Facebookがソーラー発電のインターネット・ドローンをテスト中。エアバスと提携

昨年Facebookは世界中にインターネットを広げるソーラー発電ドローンを開発するという野心的計画を中止したが、コンセプトは終わっていなかったようだ。ソーシャルメディアの巨人は、航空機の巨人Airbusと組みオーストラリアでドローンをテストしていると、ドイツのNetzPolitikの最新記事が伝えた。

NetzPolitikは、オーストラリアの情報公開法を利用して昨年両社が2018年11月と12月に協力してテスト飛行を実施する計画を検討していたという情報を掴んだ。以前にも両社は衛星ドローンの通信システムで協力したことがある

その実験(実際に行われたかどうか定かではない)には、「防衛、人道、および環境ミッション」のために設計されたAirbusのZephyrドローンが関わっている。ZephyrはFacebookの中止されたAquilaドローンによく似ている。ソーラー電力を用いて「数ヶ月間」飛行可能なHAPS(高高度疑似衛星)だ。

Facebookが選択したModel Sは翼長25メートルで高度20 kmまで操作可能。ミリ波無線を使用して地上ど通信する。

The Zephyr Model S and Model T as displayed on the Airbus website

FacebookとAirbusは、ソーシャルネットワーク側の貨物(インターネット通信機器に間違いない)をテストする計画だが、プロジェクト文書にはテスト飛行前の計画やミーティングについても書かれているが、成果や結果についてはわかっていない。

「当社は提携先と共に高高度プラットフォームシステム(HAPC)を利用した通信の作業を進めていく。現時点で公表できる詳細情報はない」とFacebook広報担当がNetzPolitikに語った。

TechCrunchはFacebookに追加コメントを要求したが(06:55 am EST)、本稿執筆時点で返答はまだない。

Facebookには全世界のインターネット利用を促進することを目的としたプロジェクトがたくさんある。このドローンプロジェクトはその中でもっとも野心的であり、遠隔地にインターネット接続を提供することが狙いだが、ソフトウェアと既存のインフラを使ってより低価格でインターネットを使えるようにする方法も推進している。

そこには賛否を呼んだInternet.org が関わっていて、同プロジェクトはインドで利用可能なウェブサイトとアプリを限定することがネット中立化に反するとして、違法となった。名称をFree Basicsに変更(インドでの敗北がきっかけに違いない)したあと一部の市場で規模が縮小されたが、それでもFacebookの昨年の発表によると、現在までに1億人近い人々をカバーしていると。この数字以外に同サービスの詳細はほとんどわかっていないが、有償プランもあるはずだ。

なお、Facebookはほかにも公衆プライベートWi-Fiプログラムを運用中で、インターネット利用者が外出したときのためのホットスポットを増やそうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookのインターネットドローンAquilaで運輸安全委員会が‘構造的欠陥’を調査中

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FacebookのInternet.orgとFree Basicsのメリットについては異論も多いけど、でもそれを届けるために作っている、太陽光を動力とする巨大なレーザー照射ドローンは相当クールだ。でもそのAquilaの最初のテスト飛行で露見した“構造的欠陥”は、Facebookが考えていたよりも深刻なようだ。Bloombergの記事によると、運輸安全委員会(NTSB)が調査を行っている

今本誌TechCrunchはNTSBに、事故報告書などを見せてくれ、とリクエストしている。そういうものがあるとしても、開示には時間がかかるだろう。何か得られたら、この記事をアップデートしよう。

この6月28日に行われたテスト飛行について、Facebookは7月に総括を書いている。何をテストしたのか、何が分かったのか、などなどだ。「現実世界の状況」(Real-world conditions)という項目では、いくつかの想定外を認めている

現在もこの大規模なテスト飛行の結果を分析している。それには、着陸直前に経験した構造的欠陥も含まれる。これと、そのほかの構造試験の詳細を、将来的にはシェアしたい。

NTSBの調査が入ったせいか、そのシェアはまだしていない。しかしFacebookは今日、テスト飛行のポジティブな結果を強調する声明を発表した:

テスト飛行の成功と、いくつかのパフォーマンスモデルおよびコンポーネントの実証ができたことに、満足している。それらには、航空力学、電池、コントロールシステム、クルーの教育訓練などが含まれ、いずれにおいても、重大な想定外は起きなかった。

実験的な設計の巨大な航空機の、初めての実機テストで、何も問題が起きないと期待するのは無理だ。プロジェクトに近い筋によると、最初から、ある程度の損傷は予想されていた。なぜならAquilaの設計は、何度も離陸着陸することを想定していないからだ。着陸装置はなくて、スキー板のような橇(そり)がついている。また、当日は予想外に風が強かった。その筋によると、同機は90分飛行して、着陸の数秒前に事故は起きた。

NTSBには、このような航空事故を調査する権利があり、今回そうすると決めたのは、そのテストと航空機が広く注目を浴びているからだろう。しかしNTSBは、ネジが一つ外れていたぐらいでは問題にしない。Bloombergによれば、彼らの分類では今回は明らかに“事故”であり、したがって損傷は偶発的でなく“本質的な”ものである。

しかし、これらの用語はNTSBや航空機の試験者にとって、独特の意味を持っている。もしもAquilaが頭から地面に墜落したり、火災を起したり、そのほかの派手な損傷を受けたのなら、それはもっと早くから分かったはずだ。そんなときは、こんな婉曲な用語にはならないだろう。詳しくは事故報告書を待つばかりだが、プロジェクトの規模と、FacebookがAquilaの開発にかける自負と誇りを見るかぎり、その(誇り等の)翼にすこし傷がついたことは、確かなようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マーク・ザッカーバーグ、Internet.org通信衛星の爆発に「深く失望」

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今日(米国時間9/1)、SpaceXのロケットFalcon 9が、発射台上で爆発した。原因はまだわかっていない。詳細は現在調査中だが、同社がテスト中に起きた何らかの異常が大惨事を生んだことはたしかだ。幸い発射台近くに人はいなかった。しかしこの事故はFacebookのInternet.orgプロジェクトに深刻な影響を与えるだろう。通信に使用する人工衛星も事故で破壊されたためだ。

事故の被害に対しては保険が支払われる見込みだが、このロケットはEutelsatの通信衛星、Amos-6を載せて飛ぶ予定だった。この通信衛星はアフリカの広い範囲でFacebookのためにインターネット接続を提供することになっていた。

このようなプロジェクトは準備に数年かかる ― 人工衛星は一夜のうちには作れない。しかし事故に遭えば数分のうちに壊れてしまう。Internet.orgのスタートが遅れることは間違いない。

FacebookのCEO Mark Zuckerbergは、自身のFacebookアカウントでメッセージを公開した。そこに書かれているように、Zuckerbergは事態を重く受け止めている。この爆発はZuckerbergにとっても大きな痛手だったに違いない。

これも書かれているが、Facebookは途上国にインターネットを届けるために巨大ドローン(Aquilaプロジェクト)やレーザー等、別の方法も検討している。インターネットを使える人は事実上全員Facebookアカウントを持っている今、次の課題はインターネットにつながる人を増やすことだ。

FacebookとEutelsatの契約では、衛星が来年1月1日までに運用可能にならければFacebookが契約を解除できる。現時点で実現の可能性はほとんどない。通信衛星の夢よさようなら。あるいは、そろそろやり直して新しい通信衛星を打ち上げる時かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド当局、FacebookのFree Basicsに一時中止要請

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Facebookのプロジェクト、Internet.orgが提供するサービスであるFree Basicが、今週インドで厳しい状況に立たされている。まず、同社のメールキャンペーンが強引で誤解を与えるとして批判された。そして今度は、FacebookのパートナーであるReliance Communicationsが、インドの通信規制当局(TRAI)からの要求を受け、同社ネットワークでFree Basicsのサービスを一時中止することに同意した。

このニュースはTimes of Indiaが最初に報じた後、Reliance Communicationsが声明で認めた。「TRAIの指示により、FreeBasicsの商用開始は、当局の詳細検討後に具体的な認可が下りるまで一旦中止する」とRelianceの広報担当者はメールに書いた。

これは一大事だ。なぜならTRAIは、来月最終決定を下す前にネット中立性に関する聴聞を予定しており、決定内容によってはFree Basicsのインド国内での継続運用に主要な改訂が強いられる可能性があるからだ。

Facebookの広報担当者は、「われわれはFree Basics、Relianceおよび関係当局との協力によって、インドの人々がつながる手助けをすることを強く決意している」

Free Basicsに関する情報は今でもRelianceのサイトにある。同社はインドで4番目に大きい通信事業者で、6月現在で1.1億人のユーザーがおり、先月全ユーザーがFree Basicsを利用できるようにした

インドはFree Basicsが提供されている36ヵ国の一つにすぎないが、Facebookにとってインドは、1.3億人のユーザーを抱える米国に次ぐ世界第2位の市場であり、重要な実験台だ。

Free BasicsはFacebookのInternet.orgによる取組みであり、その背景にある考えは利他的に思える。プログラムは、途上国で通信事業パートナーのユーザーに、データ料金を課金せずにサービスを提供する。利用できるのは、ニュースサイト、天気予報、医療情報の他、FacebookのソーシャルネットワークとMessengerも含まれる。しかし、Free Basicsはインターネットサービスプロバイダーと組んで、一部のサイトやサービスにトラフィックを誘導することで、ネット中立性の精神に反していると批判する向きもある。

TRAIの支持を取りつけることは、議論を呼んだ先週Facebookが行った「Free Basicsを救え」キャンペーンの最重要目的だった。ユーザーがサービスにログインするとすぐにメールが送られ、Free Basicsを支持する出来合いのメッセージをTRAIに送るよう促される。キャンペーンはインドのユーザーのみに向けられたものだったが、月曜日に米国の一部ユーザーにも
通知が送られ間違いであったと発表した

Facebookは、TRAI聴聞までにインドでのFree Basicsに対する熱狂を高めることを諦めていない。同社はさらに、プログラム推進のために広告板やテレビ、新聞等の広告を買うという珍しい手段にも出ている

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの野心的無料ネット接続、Internet.orgのアプリがインド全域で利用可能に

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Facebookは途上国向けにインターネット接続を無料で提供しようという野心的なInternet.org計画を進めてきた。この努力が実を結び、今やインド全域でReliance Communicationsのネットワークを利用した基本サービスの接続アプリ、 Free Basicsが無料で利用できるようになった。このプロジェクトは途上国の人々に無料でネットへのアクセスを提供しようとするものだ。ただし一部からはこれに批判の声が上がっていた。

Reliance Communicationsはインドで第4位のテレコム企業で、6月時点で1億1000万の登録契約者がいる。同社の発表によれば、ユーザーはこのアプリを使ってFacebookとFacebookメッセンジャーに加えて、Wikipedia、BBCニュース、Bing検索、Dictionary.com、各種ローカルニュースなど公共性の高いサイトにアクセスできるという。

これに対して批判者は、Internet.orgはごく一部のサイトへのアクセスを無料化することでインターネットに差別を持ち込んでおり、ネット中立性の精神を破壊するものだとしている。

Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグは、「Internet.orgは基本的なサービスへの接続を無料化しようとするもので(アプリの名前もそこから来ている)、それ以外のサイトへのアクセスを何ら制限するものではない」と反論している。Internet.orgはさらにデベロッパーその他のパートナーがFree Basicsサービスの充実に協力しやくする方法を各種発表している。

当初Internet.orgに対し、膨大なユーザーを抱えるFacebookが一部のサービスを優遇することによって副作用が生じることが懸念されていた。しかしこうしたFacebook側の対処によって批判はかなり弱められた形だ。

Free Basicsはインドに加えて南アジア、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど世界の途上国、30ヵ国に展開されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オバマ大統領曰く「全家庭でインターネットを利用可能とすることがアメリカ成長の鍵」

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第三世界の国々にて、インターネットへのアクセス環境が十分に整っていないことは多くの人が意識している通りだ。その問題に対処するために、いろいろな意見がある中でもFacebookがInternet.orgを運用したりもしているわけだ。ただ、実のところはアメリカ合衆国の中においてさえ、4人に1人が家庭からインターネットにアクセスできないとうい事実は忘れられがちだ。

4人に1人というのはなかなかの割合ではないだろうか。

最初にこの数字を知ったときには大いに驚いた。最初はカンザスシティなどでごく一時的、部分的に生じている現象なのだと思った。しかし実は一般的な話なのだ。この問題に対処すべく、ついに政府もConnectHomeイニシアチブを立ち上げることとなった。

ミッションをひとことで示せば次のようになるようだ。

すべての子供は、明るい未来および夢の実現のための機会を平等に与えられるべきである。

家庭からインターネットが利用できるようにすることで、学校や仕事、日常生活に必要な情報が入手しやすくなるという話だ。

家庭からインターネットにアクセスできない人がかなりの割合で存在するということが信じられないという人もいるかもしれない(アメリカ人の98%が何らかの形でインターネットを利用しているというデータもある)。ただ住んでいる地域ないし社会の富裕レベルによって、自由にインターネットが使えないという状況は確かにある。また人種による違いがみられるというデータもある。

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Googleも、自社のGoogle Fiberプロジェクトの一環として、一部の特定公営住宅在居者に対して無料でインターネットアクセスを提供することにより、ConnectHomeイニシアチブにも参加する。

ちなみに、今回の動き以外にもさまざまな動きが既にみられてもいる。

  • 公営住宅で暮らす425以上にのぼるチョクトー族(Choctaw)についてChoctaw Tribal Nation、Cherokee Communications、Pine Telephone、Suddenlink Communications、およびVyve Broadbandなどが協力して低価格の高速インターネット環境を提供している。
  • シアトルおよびその周辺地域においては、CenturyLinkがInternet Basicsプログラムを展開し、住宅・都市開発省の提供する住まい(HUD households)に居住する人に対し、最初の1年間は月額9ドル95セントで、そして2年目以降4年目までについては14ドル95セントにて提供している。
  • メイコン(Macon)、Meriden、バトンルージュ(Baton Rouge)、ニューオーリンズ(New Orleans)などにおいては、Cox Communicationsが公営住宅在居者で、学童・学生期(K-12)の子供がいる家庭に対し、月額9ドル95セントにてインターネットサービスを提供している。
  • SprintはConnectED活動の一環として、住宅・都市開発省やConnectHomeプログラムとも連動していくことを決めている。公営住宅在居者で学童・学生期(K-12)の子供がいる家庭に対し、無料で無線ブロードバンドインターネットを提供するとのこと。これはAT&TおよびVerizonがConnectEDの一環として始めた学生貧困層に対する無料モバイルブロードバンドを提供する動きに追随するものだ。

アメリカは広い。全家庭にインターネット環境を導入するには数多くのイニシアチブの動きが必要で、さらに期間も長くかかることだろう。しかしサービスを提供しようとしている企業などが積極的に関わり続けることで、目的を達成することもできるに違いない。

オクラホマ州にてConnectHomeのスタートをアナウンスしたオバマ大統領は次のように言っている。

「インターネットは贅沢品ではなく、日常必需品だ」。
「コーディングの知識を手に入れるにも、インターネットで学べるようにすることが大切だ」。

「学びの手段としてインターネットは欠かせないものであり、今後のアメリカの発展のためには、すべての家庭からインターネットにアクセスできるようにすることが大切だ」とのことだった。オバマ大統領の発言は下のビデオで確認できる。

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(翻訳:Maeda, H

新興国の利用者曰く、インターネットはモラル面でマイナスの効果を及ぼす?!

新しく発表されたPew Researchのレポートでは、新興国においてインターネットがもたらす影響を調査している。人々が「インターネット」についてどのように考えているかに力点をおいている。

昨今、新興国にもインターネットに繋がる環境を構築しようと、FacebookやGoogleなどはかなりの投資を行なっている。たとえばFacebookは特定地域に無料のモバイルインターネットを提供しようとするInternet.orgなるプロジェクトを運営している。Googleの方も気球高高度を飛ぶドローンなどを通じたアクセス手段を提供しようとしている。こうした動きは加速していると言って良いだろうが、しかしインターネットに接続できるようになることが、途上国の人たちの役に立っているのか、あるいは喜ばれているのかどうかについては、まだ十分な調査が為されていないともいえそうだ。

TechCrunchなどのテック系メディアでは、インターネットの存在自体や、あるいはインターネットに接続できるようになるということについては肯定的な評価をすることが多いだろう。しかし、世界中の人がネットに繋がるようになることについて、肯定的な面にばかり目を向けているということはないだろうか。たとえば最近は、政府が市民の監視を行うのにネットワークを利用しているというようなことも言われている。人々同士の間でも、加害者がキーボードやモバイルデバイスの画面に隠れた状態で匿名のうちにいやがらせ行為を行ったり、あるいは病力的な振る舞いに出る旨のおどしに使っているようなケースもある。

既にネットワークの存在に多くを依拠している先進国では、多少の不利益があってもインターネットに繋がることを選ぶ(選ばざるを得ない)だろう。しかしこれまで繋がっていなかった地域の人達も同様に考えるはずだと前提して良いものだろうか。誰もがネットに繋がることを良いことだと考えるようになるものだろうか。

Pew Researchは今回、32の新興国および発展途上国を対象に調査を行なってレポートをまとめている。そうした国々ではインターネットについての意見もいろいろにわかれているようで、インターネットというものはモラル面での悪影響をもたらすと回答している人も多いようだ。民主化推進などの政治面についても、賛否両論があるようだ。ただし、教育や人間関係、および経済の面ではプラスになると考えている人が多い。

新興国市場において、インターネット非利用者を含めた64%の多数が、インターネットは教育に役立つと回答したそうだ。友人関係にも役に立つと回答した人も53%にのぼっている。さらに経済面でも52%の人が役立つと考えているのだそうだ。しかしモラル面で良い影響をもたらすと考えている人は29%に過ぎず、むしろ42%がマイナスの影響をもたらすと回答している。

モラル面で悪影響をもらたすという考えは、今回の調査対象国すべてに共通するものであるというところも面白い。モラル面に好影響をもたらすという回答が多数を占めた国はなかったのだ。

ところでインターネットへのアクセスが可能になった人たちの多くが、「ソーシャル」面にプラスの効果をもたらすと考えている。たとえば新興国の人々の65%が、個人同士のつながりい好影響をもたらすだろうと回答している。これをインターネットにアクセスできない人たちについてみると、同じように判断する人の割合は44%に低下する。教育レベルにもよるようで、高学歴な人々の10人に6人が人間関係にプラスとなると回答しているのに対し、低学歴の人々の賛同率は44%になる。

こうしたことを見ると、Facebookなどがネットワークに繋がる人たちを増やそうとするのは正しい判断であると言えるだろう。インターネットに繋がるようになれば、発展途上国でも多くの人が友人などと繋がるためにネットを利用するようになる。86%の人々が友人や家族とオンラインでの繋がりを持ち、また82%がソーシャルネットワークにも参加している。調査対象となった国々でも、インターネット利用者のうち82%がFacebookやTwitterを使っていることがわかった。

ちなみに、インターネットを政治面で利用している人は少ない(54%)ようだ。さらに健康関連情報の入手に利用した人は46%で、政府や各種サービスからの情報を得るのに活用した人も42%に留まった。さらに、キャリア活動ないしコマースに用いる人も少ない様子。求職活動に利用した人は35%で、支払いに利用した人が22%、ショッピングが15%で、オンラインコースを試してみた人も13%という結果になっている。

残念ながらPewのレポートでは、モラル面で悪影響があるとした人々の回答について、詳細な検討は行なっていない。インターネットが導入されることで、どういうマイナス面が出てくるのかということについて、具体的な内容の確認も行なっていない。どのようなサービスないし行動がモラル面にどのような影響を及ぼすと考えられているのかについて、もう少し突っ込んだ調査が欲しかったところだ。

レポートを見る限り、ネットが利用できるようになるや否や、多くの人が「ソーシャル」な行動を行うようになる。人々の心配は、そうした人々の行動パターンと関係があるものなのかもしれない。フェイス・トゥ・フェイスの関係が減り、そしてこれまでのさまざまな束縛から逃れ、「自由」を感じるようになるというのも、ネットワークの特徴のひとつだ。そこで人を「自由」に避難したり、公開の場では言えないような「本音」を表に出すことも行い始める。そうした社会的行動の変化により、インターネットが道徳面に悪影響を及ぼすと考える人も出てくるのだろう。

インターネットへの接続状況などを国ごとにまとめたレポートの全文もこちらから見ることができる。尚、途上国の人々をネットに繋ごうという行動は積極的に行われているものの、今回の調査対象国にはインターネットにアクセスできていない人が数多く存在する。ごくたまにであれインターネットを利用するという人は、調査対象32ヵ国の中で44%に過ぎない。米国では成人の87%がインターネットを利用している。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook、太陽光発電で成層圏に滞空するドローンを買収か―50億人に安いネットアクセスの提供を狙う

Facebookは、インターネットの利用が未だに自由にできない世界の50億人の人々に対して安価なアクセスを提供しようというInternet.orgイニシアチブの主要な後援者だ。TechCrunchが得た情報によると、この努力を大きく前進させるために、Facebookは太陽光発電を動力として大気圏上層に長期間滞空できるドローンを開発しているTitan Aerospaceと買収交渉に入っているという。われわれの情報源によると買収額は6000万ドル程度だという(*)。

このドローンは5年間無着陸で飛行を続けることができるという。Facebookは長期間の滞空能力を生かしてアフリカなどに存在するインターネット・アクセスの空白地帯を追放していこうとするのだろう。FacebookはTitan“のSolara 60ドローンを手始めに1万1000機調達する計画だという。

TitanのUAVは昨年、YouTubeで最初に紹介された。このビデオにもあるとおり、Titanはいわば「大気圏内衛星」で、コミュニケーション、気象観測、資源探査など衛星の役割の多くをはるかに安価かつ柔軟な運用で代替することが目的だ。Facebookはもちろんコミュニケーションの能力の活用を図ろうとしているわけだ。

Solara 50、Solara 60モデルは夜間に内蔵バッテリーのパワーで離陸し、太陽が昇ると太陽光発電を開始して、地上20kmの成層圏まで上昇し、そこに5年間無着陸、無補給で留まることができる。こうした特長は局地インターネット中継ステーションとして理想的だ(さらに詳しく知りたい読者はArs Technicaの記事を参照)。

Titan Aerospaceは非公開企業で、ニューメキシコに研究開発施設がある。シード資金とシリーズA、A-1のラウンドによる資金調達を行っているが、金額は不明だ。2013年にシリーズBのラウンドを実施する計画を発表している

TitanのCEOのVern Raburnは、Eclipse Aviationのファウンダー、元CEOで、2012年に現CTOのMax Yaneyによって創立された。

20kmという目標高度には重要な意味がある。これはFAA(連邦航空局)の規制対象外になるためだ。昨夏、Fortuneが指摘したように、アメリカにおけるクラスA空域の最高高度は6万フィート(18.28km)で、これより上はアメリカでは法的規制の対象にならない。唯一規制が及ぶのは、そこまで上昇する間だけだ。世界の他の国ではもちろん規制はまちまちだが、Titanが利用されるような途上国ではおそらくそれほど厳しい規制は行われないだろう。

WhatsAppの190億ドルに比べればTitanの6000万ドルは安すぎ?

Internet.orgのプロジェクトに対して、GoogleはLoonという独自のプロジェクトを研究中だ。こちらは飛行機ではなく気球を利用する。以前、TechCrunchはFacebookにもLoonに相当するプロジェクトがあると聞いた。Titan買収の動きはこのプロジェクトの一環かもしれない。

50億人にインターネットを提供するテクノロジーを提供する会社の買収額6000万ドルでWhatsAppが190億ドルというのは奇妙に思えるかもしれない。しかしインターネットの利用をより広げるという点でFacebookの観点からみれば同じことなのかもしれない。

しかし一方で、現在インターネットの利用を阻まれている地域の住民の購買力は極めて低く、大きな売上を得られる見込みは低いのに、なぜFacebookはそうした途上国のインターネット・アクセス拡大に力を入れているのか不審に思う声をよく聞く。Internet.orgを動かしているのは理想主義かもしれないが、Facebookはビジネスを非常に長期的に考えている。スマートフォン経由でインターネットを安価に利用できるようになれば、そうした人々もやがて「知識経済」に組み込まれ、全体として大きな購買力を持つようになると期待している。

Facebookが運用するTitanのドローンを通じて初めてインターネットに参加した人々はFacebookのエコシステムにしっかりと組み込まれ、終生Faqcebookに売上をもたらすだろうというわけだ。

*われわれの最初の情報源は両社の部外者で、情報に正当なアクセス権をもたない人物だった。しかしその後、われわれは買収交渉が事実であることを別途確認することができた。われわれはTitanの取締役、AsherDelung,に(情報源については明かさないまま)インタビューした。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、オープン・コンピュート・プロジェクトで10億ドル以上を節約

Facebookは独自に省エネ性能の高いサーバーを設計したことで莫大な利益を上げているようだ。

今日(米国時間1/28)、CEOのマーク・ザッカーバーグはOpen Computeサミットで「Open Computeデザインにもとづいてインフラを構築することにより、の3年間でわれわれは10億ドル以上の経費節減に成功している」と述べた。

Facebookは2011年4月にOpen Computeプロジェクトをスタートさせた。その後参加者はIT産業全体に広がり、サーバー、データセンターのグリーン化に大きく貢献するようになった。現在のメンバーにはIntel、AMD、Bloomberg、Box、Cumulus Networks、IBM、Microsoftなどが含まれる。

Open Computeプロジェクトは大量のエネルギー節約を実現しているが、それはとりも直さずFacebookが支払う電気料金の節約になっている。ザッカーバーグはサミットの壇上でティム・オライリーと対談し、「昨年だけで40万軒の家庭の年間使用電力、あるいは5万台の自動車に相当するエネルギーを節約できた」と誇らしげに明かした。

最近のアメリカの家庭の月平均間電力使用量は903kW/h、料金はkW/hあたり0.1209ドルということなので、Facebookは年間およそ5200万ドル前後の電力料金を節約できたことになる。

省エネが実現できただけでなく、Open ComputeプロジェクトのおかげFacebookは多数のベンダーから簡単に同一の機器を購入できるようになった。サプライチェーンの多様化はFacebookの調達コストを下げるのに寄与しているはずだ。また優秀なエンジニアをスカウトする際にも有利に働くだろう。

もっと広い観点から見れば、Open Computeはまだインターネットの恩恵に浴していない世界の50億人に安価なデータ・アクセスを提供しようとするInternet.orgのプロジェクトを助けるものだ。世界の人々を助けながらコストを削減し、さらに帝国を強化しようというのがFacebookの目論見だろう。

[画像 The Register, Karl Fruend]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ザッカーバーグ、新たな使命を語る―次のターゲットはインターネットにアクセスできない50億人

ユーザーが10億人に達した後もFacebookは前進を続けている。それどこころかインターネット・ユーザーの全員がFacebookに加入しても終わりではない。「世界をよりオープンでより結び付けられた場所にする」というFacebookの使命は地域や収入を問わず文字通り「世界中の人々」を対象としている。ファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグが「われわれはインターネットを拡大するというより困難な課題に取り組むためにFacebookを再編成中だ」と語った理由はその点にある。

先月、ザッカーバーグはInternet.orgを立ち上げ、自ら執筆した10ページのホワイトペーパーを掲載した。これはテレコミュニケーションとモバイルのハード、ソフトの6社(Samsung、Ericsson、MediaTek、Nokia、Opera、Qualcomm)をパートナーとするインターネット・アクセス拡大のためのイニシアチブだ。

Internet.orgの目的は、新たなデータ圧縮技術、ネットワーク・インフラ、ビジネスモデルを創出することによってデータ・アクセスのコストを劇的に下げ、誰もがスマートフォン経由でインターネットにアクセスできるようにすることだ。これは非常に重要な点だ。というのもスマートフォンを利用するコストの大部分はデータ通信料金にあり、本体の価格はほんの一部に過ぎないからだ。

Interet.orgはFacebookがもっとユーザーをかき集めるための仕掛けにすぎないという批判も出そうだ。しかし、これは本質的には利他的な事業である。インターネット・アクセスは教育を普及させ、ひいては人々の自己実現、貧困の追放を助ける。インターネットの普及は常にGDPの増大をもたらしてきたし、親しい人々が常にコミュニケーションを取り合うことを可能にする。たしかにインターネットのさらなる普及はFacebookの売上を伸ばすだろう。しかしザッカーバーグがこの事業を始めた動機は単にそれだけではない。一言でいえば「世界中の人々を結びつける」というのはFacebookの新たな使命だ。

TechCrunch Disruptカンファレンスのステージで「手法は変わってきたが使命そのものは変わらない」とザッカーバーグは語った(インタビューのビデオは下にエンベッドしてある)。

ザッカーバーグはこのインタビューで「会社には2種類ある。何をするかが本質の会社と具体的に世界を変えることを使命とする会社だ。Facebookは後者でありたい」と語った。ザッカーバーグはビル・ゲイツをもっとも尊敬する人間の一人として挙げたが、その理由はMicrosoftが「世界のあらゆる家庭とオフィスにコンピュータを」という使命を持ち、かつそれを実現させたからだ。

ただし、ザッカーバーグによれば「本当に意味のある価値というのは賛否の議論を巻き起こすような主張からしか生まれないというのが私の信念だ。正直であれ、などという誰も反対しようのないお題目は意味のある価値を生むことはない」という。

Facebookの「賛否の議論のある主張」の一つが素早い行動は完璧にまさるというものだ。Facebookの社員はプロダクトを作り、作ったら即座に試し、それを繰り返すことを求められる。プロダクトが完全なものになるまでじっと座っていることは許されない。「このモットーのおかげでこれまでとんでもないトラブルを背負い込んできた」とザッカーバーグは笑う。ときには「ブレーキをかけて不具合を直せ」という主張が正しい場合があることも認めた。しかし本質的にみれば「速く動け」の哲学がFacebookに停滞を許さず驚異的な速さで進歩させた原動力なのだという。

この哲学がFacebookに10億人のユーザーをもたらした。しかしザッカーバーグは「もちろん始めからそんな目標を持っていたわけではない。誰も朝起きて、『そうだ、人類の7人に1人をユーザーにする事業を始めてやろう』などと思うわけはない」と謙遜した。しかしマイク・アリントンが「本当に世界中の人間をユーザーにするつもりか?」と尋ねると持ち前の強気で「もちろんそうだ」と答えた。しかし現実には無理だろう。というのも特定の仕組みを嫌う人間が必ず存在するからだ。インターネットには「Facebook嫌い」はいくらでも存在する。しかしそういう人々もSMSやメールやTwitterは使っているかもしれない。Internet.orgとFacebookの使命は人々にインターネットへのアクセスとコミュニケーション手段の選択の自由を与えることだ。

「人間はお互いに密接に結びつくことを欲する存在だ」というのがザッカーバーグの信念だ。ザッカーバーグは目を輝かせて「それがわれわれがこうしてFacebookを運営する理由だ」と断言した。

[画像:Anton Balazh / Shutterstock.com]

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+