacebookはFacebook HomeのロックスクリーンにInstagramやサードパーティーのソーシャル・コンテンツを追加するように改良中だと述べた。

同時にザッカーバーグはさきごろ公開されたAndroid向けFacebook Homeランチャーが「期待したほど急速には普及していない」ことを認めた。ザッカーバーグはまた「現在Facebook HomeはGoogle Playストアを通じて配布されているが、将来はFacebookから直接ダウンロードできるようになる」と述べた。

現在Google PlayストアではFacebook Homeアプリはダウンロード数が100万から500万にランクされている。最初の1ヶ月ではわずか100万ダウンロード程度だったし、 アプリをプレインストールしたHTCの専用スマートフォンを販売するなど当初は熱心だったAT&Tのようなキャリヤのパートナーもすぐに興味を失った。ヨーロッパではフランスのキャリヤ、Orangeが予定されていた専用スマートフォンを発売前に中止してしまった。

今日のインタビューでマイク・アリントンが「Homeは失敗だったと思うか?」と尋ねたのに対してザッカーバーグは「チャットヘッドのように人気が出た機能もある」と答えた。

Facebook Homeは同社が当初期待したほどの成功は収めていないが、すぐに引っ込めるつもりもなさそうだ。「私はやがてユーザがFacebook Homeを好きになると思っている」とザッカーバーグはいう。

これはFacebookがいかにモバイル体験の向上と拡張に野心的であるかを示すものだ。モバイル・トラフィックの拡大はFacebookの売上に直結するのだからそれも当然だろう。「今年の第2四半期には月間アクティブ・ユーザー総数 11億人に対して6億9900万人モバイル・ユーザーがあった」と今日のインタビューでザッカーバーグは明らかにした。このモバイル・ユーザーこそFacebookの売上の急増を支えている。8月にeMarketerが発表したレポートによれば、今年Facebookは世界のモバイル広告売上の16%を占めるだろうという。昨年に比べると10%ポイントの急増だ。

InstagramをFacebook Homeのロックスクリーンに加えるというモバイル重視の姿勢をみると、買収した他のモバイル系サービスのコンテンツもやがてHomeに連携、表示されることになりそうだ。またサードパーティーのコンテンツと連携させていけば、Homeがインターネット・コミュニケーションの新たなプラットフォームとなることを助けるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+