「マイクロインフルエンサー」マーケティングプラットフォームを日本でも展開する台湾のInfluenxioが2.2億円調達

Influenxioのメンバー。中央が創業者でCEOのAllan Ko(アラン・コー)氏(画像クレジット:Influenxio)

「マイクロインフルエンサー」がマーケッターたちの間で影響力を持ち始めている。台北を拠点とするInfluenxioの創業者でCEOのAllan Ko(アラン・コー)氏は、マイクロインフルエンサーのフォロワーは1000人程度と多くはないが、特定のコンテンツに強くオーディエンスから注目と信頼を集めていると語る。Influenxioは同社のオンラインプラットフォーム上でInstagramのマイクロインフルエンサーと連携している。そのInfluenxioが現地時間3月8日、DCM Venturesが主導するプレシリーズAで200万ドル(約2億2000万円)を調達したことと、新しいサブスクリプションプランを開始することを発表した。

2018年に創業したInfluenxioは、シードインベスターのSparkLabs Taipeiなどからこれまでに300万ドル(約3億2500万円)を調達したことになる。同社は現在、台湾と日本で事業を運営しており、台湾では10万人、日本では25万人のInstagramクリエイターが同社のデータベースに登録されている。これまでに6000以上のブランドがInfluenxioのプラットフォームに登録し、1000件以上のキャンペーンを実施した。

Influenxioは今回調達した資金を人材の雇用と製品開発に使う計画だ。コー氏はTechCrunchに対し、サブスクリプションプランはこの分野では比較的新しいモデルで、目的の1つはこのモデルが有効かどうかを検証することだと述べた。他に日本のプラットフォームを増強し、さらに多くの国に拡大する計画もある。

Influenxioプラットフォームのスクリーンショット

Influenxioは過去のキャンペーンやパフォーマンスのデータ、クライアントからのレビューを分析してアルゴリズムを改良している。コー氏はTechCrunchに対し、インフルエンサーを見つけるところからインフルエンサーへの支払いまで、キャンペーン制作のプロセス全体をInfluenxio経由で実施するため、幅広いデータを集めてテクノロジーを磨くことができると説明した。

インフルエンサーには、キャンペーンに参加するごとに通常35〜40ドル(約3800〜4300円)が支払われる。Influenxioを利用しているブランドには、フード(レストランなど)、ファッション、ビューティー、生活サービスなどがある。

コー氏はInfluenxioを起業する前に、デジタルマーケティング業界で15年間働いていた。Yahoo!とMicrosoftのアカウントマネージャーを務めた後、香港と台湾のGoogleのオンラインパートナーシップグループで責任者を務めた。同氏はデジタルマーケティングについて学んだことを生かし、多くの企業にとって利用しやすいスタートアップを作ろうと考えた。

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大企業はInfluenxioを利用して、母の日やクリスマスなど特別なイベントのマーケティングキャンペーンを迅速に展開している。例えば台湾のある広告主は、Influenxioを利用して1週間で200人近くのインフルエンサーを動員し、製品を試用して投稿するように依頼した。Influenxioを利用している著名な企業には、資生堂、Shopee、iHerb、KKBoxなどがある。

しかしInfluenxioのクライアントの大半(およそ80〜90%)は中小企業だ。中小企業は通常、1カ月に数人のインフルエンサーと連携し、時間をかけて複数のキャンペーンを実施してブランドの認知度を上げるとコー氏は説明する。

Influenxioの新しいサブスクリプションプランは、このような中小企業のためのものだ。プランは1カ月100ドル(約1万800円)未満で、まず台湾でスタートしてから他の市場に展開される。コー氏は「プラットフォームを立ち上げた最初の年に、中小企業は専門家やアドバイスを求めていることがわかりました」という。マーケティングマネージャーがいない中小企業が多く、Influenxioのサブスクリプションプランはそうした企業におのずとマッチする。プランでは毎月新しいインフルエンサーに依頼し分析を提供するため、企業はキャンペーンの成果を知ることができる。

Influenxioは「マイクロインフルエンサーエコノミー」に進出している多くのスタートアップの1つで、他にはAspireIQ、Upfluence、Grinなどがある。

コー氏は、Influenxioの最大の特徴は中小企業に注目し、インフルエンサーキャンペーンを実施するためのワンストップのマーケットプレイスを提供していることだという。さらに同氏は「我々のプラットフォームにとって重要なのは、とても簡単でシンプルでなくてはならないということです。広告主がプラットフォームをスムーズに使えるようにすることに多くの時間を費やしました。インフルエンサーに対しては、もっと便利にしようと取り組んでいます。例えばインフルエンサーが報酬を受け取る方法を簡単にしたいと思っています」と述べた。

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タグ:Influenxioマーケティングインフルエンサー台湾資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

Capsuleが「超シンプル」な分散型ソーシャルメディアを構築するために1.6億円調達

Capsuleが計画しているのは、ビッグ・テックに個人情報を覗かれることのない、とてもシンプルな分散ソーシャルメディアだ。同社は米国時間3月9日、Beacon Fundがリードするシードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)のシード資金を調達し、その実現に向かって一歩前進した。Beaconのファンドを支えるPolychain Capital自身が、Dfinityの分散ネットワークの上でスタートアップの育成にフォーカスして、次世代のオープンアプリケーションすなわちインターネットコンピューターを目指している。

2021年1月に報じたように、Capsuleのアイデアはツイートで始まり、たちまち10万ドル(約1100万円)のプレシードを獲得した。それに今回のシードが加わり、プロトタイプの発表予定も2021年3月後半へと早まった。

モバイルアプリも予定しており、Capsuleのチームづくり(現在は4名ほど)にも今回の資金が投じられる。

Capsuleの創業者であるNadim Kobeissi(ナディム・コベイシ)氏は暗号技術の研究者で、過去にオープンソースでエンド・ツー・エンドの暗号化デスクトップチャットアプリケーションCryptocatを開発したことがある。コベイシ氏によると、MVP(実用最小限の製品)は月内に出せる、あと少しインフラの調整が必要、ということだ。

コベイシ氏は「プロトタイプはできている。今はインフラの一部をGUNからIPFSに切り替えることを検討している。ユーザーインタフェイスも改良したい。MVPは今でもローンチできるが、それも数週間後にしたい」と語っている。

Polychain CapitalがBeacon Fundを作ったのは2020年9月だ。1450万ドル(約15億8000万円)の投資原資はPolychainの他に、Andreessen HorowitzとDfinity Foundationが出し、Dfinityのインターネットコンピューター(The Internet Computer、TIC)を作る起業家やチームを支援する。TICは一般に、ソフトウェアとサービスを各自がホストするサーバーレスのアーキテクチャ、と呼ばれている。それは「容量が無制限でウェブのスピードで動く初めてのブロックチェーンコンピューター」とも呼ばれる。

一方、コベイシ氏によるCapsuleの最初のコンセプトは、セルフホスティングのマイクロサービスを作ることだった。しかし一部の技術的問題の解決には、TICのポテンシャルを頼りにしている。

画像クレジット:Capsule

コベイシ氏は次のように述べている。「インターネットコンピューターによって私たちは『カスタマイズされたミニブロックチェーン』を作り、Capsuleの2つの問題を解決したい。それはポスト(投稿)のグローバル認証のタイムスタンプと、ポストのユーザー認証鍵の信頼性のルートを得ることだ。今回の投資の前にも、この問題の解決を模索しており、すでにDfinityをソリューションの候補と見なしていた。それにはプログラミング言語があって、そういう『カスタムのミニブロックチェーン』を、私たちの構想どおりに作れるからだ」。

「その他の部分では、前からと同じく、セルフホスティングで自己充足的で精密に設計施工されたマイクロサービス、というコンセプトに変わりはない。分散データベースと接続性を支えるバックエンドは、それまでのGUNではなくIPFSを使う」とコベイシ氏は付け加えた。

TICの意図は、ありとあらゆるアプリケーションを特定のサーバーの上ではなくインターネットの上で分散化してホストすることだから、ソーシャルメディアも大量の分散ソーシャルメディアが登場する。たとえば2020年にDfinityは、プロフェッショナルのためのソーシャルネットワークであるLinkedInの「オープンバージョン」のPoC(概念実証)を立ち上げ、だじゃれ的にそれを「LinkedUp」と呼んだ。

さらに2020年夏は、DfinityはTikTokのクローンをデモし、その概念を開発者以外の人たちにも示した。ビッグテックのお節介な手に介入されずに、大量のアプリケーションが、ソーシャルネットワーキングサービスを自称するネットワークの上で作られていくのも、もうすぐだ。コベイシ氏が主張するCapsuleのセールスポイントもそこにある。インターネットが、検閲や盗視行為に対して強い分散メガアプリの大きな海になったら、一体どういうことになるだろうか?

「Capsuleの真価は、その優れたユーザー体験とクオリティーとパフォーマンスと使いやすさと高品質な設計施工にある。これらはTICやIPFSのような先進的な技術を利用し、しかも肥大していない。他が同じ技術を使っていても、シンプルという点で良い仕事をしているのは私たちだ。それは単純明快に仕事をし、使っていて楽しい」とコベイシ氏は語る。

彼は自分の意図を、もっと一般的な言葉で次のように述べている。「これからは、マクドナルドのメニューに対してベジタリアンのメニューが健康的といわれるように、FacebookがだめならCapsuleといわれるようになるだろう。Capsuleはソーシャルメディアの一種かもしれないが、しかしそのユーザーやデベロッパーとの関係は、ビッグ・テックのプラットフォームとは根本的に異なる」。

画像クレジット:Capsule

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画像クレジット:allanswart

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ライセンスされた音楽をソーシャルメディアで使えるようにするSongclipが約12億円を調達

Songclipのチームは、ソーシャルメディアではもっと音楽が使われるようになるだろうと考えている。

確かに、TikTokやTrillerなど一部のアプリでは音楽はエクスペリエンスの重要な一部だ。しかしSongclipの共同創業者でCOOのJohn vanSuchtelen(ジョン・ヴァンサッテレン)氏は筆者に対し「それは音楽が目玉になることの最終形ではなく、始まったばかりです」と語った。

さらに同氏は「今後9〜12カ月のうちに、カメラが付いていない携帯電話を決して使わないのと同じように、ビデオを作る際に目玉としてミュージッククリップを追加する機能がないアプリは使われなくなるでしょう」とも述べた。

それが、ヴァンサッテレン氏と共同創業者でCEOのAndy Blacker(アンディ・ブラッカー)氏がSongclipで実現したいことだ。米国時間3月9日、同社は新たに1100万ドル(約12億円)を調達したと発表した。

Songclipは、アプリと統合してユーザーが音楽を探し共有できるようにするAPIを開発している(現時点では写真とビデオ編集アプリのPicsArtと統合されている)。ヴァンサッテレン氏は、Giphyで動画クリップを検索して共有できるのと同様に、Songclipは新しいメディアのフォーマットであるショートオーディオクリップを普及させて幅広いサービスで利用できるようにする構想であると述べた。

同氏はこう語る。「もし私があなたに4分間の曲を送るよといっても、それはできないでしょう。それではコミュニケーションをとることができません。音楽を選んでソーシャルの場面で使えるようにするにはどうすればいいでしょうか」。

ブラッカー氏は、これを実現するためにSongclipは音楽のライセンスを扱うことに加え、独自のタグづけとクリッピングをする他、音楽レーベル向けには知的財産を保護するツールと音楽の利用者に関するデータを提供すると説明した。そしてGiphyとは異なり、Songclipはコンシューマ向けブランドにするつもりはないという。

こうしたことはすべて人間のエディターとテクノロジーを組み合わせて実行する。ブラッカー氏は、曲のニュアンスや関連性を理解するには人間が重要だという。例えばサイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)」は橋や水の歌ではないし、カトリーナ&ザ・ウェイブスの「Walking on Sunshine」は歌詞に「happy」という言葉は使われていなくてもハッピーな曲だというようなことだ。

Songclipはこれまでに2300万ドル(約25億円)を調達した。今回のラウンドはEvolution VC PartnersのGregg Smith(グレッグ・スミス)氏が主導した。他にThe Kraft Group、Michael Rubin(マイケル・ルービン)氏、Raised in Space、Gaingels、Forefront Venture Partnersや、音楽業界の有力者であるJason Flom(ジェイソン・フロム)氏、Steve Greenberg(スティーブ・グリーンバーグ)氏、そしてバンドのAJRも参加した。

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タグ:Songclip資金調達ソーシャルメディア音楽

画像クレジット:Songclip

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

女性限定チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」のメンヘラテクノロジーが資金調達

女性限定チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」のメンヘラテクノロジーが資金調達

女性限定チャット相談サービス「メンヘラせんぱい」を手がけるメンヘラテクノロジーは3月9日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先はみらい創造機構。調達額は非公開としているものの、数千万円規模とみられる。

調達した資金により、メンヘラせんぱいの機能拡充を図り、より多くのユーザーが気軽に悩みを相談し「幸せに病める」体験を深めていくとともに、サービスのさらなる認知拡大を目指す。また現在、メンヘラせんぱいはウェブ版のみの提供としているが、iOS版のリリースを目指し開発を進めている。

メンヘラテクノロジーは「幸せに病める世界をつくる」を目標に、メンヘラせんぱいを開発・運営。同サービスのこれまでの相談受付件数は2200回以上、相談の受け手となる「せんぱい」の登録数は300人を超えた。

メンヘラせんぱいは、辛いときにいつでも安心して使えるというチャット相談サービス。相談の受け手の「せんぱい」は全員女性で本人確認済み。また通過率約20%の選考をクリアした人のみが担当しており、チャットで話した内容は外部に漏れないとしている。

メンヘラせんぱい概要

  • 利用対象者は女性のみのチャット相談サービス
  • 相談の受け手の「せんぱい」は全員女性・本人確認済み
  • せんぱいは専門家ではなく、カウンセリングのような専門的なアドバイスなどは行わない
  • 利用料金(せんぱいによって料金が異なる):5分コース100円〜、10分コース150円〜、30分コース300円〜(すべて税込)。また1日あたりメール1通(140文字まで)の無料相談が可能
  • 営業時間:平日午後6時〜午前3時、土日午後1時〜午前3時

同社によると、誰かに話を聞いてもらいたいとき、身の回りの家族や友達をうまく頼ることができなかったり、ネット上ではなかなか安心して話せる相手がいなかったり、気軽に安心して話を聞いてくれる相手がいないという課題があるという。

公共団体やNPOが運営する無料の相談窓口はあるものの、相談の受け手の負担が大きく受け手が非常に不足している状況にある。このような背景を踏まえ同社では、いつでもすぐに、安心して利用できるチャット相談サービスとして、メンヘラせんぱいの開発に取り組んでいる。

また安心して相談してもらうため、「せんぱい」希望者の女性には、同社に登録するまでに話の聞き方について学び、トレーニングも受けてもらっているそうだ。

2018年8月設立のメンヘラテクノロジーは、「幸せに病める世界をつくる」を夢に掲げ、サービスの開発に挑戦しているスタートアップ企業。落ち込んだり、辛くなったり、悲しかったりすることは人間にとって大事なことだと考え、「病む」ことや「メンヘラ」であることを受け入れ、幸せになれる方法を模索している。

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タグ:資金調達(用語)メンタルヘルス(用語)メンヘラテクノロジー(企業)日本(国・地域)

語学学習の需要増を受け個人指導マーケットプレイスのPreplyが38億円調達

語学学習のための個人指導マーケットプレイスPreply(プレプリー)は、Byju’sとNewselaが出資するEdTechファンドであるOwl VenturesとFull In Partnersが共同でリードしたシリーズBラウンドで3500万ドル(約38億円)を調達した。このラウンドの1年ほど前に、Preplyは1000万ドル(約10億8800万円)のシリーズAをクローズした。Preplyの投資家にはPoint Nine Capital、Hoxton Ventures、EduCapital、All Iron、Diligent Capital、Evli Growth Partnersが含まれる。

Preplyの最近の成長、そして語学学習におけるグローバルブームが現在の投資家の関心を物語っている。

シリーズAをクローズしたとき、Preplyで予約されたレッスンは200万で、十分に吟味された個人指導教師1万人を抱えていた。その1年後、Preplyのプラットフォーム上で予約されたレッスンは1000万超となり、個人指導教師のネットワークは190カ国4万人に成長した。Preplyは2020年に米国での事業拡大を狙っていた。そして今では売上高の3分の1は米国で上げていて、顧客数で最大のマーケットとなっている。

2021年IPOする計画のDuolingoや、2019年の売上高が1億5000万ドル(約163億2000万円)を超えたBabbelのような超重量級の競合相手がいるにもかかわらず、Preplyが牽引力を手にしていることを成長は示している。CEOのKirill Bigai(キリル・ビガイ)氏は生徒と個人指導教師を結びつけるのに人工知能を活用したテクノロジーによって他社と差異化を図ることができたと話す。

Preplyのセールスポイントは、生徒の学習ニーズに最も合う教師を結びつけられることだ。マーケットプレイス内で生徒と教師を結びつける前に400超のパラーメーターを比較検討する。例えば夜に学習したいサンフランシスコにいる生徒を、その要望に答えられるタイムゾーンにいる教師と結びつけることができるとビガイ氏は話す。また、学習のために2言語を使えるバイリンガルであるなど、生徒が自身と同じようなバックグラウンドを持っている教師を探すのもサポートできる。

Preplyが競合他社と最も異なる点は、学習がどのようになされるべきかという哲学にある。学習はライブで、そしてネイティブスピーカーと行われるべきであるとPreplyは信じているが、Duolingoのような企業はゲーム化して自己主導でできると考えている。

「当社の顧客は、当社の語学学習のやり方が他の学習アプリよりもずっと効果的だと考えています」とビガイ氏は述べた。Preplyはスペイン語、英語、フランス語などに加えてアイスランド語、チベット語、カタルーニャ語といったニッチな言語も含め、計50言語をサポートしている。

これまでにないEdTechのサブセクターへの無関心と既存プレイヤーの存在にもかかわらず、パンデミック中に他の語学学習アプリも同様に成長できた。Fluent Foreverは展開する語学学習システムのために490万ドル(約5億3000万円)を調達し、別の会社Fluent Cityはサブスクサービスを立ち上げた。

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法人向けでPreplyには大きなチャンスがあるとビガイ氏は考えている。同社は2019年に、同僚やクライアントが話す言語を従業員が学習するのをサポートするためのソリューションとして世界中の事業者への販売を開始した。2021年、Preplyはものすごい数の法人顧客を持つだろうとビガイ氏は話した。

同社は個人指導教師との収益分配契約によって利益を得ている。1時間あたり15〜20ドル(約1600〜2200円)の各レッスン代の20%、最初のレッスンの全費用がリードジェネレーションの代わりにかかる。法人向けのサービスでも同じビジネスモデルだが、雇用者がコストを負担しているため従業員の利用時間には上限がある。

Preplyは教師が同プラットフォームにどれくらい利用し続けるかを示す教師の保持についての数字は明かさない(この要素は、生徒の理解や学習の継続にとって鍵となる)。トップの教師の30%が複数年同プラットフォームで教えているとビガイ氏は述べた。

同社は売上高を明らかにするのは却下したが、望めば黒字化できたかもしれないと話した。差し当たってPreplyはB2Bサービスでの成長と事業開発を優先している。

カテゴリー:EdTech
タグ:Preply資金調達語学学習

画像クレジット:Brian A Jackson / Shutterstock

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

2020年におけるアフリカのスタートアップの資金調達状況

アフリカのベンチャーキャピタル業界は着実に成長を遂げており、近年、国内外の投資家からの資金流入がかつてないレベルに達している。その成長度を示す具体的な数字を挙げると、アフリカのスタートアップが2015年に調達した資金はわずか4億ドル(約420億円)だったが、2019年にアフリカ大陸に流入した資金は20億ドル(約2100億円)に達する(アフリカに傾注するファンドPartech Africa(パーテックアフリカ)の調べによる)。

ただし、この数字だけが唯一の尺度というわけではない。 WeeTracker(ウィートラッカー)やDisrupt Africa(ディスラプトアフリカ)などのメディア刊行物は、アフリカのベンチャーキャピタル市場について異なる数字を公開している。TechCrunchでは、昨年の各社の数字を比較対照してみた。その調査の結果、集計手法の相違と類似性の詳細が明らかになった。

アフリカのスタートアップの2019年における資金調達額については、パーテックは20億ドル(約2100億円)、ウィートラッカーは13億ドル(約1400億円)、ディスラプトアフリカは4億9600万ドル(約525億円)と推定している。

この数字は2020年に増加すると予想されていた。ところが、パンデミックで投資環境は完全に混乱とパニックに陥った。投資家が戦略を練り直す中、企業は規模縮小を図り、2020年の最初の数か月はデューデリジェンスも低調だった。それでも、5月には予測が上向き、AfricArena(アフリックアリーナ)は、予想された通りの取引で、年末までに12億ドル(1300億円)~18億ドル(1900億円)の資金調達ラウンドを成功させた。

投資も上向き、7月になるとアフリカ大陸でのVCファンドは活況を呈し、それが12月まで続いた。2020年は、2019年のように大型投資が続くことはなく、投資総額が20億ドル(約2100億円)に達することもなかったが、買収にとっては良い年になった。主な例を挙げると、WorldRemit(ワールドレミット)がSendwave(センドウェーブ)を5億ドル(約530億円)で、Network International(ネットワークインターナショナル)がDPO Group(DPOグループ)を2億8800万ドル(約305億円)で、Stripe(ストライプ)がPaystack (ペイスタック)を2億ドル(約210億円)以上で買収した。

2020年のアフリカにおけるVCの投資状況を把握するため、パーテックアフリカ、ブリターブリッジ、ディスラプトアフリカの3社のデータを調べてみよう。

数字が表すもの

パーテックアフリカによると、2019年におけるアフリカのスタートアップへの投資総額は20億ドル(約2100億円)だったが、2020年には14億3000万ドル(約1510億円)まで低下したという。ブリターブリッジによると、アフリカのスタートアップへの投資総額は、2019年の12億7000万ドル(約1340億円)から2020年には(公開および未公開の両方を含め)13億1000万ドル(約1390億円)まで増加した。ディスラプトアフリカによると、この投資総額は2019年の4億9600万ドル(約525億円)から2020年には7億ドル(約740億円)まで増加したという。 

昨年同様、評価対象の取引タイプからアフリカのスタートアップの定義まで、集計手法が対照的であることが数字の違いにつながっている。 

パーテックのジェネラルパートナーであるCyril Collon(シリル・コロン)氏によると、同社の数字は20万ドル(約2100万円)を超える株式資本取引をベースにしているという。また、同社によるアフリカのスタートアップの定義は「運営または収益という観点で主要市場がアフリカにある企業を指し、本社や組織の場所に基づいて考えているわけではない」という。また、「こうした企業が成長してグローバルな事業展開を始めても、やはりアフリカの企業としてカウントする」。

ブリターブリッジも同様の集計方法を採用している。同社のディレクターであるDario Giuliani(ダリオ・ジュリアーニ)氏によると、同社の研究組織は、税金、顧客、知的財産、管理チームなどが企業アイデンティティーに寄与する要因であるとの認識に基づき、アフリカのスタートアップを定義する際に地理的な要素を考慮しないという。

ディスラプトアフリカの場合、報告書で取り上げるスタートアップは、創業7年以下で、まだ成長中であり、収益性を高める潜在性を備えている企業である。「大きな企業や組織からスピンオフされた企業や、当社の定義に照らしてスタートアップ段階を過ぎている企業」は除外しているという。

フィンテックとビッグ4の優位は変わらない

パーテックによると、アフリカのスタートアップの2020年における資金調達総額は前年と比べて低下しているものの、成功した調達ラウンドの数はむしろ増えている。同社によると、2019年に完了した調達ラウンドの数は250件であったが、2020年には347社のスタートアップが359件の調達ラウンドを成功させた。これには、シードラウンドが増加したこと(2019年と比較して88%増加)、およびパンデミックによるロックダウンの中、キャッシュが不足してブリッジラウンドが増加したことが関係すると考えられる。

3社の報告書ではどれも上位5業種にフィンテック、ヘルスケアテクノロジー、クリーンテクノロジーが入っている。ただし、予想どおり、アフリカのVC資本調達額においてフィンテックの割合が圧倒的に大きい。  

パーテックによると、フィンテックは昨年のアフリカにおける資金調達総額の25%を占めているという。その後に続くのは、アグリテック、ロジスティクスおよびモビリティ、オフグリッドテクノロジー、ヘルステクノロジーといった業種だ。

ブリターブリッジによると、昨年のVC資金調達総額のうちフィンテック企業が占める割合は31%で、その後に、クリーンテクノロジー、ヘルステクノロジー、アグリテック、データ分析が続く。

ディスラプトアフリカの集計では、フィンテック分野のスタートアップがアフリカのVC資金調達総額の24.9%を占めており、その後に、Eコマース、ヘルステクノロジー、ロジスティクス、エネルギーといったスタートアップが続く。

3つの報告書のうち少なくとも2つによると、ビッグ4と呼ばれる国が2020年の投資先の圧倒的多数を占めている。

パーテックが報告した上位5か国もやはり同様である。ナイジェリアがVCの投資先としてトップで、スタートアップの資金調達額は3億700万ドル(約325億円)だった。僅差の第2位はケニアで3億400万ドル(約322億円)だ。第3位はエジプトで2億6900万ドル(約285億円)、第4位は南アフリカで2億5900万ドル(約274億円)となった。パーテックによる2019年の集計で5位だったルワンダに代わってガーナが第5位になり、資金調達額は1億1100万ドル(約118億円)だった。

ディスラプトアフリカの集計では、上位5か国が2019年と変わらなかった。1位はケニアで、スタートアップの資金調達額は1億9140万ドル(約202億6000万円)だった。これに、1億5040万ドル(約159億2000万円)のナイジェリア、1億4250万ドル(約150億9000万円)の南アフリカが続く。僅差の4位はエジプトで、資金調達額は1億4140万ドル(約149億7000万円)だった。これに対し、ガーナのスタートアップによる資金調達額は1990万ドル(約21億1000万円)となっている。

ブリターブリッジは異なるアプローチを採用している。パーテックとディスラプトアフリカは企業の創業国および運営国ごとの資金調達活動に焦点を当てていたが、ブリターブリッジは資金調達額をスタートアップの組織または本社の所在地ごとに集計した。この前提によって、ビッグ4の顔ぶれが若干変わってくる。ブリターブリッジによると、1位は米国に本社を置くスタートアップで、資金調達総額は4億7180万ドル(約499億5000万円)だった。2位は南アフリカに本社を置くスタートアップで1億1970万ドル(約126億7000万円)、3位はモーリシャスに本拠地を置く企業で1億1000万ドル(約116億5000万円)となった。次いで英国およびケニアに本社を置くアフリカのスタートアップが続き、資金調達額はそれぞれ1億760万ドル(約113億9000万円)、7710万ドル(約81億6000万円)となっている。

ジュリアーニ氏は、ブリターブリッジがこの集計方法を採用した理由について、さらなる論議を展開する際の公平な起点として自社のデータを利用したいと考えているためだと説明している。そのようなデータがあれば、より良い政策、規制、ファイナンスの可用性といったより複雑なダイナミクスを調査していくことができるためだ。

この観点から見ると、会社の主たる所在地にナイジェリアが含まれていないのも納得できる。規制、ビジネス環境、納税条件などが企業にとって不都合であるという理由で、ナイジェリアのスタートアップはセイシェルやモーリシャスといったアフリカの国やアフリカ大陸外に本拠地を置くことが多くなってきている。外国のVCのほとんどは、アフリカのスタートアップがビジネスに好都合な投資法を完備した国に本拠地を置いてほしいと思っているため、こうした傾向は続くと考えられる。

地域と性別の多様性

アフリカのフランス語圏でのスタートアップの企業活動が増えているため、同地域におけるVC資金調達額も増えるという予想もあったが、そうはなっていない。セネガルはフランス語圏トップのVC出資先だが、2019年に1600万ドル(約17億円)だった資金調達額は、2020年に880万ドル(約9億3000万円)に低下している(パーテックの調査による)。アフリカ全体で9位のセネガルと10位のコートジボワールを合わせても、資金調達額はわずか650万ドル(約6億9000万円)に過ぎない。

ただし、良いニュースもある。パーテックのデータによると、2020年には、ビッグ4以外で22か国が資金を調達できたという。この傾向は続くのだろうか。もし続くのであれば、次に資金調達額が1億ドルを超えるのはどの国になるのだろうか。

パーテックアフリカのジェネラルパートナーTidjane Deme(ティージャン・デーム)氏は、次に1億ドルを超える国がガーナになると考えている。かつてはケニア、ナイジェリア、南アフリカがビッグ3として君臨していたが、そこにエジプトが支配的な勢力として登場した。同氏は、同じことが西アフリカの国でも起こると述べている。

「投資家がより多くの市場に進出するにつれ、明らかな分散化が発生している。たとえば、ガーナは、すでに1億ドル(約110億円)を超える投資を誘致している。もちろんこの調達ができるだけ早く実現することを願っているが、同時に、これが新しい市場に参入する投資家と資金調達の仕組みを学習する創業者の双方の学習プロセスであることも分かっている」。

ガーナはジュリアーニ氏の予測にも登場していた。同氏は、エコシステムを進化させつつあり、近いうちにグローバルな投資家たちが注目すると思われる準大国として、チュニジア、モロッコ、ルワンダといった国も挙げている。

ディスラプトアフリカの共同創業者Tom Jackson(トム・ジャクソン)氏が具体的な国名を挙げることはなかった。ただ、ビッグ4以外の市場にも積極的な要素がいくつかあるものの、ビッグ4が優勢な状況は続くと考えている。

「資金は他の市場にも少しずつ移行していくだろう。その点ではすでに良い兆候が見られる。しかし、アフリカのスタートアップ業界はどちらかというとまだ初期段階であり、ビッグ4の市場は圧倒的に有利なスタートを切っているため、今後数年間はそのリードを保ち続けるだろう」と同氏は言う。

看過できないもう1つの多様性として性別が挙げられる。インクルージョンについてあらゆる議論がされているが、ブリターブリッジによると、2020年に資金を調達したスタートアップのうち、創設者、共同創設者、経営幹部に女性がいるのは15%だったという。一方パーテックは、この割合を14%としている。この割合を上げるためにはまだ多くの努力が必要だが、より多くのアーリーステージ企業がこのギャップを埋めようとしてくるだろう。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:資金調達 アフリカ

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

眼科手術ロボットスタートアップForSightが約11億円を調達

イスラエルを拠点とするForSight Roboticsは米国時間3月9日、メガシードラウンドとして1000万ドル(約11億円)を調達したこと発表した。Eclipse VenturesとMithril Capitalが主導するこのラウンドは、ロボット手術プラットフォームのローンチに必要な各種規制当局の承認を得られるまでの間、同社のサービスを国際市場に提供するための人員と世界的なリーチの拡大に向けられる。

ForSightの手術プラットフォームは特に眼科の手術用に設計されており、非常に高い精度が要求される分野だ。また、非常に需要の高い製品でもある。同社はBritish Journal of Ophthalmologyの最近の研究を引用して、資格のある眼科医の数は先進国では100万人あたり約72人だが、一方発展途上国では先進国では100万人あたりわずか3.7人だとしている。

「これは当社が開発した独自技術です。ロボット工学、視覚化、機械学習が利用されています」と共同ファウンダー兼CEOのDaniel Glozman(ダニエル・グロズマン)氏はTechCrunchに語っている。「これを組み合わせることで、医師は手術を民主化することができるようになります。世界中のすべての医師がこの手順を完成させ、より均一な方法で眼科手術を行うことができるようになるのです」。

ForSightは初期段階のスタートアップとしては、すばらしい実績がある。注目すべきは、Intuitive SurgicalとAuris Healthの共同創設者であるFred Moll(フレッド・モール)博士が、Mako SurgicalのRony Abovitz(ロニー・アボビッツ)氏とMithrilのAjay Royan(アジェイ・ロヤン)氏とともに、同社の戦略顧問委員会に参加していることだ。くわえて、6人の眼科医も臨床諮問委員会のメンバーとなっている。

2020年に指摘したように、医療・外科系のスタートアップはVCにとってホットなカテゴリーであり、特にシードステージでは資金調達総額の約4分の1を占めている。約600〜700社が2019年に資金を調達しており、ForSightはそれに見合うだけの関心を持たれているようだ。同社の目標はその技術をさまざまな市場に提供し、質の高い眼科手術を受けるための競争条件を平等にすることだ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:ForSight資金調達医療

画像クレジット:ForSight Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テレビ、映画、CM制作会社の給与支払いのDXを進める「Wrapbook」がシリーズAで29.4億円調達

Wrapbook(ラップブック)はテレビ、映画、CM制作会社の給与支払いを簡単にするスタートアップだ。このほどシリーズAで2700万ドル(約29億4000万円)調達した。ラウンドにはテック、エンターテインメント双方の世界から著名人が参加した。

リードしたのはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)でEqual VenturesとUncork Capitalも参加した他、エンターテインメント業界からDreamWorksとQuibiのファウンダー / 共同ファウンダーであるJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏率いる投資・持ち株会社WndrCoとCAAの共同ファウンダーであるMichael Ovitz(マイケル・オーヴィッツ)氏も出資した。

「今こそ制作会社の会計業務を21世紀にするときです」とカッツェンバーグ氏が声明で語った。「制作会社のますます複雑化する研修、給与、キャスト・クルー確保などの業務が新型コロナでさらに悪化する中、改善するためにはITソリューションが必要です。私はWrapbookが解決してくれると信じています」。

Wrapbookの共同ファウンダーでCEOのAli Javid(アリ・ジャビッド)氏は、エンターテインメントの給与支払いはほとんどが紙ベースで旧態依然としていて、1年に最大30回もプロジェクト間を移動するキャストやクルーを追跡するのは特に大変だと説明した。Wrapbookはそのプロセスをデジタル化によって簡略化する。必要な書類や署名は制作開始時に電子的に集め、給与処理自体を代行して支払い状況を追跡するダッシュボードを作り、必要な保険を簡単にかけられるようにする。

Wrapbookの共同ファウンダーであるキャメロン・ウッドワード氏、アリ・ジャビッド氏、Hesham El-Nahhas(ヘシャム・エル・ナハス)氏、Naysawn Naji(ネイソーン・ナジ)氏

スタートアップは2018年に設立されたが、ジャビッド氏によるとパンデミック中に制作が再開すると需要が劇的に増え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は業界のカルチャーを「根底から」覆し、制作会社に「おい、これを自宅でできる早くて簡単な方法はないのか、やってみようじゃないか」と言わしめた。

ジャビッド氏はWrapbookプラットフォームについて「業界で急速に成長しているバーティカルフィンテックソリューションで、我々は非常によく理解しているが考えてみたことのある人は多くない分野」だと説明した。実際、会社の売上は2020年に7倍に増えた。

また、Wrapbookの直接顧客は制作会社だが、共同ファウンダーでCMOのCameron Woodward(キャメロン・ウッドワード)氏(以前は映画製作保険とコマーシャル制作の仕事をしていた)は、同社プラットフォーム経由で給与を受け取っているキャストやスタッフのために良い経験を作り出すことにも力をいれていると語った。Wrapbookプロフィールを使って複数のプロダクションから支払いを受けている人も増えている(現在12%)。

画像クレジット:Wrapbook

スタートアップは以前シード資金360万ドル(約3億9000万円)を調達している。将来についてジャビッド氏とウッドワード氏は、Wrapbookのソリューションはいずれプロジェクト・ベースの他業界にも採用されるだろう、と語った。しかし現在は、エンターテインメント業界だけで十分成長を続ける余地があると見ている。現在この業界で年間2000億ドル(約21兆7500億円)の支払いが行われている、と彼らは推測している。

「まずエンターテインメント業界で顧客から依頼されたことを中心とした業務とものづくりに注力していくつもりです」とジャビッド氏は語った。「そのために、次の1年間で100人を新規雇用する計画です」。

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カテゴリー:その他
タグ:Wrapbook資金調達エンターテインメントDX

画像クレジット:Wrapbook

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nob Takahashi / facebook

病理医の仕事を模倣するAI利用の癌診断プラットフォームIbex Medical Analyticsが約41億円調達

イスラエルを拠点とするIbex Medical Analyticsはより効率的に生検中の癌細胞を検出するAI(人工知能)駆動の画像処理技術を有しており、Octopus Ventures83NorthがリードするシリーズBの資金調達ラウンドで3800万ドル(約41億円)を調達した。このラウンドにはaMoon、Planven Entrepreneur Ventures、Dell Technologiesのコーポレートベンチャー部門であるDell Technologies Capitalも参加している。同社は2016年の設立以来、これまでに合計5200万ドル(約56億円)を調達しており、Ibexは今回の資金を北米や欧州の診断研究所へのさらなる売却に充てる計画だ。

もともとKamet Venturesのインキュベーターから生まれたIbexの 「Galen」 プラットフォームは病理医の仕事を模倣しており、癌をより正確かつ迅速に診断し、生検標本から新しい洞察を引き出すことができる。

がんの発生率が上昇し、また医療処置が複雑化しているため、病理医の仕事量は増えている。さらにIbexによると、病理医は世界的に不足しており、診断プロセス全体に遅れが生じる可能性がある。同社はこのソリューションを使用することで、病理医の生産性を40%向上できると主張している。

IbexのCEO兼共同創業者のJoseph Mossel(ジョセフ・モッセル)氏はTechCrunchの取材に対し「これは病理医のアシスタントと考えることができます。そのため症例を事前に準備し、関心のある領域をマークし、病理医が効率を向上させることができます」と語った。

モッセル氏によると、Ibexはフランス最大の病理学ネットワークと、英国などで24カ所のNHSトラストにサービスを提供する5つの病理学研究所であるLDパスと提携したという。

Kamet VenturesのMichael Niddam(マイケル・ニダム)氏は、Ibexは「Kametが創業者と非常に早い段階から協力していることを示すすばらしい例」だと述べた。Ibexの創業者であるモッセル氏とChaim Linhart(ハイム・リンハルト)博士は、アイデアを開発する前にEntrepreneurs in ResidenceとしてKametに参加していた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Ibex Medical Analytics資金調達がん治療

画像クレジット:ForSight Robotics

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

グローバル・リモートワークのADPを目指すPapaya Globalが約108億円調達、評価額は1085億円超に

遠く離れた場所で人を雇用し、物理的にある本社以外の場所で働くことを可能にしたリモートワークは、今後も定着しそうだ。米国時間3月4日、そうした環境のためのツールを構築するスタートアップの1つが、機会に応えて大規模な資金調達を発表した。

本国以外の場所でフルタイム、パートタイム、そして契約社員を雇用する組織のために、140カ国にわたってクラウドベースの給与計算と採用、オンボーディング、コンプライアンスサービスを提供するイスラエルのスタートアップPapaya Globalは、1億ドル(約108億5000万円)の資金調達を行い、その評価額が10億ドル(約1085億円)を超えたことを発表した。

同社は、グローバルな労働力を持つだけでなく、従業員の拠点を急速に拡大している企業をターゲットにしている。その中には、OneTrust、nCino、Hopin(こちらも3月4日、4億ドル/約434億円の大規模なラウンドを発表した)などの急成長中のスタートアップ企業や、トヨタ、Microsoft(マイクロソフト)、Wix、General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)などの大手企業も含まれている。

Papayaは売上高の数字を公表してないが、過去3年間の売上高はそれぞれ前年比300%増となったという。

Greenoaks Capital Partnersが主導するこのシリーズCには、IVPとAlkeon Capitalも出資している。既存投資家であるInsight Venture Partners、Scale Venture Partners、Bessemer Venture Partners、Dynamic Loop、New Era and Workday Ventures、Access Ventures、そしてGroup 11も参加した。今回の新たな投資により、Papayaの資金調達総額は1億9000万ドル(約206億2000万円)となった。

Papayaはここ18ヶ月間、資金調達モードに入り勝ち続けている。今回のニュースは、4000万ドル(約43億4000万円)のシリーズBを調達してから半年も経っていない。

なぜこれほどまでの資金を、こんなに急いで調達するのか?その理由の一つには、ビジネスへの需要もあるが、おそらく他の多くの企業が同じ市場を狙っている時期に、そのチャンスを生かすためでもあるだろう。

チャンスとは、企業やその他の組織が、現在の状況に対応するためのツールを必要としていることに気づくことだ。今日の労働力の成長は2019年に見られた状況とは異なるため、ADPのような既存のソリューションや、複数の地域をカバーするのに寄せ集めた組み合わせソリューションでは、それに対応できないか、または維持するのにコストがかかりすぎる。

これとは対照的に、Papaya GlobalはAIベースのプラットフォームを構築し、多くの作業を自動化し、新しいパラダイムに対応するために多くのレガシー給与計算製品を適正化しようとすることから生じる手作業の多くを取り除くことができたという。

Ruben Drong(ルーベン・ドロン)氏、Ofer Herman(オファー・ハーマン)氏と共同で会社を設立したCEOのEynat Guez(アイナット・グエズ)氏は、昨年9月のインタビューでこう語ってくれた。「新型コロナウイルスが私たちに与えた大きな影響は、意識の変化です。給与計算はそれ自体で機能すると思われがちですが、給与計算は組織の中でも最も複雑な部分の一つであり、労務、会計、税務などの主要な分野にまたがっています。8カ月前までは、多くのクライアントは、給与計算は当たり前に起こるものだと思っていました。しかし今では、データの管理ができていなかったことに気づき、誰が給与を受け取っているのかさえ把握できていないこともあります」。

しかし、一つの課題としては、他の多くの企業も分散型・グローバルワークのADPになることを期待して、これらの顧客を追いかけていることが挙げられる。

先月、同じく分散型ワークフォースをターゲットにしているOysterというスタートアップも2000万ドル(約21億7000万円)を調達した。同じ分野で多くの資金を調達した他のスタートアップには、TuringDeelRemoteHibobPersonioFactorialLatticeRipplingなどがあります。

そして以前にも指摘したように、これらは昨年1年間に資金を調達したHRスタートアップのほんの一部に過ぎない。他にもたくさん、たくさんある。

ここにいる投資家は、このミックスからいくつかの統合が浮上し、その中から何社かリーダーが出てきて、Papayaがそのうちの一社になることを期待している。

Greenoaks CapitalのパートナーであるPatrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は、声明で次のように述べた。「Papaya Globalは、新入社員のオンボーディング、給与計算の自動化、グローバルな労働力の管理を一枚のスクリーンを通して行うクラス最高のソリューションを構築してきました。成長企業も老舗企業も、ここ数年で働き方を劇的に変え、その結果、Papayaは目覚ましい成長を遂げてきました。世界有数の大企業のために、ますます複雑化する課題を簡素化しようとしている彼らを、当社は今後もサポートしていきたいと思っています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク 資金調達

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

コロナ禍でも成長中の短期レンタルアパートCosiが約26億円を調達

ベルリンを拠点とし、ブティックホテルや短期滞在型管理アパートに代わる選択肢を提供するスタートアップのCosi Group(コシグループ)が、2000万ユーロ(約26億円)の新規調達を明らかにした。

ラウンドを支えたのはウィーンを拠点とするSoravia(ソラビア)。同社はドイツ語圏の国々の大手不動産グループだ。既存の投資家からCherry Ventures、e.ventures、Kreos Capital、Bremkeが参加し、また多くの個人投資家もそれに続いた。個人投資家にはFlixbus、Travelperk、ComtravoおよびCosi自身の創業者が含まれるとのことだ。

Cosiは新しい資本により欧州での国際的な拡大を加速し、新しいブランドを築き、まもなく「新しい戦略的ビジネスユニット」を立ち上げると述べている。

もともとは、上手く運営されているブティックホテルや伝統的な地元の管理アパートメントと競合する、テクノロジーを装備した、または「フルスタック」のホスピタリティサービスだと説明されていた。同社は不動産所有者と長期リース契約を締結し、アパートメントに家具を備えつけインテリアデザインエクスペリエンスをコントロールする。同社はプロセスをデジタル化し、可能な場合は自動化したと主張している。最初のコンタクトから顧客ロイヤリティまで、ゲストの旅を通してサービスの品質を拡大し維持するためだ。

CosiのCEOであるChristian Gaiser(クリスチャン・ゲイザー)氏は筆者に、このスタートアップはパンデミックの影響を緩和できただけでなく、実際に成長したと語っている。パンデミックの間に複数の国でフルロックダウンが実施されるなどして、旅行が大きく制限されたが、同社が成長できたのは、休暇の旅行や短期出張に依存しない「新しい需要チャネル」を切り開いたためだ。

「ミッドステイ」(1カ月以上滞在するゲスト)と呼ばれる例としては、ある都市に到着し、長期のアパートが見つかるまで1〜2カ月家が必要な人や、シェアアパートメントから離れる必要がある人(おそらくリスクがより少ないため、または自宅で仕事をするため)、もしくは家を建てたり改築したりしているがパンデミックのために建設の遅れに直面している家族などがある。

「このようにして90%以上の稼働率に達し、キャッシュフローがプラスのまま事業を運営することができました」とCosiのCEOは付け加えた。「私が学んだ教訓はこういうことです。ほとんどすべての需要チャネルが枯渇したとしても、コントロールできることに集中すれば多くのことができます。私たちは新しい需要チャネルを活性化しただけです」。

さらに、パンデミックは需要の好みの変化を加速させた。巨大なホテルは個人用のアパートメントスタイルの宿泊施設に比べて人気が低くなっているとゲイザー氏はいう。

一方、Cosiは「供給の大幅な増加」も目にしてきた。ホテル業界では、業績の悪いホテル物件について特に多くの買収の機会がある。また、オフィススペースの需要が大幅に縮小していることから、ミッドステイの宿泊施設として使用するためにオフィススペースから転換する提案も受けている。

「新型コロナ下における強力な業績のおかげで、私たちは不動産コミュニティの間で多くの信頼を築き、ますます多くのオファーを受け取っています」とガイザー氏はいう。「こうした要因により、都市によっては供給価格が大幅に下がることもあります」。

そのために、Cosiは現在750ユニットの契約を有しており、さらに1500ユニットについて交渉中だ。

「長期的な観点から、Cosiの成長を加速する最適なタイミングです。みんなが怖がっていたりショックを受けたりしているときに明確な計画があれば、大きな勝利を収めることができます。私たちのビジネスモデルは回復力があり、凪いだ海でも荒れた海でも船を航行させる能力があることを示したために、投資家はこの計画に賛成したのです」とCosiのCEOは語る。

カテゴリー:その他
タグ:Cosi Group資金調達ホテル

画像クレジット:COSI Group

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(文:Steve O’Hear、 翻訳:Nariko Mizoguchi

インドネシアのエンド・ツー・エンド物流スタートアップSiCepatがシリーズBで約185億円を調達

インドネシアのエンド・ツー・エンドの物流スタートアップ、SiCepatは1億7000万ドル(約185億円)のシリーズB資金調達を行ったと、現地時間3月5日に発表した。同社は2014年に小規模な小売店向けにラストマイル配送を提供するために設立されたが、後に大規模な電子商取引プラットフォームにもサービスを拡大してきた。現在では、倉庫保管やフルフィルメント業務、ミドルマイル物流、オンライン発送などのサービスも提供している。

SiCepatのシリーズBラウンドには、Falcon House Partners(ファルコン・ハウス・パートナーズ)、Kejora Capital(ケジョラ・キャピタル)、DEG(ドイツ開発金融機関)、Telkom Indonesia(テルコム・インドネシア)の投資部門であるMDI Ventures(MDIベンチャーズ)、Indies Capital(インディーズ・キャピタル)、Temasek Holdings(テマセク・ホールディングス)の子会社であるPavilion Capital(パビリオン・キャピタル)、Trihill Capital(トライヒル・キャピタル)、大和証券などの投資家が参加した。同社が前回資金調達を発表したのは、2019年4月、5000万ドル(約5440億円)のシリーズAだった

記者発表の中で、SiCepatの親会社であるOnstar Express(オンスター・エクスプレス)の創業者で最高経営責任者であるKim Hai(キム・ハイ)氏は、今回の資金調達が「SiCepatのインドネシア市場におけるエンド・ツー・エンド物流サービスの主導的プロバイダーとしての地位をさらに強化し、東南アジアの他の市場へ事業を拡大する可能性を模索するために使用される」と述べている。SiCepatはすでに利益を上げており、2020年には1日140万個以上の荷物を処理することができたという。

インドネシアの物流業界は非常に細分化されており、それは企業にとってコストが高くなることを意味する。同時に、新型コロナウイルス感染流行の影響もあり電子商取引が成長したことで、配送需要は増加している。

インドネシアにはSiCepatの他にも、サプライチェーンと物流インフラの効率を高めるために資金調達を行っているスタートアップ企業がいくつかある。例えば2021年3月初めには、サプライチェーンSaaSプロバイダーのAdvoticsが275万ドル(約3億円)の資金調達ラウンドを発表した。この分野で注目すべきスタートアップとしては、他にも元Uber Asia(ウーバー・アジア)の幹部が設立したKargoや、Waresixなどがある。

SiCepatは、特にeコマースやソーシャルコマース、つまりソーシャルメディアのネットワークを通じて商品を販売する人々に焦点を当てている。Kejora CapitalのマネージングパートナーであるSebastian Togelang(セバスチャン・トゲラン)氏は声明の中で、インドネシアの電子商取引市場は過去5年間に年平均21%成長し、2025年までに820億ドル(約8兆9100億円)に達する見込みだと語っている。

「電子商取引の巨大企業から、デジタル商取引経済全体において推定25%を占めている新進気鋭のソーシャルコマースプレイヤーまで、SiCepatはあらゆる顧客にサービスを提供するのに理想的な位置にあると、私たちは信じています」とトゲラン氏は付け加えた。

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カテゴリー:その他
タグ:SiCepatインドネシア物流

画像クレジット:Fadil Aziz / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

植物性の代替チキンの製法を独自に追求しているスタートアップ企業のPlanted(プランテッド)は、提供する製品と国際的な市場を拡大するため、シリーズAラウンドで1700万スイスフラン(約19億8000万円)の資金を調達した。ケバブやプルドポークの人工肉を製造しており、カットステーキのような代替肉も(文字どおり)開発中であることから、Plantedは中央ヨーロッパ以外の地域にも視野を広げ始めている。

同社はスイス連邦工科大学チューリッヒ校からのスピンアウトで2019年に設立。代替チキンの製法で成功を収めているが、それに留まることなく、他の代替肉の開発も続けている。同社の代替チキンの製法では、えんどう豆由来タンパク質とえんどう豆の繊維を押し出し成型して、鶏肉の繊維状構造をほぼ1:1で再現しているが、このアプローチは異なるスタイルや食材にも適応できることが証明されている。

「農業的にも食事的にも多様性があるため、私たちはさまざまなタンパク質を使用することを目指しています」と、共同設立者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏は語っている。

画像クレジット:Planted

「例えば当社で新しく発売した planted.pulled(プランテッド・プルド)はヒマワリ、オート麦、黄エンドウ豆のタンパク質で構成されており、構造も味も、鶏肉ではなく、プルドポークのように変わりました。ヒマワリのタンパク質ですばらしいところは、ヒマワリ油の生産から再利用することです。私たちは循環型経済のアプローチを確立しています」。

筆者が最初にPlantedについて書いたとき、その製品はほんのひと握りのレストランや食料品店で流通しているだけだった。現在ではスイス、ドイツ、オーストリアの3000以上の小売店で販売されており、レストランやフードサービスとも提携している。この強力な(いわば)有機的成長と、代替肉の全般的な市場が拡がっていることは疑いの余地もなく、これによって資金調達が以前と比べて楽になったことは確かだ。

今回調達した資金は、この段階にある企業に期待されるように、研究開発とさらなる発展に充てられる予定だ。

「この資金は、当社の技術の蓄積を拡大し、現在実験室規模で製造しているプライムカットステーキを商品化するために使われます」と、ジェニー氏は述べている。「製造面では、国際市場からの需要増に対応するため、現在の1時間あたり半トンの生産能力を大幅に増強し、まずは近隣諸国から、さらに欧州や海外へと拡大していきたいと考えています」。

画像クレジット:Planted

「私たちは、構造化と発酵のプラットフォームにさらに投資していきます。構造化技術と天然微生物の生化学的な働きを組み合わせることで、クリーンでナチュラル、健康的で美味しい、変革的な特性を備えた究極の新製品を生み出すことができます」と、共同設立者のLukas Böni(ルーカス・ベーニ)氏はプレスリリースで語っている。

これらのすべてが、価格を下げることにも役立つことは間違いない。それは同社の設立当初からの目標だったが、生産・販売の規模が拡大することによってのみ可能になることだ。

この分野では他の企業も資金を調達し(ちなみに、かなり大きな金額に上る)、市場を拡げているため、競争は熾烈になるだろう。

しかし、Plantedは一般的に製法が知られていない種類の代替肉に関しても、独自の知見を持っているように思われる。少なくとも米国では、代替肉といえばソーセージ、挽いた「牛肉」、そして「チキン」ナゲットが主な形状だ。

Plantedの製品が米国の食卓に並ぶのはいつになるのか、まだ言及されていないものの、ジェニー氏のいう「海外」は、少なくともそれが遠くない可能性を示唆している。

今回の資金調達ラウンドは、Vorwerk Ventures(フォアベルク・ベンチャーズ)とBlue Horizon Ventures(ブルー・ホライゾン・ベンチャーズ)が共同で主導し、スイスのサッカー選手であるYann Sommer(ヤン・ゾマー)氏や、従来の投資家がいくつか参加した。

カテゴリー:フードテック
タグ:Plantedスイス資金調達代替肉

画像クレジット:Planted

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

放牧と一頭買い精肉への集中するPorter Roadが10.9億円を調達して全米展開へ

イースト・ナッシュビルの店頭から一頭買い精肉店として出発してから約10年が過ぎた時、Porter Road(ポーター・ロード)のファウンダーたちは米国精肉業界に新風を吹き込もうと考えた。

そしてこのほど同社は1000万ドル(約10億9000万円)の資金をL34 Ventures、River Park Ventures、Middleland、FJ Labs、Kelvin Beachumらと、既存出資者のMAX Ventures、Tribeca Venture PartnersおよびSlow Venturesから調達し、そのミッションを米国全土へと広げようとしている。

2015年に専用の食肉処理場を購入し、2018年にeコマースへと拡大して以来、Porter Roadは羊肉、牛肉、豚肉、鶏肉およびソーセージ製品を地元農家から全米の食卓へと届けてきた。

新たな資金は、同社の持続可能な農業と消費者直販ビジネスのための放牧肉、ナッシュビルの店舗、および全米のレストランへの卸売販売の拡大に使われる。

まず、ケンタッキー州プリンストンの事業を拡大し、新たな需要に答えるために4.5倍規模のUSDA認定処理施設を建設する。この事業によって小さな町に80人分の新しい職が生まれ、それはケンタッキーにおける農業ルネサンスの一環である。

「生産ラインにいるのが役員室にいるの同じくらい心地よく、人と違う方法で世界を見て、そのビジョンを実行するための深い専門知識を持っている、そんなファウンダーたちを支援するのは簡単なことです」とL37のパートナーであるRandall Ussery(ランドール・ウセリー)氏が声明で語った。「彼らは何年もかけてPorter Roadを完璧にしてきました。これはどのスタートアップもどの古参企業も一夜にしてマネできるものではありません。この会社は食肉業界のカテゴリーキラーであり自身のブランドの周りに濠を作ったのです」。

Poter Roadのステーキ、ソーセージ、ベーコン積み合わせデリバリー・ボックス(画像クレジット:Porter Road)

Porter Roadが大型ライバルたちとの違い明確にした1つの例が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での施設の対応だ。

生産スケジュールの制約と不規則な休憩時間、マスク着用義務やソーシャルディスタンスなどの対策の中、同社は施設内感染を一度も起こしていないと共同ファウンダーでCEOのChris Carter(クリス・カーター)氏はいう。「感染した人は数人いましたが、プリンストンで新型コロナは蔓延していません」とカーター氏は述べた。

植物由来食品への要求が高まっているものの、同社の放牧と一頭買い精肉への集中は、持続可能な生産を気にかける人々にアピールするはずだ。「私たちは、私たちの農家を気にかけています。私たちの動物がどのように育てられているのかを気にかけています」とカーター氏は語る。「それが、私たちが行っていることの本質です【略】Porter Roadにとって最も重要なのは動物の活用です。それは動物の命を尊重し、あらゆる部位を残さず届ける販売経路を作ることです」。

Porter Roadは生産ラインを拡大して、牛脂や豚脂を調理し、骨髄料理のために骨を切断する、とカーター氏は述べた。

「食品制度は崩壊寸前で大がかりな変革が必要です。今の消費者は自分の食べるものとの深いレベルの結びつきを求めており、誤解を招くラベルや流行語を見抜く目を持っています」とカーター氏は声明で語った。私たちは信用と透明性と味を届けているので、誰もが妥協する必要がなく、かつ私たちの農家を支援しています」。

カテゴリー:フードテック
タグ:Porter Road資金調達

画像クレジット:Porter Road

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指すベンチャーキャピタルのDRONE FUND(ドローンファンド)は3月9日、2020年5月に目標調達額を100億円とする「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」(3号ファンド)を設立し、2020年9月にファーストクローズを実施したと発表した。

3号ファンドでは、清水建設、キャナルベンチャーズなどを新たにLP投資家として迎え、ファーストクローズとあわせて総額約50億円の調達を実施した。ドローンファンドはファイナルクローズに向けて、今後も資金調達を続ける。

DRONE FUNDによると、ドローンやエアモビリティをはじめとする空のテクノロジーは、国土・インフラの保全、産業活動の効率化と発展、日々の暮らしを支えうるソリューションとして注目を集めているという。デジタル政策やグリーン政策の重点化や、全国でのスマートシティに関する機運の高まりも大きな追い風としている。

DRONE FUNDは、これらを背景にドローン・エアモビリティのさらなる社会実装を促進するべく、3号ファンドを設立。次世代通信規格5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じ、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDXを可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与しうるテクノロジー、ソリューションへの投資を展開するとしている。

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2025年ごろ、ドローンによるラストワンマイル物流サービスのイメージ

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ドローン(用語)Drone FundDRONE FUND 3号投資事業有限責任組合日本(国・地域)

香港のフィンテックユニコーンWeLabが保険大手Allianzなどから約82億円調達

新型コロナウイルス危機の恩恵を受けた数少ない産業の1つはオンライン金融だ。パンデミックにより世界中の消費者はデジタルバンキングの受け入れを余儀なくされた。2013年に創業されたフィンテック企業である香港のWeLab(ウィラボ)は2020年にユーザー数が20%成長し、累計ユーザーベースは5000万人に達した。

消費者にさらなる利便性や透明性、手頃価格を提供しようとしているWeLabのようなイノベーティブなプレイヤーに接すると、従来の金融機関は自らを一新せざるを得ない。これは、131年の歴史を持つ欧州の金融コングロマリットAllianzのベンチャーキャピタル部門であるAllianz XがWeLabの7500万ドル(約82億円)の最新ラウンドをリードした理由の1つだ。他の投資家も参加したシリーズC1は、1億5600万ドル(約170億円)を調達した2019年のシリーズCラウンドに続くものだ。

「明らかにAllianzは世界で最大の資産運用・保険会社の1社であり、強力な存在感と確固たる実績を持っています」と共同創業者でCEOのSimon Loong(サイモン・ルン)氏はTechCrunchとのインタビューで語った。

同氏はWeLabの直近の評価額を公開するのは却下したが、10億ドル(約1092億円)のユニコーンステータスに達して以来、その数字は大きくなっていると語った。

WeLabが2020年香港で立ち上げたデジタルバンクを設置しようとしたとき、同社が描いていたプロダクトの1つは「デジタルバンクでの新世代の資産アドバイス」だった。

「Allianzは当社が過去数年に行ったことをみて、デジタルバンク向けの資産テクノロジーを共同開発するためにかなり興味深い機会ととらえました。そしてAllianzは当社に近寄ってきました。それで、ラウンドをリードするのはどうか、と言ったのです」とルン氏は説明した。

戦略的投資を通じて、パートナーたちは投資や保険のソリューションをアジアで共同開発して展開する。そうしたプロダクトは、香港でのバーチャルバンクやレンディングプロダクト、中国本土やインドネシアでのいくつかの種類のレンディングサービスを含む、WeLabの現在のサービスを多様化する。全ユーザーのうち約4700万人が中国本土、250万人がインドネシア、そして100万人弱が人口750万人の香港の住人だ。

資産運用・保険会社としてのAllianzの役割について、そして銀行・フィンテックソリューションプロバイダーとしてのWeLabについて「興味深い4方向の法人です」とルン氏は述べた。「当社が事業を拡大するのに本当におもしろいターニングポイントになると考えています」。

巨人との協業

WeLabのチーム

ルン氏によると、WeLabの売上高にとって同様に重要なのは、既存の銀行や金融機関のデジタルの取り組みをサポートする法人向けサービスだ。この戦略は、従来の金融プレイヤーの「後援者」になるというAnt Groupの取り組みと大して違わない。

中国のフィンテックマーケットではAntとTencentの2社が巨大なマーケットシェアを握っているにもかかわらず、WeLabのような小規模で専門性を持つプレイヤーが参入する余地は残っている。これまでにWeLabは法人顧客約600社をひきつけ、その大半は中国本土の顧客だ。

WeLabがAntのような巨大企業といかに戦うのか尋ねると「Antとの間には興味深い力学があります」とルン氏は話した。Ant傘下のeコマース企業AlibabaはAlibaba Hong Kong Entrepreneurs Fundを通じてWeLabの投資家だ。

「我々が競っている事業があり、そしてともにうまく取り組んでいる分野もあります」と同氏は付け加えた。例えばWeLabはサードパーティの金融プロダクトやエンド消費者にとってマーケットプレイスのように機能するAntの旗艦アプリAlipayで初のスマホリースサービスを導入した。しかしAntも自前の金融プロダクトを持っていて、これはAntのマーケットプレイスで商品を販売している外部サプライヤーと衝突するかもしれない。

「要するに、当社はかなり独立した企業であるため、誰とでもうまくいくのだと思います」とルン氏は主張した。

グレイターベイをつなぐ

香港で創業した会社として、WeLabはグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)と命名された地域を統合する中国政府の動きに積極的に参加している。このエリアは中国の2つの特別行政区である香港とマカオ、そして深圳を含む広東省の9市にまたがる。

グレーターベイエリアの青写真の目的はクロスボーダーの人材の流れを促進することだ。ある意味、このエリアはフィンテックスタートアップを運営するのに必要なすべての条件を満たしている。テックの人材は深圳、そして金融の人材は香港と、隣接している2つの都市で人材を獲得できる。WeLabはまさにそれを地で行っている。テック系のスタッフを香港よりも多く深圳に置き、香港オフィスには金融のプロを抱えている。同社は2021年100人ほど新たに採用して従業員数を800人に増やす計画だ。

人材源の共有はさておき、中国政府はまたグレーターベイエリアで金融の統合を促進したい考えだ。WeLabは政府の意向に留意し、今後展開する資産運用プロダクトをまず香港で、その後、資産運用コネクトという政府支援のスキームを通じてグレーターベイエリアの他の地域で展開する計画だ。資産運用コネクトでは香港とマカオの住人はグレーターベイエリアにある本土の銀行が提供している資産運用プロダクトに投資ができる。その逆もまた然りで、中国本土側のグレーターベイエリアの都市の住人も香港とマカオの資産運用プロダクトを購入できる。

「香港はすばらしいテストベッドですが、オンライン事業者にとっては成功しているビジネスモデルを多くの人々に適用する必要があります」とルン氏は同社の事業拡大計画について説明した。「グレーターベイエリアは我々にそのチャンスを提供しています。このエリアの人口は7200万人で、GDPは1兆7000億ドル(約185兆6264億円)と韓国を超えます。当然のことながら事業を拡大するのに良いエリアです」。

WeLabは2018年に上場を模索していたが「正しい時期だとは思っていなかった」ために計画を中止した、とルン氏は回顧した。同社はまた、銀行免許を取得する過程にあったため、上場前に重要な認可に取り組むことに決めた。

「現状を見れば、明らかに株式市場という点ではかなりホットです。ですので当社は多くの人と話をしています。この件については目を光らせていて、次の正しい時期の模索に我々は常に前向きです」とルン氏は述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:WeLab資金調達香港

画像クレジット:WeLab CEO Simon Loong

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

SaaSの購買サービスで成長するVendrがシリーズAで約65.5億円の大型資金調達

米国時間3月8日、Vendrが6000万ドル(約65億4600万円)の大型シリーズAラウンドを発表した。このラウンドを主導したのはTiger Globalで、他にY Combinator、Sound Ventures、Craft Ventures、F-Prime Capital、Garage Capitalが参加した。

Vendrは2020年6月にシードラウンドで400万ドル(約4億3600万円)を調達し、その際にTechCrunchは同社が収益を上げていることを報じた。今回の大型シリーズAはそれに続く資金調達となる。Vendrは今回のシリーズAより前に600万ドル(約6億5400万円)以上を調達していた。

TechCrunchにはいくつか疑問があった。まず、Vendrはどのようにしてこれほど多額の資金を短期間で集めたのか。CEOのRyan Neu(ライアン・ノイ)氏がインタビューで答えたところによると、Vendrは2020年に5倍弱の成長を遂げ、同年のキャッシュフローも黒字だった。同社のビジネスモデルはSaaSの売り手と買い手の間に立ち、取引を迅速化しつつコストを抑えるもので、ソフトウェア依存の高まりとコスト管理の重視という2020年の2つのトレンドにうまくフィットしたようだ。

次の疑問は、どのようにしてこれほど大きく成長しているのかということだ。Vendrは顧客に対しソフトウェアに支払う代金の1〜5%を請求しており、これを積み上げて増やしていくことができる。ノイ氏はTechCrunchに対し、従業員500人の標準的な企業はソフトウェアに年間200万〜350万ドル(約2億1800万円〜3億8000万円)を支払うと述べており、計算してみると最小の1%の場合にVendrは2万〜3万5000ドル(約218万〜380万円)を受け取ることになる。パーセンテージの中間である2.5%なら、5万〜8万7500ドル(約545万〜955万円)を受け取る。

このような価格体系でVendrは年間の売上を短期間で増やすことができる。それではなぜVendrの顧客はソフトウェアの費用を処理するためにVendrに支払いをするのか。それは節約に有効だからだ。Vendrに支払う費用以上に節約できるなら、企業は得をする。さらに、企業は購入にかかる時間を節約できるとVendrが主張するとおり、Vendrの顧客はツールの確保にかかる時間を削減することができる。

誰にとっても良いことのように見えるが、例外はソフトウェアの売り手だ。売り手にとっては、あまり詳しくない買い手が自分たちのコードに高い費用を払ってくれるチャンスを失っているのではないか。しかしノイ氏は、Vendrのモデルは売り手企業にとってもそれほど悪くないという。迅速に、高確率で契約が成立するからだ。売り手企業はセールスチームの時間を節約することができ、差額とのバランスがとれるかもしれない。

現在、買い手を中心としているVendrはソフトウェア市場の売り手に対して何ができるかをさらに尋ねたが、ノイ氏は今後の計画を明らかにしなかった。

資金調達ラウンドに話を戻すと、新規の外部資金なしでうまくやっていたのならVendrはなぜ資金を調達したのか。同社はTechCrunchに対し、1年前は10人だった従業員を60人に増やしたことと、バランスシートをもっと強化したかったことを挙げた。なるほど。Tiger Globalからこれほど多額の小切手を用意されて受け取らないスタートアップは滅多にないだろう。評価額の上昇がVendrにとって何を意味するかを考えれば、謎を解くのはそれほど難しくない。

TechCrunchはここ数週間、ソフトウェア市場のとてつもない深さを探ってきた。ソフトウェアのTAM(Total Addressable Market、実現可能な最大の市場規模)を考えると、Vendrは投資家が今回のラウンドで期待を示したハイパーな成長を維持できるかもしれない。2021年のVendrの動向に注目しよう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SaaSVendr資金調達

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Kaori Koyama)

新規資金調達を行ったMaisonette、ファッション意識の高いファミリー層の御用達ブランドへの道のりとは

ニューヨークを拠点とするMaisonetteが4年前に創業したのは、幼い子供がいる家族に必要なあらゆるものが手に入るキュレーション型ワンストップ・ショップを目指したことがきっかけだった。

その計画はうまくいっているようだ。同社は手始めにプレッピースタイルの子供向けアパレルを立ち上げ、家庭用装飾品、家具、おもちゃ、家庭用機器、アクセサリーといったカテゴリーを順調に展開してきた。同社によれば、昨年は顧客数が2倍に増え、収益は3倍になったという。コロナ禍で子供向けのおしゃれ着の売り上げはしばらくの間低迷し、同社のスタイルは下火になってもおかしくなかったにもかかわらず、DIYとSTEM教育玩具の売り上げが1400%増となったのだ。

同社は売上高を公表していないが、その成長振りは興味深い。特に、Amazonが衰えを知らない成長ぶりで2018年末頃にアメリカ国内トップのアパレル小売企業になったことを考えればなおさらだ。

こうして見ると、Maisonetteの魅力はこれまでに築き上げた顧客との信頼に負うところが大きい。顧客は、子供向け市場にいっそう注力しているGucciBurberryのようなラグジュアリーブランドと比べて、同社の商品をハイエンドでありつつも購入しやすいと考えている。

詳しく言うと、従業員数75人の同社には、独立ブランドと提携して他のどこにもないような商品を世に出すことを得意とするマーチャンダイジングチームがあるのだ。

また、Maisonetteは2年半ほど前に「Maison Me」という自社のアパレルブランドを立ち上げた。より手頃な価格で手に入る「高級なベーシック」をターゲットとして中国で生産される商品は、子供が大きくなったり服がだめになったりするたびに繰り返し商品を購入するファミリー層向けに、好調な売り上げを見せていると同社は言う。

Maisonetteの創業者たちがシックなスタイルの目利きであることも幸いしている。共同創業者のSylvana Ward Durrett(シルヴァナ・ワード・デュレット)氏とLuisana Mendoza de Roccia(ルイザナ・メンドーサ・デ・ロシア)氏が出会ったのは、デュレット氏が15年勤務していたVogueマガジンだった。デュレット氏はプリンストン大学卒業と同時に同社に入社し、イベント担当ディレクターとなった(同氏がファッション界での名声を獲得した仕事だった)。ロシア氏は同じ2003年にジョージタウン大学卒業と同時に同社に入社し、Vogueマガジンのアクセサリーエディターを務めて2008年に退職した。

興味がある人のために言うと、彼らの元上司だったのがAnna Wintour(アナ・ウィンター)氏で、2人の擁護者でもある。他にも強力な支持者がおり、中でもNEAの投資家のTony Florence(トニー・フローレンス)氏は、e-コマースの事情通であり、彼の会社を代表しJet、Goop、Casperへの投資を主導した人物である。

NEAはThrive Capitalやグロースステージ・ベンチャーキャピタルのG Squaredと並ぶMaisonetteの出資者だ。G Squaredは3000憶ドル(約31兆8400億円)のラウンドを主導することを発表したばかりだが、これでMaisonetteの資金調達総額は5000憶ドル(約53兆円)になる。

もう一人同盟関係にあるのがMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏だ。同氏は2009年にデュレット氏と出会ったが、当時はGoogle初の女性エンジニアにして最もファッショナブルな役員として知られていた。友情が長く続いているだけでなく(メイヤー氏は名前を気に入って、双子の娘のひとりにシルヴァナと名付たそうだ)、メイヤー氏はMaisonetteのボードメンバーでもある。おそらくは、同社が本来の強みを持つ非常に若い顧客層についても、データ戦略の洗練に力を貸したことだろう。

「データとe-コマースに関して非常に役立つことは、特定のライフステージにいる人たちを捕捉できることです」とメイヤー氏は説明する。「ウエディング・レジストリが好まれたのはそうした理由です。結婚して子供を持つと、小売企業は子供の年齢に応じて顧客のニーズと、2年後に欲しくなるものを推測し始めます。」

「サプライチェーンの予測という観点からいうと、在庫の選択や、その瞬間を逃さず捉えるためにも、これらのライフステージを洞察することは非常に重要でありかつ役立つのです」とメイヤー氏は言う。また、メゾネットは事業を拡大し続けているため、このようなシステムは大きな利益をMaisonetteにもたらしてくれる可能性があると同氏は述べた。

確かに、すでに多くのことが同社の思い通りに進んでいる。メイヤー氏の指摘について、ロシア氏によればMaisonetteの昨年の売り上げの半分以上がリピーター顧客によるものだという。さらに、同社からのメールを受信したりソーシャルメディアのチャンネルをフォローしている人々はすでに80万人にのぼる。(Maisonetteでは充実した特集コンテンツをウェブサイトで提供している)

Maisonetteは一部のeコマース事業とは違い、アセットライト戦略を取っている。以前にいくつかのポップアップストアをオープンし、より大規模な小売りへの移行を検討したこともあったが(デュレット氏によれば「今はいったん中止している」とのこと)、同社は自らが管理する倉庫を持たず、商品は同社のサイトが特集するさまざまな小売業者から直接消費者へ発送される。

おそらく最も重要なのは、同社が巨大な成長市場で競争していることだ。米国だけでも子供向けアパレル市場は340億ドル(約3兆6800億円)規模と推定され、世界規模では見ると6300億ドル(約66兆8900億円)にもなる。Maisonetteが現在販売しているのは米国の顧客のみだが、今回の資金の一部を使ってグローバル市場に進出することを計画していると、ロシア氏は語る。同氏はパンデミックの期間中、子供4人とともにミラノで生活しており、一方デュレット氏は自身の子供3人から少し離れ自分の時間を確保するため、1月からほとんど誰もいないブルックリンにあるMaisonetteの本社で仕事をしている。

事実、遠距離のZoomコールで彼らが長い時間話すのは、子供を持つ在宅勤務者が今すぐにも新しい仕事スペースを必要としていることや、バーチャル授業を受けている子供たちの部屋をアップデートすることについてだ。世界的な活動停止を望んだ人はいなかったはずだが、コロナのために家庭用装飾品は「注目されているカテゴリー」だとロシア氏は付け加える。

今2人が追っている他のトレンドについて尋ねた。たとえばMaisonetteは、近年大規模なビジネスになったママと子供のペアルックスタイルを打ち出している。ロシア氏によれば、世界的活動停止が起きていても、これは「巨大なトレンド」であり続けているという。「これは休日のパジャマから始まったのです。それが一大ムーブメントを引き起こして、今は水着やカジュアルウェアがペアルック関連ビジネスのかなりの部分を占めるようにもなりました。」

デュレット氏が気付いたトレンドについて、同氏は笑って「ラマはすごいですね。同社はラマの音楽プレーヤーを販売しているのですが、ホリデーシーズンに何回もサイトに再掲載しなければならないほどでした。」と語り、さらにこう続ける。「虹とユニコーンも。虹とユニコーンは手に入れるのが難しいもののメタファーでもありますが、文字通り在庫を維持しておくのが難しいですね。」

ユニコーンについて、同氏は「ユニコーンは、ユニコーンをモチーフにした商品のことですが」と付け加えた。

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カテゴリー:その他
タグ:ファッション 資金調達

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

スウェーデンの自動運転車両開発EinrideもSPAC上場を検討中か

スウェーデンの自動運転車両開発スタートアップEinride(アインライド)は追加資金を模索することで、Oatly、Lidlとの提携で火がついた勢いを継続させようとしているようだ。

Einrideの計画に詳しい人物によると、同社は新たな資金ラウンドで7500万ドル(約81億円)を調達しようとしており、同時に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じての上場の可能性も検討しているという。

未上場の企業と合併する上場企業というメカニズムのSPACは、モビリティの電動化に注力しているスタートアップによって米国の資本マーケットで存在感を増している。

Nikolaのような企業の上場の成功例(疑わしい主張にもかかわらず)がSPACブームに火をつけた。Canoo、Fisker Inc、ChargePoint、Lordstown Motorsなどは、2020年SPAC経由で上場した米国拠点のEV企業の一例だ。

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新しく作られたSPAC企業と異なり、Einrideはいくつかの基礎を持っている。同社はすでにスウェーデンのオーツミルクメーカーOatlyとの提携を通じて自社のテクノロジーの試験を行った。

Oatlyは2020年10月に、スウェーデンにある生産施設からの出荷にEinrideの電動トラックの使用を開始した。両社の声明によると、これまでにトラックは8600km超走行し、その結果、ディーゼルトラックに比べて1万500kgの二酸化炭素の排出を抑制した。

「持続可能性は我々が行うすべての根幹です。全面的に二酸化炭素排出を抑制するために懸命に取り組みます。ここには輸送にかかる二酸化炭素排出も含まれており、だからこそ電動車両への移行を進めています。電動車両の活用により輸送ルートでの二酸化炭素排出を87%抑制できます」とOatlyのサプライチェーン担当ディレクターSimon Broadbent(サイモン・ブロードベント)氏は当時の声明文で述べた。

Oatlyとの提携は始まりにすぎなかった。その提携が終了すると、Einrideは食品配送・ロジスティック会社Lidlや電気機械メーカーElectroluxといった他のスウェーデン企業とすぐに提携した。

大手自動車メーカーはそれぞれに電動と自動走行の計画を持っている。自動運転テクノロジーのデベロッパーArgoはFordとVW Groupからの投資のおかげでいまや企業価値は75億ドル(約8166億円)だ。VWのTraton Groupは2019年に発表した22億ドル(約2395億円)の投資を通じて低排出と電動化を推し進めている。

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Daimler、Paccar、Volvoもそれぞれ計画を持っている

それは自動走行の電動化された輸送に注がれている資金のうわべを撫でているにすぎない。もちろん、Teslaもセミトラックでこのゲームに参加している。そして中国ではPlus AIがManbang、Suning、FAW Jiefangの数多くの車両を自動化している。

これらの資金のすべては自動走行の電動化された車両マーケットでのシェアを獲得するのが目的だ。コンサル会社McKinseyはこの手の車両がトラック産業で1000億ドル(約10兆8876億円)超を節約すると予測した。2600億ドル(約28兆3075億円)の米国のトラック市場だけでもかなり大きな潜在的機会だ。McKinseyによると、世界規模では事業者はトラック輸送に約1兆2000億ドル(約130兆6500億円)を費やしている。

業界にもたらされるメリットは財務上のものだけではない。トラック輸送は陸上、鉄道、航空の運輸を含む輸送部門における温室効果ガス排出量の大きな部分を占める。2016年にトラック輸送と交通は世界の温室効果ガス排出の約24%を占めた。その数字は着実に大きくなってきている。

輸送部門からの二酸化炭素排出の削減は、環境上持続可能な未来に向けた大きな一歩となるはずだ。

ベンチャー投資家がこうした企業へ投資しようと先を争うのは不思議ではない。EinrideはEQT VenturesとNordicNinja VCに頼っている。NordicNinja VCはパナソニック、ホンダ、オムロン、国際協力銀行などが支援しているファンドだ。Ericsson Ventures、Norrsken Foundation、Plum Alley Investments、Plug and Play Venturesからの出資も含め、Einrideはこれまでに3200万ドル(約35億円)を調達している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:EinrideSPACスウェーデン自動運転資金調達

画像クレジット:Einride

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

英国のチャレンジャーバンクStarlingが約4.4億円を調達、評価額は2063億円に

小規模で動きの速いテック系銀行スタートアップのチャレンジャーバンクに、多額の資金注入が続いている。強気の投資家たちが、そうしたチャレンジャーバンクには大手のライバル銀行から顧客を引きつけるチャンスがあると考えているからだ。その最新の動きとして、英国に拠点を置くStarling(スターリング)が、11億ポンド(約1653億7000万円)の事前評価額で、2億7200万ポンド(約408億9000万円)を調達したことを発表した。

このシリーズDラウンドによって、同社の事後評価額は13億7200万ポンド(約2063億円)となった。

旧来の銀行だけでなく、Monzo(モンゾ)やRevolut(リボルト)のような他のチャレンジャーバンクとも競合しているStarlingは、調達した資金を成長の継続のために使うと述べている。Starlingはすでに利益を出している。米国時間3月8日に投稿された最新の財務書類では、Starlingは2021年1月の収益が1年前に比べて400%増加した1200万ポンド(約18億円)だったと報告している。これは1年分に換算すると1億4500万ポンド(約218億2000万円)となる。4カ月連続で営業利益を計上し、1カ月あたりの純利益は現在150万ポンド(約2億3000万円)を超えている。

2017年に設立されたStarlingは、現在200万以上の口座を保持しており、その中にはビジネスアカウントも30万口座含まれている。これらの口座のうち、どれくらいの数がアクティブかははっきりしない。Starlingによれば、上の数字は開設された口座数だ。貸出残高は20億ポンド(約3010億円)を超え、預金残高は54億ポンド(約8126億円)となっている。

Starlingは、調達した資金を、英国での融資業務の拡大、欧州の他の地域への拡大、戦略的買収のために使用する予定だと述べている。

Starlingの創業者でCEOのAnne Boden(アン・ボーデン)氏は声明の中で「デジタルバンキングは転換点に達しました」と語る。「今やお客様は、これまでの銀行に代わるより公平で、よりスマートで、より人間的な代替手段を期待しています。それこそが、成長を続け新しいプロダクトやサービスを加える私たちが、ご提供しているものなのです。新しい投資家のみなさまは、次の成長段階に入る当社に豊富なご経験をもたらして下さいますし、既存の支援者のみなさまの継続的なご支援は、多大な信頼をお寄せ頂いている証拠です」。

今回のラウンドはFidelity Management & Research Companyが主導し、そこにQatar Investment Authority (QIA)、310億ポンド(約4兆6650億円)規模のRailways Pension Schemeの投資マネージャーであるRPMI Railpen (Railpen)、国際投資企業のMillennium Managementが参加している。またこのラウンドは私たちが11月に報告した少なくとも2億ポンド(約300億円)の調達に続いて行われた。

今回の資金調達は、消費者バンキングにとって非常に重要な時期に行われた。Starlingが活動している市場である英国では、ここ数年の傾向として、オンラインバンキングやモバイルバンキングへの移行が徐々に進んでいたが、それらの傾向が、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大を抑えるためのロックダウンや強制的なソーシャルディスタンスによって急速に加速した。

チャレンジャー(ネオ)バンクは、進化している消費者行動の中にあって、最大の勝者となっている。チャレンジャーバンクたちは、バンキングインフラプロバイダー(Rapyd、Plaid、Mambu、CurrencyCloudといった企業が含まれるまた別のスタートアップカテゴリー)から、APIを介してホワイトラベルサービスとして提供される手段を利用し、引き出しや預金などの基本的なサービスを提供するが、通常はその柔軟性はかなり高く、追加の貯蓄や財務のヒント、顧客への貯蓄サービスなどを、デジタルプラットフォーム上で提供している。

旧来の大手銀行たちは、こうしたイノベーションに追いつこうと躍起に努力してきたが、とりわけ過去10年間の銀行危機によって、既存銀行が世間で思われていたほど強力でも盤石でもなかったことが顕になったことによって、新しい世代のユーザーたちはそのブランドや権威への信頼感を弱めている。

またその大きな市場イメージによって、多くのネオバンクの急増も予想されている、つまりStarlingは旧来の銀行以外とも競合していくということになる。そうした競合相手には、Monese(マネーズ)、Revolut、Tide(タイド)、Atom(アトム)、Monzoなどがあるが、特に最後の企業はStarlingの元CTOによって設立された、手強い競争相手だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Starlingイギリスチャレンジャーバンク資金調達

画像クレジット:Starling

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)