EFFが緊急の公開書簡をテクノロジー企業に送付、新政権でインターネットの監視と検閲が強化されることを危惧

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インターネットの自由とオープン性を守ろう、という趣旨の、テクノロジーのパイオニアたちによるご意見番的非営利団体Electronic Frontier Foundation(EFF)〔日本語Wikipedia〕がこのほど、今後インターネットの監視や検閲が増えるかもしれないので用心しよう、とテクノロジー企業に訴える公開書簡を発行した。その中でEFFは、インターネットのコントロールやインターネットの中立性、そして言論と報道の自由に関する、Trumpと彼のアドバイザーたちの声明文を引用している。

書簡はこう述べる:

次期大統領Donald Trumpと彼のアドバイザーの多くが、監視と検閲を段階的に強化し、それによってインターネットの中立性やプライバシー、そして暗号化の未来に脅威をもたらす主旨の発言をしている。Electronic Frontier Foundationは、テクノロジー企業がわれわれと共に一致団結して、インターネットのユーザーを守ることを求めたい。当団体と多くのテクノロジー企業との協働により、世界中の人びとを結びつけ活気づけるために作られた技術が、抑圧のための道具へと徴用されないことを、確実化できる。

 

EFFはWired誌のフルページ広告で、テクノロジー企業が不要なログやユーザーデータを消去するよう求め、また2017年の新年の願い(ウィッシュリスト)で、“Facebookがユーザーに本名の使用を強制することをやめて、各ユーザーが自分のアカウント上で自由な名前を使えるようにする”ことと、“Twitterがダイレクトメッセージのエンドツーエンドの暗号化を可能にすること”を、要請している。

EFFはまた、政府内の指導的立場の人たちなどに向けた、上記各テーマの詳細な論点も提供している。

インターネットの自由が今後どうなるのか、それを予言するのは時期尚早だが、警戒と準備を怠らないことは重要だ。私たちのコミュニケーションはネット上で行われることが多くなっているから、古い時代遅れの法規等は私たちを傷つける障害物にしかならないだろう。何も悪いことをしてなければ、何も隠すものはない、は依然として正しいけれども、やはりすべての人に、各人に、自分の言論や、コミュニケーション、私生活等の秘密を、守りたければ守れる権利があり、しかもその権利行使の選択は、スイッチを切り替えるぐらいに簡単容易でなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

モバイルからのインターネット利用がついにデスクトップを追い越す― StatCounter調べ

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ますます多くのユーザーがインターネット・サイトにモバイルデバイスからアクセスするようになっている。インターネットの利用状況をモニタする専門企業StatCounterが発表したレポートによれば、モバイルからのインターネット利用が初めてデスクトップからの利用を追い越した。全トラフィックに占めるモバイルからのアクセスが51.2%、デスクトップからが48.7%だった。モバイルからの利用がデスクトップを追い越したのはStatCounterがモニタを開始して以來、初めてのことだという。

これはインターネット・ビジネス全体にきわめて大きな転換点が来ていることを意味する。このトレンドが逆転することはまず考えられない以上、デジタル・サービスをモバイル・ファーストに転換することをためらっている企業は一刻も早く態度を改める必要があるだろう。

StatCounterはまた主要なアクセス手段が何に鳴るかは各市場の成熟度合いの影響が大きいことを発見している。予想どおり、インドのような発展途上の市場ではモバイル・プラットフォームが圧倒的に選択されている。インドでは利用の75%がモバイルだった。すでに成熟した市場、アメリカ、イギリス、アイルランドなどではまだデスクトップからのアクセスが優位だったが、モバイルとのギャップは縮まりつつある。

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このトレンドはまた別の数字からも証拠立てられる。たとえば昨年4月のcomScoreの調査は、アメリカにおいてモバイル・デバイスのみでインターネットにアクセスするユーザーの数がデスクトップのみでインターネットにアクセスする人数を上回ったことを示している(この数はモバイルとデスクトップの双方を利用するユーザーの数は考慮していない)。2015年5月のGoogleの調査によれば、モバイル・プラットフォーム経由の検索がデスクトップ経由を上回った。

こうした結果ははるか以前から予期されていたことではある。しかし多くの大手ブランド(われわれ自身も含めて)が現在でもデスクトップを第一、モバイルを第二とする姿勢を取っている。しかし大勢はすでにモバイルであることを今回の数字が明白にした以上、多くの組織において一刻も早くモバイル優先という決断がなされるべきだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookの「空からインターネット中継」プロジェクトが前進―ソーラー発電ドローンAquilaが飛行に成功

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Facebookが2年がかりで開発してきたソーラー・パワー・ドローンのAquilaは滞空時間90日、幅が60マイル〔約100km〕の地域にインターネット接続を提供できるようにするのが目標だ。FacebookはAquillaの最初の公式テスト飛行を実施し、無事に成功させた。

Aquilaはインターネットが使えないでいる16億人もの人々にインターネット接続を提供することになるはずだ。無人飛行機の主翼幅は113フィート〔34m〕あり、ボーイング737より広い。しかし消費電力はヘアドライヤー3個以下だという。この効率の高さが途上国の辺鄙な地域での長時間の滞空を可能にする秘密だ。Aquillは地上との間でインターネット接続を確立し、地元の人々がインターネットに参加できるようにする。

以下のビデオでAquilaの離陸と飛行のようすを見ることができる。

〔日本版〕Googleも遠隔地にインターネット接続を拡大することを目標にProject Loonを推進している。気球利用の他にAquilaタイプのドローンを開発するTitan Aerospaceを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleがタワーの代わりに気球をインターネットアクセスに使うProject Loonでインドの通信企業と交渉中

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【抄訳】
Googleは今、インドの通信企業数社と、Project Loonのローンチについて交渉している。それはセルラータワーの代わりに気球を使って、遠隔地に安価なインターネットアクセスを提供する、というプロジェクトだ。Economic Timesの記事によると、同社はBSNLやそのほかの企業と、インドでProject Loonのパイロット事業を行う件で話し合っている。

Google IndiaのRajan Anandan社長が同紙に語ったところによると、“Loonのパイロットは地元の通信企業の協力なしにはできない。今数社と交渉している。インド政府も積極的に支持してくれているので、まずパイロット事業を行い、さらに次の段階へ進みたい。インドで重要なのは、まわりの十分な理解と支持を得ながら事業を進めることだ”。

このプロジェクトは2013年に、当時の同社のインキュベータGoogle Xから発表された。そのとき、“世界中のすべての人びとのインターネットアクセスを気球により提供する”ことが、究極の目標と言われた。しかしそれは、Googleの慈善事業ではない。同社はそれにより、同社のサービスの市場を大きく拡大できるのだ。

なお、へき地にインターネットアクセスを提供する、という点でProject LoonはFacebookのFree Basicsと比較されることもあるが、一部の特定のWebサイトにアクセスできるだけの後者は、インターネットアクセス手段としては特殊で限定的なものである。対してProject Loonの気球は、通信企業のセルラーのスペクトルを共有して一般的なLTE接続を提供する。

【中略】

インドのInternet and Mobile Associationの報告書によると、この国のインターネットユーザーは現在4億200万人あまりであり、安価なスマートフォンのおかげで急速に増加しているが、しかしそれは未だに、インドの人口の2/3が定常的なオンラインアクセスを欠いていることを意味する*。〔*: インドの人口12億あまり、といえば、全年齢層を含む。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

オバマ大統領曰く「全家庭でインターネットを利用可能とすることがアメリカ成長の鍵」

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第三世界の国々にて、インターネットへのアクセス環境が十分に整っていないことは多くの人が意識している通りだ。その問題に対処するために、いろいろな意見がある中でもFacebookがInternet.orgを運用したりもしているわけだ。ただ、実のところはアメリカ合衆国の中においてさえ、4人に1人が家庭からインターネットにアクセスできないとうい事実は忘れられがちだ。

4人に1人というのはなかなかの割合ではないだろうか。

最初にこの数字を知ったときには大いに驚いた。最初はカンザスシティなどでごく一時的、部分的に生じている現象なのだと思った。しかし実は一般的な話なのだ。この問題に対処すべく、ついに政府もConnectHomeイニシアチブを立ち上げることとなった。

ミッションをひとことで示せば次のようになるようだ。

すべての子供は、明るい未来および夢の実現のための機会を平等に与えられるべきである。

家庭からインターネットが利用できるようにすることで、学校や仕事、日常生活に必要な情報が入手しやすくなるという話だ。

家庭からインターネットにアクセスできない人がかなりの割合で存在するということが信じられないという人もいるかもしれない(アメリカ人の98%が何らかの形でインターネットを利用しているというデータもある)。ただ住んでいる地域ないし社会の富裕レベルによって、自由にインターネットが使えないという状況は確かにある。また人種による違いがみられるというデータもある。

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Googleも、自社のGoogle Fiberプロジェクトの一環として、一部の特定公営住宅在居者に対して無料でインターネットアクセスを提供することにより、ConnectHomeイニシアチブにも参加する。

ちなみに、今回の動き以外にもさまざまな動きが既にみられてもいる。

  • 公営住宅で暮らす425以上にのぼるチョクトー族(Choctaw)についてChoctaw Tribal Nation、Cherokee Communications、Pine Telephone、Suddenlink Communications、およびVyve Broadbandなどが協力して低価格の高速インターネット環境を提供している。
  • シアトルおよびその周辺地域においては、CenturyLinkがInternet Basicsプログラムを展開し、住宅・都市開発省の提供する住まい(HUD households)に居住する人に対し、最初の1年間は月額9ドル95セントで、そして2年目以降4年目までについては14ドル95セントにて提供している。
  • メイコン(Macon)、Meriden、バトンルージュ(Baton Rouge)、ニューオーリンズ(New Orleans)などにおいては、Cox Communicationsが公営住宅在居者で、学童・学生期(K-12)の子供がいる家庭に対し、月額9ドル95セントにてインターネットサービスを提供している。
  • SprintはConnectED活動の一環として、住宅・都市開発省やConnectHomeプログラムとも連動していくことを決めている。公営住宅在居者で学童・学生期(K-12)の子供がいる家庭に対し、無料で無線ブロードバンドインターネットを提供するとのこと。これはAT&TおよびVerizonがConnectEDの一環として始めた学生貧困層に対する無料モバイルブロードバンドを提供する動きに追随するものだ。

アメリカは広い。全家庭にインターネット環境を導入するには数多くのイニシアチブの動きが必要で、さらに期間も長くかかることだろう。しかしサービスを提供しようとしている企業などが積極的に関わり続けることで、目的を達成することもできるに違いない。

オクラホマ州にてConnectHomeのスタートをアナウンスしたオバマ大統領は次のように言っている。

「インターネットは贅沢品ではなく、日常必需品だ」。
「コーディングの知識を手に入れるにも、インターネットで学べるようにすることが大切だ」。

「学びの手段としてインターネットは欠かせないものであり、今後のアメリカの発展のためには、すべての家庭からインターネットにアクセスできるようにすることが大切だ」とのことだった。オバマ大統領の発言は下のビデオで確認できる。

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(翻訳:Maeda, H

F8:FacebookのAquilla大型太陽光ドローンはインターネット接続を万人に提供する

今日(米国時間3/26)はFacebookのデベロッパー・カンファレンス、F8 2015の2日目だが、今朝のキーノートでCTOのMike Schroepferkが何十億人もの人々に新たにインターネット接続を届けようとする同社の試みのカギとなるハードウェアを明かした。

Aquila〔ラテン語でワシの意味〕というコードネームで呼ばれる巨大ドローンは翼幅がボーイング767ほどもある。しかし極めて軽量の素材を用いるので、重量は自動車1台分程度だという。

今日のF8ではこの他にもオープンソースの開発ツール、React Nativeやビデオやテキストのコンテキストを理解する新しい人工知能のデモも行われた。

Aquilaが信じられないほど軽いのは、太陽光を動力源に連続して3ヶ月も滞空しなければならないからだ。大型ドローンを6万から9万フィート〔18kmから27km〕の高空に長時間飛ばすだけでも難しい課題だが、Facebookの目的はこのドローンを利用して地上の人々にインターネット接続を提供しようというところにある。

Aquila is the first complete concept we’ve seen come out of Facebook’Facebookがイギリスのドローン・スタートアップAscentaを主として人材獲得のために買収したのは約1年前になるが、その成果がまとまった形で公表されたのは今回が最初だ。〔Googleも同じ頃インターネット接続提供のためにドローン・スタートアップ、Titan Aerospaceを買収している。〕Aquilaはこの夏にも試験飛行が予定されているが、実用化開始までにはさらに数年かかるもようだ。

画像: Harvest Zhang/Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


イーロン・マスク、「SpaceXがインターネット接続用低価格小型衛星を開発」という報道を確認


テスラ・モーターズのCEO、イーロン・マスクのもう一つのスタートアップであるSpaceXは手頃な料金による宇宙旅行の実現を目指している。今日(米国時間11/11)、マスクはTwitterでSpaceXが「大量に打ち上げられてネットワークを組んで機能する進歩したマイクロ衛星」の開発に取り組んでいることを明らかにした。正式発表は2、3ヶ月先になるという。このマイクロ衛星は「超低価格のインターネット接続を提供するために用いられる」ということだ。

マスクのツイートは数日前にWall Street Journalが掲載した記事〔有料会員向け〕に対するコメントだ。WSJはこの記事で、SpaceXは世界のいたるところにインターネット接続をもたらすことができる小型低価格の衛星を開発中だとしていた。

記事は「マスクは元Google Inc幹部でWorldVu衛星を開発中のGreg Wylerと協力している」と報じている。またこの小型衛星は1基110kg程度で、SpaceXはこれを700個ほど打ち上げる計画だという。この重量は現在の最小の通信衛星のさらに半分程度だ。700基という数は、現在最大の通信衛星ネットワークであるIridiumの10倍にも上る。ただしマスクは「WSJの記事には重大な間違いがいくつもある」ともツイートしている。ただし、どこが間違いなのかは明かしていない。

〔日本版〕WorldVu衛星ネットワークは当初、Googleの関与が噂されていた。Greg Wylerは2007年に創立されたO3b衛星ネットワーク・システムの共同ファウンダーで、2013年には最初の4基の衛星の打ち上げに成功している。Googleが最大の出資者となり、Wylerらはこれを機にGoogleに入社した。しかしその年のうちにWylerらO3b出身者はGoogleを離れてWorldVuに移籍した。GoogleとWorldVuの関係は明らかではない。一方Googleは今年6月に画像衛星のスタートアップ、Skyboxを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+